(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 45/10 20060101AFI20231213BHJP
B65G 45/12 20060101ALI20231213BHJP
B65G 45/14 20060101ALI20231213BHJP
B65G 15/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B65G45/10 Z
B65G45/12 B
B65G45/14 A
B65G45/14 B
B65G15/08 A
(21)【出願番号】P 2020027396
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
(72)【発明者】
【氏名】宇野 浩太
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-255323(JP,A)
【文献】特開平05-170329(JP,A)
【文献】登録実用新案第3097230(JP,U)
【文献】特開平09-077238(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00103378(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006022294(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/10
B65G 45/12
B65G 45/14
B65G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面から設置用空間を隔てた状態で地面よりも上方に配置される無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトを支持するために前記搬送ベルトの幅方向両側において前記搬送ベルトの延在方向に互いに間隔をあけて設けられた複数の支持体とを有する搬送設備であって、
前記搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を除去するための除去装置が前記設置用空間に備えられ、
前記除去装置は、
前記搬送ベルトの幅方向における前記複数の支持体の内側でかつ前記設置用空間において、前記搬送ベルトの延在方向に沿って移動自在な移動体と、
前記移動体に対する上下方向の位置が固定された状態で前記移動体に設けられ、かつ前記移動体の移動に伴って前記移動体の移動経路に堆積した前記堆積物を前記搬送ベルトの幅方向において前記複数の支持体の外側に排出する排出部と、
地面に対して前記移動体が上方に移動することを規制する規制部と
、
地面上に設けられたガイドレールと、を備え、
前記移動体は、前記ガイドレールに沿って移動する、搬送設備。
【請求項2】
地面から設置用空間を隔てた状態で地面よりも上方に配置される無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトを支持するために前記搬送ベルトの幅方向両側において前記搬送ベルトの延在方向に互いに間隔をあけて設けられた複数の支持体とを有する搬送設備であって、
前記搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を除去するための除去装置が前記設置用空間に備えられ、
前記除去装置は、
前記搬送ベルトの幅方向における前記複数の支持体の内側でかつ前記設置用空間において、前記搬送ベルトの延在方向に沿って移動自在な移動体と、
前記移動体に対する上下方向の位置が固定された状態で前記移動体に設けられ、かつ前記移動体の移動に伴って前記移動体の移動経路に堆積した前記堆積物を前記搬送ベルトの幅方向において前記複数の支持体の外側に排出する排出部と、
地面に対して前記移動体が上方に移動することを規制する規制部と、を備え、
前記排出部は、上下軸心周りに回転自在に設けられた回転体を有し、
前記回転体は、前記移動体が移動する際に回転することによって前記堆積物を前記幅方向において前記複数の支持体の外側に送り出す、搬送設備。
【請求項3】
地面から設置用空間を隔てた状態で地面よりも上方に配置される無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトを支持するために前記搬送ベルトの幅方向両側において前記搬送ベルトの延在方向に互いに間隔をあけて設けられた複数の支持体とを有する搬送設備であって、
前記搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を除去するための除去装置が前記設置用空間に備えられ、
前記除去装置は、
前記搬送ベルトの幅方向における前記複数の支持体の内側でかつ前記設置用空間において、前記搬送ベルトの延在方向に沿って移動自在な移動体と、
前記移動体に対する上下方向の位置が固定された状態で前記移動体に設けられ、かつ前記移動体の移動に伴って前記移動体の移動経路に堆積した前記堆積物を前記搬送ベルトの幅方向において前記複数の支持体の外側に排出する排出部と、
地面に対して前記移動体が上方に移動することを規制する規制部と、を備え、
前記排出部は、前記移動体が移動する際に前記移動経路に堆積した前記堆積物を前記幅方向外側に移動させることができるように前記移動体に設けられたスクレーパーを有する、搬送設備。
【請求項4】
前記除去装置は、地面上に設けられたガイドレールをさらに備え、
前記移動体は、前記ガイドレールに沿って移動する、請求項
3に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記ガイドレールは、前記搬送ベルトの下方に設けられる第1ガイド部と、前記第1ガイド部から前記幅方向に曲がるとともに前記幅方向において前記複数の支持体の外側まで延びる第2ガイド部とを含む、請求項
1に記載の搬送設備。
【請求項6】
前記ガイドレールは、前記搬送ベルトの下方に設けられる第1ガイド部と、前記第1ガイド部から前記幅方向に曲がるとともに前記幅方向において前記複数の支持体の外側まで延びる第2ガイド部とを含む、請求項
4に記載の搬送設備。
【請求項7】
前記搬送ベルトは、高架型のコンベアフレームに支持され、
前記支持体は、コンベアフレームの縦材であり、
前記コンベアフレームは、前記搬送ベルトから落下した落下物を保持できるように前記搬送ベルトの下方に設けられる保持板を有し、
前記移動体は、前記保持板上を移動可能に設けられている、請求項
2に記載の搬送設備。
【請求項8】
前記搬送ベルトは、高架型のコンベアフレームに支持され、
前記支持体は、コンベアフレームの縦材であり、
前記コンベアフレームは、前記搬送ベルトから落下した落下物を保持できるように前記搬送ベルトの下方に設けられる保持板を有し、
前記移動体は、前記保持板上を移動可能に設けられている、請求項
3に記載の搬送設備。
【請求項9】
前記排出部は、上下軸心周りに回転自在に設けられた回転体を有し、
前記回転体は、前記移動体が移動する際に回転することによって前記堆積物を前記幅方向において前記複数の支持体の外側に送り出す、請求項1
または5に記載の搬送設備。
【請求項10】
前記排出部は、複数の前記回転体を有し、
前記幅方向において前記移動体の中心よりも一方側および他方側にそれぞれ前記回転体が配置されている、請求項
2、7または9に記載の搬送設備。
【請求項11】
前記一方側に配置された前記回転体と前記他方側に配置された前記回転体の回転方向は互いに異なる、請求項
10に記載の搬送設備。
【請求項12】
前記複数の回転体は、前記移動体に対して前記幅方向に移動自在に前記移動体に支持された移動回転体を含む、請求項
10または
11に記載の搬送設備。
【請求項13】
前記排出部は、前記移動体に対して前記移動回転体とともに移動する保護部材をさらに備え、
前記保護部材は、前記移動体が前記延在方向に移動する際に、前記支持体に接触することによって前記移動回転体が前記支持体に接触することを防止する、請求項
12に記載の搬送設備。
【請求項14】
前記移動回転体は、前記幅方向において、前記移動体から最も離れた基準位置から前記移動体に近付くことができるように、かつ前記基準位置に復帰付勢された状態で前記移動体に支持されており、
前記基準位置において、前記移動回転体の少なくとも一部は、前記延在方向に隣り合う2つの前記支持体の間に位置付けられる、請求項
12または
13に記載の搬送設備。
【請求項15】
前記複数の回転体は、前記移動体に対する位置が固定された固定回転体をさらに備え、
上方から見て前記移動回転体の回転領域は前記固定回転体の回転領域よりも小さい、請求項
12から
14のいずれかに記載の搬送設備。
【請求項16】
前記除去装置は、前記移動体の移動方向に応じて回転方向が変わるように前記複数の回転体の回転を制御する制御装置をさらに備える、請求項
10から
15のいずれかに記載の搬送設備。
【請求項17】
前記排出部は、前記移動体から前記幅方向における両側に向かって延びるように設けられた一対のスクレーパーを有し、
