(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】3次元測定装置、及び3次元測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20231212BHJP
G01B 11/26 20060101ALI20231212BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B11/26 H
G01B11/00 A
(21)【出願番号】P 2022504353
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2021007731
(87)【国際公開番号】W WO2021177236
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020037898
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】太田 悠介
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/028489(WO,A1)
【文献】特開2015-038466(JP,A)
【文献】特開2017-010327(JP,A)
【文献】特開2014-240800(JP,A)
【文献】特開2008-246631(JP,A)
【文献】特開2015-045587(JP,A)
【文献】特開平11-252587(JP,A)
【文献】特開平02-181880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
G01B 11/26
G01B 11/00
G01C 3/06
G01S 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを撮像して3次元情報を取得する3次元センサと、
取得された前記3次元情報に基づいて前記ワークにおける
前記3次元センサに近い距離の点を高さ方向の基準となる基準位置、
前記基準位置
に基づいて階調画像における階調度の
前記3次元センサに向かう前記高さ方向の
第1マージン、
及び前記基準位置に基づいて前記3次元センサから離れる前記高さ方向の第2マージンを設定して、前記階調画像の前記階調度に対応する
前記第1マージンから前記第2マージンの距離範囲を設定する設定部と、
前記距離範囲に基づいて、取得された前記3次元情報を前記階調画像に変換する画像変換部と、
前記階調画像を用いて前記ワークの形状
又は位置姿勢を3次元的に求める検出部と、
を備える3次元測定装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記階調画像の前記階調度を用いてヒストグラムを生成し、生成された前記ヒストグラムに基づいて前記ワークの形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める、請求項1に記載の3次元測定装置。
【請求項3】
前記ワークの形状は、前記ワークの表又は裏である、請求項1又は請求項2に記載の3次元測定装置。
【請求項4】
3次元センサでワークを撮像して3次元情報を取得し、
取得された前記3次元情報に基づいて前記ワークにおける
前記3次元センサに近い距離の点を高さ方向の基準となる基準位置、
前記基準位置
に基づいて階調画像における階調度の
前記3次元センサに向かう前記高さ方向の
第1マージン、
及び前記基準位置に基づいて前記3次元センサから離れる前記高さ方向の第2マージンを設定して、前記階調画像の前記階調度に対応する
前記第1マージンから前記第2マージンの距離範囲を設定し、
前記距離範囲に基づいて、取得された前記3次元情報を前記階調画像に変換し、
前記階調画像を用いて前記ワークの形状
又は位置姿勢を3次元的に求める
3次元測定方法。
【請求項5】
前記階調画像の前記階調度を用いてヒストグラムを生成し、
生成された前記ヒストグラムに基づいて前記ワークの形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める、請求項4に記載の3次元測定方法。
【請求項6】
前記ワークの形状は、前記ワークの表又は裏である、請求項4又は請求項5に記載の3次元測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元測定装置、及び3次元測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステレオカメラ等の3次元センサでワークを撮像することで3次元情報を取得し、得られた3次元情報を処理することで、ワークの形状や位置姿勢を3次元的に求めることができる。しかしながら、3次元情報による物体認識は、計算量が多く、処理に時間が掛かるという問題がある。例えば、予め教示したワークの3次元形状を示すモデルを基にワークを検出する場合、3次元情報とモデルとを比較するため、2次元情報の処理の場合と比べて多大な時間が必要になる。
