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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】共回転スクロール圧縮機における安定性
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
F04C18/02 311C
F04C18/02 311W
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022523196
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 US2019056858
(87)【国際公開番号】W WO2021076143
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】彭 建輝
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 椿
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ハーン
(72)【発明者】
【氏名】ジーン フィールズ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05609478(US,A)
【文献】特開平11-107940(JP,A)
【文献】特開平06-288364(JP,A)
【文献】特開平04-265401(JP,A)
【文献】特開平02-153282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0306964(US,A1)
【文献】米国特許第06030192(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機であって、
円筒形のハウジングと、
前記円筒形のハウジングと係合する下部キャップハウジングと、
主軸に沿って配置された主シャフトと、
前記主軸と位置合わせされた軸を有し、渦巻状のインボリュートを有するドライバスクロールと、
前記主軸からオフセットされた軸を有し、前記ドライバスクロールの前記渦巻状のインボリュートと噛み合うアイドラスクロールプレートに配置された渦巻状のインボリュートを有するアイドラスクロールと、
前記ドライバスクロールと前記アイドラスクロールとの間に配置されたオルダム継手と、
前記アイドラスクロールの軸と位置合わせされた軸を有する、前記下部キャップハウジングに固定されたアイドラスクロールシャフトハブであって、前記アイドラスクロールのハブは、前記下部キャップハウジングに固定された前記アイドラスクロールシャフトハブ上に配置されている、アイドラスクロールシャフトハブと、
各々が内部油路を有する、前記アイドラスクロールプレート上に互いに対向して配置された2つの円弧構造と
前記ドライバスクロールの上方に開口部を有し、前記アイドラスクロールシャフトハブ内の油路に接続された別の開口部を有する給油管と、
前記円弧構造の各内部油路とそれぞれ連通して前記アイドラスクロールプレート内に配置された2つの径方向に延在する通路と、
各々が前記2つの径方向に延在する通路とそれぞれ連通する、前記アイドラスクロールプレート内に配置された2つの軸方向に延在する通路とをさらに備え、
前記給油管と、前記アイドラスクロールシャフトハブ内の前記油路と、前記アイドラスクロールプレート内に配置された前記2つの軸方向に延在する通路のうちの1つの通路と、前記アイドラスクロールプレート内に配置された前記2つの径方向に延在する通路のうちの1つの通路と、前記2つの円弧構造の2つの内部油路のうちの1つの内部油路とは、油流路を構成し、
前記アイドラスクロールシャフトハブと前記アイドラスクロールとの間には、前記アイドラスクロールシャフトハブの上部全体を覆うようにスライダブロックが設けられ、
前記スライダブロックの上部に設けられた軸方向に延在する油計量通路と、
前記スライダブロックの頂面に配置された突起部
を備える、圧縮機。
【請求項2】
前記円弧構造の各々の頂面における各通路の開口部は、前記円弧構造内の前記通路の一部よりもそれぞれ広い、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記径方向に延在する通路の各々はプラグで塞がれている、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項4】
各円弧構造は、前記アイドラスクロールプレートから上方に延在し、前記アイドラスクロールの前記インボリュートの頂面と同じ高さにある頂面を有する、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項5】
各円弧構造の頂面は、前記ドライバスクロールの前記渦巻状のインボリュートが延び始める前記ドライバスクロールのドライバスクロールプレートの底面と同じ高さにある、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記主軸を含む垂直面は、前記円弧構造の各々を二等分する、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項7】
各円弧構造は、前記アイドラスクロールプレートから上方に延在し、前記アイドラスクロールの前記インボリュートの頂面と同じ高さにある頂面を有し、
各円弧構造の前記頂面と、前記アイドラスクロールの前記インボリュートの前記頂面とは、平坦であり、同一平面内にある、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項8】
各円弧構造の外側縁部は、前記アイドラスクロールプレートの外側縁部と同じ径方向距離にあり、
各円弧構造の前記外側縁部は、前記アイドラスクロールプレートの曲率に対応して湾曲しており、
前記アイドラスクロールの前記インボリュートに面する内側縁部は、前記外側縁部の前記湾曲に対応して湾曲している、
請求項に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記アイドラスクロールシャフトハブは、前記給油管に接続される径方向に延在する通路と、前記径方向に延在する通路と連通する軸方向に延在する通路と、前記アイドラスクロールシャフトハブの頂面の開口部とを内部に含む、
請求項に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、共回転スクロール圧縮機の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール圧縮機は、可変冷媒流通(VRF)システムを含む冷媒圧縮用途に広く使用されている。共回転スクロール圧縮機は、ドライバスクロールとアイドラスクロールとを備え、ドライバスクロールとアイドラスクロールの両方は、それらの片側にインボリュート部分を有し、それぞれの他方側にシャフト部分を有する。各インボリュートの中心は、そのそれぞれのシャフト部分の中心にある。ドライバスクロールは、長いシャフトを有することができ、アイドラスクロールは、より短いシャフトまたはシャフト用の軸受ハブを有することができる。いくつかの実装形態では、ドライバスクロールは、圧縮機の中心にあり、すなわち、圧縮機の中心軸または中心線と位置合わせされ、その回転は、ロータおよびステータを含むモータ構成要素によって駆動される。アイドラスクロールは、一列に配置されてもよいが、旋回半径はドライバスクロールからオフセットされている。オルダム継手は、ドライバスクロールとアイドラスクロールとの間に直接配置される。一般に、ドライバスクロールはオルダム継手を回転させ、継手はその後アイドラスクロールを回転させる。両方のスクロールが回転する間、それぞれの間の相対運動は旋回運動であり得る。したがって、一方のインボリュートは、他方のインボリュートに対して旋回する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実装形態は圧縮機用の構成および技術を含み、これは、円筒形のハウジングと、円筒形のハウジングと係合する下部キャップハウジングと、主軸に沿って配置された主シャフトと、主軸と位置合わせされた軸を有し、渦巻状のインボリュートを有するドライバスクロールと、主軸からオフセットされた軸を有し、ドライバスクロールの渦巻状のインボリュートと噛み合うアイドラスクロールプレートに配置された渦巻状のインボリュートを有するアイドラスクロールと、ドライバスクロールとアイドラスクロールとの間に配置されたオルダム継手と、アイドラスクロール軸と位置合わせされた軸を有する、下部キャップハウジングに固定されたアイドラスクロールシャフトハブであって、アイドラスクロールのハブは、下部キャップハウジングに固定されたアイドラスクロールシャフトハブ上に配置されている、アイドラスクロールシャフトハブと、アイドラスクロールプレート上に互いに対向して配置された2つの円弧構造とを備え得る。
【0005】
さらに、いくつかの実装形態は、各々が内部油路を有する、アイドラスクロールプレート上に互いに対向して配置された2つの円弧構造用の構成および技術を含む。
【0006】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。異なる図における同じ参照番号の使用は、類似または同一の項目または特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の断面図の一例を示す図である。
図2】いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面図の一例を示す図である。
