(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】フェースプレートの変形を制限するためのサポートを有するゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20231212BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20231212BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022204579
(22)【出願日】2022-12-21
(62)【分割の表示】P 2021124530の分割
【原出願日】2017-03-27
【審査請求日】2023-01-18
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エイ. ソルハイム
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール. ジャーツソン
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-24587(JP,A)
【文献】特開2005-192618(JP,A)
【文献】特開平11-244430(JP,A)
【文献】特開2005-58765(JP,A)
【文献】特開2004-358223(JP,A)
【文献】特開2010-115318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0031144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0274455(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0165280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/04
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
本体であって、
打撃面、およびその反対側の内側面を有し、前記打撃面と前記反対側の内側面の間の距離が厚みを画定するフェースプレート、
ヒール端部、
トウ端部、
後端部、ならびに
前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含み、前記フェースプレート、前記後端部、および前記ソールが、部分的に空洞部を画定する、本体と、
前記空洞部内に位置するインサートであって、
前記フェースプレートの前記反対側の内側面に面するように構成され、前記フェースプレートの前記反対側の内側面に面するインサート面を有する前部分、を含む、インサートと、を備え、
前記前部分の第1のインサート面は、インサートヒール端部に隣接する第1のアームと、インサートトウ端部に隣接する第2のアームと、有しており、
前記第1のアームは、前記ヒール端部から前記トウ端部に向けて測定される第1のアーム幅を有しており、
前記第2のアームは、前記ヒール端部から前記トウ端部に向けて測定される第2のアーム幅を有しており、
前記第1のアーム幅および前記第2のアーム幅は、前記インサートの合計の最大幅の
5%から40%の間であり、
前記インサート面の前記前部分の少なくとも第2の面は、前記フェースプレートの前記反対側の内側面から離間されており、前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面の間に距離を画定しており、
弓状の境界が、前記第1と第2の面の間の遷移を画定しており、
前記前部分の前記第2の面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面の間の距離が、0.005~0.125インチの範囲である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記インサート面は、前記インサート面に対して垂直な方向における、前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面との間の前記距離が、前記インサートの底面付近から前記インサートの上面へと増加するようなテーパ角を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記テーパ角は0.01°~20.0°の間である、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記テーパ角は1.0°~20.0°の間である、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記インサート面は、前記インサートの底面付近から前記インサートの上面付近へと延びる方向に、かつ前記インサートのヒール端部付近から前記インサートのトウ端部付近へと延びる方向に、前記フェースプレートに対して凹形である、請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面との間の前記距離は、0.005~0.060インチの範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面との間の前記距離は、0.060~0.125インチの範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記クラブヘッドの前記ソールは、0.060インチ未満の一様な厚さを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記フェースプレートの前記厚みは変化しており、前記フェースプレートの最大厚みが0.15インチ未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記フェースプレートの前記最大厚みが0.10インチ未満である、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
ゴルフクラブヘッドであって、
本体であって、
打撃面、およびその反対側の内側面を有し、前記打撃面と前記反対側の内側面の間の距離が厚みを画定するフェースプレート、
トウ端部、
ヒール端部、
上部、
底部、
後端部、ならびに
前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含み、前記フェースプレート、前記後端部、および前記ソールが、部分的に空洞部を画定する、本体と、
前記空洞部内に位置するインサートであって、
前記フェースプレートの前記反対側の内側面に面するように構成され、前記フェースプレートの前記反対側の内側面に面するインサート面を有する前部分、を含む、インサートと、を備え、
前記前部分の第1のインサート面は、前記インサートのヒール端部に隣接する第1のアームと、前記インサートのトウ端部に隣接する第2のアームと、前記インサートの前記ヒール端部から前記インサートの前記トウ端部まで延びているクロス部材と、を有しており、
前記第1と第2のアームは、前記クロス部材の中へと遷移して概ねU字形状を画定しており、
前記クロス部材は、クロス部材高さを有しており、
前記クロス部材高さは、前記インサートの全体の高さの5%から50%の間であり、
前記インサート面の前記前部分の少なくとも第2の面は、前記フェースプレートの前記反対側の内側面から離間されており、前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面の間に距離を画定しており、
前記インサート面は、前記インサート面に対して垂直な方向における、前記インサート面の前記前部分の前記第2の面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面との間の前記距離が、前記インサートの底面付近から前記インサートの上面へと増加するようなテーパ角を含んでおり、
前記テーパ角は0.01°~20.0°の間である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記インサート面の少なくとも一部は、前記フェースプレートの前記反対側の内側面から離間されており、前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面の間に、0.005~0.125インチの範囲の距離を画定している、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記テーパ角は1.0°~20.0°の間である、請求項11又は12に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記テーパ角は1.0°~15.0°の間である、請求項11又は12に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面との間の前記距離は、0.005~0.060インチの範囲である、請求項11~14のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記インサート面と前記フェースプレートの前記反対側の内側面との間の前記距離は、0.060~0.125インチの範囲である、請求項11~14のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記クラブヘッドの前記ソールは、0.060インチ未満の一様な厚さを備える、請求項11~16のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記フェースプレートの前記厚みは変化する、請求項11~17のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記フェースプレートの最大厚みが0.15インチ未満である、請求項11~18のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記フェースプレートの最大厚みが0.10インチ未満である、請求項11~19のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年3月25日に出願された米国特許仮出願第62/313,214号の利益を主張するものであり、その内容の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、ゴルフクラブに関し、またより詳細には、ゴルフクラブのフェースプレートの可逆的な弾性変形を可能にする一方で、変形制限も加えて不可逆的な塑性変形の危険を低下させるサポートに関する。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブは、例えば、ウッド、ハイブリッド、アイアン、ウェッジ、またはパターなどの様々な形態を取るが、これらのクラブは、一般に、ヘッド形状および設計(例えば、ウッドとアイアンとの間の差など)、クラブヘッド材料、シャフト材料、クラブ長さ、およびクラブのロフトが異なっている。
