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特許7401766アンテナ設計プログラム、アンテナ設計方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】アンテナ設計プログラム、アンテナ設計方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/00 20060101AFI20231213BHJP
   G06F 30/00 20200101ALI20231213BHJP
【FI】
H01Q1/00
G06F30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020044977
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150662
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山ヶ城 尚志
(72)【発明者】
【氏名】新出 孝政
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-142720(JP,A)
【文献】特開平07-273681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 25/04
G06F 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチアンテナの設計情報を用いた電磁界シミュレーションの第1の結果に基づいて、前記パッチアンテナの反射係数が最小となる第1の周波数を検出し、
指定された動作周波数と検出した前記第1の周波数との比較結果に基づいて、前記動作周波数における前記反射係数を減少させる前記パッチアンテナのパッチの辺長を計算し、
前記第1の結果から得られる、スミスチャート上の前記パッチアンテナの入力インピーダンスの軌跡に基づいて、前記動作周波数における前記入力インピーダンスを、前記スミスチャートの中心点に近づける前記パッチアンテナの給電位置を計算する、
処理をコンピュータに実行させるアンテナ設計プログラム。
【請求項2】
前記動作周波数よりも検出した前記第1の周波数が高い場合、前記設計情報が示す前記辺長を長くし、前記動作周波数よりも検出した前記第1の周波数が低い場合、前記設計情報が示す前記辺長を短くする、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項1に記載のアンテナ設計プログラム。
【請求項3】
前記軌跡である円が、前記中心点を含む場合、前記設計情報が示す前記給電位置を前記パッチの中心に近づけ、
前記円が、前記中心点を含まない場合、前記設計情報が示す前記給電位置を前記パッチの中心から遠ざける、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項1または2に記載のアンテナ設計プログラム。
【請求項4】
前記スミスチャートにおいて、前記動作周波数における前記入力インピーダンスの点を原点とし、前記原点と前記中心点を通る第1の座標軸と、前記原点を通り前記第1の座標軸に垂直な第2の座標軸による座標系を設定し、前記動作周波数とは異なる第2の周波数における前記入力インピーダンスの点の前記第1の座標軸の値が正の場合、前記円が前記中心点を含むと判定し、前記第1の座標軸の値が負の場合、前記円が前記中心点を含まないと判定する、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項3に記載のアンテナ設計プログラム。
【請求項5】
計算した前記辺長及び前記給電位置を用いて、前記設計情報を更新し、
更新された前記設計情報を用いた電磁界シミュレーションの第2の結果に基づいて、前記第1の周波数の検出、前記辺長の計算、前記給電位置の計算、及び前記設計情報の更新を、繰り返す、
処理を前記コンピュータに実行させる請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンテナ設計プログラム。
【請求項6】
コンピュータが、
パッチアンテナの設計情報を用いた電磁界シミュレーションの結果に基づいて、前記パッチアンテナの反射係数が最小となる周波数を検出し、
指定された動作周波数と検出した前記周波数との比較結果に基づいて、前記動作周波数における前記反射係数を減少させる前記パッチアンテナのパッチの辺長を計算し、
前記結果から得られる、スミスチャート上の前記パッチアンテナの入力インピーダンスの軌跡に基づいて、前記動作周波数における前記入力インピーダンスを、前記スミスチャートの中心点に近づける前記パッチアンテナの給電位置を計算する、
アンテナ設計方法。
【請求項7】