図3】いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面の等角図の一例を示す図である。
図4】いくつかの実装形態による圧縮機の下部の断面の上面図の一例を示す図である。
図5】いくつかの実装形態によるアイドラスクロールの上面図の一例を示す図である。
図6】いくつかの実装形態によるアイドラスクロールの斜視図の一例を示す図である。
図7】いくつかの実装形態による圧縮機の比較例の構成要素の特定の力およびモーメントを示す自由体図の一例を示す図である。
図8】いくつかの実装形態による圧縮機の構成要素の力およびモーメントを示す自由体図の一例を示す図である。
図9】いくつかの実装形態による圧縮機の下部の断面の上面図の一例を示す図である。
図10】いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面図の一例を示す図である。
図11】いくつかの実装形態による圧縮機の下部の断面の上面図の一例を示す図である。
図12】いくつかの実装形態による圧縮機の例の構成要素の特定の力およびモーメントを示す自由体図の一例を示す図である。
図13】いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面図の一例を示す図である。
図14】いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面の等角図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ドライバスクロールおよびアイドラスクロールのそれぞれのインボリュートは、動作中に冷媒ガスの三日月形状のポケットを形成する渦巻状のインボリュートの噛み合い対として互いに嵌合する。一般に、動作中、吸引ガスは圧縮機に入り、次いでスクロール対の外側領域に入る。ポケットは、旋回運動が起こるにつれて容量が減少し、これはガスをより高い圧力に圧縮する。いくつかの実装形態では、中央部分の近くで、圧縮ポケットは、ドライバスクロール内の吐出ポートに到達し、高圧ガスは、このポートを通って出る。いくつかの実装形態では、圧縮機は「高圧側」設計であり、吸引ガスが圧縮チャンバに直接入り、圧縮機ハウジング内部の容積の大部分が吐出圧力にある。
【0009】
挑戦的なスラスト力スクロール圧縮機は、アイドラスクロールとドライバスクロールとの間の接触に直面する。ドライバスクロールおよびアイドラスクロールのスクロールインボリュート先端は、互いのインボリュート床に接触することができる。例えば、ドライバスクロールとアイドラスクロールとを一緒に押すために加えられる力は、所与の面積と吐出圧力(Pd)との積と、異なる所与の面積と圧縮された吸引または中間圧力(Pi)との積との組み合わせである。これは軸方向コンプライアンスと呼ばれることがあり、スクロール圧縮機の本質的に動作エンベロープ全体に最適なスラスト力を生み出す。
【0010】
いくつかの実装形態では、スクロールインボリュートは、(プレートの外径よりも)小さい閉鎖直径であり、したがって、接線方向(Ftg)または水平方向成分であり得る発生したガス力のために、スクロールセットの安定性が大きな課題となり得る。動作中、水平方向の力Ftgは、アイドラスクロールおよびドライバスクロールの両方においてオーバーターニングモーメントになる。いくつかの例では、アイドラスクロールの一部であり得るこの接線方向のガス力Ftgに対処するために、2つの円弧構造を、アイドラスクロールのインボリュートの高さと全く同じ高さに機械加工されてもよく、したがって、インボリュートよりも大きな半径でドライバスクロールプレート床との同じ接触にされてもよい。さらに、いくつかの実装形態では、円弧構造は、ドライバスクロールの一部であってもよく、ドライバスクロールのインボリュートの高さと全く同じ高さに機械加工されてもよく、したがって、インボリュートよりも大きな半径でアイドラスクロールプレート床との同じ接触にされてもよい。したがって、以下に説明するように、アイドラスクロールの2つの円弧構造は、動作中の安定性を提供する。
【0011】
スクロール圧縮機技術のいくつかの実装形態では、接線方向のガス力Ftgは、360°の圧縮クランク角では回転しない。接線方向のガス力Ftgは、旋回スクロールと噛み合う固定スクロールを有する圧縮機のように大きさを変化させることができるが、接線方向のガス力Ftgは、本質的にハウジングに対して固定位置にあってもよい。Ftg力は高いピーク値を有するため、安定化円弧構造支持部分は、アイドラスクロールなどの2つのスクロールの一方に位置し、円弧部分構造支持部分の頂面は、他方のスクロール(例えば、ドライバスクロール)のインボリュート先端および/または床面と同じ平面内にあり得る。
【0012】
図1は、いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の断面図の一例を示す図である。圧縮機1の本体またはハウジングは、上部キャップ2、中央シェル(円筒形のハウジング)4、および下部キャップ(下部キャップハウジング)または基部6を含むことができる。これらの構成要素は、部分12および14に示すように、互いに圧入されてもよい。上部キャップ2、中央シェル4、および下部キャップ6は、ほぼ円形の輪郭を有することができる。下部キャップ6は、基本的に、ドライバスクロール50の主軸または中心線であるドライバスクロール軸96に基本的に平行な垂直延在縁部またはリムを有するボウル形状であってもよい。下部キャップ6は、例えば、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80および関連する構成要素などの圧縮機構または圧縮ユニットの構成要素を含むことができる圧縮機の構成要素が組み立てられるかまたは配置される開口端部または開口面を有することができる。中央シェル4は、基本的に、ドライバスクロール軸96に平行な軸を有する円筒形であってもよく、主軸受24などの、主シャフトすなわちドライバスクロールシャフト20上の1つ以上の軸受のボアと同心であってもよい。中央シェル4は、開口上端部および下端部を有する本質的に中空の開口部を有する本質的に円筒形状を有することができ、「ケース」と呼ばれることがあり、シート金属または鋼管などから構成され得る。さらに、上部キャップ2は、本質的に、ドライバスクロール軸96に本質的に平行な垂直縁部またはリムを有するボウル形状であってもよい。下部キャップ6は、組み立て中に適所に押し込まれた圧縮機の構成要素を収容する開口端部または開口面を有する。さらに、いくつかの例では、上部キャップ2、中央シェル4、および下部キャップ6は低炭素鋼で作られてもよく、スクロール圧縮機1は周囲環境から気密にシールされてもよいが、本明細書に記載の技術は、性能を損なうことなく、半気密スクロール設計に適用することもできる。図示のように、ハーメチック端子40は、中央シェル4内に、または代替的に上部キャップ2内に配置されてもよい。
【0013】
いくつかの実装形態では、高チャンバ28などの主フレーム26の上方の圧縮機チャンバ全体は、高圧吐出ガス、モータ構成要素(例えば、モータステータ16およびモータロータ18)、および上部軸受または外側軸受22のアセンブリを含む。このチャンバはまた、本質的に主フレーム26とモータ構成要素(例えば、モータステータ16およびモータロータ18)との間にあってもよい油溜めまたはリザーバ42を収容してもよい。主フレーム26の下方のチャンバは、低圧吸引ガス、圧縮機構(例えば、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80)、1つ以上の径方向コンプライアンス機構(例えば、アイドラスクロール座標軸に対して角度θの駆動平面を有するシャフトピン、対応するスライダブロック264、ならびにアイドラスクロール軸受94およびアイドラシャフトハブ(アイドラスクロールシャフトハブ)260(後述))を含むことができ、軸受を通る自然漏れに起因して圧縮機内に油の一部を含むことができる。いくつかの実装形態では、シャフトシール44が、ドライバスクロールシャフト(主シャフト)20の周りに配置されて、主フレーム26をシールする。
【0014】
また、上部軸受プレート32は、上部軸受22の周囲の部分が上方に広がりながら上部キャップ2に向かって配置されてもよい。上部軸受プレート32は、第1のセットの開口部38および第2のセットの開口部36などの開口部を含むことができる。油分離ドーム34はまた、本質的に上部キャップ2内かつ上部軸受プレート32の上方に配置されてもよい。いくつかの実装形態では、油分離ドーム34は、上部軸受プレート32に接触または接続されてもよい。例えば、ドライバスクロール50を出る吐出ガスは、ガスおよび閉じ込められた油の両方を含んでもよい。油分離ドーム34は、吐出流を逆転させることができ、混合物は、第1のセットの開口部38を通って下方向に出ることができる。吐出取付具10は圧縮機からの圧縮ガスの出口であるため、流体の下向きの流れ方向は逆転し、第2のセットの開口部36を通って流れ排出取付具に到達する。第1のセットの開口部38と第2のセットの開口部36との間の逆流方向のために、流体中の閉じ込められた油の大部分はガスから分離され得る。
【0015】
下部キャップ6には、冷媒ガスまたは液体とガスとの混合物を吸引するための吸引入口8が配置されてもよく、吐出取付具10が上部キャップ2内に配置されてもよい。図1に示す例では、冷媒は圧縮チャンバに直接吸引され、ドライバスクロール50とアイドラスクロール80とのインボリュートの噛み合いによって2つのポケットが同時に形成されてもよく、下部ハウジングの内部の大部分は、共回転スクロール圧縮機の「低圧側」として知られ得る吸引圧力にある。