【0004】
一般に、ゴルフボールとのインパクト中に、ゴルフクラブのフェースプレートは、一定量の変形を受ける。より具体的には、フェースプレートは、ゴルフボールとのインパクト時に撓んでばね状に復元するように、撓みの形の弾性変形を受ける。この弾性変形は、反発係数(COR)を増加させる。より高いCORは、インパクト時にゴルフボールへ伝達される運動エネルギーを増加させて、一般に、ゴルフボールの速度、およびゴルフボールの飛距離を増加させる。
【0005】
いくつかのゴルフクラブにおいては、インパクト時のフェースプレートの撓みを増加させるために、フェースプレート厚さを減少させる。しかし、フェースプレートの過度の撓みは、時間が経つにつれて不可逆的な塑性変形を生ずるおそれがある。フェースプレートの塑性変形は、弾性変形の量、および得られる利用可能な「ばね効果」を低下させ、最終的に、最適なゴルフボール速度およびゴルフボール飛距離を生成するクラブヘッドの能力を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゴルフクラブは、様々な知られた設計を有するが、ゴルフボールとのインパクト中に、ゴルフクラブのフェースプレートの弾性変形を可能にする一方で、弾性変形に制限も加えて、ゴルフクラブのフェースプレートの不可逆的な塑性変形の危険を低下させることが求められている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書で開示される遅延サポートの1つまたは複数の実施形態を含むゴルフクラブヘッドの斜視図である。
【0008】
【
図2】フェースプレートを示す
図1のクラブヘッドの第1の側面図である。
【0009】
【
図3】
図2とは反対側の裏面を示す、
図1のクラブヘッドの第2の側面図である。
【0010】
【0011】
【
図5】
図4の線5-5に沿った、遅延サポートを除去した状態の
図1のクラブヘッドの横断面図である。
【0012】
【
図6】
図1のゴルフクラブヘッドと共に使用される遅延サポートの実施形態の斜視図である。
【0013】
【
図7】
図6で示されるものとは反対側の
図6の遅延サポートの第2の斜視図である。
【0014】
【
図8】
図6の線8-8に沿った
図6の遅延サポートの横断面図である。
【0015】
【
図9】
図4の線9-9に沿った、空洞部内に位置する
図6のインサートを備えた
図1のゴルフクラブの横断面図である。
【0016】
【
図9A】
図6のインサートの実施形態が空洞部内に位置する状態の、
図4の線9-9に沿った、インサートとフェースプレートとの間の大きな間隙を画定する
図1のゴルフクラブの横断面図である。
【0017】
【
図10】遅延サポートの別の実施形態が空洞部内に位置する状態の、
図4の線5-5に沿った
図1のゴルフクラブの横断面図である。
【0018】
【0019】
【
図11A】
図11のゴルフクラブヘッドと共に使用される遅延サポートの実施形態の正面図である。
【0020】
【0021】
【
図11C】
図11のゴルフクラブヘッドと共に使用される遅延サポートの実施形態の正面図である。
【0022】
【0023】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に開示されるゴルフクラブヘッドは、打撃面、およびその反対側の内側面を有するフェースプレート、後端部、ならびにフェースプレートを後端部に接続するソール、を含む本体を備えている。フェースプレートの内側面、後端部の内側面、およびソールの内側面が、部分的に空洞部を画定する。インサートが空洞部内に位置しており、インサートは、フェースプレートの内側面に面するとともにそれから離れているインサート面を有する。多くの実施形態では、インサート面がインパクト中のフェースプレートにおける所望量の撓み(または変形)を許容し、一方で、塑性変形が生じる前にフェースプレートを補強する。他の実施形態では、インパクト中にフェースプレートをサポートしないように、インサートがフェースプレートから十分に離れることができる。
【0026】
他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、フェースプレート、後端部、ならびに前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含む本体を備えている。フェースプレート、後端部、およびソールが、部分的に空洞部を画定する。後端部が空洞部に面する内側面を有している。インサートが空洞部内に位置しており、インサートは、後端部の内側面に面するとともにそれから離れているインサート面を有する。
【0027】
他の実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、打撃面、およびその反対側の第1の内側面を有するフェースプレート、後端部、ならびに前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含む本体を備えている。フェースプレート、後端部、およびソールが、部分的に空洞部を画定し、後端部が空洞部に面する第2の内側面を有する。突起部が、第1の内側面と第2の内側面の一方に連結する。突起部は、第1の内側面と第2の内側面の他方に面するとともにそれから離れている接触面を有する。
【0028】
本明細書に開示されるように、ゴルフクラブの「ロフト」または「ロフト角」という用語は、クラブフェースとシャフトの間に形成される角度を示しており、その角度は任意の適切なロフトおよびライ器具によって測定される。
【0029】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等は、類似要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続した順序または古い順を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される実施形態が例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の順序で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。さらに、用語「含む」および「有する」ならびにこれらの任意の活用形は、要素のリストを含むプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置が必ずしもそれらの要素に限定されていないが、明示的に列挙されていないか、またはかかるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、もしくは装置に固有ではない他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を網羅することが意図される。
【0030】
もしあれば、本明細書および特許請求の範囲における用語「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「の上」、「の下」等は、説明目的で使用され、必ずしも永久的な相対位置を記述するためのものではない。そのように使用された用語は、本明細書に記載される製造装置、製造方法、および/または製造物品の実施形態が、例えば、例示されているかまたは別様に本明細書に記載されているもの以外の配向で操作可能であるように、適切な状況において置き換え可能であると理解すべきである。
【0031】
用語「連結する(couple、couples)」、「連結された」、「連結している」等は、広く理解されるべきであり、2つまたはそれ以上の要素を機械的に、または別の方法で接続することを意味する。(機械的なまたは別の方法での)連結は、任意の長さの時間、例えば、永久的、または半永久的、またはほんの一瞬であってもよい。
【0032】
他の特徴および態様は、以下の詳細な説明および添付図面を検討すれば明らかになろう。本開示のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載の、または図面に示される構成要素の細部もしくは構成および配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態をサポートすることができ、かつ様々な方法で実施または実行することができる。特定の実施形態の記述は、本開示が、本開示の趣旨および範囲に含まれるすべての変更形態、均等な形態、および代替形態を含むことを制限するように意図するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される表現法および専門用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なすべきではないことを理解されたい。
【0033】
論議および理解を容易にするために、また単に説明の目的で、以下の詳細な記述では、ゴルフクラブヘッド10をアイアンとして説明する。本明細書で開示されるように、ゴルフボールとのインパクト中に、ゴルフクラブのフェースプレートの弾性変形を可能にし、またゴルフクラブのフェースプレートの不可逆的な塑性変形の危険を低減するように弾性変形に制限を加える遅延サポートの1つまたは複数の実施形態を説明するために、アイアンが提供されることを理解されたい。遅延サポートの開示される実施形態は、フェースプレートが、ゴルフボールのインパクト中に変形し、かつフェースプレートの弾性変形の危険がある、任意の望ましいアイアン、ウッド、ハイブリッド、または他のゴルフクラブで使用することができる。例えば、クラブヘッド10は、これだけに限らないが、ドライバー、フェアウェイ・ウッド、ハイブリッド、1番アイアン、2番アイアン、3番アイアン、4番アイアン、5番アイアン、6番アイアン、7番アイアン、8番アイアン、9番アイアン、ピッチングウェッジ、ギャップウェッジ、ユーティリティウェッジ、サンドウェッジ、ロブウェッジ、および/またはパターを含むことができる。加えて、ゴルフクラブヘッド10は、約3度から約65度(3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、30、30.5、31、31.5、32、32.5、33、33.5、34、34.5、35、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.5、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、44.5、45、45.5、46、46.5、47、47.5、48、48.5、49、49.5、50、50.5、51、51.5、52、52.5、53、53.5、54、54.5、55、55.5、56、56.5、57、57.5、58、58.5、59、59.5、60、60.5、61.61.5、62、62.5、63、63.5、64、64.5、および/または65度に限らないが、これらを含む)の範囲とすることのできるロフトを有することができる。
