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特許7401746レンズ駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、カメラモジュール、及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20231213BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20231213BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/04 E
G03B30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019207076
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081504
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 雄一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 憲和
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206531(JP,A)
【文献】特開2017-027017(JP,A)
【文献】特開2011-112933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/04
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに対して光軸方向に離間して配置され、レンズ部を保持するレンズホルダーと、
オートフォーカス用コイル及びオートフォーカス用マグネットを有し、前記レンズホルダーを前記ベースに対して光軸方向に移動させるオートフォーカス駆動部と、を備え、
前記オートフォーカス用コイルは、前記レンズホルダーに配置され、
前記オートフォーカス用マグネットは、直方体形状を有し、前記ベースに配置され、
前記ベースは、前記オートフォーカス用マグネットの長手方向における両端部に対応する位置に光軸方向受光側に突出して設けられ、前記オートフォーカス用マグネットを位置決めした状態で保持するマグネット保持部を有し、
前記マグネット保持部と前記レンズホルダーとは、前記光軸方向及び前記長手方向に直交する内外方向に対向する対向部分を有し、
前記対向部分を直接構造的に接続するように、ダンパー材が配置されている、
レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記オートフォーカス用コイルは、偏平形状を有し、コイル面が前記オートフォーカス用マグネットと前記内外方向に対向するように配置されている、
請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ベースは、光軸方向から見た平面視において、矩形状を有し、
前記オートフォーカス用マグネットは、前記ベースにおける対向する2辺に沿って配置され、
前記マグネット保持部は、前記ベースの四隅の近傍に設けられている、
請求項1又は2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記マグネット保持部は、前記オートフォーカス用マグネットの端部が嵌め込まれる切欠部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記マグネット保持部は、前記ダンパー材が配置されるダンパー配置部を有し、
前記ダンパー配置部は、前記内外方向に凹み、光軸方向受光側の端部から結像側に向かって形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置と、
前記レンズ駆動装置に装着されるレンズ部と、
前記レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項7】
情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項6に記載のカメラモジュールを備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス用のレンズ駆動装置、オートフォーカス機能を有するカメラモジュール、及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォン等の携帯端末には、小型のカメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うオートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)を有するレンズ駆動装置が適用される(例えば特許文献1)。
【0003】