【0016】
ドライバスクロールシャフト20は、ドライバスクロール軸96と位置合わせされ、上述したように、ドライバスクロール軸96がステータ16の内側で動作するロータ18によって非常に高速まで回転され得るように、少なくとも主軸受24および上部軸受22によって担持されてもよい。下部軸受すなわちアイドラスクロール軸受94は、アイドラシャフトハブ260の周りに配置されてもよい。また、主フレーム26は、中央シェル4の内部に圧入されていてもよい。主軸受24は主フレーム押圧直径と同心であるため、ドライバスクロールシャフト20はステータ16と同心に位置合わせされる。動作時に、ステータ16は磁場を与え、その結果、ロータ18はスピンし、圧縮ユニット、例えば、動作時にドライバスクロール50の渦巻状のインボリュートとアイドラスクロール80の渦巻状のインボリュートとの噛み合いによって形成されるガスの圧縮ポケット、におけるガスを圧縮するための高出力を生成する。いくつかの実装形態では、モータ(例えば、ロータ18およびステータ16)は、ステータ16、ならびに永久磁石を有するロータ18の特別な巻線設計を含んでもよい。
【0017】
図1に示され、以下でさらに詳細に説明されるように、いくつかの実装形態では、シールプレート60がドライバスクロールプレート52の上部に配置されてもよい。いくつかの実装形態では、ドライバスクロール50とアイドラスクロール80との間にオルダム継手70を配置することができ、アイドラスクロール80の下方にスラストプレート66を配置することができる。さらに、いくつかの例では、シールプレート60は、4つの等間隔のショルダボルトなどのボルト62によってスラストプレート66に取り付けられる。また、圧縮機1は、主フレーム26の上方の高圧側から吐出圧油を供給する給油管92を備えてもよい。
【0018】
さらに、いくつかの実装形態では、アイドラスクロールプレート82のそれぞれの円弧部分の周りに2つ以上の円弧構造86を配置することができる。他の実装形態では、ドライバスクロールプレート52のそれぞれの円弧部分の周りに円弧構造86を配置することができる。円弧構造86については、以下でより詳細に説明する。
【0019】
図2は、いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面図の一例を示す図である。図2に示すように、少なくともドライバスクロール50およびアイドラスクロール80を含んでもよい圧縮機構は、主フレーム26の下方に配置される。ドライバスクロール50は、ドライバスクロールプレート52の底面または下面であるドライバスクロールインボリュート床53から下方に延在する渦巻状のインボリュート54を含む。アイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84は、アイドラスクロールプレート82の頂面または上面であるアイドラスクロールインボリュート床81から上方に延在する。渦巻状のインボリュート84は、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54と噛み合っている。上述したように、ドライバスクロール50の軸は、圧縮機のドライバスクロール軸96上にあり、いくつかの実装形態では、少なくとも上部軸受22、ステータ16、ロータ18、および主軸受24に位置合わせされる。いくつかの例によれば、アイドラスクロール軸98は、(図1に示すように)ドライバスクロール軸96からオフセットされ、アイドラスクロールの渦巻状のインボリュート84およびドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54の旋回半径に等しい距離に配置されてもよい。
【0020】
さらに、いくつかの実装形態では、2つ以上の円弧構造86は、アイドラスクロール80の本質的に円形のアイドラスクロールプレート82のそれぞれの円弧部分の周りに配置されてもよく、ドライバスクロールプレート52に向かって上方に延在してもよい。さらに、いくつかの実装形態では、2つ以上の円弧構造86は、ドライバスクロール50の基本的に円形のドライバスクロールプレート52のそれぞれの円弧部分の周りに配置されてもよく、アイドラスクロールプレート82に向かって下方に延在してもよい。円弧構造86については、以下でより詳細に説明する。
【0021】
圧縮機1はまた、圧縮ガスを排出するためにドライバスクロール50に配置された吐出ポート202または孔を含むことができる。いくつかの実装形態では、主軸受24は、シャフトシール44の下方かつスラストワッシャ212の上方に配置され、ドライバスクロール50の負荷は、主軸受24によって主に支持されてもよい。スラストワッシャ212は、ドライバスクロールプレート52と主フレーム26との間に配置されてもよい。
【0022】
いくつかの実装形態では、図2に示すように、オルダム継手70は、各スクロール部材(例えば、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80)の間に直接配置されてもよく、アイドラスクロールプレート82上に載置されてもよい。オルダム継手70の軸キーは、ドライバスクロール50とアイドラスクロール80との間に係合されてもよく、一般に、ドライバスクロールシャフト20が回転すると、ドライバスクロール50がオルダム継手70を回転させ、次いで、オルダム継手70がアイドラスクロール80を回転させる。オルダム70継手は、ドライバスクロール50からアイドラスクロール80に運動を伝達する。したがって、動作中、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80が回転する間、各々の間の相対運動は、円軌道運動である。したがって、動作中、一方のインボリュートは、他方のインボリュートに対して旋回する。
【0023】
いくつかの実装形態では、アイドラスクロール80は、本質的に円筒形であり、開口底部を有し、アイドラスクロールプレート82の底面(または下面)83から下方に延延在するアイドラスクロールハブ256を含む。アイドラスクロールハブ5は、アイドラスクロール軸受94の周りに配置されてもよい。さらに、アイドラスクロールハブ256およびアイドラスクロール軸受94は、オフセットされたアイドラスクロール軸98と位置合わせされてもよい。いくつかの実装形態では、アイドラスクロール80の負荷は、主にアイドラスクロール軸受94によって担持され、アイドラスクロール軸受は、アイドラスクロールハブ256に押し込まれ、本質的に固定されたスライダブロック264の周りを回転してもよい。スライダブロック264は、コンプライアントシャフトジャーナルとして機能し、アイドラ軸座標に対して駆動角度θで配置された駆動平面(後述)を有し、これはFtg(接線方向ガス)ベクトルからの適切なフランク接触力を効果的に加えて漏れを最小限に抑える。
【0024】
以下でさらに詳細に説明するように、アイドラスクロール軸受94およびスライダブロック264駆動平面上のクラウンは、油で潤滑される。スライダブロック264は、いくつかの実装形態では、アイドラスクロール軸受94のためのジャーナルを形成する焼結され、硬化され、研削された構成要素であってもよい。図2は、いくつかの例では、アイドラシャフトハブ260の下部または基部は、抵抗溶接によって、例えば下部キャップ6に溶接されてもよく、溶接されるように下方に延在する1つ以上の突起部258を有してもよいことをさらに示す。いくつかの実装形態では、アイドラスクロールハブ256、スライダブロック264、およびアイドラスクロール軸受94はそれぞれ、アイドラシャフトハブ260と本質的に位置合わせされている。さらに、スライダブロックシール262は、スライダブロック264の下部に配置されてもよく、アイドラシャフトハブ260の基部の上面にシールを形成してもよい。スライダブロックシール262は、圧縮機の低圧側に入る油の量を制御するとともに、アイドラシャフトハブ260に対するスライダブロック264の安定化負荷を画定してもよい。
【0025】
また、いくつかの実装形態では、油などの潤滑剤は、シール210で主フレーム26内にシールされ得る給油管92によって圧縮機1の下部に供給されてもよい。したがって、給油管92は、吐出ガスによって加圧された油を、シール271によって給油管入口270においてシールされ得る給油管入口270に供給することができる。アイドラシャフトハブ260内に穿孔され、あるいは形成された油路272は、アイドラシャフトハブ260の基部290内で互いに交差する径方向に延在する油路282および軸方向に延在する油路284を含んでもよい。図示するように、径方向に延在する油路282の一端は、給油管92に連通する。軸方向に延在する油路284は、アイドラシャフトハブ260の頂面286を通って上方に延在してもよく、アイドラシャフトハブ260とスライダブロック264との間の隙間またはギャップ292に開口してもよい。
【0026】
いくつかの例では、軸方向に延在する油計量通路274は、スライダブロック264の上部を通して穿孔、あるいは形成されてもよい。油計量通路274の下端部は、隙間またはギャップ292と交差するように開口してもよい。油計量通路274の上端部は、スライダブロック264の頂面1304とアイドラスクロールハブ256内のアイドラスクロールプレート82の底面83の一部1303との間の隙間またはギャップ1305と交差するように開口してもよい。油計量通路274は、油が通過する通路であってもよい。
【0027】
