(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20231213BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20231213BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20231213BHJP
C08F 8/30 20060101ALI20231213BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K3/00
C08L29/04 C
C08F8/30
B60C1/00 A
(21)【出願番号】P 2020016853
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100181179
【氏名又は名称】町田 洋一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197295
【氏名又は名称】武藤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 悠一郎
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-211316(JP,A)
【文献】特開2013-047291(JP,A)
【文献】特公昭42-026692(JP,B1)
【文献】特開2018-043241(JP,A)
【文献】特開平09-188858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムと、無機充填剤と、特定ポリマーとを含有し、
前記特定ポリマーが、長鎖アルキル基で変性されたポリビニルアルコールである長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールであり、前記長鎖アルキル基が炭素数5以上のアルキル基であり、
前記無機充填剤の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以上であり、
前記特定ポリマーの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上である、ゴム組成物。
【請求項2】
前記特定ポリマーが、ポリビニルアルコールと長鎖アルキルイソシアネートとを反応させたものであり、
前記長鎖アルキルイソシアネートが、炭素数5以上のアルキル基を有する単官能イソシアネートである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコールのケン化率が、0モル%超98モル%未満である、請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記長鎖アルキルイソシアネートが、炭素数5~24のアルキル基を有する単官能イソシアネートである、請求項2又は3に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記ポリビニルアルコールが有する水酸基に対する前記長鎖アルキルイソシアネートが有するイソシアネート基の当量比である[NCO]/[OH]が、0.5~1.5である、請求項2~4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が、-50℃以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて製造された、スタッドレスタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びスタッドレスタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッドレスタイヤのタイヤトレッド部に用いられるゴム組成物として、ジエン系ゴムと無機充填剤とを含有するゴム組成物が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、求められる安全レベルの向上に伴い、スタッドレスタイヤに対して、氷上性能のさらなる向上が求められている。
このようななか、本発明者が特許文献1を参考にゴム組成物を調製し、その性能を評価したところ、今後さらに高まるであろう要求を考慮するとさらなる改善が望ましいことが明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、タイヤにしたときに氷上性能に優れるゴム組成物、並びに、上記ゴム組成物を用いて製造されたスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定のポリマーを配合することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1) ジエン系ゴムと、無機充填剤と、特定ポリマーとを含有し、
上記特定ポリマーが、長鎖アルキル基で変性されたポリビニルアルコールである長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールであり、上記長鎖アルキル基が炭素数5以上のアルキル基であり、
上記無機充填剤の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以上であり、
上記特定ポリマーの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上である、ゴム組成物。
(2) 上記特定ポリマーが、ポリビニルアルコールと長鎖アルキルイソシアネートとを反応させたものであり、
上記長鎖アルキルイソシアネートが、炭素数5以上のアルキル基を有する単官能イソシアネートである、上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 上記ポリビニルアルコールのケン化率が、0モル%超98モル%未満である、上記(2)に記載のゴム組成物。
(4) 上記長鎖アルキルイソシアネートが、炭素数5~24のアルキル基を有する単官能イソシアネートである、上記(2)又は(3)に記載のゴム組成物。
(5) 上記ポリビニルアルコールが有する水酸基に対する上記長鎖アルキルイソシアネートが有するイソシアネート基の当量比である[NCO]/[OH]が、0.5~1.5である、上記(2)~(4)のいずれかに記載のゴム組成物。
(6) 上記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が、-50℃以下である、上記(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物。
(7) 上記(1)~(6)のいずれかに記載のゴム組成物を用いて製造された、スタッドレスタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
以下に示すように、本発明によれば、タイヤにしたときに氷上性能に優れるゴム組成物、並びに、上記ゴム組成物を用いて製造されたスタッドレスタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のスタッドレスタイヤの実施態様の一例の部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明のゴム組成物及び上記ゴム組成物を用いて製造されたスタッドレスタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明のゴム組成物が含有する各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、タイヤにしたとき氷上性能に優れることを単に「氷上性能に優れる」とも言う。