この点、取得した3次元情報に基づいて算出される距離値を濃淡値に変換し、得られた濃淡画像を基に検出処理を行う技術が知られている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3次元センサから取得した3次元情報に基づいて算出される距離値の濃淡画像では、ワークの高さに応じて濃淡値が変化する。例えば、濃淡画像における濃淡値は、256階調の場合、黒を示す濃淡値「0」、及び白を示す濃淡値「255」それぞれに対応する距離が3次元センサの光軸に対して垂直な平面からの距離に基づいて予め設定されており、当該距離の範囲で距離に応じて濃淡値が変化する。このため、ワークの大きさによっては、前記距離の範囲を超えてしまう場合がある。
図10は、3次元センサを基準にした距離の範囲に収まる大きさのワークの濃淡画像、及び横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムの一例を示す図である。
図11は、3次元センサを基準にした距離の範囲に収まらない大きさのワークの濃淡画像、及び横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムの一例を示す図である。なお、
図10及び
図11では、3次元センサから距離H
1の位置に白の濃淡値「255」が設定され、距離H
2の位置に黒の濃淡値「0」が設定される。また、
図10では、Y軸方向に半円形の溝を有するワークを示す。また、
図11では、
図10のワークと同様の半円形の溝を有し、
図10のワークよりZ軸方向の高さを有するワークを示す。
図10に示すように、ワークの高さが距離H
1と距離H
2との範囲に収まっていることから、ワークの形状を反映した濃淡画像が得られる。
図10の右側は、濃淡画像のうち、濃淡値「1」以下の背景部分(例えば、ワークが配置されたテーブルの領域)を除いたワークの領域における濃淡値のヒストグラムを示す。
一方、
図11に示すように、ワークの上面が距離H
1より3次元センサ側にはみ出していることから、ワークの上面より広い領域が白飛びした濃淡画像が得られる。このため、得られた濃淡画像は、ワークの形状を正しく反映していない。また、
図11の右側のヒストグラムでは、白飛びにより濃淡値「255」の画素数が多くなっている。
このように、同じワーク面でもワークの高さによってヒストグラムが大きく変わってしまうため、予め教示したモデルのヒストグラムとそのまま比較することができず、処理が複雑になることがある。
【0005】
そこで、ワークの高さに応じて階調度を算出するための距離範囲を適切に設定することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の3次元測定装置の一態様は、ワークを撮像して3次元情報を取得する3次元センサと、取得された前記3次元情報に基づいて前記ワークにおける高さ方向の基準となる基準位置、及び前記基準位置を基準にして階調画像における階調度の前記高さ方向のマージンを設定して、前記階調画像の前記階調度に対応する距離範囲を設定する設定部と、前記距離範囲に基づいて、取得された前記3次元情報を前記階調画像に変換する画像変換部と、前記階調画像を用いて前記ワークの形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める検出部と、を備える。
【0007】
(2)本開示の3次元測定方法の一態様は、3次元センサでワークを撮像して3次元情報を取得し、取得された前記3次元情報に基づいて前記ワークにおける高さ方向の基準となる基準位置、及び前記基準位置を基準にして階調画像における階調度の前記高さ方向のマージンを設定して、前記階調画像の前記階調度に対応する距離範囲を設定し、前記距離範囲に基づいて、取得された前記3次元情報を前記階調画像に変換し、前記階調画像を用いて前記ワークの形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、ワークの高さに応じて階調度を算出するための距離範囲を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る3次元測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】基準位置と距離範囲との一例を示す図である。
【
図3】ワークと、距離範囲と、濃淡値との関係の一例を示す図である。
【
図5】濃淡画像のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図6】ワークの裏側が上面として配置された場合の濃淡画像とヒストグラムとの一例を示す図である。
【
図7】3次元測定装置の測定処理について説明するフローチャートである。
【
図8A】3次元センサにより撮像された6個のワークの2次元画像の一例を示す図である。
【
