IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三晃金属工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ソーラー屋根装置 図1
  • 特許-ソーラー屋根装置 図2
  • 特許-ソーラー屋根装置 図3
  • 特許-ソーラー屋根装置 図4
  • 特許-ソーラー屋根装置 図5
  • 特許-ソーラー屋根装置 図6
  • 特許-ソーラー屋根装置 図7
  • 特許-ソーラー屋根装置 図8
  • 特許-ソーラー屋根装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ソーラー屋根装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20231212BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20231212BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20231212BHJP
【FI】
E04D13/00 K
E04D13/18 ETD
H02S20/23 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023151447
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 三晃金属工業株式会社が、「ハイタフEGソーラーフレーム」という名称のリーフレット(製品カタログ)の、1頁・2頁にて、會澤義正・増田順一及び古賀雄介が発明したソーラー屋根装置について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 三晃金属工業株式会社が、三晃金属工業株式会社のウェブサイトにて、會澤義正・増田順一及び古賀雄介が発明したソーラー屋根装置について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 三晃金属工業株式会社が、「日刊鉄鋼新聞」という新聞の三面にて、會澤義正・増田順一及び古賀雄介が発明したソーラー屋根装置について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 三晃金属工業株式会社が、「日刊産業新聞」という新聞の三面にて、會澤義正・増田順一及び古賀雄介が発明したソーラー屋根装置について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 三晃金属工業株式会社が、「日刊日本金属通信」という新聞の二面にて、會澤義正・増田順一及び古賀雄介が発明したソーラー屋根装置について公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175973
【氏名又は名称】三晃金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】會澤 義正
(72)【発明者】
【氏名】増田 順一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 雄介
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224401(JP,A)
【文献】特開2014-066014(JP,A)
【文献】特開2008-014038(JP,A)
【文献】登録実用新案第3169537(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308120(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02267378(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第114108961(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱下地材と該断熱下地材の下面に配置されるデッキプレートと前記断熱下地材の上面に配置される熱融着できるシート層部からなるシート状屋根と、頂部の幅方向両側から下方に向かう傾斜状側部と両該傾斜状側部の下端より幅方向両側に形成された座板部とからなり表面側には熱融着される被覆シート部を設けたフレーム本体と,両前記傾斜状側部の上方位置に熱融着されると共に該傾斜状側部から前記座板部の外端よりも外方に亘って延在する連結シート部とからなるソーラーフレームと、該ソーラーフレームの前記頂部に配置固着するパネル架台及び太陽光パネルとを備え、前記ソーラーフレームは、前記シート状屋根上に配置され、前記座板部がシート状屋根上に固着具を介して固着され、前記連結シート部が前記シート状屋根のシート層部に熱融着され、前記ソーラーフレームの前記頂部に前記太陽光パネルは前記パネル架台を介して配置されてなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【請求項2】
