(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20231212BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20231212BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231212BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20231212BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/242
H01M50/209
H01M50/213
(21)【出願番号】P 2022503389
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007725
(87)【国際公開番号】W WO2021172590
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2020034036
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶一
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-283938(JP,A)
【文献】特開2008-251352(JP,A)
【文献】特開2017-004606(JP,A)
【文献】特開2018-032579(JP,A)
【文献】特表2013-538416(JP,A)
【文献】国際公開第2012/066875(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065257(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0064543(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0062967(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部を備える蓄電装置において、
前記蓄電部よりも一方向の前記蓄電部の外側に配置された緩衝部を備え、
前記緩衝部は、互いに離間して設けられ前記蓄電部に対して固定される少なくとも2つの被固定部を有し、
前記少なくとも2つの前記被固定部の間に設けられ前記被固定部よりも前記一方向の前記蓄電部の外側に位置する連結部を有
し、
前記蓄電部とは別体に形成され前記緩衝部よりも前記一方向の外側に配置される筐体部を更に備え、
前記筐体部は、前記連結部の被当接部と当接するよう配置され、
前記被当接部は、互いに離間して少なくとも2つ設けられることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記筐体部は、前記連結部の前記被当接部に対して固定される請求項
1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
蓄電部を備える蓄電装置において、
前記蓄電部よりも一方向の前記蓄電部の外側に配置された緩衝部を備え、
前記緩衝部は、互いに離間して設けられ前記蓄電部に対して固定される少なくとも2つの被固定部を有し、
前記少なくとも2つの前記被固定部の間に設けられ前記被固定部よりも前記一方向の前記蓄電部の外側に位置する連結部を有し、
更に前記蓄電部の前記一方向に対する反一方向の側の端部には、前記蓄電部よりも前記反一方向の前記蓄電部の外側に配置された反一方向側緩衝部が設けられ、
前記反一方向側緩衝部は、互いに離間して設けられ前記蓄電部に対して固定される少なくとも2つの反一方向側被固定部を有し、
前記少なくとも2つの前記反一方向側被固定部の間に設けられ前記反一方向側被固定部よりも前記反一方向の前記蓄電部の外側に位置する反一方向側連結部を有している蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電部の前記一方向の側の端部と、前記一方向に対する反一方向の側の前記連結部の端部との間には、隙間が形成される請求項1
~請求項3のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電部は、蓄電部本体と、前記蓄電部本体の両端に配置される保持部とを有し、
前記少なくとも2つの前記被固定部は、前記保持部に対してそれぞれ一つずつ固定される請求項1~請求項
3のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電部は、積層された複数枚の直方体形状を有する角型セルを有し、前記一方向は前記角型セルの積層方向に対する反積層方向に一致する請求項1~請求項
5のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記蓄電部の前記一方向の側の端部には下側の板状部材が設けられ、
前記緩衝部の前記少なくとも2つの被固定部は、前記下側の板状部材に固定される請求項
