(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20231212BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231212BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022531394
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083760
(87)【国際公開番号】W WO2021105446
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベニング, ジョセリン
(72)【発明者】
【氏名】リース, ケリー
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン, ワリド
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500017(JP,A)
【文献】特表2015-524260(JP,A)
【文献】国際公開第2019/141577(WO,A1)
【文献】特表2018-504127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスを用いてエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、
1つの加熱要素に動力供給して前記エアロゾル生成材料を動作温度に加熱し始めるステップと、
第1の予め定められた時間後、ユーザが前記デバイスで吸入し始めることができることを知らせる信号をユーザに供給するステップと、
第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、前記加熱要素への動力供給を減らすステップと、
を含
み、
前記第1の予め定められた時間がゼロ秒よりも長く8秒未満であり、
前記第2の予め定められた時間は、1~10秒の間である、方法。
【請求項2】
前記加熱要素の前記動作温度は、前記第1の予め定められた時間期間の長さに基づいて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱要素の前記動作温度T
opは、以下、すなわち
T
op=A-(B×t
delay)
のように設定され、式中、A及びBは定数であり、t
delayは前記第1の予め定められた時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱要素は、200℃~350℃の間の動作温度に加熱される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の予め定められた時間が2~8秒の間である場合、前記加熱要素は、200℃~270℃の間の動作温度に加熱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の予め定められた時間が2~8秒の間である場合、前記加熱要素は、220℃~250℃の間の動作温度に加熱される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の予め定められた時間が0~2秒の間である場合、前記加熱要素は、250℃を超える及び/又は270℃を超える動作温度に加熱される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱要素は、350℃を超えない動作温度に加熱される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の予め定められた期間中に前記加熱要素に動力供給する前に、前記加熱要素に動力供給するステップをさらに含み、前記第1の予め定められた期間の前に供給される動力は、前記加熱要素が前記動作温度よりも低い温度に加熱されるようなレベルに設定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エアロゾル生成材料は、非晶質固体である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記非晶質固体は、全て乾燥重量基準で測定される、約1wt%~約60wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約60wt%の量のタバコ抽出物、約5wt%~約60wt%の量のエアロゾル生成剤を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記非晶質固体の厚さは、0.05mm~0.4mmの間である、請求項
10又は
11に記載の方法。
【請求項13】
前記信号は、吸入によって前記ユーザに知覚可能である、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイスであって、該デバイスが、
加熱要素と、
制御回路と、
インジケータと、
を備え、
前記制御回路が、
前記加熱要素に動力供給して、前記加熱要素に、前記エアロゾル生成材料を動作温度に加熱し始めさせるように構成され、
第1の予め定められた時間後、前記インジケータに、ユーザが該デバイスで吸入し始めることができることを示す信号を前記ユーザへ供給させるように構成され、及び
第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、前記加熱要素への動力供給を減らすように構成されて
おり、
前記第1の予め定められた時間がゼロ秒よりも長く8秒未満であり、
前記第2の予め定められた時間は、1~10秒の間である、エアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
前記加熱要素の前記動作温度は、前記第1の予め定められた時間期間の長さに基づいて設定される、請求項
14に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記加熱要素の前記動作温度T
opは、以下、すなわち
T
op=A-(B×t
delay)
のように設定され、式中、A及びBは定数であり、t
delayは前記第1の予め定められた時間である、請求項
15に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記制御回路は、200℃~350℃の間の動作温度への前記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている、請求項
14~
16のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
前記第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、前記制御回路は、200℃~270℃の間の動作温度への前記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている、請求項
14~
17のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
前記第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、前記制御回路は、220℃~250℃の間の動作温度への前記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている、請求項
14~
18のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
前記第1の予め定められた時間が0~2秒の間である場合、制御回路は、250℃を超える及び/又は270℃を超える動作温度への前記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている、請求項
14~
19のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項21】
前記制御回路は、350℃を超えない動作温度への前記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている、請求項
14~
18のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項22】
前記制御回路は、前記第1の予め定められた期間中に前記加熱要素に動力供給する前に、前記加熱要素に動力供給するように構成されており、前記第1の予め定められた期間の前に供給される動力は、前記加熱要素が前記動作温度よりも低い温度に加熱されるようなレベルに設定される、請求項
14~
21のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項23】
前記信号は、吸入によって前記ユーザに知覚可能である、請求項
14~
22のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項24】
請求項
14~
23のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料とを備える、エアロゾル供給システム。
【請求項25】
前記エアロゾル生成材料は、非晶質固体である、請求項
24に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項26】
前記非晶質固体は、全て乾燥重量基準で測定される、約1wt%~約60wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約60wt%の量のタバコ抽出物、約5wt%~約60wt%の量のエアロゾル生成剤を含む、請求項
25に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項27】
前記非晶質固体の厚さは、0.05mm~0.4mmの間である、請求項
25又は
26に記載のエアロゾル供給システム。
【請求項28】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイスであって、該デバイスが、
加熱手段と、
制御手段と、
インジケータ手段と、
を備え、
前記制御手段が、
前記加熱手段に動力供給して、前記加熱手段に、前記エアロゾル生成材料を動作温度に加熱し始めさせるように構成され、
第1の予め定められた時間後、前記インジケータ手段に、ユーザが該デバイスで吸入し始めることができることを示す信号を前記ユーザへ供給させるように構成され、及び
第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、前記加熱手段への動力供給を減らすように構成されて
おり、
前記第1の予め定められた時間がゼロ秒よりも長く8秒未満であり、
前記第2の予め定められた時間は、1~10秒の間である、エアロゾル供給デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非燃焼式エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)等の電子エアロゾル供給システムは一般に、通常はニコチンを含む製剤を含む原料液体のリザーバを含み、例えば熱気化により、そこからエアロゾルが生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル源は、例えば吸い上げ作用/毛管作用により、リザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒータを含むことができる。ユーザがデバイスで吸入すると同時に、動力が加熱要素に供給されて加熱要素付近の原料液体を気化することで、ユーザによる吸入用のエアロゾルを生成する。そのようなデバイスには通常、システムのマウスピース端部から離れて位置する1つ又は複数の空気入口穴が設けられている。ユーザがシステムのマウスピース端部に接続されたマウスピースで吸うと、空気が入口穴を通じてエアロゾル源を経て引き込まれる。エアロゾル源とマウスピースにおける開口部との間をつなぐ流路があり、そのため、エアロゾル源を経て引き込まれた空気が、流路に沿ってマウスピース開口部まで続き、エアロゾル源からのエアロゾルの一部を該空気とともに運ぶ。エアロゾルを運ぶ空気は、ユーザによる吸入のため、マウスピース開口部を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0003】
エアロゾル供給デバイスによっては、タバコ又はタバコ派生物等の固体材料からエアロゾルを生成するものもある。そのようなデバイスは、固体タバコ材料が気化温度まで加熱されてエアロゾルを生成し、その後、このエアロゾルがユーザによって吸入されるという点で、上述した液体系システムと概ね同様の様式で動作する。
【0004】
加熱システムにおいて、加熱されている材料が過度の温度に到達することに起因して焦げない又は燃焼しないこと、したがって、エアロゾル中に送達される望ましくない成分をつくり出さないことを確実にする注意が払われる。他方で、加熱システムによっては、動作温度に到達するのにかなりの量の時間を必要とする。
【0005】
これらの問題の幾つかに対処する助けとなることを求める様々な手法が記載される。
【発明の概要】
【0006】
特定の実施形態の第1の態様によれば、エアロゾル供給デバイスを用いてエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、1つの加熱要素に動力供給して上記エアロゾル生成材料を動作温度に加熱し始めるステップと、第1の予め定められた時間後、ユーザが上記デバイスで吸入し始めることができることを知らせる信号をユーザに供給するステップと、第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、上記加熱要素への動力供給を減らすステップと、を含む方法が提供される。
【0007】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素の動作温度は、上記第1の予め定められた時間期間の長さに基づいて設定される。
【0008】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素の上記動作温度Topは、以下、すなわち
Top=A-(B×tdelay)
のように設定され、式中、A及びBは定数であり、tdelayは上記第1の予め定められた時間である。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間がゼロ秒よりも長く8秒未満である場合、上記加熱要素は、200℃~350℃の間の動作温度に加熱される。
【0010】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が2~8秒の間である場合、上記加熱要素は、200℃~270℃の間の動作温度に加熱される。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が2~8秒の間である場合、上記加熱要素は、220℃~250℃の間の動作温度に加熱される。
【0012】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が0~2秒の間である場合、上記加熱要素は、250℃を超える及び/又は270℃を超える動作温度に加熱される。
【0013】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素は、350℃を超えない動作温度に加熱される。
【0014】
一実施形態によれば、上記方法は、上記第1の予め定められた期間中に上記加熱要素に動力供給する前に、上記加熱要素に動力供給するステップをさらに含み、上記第1の予め定められた期間の前に供給される動力は、上記加熱要素が上記動作温度よりも低い温度に加熱されるようなレベルに設定される。
【0015】