請求項1に記載のソーラー屋根装置において、前記ソーラーフレームの長手方向端部が閉鎖される端部塞ぎシート部が配置され、前記ソーラーフレームの長手方向端部と前記シート状屋根は前記シート層部に熱融着によって被覆されてなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のソーラー屋根装置において、前記ソーラーフレームの前記フレーム本体は前記頂部,両前記傾斜状側部によって台形を形成してなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記ソーラーフレームの両前記座板部の下面側には両面テープが貼着されてなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記ソーラーフレームの両前記座板部の上面側に両面テープが貼着され、該両面テープを介して前記座板部の上面と前記連結シート部同士が貼着されてなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【請求項6】
請求項2において、前記ソーラーフレームの長手方向端部には開口を塞ぐ端部面戸が固着され、該端部面戸が前記端部塞ぎシート部にて被覆されてなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【請求項7】
請求項1又は2において、前記ソーラーフレームが長手方向に複数直列状に配置される場合には帯状接続シート部が備えられ、両前記ソーラーフレームの対向する端部同士が前記帯状接続シート部によって両前記頂部と両前記傾斜状側部と両前記座板部のそれぞれに熱融着にて被覆されると共に、前記帯状接続シート部の長手方向両端部はシート状屋根のシート層部に熱融着にて被覆されてなることを特徴とするソーラー屋根装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に熱融着できるシートによって上面が構成される屋根に太陽光パネルを設置する構造において屋根部分の防水性を確実に確保しつつ、施工が簡単にできるソーラー屋根装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋根に太陽光パネルを設置する建造物が増えている。通常の屋根に太陽光パネルを設置するものとして特許文献1を挙げておく。特許文献1に開示されている内容は、太陽光パネルを設置する屋根が波板等を使用したものであり、これに取付金具が使用されている。
【0003】
また、シート材に構成された建設用材によって、屋上等に防水性及び気密性等を備えた屋根が多く施工されるようになっている。特に、シート材は、主に合成樹脂を主成分とし、これに繊維又は金網等からなる部材を加えたものである。このようなシート材が断熱下地材,木材等の板材に敷設されたものを1個の建設用材とし、該建設用材を複数備え、これらを構造材上に並設し、隣接する建設用材のシート材の端部同士が熱融着されて屋根が施工されるものである。このような表面側がシート材による屋根は、その熱融着によるシート材同士の接続により屋根全面において防水性,気密性に優れた面を有するものである。このような、シート状屋根上に太陽光パネルを設置する場合には、まずシート状屋根上に架台を設置し、該架台に太陽光パネルを取り付けてゆくことが一般的なものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-163144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このとき、太陽光パネルを取り付ける架台をシート状屋根に設置するときに、架台をシート状外囲体状に固定するためにビス等の固着具を使用することになり、シート状屋根には固着具のための穿孔が形成される。そのために、太陽光パネルの架台を設置することによりシート状屋根の防水性及び気密性が損なわれるおそれが生じてしまう。
【0006】
このようなことから、従来では架台を設置するためのビス等の固着具を使用すると共にシール材,ゴム製の防水座金等の部品を使用している。しかし、太陽光パネルが設置されるような場所は、常時太陽光が強烈に照射し、照射された箇所は高温となり、前述したシール材又は防水座金は、短期間で劣化し、防水性及び気密性の性能が低くなり、防水及び気密の役目をなさなくなる。
【0007】
また、シート状屋根における太陽光パネルの架台を設置箇所に防水を施すための加工を行うこともあるが、この場合では、シート状屋根の所定位置に一旦、架台を取り付けるための比較的大きな貫通孔を形成し、ここに架台の部品を取り付け、さらにその周辺に新たなシート材を熱融着等によって、補修し、架台を設置することもある。しかしながら、このような加工は、施工時間が多くなり、またそれにつれて施工費用が高くなるという大きな問題点があった。本発明の目的は、シート状屋根の優れた防水性及び気密性を損なうことなく、このシート状屋根上に太陽光パネルを設置できるソーラー屋根装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、断熱下地材と該断熱下地材の下面に配置されるデッキプレートと前記断熱下地材の上面に配置される熱融着できるシート層部からなるシート状屋根と、頂部の幅方向両側から下方に向かう傾斜状側部と両該傾斜状側部の下端より幅方向両側に形成された座板部とからなり表面側には熱融着される被覆シート部を設けたフレーム本体と,両前記傾斜状側部の上方位置に熱融着されると共に該傾斜状側部から前記座板部の外端よりも外方に亘って延在する連結シート部とからなるソーラーフレームと、該ソーラーフレームの前記頂部に配置固着するパネル架台及び太陽光パネルとを備え、前記ソーラーフレームは、前記シート状屋根上に配置され、前記座板部がシート状屋根上に固着具を介して固着され、前記連結シート部が前記シート状屋根のシート層部に熱融着され、前記ソーラーフレームの前記頂部に前記太陽光パネルは前記パネル架台を介して配置されてなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、請求項1に記載のソーラー屋根装置において、前記ソーラーフレームの長手方向端部が閉鎖される端部塞ぎシート部が配置され、前記ソーラーフレームの長手方向端部と前記シート状屋根は前記シート層部に熱融着によって被覆されてなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のソーラー屋根装置において、前記ソーラーフレームの前記フレーム本体は前記頂部,両前記傾斜状側部によって台形を形成してなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項4の発明を、請求項1又は2において、前記ソーラーフレームの両前記座板部の下面側には両面テープが貼着されてなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1又は2において、前記ソーラーフレームの両前記座板部の上面側に両面テープが貼着され、該両面テープを介して前記座板部の上面と前記連結シート部同士が貼着されてなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項2において、前記ソーラーフレームの長手方向端部には開口を塞ぐ端部面戸が固着され、該端部面戸が前記端部塞ぎシート部にて被覆されてなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項7の発明を、請求項1又は2において、前記ソーラーフレームが長手方向に複数直列状に配置される場合には帯状接続シート部が備えられ、両前記ソーラーフレームの対向する端部同士が前記帯状接続シート部によって両前記頂部と両前記傾斜状側部と両前記座板部のそれぞれに熱融着にて被覆されると共に、前記帯状接続シート部の長手方向両端部はシート状屋根のシート層部に熱融着にて被覆されてなることを特徴とするソーラー屋根装置としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、シート状屋根の防水性及び気密性を維持しつつ、シート状屋根上に太陽光パネルが設置されたソーラー屋根装置とすることができる。太陽光パネルとすることができるものである。上記効果を詳述すると、ソーラーフレームは、フレーム本体と連結シート部とを有し、フレーム本体は、頂部の幅方向両側から下方に向かう傾斜状側部と両該傾斜状側部の下端より幅方向両側に形成された座板部とからなり、フレーム本体の表面側には熱融着される前記被覆シート部が設けられている。
【0013】
そして、前記フレーム本体には、両前記傾斜状側部の上方位置に熱融着されると共に該傾斜状側部から前記座板部の外端よりも外方に亘って延在する連結シート部が設けられている。連結シート部は傾斜段部の上方箇所にのみ熱融着接合されたもので該熱融着箇所よりも下方では、自由状態である。また、シート状屋根は、断熱下地材と該断熱下地材の下面に配置されるデッキプレートと前記断熱下地材の上面に配置される熱融着できるシート層部からなる構成である。
【0014】
そして、前記ソーラーフレームは、前記シート状屋根上に配置され、前記座板部がシート状屋根上に固着具を介して固着され、前記連結シート部が前記シート状屋根のシート層部に熱融着される。特に、前記連結シート部は、傾斜段部の上方箇所(中間箇所付近も含む)が熱融着接合されたもので該熱融着箇所よりも下方では、連結シート部は自由状態となる。これによって、連結シート部の下方部分は、自由部分となり、連結シート部の下端を上方に持ち上げることにより、連結シート部をまくり上げる状態にすることができる。
【0015】
これによって、シート状屋根に載置したソーラーフレームの座板部にビス等の固着具をねじ込んでシート状屋根にソーラーフレームを固定しようとする場合には、まくり上げられた連結シート部により、座板部が出現(露出)することとなり、座板部にビス等の固着具をねじ込みやすくすることができ、ソーラーフレームをシート状屋根上に設置固定する作業の効率を良好にすることができる。
【0016】
以上のことにより、ソーラーフレームのフレーム本体とシート状屋根とがビス等の固着具によって固着された箇所を連結シート部が覆うようにして、該連結シート部とシート状屋根のシート層部とが熱融着接合された構造となり、固着具箇所が被覆され、固着具箇所からの雨水等の浸入を防止し、ソーラーフレームはシート状屋根に対して極めて優れた防水及び気密性を有する設置構造にすることができる。
【0017】
このような構成は極めて簡単な構造であり、ソーラーフレームのシート状屋根に対する固定はビス等の固着具により強固なものにでき、さらに水密性及び気密性を確実に維持することができるものである。そして、シート状屋根上に複数のソーラーフレームを、所定間隔をおいて並設したり、さらにソーラーフレームを長手方向に直線状に連続配置することで、パネル架台及び太陽光パネルを小規模又は大規模に設置し易い構造にでき、且つ施工も簡単であり、低価格に施工できる優れた効果を奏するものである。
【0018】
また、本発明において、ソーラー屋根装置の施工する場合においては、シート状屋根上にソーラーフレームを載置し、ソーラーフレームの長手方向に沿ってソーラーフレームの連結シート部の自由部分と、シート状屋根のシート層部との熱融着する作業で、熱融着機を使用する場合に、略直線状に移動させることで、熱融着のほとんどを行うことができ、施工作業を極めて作業効率に優れたものにできる。本発明は、シート状屋根に対して何ら加工することなく、ソーラーフレームを熱融着作業にて設置することができ、さらに、ソーラーフレームをシート状屋根に設置固定するためのビス等の固着具は、常時、シート状屋根の上方から行うことができ、極めて簡単且つ迅速な施工作業にできるものである。