1~請求項5のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記蓄電部の前記一方向に対する反一方向の側の端部には、上側の板状部材が設けられ、
前記緩衝部の前記少なくとも2つの被固定部は、前記上側の板状部材に固定される請求項
1~請求項5のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記緩衝部は複数設けられ、前記一方向に対して所定の角度をなす方向に平行に配置されている請求項1~請求項
5のいずれかに記載の蓄電装置。
【請求項10】
蓄電部を備える蓄電装置であって、
前記蓄電部よりも一方向の前記蓄電部の外側に配置された緩衝部を備え、
前記緩衝部は、互いに離間して設けられ前記蓄電部に対して固定される少なくとも2つの被固定部を有し、
前記少なくとも2つの前記被固定部の間に設けられ前記被固定部よりも前記一方向の前記蓄電部の外側に位置する連結部を有し、
前記蓄電部は、積層された複数枚の直方体形状を有する角型セルを有し、前記一方向は前記角型セルの積層方向に対する反積層方向に一致する蓄電装置。
【請求項11】
蓄電部を備える蓄電装置であって、
前記蓄電部よりも一方向の前記蓄電部の外側に配置された緩衝部を備え、
前記緩衝部は、互いに離間して設けられ前記蓄電部に対して固定される少なくとも2つの被固定部を有し、
前記少なくとも2つの前記被固定部の間に設けられ前記被固定部よりも前記一方向の前記蓄電部の外側に位置する連結部を有し、
前記緩衝部は複数設けられ、前記一方向に対して所定の角度をなす方向に平行に配置されている蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動車両等に着脱可能に搭載される蓄電装置としてのバッテリパックとして、セルホルダに保持された複数の電池セルを有するバッテリコアパックと、バッテリコアパックを収容するケースとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の蓄電装置では、ケースの内部でバッテリコアパックを支持する支持フレームを備えている。ケースは、開口部が設けられた外殻ケースと、開口部を覆うトップケースと、を有している。支持フレームは、複数のフレーム部材を有し、複数のフレーム部材は、トップケースと一体化された補強部材に連結される。この構成により、バッテリパックは、軽量で組み付け性及び耐久性に優れる構成とされる。
【0005】
しかし、上記公報に記載の蓄電装置よりも、更にケースの外部からの衝撃の緩和を向上させることが望まれている。
【0006】
本発明は、ケースの外部からの衝撃をより効果的に緩和可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、蓄電部(例えば、後述のバッテリ群16)を備える蓄電装置(例えば、後述のバッテリパック1)であって、前記蓄電部よりも一方向の前記蓄電部の外側に配置された緩衝部(例えば、後述のアタッチメントプレート70)を備え、前記緩衝部は、互いに離間して設けられ前記蓄電部に対して固定される少なくとも2つの被固定部(例えば、後述の被固定部71)を有し、前記少なくとも2つの前記被固定部の間に設けられ前記被固定部よりも前記一方向の前記蓄電部の外側に位置する連結部(例えば、後述の連結部72)を有する蓄電装置を提供する。
【0008】
これにより、蓄電装置の一方向の外側から外力が作用するときに、被固定部よりも連結部に先に外力が入力される。このため、蓄電部への外力による衝撃の入力(伝達)を低減(抑制)することが可能である。
【0009】
この場合、前記蓄電部の前記一方向の側の端部と、前記一方向に対する反一方向の側の前記連結部の端部との間には、隙間(例えば、後述の隙間75)が形成されることが好ましい。
【0010】
これにより、隙間を利用して緩衝部が変形できるため、蓄電部への外力の入力を、より低減可能である。また、当該間隙にナット等を配置ざせる等の他用途に活用することが可能となる。
【0011】
この場合、前記蓄電部とは別体に形成され前記緩衝部よりも前記一方向の外側に配置される筐体部(例えば、後述のボトムケース24)を更に備え、前記筐体部は、前記連結部の被当接部(例えば、後述の被当接部721)と当接するよう配置されることが好ましい。
【0012】
これにより、筐体部に入力された外力を、確実に緩衝部に伝達することが可能となり、蓄電部への外力の伝達を低減することが可能となる。
【0013】
この場合、前記筐体部は、前記連結部の前記被当接部に対して固定されることが好ましい。これにより、緩衝部を、筐体部への蓄電部の固定に活用可能である。
【0014】
この場合、前記被当接部は、互いに離間して少なくとも2つ設けられることが好ましい。これにより、少なくとも2つの被当接部の間を、緩衝空間(連結部が変形する部分)として利用することが可能となる。
【0015】
この場合、前記蓄電部は、蓄電部本体(例えば、後述の電池セル80)と、前記蓄電部本体の両端に配置される保持部(例えば、後述のセルホルダ82)とを有し、前記少なくとも2つの前記被固定部は、前記保持部に対してそれぞれ一つずつ固定されることが好ましい。
