(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】曲げ試験方法、治具および試験体
(51)【国際特許分類】
G01N 3/04 20060101AFI20231213BHJP
G01N 3/20 20060101ALI20231213BHJP
G01N 3/30 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G01N3/04 P
G01N3/20
G01N3/30 N
(21)【出願番号】P 2020024826
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雅彦
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110612247(CN,A)
【文献】特開2014-025862(JP,A)
【文献】特開2013-217829(JP,A)
【文献】特開2008-281390(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/04
G01N 3/20
G01N 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、前記天板部の幅方向における両端部から下方に向かって延びる一対の側壁部とを有する試験体に曲げ試験を行う方法であって、
水平方向に互いに離隔して設けられた一対の支持部材の上に、治具が取り付けられた試験体を設置する設置工程と、
前記一対の支持部材上に設置された前記試験体に曲げ荷重を負荷する負荷工程と、を備え、
前記治具は、逆U字形状を有する一対の荷重伝達部を有し、
前記一対の荷重伝達部は、前記試験体の長手方向に並ぶようにかつ前記天板部側から前記試験体を覆うように配置され、かつ前記試験体の前記一対の側壁部に固定されており、
前記負荷工程では、前記荷重伝達部に対して下方に向かう荷重を負荷
して前記一対の側壁部に荷重を負荷することによって、前記試験体に曲げ荷重を負荷する、曲げ試験方法。
【請求項2】
上下方向において前記天板部と各前記荷重伝達部との間には隙間が形成されている、請求項1に記載の曲げ試験方法。
【請求項3】
前記負荷工程では、一対の圧子によって前記一対の荷重伝達部にそれぞれ荷重を負荷し、
前記試験体の前記長手方向における前記一対の圧子の先端同士の距離は、前記天板部の幅および前記一対の側壁部の高さよりも大きく設定される、請求項1または2に記載の曲げ試験方法。
【請求項4】
前記一対の荷重伝達部はそれぞれ、溶接金属、接着剤または締結部材によって前記一対の側壁部に固定されている、請求項1から3のいずれかに記載の曲げ試験方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載された曲げ試験方法で使用される前記治具。
【請求項6】
請求項5に記載された治具が取り付けられた前記試験体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ試験方法、治具および試験体に関する。
【背景技術】
【0002】
Bピラー等の車体部品には、衝突時に大きなモーメントが入力される。このため、このような大きなモーメントが入力される部品には、優れた耐モーメント性能が求められる。
【0003】
部品の耐モーメント性能は、例えば、4点曲げ試験によって評価することができる。4点曲げ試験については、従来、材料特性を適切に評価するために種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された4点曲げ衝撃試験方法では、互いに離間して配置された2つの支持部材の上に試験片を配置するとともに、上記2つの支持部材の間において試験片の上面を覆う剛体を配置し、上記剛体の上面にインパクタを衝突させる。特許文献1には、上記の構成において、剛体を2つの支持部材を結ぶ方向に延びて形成することで、インパクタの試験片表面に対する衝突の角度に関わらず、試験片を4点曲げの状態にすることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1にも開示されているように、一般に、4点曲げ試験は、試験体の上面に荷重を加えることによって実施される。しかしながら、試験体の上面に荷重を加えると、荷重が加えられる部分において試験体の断面形状が大きく変化する場合がある。本発明者による研究の結果、このように試験体の断面形状が大きく変化すると、耐モーメント性能を適切に評価できない場合があることが分かった。
【0007】