上方から見て、前記一対のスクレーパーはそれぞれ、前記移動体が移動する際に、前記幅方向に対して前記移動体の移動方向とは反対方向に傾くことができるように、上下軸心周りに揺動自在に前記移動体に支持されている、請求項
3、4、6、または8に記載の搬送設備。
【請求項18】
前記スクレーパーは、前記上下軸心周りに揺動自在に前記移動体に支持された第1アーム部と、前記第1アーム部よりも前記幅方向外側に設けられた第2アーム部と、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを接続する接続部と、を有し、
前記第1アーム部は、前記延在方向における一方側に最も傾いた第1基準位置と、前記延在方向における他方側に最も傾いた第2基準位置との間で揺動できるように前記移動体に支持されており、
前記接続部は、前記第2アーム部が基準姿勢に復帰するように前記第2アーム部を付勢しつつ、前記第2アーム部が前記基準姿勢から前記第1アーム部に対して前記延在方向における前記一方側および前記他方側に揺動できるように、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを接続し、
前記第1アーム部が前記第1基準位置または前記第2基準位置に位置付けられている状態において前記移動体が前記延在方向に移動する際に、前記第2アーム部が前記支持体に接触することによって、前記第2アーム部が前記第1アーム部に対して前記延在方向における前記一方側または前記他方側に揺動する、請求項
17に記載の搬送設備。
【請求項19】
前記複数の支持体は地面に支持されており、前記排出部は、地面から上方に離隔している、請求項1
から18のいずれかに記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の施設において、ベルトコンベアが利用されている。例えば、港湾施設においては、貨物船から陸揚げされた鉄鉱石等の原料(ばら物)を搬送するために、ベルトコンベアが利用されている。
【0003】
ベルトコンベアを利用することによって、原料等を大量に搬送することができる。一方で、ベルトコンベアから搬送物の一部が落下するという問題も生じる。ベルトコンベアから落下した搬送物は、ベルトコンベアの下方に堆積し、ベルトコンベアの円滑な稼働を阻害する場合がある。そこで、従来、ベルトコンベアの下方に堆積した堆積物を除去するための装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された落下物処理装置は、ベルトコンベアの下方を移動する走行台車と、上下方向に移動できるようにリンク機構等を介して走行台車に取り付けられた掻出しスクレーパーとを備えている。特許文献1の落下物処理装置では、ベルトコンベアの下方において走行台車を移動させることによって、ベルトコンベアの下方に堆積した堆積物をスクレーパーによって掻き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の落下物処理装置では、上述したように、スクレーパーは、上下方向に移動できるように、リンク機構を介して走行台車に取り付けられている。この構成により、特許文献1の落下物処理装置では、堆積物を掻き出す際にスクレーパーにかかる負荷が大きくなると、スクレーパーは堆積物を避けるように上方に移動する。この場合、一度の処理によって堆積物を十分に掻き出すことができないので、同じ場所において走行台車を何度も走行させて堆積物を掻き出す必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を効率良く除去できる搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の搬送設備を要旨とする。
【0009】
(1)地面から設置用空間を隔てた状態で地面よりも上方に配置される無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトを支持するために前記搬送ベルトの幅方向両側において前記搬送ベルトの延在方向に互いに間隔をあけて設けられた複数の支持体とを有する搬送設備であって、
前記搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を除去するための除去装置が前記設置用空間に備えられ、
前記除去装置は、
前記搬送ベルトの幅方向における前記複数の支持体の内側でかつ前記設置用空間において、前記搬送ベルトの延在方向に沿って移動自在な移動体と、
前記移動体に対する上下方向の位置が固定された状態で前記移動体に設けられ、かつ前記移動体の移動に伴って前記移動体の移動経路に堆積した前記堆積物を前記搬送ベルトの幅方向において前記複数の支持体(コンベアフレームの支柱、縦材)の外側に排出する排出部と、
地面に対して前記移動体が上方に移動することを規制する規制部と、を備える搬送設備。
【0010】
(2)前記複数の支持体は地面に支持されており、前記排出部は、地面から上方に離隔している、上記(1)に記載の搬送設備。
【0011】
(3)前記除去装置は、地面上に設けられたガイドレールをさらに備え、
前記移動体は、前記ガイドレールに沿って移動する、上記(1)または(2)に記載の搬送設備。
【0012】
(4)前記ガイドレールは、前記搬送ベルトの下方(落鉱清掃範囲)に設けられる第1ガイド部(中央のレール)と、前記第1ガイド部から前記幅方向に曲がるとともに前記幅方向において前記複数の支持体の外側まで延びる第2ガイド部(除去装置を待機位置へ導入するガイド)とを含む、上記(3)に記載の搬送設備。
【0013】
(5)前記搬送ベルトは、高架型のコンベアフレームに支持され、
前記支持体は、コンベアフレームの縦材であり、
前記コンベアフレームは、前記搬送ベルトから落下した落下物を保持できるように前記搬送ベルトの下方に設けられる保持板を有し、
前記移動体は、前記保持板上を移動可能に設けられている、上記(1)に記載の搬送設備。
【0014】
(6)前記排出部は、上下軸心周りに回転自在に設けられた回転体を有し、
前記回転体は、前記移動体が移動する際に回転することによって前記堆積物を前記幅方向において前記複数の支持体(コンベアフレームの支柱、縦材)の外側に送り出す、上記(1)から(5)のいずれかに記載の搬送設備。
【0015】
(7)前記排出部は、複数の前記回転体を有し、
前記幅方向において前記移動体の中心よりも一方側および他方側にそれぞれ前記回転体が配置されている、上記(6)に記載の搬送設備。
【0016】
(8)前記一方側に配置された前記回転体と前記他方側に配置された前記回転体の回転方向は互いに異なる、上記(7)に記載の搬送設備。
【0017】
(9)前記複数の回転体は、前記移動体に対して前記幅方向に移動自在に前記移動体に支持された移動回転体を含む、上記(7)または(8)に記載の搬送設備。
【0018】
(10)前記排出部は、前記移動体に対して前記移動回転体とともに揺動する保護部材をさらに備え、
前記保護部材は、前記移動体が前記延在方向に移動する際に、前記支持体に接触することによって前記移動回転体が前記支持体に接触することを防止する、上記(9)に記載の搬送設備。
【0019】
(11)前記移動回転体は、前記幅方向において、前記移動体から最も離れた基準位置から前記移動体に近付くことができるように、かつ前記基準位置に復帰付勢された状態で前記移動体に支持されており、
前記基準位置において、前記移動回転体の少なくとも一部は、前記延在方向に隣り合う2つの前記支持体の間に位置付けられる、上記(9)または(10)に記載の搬送設備。
【0020】
(12)前記複数の回転体は、前記移動体に対する位置が固定された固定回転体をさらに備え、
上方から見て前記移動回転体の回転領域は前記固定回転体の回転領域よりも小さい、上記(9)から(11)のいずれかに記載の搬送設備。
【0021】
(13)前記除去装置は、前記移動体の移動方向に応じて回転方向が変わるように前記複数の回転体の回転を制御する制御装置をさらに備える、上記(7)から(12)のいずれかに記載の搬送設備。
【0022】
(14)前記排出部は、前記移動体が移動する際に前記移動経路に堆積した前記堆積物を前記幅方向外側に移動させることができるように前記移動体に設けられたスクレーパーを有する、上記(1)から(5)のいずれかに記載の搬送設備。
【0023】
(15)前記排出部は、前記移動体から前記幅方向における両側に向かって延びるように設けられた一対のスクレーパーを有し、
上方から見て、前記一対のスクレーパーはそれぞれ、前記移動体が移動する際に、前記幅方向に対して前記移動体の移動方向とは反対方向に傾くことができるように、上下軸心周りに揺動自在に前記移動体に支持されている、上記(14)に記載の搬送設備。
【0024】
(16)前記スクレーパーは、前記上下軸心周りに揺動自在に前記移動体に支持された第1アーム部と、前記第1アーム部よりも前記幅方向外側に設けられた第2アーム部と、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを接続する接続部と、を有し、