オートフォーカス用のレンズ駆動装置は、オートフォーカス固定部(以下、「AF固定部」と称する)と、AF固定部に対して光軸方向に移動可能なオートフォーカス可動部(以下、「AF可動部」と称する)と、AF可動部を光軸方向に移動させるオートフォーカス駆動部(以下、「AF駆動部」と称する)を有する。AF可動部にレンズ部が装着される。AF駆動部は、例えば、AF可動部に配置されるオートフォーカス用コイル(以下「AF用コイル」と称する)と、AF固定部に配置されるオートフォーカス用マグネット(以下「AF用マグネット」と称する)と、を有するボイスコイルモーター(VCM)で構成される。VCMの駆動力を利用して、AF固定部に対してAF可動部を光軸方向に移動させることにより、自動的にピント合わせが行われる。なお、AF固定部にAF用コイルが配置され、AF可動部にAF用マグネットが配置される場合もある。
【0004】
VCMを利用したレンズ駆動装置では、AF可動部の移動動作を安定させるために、AF用コイルとAF用マグネットの位置関係が重要となる。特許文献1では、AF固定部を構成するカバーの側面にAF用マグネットを固定することにより、AF用マグネットの位置決めがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2018/0100987号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示のレンズ駆動装置では、AF可動部を構成するレンズホルダーに固定されたAF用コイルとAF用マグネットの位置関係は、少なくともレンズホルダーとベース間、及びベースとカバー間の取付精度の影響を受けるため、AF用コイルとAF用マグネットとの間隔が不均一になる虞がある。その結果、AF用コイルに生じる推力が不安定となり、ひいてはAF可動部の移動動作が不安定となる。
【0007】
本発明の目的は、AF可動部の移動動作の安定性を向上できるレンズ駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレンズ駆動装置は、
ベースと、
前記ベースに対して光軸方向に離間して配置され、レンズ部を保持するレンズホルダーと、
オートフォーカス用コイル及びオートフォーカス用マグネットを有し、前記レンズホルダーを前記ベースに対して光軸方向に移動させるオートフォーカス駆動部と、を備え、
前記オートフォーカス用コイルは、前記レンズホルダーに配置され、
前記オートフォーカス用マグネットは、直方体形状を有し、前記ベースに配置され、
前記ベースは、前記オートフォーカス用マグネットの長手方向における両端部に対応する位置に光軸方向受光側に突出して設けられ、前記オートフォーカス用マグネットを位置決めした状態で保持するマグネット保持部を有し、
前記マグネット保持部と前記レンズホルダーとは、前記光軸方向及び前記長手方向に直交する内外方向に対向する対向部分を有し、
前記対向部分を直接構造的に接続するように、ダンパー材が配置されている。
【0009】
本発明に係るカメラモジュールは、
上記のレンズ駆動装置と、
前記レンズ駆動装置に装着されるレンズ部と、
前記レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像部と、を備える。
【0010】
本発明に係るカメラ搭載装置は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
上記のカメラモジュールを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、AF可動部の移動動作の安定性を向上できるレンズ駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す図である。
図2図2は、カメラモジュールの外観斜視図である。
図3図3は、カメラモジュールの分解斜視図である。
図4図4は、レンズ駆動装置の上方視分解斜視図である。
図5図5は、レンズ駆動装置の下方視分解斜視図である。
図6図6は、Y方向に沿うレンズ駆動装置の断面図である。
図7図7は、AF固定部の分解斜視図である。
図8図8は、AF用マグネットの取付状態及びダンパー材の配置状態を示す平面図である。
図9図9A図9Bは、車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行う。
【0014】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。図4は、レンズ駆動装置1を光軸方向受光側から見た分解斜視図である。図5は、レンズ駆動装置1を光軸方向結像側から見た分解斜視図である。図6は、Y方向に沿うレンズ駆動装置の断面図である。なお、図4図5では、カバー24を省略して示している。
図2~5に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。レンズ駆動装置1は、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、Z方向+側が光軸方向受光側(「マクロ位置側」ともいう)、Z方向-側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
【0015】
カメラモジュールAは、略円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、AF用のレンズ駆動装置1、及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)等を備える。
【0016】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)及び撮像素子が実装されるイメージセンサー基板(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像し、光信号を電気信号に変換して画像処理等を行う制御部(図示略)に出力する。