そこで、本発明は、試験体の断面形状の変化を抑制することができる曲げ試験方法、治具および試験体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の曲げ試験方法、治具および試験体を要旨とする。
【0009】
(1)天板部と、前記天板部の幅方向における両端部から下方に向かって延びる一対の側壁部とを有する試験体に曲げ試験を行う方法であって、
水平方向に互いに離隔して設けられた一対の支持部材の上に、治具が取り付けられた試験体を設置する設置工程と、
前記一対の支持部材上に設置された前記試験体に曲げ荷重を負荷する負荷工程と、を備え、
前記治具は、逆U字形状を有する一対の荷重伝達部を有し、
前記一対の荷重伝達部は、前記試験体の長手方向に並ぶようにかつ前記天板部側から前記試験体を覆うように配置され、かつ前記試験体の前記一対の側壁部に固定されており、
前記負荷工程では、前記荷重伝達部に対して下方に向かう荷重を負荷することによって前記試験体に曲げ荷重を負荷する、曲げ試験方法。
【0010】
(2)上下方向において前記天板部と各前記荷重伝達部との間には隙間が形成されている、上記(1)に記載の曲げ試験方法。
【0011】
(3)前記負荷工程では、一対の圧子によって前記一対の荷重伝達部にそれぞれ荷重を負荷し、
前記試験体の前記長手方向における前記一対の圧子の先端同士の距離は、前記天板部の幅および前記一対の側壁部の高さよりも大きく設定される、上記(1)または(2)に記載の曲げ試験方法。
【0012】
(4)前記一対の荷重伝達部はそれぞれ、溶接金属、接着剤または締結部材によって前記一対の側壁部に固定されている、上記(1)から(3)のいずれかに記載の曲げ試験方法。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載された曲げ試験方法で使用される前記治具。
【0014】
(6)上記(5)に記載された治具が取り付けられた前記試験体。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、曲げ試験を行う際に試験体の断面形状が変化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る曲げ試験方法を説明するための図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る曲げ試験方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、試験体および治具を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、取付工程を説明するための図である。
【
図5】
図5は、負荷工程を説明するための図である。
【
図7】
図7は、試験体のその他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、荷重伝達部の他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、荷重伝達部のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る曲げ試験方法について説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係る曲げ試験方法を説明するための図である。具体的には、
図1は、後述する試験体10、治具20および試験装置30を示す斜視図であり、
図2(a)は、試験体10、治具20および試験装置30を示す正面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のB-B部分を示す拡大断面図であり、
図2(c)は、
図2(a)のC-C部分を示す拡大断面図である。なお、
図2(b)および
図2(c)においては、図面が煩雑になることを避けるために、治具20および試験装置30の一部の構成の図示を省略している。
【0018】
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る曲げ試験方法(以下、単に試験方法と記載する。)では、試験体10に対して、治具20および試験装置30を用いて曲げ試験が行われる。試験装置30としては、曲げ試験に利用される公知の種々の試験装置を用いることができる。したがって、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、試験装置30は、一対の圧子32a,32bおよび一対の支持部材34a,34bを備えている。以下、試験体10および治具20について説明した後、本実施形態に係る試験方法について説明する。
【0019】
(試験体の構成)
