(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物及びセミコンティニアスマリンホース
(51)【国際特許分類】
F16L 11/08 20060101AFI20231213BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20231213BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20231213BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20231213BHJP
C08K 3/30 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F16L11/08 A
C08L7/00
C08L9/06
C08K3/04
C08K3/30
(21)【出願番号】P 2019048804
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】伊海 康一
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,F16L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むジエン系ゴムと、カーボンブラックとを含有し、
前記カーボンブラックの体積比率が14~18%であり、
150℃、面圧3.0MPaの条件下での加硫後の体積抵抗率が1.0×10
3~5.0×10
4Ω・cmである、セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
【請求項2】
前記天然ゴムと前記スチレンブタジエンゴムの質量比(天然ゴム/スチレンブタジエンゴム)が、30/70~80/20である、請求項1に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
【請求項3】
更に硫黄を含有し、
前記硫黄の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、2.5質量部以上である、請求項1又は2に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
【請求項4】
更に加硫促進剤を含有し、
前記加硫促進剤の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.5質量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
【請求項5】
更に可塑剤を含有し、
前記可塑剤がアロマ油を含み、
前記アロマ油の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、25質量部以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
【請求項6】
再生ゴムを実質的に含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物を用いて形成されるセミコンティニアスマリンホース。
【請求項8】
前記セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物を用いて形成されるゴム層Aを有する、請求項7に記載のセミコンティニアスマリンホース。
【請求項9】
更に、カバーゴム及びブレーカーゴムを有し、
前記カバーゴム、前記ゴム層A、前記ブレーカーゴムが、前記カバーゴム、前記ゴム層A、前記ブレーカーゴムの順で隣接する、請求項8に記載のセミコンティニアスマリンホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物及びセミコンティニアスマリンホースに関する。
【背景技術】
【0002】
マリンホースは、例えば、原油のような液体燃料を、海中の原油給送施設から海上のタンカーに輸送する、海上のタンカーから陸上のプラントに輸送する、又は、タンカー間で輸送する際に使用されるホースである。
【0003】
マリンホースには、一般的に、ホース本体と、導電材料で形成され、上記ホース本体の両端にそれぞれ設けられた口金とを有する形態が挙げられる。
【0004】
マリンホースの製造法として、例えば、少なくともベースホース、スポンジ層、発泡ゴム層、カバーゴム層を有するマリンホースの製造方法であって、上記ベースホースの外側にスポンジ層Aを巻き、該スポンジ層Aの外側に未加硫の発泡ゴム組成物からなる発泡ゴム層Bを巻き、さらにその外側にカバーゴム層を巻き付けて加硫するとともに、上記発泡ゴム組成物が、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムおよび再生ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分にするゴム成分100質量部に発泡剤を1.1~50質量部、発泡助剤を1.1~50質量部配合してなり、かつ加硫後の前記発泡ゴム組成物の発泡比が1.1以上であるマリンホースの製造方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、両端の口金間の電気抵抗のばらつきを抑制しつつ両端の口金間の電気抵抗を要求される範囲内とする上で有利なマリンホースの提供を目的として、少なくとも外周面が絶縁体で形成されたホース本体と、導電材料で形成され前記ホース本体の両端にそれぞれ設けられた口金と、上記ホース本体に沿って延在し上記両端の口金を電気的に接続する導電体と、を備えたマリンホースであって、上記導電体に、上記導電体の上記両端の口金間の電気抵抗を所望の範囲内とする半導電体が介設されている、マリンホースが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-209885号公報
【文献】特開2018-168942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、マリンホースとして、セミコンティニアスマリンホース(セミコンホース)が求められている。セミコンホースは、通常、25,000~1,000,000Ωの範囲の抵抗値を持つ、半導通性のマリンホースを指す。
【0008】
このようななか、本発明者は、特許文献2のようなマリンホースが折れ曲がると、両端の口金を電気的に接続する導電体(例えば、ホース本体に巻き付けられた状態の金属線)がキンクし、導電性を制御しにくい場合がありうると考えた。
このため、本発明者は、上記のような両端の口金を電気的に接続する導電体がないセミコンホースを製造するためには、セミコンホースのホース本体に抵抗値を制御した導電ゴムを導入することが不可欠であると考えた。
【0009】
本発明者はセミコンホースのホース本体に使用するために特許文献1を参考にしてゴム組成物を調製しこれを評価したところ、上記のようなゴム組成物から得られるゴムの導電性が、セミコンホースに適さない場合があることが明らかとなった。
そこで、本発明は、セミコンホースに使用するため、得られるゴムの導電性を適正に制御できるゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、導電性が適正に制御されたセミコンホースを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムのうちの少なくともいずれかを含むジエン系ゴムと、カーボンブラックとを含有し、上記カーボンブラックの体積比率が14~18%であり、体積抵抗率が1.0×103~5.0×104Ω・cmであるゴム組成物によれば、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0011】
[1] 天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムのうちの少なくともいずれかを含むジエン系ゴムと、カーボンブラックとを含有し、
上記カーボンブラックの体積比率が14~18%であり、
体積抵抗率が1.0×103~5.0×104Ω・cmである、セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[2] 上記ジエン系ゴムが、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含む、[1]に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[3] 上記天然ゴムと上記スチレンブタジエンゴムの質量比(天然ゴム/スチレンブタジエンゴム)が、30/70~80/20である、[2]に記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[4] 更に硫黄を含有し、
上記硫黄の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、2.5質量部以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[5] 更に加硫促進剤を含有し、
上記加硫促進剤の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.5質量部以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[6] 更に可塑剤を含有し、
上記可塑剤がアロマ油を含み、
上記アロマ油の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、25質量部以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[7] 再生ゴムを実質的に含まない、[1]~[6]のいずれかに記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物を用いて形成されるセミコンティニアスマリンホース。
[9] 上記セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物を用いて形成されるゴム層Aを有する、[8]に記載のセミコンティニアスマリンホース。
[10] 更に、カバーゴム及びブレーカーゴムを有し、
上記カバーゴム、上記ゴム層A、上記ブレーカーゴムが、上記カバーゴム、上記ゴム層A、上記ブレーカーゴムの順で隣接する、[9]に記載のセミコンティニアスマリンホース。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物は、セミコンティニアスマリンホースの使用に合うように、得られるゴムの導電性を適正に制御できる。
