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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】入力デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20231212BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20231212BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G06F3/0346 422
G06F3/04815
G06F3/01
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022527523
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007459
(87)【国際公開番号】W WO2021240930
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2020094853
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野久尾 太一
(72)【発明者】
【氏名】西川 憲三
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0364910(US,A1)
【文献】特開2017-99608(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181118(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0346
G06F 3/04815
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップと、ユーザの指で操作される少なくとも1つの操作部材を含む、前記グリップの前側に設けられている操作部と、を有している本体と、
複数の発光部が配置されている被トラッキング領域と、
側面視において前記操作部より後方に位置し、前記被トラッキング領域の一部を構成する第1の部分と、
前記第1の部分より前方に位置し、前記被トラッキング領域の他の一部を構成し、平面視において前記第1の部分から前記操作部に向かって前側に延びている、又は平面視において前記操作部から前記第1の部分に向かって後側に延びている第2の部分と、を含んでいる
入力デバイス。
【請求項2】
前記第2の部分は、前記操作部を有する前記本体の上部と、前記第1の部分のうちの一方から他方に向かって伸びている
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項3】
前記第2の部分は、前記操作部を有する前記本体の上部と前記第1の部分とを接続している
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項4】
前記第2の部分は、ユーザがグリップを握っている手を開いたときに、ユーザの親指と手掌の縁部との間に位置する形状である
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項5】
前記入力デバイスの平面視において、前記第2の部分は、前記操作部を有する前記本体の上部の右側又は左側に位置し、
前記第2の部分は、前記本体の上部から前記第1の部分に向かって延びている
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項6】
前記入力デバイスの平面視において、前記本体は前記入力デバイスの左右方向での中心を通る平面に対して第1の側に向かってずれており、前記第2の部分は前記入力デバイスの左右方向での中心を通る前記平面に対して、前記第1の側とは反対側である第2の側に向かってずれている
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項7】
前記第2の部分は、前記本体の上部から前記第2の側に向かって後方に伸び、前記平面に対して前記第2の側において前記第1の部分に接続している
請求項6に記載の入力デバイス。
【請求項8】
前記第2の部分は前記第1の部分に接続しており、
前記第2の部分と前記第1の部分との接続部は、前記入力デバイスの平面視において前記グリップから右方又は左方に離れている
請求項2に記載の入力デバイス。
【請求項9】
前記第2の部分は、前記入力デバイスの正面視において、前記本体の上部から前記第2の側に向かって伸びている
請求項6に記載される入力デバイス。
【請求項10】
前記第1の部分は、前記入力デバイスの側面視において、前記グリップと交差する方向に伸びている
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項11】
前記第1の部分は、前記入力デバイスの背面視において、少なくとも前記グリップの上側を取り囲む円弧状の上部を含んでいる
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項12】
前記第1の部分は、前記入力デバイスの背面視において環状である
請求項11に記載の入力デバイス。
【請求項13】
前記第1の部分は、斜め後方に向かって延びている中心線を取り囲む環状又は円弧状である
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項14】
前記第1の部分は実質的に真円である
請求項12に記載の入力デバイス。
【請求項15】
前記第1の部分は前記グリップの下部に接続している
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項16】
前記第1の部分は、前記入力デバイスの側面視において、前記グリップの前部より後方に位置している
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項17】
前記第1の部分は、前記入力デバイスの側面視において斜め後方且つ上方に延びている中心線を、取り囲む環状又は円弧状である
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項18】
前記グリップは、左右方向における前記第1の部分の中心に対して右方と左方のうちの一方の方向にずれており、
前記第1の部分は、前記入力デバイスの平面視において、右方と左方のうちの他方の方向且つ後方に斜めに延びている中心線を、取り囲む環状又は円弧状である
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項19】
複数の発光部が設けられている被トラッキング領域を有している入力デバイスにおいて、
前記被トラッキング領域は、
前記入力デバイスの後部に位置し、前記入力デバイスの外面の一部である第1の曲面と、
前記入力デバイスの前部に位置し、前記入力デバイスの外面の他の一部である第2の曲面と、を有し、
前記第1の曲面と第2の曲面は、一つの球面の一部である
入力デバイス。
【請求項20】
ユーザの親指で操作される少なくとも1つの操作部材をさらに有し、
前記入力デバイスの平面視において、前記第1の曲面は少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、前記第2の曲面は前記少なくとも1つの操作部材より前方に位置している
請求項19に記載の入力デバイス。
【請求項21】
ユーザが握るグリップをさらに有し、
前記第1の曲面は、前記入力デバイスの背面視において、少なくとも前記グリップの上側を取り囲む円弧状又は環状である
請求項19に記載の入力デバイス。
【請求項22】
複数の発光部が設けられている被トラッキング領域を有している入力デバイスにおいて、
前記被トラッキング領域は、
前記入力デバイスの後部に位置し、前記入力デバイスの外面の一部であり、複数の発光部が並んでいる第1の領域と、
前記入力デバイスの前部に位置し、前記入力デバイスの外面の他の一部であり、複数の発光部が並んでいる第2の領域と、を有し、
前記第1の領域で並んでいる複数の発光部と、前記第2の領域で並んでいる複数の発光部は1つの仮想球面に位置している
入力デバイス。
【請求項23】
ユーザの親指で操作される少なくとも1つの操作部材をさらに有し、
前記入力デバイスの平面視において、前記第1の領域で並んでいる複数の発光部は少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、前記第2の領域で並んでいる複数の発光部は前記少なくとも1つの操作部材より前方に位置している
請求項22に記載される入力デバイス。
【請求項24】
前記第1の領域で並んでいる複数の発光部のうち少なくとも一部は、前記入力デバイスの後側且つ上側に向いている面に設けられ、
前記第2の領域で並んでいる複数の発光部のうち少なくとも一部は、前記入力デバイスの前側に向いている面に設けられている
請求項23に記載される入力デバイス。
【請求項25】
グリップと、ユーザの指で操作される少なくとも1つの操作部材とを有している本体と、
前記少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、背面視において前記グリップの少なくとも上側を覆う後部と、
複数の発光部が並んでいる第1の領域と、複数の発光部が並んでいる第2の領域とを含む被トラッキング領域と
前記本体の上部と前記後部とに接続している梁部と
を有し、
前記第1の領域は前記後部に設けられ、
前記第2の領域の少なくとも一部は前記本体に設けられている
入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被トラッキング部を有する入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
入力デバイスに発光部を設け、カメラによって発光部を検知することによって、入力デバイスの位置や姿勢をトラッキングする技術がある。下記特許文献1には、球状の発光部が設けられた、ゲーム操作用の入力デバイスが開示されている。特許文献1の入力デバイスは、例えばテレビに取り付けられているカメラによって撮影され、その映像から入力デバイスの位置や姿勢が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-164932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなシステムにおいては、テレビに取り付けられているカメラからユーザの手や腕によって発光部が隠れないことが重要である。また、特許文献1とは異なり、入力デバイスを撮影するカメラをヘッドマウントディスプレイに搭載し、そのカメラによって得られた映像から入力デバイスの位置や姿勢を算出するシステムが検討されている。このシステムでは、入力デバイスの位置や姿勢に応じた動画像(例えば、ゲーム画像)が、ヘッドマウントディスプレイを通してユーザに提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案する入力デバイスの一例は、グリップと、ユーザの指で操作される少なくとも1つの操作部材とを有している本体と、複数の発光部が配置されている被トラッキング領域と、側面視において前記少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、前記被トラッキング領域の一部を構成する第1の部分と、前記第1の部分より前方に位置し、前記第1の部分とは異なる方向で伸びており、前記被トラッキング領域の他の一部を構成する第2の部分と、を含んでいる。この構造によると、カメラによる発光部の検出安定性が確保できる。