前記第1アーム部は、前記延在方向における一方側に最も傾いた第1基準位置と、前記延在方向における他方側に最も傾いた第2基準位置との間で揺動できるように前記移動体に支持されており、
前記接続部は、前記第2アーム部が基準姿勢に復帰するように前記第2アーム部を付勢しつつ、前記第2アーム部が前記基準姿勢から前記第1アーム部に対して前記延在方向における前記一方側および前記他方側に揺動できるように、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを接続し、
前記第1アーム部が前記第1基準位置または前記第2基準位置に位置付けられている状態において前記移動体が前記延在方向に移動する際に、前記第2アーム部が前記支持体に接触することによって、前記第2アーム部が前記第1アーム部に対して前記延在方向における前記一方側または前記他方側に揺動する、上記(15)に記載の搬送設備。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を効率良く除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る搬送設備を示す概略側面図である。
【
図4】
図4は、除去装置を上方から見た概略図である。
【
図5】
図5は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【
図6】
図6は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【
図8】
図8は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【
図9】
図9は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2実施形態に係る搬送設備を示す概略図である。
【
図18】
図18は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【
図19】
図19は、掻き出しユニットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る搬送設備について図面を参照しつつ説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る搬送設備を示す概略側面図である。また、
図2は、
図1のA-A部分を示す概略断面図であり、
図3は、
図1のB-B部分を示す概略断面図である。
【0029】
図1~
図3に示すように、搬送設備100は、ベルトコンベア1と、除去装置10とを備えている。まず、ベルトコンベア1について説明する。なお、本発明を実施するために利用できるベルトコンベアは以下に説明するベルトコンベアに限定されない。ベルトコンベアとしては、地面から空間を隔てた状態で地面よりも上方に配置される無端状の搬送ベルトと、当該搬送ベルトを支持するために搬送ベルトの幅方向両側において搬送ベルトの延在方向に互いに間隔をあけて設けられた複数の支持体とを有する公知の種々のベルトコンベアを利用できる。したがって、以下においては、ベルトコンベア1の構成を簡単に説明する。
【0030】
本実施形態では、ベルトコンベア1は、無端状の搬送ベルト2と、搬送ベルト2のキャリア部分2aを支持する複数のローラユニット3と、搬送ベルト2のリターン部分2bを支持する複数のリターンローラ4と、複数のローラユニット3および複数のリターンローラ4を地面G上に支持するためのコンベアフレーム5とを備えている。
【0031】
図示は省略するが、搬送ベルト2は、一対のプーリに巻き掛けられている。一対のプーリのうちの一方が回転駆動されることによって搬送ベルト2が回転し、キャリア部分2aに載せられた搬送物6が搬送される。
【0032】
図2および
図3に示すように、ローラユニット3は、搬送ベルト2のキャリア部分2aの中央部を支持する中央ローラ3aと、中央ローラ3aを挟むように設けられた一対の傾斜ローラ3bとを備えている。このような構成により、ローラユニット3は、キャリア部分2aをトラフ状に湾曲させて支持する。
【0033】
図1~
図3に示すように、コンベアフレーム5は、地面Gに支持された複数の支持体5aを有している。
図1に示すように、本実施形態では、複数の支持体5aはそれぞれ柱状に形成され、搬送ベルト2の延在方向(
図1に矢印Xで示す方向。)に互いに間隔をあけて設けられている。また、
図2および
図3に示すように、複数の支持体5aは、搬送ベルト2の幅方向(
図2および
図3に矢印Yで示す方向。)における両側に設けられている。搬送ベルト2は、コンベアフレーム5、複数のローラユニット3および複数のリターンローラ4によって、地面Gから設置用空間7を隔てた状態で地面Gの上方で支持されている。なお、以下においては、ベルトコンベア1の延在方向を単に延在方向Xとも記載し、搬送ベルト2の幅方向を単に幅方向Yとも記載する。
【0034】
図2に示すように、本実施形態においては、搬送ベルト2から搬送物6が落下することによって、搬送ベルト2のリターン部分2bの下方に搬送物6が堆積する場合がある。以下、リターン部分2bの下方に堆積した搬送物6を堆積物6aと記載する。除去装置10は、リターン部分2bの下方に堆積した堆積物6aを除去するために、
図1および
図3に示すように、設置用空間7に設けられている。以下、除去装置10について詳細に説明する。
【0035】
図4は、除去装置10を上方から見た概略図である。また、
図5~
図9は、後述する掻き出しユニット16の動作を説明するための図である。なお、
図4においては、搬送ベルト2と除去装置10との位置関係を明確にするために、搬送ベルト2の位置を二点鎖線で示している。
【0036】
図1、
図3および
図4に示すように、除去装置10は、ガイドレール12、移動体14および掻き出しユニット16を備えている。
図1~
図3に示すように、ガイドレール12は、地面G上に設けられている。具体的には、本実施形態では、ガイドレール12は、搬送ベルト2の下方において、地中に埋められた図示しないレール基礎上に設置されている。
【0037】
図4に示すように、ガイドレール12は、搬送ベルト2の下方において延在方向Xに延びる第1ガイド部12aと、第1ガイド部12aから幅方向Yに曲がるとともに幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側まで延びる第2ガイド部12bとを含む。第1ガイド部12aは、搬送ベルト2の幅方向における中央部の下方に設けられている。本実施形態では、第1ガイド部12aは、搬送ベルト2の下方の清掃範囲(搬送ベルト2の下方において、堆積物6a(落鉱等)を排出すべき範囲)に設けられている。また、第2ガイド部12bは、清掃範囲の端部から幅方向Yに曲がるように設けられている。
【0038】
図1、
図3および
図4に示すように、移動体14は、幅方向Yにおいて複数の支持体5aの内側に位置するようにかつ延在方向Xに移動自在に、設置用空間7に設けられている。詳細は後述するが、本実施形態では、移動体14は、ガイドレール12に沿って移動する。なお、以下においては、移動体14が搬送ベルト2の下方に位置している状態(すなわち、移動体14が第1ガイド部12a上に位置している状態)を基準として、除去装置10の各部の位置関係を説明する。
【0039】
図3および
図4に示すように、移動体14は、本体部40と、本体部40の上方に設けられた機械装置部42とを有している。
図4に示すように、本実施形態では、本体部40は、上方から見て、延在方向Xにおける中央部に近付くほど幅方向Yの長さが大きくなるように形成されている。具体的には、本体部40の外周面40aは、上方から見てひし形形状を有している。本体部40が上記のような形状を有していることによって、移動体14が延在方向Xに移動する際に、移動体14の移動経路上に堆積した堆積物6aは、本体部40の外周面40aに沿って搬送ベルト2の幅方向外側に送り出される。すなわち、本実施形態では、本体部40の外周面40aは、移動体14が延在方向Xに移動する際に、堆積物6aを幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側に移動させるスクレーパーとして機能する。
【0040】
本実施形態では、本体部40は、地面Gから上方に離隔して設けられている。地面Gと本体部40(外周面40a)との距離が1cm未満の場合、本体部40が地面Gの凹凸に引っ掛かったり、堆積物6aのうち1cm程度の大きさの塊(例えば、1cm程度の大きさの落鉱)に引っ掛かったりしやすくなる。このため、地面Gと本体部40との距離は、1cm以上であることが好ましい。一方、地面Gと本体部40(外周面40a)との距離が3cmを超えると、搬送ベルト2の幅方向外側に送り出される堆積物6aの量が少なくなる。このため、地面Gと本体部40との距離は、3cm以下であることが好ましい。なお、コンベアフレーム5の下部の構成要素(支持体5aおよび図示しないベース板等)の腐食を防止する観点からは、支持フレーム5の下部が、堆積物6aに埋もれていないことが好ましい。このため、堆積物6aの高さは、常に低く維持されることが好ましい。この観点からも、地面Gと本体部40との距離は、3cm以下であることが好ましい。