図9A】ワークの表側の濃淡画像のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図9B】ワークの裏側の濃淡画像のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図10】3次元センサを基準にした距離の範囲に収まる大きさのワークの濃淡画像、及び横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムの一例を示す図である。
【
図11】3次元センサを基準にした距離の範囲に収まらない大きさのワークの濃淡画像、及び横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ここでは、階調画像として白黒の濃淡画像を例示する。なお、本発明は、白黒の濃淡画像に限定されず、例えば赤、緑、青のいずれかの色の階調の濃淡画像にも適用可能である。
図1は、一実施形態に係る3次元測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、3次元測定装置10は、3次元センサ101、ワーク検出部102、設定部103、画像変換部104、及び検出部105を備える。
図1に示すように、3次元センサ101は、ワーク20及びワーク20が置かれる載置面30を撮像し、3次元センサ101の光軸に対して垂直な平面とワーク20及び載置面30の表面の各点との間の距離を画素値とする3次元情報を取得する。例えば、
図1に示すように、3次元情報のワーク20の点Aの画素値は、3次元センサ101の3次元座標系(X,Y,Z)のZ軸方向の、3次元センサ101とワーク20の点Aとの間の距離Dである。3次元座標系のZ軸方向は3次元センサ101の光軸方向となる。以下の説明で距離は、3次元センサ101の3次元座標系(X,Y,Z)のZ軸方向の距離をいうものとする。
また、3次元センサ101は、3次元情報とともに、RGB画像等の2次元画像を取得してもよい。
【0012】
ワーク20は検出対象となる物体である。載置面30は例えば、ワーク20が載置されるテーブルの面である。
図1に示すように、ワーク20は3次元センサ101の光軸上に配置されている。ここでは、ワーク20は、Y軸方向に半円形の溝を有する直方体を例示する。
【0013】
3次元センサ101としては、例えば、2つのカメラの画像間でマッチングを行うことで検出対象となるワーク20との間の距離を計測するステレオカメラ、プロジェクタから投影するパターンの画像とカメラの画像との間でマッチングを行うことで検出対象なるワーク20との間の距離を計測するステレオカメラを用いることができる。また、3次元センサ101は、プロジェクタからパターンを投影した条件で、2台のカメラの画像間でマッチングを行うことで検出対象となるワーク20との間の距離を計測するステレオカメラを用いることもできる。
【0014】
ワーク検出部102は、例えば、3次元センサ101により取得された2次元画像と、3次元測定装置10に含まれるHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部(図示しない)に予め記憶されるワーク20の形状を示す2次元モデルと、に基づいて、パターンマッチング等を行い、ワーク20の位置を検出する。
なお、ワーク検出部102は、例えば、3次元センサ101により取得された3次元情報と、3次元測定装置10の記憶部(図示しない)に予め記憶されるワーク20の形状を示す3次元情報と、に基づくパターンマッチング等により、ワーク20の位置を検出してもよい。
【0015】
設定部103は、3次元センサ101により取得された3次元情報と、ワーク検出部102により検出されたワーク20の位置と、に基づいて、ワーク20における高さ方向(Z軸方向)の基準となる基準位置を設定するとともに、Z軸方向に基準位置を含む所定の距離範囲を設定する。
具体的には、設定部103は、例えば、3次元情報におけるワーク20の表面の各点のZ軸方向の距離のうち3次元センサ101に最も近い距離の点をZ軸方向の基準となる基準位置として設定する。
図1の場合、ワーク20の上面の各点が3次元センサ101に最も近い距離となることから、設定部103は、例えば、上面に含まれる点Aを基準位置として設定する。また、設定部103は、
図2に示すように、設定した基準位置を基準にして、後述する画像変換部104により3次元情報から変換される濃淡画像の白の基準となる3次元センサ101側のZ軸方向にマージンD
1と、黒の基準となる3次元センサ101と反対側のZ軸方向にマージンD
2とを設定する。換言すれば、設定部103は、
図3に示すように、Z軸方向に基準位置を含む距離(D-D
1)から距離(D+D
2)の距離範囲に、「255」から「0」の濃淡値を設定する。
【0016】
画像変換部104は、設定部103により設定された距離(D-D
1)から距離(D+D
2)の距離範囲における濃淡値に基づいて、3次元情報におけるワーク20の表面の各点の距離値を濃淡値とした濃淡画像に変換する。
