(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20231212BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
E06B9/84 D
E06B9/58 A
(21)【出願番号】P 2023065680
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2022076992の分割
【原出願日】2018-03-29
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 順也
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 寿一
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】津田 真伸
(72)【発明者】
【氏名】廣長 遼太
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-159241(JP,A)
【文献】特開平11-182128(JP,A)
【文献】特開2010-77752(JP,A)
【文献】特開平10-148077(JP,A)
【文献】実開昭58-55196(JP,U)
【文献】特開2016-223160(JP,A)
【文献】実開平2-62100(JP,U)
【文献】実開平2-130999(JP,U)
【文献】特開2007-63922(JP,A)
【文献】特開2008-2192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉動作する開閉体と、
前記開閉体の開閉方向に並ぶ複数の光電センサにより複数の光線経路を形成し、これら光線経路の遮断状態を感知する多光軸センサと、
前記開閉体の幅方向端部を囲んで開閉方向へ案内するとともに、開閉体幅方向の片側と逆側に設けられたガイドレールと、
を備えた開閉装置において、
前記複数の前記光電センサは、複数の投光器と、複数の受光器を有し、前記複数の各投光器と前記複数の各受光器との間に前記複数の光線経路が形成され、
前記ガイドレールには、前記光線経路を通過させるための光通過孔が設けられるとともに、前記光通過孔は、前記複数の光線経路の内の一部または全部である複数の光線経路を通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成されている
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記光通過孔は、前記多光軸センサの前記投光器の投光面の直径よりも大きい幅を有することを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記複数の光線経路は、開閉体厚さ方向において前記開閉体の中心部に対し、一致又は略一致していることを特徴とする請求項1又は2項記載の開閉装置。
【請求項4】
前記光通過孔は、前記複数の光線経路の内の一部である複数の光線経路を通過させるように形成されるとともに、開閉体開閉方向に間隔を置いて複数設けられていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記ガイドレールを、開閉体厚さ方向に分割された二部材から構成し、その一方と他方の部材に切欠部を設け、これら二つの切欠部が合わさることで、前記光通過孔が構成されることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記光通過孔は、前記複数の光線経路の内の全部である複数の光線経路を通過させるように形成されるとともに、前記光通過孔の両長縁部に跨るように補強材を設けることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャッター装置やオーバヘッドドア、ロールブラインド装置、引戸装置、スライド門扉等、空間を仕切るようにして開閉体を閉動作させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、光電センサを上下方向に多数配設して多数の光線経路を形成するようにした多光軸センサを、左右のガイドレールに装着して、上下方向にわたる広い範囲で障害物を感知するようにしたシャッター装置がある。