【0019】
請求項2の発明では、前記ソーラーフレームの長手方向端部が閉鎖される端部塞ぎシート部が配置され、前記ソーラーフレームの長手方向端部と前記シート状屋根は前記シート層部に熱融着によって被覆されてなる構成により、シート状屋根上にソーラーフレームをより一層、防水性及び気密性に優れた構造にすることができる。
【0020】
請求項3の発明では、前記ソーラーフレームの前記フレーム本体は前記頂部,両前記傾斜状側部によって台形を形成することにより、ソーラーフレームを強固な構造にし、且つ台とすることにより断面が平坦状となり、パネル架台の設置がより一層行い易くなるものである。請求項4の発明では、前記ソーラーフレームの両前記座板部の下面側には両面テープが貼着されることにより、ソーラーフレームをシート状屋根の所定の位置に配置するときの位置決めをして、ビス等の固着具にて固着する作業を行い易くできる。
【0021】
請求項5の発明では、前記ソーラーフレームの両前記座板部の上面側に両面テープが貼着され、該両面テープを介して前記座板部の上面と前記連結シート部同士が貼着されることにより、シート状屋根とソーラーフレームとの防水性及び気密性をさらに一層良好なものにできる。請求項6の発明では、前記ソーラーフレームの長手方向端部には開口を塞ぐ端部面戸が固着され、該端部面戸が前記端部塞ぎシート部にて被覆されることにより、ソーラーフレームの強度をより一層強固にできる。
【0022】
請求項7の発明では、前記ソーラーフレームが長手方向に複数直列状に配置される場合には帯状接続シート部が備えられ、両前記ソーラーフレームの対向する端部同士が前記帯状接続シート部によって両前記頂部と両前記傾斜状側部と両前記座板部に熱融着にて被覆されると共に、前記帯状接続シート部の長手方向両端部はシート状屋根のシート層部に熱融着にて被覆されてなる構成により、大規模のシート状屋根に対応する大規模な面積の太陽光パネルの設置に適した構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)は本発明の正面図、(B)は(A)の(α)部拡大図である。
図2】(A)は本発明の要部拡大縦断側面図、(B)は(A)とは異なる位置で且つソーラーフレームの長手方向に沿って配置された太陽光パネル同士の隣接する位置における要部拡大縦断側面図である。
図3】(A)は本発明の要部斜視図、(B)は(A)の(β)部拡大図である。
図4】(A)はシート状屋根にソーラーフレームを装着した状態の斜視図、(B)は(A)にパネル架台の下受部を装着した斜視図である。
図5】(A)はソーラーフレームの斜視図、(B)はソーラーフレームの縦断正面図、(C)は(B)の(γ)部拡大図である。
図6】(A)はシート状屋根上にソーラーフレームを載置しようとする斜視図、(B)は連結シート部をまくり上げて両座板部を固着具にて固定しようとす斜視図である。
図7】(A)はシート状屋根上にソーラーフレームの連結シート部を熱融着した状態の斜視図、(B)は(A)の状態でソーラーフレーム上にパネル架台を設置しようとする斜視図である。
図8】(A)乃至(F)は本発明の施工工程の略示図である。
図9】(A)はソーラーフレームの長手方向端部の仕上げ状態の斜視図、(B)は端部塞ぎシート部の平面図、(C)はソーラーフレームの長手方向における連結箇所を帯状接続シート部にて仕上げようとする状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の構成の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明では、説明を理解し易くするために方向を示す文言としてX方向及びY方向を使用する。本発明においては、ソーラーフレームAを基準として、その長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とする。また、ソーラーフレームAがシート状屋根5に設置された状態で、シート状屋根5のX方向及びY方向は、ソーラーフレームAのX方向及びY方向と一致するようにしている。長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)については、図中の主要箇所に記載した。以下に説明する本発明の構成要素では、その方向を示す基準は、全て上記X方向及びY方向に従うものとする。
【0025】
本発明のソーラー屋根装置は、主にソーラーフレームAと、シート状屋根5と、パネル架台6と、太陽光パネル7及び固着具8等とからなる(図1図2参照)。なお、前記ソーラーフレームAは、通し下地材と称することもある。本発明は、シート状屋根5上にソーラーフレームAがビス等の固着具8にて固定設置され、該固着具8をソーラーフレームAの連結シート部2と、シート状屋根5のシート層部52との熱融着接合により被覆し、ソーラーフレームA上にパネル架台6を介して太陽光パネル7を設置する構造としたものである。
【0026】
ソーラーフレームAは、フレーム本体1と連結シート部2とから構成される(図5参照)。前記フレーム本体1は、ベース部11と被覆シート部12とから構成され、前記ベース部11の上面に被覆シート部12が樹脂被覆されている〔図5(B),(C)参照〕。このベース部11表面上に被覆シート部12を樹脂被覆するには、熱融着又は接着剤等によって行われる。ベース部11は、主に金属材であり、また、被覆シート部12は熱融着可能な素材からなり、樹脂を主成分とし、これに網状の金属材及び繊維材等を具備し、強度的に補強した材質である〔図5(B),(C)参照〕。