【0017】
レンズ駆動装置1は、AF可動部10、AF固定部20、AF駆動部30、及び弾性支持部40等を備える。AF可動部10は、AF固定部20に対して径方向内側に離間して配置され、弾性支持部40によってAF固定部20と連結される。
【0018】
AF可動部10は、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分であり、AF駆動部30を構成するAF用コイル31A、31Bを有する。AF固定部20は、AF駆動部30を構成するAF用マグネット32A、32Bを有する。すなわち、レンズ駆動装置1には、AF用コイル31A、31B及びAF用マグネット32A、32Bからなるボイスコイルモーターを利用したムービングコイル方式が採用されている。
【0019】
本実施の形態では、レンズホルダー11及びAF用コイル31A、31BがAF可動部10を構成する。ベース21、AF用マグネット32A、32B、スペーサー23、及びカバー24がAF固定部20を構成する。上側弾性支持部材41及び下側弾性支持部材42A、42Bが弾性支持部40を構成する。
【0020】
レンズホルダー11は、光軸方向から見た平面視で略矩形状の筒状の部材であり、中央にレンズ収容部111を有する。レンズ収容部111には、レンズ部2(図2図3参照)が接着又は螺合により固定される。
【0021】
レンズホルダー11は、上面において、レンズ収容部111の開口周縁に沿う部位に、上側弾性支持部材41が固定される上バネ固定部112を有する。上バネ固定部112には、例えば、光軸方向受光側に突出する位置決め片(符号略)が設けられる。上バネ固定部112に設けられた位置決め片によって、上側弾性支持部材41が位置決めされる。
【0022】
また、レンズホルダー11は、下面において、レンズ収容部111の開口周縁に沿う部位に、下側弾性支持部材42A、42Bが固定される下バネ固定部113を有する。下バネ固定部113には、例えば、光軸方向結像側に突出する位置決め片(符号略)が設けられる。下バネ固定部113に設けられた位置決め片によって、下側弾性支持部材42A、42Bが位置決めされる。
【0023】
レンズホルダー11は、X方向に沿う2つの側面に、AF用コイル31A、31Bが配置されるコイル取付部114を有する。コイル取付部114は、AF用コイル31A、31Bの空芯部に対応する形状を有し、全体として長円形状(角丸長方形状)を呈する。本実施の形態では、コイル取付部114には、部分的に凹みが形成されている。また、レンズホルダー11には、AF可動部10の光軸方向の位置を検出するためのZ位置検出用マグネット51が配置される。
【0024】
レンズホルダー11は、ベース21のマグネット保持部214と対向する部位に、ダンパー配置部115を有する。ダンパー配置部115は、例えば、半円柱形状に内側に凹み、光軸方向受光側の端部から結像側に向かって形成される。
【0025】
AF用コイル31A、31Bは、ピント合わせ時に通電される扁平形の空芯コイルであり、コイル取付部114に沿って巻線される。AF用コイル31A、31Bのように、扁平形コイルを採用することにより、AF用マグネット32A、32Bによる磁気回路の部分にのみ配置することができる。したがって、レンズホルダー11の全周に巻線してAF用コイルを形成する場合に比較して駆動効率が向上するので、軽量化及び省電力化を図ることができる。
【0026】
AF用コイル31A、31Bは、長円形状を有し、それぞれ、第1の直線部311及び第2の直線部312を有する。AF用コイル31A、31Bは、コイル面が光軸と平行になるように、ここではXZ面がコイル面となるように配置される。すなわち、AF用コイル31A、31Bは、第1の直線部311が光軸方向受光側(上側)、第2の直線部312が光軸方向結像側(下側)となるように配置される。AF用コイル31A、31Bの端部は、レンズホルダー11の周面に沿って引き回され、下側弾性支持部材42A、42Bと電気的に接続される。
【0027】
AF用コイル31A、31Bは、例えば、銅線材の周囲をウレタン系樹脂のワニスで被覆したポリウレタン銅線等のエナメル線で形成される。
【0028】
ベース21は、光軸方向から見た平面視で略正方形状の部材であり、中央に円形の開口211を有する。カメラモジュールAにおいて、ベース21の光軸方向結像側に、撮像部(図示略)が配置される。
【0029】
ベース21は、四隅に、下側弾性支持部材42A、42Bが固定される下バネ固定部212を有する。下バネ固定部212は、例えば、光軸方向受光側に突出する位置決めボス(符号略)を有する。位置決めボスによって、下側弾性支持部材42A、42Bが位置決めされる。
【0030】
ベース21には、例えば、インサート成形により端子金具213が埋設される。本実施の形態では、端子金具213は、イメージセンサー基板(図示略)の電源ライン及び信号ラインと制御IC221とを電気的に接続する4つの端子金具、及び制御IC221と下側弾性支持部材42A、42Bとを接続する2つの端子金具を含む。
【0031】