図3は、試験体10および治具20を示す斜視図である。
図1~
図3に示すように、本実施形態では、試験体10は、角筒形状を有し、天板部12と、天板部12の幅方向Yにおける両端部から下方に向かって延びる一対の側壁部14a,14bと、側壁部14a,14bの下端部同士を接続する底板部16とを有している。
【0020】
なお、本明細書において天板部、側壁部および底板部とは、曲げ試験が行われる際の位置関係を基準として名付けられたものである。したがって、例えば、試験体が車体等の部品である場合、試験体の天板部が、部品として用いられた場合にも天板部である必要はない。言い換えると、試験体の天板部は、部品として用いられた場合に側壁部または底板部となる部分であってもよい。
【0021】
(治具の構成)
治具20は、一対の荷重伝達部22a,22bおよび一対の荷重支持部24a,24bを有している。荷重伝達部22a,22bおよび荷重支持部24a,24bは、例えば、金属材料(鋼材等)からなる。荷重伝達部22a,22bはそれぞれ、逆U字形状を有している。本実施形態では、荷重伝達部22a,22bは同様の構成を有し、それぞれ天板部40と、天板部40から下方に延びる一対の板状の固定部42a,42bとを有している。
【0022】
荷重支持部24a,24bはそれぞれ、U字形状を有している。本実施形態では、荷重支持部24a,24bは同様の構成を有し、それぞれ底板部44と、底板部44から上方に延びる一対の板状の固定部46a,46bとを有している。
【0023】
なお、荷重伝達部22a,22bの材料および寸法等は、後述する負荷工程において圧子32a,32bから試験体10に適切に荷重を伝達できるように、適宜決定すればよい。また、荷重支持部24a,24bの材料および寸法等は、後述する負荷工程において試験体10を適切に支持できるように、適宜決定すればよい。
【0024】
(試験方法)
本実施形態に係る試験方法は、取付工程と、設置工程と、負荷工程とを備えている。
図4は、取付工程を説明するための図であり、
図5は、負荷工程を説明するための図である。
【0025】
(取付工程)
図3および
図4に示すように、取付工程では、天板部12側から試験体10を覆うように荷重伝達部22a,22bが配置される。また、底板部16側から試験体10を覆うように荷重支持部24a,24bが配置される。荷重伝達部22a,22bは、試験体10の長手方向Xにおける荷重支持部24a,24bよりも内側で、長手方向Xに並ぶように配置される。本実施形態では、長手方向Xにおいて、荷重伝達部22aは試験体10の中心よりも一方側に設けられ、荷重伝達部22bは試験体10の中心よりも他方側に設けられる。荷重支持部24aは、長手方向Xにおける試験体10の一端部に設けられ、荷重支持部24bは、長手方向Xにおける試験体10の他端部に設けられる。
【0026】
図2(a),(b)に示すように、本実施形態では、荷重伝達部22a,22bの固定部42aが試験体10の側壁部14aに固定され、荷重伝達部22a,22bの固定部42bが側壁部14bに固定される。また、
図2(a),(c)に示すように、荷重支持部24a,24bの固定部46aが側壁部14aに固定され、荷重支持部24a,24bの固定部46bが側壁部14bに固定される。本実施形態では、固定部42a,42b,46a,46bは、側壁部14a,14bに溶接されている。なお、溶接方法は特に限定されず、公知の種々の溶接方法(例えば、アーク溶接)を利用することができる。
【0027】
図2(a)に示すように、本実施形態では、長手方向Xにおける固定部42a,46aの一方側の縁部および他方側の縁部がそれぞれ、溶接部(溶接金属)50によって側壁部14aに接合されている。同様に、
図2(b),(c)を参照して、長手方向Xにおける固定部42b,46bの一方側の縁部および他方側の縁部がそれぞれ、溶接部50によって側壁部14bに接合されている。なお、図面が煩雑になることを避けるために、
図2以外においては溶接部50の図示を省略している。
【0028】
図2(a)に示すように、本実施形態では、固定部42aの下縁部43は、側壁部14aに溶接されていないことが好ましい。同様に、固定部42bの下縁部も、側壁部14bに溶接されていないことが好ましい。この場合、後述する負荷工程において試験体10に曲げ荷重を負荷する際に、側壁部14a,14bにおいて固定部42a,42bの下方の領域に圧縮の力が加えられることを抑制できる。これにより、試験体10を円滑に曲げ変形させることができる。
【0029】
本実施形態では、溶接部50は、天板部12および底板部16に達しないように、側壁部14a,14b上に形成される。なお、溶接部50の長さ(上下方向の長さ)および幅(長手方向Xの長さ)は、後述する負荷工程において溶接部50が塑性変形しないように、溶接部50の特性(降伏応力等)を考慮して適宜設定することが好ましい。