本発明のセミコンティニアスマリンホースは、セミコンティニアスマリンホースとして適正な導電性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のセミコンティニアスマリンホースの一例を、模式的に示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
【0015】
[セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物]
本発明のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物(本発明の組成物)は、
天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムのうちの少なくともいずれかを含むジエン系ゴムと、カーボンブラックとを含有し、
上記カーボンブラックの体積比率が14~18%であり、
体積抵抗率が1.0×103~5.0×104Ω・cmである、セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物である。
【0016】
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、上記ジエン系ゴム自体の電気抵抗と、カーボンブラックの体積比率による電気抵抗とのバランスによって、本発明のゴム組成物の体積抵抗率を上記特定の範囲とでき、このため、セミコンティニアスマリンホースとして要求される導電性に合うように、得られるゴムの導電性を適正に制御できると推測される。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
【0017】
<<ジエン系ゴム>>
本発明の組成物において、ジエン系ゴムは、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムのうちの少なくともいずれかを含む。
【0018】
<天然ゴム>
上記ジエン系ゴムとして使用され得る天然ゴムは、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0019】
<スチレンブタジエンゴム>
上記ジエン系ゴムとして使用され得るスチレンブタジエンゴム(SBR)は、スチレンとブタジエンとの共重合体であれば特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0020】
上記SBRの重量平均分子量は、本発明の効果により優れ、物性(例えば引張物性。以下同様)、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性(例えば組成物の混合加工性。以下同様)に優れるという観点から、3.0×105~1.0×106が好ましく、4.0×105~8.0×105がより好ましい。
上記SBRの重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定することができる。
【0021】
上記SBRのスチレン量(SBR全体に対するスチレンの含有量)は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、20.0~35.0質量%が好ましく、22.5~24.5質量%がより好ましい。
上記SBRのスチレン量は1H-NMRによって測定することができる。
【0022】
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むことが好ましい。
【0023】
上記ジエン系ゴムが天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含む場合、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、上記天然ゴムと上記スチレンブタジエンゴムの質量比(天然ゴム/スチレンブタジエンゴム)は、30/70~80/20であることが好ましく、60/40~80/20がより好ましい。
【0024】
上記ジエン系ゴムは、上記天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム以外の別のジエン系ゴムを更に含むことができる。
上記別のジエン系ゴムは特に制限されない。例えば、ブタジエンゴム、合成されたイソプレンゴム、スチレンイソプレンゴム、ブタジエンイソプレンゴム、スチレンブタジエンイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムが挙げられる。
【0025】
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、上記天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムのみを含むことが好ましい。
なお、本発明において、上記ジエン系ゴムは、再生ゴムを含まないことが好適な態様の1つとして挙げられる。
【0026】
<<カーボンブラック>>
本発明の組成物に含有されるカーボンブラック(CB)は、特に制限されない。
【0027】
上記カーボンブラックとしては、例えば、
HAF(High Abrasion Furnace)級カーボンブラック