さらに、いくつかの実装形態では、バンプまたは丸みを帯びた突起部1334が、スライダブロック264の頂面1304に配置されるか、またはそこから延在する。また、いくつかの例では、丸みを帯びた突起部1334は、アイドラシャフトハブ260の軸と位置合わせされる。丸みを帯びた突起部1334は、底面83の一部1303に接触してもよい。
【0028】
したがって、いくつかの実装形態では、油は、給油管92を通過して、アイドラシャフトハブ260の径方向に延在する油路282に入ってもよい。油は、アイドラシャフトハブ260内の軸方向に延在する油路284を通って、アイドラシャフトハブ260とスライダブロック264との間の隙間またはギャップ292に入ってもよい。その後、一部の油は、油計量通路274を通って、スライダブロック264の頂面1304とアイドラスクロールプレート82の底面83の一部1303との間の隙間またはギャップ1305に続くことができる。
【0029】
いくつかの実装形態によれば、吐出圧油は、アイドラスクロールハブ256が回転ピストンに類似するように、アイドラスクロールハブ256の下に供給されてもよい。これは、いくつかの例では、アイドラシャフトハブ260およびスライダブロック264が本質的に非回転ピストンであり、アイドラスクロール軸受94およびアイドラスクロールハブ256が本質的に固定ピストン用の回転シリンダであるためである。いくつかの実装形態では、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80の両方は、加えられる吐出圧力によって加圧された油を有するが、ドライバスクロール50の力は、吐出圧油を有するアイドラスクロール80に対して吐出圧ガスを有し得る。したがって、この実装形態は、スクロール圧縮を抑制するために最適な軸方向ガス力を加えることができ、ドライバスクロールの下向きの力を効果的に相殺することができる。給油管92は、加圧油を搬送するための一例である。
【0030】
軸方向コンプライアンスに関して、ドライバスクロールシャフト20は、本質的に圧縮機の高圧側に配置されているため、ドライバスクロールシャフト20の直径の面積と吐出圧力(Pd)の積の下向き力が生成される。したがって、ドライバスクロールシャフト20の直径は、軸方向コンプライアント力、ならびに強度および撓みの考慮事項にとって重要である。軸方向コンプライアンスのための吐出圧力構成要素は、ドライバスクロールシャフト20の直径を指定することによって達成することができる。ドライバスクロールシャフト20の直径は、最適な負荷担持能力ならびに関連するジャーナル軸受、および適切な流体力学的油膜のために選択することができる。したがって、吐出圧力のピストン直径効果は、本質的にシャフト軸受の選択の結果である。例えば、10hpの圧縮機能力のために、直径28mmのドライバスクロールシャフト20である。さらに、軸方向コンプライアンスを維持するために、いくつかの実装形態は、低圧側チャンバ内のドライバスクロールプレート52の頂面(または上面)51の上方に配置された、圧縮された吸引中間ガス圧力を含むことができるシールプレート60を含むことができる。シールプレート60は、シールプレート60の底面63に配置された環状の溝またはチャネル253、255を有することができ、対応する内側シール252と外側シール254とは、動作中にシールチャンバを形成するために係合することができる。さらに、いくつかの例では、内側シール252および/または外側シール254は、ドライバスクロールプレート52の頂面51と接触してもよい。例えば、環状の溝またはチャネル253、255の内側の圧力は、内側シール252および外側シール254を外側および下方に押すことができる。次いで、下向きの力は、各シール252、254をドライバスクロールプレート52の頂面51と接触させることができる。シールプレート60は、ドライバからオフセットされてもよく、アイドラスクロール80によって回転されてもよい。したがって、シールプレート60とドライバスクロール50との間の相対運動は、旋回運動である。さらに、内側シール252および外側シール254は、ドライバスクロールプレート52に対して、この同一の円軌道運動を有してもよい。いくつかの例では、シールプレート60は、1つ以上のショルダボルト62(以下「ボルト」)によってスラストプレート66に取り付けることができ、いくつかの例では、4つの等間隔のボルト62が配置される。ボルト62の本体は、正確に研削された直径および長さであってもよい。さらに、ボルト62は、正確な位置に等間隔に配置されてもよく、これらは、ドライバスクロールプレート52を通って下方に運ばれ、スラストプレート66にしっかりと入る。いくつかの例では、ボルト62は、シールプレート60ならびにドライバスクロールプレート52を貫通する精密な滑り嵌めを有する。
【0031】
いくつかの例では、シールプレート60の底面63とドライバスクロールプレート52の頂面51との間には特定の隙間またはギャップ280があり、これはボルト62の全長において考慮され得、これはボルト62の長さに依存し得る。この隙間は、シール252、254が下方に延在してドライバスクロールプレート52とシールプレート60との間で接触できるようにするために必要であり、各シール252、254の間の差圧がこれを引き起こすことがある。さらに、ドライバスクロールプレート52の頂面51とシールプレート60の底面63との間に隙間またはギャップがあってもよい。シールの種類に応じて、隙間は120~200ミクロンとすることができる。いくつかの例では、ドライバスクロールプレート52とシールプレート60との間にスピンまたは旋回運動がない可能性があるため、シール適用は静的である。いくつかの実装形態では、内側シール252と外側シール254との間の圧力は、吐出圧力よりも低く、吸引圧力よりも高い。さらに、いくつかの実装形態では、内側シール252および外側シール254は、ばね荷重面型であってもよい。さらに、動作中、シールプレート60の内側シール252と外側シール254との間にバックチャンバ力が発生する可能性があり、バックチャンバ内部のガス圧は、内側シール252と外側シール254との間の領域の外側よりも高くなる可能性があり、これは吸引圧力Psであり得る。
【0032】
いくつかの実装形態では、スラストプレート66は、ドライバスクロール軸96と同心に配置されてもよい。スラストプレート66は、アイドラスクロールプレート82の底面83の下に配置されてもよい。さらに、ボルト62のための対応する孔がスラストプレート66に配置されてもよい。いくつかの例では、スラストプレート66は、ドライバスクロール軸96を中心に、それ自体の軸上で、アイドラスクロール80に対してオフセットして、回転してもよい。また、以下でより詳細に説明するように、ドライバスクロールプレート52は、例えば、圧縮された吸引ガスのための、1つ以上の径方向に整列した、軸方向に整列した(例えば、通路220、222、224)通路をさらに含んでもよい。これらの通路は、以下により詳細に説明される。さらに、アイドラスクロール80は、スラストプレート66の頂部とドライバスクロール50のドライバスクロールインボリュート床53との間に装填されて直接旋回することができる。
【0033】
さらに、ドライバスクロール50の頂面51から上方に延在するのは、本質的に円筒形であってもよく、主シャフト20の一部を取り囲んでもよいドライバスクロールフランジ構造230であってもよい。いくつかの例では、ドライバスクロールフランジ構造230の下部は、頂面51の凹部内に、ドライバスクロールプレート52の頂面51の下方に配置されてもよい。さらに、圧力差(例えば、吸引圧力)に起因して、ドライバスクロールフランジ構造230の下部とドライバスクロールプレート52との間に環状シール231が配置されてもよい。いくつかの実装形態では、ドライバスクロールシャフト20は、ドライバスクロールフランジ構造230に接続されてもよく、ドライバスクロールプレート52とは別個の部品または構成要素として生成あるいは製造されてもよい。組み立て時に、ドライバスクロールシャフト20は、ドライバスクロール50のインボリュート軸と同心である。ドライバスクロールフランジ構造230は、ドライバスクロール50の頂面51に埋め込まれ、これらの2つの直径は、ドライバスクロールシャフト20のほぼ完全な位置合わせを実際に形成する。
【0034】
バイパス弁空洞232は、ドライバスクロールフランジ構造230内に配置され、ドライバスクロールフランジ構造230によって部分的に囲まれてもよく、ドライバスクロールシャフト20によって部分的に囲まれてもよい。吐出ポート202は、ドライバスクロールフランジ構造230のバイパス弁空洞232と連通することができる。さらに、いくつかの実装形態では、ボルトまたは締結具235およびバルブバッカー236を有する1つ以上のリード弁234をバイパス弁空洞232内に配置することができ、リード部分は、閉じたときに通路または孔であり得るバイパスポート238を覆う。バイパスポート238は、ドライバスクロールプレート52に穿孔、あるいは形成されてもよく、バイパス弁空洞232、ならびに噛み合ったドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54およびアイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84内の圧縮チャンバおよび/または圧縮ポケットと連通してもよい。
【0035】