幾つかの実施形態において、上記第2の予め定められた時間は、1~10秒の間である。
【0016】
幾つかの実施形態において、上記エアロゾル生成材料は、非晶質固体である。
【0017】
幾つかの実施形態において、上記非晶質固体は、全て乾燥重量基準で測定される、約1wt%~約60wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約60wt%の量のタバコ抽出物、約5wt%~約60wt%の量のエアロゾル生成剤を含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、上記非晶質固体の厚さは、0.05mm~0.4mmの間である。
【0019】
幾つかの実施形態において、上記信号は、吸入によって上記ユーザに知覚可能である。
【0020】
特定の実施形態の第2の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイスであって、該デバイスが、加熱要素と、制御回路と、インジケータと、を備え、上記制御回路が、上記加熱要素に動力供給して、上記加熱要素に、上記エアロゾル生成材料を動作温度に加熱し始めさせるように構成され、第1の予め定められた時間後、上記インジケータに、ユーザが該デバイスで吸入し始めることができることを示す信号を上記ユーザへ供給させるように構成され、及び、第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、上記加熱要素への動力供給を減らすように構成されている、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0021】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素の動作温度は、上記第1の予め定められた時間期間の長さに基づいて設定される。
【0022】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素の上記動作温度Topは、以下、すなわち
Top=A-(B×tdelay)
のように設定され、式中、A及びBは定数であり、tdelayは上記第1の予め定められた時間である。
【0023】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間は、ゼロ秒よりも長く8秒未満であり、上記制御回路は、200℃~350℃の間の動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0024】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、上記制御回路は、200℃~270℃の間の動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0025】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、上記制御回路は、220℃~250℃の間の動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0026】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が0~2秒の間である場合、制御回路は、250℃を超える及び/又は270℃を超える動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0027】
幾つかの実施形態において、上記制御回路は、350℃を超えない動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0028】
幾つかの実施形態において、上記制御回路は、上記第1の予め定められた期間中に上記加熱要素に動力供給する前に、上記加熱要素に動力供給するように構成されており、上記第1の予め定められた期間の前に供給される動力は、上記加熱要素が上記動作温度よりも低い温度に加熱されるようなレベルに設定される。
【0029】
幾つかの実施形態において、上記第2の予め定められた時間は、1~10秒の間である。
【0030】
幾つかの実施形態において、上記信号は、吸入によって前記ユーザに知覚可能である。
【0031】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素の動作温度は、上記第1の予め定められた時間期間の長さに基づいて設定される。
【0032】
幾つかの実施形態において、上記加熱要素の上記動作温度Topは、以下、すなわち
Top=A-(B×tdelay)
のように設定され、式中、A及びBは定数であり、tdelayは上記第1の予め定められた時間である。
【0033】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間は、ゼロ秒よりも長く8秒未満であり、上記制御回路は、200℃~350℃の間の動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0034】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、上記制御回路は、200℃~270℃の間の動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0035】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、上記制御回路は、220℃~250℃の間の動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0036】
幾つかの実施形態において、上記第1の予め定められた時間が0~2秒の間である場合、制御回路は、250℃を超える及び/又は270℃を超える動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0037】
幾つかの実施形態において、上記制御回路は、350℃を超えない動作温度への上記加熱要素の加熱を生じさせるように構成されている。
【0038】
幾つかの実施形態において、上記制御回路は、上記第1の予め定められた期間中に上記加熱要素に動力供給する前に、上記加熱要素に動力供給するように構成されており、上記第1の予め定められた期間の前に供給される動力は、上記加熱要素が上記動作温度よりも低い温度に加熱されるようなレベルに設定される。
【0039】
幾つかの実施形態において、上記第2の予め定められた時間は、1~10秒の間である。
【0040】
幾つかの実施形態において、上記信号は、吸入によって上記ユーザに知覚可能である。
【0041】
特定の実施形態の第3の態様によれば、第2の態様のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料とを備える、エアロゾル供給システムが提供される。
【0042】
幾つかの実施形態において、上記エアロゾル生成材料は、非晶質固体である。
【0043】
幾つかの実施形態において、上記非晶質固体は、全て乾燥重量基準で測定される、約1wt%~約60wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約60wt%の量のタバコ抽出物、約5wt%~約60wt%の量のエアロゾル生成剤を含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、上記非晶質固体の厚さは、0.05mm~0.4mmの間である。
【0045】
特定の実施形態の第4の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイスであって、該デバイスが、加熱手段と、制御手段と、インジケータ手段と、を備え、上記制御手段が、上記加熱手段に動力供給して、上記加熱手段に、上記エアロゾル生成材料を動作温度に加熱し始めさせるように構成され、第1の予め定められた時間後、上記インジケータ手段に、ユーザが該デバイスで吸入し始めることができることを示す信号を上記ユーザへ供給させるように構成され、及び、第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、上記加熱手段への動力供給を減らすように構成されている、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0046】
本発明の第1及び他の態様に関連して上述した本発明の特徴及び態様は、上述した記載の特定の組み合わせにおいてだけでなく、必要に応じて本発明の他の態様による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、それらと組み合わせることができることが理解されるであろう。
【0047】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を単なる例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】エアロゾル供給デバイスとエアロゾル生成物品とを備えるエアロゾル供給システムであって、上記デバイスが複数の加熱要素を備え、上記物品がエアロゾル生成材料の複数の部分を含む、エアロゾル供給システムの概略図の断面である。
【
図2A】
図1のエアロゾル生成物品の種々の異なる角度からの様々な図のうちの1つの図である。
【
図2B】
図1のエアロゾル生成物品の種々の異なる角度からの様々な図のうちの1つの図である。
【
図2C】
図1のエアロゾル生成物品の種々の異なる角度からの様々な図のうちの1つの図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの加熱要素の上から見た断面図である。
【
図4a】本開示の態様に従ってエアロゾルを生成する例示的な方法であって、ユーザにデバイスで吸入するように指示する前に、予め定められた時間の間、加熱するステップを含む方法を示す図である。
【
図4b】
図4aの方法を実施する場合の所与の加熱要素の温度を示すグラフである。
【
図5】
図4a及び
図4bに記載された方法を実施する加熱プロファイルを示す例示的なグラフである。
【
図6】エアロゾル供給システムの様々な機能を作動させる例示的なタッチセンシティブパネルの上から見た図である。
【
図7】エアロゾル供給デバイスとエアロゾル生成物品とを備えるエアロゾル供給システムであって、上記デバイスが複数の誘導ワークコイルを備え、上記物品がエアロゾル生成材料の複数の部分及び対応するサセプタ部分を含む、エアロゾル供給システムの概略図の断面の一例である。
【
図8A】
図7のエアロゾル生成物品の種々の異なる角度からの様々な図のうちの1つの図である。
【
図8B】
図7のエアロゾル生成物品の種々の異なる角度からの様々な図のうちの1つの図である。
【
図8C】
図7のエアロゾル生成物品の種々の異なる角度からの様々な図のうちの1つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴が、本明細書において説明/記載されている。特定の例及び実施形態の幾つかの態様及び特徴は、従来通りに実施されることができ、これらは、簡潔性のために詳細には説明/記載されていない。したがって、詳細に記載されていない、本明細書において説明される装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するために任意の従来の技法に従って実施されることができることが理解されるであろう。
【0050】
本開示は、「非燃焼式」エアロゾル供給システムに関する。「非燃焼式」エアロゾル供給システムは、該エアロゾル供給システム(又はその構成部材)の、構成成分をなすエアロゾル化可能な材料が、ユーザへのエアロゾルの送達を促すために燃焼されない又は燃やされないものである。さらに、当該技術分野において一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」、「揮発」及び「エアロゾル化」等の関連用語は、概して互換可能に使用されることがある。
【0051】
幾つかの実施態様において、非燃焼式エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料中にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。以下の記載全体を通して、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語が使用される場合があるが、この用語は、エアロゾル(蒸気)供給システムと互換可能に使用されることができる。
【0052】
典型的に、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品(消耗品と呼ばれる場合もある)とを備えることができる。しかしながら、それ自体がエアロゾル生成構成要素に動力供給する手段を備える物品がそれ自体、非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。
【0053】
物品、該物品の一部又は全ては、ユーザによって使用時に消費されることを意図されている。物品は、エアロゾル化可能な材料(エアロゾル生成材料とも呼ばれる)を含んでもよく又はそれから成ってもよい。物品は、フィルタ又はエアロゾル改質物質(例えば、エアロゾル改質物質を通るか又はその上を通るエアロゾルに香料を添加するか、或いは、他の場合ではそのエアロゾルの特性を変える構成要素)等の1つ又は複数の他の要素を含んでもよい。
【0054】
非燃焼式エアロゾル供給システムは、常にとは限らないが多くの場合、再使用可能なエアロゾル供給デバイス及び交換可能な物品の双方を含むモジュール式アセンブリを備える。幾つかの実施態様において、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、動力源及びコントローラ(又は制御回路)を備えることができる。動力源は例えば、バッテリ又は充電式バッテリ等の電源とすることができる。幾つかの実施態様において、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成構成要素も備えることができる。しかしながら、他の実施態様において、物品がエアロゾル生成構成要素を部分的に又は全体的に備えてもよい。
【0055】
幾つかの実施態様において、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能な材料から1つ又は複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能な材料と相互作用することが可能なヒータである。ヒータ(又は加熱要素)は、例えば1つ又は複数のニクロム抵抗ヒータ及び/又は1つ又は複数のセラミックヒータを含む、1つ又は複数の電気抵抗ヒータを含んでもよい。1つ又は複数のヒータは、エアロゾル化可能な材料を含む物品が挿入されているか又は他の場合では使用時に配置されるチャンバを形成することができる、1つ又は複数のサセプタを含む構成を有する1つ又は複数の誘導ヒータを含んでもよい。代替的又は付加的に、1つ又は複数のサセプタは、エアロゾル化可能な材料中に設けられてもよい。他の加熱構成も使用されることができる。
【0056】
非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は概して、エアロゾル化可能な材料を含む。本明細書においてエアロゾル生成材料と呼ばれることもあるエアロゾル化可能な材料は、例えば、加熱、放射又は任意の他の方法で励起されると、エアロゾルを生成することが可能な材料である。エアロゾル化可能な材料は例えば、ニコチン及び/又は香味料を含んでもよい又は含まなくてもよい固体、液体又はゲルの形態であってもよい。以下の開示において、エアロゾル化可能な材料は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち非繊維質)と呼ばれることがある「非晶質固体」を含むものとして記載される。幾つかの実施形態において、非晶質固体は、乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、液体のような何らかの流体を内部に保持することができる固体材料である。幾つかの実施態様において、エアロゾル化可能な材料は例えば、約50wt%、60wt%又は70wt%の非晶質固体から、約90wt%、95wt%又は100wt%の非晶質固体を含んでもよい。しかしながら、本開示の原理は、タバコ、再生タバコ、eリキッドのような液体等のような、他のエアロゾル化可能な材料に適用されることができることが理解されるべきである。
【0057】
必要に応じて、エアロゾル化可能な材料又は非晶質固体は、活性成分、担体成分、香料、及び1つ又は複数の他の機能性成分のうちのいずれか1つ又は複数を含んでもよい。
【0058】
本明細書において使用される場合の活性成分は、生理学的反応を達成すること又は高めることを意図された材料である、生理学的活性材料であってもよい。活性成分は例えば、栄養補助食品、向知性薬、精神活性物質から選択されることができる。活性成分は、天然に存在するものでもよく、又は合成的に得られるものでもよい。活性成分は例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6若しくはB12若しくはCのようなビタミン、メラトニン、カンナビノイド、又はそれらの成分、誘導体、若しくはこれらの組み合わせを含み得る。活性成分は、タバコ、大麻又は別の植物性物質の1つ又は複数の成分、派生物又は抽出物を含み得る。本明細書において述べたように、活性成分は、1つ又は複数のカンナビノイド又はテルペン等、大麻の1つ又は複数の成分、派生物又は抽出物を含み得る。
【0059】
幾つかの実施形態において、活性成分はニコチンを含む。幾つかの実施形態において、活性成分はカフェイン、メラトニン又はビタミンB12を含む。
【0060】
幾つかの実施形態において、エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)及びカンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)から成る群から選択される1つ又は複数のカンナビノイド化合物を含む。エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)から成る群から選択される1つ又は複数のカンナビノイド化合物を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
【0061】
本明細書において述べたように、活性成分は、1つ又は複数の植物性物質、又はその成分、派生物若しくは抽出物を含んでもよいか又はこれらから派生されてもよい。本明細書において使用される場合、「植物性物質」という用語は、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、外皮、殻等を含むが、これらに限定されない、植物性物質から派生したあらゆる材料を含む。代替的に、材料は、合成により得られる、植物性物質中に天然に存在する活性化合物を含んでもよい。材料は、液体、気体、固体、粉体、塵、破砕された粒子、顆粒、ペレット、小片、細片、シート等の形態であってもよい。植物性物質の例は、タバコ、ユーカリ、スターアニス、麻、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローリエ、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶又は紅茶のような茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シソ、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ又はこれらの任意の組み合わせである。ミントは、以下のミント変種、すなわち、コーンミント、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、イングリッシュスペアミント及びアップルミントのようなミント変種から選択されてもよい。
【0062】
幾つかの実施形態において、活性成分は、1つ又は複数の植物性物質又はその成分、派生物若しくは抽出物を含むか、或いはこれらから派生され、植物性物質はタバコである。
【0063】
幾つかの実施形態において、活性成分は、1つ又は複数の植物性物質又はその成分、派生物若しくは抽出物を含むか、或いはこれらから派生され、植物性物質は、ユーカリ、スターアニス、ココア及び麻から選択される。
【0064】
幾つかの実施形態において、活性成分は、1つ又は複数の植物性物質又はその成分、派生物若しくは抽出物を含むか、或いはこれらから派生され、植物性物質は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0065】
幾つかの実施態様において、エアロゾル化可能な材料は、香料(又は香味料)を含む。
【0066】
本明細書において使用される場合、「香料」及び「香味料」という用語は、現地の規制が許す場合、成人消費者向けの製品に、所望の味、香り又は他の体性感覚をつくり出すのに使用することができる材料を指す。それらは、天然に存在する香料材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成により得られる材料、又はこれらの組み合わせ(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、チョウジ、メイプル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コンニャク、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶又は紅茶のような茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエの葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化材、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖及び/又は糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに、木炭、クロロフィル、鉱物、植物性物質、又は息清涼剤のような他の添加剤を含んでもよい。これらは、模造品、合成若しくは天然成分であってもよく、又はそのブレンドであってもよい。これらは、任意の好適な形態、例えば、油のような液体、粉のような固体、又は気体であってもよい。
【0067】
幾つかの実施形態において、香料は、メンソール、スペアミント及び/又はペパーミントを含む。幾つかの実施形態において、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類及び/又はレッドベリーの香料成分を含む。幾つかの実施形態において、香料は、オイゲノールを含む。幾つかの実施形態において、香料は、タバコから抽出された香料成分を含む。幾つかの実施形態において、香料は、大麻から抽出された香料成分を含む。
【0068】
幾つかの実施形態において、香料は、感覚惹起剤を含んでもよく、この感覚惹起剤は、アロマ又は味覚神経に加えて又はその代わりに第5脳神経(三叉神経)の刺激によって通常は化学的に誘発及び認識される体性感覚を達成することを意図されており、これらは、温まる、冷える、ひりひりする、痺れる効果をもたらす薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであり得るが、これに限定されず、好適な冷却剤は、ユーカリプトール、WS-3であり得るが、これらに限定されない。
【0069】
担体成分は、エアロゾルを形成することが可能な1つ又は複数の成分(例えば、エアロゾル形成剤)を含んでもよい。幾つかの実施形態において、担体成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びプロピレンカーボネートのうちの1つ又は複数を含み得る。エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、エアロゾル形成剤を含んでもよい。幾つかの実施形態において、エアロゾル形成剤は、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール及びグリセリン等の1つ又は複数の多価アルコール、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート又はグリセロールトリアセテート等の、多価アルコールのエステル、及び/又は、ジメチルドデカンジオエート及びジメチルテトラデカンジオエート等の、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はポリカルボン酸の脂肪族エステルを含む。
【0070】
1つ又は複数の他の機能性成分は、pH調整剤、着色剤、防腐剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0071】
エアロゾル化可能な材料は、基質を形成するキャリア支持体(又はキャリア構成要素)の上又は中に存在することができる。キャリア支持体は例えば、紙、カード、ボール紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、又は金属合金とすることができる。
【0072】
幾つかの実施態様において、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料、又はエアロゾル化可能な材料を受け取る区域を備えることができる。幾つかの実施態様において、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、マウスピースを備えることができ、又は代替的に、非燃焼式エアロゾル供給デバイスが、物品と連通するマウスピースを備えてもよい。エアロゾル化可能な材料を受け入れる区域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵する貯蔵区域とすることができる。例えば、貯蔵区域は、リザーバとすることができる。
【0073】
図1は、本開示の特定の実施形態に従ったエアロゾル供給システム1の概略図の断面図である。エアロゾル供給システム1は、2つの主要な構成部材、すなわち、エアロゾル供給デバイス2と、エアロゾル生成物品4とを備える。
【0074】
エアロゾル供給デバイス2は、外側ハウジング21と、動力源22と、制御回路23と、複数のエアロゾル生成構成要素24と、受容部25と、吸入又はマウスピース端部26と、空気入口27と、空気出口28と、タッチセンシティブパネル29と、吸入センサ30と、インジケータユニット31とを備える。
【0075】
外側ハウジング21は、任意の好適な材料、例えばプラスチック材料から形成されることができる。外側ハウジング21は、動力源22、制御回路23、エアロゾル生成構成要素24、受容部25及び吸入センサ30が外側ハウジング21内に位置するように配置される。外側ハウジング21はまた、以下でより詳細に記載される、空気入口27及び空気出口28を画定する。タッチセンシティブパネル29及び使用終了インジケータは、外側ハウジング21の外部に位置する。
【0076】
外側ハウジング21は、吸入又はマウスピース端部26をさらに含んでもよい。外側ハウジング21及びマウスピース端部26は、単一の構成部材として形成されてもよい(すなわち、マウスピース端部26は、外側ハウジング21の一部を形成してもよい)。吸入又はマウスピース端部26は、外側ハウジング21の、空気出口28を含む領域として画定され、ユーザがマウスピース端部26の周りに自身の唇を楽に当てて空気出口28と接することができるように形状決めされることができる。
図1において、外側ハウジング21の厚さは、デバイス2の比較的薄い部分を提供するように空気出口28へ向かって漸減しており、この比較的薄い部分にユーザの唇をより容易にあてがうことができる。しかしながら、他の実施態様において、マウスピース端部26は、外側ハウジング21とは別個であるが外側ハウジングに連結されることができる取り外し可能な構成部材であってもよく、洗浄のために、及び/又は、別のマウスピース端部26との交換のために、取り外されるものとすることができる。マウスピース端部26は例えば、エアロゾル供給物品4の一部として形成されてもよい。
【0077】
動力源22は、エアロゾル供給デバイス2に作動力を供給するように構成されている。動力源22は、バッテリ等の任意の好適な動力源とすることができる。例えば、動力源22は、リチウムイオンバッテリ等の充電式バッテリを含むことができる。動力源22は、取り外し可能であってもよく、又は、エアロゾル供給デバイス2の一体部分を形成してもよい。幾つかの実施態様において、動力源22は、USBポート(図示せず)のような関連接続ポートを通じて、又は、好適な無線受信機(図示せず)を介して、外部電源(主電源等)にデバイス2を接続することにより充電されることができる。
【0078】
制御回路23は、エアロゾル供給デバイスの動作を制御してエアロゾル供給デバイス2の特定の動作機能をもたらすように好適に構成/プログラムされる。制御回路23は、エアロゾル供給デバイスの動作の種々の異なる態様に関連付けられた様々なサブユニット/回路要素を論理的に含むものと考えられ得る。例えば、制御回路23は、動力源22の充電を制御する論理サブユニットを含んでもよい。さらに、制御回路23は、例えばデバイス2からのデータ転送又は該デバイスへのデータ転送を容易にするために、通信用の論理サブユニットを含んでもよい。しかしながら、制御回路23の主機能は、以下でより詳細に記載されるように、エアロゾル生成材料のエアロゾル化を制御することである。制御回路23の機能性は、例えば、所望の機能性を提供するように構成された1つ又は複数の適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータ(複数可)及び/又は1つ又は複数の好適に構成された特定用途向け集積回路(複数可)/回路/チップ(複数可)/チップセット(複数可)を使用して、様々な異なる方法で提供されることができることが理解されるであろう。制御回路23は、電源23に接続され、動力源22から動力を受け取り、その動力をエアロゾル供給デバイス2の他の構成部材に対して分配又は制御するように構成されることができる。
【0079】
記載の実施態様において、エアロゾル供給デバイス2は、エアロゾル生成物品4を受け入れるように配置された受容部25をさらに備える。
【0080】
エアロゾル生成物品4は、キャリア構成要素42と、エアロゾル生成材料44とを備える。エアロゾル生成物品4は、
図2A~
図2Cにおいてより詳細に示されている。
図2Aは、物品4の上から見た図であり、
図2Bは、物品4の長手方向(長さ)軸線に沿った端面図であり、
図2Cは、物品4の幅軸線に沿った側面図である。
【0081】
物品4は、この実施態様ではカードの形状を呈するキャリア構成要素42を含む。キャリア構成要素42は、物品4の大部分を形成し、エアロゾル生成材料44が置かれる基台として働く。
【0082】
キャリア構成要素42は形状が、
図2A~
図2Cに示されているように、長さl、幅w及び厚さt
cを有する概ね立方体状である。具体的な例として、キャリア構成要素42の長さは、30~80mmとすることができ、幅は、7~25mmとすることができ、厚さは、0.2~1mmとすることができる。しかしながら、上記は、キャリア構成要素42の例示的な寸法であり、他の実施態様において、キャリア構成要素42は、必要に応じて種々の異なる寸法を有してもよいことが理解されるべきである。幾つかの実施態様において、キャリア構成要素42は、ユーザが物品4を扱い易くするのを助けるようにキャリア構成要素42の長さ方向及び/又は幅方向に延びる1つ又は複数の突起を含んでもよい。