GPF(General Purpose Furnace)級カーボンブラック、
FEF(Fast Extruding Furnace)級カーボンブラックのような各種グレードのものが挙げられる。
なかでも、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性、組成物の加工性又はCBの分散性に優れるという観点から、HAF級CBが好ましい。
【0028】
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性、組成物の加工性又はCBの分散性に優れるという観点から、25~100m2/gが好ましく、65~95m2/gがより好ましい。
本発明において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2017「ゴム用カーボンブラック-基本特性-第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
【0029】
なお、本発明において、上記カーボンブラックは、再生ゴムに由来するカーボンブラックを含まないことが好適な態様の1つとして挙げられる。
【0030】
<カーボンブラックの体積比率>
本発明において、上記カーボンブラックの体積比率は、14~18%である。
上記カーボンブラックの体積比率は、本発明の組成物全体(の体積)に対する上記カーボンブラックの体積の%比率である。
【0031】
なお、本発明において、本発明の組成物が例えば発泡剤のようなゴムを発泡させる成分を更に含有する場合を除き、硬化(加硫)前後のゴム組成物の体積はほぼ同じであるものとする。
また、ゴム組成物が加硫後に発泡体となる場合、硬化(加硫)前のゴム組成物の体積を基準にして上記カーボンブラックの体積比率を評価すればよい。
なお、本発明の組成物が更に再生ゴムを含む場合、カーボンブラックの体積比率は、再生ゴムに由来するカーボンブラックを含まない。また、本発明の組成物が更に再生ゴムを含む場合、CB体積比率の計算にあたり、本発明の組成物全体の体積は再生ゴムの全量を含むものとする。
【0032】
本発明において上記体積比率は計算値である。
20℃の条件下におけるカーボンブラックの密度を1.80g/cm3とし、本発明において使用されたカーボンブラックの重さからカーボンブラックの体積を算出した。
カーボンブラック以外の成分についても同様に、各成分の20℃の条件下における密度をもとにして、本発明において使用された各成分の重さから各成分の体積を算出した。
【0033】
上記カーボンブラックの体積比率は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性、組成物の加工性又はCBの分散性に優れるという観点から、電気抵抗の制御により優れ、機械物性に優れるという観点から、14.0~18.0%が好ましく、15.0~18.0%がより好ましく、16.5~18.0%が更に好ましい。
【0034】
<体積抵抗率>
本発明において、体積抵抗率(体積固有抵抗率)は1.0×103~5.0×104Ω・cmである。
上記体積抵抗率は、本発明の組成物を硬化(加硫)した後のゴムの体積抵抗率である。
本発明において、上記体積抵抗率は、JIS K6271-2:2015(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―電気抵抗率の求め方―第2部:平行端子電極法)に準じて、体積抵抗率計を使用して、23℃、50%RH、印加電圧500Vの条件で測定された。
【0035】
上記体積抵抗率は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、3.0×103~1.0×104Ω・cmが好ましい。
【0036】
(硫黄)
本発明の組成物は、更に硫黄を含有することが好ましい。
上記硫黄は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【0037】
上記硫黄の含有量は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、2.5質量部以上であることが好ましい。
上記硫黄の含有量はジエン系ゴム100質量部に対して5.0質量部以下とできる。
【0038】
(加硫促進剤)
本発明の組成物は、更に加硫促進剤を含有することが好ましい。
上記加硫促進剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。なかでも、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
【0039】
・加硫促進剤の含有量
上記加硫促進剤の含有量は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、1.5質量部以下であることが好ましい。
上記加硫促進剤の含有量はジエン系ゴム100質量部に対して0.5質量部以上とできる。
【0040】
(可塑剤)
本発明の組成物は、更に可塑剤を含有することが好ましい。
上記可塑剤は、ゴム組成物に使用できるものであれば特に制限されない。
上記可塑剤は、なかでも、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性、組成物の加工性又はCBの分散性に優れるという観点から、アロマ油を含むことが好ましい。