パッチアンテナの設計情報と、前記設計情報を用いた電磁界シミュレーションの結果とを記憶する記憶部と、
前記結果に基づいて、前記パッチアンテナの反射係数が最小となる周波数を検出し、指定された動作周波数と検出した前記周波数との比較結果に基づいて、前記動作周波数における前記反射係数を減少させる前記パッチアンテナのパッチの辺長を計算し、前記結果から得られる、スミスチャート上の前記パッチアンテナの入力インピーダンスの軌跡に基づいて、前記動作周波数における前記入力インピーダンスを、前記スミスチャートの中心点に近づける前記パッチアンテナの給電位置を計算する処理部と、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ設計プログラム、アンテナ設計方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機器に搭載される平面アンテナの一種として、パッチアンテナ(マイクロストリップアンテナとも呼ばれる)が知られている。パッチアンテナは、誘電体基板と、誘電体基板の表面に形成されたパッチと呼ばれる導体パターンと、誘電体基板の裏面に形成された地導体板を有する。また、パッチの所定の位置には給電点が設けられ、たとえば、同軸線路の中心導体が、パッチアンテナの裏面から地導体板と誘電体基板を貫いて、給電点においてパッチに接触される。
【0003】
なお、従来、金属に近接したときのアンテナの反射特性の劣化を抑制可能なアンテナを設計する方法があった(たとえば、特許文献1参照)。また、パッチアンテナの設計手法として、深層学習をはじめとする数値最適化手法を用いるものがあった(たとえば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-036135号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】R. K. Mishra and A. Patnaik, “Neural Network-Based CAD Model for the Design of Square-Patch Antennas”, IEEE transactions on antennas and propagation, December 1998, vol. 46, no. 12, p.1890-1891
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、パッチアンテナの設計では、入力インピーダンスを整合させるためにパッチのサイズや給電位置を決定することが難しく、設計に時間がかかるという問題がある。数値最適化手法を用いた設計においても、学習用の大量のサンプルを用意する手間が発生するため同様に設計に時間がかかる。
【0007】
1つの側面では、本発明は、パッチアンテナの設計時間を短縮可能なアンテナ設計プログラム、アンテナ設計方法及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、パッチアンテナの設計情報を用いた電磁界シミュレーションの第1の結果に基づいて、前記パッチアンテナの反射係数が最小となる第1の周波数を検出し、指定された動作周波数と検出した前記第1の周波数との比較結果に基づいて、前記動作周波数における前記反射係数を減少させる前記パッチアンテナのパッチの辺長を計算し、前記第1の結果から得られる、スミスチャート上の前記パッチアンテナの入力インピーダンスの軌跡に基づいて、前記動作周波数における前記入力インピーダンスを、前記スミスチャートの中心点に近づける前記パッチアンテナの給電位置を計算する、処理をコンピュータに実行させるアンテナ設計プログラムが提供される。
【0009】
また、1つの実施態様では、アンテナ設計方法が提供される。
また、1つの実施態様では、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、本発明は、パッチアンテナの設計時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態のアンテナ設計方法及び情報処理装置の一例を示す図である。
図2】パッチの辺長と給電位置の調整例を示す図である。
図3】入力インピーダンスの虚数部と、周波数との関係の一例を示す図である。
図4】情報処理装置のハードウェア例を示すブロック図である。
図5】情報処理装置の機能例を示すブロック図である。
図6】アンテナ設計方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図7】スミスチャートにおける入力インピーダンスの軌跡の例を示す図である。
図8】スミスチャートにおける入力インピーダンスの軌跡の推定例を示す図である。