【0027】
ベース部11は、フレーム本体1の形状を造形する骨格となるものであり、またフレーム本体1の芯となるものである。フレーム本体1は、頂部1a,傾斜状側部1b及び座板部1cを有し、前記頂部1aの幅方向(Y方向)両側から下方に向かう傾斜状側部1b,1bが形成され、両該傾斜状側部1b,1bの下端より幅方向(Y方向)両側に座板部1c,1cが形成されている〔図5(A),(B)参照〕。
【0028】
そして、頂部1aと、両傾斜状側部1b,1bとによって略台形状をなしている。そして、この略台形状としたフレーム本体1は、その上面が全て被覆シート部12であり、下面がベース部11となる。両傾斜状側部1b,1bは、上方から下方に向かって幅方向(Y方向)外方に向かって傾斜する傾斜角度を有しており、緩い傾斜角度から旧傾斜角度まで種々存在し、シート状屋根5が施工される状況に応じて決定される〔図5(A),(B)参照〕。
【0029】
ソーラーフレームAの主な寸法の一例を挙げると、高さ約90mm程度、頂部1aの幅方向(Y方向)寸法は約66mm程度、両座板部1c,1cを含めた幅方向(Y方向)寸法は約250mm程度である。また、ソーラーフレームAの形状は、略台形状としたが、略直方体又は略長方形状としてもよい。フレーム本体1は、金属製であり、具体的には溶融亜鉛・アルミニウム、マグネシウム合金メッキ鋼板等であるが、これらの材質に限定されるものではなく、一般的な鋼板でもよい。
【0030】
前記頂部1aには、後述するパネル架台6を構成する架台固定ボルト63が設けられている。該架台固定ボルト63は、ボルト部63a,座金部63b,パッキン部63c,ナット63dを備えている。架台固定ボルト63は、ソーラーフレームAの頂部1a上に後述するパネル架台6を設置するときに固定する役目をなすものである。架台固定ボルト63のボルト部63aは、頂部1aの上面より上方に向かって垂直状となるように突き出す状態でソーラーフレームAの頂部1aに装着され、頂部1aの上面と下面を挟むようにして座金部63bとパッキン部63cとが配置されている〔図1(B)参照〕。
【0031】
そして、ソーラーフレームAの頂部1aにパネル架台6の下受部61及び上押え部62が固定ボルト63のボルト部63aとナット63dを介して装着される。また、パネル架台6は、前述したように、下受部61と、上押え部62と、架台固定ボルト63を有している〔図1(B),図2参照〕。
【0032】
連結シート部2は、フレーム本体1に対して2個備わり、それぞれの連結シート部2の一部がフレーム本体1の両傾斜状側部1b,1bの上方位置から略中間位置に亘って熱融着にて接合される〔図5(A),(B)参照〕。そして、連結シート部2は、傾斜状側部1bから座板部1cの外端よりもさらに外方に突出する位置迄に亘って延在するように装着される(図5参照)。
【0033】
つまり、連結シート部2は、傾斜状側部1b及び座板部1cの面に沿うように、密着状にさせて配置したときに、連結シート部2の下方側外端が座板部1cの外端よりもさらに外方に突出する構成としている〔図5(A),(B)参照〕。したがって、連結シート部2の幅方向(Y方向)の全長は、傾斜状側部1bと座板部1cとの幅方向(Y方向)の寸法を合わせたものよりも大きくなるように設定される〔図5(B)参照〕。
【0034】
連結シート部2は、フレーム本体1の被覆シート部12と同等の材質が使用されており、連結シート部2は被覆シート部12に対して熱融着にて接合することができる。フレーム本体1の傾斜状側部1bに、連結シート部2を熱融着にて接合するには、まず、傾斜状側部1bの上方箇所に両面テープが貼着され、傾斜状側部1bの被覆シート部12に対する連結シート部2の接合のための位置合せが行われながら、被覆シート部12と連結シート部2とが熱融着される。
【0035】
また、フレーム本体1が台形状に形成される前の未成形状態における平板状の段階で連結シート部2を熱融着接合する手段も存在するが、これについては後述する。いずれの場合においても、このように、両面テープが使用されることで傾斜状側部1bの被覆シート部12に連結シート部2が正確な位置に熱融着接合される。なお、連結シート部2は、フレーム本体1に接着剤に接合しても構わない。
【0036】
連結シート部2は、フレーム本体1の傾斜状側部1bの高さ方向における上方箇所から略中間箇所に亘って熱融着接合される。これによって、連結シート部2は、その上方箇所から中間箇所の部分のみが傾斜状側部1bに熱融着にて接合されており、この熱融着箇所よりも下方の部分は自由に動かせる部分となっている〔図5(C),参照〕。連結シート部2におけるこの自由の部分は、連結シート部2の自由部分2aと称することにする。そして、前述した連結シート部2において、フレーム本体1の被覆シート部12と熱融着接合されている部分を熱融着固定部分2bと称することにする。ソーラーフレームAのY方向(幅方向)において、自は、熱融着固定部分2bよりも長く形成される。
【0037】
連結シート部2は、そのままの状態では、自由部分2aは自重によって、傾斜状側部1bと座板部1cに略沿うようにして垂れ下がる状態となる。また、連結シート部2の自由部分2aの下端を持って上方に持ち上げるようにすることで、フレーム本体1に対して連結シート部2がまくり上げられた状態にすることができる〔図5(B),図6(B)参照〕。このような構造は、後述するソーラーフレームAをシート状屋根5に設置固定する作業において極めて有効なものとなる。連結シート部2の自由部分2aがまくりあげられることによって、フレーム本体1の座板部1cが露出するようになる。