【0006】
本開示で提案する入力デバイスの他の例は、複数の発光部が設けられている被トラッキング領域を有している入力デバイスである。前記被トラッキング領域は、前記入力デバイスの後部に位置し、前記入力デバイスの外面の一部である第1の曲面と、前記入力デバイスの前部に位置し、前記入力デバイスの外面の他の一部である第2の曲面と、を有している。前記第1の曲面と第2の曲面は、一つの球面の一部である。この構造によると、検知された発光部の位置に基づく入力デバイスの位置及び姿勢の算出を簡単化できる。
【0007】
本開示で提案する入力デバイスの他の例は、複数の発光部が設けられている被トラッキング領域を有している入力デバイスである。前記被トラッキング領域は、前記入力デバイスの外面の一部であり、複数の発光部が並んでいる第1の領域と、前記入力デバイスの外面の他の一部であり、複数の発光部が並んでいる第2の領域とを有している。前記第1の領域で並んでいる複数の発光部と、前記第2の領域で並んでいる複数の発光部は1つの仮想球面に位置している。この構造によると、検知された発光部の位置に基づく入力デバイスの位置及び姿勢の算出を簡単化できる。
【0008】
本開示で提案する入力デバイスの他の例は、グリップとユーザの指で操作される少なくとも1つの操作部材とを有している本体と、前記少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、背面視において前記グリップの少なくとも上側を覆う後部と、複数の発光部が並んでいる第1の領域と、複数の発光部が並んでいる第2の領域とを含む被トラッキング領域と前記本体の上部と前記後部とに接続している梁部とを有している。前記第1の領域は前記後部に設けられ、前記第2の領域の少なくとも一部は前記本体に設けられている。この構造によると、第1の領域と第2の領域とのとの相対位置の変化を抑えることができ、入力デバイスの位置及び姿勢の算出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示で提案する入力デバイスが利用されるシステムの例を説明するための図である。
図2】本開示で提案する入力デバイスの第1の例を示す正面図である。
図3図2で示す入力デバイスの左側面図である。
図4図2で示す入力デバイスの右側面図である。
図5図2で示す入力デバイスの平面図である。
図6図2で示す入力デバイスの背面図である。
図7】本開示で提案する入力デバイスの第2の例を示す左側面図である。
図8図7で示す入力デバイスの背面図である。
図9】本開示で提案する入力デバイスの第3の例を示す正面図である。
図10図9で示す入力デバイスの左側面図である。
図11図9で示す入力デバイスの平面図である。
図12図9で示す入力デバイスの背面図である。
図13】本開示で提案する入力デバイスの第4の例を示す平面図である。
図14図13で示す入力デバイスの右側面図である。
図15図13で示す入力デバイスの左側面図である。
図16図13で示す入力デバイスの図であり、図13で示す中心線Pcで示す方向に入力デバイスを臨んでいる。
図17図13で示す入力デバイスの正面図である。
図18図13で示す入力デバイスの底面図である。
図19】本開示で提案する入力デバイスの第5の例を示す斜視図である。
図20図19で示す入力デバイスの斜視図である。
図21図19で示す入力デバイスの側面図である。
図22図19で示す入力デバイスの平面図である。
図23図19で示す入力デバイスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本開示で提案する入力デバイスの例について説明する。本明細書では、図2のZ1及びZ2で示す方向をそれぞれ上方及び下方と称し、図3のY1及びY2で示す方向をそれぞれ前方及び後方と称し、図2においてX1及びX2で示す方向をそれぞれ右方及び左方と称する。これらの方向は、図1に示すようにユーザが入力デバイス100を握ってこれを使用しているときのユーザから見た方向に対応している。また、図2図23において黒丸は後述する発光部Hを表している。
【0011】
[システムの概要]
図1で示すように、入力デバイス100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)2とともに使用される。ユーザはHMD2を頭部に装着し、右手及び/又は左手に入力デバイス100を保持する。HMD2は前方に向いているカメラを有している。入力デバイス100には、後述する複数の発光部Hが設けられている。発光部Hの位置はカメラを通して検知される。発光部の位置に基づいて、入力デバイス100の位置と姿勢(すなわち、ユーザの手の位置や向き)が算出される。入力デバイス100は、後述するように、ユーザが指で操作する複数の操作部材(例えば、操作ボタンや、操作スティック、タッチセンサなど)を有している。HMD2の表示部には、入力デバイス100の位置や、その姿勢、操作部材に対してなされた操作に基づいて生成された動画像(例えば、ゲーム画像)が表示される。
【0012】
入力デバイス100の位置と姿勢の算出は、HMD2に搭載されている情報処理装置によって実行されてもよいし、外部の情報処理装置(例えば、HMD2とは別個のゲーム装置や、パーソナルコンピュータ)によって実行されてもよい。入力デバイス100は、モーションセンサー(例えば、加速度センサや、ジャイロセンサー)を有してもよい。情報処理装置は、発光部Hの位置だけでなく、モーションセンサーの出力に基づいて、入力デバイス100の位置や姿勢を算出してもよい。また、動画像の生成も、HMD2に搭載されている情報処理装置によって実行されてもよいし、外部の情報処理装置によって実行されてもよい。入力デバイス100の位置等の算出と動画像の生成が、外部の情報処理装置によって実行される場合、カメラで取得した画像情報は、外部の情報処理装置に無線または有線で送信される。生成された動画像情報は外部の情報処理装置から無線又は有線でHMD2に送信される。
【0013】
なお、入力デバイス100は、マイクロフォンや、スピーカーなどを有してもよい。さらに、入力デバイス100は、その外面に、位置や姿勢のトラッキングに利用しない発光部、例えば、入力デバイス100の動作状態を示す発光部、複数の入力デバイス100を識別するための発光部を有してもよい。
【0014】
[入力デバイスの全体構成]
以下では、右手用の入力デバイス100について詳説する。右手用の入力デバイス100の外形と左手用の入力デバイス100の外形は左右対称である。したがって、入力デバイス100の要素(部材、部位)の相対位置についての説明は、説明で使用される「右方」、「右側」、「左方」、及び「左側」を反転させることによって、左手用の入力デバイス100においても適用できる。ユーザの指で操作される操作部材の数や種類は、左右の入力デバイス100において相違していてよい。また、操作部材の配置については、右手用の入力デバイス100と左手用の入力デバイス100は左右対称でなくてもよい。
【0015】
図3で示すように、入力デバイス100の本体10は、グリップ11Bと、複数の操作部材が配置されている操作部11Aとを有している。本体10はその上部に操作部11Aを有し、グリップ11Bは操作部11Aから下側に伸びている。詳細には、グリップ11Bは、操作部11Aから、斜め下方且つ後方に伸びている。操作部11Aに配置されている操作部材は、グリップ11Bを握っている状態で親指によって操作できる。グリップ11Bは、例えば、母指球、中指、薬指、及び小指によって保持される。操作部11Aの前面11f及び/又はグリップ11Bの前面に人差し指で操作する操作部材(ボタン)が設けられてもよい。
【0016】
図3で示すように、操作部11Aには、例えば、操作ボタン13・14と操作スティック15が操作部材として配置される。操作ボタン13・14は、操作部11Aの後方かつ上方に向いた第1上面11aに配置され、例えば親指で操作される。操作スティック15は操作部11Aの第2上面11bに配置され、例えば親指で操作される。第2上面11bは第1上面11aの前方に位置し且つ上方に向いた面である。操作スティック15は径方向に倒したり、径方向にスライド可能な操作部材である。
【0017】
操作部11Aに設けられる操作部材は、ここで説明する例に限られない。例えば、タッチセンサや、トリガーボタン、タッチセンサ付きボタンが操作部11Aに設けられてもよい。また、操作部11Aに設けられる操作部材の数は、1つや、2つでもよいし、4つ以上でもよい。例えば、第2上面11bには複数の操作ボタンが設けられてもよい。以下の説明では、操作ボタン13・14や操作スティック15を、操作部材13・14・15と称する。
【0018】
入力デバイス100は、その外面に、複数の発光部Hが設けられている被トラッキング領域を有している。被トラッキング領域の発光部Hに対応する位置には、発光素子(具体的には、発光ダイオード(LED))が設けられている。入力デバイス100の外面は、例えば、LEDを覆う外装部材によって構成される。LEDは外装部材の内面から離れて配置され、LEDの光は導光部材を通して外装部材(発光部H)まで導かれてもよい。なお、「発光部H」とは、外装部材において光が通る部分である。外装部材が不透明な材料で形成され、光を通す材料又は孔が発光素子の位置に形成されている構造においては、その光を通す材料が形成された部分又は光を通す孔が形成された部分が発光部Hである。これに対して、入力デバイス100の最表面に透明な外装部材が配置され、その外装部材の内側に発光素子(LED)が配置されている構造においては、その発光素子に対向する部分が発光部Hである。また、入力デバイス100の最表面に透明な外装部材が配置され、その外装部材の内側に導光部材が配置され、発光素子の光が導光部材によって案内される構造においては、その導光部材の端面(光出射面)に対向する部分が発光部Hである。
【0019】
入力デバイス100は、図3及び図5で示すように、後被トラッキング部31Aと前被トラッキング部31Bとを有している。後被トラッキング部31Aと前被トラッキング部31Bのそれぞれに複数の発光部Hが設けられており、被トラッキング部31A・31Bの外面は被トラッキング領域を構成している。入力デバイス100は、操作部11Aの前面11fよりも前方に位置する被トラッキング部を有していない。