【0083】
図1及び
図2に示された例において、物品4は、キャリア構成要素42の表面に配置されたエアロゾル生成材料44の複数の個々の部分を備える。より具体的には、物品4は、2×3配列で配置された、44a~44fを付記された、エアロゾル生成材料44の6個の個々の部分を備える。しかしながら、他の実施態様において、より多いか又は少ない数の個々の部分が設けられてもよく、及び/又は、これら部分は、異なる配列(例えば、1×6配列)で配置されてもよいことが理解されるべきである。図示の例において、エアロゾル生成材料44は、キャリア構成要素42の片面に、個々の分離した位置に配置されている。エアロゾル生成材料44の個々の部分は、円形フットプリントを有するものとして示されているが、エアロゾル生成材料44の個々の部分は、必要に応じて、正方形、三角形、六角形又は矩形等の任意の他のフットプリントをとってもよいことが理解されるべきである。エアロゾル生成材料44の個々の部分は、
図2A~
図2Cに示されているように直径d及び厚さt
aを有する。厚さtaは、任意の好適な値をとることができ、厚さtaは例えば、50μm~1.5mmの範囲内とすることができる。幾つかの実施形態において、厚さtaは、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μm、好適には約77μmである。他の実施形態において、厚さtaは、例えば、約50μm~約400μmまで、又は約1mmまで、又は約1.5mmまで、200μmを超えるものとすることができる。
【0084】
エアロゾル生成材料44の個々の部分は、該個々の部分のそれぞれが個別に/選択的に励起(例えば加熱)されてエアロゾルを生成することができるように互いとは分離している。幾つかの実施態様において、エアロゾル生成材料44のそれら部分は、20mgを超えない質量を有することができ、そのため、どんなときでも、所与のエアロゾル生成構成要素24によってエアロゾル化される材料の量は、比較的低い。例えば、一部分当たりの質量は、20mg以下、又は10mg以下、又は5mg以下とすることができる。当然のことながら、物品4の総質量は20mgを超えてもよいことが理解されるべきである。
【0085】
記載の実施態様において、エアロゾル生成材料44は非晶質固体である。一般的に、エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、(場合によっては結合剤と呼ばれる)ゲル化剤と、(例えば、グリセロールを含む場合がある)エアロゾル生成剤とを含み得る。ゲル化剤は、セルロース系ゲル化剤、非セルロース系ゲル化剤、グアーガム、アカシアガム及びそれらの混合物から選択される1つ又は複数の化合物を含み得る。幾つかの実施形態において、セルロース系ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、又はアカシアガムのうちの1つ又は複数を含む(或いはそれらのうちの1つ又は複数である)。幾つかの実施形態において、ゲル化剤は、寒天、キサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギン酸塩、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の非セルロース系ゲル化剤を含む(或いはそのような1つ又は複数の非セルロース系ゲル化剤である)。好ましい実施形態において、非セルロース系ゲル化剤は、アルギン酸塩又は寒天である。
【0086】
ゲル化剤は、硬化剤(例えば、カルシウム源)をさらに含んでもよい。特定の実施態様において、硬化剤は、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、又はこれらの組み合わせを含むか又はそれから成る。特定の実施態様において、硬化剤は、ギ酸カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを含むか又はそれから成る。特定の例において、硬化剤は、ギ酸カルシウムを含むか又はこれから成る。本発明者らは、一般的に、硬化剤としてギ酸カルシウムを用いる結果、より高い引張強度及びより高い耐伸張性を有する非晶質固体が得られることを認識している。
【0087】
エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、以下、すなわち、活性物質(タバコ抽出物を含み得る)、香味料、酸及び充填剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。必要に応じて他の成分も存在してもよい。特定の実施形態において、エアロゾル生成材料又は非晶質固体は、セルロース系ゲル化剤及び/又は非セルロース系ゲル化剤を含むゲル化剤、活性物質及び酸を含む。
【0088】
酸は、有機酸であってもよい。これらの実施形態の幾つかにおいて、酸は、一塩基酸、二塩基酸及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。幾つかのそのような実施形態において、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含んでもよい。幾つかのそのような実施形態において、酸は、アルファヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。幾つかのそのような実施形態において、酸は、アルファケト酸であってもよい。幾つかのそのような実施形態において、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであり得る。酸は乳酸が好適である。他の実施形態において、酸は安息香酸である。他の実施形態において、酸は無機酸であってもよい。これらの実施形態のうちの幾つかにおいて、酸は鉱酸であってもよい。幾つかのそのような実施形態において、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。幾つかの実施形態において、酸はレブリン酸である。酸の包含は、エアロゾル生成材料がニコチンを含む実施形態において特に好ましい。そのような実施形態において、酸の存在により、エアロゾル生成材料が形成されるスラリー中の溶存種を安定化させることができる。酸の存在により、スラリーの乾燥時にニコチンの蒸発を低減又は実質的に防止することによって、製造時のニコチン損失を減らすことができる。
【0089】
非晶質固体は、着色料を含んでもよい。着色料の添加により、非晶質固体の視覚的外観を変えることができる。非晶質固体中における着色料の存在により、非晶質固体及びエアロゾル生成材料の視覚的外観を高めることができる。非晶質固体に着色料を添加することによって、非晶質固体は、エアロゾル生成材料の他の成分と、又は、非晶質固体を含む物品の他の成分と色を合わせられることができる。
【0090】
非晶質固体の所望の色に応じて様々な着色料が用いられることができる。非晶質固体の色は例えば、白、緑、赤、紫、青、茶又は黒であってもよい。他の色も想定される。天然染料又は合成染料等の、天然着色料又は合成着色料、食用着色料及び医薬品用着色料が用いられてもよい。特定の実施形態において、着色料はキャラメル色であり、これは非晶質固体に茶の外観を与えることができる。そのような実施形態において、非晶質固体の色は、非晶質固体を含むエアロゾル生成材料中の他の成分(タバコ材料等)の色と同様であってもよい。幾つかの実施形態において、非晶質固体への着色料の添加により、非晶質固体をエアロゾル生成材料中の他の成分と視覚的に見分けをつかなくさせる。
【0091】
着色料は、非晶質固体の形成時(例えば、非晶質固体を形成する材料を含むスラリーを形成する際)に組み入れられてもよく、又は、非晶質固体の形成後に(例えば着色料を非晶質固体上に噴霧することによって)非晶質固体に塗布されてもよい。
【0092】
非晶質固体エアロゾル化可能な材料は、幾つかの電子エアロゾル供給デバイスに一般に見られる他のタイプのエアロゾル化可能な材料に勝る幾つかの利点を提供する。例えば、液体エアロゾル化可能な材料をエアロゾル化する電子エアロゾル供給デバイスと比べて、非晶質固体が貯蔵されている場所から非晶質固体が漏れるか又は他の場合では流れる可能性が大幅に低減される。このことは、構成部材が、使用されるべき同じ液密シール等を必ずしも必要としないため、エアロゾル供給デバイス又は物品がより安価に製造されることができることを意味する。
【0093】
固体エアロゾル化可能な材料、例えばタバコをエアロゾル化する電子エアロゾル供給デバイスと比べて、等量のエアロゾルを生成するのに(又はエアロゾル中に等量の成分、例えばニコチンを供給するのに)比較的低い質量の非晶質固体材料がエアロゾル化されることができる。このことは一部には、非晶質固体が、他の固体エアロゾル化可能な材料中に見られ得る不適切な成分(例えば、例えばタバコ中のセルロース系材料)を含まないように適合されることができるということによる。例えば、幾つかの実施態様において、非晶質固体の一部分当たりの質量は、20mgを超えない、又は10mgを超えない、又は5mgを超えない。したがって、エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成構成要素に比較的少ない動力を供給することができ、及び/又は、エアロゾル生成構成要素は、同様のエアロゾルを生成するのに比較的小さいものとすることができ、したがって、エアロゾル供給デバイスについてのエネルギー所要量が低減されることができることを意味する。
【0094】
幾つかの実施形態において、非晶質固体はタバコ抽出物を含む。これらの実施形態において、非晶質固体は、以下の組成(乾燥重量基準、DWBで)、すなわち、約1wt%~約60wt%、又は約10wt%~30wt%、又は約15wt%~約25wt%の量のゲル化剤(好ましくは、アルギン酸塩を含む)、約10wt%~約60wt%、又は約40wt%~55wt%、又は約45wt%~約50wt%の量のタバコ抽出物、約5wt%~約60wt%、又は約20wt%~約40wt%、又は約25wt%~約35wt%の量のエアロゾル生成剤(好ましくはグリセロールを含む)を有してもよい(DWB)。タバコ抽出物は、単一種のタバコ由来であってもよく、又は様々な異種のタバコからの抽出物のブレンド由来であってもよい。そのような非晶質固体は、「タバコ非晶質固体」と呼ばれることがあり、エアロゾル化された際に喫煙のような体験を送達することを意図されることができる。
【0095】
一実施形態において、非晶質固体は、約20wt%のアルギン酸塩ゲル化剤、約48wt%のバージニアタバコ抽出物及び約32wt%のグリセロールを含む(DWB)。
【0096】
これらの実施形態の非晶質固体は、任意の好適な含水量を有してもよい。例えば、非晶質固体は、約5wt%~約15wt%、又は約7wt%~約13wt%、又は約10wt%の含水量を有してもよい。
【0097】
これらの実施形態のいずれにおいても、非晶質固体は、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μm、好適には約77μmの厚さtaを有することが好適である。
【0098】
幾つかの実施態様において、非晶質固体は、0.5~60wt%のゲル化剤及び5~80wt%のエアロゾル生成剤を含んでもよく、これら重量は乾燥重量基準で計算される。そのような非晶質固体は、香料、酸及び活性物質を全く含んでいなくてもよい。そのような非晶質固体は、「エアロゾル生成剤リッチ」又は「エアロゾル生成剤非晶質固体」と呼ばれることがある。より包括的には、これは、名前が示唆するように、エアロゾル生成材料のうち、エアロゾル化されるとエアロゾル生成剤を送達することを意図されている部分である、エアロゾル生成剤リッチなエアロゾル生成材料の一例である。
【0099】
これらの実施態様において、非晶質固体は、以下の組成(DWB)、すなわち、約5wt%~約40wt%、又は約10wt%~30wt%、又は約15wt%~約25wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約50wt%、又は約20wt%~約40wt%、又は約25wt%~約35wt%の量のエアロゾル生成剤を有してもよい(DWB)。
【0100】
幾つかの他の実施態様において、非晶質固体は、0.5~60wt%のゲル化剤、5~80wt%のエアロゾル生成剤及び1~60wt%の香料を含んでもよく、これら重量は乾燥重量基準で計算される。そのような非晶質固体は、香料を含んでもよいが、活性物質又は酸を全く含んでいなくてもよい。そのような非晶質固体は、「香味料リッチ」又は「香料非晶質固体」と呼ばれることがある。より包括的には、これは、名前が示唆するように、エアロゾル生成材料のうち、エアロゾル化されると香味料を送達することを意図されている部分である、香味料リッチなエアロゾル生成材料の一例である。
【0101】
これらの実施態様において、非晶質固体は、以下の組成(DWB)、すなわち、約5wt%~約40wt%、又は約10wt%~30wt%、又は約15wt%~約25wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約50wt%、又は約20wt%~約40wt%、又は約25wt%~約35wt%の量のエアロゾル生成剤、約30wt%~約60wt%、又は約40wt%~55wt%、又は約45wt%~約50wt%の量の香料を有してもよい(DWB)。
【0102】
幾つかの他の実施態様において、非晶質固体は、0.5~60wt%のゲル化剤、5~80wt%のエアロゾル生成剤及び5~60wt%の少なくとも1つの活性物質を含んでもよく、これら重量は乾燥重量基準で計算される。そのような非晶質固体は、活性物質を含んでもよいが、香料又は酸を全く含んでいなくてもよい。そのような非晶質固体は、「活性物質リッチ」又は「活性物質非晶質固体」と呼ばれることがある。例えば、一実施態様において、活性物質は、ニコチンであってもよく、そのようなものとして、ニコチンを含む上述したような非晶質固体は、「ニコチン非晶質固体」と呼ばれることがある。より包括的には、これは、名前が示唆するように、エアロゾル生成材料のうち、エアロゾル化されると活性物質を送達することを意図されている部分である、活性物質リッチなエアロゾル生成材料の一例である。
【0103】
これらの実施態様において、非晶質固体は、以下の組成(DWB)、すなわち、約5wt%~約40wt%、又は約10wt%~30wt%、又は約15wt%~約25wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約50wt%、又は約20wt%~約40wt%、又は約25wt%~約35wt%の量のエアロゾル生成剤、約30wt%~約60wt%、又は約40wt%~55wt%、又は約45wt%~約50wt%の量の活性物質を有してもよい(DWB)。
【0104】
幾つかの他の実施態様において、非晶質固体は、0.5~60wt%のゲル化剤、5~80wt%のエアロゾル生成剤及び0.1~10wt%の酸を含んでもよく、これら重量は乾燥重量基準で計算される。そのような非晶質固体は、酸を含んでもよいが、活性物質及び香味料を全く含んでいなくてもよい。そのような非晶質固体は、「酸リッチ」又は「酸非晶質固体」と呼ばれることがある。より包括的には、これは、名前が示唆するように、エアロゾル生成材料のうち、エアロゾル化されると酸を送達することを意図されている部分である、酸リッチなエアロゾル生成材料の一例である。
【0105】
これらの実施態様において、非晶質固体は、以下の組成(DWB)、すなわち、約5wt%~約40wt%、又は約10wt%~30wt%、又は約15wt%~約25wt%の量のゲル化剤、約10wt%~約50wt%、又は約20wt%~約40wt%、又は約25wt%~約35wt%の量のエアロゾル生成剤、約0.1wt%~約8wt%、又は約0.5wt%~7wt%、又は約1wt%~約5wt%、又は約1wt%~約3wt%の量の酸を有してもよい(DWB)。
【0106】