【0034】
さらに詳細な説明は、「遅延サポート」の1つまたは複数の実施形態を参照する。遅延サポートは、ゴルフボールとのインパクト中に、フェースプレートをサポートする、または補強する1つまたは複数の構造的な構成要素を表す。しかし、塑性変形を受けないように、サポートが、変形または撓みを低減する、制限する、最小化する、または止める前に、フェースプレートの変形または撓みの望ましい量を可能にするために、サポートはインパクト中に遅延される。ある量の変形または撓みを可能にすることにより、フェースプレートは、有利なばね状の効果を生成する。
【0035】
I)ゴルフクラブヘッド
次に図を参照すると、
図1~
図4は、本明細書で開示される遅延サポートの1つまたは複数の実施形態を組み込むゴルフクラブヘッド10の実施形態を示している。ゴルフクラブヘッド10は、ヒールまたはヒール端部22の反対側にトウまたはトウ端部18を有する本体14を含む。本体14はまた、ソールまたは底部30の反対側に、上部または上部線またはクラウン26を含む。本体14は、打撃面36(
図1~
図2および
図4で示される)を画定し、かつ後端部または裏面または後部または裏側38(
図3~
図4で示される)とは反対側にあるフェースプレートまたは打撃プレートまたはクラブフェース34(
図1~
図2および
図4で示される)を担持する。複数の溝40(
図1、
図2および
図4で示される)が、フェースプレート34上に配置される。ゴルフクラブヘッド10はまた、ホーゼル44の中心を通って延びるホーゼル軸48(
図2で示す)を有するホーゼル44を含む。ホーゼル44は、グリップ(図示せず)を担持するゴルフクラブ・シャフト(図示せず)を受け入れるように構成される。
【0036】
フェースプレート34は、フェースプレート34の打撃面36と第1の内側面72との間で測定された厚さをさらに含む。いくつかの実施形態では、フェースプレート34は、一様な厚さを有することができる。一様な厚さは、0.025から0.150インチの範囲内とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、厚さは、0.025~0.050、0.030~0.070、0.040~0.090、0.040~0.110、0.050~0.125、0.050~0.150、0.60~0.150、または0.65~0.150インチ内とすることができる。
【0037】
他の実施形態では、フェースプレート34は、可変フェース厚さ「VFT(variable face thickness)」(図示せず)を含むことができる。VFTを含むフェースプレート34は、フェースプレート34が、最高の応力を受ける領域では、より大きな厚さを備え、より低い応力を受ける領域では、より低い厚さを備えることができる。例えば、多くの実施形態において、フェースプレート34の周辺は受ける応力がより低い可能性があり、高い応力を受けるためにより大きな厚さを有することのできるフェースプレート34の中心よりも、少ない厚さを備えることができる。いくつかの実施形態では、VFTは、0.10インチ未満の最小厚さと、0.25インチ未満の最大厚さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、最小厚さは、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、または0.03インチ未満とすることができ、また最大厚さは、0.25、0.24、0.23、0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、または0.05インチ未満とすることができる。フェースプレート34のVFT領域の厚さは、最小厚さと最大厚さとの間で変化することができる。
【0038】
フェースプレート34は、チタン、鋼、アルミニウム、タングステン、ベリリウムニッケル、ベリリウム銅、チタン合金、合金鋼、複合材料、セラミックス、またはそれらの任意の組合せなど、任意の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、フェースプレート34は、17-4鋼、455鋼、475鋼、8620鋼、1025鋼、Ti6-4、SP700、C300鋼、C350鋼、Ni-Co-Cr合金鋼、565鋼、または任意の他の適切な材料などの材料を含むことができる。さらにいくつかの実施形態では、前述の材料のいずれも、望ましい材料特性を変える、または達成するために、熱処理工程を受けることができる。
【0039】
図9を参照すると、クラブヘッド10のソール30は、フェースプレート34付近から後端部38の方向に延びる一様なソール厚さ35を含むことができる。示された実施形態では、ソール30の内側面26は、ソール30の外側面の3次元的輪郭に従っており、その厚さは、フェースプレート34付近から後端部38の方向に、かつトウ端部18付近からヒール端部22へと実質的に一定のままである。いくつかの実施形態では、ソール厚さ35は、0.015~0.085インチの範囲内とすることができる。他の実施形態では、ソール30は、0.020~0.075、0.025~0.070、0.030~0.065、または0.040~0.060の範囲に含まれる一様な厚さを有することができる。他の実施形態では、ソール30は、0.085インチ未満、0.080インチ未満、0.075インチ未満、0.070インチ未満、0.065インチ未満、0.060インチ未満、0.055インチ未満、0.050インチ未満、0.045インチ未満、または0.040インチ未満の一様な厚さを有することができる。他の実施形態では、ソール30は、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、または0.085インチの一様な厚さを有することができる。
【0040】
他の実施形態では、クラブヘッド10のソール30は、異なる厚さを有する複数の層(図示せず)を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ソール30は、第1の実質的に一定の厚さを有する、フェースプレート34に隣接する第1の層、および第1の層に隣接する第2の層を含む遷移領域を備えることができ、第2の層は、第1の実質的に一定な厚さ未満の第2の実質的に一定な厚さを備える。いくつかの実施形態では、遷移領域は、第2の層に隣接する第3の層をさらに備えることができ、ここで、第3の層は、第1および第2の実質的に一定な厚さ未満の第3の実質的に一定な厚さを備える。他の実施形態では、遷移領域は、米国特許出願第14/920,480号で開示された段階状のソールと同様の任意の数の層を備えることができる。
【0041】
次に
図2および
図4を参照すると、ゴルフクラブヘッド10は、x軸56、y軸60、およびz軸64を含む座標系の原点を画定する重心またはCG52を含む。x軸56(
図4で示す)は、トウ端部18からヒール端部22へとクラブヘッド10の重心52を通って延びる。y軸60(
図2で示す)は、上部26からソール30へとクラブヘッド10の重心52を通って延びる。z軸64(
図4で示す)は、フェースプレート34から裏面38へとクラブヘッド10の重心52を通って延びる。本明細書の新考案の記述をさらにガイドするために、x軸56およびz軸64は、
図4におけるアナログ時計上の数と一致するように構成される。z軸64は、12時(フェースプレート34を通る「12」)と6時(裏面38を通る「6」)との間で延び、またx軸56は、3時(トウ端部18を通る「3」)と9時(ヒール端部22を通る「9」)との間で延びる。
【0042】
次に
図5を参照すると、ゴルフクラブヘッド10のフェースプレート34、裏面38、およびソール30が、部分的に空洞部68を画定する。より具体的には、フェースプレート34の裏面または第1の内側面72、ソール30の内側面または上側面、およびクラブヘッド10の裏面38の前面または前側または内側面は、空洞部68を部分的に画定する。空洞部68をよりよく説明するために、
図5は、遅延サポートまたはインサートを除いた状態で空洞部68を示していることを理解されたい。
【0043】
インパクト中に、フェースプレート34は、フェースプレート34から裏面38に向けたおおよその移動方向84(
図5で示す)に変形または撓む。ゴルフボール速度およびゴルフボール飛距離を増加させるばね状効果を達成するために、方向84への何らかの撓みは望ましいものであるが、過度の撓みは、フェースプレート34の塑性変形を生ずるおそれがある。塑性変形が生じたとき、フェースプレート34は、撓みが減少し(または撓まない)、それにより、意図したばね状効果が得られず、最適なゴルフボール速度およびゴルフボール飛距離に満たない結果となる。撓みも制限しながら、フェースプレート34の何らかの撓み(または弾性変形)を提供して、塑性変形の危険を低減する(または回避する)ために、ゴルフクラブヘッド10は、遅延サポートまたはインサート100を含む。
【0044】
II)インサート
図6~
図8を参照すると、インサート100の実施形態が示されている。この実施形態では、インサート100は、空洞部68により受け入れられるように、またはその他の形で配置されるように構成されたカスタム・チューニング・ポート(「CTP(custom tuning port)」)ウェイト100の形態のものである。ウェイト100は、任意の適切な、または望ましいインサートとすることができ、またこれだけに限らないが、鋼、タングステン、アルミニウム、チタン、複合材料、他の金属、金属合金、ポリマー、プラスチック、および/またはそれらの任意の組合せを含む1つまたは複数の材料から作ることができる。様々な実施形態では、ウェイト100は、ゴルフクラブヘッド10と同じ材料から作ることができることも、または異なる材料から作ることもできる。いくつかの実施形態では、ウェイト100は、ゴルフクラブヘッド10の製作後に、空洞部68の中に挿入することができる。他の実施形態では、ウェイト100は、ゴルフクラブヘッド10の製作中に(例えば、鋳造、鍛造中になど)空洞部68に形成することができ、また特に、ゴルフクラブヘッド10の残りの部分と1つの部品として一体に形成することができる。