このようなシャッター装置の制御では、開閉体が多数の光線経路を遮断して障害物感知とみなされることのないように、閉動作する開閉体が二つの光電センサの光線経路を遮る毎に、これら二つの光電センサの下の直近の光電センサ以上の光電センサを障害物感知不能にする。したがって、障害物の感知は、前記直近の光電センサよりも下側の光電センサのみによって行われる。
そして、この後、開閉体を開動作した場合は、その開動作する開閉体が光線経路を解放する毎に、前記障害物感知不能状態を下から上へ順番に解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、仮に開閉体の閉鎖動作中に、障害物感知不能状態の光電センサにゴミ等の異物が付着した場合、この開閉体を開動作した際に、前記異物の付着した光電センサ以上の光電センサが障害物感知状態に復帰しない。
このため、例えば、開閉体が前記異物よりも上方へ開放した時点で、前記異物以上の空間に障害物が侵入した場合は、この障害物を感知することができず、開閉体が閉動作すれば障害物に接触する可能性がある。また、前記異物よりも下側で閉動作が行われる可能性があるが、比較的低い位置へ閉動作を開始した開閉体に障害物が接触してしまうことが想定される。
そこで、より良好な障害物感知制御を行うことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉動作する開閉体と、前記開閉体の開閉方向に並ぶ複数の光電センサにより複数の光線経路を形成し、これら光線経路の遮断状態を感知する多光軸センサと、前記開閉体の幅方向端部を囲んで開閉方向へ案内するとともに、開閉体幅方向の片側と逆側に設けられたガイドレールと、を備えた開閉装置において、前記複数の前記光電センサは、複数の投光器と、複数の受光器を有し、前記複数の各投光器と前記複数の各受光器との間に前記複数の光線経路が形成され、前記ガイドレールには、前記光線経路を通過させるための光通過孔が設けられるとともに、前記光通過孔は、前記複数の光線経路の内の一部または全部である複数の光線経路を通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成されていることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、良好な障害物感知制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【
図2】
図1の(II)-(II)線に沿う横断面図である。
【
図3】
図2の(III)-(III)線に沿う要部断面図である。
【
図4】開閉体の幅方向端部側における下端寄り部分を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図5】光遮蔽部材の具体例を示し、(I)は一番上の光遮蔽部材、(II)は上下方向中央の光遮蔽部材、(III)は一番下の光遮蔽部材である。
【
図6】閉動作中のセンサ制御回路の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】開動作中のセンサ制御回路の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】開閉体制御回路の動作を示すフローチャートである。
【
図9】開閉体の開閉動作と閉動作禁止信号の関係を示すタイムチャートである。
【
図10】光通過孔の他例を(a)と(b)にそれぞれ示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉動作する開閉体と、閉動作中の前記開閉体が全閉寄り位置に達したことを感知する全閉寄り感知部と、全閉位置から開動作中の前記開閉体が前記全閉寄り位置よりも開放方向側の全開寄り位置に達したことを感知する全開寄り感知部と、制御回路とを備え、前記制御回路は、閉動作中の前記開閉体が前記全閉寄り感知部により感知された後に、前記開閉体の閉動作を禁止にし、この閉動作禁止状態を、開動作中の前記開閉体が前記全開寄り感知部により感知された場合に解除する(
図9参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記制御回路は、閉動作中の前記開閉体が前記全閉寄り感知部により感知された場合に、その感知から所定時間経過後に、前記閉動作禁止状態にする(
図6及び
図9参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記所定時間は、閉動作中の前記開閉体が前記全閉寄り感知部により感知されてから略全閉するまでの時間以上に設定されている。
【0011】