図9】パッチサイズ及び給電位置の調整例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のアンテナ設計方法及び情報処理装置の一例を示す図である。
【0013】
情報処理装置10は、たとえば、図1に示すようなパッチアンテナ15を設計する。図1にはパッチアンテナ15の上面と、A-A線における断面が示されている。パッチアンテナ15は、誘電体基板15aと、誘電体基板15aの表面に形成されたパッチ(導体パターン)15bと、誘電体基板15aの裏面に形成された地導体板15cを有する。また、パッチ15bの所定の位置には給電点15dが設けられ、たとえば、同軸線路の中心導体15daが、パッチアンテナ15の裏面から地導体板15cと誘電体基板15aを貫いて、給電点15dにおいてパッチ15bに接触される。また、同軸線路の外導体15dbが地導体板15cと接触される。
【0014】
情報処理装置10は、記憶部11及び処理部12を有する。
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置、または、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置である。
【0015】
記憶部11は、設計情報11a、電磁界シミュレーション結果11bを記憶する。
設計情報11aは、たとえば、パッチアンテナ15のパッチ15bの辺長(図1のlやl)、給電位置(給電点15dの位置でありパッチ15bの中心からの距離(f)で表される)などを含む。設計情報11aの初期値は、たとえば、後述の計算式により計算される。
【0016】
電磁界シミュレーション結果11bは、設計情報11aを用いて実行された電磁界シミュレーションの結果である。電磁界シミュレーションとして、たとえば、FDTD(Finite-Difference Time-Domain method)法、モーメント法、または有限要素法などを利用したシミュレーションが適用できる。電磁界シミュレーション結果11bには、各周波数における、|S11|及び入力インピーダンスを含む。S11は、反射係数と呼ばれる値であり、|S11|が小さいほど良好な整合であることを示す。
【0017】
なお、情報処理装置10が電磁界シミュレーションを実行してもよいし、他の情報処理装置が電磁界シミュレーションを実行し、情報処理装置10がその結果を取得し、記憶部11に記憶してもよい。
【0018】
処理部12は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアであるプロセッサにより実現される。ただし、処理部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの電子回路を含んでもよい。プロセッサは、RAMなどのメモリに記憶されたプログラムを実行する。たとえば、アンテナ設計プログラムが実行される。なお、複数のプロセッサの集合を「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」ということがある。
【0019】
処理部12は、以下のような処理(アンテナ設計方法)を行う。
処理部12は、電磁界シミュレーション結果11bに基づいて、パッチアンテナ15の反射係数が最小となる周波数(共振周波数ということもできる)fを検出する(ステップS1)。
【0020】
そして、処理部12は、指定された動作周波数fと検出した周波数fとの比較結果に基づいて、動作周波数fにおける反射係数を減少させるパッチアンテナ15のパッチ15bの辺長を計算する(ステップS2)。
【0021】
計算されるパッチ15bの辺長は、給電点15dが、パッチ15bの中心に対してy方向にずれている場合は、y方向の辺の長さであるlである。なお、パッチ15bの形状は矩形や正方形に限定されず、円形であってもよい。その場合、計算されるパッチの辺長は円の半径である。
【0022】
を短くすると、反射係数が最小になる周波数fは高くなっていく。そのため、f>fである場合、動作周波数fにおける反射係数を減少させるためには、lを現在の設計情報11aで表されている長さよりも長くすればよい。一方、f<fである場合、動作周波数fにおける反射係数を減少させるためには、lを現在の設計情報11aで表されている長さよりも短くすればよい。たとえば、処理部12は、現在の設計情報11aで表されているlをf/f倍して、新たなパッチ15bの辺長を計算することができる。
【0023】
また、処理部12は、スミスチャート上のパッチアンテナ15の入力インピーダンスの軌跡に基づいて、動作周波数fにおける入力インピーダンスを、スミスチャートの中心点に近づける給電位置を計算する(ステップS3)。
【0024】