【0045】
インサート100は、空洞部68の内側面またはベース面76と接触するように構成された底面または第1の端部128と、底面128とは反対側にある上面または第2の端部132と、インサート100が空洞部68内に配置されたとき、フェースプレート34の内側面72に面するように構成された前部分とを含む。前部分は、第1の面または第1のインサート面104と、第2の面または第2のインサート面108(
図6および
図8で示す)とをさらに含む。第1の面104は、インパクト中にフェースプレート34の内側面72に当接するように構成され、かつインパクト中に、フェースプレート34の内側面72とは離間またはオフセットされるように構成された第2のインサート面108に隣接し、第2のインサート面108からオフセットされて配置される。示された実施形態では、弓状の境界112が、第1の面104と第2の面108との間の遷移を画定する。示された実施形態では、第1の面104は、インサート100のヒール端部118に隣接する第1のアーム116を含み、またインサート100のトウ端部116に隣接する第2のアーム120を含み、その両方が、底端部128付近から上端部132付近へと少なくとも部分的に延びることができる。第1の面104は、ヒール端部118からトウ端部116へと延びる、インサート100の底端部128に隣接するクロス部材124をさらに含む。第1のアーム116および第2のアーム120は、底端部128付近でクロス部材124の中へと遷移して、全体的に「U」字または「馬蹄」形状を画定することができる。さらにアーム116、120、およびクロス部材124(すなわち、第1の面104)は、共通平面126(
図6で示される)内に存在することができる。他の実施形態では、第1および第2のインサート面は、インサート100の前部分において、任意の形状を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の面104は、アーム116、120、および/またはクロス部材124の1つまたは複数のものを欠くことができる。さらなる例の場合、いくつかの実施形態では、第1の面104および/または第2の面108は、三角形、円形、長方形、多角形、または任意の他の適切な形状を形成することができる。
【0046】
図6を再度参照すると、示された実施形態においては、第1の面104は、インサート100の前部分の30%を含む。他の実施形態では、第1の面104は、インサート100の前部分の5%~50%の範囲内を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の面104は、インサート100の前部分の5%から15%、10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、または40%から50%の間で接触することができる。さらに示された実施形態では、アーム116、120は、インサート100の合計の、または最大幅の20%を含む幅(ヒール端部118からトウ端部116まで)を有する。他の実施形態では、アーム116、120は、インサート100の合計または最大幅の5%から40%の範囲内の幅を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アーム116、120は、インサート100の合計または最大幅の5%から15%、10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、または30%から40%の範囲内の幅を備えることができる。さらになお、示された実施形態では、クロス部材124は、インサート100の合計または最大高さの20%を含む高さ(底端部128から第1の端部132まで)を有する。他の実施形態では、クロス部材124は、インサート100の合計または最大高さの5%から50%の範囲内の高さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、クロス部材124は、5%から15%、10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、または40%から50%の範囲内の高さを有することができる。
【0047】
多くの実施形態では、1つまたは複数のアーム116、120を備えるインサート100は、アーム116、120が、ゴルフボールとのインパクト時に、空洞部内におけるインサート100の位置を維持するのを助けるので(例えば、アーム116、120は、ゴルフボールとのインパクト時の力により、インサートが空洞部内で前方にシフトするのを阻止することができる)、反復して使用された後、空洞部の裏側からインサート100が緩むのを阻止できるという利点がある。
【0048】
次に
図8を参照すると、第2の面108は、第1の面104からオフセットされた傾斜面またはテーパ付き面とすることができる。特に第2の面108は、底面128付近から上面132に向けて延びる。示された実施形態では、第2の面108に対して垂直な方向、または平面126に対して垂直な方向における第1の面104(または代替的に、平面126)と第2の面108との間の距離は、底面128から上面132へと増加する。例えば、第1の位置136において、第2の面108は、距離D1だけ第1の面104からオフセットされる。比較すると、第1の位置136よりも上面132に近い(または第1の位置136よりも底面128から遠い)第2の位置140において、第2の面108は、距離D2だけ第1の面104からオフセットされており、D2はD1よりも大きい。
【0049】
示された実施形態では、傾斜した、またはテーパが付けられた第2の面108は、第2の面108と平面126との間の角度により画定されるテーパ角を含むことができる。様々な実施形態では、テーパ角は、0°を超えることができる。例えば、テーパ角は、約0.01°から約20°、約0.10°から約15°、約0.10°から約10°、約0.10°から約5°、約0.10°から約2°、または約0.10°から約1.5°の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、テーパ角は、約10°以下、約7.5°以下、約5°以下、約3°以下、約2°以下、または約1°以下とすることができる。
【0050】
さらに平面126に対して垂直(または直角)な方向の第2の面108と平面126(
図6で示す)との間の距離は、y軸60(
図2で示す)に沿って、または上部26からソール30の方向に一定ではない、または変化する(例えば、増加または減少する)。別の言い方をすれば、第2の面108は、間隙144だけ平面126から離間され、また間隙144の幅は、第2の面108の一部に沿って、かつ/または平面126の一部に沿って変化する(例えば、増加または減少する)。したがって、平面126に対して垂直な、平面126と第2の面108との間の距離は、第2の面108の第2の端部152(
図9を参照のこと)よりも、第2の面108の第1の端部148(
図9を参照のこと)において小さい(ここで、第2の面108の第1の端部148は、第2の端部152よりも底面128(
図6で示す)に近い)。
【0051】
第2の面108と平面126との間の距離(すなわち、第1の面104と第2の面108との間のオフセット)は、0.001インチから0.125インチの範囲とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2の面108と平面126との間の距離は、0.005インチから0.125インチ、0.01インチから0.125インチ、0.02インチから0.125インチ、0.03インチから0.125インチ、0.04インチから0.125インチ、0.05インチから0.125インチ、0.06インチから0.125インチ、0.001インチから0.030インチ、0.001インチから0.040インチ、0.001インチから0.050インチ、0.001インチから0.060インチ、0.001インチから0.070インチ、0.001インチから0.080インチ、0.001インチから0.090インチ、または0.001インチから0.10インチの範囲とすることができる。さらに第2の面108と平面126との間の最大距離は、0.005インチを超える、0.020インチを超える、0.030インチを超える、0.040インチを超える、0.050インチを超える、0.060インチを超える、0.075インチを超える、0.100インチを超える、または0.125インチを超えることができる。さらに第2の面108と平面126との間の最小距離は、0.100インチ未満、0.075インチ未満、0.060インチ未満、0.050インチ未満、0.040インチ未満、0.030インチ未満、0.020インチ未満、0.010インチ未満、0.005インチ未満、または0.001インチ未満とすることができる。
【0052】
インサート100の他の実施形態では、第2の面108は、平面126から一様な距離をオフセットすることができる。したがって、平面126に対して垂直(すなわち、直角)な方向への第2の面108と平面126との間の距離は、第2の面108の一部に沿って一定である(例えば、増加も減少もしない)。したがって、平面126に対して垂直な平面126と第2の面108との間の距離は、インサート100の底端部128およびインサート100の上端部132付近で同じである。
【0053】
さらに第2の面108は、任意の輪郭に従って変化する平面126から可変の非一様な距離をオフセットすることができる。したがって、平面126に対して垂直(すなわち、直角)な方向における第2の面108と平面126との間の距離は、第2の面108に沿って様々な位置で変化することができる。例えば、平面126に対して垂直(すなわち、直角)な方向における第2の面108と平面126との間の距離は、y軸60またはx軸3に沿って増加し、減少し、次いで、再度増加することができる。
【0054】
次に