【0038】
つまり連結シート部2は、前述したように、フレーム本体1の傾斜状側部1bの上方から略中間箇所に亘って熱融着されて接合され熱融着固定部分2bとなっており、この部分はフレーム本体1と一体化されている。そして、この熱融着固定部分2bよりも下方が連結シート部2の自由部分2aであり、連結シート部2は、その上方箇所のみが傾斜状側部1bに熱融着にて接合されており、この熱融着箇所よりも下方は自由となっている〔図5(C),参照〕。
【0039】
繰り返し述べることになるが、連結シート部2の自由部分2aは、そのままの状態では、自重によって、傾斜状側部1bと座板部1cに沿うようにして垂れ下がる状態となり、また、連結シート部2の下端を持って上方に持ち上げるようにすると、フレーム本体1に対してまくり上げることができる。シート状屋根5に載置したソーラーフレームAを固定する際に、連結シート部2の自由部分2aをまくり上げることで、自由部分2aの下側に位置していた座板部1cが出現(露出)し、ソーラーフレームAをシート状屋根5に固定するためのビス等の固着具8を座板部1c上からシート状屋根5上にねじ込み易くすることができるものである〔図6(B)参照〕。なお、固着具8は穿孔時に切粉の生じ難いビス(切粉抑制ビス等)を使用することが好ましい。
【0040】
このようなソーラーフレームAを製造するには、特に図示しないが以下のとおりとする。フレーム本体1において、ベース部11が台形状に成形される前の未成形状態の長方形の金属平板材の幅方向(Y方向)両側で且つ被覆シート部12上に長方形状の連結シート部2が平行となるようにそれぞれ配置される。このとき、平板状のベース部11と連結シート部2の何れかに両面テープを貼着しておくと、ベース部11と連結シート部2との位置合わせの仮固定ができ、正確な熱融着作業が行い易くなる。そして、ベース部11の幅方向(Y方向)中心側寄りの位置と連結シート部2とが熱融着機にて熱融着接合され、熱融着固定部分2bが形成される。
【0041】
このとき、平板状のベース部11の幅方向(Y方向)両側の領域と連結シート部2とは熱融着されず自由部分2aとし、連結シート部2の自由部分2aは平板状のベース部11の幅方向(Y方向)両側でまくりあげることができるようにしておく。そして、平板状のベース部11の幅方向(Y方向)両側に連結シート部2,2を熱融着接合した状態で、ベンダー又は金型によって、未成形状態の平板状のベース部11をベンダー又は金型等によって、断面略台形状に成形し、ソーラーフレームAが製造されるものである。
【0042】
ソーラーフレームAは、通常では、フレーム本体1に連結シート部2を熱融着接合した状態で現場に搬送することが多い。また、建築現場の状況或いは作業の状況に応じて、ソーラーフレームAは、フレーム本体1と連結シート部2とが分離された状態で搬入され、現場作業の途中でフレーム本体1に連結シート部2が熱融着にて接合されることもある。なお、連結シート部2は、ソーラーフレームAの座板部1cをシート状屋根5上に固定する固着具8を被覆する役目をなすものであり、そのため、連結シート部2を連結被覆シート部2と称してもよい。
【0043】
前記ソーラーフレームAには、その長手方向(X方向)端部がそのままでは開放状態であるため、この部分が閉鎖される端部塞ぎシート部41が具備されている〔図2(A),図3(B),図9(A)等参照〕。該端部塞ぎシート部41は、前述した被覆シート部12,連結シート部2と同等の材質により形成されたものである。前記ソーラーフレームAには、その長手方向(X方向)端部がそのままでは開放状態であるため、この部分を閉鎖される端部塞ぎシート部41が備わっている。該端部塞ぎシート部41は、前述した被覆シート部12,連結シート部2と同等の材質により形成されたものである。ソーラーフレームAの長手方向(X方向)端部には開口が存在し、該開口を塞ぐための端部面戸3が固着される〔図2(A)参照〕。
【0044】
該端部面戸3は、金属製であり、前記開口と同等形状の面戸主板31を有し、該面戸主板31の頂辺及び幅方向(Y方向)両辺より前記面戸主板31と直交する固定代32が形成されている〔図2(A)参照〕。そして、端部面戸3は、ソーラーフレームAの長手方向(X方向)端部の開口箇所に配置され、端部面戸3の固定代32と、ソーラーフレームAのベース部11の内面とが接着剤の固着手段を介して装着されるものである。
【0045】
次に、端部塞ぎシート部41によってソーラーフレームAの端部面戸3の装着箇所が被覆される〔図2(A),図3(B),図9(A)参照〕。前記端部塞ぎシート部41は、ソーラーフレームAの被覆シート部12,連結シート部2等と同等である。端部塞ぎシート部41は、略「山」字状、又は略「W」字状に形成されたシート状材であり、台形状の上覆い面41aと、コ字状の下覆い面41bとを有する〔図9(B)参照〕。
【0046】
そして、上覆い面41aにて、ソーラーフレームAの頂部1a、両傾斜状側部1b,1b及び開口部を塞ぐように覆い、上覆い面41aの周囲とソーラーフレームAの頂部1a,傾斜状側部1bとを熱融着にて接合する。このとき、端部塞ぎシート部41は、ソーラーフレームAの頂部1aと傾斜状側部1bに亘って八千代折りが採用されると、収まり(仕舞)が良好となる〔図9(A)参照〕。
【0047】
また、下覆い面41bを、ソーラーフレームAの座金部63bを覆う連結シート部2と、シート状屋根5のシート層部52に熱融着にて接合する。さらに、円形状のサポートシート部43が使用されることもあり、該サポートシート部43を用いることでソーラーフレームAの長手方向(X方向)端部とシート状屋根5にて構成される隅角部を塞ぎ、防水性を高める。サポートシート部43は、前記連結シート部2と同等の材質であり、熱融着にて接合する〔図9(A)参照〕。