また、氷上性能が優れることを「本発明の効果が優れる」とも言う。
【0011】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、
ジエン系ゴムと、無機充填剤と、特定ポリマーとを含有し、
上記特定ポリマーが、長鎖アルキル基で変性されたポリビニルアルコールである長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールであり、上記長鎖アルキル基が炭素数5以上のアルキル基であり、
上記無機充填剤の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以上であり、
上記特定ポリマーの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上である、ゴム組成物である。
【0012】
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
【0013】
上述のとおり、本発明の組成物は、長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールである特定ポリマーを含有する。そのため、特定ポリマーの長鎖アルキル基が軟質性及び撥水性を向上させ、結果として、本発明の組成物は優れた氷上性能を示すものと推測される。ここで、特定ポリマーはポリビニルアルコールを主鎖骨格とするポリマーであるため、ジエン系ゴムと相溶し、上述した効果が十分に発現されるものと推測される。このことは、後述する比較例に示されるように、低分子である長鎖アルキルイソシアネートを単に配合しただけでは十分な効果が得られないことからも推測される。
【0014】
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
【0015】
〔ジエン系ゴム〕
上述のとおり、本発明の組成物はジエン系ゴムを含有する。本発明の組成物は1種のジエン系ゴムを含有するのでも2種以上のジエン系ゴムを含有するのでもよい。
【0016】
<具体例>
上記ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0017】
<平均Tg>
上記ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度(平均Tg)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、-50℃以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度とは、ゴム組成物が1種のジエン系ゴムを含有する場合、そのジエン系ゴムのガラス転移温度を意味し、ゴム組成物が2種以上のジエン系ゴムを含有する場合、各ジエン系ゴムのガラス転移温度(Tg)に各ジエン系ゴムの質量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の加重平均値)を意味する。例えば、後述する実施例1の場合、ジエン系ゴムとして、天然ゴム(Tg:-62℃)55質量部とブタジエンゴム(Tg:-105℃)45質量部とを含有するため、ジエン系ゴムの平均Tgは-81℃(=(-62℃)×(55/(55+45))+(-105℃)×(45/(55+45))である。
【0018】
上記ジエン系ゴムの平均Tgは、本発明の効果がさらに優れる理由から、-60℃以下であることが好ましく、-70℃以下であることがより好ましく、-80℃以下であることがさらに好ましい。上記平均Tgの上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、-150℃以上であることが好ましく、-100℃以上であることがより好ましい。
【0019】
<分子量>
上記ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100,000~5,000,000であることが好ましく、200,000~3,000,000であることがより好ましく、300,000~2,000,000であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値である。
【0020】
<好適な態様>
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、天然ゴムとブタジエンゴムとを含むのが好ましく、天然ゴム及びブタジエンゴムのみからなるのがより好ましい。
【0021】
上記ジエン系ゴム中の天然ゴムの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、20~80質量%であることが好ましく、40~60質量%であることがより好ましい。
【0022】
上記ジエン系ゴム中のブタジエンゴムの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、30~80質量%であることが好ましく、35~70質量%であることが好ましく、40~60質量%であることがさらに好ましい。
【0023】
上記ジエン系ゴム中の天然ゴムとブタジエンゴムの合計の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上記合計の含有量の上限は特に制限されず、100質量%である。
【0024】
上記ジエン系ゴムが天然ゴム及びブタジエンゴム以外のジエン系ゴムを含有する場合、その含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0~30質量%であることが好ましい。
【0025】
〔無機充填剤〕
本発明の組成物に含有される無機充填剤は特に制限されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、層状又は板状粘土鉱物、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムなどの無機充填剤が挙げられ、こちらのうち1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、カーボンブラックは無機充填剤に該当しないものとする。
【0026】
<シリカ>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、無機充填剤としてシリカを含有するのが好ましい。
上記シリカは特に制限されないが、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、湿式シリカが好ましい。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
シリカのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)吸着比表面積は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100~300m2/gであることが好ましく、150~200m2/gであることがより好ましい。なお、本明細書において、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
【0027】
<含有量>
本発明の組成物において、無機充填剤(特にシリカ)の含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、20質量部以上である。上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、150質量部以下であることが好ましい。無機充填剤の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、50~100質量部であることが好ましい。