いくつかの実装形態では、リード弁234は、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54の上に部分的に配置される。さらに、図示のように、ドライバスクロールフランジ構造230は、ドライバスクロール50およびドライバスクロール軸96に対して同心であってもよい。さらに、ドライバスクロールフランジ構造230には、1つ以上の取付ボルト(この図には図示せず)が配置されてもよい。さらに、ダボまたは他の技術を使用して、ドライバスクロールフランジ構造230とドライバスクロールシャフト20との間の位置合わせを確実にし、適切な回転トルク強度を確実にすることができる。
【0036】
図3は、いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面の等角図の一例を示す図である。例えば、図3には、ドライバスクロールプレート52およびシールプレート60が示されている。上述したように、圧縮された吸引ガス通路のための1つ以上の通路(例えば、通路220、222、224)が、ドライバスクロールプレート52内に配置されてもよく、これらの通路は、ドライバスクロールプレート52内に穿孔または作製された孔または他の空洞であってもよい。通路は、互いに開いていてもよく、あるいは交差して、ドライバスクロールプレート52を通る圧力下のガスの流れを生成してもよい。第1の軸方向通路220は、内側シール252および外側シール254と、シールプレート60の底面の対応する溝またはチャネル253、255との間に開口してもよい。
【0037】
例えば、ドライバスクロールプレート52内の通路は、第1の径方向通路222、第1の軸方向通路220、および第2の軸方向通路224を含んでもよい。第1の径方向通路222は、ドライバスクロールプレート52内の軸方向通路220、224のそれぞれの直径よりも大きい直径を有してもよい。また、第1の径方向通路222の外側径方向範囲は、プラグで塞がれてもよい。第1の軸方向通路220は、1つの開口部で第1の径方向通路222と交差してもよく、別の開口部は内側シール252と外側シール254との間に配置されて開口してもよい。
【0038】
また、第1の径方向通路222と交差する第2の軸方向通路224は、第1の軸方向通路220の径方向に内側に配置されてもよい。すなわち、第2の軸方向通路224の1つの開口部は、開口して第1の径方向通路222と交差することができ、第2の軸方向通路224の他の開口部は、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54の壁の間でドライバスクロールインボリュート床53内に開口することができる。動作中、例えば、この開口部は、圧縮された吸引ガス源が供給されることを可能にし、この開口部の位置は、必要な圧力を得るためにインボリュート形状内で正確である。動作中、アイドラスクロール50の対応するインボリュートは、この孔または開口部を前後に通過し、各ポケット内の異なる圧力に開口する。このため、この孔の直径は、第1の軸方向通路220の他の開口部に比べて小さい。いくつかの実装形態では、第1の径方向通路222は3mmであってもよく、第2の軸方向通路224は0.7mmであってもよく、シールチャンバへの第1の軸方向通路220は2mmであってもよい。内側シール252と外側シール254との間にある第1の軸方向通路220の孔または開口部は、過渡的な逆流を最小限に抑えるために、第2の軸方向通路224の圧縮ポケットへの開口部よりも小さくてもよい。
【0039】
例えば、圧縮された吸引ガスの供給源は、第2の軸方向通路224に入る。圧縮インボリュートポケットが実際に旋回するとき、このガスは低圧から高圧まで循環する。第2の軸方向通路224は、ポケット内の最も低い圧力で始まり、その後、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54の隣接する壁が第2の軸方向通路224を通過する前に、最も高い圧力まで増加する。その後、新たな低圧が第2の軸方向通路224に入る。第1の軸方向通路220の直径は本質的に非常に小さく、これは圧縮された吸引ガスチャンバ内の正弦波圧力変動を大きく制限する。これは、高圧および低圧の変動を本質的に平均化する。
【0040】
図3は、本質的に円筒形であってもよく、主シャフト20の一部を取り囲んでもよいドライバスクロールフランジ構造230をさらに示す。ドライバスクロールフランジ構造230の下部は、ドライバスクロールプレート52の頂面51の下方、例えば凹部351内に配置されてもよい。さらに、圧力差(例えば、吸引圧力)に起因して、ドライバスクロールフランジ構造230の下部とドライバスクロールプレート52との間に環状シール231が配置されてもよい。
【0041】
上述したように、図3は、バイパス弁空洞232、ドライバスクロールフランジ構造230、ボルトまたは締結具235およびバルブバッカー236を有する1つ以上のリード弁234が、バイパス弁空洞232内に配置されることがあり、リード部分は、閉じたときに通路または孔であり得るバイパスポート238を覆うことをさらに示す。
【0042】
いくつかの実装形態では、ドライバスクロールプレート52は、ドライバスクロールプレート52の周りに等間隔に離間され、ドライバスクロールプレート52のドライバスクロールインボリュート床53から下方に延在する2つのオルダムキー支持延長部302を含む。オルダムキー支持延長部302は、オルダム継手70がスクロール間に嵌合することを可能にし、各スクロールプレート52、82に直接係合して本質的に完全に整列して回転することを可能にする。オルダムキー支持延長部302は、渦巻状のインボリュート54が下方に延在するほどには、ドライバスクロールプレート52のドライバスクロールインボリュート床53から下方に延在しなくてもよい。さらに、オルダムキー支持延長部302の外面は、ドライバスクロールプレート52の外面と同一平面であってもよい。各キー支持延長部302内には、スロット310に対応する形状を有するオルダム継手70のドライバスクロールキー(後述)と係合するためのスロット310が配置されている。さらに、キー支持延長部302の内面と渦巻状のインボリュート54の外壁との間には十分な隙間がある。ドライバスクロールフランジ構造230の外径は、(隙間があるように)シールプレート60の内径よりも小さくてもよい。
【0043】
いくつかの実装形態では、スラストプレート66は、ドライバスクロールシャフト20および主フレーム26の軸方向部分に対して同心の内径のボアを有する本質的にディスク形状であってもよい。シールプレート60の頂面61と底面63とは、平坦かつ平行であってもよい。さらに、図示のように、ボルト62を収容するために、1つ以上の孔310がシールプレートを貫通して配置され得る。孔312(およびボルト62)は、等間隔に離間されてもよい。
【0044】
いくつかの実装形態では、各ボルト62は、各ボルトの端部が底面の下方にあるようにスラストプレート66を貫通する。さらに、ボルト62は、シールプレート60の孔312を通る精密な滑り嵌めを有することができる。いくつかの例では、ボルト62はスラストプレート66にねじ込まれてもよい。さらに、いくつかの例では、ボルト62はシールプレート60にねじ込まれてもよく、ボルト62の頭部64はスラストプレート66の下方に突出してもよい。さらに、いくつかの実装形態では、シールプレート60およびスラストプレート66は互いに平行であり、スラストプレート66は、油膜圧力を支持するために、アイドラスクロールプレート82の下面または底面83と平行を維持する。
【0045】
ボルト62が締め付けられるとき、各ボルト頭部64からスラストプレート66の頂面67まで特定の長さがあってもよい。シールプレート60とスラストプレート66との間の平行度の一態様は、撓みに起因するアイドラスクロール80のスラスト潤滑問題を回避することである。いくつかの例では、アイドラスクロール80は、ガスを圧縮しながら、ドライバスクロール50と面対面接触を維持しなければならないため、シールプレート60の引っ張り力は、スクロールセット先端-床接触軸に平行なスラストプレート66から上向きの力に伝達することができる。例えば、任意のタイプの軸方向コンプライアントスクロール圧縮機が動作しているとき、外部ガス圧力がスクロールの1つに加えられ、他は何らかの方法で移動しないように固定される。動作中、例えば、アイドラスクロール80は、スラストプレート66によってドライバスクロール50に押し込まれる。設計目的は、それぞれのインボリュート先端(すなわち、渦巻状のインボリュート54の先端55および渦巻状のインボリュート84の先端85)およびインボリュート床(すなわち、ドライバスクロールインボリュート床53およびアイドラスクロールインボリュート床81)が完全に接触する平面である。先端55は、渦巻状のインボリュート54の頂面であってもよく、先端85は、渦巻状のインボリュート84の頂面であってもよい。先端および床のこのスラスト力は重要であり、すべての動作条件において適切でなければならないが、ドライバスクロールインボリュート床53およびアイドラスクロールインボリュート床81の表面を損傷させるほどであってはならない。アイドラスクロールインボリュート床81は、アイドラスクロールプレート82の頂面であってもよい。
【0046】
いくつかの例では、本質的に円形のアイドラスクロールプレート82のそれぞれの円弧部分の周りのアイドラスクロール80上に、2つ以上の円弧構造86を配置することができる。円弧構造86は、アイドラスクロールプレート82の直径に沿って互いに位置合わせされてもよく、それぞれ対称であってもよい。さらに、円弧構造86は、アイドラスクロールプレート82のアイドラスクロールインボリュート床81からドライバスクロールプレート52に向かって上方に延在してもよい。円弧構造86の頂面88は、アイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84の先端85と同一平面であってもよい。円弧構造86については、以下でより詳細に説明する。