上記の軌跡は、電磁界シミュレーション結果11bから得られる。給電位置が、パッチ15bの中心から離れるほど、入力インピーダンスの軌跡である円の大きさが大きくなっていく。そこで、処理部12は、入力インピーダンスの軌跡である円が、スミスチャートの中心点を含む場合、設計情報11aが示す給電位置をパッチ15bの中心に近づけ、円が中心点を含まない場合、給電位置をパッチ15bの中心から遠ざける。動作周波数fにおける入力インピーダンスを、スミスチャートの中心点に近づけることで良好なインピーダンス整合が得られるため、このような処理が行われる。
【0025】
なお、処理部12は、ステップS2,S3の処理で計算したパッチ15bの辺長と給電位置を図示しない表示装置に対して出力して表示させてもよい。
さらに、処理部12は、計算したパッチ15bの辺長及び給電位置を用いて、記憶部11に記憶されている設計情報11aを更新する(ステップS4)。
【0026】
なお、上記処理の順序は一例であり、適宜処理の順序を入れ替えてもよい。たとえば、ステップS3の処理をステップS1の処理の前に行ってもよい。
また、上記のステップS1~S4の処理を繰り返して、より特性のよいパッチアンテナ15を設計するようにしてもよい。
【0027】
図2は、パッチの辺長と給電位置の調整例を示す図である。
図2には、電磁界シミュレーションによって得られるパッチの辺長と、S11[dB]の周波数特性との関係の一例が示されている。誘電体基板15aのサイズは、70×70×3.2mmであり、図示しない給電点は、パッチ15bの中心である。また、誘電体基板15aの比誘電率は2.17、誘電正接は0.001、パッチ15bや図1に示した地導体板15cは厚さ0の完全導体である。
【0028】
特性20はl(=l)=60mmの場合のS11の周波数特性を示し、特性21はl(=l)=50mmの場合のS11の周波数特性を示し、特性22はl(=l)=40mmの場合のS11の周波数特性を示す。
【0029】
パッチ15bの辺長が短くなるほど、S11[dB]が最小となる周波数が高くなる。たとえば、現在の設計情報11aにおけるパッチ15bのlが60mmである場合、検出される周波数fは約1.6GHzである。指定される動作周波数fが、1.9GHzの場合、l=50mm程度に縮小することで、動作周波数fにおける反射係数を減少させることができる。一方、現在の設計情報11aにおけるパッチ15bのlが40mmである場合、検出される周波数fは約2.4GHzである。指定される動作周波数fが、1.9GHzの場合、l=50mm程度に拡大することで、動作周波数fにおける反射係数を減少させることができる。
【0030】
図2には、さらに、電磁界シミュレーションによって得られる給電位置とスミスチャート25での入力インピーダンスの軌跡との関係が示されている。誘電体基板15aのサイズは、70×70×3.2mm、パッチ15bのサイズは、47×47mmである。また、誘電体基板15aの誘電率は2.17、誘電正接は0.001、パッチ15bや図1に示した地導体板15cは厚さ0の完全導体である。
【0031】
軌跡26は、給電点15dのパッチ15bの中心からの距離(f)が5.0mmの場合の入力インピーダンスの軌跡であり、軌跡27は、f=8.3mmの場合の入力インピーダンスの軌跡である。また、軌跡28は、f=15mmの場合の入力インピーダンスの軌跡である。軌跡27は、スミスチャート25の中心点(基準インピーダンス(以下50Ωとする))を通り、動作周波数fにおいて良好なインピーダンス整合が得られる可能性がある軌跡である。
【0032】
図2に示されているように、給電点15dがパッチ15bの中心から離れるほど、入力インピーダンスの軌跡である円の大きさが大きくなる。たとえば、現在の設計情報11aにおいて、f=5.0mmの場合、入力インピーダンスの軌跡26は、スミスチャート25の中心点を含まない。このため、給電点15dをパッチ15bの中心から離すことで、軌跡26を軌跡27に近づけることができる。一方、現在の設計情報11aにおいて、f=15mmの場合、入力インピーダンスの軌跡28は、スミスチャート25の中心点を含む。このため、給電点15dをパッチ15bの中心に近づけることで、軌跡28を軌跡27に近づけることができる。
【0033】
ところで、入力インピーダンスの整合は、入力インピーダンスの虚数部を0Ω、実数部を50Ωとなるように調整することである。
図3は、入力インピーダンスの虚数部と、周波数との関係の一例を示す図である。縦軸は入力インピーダンスの虚数部[Ω]を表し、横軸は周波数[Hz]を表す。
【0034】
入力インピーダンスの虚数部は、図3に示すように複雑な挙動を示すため、このような特性に基づいて、コンピュータに、ある周波数でインピーダンス整合するようなパッチアンテナを設計させる場合、以下のような処理をしてしまう可能性がある。
【0035】