【0041】
図3に示すように、幅方向Yにおける本体部40の中央部の底部には、延在方向Xに貫通しかつ下方に向かって開口するように、空洞部40bが形成されている。空洞部40bに、ガイドレール12が通されている。
【0042】
また、本実施形態では、幅方向Yにおける本体部40の中央部の底部には、一対の係止部40cが設けられている。一対の係止部40cは、ガイドレール12の頭部18の下方に位置するように形成されている。本実施形態では、一対の係止部40cがガイドレール12の頭部18に係止されることによって、本体部40が地面G(搬送ベルト2の下方において堆積物6aが堆積する面)に対して上方に移動することが規制される。このように、本実施形態では、ガイドレール12および移動体14の一対の係止部40cが、地面Gに対して移動体14が上方に移動することを規制する規制部として機能する。
【0043】
図3および
図4に示すように、本体部40内に複数(本実施形態では2つ)の車輪44が回転可能に設けられている。複数の車輪44はそれぞれ、幅方向Yに延びる軸心周りに回転可能に本体部40に支持されている。移動体14は、複数の車輪44を介してガイドレール12に支持されている。
【0044】
本実施形態では、本体部40に設けられた図示しない駆動装置(例えば、モータ)によって、複数の車輪44のうちの少なくとも一つが回転駆動される。これにより、移動体14はガイドレール12に沿って移動することができる。
【0045】
具体的には、
図4に示すように、移動体14は、ガイドレール12の第1ガイド部12aに案内されることによって延在方向Xに移動することができ、第2ガイド部12bに案内されることによって幅方向Yに移動することができる。このような構成により、例えば、ベルトコンベア1を稼働しているときには、移動体14を幅方向Yにおいてガイドレール12の外側で待機させることができる。これにより、移動体14が堆積物6aに埋まることを防止することができる。また、移動体14をガイドレール12の外側で待機させることによって、除去装置10のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態では、後述する制御装置42aによって上記駆動装置を制御することによって、車輪44の回転方向を反転させることができる。これにより、移動体14の進行方向を反転させることができ、ガイドレール12上において移動体14を往復移動させることができる。
【0047】
機械装置部42は、本体部40に対して取り外し可能に設けられている。
図4に示すように、本実施形態では、機械装置部42には、制御装置42aおよび電源装置42b等が収容されている。制御装置42aは、上述のように車輪44を回転駆動する駆動装置を制御するとともに、掻き出しユニット16の後述する駆動装置68bを制御する。電源装置42bは、車輪44を回転駆動する駆動装置および掻き出しユニット16の駆動装置68bに電力を供給する。
【0048】
図3および
図4に示すように、本実施形態では、掻き出しユニット16は、幅方向Yにおいて移動体14の中心よりも一方側に設けられた複数の回転ユニット60a,62a,64aと、幅方向Yにおいて移動体14の中心よりも他方側に設けられた複数の回転ユニット60b,62b,64bと、一対の保護部材66a,66bとを備えている。回転ユニット62a,62bは、幅方向Yにおいて、回転ユニット60a,60b,64a,64bよりも外側に設けられている。掻き出しユニット16は、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で移動体14に設けられている。詳細は後述するが、掻き出しユニット16は、移動体14が延在方向Xに移動する際に、堆積物6aを幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側に排出する。
【0049】
各回転ユニット60a,60b,62a,62b,64a,64bはそれぞれ、上下軸心周りに回転自在に設けられた回転体68aと、回転体68aを回転駆動する駆動装置68bとを備えている。本実施形態では、回転体68aは、上下方向に延びる回転軸68cに固定されており、駆動装置68bによって回転軸68cが回転駆動されることによって回転する。詳細な説明は省略するが、本実施形態では、回転体68aは複数(本実施形態では、4つ)の回転ブレードを含む。なお、
図4においては、各回転体68aの回転領域の外縁を一点鎖線の円で示している。
【0050】
図1および
図3に示すように、掻き出しユニット16は、地面Gから上方に離隔して設けられている。本実施形態では、各回転ユニット60a,60b,62a,62b,64a,64bの回転体68aは、地面Gから上方に離隔して設けられている。地面Gと掻き出しユニット16(回転体68a)との距離は、地面Gと本体部40との距離と同様に、例えば、1~3cmであることが好ましい。
【0051】
図4に示すように、延在方向Xにおける移動体14の一端部に設けられた2つの回転ユニット60a,60b、および延在方向Xにおける移動体14の他端部に設けられた2つの回転ユニット64a,64bはそれぞれ、移動体14に対する位置(上下方向、延在方向Xおよび幅方向Yの位置)が固定された状態で移動体14に支持されている。本実施形態では、回転ユニット60a,60b,64a,64bは、支持部材20a,20b,20c,20dを介して本体部40に固定されている。
【0052】
また、回転ユニット60a,60b,64a,64bは、移動体14が延在方向Xに移動する際に支持体5aに接触しないように、幅方向Yにおいて支持体5aよりも内側に設けられている。本実施形態では、回転ユニット60a,60b,64a,64bの回転体68aがそれぞれ、固定回転体に相当する。
【0053】
延在方向Xにおける移動体14の中央部に設けられた2つの回転ユニット62a,62bは、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で移動体14に支持されている。ただし、回転ユニット62a,62bはそれぞれ、
図5および
図6に示すように、移動体14に対して幅方向Yに移動できるように、移動体14に揺動可能に支持されている。
【0054】
具体的には、本実施形態では、回転ユニット62a,62bは、支持部材22a,22bに固定されている。支持部材22a,22bは、本体部40に対する上下方向の位置が固定された状態で上下軸心周りに揺動できるように本体部40に支持されている。本実施形態では、支持部材22a,22bは、上下方向に延びる支持軸23a,23bを中心として揺動できるように、支持軸23a,23bを介して本体部40に支持されている。支持部材22a,22bが支持軸23a,23bを中心として揺動することにより、回転ユニット62a,62bは、上方から見て、支持軸23a,23bを中心とする円周上を移動する。これにより、回転ユニット62a,62bは、移動体14に近付くように、または移動体14から離れるように、移動体14に対して幅方向Yに移動できる。本実施形態では、回転ユニット62a,62bの回転体68aがそれぞれ、移動回転体に相当する。
【0055】
図4に示すように、支持部材22aと支持部材22bとは、付勢機構24によって連結されている。詳細な説明は省略するが、付勢機構24は、例えばコイルバネ等の弾性部材を備え、支持部材22a,22bが移動体14に対して揺動した際に、支持部材22a,22bを原位置に戻す方向に支持部材22a,22bを付勢するように構成されている。
【0056】
なお、本実施形態において支持部材22a,22bが原位置に位置付けられている場合には、
図4に示すように、支持部材22a,22bは上方から見て幅方向Yに対して平行な状態となる。言い換えると、幅方向Yにおいて回転ユニット62a,62bが最も外側に位置するときの支持部材22a,22bの位置が、支持部材22a,22bの原位置となる。なお、
図4以外の図面においては、付勢機構24の図示を省略している。
【0057】
また、本実施形態では、幅方向Yにおいて回転ユニット62a,62bの回転体68aが移動体14から最も離れているときの当該回転体68aの位置(すなわち、支持部材22a,22bが原位置のときの回転ユニット62a,62bの回転体68aの位置)を、回転ユニット62a,62bの回転体68aの基準位置とする。付勢機構24は、回転ユニット62a,62bの回転体68aが基準位置に復帰するように回転ユニット62a,62bを付勢している。言い換えると、回転ユニット62a,62bの回転体68aは、基準位置に復帰付勢された状態で移動体14に支持されている。
【0058】
なお、本実施形態では、基準位置において、各回転ユニット62a,62bの回転体68aの少なくとも一部は、延在方向Xに隣り合う2つの支持体5aの間に位置付けられる。これにより、延在方向Xに隣り合う2つの支持体5aの間の堆積物6aを円滑に排出することができる。