第四の特徴として、開閉体開閉方向に並ぶ多数の光電センサにより多数の光線経路を形成し、これら光線経路の遮断状態を感知する多光軸センサを備え、この多光軸センサは、前記多数の光電センサのうち、閉鎖方向側に位置する光電センサを、前記全閉寄り感知部として機能させ、前記全閉寄り感知部よりも開放方向側に位置する他の光電センサを、前記全開寄り感知部として機能させる(
図9参照)。
【0012】
第五の特徴としては、開閉体開閉方向に並ぶ多数の光電センサにより多数の光線経路を形成し、これら光線経路の遮断状態に応じて、閉動作禁止信号の出力をON又はOFFにする多光軸センサを備え、前記閉動作禁止信号がONの場合に前記開閉体の閉動作を禁止にし、この閉鎖動作禁止状態を前記閉動作禁止信号がOFFの場合には解除する開閉装置であって、前記多光軸センサは、前記多数の光電センサのうち、閉鎖方向側に位置する二つの光電センサを、前記全閉寄り感知部として機能させ、前記全閉寄り感知部よりも開放方向側に位置する他の二つの光電センサを、前記全開寄り感知部として機能させ、前記多光軸センサは、前記多数の光線経路が開放方向側から閉鎖方向側へ順番に二つ遮断された場合、この二つの光線経路の閉鎖方向側に直近する光電センサと該光電センサよりも開放方向側に位置する全ての光電センサについて、その光線経路の遮断の有無に拘わらず前記閉動作禁止信号をOFFにし、前記全閉寄り感知部の光線経路が遮断された場合には、その遮断時点以降に前記閉動作禁止信号をOFFからONにし、
さらに前記多光軸センサは、前記多数の光電センサの光線経路が閉鎖方向側から開放方向側へ順番に遮断状態から復帰して、前記全開寄り感知部の光線経路のみが遮断状態にされた場合には、その遮断時点以降に、前記閉動作禁止信号をONからOFFにする(
図9参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記閉動作禁止状態は、前記全開寄り感知部による感知以降であって、かつ前記全開寄り感知部以外の前記光電センサによる感知がない場合に解除される。
【0014】
第七の特徴として、前記多光軸センサが、全閉時の前記開閉体の当接対象部位から開放方向側に所定寸法離れた位置に設けられている(
図1参照)。
【0015】
第八の特徴として、前記多数の光線経路は、開閉体厚さ方向において前記開閉体の中心部に対し、一致又は略一致している(
図2参照)。
【0016】
第九の特徴として、前記開閉体の幅方向端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレールを備え、このガイドレールには、前記多数の光線経路を通過させる光通過孔が設けられ、前記光通過孔の開閉体厚さ方向の寸法は、前記開閉体の厚み寸法よりも小さく設定されている(
図2及び
図3参照)。
【0017】
第十の特徴として、前記開閉体の幅方向端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレールを備え、このガイドレールが、開閉体幅方向の片側と逆側に設けられ、前記多光軸センサは、前記片側のガイドレール内で開閉体開閉方向へ延設された第一のユニットと、前記逆側のガイドレール内で開閉体開閉方向へ延設された第二のユニットとを備え、これら二つのユニット間に、前記多数の光線経路を形成するように構成され、前記制御回路には、前記開閉体の開閉動作を制御する開閉体制御回路が含まれ、前記開閉体の開放方向側に前記開閉体を収納する収納部が設けられ、この収納部内には、前記開閉体制御回路が、開閉体幅方向における一方寄りに設けられ、前記第一のユニットと前記第二のユニットのうち、その一方のユニットは、障害物を非接触感知した際の信号を電気配線により前記開閉体制御回路へ伝達するように構成され、前記電気配線の少なくとも一部は、前記一方寄りに位置する前記ガイドレール内に配設されている(
図1参照)。
【0018】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0019】
開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉動作する開閉体10と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部20と、開閉体10の横幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで開閉方向へ案内する二つのガイドレール30,30と、開閉体10よりも下側の障害物を非接触感知する多光軸センサ40と、制御回路50とを備え、例えば、ガレージや工場等の比較的幅広い開口を有する躯体に装着される。