【0041】
・アロマ油
上記アロマ油は、芳香族系炭化水素を少なくとも含む。
上記アロマ油としては、例えば、ASTM D2140に準拠して求められた芳香族系炭化水素の重量百分率(CA)が15~70質量%であるものが挙げられる。
上記アロマ油としては、例えば、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)オイルが挙げられる。
【0042】
・アロマ油の含有量
上記アロマ油の含有量は、本発明の効果により優れ、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、25質量部以上であることが好ましく、25~40質量部がより好ましい。
【0043】
上記可塑剤としては、上記アロマ油以外に、例えば、ナフテン系オイル;パラフィン系オイル;ポリオレフィン;アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、オレイン酸ブチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチルが挙げられる。
可塑剤は、組成物に後から配合された成分及びジエン系ゴムに油展成分として含有された成分のいずれであってもよい。
【0044】
本発明の組成物は更に添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、ジエン系ゴム以外のゴム、樹脂、炭酸カルシウム等の白色充填剤、難燃剤、老化防止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、架橋剤、有機過酸化物、加硫助剤、酸化マグネシウム、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸が挙げられる。
【0045】
(再生ゴム)
本発明の組成物は、再生ゴムを更に含んでも含まなくてもよい。
上記再生ゴムは、使用済みの加硫ゴムを再利用したゴムを指す。再生ゴムは、JIS K6313:1999に規定されている。再生ゴムとしては、例えば、使用済みのゴム製品を粉砕及び/又は脱硫して得られたゴムが挙げられる。
【0046】
再生ゴムは、カーボンブラックを含む場合がある。
再生ゴムに含まれるカーボンブラックは、ゴムに対する一般的な配合剤としてのカーボンブラック(例えば本発明の組成物に含有される上記カーボンブラック)とは、ゴム組成物の電気伝導性に与える影響が異なることを本発明者は知見している。
上記再生ゴムに含まれるカーボンブラックによる影響としては、例えば、得られるゴムの体積固有値抵抗値のばらつきが大きいこと等が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物は、再生ゴムに由来するカーボンブラックの体積比率を、例えば、本発明の組成物の全体の体積に対して、0~5%とすることができる。
再生ゴムに由来するカーボンブラックの体積比率は、得られるゴムの体積固有値抵抗値のばらつきが小さく、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、本発明の組成物の全体の体積に対して、0~1.0%であることが好ましく、0%であることがより好ましい。
【0048】
本発明の組成物は、得られるゴムの体積固有値抵抗値のばらつきが小さく、物性、他のゴム層との接着性又は組成物の加工性に優れるという観点から、再生ゴムを実質的に含まないことが好ましい。
本発明において、「再生ゴムを実質的に含まない」とは、再生ゴムの含有量が、本発明の組成物全体に対して、0~1.0質量%であることを指す。
【0049】
(発泡剤)
本発明の組成物は、発泡剤を実質的に含まないことが好ましい。
上記発泡剤は、ゴム組成物を発泡させ得る化合物であれば特に制限されない。
本発明において、「発泡剤を実質的に含まない」とは、発泡剤の含有量が、本発明の組成物全体に対して、0~1.0質量%であることを指す。
【0050】
(ゴム組成物の製造方法)
本発明の組成物はその製造方法について特に制限されない。例えば、所定のジエン系ゴム、カーボンブラック、及び、必要に応じて使用することができる、硫黄、加硫促進剤、可塑剤、添加剤をバンバリーミキサー等で混合して、本発明の組成物を製造する方法が挙げられる。
本発明の組成物の硬化条件(加硫条件)は特に制限されない。本発明の組成物を例えば、130℃~180℃程度の条件下で加熱することによって、硬化(加硫)することができる。必要に応じて加圧してもよい。
【0051】
(用途)
本発明の組成物を用いて、例えば、セミコンティニアスマリンホース、高圧ゴムホースを形成することができる。
本発明の組成物を用いてセミコンティニアスマリンホースを形成する場合、本発明の組成物で形成する、セミコンティニアスマリンホースの構成部材は、特に制限されない。
本発明の組成物は、セミコンティニアスマリンホースにおいて、口金以外の、ホース本体を形成することができる。
本発明の組成物は、セミコンティニアスマリンホースにおけるホース本体のうち、例えば、カバーゴム、ブレーカーゴム又はチューブゴム以外の部分を構成することができる。
本発明の組成物を用いて形成されるゴム層Aが、カバーゴム及びブレーカーゴムの間にあることが好ましく、カバーゴム及びブレーカーゴムの間において両者と隣接することがより好ましい。