【0059】
本実施形態では、幅方向Yにおいて移動体14の中心よりも一方側に配置された回転ユニット60a,62a,64aの回転体68aの回転方向と、幅方向Yにおいて移動体14の中心よりも他方側に配置された回転ユニット60b,62b,64bの回転体68aの回転方向とは異なる。また、本実施形態では、移動体14の進行方向に応じて、回転体68aの回転方向が切り替えられる。具体的には、本実施形態では、例えば、上方から見て移動体14の進行方向を前方と定義した場合に、左側に位置する3つの回転体68aが左回転し、右側に位置する3つの回転体68aが右回転するように、制御装置42aによって各回転体68aの回転方向が制御される。
【0060】
保護部材66a,66bは、回転ユニット62a,62bを上方から覆うように、回転ユニット62a,62bに固定されている。したがって、
図5および
図6に示すように、保護部材66aは、移動体14に対して回転ユニット62aとともに移動し、保護部材66bは、移動体14に対して回転ユニット62bとともに移動する。
【0061】
保護部材66a,66bは、移動体14が延在方向Xに移動する際に、支持体5aに接触することによって、回転ユニット62a,62bの回転体68aが支持体5aに接触することを防止できるように構成されている。本実施形態では、
図7に示すように、上方から見て、移動体14が延在方向Xに移動する際に、回転ユニット62a,62bの回転体68aの回転領域(一点鎖線の円で示す領域)と支持体5aとが重なることがないように、保護部材66a,66bの寸法および形状が決定される。
【0062】
例えば、
図7に示す状態から移動体14が矢印X1で示す方向(以下、移動方向X1と記載する。)に移動すると、
図8に示すように、保護部材66a,66bは、支持体5aによって移動体14の移動方向X1とは反対方向に押される。これにより、回転ユニット62a,62bは、保護部材66a,66bとともに上下軸心(支持軸23a,23b)周りに回動することによって、移動体14に近付くように幅方向Yに移動する。
【0063】
その後、
図9に示すように、移動体14がさらに移動方向X1に移動して、保護部材66a,66bが一対の支持体5aの間を通り過ぎると、支持部材22a,22bは、付勢機構24(
図4参照)によって原位置に戻される。すなわち、回転ユニット62a,62bの回転体68aが基準位置に復帰する。このようにして、本実施形態では、回転ユニット62a,62bの回転体68aが支持体5aに接触することを防止しつつ、移動体14を移動させることができる。すなわち、回転ユニット62a,62bの回転体68aが支持体5aによって停止されることを防止できるので、堆積物6aを確実に排出することができる。
【0064】
本実施形態では、移動体14が移動する際に、回転ユニット60a,60b,64a,64bの回転体68aによって、搬送ベルト2の幅方向Yにおける中心部の下方に堆積した堆積物6aが、幅方向Yにおける外側に向かって掻き出される。また、回転ユニット60a,60bの回転体68aまたは回転ユニット64a,64bの回転体68aによって幅方向Yにおける外側に向かって掻き出された堆積物6aは、さらに回転ユニット62a,62bの回転体68aによって外側に向かって掻き出される。
【0065】
なお、本実施形態では、掻き出しユニット16(より具体的には、回転体68aの下端)は、本体部40(より具体的には、外周面40aの下端)よりも下方に配置されることが好ましい。回転体68aは、回転力によって堆積物6aを掘り返して解すことができるので、外周面40aよりも下方に配置することによって、外周面40aの下端近傍の堆積物6aを十分に解すことができる。これにより、堆積物6aと外周面40aとの接触部における摩擦抵抗を低減することができるとともに、堆積物6aと本体部40の底面との接触部における摩擦抵抗も低減することができる。その結果、外周面40aによって堆積物6aを幅方向Yに効率よく排出できるとともに、移動体14の走行抵抗を十分に低下することができる。掻き出しユニットを備える後述の他の実施形態においても同様である。
【0066】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態に係る搬送設備100では、搬送ベルト2のリターン部分2bの下方において移動体14が延在方向Xに移動する際に、移動体14の移動経路上に堆積した堆積物6aは、上述したように、本体部40の外周面40aによって幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側に排出される。また、移動体14が延在方向Xに移送する際に、堆積物6aは、上述したように、回転ユニット60a,60b,62a,62b,64a,64bの回転体68aによって、幅方向Yにおける外側に向かって掻き出される。このように、本実施形態では、移動体14の本体部40の外周面40aおよび掻き出しユニット16の各回転体68aがそれぞれ、堆積物6aを幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側に排出する排出部として機能する。
【0067】
ここで、排出部(外周面40aおよび複数の回転体68a)は、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で移動体14に設けられている。さらに、移動体14が地面Gに対して上方に移動することは、規制部(本実施形態では、一対の係止部40cおよびガイドレール12)によって規制されている。このため、移動体14の移動に伴って排出部(外周面40aおよび複数の回転体68a)が堆積物6aを搬送ベルト2の外側に排出する際に、排出部にかかる負荷が大きくなっても、排出部が堆積物6aを避けるように上方に移動することを防止することができる。これにより、搬送ベルト2のリターン部分2bの下方に堆積した堆積物6aを効率よく除去することができる。
【0068】
また、本実施形態では、排出部(外周面40aおよび複数の回転体68a)は、地面Gから上方に離隔するように移動体14に支持されているので、排出部を地面Gに接触させることなく、堆積物6aを適切に排出することができる。
【0069】
また、本実施形態では、ガイドレール12に沿って移動体14を延在方向Xに移動させることができるので、移動体14が幅方向Yに揺れ動くことを防止することができる。これにより、堆積物6aを円滑に排出することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上下軸心周りに回転自在に設けられた回転体68aによって堆積物6aを搬送ベルト2の外側に掻き出すことができる。この場合、延在方向Xまたは幅方向Yに延びる軸心周りに回転する回転体によって堆積物6aを搬送ベルト2の外側に掻き出す場合に比べて、簡単な構成で効率よく堆積物6aを除去することができる。
【0071】
また、本実施形態では、基準位置において回転ユニット62a,62bの回転体68aが延在方向Xにおいて隣り合う支持体5a間に位置付けられている場合でも、
図7~
図9で説明したように、回転ユニット62a,62bの回転体68aが支持体5aに接触することを保護部材66a,66bによって防止することができる。これにより、回転体68aが支持体5aに接触して損傷することを防止しつつ、延在方向Xにおいて隣り合う支持体5a間に堆積した堆積物6aを効率よく除去することができる。
【0072】
(変形例)
上述の実施形態では、
図4に示すように、回転ユニット62a,62bの回転体68a(移動回転体)の回転領域と、回転ユニット60a,60b,64a,64bの回転体68a(固定回転体)の回転領域とは略等しいが、移動回転体の回転領域を固定回転体の回転領域よりも小さくしてもよい。ここで、移動回転体を支持する支持機構は、移動体14に対して揺動するように構成されるので、固定回転体を支持する支持機構に比べて劣化しやすい。しかし、上記のように、移動回転体の回転領域を小さくした場合、小さなトルクで移動回転体を回転させることができるので、移動回転体を回転させる駆動装置を小型化および軽量化することができる。これにより、移動回転体を支持する支持機構にかかる負荷を低減でき、該支持機構の劣化を抑制することができる。
【0073】
上述の実施形態では、回転ユニット62a,62bは上下軸心(支持軸23a,23b)周りに回動することによって幅方向Yに移動するように構成されているが、回転ユニット62a,62bは、移動体14に対して幅方向Yに直線的に移動できるように移動体14に支持されていてもよい。例えば、回転ユニット62a,62bは、幅方向Yに伸縮可能な支持部材を介して移動体14に支持されていてもよい。
【0074】
上述の実施形態では、掻き出しユニット16が6個の回転体を備える場合について説明したが、回転体の個数および配置は適宜変更することができる。ただし、上述の実施形態と同様に、複数の回転体を、延在方向Xおよび幅方向Yに並ぶように配置することが好ましい。
【0075】