【0030】
図2(b)に示すように、本実施形態では、上下方向において、天板部12と荷重伝達部22a(より具体的には天板部40)との間には、隙間が形成されている。
図1に示すように、天板部12と荷重伝達部22b(より具体的には天板部40)との間にも同様に隙間が形成されている。また、
図2(c)に示すように、上下方向において、底板部16と荷重支持部24a(より具体的には底板部44)との間には、隙間が形成されている。
図1に示すように、底板部16と荷重支持部24b(より具体的には底板部44)との間にも同様に隙間が形成されている。これらの隙間は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。
【0031】
(設置工程)
図1に示すように、設置工程では、水平方向(試験体10の長手方向X)に互いに離隔して設けられた支持部材34a,34bの上に、治具20が取り付けられた試験体10を設置する。本実施形態では、支持部材34a,34b上に荷重支持部24a,24bが載せられる。
【0032】
(負荷工程)
負荷工程では、支持部材34a,34b上に設置された試験体10に曲げ荷重が負荷される。本実施形態では、
図5に示すように、圧子32a,32bから荷重伝達部22a,22bの天板部40に対して下方に向かう荷重が負荷されることによって、試験体10に曲げ荷重が負荷される。本実施形態では、負荷工程において、圧子32a,32bから荷重伝達部22a,22bに対して静的な荷重が与えられてもよく、衝撃荷重が与えられてもよい。
【0033】
なお、
図2(a)を参照して、試験体10の長手方向Xにおける圧子32a,32bの先端同士の距離Dが天板部12の幅または側壁部14a,14bの高さ以下の場合、試験体10を曲げ変形させるために必要な荷重が大きくなる。したがって、距離Dは、天板部12の幅および側壁部14a,14bの高さよりも大きく設定されることが好ましい。
【0034】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、試験体10に対して負荷工程を実施する際に、圧子32a,32bから荷重伝達部22a,22bを介して試験体10に曲げ荷重が与えられる。ここで、荷重伝達部22a,22bは、天板部12ではなく、側壁部14a,14bにおいて、試験体10に固定されている。このため、本実施形態では、圧子32a,32bから荷重伝達部22a,22b(固定部42a,42b)を介して側壁部14a,14bに荷重を加えることによって、試験体10を曲げ変形させることができる。
【0035】
この場合、圧子から試験体の天板部に荷重を加えることによって試験体を曲げ変形させる従来の4点曲げ試験に比べて、荷重が負荷される部分(本実施形態では、荷重伝達部22a,22bと側壁部14a,14bとの接合部)において試験体10の断面形状が変形することを抑制できる。これにより、荷重伝達部22aと荷重伝達部22bとの間において試験体10に適切な曲げモーメントを与えることができる。その結果、試験体10の耐モーメント性能を適切に評価することができる。
【0036】
特に、本実施形態では、上下方向において天板部12と荷重伝達部22a,22b(天板部40)との間に隙間が形成されている。これにより、試験体10に対して負荷工程を実施する際に、荷重伝達部22a,22bが天板部12に接触することを抑制できる。その結果、試験体10の断面形状が変形することを十分に抑制できる。
【0037】
なお、天板部12と荷重伝達部22a,22b(天板部40)とが接触していてもよい。この場合でも、圧子32a,32bから荷重伝達部22a,22bに与えられた荷重を、主に側壁部14a,14bに伝達することができる。言い換えると、荷重伝達部22a,22bから天板部12に与えられる荷重よりも、荷重伝達部22a,22bから側壁部14a,14bに与えられる荷重を十分に大きくすることができる。これにより、試験体10の断面形状の変化を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、溶接部50は、天板部12および底板部16に達しないように、側壁部14a,14b上に形成されている。この場合、試験体10に対して負荷工程を実施する際に、荷重伝達部22a,22bから溶接部50を介して天板部12の近傍および底板部16の近傍に荷重が直接与えられることを防止できる。これにより、負荷工程を実施する際に、天板部12の近傍および底板部16の近傍が変形することを抑制できる。その結果、試験体10において天板部12の近傍および底板部16の近傍の部分に適切な荷重を与えることができ、試験体10の耐モーメント性能をより適切に評価することができる。
