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特許7401681展開システムハンドル内の繊維スラック貯蔵器
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  • 特許-展開システムハンドル内の繊維スラック貯蔵器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】展開システムハンドル内の繊維スラック貯蔵器
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20231212BHJP
【FI】
A61F2/966
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022537450
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 US2019067107
(87)【国際公開番号】W WO2021126183
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エス.ビアード
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ダブリュ.ソケル
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-506902(JP,A)
【文献】実開平03-041883(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディカルデバイスにおけるシステムラインのためのスラック貯蔵システムであって、前記スラック貯蔵システムは、
直列に配置された複数のスラックポケット、及び、
第一の端部及び第二の端部を有するシステムライン、
を含み、
ここで、前記第一の端部と前記第二の端部との間で前記システムラインの一部は各スラックポケット内でスラックループを規定し、
前記複数のスラックポケットは、前記システムラインの第一の端部が引っ張られたときに、前記システムラインにおけるスラックが、各スラックループをスラックループの別のものともつれることなく、各スラックポケットから真っ直ぐにさせることにより分配されるときに、前記システムラインの第二の端部に張力が加えられないままになるように前記システムラインにおけるスラックを規定するように互いに複数のスラックループを分離している、スラック貯蔵システム。
【請求項2】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、前記システムラインを指形要素で前記スラックポケット内に押し込むことによって前記スラックループを形成することができるようなサイズ及び形状である、請求項1記載のスラック貯蔵システム
【請求項3】
前記スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さである、請求項1又は2記載のスラック貯蔵システム
【請求項4】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状である、請求項1~3のいずれか1項記載のスラック貯蔵システム
【請求項5】
前記複数のスラックポケットはそれぞれ互いに等間隔に配置されている、請求項1~4のいずれか1項記載のスラック貯蔵システム
【請求項6】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは共通の方向に延在している、請求項1~5のいずれか1項記載のスラック貯蔵システム
【請求項7】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、前記スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含む、請求項1~6のいずれか1項記載のスラック貯蔵システム
【請求項8】
前記リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含む、請求項7記載のスラック貯蔵システム
【請求項9】
メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを提供するための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、及び、
前記システムラインの複数の部分の少なくとも1つを、前記スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットの少なくとも1つに配置して、少なくとも1つのスラックループを形成すること、
を含み、
ここで、前記一連のスラックポケットの少なくとも1つは残りのスラックポケットから前記少なくとも1つのスラックループを分離しており、
前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵する、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのスラックループは、前記システムラインの1つ以上の部分を前記一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケットにおいて形成される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの追加のスラックポケット内に少なくとも1つの追加のスラックループを形成することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
複数のスラックループは同時に形成される、請求項9記載の方法。
【請求項13】
貯蔵されるスラックの量を変更するために、前記少なくとも1つのスラックループのサイズを調整することをさらに含む、請求項9~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによってアセンブリ検証を提供することをさらに含む、請求項9~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
システムラインにスラックを貯蔵するための装置であって、
直列に配置された複数のスラックポケット、
を含み、
ここで、前記システムラインは、各スラックポケット内にスラックループを形成するように構成されており、前記複数のスラックポケットは、前記スラックループを互いに分離しており、
前記複数のスラックポケットは、張力が前記システムラインに加えられると、別のスラックループともつれることなく、各スラックループを各スラックポケットから真っ直ぐにすることによって、スラックを分配するように構成されている、装置。
【請求項16】
システムラインにスラックを与えるための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、
前記システムラインの複数の部分の少なくとも1つを、前記スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットの少なくとも1つに配置して、少なくとも1つのスラックループを形成すること、
を含み、