上述の実施形態では、掻き出しユニット16の複数の回転体68aが互いに等しい高さに設けられているが、地面の形状およびコンベアフレームの構造等に応じて、いずれかの回転体の高さを他の回転体よりも高くしたり、低くしたりしてもよい。また、いずれかの回転体の回転軸を斜めに傾けてもよい。本体部40の底面の形状についても同様に、地面の形状およびコンベアフレームの構造等に応じて適宜調整することができる。後述するスクレーパーについても同様である。
【0076】
上述の実施形態では、移動体14に設けられた掻き出しユニット16および本体部40の外周面40aが排出部として機能する場合について説明したが、
図10に示す移動体141のように、掻き出しユニット16が設けられていなくてもよい。この場合、本体部40の外周面40aが排出部として機能する。すなわち、移動体141が延在方向Xに移動する際に、堆積物6aは、本体部40の外周面40aに沿って搬送ベルト2(
図2参照)の幅方向Yにおいて複数の支持体5a(
図2参照)の外側に排出される。
【0077】
上述の実施形態では、ガイドレール12の頭部18の上面に設けられた車輪44を回転駆動することによって、移動体14を延在方向Xに移動させる場合について説明したが、移動体14を延在方向Xに移動させるための構成は上述の例に限定されない。例えば、
図11に示す移動体142のように、ガイドレール12の頭部18を幅方向Yにおける両側から挟むように、上下軸心周りに回転自在な複数の車輪44aを設け、その複数の車輪44aのいずれかを回転させることによって移動体14を延在方向Xに移動させてもよい。移動体14の浮き上がりを防止する観点からは、ガイドレール12の頭部18の側面を機械的力で挟み込んで回転させる方がガイドレール12に対する接触力が変化しにくいので好ましい。後述の他の実施形態においても同様である。
【0078】
また、上述の実施形態では、回転ユニット62a,62b(
図4参照)の回転体68aの回転領域の一部が保護部材66a,66bよりも外側にはみ出しているが、
図11に示すように、保護部材66a,66bが、回転ユニット62a,62bの回転体68aの回転領域の全体を覆ってもよい。この場合、回転ユニット62a,62bの回転体68aが支持体5aに接触することをより確実に防止できる。
【0079】
また、
図11に示す移動体142のように、延在方向Xにおける機械装置部42の一方側および他方側に、スクレーパー80a,80bを設けてもよい。スクレーパー80aは、機械装置部42から延在方向Xにおける一方側に向かって突出し、スクレーパー80bは、機械装置部42から延在方向Xにおける他方側に向かって突出するように設けられている。スクレーパー80a,80bを設けることによって、ガイドレール12上の堆積物を幅方向Yにおける外側に向かって効率よく排出することができる。その結果、移動体142を円滑に移動させることができる。なお、詳細な説明は省略するが、スクレーパー80a,80bの先端部は、ガイドレール12の近傍まで延びるように設けられることが好ましい。
【0080】
また、上述の実施形態では、除去装置10が自走式の移動体14,141,142を備える場合について説明したが、移動体が自走式でなくてもよい。
図12は、除去装置の他の例を示す図である。
図12に示す除去装置10aが上述の除去装置10と異なるのは、移動体14の代わりに移動体14aを有している点である。移動体14aが上述の移動体14と異なるのは、自走式ではなく、ロープ等の線状部材26を用いて牽引されることによって延在方向Xに移動する点である。本実施形態に係る除去装置10aにおいても、移動体14aを延在方向Xに移動させることによって、上述の除去装置10と同様の作用効果が得られる。
【0081】
また、上述の実施形態では、除去装置10,10aがガイドレール12を備える場合について説明したが、除去装置がガイドレールを備えていなくてもよい。
図13および
図14は、除去装置のその他の例を示す図である。
図13および
図14に示す除去装置10bが上述の除去装置10a(
図12参照)と異なるのは、ガイドレール12を備えていない点、移動体14aの代わりに移動体14bを備えている点、複数の滑り材30a,30b,30cを備えている点、一対の上方規制部材32を備えている点、および一対の側方規制部材34を備えている点である。
【0082】
図13および
図14に示すように、移動体14bが
図3に示した移動体14aと異なるのは、本体部40の代わりに本体部41を有している点である。詳細な説明は省略するが、本体部41は、空洞部40b(
図3参照)および一対の係止部40c(
図3参照)が形成されていない点を除いて、本体部40と同様の形状を有している。
【0083】
本体部41は、滑り材30a,30b,30cを介して地面G上に支持されている。本実施形態では、滑り材30a,30b,30cはそれぞれ、延在方向Xに延びるように設けられている。滑り材30a,30b,30cは、橇のランナーと同様の機能を有する部材であり、地面Gに対して移動体14bが延在方向Xに滑ることができるように移動体14bを支持している。上述の移動体14a(
図12参照)と同様に、移動体14bは、線状部材26を用いて牽引されることによって延在方向Xに移動することができる。
【0084】
一対の上方規制部材32および一対の側方規制部材34はそれぞれ、延在方向Xに延びるように設けられている。本実施形態では、
図14に示すように、一対の上方規制部材32および一対の側方規制部材34は、移動体14bに固定されている。一対の上方規制部材32は、移動体14bよりも上方に位置付けられ、一対の側方規制部材34は、移動体14bよりも幅方向Yにおける外側に位置付けられている。
【0085】
本実施形態に係る除去装置10bにおいても、移動体14bを延在方向Xに移動させることによって、上述の除去装置10,10aと同様の作用効果が得られる。なお、本実施形態では、一対の上方規制部材32がリターンローラ4に接触することによって、移動体14bが上方に移動することが規制される。このように、本実施形態では、上方規制部材32が、地面Gに対して移動体14bが上方に移動することを規制する規制部として機能する。また、本実施形態では、いずれかの側方規制部材34が支持体5aに接触することによって、移動体14bが幅方向Yにおいて搬送ベルト2の外側に移動することが規制される。これにより、移動体14bを延在方向Xに円滑に移動させることができる。
【0086】
なお、
図13に示すように、上方規制部材32は、移動体14bが上方に移動しようとしたときに少なくとも2つのリターンローラ4に接触する長さを有することが好ましい。この場合、移動体14bが上方に移動することをより確実に防止することができる。また、側方規制部材34は、移動体14が幅方向Yに移動しようとしたときに少なくとも2つの支持体5aに接触する長さを有することが好ましい。この場合、移動体14bが幅方向Yにおいて搬送ベルト2の外側に移動することを確実に防止することができる。
【0087】
上述の実施形態では、搬送設備100が地面G上に設けられたコンベアフレーム5に支持された搬送ベルト2を備える場合について説明したが、搬送ベルト2が地面G上に設けられたコンベアフレームに支持されていなくてもよい。
図15は、搬送設備の他の例を示す概略図である。
図15に示す搬送設備100aが上述の搬送設備100と異なるのは、搬送ベルト2が地面G上に設けられたコンベアフレーム5に支持されるのではなく、高架型のコンベアフレーム50に支持されている点である。
【0088】
本実施形態では、コンベアフレーム50は、搬送ベルト2の延在方向に互いに間隔をあけて設けられた複数の支持体(縦材)50aと、搬送ベルト2から落下した落下物を保持できるように搬送ベルト2の下方に設けられた保持板52と、幅方向Yにおいて保持板52の両側に設けられた一対の通路用板材54とを有している。なお、コンベアフレーム50としては、道路等の上方において搬送ベルトを支持する際に用いられる公知の高架型のコンベアフレームを用いることができるので、コンベアフレーム50の詳細な説明は省略する。
【0089】
本実施形態では、保持板52と搬送ベルト2との間に設置用空間7aが形成され、設置用空間7aに除去装置10が配置されている。除去装置10のガイドレール12は、保持板52に固定されている。移動体14は、保持板52上をガイドレール12に沿って移動できるように設けられている。本体部40(外周面40a)および掻き出しユニット16は、保持板52から上方に離隔して設けられている。本体部40(外周面40a)と保持板52との距離は、上述の実施形態における本体部40(外周面40a)と地面Gとの距離と同様に設定される。また、掻き出しユニット16と保持板52との距離は、上述の実施形態における掻き出しユニット16と地面Gとの距離と同様に設定される。
【0090】