【0039】
また、本実施形態では、試験体10に対して負荷工程を実施する際に、試験体10は、荷重支持部24a,24bを介して支持部材34a,34bに支持されている。ここで、荷重支持部24a,24bは、底板部16ではなく、側壁部14a,14bにおいて、試験体10に固定されている。これにより、試験体10に対して曲げ荷重が負荷された際に底板部16が変形することを十分に抑制することができる。なお、荷重支持部24a,24bは設けられなくてもよい。すなわち、試験体10を支持部材34a,34b上に直接置いてもよい。この場合でも、荷重伝達部22a,22bと側壁部14a,14bとの接合部の近傍における試験体10の断面形状の変形は十分に抑制できる。したがって、試験体10の耐モーメント性能を適切に評価することができる。
【0040】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、荷重伝達部22a,22bおよび荷重支持部24a,24bを溶接によって側壁部14a,14bに固定する場合について説明したが、荷重伝達部22a,22bおよび荷重支持部24a,24bを試験体10に固定する方法は、溶接に限定されない。例えば、接着剤によって荷重伝達部22a,22bおよび荷重支持部24a,24bを側壁部14a,14bに固定してもよい。この場合、接着剤の塗布領域および種類等は、負荷工程において荷重伝達部22a,22bおよび荷重支持部24a,24bが側壁部14a,14bから剥離しないように適宜決定すればよい。また、例えば、ボルトおよびナット等の締結部材によって荷重伝達部22a,22bおよび荷重支持部24a,24bを側壁部14a,14bに固定してもよい。
【0041】
上述の実施形態では、試験体10が角筒形状を有する場合について説明したが、本発明に係る試験方法は、天板部と、天板部の幅方向における両端部から下方に向かって延びる一対の側壁部とを有する試験体に対して曲げ試験を行う際に利用できる。したがって、本発明に係る試験方法は、例えば、
図6に示すように、断面逆U字形状の試験体10aに対しても利用できる。
【0042】
また、例えば、
図7に示すように、側壁部14a,14bの下端部から天板部12の幅方向Yに延びる一対のフランジ部18a,18bを有する断面ハット形の試験体10bに対しても、本発明に係る試験方法を利用することができる。なお、
図7に示すような断面ハット形の試験体10bに対して曲げ試験を行う際には、荷重支持部24a,24b(
図1参照)を設けずに、支持部材34a,34b(
図1参照)によってフランジ部18a,18bを支持すればよい。
【0043】
上述の実施形態では、側壁部14a,14bが鉛直方向に対して平行に延びるように形成される場合について説明したが、側壁部14a,14bが鉛直方向に対して傾斜していてもよい。この場合には、側壁部14a,14bに沿うように、固定部42a,42b,46a,46bを鉛直方向に対して傾斜させればよい。
【0044】
上述の実施形態では、天板部40の幅(試験体10の長手方向Xにおける長さ)と固定部42a,42bの幅(試験体10の長手方向Xにおける長さ)とが等しい場合について説明したが、
図8に示すように、固定部42aおよび固定部42b(
図8には図示せず)の幅が、天板部40の幅よりも小さくてもよい。この場合、天板部40の幅を大きくすることによって、圧子32a,32bから与えられる荷重に対する天板部40の強度を十分に確保できる。また、固定部42a,42bの幅を小さくすることによって、試験体10の長手方向Xのより小さな領域において固定部42a,42bと側壁部14a,14bとを接合することができる。これにより、試験体10をより円滑に曲げ変形させることができる。
【0045】
上述の実施形態では、荷重伝達部22a,22bが互いに別個の部材である場合について説明したが、
図9に示すように、荷重伝達部22aの天板部40と荷重伝達部22bの天板部40とが一体形成されていてもよい。この場合、一つの圧子によって一体形成された天板部40を押圧することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、曲げ試験を行う際に試験体の断面形状が変化することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0047】
10,10a,10b 試験体
12 天板部
14a,14b 側壁部
16 底板部
20 治具
22a,22b 荷重伝達部
24a,24b 荷重支持部
40 天板部
42a,42b 固定部
44 底板部
46a,46b 固定部
50 溶接部