ここで、前記一連のスラックポケットの少なくとも1つは残りのスラックポケットから前記少なくとも1つのスラックループを分離しており、
前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵し、
前記システムラインの少なくとも一部は、指形要素とともに少なくとも1つのスラックポケット内に配置されている、方法。
【請求項17】
メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを貯蔵するための装置を操作するための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、
一連のスラックポケットのそれぞれに前記システムラインの一部を配置して、前記一連のスラックポケットのそれぞれにスラックループを形成し、その結果前記一連のスラックポケットのそれぞれの中の前記スラックループは残りのスラックループから分離されること、及び、
スラックループのそれぞれがスラックポケットのそれぞれから解放されるように、前記システムラインに張力を加えること、
を含み、
ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵する、方法。
【請求項18】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、前記システムラインを指形要素で前記スラックポケット内に押し込むことによって前記スラックループを形成することができるようなサイズ及び形状である、請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さである、請求項15および18のいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状である、請求項15、18、19のいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
前記複数のスラックポケットは、それぞれ互いに等間隔に配置されている、請求項15、18~20のいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在している、請求項15、18~21のいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含む、請求項15、18~22のいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
前記リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含む、請求項23記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、システムライン貯蔵装置、より具体的には、メディカルデバイスの展開中の遅延作動のためのシステムライン貯蔵装置及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
様々なメディカルデバイスデリバリーシステムは、複数のワイヤ、ストリング、繊維、又は、1つ以上の構成要素(例えば、スリーブデリバリー拘束体及び/又は拡張可能なインプラント可能なデバイス)の動作又は展開を制御する他の適切なシステムラインを含む複数のアクチュエータを有する。複数のアクチュエータを備えたデリバリーシステムは、例えば、複数の工程が同時に行われ、又は、工程間の適切な量の遅延なしに行われるのではなく、適切な手順工程及び方法が適切な動作時間で行われることを確保するために利用される。しかしながら、他の問題の中でもとりわけ、複数のアクチュエータを有するシステムは、比較的に複雑であり、追加のシステムラインに対応するためにより大きなハンドル及び/又はより厚いカテーテルを必要とし、システムラインのもつれ、結び又は干渉による誤動作の危険リスクが高まる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
要旨
本開示の1つの例(「例1」)によれば、メディカルデバイスにおけるシステムラインのためのスラック貯蔵システムが開示される。スラック貯蔵システムは、直列に配置された複数のスラックポケット、及び、第一の端部及び第二の端部を有するシステムライン、ここで、前記システムラインの前記第一の端部と前記第二の端部との間の一部は各スラックポケット内でスラックループを規定し、前記複数のスラックポケットは、各スラックポケットから各スラックループを真っ直ぐにすることにより前記システムラインにおけるスラックを分配するときに、前記システムラインの第一の端部に張力がかかった際に、スラックループの別のものともつれることなく、前記システムラインの第二の端部が引っ張られないままになるように前記システムラインにおけるスラックを規定するように複数のスラックループを互いに分離している。
【0004】
例1を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、システムラインを指形要素でスラックポケット内に押し込むことによってスラックループが形成されうるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、それぞれ互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されているスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0005】
さらに例1を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。少なくとも1つの追加のループは、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に形成されうる。複数のスラックループを同時に形成することができる。少なくとも1つのスラックループのサイズを調整して、貯蔵されるスラックの量を変更することができる。アセンブリ検証は、スラックループの形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによって提供されうる。
【0006】
本開示の別の例(「例2」)によれば、メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを提供するための方法が開示される。この方法は、スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、及び、システムラインの複数の部分の少なくとも1つを、スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットの少なくとも1つに配置して、少なくとも1つのスラックループを形成することを含み、ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間でシステムラインにおけるスラックを貯蔵する。
【0007】