【0052】
[セミコンティニアスマリンホース]
本発明のセミコンティニアスマリンホース(本発明のセミコンホース)は、本発明のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物を用いて形成されるセミコンティニアスマリンホースである。
【0053】
本発明のセミコンホースに使用されるセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物は、本発明のセミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物であれば特に制限されない。
【0054】
本発明のセミコンホースとしては、例えば、ホース本体と、導電材料で形成され、上記ホース本体の両端にそれぞれ設けられた口金とを有する形態が挙げられる。
上記ホース本体は少なくともゴムによって形成することができる。
【0055】
本発明のセミコンホースは、上記セミコンティニアスマリンホース用ゴム組成物を用いて形成されるゴム層Aを有することが好ましい。ゴム層Aは上記ホース本体の少なくとも一部を形成すればよい。
【0056】
本発明のセミコンホースは、ホース本体において、上記ゴム層A以外に、更に、カバーゴム及びブレーカーゴムを有することができる。
本発明のセミコンホースは、ホース本体において、上記カバーゴム、上記ゴム層A、上記ブレーカーゴムが、上記の順で隣接することが好ましい。
【0057】
本発明のセミコンホースが、ホース本体において、上記ゴム層A以外に、更に、カバーゴム、ブレーカーゴム、チューブゴムを有する場合、上記カバーゴム、上記ゴム層A、上記ブレーカーゴム、上記チューブゴムが、上記の順で隣接することが好ましい。
【0058】
・カバーゴム
上記カバーゴムは、本発明のセミコンホースのホース部分における最外層を形成することができる。
上記カバーゴム(又は上記カバーゴムを形成するために使用されるゴム組成物)は、上記ゴム層Aとの接着性に優れるという観点から、天然ゴムを含有することが好ましい。上記天然ゴムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
上記カバーゴム(又は上記カバーゴムを形成するために使用されるゴム組成物)は、天然ゴムのほかに、天然ゴム以外のポリマー、充填剤、可塑剤、老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、加硫促進剤を更に含有することができる。
【0059】
・ブレーカーゴム
ブレーカーゴムはタイゴム(接着ゴム)として機能することができる。
ブレーカーゴムが例えばゴム層Aとチューブゴムとの間にある場合、上記ブレーカーゴムがゴム層Aとチューブゴムとを接着させることができる。
上記ブレーカーゴム(又は上記ブレーカーゴムを形成するために使用されるゴム組成物)は、上記ゴム層Aとの接着性に優れるという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とを含有することが好ましい。上記NBRは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。上記SBRも同様である。
上記ブレーカーゴム(又は上記ブレーカーゴムを形成するために使用されるゴム組成物)は、NBR、SBRのほかに、NBR、SBR以外のポリマー;CB、シリカのような充填剤;老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸;レゾルシンのような接着付与剤;可塑剤、ワックス、硫黄、加硫促進剤を更に含有することができる。
【0060】
上記ブレーカーゴムがNBR及びSBRを含む場合、物性又は他のゴム層との接着性に優れるという観点から、上記NBRと上記SBRの質量比(NBR/SBR)は、30/70~90/10であることが好ましく、60/40~85/15がより好ましい。
【0061】
上記カバーゴム(又は上記カバーゴムを形成するために使用されるゴム組成物)が天然ゴムを含有し、上記ブレーカーゴム(又は上記ブレーカーゴムを形成するために使用されるゴム組成物)がアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とスチレンブタジエンゴム(SBR)とを含有し、カバーゴム、ゴム層A、ブレーカーゴムの順で隣接する場合、本発明のセミコンホースを製造する際に、カバーゴム、ゴム層A及びブレーカーゴムの加硫速度が同じ程度になり、カバーゴムとゴム層Aとの間の接着性、及び、ゴム層Aとブレーカーゴムとの間の接着性を高くすることができ、好ましい。
【0062】
本発明のセミコンホースについて添付の図面を用いて以下に説明する。本発明は添付の図面に制限されない。
図1は、本発明のセミコンティニアスマリンホースの一例を、模式的に示す一部断面図である。
図1において、セミコンティニアスマリンホース10(セミコンホース10)は、端部に口金20を有し、口金20以外のホース本体において、カバーゴム18、ゴム層A16、ブレーカーゴム14及びチューブゴム12がこの順で隣接している。線分CLは、セミコンホース10の軸方向に伸びる中心線である。
【0063】
本発明のセミコンホースは両端部に口金を有することができる。上記口金は金属であることが好ましい。上記口金の形状は特に制限されない。