たとえば、1.75GHzにおいて入力インピーダンスの虚数部を0Ωにしたい場合、1.75GHzから周波数を下げていくと、虚数部の値は小さくなる。このため、図3に示される全体の特性を右側にシフトさせるように、パッチアンテナの設計を行う可能性がある。しかし、図3に示すように、虚数部の値が0Ωになっているのは、2.00GHz付近であり、シフトさせるべき方向が逆である。このため、図3のような周波数特性に基づいてインピーダンス整合が得られるパッチアンテナを設計する場合、時間がかかる可能性がある。
【0036】
また、前述のように、数値最適化手法を用いた設計においても、学習用の大量のサンプルを用意する手間が発生するため同様に設計に時間かかる。
これらの設計手法に対して、第1の実施の形態のアンテナ設計方法では、上記のように反射係数が最小の周波数fと動作周波数fとの比較結果に基づきパッチ辺長が計算され、スミスチャートの入力インピーダンスの軌跡に基づき給電位置が計算される。これにより、インピーダンス整合が容易になり、設計時間を短縮できる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を説明する。
図4は、情報処理装置のハードウェア例を示すブロック図である。
【0038】
情報処理装置30は、CPU31、RAM32、HDD33、画像信号処理部34、入力信号処理部35、媒体リーダ36及び通信インタフェース37を有する。上記ユニットは、バスに接続されている。
【0039】
CPU31は、プログラムの命令を実行する演算回路を含むプロセッサである。CPU31は、HDD33に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部をRAM32にロードし、プログラムを実行する。なお、CPU31は複数のプロセッサコアを備えてもよく、情報処理装置30は複数のプロセッサを備えてもよく、以下で説明する処理を複数のプロセッサまたはプロセッサコアを用いて並列に実行してもよい。また、複数のプロセッサの集合(マルチプロセッサ)を「プロセッサ」と呼んでもよい。
【0040】
RAM32は、CPU31が実行するプログラムやCPU31が演算に用いるデータを一時的に記憶する揮発性の半導体メモリである。なお、情報処理装置30は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0041】
HDD33は、OS(Operating System)やミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、及び、データを記憶する不揮発性の記憶装置である。プログラムには、たとえば、パッチアンテナの設計処理を情報処理装置30に実行させるアンテナ設計プログラムが含まれる。なお、情報処理装置30は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの他の種類の記憶装置を備えてもよく、複数の不揮発性の記憶装置を備えてもよい。
【0042】
画像信号処理部34は、CPU31からの命令にしたがって、情報処理装置30に接続されたディスプレイ34aに画像を出力する。ディスプレイ34aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0043】
入力信号処理部35は、情報処理装置30に接続された入力デバイス35aから入力信号を取得し、CPU31に出力する。入力デバイス35aとしては、マウスやタッチパネルやタッチパッドやトラックボールなどのポインティングデバイス、キーボード、リモートコントローラ、ボタンスイッチなどを用いることができる。また、情報処理装置30に、複数の種類の入力デバイスが接続されていてもよい。
【0044】
媒体リーダ36は、記録媒体36aに記録されたプログラムやデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体36aとして、たとえば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)、半導体メモリなどを使用できる。磁気ディスクには、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDDが含まれる。光ディスクには、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)が含まれる。
【0045】
媒体リーダ36は、たとえば、記録媒体36aから読み取ったプログラムやデータを、RAM32やHDD33などの他の記録媒体にコピーする。読み取られたプログラムは、たとえば、CPU31によって実行される。なお、記録媒体36aは、可搬型記録媒体であってもよく、プログラムやデータの配布に用いられることがある。また、記録媒体36aやHDD33を、コンピュータ読み取り可能な記録媒体ということがある。
【0046】