【0048】
シート状屋根5は、断熱下地材51と該断熱下地材の下面に配置されるデッキプレート53と前記断熱下地材51の上面に配置される熱融着できるシート層部52から構成されている〔図1(B)参照〕。シート層部52は、ソーラーフレームAの被覆シート部12,連結シート部2等と同等材質である。なお、端部塞ぎシート部41をソーラーフレームAの長手方向(X方向)端部に熱融着接合する際に、ソーラーフレームAとシート状屋根5との間に亘って最初に両面テープを貼着しておくことで、端部塞ぎシート部41を正確に位置合せすることができると共に熱融着作業時に、端部塞ぎシート部41が位置ずれすることなく、高い精度の施工ができる。
【0049】
次に、複数のソーラーフレームAが長手方向(X方向)に沿って直列状且つ直線状に配置される場合にはおいて、長手方向(X方向)に隣接するソーラーフレームA,A同士の対向する端部箇所には帯状接続シート部42が備えられ、該帯状接続シート部42によって、隣接する両ソーラーフレームA,Aの対向箇所が覆われる構成とすることもある〔図3(B)図4図9(C)参照〕。帯状接続シート部42は、連結シート部2と同等の材質である。
【0050】
そして、両前記ソーラーフレームA,Aの長手方向(X方向)に対向する端部箇所に前記帯状接続シート部42が配置され、該帯状接続シート部42が両前記頂部1aと、両前記傾斜状側部1b,1bと、両前記座板部1c,1cのそれぞれの同士と熱融着にて被覆接合される。そして、帯状接続シート部42は、ソーラーフレームAの正面より見て幅方向(Y方向)両側を覆いつつ、帯状接続シート材42の長尺方向両側がシート状屋根5のシート層部52に熱融着にて接合される。
【0051】
なお、帯状接続シート部42の熱融着作業においても、長手方向(X方向)に隣接する両ソーラーフレームA,Aの対向箇所の頂部1a,両傾斜状側部1b,1b及び両座板部1c,1cとシート状屋根5のシート層部52に予め両面テープnが貼着されることで、帯状接続シート部42の正確な位置に熱融着接合ができ且つ熱融着作業も効率的にできる。
【0052】
パネル架台6は、前述したように、下受部61と、上押え部62を有する〔図1(B),図2図3図4(B)参照〕。下受部61は、長手方向に長尺な部材で、その長手方向に直交する断面形状は略ハット形状又は凸字形状である(図2図3参照)。下受部61の上端面には、架台固定ボルト63が貫通する複数の貫通孔が所定間隔且つ等間隔をおいて一列状に配列されている。上押え部62は、前記下受部61と同様に長手方向に長尺な部材であり、架台固定ボルト63が貫通する複数の貫通孔が所定間隔且つ等間隔をおいて一列状に配列されている(図7参照)。
【0053】
そして下受部61及び上押え部62の長手方向がシート状屋根5上に複数基が並設されたソーラーフレームAの長手方向(X方向)に対して直交するようにソーラーフレームAの頂部1a上に載置される。太陽光パネル7は、長方形又は正方形の板状としたものであり、該太陽光パネル7が隣接するパネル架台6,6間に配置され、太陽光パネル7の対向する両辺がパネル架台6の嵌合下受部61と上押え部62とによって上下方向に挟持され、架台固定ボルト63のボルト部63aとナット63dによって固定される(図2参照)。
【0054】
上押え部62は、長尺方向に直交する断面略逆L字状又は平坦板状のものである。太陽光パネル7は、通常複数個が集中的にシート状屋根5上の所定位置に配置される。太陽光パネル7が多数集合する大規模なソーラー群とした場合には、その集合体の端の部分では、パネル架台6の上押え部62は、断面略逆L字状としたものが使用される〔図2(A),図7(B)参照〕。また、隣接する太陽光パネル7,7間ではパネル架台6の上押え部62は、平板状のものが使用され、隣接する太陽光パネル7,7の対向する両辺を固定する〔図2(B),図7(B)参照〕。なお、図3(A)において、パネル架台6の上押え部62の図示は、一部省略している。
【0055】
本発明では、シート状屋根5上に配置したソーラーフレームAの座板部1cを、シート状屋根5に複数本のビス等の固着具8にて固着し、該固着具8をソーラーフレームAの連結シート部2とシート状屋根5のシート層部52とを熱融着接合させることで、固着具8の周囲を完全防水構造とするものである。これによって、シート状屋根5に設置したソーラーフレームAからの雨水等の水分の流入を防止することができる。さらに、連結シート部2の自由部分2aと、フレーム本体1の傾斜状側部1b及び座板部1cの被覆シート部12との熱融着接合も行うことで、座板部1cにおける固着具8周囲に防水性を高めることができる。
【0056】
次に、本発明におけるソーラー屋根装置の施工について説明する。まず、施工工程を順序にしたがって概説する。熱融着できるシート層部52を有するシート状屋根5に、頂部1aの幅方向(Y方向)両側から下方に向かう傾斜状側部1b,1bと両該傾斜状側部1b,1bの下端より幅方向(Y方向)両側に形成された座板部1c,1cとからなり表面側には熱融着される被覆シート部12を設けたフレーム本体1と,両傾斜状側部1b,1bの上方位置に熱融着されると共に該傾斜状側部1b,1bから前記座板部1c,1cの外端よりも外方に亘って延在する連結シート部2とからなるソーラーフレームAを配置すると共に,前記連結シート部2と前記シート状屋根5のシート層部52とを熱融着し、前記ソーラーフレームAの前記頂部1aに太陽光パネル7を、パネル架台6を介して配置する。
【0057】
上記施工についてその工程に従って詳述すると、まず、断熱下地材51表面上に熱融着できるシート層部52が敷設されたシート状屋根5に、ソーラーフレームAを載置する〔図6(A),図8(B)参照〕。ここで、ソーラーフレームAの長手方向(X方向)は、シート状屋根5の流れ方向に沿うように配置することが好ましい。さらに、このときソーラーフレームAの両座板部1c,1cの下面側には両面テープnが貼着される〔図1(B),図6(A)参照〕。
【0058】
これにより、ソーラーフレームAは、シート状屋根5に対して位置決めのための仮固定がなされ、且つ該両面テープnによって、連結シート部2の自由部分2aとシート状屋根5のシート層部52との間で位置ずれすることなく熱融着作業ができる〔図6(A)参照〕。このときの両面テープnは防水性を備えたブチルテープが好適である。
【0059】
座板部1c,1cには予め貫通孔1dが穿孔されており、この貫通孔1dにビス等の固着具8を挿入し、シート状屋根5にねじ込むことで、ソーラーフレームAがシート状屋根5上に固着される〔図6(B),図8(C)参照〕。ビスとした固着具8は、金属製のデッキプレート53にねじ込まれる。これによって、ソーラーフレームAはシート状屋根5に極めて強固に固定される。
【0060】
シート状屋根5上にソーラーフレームAをビス等の固着具8にて固定するときには、まず、ソーラーフレームAの幅方向(Y方向)両側の連結シート部2の自由部分2aの下端を上方に持ち上げて、該自由部分2aをまくり上げることで、座板部1cが露出し、座板部1cの貫通孔にビスとした固着を挿入する作業が行い易くなる〔図6(B)参照〕。そして、シート状屋根5上に複数のソーラーフレームAを、所定間隔をおいて並設する。さらに、大規模なソーラーを設置するには複数のソーラーフレームA,A,…を長手方向(X方向)に直線状に連続させる。
【0061】
そして、ソーラーフレームAの連結シート部2の自由部分2aをそのまま下方に降ろし、連結シート部2の座板部1cから突出した外端部分をシート状屋根5のシート層部52に設置させ、連結シート部2の自由部分2aと、シート層部52との接触箇所を熱融着する〔図7(A),図8(E)参照〕。ここで、連結シート部2の自由部分2aと、シート層部52との熱融着作業はソーラーフレームAの長手方向(X方向)に沿って直線状に沿って行うことができる。したがって、ソーラーフレームAの長手方向(X方向)に沿う熱融着においては、自走式の熱融着機を使用して行うことで作業効率を向上させることができる。
【0062】
このようにすることで、ソーラーフレームAの座板部1cをシート状屋根5上に固着するビス等の固着具8(特にビス頭部周辺)は、連結シート部2とシート状屋根5のシート層部52との熱融着接合にて被覆された状態となり、固着具8箇所の防水性を確保する。そして、ソーラーフレームAのフレーム本体1の傾斜状側部1bと、座板部1cにおける被覆シート部12と、連結シート部2の自由部分2aにおいても、熱融着接合が行われることで、極めて高い防水性を確保できる。
【0063】
また、ソーラーフレームAの両座板部1c,1cの上面側に両面テープnが貼着され、該両面テープnを介して座板部1cの上面と連結シート部2の自由部分2a同士が貼着さることもある〔図1(B)参照〕。これによって、座板部1c,1cと自由部分2aとは熱融着が行われない部分であるが、この非熱融着箇所における自由部分2aについても座板部1c上に粘着固定され安定した状態にすることができる。
【0064】
また、ソーラーフレームAの長手方向(X方向)端部は、端部面戸3が装着され、さらに端部塞ぎシート部4によって仕上げられる。さらにソーラーフレームAの長手方向(X方向)におけるソーラーフレームA同士の接続箇所には帯状接続シート部42が設けられる。このようにして、シート状屋根5のシート層部52上に複数のソーラーフレームA,A,…が並設される。これら並設されたソーラーフレームAの頂部1a上にパネル架台6が設置され、該パネル架台に太陽光パネル7が配置される〔図7(B),図8(F)参照〕。
【符号の説明】
【0065】
A…ソーラーフレーム、1…フレーム本体、1a…頂部、1b…傾斜状側部、
1c…座板部、11…ベース部11、12…被覆シート部、2…連結シート部、
2a…自由部分、3…端部面戸、41…端部塞ぎシート部、42…帯状接続シート部、
5…シート状屋根、51…断熱下地材、52…シート層部、53…デッキプレート、
6…パネル架台、7…太陽光パネル、8…固着具、n…両面テープ。
【要約】
【目的】表面に熱融着できるシートによって構成される屋根に太陽光パネルを設置する構造において防水性を確実に確保しつつ、施工が簡単にできるソーラー屋根装置である。
【構成】断熱下地材51とデッキプレート53と熱融着できるシート層部52からなるシート状屋根5と、頂部1aと傾斜状側部1bと座板部1cとからなり表面側には熱融着される被覆シート部12を設けたフレーム本体1と,両傾斜状側部1bの上方位置に熱融着されると共に外端よりも外方に亘って延在する連結シート部2とからなるソーラーフレームAと、頂部1aに配置固着するパネル架台6及び太陽光パネル7とを備えること。ソーラーフレームAは、シート状屋根5上に配置され、座板部1cがシート状屋根5上に固着具8を介して固着され、連結シート部2がシート状屋根5のシート層部52に熱融着され、ソーラーフレームAの頂部1aに太陽光パネル7はパネル架台6を介して配置される。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9