【0064】
本発明のセミコンホースの製造方法としては、例えば、チューブゴムを形成しうるゴム組成物の外側にブレーカーゴムを形成しうるゴム組成物を巻き、その外側にゴム層Aを形成する本発明の組成物を巻き、さらにその外側にカバーゴムを形成しうるゴム組成物を巻き付けて加硫することによってホース本体を形成し、上記ホース本体の両端に口金を取り付ける方法が挙げられる。
【実施例】
【0065】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
【0066】
<組成物の製造>
下記第1表の各成分及び下記第2表の共通配合を撹拌機で混合し、組成物を製造した。なお、共通配合における各成分の量はジエン系ゴム100質量部に対する配合量(単位:質量部)である。
【0067】
・カーボンブラックの体積比率
第1表におけるカーボンブラックの体積比率は、各組成物全体の体積に対する計算値である。
なお、本発明において、加硫前後において、カーボンブラックの体積比率はほぼ同じとする。
【0068】
【0069】
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム、STR-20。密度0.93g/cm3@20℃
・SBR:スチレンブタジエンゴム。商品名NIPOL1502、日本ゼオン社製。重量平均分子量5.0×105、スチレン量23.5質量%。密度0.94g/cm3@20℃
【0070】
・再生ゴム:再生ゴム中のジエン系ゴムの含有率が50質量%である再生ゴム。村岡ゴム工業社製タイヤリクレーム。再生ゴム中のカーボンブラックの含有率は25質量%。再生ゴムの密度(@20℃)1.14~1.18g/cm3(体積計算に当たってはこれを1.16g/cm3とした)。なお、再生ゴムに含まれるカーボンブラックの密度(@20℃)は1.80g/cm3とする。
【0071】
・カーボンブラック:HAF級カーボンブラック。商品名ダイヤブラックH、三菱化学社製。HAF級カーボンブラック。密度1.80g/cm3@20℃。窒素吸着比表面積79m2/g。
【0072】
・アロマ油:商品名VivaTec 500 H、H&R CHEMPHARM(THAILAND) LTD社製。芳香族系炭化水素の重量百分率(CA)26質量%。TDAEオイル。密度0.966g/cm3@20℃
【0073】
・硫黄:細井化学工業社製油処理硫黄。密度1.92g/cm3@20℃
・加硫促進剤CZ:スルフェンアミド系加硫促進剤。ノクセラーCZ-G(大内新興化学工業社製)。密度1.27g/cm3@20℃
【0074】
【0075】
第2表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製炭酸カルシウム。密度2.72g/cm3@20℃
・老化防止剤:商品名オゾノン6C、精工化学社製。密度1.05g/cm3@20℃
・ワックス:精工化学社製サンタイトR。密度0.92g/cm3@20℃
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種。密度5.6g/cm3@20℃
・ステアリン酸:NOF CORPORATION社製ステアリン酸YR。密度0.92g/cm3@20℃
【0076】
<評価>
上記のとおり製造された組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
【0077】
・引張物性(TB、EB)
上記のとおり製造された組成物を150℃、面圧2.0MPaの条件下で加硫し、厚さ2mmのゴムシートを得た。なお、加硫前後において、ゴム組成物とゴムシートの体積は同じである。
上記ゴムシートからJIS規格の3号ダンベルを打ち抜き、JIS K6251:2017に準拠して、引張速度500mm/分で引張試験を行い、破断時引張強さ(TB)[MPa]及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。
TBは大きい方が好ましい。EBも同様である。
また、実用上、TBは15.0MPa以上であることが好ましい。EBは500%以上であることが好ましい。
【0078】
・対ブレーカーゴム接着
上記のとおり製造された組成物を用いて未加硫の状態で厚さ3.0mmのゴムシートXを得た。
一方、下記第3表に示す各成分を同表に示す量(質量部)で混合し、厚さ3.0mmのゴムシートY(未加硫)を得た。
上記ゴムシートXと上記ゴムシートYとを重ね合わせて、2層のゴムシートとし、上記2層のゴムシートを150℃、面圧2.0MPaの条件下で加硫して加硫ゴムシートXYを得た。
上記加硫ゴムシートXYから2層のうちの1層を180°剥離方向に50mm/分の速度で引っ張る剥離試験を行い、剥離力(単位N/inch)を測定した。
【0079】
・・対ブレーカーゴム接着の評価基準
加硫ゴムシートXYが剥がれず、試験機のチャックに掴んだゴムが切れた場合、対ブレーカーゴム接着に非常に優れると評価し、これを「〇」と表示した。
加硫ゴムシートXYが剥がれ、加硫ゴムシートXY間の剥離力が、150N/inch以上であった場合、対ブレーカーゴム接着にやや優れると評価し、これを「△」と表示した。
加硫ゴムシートXYが剥がれ、加硫ゴムシートXY間の剥離力が、150N/inch未満であった場合、対ブレーカーゴム接着に劣ると評価し、これを「×」と表示した。
【0080】
【0081】