物品4は、同じエアロゾル生成材料(例えば、上述した非晶質固体のうちの1つ)から全てが形成される、エアロゾル生成材料の複数の部分を含むことができる。代替的に、物品4は、少なくとも2つの部分が、異なるエアロゾル生成材料(例えば、上述した非晶質固体のうちの1つ)から形成される、エアロゾル生成材料44の複数の部分を含んでもよい。
【0107】
受容部25は、物品4を取り外し可能に受け入れるように好適にサイズ決めされている。図示されていないが、デバイス2は、ユーザが物品4を受容部25に対して挿入及び/又は取り外しすることができるように受容部25へのアクセスを可能にするために、外側ハウジング21のヒンジ付き扉又は取り外し可能な部品を備えてもよい。外側ハウジング21のヒンジ付き扉又は取り外し可能な部品はまた、閉じられると物品4を受容部25内に保持するように働いてもよい。エアロゾル生成物品4が使い果たされるか、又は、ユーザが単に別のエアロゾル生成物品4に替えることを望む場合、エアロゾル生成物品4は、エアロゾル供給デバイス2から取り外されることができ、交換エアロゾル生成物品4が、受容部25内においてその適所に配置されることができる。代替的に、デバイス2は、受容部25と連通する永久的な開口部を含んでもよく、この開口部を通って、物品4が受容部25に挿入されることができる。そのような実施態様において、物品4をデバイス2の受容部25内に保持する保持機構が設けられてもよい。
【0108】
図1に見られるように、デバイス2は、複数のエアロゾル生成構成要素24を備える。記載の実施態様において、エアロゾル生成構成要素24は、加熱要素24、より具体的には抵抗加熱要素24である。抵抗加熱要素24は、電流を受け、電気エネルギーを熱に変換する。抵抗加熱要素24は、電流を受けると熱を発生する、ニクロム(Ni20Cr80)等の任意の好適な抵抗加熱材料から形成されてもよいか、又はそのような抵抗加熱材料を含んでもよい。一実施態様において、加熱要素24は、抵抗トラックが配置される電気絶縁基体を含んでもよい。
【0109】
図3は、加熱要素24の配置をより詳細に示す、エアロゾル供給デバイス2の上から見た断面図である。
図1及び
図3において、加熱要素24は、該加熱要素24の表面が受容部25の表面の一部を形成するように配置されている。すなわち、加熱要素24の外表面が受容部の内表面と同一平面である。より具体的には、受容部25の内表面と同一平面である、加熱要素24の外表面は、加熱要素24の、電流が加熱要素24を通ると加熱される(すなわち、その温度が上昇する)表面である。
【0110】
本例では、加熱要素24は、導電性プレートから形成され、この導電性プレートは、加熱要素の、温度が上昇するように配置される表面を画定する。導電性プレートは、金属材料、例えばニクロムから形成されてもよく、これは、電流が導電性プレートを通ると熱を発生させる。他の実施態様において、別個の導電性トラックが第2の材料(例えば、金属材料又はセラミック材料)の表面の上又は中を通っていてもよく、この導電性トラックが第2の材料に伝達される熱を発生させる。つまり、導電性トラックと組み合わさった第2の材料が、加熱要素24を形成する。後者の例では、加熱要素の、温度が上昇するように配置される表面は、第2の材料の周囲によって画定される。
【0111】
記載の実施態様において、加熱要素24の、温度が上昇するように配置される表面はまた、平らであり、受容部25の壁に対して平行な平面内に概ね位置する。しかしながら、他の実施態様において、それら表面は湾曲していてもよい、つまり、加熱要素24の表面が位置する平面が、1つの軸線における曲率半径を有してもよい(例えば、表面は略放物線状であってもよい)。加熱要素24は、物品4が受容部25内に受け入れられると各加熱要素24がエアロゾル生成材料44の対応する個々の部分と位置合わせするように配置される。したがって、この例では、6個の加熱要素24が、
図2A~
図2Cに示されたエアロゾル生成材料44の6個の個々の部分の2×3配列の配置に概ね対応する2×3配列で配置されている。しかしながら、上述したように、加熱要素24の数は、種々の異なる実施態様において異なっていてもよく、例えば、8個、10個、12個、14個等の加熱要素24があってもよい。幾つかの実施態様において、加熱要素24の数は、6個以上であるが20個を超えない。
【0112】
より具体的には、加熱要素24は、
図3において24a~24fを付記されており、各加熱要素24は、参照符号24/44に続く対応する文字によって示されているように、エアロゾル生成材料44の対応する部分と位置合わせするように配置されることが理解されるべきである。したがって、加熱要素24のそれぞれは、エアロゾル生成材料44の対応する部分を加熱するように個別に起動されることができる。
【0113】
加熱要素24は受容部25の内表面と同一平面で示されているが、他の実施態様において、加熱要素24は、受容部25内に突き出ていてもよい。どちらにしても、物品4は、受容部25内にある場合、加熱要素24の表面と接触し、そのため、加熱要素24によって発生した熱がキャリア構成要素42を介してエアロゾル生成材料44に導かれる。
【0114】
幾つかの実施態様において、伝熱効率を向上させるために、受容部は、キャリア構成要素42をヒータ要素24に押し当てることによってエアロゾル生成材料44への伝導による伝熱の効率を高めるようにキャリア構成要素42の表面に力を印加する構成部材を備えてもよい。付加的又は代替的に、ヒータ要素24が、物品4に対して接近/離隔方向に移動するように構成されてもよく、キャリア構成要素42の、エアロゾル生成材料44を含まない表面に押し付けられてもよい。
【0115】
使用時、デバイス2(より具体的には制御回路23)は、ユーザ入力に応答して加熱要素24に動力を送達するように構成されている。大まかに言えば、制御回路23が、加熱要素24に選択的に動力を印加して、その後、エアロゾル生成材料44の対応する部分を加熱してエアロゾルを生成するように構成されている。ユーザがデバイス2で吸入する(すなわち、マウスピース端部26において吸入する)と、空気が、空気入口27を通ってデバイス2に引き込まれて受容部25に入り、この受容部において、エアロゾル生成材料44を加熱することによって生成されたエアロゾルと混合し、次いで、空気出口28を介してユーザの口に引き出される。すなわち、エアロゾルは、マウスピース端部26及び空気出口28を介してユーザに送達される。
【0116】
図1のデバイス2は、タッチセンシティブパネル29と、吸入センサ30とを備える。ひとまとめに、タッチセンシティブパネル29及び吸入センサ30は、エアロゾルの生成を生じさせるためのユーザ入力を受ける機構として働き、したがって、より大まかには、ユーザ入力機構と呼ばれることがある。受けたユーザ入力は、エアロゾルの生成をユーザが望んでいることを示すものとされることができる。
【0117】
タッチセンシティブパネル29は、静電容量式タッチセンサであってもよく、デバイス2のユーザが自身の指又は別の好適な導電性物体(例えばスタイラス)をタッチセンシティブパネルに当てることによって作動されることができる。記載の実施態様において、タッチセンシティブパネルは、エアロゾル生成を開始するためにユーザが押圧することができる領域を含む。制御回路23は、タッチセンシティブパネル29からシグナリングを受信するとともに、このシグナリングを用いて、ユーザがタッチセンシティブパネル29の領域を押圧している(すなわち起動させている)かどうかを判定するように構成されることができる。制御回路23がこのシグナリングを受信すると、制御回路23は、動力源22から加熱要素24のうちの1つ又は複数に動力供給するように構成されている。動力は、タッチが検出された瞬間から、又はタッチが検出された時間長に応答して、予め定められた時間期間(例えば、3秒)の間、供給されることができる。他の実施態様において、タッチセンシティブパネル29の代わりにユーザ作動可能ボタン等を用いてもよい。
【0118】
吸入センサ30は、ユーザがデバイス2で吸入することによって生じる圧力降下又は空気の流れを検出するように構成された、圧力センサ又はマイクロフォン等であってもよい。吸入センサ30は、空気流路と流体連通して(すなわち、入口27と出口28との間の空気流路と流体連通して)配置される。上述と同様にして、制御回路23は、吸入センサからシグナリングを受信するとともに、このシグナリングを用いて、ユーザがエアロゾル供給システム1で吸入しているかどうかを判定するように構成されてもよい。制御回路23がこのシグナリングを受信すると、制御回路23は、動力源22から加熱要素24のうちの1つ又は複数に動力供給するように構成されている。動力は、吸入が検出された瞬間から、又は吸入が検出された時間長に応答して、予め定められた時間期間(例えば、3秒)の間、供給されることができる。
【0119】
記載の例では、タッチセンシティブパネル29及び吸入センサ30は双方とも、吸入のためにエアロゾルの生成開始をユーザが望んでいることを検出する。制御回路23は、タッチセンシティブパネル29及び吸入センサ30の双方からシグナリングが検出された場合にのみ、加熱要素24に動力供給するように構成されてもよい。このことは、ユーザ入力機構のうちの1つの予期しない起動から加熱要素24の不慮の起動を防ぐのに役立ち得る。しかしながら、他の実施態様において、エアロゾル供給システム1は、タッチセンシティブパネル29及び吸入センサ30のうちの一方のみを有してもよい。
【0120】
エアロゾル供給システム1の動作のこれらの態様(すなわち、パフ検出及びタッチ検出)はそれ自体、確立された技法に従って(例えば、従来の吸入センサ及び吸入センサ信号処理技法を用いて、また、従来のタッチセンサ及びタッチセンサ信号処理技法を用いて)行われることができる。
【0121】
上述したエアロゾル供給システム1の実施態様において、以下でより詳細に記載されるように、1つ又は複数のエアロゾル生成構成要素24を使用して選択的にエアロゾル化されることができる、エアロゾル生成材料44の複数の(個々の)部分が設けられている。そのようなエアロゾル供給システム1は、より多くの大量の材料を加熱することを意図された他のシステムに勝る利点を提供する。特に、所与の吸入について、エアロゾル生成材料の選択された部分(又は複数の部分)のみがエアロゾル化されることで、全体でよりエネルギー効率的なシステムをもたらす。
【0122】
加熱システムにおいて、一回のパフごとにユーザに十分な量のエアロゾルを送達する際、幾つかのパラメータがこのシステムの全体的な有効性に影響を及ぼす。一方で、エアロゾル生成材料の厚さが、いかに迅速にエアロゾル生成材料が動作温度に到達するか(及び後にエアロゾルを生成するか)に影響を及ぼし得るため、重要とすることができる。これは、幾つかの理由から重要とすることができるが、加熱要素が、材料のより厚い部分を加熱することに比べて長く活性である必要がなくてもよいため、動力源22からエネルギーのより効率的な使用をもたらすことができる。他方で、加熱されるエアロゾル生成材料の総質量が、生成されることができるとともに後にユーザに送達されることができるエアロゾルの総量に影響を及ぼし得る。さらに、エアロゾル生成材料が加熱される温度は、エアロゾル生成材料が動作温度に到達する迅速さ、及び生成されるエアロゾル量の双方に影響を及ぼし得る。
【0123】
(例えば、上述したような)非晶質固体が上記の適用に特に適しているが、その理由は一部には、非晶質固体が、選択された原料/成分から形成され、そのため、質量の比較的高い割合が有用な(又は送達可能な)成分(例えば、例えばニコチン及びグリセロール)であるように設計されることができるからである。そういうものとして、非晶質固体は、幾つかの他のエアロゾル生成材料(例えば、タバコ)に比して、所与の質量から比較的高い割合のエアロゾルを生成することができ、非晶質固体の比較的少ない部分が同等の量のエアロゾルを産出することができることを意味する。さらに、非晶質固体は、(たとえ流れるとしても)容易に流れにくく、このことは、例えば液体エアロゾル生成材料を使用する場合に漏れに基づく問題が大幅に軽減されることを意味する。
【0124】
上述したシステムにおいて、エアロゾル生成部分がエアロゾル生成構成要素24(例えば加熱要素24)からエネルギーを供給されて、エアロゾル生成材料にユーザ吸入用のエアロゾルを生成させる。加熱要素に関して、全ての他の条件が同じであるとすると、加熱要素がエアロゾル生成材料の1つの部分を加熱している持続時間、及び、加熱要素が制御されて動作する温度が、エアロゾル生成材料44のその部分に印加されることができる総エネルギーに影響を及ぼす。例えば、全ての他の条件が同じであるとすると、加熱要素がより長い間及び/又はより高い温度で起動される場合、より大量のエネルギーが印加されることができる。印加されるエネルギーは、生成されるエアロゾルの質量に比例し得る。
【0125】
さらに、上述したように、エネルギーがエアロゾル生成材料に伝わる速度は一部には、エアロゾル生成材料44の部分が加熱されている温度に基づいている、すなわち、より高温の加熱要素が、より迅速にエネルギーを与える。したがって、比較的短い時間期間内で多量のエアロゾルを得るには、より高温の加熱要素が必要とされる。しかしながら、エアロゾル生成材料は一般的に、無視できない厚さを有しており、そのため、エアロゾル生成材料が片側から加熱される場合にエアロゾル生成材料の厚さにわたって温度勾配がある可能性がある。加熱要素と接触するか又は加熱要素に最も近い表面が、反対側の表面よりも高い温度になりかねない。エアロゾル生成材料の一部の温度が特定の程度を超えて上昇する場合、材料の焦げにより、生成されたエアロゾルにおいて調子外れの風味又は不快な風味を生じさせる可能性がより高い。
【0126】
さらに、高い温度でエアロゾル生成材料を焦がすことによって引き起こされる実際的制限とは関係なく、エアロゾル化可能な材料から特定の成分が放出される(すなわち、エアロゾルに変化する)ことができる方法は、エアロゾル化可能な材料が加熱される温度に左右され得る。例えば、上述したようなタバコ非晶質固体を加熱することによって生成されるエアロゾルを吸入する場合の風味又は全体的なユーザ体験は、タバコ非晶質固体が加熱される温度に基づいて様々とすることができる。例えば、タバコ(又はタバコ抽出物)は、種々の異なる温度で加熱される場合、異なる回及び/又は異なる割合で放出される複数の異なる成分を含むことができる。したがって、特定のタイプのタバコ及び/又は特定のユーザ選好について、エアロゾル生成材料をより低い温度に加熱することが望ましいであろう。しかしながら、上記で具体的に述べたように、エアロゾル化可能な材料に与えられる総エネルギーは、エアロゾル化可能な材料の1つの部分から後に生成されるエアロゾルの量に作用する。タバコ非晶質固体が上述されてきたが、加熱されると風味又はユーザ体験に影響を及ぼす1つ又は複数の成分を有する他のエアロゾル生成材料に同じ原理が当てはまることが理解されるべきである。
【0127】
したがって、本発明者らは、ユーザがデバイスで吸入する前に加熱し始めることによって、風味が調子外れであることがより少ない好適な量のエアロゾル、及び/又は、より低い所望の温度の風味プロファイルで好適な量のエアロゾルを生成するのに、より低い温度の加熱要素が使用されることができることを見い出している。
【0128】
特に、本発明者らは、以下のステップ、すなわち、加熱要素に動力供給してエアロゾル生成材料を加熱し始めるステップと、第1の予め定められた時間後、ユーザがデバイスで吸入し始め得ることを示す信号をユーザに供給するステップと、第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、加熱要素への動力供給を減らすステップと、を含む、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法を提案している。
【0129】
第1の予め定められた時間期間及び動力は、第1の予め定められた時間期間を増やすとともに加熱要素の温度を下げること、又は、第1の予め定められた時間期間を減らすとともに加熱要素の温度を上げることのどちらかによって、同様の量のエアロゾルが吸入によって生成されることができるように予め制御されることができる。加熱要素の温度は或る程度、加熱要素に供給される電力に左右される。