例2を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。この方法は、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に少なくとも1つの追加のスラックループを形成する工程をさらに含むことができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。この方法は、貯蔵されるスラックの量を変更するために、少なくとも1つのスラックループのサイズを調整する工程をさらに含むことができる。この方法は、スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによってアセンブリ検証を提供する工程をさらに含むことができる。
【0008】
さらに例2を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループが形成されうるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0009】
本開示のさらに別の例(「例3」)によれば、システムラインにスラックを貯蔵するための装置が開示される。この装置は、直列に配置された複数のスラックポケットを含み、ここで、前記システムラインは、各スラックポケット内にスラックループを形成するように構成されており、前記複数のスラックポケットは、スラックループを互いに分離しており、また、前記複数のスラックポケットは、システムラインに張力を加えたときに、別のスラックループともつれることなく、各スラックループを各スラックポケットからまっすぐにすることによってスラックを分配するように構成されている。
【0010】
例3を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。少なくとも1つの追加のスラックループを、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に形成することができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。少なくとも1つのスラックループのサイズを調整して、貯蔵されるスラックの量を変更することができる。アセンブリ検証は、スラックループの形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによって提供されうる。
【0011】
さらに例3を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループが形成されうるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0012】
本開示の別の例(「例4」)によれば、システムラインにスラックを提供するための方法が開示される。この方法は、スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、及び、前記システムラインの複数の部分の少なくとも1つを、スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットの少なくとも1つに配置して、少なくとも1つのスラックループを形成することを含み、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにおいてスラックを貯蔵し、ここで、前記システムラインの少なくとも一部は、指形要素とともに少なくとも1つのスラックポケット内に配置される。
【0013】
例4を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。この方法は、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に少なくとも1つの追加のスラックループを形成する工程をさらに含むことができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。この方法は、貯蔵されるスラックの量を変更するために、少なくとも1つのスラックループのサイズを調整する工程をさらに含むことができる。この方法は、スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによってアセンブリ検証を提供する工程をさらに含むことができる。
【0014】
さらに例4を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループを形成することができるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内にスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0015】
本開示のさらに別の例(「例5」)によれば、メディカルデバイスのためのシステムラインにおけるスラックを貯蔵するための装置が開示され、この装置は、直列に配置された複数のスラックポケット、及び、各スラックポケット内にスラックループを形成するシステムラインを含み、前記複数のスラックポケットは、スラックループを互いに分離しており、ここで、前記複数のスラックポケットは、システムラインに張力が加えられたときに、スラックループの別の1つともつれることなく、各スラックループを各スラックポケットからまっすぐにすることによってスラックが分配されるように構成されている。
【0016】
例5を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。少なくとも1つの追加のスラックループを、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に形成することができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。少なくとも1つのスラックループのサイズを調整して、貯蔵されるスラックの量を変更することができる。アセンブリ検証は、スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによって提供されうる。
【0017】
さらに例5を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループを形成することができるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0018】
本開示の別の例(「例6」)によれば、システムラインにスラックを貯蔵するための装置が開示され、この装置は、直列に配置された複数のスラックポケット、及び、各スラックポケット内にスラックループを形成するシステムラインを含み、前記複数のスラックポケットはスラックループを互いに分離しており、また、前記複数のスラックポケットは、システムラインに張力が加えられたときに、別のスラックループともつれることなく、各スラックループを各スラックポケットからまっすぐにすることによってスラックを分配するように構成されている。
【0019】
例6を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。少なくとも1つの追加のスラックループを、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に形成することができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。少なくとも1つのスラックループのサイズを調整して、貯蔵されるスラックの量を変更することができる。アセンブリ検証は、スラックループの形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによって提供されうる。
