(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】嚥下評価装置、嚥下評価方法、嚥下評価プログラムおよび嚥下評価システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20231212BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61B5/11 310
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2022209875
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】509229658
【氏名又は名称】デンタルサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123526
【氏名又は名称】宮川 壮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【氏名又は名称】深川 英里
(72)【発明者】
【氏名】武田 泉穂
(72)【発明者】
【氏名】城 明妙
(72)【発明者】
【氏名】田村 優介
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-126160(JP,A)
【文献】特開2020-089613(JP,A)
【文献】国際公開第2022/114070(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【請求項2】
前記動作速度が、前記超音波画像における前記オトガイ舌骨筋の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の嚥下評価装置。
【請求項3】
前記動作速度が、前記超音波画像における嚥下開始時から最収縮時までに前記オトガイ舌骨筋が動いた距離と前記嚥下開始時から前記最収縮時までの経過時間とに基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の嚥下評価装置。
【請求項4】
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部を備え、
前記表示制御部は、前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定しかつ前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に、嚥下リスクが高いことを表示部に表示する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の嚥下評価装置。
【請求項5】
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価方法であって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価方法。
【請求項6】
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価プログラムであって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価プログラム。
【請求項7】
超音波画像を生成する超音波検査装置と、前記超音波画像を解析する画像解析装置と、
前記超音波画像からオトガイ舌骨筋の嚥下機能を評価する嚥下評価装置とを備える嚥下評価システムであって、
前記超音波検査装置は、
被験者のオトガイ舌骨筋を撮影して超音波画像を生成する画像生成部を備え、
前記画像解析装置は、
前記画像生成部が生成する超音波画像に基づいて前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度を算出する動作速度算出部を備え、
前記嚥下評価装置は、
前記動作速度算出部が算出する前記動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嚥下評価装置、嚥下評価方法、嚥下評価プログラムおよび嚥下評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の嚥下機能を評価する種々の嚥下評価装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような嚥下評価装置の中には、例えばオトガイ舌骨筋などの形状的特徴から嚥下機能を評価するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような嚥下評価装置では、画像等を通してオトガイ舌骨筋の形状的状況を目視することはできるものの、正確な評価を行うことが困難であるという問題がある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明は、被験者の嚥下機能を簡便に定量評価することができる嚥下評価装置、嚥下評価方法、嚥下評価プログラムおよび嚥下評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、被験者の嚥下機能を簡便に定量評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態としての嚥下評価システムを示す全体構成図である。
【
図2】嚥下評価システムにおける嚥下評価処理のフローを示すシーケンス図である。
【
図4】実施例におけるRSSTの回数、オーラルディアドコキネシスの回数、オトガイ舌骨筋の通常時の長さ、嚥下時の長さ、収縮量、収縮率、速度の測定結果を示す図表である。
【
図5】オトガイ舌骨筋の収縮率の関係を示すものであって、(A)は収縮率とRSSTの回数との関係を示す図表、(B)は収縮率とオーラルディアドコキネシスの平均値との関係を示す図表である。
【
図6】オトガイ舌骨筋の動作速度の関係を示すものであって、(A)は動作速度とRSSTの回数との関係を示す図表、(B)は動作速度とオーラルディアドコキネシスの平均値との関係を示す図表である。
【
図7(A)】収縮率用超音波画像を示す画像であり、通常時のオトガイ舌骨筋の状態を示す画像(図面代用写真)である。
【
図7(B)】収縮率用超音波画像を示す画像であり、嚥下時のオトガイ舌骨筋の状態を示す画像(図面代用写真)である。
【
図8(A)】動作速度用超音波画像を示す画像であり、動作速度用超音波画像の全体を示す画像(図面代用写真)である。
【
図8(B)】動作速度用超音波画像を示す画像であり、
図8(A)に示す符号Aの領域を示す部分拡大画像(図面代用写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態における嚥下評価装置、嚥下評価方法、嚥下評価プログラムおよび嚥下評価システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態としての嚥下評価システム1を示す全体構成図である。