具体的には、画像変換部104は、例えば、
図4Aに示すように、
図3のように設定された濃淡値に基づいて、
図10と同様の形状を有するワーク20の3次元情報を256階調の濃淡画像に変換する。
このように、ワーク20が
図11と同様の形状を有する場合でも、設定部103は、
図4Bに示すように、ワーク20の高さに応じて距離(D’-D
1)と距離(D’+D
2)との距離範囲で階調を適切に設定することができる。これにより、画像変換部104は、3次元情報を白飛びのない濃淡画像に変換することができる。
なお、D’は、3次元センサ101とワーク20の点A’との間のZ軸方向の距離である。そして、
図4Bの距離D’が
図4Aの距離Dと比べて短いため、
図4Bの濃淡画像におけるワーク20が
図4Aと比べて3次元センサ101により大きく撮像される。
【0017】
検出部105は、変換された濃淡画像に対して画像処理を行い、ワーク20の形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める。
具体的には、検出部105は、例えば、変換された濃淡画像のうち、ワーク20に対応する領域の濃淡値を用いて、横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムを生成する。
図5は、
図4Aの濃淡画像のヒストグラムの一例を示す図である。なお、
図5では、濃淡値「1」以下の載置面30の背景を除いたワーク20における濃淡値のヒストグラムを示す。
図5に示すように、ヒストグラムは、
図3に示すように、ワーク20の上面の領域R1の面積が広いため濃淡値が160から165の画素数が最も多い。また、ヒストグラムは、半円形の溝の底の部分に対応する領域R3の面積が次に広いため、濃淡値が85から120の画素数が2番目に多い。一方、
図3に示すように、半円形の溝の側面に対応する領域R2の面積が最も小さいため、濃淡値が120から160の画素数は最も少ない。
検出部105は、生成した
図5のヒストグラムと、3次元測定装置10の記憶部(図示しない)に予め記憶されたワーク20の表側及び裏側の濃淡を示すヒストグラムのモデルとを比較し、載置面30に配置されたワーク20の上面が表側か裏側かを判定し、ワーク20の向きを検出する。
【0018】
図6は、ワーク20の裏側が上面として配置された場合の濃淡画像とヒストグラムとの一例を示す図である。なお、
図6の左側は、ワーク20の上面に設定された基準位置と、マージンD
1、D
2との位置関係を示す。また、
図6の中央は、ワーク20の裏側の濃淡画像を示す。また、
図6の右側は、ワーク20の裏側における横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムを示す。また、
図6のヒストグラムは、
図5の場合と同様に、濃淡値「1」以下の載置面30の背景を除いたワーク20における濃淡値を示す。
図6の中央に示すように、濃淡画像は、ワーク20の裏側が平面のため、凹凸が少なく濃淡が一定の画像を示す。このため、
図6の右側に示すように、ワーク20の裏側のヒストグラムは、濃淡値αの画素のみが分布する。
これにより、
図4A(又は
図4B)及び
図6に示すように、ワーク20の表側と裏側とでヒストグラムの形状が大きく異なるため、3次元測定装置10は、ヒストグラムに基づいて、載置面30上のワーク20が表側か裏側かを判定することができる。
【0019】
図1に示した3次元測定装置10に含まれる3次元センサ101を除く機能ブロックを実現するために、3次元測定装置10は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備えるコンピュータで構成することができる。また、3次元測定装置10は、アプリケーションソフトウェアやOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置も備える。
【0020】
そして、3次元測定装置10において、演算処理装置が補助記憶装置からアプリケーションソフトウェアやOSを読み込み、読み込んだアプリケーションソフトウェアやOSを主記憶装置に展開させながら、これらのアプリケーションソフトウェアやOSに基づいた演算処理を行なう。また、この演算結果に基づいて、3次元測定装置10が備える各種のハードウェアを制御する。これにより、本実施形態の機能ブロックは実現される。すなわち、本実施形態は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0021】
<3次元測定装置10の測定処理>
次に、本実施形態に係る3次元測定装置10の測定処理に係る動作について説明する。
図7は、3次元測定装置10の測定処理について説明するフローチャートである。
【0022】
ステップS11において、3次元センサ101は、ワーク20及びワーク20が置かれる載置面30を撮像し、3次元センサ101とワーク20及び載置面30の表面の各点との間の距離を画素値とする3次元情報、及びRGB画像等の2次元画像を取得する。3次元センサ101は、2次元画像をワーク検出部102に出力し、3次元情報を設定部103に出力する。
【0023】
ステップS12において、ワーク検出部102は、ステップS11で取得された2次元画像と、3次元測定装置10の記憶部(図示しない)に予め記憶されるワーク20の2次元モデルと、に基づいて、パターンマッチング等によりワーク20の位置を検出する。
【0024】
ステップS13において、設定部103は、ステップS11で取得された3次元情報と、ステップS12で検出されたワーク20の位置と、に基づいて、ワーク20におけるZ軸方向の基準となる基準位置、及びマージンD1、D2を設定し、濃淡画像の濃淡値に対応する距離範囲を設定する。
【0025】
ステップS14において、画像変換部104は、ステップS13で設定された距離範囲に基づいて、3次元情報を濃淡画像に変換する。
【0026】
ステップS15において、検出部105は、ステップS14で変換された濃淡画像の濃淡値を用いて、横軸を濃淡値とし縦軸を画素数とするヒストグラムを生成する。
【0027】
ステップS16において、検出部105は、ステップS15で生成されたヒストグラムと、3次元測定装置10の記憶部(図示しない)に予め記憶されたワーク20の表側及び裏側の濃淡値のヒストグラムのモデルとを比較し、載置面30に配置されたワーク20の上面が表側か裏側かを判定し、ワーク20の向きを検出する。
【0028】
以上により、一実施形態に係る3次元測定装置10は、3次元センサ101により撮像されたワーク20の表面の各点までのZ軸方向の距離を含む3次元情報を取得する。3次元測定装置10は、取得された3次元情報に基づいて、ワーク20におけるZ軸方向の基準となる基準位置D、及びマージンD1、D2を設定し、濃淡画像の濃淡値に対応する距離範囲を設定する。これにより、3次元測定装置10は、ワーク20の高さに応じて階調度を算出するための距離範囲を適切に設定することができ、3次元情報の距離値を濃淡値とした白飛びのない濃淡画像に変換することができる。そして、3次元測定装置10は、ワーク20の高さが変わっても濃淡画像における濃淡値が大きく変わらないため、ヒストグラムのような濃淡値を用いて、ワーク20が表側か裏側かを判定し、ワーク20の向きを検出する検出処理を容易に行うことができる。
また、3次元測定装置10は、検出結果に基づいて、例えば、表と裏でワーク20を掴む位置(高さ)が変わるような場合において、ロボットによってワーク20を取出す際、ワーク20の周囲に衝突する可能性のある高さの物体が存在しないか否かを確認することができる。
【0029】
以上、一実施形態について説明したが、3次元測定装置10は、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0030】
<変形例1>
上述の実施形態では、3次元測定装置10は、ワーク20におけるZ軸方向の基準となる基準位置とともに、マージンD1、D2を設定したが、これに限定されない。例えば、基準位置が3次元情報におけるワーク20の表面の各点の距離のうち3次元センサ101に最も近い距離の点に設定されることから、3次元測定装置10は、マージンD2のみ設定してもよい。すなわち、3次元測定装置10は、距離Dから距離(D+D2)の距離範囲に、「255」から「0」の濃淡値を設定してもよい。
【0031】
<変形例2>
また例えば、上述の実施形態では、3次元測定装置10は、ヒストグラムを用いて、ワーク20が表側か裏側かを判定し、ワーク20の向きを検出したが、これに限定されない。例えば、3次元測定装置10は、濃淡画像でのワーク20の各姿勢のモデルを予め記憶部(図示しない)に記憶し、変換された濃淡画像と、記憶された各姿勢のモデルとを形状比較(マッチング)を行い、ワーク20の3次元位置姿勢を求めてもよい。
【0032】
図8Aは、3次元センサ101により撮像された6個のワーク20a(1)-20a(6)の2次元画像の一例を示す図である。
図8Aでは、ワーク20a(1)、20a(3)、20a(5)の表側が上面であり、ワーク20a(2)、20a(4)、20a(6)の裏側が上面である。
図8Bは、
図8Aのワーク20a(1)-20a(6)の濃淡画像を示す。
3次元測定装置10は、例えば、
図8Bの濃淡画像のエッジを基にテープレートマッチングを行うことで、濃淡画像上でワーク20a(1)-20a(6)それぞれの位置姿勢(XYZWPR)を検出することができる。
【0033】
また、3次元測定装置10は、上述のテンプレートマッチングを行った後に、
図9A及び
図9Bに示すヒストグラムを用いてワーク20a(1)-20a(6)それぞれの表裏を判定することで、より正確なワーク20の3次元位置姿勢を求めてもよい。
図9Aは、ワーク20a(1)の表側の濃淡画像のヒストグラムの一例を示す図である。
図9Bは、ワーク20a(2)の裏側の濃淡画像のヒストグラムの一例を示す図である。なお、
図9A及び