【0020】
この開閉体10の横幅方向の端部には、ガイドレール30からの引抜けを阻む抜け防止部材14が設けられる(
図2及び
図4参照)。
抜け防止部材14は、開閉体10の端部から横幅方向へ突出し、その突端側に開閉体幅方向へ拡がった部分を一体に有する。
【0021】
最下端側のスラット11a、可動座板13、固定座板12には、それぞれ、塞ぎ部材15,16,17が設けられている(
図4及び
図5参照)。
これら塞ぎ部材15,16,17は、開閉体下端側の内部で横幅方向へ連通する空間を遮るように、スラット11a、可動座板13、固定座板12の端部側に、それぞれ、取り付けられている。
【0022】
各塞ぎ部材について詳述すれば、塞ぎ部材15は、
図5(I)に示すように、スラット11aの裏面に止着される止着片部15aと、該止着片部15aに対し曲げられてスラット11aの幅方向端部の開口を塞ぐ閉塞片部15bを有する一体の部材である。この塞ぎ部材15は、固定座板12上側に直近するスラット11aに止着固定される。
【0023】
塞ぎ部材16は、固定座板12の幅方向端部の開口を塞ぐ閉塞片部16aと、固定座板12に止着される止着部16bとを有する略ブロック状に形成され、図示例によれば複数の部材を組み合わせて構成される。
【0024】
塞ぎ部材17は、可動座板13内に挿入されて該可動座板13内を通過しようとする光線経路Rを遮断する閉塞片部17aと、可動座板13に止着される止着片部17bとを一体に有する部材である。
【0025】
これら塞ぎ部材15,16,17は、開閉体10の通常の閉動作中に、多光軸センサ40の多数の光線経路Rを順次に二つずつ遮り、該開閉体10が障害物として感知されないようにする(ブランキング制御と呼称される場合がある。)。
したがって、これら塞ぎ部材15,16,17は、同様に機能するようにすれば、単数や二つ、四以上等、図示例以外の態様とすることが可能である。
【0026】
なお、図示の開閉体10に置換して、内部が中実状の開閉体を用いる場合には、塞ぎ部材15,16,17を省くことが可能である。
【0027】
本実施の形態の好ましい一例では、開閉体厚さ方向において、多数の光線経路Rの中心と、開閉体10の中心部とを、一致又は略一致させている。
この構成によれば、多光軸センサ40の投光面40a1(又は受光面)を、開閉体10の幅方向の端面によって覆って保護することができ、ひいては、投光面40a1(又は受光面)の汚れや異物の付着、損傷等を防ぐことができる。
【0028】
また、収納部20は、
図1に示すように、開閉体10を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース21内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸22と、該巻取軸22をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機23と、制御回路50の一部である開閉体制御回路51とを備える。
【0029】
収納ケース21は、両端のサイドカバー21aや、サイドカバー21aに接続されて開閉体幅方向へ延設されたケース本体21b等によって内部が中空の直方体状に形成される。
【0030】
開閉機23は、回転式電動モータ及び制動機構等により構成される。
この開閉機23には、開閉体10の全閉位置と全開位置にて接点信号を出力する全閉全開感知部23aが設けられる。この全閉全開感知部23aは、開閉機23の回転部分の回転量が所定値になった際に接点信号を出力する機械式カウンター構造のスイッチである。
【0031】
開閉体制御回路51は、例えばマイコン等を備えた電子回路であり、予め記憶したプログラムにより機能することで、後述するように、多光軸センサ40からの入力信号を処理し、その処理結果に応じて開閉機23を制御する。
この開閉体制御回路51及び開閉機23は、収納ケース21内において、開閉体幅方向における一方寄り(図示例によれば左寄り)に配設される。
【0032】
また、ガイドレール30は、開閉体幅方向の片側と逆側で、開閉体10の幅方向端部を凹状に囲むように構成される。
このガイドレール30は、
図2に示すように、開閉体開閉方向へわたって躯体側の不動部位に固定された中空状の固定支柱31と、この固定支柱31に対し着脱可能に接続されたガイドレール本体32と、ガイドレール本体32内で抜け防止部材14を抜け出し不能に係合する内ガイドレール33とを備え、ガイドレール本体32の裏側の固定支柱31内に、ブラケット48によって多光軸センサ40を止着している。