【0028】
〔特定ポリマー〕
上記特定ポリマーは、長鎖アルキル基で変性されたポリビニルアルコールである長鎖アルキル変性ポリビニルアルコールである。ここで、上記長鎖アルキル基は炭素数5以上のアルキル基である。
上記特定ポリマーは、本発明の効果がより優れる理由から、ポリビニルアルコールの水酸基が炭素数5以上のアルキル基(長鎖アルキル基)で変性されたものであることが好ましい。
【0029】
<長鎖アルキル基>
上述のとおり、上記長鎖アルキル基は炭素数5以上のアルキル基である。
上記長鎖アルキル基は、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数5~24のアルキル基であることが好ましく、炭素数10~20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数18のアルキル基であることがさらに好ましい。
上記長鎖アルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよいが、本発明の効果がより優れる理由から、直鎖状であることが好ましい。
上記長鎖アルキル基は、本発明の効果がより優れる理由から、ステアリル基(オクタデシル基)であることが好ましい。
【0030】
<分子量>
上記特定ポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に制限されない。
【0031】
<好適な態様(その1)>
上記特定ポリマーは、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(1)で表されるポリマーであることが好ましい。
【0032】
【0033】
式(1)中、Lは、単結合又は2価の有機基を表す。
式(1)中、R1は、炭素数5以上のアルキル基を表す。
式(1)中、R2は、炭素数1~3のアルキル基を表す。
式(1)中、a、b及びcは各繰り返し単位のモル分率を表し、aは0モル%超100モル%以下であり、bは0モル%以上100モル%未満であり、cは0モル%以上100モル%未満であり、a+b+c=100モル%を満たす。
【0034】
(L)
上述のとおり、式(1)中、Lは、単結合又は2価の有機基を表す。
上記2価の有機基としては、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基。好ましくは炭素数1~10)、芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基。好ましくは炭素数6~18)、-O-、-S-、-SO2-、-N(R)-(R:アルキル基)、-CO-、-NH-、-COO-、-CONH-、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基(-CmH2mO-:mは正の整数)、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
上記Lは、本発明の効果がより優れる理由から、-CONH-であることが好ましい。
【0035】
(R1)
上述のとおり、式(1)中、R1は、炭素数5以上のアルキル基を表す。
上記R1の具体例及び好適な態様は、上述した特定ポリマーの長鎖アルキル基と同じである。
【0036】
(R2)
上述のとおり、式(1)中、R2は、炭素数1~3のアルキル基を表す。
上記R2は、本発明の効果がより優れる理由から、メチル基であることが好ましい。
【0037】
(a、b、c)
式(1)中、a、b及びcは各繰り返し単位のモル分率を表し、aは0モル%超100モル%以下であり、bは0モル%以上100モル%未満であり、cは0モル%以上100モル%未満であり、a+b+c=100モル%を満たす。
【0038】
(i)a
上述のとおり、上記aは、0モル%超100モル%以下である。すなわち、上記式(1)で表されるポリマーは、aの付いた繰り返し単位を必ず有する。
上記aは、本発明の効果がより優れる理由から、30~100モル%であることが好ましく、50~100モル%であることが好ましく、60~100モル%であることがより好ましく、70~100モル%であることがさらに好ましく、80~95モル%であることが特に好ましく、85~90モル%であることが最も好ましい。
【0039】
(ii)b
上述のとおり、上記bは、0モル%以上100モル%未満である。すなわち、上記式(1)で表されるポリマーにおいて、bの付いた繰り返し単位は任意の繰り返し単位である。
上記bは、本発明の効果がより優れる理由から、0モル%以上50モル%以下であることが好ましく、0モル%以上30モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上10モル%以下であることがさらに好ましく、0モル%以上5モル%以下が特に好ましく、0モル%であることが最も好ましい。
【0040】
(iii)c
上述のとおり、上記cは、0モル%以上100モル%未満である。すなわち、上記式(1)で表されるポリマーにおいて、cの付いた繰り返し単位は任意の繰り返し単位である。
上記cは、本発明の効果がより優れる理由から、0モル%以上50モル%以下であることが好ましく、0モル%以上30モル%以下であることがより好ましく、5モル%以上20モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以上15モル%以下が特に好ましい。
【0041】
<好適な態様(その2)>
上記特定ポリマーは、ポリビニルアルコールと長鎖アルキルイソシアネートとを反応させたものであることが好ましい。ここで、上記長鎖アルキルイソシアネートは、炭素数5以上のアルキル基を有する単官能イソシアネートである。
ポリビニルアルコールと長鎖アルキルイソシアネートとが反応することで、ポリビニルアルコールの水酸基(OH基)と長鎖アルキルイソシアネートのイソシアネート(NCO基)とが反応して、ウレタン結合が形成され、ポリビニルアルコールの側鎖にウレタン結合を介して長鎖アルキル基が導入される。
【0042】
(ポリビニルアルコール)
上記ポリビニルアルコール(PVA)は特に制限されない。
【0043】
上記ポリビニルアルコールのケン化率は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0モル%超98モル%未満であることが好ましく、50~95モル%であることがより好ましく、80~90モル%であることがさらに好ましい。
【0044】
(長鎖アルキルイソシアネート)
上記長鎖アルキルイソシアネートは、炭素数5以上のアルキル基を有する単官能イソシアネート(イソシアネート基を1つ有する化合物)である。
【0045】
(i)炭素数5以上のアルキル基
上記炭素数5以上のアルキル基の具体例及び好適な態様は、上述した特定ポリマーの長鎖アルキル基と同じである。
【0046】
(ii)具体例
上記長鎖アルキルイソシアネートの具体例としては、オクチルイソシアネート、ノニルイソシアネート、デシルイソシアネート、ウンデシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、トリデシルイソシアネート、ミリスチルイソシアネート、ペンタデシルイソシアネート、パルミチルイソシアネート、ヘプタデシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネート、3,5,5-トリメチルヘキシルイソシアネート、イソミリスチルイソシアネート、イソパルミチルイソシアネート等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ステアリルイソシアネート(オクタデシルイソシアネート)が好ましい。