嚥下評価システム1は、超音波検査装置10と、画像解析装置20と、嚥下評価装置30と、被験者端末40とを備えている。これら超音波検査装置10、画像解析装置20、嚥下評価装置30および被験者端末40は、ネットワークを介して接続されている。
【0010】
超音波検査装置10は、被験者の超音波画像を生成するものである。この超音波検査装置10は、制御部11と、通信部12と、表示部13と、画像取得部14とを備えている。
制御部11は、例えば、プロセッサ、CPU等の演算手段によって実現され、各種のメモリ、ハードディスク等の記憶手段と協働して機能し、各種のプログラムを実行する。この制御部11は、メイン制御部11Aと、画像生成部11Bとを備えている。
メイン制御部11Aは、各種のプログラムを実行して各機能部間の制御および装置全体の制御を実行する。
画像生成部11Bは、画像取得部14が取得する被験者の超音波画像情報に基づいて、超音波画像を生成する。
通信部12は、内部機器および外部機器との情報の送受信を行う各種通信デバイスなどからなるものである。この通信部12は、画像生成部11Bが生成する超音波画像データを画像解析装置20に送信する。
表示部13は、例えばモニタ、ディスプレイなどからなり、各種の画面や超音波画像等を表示する。
画像取得部14は、例えばプローブなどからなり、被験者に対して超音波の送受信を行うことにより、オトガイ舌骨筋の超音波画像情報を取得し、制御部11に送信する。
【0011】
画像解析装置20は、超音波画像を表示して解析するものであり、オトガイ舌骨筋の動作速度および収縮率などの特徴量を算出するものである。この画像解析装置20は、制御部21と、通信部22と、表示部23と、操作部24とを備えている。
制御部21は、例えば、プロセッサ、CPU等の演算手段によって実現され、各種のメモリ、ハードディスク等の記憶手段と協働して機能し、各種のプログラムを実行する。この制御部21は、メイン制御部21Aと、動作速度算出部21Bと、収縮率算出部21Cとを備えている。
メイン制御部21Aは、各種のプログラムを実行して各機能部間の制御および装置全体の制御を実行する。
【0012】
動作速度算出部21Bは、超音波画像におけるオトガイ舌骨筋の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいて、オトガイ舌骨筋の動作速度を算出する。すなわち、動作速度算出部21Bは、超音波画像においてオトガイ舌骨筋が嚥下開始時から最収縮時までに動いた距離および経過時間に基づいて、オトガイ舌骨筋の動作速度を算出する。なお、オトガイ舌骨筋が動いた距離とは、通常時のオトガイ舌骨筋の位置と、嚥下時のオトガイ舌骨筋の位置との間の距離をいう。具体的には、動作速度算出部21Bは、表示部23が表示するMモード(動きを分析するモード)でのオトガイ舌骨筋の超音波画像において、嚥下開始時の点と嚥下時における最収縮時の点との2点間を結ぶ直線の傾きを算出することによりオトガイ舌骨筋の動作速度を算出する。つまり、動作速度算出部21Bは、以下の式により動作速度を算出する。
動作速度=オトガイ舌骨筋が嚥下開始時から最収縮時までに動いた距離÷経過時間
【0013】
収縮率算出部21Cは、超音波画像におけるオトガイ舌骨筋の通常時の長さと最収縮時の長さに基づいて、嚥下時のオトガイ舌骨筋の収縮率を算出する。具体的には、収縮率算出部21Cは、表示部23が表示するBモード(明るさで分析するモード)でのオトガイ舌骨筋の超音波画像において、通常時のオトガイ舌骨筋の長さと、嚥下時における最収縮時のオトガイ舌骨筋の長さを算出する。そして、収縮率算出部21Cは、以下の式によりオトガイ舌骨筋の収縮率を算出する。
収縮率=オトガイ舌骨筋の収縮量÷通常時のオトガイ舌骨筋の長さ×100
なお、オトガイ舌骨筋の収縮量=通常時のオトガイ舌骨筋の長さ-嚥下時における最収縮時のオトガイ舌骨筋の長さとなる。
【0014】
通信部22は、内部機器および外部機器との情報の送受信を行う各種通信デバイスなどからなるものである。この通信部22は、動作速度算出部21Bが算出する動作速度および収縮率算出部21Cが算出する収縮率を嚥下評価装置30に送信する。
表示部23は、例えばモニタ、ディスプレイなどからなり、各種の画面や超音波画像等を表示する。
操作部24は、例えばキーボード、マウス、タッチパッドまたはボタンなどからなり、操作者からの各種指示操作を受け付け、各種指示を制御部21に入力する。
【0015】
嚥下評価装置30は、超音波画像から算出される特徴量に基づいて嚥下機能を評価するものである。この嚥下評価装置30は、制御部31と、通信部32と、表示部33と、記憶部34とを備えている。
制御部31は、例えば、プロセッサ、CPU等の演算手段によって実現され、各種のメモリ、ハードディスク等の記憶手段と協働して機能し、各種のプログラムを実行する。この制御部31は、メイン制御部31Aと、動作速度判定部31Bと、収縮率判定部31Cと、表示制御部31Dとを備えている。
メイン制御部31Aは、各種のプログラムを実行して各機能部間の制御および装置全体の制御を実行する。
動作速度判定部31Bは、動作速度算出部21Bが算出するオトガイ舌骨筋の動作速度が閾値以上であるか否かを判定し、この動作速度判定結果を表示制御部31Dに送信する。
収縮率判定部31Cは、収縮率算出部21Cが算出するオトガイ舌骨筋の収縮率が閾値以下であるか否かを判定し、この収縮率判定結果を表示制御部31Dに送信する。
【0016】
表示制御部31Dは、動作速度判定部31Bが判定する動作速度判定結果および収縮率判定部31Cが判定する収縮率判定結果に基づいて、嚥下リスクを評価する。すなわち、表示制御部31Dは、動作速度判定部31Bが判定する動作速度判定結果が閾値以上または収縮率判定部31Cが判定する収縮率判定結果が閾値以下の場合に、嚥下リスクありと評価し、評価結果を表示部33に表示する。また、表示制御部31Dは、動作速度判定部31Bが判定する動作速度判定結果が閾値以上かつ収縮率判定部31Cが判定する収縮率判定結果が閾値以下の場合に、嚥下リスクが高いと評価し、評価結果を表示部33に表示する。
なお、嚥下リスクとは、嚥下機能が低下することにより誤嚥性肺炎を発症するリスクのことをいう。
【0017】
通信部32は、内部機器および外部機器との情報の送受信を行う各種通信デバイスなどからなるものである。この通信部32は、画像解析装置20が送信する動作速度および収縮率を受信し制御部31に入力する。
表示部33は、例えばモニタ、ディスプレイなどからなり、各種の画面や嚥下リスクの評価結果等を表示する。
記憶部34は、例えば、ハードディスクやメモリなどからなり、各種プログラムや作業データなどを記憶する。具体的には、記憶部34は、動作速度の閾値および収縮率の閾値などを記憶する。なお、動作速度の閾値は、例えば「2.0cm/S」とし、収縮率の閾値は、例えば「30.0%」する。
【0018】
次に、嚥下評価システム1における嚥下評価等の動作について説明する。
図2は、超音波検査装置10、画像解析装置20、嚥下評価装置30および被験者端末40の嚥下評価処理等のフローを示すシーケンス図である。
まず、画像取得部14が、被験者のオトガイ舌骨筋の超音波画像情報を取得して制御部11に送信する(ステップS1)。すなわち、超音波検査装置10をMモードに設定し、被験者の顎骨の先端部に縦向きにプローブ(画像取得部14)を当てた状態で、被験者にとろみ付きの水を飲み込んでもらう。このとき、画像取得部14が被験者に対して超音波を送受信することにより、嚥下時のオトガイ舌骨筋の動作速度用画像情報(動いた距離情報および経過時間情報を含む)を取得し制御部11に送信する。さらに、超音波検査装置10をBモードに設定し、同様にして、被験者の顎骨の先端部に縦向きにプローブ(画像取得部14)を当てた状態で、被験者にとろみ付きの水を飲み込んでもらうことにより、画像取得部14が、嚥下時のオトガイ舌骨筋の収縮率用画像情報(オトガイ舌骨筋の長さ情報を含む)を取得し制御部11に送信する。
【0019】
画像生成部11Bは、これら動作速度用画像情報および収縮率用画像情報を含む超音波画像情報を入力すると、動作速度用超音波画像および収縮率用超音波画像を含む超音波画像を生成する(ステップS2)。すなわち、画像生成部11Bは、動作速度用画像情報に基づいて動作速度用超音波画像を生成し、収縮率用画像情報に基づいて収縮率用超音波画像を生成する。画像生成部11Bは、超音波画像を生成すると、メイン制御部11Aに送信する。メイン制御部11Aは、当該超音波画像を入力すると、通信部12を介して画像解析装置20に送信する(ステップS3)。
画像解析装置20におけるメイン制御部21Aは、通信部22を介して当該超音波画像を入力すると、表示部23に超音波画像を表示する。すなわち、表示部23は、動作速度用超音波画像および収縮率用超音波画像を表示する。
【0020】
そして、動作速度算出部21Bは、以下のようにして、動作速度用超音波画像に基づいてオトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度を算出する(ステップS4)。
図8は、動作速度用超音波画像を示す画像であり、(A)は動作速度用超音波画像の全体を示す画像、(B)は符号Aの領域を示す部分拡大画像である。
図8において、縦軸はオトガイ舌骨筋の動いた距離を示し、横軸は経過時間を示している。
表示部23が動作速度用超音波画像を表示している状態で、検査者が操作部24を操作して動作速度用超音波画像において縦軸の距離が動き始めた時の点までポインタを移動させる。このとき、検査者は、動作速度用超音波画像を目視し、白い部分と黒い部分の境界を見ながら操作部24を操作する。そして、検査者が操作部24を操作して、縦軸の距離が動き始めた時の点にポインタが配された状態でクリックする。この点は、オトガイ舌骨筋が動き始めた点であり、すなわち嚥下が開始された点であって、嚥下開始点P1となる。そして、検査者は、同様に操作部24を操作して最も距離が大きくなる点にポインタを移動させてクリックする。この点は、オトガイ舌骨筋の動いた距離が最も大きくなる点であり、すなわちオトガイ舌骨筋が最も収縮した点であって、最収縮点P2となる。操作部24は、これら嚥下開始点P1および最収縮点P2の座標情報を動作速度算出部21Bに送信する。
動作速度算出部21Bは、嚥下開始点P1および最収縮点P2の座標情報を入力すると、当該座標情報に基づいて、縦軸の距離および横軸の経過時間を算出する。そして、動作速度算出部21Bは、これら距離および経過時間に基づいて、オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度を算出する。すなわち、動作速度算出部21Bは、動作速度用超音波画像に基づいて、「動作速度=オトガイ舌骨筋が嚥下開始時から最収縮時までに動いた距離÷経過時間」を算出する。そして、動作速度算出部21Bは、算出した動作速度をメイン制御部21Aに送信する。
【0021】
さらに、収縮率算出部21Cは、以下のようにして、収縮率用超音波画像に基づいてオトガイ舌骨筋の嚥下時の収縮率を算出する(ステップS5)。
図7は、収縮率用超音波画像を示す画像であり、(A)は通常時のオトガイ舌骨筋の状態を示す画像、(B)は嚥下時のオトガイ舌骨筋の状態を示す画像である。
収縮率用超音波画像は、オトガイ舌骨筋の形状的状態を示すものである。
表示部23が通常時の収縮率用超音波画像を表示している状態で、検査者が操作部24を操作して収縮率用超音波画像において顎骨の先端部までポインタを移動させる。このとき、検査者は、上記と同様に、収縮率用超音波画像を目視し、白い部分と黒い部分の境界を見ながら操作部24を操作する。そして、検査者が操作部24を操作して、顎骨の先端部の点にポインタが配された状態でクリックする。この点が通常時顎骨先端部P3となる。そして、検査者は、同様に操作部24を操作してオトガイ舌骨筋の先端部にポインタを移動させてクリックする。この点が通常時舌骨筋先端部P4となる。さらに、表示部23が嚥下時の収縮率用超音波画像を表示している状態で、検査者は、同様に操作部24を操作して顎骨の先端部にポインタを移動させてクリックする。この点が嚥下時顎骨先端部P5となる。そして、検査者は、同様に操作部24を操作してオトガイ舌骨筋の先端部にポインタを移動させてクリックする。この点が、嚥下時に最も収縮したオトガイ舌骨筋の先端部であり、嚥下時舌骨筋先端部P6となる。
【0022】
操作部24は、これら通常時顎骨先端部P3、通常時舌骨筋先端部P4、嚥下時顎骨先端部P5および嚥下時舌骨筋先端部P6の座標情報を収縮率算出部21Cに送信する。
収縮率算出部21Cは、これら通常時顎骨先端部P3、通常時舌骨筋先端部P4、嚥下時顎骨先端部P5および嚥下時舌骨筋先端部P6の座標情報を入力すると、当該座標情報に基づいて、通常時のオトガイ舌骨筋の長さLnおよび嚥下時における最収縮時のオトガイ舌骨筋の長さLsを算出する。すなわち、収縮率算出部21Cは、通常時顎骨先端部P3および通常時舌骨筋先端部P4の座標情報に基づいて、通常時のオトガイ舌骨筋の長さLnを算出し、嚥下時顎骨先端部P5および嚥下時舌骨筋先端部P6の座標情報に基づいて、嚥下時における最収縮時のオトガイ舌骨筋の長さLsを算出する。そして、収縮率算出部21Cは、「オトガイ舌骨筋の収縮量=通常時のオトガイ舌骨筋の長さLn-嚥下時における最収縮時のオトガイ舌骨筋の長さLs」を算出する。さらに、収縮率算出部21Cは、「収縮率=オトガイ舌骨筋の収縮量÷通常時のオトガイ舌骨筋の長さLn×100」を算出する。そして、収縮率算出部21Cは、算出した収縮率をメイン制御部21Aに送信する。
メイン制御部21Aは、動作速度算出部21Bが送信した動作速度および収縮率算出部21Cが送信した収縮率を入力すると、これら動作速度および収縮率を嚥下評価装置30に送信する(ステップS6)。
【0023】
嚥下評価装置30におけるメイン制御部31Aは、通信部32を介してこれら動作速度および収縮率を入力すると、動作速度を動作速度判定部31Bに送信し、収縮率を収縮率判定部31Cに送信する。
動作速度判定部31Bは、動作速度を入力すると、動作速度の閾値(例えば「2.0cm/S」)を記憶部34から読み出し、当該動作速度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。すなわち、動作速度判定部31Bは、「動作速度が閾値以上である」または「動作速度が閾値未満である」といういずれか一方の動作速度判定結果を表示制御部31Dに送信する。
そして、収縮率判定部31Cは、収縮率を入力すると、収縮率の閾値(例えば「30.0%」)を記憶部34から読み出し、当該収縮率が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、収縮率判定部31Cは、「収縮率が閾値以下である」または「収縮率が閾値超である」といういずれか一方の収縮率判定結果を表示制御部31Dに送信する。
【0024】
表示制御部31Dは、動作速度判定部31Bが送信した動作速度判定結果および収縮率判定部31Cが送信した収縮率判定結果を入力すると、嚥下リスクの評価処理を行う(ステップS9)。すなわち、表示制御部31Dは、動作速度判定結果および収縮率判定結果に基づいて、以下の4つのいずれか一つを算出する。
(1)動作速度が閾値以上かつ収縮率が閾値以下の場合、嚥下リスクが高い
(2)動作速度が閾値以上かつ収縮率が閾値超の場合、嚥下リスクがある
(3)動作速度が閾値未満かつ収縮率が閾値以下の場合、嚥下リスクがある
(4)動作速度が閾値未満かつ収縮率が閾値超の場合、嚥下リスクがない
すなわち、上記(1)の評価結果の場合、嚥下リスクが高く(嚥下リスクが高レベル)、上記(2)および(3)の評価結果の場合、嚥下リスクがあり(嚥下リスクが中レベル)、上記(4)の評価結果の場合、嚥下リスクがない(嚥下リスクが低レベル)となる。
【0025】
そして、表示制御部31Dは、算出した評価結果を表示部33に表示する。すなわち、表示部33は、上記(1)の評価結果の場合、「嚥下リスクが高いです」と表示し、上記(2)および(3)の評価結果の場合、「嚥下リスクがあります」と表示し、上記(4)の評価結果の場合、「嚥下リスクはありません」と表示する。このとき、表示制御部31Dは動作速度判定結果および収縮率判定結果を表示してもよい。
これにより、検査者が表示部33の表示を目視することにより、評価結果を確認することができる。
さらに、表示制御部31Dは、算出した評価結果をメイン制御部31Aに送信する。メイン制御部31Aは、当該評価結果を入力すると、通信部32を介して被験者端末40に送信する(ステップS10)。
被験者端末40は、当該評価結果を受信すると、表示部41に表示する(ステップS11)。すなわち、表示部41は、上記と同様にして、上記(1)の評価結果の場合、「嚥下リスクが高いです」と表示し、上記(2)および(3)の評価結果の場合、「嚥下リスクがあります」と表示し、上記(4)の評価結果の場合、「嚥下リスクはありません」と表示する。
これにより、被験者が表示部41の表示を目視することにより、評価結果を確認することができる。
【0026】
次いで、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(実施例)
本実施例における目的は、以下の2点である。
(1)各評価項目の測定可能性評価
本実施例では、検査装置を用いて検査を実施する項目を後述の通り、2項目用意している。これらの項目について、超音波(エコー)を用いて実際に測定が可能かどうかを確認していく。
(2)超音波(エコー)による各評価結果数字・アンケートと既存評価結果との相関
現在、嚥下機能について評価を行う方法としてRSST(Repetitive saliva swallowing test:反復唾液嚥下テスト)とオーラルディアドコキネシスが存在する。
嚥下困難者は、本実施例において実施されるアンケート調査を点数化したものとRSST、オーラルディアドコキネシスの結果を踏まえて、嚥下に困難を抱えている被験者(以下、「嚥下困難者」という)として定義されるか、嚥下困難者であると定義されないか(以下、嚥下困難者であると定義されない者を「嚥下正常者」という)の判定結果を用いて、超音波(エコー)による検査結果のデータを嚥下困難者と嚥下正常者に区分する。
【0027】
(検査実施概要)
・使用した機器:
BenQMedical_H1300(BenQ Medical Technologyが販売)の超音波(エコー)検査装置(以下、「検査装置」という)を利用し、オトガイ舌骨筋の画像を撮影した。検査装置は医療機器ではなく、患者に診断を行うためには使用できないものである。
・プローブ:
コンベックスプローブを検査装置に接続し、使用した。
(検査対象者および症例数)
本実施例は20~90歳の26症例を対象にして行ったものである。高齢者(70~90歳)の対象者はデイサービス施設の利用者であり、現役世代(20~70歳)の対象者は会社員(デンタルサポート株式会社本社に勤務)である。年齢及び性別の構成は、
図3の検査対象者の内訳に示すとおりである。
(測定項目)
・オトガイ舌骨筋の収縮率
・オトガイ舌骨筋の動作速度
【0028】
(検査実施者)
歯科衛生士1名が検査装置を操作した。
【0029】
(検査結果評価実施者)
検査結果の評価は、検査装置上で表示をされる画像に距離や速度を測定するために必要なポイントを設定すること、得られた距離・速度の数値を用いて、各測定項目を求める数式に代入して各測定項目の数値を求めること、各測定項目の数値とオーラルディアドコキネシスおよびRSSTの結果の相関関係を検討すること、という3段階で実施した。
検査結果評価については、いずれの段階においても歯科衛生士1名が実施した。
【0030】
(測定の方法)
(1)オトガイ舌骨筋の収縮率の測定
検査装置を所定の値(Bモード、Depth:5.0、Focus:3.0、Gain:42、Resolution)に設定した後に、顎骨の先端部から縦向きにコンベックスプローブをあてる。
プローブを被験者にあてた状態で被験者にとろみ付きの水を飲みこんで頂き、被験者の通常時と嚥下時の顎骨先端部からオトガイ舌骨筋までの距離を比較する。「とろみ付きの水」とは、株式会社クリニコが販売しているとろみ材である「つるりんこQuickly」を日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類における「薄いとろみ」(粘度:50~150mPa・s)となるよう水に溶かしたものである。
嚥下の際に、とろみ付きの水を嚥下して頂いた理由は、対象者それぞれによって異なる唾液を嚥下した場合には、対象者ごとの条件が統一されないため、正確な測定ができないと判断したためである。なお、同一の対象者が唾液を嚥下した場合の方が、とろみ付きの水を嚥下した場合よりもオトガイ舌骨筋の動作速度が速いことが確認されている(唾液を嚥下した場合:2.03cm/sであったのに対して、とろみ付きの水を嚥下した場合:3.78cm/sであった)。
通常時と嚥下時の値を以下の式に代入し、オトガイ舌骨筋の収縮率を求める。
収縮率=オトガイ舌骨筋の収縮量÷通常時のオトガイ舌骨筋の長さ×100
【0031】
(2)オトガイ舌骨筋の動作速度の測定
検査装置を所定の値(Mモード、Depth:3.5、Focus:1.0、Gain:42、Resolution)に設定した後に、顎骨の先端部から縦向きにコンベックスプローブをあて、オトガイ舌骨筋の動きを波形化する。プローブを被験者にあてた状態で被験者にとろみ付きの水を飲みこんで頂き、嚥下をした際に波形の傾きを計算することで、オトガイ舌骨筋の動作速度を測定する。
【0032】
(検査結果)
(1)オトガイ舌骨筋の収縮率
オトガイ舌骨筋の縦の長さについて通常時および嚥下時それぞれに撮影を行った結果、
図7に示す画像が得られた。
図7(A)は通常時の画像であり、
図7(B)は嚥下時の画像である。
画像上では、顎骨と舌骨の先端にそれぞれポイントを設定し、両者の間の距離を測定した。これにより、正常時と嚥下時それぞれのオトガイ舌骨筋の縦の長さを得た。そこで、オトガイ舌骨筋の収縮率を算出した。
図4は、RSSTの回数、オーラルディアドコキネシスの回数、オトガイ舌骨筋の通常時の長さ、嚥下時の長さ、収縮量、収縮率、動作速度の測定結果を示す図表である。
さらに、収縮率とRSSTおよびオーラルディアドコキネシスの結果とを比較したところ、
図5に示す結果を得た。
図5は、オトガイ舌骨筋の収縮率の関係を示すものであって、(A)は収縮率とRSSTの回数との関係を示す図表、(B)は収縮率とオーラルディアドコキネシスの平均値との関係を示す図表である。
なお、RSSTは2回以下の場合に嚥下障害の疑いありと判定されるため、1~2回の被験者と3回以上の被験者の2群に群分けし、嚥下機能を分析した。また、オーラルディアドコキネシスは「PA」「TA」「KA」それぞれを発声した際の結果の平均値を求め、その平均値との相関を検討した図となっている。
図5(B)における収縮率と平均値との相関係数は、0.53となった。
【0033】
(考察)
オトガイ舌骨筋の収縮率について
本実施例により得られた画像を分析すると、オトガイ舌骨筋の収縮率の指標は既存の嚥下機能の評価に用いられるRSSTおよびオーラルディアドコキネシスとの相関関係が認められた。すなわち、収縮率とRSSTおよびオーラルディアドコキネシスとは、正の相関関係が認められ、収縮率が低いほど嚥下リスクが高くなるという新たな知見を得た。これにより、オトガイ舌骨筋の収縮率を用いて嚥下機能におけるリスクを判定できることを確認することができた。
【0034】
(2)オトガイ舌骨筋の動作速度
嚥下時の動作によってオトガイ舌骨筋が収縮する際に、プローブをあててオトガイ舌骨筋を撮影し、検査装置のMモードによって縦軸をオトガイ舌骨筋の動いた長さ、横軸を経過時間とするグラフを検査装置上で描画した。
図8は、Mモードによるオトガイ舌骨筋が動いた長さと経過時間を示す画像である。
画像の分析にあたっては、対象者が嚥下を始めオトガイ舌骨筋が動き始めた点および、オトガイ舌骨筋の収縮が完了し、オトガイ舌骨筋の収縮状態から元の状態に戻り始めた点のそれぞれにポイントを設定した。
これら嚥下開始時から最収縮時までの動作速度を算出した(
図4に示す)。
そして、オトガイ舌骨筋の動作速度について、RSSTおよびオーラルディアドコキネシスの結果と比較をした。
図6は、オトガイ舌骨筋の動作速度の関係を示すものであって、(A)は動作速度とRSSTの回数との関係を示す図表、(B)は動作速度とオーラルディアドコキネシスの平均値との関係を示す図表である。
図6(B)における動作速度と平均値との相関係数は、-0.52となった。
【0035】
(考察)
オトガイ舌骨筋の動作速度について
本実施例により得られた画像を分析すると、オトガイ舌骨筋の動作速度の指標は既存の嚥下機能の評価に用いられるRSSTおよびオーラルディアドコキネシスとの相関関係が認められた。すなわち、動作速度とRSSTおよびオーラルディアドコキネシスとは、負の相関関係が認められ、動作速度が高いほど嚥下リスクが高くなるという新たな知見を得た。これにより、オトガイ舌骨筋の動作速度を用いて嚥下機能におけるリスクを判定できることを確認することができた。
【0036】
以上より、本実施形態における嚥下評価装置30、嚥下評価方法および嚥下評価システム1によれば、オトガイ舌骨筋の超音波画像に基づいて算出されるオトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であると動作速度判定部31Bが判定した場合に、嚥下リスクがあることを表示制御部31Dが表示することから、超音波画像を利用して被験者の嚥下機能を簡便に定量評価することができる。
なお、嚥下機能を評価する手法としては、VE(videoendoscopic evaluation of swallowing:嚥下内視鏡検査)やVF(videofluoroscopic evaluation of swallowing:嚥下造影検査)などが知られている。しかし、これらの手法は、専門性、侵襲度が高く、医療機関で専用装置を使用しなければならない。本実施形態における嚥下評価装置30、嚥下評価方法および嚥下評価システム1によれば、超音波の送受信により得られる超音波画像を利用するため、簡便に評価することができる。
【0037】
なお、オトガイ舌骨筋の嚥下開始時の開始動作は、通常時に対して相対的に速く大きく変化するが、嚥下終了時の終了動作は、嚥下時のピークに対して相対的に遅く小さく変化する。すなわち、オトガイ舌骨筋の開始動作は動きが大きいため嚥下開始時を認識し易いものの、終了動作は小さな変化が続くため嚥下終了時を認識し難い。また、オトガイ舌骨筋が動く距離は、嚥下開始時から最収縮時までの収縮動作において漸次大きくなっていき、反対に最収縮時から嚥下終了時までの復元動作において漸次小さくなっていくことから、嚥下開始時から最収縮時を経て復元動作に入るときの切り替わりポイントは認識し易い。本実施形態における嚥下評価装置30、嚥下評価方法および嚥下評価システム1によれば、動作速度算出部21Bが、オトガイ舌骨筋の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいてオトガイ舌骨筋の動作速度を算出することから、認識し易い嚥下開始時および最収縮時を測定することができ、より簡便に定量評価することができる。なお、例えば嚥下時の音波や筋電図等の二次元波形により評価する手法では、嚥下開始時から最終収縮点までの区間を嚥下動作全体から切り出して分析することは技術的に困難である。
また、動作速度算出部21Bが、超音波画像における嚥下開始時から最収縮時までにオトガイ舌骨筋が動いた距離と嚥下開始時から最収縮時までの経過時間とに基づいて、オトガイ舌骨筋の動作速度を算出することから、超音波画像において認識し易い嚥下開始時および最収縮時を測定することができ、より簡便に定量評価することができる。