【0047】
図3は、スラストプレート66、アイドラスクロールハブ256、アイドラスクロール軸受94、スライダブロック264の例をさらに示し、これはアイドラシャフトハブ260の上にある。さらに、アイドラシャフトハブ260内の油路272に連通してもよい給油管92が示されている。
【0048】
図4は、いくつかの実装形態による圧縮機の下部の断面の上面図の一例を示す図である。図4は、図2のA-A線に沿った断面の上面図を示し、例えば140°のクランク角で示されている。図4は、例えば、垂直中心のドライバスクロール軸96と、上述のようにドライバスクロール軸96からオフセットされたアイドラスクロール軸98の垂直中心軸とを示す。このオフセットは、インボリュート設計の旋回半径に数学的に等しい。図4は、ドライバスクロールの渦巻状のインボリュート54およびアイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84をさらに示す。オルダム継手70もまた示されている。
【0049】
いくつかの実装形態では、円弧構造86は、本質的に円形のアイドラスクロールプレート82のそれぞれの円弧部分の周りに円弧状に配置されてもよい。例えば、一方の円弧構造86は、ある直径に沿って別の円弧構造86からアイドラスクロールプレート82を横切って配置されてもよい。さらに、各円弧構造86は、各円弧構造86を二等分する直径に関して対称であってもよい。円弧構造86はそれぞれ、互いに同一平面であってもよく、渦巻状のインボリュート84の先端85と同一平面であってもよい平坦な頂面88を有することができる。上述したように、先端85は、圧縮機1の動作中にドライバスクロールプレート52のドライバスクロールインボリュート床53に接触することができる。したがって、各円弧構造86の頂面88は、例えば動作中の傾斜を防止するために、頂面88がドライバスクロールインボリュート床53に接触することができるため、動作中の安定性を提供することができる。さらに、2つの円弧構造86およびそれぞれの頂面88(安定化面)は、それぞれのFtg力ベクトルが円弧構造86を二等分するように、Ftg力ベクトルのピークと位置合わせして配置されてもよい。詳しくは後述する。さらに、Ftg力ベクトルは、ドライバスクロール軸96およびアイドラスクロール軸98に対して垂直であってもよい。
【0050】
図5は、いくつかの実装形態によるアイドラスクロールの上面図の一例を示す図である。図6は、いくつかの実装形態によるアイドラスクロールの斜視図の一例を示す図である。いくつかの実装形態では、切り欠きであってもよい1つ以上の凹部520を、アイドラスクロールプレート82の外側縁部または直径602内に配置することができる。凹部520は、ボルト62がアイドラスクロールプレート82の外径または縁部602を越えてスラストプレート66まで延在するための空間であってもよい。したがって、ガス圧縮の動作中、アイドラスクロールプレート82はボルト62に接触しない可能性がある。1つ以上の凹部520は、曲面として示されているが、凹部は、直線および縁部を有する異なる方法で成形されてもよい。
【0051】
さらに、いくつかの実装形態によれば、アイドラスクロールプレート82の外側縁部または直径602内に、1つ以上のアイドラスクロールオルダムキースロット506を配置することができる。オルダムキースロット506は、本質的に溝、切り欠き、またはくぼみであってもよく、本質的にU字形であってもよく、またはオルダム継手70のアイドラスクロールキー部分に対応する別の形状を有してもよい。さらに、オルダムキースロット506は、底床部分508または構造を有し、キースロット506は、アイドラスクロールプレート82を完全に貫通せず、アイドラスクロールプレート82の底面83は、スラストプレート66に対する潤滑を確実にするために中断されない。底床部分508は、アイドラスクロールインボリュート床81の凹部であってもよい。図6に示すように、径方向内側に延在する1つ以上のバランス孔620は、ボア620であってもよく、アイドラスクロールプレート82に穿孔あるいは形成されてもよい。
【0052】
図6に示すように、例えば、円弧構造86は、アイドラスクロールプレート82のアイドラスクロールインボリュート床81の一部から延在または突出してもよく、間に渦巻状のインボリュート84を備えるアイドラスクロールプレート82の両端に互いに対向してもよい。図示のように、2つの円弧構造86があってもよいが、3つ以上の円弧構造86がアイドラスクロールプレート82のインボリュート床81上に含まれてもよい。すなわち、円弧構造86は、本質的に円形のアイドラスクロールプレート82の円周のそれぞれの円弧部分に沿って配置することができ、円弧構造86の外側縁部または外側面などの外面530は、等しい円弧長さを有することができる。円弧構造86は、アイドラスクロールプレート82の直径に沿って互いに位置合わせされてもよく、各円弧構造86を二等分する直径に関してそれぞれ対称であってもよい。2つ以上の円弧構造86はまた、同じ質量を有することができ、アイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84と同じ材料で作製することができる。
【0053】
さらに、各外面530は、アイドラスクロールプレート82の外面602と連続していてもよい。すなわち、例えば、各円弧構造86の外面530は、円弧として形成されてもよく、アイドラスクロールプレート82のそれぞれの円弧部分に沿って上方に延在してもよい。各円弧構造86の径方向の厚さは同じであってもよく、バランスのために所望の質量に依存してもよい。各円弧構造86の径方向の厚さは、外面602からアイドラスクロール80の中心に向かって径方向内側に延在する側部532、534によって画定することができる。これらの側部532、534は、湾曲していてもよく、丸みを帯びた縁部を有していてもよい。さらに、各円弧構造86の内面536は、外面530の円弧形状に対応する円弧形状を有することができる。内面536および外面530は、滑らかであってもよく、アイドラスクロールプレート82の外周のそれぞれの円弧部分に対応する曲率を有してもよい。
【0054】
各円弧構造86の頂面88は、平坦で滑らかであってもよく、渦巻状のインボリュート84の先端85と同じ平面内にあってもよい。したがって、各円弧構造86は、ドライバスクロールプレート52に向かって上方に延在してもよく、頂面88は、アイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84の先端85と同じ水平面内にあるように機械加工されてもよい。水平面は、ドライバスクロール軸96に対して垂直であってもよい。すなわち、動作中、円弧構造86の頂面85とドライバスクロール52のドライバスクロールインボリュート床53との接触は、アイドラスクロール80の傾斜または揺動を防止することによって安定性を提供することができる。
【0055】
動作中の特定の力に関して、径方向ガス力Frgは合成された合力に寄与するが、その効果は、オーバーターニングモーメント(傾斜)ならびにシャフト軸受荷重には非常に小さい。したがって、Ftgは、本明細書において考慮すべき焦点である。オーバーターニングモーメントが、両方のスクロール部材(すなわち、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80)のそれぞれのインボリュート先端55、85およびインボリュート床53、81である圧縮シール面の不安定性をもたらすので、Ftgベクトルは、安定性に関して最も困難な力の1つであり得る。共回転スクロールでは、Ftgベクトルは、ハウジングに対して径方向位置で本質的に固定されたままである。したがって、円弧構造86は、上述し、少なくとも図4に示すように、Ftg力ベクトルと位置合わせされる。すなわち、例えば、図5に示すように、一方の円弧構造86はアイドラスクロール80のFtg力ベクトルに対して対称になるように位置合わせされ、別の円弧構造86はドライバスクロール50のFtg力ベクトルに対して対称になるように位置合わせされてもよい。したがって、2つの円弧構造86は、本質的に円形のアイドラスクロールプレート82の円周の周りに本質的に互いに180°離れて配置されてもよい。さらに、図3に示すように、例えば、2つの円弧構造86は、Ftgガス力のピークの大きさに起因して、オーバーターニングモーメントを低減するための延長されたモーメントアームを提供する。
【0056】
図7は、いくつかの実装形態による圧縮機の比較例の構成要素の特定の力およびモーメントを示す自由体図の一例を示す図である。図7は、有意な特定の力ベクトル、適用可能なモーメントアームおよび距離を含み、これらはすべての包絡線条件における安定性の目標にとって重要であり得る。以下の表1に、図7に含まれる力、モーメント、距離の定義を示す。
【0057】
表1:
【0058】

表1中、Pdischはガスの吐出圧力を意味し、「ドライバシャフトの面積」はドライバスクロールシャフト20の直径の面積を意味し、「アイドラ軸の面積」はアイドラシャフトハブ260の直径の面積を意味する。当業者であれば、軸方向Fag、接線方向Ftg、および径方向Frgのガス力が組み合わさって、スクロールセットを離し、圧縮プロセスに抵抗することを理解されよう。場合によっては、接線方向ガス力Ftgは、径方向ガス力Frgよりも大きくてもよい。したがって、圧縮安定性を維持するために、前述の外部ガス力を戦略的に加えることができる。復元力が過剰である場合、追加の電力が消費され、信頼性の懸念と共に、圧縮機の性能が低下することが理解される。例えば、復元力は、F質量、Fdp+Fip、Fdp2、およびFtpであってもよい。Ftgガス力は、上述したように、圧縮中に主にオーバーターニングモーメントを生成するため、最も困難な力であり得る。例えば、図4は、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80の両方に反対方向に作用するFtg力を示す。