本実施の形態では、ベース21は、X方向に沿う2辺(Y方向に対向する2辺)において、長手方向両側、すなわちベース21の四隅の近傍に、マグネット保持部214を有する。マグネット保持部214は、光軸方向受光側に突出して設けられ、AF用マグネット32A、32Bを位置決めして保持する。マグネット保持部214は、ベース21の強度を補強するリブとして機能する。
マグネット保持部214には、光軸方向に沿って延在するL字状の切欠部215が形成されている。切欠部215の2つの面が、AF用マグネット32A、32Bを取り付ける際の基準面となる。AF用マグネット32A、32Bは、それぞれの両端部が、マグネット保持部214に形成された切欠部215に嵌合(係合)するように配置され、位置決めされる。
【0032】
マグネット保持部214の上部には、ダンパー材を保持するダンパー配置部216が形成されている。ダンパー配置部216は、光軸方向に沿って延在しマグネット保持部214の内側に凹んで設けられる。本実施の形態では、ダンパー配置部216は、半円柱状に形成されている。なお、ダンパー配置部216の深さは、AF固定部20に対するAF可動部10の移動動作が、ダンパー材60によって妨げられない程度に設定される。本実施の形態では、ダンパー配置部216の深さは、マグネット保持部214の高さの略1/3に設定されている。
【0033】
また、ベース21は、Y方向に沿う一方の辺に起立壁217を有し、他方の辺にFPC保持部218を有する。起立壁217及びFPC保持部218は、光軸方向受光側に突出して設けられる。FPC保持部218には、制御ユニット22の実装部品(例えば、制御IC221及びバイパスコンデンサー222)が嵌め込まれる開口(符号略)が形成される。起立壁217及びFPC保持部218は、マグネット保持部214とともに、ベース21の強度を補強するリブとして機能する。
【0034】
ベース21の周面には、カバー24が取り付けられる。カバー24は、ベース21に載置された状態で、ベース21の起立壁217、ベース21に固定されたAF用マグネット32A、32B、及びベース21に装着された制御ユニット22と、例えば接着により固定される。
【0035】
AF用マグネット32A、32Bは、それぞれ、第1のマグネット321と第2のマグネット322で構成されてなる片面二極のマグネットである。第1のマグネット321及び第2のマグネット322は、内外方向に互いに逆向きに着磁されている。
【0036】
AF用マグネット32A、32Bは、それぞれ、AF用コイル31A、31Bの外側に位置する(図6参照)。AF用マグネット32A、32Bは、第1のマグネット321が光軸方向受光側に位置し、第2のマグネット322が光軸方向結像側に位置するように配置される。すなわち、第1のマグネット321がAF用コイル31A、31Bの第1の直線部311に対向し、第2のマグネット322がAF用コイル31A、31Bの第2の直線部312に対向する。
【0037】
第1のマグネット321による磁界が第1の直線部311を横切り、第2のマグネット322による磁界が第2の直線部312を横切る。第1のマグネット321による磁界の向きと第2のマグネット322による磁界の向きは逆向きなので、AF用コイル31A、31Bに通電が行われたとき、第1の直線部311と第2の直線部312には、Z方向に同じ向きのローレンツ力が発生する。このように、AF用マグネット32A、32B及びAF用コイル31A、31Bによって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。
【0038】
なお、通電時に、AF用コイル31A、31Bに生じるローレンツ力が同じ方向となるように、AF用マグネット32A、32Bにおける着磁方向及びAF用コイル31A、31Bにおける電流方向が設定される。
【0039】
第1のマグネット321と第2のマグネット322の間には、非磁性層(図示略)が介在してもよい。非磁性層の高さを調整することにより、AF用マグネット32A、32Bの全体の高さを保持しつつ、第1のマグネット321と第2のマグネット322の占める領域(第1の直線部311及び第2の直線部312と対向する対向面の面積)を容易に調整することができる。
【0040】
制御ユニット22は、制御IC221及びバイパスコンデンサー222等の電子部品を有する。制御IC221及びバイパスコンデンサー222は、プリント配線基板(符号略)に実装される。制御IC221は、レンズホルダー11に配置されたZ位置検出用マグネット51と対向するように設けられる。
【0041】
制御IC221は、ホール効果を利用して磁界の変化を検出するホール素子(図示略)を内蔵している。AF可動部10(レンズホルダー11)が光軸方向に移動すると、位置検出用マグネット51による磁界が変化する。この磁界の変化をホール素子で検出することにより、AF可動部10の光軸方向における位置が検出される。AF可動部10の移動量に比例した磁束がホール素子の検出面を交差するように、ホール素子及びZ位置検出用マグネットのレイアウトを設計することで、AF可動部10の移動量に比例したホール出力を得ることができる。
制御IC221は、内蔵されているホール素子による検出結果(ホール出力)と下側弾性支持部材42A、42Bを介して受信した制御信号に基づいて、AF用コイル31A、31Bの通電電流を制御する。
【0042】
カバー24は、光軸方向から見た平面視で正方形状の部材である。カバー24は、天面に、レンズホルダー11に装着されたレンズ部2(図2参照)に対応する形状の開口241を有する。この開口241からレンズ部2が外部に臨む。カバー24の天面(庇部)の裏側には、スペーサー23が固定される。
また、カバー24は、X方向に沿う2つの側面において、AF用マグネット32A、32Bを保持する。カバー24の側面には、接着剤を注入する樹脂注入口242が設けられている。AF用マグネット32A、32Bは、例えば接着によりカバー24の側面に固定される。なお、AF用マグネット32A、32Bの位置決めは、ベース21のマグネット保持部214によって行われる。
【0043】
カバー24は、例えば、磁性材料で形成され、ヨークとして機能してもよい。AF用マグネット32A、32Bの光軸方向受光側は、カバー24の開口241の周縁の庇部によって覆われる。カバー24及びAF用マグネット32A、32Bにより磁気回路が形成されるので、駆動効率が向上する。カバー24をヨークとして利用することにより、部品数が少なくなるので、軽量化を図ることができるとともに、組立工数を低減することができる。
【0044】
スペーサー23は、光軸方向から見た平面視で正方形状の枠部材である。スペーサー23は、カバー24の裏面側に、例えば、接着により固定される。スペーサー23は、カバー24と上側弾性支持部材41との間に介在する。
【0045】
上側弾性支持部材41は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、チタン銅、ステンレス等からなる板バネである(以下「上バネ41」と称する)。上バネ41は、AF固定部20(スペーサー23)に対してAF可動部10(レンズホルダー11)を弾性支持する。
【0046】
上バネ41は、例えば、一枚の板金を打ち抜いて成形される。上バネ41は、レンズホルダー固定部411、スペーサー固定部412、及びアーム部413を有する。レンズホルダー固定部411は、レンズホルダー11の上バネ固定部112に沿う形状を有し、位置決め片に対応する部分が切り欠かれている。スペーサー固定部412は、スペーサー23に沿う形状を有し、四隅部分の面積が大きくなっている。アーム部413は、レンズホルダー固定部411とスペーサー固定部412を連結する。アーム部413は、湾曲形状を有し、AF可動部10が移動するときに弾性変形する。
【0047】
上バネ41は、例えば、レンズホルダー固定部411の切欠部(符号略)が、レンズホルダー11の位置決め片(符号略)に係合されることにより、レンズホルダー11に対して位置決めされ、固定される。また、上バネ41は、例えば、スペーサー固定部412がスペーサー23の裏側に接着されることにより、スペーサー23に対して固定される。AF可動部10が光軸方向に移動するとき、レンズホルダー固定部411は、AF可動部10とともに変位する。
【0048】
下側弾性支持部材42A、42Bは、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる2つの板バネで構成される(以下「下バネ42A、42B」と称する)。下バネ42A、42Bは、AF固定部20(ベース21)に対してAF可動部10(レンズホルダー11)を弾性支持する。
【0049】
下バネ42A、42Bは、例えば、一枚の板金を打ち抜いて成形される。下バネ42A、42Bは、それぞれ、レンズホルダー固定部421、ベース固定部422、及びアーム部423を有する。レンズホルダー固定部421は、レンズホルダー11の下バネ固定部113に沿う形状を有する。アーム部423は、レンズホルダー固定部421とベース固定部422を連結する。アーム部423は、一部につづら折れ形状を有し、AF可動部10が移動するときに弾性変形する。
【0050】
レンズホルダー固定部421には、コイル接続部424が設けられる。コイル接続部424は、AF用コイル31A、31Bと、例えば、半田付けにより電気的に接続される。ベース固定部422は、ベース21に配置された端子金具213と、例えば、半田付けにより電気的に接続される。下バネ42A、42Bを介して、AF用コイル31A、31Bへの給電が行われる。
【0051】
下バネ42A、42Bは、例えば、レンズホルダー固定部421の固定穴(符号略)がレンズホルダー11の位置決め片(符号略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー11に対して位置決めされ、固定される。また、下バネ42A、42Bは、例えば、ベース固定部422の固定穴(符号略)に、ベース21の位置決めボス(符号略)が挿嵌されることにより、ベース21に対して位置決めされ、固定される。AF可動部10が光軸方向に移動するとき、レンズホルダー固定部421は、AF可動部10とともに変位する。
【0052】
レンズ駆動装置1において自動ピント合わせを行う場合には、AF用コイル31A、31Bに通電が行われる。AF用コイル31A、31Bに通電すると、AF用マグネット32A、32Bの磁界とAF用コイル31A、31Bに流れる電流との相互作用により、AF用コイル31A、31Bにローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、AF用マグネット32A、32Bによる磁界の方向とAF用コイル31A、31Bに流れる電流の方向に直交する方向(Z方向)である。AF用マグネット32A、32Bは固定されているので、AF用コイル31A、31Bに反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル31A、31Bを有するAF可動部10が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。
【0053】
ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部10は、例えば上側弾性支持部材41及び下側弾性支持部材42A、42Bによって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)で保持される。すなわち、AF可動部10が、上側弾性支持部材41及び下側弾性支持部材42A、42Bによって、AF固定部20に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に弾性支持される。ピント合わせを行うときには、AF可動部10を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部10の基準状態からの移動距離(ストローク)に応じて、電流の大きさが制御される。
【0054】
図8は、ベース21のマグネット保持部214の周辺を拡大して示す図である。
図8に示すように、マグネット保持部214の切欠部215の2つの面に、AF用マグネット32Aの端部が当接することで、AF用マグネット32Aは位置決めされる。
また、レンズホルダー11及びベース21のダンパー配置部115、216に囲まれた空間には、ダンパー材60が配置される。これにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、AF可動部10の移動動作の安定性が向上する。ダンパー材60は、例えば常温硬化型のシリル基ポリマー系弾性接着剤を適用でき、例えば、ディスペンサーを使用して容易に塗布することができる。
【0055】
このように、実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、ベース21と、ベース21に対して光軸方向に離間して配置され、レンズ部2を保持するレンズホルダー11と、AF用コイル31A、31B及びAF用マグネット32A、32Bを有し、レンズホルダー11をベース21に対して光軸方向に移動させるAF駆動部30と、を備える。AF用コイル31A、31Bは、レンズホルダー11に配置され、AF用マグネット32A、32Bは、ベース21に配置される。ベース21は、光軸方向受光側に突出して設けられ、AF用マグネット32A、32Bを位置決めした状態で保持するマグネット保持部214を有する。また、マグネット保持部214とレンズホルダー11との間には、不要共振を抑制するためのダンパー材60が配置されている。
【0056】
レンズ駆動装置1によれば、ベース21のマグネット保持部214によってAF用マグネット32A、32Bが位置決めされて保持されるので、AF用コイル31A、31BとAF用マグネット32A、32Bとの位置関係は、ベース21とカバー24間の取付精度の影響を受けない。これにより、AF用コイル31A、31BとAF用マグネット32A、32Bとの間隔を高精度で均一に制御することができる。
また、AF用マグネット32A、32Bの位置決めのためのマグネット保持部214を利用することで、ベース21とレンズホルダー11との間にダンパー材60を容易に配置することができ、不要共振の発生を抑制することができる。
したがって、レンズ駆動装置1によれば、AF可動部10の移動動作の安定性を向上することができる。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0058】
例えば、AF用コイルとAF用マグネットの組は、実施の形態のように2組に限定されず、1組であってもよいし、3組以上であってもよい。AF用コイルとAF用マグネットの組を複数組配置する場合は、光軸に関して互いに点対称となるように配置するのが好ましい。これにより、ピント合わせ時の安定性が向上する。また、AF用マグネット32A、32Bは、第1のマグネット321及び第2のマグネット322が一体で構成されていてもよく、別体に積層されていてもよい。
【0059】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置として、スマートフォンを例に挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0060】
図9A図9Bは、カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図9Aは自動車Vの正面図であり、図9Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図9A図9Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 レンズ駆動装置
2 レンズ部
10 AF可動部
11 レンズホルダー
20 AF固定部
21 ベース
30 AF駆動部
31A、31B AF用コイル(オートフォーカス用コイル)
32A、32B AF用マグネット(オートフォーカス用マグネット)
40 弾性支持部
41 上側弾性支持部材
42 下側弾性支持部材
M スマートフォン(カメラ搭載装置)
A カメラモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9