【0038】
また、オトガイ舌骨筋の動作速度が閾値以上であると動作速度判定部31Bが判定しかつ収縮率が閾値以下であると収縮率判定部31Cが判定した場合に、嚥下リスクが高いことを表示制御部31Dが表示することから、詳細に定量評価することができる。
また、オトガイ舌骨筋の超音波画像に基づいて算出されるオトガイ舌骨筋の嚥下時の収縮率が閾値以下であると収縮率判定部31Cが判定した場合に、嚥下リスクがあることを表示制御部31Dが表示することから、超音波画像を利用して被験者の嚥下機能を簡便に定量評価することができる。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、オトガイ舌骨筋の動作速度および収縮率を判定するとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、動作速度のみを判定してもよいし、収縮率のみを判定してもよい。すなわち、動作速度または収縮率の少なくともいずれか一方を判定してもよい。その場合、画像解析装置20は、動作速度算出部21Bまたは収縮率算出部21Cの少なくともいずれか一方を備えていればよいし、嚥下評価装置30は、動作速度判定部31Bまたは収縮率判定部31Cの少なくともいずれか一方を備えていればよい。
【0040】
また、表示制御部31Dが、動作速度判定結果および収縮率判定結果に基づいて、4つのいずれか一つを算出するとしているが、これに限ることはなく、評価結果の内容は適宜変更可能である。例えば、動作速度が閾値以上でありかつ収縮率が閾値以下である場合に嚥下リスクが高いとしているが、この場合「嚥下リスクがある」としてもよい。また、動作速度が閾値以上でありまたは収縮率が閾値以下のいずれか一方の場合に、嚥下リスクがあるとしているが、この場合「嚥下リスクなし」として、動作速度が閾値以上でありかつは収縮率が閾値以下の場合に「嚥下リスクがある」としてもよい。
【0041】
また、表示制御部31Dが、嚥下リスクの評価結果を表示部33に表示するものとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、表示部33、超音波検査装置10の表示部13、画像解析装置20の表示部23または被験者端末40の表示部41の少なくともいずれか一つに表示するようにしてもよい。
また、表示制御部31Dが嚥下リスクの評価結果をテキストによって表示するものとしているが、これに限ることはなく、例えば、画像、図表、光、音、振動等の他の手段によって表示してもよい。
また、動作速度の閾値を「2.0cm/S」とし、収縮率の閾値を「30.0%」としているが、これらに限ることはなく、これらの閾値は適宜変更可能である。
また、動作速度判定部31Bは、動作速度が閾値以上であるか否かを判定するとしているが、これに限ることはなく、閾値超であるか否かを判定するとしてもよい。すなわち、「閾値以上」とは、閾値以上または閾値超をいう。
また、収縮率判定部31Cは、収縮率が閾値以下であるか否かを判定するとしているが、これに限ることはなく、閾値未満であるか否かを判定するとしてもよい。すなわち、「閾値以下」とは、閾値以下または閾値未満をいう。
【0042】
また、動作速度が、超音波画像におけるオトガイ舌骨筋の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいて算出されるとしているが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、嚥下開始時から嚥下終了時までの動作や最収縮時から嚥下終了時までの動作に基づいて算出してもよいし、任意の時点間の動作に基づいて算出してもよい。
また、動作速度が、超音波画像における嚥下開始時から最収縮時までにオトガイ舌骨筋が動いた距離と、嚥下開始時から最収縮時までの経過時間とに基づいて算出されるとしているが、これに限ることはなく、動作速度の算出は適宜変更可能である。
また、動作速度および収縮率を算出するとき、検査者が超音波画像を目視することにより、操作部24を操作して測定点を設定するとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、動作速度算出部21Bおよび収縮率算出部21Cが、画像処理により、嚥下開始点P1および最終縮点P2を算出し、通常時顎骨先端部P3、通常時舌骨筋先端部P4、嚥下時顎骨先端部P5および嚥下時舌骨筋先端部P6を算出してもよい。また、動作速度算出部21Bおよび収縮率算出部21Cが、AIを活用し例えば機械学習等により、嚥下開始点P1、最終縮点P2、通常時顎骨先端部P3、通常時舌骨筋先端部P4、嚥下時顎骨先端部P5および嚥下時舌骨筋先端部P6を算出してもよい。
【0043】
また、動作速度算出部21Bおよび収縮率算出部21Cが、超音波画像に基づいて動作速度および収縮率を算出するとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、超音波の他、VE、VF、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)などの画像に基づいて、動作速度算出部21Bおよび収縮率算出部21Cが、動作速度および収縮率を算出してもよい。すなわち、嚥下評価装置30は、被験者の嚥下動作部の幾何学的動作情報から嚥下機能を評価するものであってもよい。幾何学的動作情報とは、嚥下時における嚥下動作部の動作に関する幾何学的な情報であり、嚥下動作部の動いた距離、長さ、形状または面積などが含まれる。具体的には、幾何学的動作情報とは、超音波検査装置、磁気共鳴画像検査装置またはX線検査装置によって得られる幾何学的な動作情報である。
さらに、嚥下評価装置30が、被験者の嚥下動作部の動作情報から嚥下機能を評価するものであってもよい。動作情報とは、嚥下時における嚥下動作部の動作に関する情報であって、例えば幾何学的動作情報の他、嚥下時の音、筋電図等による情報をいう。これら嚥下時の音や筋電図等に基づいて、動作速度および収縮率を算出してもよい。
また、動作速度算出部21Bおよび収縮率算出部21Cが、動作速度や収縮率を算出する対象物をオトガイ舌骨筋としているが、これに限ることはなく、嚥下に応じて動作する嚥下動作部であれば、動作速度や収縮率を算出する対象物は適宜変更可能である。例えば、嚥下動作部には、嚥下に応じて動作する筋肉、骨または神経などが含まれる。
筋肉には、舌骨上筋群(オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋など)、舌骨下筋群(甲状舌骨筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋など)、舌筋群(内舌筋である上縦舌筋、下縦舌筋、横舌筋、垂直舌筋など、および外舌筋であるオトガイ舌筋、舌骨舌筋、茎突舌筋など)、咀嚼筋群(外側翼突筋、内側翼突筋、側頭筋、咬筋など)などが含まれる。
骨には、舌骨、喉頭(甲状軟骨、輪状軟骨、披裂軟骨など)、下顎骨などが含まれる。
神経には、延髄などが含まれる。
【0044】
また、嚥下評価システム1を構成する前述の各機能部は、単体のコンピュータに備えられていてもよいし、通信ネットワークを介して通信可能な複数のコンピュータに分散して備えられていてもよい。分散されたコンピュータは、日本だけでなく外国に設置されていてもよい。例えば、超音波検査装置10、画像解析装置20および嚥下評価装置30が単体の装置であってもよいし、超音波検査装置10と画像解析装置20とが単体の装置であってもよいし、画像解析装置20と嚥下評価装置30とが単体の装置であってもよいし、超音波検査装置10と嚥下評価装置30とが単体の装置であってもよい。
また、超音波検査装置10、画像解析装置20または嚥下評価装置30の各機能部の少なくとも一つが、被験者端末40に設けられていてもよい。例えば、被験者端末40にプログラムをインストールすることにより、超音波検査装置10、画像解析装置20または嚥下評価装置30の少なくともいずれか一つとして機能させてもよい。
【0045】
また、超音波検査装置10、画像解析装置20、嚥下評価装置30および被験者端末40がネットワークを介して接続されるとしているが、これに限ることはなく、ネットワークに接続されていなくてもよい。例えば、USB(登録商標)メモリ等の可搬媒体によって、データをやり取りするようにしてもよい。
また、嚥下評価システム1、超音波検査装置10、画像解析装置20、嚥下評価装置30および被験者端末40の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
このプログラムによっても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0046】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ハードディスク、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD、USB(登録商標)メモリ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
なお、上記実施形態、実施例および変形例の各要素の組み合わせは変更可能であり、これら各要素を適宜組み合わせることができることは言うまでもない。
【0047】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【0048】
(付記2)
前記動作速度が、前記超音波画像における前記オトガイ舌骨筋の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいて算出されることを特徴とする付記1に記載の嚥下評価装置。
【0049】
(付記3)
前記動作速度が、前記超音波画像における嚥下開始時から最収縮時までに前記オトガイ舌骨筋が動いた距離と前記嚥下開始時から前記最収縮時までの経過時間とに基づいて算出されることを特徴とする付記1に記載の嚥下評価装置。
【0050】
(付記4)
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部を備え、
前記表示制御部は、前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定しかつ前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に、嚥下リスクが高いことを表示部に表示する付記1から付記3のいずれか一項に記載の嚥下評価装置。
【0051】
(付記5)
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部と、
前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【0052】
(付記6)
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価方法であって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価方法。
【0053】
(付記7)
オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価プログラムであって、
前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価プログラム。
【0054】
(付記8)
超音波画像を生成する超音波検査装置と、前記超音波画像を解析する画像解析装置と、前記超音波画像からオトガイ舌骨筋の嚥下機能を評価する嚥下評価装置とを備える嚥下評価システムであって、
前記超音波検査装置は、
被験者のオトガイ舌骨筋を撮影して超音波画像を生成する画像生成部を備え、
前記画像解析装置は、
前記画像生成部が生成する超音波画像に基づいて前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度を算出する動作速度算出部を備え、
前記嚥下評価装置は、
前記動作速度算出部が算出する前記動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価システム。
【0055】
(付記9)
嚥下動作部の幾何学的動作情報から嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記幾何学的動作情報に基づいて算出される前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【0056】
(付記10)
前記動作速度が、前記幾何学的動作情報における前記嚥下動作部の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいて算出されることを特徴とする付記9に記載の嚥下評価装置。
【0057】
(付記11)
前記動作速度が、前記幾何学的動作情報における嚥下開始時から最収縮時までに前記嚥下動作部が動いた距離と前記嚥下開始時から前記最収縮時までの経過時間とに基づいて算出されることを特徴とする付記9に記載の嚥下評価装置。
【0058】
(付記12)
前記幾何学的動作情報に基づいて算出される前記嚥下動作部の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部を備え、
前記表示制御部は、前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定しかつ前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に、嚥下リスクが高いことを表示部に表示する付記9から付記11のいずれか一項に記載の嚥下評価装置。
【0059】
(付記13)
嚥下動作部の幾何学的動作情報から嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記幾何学的動作情報に基づいて算出される前記嚥下動作部の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部と、
前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【0060】
(付記14)
嚥下動作部の幾何学的動作情報から嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価方法であって、
前記幾何学的動作情報に基づいて算出される前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価方法。
【0061】
(付記15)
嚥下動作部の幾何学的動作情報から嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価プログラムであって、
前記幾何学的動作情報に基づいて算出される前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価プログラム。
【0062】
(付記16)
嚥下動作部の画像を生成する検査装置と、前記画像を解析する画像解析装置と、前記画像における前記嚥下動作部の幾何学的動作情報から前記嚥下動作部の嚥下機能を評価する嚥下評価装置とを備える嚥下評価システムであって、
前記検査装置は、
被験者の嚥下動作部の画像を生成する画像生成部を備え、
前記画像解析装置は、
前記画像生成部が生成する画像における前記幾何学的動作情報に基づいて前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度を算出する動作速度算出部を備え、
前記嚥下評価装置は、
前記動作速度算出部が算出する前記動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価システム。
【0063】
なお、付記16において、検査装置としては、超音波検査装置10の他、磁気共鳴画像検査装置またはX線検査装置などであってもよい。
【0064】
(付記17)
嚥下動作部の嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【0065】
(付記18)
前記動作速度が、前記嚥下動作部の嚥下開始時から最収縮時までの動作に基づいて算出されることを特徴とする付記17に記載の嚥下評価装置。
【0066】
(付記19)
前記動作速度が、嚥下開始時から最収縮時までに前記嚥下動作部が動いた距離と前記嚥下開始時から前記最収縮時までの経過時間とに基づいて算出されることを特徴とする付記17に記載の嚥下評価装置。
【0067】
(付記20)
前記嚥下動作部の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部を備え、
前記表示制御部は、前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定しかつ前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に、嚥下リスクが高いことを表示部に表示する付記17から付記19のいずれか一項に記載の嚥下評価装置。
【0068】
(付記21)
嚥下動作部の嚥下機能を評価する嚥下評価装置であって、
前記嚥下動作部の嚥下時の収縮率が閾値以下であるか否かを判定する収縮率判定部と、
前記収縮率が閾値以下であると前記収縮率判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価装置。
【0069】
(付記22)
嚥下動作部の嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価方法であって、
前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価方法。
【0070】
(付記23)
嚥下動作部の嚥下機能を評価する嚥下評価装置における嚥下評価プログラムであって、
前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定ステップと、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定ステップにおいて判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御ステップと
を含む嚥下評価プログラム。
【0071】
(付記24)
嚥下動作部の動作情報を生成する検査装置と、前記動作情報を解析する解析装置と、前記動作情報から前記嚥下動作部の嚥下機能を評価する嚥下評価装置とを備える嚥下評価システムであって、
前記検査装置は、
被験者の嚥下動作部から動作情報を生成する動作情報生成部を備え、
前記解析装置は、
前記動作情報生成部が生成する動作情報に基づいて前記嚥下動作部の嚥下時の動作速度を算出する動作速度算出部を備え、
前記嚥下評価装置は、
前記動作速度算出部が算出する前記動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部と、
前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部に表示する表示制御部と
を備える嚥下評価システム。
【0072】
なお、付記24において、検査装置は例えば超音波検査装置10として機能し、解析装置は例えば画像解析装置20として機能し、動作情報生成部は例えば画像生成部11Bとして機能する。
検査装置としては、超音波検査装置10の他、VE、VF、CT、MRIであってもよいし、音や筋電図などを生成する装置であってもよい。
動作情報生成部としては、画像を生成する画像生成部11Bの他、画像以外の図表、文字または数値による動作情報を生成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 嚥下評価システム
10 超音波検査装置
11B 画像生成部
20 画像解析装置
21B 動作速度算出部
30 嚥下評価装置
31B 動作速度判定部
31C 収縮率判定部
31D 表示制御部
【要約】
【課題】被験者の嚥下機能を簡便に定量評価することができる嚥下評価装置、嚥下評価方法、嚥下評価プログラムおよび嚥下評価システムを提供すること。
【解決手段】オトガイ舌骨筋の超音波画像から嚥下機能を評価する嚥下評価装置30であって、前記超音波画像に基づいて算出される前記オトガイ舌骨筋の嚥下時の動作速度が閾値以上であるか否かを判定する動作速度判定部31Bと、前記動作速度が閾値以上であると前記動作速度判定部30が判定した場合に嚥下リスクがあることを表示部33に表示する表示制御部31Dとを備える。
【選択図】
図1