本実施形態に係る搬送設備100aにおいても、移動体14を搬送ベルト2の延在方向に移動させることによって、上述の搬送設備100と同様に、搬送ベルト2の下方に堆積した堆積物6aを、本体部40の外周面40aおよび掻き出しユニット16によって、搬送ベルト2の幅方向Yにおいて複数の支持体50aの外側に排出することができる。具体的には、本実施形態では、保持板52上に堆積した堆積物6aを、通路用板材54側へ排出することができる。なお、本実施形態においても、ガイドレール12および移動体14の一対の係止部40cが、地面(図示せず)に対して移動体14が上方に移動することを規制する規制部として機能する。これにより、移動体14が、搬送ベルト2の下方において堆積物6aが堆積する面(保持板52の上面)に対して上方に移動することを規制することができる。
【0091】
なお、本実施形態においても、移動体14の代わりに
図10に示した移動体141または
図11に示した移動体142を用いてもよい。また、除去装置10の代わりに
図12に示した除去装置10aまたは
図13に示した除去装置10bを用いてもよい。
【0092】
(第2実施形態)
図16は、本発明の第2実施形態に係る搬送設備を示す概略図である。なお、
図16に示す搬送設備200が上述の搬送設備100と異なるのは、除去装置10の代わりに除去装置70を備えている点である。また、除去装置70が上述の除去装置10と異なるのは、掻き出しユニット16の代わりに、掻き出しユニット72を備えている点である。したがって、以下においては、主に掻き出しユニット72について説明する。
【0093】
図17は、除去装置70を上方から見た図である。
図16および
図17に示すように、本実施形態では、掻き出しユニット72は、移動体14から幅方向Yにおける両側に向かって延びるように設けられた一対の板状のスクレーパー74a,74bを備えている。掻き出しユニット72(スクレーパー74a,74b)は、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で移動体14に設けられている。なお、スクレーパー74a,74bが幅方向Yに延びるとは、幅方向Yに対して平行に延びる場合に限定されず、幅方向Yに対して傾斜する方向に延びる場合を含む。
【0094】
図18および
図19は、掻き出しユニット72の動作を説明するための図である。
図17~
図19に示すように、本実施形態では、スクレーパー74a,74bはそれぞれ、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で、上下軸心周りに回転自在に移動体14に支持されている。具体的には、
図16~
図19に示すように、スクレーパー74a,74bは、本体部40に対して上下方向に移動できないように、かつ上下方向に延びる支持軸76a,76bを中心として揺動できるように、支持軸76a,76bを介して本体部40に支持されている。
【0095】
本実施形態では、
図17に示す状態から移動体14が矢印X1で示す方向に移動すると、
図18に示すように、スクレーパー74a,74bは、移動体14の移動経路上に堆積している堆積物6a(
図16参照)によって、移動体14の移動方向X1とは反対方向(矢印X2で示す方向。)に押される。これにより、スクレーパー74a,74bは、上下軸心(支持軸76a,76b)周りに回動し、移動体14の移動方向X1とは反対方向に傾く。この状態で移動体14が移動方向X1にさらに移動することによって、移動体14の移動経路上に堆積した堆積物6aは、スクレーパー74a,74bに沿って搬送ベルト2の幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側に送り出される。
【0096】
一方、移動体14が矢印X2で示す方向に移動すると、
図19に示すように、スクレーパー74a,74bは、移動体14の移動経路上に堆積している堆積物6a(
図16参照)によって、移動体14の移動方向X2とは反対方向(矢印X1で示す方向。)に押される。これにより、スクレーパー74a,74bは、上下軸心(支持軸76a,76b)周りに回動し、移動体14の移動方向X2とは反対方向に傾く。この状態で移動体14が移動方向X2にさらに移動することによって、移動体14の移動経路上に堆積した堆積物6aは、スクレーパー74a,74bに沿って搬送ベルト2の幅方向Yにおいて複数の支持体5aの外側に送り出される。
【0097】
なお、本実施形態では、
図16に示すように、スクレーパー74a,74bの高さ(下端の位置)と本体部40の外周面40aの高さ(下端の位置)とが等しいことが好ましい。この場合、スクレーパー74a,74bと外周面40aとによって堆積物6aが掻き出された部分(掻き出された後の面)に凹凸が生じることを抑制することができる。
【0098】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態に係る搬送設備200では、搬送ベルト2の下方において移動体14が延在方向Xに移動する際に、移動体14の移動経路上に堆積した堆積物6aは、本体部40の外周面40aによって幅方向Yにおける外側に移動させられる。また、移動体14が延在方向Xに移送する際に、堆積物6aは、上述したように、掻き出しユニット72のスクレーパー74a,74bによって、幅方向Yにおける外側に向かって掻き出される。このように、本実施形態では、移動体14の本体部40の外周面40aおよび掻き出しユニット72のスクレーパー74a,74bがそれぞれ、堆積物6aを搬送ベルト2の幅方向外側に排出する排出部として機能する。
【0099】
ここで、本実施形態においても、排出部(外周面40aおよびスクレーパー74a,74b)は、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で移動体14に設けられている。さらに、移動体14が地面Gに対して上方に移動することは、規制部(一対の係止部40cおよびガイドレール12)によって規制されている。このため、移動体14の移動に伴って排出部(外周面40aおよびスクレーパー74a,74b)が堆積物6aを搬送ベルト2の外側に排出する際に、排出部にかかる負荷が大きくなっても、排出部が堆積物6aを避けるように上方に移動することを防止することができる。これにより、搬送ベルト2のリターン部分2bの下方に堆積した堆積物6aを効率よく除去することができる。
【0100】
なお、本実施形態においても、排出部(外周面40aおよびスクレーパー74a,74b)は、地面Gから上方に離隔するように移動体14に支持されているので、排出部を地面Gに接触させることなく、堆積物6aを適切に排出することができる。
【0101】
また、本実施形態においても、ガイドレール12に沿って移動体14を延在方向Xに移動させることができるので、移動体14が幅方向Yに揺れ動くことを防止することができる。これにより、堆積物6aを円滑に排出することができる。
【0102】
(変形例)
図20~
図30は、除去装置の変形例を示す図である。
図20~
図30に示す除去装置70aが、
図17~
図19に示した除去装置70と異なるのは、掻き出しユニット72の代わりに、掻き出しユニット72aを備えている点である。したがって、以下においては、主に掻き出しユニット72aについて説明する。
【0103】
図20に示すように、掻き出しユニット72aは、一対のスクレーパー78a,78bおよび一対の付勢装置80a,80bを備えている。本実施形態においても、スクレーパー78a,78bは、本体部40に対して上下方向に移動できないように、かつ上下方向に延びる支持軸76a,76bを中心として揺動できるように、支持軸76a,76bを介して本体部40に支持されている。
【0104】
本実施形態では、スクレーパー78aは、第1アーム部82aと第2アーム部84aと接続部86aとを備える。第1アーム部82aは、上述のスクレーパー74aと同様に、移動体14に対する上下方向の位置が固定された状態で、上下軸心周りに回転自在に移動体14に支持されている。本実施形態では、第1アーム部82aは、支持軸76a周りに揺動自在に移動体14(本体部40)に支持されている。
【0105】
第2アーム部84aは、第1アーム部82aよりも幅方向Yにおける外側に設けられている。接続部86aは、例えば、バネ等の弾性部材を含み、第2アーム部84aが第1アーム部82aに対して延在方向Xに揺動できるように、第1アーム部82aと第2アーム部84aとを接続している。なお、本実施形態では、第2アーム部84aは、移動体14および第1アーム部82aに対する上下方向の位置が固定された状態で、接続部86aを介して第1アーム部82aに接続されている。
【0106】
詳細な説明は省略するが、スクレーパー78bは、スクレーパー78aの第1アーム部82a、第2アーム部84aおよび接続部86aと同様の構成を有する第1アーム部82b、第2アーム部84bおよび接続部86bを有している。
【0107】
付勢装置80aは、揺動部材88aおよび弾性部材90aを有している。揺動部材88aは、幅方向Yに揺動自在に本体部40に設けられている。弾性部材90aは、揺動部材88aを幅方向Yにおける外側に向かって付勢している。揺動部材88aは、幅方向Yにおける内側から第1アーム部82aに当接している。
【0108】
本実施形態では、第1アーム部82aが幅方向Yに対して延在方向X(移動体14の移動方向。)における一方側(矢印X1で示す方向:以下、第1方向X1と記載する。)に傾いている場合には、付勢装置80aは、第1アーム部82aを第1方向X1に付勢する。これにより、