【0020】
操作部11Aとグリップ11Bとを含む本体10にも発光部Hが設けられてもよい。すなわち、本体10の外面の一部も、被トラッキング領域を構成してよい。入力デバイス100の例では、グリップ11Bは比較的大きな幅を有しており、図2で示すように、ユーザが右手でグリップ11Bを握っているとき、本体10の左側面11cはユーザの手で覆われない。したがって、左側面11cに複数の発光部Hが設けられてよい。また、操作部11Aの前面11fにも複数の発光部Hが設けられてもよい(図1参照)。本体10の外面における他の領域、例えば、グリップ11Bの後面や前面には発光部Hは設けられていない。
【0021】
[後被トラッキング部の位置]
図3で示すように、後被トラッキング部31Aは操作部11Aに配置されている操作部材よりも後方に位置している。入力デバイス100の例では、操作部11Aに配置されている全ての操作部材13・14・15よりも後方に後被トラッキング部31Aが位置している。後被トラッキング部31Aのこの配置によると、例えば被トラッキング部が操作部11Aより前方に位置している構造に比して、入力デバイス100を振ったときに入力デバイス100に作用するモーメントが小さくなり、ユーザの手首や腕にかかる負担を軽減できる。
【0022】
入力デバイス100の側面視において、グリップ11Bは、後被トラッキング部31Aに対して前方に傾斜している。後被トラッキング部31Aはグリップ11Bの前部よりも後方に位置している。前後方向における後被トラッキング部31Aの位置は、グリップ11Bの後端の位置に一致している。後被トラッキング部31Aの下方にグリップ11Bの後端が位置している。グリップ11Bと後被トラッキング部31Aとの間のこの位置関係によると、グリップ11Bを握っている状態で手首を内側又は外側に曲げたときに、手首と後被トラッキング部31Aとが干渉することを防ぐことができる。
【0023】
図3で示すように、後被トラッキング部31Aの最上部は、操作部11Aの上面11bよりも高い位置にあり、操作部11Aから後方に離れている。すなわち、後被トラッキング部31Aの最上部は、上面11bにある操作部材のうち最も高い位置にある操作部材(図で示す例において操作スティック15)よりもさらに高い位置にあり、この操作部材から後方に離れている。この操作部材と後被トラッキング部31Aとの間に、親指の前後方向での動きを許容するスペースが確保されている。
【0024】
[後被トラッキング部の形状]
図6で示すように、後被トラッキング部31Aは、入力デバイス100の背面視において円弧状である。入力デバイス100の背面視において、本体10の上部は後被トラッキング部31Aの内側に位置している。入力デバイス100の背面視において、後被トラッキング部31Aの内側の左端31iはグリップ11Bの左側面11cよりも左方に位置している。後被トラッキング部31Aの内側の右端31kはグリップ11Bの右側面11gよりも右方に位置している。ユーザは後被トラッキング部31Aの内側に手を入れて、グリップ11Bを握ることができる。複数の発光部Hは後被トラッキング部31Aの周方向に並んでいる。発光部Hは、図5で示すように、後被トラッキング部31Aの全体に亘って分散している。
【0025】
図6で示すように、入力デバイス100の背面視において、後被トラッキング部31Aの外形の少なくとも一部は、前後方向に沿った中心線Pcを中心とする真円Spに合わせて湾曲していてよい。より望ましくは、入力デバイス100の背面視において、後被トラッキング部31Aの外形の半分、或いは半分より大きな範囲において、後被トラッキング部31Aの外形は真円Spに合わせて湾曲していてよい。後被トラッキング部31Aの外形の大部分が真円Spに合わせて湾曲していてよい。入力デバイス100の例では、後被トラッキング部31Aの外形の全体が真円Spの一部である。後被トラッキング部31Aは、中心線Pcを中心とする周方向において180度に亘って形成されている。このように後被トラッキング部31Aの外形が少なくとも部分的に真円Spに沿って湾曲すると、入力デバイス100の位置及び姿勢の算出処理を簡単化できる。後被トラッキング部31Aの外形の全体が真円Spに沿って湾曲すると、算出処理をさらに簡単化できる。
【0026】
入力デバイス100の平面視において、中心線Pc(図6参照)はグリップ11Bの延伸方向(図5において線P2で示す方向)と平行である。また、入力デバイス100の側面視において、中心線Pcは、操作スティック15の中心線Pv3(図4参照)に垂直であってよい。入力デバイス100とは異なり、中心線Pcは、平面視においてグリップ11Bの延伸方向(図5において線P2で示す方向)に対して傾斜していてもよい。また、中心線Pcは、側面視において、操作スティック15の中心線Pv3(図4参照)に垂直な平面に対して傾斜していてもよい。
【0027】
図6で示すように、後被トラッキング部31Aに設けられている複数の発光部Hと中心線Pcとの距離は、同じである。入力デバイス100の例では、中心線Pcから後述する後傾斜面31bに設けられている複数の発光部Hまでの距離L1が同じであってよい。また、中心線Pcから後述する前傾斜面31aに設けられている複数の発光部Hまでの距離も同じであってよい。
【0028】
図3で示すように、後被トラッキング部31Aは、入力デバイス100の側面視において、上下方向にまっすぐに伸びていてよい。これによると、後被トラッキング部31Aの形状がシンプルとなり、発光部Hの位置に基づく入力デバイス100の位置及び姿勢の算出処理を簡単化できる。グリップ11Bは操作部11Aから斜め下方且つ後方に伸びている。したがって、後被トラッキング部31Aは、入力デバイス100の側面視においてグリップ11Bに対して傾斜している。
【0029】
また、図5で示すように、後被トラッキング部31Aは、入力デバイス100の平面視において、左右方向にまっすぐに伸びていてよい。これによると、後被トラッキング部31Aの形状がシンプルとなり、発光部Hの位置に基づく入力デバイス100の位置及び姿勢の算出処理を簡単化できる。入力デバイス100の平面視において、後被トラッキング部31Aの左部は、操作部11Aよりも後方に位置し、いずれの操作部材とも重なっていない。
【0030】
入力デバイス100の使用時に、後被トラッキング部31Aはユーザの手首の上側を取り囲む。後被トラッキング部31Aはユーザの身体で覆われにくいので、HMD2に搭載されているカメラによる発光部Hの検出安定性を向上できる。なお、後被トラッキング部31Aは円弧状ではなく、中心線Pcを中心とする周方向において360度に亘って形成されている環状であってもよい。また、さらに他の例として、後被トラッキング部31Aは、多角形(例えば、4角形や、5角形など)でもよいし、多角形の一部が円弧状に形成されていてもよい。
【0031】
後被トラッキング部31Aの上部に前被トラッキング部31Bが接続されている。後被トラッキング部31Aの上部は前被トラッキング部31Bを介して本体10に接続している。図5で示すように、後被トラッキング部31Aは、後被トラッキング部31Aと前被トラッキング部31Bとの接続部31dより右方に位置し下方に伸びている右部31eと、接続部31dより左方に位置し下方に伸びている左部31fとを有している。部分31e・31fは、中心線Pcを中心として円弧状に湾曲している。
【0032】
図2で示すように、接続部31dの位置は、入力デバイス100の背面視において中心線Pcを通る水平面P1より高くてよい。また、接続部31dの位置は、中心線Pcを通る鉛直面P2の右側であってよい。つまり、接続部31dは、水平面P1より高く且つ鉛直面P2より右側の領域にあってよい。こうすれば、親指の動き及び人差し指の動きを阻害することなく、本体10と後被トラッキング部31Aとを前被トラッキング部31Bを介して連結できる。
【0033】
[後被トラッキング部の傾斜面]
図3で示すように、後被トラッキング部31Aの外面は、前傾斜面31aと後傾斜面31bとを含んでいる。後傾斜面31bは前傾斜面31aの後側に位置している。2つの傾斜面31a・31bは前後方向で隣り合っていてよい。傾斜面31a・31bは互いに接続されていてよい。
【0034】
前傾斜面31aと後傾斜面31bのそれぞれは、中心線Pc(図6参照)を中心とする周方向で伸びている。前傾斜面31aと後傾斜面31bのそれぞれは、入力デバイス100の背面視において、その全体に亘って真円Spに沿って湾曲している。2つの傾斜面31a・31bの間の境界(稜線N)も、それらの半分より大きな範囲において真円Spに沿って湾曲している。
【0035】
図3で示すように、前傾斜面31aと後傾斜面31bのそれぞれに複数の発光部Hが設けられている。前傾斜面31aと後傾斜面31bのそれぞれにおいて、複数の発光部Hが中心線Pcを中心とする周方向で並んでいる。すなわち、後被トラッキング部31Aにある複数の発光部Hは2列で並んでいる。
【0036】
図3で示すように、前傾斜面31aが向いている方向(法線D1の方向)と後傾斜面31bが向いている方向(法線D2の方向)は異なっている。前傾斜面31aの法線D1は中心線Pcに対して直交する方向(中心線Pcに対して直交する平面Pv1)に対して前側に傾斜し、後傾斜面31bの法線D2は中心線Pcに対して直交する方向に対して後側に傾斜している。この構造によると、HMD2に搭載されているカメラによる発光部Hの検出安定性をさらに向上できる。
【0037】
図5で示すように、後傾斜面31bの幅Wbは前傾斜面31aの幅Waよりも大きい。ユーザが入力デバイス100を使用しているとき、後傾斜面31bがユーザの頭部に装着されているカメラに向いている頻度のほうが、前傾斜面31aがカメラに向いている頻度よりも高くなる。後傾斜面31bの幅Wbが前傾斜面31aの幅Waよりも大きい構造によると、カメラで入力デバイス100を撮影したときに、後傾斜面31bに配置されている発光部Hの背景が、前傾斜面31aに配置されている発光部Hの背景よりも大きくなる。その結果、後傾斜面31bに配置されている発光部Hの検出精度を向上できる。
【0038】
入力デバイス100が有している後傾斜面31bの幅Wbと前傾斜面31aの幅Waは、中心線Pcを中心とする周方向において一定である。これとは異なり、後傾斜面31bの幅Wbと前傾斜面31aの幅Waは、周方向における位置によって変化してもよい。入力デバイス100とは異なり、後傾斜面31bの幅Wbと前傾斜面31aの幅Waは、同じであってもよい。
【0039】
[前被トラッキング部の位置と形状]
図4で示すように、前被トラッキング部31Bは後被トラッキング部31Aより前方に位置し、後被トラッキング部31Aとは異なる方向で伸びている。具体的には、入力デバイス100の側面視において、後被トラッキング部31Aは上下方向で伸びているのに対して、前被トラッキング部31Bは前後方向で伸びている。また、図5で示すように、入力デバイス100の平面視において、後被トラッキング部31Aは左右方向で伸びているのに対して、前被トラッキング部31Bは斜め前後方向で伸びている。このように、入力デバイス100は異なる2方向で伸びている被トラッキング部31A・31Bを有しているので、カメラによる発光部Hの検出安定性を向上できる。
【0040】
図3で示すように、前被トラッキング部31Bは、グリップ11Bより上方に位置している。前被トラッキング部31Bは後被トラッキング部31Aの上部と本体10の上部(より具体的には、操作部11A)のうちの一方から他方に向かって伸びている。前被トラッキング部31Bのこの配置によると、前被トラッキング部31Bに設けられている発光部Hがユーザの身体で覆われるのを防止できる。図2で示すように、前被トラッキング部31Bは、本体10の上部と後被トラッキング部31Aの上部とに接続されている。
【0041】
図5で示すように、入力デバイス100の平面視において、前被トラッキング部31Bは、本体10の上部(操作部11A)の右側に位置し、本体10の上部から後被トラッキング部31Aに向かう方向に伸びている。より詳細には、前被トラッキング部31Bは、本体10の上部(操作部11A)の右側から、斜め後方に延びて後被トラッキング部31Aに接続している。前被トラッキング部31Bは、本体10の上部の右側から、湾曲しながら斜め後方に延びてもよいし、斜め後方に直線的に延びてもよい。
【0042】
図2で示すように、ユーザがグリップ11Bを握っている時、前被トラッキング部31Bの下側に掌の側部が位置する。入力デバイス100の正面視において、前被トラッキング部31Bの下側に、本体10と、後被トラッキング部31Aとで囲まれるスペースS1が確保されている。このスペースS1に、グリップ11Bを握るユーザの掌の一部が配置される。
【0043】
図2で示すように、入力デバイス100の正面視において、本体10は入力デバイス100の左右方向での中心を通る平面P2に対して左側にずれている。本体10の配置によると、右手の掌を配置するためのスペースS1を十分に確保でき、右手で本体10を握って操作することが容易となる。
【0044】
図4で示すように、前被トラッキング部31Bの上方に親指を動かすためのスペースが確保される。ユーザがグリップ11Bを握っている手を開いたときに、前被トラッキング部31Bはユーザの親指と人指し指の付け根(指尖球の端)との間に位置する。このため、ユーザが手を広げたときに入力デバイス100が手から落下することを防ぐことができる。つまり、前被トラッキング部31Bは、人指し指の付け根に引っかかるハンガー部として機能し得る。
【0045】
また、図4で示すように、ユーザが手を広げたとき、親指は、後被トラッキング部31Aの上部と前被トラッキング部31Bとの間に位置することとなる。そのため、入力デバイス100が手から前方に離れることが後被トラッキング部31Aの上部と前被トラッキング部31Bとによって抑えられる。つまり、後被トラッキング部31Aは、親指に引っかかるハンガー部として機能し得る。ユーザは、入力デバイス100を手にかけた状態で、例えばHMD2を掴んでその位置調整を行うことができる。
【0046】
図5で示すように、前被トラッキング部31Bと後被トラッキング部31Aとの接続部31dは、入力デバイス100の平面視において、操作部11Aよりも右方に位置し、グリップ11Bから右方に離れている。接続部31dは平面P2の右側に位置している。入力デバイス100の平面視において、グリップ11Bの右側面と前被トラッキング部31Bとの間に隙間G1が確保されている。これによって、ユーザがグリップ11Bを握っている状態で、接続部31dや前被トラッキング部31Bに親指が干渉することを防ぐことができる。
【0047】
図2で示すように、前被トラッキング部31Bは、後被トラッキング部31Aの上端(真円Spの最上部)よりも低い位置で、後被トラッキング部31Aに接続されている。前被トラッキング部31Bと後被トラッキング部31Aとの接続部31dは、操作部11Aよりも上方に位置し、或いは操作部11Aと同じ高さに位置してよい。
【0048】
図2で示すように、入力デバイス100の正面視において、前被トラッキング部31Bと、本体10と、後被トラッキング部31Aとで囲まれるスペースS1が確保されている。このスペースS1にユーザの掌の一部が配置される。前被トラッキング部31Bの前部の上側と操作部11Aの上側とに、親指を動かすことのできるスペースが確保されている。つまり、前被トラッキング部31Bは、入力デバイス100の正面視においては、掌や中指等が配置されるスペースS1と、親指を動かすことのできるスペースとの仕切りを構成している。
【0049】
図5で示すように、前被トラッキング部31Bは上面31gを有している。上面31gは操作部11Aの上面11bと繋がっている。ユーザは操作部11Aの上面11a・11bに設けられている操作部材13・14・15を操作しないときに、前被トラッキング部31Bの上面31gに親指を待避させることができる。入力デバイス100の例では、操作部11Aの上面11bは水平な面である。これとは異なり、操作部11Aの上面11bは、前被トラッキング部31Bの上面31gと同様に斜めに形成され、上面11b、31gが連続的に右方且つ上方に伸びてもよい。これによって、操作部材14・15を操作する親指の動きを円滑化できる。
【0050】
[発光部]
図4及び図5で示すように、前被トラッキング部31Bは側面(前面)31hと上面31gとを有している。側面31hと上面31gのそれぞれに1又は複数の発光部Hが設けられてよい。この構造によると、カメラによる発光部Hの検出安定性を向上できる。
【0051】
発光部Hは、前被トラッキング部31B(ハンガー部)の側面31h(図2)と、操作部11Aの前面11f(図2)と、グリップ11Bの左側面11c(図3)と、後被トラッキング部31A(ハンガー部)の後傾斜面31bとに発光部Hが設けられてよい。グリップ11Bは比較的大きな左右方向での幅を有しており、グリップ11Bをユーザが右手で握った場合でも、グリップ11Bの左側面11cは指(具体的には、中指、及び薬指)で覆われない。
【0052】
前被トラッキング部31Bの上面31g(図5)と、操作部11Aの上面11bと、後被トラッキング部31Aの前傾斜面31aとに発光部Hが設けられている。操作部11Aの上面11b・11aとグリップ11Bの後面11e(図5参照)には発光部Hは設けられていない。
【0053】
[第2の例]
本開示で提案する入力デバイスは、上述した入力デバイス100に限られない。以下では、図7及び図8を参照しながら、本開示で提案する入力デバイスの他の例として、入力デバイス300について説明する。以下では、入力デバイス300と入力デバイス100との相違点を中心にして説明する。説明のない事項は、入力デバイス100と同様であってよい。
【0054】
図7で示すように、入力デバイス300の本体310は、グリップ311Bと、複数の操作部材が配置されている操作部311Aとを有している。操作部311Aには、例えば、操作ボタン13・14と操作スティック15が操作部材として配置される。
【0055】
入力デバイス300は、図7で示すように、後被トラッキング部331Aと前被トラッキング部331Bとを有している。後被トラッキング部331Aと前被トラッキング部331Bのそれぞれに複数の発光部Hが設けられており、これらの外面は被トラッキング領域を構成している。
【0056】
図8で示すように、後被トラッキング部331Aは前後方向に沿った中心線Pcを全周に亘って取り囲む環状である。後被トラッキング部331Aのこの形状によると、発光部Hの検出安定性を確保するのに求められる入力デバイス100の姿勢についての制約を軽減できる。後被トラッキング部331Aの形状は、入力デバイス300の背面視において、中心線Pcを取り囲む六角形である。後被トラッキング部331Aの形状は円形や四角形であってもよい。
【0057】
図8で示すように、後被トラッキング部331Aの上部331eに前被トラッキング部331Bが接続している。後被トラッキング部331Aは、上部331eと、上部331eの右側から下方に伸びている右部331fと、上部331eの左側から下方に伸びている左部331gと、右部331fと左部331gとの間で延びている下部331hとを有している。これら4つの部分が中心線Pcを中心として取り囲んでいる。
【0058】
図7で示すように、入力デバイス300の側面視において、グリップ311Bは、後被トラッキング部331Aに対して前方に傾斜している。後被トラッキング部331Aの下部はグリップ311Bの後部と重なっている。このような位置関係によると、グリップ11Bを握っている状態で手首を内側又は外側に曲げたときに、手首と後被トラッキング部31Aとが干渉することを防ぐことができる。入力デバイス300の例では、グリップ311Bの最後部311d(図7参照)に後被トラッキング部31Aの下部は重なっている。
【0059】
図8で示すように、後被トラッキング部331Aの下部331hはグリップ311Bに接続している。より詳細には、後被トラッキング部331Aの下部331hはグリップ311Bの下端(後端)に接続している。後被トラッキング部331Aの上部331eは、前被トラッキング部331Bを介して本体10に接続している。これによると、後被トラッキング部331Aの下部331hと上部331eとが支持されるので、後被トラッキング部331Aの剛性を十分に確保できる。その結果、例えば、後被トラッキング部331Aに意図しない外力が作用したときに、後被トラッキング部331Aの姿勢、言い換えると、後被トラッキング部331Aに設けられた発光部Hの位置が、本体10に対して変わってしまうことを防ぐことができる。
【0060】
図7で示すように、後被トラッキング部331Aの外面は、入力デバイス100の例と同様、前傾斜面331aと後傾斜面331bとを含んでいる。前傾斜面331aと後傾斜面331bのそれぞれにおいて、複数の発光部Hがそれらの延伸方向で並んでいる。
【0061】
後被トラッキング部31Aは、上部331eと、右部331fと、左部331gと、下部331hのそれぞれに後傾斜面31bと前傾斜面31aとを有してよい。そして、各部の後傾斜面31bと前傾斜面31aとに発光部Hが設けられてよい。また、入力デバイス100の例と同様、後傾斜面331bの幅(図5においてWb)は前傾斜面331aの幅(図5においてWa)よりも大きくてよい。
【0062】
図7で示すように、グリップ311Bの左側面311cに複数の発光部Hが設けられてよい。また、操作部311Aの前面311fにも複数の発光部Hが設けられてもよい。本体10の外面における他の領域、例えば、グリップ11Bの後面や前面には発光部Hは設けられていない。
【0063】
図8で示すように、前被トラッキング部331Bの下側には、本体310と、後被トラッキング部331Aとで囲まれるスペースS1が確保されている。より詳細には、後被トラッキング部331Aの右部331fと、下部331hと、本体310と、上部331eと、前被トラッキング部331Bとで囲まれるスペースS1が確保されている。本体310は入力デバイス300の左右方向での中心を通る平面P2に対して左側にずれている。本体310のこの配置によって、スペースS1を大きくでき、右手で本体310を握って操作することが容易となる。
【0064】
前被トラッキング部331Bは操作部311Aの右側から後方に延びており、平面P2に対して右側にずれている。これにより、前被トラッキング部331Bが親指の動きの障害となることを抑えることができる。
【0065】
[第3の例]
以下では、図9図12を参照しながら、本開示で提案する入力デバイスの他の例として、入力デバイス400について説明する。以下では、入力デバイス400と入力デバイス100との相違点を中心にして説明する。説明のない事項は、入力デバイス100と同様であってよい。
【0066】
図10で示すように、入力デバイス400の本体410は、グリップ411Bと、複数の操作部材が配置されている操作部411Aとを有している。操作部411Aには、例えば、操作ボタン13・14と操作スティック15が操作部材として配置される。
【0067】
図9で示すように、入力デバイス400は後被トラッキング部431Aと前被トラッキング部431Bとを有している。後被トラッキング部431Aと前被トラッキング部431Bのそれぞれに複数の発光部Hが設けられており、これらの外面は被トラッキング領域を構成している。
【0068】
図12で示すように、後被トラッキング部431Aは前後方向に沿った中心線Pcを全周に亘って取り囲む環状である。すなわち、後被トラッキング部431Aは、中心線Pcを中心とする周方向において360度に亘って形成されている。
【0069】
図12で示すように、入力デバイス400の背面視において、後被トラッキング部431Aの外形の少なくとも一部は、前後方向に沿った中心線Pcを中心とする真円Spに合わせて湾曲していてよい。このように後被トラッキング部431Aの外形が少なくとも部分的に真円Spに沿って湾曲すると、入力デバイス400の位置及び姿勢の算出処理を簡単化できる。望ましくは、後被トラッキング部431Aの外形の大部分が真円Spに合わせて湾曲していてよい。入力デバイス400の例では、後被トラッキング部431Aの全体が真円Spに合わせて湾曲している。後被トラッキング部431Aに設けられている複数の発光部Hと中心線Pcとの距離L1(図12参照)は、同じであってよい。
【0070】
後被トラッキング部431Aの一部(例えば、後被トラッキング部431Aと前被トラッキング部431Bとの接続部431dや、後被トラッキング部431Aとグリップ411Bとの接続部)は真円Spより外側に位置していてもよい。この場合でも、後被トラッキング部431Aに設けられている複数の発光部Hと中心線Pcとの距離L1(図12参照)は、同じであってよい。
【0071】
図10で示すように、後被トラッキング部431Aは、入力デバイス400の側面視において、上下方向にまっすぐに伸びていてよい。これによると、後被トラッキング部431Aの形状がシンプルとなり、発光部Hの位置に基づく入力デバイス400の位置及び姿勢の算出処理を簡単化できる。後被トラッキング部431Aは、入力デバイス400の側面視においてグリップ411Bに対して傾斜している。
【0072】
また、図11で示すように、後被トラッキング部431Aは、入力デバイス400の平面視において、左右方向にまっすぐに伸びていてよい。これによると、後被トラッキング部31Aの形状がシンプルとなり、発光部Hの位置に基づく入力デバイス400の位置及び姿勢の算出処理を簡単化できる。
【0073】
図10で示すように、後被トラッキング部431Aの外面は、入力デバイス100の例と同様、前傾斜面431aと後傾斜面431bとを含んでいる。前傾斜面431aと後傾斜面431bのそれぞれに複数の発光部Hが設けられている。複数の発光部Hは、前傾斜面431aと後傾斜面431bとにおいて周方向で並んでいる。
【0074】
図11で示すように、入力デバイス100の例と同様、後傾斜面431bの幅Wbは前傾斜面431aの幅Waよりも大きくてよい。前傾斜面431aと後傾斜面431bは、望ましくは、後被トラッキング部431Aの全周に亘って形成される。これとは異なり、前傾斜面431aと後傾斜面431bは、後被トラッキング部431Aの一部(例えば後被トラッキング部431Aの上部)だけに形成されてもよい。
【0075】
図10で示すように、グリップ411Bの左側面411cに複数の発光部Hが設けられてよい。また、操作部411Aの前面411fにも複数の発光部Hが設けられてもよい。本体10の外面における他の領域、例えば、グリップ11Bの後面や前面には発光部Hは設けられていない。
【0076】
図10及び図11で示すように、前被トラッキング部431Bは操作部411Aの右側から後方且つ上方に延びて、後被トラッキング部431Aの上部に接続されている。図10で示すように、前被トラッキング部431Bは湾曲しながら後方且つ上方に延びてもよい。
【0077】
発光部Hは前被トラッキング部431Bの2面に設けられてよい。こうすることで、その結果、前被トラッキング部431Bに配置されている発光部Hの検出精度を向上できる。入力デバイス400の例では、発光部Hは前被トラッキング部431Bの上面(前面)431h(図11参照)と右側面431i(図11参照)とに設けられてよい。
【0078】
後被トラッキング部431Aの下部はグリップ411Bの最後部(最下部)に接続している。一方、後被トラッキング部431Aの上部は前被トラッキング部431Bを介して本体410に接続している。これによると、後被トラッキング部431Aの下部と上部とが支持されるので、後被トラッキング部431Aの剛性を十分に確保できる。その結果、例えば、後被トラッキング部431Aに意図しない外力が作用したときに、後被トラッキング部431Aの姿勢が、本体10に対して変わってしまうことを防ぐことができる。なお、この説明において、後被トラッキング部431Aの上部とは、後被トラッキング部431Aの上下方向での中心を通る水平面P1(図9参照)より上方の部分であり、後被トラッキング部31Aの下部とは、水平面P1より下方の部分である。
【0079】
入力デバイス400の外面における被トラッキング領域は、互いに離れた少なくとも2つの位置に、一つの球面Sr(同一球面)を構成する曲面を有している。この形状によれば、カメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイス100の位置や姿勢の算出処理を容易化できる。被トラッキング部431A・431Bと本体410はこの球面Srの内側に位置している。
【0080】
入力デバイス400は、入力デバイス400の後部と前部とに、このような曲面を有している。具体的には、図10及び図11で示すように、入力デバイス400の後部に、後被トラッキング部31Aの後傾斜面431bが設けられている。後傾斜面431bは仮想球面Srの一部であり、球面Srに沿って湾曲している。後傾斜面431bは、入力デバイス400の平面視において、親指で操作する操作部材13・14・15よりも後方に位置している。後傾斜面431bは、入力デバイス400の背面視においてグリップ411Bを取り囲む環状である(図12参照)。入力デバイス400とは異なり、後被トラッキング部431Aは円弧状であってもよい。
【0081】
後傾斜面431bは、入力デバイス100の最後部に位置している。後傾斜面431bのこのような配置によると、HMD2に搭載されているカメラで後傾斜面31bの発光部Hからの光を捉えやすくなる。
【0082】
図10及び図11で示すように、入力デバイス400の前部に、操作部411Aの前面411fが設けられている。操作部411Aの前面411fは、操作部材13・14・15より前方に位置する面である。操作部411Aの前面411fが球面Srの一部であり、球面Srに沿って湾曲している。
【0083】
操作部411Aの前面411fに代えて、或いは操作部411Aの前面411fとともに、前被トラッキング部431Bの前面(上面)431hも球面Srの一部を構成してもよい。
【0084】
図9で示すように、入力デバイス400の正面視において、前被トラッキング部431Bの下側に、本体410と、後被トラッキング部431Aとで囲まれるスペースS1が確保されている。このスペースS1に、ユーザの掌が配置される。本体410は入力デバイス400の左右方向での中心を通る平面P2に対して左側にずれている。
【0085】
図11で示すように、前被トラッキング部31Bと後被トラッキング部31Aとの接続部431dは平面P2の右側に位置している。入力デバイス100の平面視において、前被トラッキング部431Bはグリップ411Bの右側面から右方に離れている。入力デバイス100の平面視において、グリップ411Bの右側面と前被トラッキング部431Bとの間に、隙間G1が確保されている。これによって、ユーザがグリップ11Bを握っている状態で、接続部431dや前被トラッキング部431Bに親指が干渉することを防ぐことができる。前被トラッキング部431Bは、操作部411Aの右側から斜め右方且つ後方に延びてもよい。こうすることによって、隙間G1をより大きくできる。
【0086】
[第4の例]
以下では、図13図19を参照しながら、本開示で提案する入力デバイスの他の例として、入力デバイス500について説明する。以下では、入力デバイス500と、これまで説明した入力デバイス(特に、入力デバイス400)との相違点を中心にして説明する。説明のない事項は、これまで説明した入力デバイスと同様であってよい。
【0087】
図13で示すように、入力デバイス500の本体510は、グリップ511Bと、複数の操作部材が配置されている操作部511Aとを有している。操作部511Aには、例えば、操作ボタン13・14と操作スティック15が操作部材として配置される。また、操作部511Aには、操作ボタン16・17も配置されてよい。
【0088】
図13で示すように、入力デバイス500は後被トラッキング部531Aと前被トラッキング部531Bとを有している。後被トラッキング部531Aは環状である(図16参照)。前被トラッキング部531Bは、本体510の上部(具体的には操作部511B)と後被トラッキング部531Aとに接続している。
【0089】
[前被トラッキング部]
前被トラッキング部531Bは、図17で示すように、本体510の上部(操作部511A)から右方に延びている。前被トラッキング部531Bは、後被トラッキング部531Aの中心線Pc(図16参照)の位置よりも高い。前被トラッキング部531Bの下側に、親指を除く4本の指を置くスペースS1が確保されている。
【0090】
図17で示すように、前被トラッキング部531Bの前部において、前被トラッキング部531Bの上面531hは操作部511Aの上面511bと繋がっている。これらの間に段差がない。これによってユーザは操作部511Aの上面で指をスムーズに移動させることができる。
【0091】
図17で示すように、前被トラッキング部531Bの前部と操作部511Aの上面531h・511bは、水平面P4と実質的に平行であってよい。このことも、ユーザの指のスムーズな動きに寄与する。ここで水平面P4は、例えば操作スティック15の中心線Pv3に対して垂直な平面である。直線Pv3は操作ボタン13・14の押し方向であってもよい。
【0092】
図14で示すように、前被トラッキング部531Bの後部において、前被トラッキング部531Bの上面531hは斜め後方且つ上方に延びている。これにより、前被トラッキング部531Bの上下方向での幅が増す。その結果、前被トラッキング部531Bと後被トラッキング部531Aとの接続強度が増す。また、前被トラッキング部531Bの前部においては上面531hの高さが相対的に低いので、操作部511Aに配置される操作部材を操作する親指の動きを許容する十分なスペースが、操作部511A(或いは前被トラッキング部531Bの前部)と後被トラッキング部531Aとの間に確保され得る。
【0093】
図17で示すように、前被トラッキング部531Bの前部において、前被トラッキング部531Bの下面531jも、水平面P4と実質的に平行であってよい。これによると、ユーザが後述するトリガーボタン18を人差し指で押すとき、人差し指を被トラッキング部531Aの下面531jに沿ってスムーズに移動させることが可能となる。
【0094】
図14及び図17で示すように、前被トラッキング部531Bの後部において、前被トラッキング部531Bの下面531jは斜め後方且つ下方に延びている。これにより、前被トラッキング部531Bの上下方向での幅が増す。その結果、前被トラッキング部531Bと後被トラッキング部531Aとの接続強度が増す。また、前被トラッキング部531Bの前部において、下面531jの高さが相対的に高くなるので、操作部511Aの前側に配置される操作部材(後述するトリガーボタン18)を操作する人差し指の動きを許容する十分なスペースが、前被トラッキング部531Bの前部の下側に確保され得る。
【0095】
後被トラッキング部531Aの下部はグリップ511Bの最後部(最下部)に接続している。また、上述したように、前被トラッキング部531Bの上面531hは、斜め後方且つ上方に延びており、前被トラッキング部531Bの下面531jは斜め後方且つ下方に延びている。したがって、前被トラッキング部531Bと後被トラッキング部531Aとの接続部の上下方向でのサイズが大きくなる。その結果、後被トラッキング部531Aの剛性を増すことができる。そして、例えば、後被トラッキング部531Aに意図しない外力が作用したときに、後被トラッキング部531Aと前被トラッキング部531B(或いは操作部511A)との相対位置の変化を抑えることができる。
【0096】
図14で示すように、前被トラッキング部531Bの下面531jは、入力デバイス500の側面視において、グリップ511Bと重なっている。これにより、入力デバイス500の使用時、グリップ511Bを握っている手の甲と前被トラッキング部531Bの後部が左右方向で対向する。そのため、例えばユーザが一時的にグリップ511Bを離したとき、前被トラッキング部531Bの後部が手の甲にあたる面積が増す。その結果、入力デバイス500と手との相対姿勢が維持され易くなる。
【0097】
なお、前被トラッキング部531Bの形状及び配置は、入力デバイス500の例に限られない。前被トラッキング部531Bは、操作部511Aから斜め後方且つ上方に延びていてもよい。この場合、前被トラッキング部531Bの上面531hと操作部511Aの上面511bも傾斜していてもよい。
【0098】
[後被トラッキング部の向き]
図14及び図16で示すように、後被トラッキング部531Aは後側に向かって開口している環状である。後被トラッキング部531Aは中心線Pc2を全周に亘って取り囲む環状である。すなわち、後被トラッキング部531Aは、中心線Pc2を中心とする周方向において360度に亘って形成されている。
【0099】
入力デバイス500の例において、中心線Pc2は斜め後方に向かって延びている線である。より具体的には、中心線Pc2は、図13で示すように、入力デバイス500の平面視において、鉛直面P5に対して傾斜している。鉛直面P5はグリップ511Bに実質的に沿っている平面であってよい。また、鉛直面P5は操作スティック15の中心線Pv3を含んでいてよい。ユーザがグリップ511Bを握っているときに、グリップ511Bに対して、手首の左右方向の曲げ動作における可動域が広い側に後被トラッキング部531Aの中心がオフセットする/位置する。すなわち、グリップ511Bに対して手首の可動域が大きい側において環状の後被トラッキング部531Aの開口部の面積が大きくなる。グリップ511Bと後被トラッキング部531Aのこの相対位置によると、ユーザがグリップ511Bを握っているときに、ユーザの手首或いは腕と後被トラッキング部531Aとが干渉することを防止でき、快適な操作が実現され得る。
【0100】
図13で示すように、グリップ511Bは、左右方向における入力デバイス500の中心を通る鉛直面P2に対して左方にずれている。後被トラッキング部531Aの中心線Pc2は、斜め後方且つ右方に延びている直線である。言い換えると、グリップ511Bが、入力デバイス500の中心に対してユーザがグリップ511Bを握っているときに、手首の左右方向の曲げ動作における可動域が狭い側にオフセット/位置し、且つ、そのグリップ511Bに対して、手首の左右方向の曲げ動作における可動域が広い側に後被トラッキング部531Aの中心がオフセットする/位置する。すなわち、グリップ511Bに対して手首の可動域が大きい側において環状の後被トラッキング部531Aの開口部の面積がより大きくなる。後被トラッキング部531Aのこの傾斜によると、ユーザが右手でグリップ511Bを握っているときに、ユーザの手首或いは腕と後被トラッキング部531Aとが干渉することを防止でき、快適な操作が実現され得る。
【0101】
図で示す例とは異なり、入力デバイス500は左手用であってもよい。この場合、グリップ511Bは、左右方向における入力デバイス500の中心を通る平面P2に対して右方にずれている。一方、後被トラッキング部531Aの中心線Pc2は、斜め後方且つ左方に延びている直線となる。
【0102】
図14で示すように、後被トラッキング部531Aの中心線Pc2は、水平面P4に対して傾斜していてよい。より具体的には、中心線Pc2は、水平面P4に対して、斜め後方且つ上方に延びていてよい。言い換えると、ユーザがグリップ511Bを握っているときに、グリップ511Bに対して、手首の上下方向の曲げ動作における可動域が広い側に後被トラッキング部531Aの中心がオフセットする/位置する。すなわち、グリップ511Bに対して手首の可動域が大きい側において環状の開口部の面積が大きくなる。後被トラッキング部531Aのこの傾斜も、ユーザがグリップ511Bを握っているときに、ユーザの手首或いは腕と後被トラッキング部531Aとが干渉することを防止し、快適な操作を実現し得る。なお、水平面P4は操作スティック15の中心線Pv3に対して実質的に直交する平面であってよい。
【0103】
入力デバイス500とは異なり、後被トラッキング部531Aは、中心線Pc2を中心とする周方向において360度に亘って形成されていなくてもよい。例えば、後被トラッキング部531Aは、入力デバイス500の背面視において、グリップ511Bの上側だけを覆う円弧状であってもよい。この場合においても、後被トラッキング部531Aの中心線Pc2は、入力デバイス500と同様に、水平面P4及び/又は鉛直面P5に対して傾斜していてよい。
【0104】
[発光部の配置]
図17で示すように、操作部511Aの前面511fと、前被トラッキング部531Bの前面(側面)531iとに左右方向で並んでいる複数の発光部Hが設けられている。入力デバイス500の例では、操作部511Aの前面511fに2つの発光部Hが設けられ、前被トラッキング部531Bに1つの発光部Hが設けられている。前被トラッキング部531Bに設けられる発光部Hの数は2つ以上であってもよい。
【0105】
図17で示すように、前面511f・531iに設けられている発光部Hは水平面P4に沿って並んでいてよい。これとは異なり、発光部Hが並んでいる方向は、水平面P4に対して傾斜していてもよい。
【0106】
また、前被トラッキング部531Bに発光部Hは設けられていなくてもよい。例えば、操作部511Aの左右方向でのサイズが大きい場合、操作部511Aの前面511fにより多くの発光部Hが設けられる一方で、前被トラッキング部531Bに発光部Hは設けられていなくてもよい。この場合、前被トラッキング部531Bは、被トラッキングとしては機能しないものの、操作部511Aと後被トラッキング部531Aとを接続し、後被トラッキング部531Aの強度を確保する梁部として機能し得る。
【0107】
図13及び図15で示すように、後被トラッキング部531Aの外面は、入力デバイス400の後被トラッキング部431Aと同様に、前傾斜面531aと後傾斜面531bとを含んでいる。前傾斜面531aと後傾斜面531bのそれぞれに複数の発光部Hが設けられている。複数の発光部Hは、後被トラッキング部531Aの延伸方向(中心線Pc2を中心とする周方向)に沿って並んでいる。入力デバイス400の後被トラッキング部431Aと同様に、後傾斜面531bの幅(図5においてWb)は前傾斜面531aの幅(図5においてWa)よりも大きくてよい。
【0108】
前傾斜面531aに設けられている発光部Hの位置と、後傾斜部531bに設けられている発光部Hの位置は、後被トラッキング部531Aの延伸方向(中心線Pc2を中心とする周方向)においてずれていてよい。これによると、発光部H間の距離が増し、隣接する2つの発光部Hの位置の識別を容易化できる。その結果、HMD2(図1参照)に搭載されたカメラによる入力デバイス500の位置及び姿勢の検知精度が向上され得る。
【0109】
入力デバイス500の外面における被トラッキング領域は、操作部材(操作スティック15等)より前方と操作部材(操作スティック15等)より後方とに、一つの球面Sr(同一球面)を構成する曲面を含んでいる。具体的には、図13及び図15で示すように入力デバイス500の後部に位置している後傾斜面531bは仮想球面Srの一部であり、球面Srに沿って湾曲している。また、図14で示すように、操作部511Aの前面511fも球面Srの一部であり、球面Srに沿って湾曲している。さらに、図13で示すように、前被トラッキング部531Bの前面531iも球面Srの一部を構成している。この形状によれば、HMD2に搭載されたカメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイス500の位置や姿勢の算出処理を容易化できる。
【0110】
このように、複数の発光部Hは、後被トラッキング部531Aの後傾斜面531bと、前被トラッキング部531Bと本体510の前面531i・511fとに設けられている。そして、これらの面531b・531i・511fは球面Srの一部を構成する曲面である。したがって、後傾斜面531bで並んでいる複数の発光部Hと、前面531i・511fで並んでいる複数の発光部Hは1つの仮想球面Sr上に位置している。発光部Hのこの配置によれば、HMD2に搭載されたカメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイス500の位置や姿勢の算出処理を容易化できる。また、仮想球面Srの内部にグリップ511Bおよび操作部材が配置されている。このため、ユーザがグリップ511Bを握って入力デバイスを使用する際に、ユーザの手が発光部Hを遮らない。また、ユーザの手が内側に配置される仮想球面Sr上に発光部Hが位置するので、手の位置の算出処理を容易化できる。
【0111】
なお、入力デバイス500とは異なり、後被トラッキング部531Aの後傾斜面531bと、前被トラッキング部531Bと本体510の前面531i・511fの一方又は双方は、曲面でなくてもよい。例えば、前面531i・511fは、斜め上方且つ後方に延びている平面であってよい。また、後傾斜面531bは、中心線Pc2に向かって斜め後方に延びている平面であってよい。この場合でも、操作部材(操作スティック15等)より前方にある複数の発光部Hと、操作部材より後方にある複数の発光部Hとが1つの球面Sr上に位置していていよい。具体的には、後傾斜面531bで並んでいる複数の発光部Hと、前面531h・511fで並んでいる複数の発光部Hは1つの仮想球面Sr上に位置してよい。こうすることによって、HMD2に搭載されたカメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイス500の位置や姿勢の算出処理を容易化できる。
【0112】
図15で示すように、前被トラッキング部531Bの前傾斜面531aは、中心線Pc2に向かって斜め後方に延びている面である。図14で示すように、前被トラッキング部531Bの前面は湾曲しながら後方に延び、後被トラッキング部531Aの右部の後傾斜部531bに繋がっている。したがって、後被トラッキング部531Aの右部に前傾斜面531aは形成されていない。
【0113】
入力デバイス500においては、後被トラッキング部531A及び、前被トラッキング部531Bと本体510の前面531h・511f以外に、発光部Hは設けられていない。入力デバイス500とは異なり、例えば、グリップ511Bの左側面511c(図15参照)にも発光部Hが設けられてよい。また、入力デバイス500とは異なり、発光部Hは前被トラッキング部531Bの上面531hと前面(側面)531iとに設けられてよい。こうすることで、前被トラッキング部531Bに配置されている発光部Hの検出精度をさらに向上できる。
【0114】
[操作部材]
上述したように、入力デバイス500は、その操作部材として、操作ボタン13・14・16・17と操作スティック15とを有している(図13参照)。操作ボタン13・14は、例えばゲームのキャラクターやオブジェクトを選択・操作するためのボタンである。一方、操作ボタン16はゲームプレイを共有するための機能ボタンであり、ゲームの進行中にゲーム画面をキャプチャーし、或いは動画像の再生中に静止画像をキャプチャーし、HMD2や、HMD2に接続されたサーバー装置にキャプチャーした画像を保存するためのボタンである。操作ボタン17は、例えば、ユーザが選択可能な様々な機能を表示するためのボタンである。例えば、操作ボタン17の操作によって、進行途中にある複数のゲームアプリケーションのうちユーザがプレイするゲームアプリケーションを選択することができる。
【0115】
図13で示されるように、操作ボタン13・14と操作ボタン16は、操作スティック15を挟んで互いに反対側に配置されてよい。例えば、操作ボタン13・14は操作スティック15の左方に配置され、操作ボタン16は操作スティック15の右方に配置されてよい。この配置によれば、ユーザは、親指の初期位置を操作スティック15とし、必要に応じて操作ボタン13・14と操作ボタン16とに操作スティック15からスムーズに移動させることができる。
【0116】
操作ボタン17は操作スティック15の後方に配置されてよい。操作部511Aの上面511bに設けられている操作ボタン13・14・16・17は親指で操作するためのボタンである。これらは操作スティック15を中心とする周方向で並んでいる。したがって、ユーザは、親指の初期位置を操作スティック15とし、必要に応じて操作ボタン13・14・16・17のいずれにも操作スティック15からスムーズに移動させることができる。
【0117】
図15で示すように、操作部511Aの前面511fの下方に、トリガーボタン18が配置されてよい。本体510は、トリガーボタン18を動かす駆動装置を有してもよい。駆動装置は、例えば、トリガーボタン18が押されたときに、トリガーボタン18の動きに対して反力を生じる。駆動装置は、例えば電動モータをその駆動源として含んでよい。
【0118】
図15で示すように、本体510は、グリップ511Bに操作ボタン19を有してよい。操作ボタン19はグリップ511Bの側面に設けられてよい。入力デバイス500は右手用のデバイスであり、操作ボタン19は、例えばグリップ511Bの左側面511cに設けられてよい。操作ボタン19のこの配置によれば、ユーザは中指で操作ボタン19を操作できる。
【0119】
これまで説明した操作ボタン13・14・16~18の1又は複数は、ユーザの指のボタン表面への接触又は近接を検知するタッチセンス機能を有してもよい。また、操作スティック15も、ユーザの指の操作スティック15の上面への接触又は近接を検知するタッチセンス機能を有してもよい。
【0120】
[まとめ]
以上説明したように、入力デバイス100・300・400・500において、本体10・110・310・410・510はグリップ11B・311B・411B・511Bと、ユーザの指で操作される少なくとも1つの操作部材13~19とを有している。入力デバイス100・300・400・500は、少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、被トラッキング領域の一部を構成する後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aと、後被トラッキング部より前方に位置し、後被トラッキング部とは異なる方向で伸びている前被トラッキング部31B・331B・431B・531Aとを含んでいる。このように、入力デバイス100・300・400・500は延びている方向の異なる2つの被トラッキング部を有しているので、HMD2に搭載されたカメラによる発光部Hの検出安定性を向上できる。
【0121】
前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、本体の上部と後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aのうち一方から他方に向かって伸びている。これによれば、ユーザがグリップを離した場合でも、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bが手に引っかかって、入力デバイスの落下を抑えることができる。
【0122】
前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは本体10・110・310・410・510の上部と後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aとを接続している。これによると、入力デバイスの剛性を増すことができ、後被トラッキング部331Aと本体10・110・310・410・510との相対位置の変化を抑えることができる。
【0123】
前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、ユーザがグリップを握っている手を開いたときに、ユーザの親指と手掌の縁部との間に位置する形状である。
【0124】
入力デバイスの平面視において、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、本体10・110・310・410・510の上部の右側に位置し、本体の上部から後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aに向かって延びている。
【0125】
入力デバイスの平面視において、本体10・110・310・410・510は入力デバイスの左右方向での中心を通る平面P2に対して左側に向かってずれており、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Aは平面P2に対して右側に向かってずれている。これによると、右手で本体を握って操作することが容易となり、また、前被トラッキング部が親指の動きの障害となることを抑えることができる。
【0126】
前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、本体の上部から右側に向かって後方に伸び、平面P2の右側において後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aに接続している。この構造によると、指の動きを許容するスペースが確保し易くなる。
【0127】
入力デバイスの平面視において、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bと後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aとの接続部はグリップから右方に離れている。これによると、グリップの右側面と前被トラッキング部との間に隙間G1が確保される。これによって、前被トラッキング部と後被トラッキング部との接続部や前被トラッキング部に親指が干渉することを防ぐことができる。
【0128】
入力デバイスの平面視において、本体10・110・310・410・510は入力デバイスの左右方向での中心を通る平面P2に対して左側に向かってずれており、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、入力デバイスの正面視において、本体10・110・310・410・510の上部から右側に向かって伸びている。
【0129】
後被トラッキング部31A・431A・531Aは、入力デバイスの背面視において、少なくともグリップの上側を取り囲む円弧状の上部を含んでいる。これによると、後被トラッキング部31A・431A・531AがHMD2に搭載されているカメラから発光部Hが隠れにくいので、入力デバイスの姿勢及び位置の検出精度を向上できる。
【0130】
後被トラッキング部331A・431A・531Aは、入力デバイスの背面視において環状である。これによると、例えば、入力デバイスの姿勢を上下方向において反転させた場合でも、入力デバイスの姿勢及び位置の検出精度を確保できる。
【0131】
後被トラッキング部531Aは、斜め後方に向かって延びている中心線Pc2を取り囲む環状である。これによると、ユーザの手首と後被トラッキング部との干渉を抑えることができる。後被トラッキング部531Aは、斜め後方に向かって延びている中心線Pc2を取り囲む円弧状であってもよい。
【0132】
後被トラッキング部431A・531Aは実質的に真円である。これによると、カメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイスの位置や姿勢の算出処理を容易化できる。
【0133】
後被トラッキング部431A・531Aはグリップの下部に接続している。後被トラッキング部431A・531Aとグリップとの接続部分が、入力デバイスの使用にとっての邪魔となり難い。
【0134】
後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aは、入力デバイスの側面視において、グリップの前部より後方に位置している。
【0135】
後被トラッキング部531Aは、入力デバイスの側面視において斜め後方且つ上方に延びている中心線Pc2を、取り囲む環状である。これによると、ユーザの手首と後被トラッキング部との干渉を抑えることができる。後被トラッキング部531Aは中心線Pc2を取り囲む円弧状であってもよい。
【0136】
グリップは、左右方向における入力デバイスの中心に対して左方にずれている。後被トラッキング部531Aは、入力デバイスの平面視において、後方且つ右方に向けて斜めに伸びている中心線Pc2を、取り囲む環状である。これによると、ユーザの手首と後被トラッキング部との干渉を抑えることができる。後被トラッキング部531Aは中心線Pc2を取り囲む円弧状であってもよい。
【0137】
入力デバイス400・500において、被トラッキング領域は、後入力デバイス400・500の後部に形成されている後傾斜面431b・531bと、入力デバイス400・500の前部に形成されている前面411f・511f・531iとを有している。後傾斜面431b・531bと前面411f・511f・531iは、一つの球面Srの一部である。カメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイス400・500の位置や姿勢の算出処理を容易化できる。
【0138】
入力デバイス400・500の平面視において、後傾斜面431b・531bは少なくとも1つの操作部材(例えば、操作スティック15)より後方に位置し、前面411f・511f・531iは少なくとも1つの操作部材(例えば、操作スティック15)よりも前方に位置している。これによると、発光部Hの検出安定性を確保するのに求められる入力デバイス400・500の姿勢についての制約を軽減できる。
【0139】
入力デバイス400・500において、後傾斜面431b・531bは少なくともグリップ411B・511Bの上側を取り囲む円弧状又は環状である。後被トラッキング部431A・531AがHMD2に搭載されているカメラから発光部Hが隠れにくいので、入力デバイスの姿勢及び位置の検出精度を向上できる。
【0140】
入力デバイス400・500において、被トラッキング領域は、複数の発光部Hが並んでいる後傾斜面431b・531bと、複数の発光部Hが並んでいる前面411f・511f・531iとを有している。後傾斜面431b・531bで並んでいる複数の発光部Hと、前面411f・511f・531iで並んでいる複数の発光部Hは1つの仮想球面Srに位置している。カメラによって検知された発光部Hの位置に基づく入力デバイス400・500の位置や姿勢の算出処理を容易化できる。
【0141】
入力デバイス400・500の平面視において、後傾斜面431b・531bで並んでいる複数の発光部Hは少なくとも1つの操作部材(例えば、操作スティック15)より後方に位置し、前面411f・511f・531iで並んでいる複数の発光部Hは少なくとも1つの操作部材(例えば、操作スティック15)より前方に位置している。これによると、発光部Hの検出安定性を確保するのに求められる入力デバイス400・500の姿勢についての制約を軽減できる。
【0142】
入力デバイス400・500において、後傾斜面431b・531bで並んでいる複数の発光部Hのうち少なくとも一部は、入力デバイスの後側且つ上側に向いている面に設けられている。また、複数の発光部Hが設けられている前面411f・511f・531iは入力デバイス400・500の前側に向いている。これによると、発光部Hの検出安定性を確保するのに求められる入力デバイス400・500の姿勢についての制約を軽減できる。
【0143】
入力デバイス100・300・400・500は、グリップと、ユーザの指で操作される少なくとも1つの操作部材(例えば、操作スティック15)とを有している本体10・110・310・410・510を有している。また、入力デバイス100・300・400・500は、少なくとも1つの操作部材より後方に位置し、背面視においてグリップの少なくとも上側を覆う後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aを有している。また、入力デバイス100・300・400・500は、本体10・110・310・410・510の上部と後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aとに接続している梁部とを有している。(上の入力デバイスにおいて「梁部」は前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bである。)後被トラッキング部と本体10・110・310・410・510とに、後被トラッキング部に設けられている発光部Hと本体に設けられている発光部Hとの相対位置の変化を抑えることができ、入力デバイスの位置及び姿勢の算出精度を向上できる。
【0144】
なお、入力デバイス100・300・400・500の例において、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、必ずしも本体10・110・310・410・510と後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aの双方に接続されていなくてもよい。すなわち、前被トラッキング部31B・331B・431B・531Bは、本体10・110・310・410・510と後被トラッキング部31A・331A・431A・531Aのうちの一方にだけ接続されていてもよい。この場合でも、ユーザがグリップ11Bを握っている手を開いたときに、前被トラッキング部31Bはユーザの親指と人指し指の付け根(指尖球の端)との間に位置する。こうすれば、ユーザが手を広げたときに入力デバイス100が手から落下することを防ぐことができる。
【0145】
[第5の例]
図19乃至図23は、本開示で提案する入力デバイスの別の例を示す図である。以下では、右手用の入力デバイス200について詳説する。右手用の入力デバイス200の外形と左手用の入力デバイス200の外形は左右対称である。後述する操作部211Aに配置される操作部材の数や種類は、左右の入力デバイス200において相違していてよい。また、操作部材の配置については、右手用の入力デバイス200と左手用の入力デバイス200は左右対称でなくてもよい。
【0146】
図19で示すように、入力デバイス200は、グリップ211Bと、複数の操作部材が配置されている操作部211Aとを有している本体210を有している。本体210はその上部に操作部211Aを有し、グリップ211Bは操作部211Aの下方に形成されている。操作部211Aに配置されている操作部材は、グリップ211Bを握っている状態で親指又は人指し指によって操作できる。操作部材としては、例えば、操作ボタン213・214と操作スティック215とが操作部211Aに配置される。操作ボタン213は操作部211Aの前面211aに配置され、例えば人指し指で操作される。操作ボタン214と操作スティック215は操作部211Aの上面に配置され、例えば親指で操作される。入力デバイス200ではグリップ211Bに、複数の操作ボタン216が配置されている。
【0147】
図22で示すように、入力デバイス200は、複数の発光部Hが配置されている被トラッキング領域を有している。被トラッキング領域は、後湾曲部231Aの外面と、前連結部231B(図23参照)の外面とによって構成される。
【0148】
図22で示すように、後湾曲部231Aは内壁部231aと外壁部231cとを有している。内壁部231aは本体210から後方に伸びている。外壁部231cは内壁部231aから右方に離れている。ユーザは内壁部231aと外壁部231cとの間に右手を入れて、グリップ211Bを握ることができる。ユーザがグリップ211Bを握っているとき、内壁部231aは手の内側に位置し、外壁部231cは手の外側に位置する。後連結部231bは内壁部231aと外壁部231cの後側に位置し、それらの上部を接続している。内壁部231aの下部と外壁部231cの下部は接続されていない。そのため、後湾曲部231Aは、入力デバイス200の背面視において、下方に開いた略U字形状となっている。入力デバイス200の使用時には、後湾曲部231Aはユーザの手首の上側を取り囲む。
【0149】
図22で示すように、内壁部231a、外壁部231c、及び後連結部231bのそれぞれに複数の発光部Hが配置されている。後湾曲部231Aのこの形状によると、後湾曲部231Aに設けられている発光部Hがユーザの身体で覆われにくいので、HMD2に搭載されているカメラによる発光部Hの検出安定性を向上できる。
【0150】
図22で示すように、前連結部231Bは、後湾曲部231Aより前方に位置している。入力デバイス100の平面視において、後連結部231bはユーザの手首の上側で左右方向に伸びている。外壁部231cは後連結部231bから湾曲しながら前方に伸びている。前連結部231Bはさらに湾曲し、斜め前方且つ左方に伸びている。入力デバイス100の例では、内壁部231a、外壁部231c、後連結部231b、及び前連結部231Bが互いに異なる方向に伸び、平面視においては、前後方向において細長い楕円形状となっている。
【0151】
図23で示すように、前連結部231Bは外壁部231cの上部と本体210の上部(操作部211A)との間に位置し、それらを接続している。図21で示すように、前連結部231Bは本体210(図23参照)の上部の右側に位置し、本体210の上部から湾曲しながら後方に伸び、外壁部231cの上部に接続している。前連結部231Bのこの配置によると、ユーザがグリップ211Bを握っている手を開いたときに、前連結部231Bはユーザの親指と人指し指の付け根(指尖球の端)との間に位置する。このため、ユーザが手を広げたときに入力デバイス100が手から落下することを防ぐことができる。
【0152】
図22で示すように、本体210は、入力デバイス200の左右方向での中心を通る平面P3に対して左方にずれている。一方、前連結部231Bは同平面P3に対して右方にずれている。この配置によると、右手で本体210を握って操作することが容易となる。

図1
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図23