図9Bのヒストグラムは、濃淡値が「1」以下(すなわち、載置面30)の背景を除外している。また、ヒストグラムの画素数は、最も多い濃淡値の画素数を「1」として正規化している。
なお、ワーク20a(3)、20a(5)の表側のヒストグラムについても、
図9Aのワーク20a(1)のヒストグラムと同様である。また、ワーク20a(4)、20a(6)の裏側のヒストグラムについても、
図9Bのワーク20a(2)のヒストグラムと同様である。
【0034】
ここで、濃淡画像だけでも向きを含めた姿勢の検出は可能であるが、Z軸周りの回転(R方向)の変化を含めた比較処理を行う必要があるため、処理時間がかかる。一方、ヒストグラムは、
図9A及び
図9Bに示すように、ワークがR方向に変わった場合でも、同様のヒストグラムが得られる。このため、3次元測定装置10は、上述したように、テンプレートマッチングを行った後に、ヒストグラムを用いることで、より正確なワーク20の3次元位置姿勢を短時間で求めることができる。
【0035】
<変形例3>
また例えば、上述の実施形態では、階調画像は、白黒の濃淡画像としたが、これに限定されない。例えば、階調画像は、赤、緑、青のいずれかの色の階調を用いた濃淡画像でもよい。
【0036】
なお、一実施形態における、3次元測定装置10に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0037】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0038】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0039】
以上を換言すると、本開示の3次元測定装置、及び3次元測定方法は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0040】
(1)本開示の3次元測定装置10は、ワーク20を撮像して3次元情報を取得する3次元センサ101と、取得された3次元情報に基づいてワーク20における高さ方向の基準となる基準位置D、及び基準位置Dを基準にして階調画像における階調度の高さ方向のマージンD1、D2を設定して、階調画像の階調度に対応する距離範囲を設定する設定部103と、距離範囲に基づいて、取得された3次元情報を階調画像に変換する画像変換部104と、階調画像を用いてワーク20の形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める検出部105と、を備える。
この3次元測定装置10によれば、ワークの高さに応じて階調度を算出するための距離範囲を適切に設定することができる。
【0041】
(2) (1)に記載の3次元測定装置10によれば、検出部105は、階調画像の階調度を用いてヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムに基づいてワーク20の形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求めてもよい。
そうすることで、3次元測定装置10は、階調画像を用いる場合と比べて、計算量を減らすことができる。
【0042】
(3) (1)又は(2)に記載の3次元測定装置10において、ワーク20の形状は、ワーク20の表又は裏であってもよい。
そうすることで、3次元測定装置10は、ロボットによってワーク20を取出す際、ワーク20の周囲に衝突する可能性のある高さの物体が存在しないか否かを確認することができる。
【0043】
(4)本開示の3次元測定方法は、3次元センサ101でワーク20を撮像して3次元情報を取得し、取得された3次元情報に基づいてワーク20における高さ方向の基準となる基準位置D、及び基準位置Dを基準にして階調画像における階調度の高さ方向のマージンD1、D2を設定して、階調画像の階調度に対応する距離範囲を設定し、距離範囲に基づいて、取得された3次元情報を階調画像に変換し、階調画像を用いてワーク20の形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求める。
この3次元測定方法によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0044】
(5) (4)に記載の3次元測定方法によれば、階調画像の階調度を用いてヒストグラムを生成し、生成されたヒストグラムに基づいてワーク20の形状、及び/又は位置姿勢を3次元的に求めてもよい。
そうすることで、3次元測定方法は、(2)と同様の効果を奏することができる。
【0045】
(6) (4)又は(5)に記載の3次元測定方法において、ワーク20の形状は、ワーク20の表又は裏であってもよい。
そうすることで、3次元測定方法は、(3)と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 3次元測定装置
20 ワーク
30 載置面
101 三次元センサ
102 ワーク検出部
103 設定部
104 画像変換部
105 検出部