【0047】
([NCO]/[OH])
上記ポリビニルアルコールと上記長鎖アルキルイソシアネートとを反応させる際の、上記ポリビニルアルコールが有する水酸基に対する上記長鎖アルキルイソシアネートが有するイソシアネート基の当量比である[NCO]/[OH]は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.5~1.5であることが好ましく、0.8~1.4であることがより好ましく、1.1~1.3であることがさらに好ましい。
【0048】
<含有量>
本発明の組成物において、上記特定ポリマーの含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、2質量部以上であることが好ましく、5質量以上であることがより好ましい。上記特定ポリマーの含有量の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
本発明の組成物が上述したジエン系ゴムとして天然ゴムを含有する場合、上記天然ゴムの含有量に対する上記特定ポリマーの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、5~50質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましく、15~20質量%であることがさらに好ましい。
【0050】
本発明の組成物が上述したジエン系ゴムとしてブタジエンを含有する場合、上記ブタジエンゴムの含有量に対する上記特定ポリマーの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましく、20~30質量%であることがさらに好ましい。
【0051】
本発明の組成物において、上述した無機充填剤(特にシリカ)に対する上記特定ポリマーの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、1~50質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。
【0052】
〔任意成分〕
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤、テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、充填剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱膨張性マイクロカプセル、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
【0053】
<カーボンブラック>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50~200m2/gであることが好ましく、70~150m2/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
【0054】
上記カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して1~200質量部であることが好ましく、10~100質量部であることがより好ましい。
【0055】
<熱膨張性マイクロカプセル>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、熱膨張性マイクロカプセルを含有するのが好ましい。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であり、この粒子をその膨張開始温度以上の温度、通常130~190℃の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封入した気体封入熱可塑性樹脂粒子となる。
【0056】
上記熱可塑性樹脂において、その膨張開始温度は100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。最大膨張温度は150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、また(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。
なお、上記熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損わない程度に部分的に架橋していてもよい。
また、熱により気化して気体を発生する上記液体としては、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンなどの塩素化炭化水素;等の液体が挙げられる。
【0057】
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂となる熱膨張性マイクロカプセルであれば特に限定されず、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径は、5~300μmが好ましく、10~200μmがより好ましい。
【0058】
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、EXPANCEL社製のエクスパンセル091DU-80、エクスパンセル092DU-120;松本油脂社製のマイクロスフェアF-85、マイクロスフェアF-100;等が挙げられる。
【0059】
本発明の組成物において、熱膨張性マイクロカプセルの含有量は特に制限されないが、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.5~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましい。
【0060】
<シランカップリング剤>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。シランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果がより優れる理由から、1~16であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
【0061】
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基(特に、ポリスルフィド基(-Sn-:nは2以上の整数))、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
上記シランカップリング剤は、本発明の効果がより優れる理由から、硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
【0063】
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル-メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル-メタクリレート-モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した無機充填剤(特にシリカ)の含有量に対して2~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
【0065】
<オイル>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、オイルを含有するのが好ましい。
【0066】