【0059】
図7は、例えば、ドライバスクロールシャフト20の外側軸受22に関連する力Fobと、ドライバスクロールシャフト20の主軸受24に関連する力Fmbとを識別する。FobとFmbとの間の距離Z6がはるかに大きいため、Ftgベクトルの二次オーバーターニングモーメントとZ4のモーメントアームとの積は、アイドラスクロール80よりもオーバーターニング効果が小さい。当業者にとって、スクロール圧縮機における不安定性の一次オーバーターニングモーメントは、FtgベクトルとZ1のモーメントアームとの積であることも知られている。主なオーバーターニングモーメントは、アイドラスクロール80にあり、この図では時計回りである。しかしながら、共回転設計では、ドライバスクロール50との二次オーバーターニングモーメントが存在するが、これはより大きなモーメントアームZ6によってより良好に含まれる。以下に定義される方程式、および図7の自由体図を通して、最適な安定性を定義する重要なメトリックは、先端スラスト力Fttおよび利用可能な半径Rttであり、これについては以下でより詳細に説明する。さらに、所与の圧縮機動作条件では、生成されるガス力は、単一の旋回または360度のクランク角内で著しく変化する。FtgとZ1との積のオーバーターニングモーメントは、圧縮軌道全体にわたって、各インボリュート先端55、85の全周にわたってFttが正の数のままでなければならないことを必要とする。これを達成できないと、すべての動作条件において、圧縮ガスを放出して吸引ガスに戻し、性能を著しく低下させる。最後に、Rttのモーメントアームを最大化することが効果的であり得、追加の電力および信頼性のリスクが発生する、過剰な加えられるスラスト力も最小化する。Rttは、ラップピッチおよび端部角を含むインボリュート形状の関数であってもよい。したがって、Rttの値は旋回周期全体で変化する。
【0060】
例えば、式1は、アイドラスクロール80に対するスラストプレート66の力Ftpが、シールプレートFipに対する中間圧力に等しいことを定義する。
【0061】
式1 Ftp=Fip
式2は、主軸受24の周りの合計M(ドライバスクロール50)を表す。
【0062】
式2 Ftt*Rtt+Ftg*Z4=Fdtb*Rdtb+Fob*Z6
式3は、ドライバスクロール50の合計Fzを表す。
【0063】
式3 Ftt=Fdp+Fip+Fdtb-Fag+F質量
式4は、アイドラスクロール軸受94の周りの合計M(アイドラスクロール80)を表す。
【0064】
式4 Ftp*Rtp=[Ftg*Z1-Ftt*Rtt]
式5は、アイドラスクロール80の合計Fzを表す。
【0065】
式5 Ftp=Ftt+Fag-Fdp2
上記の式(式1~式5)の要約は、次のように記述できる:
式6 Fdtb=Ftt+Fag-Fdp-Fip
式7 Ftt=Fip-Fag+Fdp2
さらに、ドライバスクロール50からのモーメントを式8に記述することができ、アイドラスクロール80からのモーメントを式9に記述することができる。
【0066】
式8 Rtt=(Fdtb*Rdtb+Fob*Z6-Ftg*Z4)/Ftt
式9 Ftp*Rtp=[Ftg*Z1-Ftt*Rtt]
図8は、いくつかの実装形態による圧縮機の例の構成要素の力およびモーメントを示す追加の自由体図を示す図である。図8は、特定の力ベクトル、適用可能なモーメントアームおよび距離を含み、これらはすべての包絡線条件における安定性の目標にとって重要であり得る。特に、図8の自由体図は、アイドラスクロールプレート82のアイドラスクロールインボリュート床81から上方に延びる2つ以上の円弧構造86を示す。2つ以上の円弧構造86の各々は、安定化表面と呼ぶことができる、本質的に平坦な頂面88を含むことができる。
【0067】
図8に示すように、また上述したように、円弧構造86の2つの頂面88は、(図5に示すように、例えば)Ftgベクトルに沿って中心に位置合わせされる。例えば、中心に位置合わせされるとは、例えば図4に示すように、各円弧構造86の中心を通る線が、ドライバスクロール軸96とアイドラスクロール軸98との間を対称的に通ることを意味し得る。本明細書で前述したように、共回転スクロール機構では、これらのベクトルは、圧縮機フレームに対して本質的に固定位置に留まる。しかしながら、スクロールセットが回転するにつれて、Ftgベクトルの大きさは最大から最小まで周期的である。図4および図5に示すように、最大Ftgは、各円弧構造86が位置合わせされているところで生じる。したがって、両方の図7および図8は、最大Ftgの位置に示されている。また、スクロールが回転すると、円弧構造86が回転する。しかしながら、上述したように、Ftgベクトルは同じ方向に留まる。
【0068】
図9は、いくつかの実装形態による圧縮機の下部の断面の上面図の一例を示す図である。図9は、例えば、ドライバスクロール軸96と、上述のようにドライバスクロール軸96からオフセットされたアイドラスクロール軸98とを示す。図9は、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54およびアイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84をさらに示す。オルダム継手70もまた示されている。
【0069】
図9は、アイドラスクロールプレート82のそれぞれの円弧部分の周りに円弧状に配置されてもよい2つの円弧構造86をさらに示す。図9はまた、利用可能な半径Rttのプロファイル902を示し、これは360°の圧縮クランク角全体にわたって規定された大きさであってもよい。図9において特定されるように、利用可能な半径プロファイルは、各円弧構造86および頂面88における最大値である。スクロールセットが360度全体を進むにつれて、利用可能な半径プロファイル902は、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54およびアイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84の外形によってのみ提供されるため、減少する。当然ながら、これらは圧縮サイクル中に伸縮する。したがって、いくつかの実装形態では、ドライバスクロール50およびアイドラスクロール80が回転すると、利用可能な半径プロファイル902も回転する。図5に示すように、Ftgベクトルは圧縮機ハウジングに対して同じ方向のままであるが、その大きさは回転が起こるにつれて大幅に変化する。この力のプロット、ならびに他の重要なメトリックについては、以下でより詳細に説明する。
【0070】
図10は、いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面図の一例を示す図である。図10は、図2と同一の図を表し、同一または類似の構造要素を含むことができる。したがって、図2にも示され説明されている図10に示されるいくつかの要素は、ここでは繰り返されないことがある。
【0071】
上述したように、いくつかの実装形態では、油などの潤滑剤は、シール210で主フレーム26内にシールされ得る給油管92によって圧縮機1の下部に供給されてもよい。したがって、給油管92は、吐出ガスによって加圧された油を給油管入口270に供給することができ、シール271によって給油管入口270でシールすることができる。アイドラシャフトハブ260内に穿孔され、あるいは形成された油路272は、アイドラシャフトハブ260の基部290内で互いに交差する径方向に延在する油路282および軸方向に延在する油路284を含んでもよい。図示するように、径方向に延在する油路282の一端は、給油管92に連通する。軸方向に延在する油路284は、アイドラシャフトハブ260の頂面286を通って上方に延在し、アイドラシャフトハブ260とスライダブロック264との間の隙間またはギャップ292に開口してもよい。
【0072】
上述したように、いくつかの例では、軸方向に延在する油計量通路274は、スライダブロック264の上部を通して穿孔、あるいは形成されてもよい。油計量通路274の下端部は、隙間またはギャップ292と交差するように開口してもよい。油計量通路274の上端部は、スライダブロック264の頂面1304とアイドラスクロールプレート82の底面83の一部1303との間の隙間またはギャップ1305と交差するように開口してもよい。油計量通路274は、油が通過する通路であってもよい。
【0073】
さらに、いくつかの実装形態では、丸みを帯びた突起部1334が、スライダブロック264の頂面1304に配置されるか、またはそこから延在する。また、いくつかの例では、丸みを帯びた突起部1334は、アイドラシャフトハブ260の軸と位置合わせされる。丸みを帯びた突起部1334は、底面83の一部1303に接触してもよい。
【0074】
いくつかの実装形態では、各円弧構造86内に油路または溝が配置されてもよい。ドライバスクロールシャフト20の直径は、強度および撓みの要件にとって最も重要であるが、それは次に、軸方向コンプライアントPd力を決定する。当然ながら、アイドラシャフトハブ260の直径はまた上向きの同様のPd力を有する。一例として、吐出圧力Pdと中間圧力Piとのバランスは、吐出約40%、中間60%である。このバランスは、動作エンベロープ内の本質的にすべての条件に対して、スクロールセット間に許容可能なスラスト力を生成することができる。例えば、吐出成分が大きすぎると、高負荷および高比率条件でのスラスト力が過剰になる。軸方向コンプライアンスのためのこの力成分は、実際には、そのような状態に対して過剰であり、故障を引き起こす可能性がある。しかしながら、ドライバスクロールシャフト20の直径、したがって吐出圧力の力成分を小さくすると、力およびモーメントに耐えることができないシャフト設計が生じたり、ジャーナル軸受の流体力学的油膜を支持したりする可能性がある。したがって、円弧構造86に油溝または油路を含める目的は、吐出圧力成分のみによって生成される2つのスクロール間のスラスト力を低減することであり得る。さらに、各小領域内のPd油圧は、非常に小さい周囲壁によってPs吸引ガスから分離される。したがって、頂面88とドライバスクロールインボリュート床53との間の相対的な旋回運動が生じると、この油の少量が円弧構造86を通過して漏れ、高負荷のスラスト面を潤滑する。さらに、Ps吸引圧力に入るこの量の油は、各チャンバ内のPd油圧をわずかに低下させる。しかしながら、円弧構造86の領域は、Pi中間力に対する影響を最小限に抑えながら、全体的な先端スラスト負荷を効果的に低減することができるPd力を本質的に生成する。
【0075】
例えば、軸方向プレート通路1352を構成してもよい油路または経路、径方向通路1354、および軸方向円弧通路1356を、油を通過させるために各円弧構造86に含めることができる。各油路1352、1354、1356の形状は、円形であってもよいし、長円形であってもよいし、楕円形であってもよい。すなわち、図10に示す実装形態では、アイドラスクロールプレート82に対向する2つの円弧構造86が示されており、したがって2つの油路または経路が示されている。
【0076】
いくつかの実装形態では、軸方向プレート通路1352は、ドライバスクロール軸96に平行に配置されてもよく、下端部はスライダブロック264の頂面1304とアイドラスクロールプレート82の底面83の一部1303との間の隙間またはギャップ1305に開口し、これと連通する。軸方向プレート通路1352の上端部は、径方向通路1354に開口してこれと連通してもよい。
【0077】
各径方向通路1354は、アイドラスクロールプレート82の一部を径方向に貫通し、軸方向プレート通路1352および軸方向円弧通路1356に開口して連通する部分を有することができる。径方向通路1354の外側端部は、例えば、プラグ1368で塞がれ、またはキャップされてもよい。
【0078】
各軸方向円弧通路1356は、各円弧構造86内で軸方向に沿って配置されてもよく、円弧構造86の湾曲形状または円弧形状に適合する湾曲形状または円弧形状を有してもよい。さらに、いくつかの実装形態では、軸方向円弧通路1356は、円弧構造86を通る断面が円形であってもよい。さらに、軸方向円弧通路1356は、円弧または湾曲形状であってもよい頂面開口部1402に開口することができる。頂面開口部1402は、円弧状または湾曲形状であってもよく、円弧構造86の中心に配置され得る軸方向円弧通路1356に対して対称であってもよい。軸方向円弧通路1356はまた、それぞれの円弧構造86の中心と位置合わせされてもよい。
【0079】
図11は、いくつかの実装形態による圧縮機の下部の断面の上面図の一例を示す図である。図11は、図10のB-B線に沿ってとられた断面の上面図を示す。なお、図11は、例えば、ドライバスクロール軸96と、上述のようにドライバスクロール軸96からオフセットされたアイドラスクロール軸98とを示す。図11は、ドライバスクロール50の渦巻状のインボリュート54およびアイドラスクロール80の渦巻状のインボリュート84をさらに示す。オルダム継手70もまた示されている。
【0080】
図11は、それぞれの軸方向円弧通路1356と連通する頂面開口部1402をさらに示す。さらに、上述したように、開口部1402は、円弧構造86の円弧形状に対応する円弧形状を有することができる。いくつかの例では、開口部1402は円形または長方形であってもよい。
【0081】
したがって、いくつかの実装形態では、油は、給油管92を通過して、アイドラシャフトハブ260の径方向に延在する油路282に入ってもよい。油は、アイドラシャフトハブ260内の軸方向に延在する油路284を通って、アイドラシャフトハブ260とスライダブロック264との間の隙間またはギャップ292に入ってもよい。その後、一部の油は、油計量通路274を通って、スライダブロック264の頂面1304とアイドラスクロールプレート82の底面83の一部1303との間の隙間またはギャップ1305に続くことができる。油はまた、その頂面88の開口部1402を通って、円弧構造86の軸方向プレート通路1352、径方向通路1354、および軸方向円弧通路1356を通過することができる。
【0082】
図12は、いくつかの実装形態による圧縮機の例の構成要素の特定の力およびモーメントを示す自由体図の一例を示す図である。図12は、特定の力ベクトル、適用可能なモーメントアームおよび距離を含み、これらはすべての包絡線条件における安定性の目標にとって重要であり得る。図12の自由体図は、アイドラスクロール80のアイドラスクロールプレート82のアイドラスクロールインボリュート床81から上方に延びる2つ以上の円弧構造86を示す。
【0083】
図12は、Fdp_油圧力およびRdp_油モーメントアームを示す。式10はFdp_油力を考慮し、式11はRdp_油モーメントアームを考慮する。
【0084】
式10 Ftt=Fip-Fag+Fdp2-Fdp_oil
式11 Rtp=(Ftg*Z1-Ftt*Rtt-Fdp_oil*Rdp_oil)/Ftp
これにより、Pd吐出圧軸方向力の成分を低減することができる。
【0085】
上述したように、接線方向ガス力Ftgは、360°の圧縮クランク角では回転しない。大きさは変化するが、ハウジングに対して固定された位置にある。Ftg力は高いピーク値を有するので、安定化円弧構造86の支持体は、2つのスクロールの一方に位置し、表面88は、インボリュート先端85および床面52と同じ平面内にある。
【0086】
基本的な安定性は、アイドラスクロール50およびドライバスクロール50のインボリュート外周で制御することができるが、Ftg力の大きさおよび安定性は変化している。これは、利用可能な半径と呼ぶことができる。いくつかの実装形態では、円弧構造86は、拡張半径支持体として機能し、相対旋回運動中にピークオーバーターニング安定領域にのみ配置されてもよい。
【0087】
図13は、いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面図の一例を示す図である。図14は、いくつかの実装形態によるスクロール圧縮機の下部の断面の等角図の一例を示す図である。一般に、図13および図14は、アイドラスクロールプレート82のアイドラスクロールインボリュート床81から延在する円弧構造86の代わりに、ドライバスクロールプレート52のインボリュート床から延在する円弧構造1386を示す。図に示す実装形態では、図13および図14に示すように、アイドラスクロールプレート82から延在する円弧構造86は含まれていない。図13および図14に示す他の構成要素は、それぞれ図2および図3に示す要素と同一または同様であり、したがって、ここでは説明しない。
【0088】
いくつかの実装形態では、円弧構造1386は、本質的に円形のドライバスクロールプレート52のそれぞれの円弧部分の周りに円弧状に配置されてもよい。例えば、一方の円弧構造1386は、ある直径に沿って別の円弧構造1386からドライバスクロールプレート52を横切って配置されてもよい。さらに、各円弧構造1386は、各円弧構造1386を二等分する直径に関して対称であってもよい。円弧構造1386はそれぞれ、互いに同一平面であってもよく、渦巻状のインボリュート55のインボリュート先端55と同一平面であってもよい平坦な頂面1388を有することができる。インボリュート先端55は、圧縮機1の動作中にアイドラスクロールプレート82のアイドラスクロールインボリュート床81に接触することができる。したがって、各円弧構造1386の頂面1388は、例えば動作中の傾斜を防止するために、頂面1388がアイドラスクロールインボリュート床81に接触することができるため、動作中の安定性を提供することができる。さらに、2つの円弧構造1386およびそれぞれの頂面1388(安定化面)は、それぞれの接線方向力ベクトルが円弧構造1386を二等分するように、Ftg力ベクトルのピークと位置合わせして配置されてもよい。
【0089】
本明細書に記載のプロセスは、説明の目的のための例にすぎない。本明細書の開示に照らして、多数の他の変形形態が当業者には明らかであろう。さらに、本明細書の開示は、プロセスを実行するための適切なフレームワーク、アーキテクチャ、および環境のいくつかの例を記載しているが、本明細書の実装形態は、図示および説明された特定の例に限定されない。さらに、本開示は、説明され、図面に示されるように、様々な例示的な実装形態を提供する。しかしながら、本開示は、本明細書に記載および図示された実装形態に限定されず、当業者に知られているように、または当業者に知られるように、他の実装形態に拡張することができる。
【0090】
主題は、構造的特徴および/または方法論的動作に特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、記載された特定の特徴または動作に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14