【0130】
図4aは、本開示に従ったエアロゾル生成方法を表すフロー図である。
図4bは、x軸線に関して時間(t)及びy軸線に関して所与の加熱要素24の温度(T)を示すグラフである。以下、
図4a及び
図4bの双方に言及する。
【0131】
方法は、ステップS1で開始し、このステップにおいて、デバイス2が、上述したように、エアロゾルの吸入をユーザが意図していることを示すシグナリングを、この実施態様ではタッチセンシティブパネル29から受信する。デバイス2は、ステップS1の前に既に「スタンバイ」状態であることができ、そのようなものとして制御回路23は、シグナリングについて監視している状態にある。このことは、
図4bにt
0にて示されている。
【0132】
ステップS1において時間t
0にてシグナリングが受信されると、制御回路23は、ステップS2において、選択された加熱要素24を加熱し始める(すなわちその加熱要素に動力供給し始める)ように構成されている。
図4bにおいて、ヒータ温度が周囲温度T
ambから動作温度T
opに上昇し始めている。しかしながら、以下でより詳細に述べるように、加熱動作は、周囲温度から始まるのではなくより高い温度から始まってもよく、このより高い温度は、予熱段階によるものであってもよく、又は、以前に加熱された隣り合う加熱要素から加熱要素が温まることによるものであってもよい。
【0133】
上記で論じたように、エアロゾル生成材料は、或る範囲の温度(例えば、230℃~290℃)でエアロゾルを生成することが可能とすることができる。本明細書において使用される場合の動作温度という用語は、エアロゾル生成材料がエアロゾルを生成することができる温度(又は複数の温度)を意味するものと理解されるべきである。
図4bにおいて、T
opは、単一値として示されており、目標動作温度、すなわち、加熱要素24が制御されて到達する特定温度と呼ばれることもある。この温度は、ユーザ又は製造によって予め設定されることができ、必要に応じて一定値であっても変数値であってもよい。
【0134】
これに関して、選択された加熱要素24は、(以下でより詳細に記載される)当面の実施態様に応じて、単一の加熱要素であっても複数の加熱要素24であってもよい。制御回路23は、加熱要素24に関して特定の目標動作温度Topに到達するように特定レベルの動力を供給することができ、一般的に供給される動力が大きいほど到達する温度はより高くなることが理解されるべきである。述べたように、動作温度は、エアロゾル生成材料44からエアロゾルを生成するために加熱要素24が動作するように設定される予め設定された温度である。
【0135】
ステップS3において、制御回路23は、第1の予め定められた時間が経過したかどうかを判定するように構成されている。予め定められた時間が経過していない(すなわち、ステップS3において、いいえである)場合、方法は、第1の予め定められた時間が経過するまで確認し続ける。
【0136】
ステップS3において第1の予め定められた時間が経過した(すなわち、ステップS3において、はいである)場合、ステップS4において、制御回路23は、インジケータユニット31に、デバイス2が使用準備完了状態にあること、すなわち、ユーザがデバイス2で吸入することができることを示すインジケータ信号をユーザへ出力させるように構成されている。
図4bにおいて、この時間は、時間t
pによって示されており、この時間はここでは、ユーザがパフを開始することができる時間を示すのに用いられている。この時間において、ユーザがエアロゾルを受けるためにデバイスでパフを開始することができることを示すインジケータ信号がユーザに出力される。
【0137】
図1において、インジケータユニット31はLEDであるか、又は、ユーザへの表示として働く光信号を出力するように構成された他の発光構成部材である。しかしながら、他の実施態様において、インジケータユニット31は、ユーザに信号を供給することが可能な任意の機構を含むことができ、すなわち、インジケータユニット31は、光信号を送達する光学要素、音声信号を送達する音源、及び/又は触覚信号を送達する振動器であってもよい。幾つかの実施態様において、インジケータユニット31は、タッチセンシティブパネル29と組み合わせられてもよく、又は他の場合(例えば、タッチセンシティブパネルがディスプレイ要素を含む場合)ではこのタッチセンシティブパネルによって提供されてもよい。
【0138】
インジケータユニット31によって出力された信号は、デバイス2が使用準備完了状態であるという、ユーザへの示唆として働くことが理解されるべきである。幾つかの実施態様において、ユーザは、インジケータ信号が出力される前にデバイス2で吸入してもよいが、エアロゾル生成部分に与えられるエネルギーがその時点で、十分なエアロゾルを生成するのに十分でない可能性があるため、そのような例では、ユーザが満足のいく体験を受けるとは考えられない。しかしながら、他の実施態様において、デバイス2は、流量制限器又はダイバータ(図示せず)を備えてもよく、流量制限器又はダイバータは、第1の予め定められた時間が経過するまでユーザがデバイス2で吸入することができないように、出口28を遮断するか又は受容部25の周りの流れをそらすように働く。幾つかの実施態様において、流量制限器又はダイバータは、デバイス2が使用準備完了状態であることを示す信号をユーザに供給してもよく、すなわち、信号は、風味、温度又は流れ抵抗の変化の形で経口により供給される吸入依存信号であってもよい。そのような例において、信号は、第1の予め定められた時間中、デバイス2で吸入しない限り、ユーザにとって感知できないものとすることができる。
【0139】
第1の予め定められた時間は、ユーザによる加熱開始とユーザが吸入し始める時間との間の時間遅延として考えられることができるため、ここでは遅延時間(すなわちtdelay)とも呼ばれることがある。
【0140】
図4bに見られるように、加熱要素24の動作温度は、t
pよりも早い時間t1において到達されることができる。しかしながら、予め定められた時間t
delayは、エアロゾル生成材料が好適な温度にもたらされるように設定され、したがって、エアロゾル生成部分の(平均)温度は加熱要素24の温度と一致しなくてもよい(例えば、エアロゾル生成部分の温度を示す、
図5を後で参照のこと)。幾つかの態様において、t1はt
pと同じであってもよい。
【0141】
ステップS4の後、幾つかの実施態様において、方法はステップS5に進むことができ、このステップにおいて、制御回路23は、第2の予め定められた時間が経過したかどうかを判定する。第2の予め定められた時間は、予め設定されてもよく、典型的な吸入の時間長と概ね一致してもよい。典型的には、第2の予め定められた時間期間は、およそ2~5秒であり、多くの実施態様において、10秒よりも長くない。
図4bにおいて、時間t
eは、典型的なパフの終了を示しており、例えば、時間t
p後10秒以下であるように設定されることができる。
【0142】
第2の予め定められた時間がまだ経過していない(すなわち、ステップS5において、いいえである)と制御回路23が判定する場合、方法は、第2の予め定められた時間が経過するまで確認し続ける。この時間中、制御回路23は、エアロゾル生成材料を加熱し続けることができる。他方で、第2の予め定められた時間が経過したと制御回路23が判定する場合、方法は、ステップS6に進み、このステップにおいて、加熱要素への動力供給が停止される。
図4bに示されているように、加熱要素温度は、t
e後、周囲温度又は予熱温度まで次第に下がることができる。その後、制御回路23は、再びエアロゾルの吸入をユーザが意図していることを示すシグナリングについて監視し続けることができ、方法は、ステップS1に戻る。
【0143】
他の実施態様において、
図4aに示されているように、ステップS4において、方法は、代わりに又は同時にステップS7に進むことができる。ステップS7において、制御回路23は、ユーザがデバイス2で吸入していることを示す、吸入センサ30から受信される信号について監視する。制御回路23が信号を受信する(すなわち、ステップS8において、はいである)と、制御回路はステップS8に進み、このステップにおいて、制御回路23は、パフがないこと(つまり、シグナリングが吸入センサ30からもはや出力されない場合)について監視する。パフが停止した(又はユーザが吸入をやめた)と制御回路23が判定すると、方法は、上述したようにステップS6に進む。これに関して、
図4bにおけるt
eは、予め定められた時間ではなくユーザ依存時間を表し、ユーザのパフの終了と相関する。幾つかの実施態様において、保護閾値が用いられてもよく、この保護閾値は、およそ10秒ほどの閾値とすることができる。第1の予め定められた時間が経過したと制御回路23が判定する瞬間から、制御回路23は、保護閾値が経過したかどうかを確認するように構成されており、経過していれば、方法はステップS6に進む。これは、ステップS7においてパフが検出されない場合、又は、ステップS8においてパフが過度に長い間続いている場合、エアロゾル生成材料が過熱しないように用いられることができる。
【0144】
本開示の原理に従って、ユーザは、ステップS4及び時間tpにおいて表示を受けると、デバイス2で吸入し始めることができる。第2の予め定められた時間期間及び/又はパフ検出は、ユーザがデバイス2で吸入している際は加熱が行われ続けるように、また、その吸入の終了に概ね対応する時間において加熱が停止するように設定される。すなわち、加熱は、吸入前及び吸入中に開始されるが、吸入が止まった時間に又はその時間頃に停止することが好ましい。これにより、エアロゾル生成材料44及び動力源22の使用が最も効率的となる。
【0145】
幾つかの実施態様において、制御回路は、第1の予め定められた期間中及び第2の予め定められた期間中に加熱要素に同じレベルの動力を送達するように構成されている。換言すると、これらの実施態様において、エアロゾルの吸引をユーザが望んでいることを示すシグナリングを制御回路が受信する瞬間から特定レベルの動力が供給され、このレベルの動力が連続的に供給される。他の実施態様において、加熱要素に供給される動力のレベルは、第1の予め定められた期間と第2の予め定められた期間との間で様々であってもよい。さらに他の実施態様において、加熱要素に供給される動力のレベルは、第1の予め定められた期間中及び/又は第2の予め定められた期間中で様々であってもよい。しかしながら、一般的に言えば、第1の予め定められた期間及び第2の予め定められた期間のいずれにおいても、供給される動力のレベルは、エアロゾルをエアロゾル生成材料から生成させる動作温度に加熱要素を到達せしめるのに十分である。
【0146】
上記の説明から理解されるべきであるように、幾つかの実施態様において、加熱要素の動作温度は、第1の予め定められた時間期間の長さに基づいて設定されてもよい。例えば、第1の予め定められた期間が比較的長くなるように設定される場合、同等の量のエアロゾルをもたらすために、動作温度はより低く設定されることができる(代替的に、好適な量のエアロゾルをもたらすために、動作温度はより低く設定されることができ、第1の予め定められた期間はより長く設定されることができる)。エアロゾル化される材料に応じて、考慮すべき最低温度があってもよく、この最低温度よりも下ではエアロゾルが全く生成されない(又は著しい量で生成されない)。例えば、最低温度はおよそ150℃であってもよい。
【0147】
より一般的に、まず最初に、加熱要素の動作温度Topが、以下の等式、すなわち、
Top=A-(B×tdelay)
に従って設定されることができ、式中、A及びBは定数であり、tdelayは第1の予め定められた時間である。A及びBは、経験的に決定されることができる。Aは、最高温度であって、パフ遅延がゼロ秒であり、生成されるエアロゾルに調子外れの風味をもたらすことなく、所与のエアロゾル生成材料が加熱されることができる、最高温度を表すことができる。例えば、この最高温度は、およそ290℃であってもよいが、当該エアロゾル生成材料に応じて様々とすることができることが理解されるべきである。Bは、スケール因子とすることができ、この例において、およそ20とすることができる。したがって、この例では、3秒のtdelayについて、Topは、230℃に等しい。その反面、2秒のtdelayについて、Topは、250℃に等しい。
【0148】
上記の所与の式はもっぱら、加熱要素動作温度の目安を与え得ることが理解されるべきである。他の実施態様において、関係は、一次方程式によって最もよくモデリングされない可能性があり、実験的に得られたデータをマッピングするのに二次方程式又は高次方程式がよりよく適し得る。
【0149】
図5は、本開示の原理を示す例示的なグラフである。グラフは、純粋に理論的であり、得られた物理的データを表しているのではなく、説明目的のために提供されている。グラフは、時間tの関数としてエアロゾル生成材料の温度Tを示す。2つの曲線A及びBが示されている。2つの曲線は、所与の吸入のためにエアロゾル生成材料の同じ部分から略同じ量のエアロゾルを出力するものと考えられる加熱プロファイルを表す。曲線Aは、ゼロ秒遅延(つまり、第1の予め定められた時間期間がゼロである)の場合に得られる曲線である。曲線Bは、非ゼロ遅延t
delayが初期加熱点から行われる場合に得られる曲線である。グラフは、2つの時点、すなわち、パフの開始(又はインジケータ信号の開始)を表すt
pと、パフの終了又は第2の予め定められた時間の終了を表すt
eを示す。
【0150】
曲線A及びBは双方とも、周囲温度Tambで始まっているが、上述したように、応答性を高めるのを助けるために、周囲よりも高い温度にエアロゾル生成材料を全般的に温めるがエアロゾルを生成することがない予熱段階があってもよく、そのため、エアロゾルが生成される動作温度への加熱が比較的迅速に行われることができる(したがって、より短いtdelayが可能であることを意味する)。曲線Aは、パフの開始に対応する時点tpから加熱され、T2の動作温度まで加熱されている。曲線Bは、より長い時間期間にわたって徐々に加熱され、T1のより低い動作温度に加熱されている。まず最初に、曲線の下の面積は、温度プロファイルがエアロゾル生成部分に伝達されたエネルギーの測定基準であるため、生成されたエアロゾルの量を表すものと考えられることができる。しかしながら、このことは、エネルギー伝達効率が温度に左右され得るため、完全に正確ではない可能性がある。グラフには示されていないが、上述したように、最低温度であって、この最低温度よりも下ではエアロゾルが生成されない最低温度があると考えられ得ることも理解されるべきである。曲線A及びBの下の面積は、概ね同様とすることができ、したがって、加熱時間及びそれに応じて動作温度を調整することによって同様の質量のエアロゾルが得られることができることを示唆している。
【0151】
一例において、(エアロゾル生成材料の部分として)非晶質固体を或る範囲の種々の異なる温度で3秒のtdelay及び0秒のtdelayで加熱した。非晶質固体は、全て乾燥重量基準で測定された、約20wt%のアルギン酸塩ゲル化剤、約48wt%のバージニアタバコ抽出物及び約32wt%のグリセロールを含む。非晶質固体の複数の部分は同一とした。
【0152】
7人の集団に、生成されたエアロゾルを吸入するとともに風味強度及び可視エアロゾルをスコアリングするように求め、より低い数字は比較的低い性能を示す。以下の表は、平均結果を示す。
【0153】
【表1】
上記の表は、3秒遅延を有するエアロゾル生成材料についての風味強度が、比較的低い温度で、いっそう高かったこと、及び、比較的高い温度で、風味強度が次第に低くなったことを示す。これは、加熱時間が長いほど、材料のより多くを気化させ、したがって、比較的高い温度(270℃~290℃)では、ユーザがエアロゾルを十分に吸入することができるようになる前に、形成されたエアロゾルのより多くの割合が濃縮するためであると考えられる。可視エアロゾルについて、3秒遅延を有するエアロゾル生成材料は、230℃でより良好に、また、250℃で同等に機能した。
【0154】
したがって、これに基づいて、幾つかの実施態様、特に、エアロゾル生成材料が非晶質固体(上述した非晶質固体等)である実施態様において、第1の予め定められた時間が2~8秒の間である場合、加熱要素は、200℃~270℃の間の温度に加熱される。これらの実施態様において、生成されたエアロゾルの風味は、加熱時間に遅延(増加)が加わるという代償があるものの、より高い温度で加熱することに比して高められることができ、及び/又は特異となることができる。
【0155】
他の実施態様、特に、エアロゾル生成材料が非晶質固体(上述した非晶質固体等)である実施態様において、第1の予め定められた時間が2~5秒の間である場合、加熱要素は、220℃~250℃の間の温度に加熱される。このことは好都合には、可視エアロゾルを増加させ、向上した風味プロファイルをもたらし得る。
【0156】
他の実施態様、特に、エアロゾル生成材料が非晶質固体(上述した非晶質固体等)である実施態様において、第1の予め定められた時間が0~2秒の間(又はより詳細には0秒よりも長く2秒以下)である場合、加熱要素は、270℃よりも高い温度に加熱される。これらの実施態様において、加熱時間遅延は、デバイスがより迅速に使用されることができるが依然として好適な量のエアロゾルを生成することができるように低減される。
【0157】
より一般的には、第1の予め定められた時間が0秒よりも長く8秒未満である場合、加熱要素は、200℃~350℃の間の温度に加熱される。これは、ユーザへの送達に好適なエアロゾルをもたらすことが見い出されている。幾つかの実施態様、特に、エアロゾル生成材料が非晶質固体(上述した非晶質固体等)である実施態様において、加熱要素は、350℃を超えない、又は320℃を超えない、又は300℃を超えない温度に加熱される。そのようなエアロゾル生成材料を350℃まで又は350℃を超えて加熱することは、エアロゾル生成材料の焦げにより、エアロゾル中に著しく調子外れの風味及び不快な風味が生じることになる可能性が高い。
【0158】
上記の開示は、1つの加熱要素とのエアロゾル生成材料の1つの部分の相互作用を記載することに焦点を当ててきた。しかしながら、
図1に示されているように、デバイス2は、種々の異なる部分を加熱するようにそれぞれ配置された複数の加熱要素を備えることができる。以下、例示的な加熱要素起動モードを記載する。
【0159】
幾つかの実施態様において、タッチセンシティブパネル29からのシグナリングを検出したことに応答して、制御回路23は、個別の加熱要素24のそれぞれに順次に動力供給するように構成されている。
【0160】
より具体的には、制御回路23は、タッチセンシティブパネル29から受信したシグナリングの一連の検出に応答して、個別の加熱要素23のそれぞれに順次に動力供給するように構成されている。例えば、制御回路23は、(例えば、デバイス2が最初にオンにされたときから)シグナリングが最初に検出されると、複数の加熱要素24のうちの第1の加熱要素24に動力供給するように構成されることができる。吸入が止まると、又は、シグナリングが検出されてから予め定められた時間が経過したことに応答して、制御回路23は、第1の加熱要素24が起動されている(したがって、エアロゾル生成材料44の対応する個別部分が加熱されている)ことを記録する。制御回路23は、タッチセンシティブパネル29から後続のシグナリングを受信したことに応答して、第2の加熱要素24が起動されるべきであると判定する。したがって、タッチセンシティブパネル29からのシグナリングが制御回路23によって受信されると、制御回路23は、第2の加熱要素24を起動させる。このプロセスは、全ての加熱要素24が順次に起動されるように、残りの加熱要素24について繰り返される。
【0161】
実質的に、この動作は、各吸入について、エアロゾル生成材料44の個々の部分のうちの異なる部分が加熱され、そこからエアロゾルが生成されることを意味する。換言すると、エアロゾル生成材料の個々の部分が1つだけ、ユーザ吸入によって加熱される。
【0162】
他の実施態様において、制御回路23は、タッチセンシティブパネル29からの後続のシグナリングに応答して第2の加熱要素24が起動されるべきであると判定する前に、第1の加熱要素24を複数回(例えば2回)起動させるように構成されてもよく、又は、複数の加熱要素24のそれぞれを一度起動させ、全ての加熱要素24が一度起動されると、後続のシグナリングの検出により、それら加熱要素をもう一度順次に起動せしめる。
【0163】
そのような順次起動は、「順次起動モード」と呼ばれてもよく、これは主として、吸入ごとの一貫したエアロゾル(例えば、生成された総エアロゾル又は送達された総成分で測定されることができる)を送達することを意図されている。したがって、このモードは、エアロゾル生成物品4のエアロゾル生成材料44の各部分が略同一である場合、つまり、部分44a~44fが同じ材料から形成されている場合、最も効果的であり得る。
【0164】
幾つかの他の実施態様において、タッチセンシティブパネル29からのシグナリングを検出したことに応答して、制御回路23は、加熱要素24のうちの1つ又は複数に同時に動力供給するように構成されている。
【0165】
そのような実施態様において、制御回路23は、予め定められた構成に応じて、加熱要素24のうちの選択された加熱要素に動力供給するように構成されてもよい。予め定められた構成は、ユーザによって選択又は決定された構成であってもよい。例えば、タッチセンシティブパネル29は、タッチセンシティブパネル29からのシグナリングが制御回路23によって受信されると、加熱要素24のうちのどれを起動させるべきかをユーザが個別に選択することを可能にする領域を含んでもよい。幾つかの実施態様において、ユーザはまた、シグナリングを受信したことに応答して各加熱要素24について該加熱要素24に供給されるべき動力レベルを設定することができてもよい。
【0166】
図6は、そのような実施態様に従ったタッチセンシティブパネル29の上から見た図である。
図6は、前述したような外側ハウジング21及びタッチセンシティブパネル29を概略的に示す。タッチセンシティブパネル29は、6個の加熱要素24のそれぞれに対応する6個の領域29a~29fと、前述したようなエアロゾルの吸入開始又は生成開始をユーザが望んでいることを示すための領域に対応する領域29gとを含む。6個の領域29a~29fはそれぞれ、ユーザがタッチして6個の対応する加熱要素24のそれぞれに対する動力送達を制御することができるタッチセンシティブ領域に対応する。記載の実施態様において、各加熱要素24は、複数の状態、例えば、動力が加熱要素24に全く供給されないオフ状態と、第1のレベルの動力が加熱要素24に供給される低動力状態と、第2のレベルの動力が加熱要素24に供給される高動力状態であって、第2のレベルの動力が第1のレベルの動力よりも高い、高動力状態とを有することができる。しかしながら、他の実施態様において、より少ないか又はより多い状態が加熱要素24に利用可能であってもよい。例えば、各加熱要素24は、動力が加熱要素24に全く供給されないオフ状態と、動力が加熱要素24に供給されるオン状態とを有してもよい。
【0167】
したがって、ユーザは、エアロゾルの生成に先立ち、タッチセンシティブパネル29と対話することによって、どの加熱要素24(その後、エアロゾル生成材料44のどの部分)が加熱されるべきか(任意選択的に、どの程度までそれらが加熱されるべきか)を設定することができる。例えば、ユーザは、領域29a~29fを繰り返しタップして種々の異なる状態(例えば、オフ、低動力、高動力、オフ等)を繰り返すことができる。代替的に、ユーザは、領域29a~29fを押圧又は把持して種々の異なる状態を繰り返してもよく、その場合、押圧の持続時間が状態を決定する。
【0168】
タッチセンシティブパネル29には、加熱要素24が現在どの状態にあるかを示すために各領域29a~29fのそれぞれについて1つ又は複数のインジケータが設けられてもよい。例えば、タッチセンシティブパネルは、1つ又は複数のLED又は同様の照明要素を備えてもよく、LEDの強度が加熱要素24の現在の状態を示す。代替的に、カラーLED又は同様の照明要素が設けられてもよく、色が現在の状態を示す。代替的に、タッチセンシティブパネル29は、加熱要素24の現在の状態を表示するディスプレイ要素(例えば、透明なタッチセンシティブパネル29の下にあってもよいか、又はタッチセンシティブパネル29の領域29a~29fに隣り合って設けられてもよい)を備えてもよい。
【0169】
ユーザが、タッチセンシティブパネル29(より詳細にはタッチセンシティブパネル29の領域29g)からのシグナリングを検出したことに応答して、加熱要素24について構成を設定した場合、制御回路23は、予め設定された構成に従って、選択された加熱要素24に動力供給するように構成されている。
【0170】
したがって、そのような同時の加熱要素24の起動は、「同時起動モード」と呼ばれてもよく、これは主として、ユーザがセッションごと又はパフごとでさえも自身の体験をカスタマイズすることを可能にするねらいで、所与の物品4からカスタマイズ可能なエアロゾルを送達することを意図されている。したがって、このモードは、エアロゾル生成物品4のエアロゾル生成材料44の複数の部分が互いと異なる場合に最も効果的であり得る。例えば、部分44a及び44bが、1つの材料から形成され、部分44c及び44dが、異なる材料から形成される等である。したがって、この動作モードを用いて、ユーザは、任意の所与の瞬間に、どの部分をエアロゾル化するか、したがって、エアロゾルのどの組み合わせが供給されるべきかを選択することができる。
【0171】
同時起動モード及び順次起動モードの双方において、制御回路23は、例えば、加熱要素24のそれぞれが、予め定められた回数、順次に起動されると、或いは、所与の加熱要素24が、予め定められた回数、及び/又は所与の累積起動時間の間、及び/又は所与の累積起動動力で起動されると、物品4の使用終了を示すアラート信号を生成するように構成されてもよい。
図1において、デバイス2は、(例えば、予め定められた時間が経過すると出力される信号に、異なる信号(アラート信号)を出力することによって)物品4の寿命終了を示すように機能することもできるインジケータユニット31を備える。デバイス2は、アラート信号が出力されている場合にデバイス2の後続の起動を妨げてもよい。ユーザが、物品4を交換する、及び/又は、ボタン(図示せず)等の手動手段を介してアラート信号をオフに切り替える場合、アラート信号はオフに切り替えられることができ、制御回路23はリセットされることができる。したがって、インジケータユニット31は、寿命終了インジケータ31と呼ばれることもある。他の実施態様において、別個のインジケータユニットがそれぞれの信号を出力してもよい。
【0172】
より詳細には、順次起動モードが用いられる実施態様において、制御回路23は、タッチセンシティブパネル29及び吸入センサ30のうちのいずれか一方又は双方からのシグナリングが使用時に受信される回数をカウントするように構成されてもよく、カウントが、予め定められた数に達すると、物品4がその寿命の終わりに達すると判定される。例えば、エアロゾル生成材料44の6個の個々の部分を含む物品4について、予め定められた数は、まさに当面の実施態様に応じて、6回、12回、18回等であってもよい。
【0173】
同時起動モードが用いられる実施態様において、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の個々の部分のうちの1つ又はそれぞれが加熱される回数をカウントするように構成されてもよい。例えば、制御回路23は、ニコチン含有部分が何回加熱されているかをカウントすることができ、予め定められた数に達すると、物品4の寿命終了を判定することができる。代替的に、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の各個々の部分が加熱されると、その部分について別個にカウントするように構成されてもよい。各部分は、同じ又は異なる予め定められた数であると考えられてもよく、エアロゾル生成材料の複数の部分のそれぞれについてのカウントのうちのいずれか1つが予め定められた数に達すると、制御回路23は、物品4の寿命終了を判定する。
【0174】
実施態様のいずれにおいても、制御回路23は、エアロゾル生成材料のその部分が加熱された時間長、及び/又は、エアロゾル生成材料のその部分が加熱された温度を考慮することもできる。これに関して、個々の起動をカウントするのではなく、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の複数の部分のそれぞれが受けた加熱条件を示す累積パラメータを計算するように構成されてもよい。パラメータは、例えば累積時間であってもよく、それにより、材料が用いられる温度によって、累積時間に加えられる時間長が調整される。例えば、3秒間200℃で加熱された部分は、3秒、累積時間に寄与し得るが、3秒間250℃で加熱された部分は、4.5秒、累積時間に寄与し得る。
【0175】
物品4の寿命終了を判定する上記技法は、物品4の寿命終了を判定する方法の網羅的なリストと理解されるべきではなく、実際、本開示の原理に従って任意の他の好適な方法が用いられることができる。
【0176】
図7は、本開示の別の実施形態に従ったエアロゾル供給システム200の概略図の断面図である。エアロゾル供給システム200は、
図1に関して記載された構成部材と概ね同様である構成部材を備えるが、参照符号が200だけ増えている。効率のため、同様の参照符号を有する構成部材は、特に明記しない限り、
図1及び
図2A~
図2Cにおけるそれらの対応するものと概ね同じであるものと理解されるべきである。
【0177】
エアロゾル供給デバイス202は、外側ハウジング221と、動力源222と、制御回路223と、誘導ワークコイル224aと、受容部225と、吸入又はマウスピース端部226と、空気入口227と、空気出口228と、タッチセンシティブパネル229と、吸入センサ230と、使用終了インジケータ231とを備える。
【0178】
エアロゾル生成物品204は、
図8A~
図8Cにおいてより詳細に示されているように、キャリア構成要素242と、エアロゾル生成材料244と、サセプタ要素244bとを備える。
図8Aは、物品4を上から見た図であり、
図8Bは、物品4の長手方向(長さ)軸線に沿った端面図であり、
図8Cは、物品4の幅軸線に沿った側面図である。
【0179】
図7及び
図8は、誘導を用いてエアロゾル生成材料244を加熱して吸入用のエアロゾルを生成するエアロゾル供給システム200を示す。
【0180】
記載の実施態様において、エアロゾル生成構成要素224は、2つの部品、すなわち、エアロゾル供給デバイス202内に配置される誘導ワークコイル224aと、エアロゾル生成物品204内に配置されるサセプタ224bとから形成される。したがって、この記載の実施態様において、各エアロゾル生成構成要素224は、エアロゾル生成物品204とエアロゾル供給デバイス202との間に配される要素を含む。
【0181】
誘導加熱は、サセプタと呼ばれる導電性物体が、該物体に変動磁場が侵入することによって加熱されるプロセスである。プロセスは、ファラデーの誘導法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒータが、電磁石と、該電磁石に交流電流のような変動電流を通すデバイスとを備えてもよい。電磁石及び加熱されるべき物体が、電磁石によって生成される結果として得られる変動磁場が物体に侵入するように好適に相対配置されると、1つ又は複数の渦電流が物体の内部に生成される。物体は、電流の流れに抵抗を有する。したがって、そのような渦電流が物体内に生成されると、物体の電気抵抗に対するその流れにより物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱又は抵抗加熱と呼ばれる。
【0182】
サセプタは、交流磁場等の変動磁場が侵入することによって加熱可能である材料である。加熱材料は、該加熱材料に変動磁場が侵入することにより該加熱材料の誘導加熱が生じるように、導電性材料であってもよい。加熱材料は、該加熱材料に変動磁場が侵入することにより該加熱材料の磁気ヒステリシス加熱が生じるように、磁性材料であってもよい。加熱材料は、該加熱材料が双方の加熱機構によって加熱可能であるように、導電性及び磁性の双方であってもよい。
【0183】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料から作製された物体が、該物体に変動磁場が侵入することによって加熱されるプロセスである。磁性材料は、多くの原子スケールの磁石又は磁気双極子を含むものと考えられることができる。磁場がそのような材料に侵入すると、磁気双極子が磁場と整列する。したがって、例えば電磁石によって生成されるような、交流磁場等の変動磁場が、磁性材料に侵入すると、磁気双極子の配向が、印加された変動磁場とともに変化する。そのような磁気双極子の再配向により熱が磁性材料中に発生する。
【0184】
物体が導電性及び磁性の双方である場合、物体に変動磁場が侵入することにより物体中にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の双方が生じさせることができる。さらに、磁性材料の使用により磁場を強めることができ、これによりジュール加熱を高めることができる。
【0185】
記載の実施態様において、サセプタ224bは、アルミ箔から形成されるが、他の実施態様において他の金属及び/又は導電性材料が使用されてもよいことが理解されるべきである。
図8に見られるように、キャリア構成要素242は、キャリア構成要素242の表面に配置されたエアロゾル生成材料244の個々の部分にサイズ及び位置が対応する複数のサセプタ224bを備える。つまり、サセプタ224bは、エアロゾル生成材料244の個々の部分と同様の幅及び長さを有する。
【0186】
サセプタは、キャリア構成要素242に埋め込まれて示されている。しかしながら、他の実施態様において、サセプタ224bは、キャリア構成要素242の表面に配置されてもよい。
【0187】
エアロゾル供給デバイス202は、
図7に概略的に示された複数の誘導ワークコイル224aを備える。ワークコイル224aは、受容部225に隣り合って示されており、所与のコイルが周りに巻かれる回転軸線が受容部225へ延びるとともに物品204のキャリア構成要素242の平面に対して概ね垂直であるように配置された概ね平坦なコイルである。正確な巻線は
図7に示されていないが、任意の好適な誘導コイルが使用されることができることが理解されるべきである。
【0188】
制御回路223は、誘導コイル224aの任意の1つ又は複数に通される交流電流を発生させる機構を含む。交流電流は、上述したように交流磁場を発生させ、この交流磁場が次いで、対応するサセプタ(複数可)224bを熱くさせる。サセプタ(複数可)224bによって発生される熱は、それに応じてエアロゾル生成材料244の部分に移動される。
【0189】
図1及び
図2A~
図2Cに関連して上述したように、制御回路223は、タッチセンシティブパネル229及び/又は吸入センサ230からのシグナリングを受信したことに応答してワークコイル224aに電流を供給するように構成されている。前述したようにどの加熱要素24が制御回路23によって加熱されるかを選択する技法のうちのいずれかが、ユーザ吸入用のエアロゾルを生成するために、制御回路223によってタッチセンシティブパネル229及び/又は吸入センサ230からのシグナリングを受信したことに応答してどのワークコイル224aが励起されるか(したがって、エアロゾル生成材料244のどの部分が後に加熱されるか)を選択することに類似に適用されてもよい。
【0190】
上記では、ワークコイル224a及びサセプタ224bが物品204とデバイス202との間に配される誘導加熱エアロゾル供給システムを記載してきたが、ワークコイル224a及びサセプタ224bがデバイス202内だけに配置される誘導加熱エアロゾル供給システムが提供されてもよい。例えば、
図7を参照すると、サセプタ224bは、誘導ワークコイル224aよりも上に設けられ、(
図1に示されたエアロゾル供給システム1と類似の方法で)サセプタ224bはキャリア構成要素242の下面と接触するように配置されてもよい。
【0191】
したがって、
図7は、誘導加熱がエアロゾル供給デバイス202において用いられてユーザ吸入用のエアロゾルを生成することができる、より具体的な実施態様を記載しており、これには、本開示において記載した技法が適用されることができる。
【0192】
上記では、エアロゾル生成材料の個々の部分を励起するために或る配列のエアロゾル生成構成要素24(例えば、ヒータ要素)が設けられているシステムを記載してきたが、他の実施態様において、物品4及び/又はエアロゾル生成構成要素24は、互いに対して移動するように構成されてもよい。つまり、物品4のキャリア構成要素42に設けられたエアロゾル生成材料44の個々の部分よりも少ないエアロゾル生成構成要素24があってもよく、そのため、エアロゾル生成材料44の個々の部分のそれぞれを個別に励起することができるように物品4とエアロゾル生成構成要素24との相対移動が必要とされる。例えば、移動可能な加熱要素24が、該加熱要素24が受容部25に対して移動することができるように受容部25内に設けられてもよい。このように、移動可能な加熱要素24は、該加熱要素24がエアロゾル生成材料44の個々の部分の各部分と位置合わせされることができるように(例えば、キャリア構成要素42の幅方向及び長さ方向に)平行移動されることができる。この手法は、同様のユーザ体験を依然として提供しつつ、必要とされるエアロゾル生成構成要素42の数を減らすことができる。
【0193】
上記では、エアロゾル生成材料44の個々の空間的に異なる部分がキャリア構成要素42上に配置されている実施態様を記載してきたが、他の実施態様において、エアロゾル生成材料は、個々の空間的に異なる部分で設けられなくてもよく、代わりにエアロゾル生成材料44の連続シートとして設けられてもよいことが理解されるべきである。これらの実施態様において、エアロゾル生成材料44のシートの或る特定の領域が、上述したのと概ね同じ方法でエアロゾルを生成するように選択的に加熱されてもよい。しかしながら、部分が空間的に異なるかどうかにかかわらず、本開示は、エアロゾル生成材料44の複数の部分を加熱(又は他の場合ではエアロゾル化)することを記載している。特に、(エアロゾル生成材料の1つの部分に対応する)領域が、加熱要素24の寸法に基づいてエアロゾル生成材料の連続シート(又はより具体的には温度が上昇することを意図された加熱要素24の表面)上に画定されてもよい。これに関して、エアロゾル生成材料シートに突き出ている場合の、加熱要素24の対応する区域は、エアロゾル生成材料の1つの領域又は1つの部分を画定するものと考えられてもよい。本開示に従って、エアロゾル生成材料の各領域又は部分は、20mgを超えない質量を有することができるが、連続シート全体は20mgを超える質量を有してもよい。上記では、デバイス2が該デバイス2に取り付けられたタッチセンシティブパネル29を用いて構成又は作動されることができる実施態様を記載してきたが、デバイス2はその代わりに、リモートで構成又は制御されてもよい。例えば、制御回路23には、該制御回路23がスマートフォン等のリモートデバイスと通信することを可能にする対応する通信回路(例えばブルートゥース)が設けられてもよい。したがって、タッチセンシティブパネル29は実際、スマートフォンで稼働するApp等を用いて実施されてもよい。その場合、スマートフォンは、ユーザ入力又は構成を制御回路23に送ることができ、制御回路23は、受けた入力又は構成に基づいて動作するように構成されることができる。
【0194】
上記では、ユーザによって後に吸入されるエアロゾルがエアロゾル生成材料44を励起(例えば加熱)することによって生成される実施態様を記載してきたが、幾つかの実施態様において、生成されたエアロゾルは、エアロゾル変更構成要素に通されるか又はその上に通されてエアロゾルの1つ又は複数の特性を変更してからユーザによって吸入されてもよいことが理解されるべきである。例えば、エアロゾル供給デバイス2、202は、空気透過性インサート(図示せず)を備えてもよく、このインサートは、エアロゾル生成材料44の下流の空気流路に挿入される(例えば、インサートは出口28内に配置されてもよい)。インサートは、エアゾルが、ユーザの口に入る前に該インサートを通る際、エアロゾルの香料、温度、粒径、ニコチン濃度等のうちのいずれか1つ又は複数を変える材料を含むことができる。例えば、インサートは、タバコ又は処理されたタバコを含んでもよい。そのようなシステムは、ハイブリッドシステムと呼ばれることがある。インサートは、上述したエアロゾル生成材料を包含することができる任意の好適なエアロゾル改質材料を含むことができる。
【0195】
加熱要素24が、エアロゾルがエアロゾル生成材料の1つの部分から生成される動作温度でエアロゾル生成材料(又はその部分)に熱を供給するように構成されていることを上に記載してきたが、幾つかの実施態様において、加熱要素24は、エアロゾル生成材料の複数の部分を(動作温度よりも低い)予熱温度まで予熱するように構成されている。部分が予熱温度で加熱される場合、予熱温度では、より少ない量のエアロゾルが生成されるか又はエアロゾルは全く生成されない。特に、幾つかの実施態様において、制御回路は、第1の予め定められた期間が開始する前に(すなわち、上記のステップS1におけるようにエアロゾルの吸入をユーザが意図していることを示すシグナリングを受信する前に)動力供給するように構成されている。しかしながら、エアロゾル生成材料の温度を予熱温度から動作温度に上昇させるには、より低い量のエネルギーが必要とされ、したがって、総エネルギー消費の増加はあるが、システムの応答性が高まる。これは、動作温度に達するために供給されるべき比較的大量のエネルギーが必要とされる、例えば400μmを超える厚さを有する、エアロゾル生成材料の比較的厚い部分に、特に好適であるものとすることができる。しかしながら、そのような実施態様において、(例えば、動力源22からの)エネルギー消費は、比較的高いことがある。
【0196】
上記では、エアロゾル供給デバイス2が使用終了インジケータ31を備える実施態様を記載してきたが、使用終了インジケータ31は、エアロゾル供給デバイス2から遠隔の別のデバイスによって提供されてもよいことが理解されるべきである。例えば、幾つかの実施態様において、エアロゾル供給デバイス2の制御回路23は、エアロゾル供給デバイス2と、例えばスマートフォン又はスマートウォッチ等のリモートデバイスとの間でデータ転送を可能にする通信機構を含んでもよい。これらの実施態様において、制御回路23が、物品4がその使用終了に達したと判定すると、制御回路23は、リモートデバイスに信号を送信するように構成され、リモートデバイスは、(例えば、スマートフォンのディスプレイを使用して)アラート信号を生成するように構成されている。アラート信号を生成する他のリモートデバイス及び他の機構が、上述したように使用されてもよい。
【0197】
幾つかの実施態様において、物品4は、可読バーコード又はRFIDタグ等のような識別子を備えてもよく、エアロゾル供給デバイス2は、対応するリーダを備える。物品がデバイス2の受容部25に挿入されると、デバイス2は、物品4における識別子を読み取るように構成されてもよい。制御回路23は、物品4の存在を認識する(したがって、加熱を許可する及び/又は寿命終了インジケータをリセットする)ように構成されるか、或いは、物品4に対するエアロゾル生成材料の複数の部分のタイプ及び/又は位置を特定するように構成されてもよい。これは、どの部分を制御回路23がエアロゾル化するかに、及び/又は、例えば、エアロゾル生成温度及び/又は加熱持続時間を調整することによる複数の部分がエアロゾル化される方法に、影響を及ぼし得る。物品4を認識する任意の好適な技法が用いられてもよい。
【0198】
さらに、エアロゾル生成材料の複数の部分がキャリア構成要素42に設けられる場合、これら部分は、幾つかの実施態様において、キャリア構成要素42の平面に対して略垂直な方向に、弱化領域、例えば、貫通穴、又は比較的薄いエアロゾル生成材料の区域を含んでもよい。これは、エアロゾル生成材料の最高温部がキャリア構成要素と直接接触する区域である場合に(換言すると、エアロゾル生成材料の、キャリア構成要素42と接触する表面に、主として熱が印加されるシナリオにおいて)当てはまり得る。したがって、貫通穴は、キャリア構成要素42とエアロゾル生成材料44との間にエアロゾルが蓄積する可能性を生じさせるのではなく、生成されたエアロゾルが逃げるとともに周囲/デバイス2を通る空気流に放出されるチャネルをもたらすことができる。そのようなエアロゾルの蓄積は、該エアロゾルの蓄積が、幾つかの実施態様において、キャリア構成要素42からのエアロゾル生成材料の隆起を生じさせ、したがって、エアロゾル生成材料への熱伝達の効率を下げる可能性があるため、システムの加熱効率が下がる可能がある。エアロゾル生成材料の各部分には、必要に応じて、1つ又は複数の弱化領域が設けられてもよい。
【0199】
このように、エアロゾル供給デバイスを使用してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法が記載されてきた。方法は、1つの加熱要素に動力供給してエアロゾル生成材料を動作温度(例えば、エアロゾルが生成される温度)に加熱し始めるステップを含む。第1の予め定められた時間後、方法は、ユーザがデバイスで吸入し始めることができることを示す信号をユーザに供給する。第2の予め定められた時間後、又は、ユーザが吸入をやめた後、方法は、加熱要素への動力供給を減らす。このようにして、ユーザは、デバイスでいつ吸入するか関してガイドされることができる。特定の送達及び/又はデバイスに適するようにタイミングが調整されることができる。エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル供給システムも記載される。
【0200】
上述した実施形態は、幾つかの点で、幾つかの特定の例のエアロゾル供給システムに焦点を当ててきたが、同じ原理が、他の技法を用いるエアロゾル供給システムに適用されることができることが理解されるであろう。つまり、エアロゾル供給システムの様々な態様が機能する具体的な様式は、本明細書において記載された例の基礎となる原理に直接関連しない。
【0201】
様々な問題に対処するため及び当該技術分野を発展させるために、本開示は、特許請求された発明(複数可)が実践されることができる様々な実施形態を例示として示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的なサンプルにすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。それらは、理解を助けるため及び特許請求される発明(複数可)を教示するためだけに提示される。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求項によって規定されるような本開示に対する制限、又は特許請求項の等価物に対する制限とみなされるべきではないこと、また、他の実施形態が利用されることができ、特許請求項の範囲から逸脱することがなく変更がなされることができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書に詳細に説明されるもの以外に、開示される要素、構成部材、特徴、部分、ステップ、手段等の様々な組み合わせを、好適に、備えてもよく、その組み合わせからなってもよく、又はその組み合わせから本質的になってもよく、したがって、従属請求項の特徴は、特許請求項に明示的に記載されるもの以外の組み合わせで、独立請求項の特徴と組み合わせられることができることが理解されるであろう。本開示は、現在は特許請求されないが、将来特許請求され得る他の発明を含み得る。