第3表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム。商品名NIPOL DN401、日本ゼオン社製。
・SBR:スチレンブタジエンゴム。商品名NIPOL1502、日本ゼオン社製。
【0082】
・CB:SRF級カーボンブラック。商品名HTC♯S、日鉄カーボン社製。密度1.80g/cm3@20℃。窒素吸着比表面積25m2/g。
・シリカ:商品名ニップシールAQ、東ソー・シリカ社製。
・老化防止剤:商品名ノクラック224、大内新興化学社製。
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:NOF CORPORATION社製ステアリン酸YR
・レゾルシン:1,3-ジヒドロキシベンゼン。商品名レゾルシノール、住友化学社製。
・可塑剤:DINP(ジイソノニルフタレート)、新日本理化社製。
・硫黄:細井化学工業社製油処理硫黄
・加硫促進剤:ノクセラーCZ-G(大内新興化学工業社製)
【0083】
・対カバーゴム接着
上記のとおり、第1表の各成分及び第2表の共通配合を混合して製造された組成物を用いて未加硫の状態で厚さ3.0mmのゴムシートXを得た。
一方、下記第4表に示す各成分を同表に示す量(質量部)で混合し、厚さ3.0mmのゴムシートZ(未加硫)を得た。
上記ゴムシートXと上記ゴムシートZとを重ね合わせて、2層のゴムシートとし、上記2層のゴムシートを150℃、面圧2.0MPaの条件下で加硫して加硫ゴムシートXZを得た。
上記加硫ゴムシートXZから2層のうちの1層を180°剥離方向に50mm/分の速度で引っ張る剥離試験を行い、剥離力(単位N/inch)を測定した。
【0084】
・・対カバーゴム接着の評価基準
加硫ゴムシートXZが剥がれず、試験機のチャックに掴んだゴムが切れた場合、対カバーゴム接着に非常に優れると評価し、これを「〇」と表示した。
加硫ゴムシートXZが剥がれ、加硫ゴムシートXZ間の剥離力が、150N/inch以上であった場合、対カバーゴム接着にやや優れると評価し、これを「△」と表示した。
加硫ゴムシートXZが剥がれ、加硫ゴムシートXZ間の剥離力が、150N/inch未満であった場合、対カバーゴム接着に劣ると評価し、これを「×」と表示した。
【0085】
【0086】
第4表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム、STR-20
【0087】
・CB:HAF級カーボンブラック。商品名ダイヤブラックH、三菱化学社製。HAF級カーボンブラック。密度1.80g/cm3@20℃。窒素吸着比表面積79m2/g。
・可塑剤:アロマ油。商品名Vivatec500 H、H&R CHEMPHARM(THAILAND) LTD社製。
・老化防止剤:商品名オゾノン6C、精工化学社製。
・ワックス:精工化学社製サンタイトR
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:NOF CORPORATION社製ステアリン酸YR
・硫黄:細井化学工業社製油処理硫黄
・加硫促進剤:ノクセラーCZ-G(大内新興化学工業社製)
【0088】
・体積抵抗率
上記のとおり第1表の各成分及び第2表の共通配合を混合して製造された組成物を、150℃、面圧3.0MPaの条件下で加硫し、厚さ2mmのゴムシートを得た。
上記ゴムシートの体積抵抗率は、JIS K6271-2:2015(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―電気抵抗率の求め方―第2部:平行端子電極法)に準じて、体積抵抗率計を使用して、23℃、50%RH、印加電圧500Vの条件で測定された。
本発明において、体積抵抗率が所定の範囲である場合、セミコンホースに適した導電性の制御に優れるものとする。
上記体積抵抗率は、3.0×103~1.0×104Ω・cmである場合、上記制御により優れるものとする。
【0089】
第1表に示す結果から明らかなように、カーボンブラックの体積比率が所定の範囲を超える比較例1は、得られるゴムの体積抵抗率が所定の範囲を満たさず、セミコンホースに適する導電性を制御できなかった。また、得られるゴムのEBが低かった。
カーボンブラックの体積比率が所定の範囲より小さい比較例2、3は、得られるゴムの体積抵抗率が所定の範囲を満たさず、セミコンホースに適する導電性を制御できなかった。
【0090】
これに対して、本発明の組成物は、得られるゴムの体積抵抗率が所定の範囲を満たし、セミコンホースに適する導電性を制御できた。
【0091】
硫黄の含有量が多い実施例1~2は、硫黄の含有量が少ない実施例3よりも、対ブレーカーゴム接着及び対カバーゴム接着に優れた。
加硫促進剤の含有量が少ない実施例1~2は、加硫促進剤の含有量が多い実施例4よりも、対ブレーカーゴム接着及びEBに優れた。
カーボンブラックの体積比率が高い実施例1が、実施例2よりも、セミコンホースに適した導電性の制御により優れ、TBに優れた。
再生ゴムを含有しない実施例1~4は、再生ゴムを含有する実施例5よりも、破断物性に優れた。また、実施例5の体積抵抗率のばらつきは、実施例1~4の体積抵抗率のばらつきよりも大きかった。
【符号の説明】
【0092】
10 セミコンホース(セミコンティニアスマリンホース)
12 チューブゴム
14 ブレーカーゴム
16 ゴム層A
18 カバーゴム
20 口金
CL 線分