図10を参照すると、クラブヘッド10の別の実施形態は、インサート200の別の実施形態を含む。この実施形態では、インサート200は、フェースプレート34の第1の内側面72から裏面端部38の第2の内側面80に向けて空洞部68の中へと延びるように構成された突起部または突出し部200として示されている。突出し部200は、任意の適切な長さ、直径、または関連する寸法のものとすることができる。例えば、突出し部200は、最高で空洞部68の大部分となる部分を満たす寸法とすることができる。さらに突出し部200は、これだけに限らないが、鋼、タングステン、アルミニウム、チタン、複合材料、他の金属、金属合金、ポリマー、プラスチック、および/またはそれらの任意の組合せを含む1つまたは複数の材料から製作することができる。様々な実施形態では、突出し部200は、ゴルフクラブヘッド10と同じ材料から作ることができるが、それとは異なる材料から作ることもできる。さらに様々な実施形態では、突出し部200は、フェースプレート34に結合することができる、またはその他の形で取り付けることができる、あるいは突出し部200は、ゴルフクラブヘッド10の製作中に(例えば、鋳造、鍛造などの間に)、フェースプレート34と1つの部品として一体に形成することができる。他の実施形態では、突出し部200はまた、フェースプレート34の第1の内側面72上の(例えば、x軸56、y軸60、および/またはz軸64に沿った)任意の望ましい位置に配置することもできる。1つまたは複数の実施形態では、複数の突出し部200を、フェースプレート34の第1の内側面72上の様々な位置に配置することができる。
【0055】
図10の図では、突出し部200は、間隙208により内側面80から離間され、かつその反対側に位置する接触面204を含む。間隙208は、約0.005インチから約0.125インチ、約0.005インチから約0.075インチ、または約0.020インチから約0.040インチの範囲とすることができる。
【0056】
クラブヘッド10の他の実施形態では、突起部または突出し部200は、裏面端部38の第2の内側面80から、フェースプレート34の第1の内側面72に向けて空洞部68の中に延びるように構成される。突出し部200は、任意の適切な長さ、直径、または関連する寸法のものとすることができる。例えば、突出し部200は、最高で空洞部68の大部分となる部分を満たす寸法とすることができる。さらに様々な実施形態では、突出し部200は後端部38に結合される、またはその他の形で取り付けることができる、あるいは突出し部200は、ゴルフクラブヘッド10の製作中に(例えば、鋳造、鍛造中などに)、裏面端部38と1つの部品として一体に形成することができる。他の実施形態では、突出し部200はまた、裏面端部38の第2の内側面80上の(例えば、x軸56、y軸60、および/またはz軸64に沿った)任意の望ましい位置に配置することもできる。1つまたは複数の実施形態では、複数の突出し部200を、裏面端部38の第2の内側面80上の様々な位置に配置することができる。
【0057】
図11Aおよび
図11Bは、クラブヘッド100の空洞部68により受け入れられる、またはその他の形で配置されるように構成されたインサート300の別の実施形態を示している(
図11)。インサート300は、インサート100と同様のものであり、同様の番号が同様の機能を参照する。インサート300は、インサート300の前面310が、異なる構成を有する第1のインサート面304および第2のインサート面308を備える点でインサート100とは異なる。
【0058】
示された実施形態では、第1のインサート面304は、底面328付近から上面332付近へとインサートのトウ端部314に沿って延びる第1のアーム316と、底面328付近から上面332付近へとインサートのヒール端部318に沿って延びる第2のアーム320とを備える。インサート300の第1の面304は、インサート300の底面328に沿って、または隣接して延びるクロス部材を欠いている。
【0059】
示された実施形態では、インサート300の第1の面304は、フェースプレート34の内側面72と接触するように構成された1つまたは複数のリブ340をさらに備える。示された実施形態では、インサート300の第1の面304の第1のアーム316および第2のアーム320はそれぞれ、インサート300の上面332付近から底面328付近の方向に延びるリブ340を備える。他の実施形態では、インサート300の第1の面304、第1の面304の第1のアーム316、および/または第1の面304の第2のアーム320は、任意の方向に延びる任意の数のリブを備えることができる。多くの実施形態において、1つまたは複数のリブ340は、フェースプレート34の内側面72と接触するように構成される。
【0060】
他の実施形態では、第1のインサート面304は、1つまたは複数のリブ340の代わりに、またはそれに加えて1つまたは複数の突起部346を備えることができる。これらの実施形態では、1つまたは複数の突起部346は、フェースプレート34の内側面72と接触するように構成することができる。例えば、
図11Cおよび
図11Dを参照すると、第1のインサート面304は、1つまたは複数の球形突起部346をヒール端部318付近に、かつ1つまたは複数の球形突起部346をトウ端部314付近に備えることができる。これらの実施形態においては、突起部346は、円形、三角形、楕円形、正方形、長方形、台形、または任意の他の多角形、もしくは少なくとも1つの湾曲した表面を有する形状など、任意の断面形状を有することができる。さらにいくつかの実施形態では、フェースプレート34の内側面72と突起部346の接触面積は、フェースプレート34の内側面72とのリブの接触面積未満とすることができる。
【0061】
示された実施形態では、インサート308の第2の面308は、インサート100のテーパの付いた角度を有する直線的な輪郭ではなく、湾曲した輪郭を備える。インサート300の第2の面308は、インサート300の底面328付近からインサートの上面332付近へと延びる方向に、かつインサートのヒール端部318付近からインサート320のトウ端部314付近へと延びる方向に湾曲している。インサートの第2の面308の湾曲は、インサート300の第1の面304に対して凹形をしている。他の実施形態では、インサートの第2の面は、インサートの第1の面に対する任意の輪郭に従って変化することができる。
【0062】
III)ゴルフクラブヘッドに対するインサート
次に
図9を参照すると、フェースプレート34に関するインサート100が示されている。第1の面104および第2の面108は、フェースプレート34の内側面72に面するインサート100の前部分に位置する。第1の面104は、内側面72と接触しているが、第2の面108は、内側面72からオフセットされている。他の実施形態では、第1の面104の一部が、内側面72と接触することができるが、第2の面108は、内側面72からオフセットされる、または離間される。
【0063】
図9および
図9Aの示された実施形態では、インサート100の第1の面104は、空洞部内で、フェースプレート34の内側面72の25%の部分と接触する。他の実施形態では、インサートの第1の面104は、空洞部内で、フェースプレート34の内側面72の0.5%~30%の範囲内の部分と接触することができる。例えば、いくつかの実施形態では、インサート100の第1の面104は、空洞部内で、フェースプレート34の内側面72の1%から5%の間、0.5%から10%の間、1%から15%の間、1%から20%の間、または1%から25%の間の部分と接触することができる。
図12Aおよび
図12Bの示された実施形態では、インサート100の第1の面204上の1つまたは複数のリブ240は、空洞部内で、フェースプレート34の内側面72の2%の部分と接触する。他の実施形態では、インサートの第1の面204上の1つまたは複数のリブ240、または突起部346は、空洞部内で、フェースプレート34の内側面72の1%~30%の範囲内の部分と接触することができる。例えば、いくつかの実施形態では、インサート100の第1の面204上の1つまたは複数のリブ240または突起部346は、空洞部内で、フェースプレート34の内側面72の1%から5%の間、1%から10%の間、1%から15%の間、1%から20%の間、または1%から25%の間の部分と接触することができる。示された実施形態では、傾斜した、またはテーパが付けられた第2の面108は、第2の面108とフェースプレート34の内側面72との間の角度により画定されるテーパ角を含むことができる。様々な実施形態では、テーパ角は0°を超えることができる。例えば、テーパ角は、約0.01°から約20°、約0.10°から約15°、約0.10°から約10°、約0.10°から約5°、約0.10°から約2°、または約0.10°から約1.5°の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、テーパ角は、約10°以下、約7.5°以下、約5°以下、約3°以下、約2°以下、または約1°以下とすることができる。示された実施形態では、傾斜した、またはテーパが付けられた第2の面108は、傾斜率またはテーパ率または傾斜度を含むことができる。
図9~
図9Aで示されるように、第2の面108の傾斜率は負である(左から右に見たとき減少する)。したがって、様々な実施形態では、傾斜率は、約-0.005から約-0.500、約-0.010から約-0.400、約-0.015から約-0.300、約-0.015から約-0.200、または約-0.020から約-0.200の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の面108の傾斜率は、約-0.400以上(例えば、-0.390、-0.385など)、約-0.300以上(例えば、-0.290、-0.285など)、または約-0.200以上(例えば、-0.190、-0.185など)とすることができる。他の実施形態では、第2の面108の傾斜率は、正とすることができる(
図5で提供される図など、左から右に見たとき増加する)。したがって、様々な実施形態では、傾斜率は、約0.005から約0.500、約0.010から約0.400、約0.015から約0.300、約0.015から約0.200、または約0.020から約0.200の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の面108の傾斜率は、約0.400以下(例えば、0.390、0.385など)、約0.300以下(例えば、0.290、0.285など)、または約0.200以下(例えば、0.190、0.185など)とすることができる。
【0064】
示された実施形態では、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、y軸60に沿って、または上部26からソール30への方向において、一定ではない、または変化する(例えば、増加または減少する)。別の言い方をすれば、第2の面108は、間隙144だけ内側面72から離間され、また間隙144の幅は、第2の面108の一部に沿って、かつ/または内側面72の一部に沿って変化して(例えば、増加または減少する)、傾斜した第2の面108を画定する。したがって、内側面72に対して垂直な、内側面72と第2の面108との間の距離は、第2の面108の第2の端部152よりも第2の面108の第1の端部148において小さい(第2の面108の第1の端部148は、第2の端部152よりもソール30に近い)。
【0065】
第2の面108と、フェースプレート34の内側面72との間の距離(すなわち、間隙144の幅)は、約0.001インチから約0.125インチの範囲とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2の面108と、フェースプレート34の内側面72との間の距離は、0.005インチから0.125インチ、0.01インチから0.125インチ、0.02インチから0.125インチ、0.03インチから0.125インチ、0.04インチから0.125インチ、0.05インチから0.125インチ、0.06インチから0.125インチ、0.001インチから0.030インチ、0.001インチから0.040インチ、0.001インチから0.050インチ、0.001インチから0.060インチ、0.001インチから0.070インチ、0.001インチから0.080インチ、0.001インチから0.090インチ、または0.001インチから0.10インチの範囲とすることができる。さらに第2の面108と、フェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、0.005インチを超える、0.020インチを超える、0.030インチを超える、0.040インチを超える、0.050インチを超える、0.060インチを超える、0.075インチを超える、0.100インチを超える、または0.125インチを超えることができる。さらに第2の面108と、フェースプレート34の内側面72との間の最小距離は、0.100インチ未満、0.075インチ未満、0.060インチ未満、0.050インチ未満、0.040インチ未満、0.030インチ未満、0.020インチ未満、0.010インチ未満、0.005インチ未満、または0.001インチ未満とすることができる。
図9および
図9Aは、第2の面108と、フェースプレート34の内側面72との間で異なる最大距離を有するインサート100の実施形態を示している。
図9Aで示された例示的なインサート100は、
図9Aで示された例示なインサートよりも、第2の面108とフェースプレート34の内側面72との間が大きい最大距離を含む。
【0066】
図9、
図9A、
図12A、および
図12Bで示された実施形態では、内側面72に対して垂直な、第2の面108とフェースプレート34の内側面72との間の距離は、ソール30から離れるにつれ(またはクラウン26に近づくにつれ)、フェースプレート34の中心に向けて第2の面108に沿ってさらに増加する。これらの実施形態では、第2の面108とフェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、ゴルフボールとのインパクト時に最も曲げを受けるフェースの中心付近に位置する。フェースの中心付近に最大距離を配置することは、フェースの中心付近のフェースの撓みを増加させることができる、かつ/またはフェースの中心付近の曲げの制限をなくすことができる。したがって、フェースの中心で維持される、または増加するフェースの曲げは、インパクト時にゴルフボールへと伝達され、それにより、フェースの裏面およびフェースの中心付近に隣接して位置するインサートを有するクラブヘッドと比較して、ボール速度および移動距離を増加させることができる。
【0067】
他の実施形態では、インサート100は、空洞68内に、または部分的にその外側に、y軸60に沿って再配置することができ、第1の端部148は、第2の端部152よりも、ソール30から遠くに離れて位置することができる。したがって、内側面72に対して垂直な、第2の面108とフェースプレート34の内側面72との間の距離は、ソール30からの距離が増加すると(またはクラウン26に近くなると)、第2の面108に沿って減少する。
【0068】
クラブヘッド10の他の実施形態では、第2の面108は、フェースプレート34の内側面72から一様な距離だけオフセットすることができる。したがって、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、第2の面108の一部に沿って一定である(例えば、増加も減少もしない)。したがって、内側面72に対して垂直な、内側面72と第2の面108との間の距離は、第2の面108の第1の端部148および第2の面108の第2の端部152で同じである。
【0069】
クラブヘッド10の他の実施形態では、第2の面108は、フェースプレート34の内側面72から、可変の非一様な距離をオフセットすることができる。したがって、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、x軸56、y軸60、および/またはz軸64に沿った様々な位置で変化することができる。例えば、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、x軸56、y軸60、および/またはz軸64に沿って増加する、減少する、または同じままであり得る。いくつかの実施形態では、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、y軸60に沿って増加する、減少する、次いで再度増加することができる。他の実施形態では、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、インサート100の底端部128付近で最小であり、インサート100の上部132付近で最大になることができる。他の実施形態では、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、インサート100のヒール端部118およびトウ端部114の付近で最小であり、かつインサート100の中心付近で最大になり得る。他の実施形態では、内側面72に対して垂直(または直角)な方向における第2の面108と内側面72との間の距離は、インサートの底端部128、ヒール端部118、およびトウ端部114付近で最小であり、またインサート100の中心および上端部132付近で最大になり得る。
【0070】
図6~
図9で示されたインサート100の実施形態は、インサート上の第1の面104、および第2の面108を示しているが、他の実施形態では、第1の面104、および/または第2の面108は、クラブヘッド10の他の構成要素上に位置することもできる。
【0071】
一実施形態では、第1の面104および/または第2の面108は、フェースプレート34の内側面72上に位置することができる。この実施形態では、第1の面104および/または第2の面108は、インサート100に面することができる。インサート100は、平面126内にある内側面72に面しているが、そこから離間されている面を有することができる(例えば、インサート100の対向する面は、
図9で示される内側面72と実質的に同じ輪郭を有することができる)。最大でその全体まで含まれる第1の面104の一部は、インサート100の対向する面と接触することができるが、第2の面108は、インサート100の対向する面からオフセットされ得る。第1の面104および/または第2の面108は、インサート100ではなく内側面72上に位置することができるが、上記で述べたように、実質的に同様の幾何形状、傾斜、スペーシング、角度、および/または距離を備えることができる。
【0072】
別の実施形態では、第1の面104および/または第2の面108は、裏面端部38の内側面80に面するインサート100の側面に位置することができる。したがって、インサート100は、フェースプレート34の内側面72と接触状態にあるが、前述のように、間隙144は、この場合、内側面80と第2の面108との間にある。第1の面104の一部は、最大でその全体まで含まれるが、内側面80と接触状態にあり、一方、第2の面108は、内側面80からオフセットされ得る。第1の面104および/または第2の面108は、上記で述べたように、実質的に同様の幾何形状、傾斜、スペーシング、角度、および/または距離を備えることができる。
【0073】
別の実施形態では、第1の面104および/または第2の面108は、裏面端部38の内側面80上に位置することができる。この実施形態では、第1の面104および/または第2の面108は、インサート100に面することができる。インサート100は、フェースプレート34の内側面72と接触状態にあるが、前述のように、間隙144は、インサート100と、内側面80上の第2の面108との間にある。第1の面104の一部は、最大でその全体まで含まれるが、インサート100の対向する面と接触することができ、一方、第2の面108は、インサート100の対向する面からオフセットされ得る。第1の面104および/または第2の面108は、インサート100ではなく、内側面80上に位置するが、上記で述べたように、実質的に同様の幾何形状、傾斜、スペーシング、角度、および/または距離を備えることができる。
【0074】
IV)遅延サポート・インサート
ゴルフボールとのインパクト中に、インサート100、300を有するクラブヘッド10のフェースプレート34は、変形または撓みを受ける。フェースプレート34は、概して、後端部38に向けた移動方向、すなわち、方向84に変形する、または撓む。遅延サポートとして働くインサートは、フェースプレート34が、間隙144の一部、または間隙144の全体がつぶれるまで変形または撓み続けるように構成される。例えば、フェースプレート34は、フェースプレート34の内側面72が、インサート100、300に衝突する(または接触する)まで、より具体的には、インサート100、300の第2の面108、208に衝突するまで、変形または撓むことができる。他の実施形態では、間隙144の一部は、部分的に、または完全につぶれ、したがって、第2の面108、208の一部が、フェースプレート34の内側面に接触する、またはサポートする。さらに他の実施形態では、間隙144の第1の部分は、部分的につぶれ得るが、間隙144の第2の部分は、完全につぶれることができる。例えば、間隙144またはその一部は、部分的につぶれることができる(例えば、x軸56、y軸60、および/またはz軸64により画定される間隙144の第1の位置で)。加えて、または代替的に、間隙144またはその一部は、完全につぶれることができる(例えば、x軸56、y軸60、および/またはz軸64により画定される間隙144の第2の位置で)。間隙がつぶれる量および/または位置は、これだけに限らないが、フェースプレート34上のゴルフボールのインパクト位置(例えば、トウ18方向、ヒール22方向、クラウン26方向、ソール30方向、「スイートスポット」で、など)、ゴルファーのスイング速度などを含む様々な要因に依存し得る。
【0075】
間隙144がつぶれた後、インサート100、300は、部分的に変形して、フェースプレート34の変形または撓みをさらに増加する。インサート100がもはや変形できなくなった後、フェースプレート34の移動が止まる。したがって、インサート100、300は、フェースプレート34がさらなる変形または撓みを生じないようにサポートして、不可逆的な塑性変形に達する危険を低下させる。フェースプレート34およびインサート100は、次いで、それらのインパクト前の位置へと復元し(すなわち、間隙144が再形成される)、ゴルフボール速度の増加、およびゴルフボール移動距離の増加が得られる望ましいばね状効果を生成する。
【0076】
これらの実施形態では、第2の面108、208と、フェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、フェースプレート34の最大撓みよりも小さい。多くの実施形態では、第2の面108、208と、フェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、遅延サポート100、300を有するクラブヘッド10に対して、0.010と0.060インチの間、0.010と0.050インチの間、0.010と0.040インチの間、0.010と0.030インチの間、または0.010と0.020インチの間とすることができる。例えば、第2の面108、208とフェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、遅延サポート100、20を有するクラブヘッド10に対して、0.070インチ未満、0.060インチ未満、0.050インチ未満、0.040インチ未満、0.030インチ未満、または0.20インチ未満とすることができる。遅延サポート・インサート100、300を有するクラブヘッド10のフェースプレート34の撓みは、フェースプレート34の材料、フェースプレート34の厚さまたは厚さの特徴、インサート100、300の材料、および第2の面108、208とフェースプレート34の内側面72との間の距離により決定される。
【0077】
ゴルフボールとのインパクト中におけるインサート100、300を有するクラブヘッド10の動作をさらに説明するために、実施形態では、間隙144の最大の厚さを0.0125インチとすることができる。インパクト中に、フェースプレート34は、フェースプレート34の内側面72がインサート100、300に衝突する(または接触する)まで、より具体的には、インサート100の第2の面108に衝突して、間隙144をつぶすまで、0.0125インチ変形する、または撓む。インサート100、300は、次いで、さらに0.0125インチだけ部分的に変形して、フェースプレート34の変形または撓みをさらに増加させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、インサート100の第2の面108は、フェースプレート34がさらに変形しないようにサポートする前に、さらに0.0125インチだけ変形することができる。したがって、フェースプレート34の合計の変形または撓みは、約0.0250インチである。
【0078】
クラブヘッド10の他の実施形態では、突出し部を備えるインサート200は、ゴルフボールのインパクト時にフェースプレート34と接触したとき、変形を最小にするために、十分な剛性を有することができる。したがって、インサート200は、間隙208がつぶれた後、フェースプレート34にサポートを提供し、フェースプレート34のさらなる変形または撓みを最小化する。
【0079】
ゴルフボールとのインパクト中に、突出し部200を有するクラブヘッド10のフェースプレート34は、変形または撓みを受ける。フェースプレート34は、概して裏面端部38に向けた移動方向84へと変形し、または撓む。フェースプレート34は、間隙208がつぶれ、かつ突出し部200の接触面204が、空洞部の内側面80、またはフェースプレート34の内側面72に衝突する(またはその他の形で接触する)まで変形し、または撓み続ける。接触面204が、内側面80または内側面72に衝突した後、突出し部200は、さらなるフェースプレート34の変形または撓みを制限することにより、フェースプレート34の移動を制限する。突出し部200は、次いで、フェースプレート34がさらなる変形または撓みを生じないようにサポートして、不可逆的な塑性変形に達する危険を低減する。フェースプレート34は、次いで、そのインパクト前の位置へと復元し(すなわち、間隙208が再形成される)、ゴルフボール速度の増加、およびゴルフボール移動距離の増加が得られる望ましいばね状効果を生成する。
【0080】
V)非制限インサート
ゴルフボールとのインパクト中に、インサート100を有するクラブヘッド10のフェースプレート34は、変形または撓みを受ける。フェースプレート34は、概して後端部38に向いた移動方向に、すなわち、方向84に変形し、または撓む。インサート100、300は、インパクト時のフェースの撓みが制限されないように構成される。フェースプレート34は、間隙144を完全につぶすことなく、またはインサート100、300の第2の面108、208に接触することなく、最大の撓みに達するまで、撓み続けることになる。これらの実施形態では、第2の面108、208と、フェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、フェースプレート34の最大の撓みよりも大きい。
【0081】
多くの実施形態では、第2の面108、208と、フェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、非制限サポートを備えるインサート100、300を有するクラブヘッド10に対して、0.010と0.060インチの間、0.010と0.050インチの間、0.010と0.040インチの間、0.010と0.030インチの間、または0.010と0.020インチの間とすることができる。例えば、第2の面108、208と、フェースプレート34の内側面72との間の最大距離は、非制限サポートを備えるインサート100、300を有するクラブヘッド10に対して、0.070インチ未満、0.060インチ未満、0.050インチ未満、0.040インチ未満、0.030インチ未満、または0.20インチ未満とすることができる。
【0082】
フェースプレート34が最大の撓みに達した後、フェースプレート34は、インサート100、300の第2の面108、208に接触することなく、そのインパクト前の位置へと復元する。復元するフェースプレート34は、ゴルフボール速度の増加、およびゴルフボール移動距離の増加を生ずる望ましいばね状効果を生成する。さらにフェースプレート34はインサート100により制限されないので、衝突エネルギーはインサートにより何も吸収されず、したがって、フェースプレート34は、そのインパクト前の位置へと復元することができ、インパクトからのエネルギーの大きな割合をボールに与えて戻し、ボール速度および移動距離を増加させる。
【0083】
VI)インサートを備えるクラブヘッドの利点
本明細書で述べるインサート100、200、300を有するクラブヘッド10は、フェースに隣接して配置された(すなわち、間隙144、208、344を有しない)インサートを有するクラブヘッド10と比較して、インパクト時のフェースの撓みを増加させることができる。増加したフェースの撓みは、インパクト時において、ゴルフボールへのエネルギー伝達を増加させることができ、したがって、増加したボール速度、および移動距離が得られる。
【0084】
さらにインパクト時に、インサートの一部がフェースプレート34と接触する、本明細書で述べるインサート100、200、300を有するクラブヘッド10は、フェースプレートから離間された、またはそれと接触しないインサートを有するクラブヘッドと比較して振動を減衰させる。フェースプレートと接触するインサートの一部のため減衰された振動は、フェースに隣接して配置されたインサートを有するクラブヘッドと同様の音響特性(例えば、インパクト時に低い音程、深いサウンドなど)をクラブヘッドが維持できるようにする。対照的に、フェースプレートから離間された、またはそれと接触しないインサートを有するクラブヘッドは、ゴルフボールとのインパクト時に、望ましくない高い音程のサウンドを生ずる可能性がある。
【0085】
したがって、インサート100、200、300を有するクラブヘッド10は、ボール速度の増加と、ゴルフボールとのインパクト時におけるクラブヘッドの音響性能をバランスさせることができる。例えば、インサート100、200、300を有するクラブヘッド10は、他の構成を備えるインサートを有する現在のクラブヘッドと比較して、フェースの撓みとボール速度を同時に増加させるが、ゴルフボールとのインパクト時における音響特性を維持する、または向上させる。
【0086】
多くの実施形態では、インサート100、200、300を有するクラブヘッド10は、フェースに隣接して位置するインサートを有する同様のクラブヘッドと比較して、最高で時速2マイルのさらなるボール速度を生ずることができるが、フェースに隣接して位置するインサートを有するクラブヘッドのインパクト時の低周波数の、深い音程のサウンドを維持する。
【0087】
クラブヘッドの振動および音響は、ハンマ試験を用いて測定することができ、それにより、固有振動数モードを有するフェースプレートの領域にはハンマで衝撃が与えられ、センサが使用されて、ハンマによる衝撃に応じたクラブヘッドの振動周波数が測定される。ハンマ試験は、フェースプレートの内側面と少なくとも部分的に接触するインサートを欠いた同様のクラブヘッドと比較して、またはフェースプレートの内側面と完全に接触するインサートを有する同様のクラブヘッドと比較して、インサート100、200、300を有するクラブヘッド10の周波数、振動、および/または音響における相違を求めるために使用することができる。
【0088】
VII)製作する方法
遅延サポート100を有するクラブヘッド10を製作する方法が提供される。方法は、クラウン26、ソール30、フェースプレート34、ホーゼル44、および空洞部68を有する本体14を提供することを含む。次にインサート100を空洞部68内に配置することができ、また任意選択で、空洞部68の一部を画定する面72、76、80の1つまたは複数のものにさらに取り付けることができる(