本発明の組成物において、上記オイルの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、10~100質量部であることが好ましく、20~50質量部であることがより好ましい。
【0067】
本発明の組成物において、上述した特定ポリマーと上記オイルの合計の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましい。上記合計は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。
【0068】
〔ゴム組成物の調製方法〕
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄又は加硫促進剤を含有する場合は、硫黄及び加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100~155℃)で混合し、冷却してから、硫黄又は加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
【0069】
〔用途〕
上述のとおり、本発明の組成物は、氷上性能に優れるため、タイヤに好適である。上記タイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。上述のとおり、本発明の組成物は、氷上性能に優れるため、特に、スタッドレスタイヤに好適である。
【0070】
[スタッドレスタイヤ]
本発明のスタッドレスタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造されたスタッドレスタイヤである。なかでも、本発明の組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備えるスタッドレスタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明のスタッドレスタイヤの実施態様の一例を表すスタッドレスタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のスタッドレスタイヤは
図1に示す態様に限定されるものではない。
【0071】
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5及びビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
【0072】
本発明のスタッドレスタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、本発明のスタッドレスタイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
〔特定ポリマーの製造〕
下記のとおり、特定ポリマー1~3を製造した。
【0075】
<特定ポリマー1>
反応容器にポリビニルアルコール(PVA)(クラレ社製ポバール95-88、ケン化率:87.0~89.0モル%、粘度(4%、20℃):80.0~110.0mPa・s)とキシレンをPVAの濃度が20質量%になるように入れた。そして、反応容器を120℃のオイルバスに設置し、ステアリルイソシアネート(保土谷化学工業社製ミリオネートO)を[NCO]/[OH]が0.5になるように加えた。さらにジオクチル錫(日東化成社製ネオスタンU-810)を加え、反応容器内を窒素置換して6時間反応させた。このようにして、ステアリル基(炭素数18のアルキル基)で変性されたポリビニルアルコールである特定ポリマー1を得た。特定ポリマー1は下記式(1a)で表されるポリマーである。ここで、aは44モル%、bは44モル%、cは12モル%である。Mwは190,000であった。
【0076】
【0077】
<特定ポリマー2>
ステアリルイソシアネートを[NCO]/[OH]が1になるように加えた点以外は、特定ポリマー1と同様の手順に従って、ステアリル基(炭素数18のアルキル基)で変性されたポリビニルアルコールである特定ポリマー2を得た。特定ポリマー2は上記式(1a)で表されるポリマーである。ここで、aは80モル%、bは8モル%、cは12モル%である。Mwは240,000であった。
【0078】
<特定ポリマー3>
ステアリルイソシアネートを[NCO]/[OH]が1.2になるように加えた点以外は、特定ポリマー1と同様の手順に従って、ステアリル基(炭素数18のアルキル基)で変性されたポリビニルアルコールである特定ポリマー3を得た。特定ポリマー3は上記式(1a)で表されるポリマーである。ここで、aは88モル%、bは0モル%、cは12モル%である。Mwは270,000であった。
【0079】
〔ゴム組成物の調製〕
下記表1に示される成分を同表に示される割合(質量部)で配合した。具体的には、まず、下記表1に示される成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて150℃付近に温度を上げてから、5分間混合した後に放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄及び加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
【0080】
〔評価〕
得られたゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。そして、得られた加硫ゴム試験片について、以下の評価を行った。
【0081】
<氷上性能>
加硫ゴム試験片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて、測定温度:-1.5℃、荷重:5.5kg/cm3、ドラム回転速度:25km/時間の条件で、氷上摩擦係数を測定した。
結果を表1に示す。結果は標準例の氷上摩擦係数を100とする指数で表した。指数が大きいほどゴムと氷との摩擦力が大きく、タイヤにしたときに氷上性能に優れる。
【0082】
【0083】
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:TSR20(天然ゴム、ガラス転移温度(Tg):-62℃)
・BR:NIPOL BR1220(ブタジエンゴム、ガラス転移温度(Tg):-105℃、日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ:ZEOSIL 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m2/g、ローディア社製)
・シランカップリング剤:Si69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製)
・オイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・PVA:ポリビニルアルコール(PVA)(クラレ社製ポバール95-88、ケン化率:87.0~89.0モル%、粘度(4%、20℃):80.0~110.0mPa・s)
・長鎖アルキルイソシアネート:ステアリルイソシアネート(保土谷化学工業社製ミリオネートO)
・特定ポリマー1~3:上述のとおり製造された特定ポリマー1~3
【0084】
表1から分かるように、特定ポリマーを含有しない標準例及び比較例1~2と比較して、特定ポリマーを含有する実施例1~3は、優れた氷上性能を示した。なかでも、特定ポリマーが式(1)で表されるポリマーであり、式(1)中のaが50モル%以上である実施例2~3は、より優れた氷上性能を示した。そのなかでも、式(1)中のaが85モル%以上である実施例3は、さらに優れた氷上性能を示した。
【符号の説明】
【0085】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション