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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】添加量管理装置および添加量管理方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20231213BHJP
   G01F 1/06 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E04G21/04
G01F1/06 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019122267
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008731
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(74)【代理人】
【識別番号】230116296
【弁護士】
【氏名又は名称】薄葉 健司
(72)【発明者】
【氏名】谷辺 徹
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-293110(JP,A)
【文献】特開昭57-017818(JP,A)
【文献】実開昭63-083617(JP,U)
【文献】特表2015-525885(JP,A)
【文献】特開2019-015113(JP,A)
【文献】特開2000-072506(JP,A)
【文献】特開2008-215867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00-21/10
G01F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の材料の圧送経路と、経路途中に上流側継手と下流側継手が設けられる液状の第二の材料の圧送経路と、添加手段とを具備する混合装置に用いられ、液状第二の材料の圧送経路内上流側に配置される継手と着脱可能な継手(入口側継手)と、流量計と、前記流量計の排出口側に設けられる排出口側継手と、を具備し、前記入口側継手と流量計の入口とが繋がっており、
添加量管理時において、
前記入口側継手と前記上流側継手とが接続され、
前記排出口側継手と前記下流側継手とが接続され、
本施工時において、
前記入口側継手と前記上流側継手との接続は外され、
前記排出口側継手と前記下流側継手との接続は外され、
前記流量計の排出口と排出口側継手との間にはフレキシブルホースが介挿され、および/または前記流量計の入口と入口側継手との間にはフレキシブルホースが介挿される
ことを特徴とする第二の材料の添加量管理装置。
【請求項2】
前記排出口側継手および/または入口側継手には、外部の洗浄装置の継手が着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の第二の材料の添加量管理装置。
【請求項3】
前記流量計は、羽根車式流量計であることを特徴とする請求項1または2記載の第二の材料の添加量管理装置。
【請求項4】
第一の材料の圧送経路と、経路途中に上流側継手と下流側継手が設けられる液状の第二の材料の圧送経路と、添加手段とを具備する混合装置に用いられ、液状第二の材料の圧送経路内上流側に配置される継手と着脱可能な継手(入口側継手)と、流量計と、前記流量計の排出口側に設けられる排出口側継手と、を具備し、前記入口側継手と流量計の入口とが繋がっており、
添加量管理時において、
前記入口側継手と前記上流側継手とが接続され、
前記排出口側継手と前記下流側継手とが接続され、
本施工時において、
前記入口側継手と前記上流側継手との接続は外され、
前記排出口側継手と前記下流側継手との接続は外される
第二の材料の添加量管理装置を用い、
第一の材料の単位時間当たりの圧送量を測定する工程と、前記第一の材料の圧送を一時停止する工程と、前記入口側継手と前記上流側継手とを接続し、前記排出口側継手と前記下流側継手とを接続する工程と、前記工程により測定した第一の材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二の材料の単位時間当たりの圧送量となるように第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整する工程と、前記第二の材料の圧送を一時停止する工程と、前記添加量管理装置を液状第二の材料の圧送経路から取り外す工程と、前記上流側継手と下流側継手とを接続し液状第二の材料の圧送経路を形成する工程と、前記第一の材料に液状第二材料を添加する工程を具備することを特徴とする第二の材料の添加量管理方法。
【請求項5】
前記流量計から得られる単位時間当たり流量が、第一の材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二の材料の単位時間当たりの圧送量となるように、第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整することを特徴とする請求項4記載の第二の材料の添加量管理方法。
【請求項6】
請求項4または5記載の第二の材料の添加量管理方法により、第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整した後、前記添加量管理装置を液状第二の材料の圧送経路から取り外し、洗浄することを特徴とする第二の材料の添加量管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の材料(以下「第一材料」という。)と液状の第二の材料(以下「液状第二材料」という。)を別々に圧送し、混合装置で第一材料と液状第二材料を混合した上で、施工箇所に混合物を充填、吹付け、打設等する際の液状第二材料の添加量を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事又は建築工事等において、第一材料と液状第二材料を別々に圧送し、混合装置で第一材料と液状第二材料を混合した上で、施工箇所に混合物を充填、吹付け、打設等により設けることが行われている。
【0003】
第一材料と液状第二材料との組み合わせとしては、例えば表1の組み合わせが例示できる。
【表1】
【0004】
第一材料と液状第二材料との混合割合、つまり第一材料に対する液状第二材料の添加率は所定の割合とすることが、混合物の性状を一定にするのに重要であり、一般に行われている。具体的には、第一材料の単位時間当たりの圧送量と液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を所定の割合とする。
【0005】
例えば、特許文献1では、第一材料をモルタル吹付材料とし、急硬剤を第二材料とし、第一材料の圧送経路および第二材料の圧送経路のそれぞれに流量計を設置し、それぞれの流量計の計測データを比例制御装置に送信し、比例制御装置の制御により所定の割合となる様に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-104258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、セメントペースト、水硬性混和材料のスラリー、又はポリマーエマルション等を流量計で測定し続けると、流量計内でセメント硬化体、混和材料の硬化体、又は樹脂が付着する等により流量計が破損してしまう、又は測定結果の誤差が大きくなるといった問題が起こる可能性がある。
【0008】
破損および測定誤差が起こり難い流量計を用いることで上記問題も回避できるが、そのような流量計は重い、又は高価であるという問題がある。流量計が重いと取り回しが難しく、施工時に作業員が重労働となる。また、工事の規模によっては高価な流量計を用いることは施工実務の観点から現実的ではない。
【0009】
なお、流量計を用いずに圧送量を調整することもできる。例えば、第一材料としてロックウールを、液状第二材料としてセメントペーストを用いる半乾式工法によるロックウール吹付け工法では、液状第二材料を容器に集めながら一定時間圧送し、そのとき溜まった液状第二材料の質量から液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を求め、液状第二材料の圧送ポンプの設定を調整した上で更に同様に液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を求め、この繰り返しにより、所定の液状第二材料の単位時間当たりの圧送量となるように調整する。
【0010】
しかしながら、流量計を用いなければ、調整に時間を要する。
【0011】
本発明は上記課題を解決するものであり、施工実務の観点から簡便に液状第二材料の添加量を管理できるとともに、所望の混合物が得られる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の第二の材料の添加量管理装置は、第一の材料の圧送経路と、液状の第二の材料の圧送経路と、添加手段とを具備する混合装置に用いられ、液状第二の材料の圧送経路内上流側に配置される継手と着脱可能な継手(入口側継手)と、流量計と、を具備し、前記入口側継手と流量計の入口とが繋がっている。
【0013】
すなわち、添加量管理装置は混合装置に対し着脱自在に設けられている。これにより、添加量管理時には装着し、本施工時には取外し、洗浄できる。これにより、液状第二材料が流量計内部に付着することを抑制できる。その結果、施工実務の観点から簡便に液状第二材料の添加量を管理できるとともに、所望の混合物が得られる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記流量計の排出口側に排出口側継手を具備し、前記排出口側継手を介して、前記液状第二の材料の圧送経路の下流側と接続可能である。
【0015】
これにより、本施工と略一致する状態で添加量管理ができ、測定精度が向上する。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記流量計の排出口と排出口側継手との間にはフレキシブルホースが介挿され、および/または前記流量計の入口と入口側継手との間にはフレキシブルホースが介挿される。
【0017】
流量計の姿勢が測定精度に影響する場合、フレキシブルホースが撓むことにより、流量計の姿勢を確保できる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記排出口側継手および/または入口側継手には、外部の洗浄装置の継手が着脱可能である。
【0019】
これにより、添加量管理装置の取外し後、ただちに洗浄できる。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記流量計は、羽根車式流量計である。
【0021】
羽根車式流量計は軽量かつ安価で簡便性を確保できる。なお、着脱自在性による短時間化とリスク抑制との相乗効果により、羽根車式流量計を液状第二材料の流量計測に適用することができる。
【0022】
上記課題を解決する本発明の第二の材料の添加量管理方法は、第一の材料の単位時間当たりの圧送量を測定する工程と、第二の材料の添加量管理装置の入口側継手と液状第二の材料の圧送経路内に配置される継手とを接続する工程と、前記工程により測定した第一の材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二の材料の単位時間当たりの圧送量となるように第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整する工程とを具備する。
【0023】
本発明において、好ましくは、前記流量計から得られる単位時間当たり流量が、第一の材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二の材料の単位時間当たりの圧送量となるように、第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整する。
【0024】
本発明において、好ましくは、第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整した後、前記添加量管理装置を液状第二の材料の圧送経路から取り外し、洗浄する。
【0025】
本発明において、好ましくは、第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整し、前記添加量管理装置を液状第二の材料の圧送経路から取り外した状態で、液状第二の材料の圧送経路を形成し、前記第一の材料に第一材料に液状第二材料を添加する。
【0026】
すなわち、添加量管理時には添加量管理装置を混合装置に装着し、本施工時には取外して洗浄できる。
【発明の効果】
【0027】
本願発明によれば、施工実務の観点から簡便に液状第二材料の添加量を管理できるとともに、所望の混合物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】混合装置および添加量管理装置の構成図
図2】添加量管理装置の使用方法の説明図
図3】添加量管理装置の洗浄方法の説明図
図4】添加量管理装置の洗浄方法の説明図(変形例)
【発明を実施するための形態】
【0029】
~構成~
まず、本発明の構成について説明する。本発明の第二の材料の添加量管理装置は、混合装置に用いられる。混合装置は、第一材料の圧送経路と、液状第二材料の圧送経路と、添加手段とを具備する。添加量管理装置は、液状第二材料の圧送経路内上流側に配置される継手と着脱可能な継手(入口側継手)と、流量計と、を具備する。入口側継手と流量計の入口とが繋がっている。
【0030】
第一材料と液状第二材料との組み合わせは特に限定されず、例えば、上記表1の組み合わせのものが好ましい例として挙げられるがそれ以外の組み合わせであってもよい。
【0031】
第一材料としては、例えば、セメント、セメントペースト、モルタル、プレミックスモルタル、コンクリート、ドライコンクリート、ロックウール等の繊維、セメントとロックウールの混合物、骨材、スラグ、ポゾラン、その他の混和材料から選ばれる1種又は2種以上が好ましい例として挙げられる。
【0032】
また、液状第二材料としては、例えば、セメントペースト、ポリマーエマルション、液状の混和材料、水、混和材料を含有するスラリー、水ガラス等のケイ酸アルカリ水溶液、液状のポリマー又はモノマーから選ばれる1種又は2種以上が好ましい例として挙げられる。これらの液状第二材料と上記の第一材料との組み合わせが好ましい例として挙げられる。
【0033】
本発明における添加手段としては、第一材料に液状第二材料を添加できるものであれば特に限定されず、例えば、特許文献1におけるY字合流管(Y字管)及びS字合流管、実公平02-31170号公報の第1図や岡三機工社製リングガン(F6シリーズ、F7シリーズ)等の合流管、実公平02-31170号公報の第4図及び第5図等の噴射ノズル等のように第一材料の圧送経路末端の排出口の内部又は外周付近に設置された液状第二材料の噴射ノズル(噴霧ノズル)等が好適な例として挙げられる。
【0034】
本発明における液状第二材料の圧送経路内上流側に配置される継手(以下「経路内継手」ということがある。)と着脱可能な継手としては、経路内継手が螺子を具備する管からなる管継手である場合は、当該螺子に螺合する管継手であり、経路内継手が日東工器社製の「マイクロカプラ」,「スモールカプラ」,「キューブカプラ」(何れも商品名)、ナスコフィッティング社製の「NS-AS型カップリング」,「NC型ナスカップミニ」,「NCRS型ナスカップS」(何れも商品名)、日本ピスコ社製の「ライトカップリング」(商品名)、アオイ社製の「カップル.A」(商品名)等のカップリング(カプラ、カップラ―)のプラグ(オス)又はソケット(メス)のときは着脱可能なカップリングのソケット又はプラグであり、経路内継手がチヨダエンジニアリング社製の「タッチコネクターファイブ」(商品名)、アオイ社製の「Z-JOINT」(商品名)、日本ピスコ社製の「チューブフィッティング」,「チューブフィッティングミニ」(何れも商品名)、SMC社製のワンタッチ管継手「KQ2」シリーズ等のワンタッチ継手の場合は当該ワンタッチ継手に合った外径の管(ホース)である。
【0035】
本発明における流量計は、入口と排出口が備わり、当該入口と排出口の間で液状第二材料の流量が測定できるものであれば良く、できれば液状第二材料の単位時間当たりの流量が測定できるものであれば好ましい。また、本発明における流量計の形式は特に限定されず、例えば、羽根車式流量計、超音波式流量計、電磁式流量計、カルマン渦式流量計、浮き子式流量計、熱式流量計、ダイヤフラム式流量計およびコリオリ式流量計が好ましい例として挙げられ、特に、羽根車式流量計は安価及び軽量でありながら精度が優れていることからより好ましい。
【0036】
本発明において、流量計の排出口側にも継手を具備し、当該排出口側の継手により、液状第二材料圧送経路内に配置した上記経路内継手の下流側の液状第二材料圧送経路と接続可能であると、液状第二材料の流量測定時と、施工時の状態が略一致することから好ましい。
【0037】
本発明において、流量計の入口側の継手と流量計の入口、及び/又は流量計の排出口側の継手と流量計の排出口は直接接続されていてもよいが、間にホース(管)を介して接続してもよい。流量計の入口側の継手と流量計の入口、及び/又は流量計の排出口側の継手と流量計の排出口の間にフレキシブルホースが接続されている、つまり、フレキシブルホースを介して接続していると、流量計の角度を一定にし易いことから好ましい。特に、流量計として羽根車式流量計を用いる場合は、羽根車式流量計(の上面)を水平に近くする(水平±30°の範囲内に収める)ことで流量計の精度が高まることから好ましい。
【0038】
本発明において、流量計の入口側の継手及び/又は流量計の排出口側の継手と、外部の洗浄装置の継手とが着脱可能であると、液状第二材料の流量測定後に、流量計内及び流量計に接続される継手内、及びホースを接続する場合のホース内を、周囲を汚さずに洗浄し易いことから好ましい。
【0039】
ここで、洗浄装置としては、流量計内、流量計の入口側の継手、流量計の排出口側の継手及びこれらに接続されているホースが洗浄可能であるものであればよく、水が収容され継手を有し該継手より内部の水を排出可能なタンク、水道の蛇口と接続され蛇口側と異なる端部に継手が配置されたホースが好ましい例として挙げられる。水が収容され継手を有し該継手より内部の水を排出可能なタンクとしては、ホースに継手を接続し内部に水を収容した噴霧器が好ましい例として挙げられる。ここで噴霧器としては、電池式噴霧器、エンジン式噴霧器、手動式噴霧器の何れでも使用可能であるが、持ち運びが手軽であることから、電池式噴霧器又は手動式噴霧器が好ましく、電池切れの心配が無いことから手動式噴霧器がより好ましい。
【0040】
洗浄装置の継手が、流量計の入口側の継手及び/又は流量計の排出口側の継手と着脱可能であれば、洗浄に用いる水で周囲を濡らすことなく流量計内等を洗浄することができる。
【0041】
洗浄した後の廃液は、廃液回収容器に集めることが、周囲を汚さずに洗浄できることから好ましい。また、流量計の入口側及び排出口側の両方に継手が備わっている場合は、洗浄装置の継手と接続していない側の継手を、廃液回収容器に繋がる継手に接続すると、洗浄時の廃液で周囲を汚すことが無いことからより好ましい。
【0042】
~管理および本施工~
次に、本発明よる管理および本施工について説明する。本施工に先立って、添加量管理を行なう。
【0043】
本発明よる第二の材料の添加量管理方法では、第一材料の単位時間当たりの圧送量を測定する工程と、上記第二の材料の添加量管理装置の入口側継手と液状第二材料の圧送経路内に配置される継手とを接続する工程と、上記工程により測定した第一材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二材料の単位時間当たりの圧送量となるように液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を調整する工程とを行なう。
【0044】
第一材料の単位時間当たりの圧送量を測定する工程は、第一材料の単位時間当たりの圧送量を測定することができれば、その方法は限定されない。例えば、第一材料を一定時間圧送し、それを袋やバケツ等の容器に回収し、その質量又は体積を求める方法、及び第一材料用の流量計を使用する方法が好ましい方法として挙げられる。第一材料がセメント、プレミックスモルタル、ドライコンクリート、ロックウール、セメントとロックウールの混合物(乾燥した混合物で、「混綿」とも呼ばれる。)等のように粉末、粉粒体、粒状、繊維状等の場合は、一定時間圧送するときに圧送する第一材料を通気性の袋に回収し、そのときの質量増加を求め、回収した第一材料の単位時間当たりの圧送量を求めることが、第一材料が舞い上がることなく容器である袋に回収できることから作業環境が良好で且つ第一材料の単位時間当たりの圧送量を誤差が少なく測定できることから好ましい。
【0045】
第二の材料の添加量管理装置の入口側継手と液状第二の材料の圧送経路内に配置される継手とを接続する工程は、当該継手の構造に合わせて行えばよい。また、混合装置の液状第二材料の圧送経路内に配置した継手の下流側に更に液状第二材料の圧送経路の一部が続いている場合は、当該継手と下流側の液状第二材料の圧送経路とを外した上で、第二材料の添加量管理装置の流量計の入口側の継手と混合装置の液状第二材料の圧送経路内に配置した継手とを接続する工程を行う。
【0046】
上記工程により測定した第一材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二材料の単位時間当たりの圧送量となるように液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を調整する工程は、第二材料の添加量管理装置の流量計の単位時間当たりの流量の表示を確認しながら液状第二材料の圧送装置の設定を調整する方法、第二材料の添加量管理装置の流量計で総流量を測定しながら一定時間液状第二材料を圧送し総流量と圧送時間から単位時間当たりの流量を求め、当該単位時間当たりの流量が目的の値になるように液状第二材料の圧送装置の設定を調整することを繰り返す方法等が好ましい例として挙げられる。第二材料の添加量管理装置の流量計の単位時間当たりの流量の表示を確認しながら液状第二材料の圧送装置の設定を調整する方法が、調整時間が短いことからより好ましい。
【0047】
また、第一材料又は液状第二材料が、セメントペースト、モルタル、コンクリート、混和材料を含有するスラリー等の液状物質(液体、スラリー、エマルション、ペースト等)を施工現場にて他の材料(粉体、粉粒体又は及び液状物質)と混合することで製造する場合は、液状物質の所定量を混合容器又はミキサに投入するときに、上記の第二材料の添加量管理装置を用いて液状物質の投入量を測定することが、液状物質と混合する他の材料との割合を所定の割合にし易いことから好ましい。
【0048】
つまり、上記の第二の材料の添加量管理装置が、混合容器又はミキサへの液状第二材料の投入量測定装置も兼ねていることが好ましい。
【0049】
第二の材料の単位時間当たりの圧送量を調整し、上記の第二の材料の添加量管理装置を液状第二材料の圧送経路から取り外した状態で、液状第二材料の圧送経路を形成し、上記第一材料に液状第二材料を添加する。これにより本施工を開始する。
【0050】
一方で、液状第二材料の圧送経路から取り外した流量計を洗浄装置に接続し、流量計内部に残っている液状第二材料を直ちに洗浄する。洗浄による廃液を廃液回収容器に集めることが好ましい。
【0051】
~実施例~
以下、図1図4を用いて実施例を詳細に説明する。
【0052】
図1は、混合装置および添加量管理装置の構成図である。添加量管理装置は混合装置に対し着脱自在に設けられている。
【0053】
混合装置は、第一材料の圧送経路(圧送管)1と、液状第二材料の圧送経路(圧送管)2と、添加手段3とを具備する。図示の例では、先端が細くなっている圧送管1の外周から貫通して先端側中心に圧送管2を導き、圧送管2先端口3付近にて液状第二材料が第一材料に添加される。圧送管2の経路途中には液状第二材料の供給/遮断を切り替える弁23が設けられている。
【0054】
さらに、圧送管2の経路途中には、継手(上流側)21と継手(下流側)22とが設けられている。継手21と継手22が接続することにより圧送管2は上流から下流まで連通可能となる。
【0055】
添加量管理装置の本体は流量計4である。たとえば、流量計4として羽根車式流量計を用いる。流量計4は入口と排出口を有する。
【0056】
図示の例では、流量計4の入口には継手41が連設されている。流量計4の排出口にはフレキシブルホース43を介して継手42が設けられている。
【0057】
図2は、添加量管理装置の使用方法の説明図である。添加量管理装置は、本施工前に混合装置に装着する。
【0058】
圧送管2において継手21と継手22との接続を外し、継手21と添加量管理装置の継手41を接続するとともに、継手22と添加量管理装置の継手42を接続する。これにより再度、圧送管2は上流から下流まで連通可能となる。この状態で、液状第二材料の添加量を管理する。
【0059】
具体的な管理方法について説明する。
【0060】
まず、圧送管1に第一材料を供給し、第一材料の単位時間当たりの圧送量を測定する。測定結果が適量範囲である場合は、圧送ポンプ(図示省略)等の供給側の設定を記憶する。このとき、圧送管2に液状第二材料を供給しない。測定後は、第一材料の供給を一時停止する。
【0061】