【0020】
さらに例6を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループを形成することができるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0021】
本開示のさらに別の例(「例7」)によれば、メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを貯蔵するための装置を操作するための方法が開示される。この方法は、スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、一連のスラックポケットのそれぞれにシステムラインの一部を配置して、一連のスラックポケットのそれぞれにスラックループを形成すること、ここで、前記スラックループは、システムラインの第一の端部とシステムラインの第二の端部との間でシステムラインにスラックを貯蔵する、及び、各スラックループが各スラックポケットから解放されるように、前記システムラインに張力を加えることを含む。
【0022】
例7を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。この方法は、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に少なくとも1つの追加のスラックループを形成する工程をさらに含むことができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。この方法は、貯蔵されるスラックの量を変更するために、少なくとも1つのスラックループのサイズを調整する工程をさらに含むことができる。この方法は、スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによってアセンブリ検証を提供する工程をさらに含むことができる。
【0023】
さらに例7を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループを形成することができるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0024】
本開示の別の例(「例8」)によれば、システムラインにスラックを貯蔵するための装置を操作するための方法が開示される。この方法は、スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、一連のスラックポケットのそれぞれにシステムラインの一部を配置して、一連のスラックポケットのそれぞれにスラックループを形成すること、ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵する、及び、各スラックループが各スラックポケットから解放されるように、前記システムラインに張力を加えることを含む。
【0025】
例8を参照すると、システムラインの1つ以上の部分を一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケット内に少なくとも1つのスラックループを形成することができる。この方法は、少なくとも1つの追加のスラックポケット内に少なくとも1つの追加のスラックループを形成する工程をさらに含むことができる。複数のスラックループを同時に形成することができる。この方法は、貯蔵されるスラックの量を変更するために、少なくとも1つのスラックループのサイズを調整する工程をさらに含むことができる。この方法は、スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによってアセンブリ検証を提供する工程をさらに含むことができる。
【0026】
さらに例8を参照すると、複数のスラックポケットのそれぞれは、指形要素でシステムラインをスラックポケット内に押し込むことによってスラックループを形成することができるようなサイズ及び形状であることができる。スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さであることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状であることができる。複数のスラックポケットは、互いに等間隔に配置することができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、共通の方向に延在していることができる。複数のスラックポケットのそれぞれは、スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含むことができる。スラックポケットがリテーナを含む場合に、リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含むことができる。
【0027】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限又は他の方法で狭めるために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0029】
図1図1は、幾つかの実施形態による、メディカルデバイス展開システムの概略図である。
【0030】
図2図2は、幾つかの実施形態による、メディカルデバイス展開システムの別の概略図である。
【0031】
図3図3は、幾つかの実施形態による、システムライン貯蔵システムを含むハンドルの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきでないことにも留意されたい。
【0033】
定義及び用語
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」という用語は、交換可能に、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含む測定値を指すために使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に少量だけ逸脱している。このような逸脱は、例えば、性能を最適化するために行われた測定誤差又は微調整に起因することができる。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合に、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解されうる。
【0034】
メディカルデバイスは、ヒト患者の血管系を治療するために頻繁に使用される。これらの治療又は処置は、一般に管腔内又は血管内処置と呼ばれる。このようなデバイスは、しばしば、スリーブを含む。本明細書で使用されるときに、「スリーブ」という用語は、メディカルデバイスを覆う、包囲する又は他の方法で関連付けられる、一次、二次、三次などのスリーブ、シースなどを指す。幾つかの例において、そのような「スリーブ」は、患者の血管系の治療部分へのデバイスの医学的デリバリーに適した崩潰された構成又は外周寸法に向けてメディカルデバイスを拘束する。
【0035】
本開示の目的のために、「拘束する」という用語は、(i)自己拡張又はデバイスによる支援のいずれかによる、メディカルデバイスの直径の拡張を制限すること、又は(ii)メディカルデバイスを覆い又は包囲し又は方法で拘束すること(例えば、貯蔵又は生体適合性の理由で、及び/又はメディカルデバイス及び/又は血管系を保護する理由で)を意味することができる。
【0036】
本明細書で使用されるときに、「メディカルデバイス」又は「デバイス」という用語は、ステント、グラフト、フィルタ、弁、アンカー、閉塞器及び他のインプラント可能なデバイスを含む他のデバイスを指し、1つ以上の拘束体又はスリーブに拘束される前述のすべてを含む。
【0037】
本明細書で使用されるときに、「ライン」という用語は、任意のタイプのストリング、コード、スレッド、繊維又はワイヤを指し、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマーオルガノシリコンポリマー、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、ニチノールなどの金属、超高分子量ポリエチレン繊維又はアラミド繊維などの高強度ポリマー繊維などの従来の医療グレードの材料を含む、金属、ポリマー又は天然材料を含むことができる。
【0038】
本開示は、限定的に読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野でそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0039】
開示された実施形態の説明
様々な例は、メディカルデバイスの1つ以上のデリバリー操作に関連付けられることができる所定の操作シーケンスに従った、デリバリーシステムのシステムラインの時期(例えば、遅延)操作に関する。システムラインによって制御される適切なデリバリー操作としては、スリーブの取り外し又は作動、デリバリー拘束体、デリバリーシステムのステアリング機能などが挙げられる。
【0040】
様々な実施形態において、デリバリーシステムは、体内の標的部位へのデリバリーのためにメディカルデバイス(例えば、ステント又はステントグラフトなどの血管インプラント)を解放可能に拘束するためのスリーブ又は拘束体(例えば、スリーブ、繊維又は他の特徴)を含む。そのような拘束体は、拡張可能なインプラントをメディカルデリバリーに適したデリバリー構成に向けて解放可能に拘束する第一の状態、及び、メディカルデバイスがデリバリー構成から展開構成に向けてある量の拡張(例えば、部分拡張又は完全拡張)を可能にする第二の状態を有することができる。展開システムは、関連するシステムラインの張力によってスリーブ又は拘束体を作動させるように構成された作動機構を備えたハンドルを含むことができる。代替的に又は追加的に、デリバリーシステムは、システムラインを介した作動機構の作動時にメディカルステアリング操作を作動させるように構成された作動機構を含むことができる。
【0041】
幾つかの例において、システムラインは、スリーブ又はループなどのスリーブ又は拘束体を操作し、これは、直径方向に圧縮された構成でインプラント可能なデバイスを解放可能に拘束する。幾つかの例において、拘束体は、インプラント(例えば、ステント、ステントグラフト、人工弁又は他の内部人工器官)などのメディカルデバイスの周りに広がり又は包囲するスリーブ(例えば、フィルム材料製)を含む。
【0042】
システムラインが操作可能に拘束体に結合されている例において、拘束体は2つの状態:第一の作動状態及び第二の解放状態を規定することができる。第一の状態において、スリーブなどの拘束体は、メディカルデバイスをデリバリー構成に維持するために、ワイヤ又は繊維など、解放可能に一緒に保持又は縫い合わされた向かい合った部分又は縁を有することができる。ワイヤ又は繊維は、システムラインの一部を形成することができ、又は、システムラインに操作可能に結合された別個の構成要素であることができる。そのような実施形態において、メディカルデバイスの拡張を可能にするために、システムラインを拘束体から退去、ステッチ解除又は他の方法で切り離すことによって、拘束体を開くか、又はさもなければ破壊することができる。このような解放は、上記のような作動機構の作動によって起こりうる。そのような拘束スリーブのさらなる詳細は、例えば、Leopoldらに付与された米国特許第6,352,561号明細書及びThorntonらに付与された米国特許第6,551,350号明細書に見出すことができる。適切な拘束体の他の例としては、メディカルデバイスを解放するためにメディカルデバイスの後端に向かって引っ込められ、又は近位に引っ張られるスリーブが挙げられる。適切な拘束体のさらに他の例としては、メディカルデバイスの周りにループ状にされ、メディカルデバイスを拘束及び拘束解除又は解放するように張力をかけられる及び/又は解放されることができる繊維又はテザーが挙げられる。拘束体のさらに他の例としては、Armstrongらの米国特許第6,224,627号明細書に記載されているような、張力をかけると解けるニットスリーブが挙げられる。
【0043】
使用される拘束体に関係なく、様々な例において、システムラインの張力は、関連するメディカルデバイスが自己拡張するか、又はメディカルデバイスの所望のデリバリー方法に従って拡張できるように、拘束体を解放する。
【0044】
システムラインの作動及び付随する拘束体の解放の作動のためのタイミング又は操作シーケンスは、一連の工程内の所与の時間(例えば、ある所定の遅延の後)に展開工程が確実に起こるのを助けるためにスラック装置を組み込むことによって制御することができる。例えば、遅延を採用することにより、システムラインが関連する構成要素(例えば、拘束体)を作動させる前に、他の作動又はデリバリー操作(例えば、別のスリーブ解放、部分展開、ステアリング操作)が起こりうる。適切なステアリング機能の例は、Norrisへの米国特許第9,375,308号明細書に見出すことができる。
【0045】
図1は、システムライン貯蔵装置102を含む、メディカルデバイス展開システム100の一般化された概略図である。メディカルデバイス展開システム100は、第一の作動機構A1、第二の作動機構A2、第一のシステムライン104及び第二のシステムライン106を含む。
【0046】
メディカルデバイス展開システム100は、一組の操作又は操作要素を含む方法を実施するために利用されうる。幾つかの例において、展開システム100は、少なくとも2つの操作又は操作要素、第一の操作及び第二の操作を含むように構成され、これらはそれぞれ、システム100に関連するデリバリー操作の要素である。様々な例において、第一のシステムライン104は、第一の作動機構A1を介して作動可能であり、それにより、第一の操作要素(例えば、スリーブの作動又は第一の拘束体の解放)を開始し、第二のシステムライン106は、第二の作動機構A2を介して作動可能であり、それにより、第二の操作要素(例えば、スリーブの作動又は第二の拘束体の解放)を開始する。
【0047】
図2は、幾つかの例による、展開システム100の別の一般化された概略図である。図2に示されるように、第一の作動機構及び第二の作動機構A1及びA2は、作動ハンドル108などのハンドルの一部であることができる。作動ハンドル108は、いかなる様々な形状及びサイズをとってもよく、一般に、ユーザが把持するように構成されている。図1の作動機構A1、A2は、様々な形態で具体化することができる。例えば、作動機構は、ボタン、トグル、スイッチ、ダイヤル、回転可能なカフであることができ、又は、例えば、それぞれ第一のシステムライン及び第二のシステムライン104及び106に張力を与えることによって、それぞれ第一のシステムライン及び第二のシステムライン104及び106の作動を引き起こすことができる他のアクチュエータであることができる。第一の作動機構及び第二の作動機構A1及びA2は単一の構成要素であることができる。例えば、第一の作動機構及び第二の作動機構A1及びA2は、単一のボタン、トグル、スイッチ、ダイヤル、回転可能なカフの一部であることができ、又は、第一のシステムライン及び第二のシステムライン104及び106の両方が結合されているが、第一のシステムライン104の第一の作動機構A1として、そして第二のシステムライン106の第二の作動機構A2として機能することができる他の作動機構であることができる。
【0048】
一般に、第一の作動機構A1は、システム100の第一の操作要素を操作又は作動させる第一のシステムライン104を操縦するように、例えば、第一のシステムライン104に張力を加えるように操作する。例えば、システム100の第一の操作要素は、メディカルデバイスを覆い、メディカルデバイスの一部を拘束直径に維持する外側スリーブ111(例えば、第一の拘束スリーブ)のリトラクションであることができる。
【0049】
次に、第二の作動機構A2は、システム100の第二の操作要素を操作又は作動させるための第二のシステムライン106を操縦するように、例えば、第二のシステムライン106に張力を加えるように操作する。例として、第二の操作要素は、図2に示される拘束スリーブ110及びメディカルデバイス112などの拡張可能なメディカルデバイス(例えば、ステント、ステントグラフト、フィルタ、人工弁、閉塞器、吻合デバイス)上の拘束スリーブ(例えば、第二の拘束スリーブ)の長手方向の変位であることができる。
【0050】
第一のシステムライン104は、第一のシステムライン104の所望の長さ又は部分を保持するシステムライン貯蔵装置102を通して通過する。第一のシステムライン104のこの長さ又は貯蔵される部分は、システムライン104がピンと張り、そしてシステムライン貯蔵装置102を超えたシステムライン104の第二の端部が作動する又は張力が加えられて、第一の操作要素を機能させる前に、システムライン104の所望の量のスラック又は貯蔵された材料が引っ張られ、吸収され又は消費されるようなタイミング又は遅延機構として機能することができる。
【0051】
幾つかの例において、そして図1に一般的に示されているように、システム100はまた、第二のシステムライン貯蔵装置114を含むことができる。そのような構成において、両方のシステムライン104、106は、所望に応じて操作要素に様々な量の遅延を提供するように構成されうる。言い換えれば、システムライン貯蔵装置102は、操作要素及び/又はシステム100で望まれる遅延の量に応じて、第一のシステムライン貯蔵装置102、第二のシステムライン貯蔵装置114又は複数システムライン貯蔵装置を含むことができる。2つのシステムライン及び1つ又は2つの貯蔵システムが記載及び例示されているが、デリバリーシステムの複雑さに応じて、システムライン及び貯蔵システムの任意の数及び組み合わせを使用できるということが上記のことから明らかなはずである。
【0052】
図2の概略図で示されているように、デリバリーシステム100は、カテーテル本体116、メディカルデバイス112、デリバリー構成においてメディカルデバイス112の第一の部分を拘束する第一の拘束体110、デリバリー構成においてメディカルデバイス112の第二の部分を拘束する第二の拘束体111、ハンドル108に関連する作動機構120、デリバリーシステム100の様々な操作要素の実行(例えば、第二の拘束体111の後退又は解放)を支援するように構成された第一のシステムライン104、デリバリーシステム100に関連する(例えば、カテーテル本体116及び/又はハンドル108内に収容されるか、又はそうでなければ結合される)システムライン貯蔵装置102を含むことができる。
【0053】
図3は、ハンドル108及びシステムライン貯蔵装置102の例の詳細な断面図を提供する。参考のために、システムライン貯蔵装置114は、デリバリーシステム100に含まれる任意の数のシステムライン貯蔵装置と同様に、形状及び形態が貯蔵装置102と類似しうる。
【0054】
図3の例に示されるように、システムライン貯蔵装置102は、デリバリーシステム200の装置208(デリバリーシステム200のハンドル内に収容されて示される)として具体化される。システムライン貯蔵装置208は、本体220内に直列に配置された複数のスラックポケット222を画定する本体220を含む。例示的に、複数のスラックポケット222は、ほぼ同じ形状及びサイズである。他の実施形態において、スラックポケット222は、ユーザの要望又はデリバリーシステム200の要件に応じて、互いに対して形状及び/又はサイズが変化することができる。例えば、分離して示されていないシステムライン貯蔵装置208の別の実施形態において、スラックポケットのサイズ及び形状は、特定のシステムのニーズに対応するように変更することができる(例えば、形状、間隔、向きなど)。示されるように、幾つかの例において、スラックポケット222はそれぞれ、スラックポケット222の開口部にネック223を含み、これは、所望の総遅延長さ及びデリバリーシステム200のハンドル内で利用可能な全体空間に応じて幅が変化しうる。
【0055】
一般的に、スラックポケット222は、スラックポケット222からシステムライン204を引き込むために十分な張力がシステムライン204に加えられるまで、システムライン204を解放可能に(例えば、解放可能な接着剤又は機械的リテーナなどの二次保持手段によって支援されるか又は支援されないどうかにかかわらず、摩擦により)保持するように構成されている(サイズ及び形状設定される)。システムライン貯蔵装置は、スラックループ224が規定されているスラックポケット222内にスラックループ224を保持するように構成された1つ以上のリテーナをさらに含むことができる。適切なリテーナとしては、接着剤、機械的ファスナなど及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0056】
システムライン204の制御を容易にするために追加のリテーナを利用することもできる。例えば、例示的な実施形態において、デリバリーシステム200は、それぞれがスラックポケット222に対応する一連のカバー225を含む。各カバー225は、スラックポケット222間のシステムライン204の保持を支援し、システムライン204へのアクセスを可能にするための完全な穴を含み、その結果、システムライン204を操作して、スラックポケット222内にスラックループ224を形成することができる。立位支柱227は、一連のスラックポケット222のいずれか一方の端部又は両方の端部に配置され、繊維をデリバリーシステム200に通して指向させることができる。立位支柱227は、組み立て中に繊維に張力が加えられたときに、スラックポケットの最も狭い部分の中心との繊維の位置合わせを容易にし、その結果、所定の深さまでスラックポケット222内に一貫して繊維を押し下げることができる。
【0057】
幾つかの例において、プレス要素(例えば、指形要素又は単にユーザの指)を実装して、システムライン204を各スラックポケット222にプッシュ、プレス又は他の方法で挿入して、複数のスラックループ224を形成することができ、ここで、各スラックループ224は、各ポケット222内に形成される。例えば、スラックポケット222は、プレス要素を受け入れるようなサイズ及び形状であり、プレス要素を使用してスラックポケット222内にシステムライン204を入れ、張力をかけている間に巻き上げられる貯蔵スラック又は余分な長さとしてのシステムライン204の所与の長さを保持する。例えば、システムライン204がハンドル208を通過するときに、システムライン204は、複数の開口部を通過して、スラックポケット222に入る。プレス要素を使用して、スラックポケット222が延在している方向に対応する方向にシステムライン204をプレスすることができる。示されるように、スラックポケット222は、システムライン204が作動されるか、又は張力がかけられ/引張られる方向に対して実質的に垂直又は直交する方向に配向されている。プレス要素によって係合されているシステムライン204の部分は、スラックポケット222内に堆積される。システムライン204の対応する部分がスラックポケット222内に挿入されると、プレス要素は、スラックポケット222から取り外されて、スラックポケット222内に、形成されたスラックループ224を残すことができる。
【0058】
上で示唆したように、システムライン204をポケット222内に挿入するために使用されるプレス要素は、スラックループ224を直列で形成することができるように移動可能である。例えば、プレス要素を使用して、システムライン204の第一の部分を第一のスラックポケット222内に挿入して、第一のスラックループ224を形成することができる。プレス要素はまた、第二のスラックポケット222と整列されたシステムライン204の第二の部分の上の位置に移動されて、システムライン204の第二の部分を第二のスラックポケット222内に挿入して、第二のスラックループ224を形成することができる。このような動きを繰り返して、それぞれのスラックポケット222が一杯になるまで、プレス要素はそれぞれのスラックポケット222に対応するシステムライン204の異なる部分に沿って移動する。
【0059】
プレス要素は、プローブ、ロッド又は他の器具などの機械的フィンガーを含むことができ、又は他の実施形態において、ユーザはユーザの指を使用して、システムライン204をスラックポケット222内に挿入することができる。幾つかの実施形態において、ハンドル208は、スラックポケット222内に同時に1つ以上のスラックループ224を形成するための複数のプレス要素を含むことができる。例えば、設定された数のスラックポケット「X」を有するデリバリーシステム220において、デリバリーシステムはまた、対応する各スラックポケット222に1つずつ、「X」個のプレス要素を有することができる。デリバリーシステムライン220は、デリバリーシステム220に含まれるスラックポケット222の数よりも少ない数の複数のプレス要素を有することができる。
【0060】
スラックループ224が形成されると、各スラックループ224は、個々に又は集合的に調整されて、各スラックポケット内に貯蔵されるたるみの量を変更することができる。適切な量のスラックの検証は、システムライン204を所与のスラックポケット222内に挿入しようとした後の目視検査又は他のフィードバックによって検出することができる。例えば、スラックループ224の試験中に所望のレベルより上又は下の張力が検出された場合に、プロセスは欠陥があると認められ、やり直されることができる。
【0061】
所望の量の張力がシステムライン204に加えられると、スラックループ224によって生成されたスラックは、スラックループ224を介して各スラックポケット222から解放される。張力は、スラックポケット222、したがってスラックループ224が延在している方向に対して実質的に垂直な又は直交する方向でシステムライン204に加えられる。これにより、対応するスラックポケット222から解放され、出され又はその他の方法で除去されるときに、各スラックループ224がほぼ真っ直ぐになる。スラックループ224が直列に解放されると、システムライン204のスラックが出されるときに、システムライン204がそれ自体ともつれ又は他のシステム構成要素ともつれる可能性が低減される。スラックポケット222を利用して、スラックループ224を互いに分離することができるので、スラックループ224が互いにもつれる機会も減少し、各スラックループ224が解放されそして直列に真っ直ぐになり、スラックループが解放される前又は解放された後に、解放されるスラックループ224が、解放される別のスラックループ224と接触することから防止することを意味する。スラックポケット222は、共通の方向に延在し、及び/又は互いに等間隔に配置して、スラックループ224をもつれさせることなくそのような解放を容易にすることができる。
【0062】
幾つかの実施形態において、スラックポケット222は、それらの機能を損なうことなく、ユーザのニーズ及びデリバリーシステムの設計に応じて、交互の方向に延在するか、又は異なる配置を有することができる。同様に、幾つかの実施形態において、スラックポケット222は、ユーザのニーズ及びデリバリーシステムの設計に応じて、等間隔に配置されないことがある。スラックポケット222は、示されるように(例えば、共通の線に沿って)線形配置で配置されうるか、又は所望に応じて交互のジグザグパターン又は他の配置などの他の構成で配置されうる。参照されるように、スラックポケット222の数及び深さは、ユーザのニーズ及びデリバリーシステムの設計に応じて変化しうる。例えば、スラックポケット222の数、スラックポケット222の深さ及びアセンブリ全体のサイズは、より長いシステムライン204及び/又はシステムライン204に組み込まれたより多くの量のスラックに対応するために変化しうる。
【0063】
例示的な実施形態は、インプラント可能なメディカルデバイスで使用するためのシステムラインを含むが、他の実施形態において、スラック貯蔵システム220は、システムラインが縫合糸である縫合システムなどの他のメディカルデバイスと関連している他のシステムラインとともに利用されることができ、又は、システムラインのスラックが出されるときにもつれを回避するようにシステムラインの長さの貯蔵が必要とされる任意の用途において利用されることができる。言い換えれば、本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で上記に記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは、当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様1)
メディカルデバイスにおけるシステムラインのためのスラック貯蔵システムであって、前記スラック貯蔵システムは、
直列に配置された複数のスラックポケット、及び、
第一の端部及び第二の端部を有するシステムライン、
を含み、