図5を参照のこと)。
【0089】
遅延サポート200を有するクラブヘッド10を製作する方法は、クラウン26、ソール30、フェースプレート34、ホーゼル44、および空洞部68を有する本体14を提供することを含むことができる。突出し部200は、空洞部68の一部を画定する対向する内側面72、80の一方に結合することができる(
図10を参照のこと)、または空洞部68の一部を画定する対向する内側面72、80の一方と一体に形成することができる。
【0090】
本明細書で述べるクラブヘッド10を製作する方法は、単に例示的なものに過ぎず、本明細書で提示された実施形態に限定されるものではない。方法は、本明細書で特に示されていない、または述べられていない多くの様々な実施形態または例を使用することができる。いくつかの実施形態では、述べられた方法のプロセスは、任意の適切な順序で実施することができる。他の実施形態では、プロセスの1つまたは複数のものを、組み合わせる、分離する、またはスキップすることができる。
【0091】
VIII)例1
例示的なクラブヘッド10が本明細書で述べられる。例示的なクラブヘッド10は、17-4鋼を含むフェースプレート34を有し、最大フェースプレート厚さがフェースプレートの中心付近で0.105インチ、最小フェースプレート厚さはフェースプレートの周辺付近で0.095インチ、一様なソール厚さが0.055インチ、またインサート300は、インサート300の第2の面308とフェースプレート34の内側面72との間で0.060インチの最大距離を有し、空洞部内におけるインサート300の第2の面308とフェースプレート34の内側面の一部との接触面積パーセントが2.1%である。例示的なクラブヘッド10は、時速92マイルのスイング速度で試験したとき、対照(control)クラブヘッドと比較して約0.035インチのフェースの撓み、および約時速2マイル増加したボール速度が得られた。
【0092】
この例において、対照クラブヘッドは同様のクラブヘッドであり、17-4鋼を含むフェースプレートを有し、最小のフェースプレート厚さがフェースプレートの中心付近で0.068インチ、最大のフェースプレート厚さがフェースプレートの周辺付近で0.080インチ、一様なソール厚さが0.055インチ、またインサート300は、インサートの第2の面とフェースプレートの内側面との間で0.0インチの(例えば、インサートは、フェースプレートの直接に隣に位置し、間隙を欠いている)最大距離を有し、かつ空洞部内におけるインサート300の第2の面308とフェースプレート34の内側面の一部との接触面積パーセントが100%である。対照クラブヘッドは、時速92マイルのスイング速度で試験したとき、約0.025インチのフェースの撓みを受け、または本明細書で述べられた例示的なゴルフヘッドよりも時速2マイル遅いボール速度が得られた。したがって、例示的なクラブヘッド10は、対照クラブヘッドと比較して、ゴルフボールとのインパクト時に40%多くのフェースの撓みを受け、またさらに時速2マイルのボール速度が得られた。これらの実施形態では、例示的なクラブヘッドおよび対照クラブヘッドは、摂氏1050度で1.5時間熱処理され、その後に摂氏550度で4時間熱処理され、それにより、例示的なフェースプレートおよび対照フェースプレートの同様の材料特性が得られた。
【0093】
1つまたは複数の請求された要素の置き換えは、再構成を構成するものであり、修復は構成しない。さらに、利益、他の利点、および問題に対する解決法を、特定の実施形態に関して上記に説明した。しかし、利益、利点、問題に対する解決法、および任意の利益、利点、または解決法を生じさせ得るかまたはそれらをより明白にし得るいずれの要素(1つまたは複数)も、そのような利益、利点、解決法、または要素が請求項のいずれかまたはすべてにおいて明示的に述べられていない限り、そのような請求項の重要、必要、または不可欠な特徴または要素として解釈すべきではない。
【0094】
ゴルフのルールは時々変更され得るため(例えば、ゴルフの標準的組織および/または管理機関、例えば、全米ゴルフ協会(USGA)、全英ゴルフ協会(R&A)等によって、新たな規則が採用され得るか、または古い規則が削除または変更されてもよい)、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品に関連するゴルフ器具は、任意の特定の時期におけるゴルフのルールに適合する場合も、適合しない場合もある。したがって、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品に関連するゴルフ器具は、適合または非適合ゴルフ器具として宣伝され、市場に出され、かつ/または販売される場合がある。本明細書に記載の装置、方法、および製造物品はこの点で限定されない。
【0095】
上記実施例は、アイアン型ゴルフクラブとの関連で説明され得るが、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のゴルフクラブ、例えば、ドライバーウッド型ゴルフクラブ、フェアウェイウッド型ゴルフクラブ、ハイブリッド型ゴルフクラブ、アイアン型ゴルフクラブ、ウェッジ型ゴルフクラブ、またはパター型ゴルフクラブにも適用できる。あるいは、本明細書に記載の装置、方法、および製造物品は、他の種類のスポーツ器具、例えば、ホッケー用スティック、テニスラケット、釣竿、スキーポール等にも適用できる。
【0096】
さらに、本明細書に開示される実施形態および制限は、実施形態および/または制限が(1)請求項に明示的に特許請求されておらず、(2)均等論下で請求項の明白な要素および/または制限の潜在的な等価物である場合に、公有の原則下で公衆に供されない。本開示のさまざまな特徴および利点は以下の請求項に記載される。
項目1
ゴルフクラブヘッドであって、
本体であって、
打撃面、およびその反対側の内側面を有するフェースプレート、
後端部、ならびに
前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含み、前記フェースプレート、前記後端部、および前記ソールが、部分的に空洞部を画定する、本体と、
前記空洞部内に位置するインサートであって、前記フェースプレートの前記内側面に面するとともにそれから離れているインサート面を有する、インサートと、
を備えるゴルフクラブヘッド。
項目2
前記フェースプレートは、ゴルフボールとのインパクト中に、前記後端部の方向に変形するように構成され、さらに前記インサート面は、前記インパクト中に前記フェースプレートの移動を制限するように構成される、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
項目3
前記インサート面は、第1端部と、前記第1端部よりも前記ソールから離れた第2端部を有しており、前記内側面に垂直な方向であって前記内側面と前記インサート面の間の距離が、前記第1端部から前記第2端部に一定でない、項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
項目4
前記距離が、前記第1端部よりも前記第2端部で大きい、項目3のゴルフクラブヘッド。
項目5
前記距離が、前記第2端部で最大である、項目3のゴルフクラブヘッド。
項目6
前記インサート面の一部が、前記内側面に接する、項目4のゴルフクラブヘッド。
項目7
前記内側面と前記インサート面の間の最大距離が、0.005~0.125インチの範囲である、項目3のゴルフクラブヘッド。
項目8
前記内側面と前記インサート面の間の最大距離が、0.075インチよりも大きい、項目3のゴルフクラブヘッド。
項目9
ゴルフクラブヘッドであって、
本体であって、
フェースプレート、
後端部、ならびに
前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含み、前記フェースプレート、前記後端部、および前記ソールが、部分的に空洞部を画定しており、前記後端部が前記空洞部に面する内側面を有する、本体と、
前記空洞部内に位置するインサートであって、前記後端部の前記内側面に面するとともにそれから離れているインサート面を有する、インサートと、
を備えるゴルフクラブヘッド。
項目10
前記フェースプレートは、ゴルフボールとのインパクト中に、前記後端部の方向に変形するように構成され、さらに前記インサート面は、前記インパクト中に前記フェースプレートの移動を制限するように構成される、項目9に記載のゴルフクラブヘッド。
項目11
前記インサート面は、第1端部と、前記第1端部よりも前記ソールから離れた第2端部を有しており、前記内側面に垂直な方向であって前記内側面と前記インサート面の間の距離が、前記第1端部から前記第2端部に一定でない、項目9に記載のゴルフクラブヘッド
項目12
前記距離が、前記第1端部よりも前記第2端部で大きい、項目11のゴルフクラブヘッド。
項目13
前記距離が、前記第2端部で最大である、項目11のゴルフクラブヘッド。
項目14
前記インサート面の一部が、前記内側面に接する、項目11のゴルフクラブヘッド。
項目15
前記内側面と前記インサート面の間の最大距離が、0.005~0.125インチの範囲である、項目11のゴルフクラブヘッド。
項目16
前記内側面と前記インサート面の間の最大距離が、0.075インチよりも大きい、項目11のゴルフクラブヘッド。
項目17
ゴルフクラブヘッドであって、
本体であって、
打撃面、およびその反対側の第1の内側面を有するフェースプレート、
後端部、ならびに
前記フェースプレートを前記後端部に接続するソール、を含み、前記フェースプレート、前記後端部、および前記ソールが、部分的に空洞部を画定しており、前記後端部が前記空洞部に面する第2のインサート面を有する、本体と、
第1の内側面と第2の内側面の一方に連結し、且つ、第1の内側面と第2の内側面の他方に面するとともにそれから離れている接触面を有する、突起部と、
を備えるゴルフクラブヘッド。
項目18
前記フェースプレートは、ゴルフボールとのインパクト中に、前記後端部の方向に変形するように構成され、さらに前記接触面は、前記インパクト中に前記フェースプレートの移動を制限するように構成される、項目17に記載のゴルフクラブヘッド。
項目19
前記接触面と、第1の内側面と第2の内側面の他方に面と、の間の距離が、0.04インチ以下である、項目17に記載のゴルフクラブヘッド。
項目20
前記突起部は、第1の内側面と第2の内側面の一方の一部として一体的に形成されている、項目17に記載のゴルフクラブヘッド。