次いで、まず、圧送管2に液状第二材料を供給し、流量計4により、液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を測定する。このときの流量計4から得られる単位時間当たり流量が、第一材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二材料の単位時間当たりの圧送量となるように、液状第二材料の単位時間当たりの圧送量を調整する。具体的には圧送ポンプ(図示省略)等の供給側の設定を調整する。流量計4から得られる単位時間当たり流量が、第一材料の単位時間当たりの圧送量に見合う液状第二材料の単位時間当たりの圧送量となったときの、圧送ポンプ等の供給側の設定を記憶する。このとき、圧送管1に第一材料を供給しない。測定後は、液状第二材料の供給を一時停止する。これにより、調整を終了する。
【0062】
調整終了後、継手21と継手41との接続を外し、継手22と継手42との接続を外し、流量計4を含む添加量管理装置を圧送管2より取り外す。さらに、継手21と継手22とを接続する。これにより再度、圧送管2は上流から下流まで連通可能となる(図1参照)。
【0063】
記憶されている第一材料の圧送ポンプ等の供給側の設定に基づき第一材料を供給し、記憶されている液状第二材料の圧送ポンプ等の供給側の設定に基づき液状第二材料を供給し、本施工を開始する。添加手段3から所望の混合物が得られる。
【0064】
図3は、添加量管理装置の洗浄方法の説明図である。液状第二材料の圧送経路2から取り外した流量計4を直ちに洗浄する。
【0065】
洗浄装置5は吐出口に継手51を有している。継手51と添加量管理装置の継手41を接続する。フレキシブルホース43を撓ませて継手42を廃液回収容器6に向ける。すなわち、洗浄装置5も添加量管理装置を含む本システムの一構成である。
【0066】
洗浄液は、流量計4を通過して、流量計4内部に残っている液状第二材料とともに、廃液回収容器6に回収される。
【0067】
洗浄された流量計4を含む添加量管理装置を次の添加量管理に備えて保管する(図1参照)。
【0068】
図4は、添加量管理装置の洗浄方法の変形例の説明図である。廃液回収容器6は入口に継手62を有している。継手62と添加量管理装置の継手42を接続する。洗浄液は、流量計4を通過して、周囲に飛び散ることなく、廃液回収容器6に回収される。すなわち、廃液回収容器6も添加量管理装置を含む本システムの一構成である。
【0069】
すなわち、継手21は継手22と接合可能であるとともに継手41とも接合可能であり、継手22は継手21と接合可能であるとともに継手42とも接合可能であり、継手41は継手21と接合可能であるとともに継手51とも接合可能であり、継手42は継手22と接合可能であるとともに継手62とも接合可能であり、これにより着脱自在を実現する。
【0070】
~備考 本願に至る基本思想まとめ~
上記記載の通り、所望の混合物が得るためには、第一材料と液状第二材料を所定の割合とすることが重要である。
【0071】
第一材料の単位時間当たりの圧送量はある程度の増減幅が許容されるとともに、設定値と一致するように調整することは比較的手間を要する。そこで、比較的調整が容易である液状第二材料の単位時間当たりの圧送量の微調整により、配合精度を確保している。
【0072】
したがって、図示の実施例では、圧送経路1には流量計を設けず、圧送経路2に流量計4を設けて、精度のよい流量測定を行なっている。これにより微調整が可能となる。
【0073】
次に、本願発明者は流量計の形式について検討し、施工実務の観点から、軽量で安価な羽根車式流量計に着目した。しかしながら、羽根車式流量計は、破損リスクや誤差リスクの観点から、固結する液や固体粒子を含む液を含む液状第二材料の流量計測に適していない。したがって、羽根車式流量計を液状第二材料の流量計測に用いることは当業者常識に反する。
【0074】
~効果~
図示の実施例では、流量計4を含む添加量管理装置を混合装置に対し着脱自在とすることを特徴とし、これにより、下記の効果を得る。
【0075】
流量計4装着は添加量管理時のみであり(図2参照)、本施工時には取外す(図1参照)。すなわち、流量計4は一時的に短時間使用するのみである。また、流量計4の表示により流量測定することで更なる短時間化を図ることができる。短時間化により、第二材料の付着による破損リスクや誤差リスクを抑制できる。
【0076】
使用後(取り外し後)の流量計4を直ちに確実に洗浄する(図3または図4参照)ことにより、第二材料の付着による破損リスクや誤差リスクを抑制できる。
【0077】
上記のような使用時間短縮と諸リスク抑制の相乗効果により、軽量で安価な羽根車式流量計を液状第二材料の流量計測に適用することができる。
【0078】
その結果として、施工実務に即して簡便に精度のよい配合を担保し、所望の混合物を得ることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 圧送経路(第一材料)
2 圧送経路(液状第二材料)
3 添加手段
4 流量計
5 洗浄装置
6 廃液回収器
21 継手(圧送経路上流側)
22 継手(圧送経路下流側)
41 継手(添加量管理装置入口側)
42 継手(添加量管理装置排出口側)
43 フレキシブルホース
51 継手(洗浄装置)
62 継手(廃液回収器)
図1
図2
図3
図4