図21に示すように、第1アーム部82aは、幅方向Yに対して第1方向X1に傾いた状態で保持される。以下、第1アーム部82aが幅方向Yに対して第1方向X1に最も傾いたときの第1アーム部82aの位置(
図21に示す位置)を、第1基準位置と称する。
【0109】
また、本実施形態では、第1アーム部82aが幅方向Yに対して延在方向Xにおける他方側(矢印X2で示す方向:以下、第2方向X2と記載する。)に傾いている場合には、付勢装置80aは、第1アーム部82aを第2方向X2に付勢する。これにより、
図22に示すように、第1アーム部82aは、幅方向Yに対して第2方向X2に傾いた状態で保持される。以下、第1アーム部82aが幅方向Yに対して第2方向X2に最も傾いたときの第1アーム部82aの位置(
図22に示す位置)を、第2基準位置と称する。
【0110】
詳細な説明は省略するが、付勢装置80bは、付勢装置80aの揺動部材88aおよび弾性部材90aと同様の揺動部材88bおよび弾性部材90bを有し、付勢装置80aと同様に、第1アーム部82bの位置に応じて、第1アーム部82bを第1方向X1または第2方向X2に付勢する。これにより、第1アーム部82bも第1アーム部82aと同様に、幅方向Yに対して第1方向X1に最も傾いた第1基準位置または幅方向Yに対して第2方向X2に最も傾いた第2基準位置で保持される。
【0111】
なお、本実施形態では、第1アーム部82a,82bが、第1基準位置からさらに第1方向X1方向に回動すること、および第2基準位置からさらに第2方向X2に回動することができないように、第1アーム部82a,82bの回動範囲が規制されている。また、本実施形態では、第1アーム部82a,82bが第1基準位置および第2基準位置に位置付けられている場合には、第1アーム部82a,82bの先端は、幅方向Yにおいて支持体5aよりも内側に位置する。
【0112】
本実施形態では、
図20~
図22に示すように、上方から見て、支持軸76a(第1アーム部82aの回転軸心)、第1アーム部82aおよび第2アーム部84aが直線状に並ぶときの第2アーム部84aの姿勢を、第2アーム部84aの基準姿勢と称する。同様に、上方から見て、支持軸76b(第1アーム部82bの回転軸心)、第1アーム部82bおよび第2アーム部84bが直線状に並ぶときの第2アーム部84bの姿勢を、第2アーム部84bの基準姿勢と称する。
【0113】
本実施形態では、第2アーム部84a,84bは、第1アーム部82a,82bに対して、基準姿勢から第1方向X1および第2方向X2に揺動できるように、接続部86a,86bによって第1アーム部82a,82bに接続されている。また、本実施形態では、接続部86a,86bは、第2アーム部84a,84bが基準姿勢に復帰するように、第2アーム部84a,84bを付勢している。
【0114】
上記のような構成により、例えば、
図23に示す状態から移動体14が第1方向X1に移動すると、
図24に示すように、スクレーパー78a,78bは、支持体5aによって第2方向X2に押される。これにより、第1アーム部82a,82bが上下軸心(支持軸76a,76b)周りに、第2基準位置まで回動する。
【0115】
図25に示すように、移動体14がさらに第1方向X1に移動すると、第2アーム部84a,84bは、支持体5aによって第2方向X2に押されることによって、第1アーム部82a,82bに対して第2方向X2に揺動する。本実施形態では、第2アーム部84a,84bは、基準姿勢から第2方向X2に揺動する。これにより、第2アーム部84a,84bの先端が支持体5aの内側に移動する。
【0116】
その後、
図26に示すように、移動体14がさらに第1方向X1に移動すると、第2アーム部84a,84bの先端が支持体5aの内側を第1方向X1に通り過ぎる。これにより、第1アーム部82a,82bが第2基準位置に位置付けられた状態で、第2アーム部84a,84bは、基準姿勢に戻るように、第1アーム部82a,82bに対して第1方向X1に揺動する。
【0117】
一方、
図26に示す状態から移動体14が第2方向X2に移動すると、
図27および
図28に示すように、スクレーパー78a,78bは、支持体5aによって第1方向X1に押される。これにより、第1アーム部82a,82bが上下軸心(支持軸76a,76b)周りに、第1基準位置まで回動する。
【0118】
図29に示すように、移動体14がさらに第2方向X2に移動すると、第2アーム部84a,84bは、支持体5aによって第1方向X1に押されることによって、第1アーム部82a,82bに対して第1方向X1に揺動する。本実施形態では、第2アーム部84a,84bは、基準姿勢から第1方向X1に揺動する。これにより、第2アーム部84a,84bの先端が支持体5aの内側に移動する。
【0119】
その後、
図30に示すように、移動体14がさらに第2方向X2に移動すると、第2アーム部84a,84bの先端が支持体5aの内側を第2方向X2に通り過ぎる。これにより、第1アーム部82a,82bが第1基準位置に位置付けられた状態で、第2アーム部84a,84bは、基準姿勢に戻るように、第1アーム部82a,82bに対して第2方向X2に揺動する。
【0120】
以上のように、本実施形態に係る除去装置70aによれば、移動体14が移動する際に、スクレーパー78a,78bが支持体5aの内側を円滑に通過できる。また、スクレーパー78a,78bと支持体5aとが接触していないときには、幅方向Yにおいて十分に広い範囲の堆積物を、スクレーパー78a,78bによって支持体5aの外側に排出することができる。
【0121】
上述の実施形態では、掻き出しユニット72(72a)が、移動体14から幅方向Yに延びるように設けられた2つの板状のスクレーパー74a,74b(78a,78b)を備える場合について説明したが、スクレーパーの個数、形状および配置は適宜変更することができる。また、例えば、スクレーパー74a,74bを可撓性の部材によって形成してもよい。この場合、移動体14にスクレーパー74a,74bを固定したとしても、堆積物6aによって押されることによってスクレーパー74a,74bを移動体14の移動方向とは反対方向に湾曲させることができる。これにより、スクレーパー74a,74bを、移動体14の移動方向とは反対方向に傾斜させることができるので、堆積物6aを搬送ベルト2の幅方向外側へ効率よく排出することができる。
【0122】
詳細な説明は省略するが、
図12に示した除去装置10aまたは
図13に示した除去装置10bにおいて、掻き出しユニット16の代わりに掻き出しユニット72,72aを設けてもよい。また、
図15に示した除去装置10の代わりに掻き出しユニット72,72aを備えた除去装置を設けてもよい。
【0123】
また、詳細な説明は省略するが、除去装置において、掻き出しユニット16の一部または全部の回転ユニットと掻き出しユニット72,72aとを組み合わせて用いてもよい。例えば、
図16に示した除去装置70に、
図4に示した回転ユニット60a,60b,64a,64bを取り付けてもよい。この場合、回転ユニット60a,60b,64a,64b(より具体的には、回転体68aの下端)は、本体部40(より具体的には、外周面40aの下端)および掻き出しユニット72(より具体的には、スクレーパー74a,74bの下端)よりも下方に配置されることが好ましい。この場合、本体部40および掻き出しユニット72の下端近傍の堆積物を十分に解すことができる。これにより、堆積物と本体部40との接触部および堆積物と掻き出しユニット72との接触部における摩擦抵抗を低減することができる。その結果、本体部40(外周面40a)および掻き出しユニット72によって堆積物6aを幅方向Yに効率よく排出できるとともに、移動体14の走行抵抗を十分に低下することができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明によれば、搬送ベルトのリターン部分の下方に堆積した堆積物を効率良く除去することができる。したがって、本発明は、無端状の搬送ベルトによって搬送物を搬送する種々の搬送設備において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0125】
1 ベルトコンベア
2 搬送ベルト
2a キャリア部分
2b リターン部分
3 ローラユニット
3a 中央ローラ
3b 傾斜ローラ
4 リターンローラ
5,50 コンベアフレーム
5a,50a 支持体
6 搬送物
6a 堆積物
7,7a 設置用空間
10,10a,10b,70 除去装置
12 ガイドレール
12a 第1ガイド部
12b 第2ガイド部
14,14a,14b,141,142 移動体
16,72,72a 掻き出しユニット
24 付勢機構
42a 制御装置
52 保持板
68a 回転体
74a,74b,78a,78b スクレーパー
82a,82b 第1アーム部
84a,84b 第2アーム部
86a,86b 接続部
G 地面
X 搬送ベルトの延在方向
Y 搬送ベルトの幅方向
100,100a,200 搬送設備