【0033】
内ガイドレール33及び固定支柱31には、抜け防止部材14端部に対向する位置に、内ガイドレール33の底部から固定支柱31内へ貫通するように、光通過孔33b1が設けられている。
【0034】
光通過孔33b1は、多光軸センサ40の光線経路Rを通過するための貫通孔であり、多光軸センサ40を構成する各光電センサの投光面40a1(又は受光面)に臨んでいる。
【0035】
多光軸センサ40は、片側のガイドレール30内で上下方向へ延設された第一のユニット40aと、逆側のガイドレール30内で上下方向へ延設された第二のユニット40bとを備える。
これら第一のユニット40aと第二のユニット40bは、それぞれ、全閉時の開閉体10の当接対象部位G(例えば、下枠や床面、地面等)から開放方向側に所定寸法H離れて位置し、内ガイドレール33及びガイドレール本体32の裏側(固定支柱31内)に固定される。
所定寸法Hは、150~1500mmの範囲内に設定され、より好ましくは、150~500mmの範囲内に設定される。
なお、図示例以外の他例としては、第一のユニット40a及び第二のユニット40bを、開閉体10によって開閉される開口部の全高にわたって設けることも可能である。
そして、これら二つのユニット40a,40bは、上下方向に略一定の間隔を置いた多数の光線経路Rを形成する(
図1参照)。
【0036】
第一のユニット40aは、開閉体開閉方向へ長尺な立方体状のケース内に、その長手方向に略一定の間隔を置いて多数の投光器(図示せず)を有する。これら投光器は光電センサを構成するものであり、固定支柱31内の電気配線49からの電力供給を受けて、障害物感知媒体としての光(例えば赤外線)を発する。
【0037】
第二のユニット40bは、開閉体開閉方向へ長尺な立方体状のケース内に、その長手方向に略一定の間隔を置いた多数の受光器(図示せず)と、これら受光器の感知信号を処理するセンサ制御回路41とを備えている。
第二のユニット40bの各受光器と、対向する第一のユニット40aの各投光器とは、これらの間に光線経路Rを形成する光電センサを構成する。
センサ制御回路41は、前記受光器による感知信号を処理し、その処理結果としての閉動作禁止信号の出力をONにしたり、この閉動作禁止信号の出力をOFFしたりする。
【0038】
ここで、閉動作禁止信号とは、開閉体10の閉動作を禁止にするための信号である。この閉動作禁止信号は、例えば、OFF状態とON状態の間を変化する接点信号、又は有電圧信号等とすればよい。
この閉操作禁止信号がONである場合、開閉体制御回路51は、閉鎖スイッチ等による閉鎖指令があっても、開閉体10を閉動作しない。また、開閉体10の閉動作中に、閉動作禁止信号がONになった場合、開閉体制御回路51は、開閉体10の閉動作を停止する。
【0039】
第一のユニット40a側の電気配線49と、第二のユニット40b側の電気配線49は、それぞれ、ガイドレール30内の空間部を通って上方へ導かれ、収納ケース21内の開閉体制御回路51に電気的に接続される。
特に受光器を有する第二のユニット40b(一方のユニット)は、光線経路Rが遮られることにより障害物を非接触感知した際の信号を、電気配線49により開閉体制御回路51へ伝達するように構成される。そして、この第二のユニット40bは、上記一方寄り(図示の左寄り)に位置するガイドレール30内に配設されている。
この構成によれば、第二のユニット40bから出力される信号を良好に開閉体制御回路51へ伝達することができる。
すなわち、仮に図示とは逆に、第一のユニット40aを受光器側とし、この第一のユニット40aから出力される信号を他方(図示の右側)のガイドレール30内を通じて開閉体制御回路51へ伝送するようにした場合には、電気配線49が比較的長くなるため、電気抵抗の増大等に起因して感知精度が低下する可能性があるが、本実施の形態ではこのような問題を生じ難い。
【0040】
多数の光線経路Rとガイドレール30の関係について詳述すれば、ガイドレール30の底部側の光通過孔33b1は、
図3に示すように、上下方向に間隔を置いて複数設けられる。
各光通過孔33b1は、多数の光線経路Rの内の一部である複数(図示例によれば四つ)の光線経路Rを通過させるように上下方向にわたる長孔状に形成されている。
この長尺状の光通過孔33b1によれば、当該光通過孔を円形の孔とした場合と比較し、ゴミ等の異物の詰まりを低減することができる。
また、一つの長孔状の光通過孔33b1に対し複数の光線経路Rを対応させているため、上下方向の光軸合わせが容易であり生産性に優れている。
すなわち、仮に一つの光通過孔33b1に対し一つの光線経路Rを対応させた場合には、多数の光電センサについてそれぞれ光通過孔33b1と光軸を合わせる必要があり、加工精度上の問題等を生じるおそれがあるが、本実施形態によれば、このような問題を軽減して生産性を向上することができる。
【0041】
第一のユニット40a側の光通過孔33b1は、多光軸センサ40の投光器の投光面40a1の直径よりも若干大きい幅Wを有する。
すなわち、前記投光器は、光を、所定角度で広がる放射状に出射する。光通過孔33b1は、前記放射状の広がりを適度に保持するように、幅Wを設定している。
また、第二のユニット40b側の光通過孔(図示せず)も、前記光通過孔33b1と略同様に形成される。
したがって、前記投光器に対向する受光器は、その位置が製造誤差等により、開閉体厚さ方向(図示の幅W方向)へ若干ずれてしまった場合でも、前記投光器から出射される光を受光することになる。
【0042】
また、光通過孔33b1の幅Wは、開閉体10の幅方向の端面における厚み寸法X(
図2参照)よりも小さく設定されている。なお、寸法Xは、本実施の形態の一例によれば、塞ぎ部材15,16,17の厚み方向の寸法である。
この構成によれば、ブランキング制御の際に、二つの光線経路Rを、開閉体10の幅方向端部によって良好に遮ることができる。
しかも、孔幅が比較的小さいので、この光通過孔33b1に埃等の異物が付着するのを効果的に防ぐことができる。
また、光通過孔33b1の内縁等に、開閉体10の端部側が干渉するようなことを阻み、開閉体10の摺接や引っ掛かり、多光軸センサ40の投光面40a1(受光面)の損傷等を防ぐことできる。
【0043】
なお、上記実施態様によれば、内ガイドレール33及びガイドレール本体32の底壁を貫通するように、光通過孔33b1を設けたが、他例としては、図示例から抜け防止部材14及び内ガイドレール33を省いた構成において、ガイドレール本体32の底壁のみに光通過孔を設けた態様や、ガイドレール本体32の底側に光通過孔を有する別体のプレートを設けた態様等とすることも可能である。
【0044】
多光軸センサ40を構成する多数の光電センサのうち、最も閉鎖方向寄りで上下に隣接する二つの光電センサは、閉動作中の開閉体10が所定の全閉寄り位置B1に達したことを感知する全閉寄り感知部A1として機能する。
全閉寄り位置B1では、閉動作中の開閉体10の塞ぎ部材15,16,17が、全閉寄り感知部A1を覆う。
【0045】
また、多光軸センサ40を構成する多数の光電センサのうち、最も開放方向寄りで上下に隣接する二つの光電センサは、開動作中の開閉体10が全閉寄り位置B1よりも開放方向側の全開寄り位置B2に達したことを感知する全開寄り感知部A2として機能する。
全開寄り位置B2では、開動作中の開閉体10の塞ぎ部材15,16,17が、全開寄り感知部A2を覆う。
【0046】
なお、第一のユニット40aと第二のユニット40bは、投光器と受光器の関係が逆であってもよい。すなわち、第一のユニット40aに多数の受光器を設け、第二のユニット40bにそれぞれ対向する多数の投光器を設けるようにしてもよい。
さらに他例としては、一方のユニットに投光器及び受光器を設け、他方のユニットには反射板を設けて、投光器から発せられる光を反射して受光器に捕捉させるようにしてもよい。
【0047】
制御回路50は、本実施の形態の一例よれば、上述した開閉体制御回路51とセンサ制御回路41により構成され、これら二つの制御回路51の連携により、開閉装置1の動作を制御する。
なお、他例としては、この制御回路50を、単数又は三以上の制御回路から構成することも可能である。
【0048】
次に、センサ制御回路41及び開閉体制御回路51の基本動作について説明する。
【0049】
<障害物感知動作>
センサ制御回路41は、基本的な動作として、開閉体10の閉動作中、多数の光線経路Rのうち、その少なくとも一部(換言すれば一部又は全部)の光線経路Rが略同時に遮断された場合に、閉動作禁止信号をONにし、全部の光線経路Rが遮断されていない場合には、閉動作禁止信号をOFFにする。
【0050】
<開閉体感知無効動作>
センサ制御回路41は、多数の光線経路Rが、一番上のものから下側へ順番に二つずつ遮断されると、その二つずつの遮断毎に、この二つの光線経路R,Rの下側に直近する光電センサと該光電センサよりも上側に位置する全ての光電センサについてその光線経路Rの遮断の有無に拘わらず、閉動作禁止信号をOFFにする。
但し、同センサ制御回路41は、全閉寄り感知部A1である二つの光電センサの光線経路R,Rが開放方向側から閉鎖方向側へ順番に遮断された場合には、その遮断時点から所定時間(例えば約3秒)経過後に、閉動作禁止信号をONにする。
なお、他例としては、前記「所定時間(例えば約3秒)経過後」という条件を、所定距離経過後としてもよい。この場合、前記所定距離は、例えば全閉全開感知部23aにより感知してもよいし、別途設けたセンサにより感知するようにしてもよい。
【0051】
<開閉体感知無効解除>
センサ制御回路41は、多数の光電センサの光線経路Rが、一番下のものから上側へ順番に遮断状態から復帰して、全開寄り感知部A2である二つの光電センサの光線経路R,Rのみが塞ぎ部材15,16,17によって遮断された場合には、その遮断時点で閉動作禁止信号をONからOFFにする。
なお、他例としては、開閉体10の開動作中に、全ての光線経路R,Rが遮断状態から復帰した時点で、閉動作禁止信号をONからOFFにしてもよい。
【0052】
一方、開閉体制御回路51は、
図8のフローチャートに示すように、閉動作禁止信号がONであるか否かを判断し(ステップ21)、ONの場合には、開閉体10の閉動作を禁止し(ステップ22)、そうでない場合には、開閉体10の閉動作禁止状態を解除する(ステップ23)。
【0053】
<実動作中の制御例>
次に、開閉体10を全開位置と全閉位置の間で閉動作及び開動作した制御例について、
図6~
図9に示すフローチャート及びタイムチャートに沿って詳細に説明する。
【0054】
先ず、開閉体10が全開位置から閉動作し、塞ぎ部材15,16,17が多数の光線経路R内に侵入した状態で、例えば、塞ぎ部材15,16,17の下側に直近する光線経路Rよりも下側の光線経路Rが、障害物(例えば車や荷物、動物、人等)又は異物(例えばゴミや枯葉、雪、泥等)により遮られた場合には、センサ制御回路41が閉動作禁止信号をONにし、これに応じて、開閉体制御回路51が開閉体10の閉動作を停止する(
図9、P1時点)。
そして、前記障害物や異物等が除去された後に、例えば、閉操作スイッチ等による閉鎖指令があった場合には、開閉体10の閉動作が再開し(
図9、P2時点参照)、また、開放操作スイッチ等により開放指令があった場合には、開閉体10が開動作する(図示せず)。
【0055】
次に、開閉体10の閉動作中、センサ制御回路41は、全閉寄り感知部A1による感知(詳細には全閉寄り感知部A1の光線経路R,Rの遮断)があるのを待ち(
図6、ステップS1)、感知があれば(
図9、P3時点)、その時点から所定時間(約3秒)経過するのを待つ(ステップS2)。
【0056】
一方、開閉体制御回路51は、全閉全開感知部23aの信号により、開閉体10の全閉状態を認識すると、開閉体10の閉鎖動作を停止する(
図9、P4時点)。
この後、センサ制御回路41は、前記所定時間が経過したことを条件に、閉動作禁止信号をONにする(ステップS3:
図9、P5時点参照)。
【0057】
このため、開閉体制御回路51は、開閉体10の閉動作を禁止し(
図8、ステップS21~S22参照)、この閉動作禁止状態を維持する。
なお、前記所定時間は、好ましくは開閉体10が全閉寄り感知部A1を通過してから略全閉するまでの時間以上に、予め設定される。この設定後、好ましくは前記所定時間を変更可能にすればよいが、他例としては前記所定時間を変更不能にしてもよい。
【0058】
次に、開放スイッチ等により開放指令があると、開閉体制御回路51は、閉動作禁止信号のON状態を維持したまま、開閉体10の開放動作を開始する(
図9、P6参照)。
【0059】
この開動作中、センサ制御回路41は、全開寄り感知部A2による感知(詳細には全開寄り感知部A2の光線経路R,Rのみが遮断)があるのを待ち(
図7、ステップS11)、この感知があれば、次のステップS12へ処理を進める。
次に、センサ制御回路41は、全開寄り感知部A2を構成する光電センサ以外の光電センサについて光線経路Rが復帰したか否かを判断し(ステップS12)、復帰していれば、閉動作禁止信号をOFFにする(ステップS13:
図9、P7時点)。
このため、以降、開閉体制御回路51は、閉鎖スイッチ等による閉鎖指令があれば、開閉体10を閉動作させる。
【0060】
したがって、例えば、前記開動作中、開閉体10が全開寄り感知部A2に感知される前は、光線経路R中の異物や障害物等の有無に拘わらず、閉動作禁止信号がON状態に維持されるため、閉鎖スイッチの操作により開閉体10を閉動作できない。
また、開閉体10が全開寄り感知部A2に感知された後(
図9、P7時点以降)は、閉動作禁止信号がOFF状態になるため、多数の光線経路R中に異物や障害物等がなければ、閉鎖スイッチ等の操作により開閉体10を閉動作させることができる。
【0061】
また、開閉体10が全開寄り感知部A2に感知された後(
図9、P7時点以降)であっても、多数の光線経路R中に異物や障害物等があれば、閉動作禁止信号がONに維持されるので(
図9参照)、閉鎖スイッチ等の操作により開閉体10を閉動作させることはできない。
【0062】
すなわち、上記構成の開閉装置1によれば、開動作中の開閉体10が全開寄り位置B2に達するまでは、光電センサに対する異物が付着や、光線経路Rへの障害物の侵入の有無等に拘わらず、閉操作があっても開閉体10が閉動作しない。
また、全閉位置から開動作した開閉体10が、比較的低い位置(全開寄り位置B2よりも下)から閉動作することもない。
よって、良好な障害物感知制御を行って、開閉体10が障害物に接触する可能性を小さくすることができる。
【0063】
なお、停止スイッチ(図示せず)の操作による開閉体10の停止は、上記動作中、何れの時点でも可能である。
【0064】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい態様として、全閉寄り感知部A1及び全開寄り感知部A2を多光軸センサ40の一部の光電センサによって構成したが、全閉寄り感知部A1及び全開寄り感知部A2の他例としては、多光軸センサ40以外のセンサ等によって構成とすることも可能である。
【0065】
また、
図2に示すガイドレール30によれば、ガイドレール本体32を固定支柱31に対し、開閉体厚さ方向両側の止着具(ねじやボルト等)によって止着したが、他例としては、ガイドレール本体32を固定支柱31に対し、屋外側(
図2の下側)で止着具を用いずに掛止し、屋内側(
図2の上側)でのみ止着具によって止着した構造とすることも可能である。この構造によれば、防犯性及びメンテナンス性等を向上することができる。
【0066】
また、上記実施態様によれば、好ましい一例として、光通過孔33b1は、一部の光線経路Rを通過させる長尺状の孔としたが、この光通過孔33b1の他例としては、全ての光線経路Rを含むように上下方向へ長尺に形成することも可能である。
さらに、この光通過孔33b1の他例としては、切欠き状やスリット状に形成することも可能である。例えば、ガイドレール30を、その開閉体厚さ方向に分割された二部材から構成し、その一方と他方の部材に切欠部を設けて、これら二つの切欠部が合わさることで、光通過孔33b1が構成されるようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施態様によれば、好ましい一例として、光通過孔33b1を、多数の光線経路Rの内の一部である複数の光線経路Rを通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成したが、他例としては、
図10(a)に示すように、光通過孔33b1を、多数の光線経路Rの内の全部である複数の光線経路Rを通過させるように開閉体開閉方向にわたる長尺状に形成することも可能である。
この場合、さらに好ましくは、
図10(b)に示すように、この光通過孔33b1の長手方向に適宜間隔を置いて補強材33b2を設ける。この補強材33b2は、上下に隣接する投光面40a1(又は受光面)間で、光通過孔33b1の両長縁部に跨るようにしてガイドレール30に止着される。この構成によれば、ガイドレール30(詳細には内ガイドレール33やガイドレール本体32等)が長尺状の光通過孔33b1によって強度低下するのを、補強材33b2によって軽減することができる。
【0068】
また、上記実施の形態によれば、投光面40a1(又は受光面)が、開閉体幅方向における開閉体10側で外気に露出する構成としたが、他例としては、各光通過孔33b1を、透光性を有する部材(例えば板)、又は透明の部材により覆うようにしてもよい。この構成によれば、投光面40a1(又は受光面)が、汚れたり、物体当接等により損傷したり等するのを防ぐことができる。
【0069】
本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
1:開閉装置
10:開閉体
15,16,17:塞ぎ部材
20:収納部
30:ガイドレール
40:多光軸センサ
40a:第一のユニット
40b:第二のユニット
41:センサ制御回路
50:制御回路
51:開閉体制御回路
R:光線経路
A1:全閉寄り感知部
A2:全開寄り感知部
B1:全閉寄り位置
B2:全開寄り位置