ここで、前記第一の端部と前記第二の端部との間で前記システムラインの一部は各スラックポケット内でスラックループを規定し、
前記複数のスラックポケットは、前記システムラインの第一の端部が引っ張られたときに、前記システムラインにおけるスラックが、各スラックループをスラックループの別のものともつれることなく、各スラックポケットから真っ直ぐにさせることにより分配されるときに、前記システムラインの第二の端部に張力が加えられないままになるように前記システムラインにおけるスラックを規定するように互いに複数のスラックループを分離している、スラック貯蔵システム。
(態様2)
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、前記システムラインを指形要素で前記スラックポケット内に押し込むことによって前記スラックループを形成することができるようなサイズ及び形状である、態様1記載の装置。
(態様3)
前記スラックループのそれぞれは、ほぼ同じ長さである、態様1又は2記載の装置。
(態様4)
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、ほぼ同じサイズ及び形状である、先行の態様のいずれか1項記載の装置。
(態様5)
前記複数のスラックポケットはそれぞれ互いに等間隔に配置されている、先行の態様のいずれか1項記載の装置。
(態様6)
前記複数のスラックポケットのそれぞれは共通の方向に延在している、先行の態様のいずれか1項記載の装置。
(態様7)
前記複数のスラックポケットのそれぞれは、前記スラックループが形成されるスラックポケット内のスラックループのそれぞれの1つを解放可能に保持するように構成されたリテーナを含む、先行の態様のいずれか1項記載の装置。
(態様8)
前記リテーナは、接着剤、機械的ファスナ、ボンド及びそれらの組み合わせのいずれかを含む、態様7記載の装置。
(態様9)
メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを提供するための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、及び、
前記システムラインの複数の部分の少なくとも1つを、前記スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットの少なくとも1つに配置して、少なくとも1つのスラックループを形成すること、
を含み、
ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵する、方法。
(態様10)
前記少なくとも1つのスラックループは、前記システムラインの1つ以上の部分を前記一連のスラックポケット内に挿入するように構成された指形要素で少なくとも1つのスラックポケットにおいて形成される、態様9記載の方法。
(態様11)
少なくとも1つの追加のスラックポケット内に少なくとも1つの追加のスラックループを形成する工程をさらに含む、態様9記載の方法。
(態様12)
複数のスラックループは同時に形成される、態様9記載の方法。
(態様13)
貯蔵されるスラックの量を変更するために、前記少なくとも1つのスラックループのサイズを調整する工程をさらに含む、態様9~12のいずれか1項記載の方法。
(態様14)
スラックループ形成中に不適切な張力が検出されたときにフィードバックによってアセンブリ検証を提供する工程をさらに含む、態様9~13のいずれか1項記載の方法。
(態様15)
システムラインにスラックを貯蔵するための装置であって、
直列に配置された複数のスラックポケット、
を含み、
ここで、前記システムラインは、各スラックポケット内にスラックループを形成するように構成されており、前記複数のスラックポケットは、前記スラックループを互いに分離しており、
前記複数のスラックポケットは、張力が前記システムラインに加えられると、別のスラックループともつれることなく、各スラックループを各スラックポケットから真っ直ぐにすることによって、スラックを分配するように構成されている、装置。
(態様16)
システムラインにスラックを与えるための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、
前記システムラインの複数の部分の少なくとも1つを、前記スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットの少なくとも1つに配置して、少なくとも1つのスラックループを形成すること、
を含み、
ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵し、
前記システムラインの少なくとも一部は、指形要素とともに少なくとも1つのスラックポケット内に配置されている、方法。
(態様17)
メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを貯蔵するための装置であって、
直列に配置された複数のスラックポケット、及び、
各スラックポケット内にスラックループを形成するシステムライン、
を含み、
ここで、前記複数のスラックポケットは前記スラックループを互いに分離しており、
前記複数のスラックポケットは、前記システムラインに張力が加えられたときに、前記スラックループの別のものともつれることなく、各スラックポケットから各スラックループを真っ直ぐにすることによってスラックを分配するように構成されている、装置。
(態様18)
システムラインにスラックを貯蔵するための装置であって、
直列に配置された複数のスラックポケット、及び
各スラックポケット内にスラックループを形成するシステムライン、
を含み、
ここで、前記複数のスラックポケットは前記スラックループを互いに分離しており、
前記複数のスラックポケットは、張力が前記システムラインに加えられると、別のスラックループともつれることなく、各スラックポケットから各スラックループを真っ直ぐにすることによってスラックを分配するように構成されている、装置。
(態様19)
メディカルデバイスのためのシステムラインにスラックを貯蔵するための装置を操作するための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、
一連のスラックポケットのそれぞれに前記システムラインの一部を配置して、前記一連のスラックポケットのそれぞれにスラックループを形成すること、及び、
スラックループのそれぞれがスラックポケットのそれぞれから解放されるように、前記システムラインに張力を加えること、
を含み、
ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵する、方法。
(態様20)
システムラインにスラックを貯蔵するための装置を操作するための方法であって、
スラック貯蔵システムの一連のスラックポケットに隣接してシステムラインを配置すること、
一連のスラックポケットのそれぞれにシステムラインの一部を配置して、一連のスラックポケットのそれぞれにスラックループを形成すること、及び、
スラックループのそれぞれがスラックポケットのそれぞれから解放されるように、前記システムラインに張力を加えること、
を含み、
ここで、前記スラックループは、前記システムラインの第一の端部と前記システムラインの第二の端部との間で前記システムラインにスラックを貯蔵する、方法。
図1
図2
図3