【0016】
これにより、緩衝部を、一対の保持部を連結することに利用することが可能となる。
【0017】
この場合、前記緩衝部は、更に前記蓄電部の前記一方向(例えば、後述の上方向)に対する反一方向(例えば、後述の下方向)の側の端部に設けられていることが好ましい。
【0018】
これにより、蓄電装置の上部に何かが衝突したことによる蓄電装置の上方からの衝撃は、筐体部を介して、連滅部の被固定部に伝達される。このとき、緩衝部が弾性的に変形して衝撃荷重を緩和する。これにより、衝撃が蓄電部に伝達されることが抑制され、蓄電部の保護を図ることが可能である。
【0019】
この場合、前記蓄電部は、積層された複数枚の直方体形状を有する角型セル(例えば、後述のバッテリセル80A)を有し、前記一方向は前記角型セルの積層方向(例えば、後述の上方向)に対する反積層方向(例えば、後述の下方向)に一致することが好ましい。
【0020】
これにより、蓄電部の積層方向における下端部に緩衝部を設けて、蓄電部において蓄電部本体の積層方向に膨張したときの蓄電部本体の撓みを、緩衝部が変形することにより、筐体部が、蓄電部本体の撓みに沿って変形することを緩和することが可能となる。
【0021】
この場合、前記蓄電部の前記一方向の側の端部には下側の板状部材(例えば、後述のエンドプレート83A)が設けられ、前記緩衝部の前記少なくとも2つの被固定部は、前記下側の板状部材に固定されることが好ましい。
【0022】
これにより、蓄電部本体の積層方向への蓄電部本体の膨張による板状部材の撓みを、緩衝部が変形することにより、下側の筐体部が、板状部材の撓みに沿って変形することを緩和することが可能となる。
【0023】
この場合、前記蓄電部の前記一方向に対する反一方向の側の端部には、上側の板状部材(例えば、後述のエンドプレート83A)が設けられ、前記緩衝部の前記少なくとも2つの被固定部は、前記上側の板状部材に固定されることが好ましい。
【0024】
これにより、蓄電部本体の積層方向への蓄電部本体の膨張による板状部材の撓みを、緩衝部が変形することにより、上側の筐体部が、板状部材の撓みに沿って変形することを緩和することが可能となる。
【0025】
この場合、前記緩衝部は複数設けられ、前記一方向に対して所定の角度をなす方向(例えば、後述の水平方向)に平行に配置されていることが好ましい。
【0026】
これにより、一対の緩衝部で、バランスよく蓄電部への外力による衝撃の入力(伝達)を低減(抑制)することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ケースの外部からの衝撃をより効果的に緩和可能な蓄電装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックの下部を示す拡大断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックにおいて衝撃を受ける前の様子を説明する図である。
【
図5】本発明の第1実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックにおいて衝撃を緩和する様子を説明する図である。
【
図6】本発明の第2実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックを示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックの下部を示す拡大断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックにおいて、セルの反力が発生する前の様子を説明する図である。
【
図9】本発明の第2実施形態としての蓄電装置であるバッテリパックにおいて、セルの反力が発生したときに反力による影響を緩和する様子を説明する図である。
【
図10】本発明の第1実施形態としての蓄電装置におけるアタッチメントプレートと、本発明の第2実施形態としての蓄電装置におけるアタッチメントプレートとが、共通の構成であることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、バッテリパック1を示す斜視図である。
図2は、バッテリパックfを示す分解斜視図である。
図3は、バッテリパック1の下部を示す拡大断面図である。なお、
図2においては、後述の外殻ケース26の図示を省略している。
以下、
図1に示す上側(ハンドル42が設けられている側)を上側と定義し、その反対側(
図1に示す下側)を下側と定義して説明する。
【0030】
蓄電装置としての可搬型のバッテリパック1は、例えば、電動アシスト自転車や、電動バイク、等に着脱可能に搭載される携帯式の駆動用電源に好適に適用される。蓄電装置としてのバッテリパック1は、概略直方体の外装体をなす蓄電池ケース10と、蓄電池ケース10の内部に収容された蓄電部としてのバッテリ群16と、蓄電部よりも下方向の、蓄電部の外側に配置されたアタッチメントプレート70と、を備えている。
【0031】
蓄電池ケース10は、バッテリコアパック14a、14bを収容する。蓄電池ケース10は、例えば、アルミニウム等の金属や、樹脂(繊維強化樹脂を含む)等から形成することができる。蓄電池ケース10は、ボトムケース24と、外殻ケース26と、トップケース28と、を有する。
【0032】
ボトムケース24は、バッテリ群16とは別体で構成され、バッテリ群16よりも外側であってバッテリ群16の下側に配置されて上端が開口する筐体であり、平面視で長方形状を有している。長方形状のボトムケース24の内側の一対の辺の近傍の部分には、上側に向かって突出する円筒形状の突起部32が一対設けられている。突起部32の先端部には、ボルト68の軸部が上下方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。また、ボトムケース24の内部には、コネクタ部33等が収容されている。
【0033】
コネクタ部33は、例えば、ボトムケース24の底壁に形成された図示しない貫通孔等を介してケース12の外部に露出し、電動車両の電力供給口、又はバッテリ群16を充電するための充電装置に対して電気的に接続可能である。コネクタ部33が電力供給口又は充電装置に接続されることにより、電力供給口又は充電装置とバッテリ群16とが、BMU22を介して電気的に接続される。
【0034】
外殻ケース26(
図1参照)は、四角筒形状を有しており、バッテリ群16の側面を覆っている。外殻ケース26の上端は、上側開口部26aにおいて上方に向かって開口し、外殻ケース26の下端は、下側開口部26bにおいて下方に向かって開口している。下側開口部26bがボトムケース24により覆われ、且つ上側開口部26aがトップケース28により覆われた状態で、外殻ケース26の内部空間に、バッテリ群16、アタッチメントプレート70、BMU22等が収容される。
【0035】
トップケース28は、バッテリ群16とは別体で構成され、バッテリ群16よりも外側であってバッテリ群16の上側に配置されて下端が開口する筐体であり、平面視で長方形状を有している。長方形状のトップケース28の内側の一対の辺の近傍の部分には、下側に向かって突出する円筒形状の図示しない突起部が一対設けられている。図示しない突起部の先端部には、ボルト68の軸部が上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0036】
また、
図1に示すように、トップケース28の上面28aには、ハンドル42が接続されている。ハンドル42は、例えば、バッテリパック1を持ち運ぶ際等に、使用者により把持される。
【0037】
バッテリ群16を構成する2つのバッテリコアパック14a、14bは、互いに鏡対称に構成されている。このため、以下の説明においては、主として一方のバッテリコアパック14aのみ説明し、他方のバッテリコアパック14bの説明は省略する。バッテリコアパック14a、14bを個別に区別しないときには、2つのバッテリコアパック14a、14bを総称してバッテリコアパック14と呼ぶ。
【0038】
図2に示すように、バッテリコアパック14aは、複数の電池セル80と、電池セル80を保持する保持部としての2つのセルホルダ82(正極側ホルダ82a、負極側ホルダ82b)とを有する。セルホルダ82の外形は直方体形状を有している。電池セル80は、例えば、円柱状であり、軸方向の両端部に正極端子86及び負極端子88がそれぞれ設けられている。電池セル80としては、リチウムイオン二次電池が好ましいが、特にこれに限定されず、例えば、全固体電池や、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の二次電池を用いてもよい。
【0039】
複数の電池セル80は、それぞれの正極端子86が互いに面一に配置され、且つそれぞれの負極端子88が互いに面一に配置される。複数の電池セル80の周面同士の間には、絶縁樹脂等からなる図示しないポッティング材が充填されてもよい。
【0040】
また、正極端子86と、負極端子88とのそれぞれを覆うように、複数のバスバープレート100(
図2参照)が設けられている。一方のバッテリコアパック14aの負極端子88側と、他方のバッテリコアパック14bの正極端子86側とが互いに対向し、2個のバッテリコアパック14a、14bが連結されてバッテリ群16が形成されている。
【0041】
一方のバッテリコアパック14aの各正極端子86と、他方のバッテリコアパック14bの各負極端子には、バスバープレート100がそれぞれ対向している。バスバープレート100は、正極端子86同士又は負極端子88同士を所定の個数ずつ並列に接続する。複数のバスバープレート100は、互いに直列に接続された状態でBMU22を介してコネクタ部33に接続される。
【0042】
バッテリ群16の外側寄りに位置する複数のバスバープレート100の更に外側には、高熱伝導材により構成される伝熱シート84が設けられている。伝熱シート84は、バスバープレート100に対向する表面が面接触する。これによりバスバープレート100と外殻ケース26との熱的接続が確立されて、効果的な放熱が行われる。
【0043】
図2に示すようにBMU22は、バッテリコアパック14a、14b下側に配置されている。BMU22は、例えば、バッテリコアパック14の充放電の制御を行う制御部と、電動車両及び充電装置と通信を行う通信部と、電池セル80の温度や電圧等から検出したバッテリコアパック14の状態を記憶する記憶部とを有する。
【0044】
アタッチメントプレート70は、
図2等に示すように、上下方向に直交する方向である水平方向に、平行に配置された二対で計4つの長方形状の板状の金属板により構成されている。アタッチメントプレート70の長手方向における両端部は被固定部71を構成し、一対の被固定部71の間のアタッチメントプレート70の部分は連結部72を構成する。従って連結部72は、2つの被固定部71の間を、連結部72を介して互いに離間して設けられている。被固定部71と連結部72との間の部分は、アタッチメントプレート70を構成する長方形状の板状の金属板が、被固定部71からバッテリコアパック14の外方へ折り曲げられ、更に、被固定部71に平行に折り曲げられて連結部72と一体的に接続されている屈曲部73を構成する。
【0045】
バッテリ群16の上側の各アタッチメントプレート70の一対の被固定部71(
図3等参照)は、バッテリ群16の中央に対する外側寄りのセルホルダ82(バッテリコアパック14aのセルホルダ82a、バッテリコアパック14bのセルホルダ82b)の上端面にそれぞれボルト68により一つずつ固定されている。また、バッテリ群16の下側の各アタッチメントプレート70の一対の被固定部71は、バッテリ群16の中央に対する外側寄りのセルホルダ82(バッテリコアパック14aのセルホルダ82a、バッテリコアパック14bのセルホルダ82b)の下端面にそれぞれボルト68により一つずつ固定されている。これにより、アタッチメントプレート70は、鏡対称に構成された、バッテリ群16を構成する2つのバッテリコアパック14a、14bの、バッテリ群16の外側寄りのセルホルダ82a、82bに跨るようにして、セルホルダ82a、82bに固定されている。即ち、アタッチメントプレート70は、バッテリ群16の上方向の側の端部と、バッテリ群16の下方向の側の端部とに設けられて、鏡対称に配置された一対のセルホルダ82を連結する。
【0046】
アタッチメントプレート70は、前述のように屈曲部73を有しているため、バッテリ群16の下側において連結部72は、被固定部71よりも下方向の、バッテリ群16の外側に位置している。また、屈曲部73を有しているため、バッテリ群16の下端部であるBMU22の下端部と、上方向の側の連結部72の端部、即ち、連結部72の上端部との間には、
図3等に示すように、隙間75が形成されている。
【0047】
同様に、アタッチメントプレート70は、前述のように屈曲部73を有しているため、バッテリ群16の上側において連結部72は、被固定部71よりも上方向の、バッテリ群16の外側に位置している。また、屈曲部73を有しているため、バッテリ群16の上端部であるバッテリ群16の中央寄りのセルホルダ82(バッテリコアパック14aのセルホルダ82b、バッテリコアパック14bのセルホルダ82a)の上端部と、下方向の側の連結部72の端部、即ち、連結部72の下端部との間には図示しない隙間が形成されている。
【0048】
バッテリ群16の下側において連結部72は、ボトムケース24の一対の突起部32にそれぞれ当接しており、突起部32の貫通孔及び連結部72がボルト68によって貫通されボルト68がナット69に螺合することにより、ボトムケース24に固定されている。ボトムケース24の一対の突起部32にそれぞれ当接する連結部72の部分は、被当接部721を構成し、ボトムケース24の一対の突起部32は互いに離間して2つ設けられているため、被当接部721も同様に、互いに離間した位置関係で2つ設けられている。
【0049】
同様に、バッテリ群16の上側において連結部72は、トップケース28の図示しない一対の突起部にそれぞれ当接しており、図示しない突起部の貫通孔及び連結部72がボルトによって貫通されることにより、トップケース28に固定されている。トップケース28の一対の突起部にそれぞれ当接する連結部72の部分は、図示しない被当接部を構成し、トップケース28の一対の突起部32は、互いに離間して2つ設けられているため、図示しない被当接部も同様に、互いに離間した位置関係で2つ設けられている。
【0050】
上記の構成の本実施形態に係るバッテリパック1を持ち運び中に、誤ってバッテリパック1を落下させた際には、
図4において矢印で示すように、落下時の衝撃は、ボトムケース24を介して、連結部72の被当接部721に伝達される。このとき、
図5に示すおいて矢印で示すように、反力を受けて屈曲部73が弾性的に変形して衝撃荷重を緩和する。これにより、衝撃がバッテリ群16に伝達されることが抑制され、バッテリ群16の保護が図られる。
図4は、バッテリパック1において衝撃を受ける前の様子を説明する図である。
図5は、バッテリパック1において衝撃を緩和する様子を説明する図である。
【0051】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、バッテリ群16よりも下方向のバッテリ群16の外側に配置されたアタッチメントプレート70を備え、アタッチメントプレート70は、互いに離間して設けられバッテリ群16に対して固定される2つの被固定部71を有し、2つの被固定部71の間に設けられ被固定部71よりも下方向のバッテリ群16の外側に位置する連結部72を有する。
【0052】
これにより、バッテリパック1の下方向の外側から外力が作用するときに、被固定部71よりも連結部72に先に外力が入力される。このため、バッテリ群16への外力による衝撃の入力(伝達)を低減(抑制)することが可能である。
【0053】
また、本実施形態では、バッテリ群16の下方向の側の端部であるBMU22の下端部と、上方向の側の連結部72の端部との間には、隙間75が形成されている。これにより、この隙間75を利用してアタッチメントプレート70が変形できるため、バッテリ群16への外力の入力を、より低減可能である。また、当該隙間75にナット69等を配置ざせる等の他用途に活用することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、バッテリ群16とは別体に形成されアタッチメントプレート70よりも下方向の外側に配置されるボトムケース24を備え、ボトムケース24は、連結部72の被当接部721と当接するよう配置されている。これにより、ボトムケース24に入力された外力を、確実にアタッチメントプレート70に伝達することが可能となり、バッテリ群16への外力の伝達を低減することが可能である。
【0055】
また、本実施形態では、ボトムケース24は、連結部72の被当接部721に対して固定される。これにより、緩衝部70を、ボトムケース24へのバッテリ群16の固定に活用可能である。
【0056】
また、本実施形態では、被当接部721は、互いに離間して2つ設けられる。これにより、2つの被当接部721の間を、緩衝空間(連結部72が変形する部分)として利用することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、バッテリ群16は、電池セル80と、電池セル80の両端に配置されるセルホルダ82(バッテリコアパック14aのセルホルダ82a、バッテリコアパック14bのセルホルダ82b)とを有し、2つの被固定部71は、これらのセルホルダ82a、82bに対してそれぞれ一つずつ固定される。これにより、アタッチメントプレート70を、一対のセルホルダ82を連結することに利用することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、緩衝部70は、バッテリ群16の上方向の側の端部に設けられている。これにより、バッテリパック1の上部に何かが衝突したことによるバッテリパック1の上方からの衝撃は、トップケース28を介して、連滅部の被固定部71に伝達される。このとき、屈曲部73が弾性的に変形して衝撃荷重を緩和する。これにより、衝撃がバッテリ群16に伝達されることが抑制され、バッテリ群16の保護を図ることが可能である。
【0059】
また、本実施形態では、アタッチメントプレート70は複数設けられ、下方向に対して所定の角度をなす方向である水平方向に平行に配置されている。これにより、一対のアタッチメントプレート70で、バランスよくバッテリ群16への外力による衝撃の入力(伝達)を低減(抑制)することが可能となる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るバッテリパック1Aは、第1実施形態に係るバッテリパック1と比べて、バッテリ群16Aの構成が異なる。このため、アタッチメントプレート70が固定されるバッテリ群16Aの部分も異なる。
図6は、バッテリパック1Aを示す分解斜視図である。
図7は、バッテリパック1Aの下部を示す拡大断面図である。なお、
図6においては、外殻ケース26の図示を省略している。
【0061】
バッテリ群16Aは、複数の直方体形状の角型のバッテリセル80Aを有しており、積層された複数の直方体形状の角型のバッテリセル(角型セル)80Aの一対の側面が、一対の板状のバインドバー82Aにより保持され、上下の端部にはそれぞれエンドプレート83Aが配置されて、バッテリ群16Aの全体は四角柱形状とされている。積層された複数のバッテリセル80Aの他の一対の側面のうちの一方には、長方形状の伝熱シート84Aが設けられてバッテリセル80Aの放熱が行われるように構成されており、また、当該他の一対の側面のうちの他方には、バスバープレート100Aが設けられたBMU22Aが配置され、バスバープレート100Aがバッテリセル80Aのプラス電極、マイナス電極にそれぞれ接続されている。
【0062】
角型のバッテリセル80Aは、板状のバッテリ素子が樹脂等のパッケージで覆われ、マイナス電極およびプラス電極が設けられた直方体形状を有する板状部材である。バッテリ群16Aにおいては、バッテリモジュールを構成するため、バスバープレート100Aによる直列接続を行うため、積層方向に隣接するバッテリセル80Aの天地方向は、互いに逆向きとされている。
【0063】
一対のバインドバー82Aは、ボルト68によってエンドプレート83Aに固定されている。また、アタッチメントプレート70の両端部の被固定部71は、ボルト68によって、バッテリセル80Aと同様の形状の直方体形状の板状の部材であるエンドプレート83Aの上面及び下面(バッテリ群16の上側においては、エンドプレート83Aの上面、バッテリ群16の下側においては、エンドプレート83Aの下面)の隣り合う角部に、それぞれ固定されている。
図6に示すように、バインドバー82Aがボルト68によって固定されているエンドプレート83Aの部分は、アタッチメントプレート70の両端部の被固定部71がボルトによって固定されているエンドプレート83Aの部分の間の部分である。
【0064】
上記の構成の本実施形態に係るバッテリパック1Aを持ち運び中に、誤って落下させた際には、第1実施形態によるバッテリパック1と同様に、落下時の衝撃は、バッテリ群16に伝達されることが抑制され、バッテリ群16の保護が図られる。
また、バッテリ群16Aは、バッテリセル80Aが積層されて構成されているため、バッテリセル80Aが充電を繰り返し、劣化することにより、積層されたバッテリセル80Aの全体が、バッテリセル80Aの積層方向に膨張する。このとき、バッテリ群16Aの上端部及び下端部を構成するエンドプレート83Aも、
図8に示す状態から、
図9に示す矢印の方向への膨張に伴い変形して撓むのであるが、この撓みを、
図9に示すようにアタッチメントプレート70が変形することにより、トップケース28やボトムケース24が、エンドプレート83Aの撓みに沿って変形することを緩和する。
図8は、バッテリパック1Aにおいて、バッテリセル80Aの反力が発生する前の様子を説明する図である。
図9は、バッテリパック1において、バッテリセル80Aの反力が発生したときに反力による影響を緩和する様子を説明する図である。
【0065】
図10に示すように、アタッチメントプレート70は、第1実施形態におけるアタッチメントプレート70と共通である。このため、アタッチメントプレート70を、第1実施形態におけるバッテリパック1に用いることもでき、また、第2実施形態におけるバッテリパック1Aに用いることもできる。
図10は、バッテリパック1におけるアタッチメントプレート70と、バッテリパック1Aにおけるアタッチメントプレート70とが、共通の構成であることを示す図である。
【0066】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、バッテリ群16は、積層された複数枚の直方体形状を有するバッテリセル80A(角型セル)を有し、下方向はバッテリセル80A(角型セル)の積層方向(上方向)に対する反積層方向である下方向に一致する。これにより、バッテリセル80Aの積層方向における下端部にアタッチメントプレート70を設けて、バッテリ群16Aにおいてバッテリセル80Aの積層方向に膨張したときのバッテリセル80Aの撓みに対して、アタッチメントプレート70が変形することにより、トップケース28やボトムケース24が、バッテリセル80Aの撓みに沿って変形することを緩和することが可能となる。
【0067】
特に、バッテリ群16の下方向の側の端部には、下側のエンドプレート83Aが設けられ、アタッチメントプレート70の2つの被固定部71は、下側のエンドプレート83Aに固定される。またバッテリ群16の上方向の側の端部には、上側のエンドプレート83Aが設けられ、アタッチメントプレート70の2つの被固定部71は、上側のエンドプレート83Aに固定される。このため、バッテリセル80Aの積層方向へのバッテリセル80Aの膨張によるエンドプレート83Aの撓みに対して、アタッチメントプレート70が変形することにより、トップケース28やボトムケース24が、エンドプレート83Aの撓みに沿って変形することを緩和することが可能となる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、本実施形態では、アタッチメントプレート70は、被固定部71、被当接部721をそれぞれ2つずつ有していたが、この構成に限定されない。例えば、アタッチメントプレートは、被固定部、被当接部を3つ以上有していてもよい。
また、第2実施形態では、バッテリセル80Aの積層方向は上方向に一致していたが、この構成に限定されない。
また、第2実施形態では、バッテリセル80Aは角型セルにより構成されたが、この構成に限定されない。バッテリセル80Aに代えて、ラミネートセルにより構成されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、1A…バッテリパック(蓄電装置)
16…バッテリ群(蓄電部)
24…ボトムケース(筐体部)
70…アタッチメントプレート(緩衝部)
71…被固定部
72…連結部
75…隙間
80…電池セル(蓄電部本体)
80A…バッテリセル(角型セル)
82…セルホルダ(保持部)
83A…エンドプレート(板状部材)
721…被当接部