通信インタフェース37は、ネットワーク37aに接続され、ネットワーク37aを介して他の情報処理装置と通信を行うインタフェースである。通信インタフェース37は、スイッチなどの通信装置とケーブルで接続される有線通信インタフェースでもよいし、基地局と無線リンクで接続される無線通信インタフェースでもよい。
【0047】
図1に示した情報処理装置10も上記と同様のハードウェア構成により実現できる。
次に、情報処理装置30の機能及び処理手順を説明する。
図5は、情報処理装置の機能例を示すブロック図である。
【0048】
情報処理装置30は、設計条件指定受付部41、初期設計情報設定部42、設計情報記憶部43、電磁界シミュレーション実行部44、シミュレーション結果記憶部45、調査部46、パッチサイズ計算部47、給電位置計算部48、更新部49を有する。
【0049】
設計情報記憶部43、シミュレーション結果記憶部45は、たとえば、RAM32またはHDD33に確保した記憶領域を用いて実装できる。設計条件指定受付部41、初期設計情報設定部42、電磁界シミュレーション実行部44、調査部46、パッチサイズ計算部47、給電位置計算部48、更新部49は、たとえば、CPU31が実行するプログラムモジュールを用いて実装できる。
【0050】
設計条件指定受付部41は、たとえば、ユーザによる入力デバイス35aの操作によってなされる設計条件の指定を受け付ける。指定される設計条件としては、たとえば、パッチアンテナの動作周波数fや基板特性などがある。
【0051】
初期設計情報設定部42は、指定された設計条件に基づいて、パッチアンテナの初期設計情報を設定する。初期設計情報には、パッチサイズや給電位置の初期値が含まれる。
図1に示したようなパッチアンテナ15において、パッチサイズの初期値(l,lの初期値)は、パッチ15bが正方形の場合、たとえば、以下のように算出できる。
【0052】
まず、lの初期値が以下の式(1)により計算される。
【0053】
【数1】
【0054】
式(1)において、μは真空の透磁率、εは真空の誘電率、εは誘電体基板15aの比誘電率である。次に、計算されたlの初期値を用いて、実効比誘電率εeffが以下の式(2)により計算される。
【0055】
【数2】
【0056】
式(2)において、hは誘電体基板15aの高さ(厚さ)である。そして、計算されたlの初期値とεeffを用いて、lの初期値が以下の式(3)により計算される。
【0057】
【数3】
【0058】
式(1)と式(3)で計算されるlとlの差が所定の閾値よりも大きい場合、たとえば、差が所定の閾値以内となるまで、式(2)と式(3)のlとしてlを用いて、式(2)と式(3)の計算を繰り返す。
【0059】
以上のような再帰計算により、パッチサイズの初期値が得られる。ただ、上記のような計算方法でパッチサイズの初期値を得ることに限定されず、ユーザから初期値が入力されるようにしてもよいし、これまでの設計実績に基づいた初期値が設定されるようにしてもよい。
【0060】
給電位置の初期値は、特に限定されるわけではないが、たとえば、パッチの中心からの距離が、lの初期値の1/4となるように設定される。
設計情報記憶部43は、初期設計情報設定部42によって設定された設計情報または、更新部49によって更新された設計情報を記憶する。
【0061】
電磁界シミュレーション実行部44は、設計条件や設計情報に基づいて、FDTD法、モーメント法、または有限要素法などを利用した電磁界シミュレーションを実行する。なお、電磁界シミュレーション実行部44の処理は、情報処理装置30とは別の装置で行われてもよい。
【0062】
シミュレーション結果記憶部45は、電磁界シミュレーション結果を記憶する。電磁界シミュレーション結果には、各周波数における反射係数、及び入力インピーダンスを含む。
【0063】
調査部46は、電磁界シミュレーション結果に基づいて、パッチアンテナの反射係数が最小となる周波数fの検出を行う。また、調査部46は、検出した周波数fと動作周波数fの大小関係の検出や、反射係数(|S11|)が規定値よりも小さいかの判定を行う。さらに、調査部46は、スミスチャート上のパッチアンテナ15の入力インピーダンスの軌跡(円)を推定し、円がスミスチャートの中心点を含むか否か(円が大きすぎるか否か)の判定を行う。
【0064】
パッチサイズ計算部47は、指定された動作周波数fと検出した周波数fとの比較結果に基づいて、動作周波数fにおける反射係数を減少させるパッチサイズ(パッチの辺長)を計算する。
【0065】
給電位置計算部48は、推定された入力インピーダンスの軌跡に基づいて、動作周波数fにおける入力インピーダンスを、スミスチャートの中心点に近づける給電位置を計算する。
【0066】
更新部49は、計算したパッチサイズ及び給電位置を用いて、設計情報を更新する。
なお、情報処理装置30は、たとえば、計算したパッチサイズや給電位置、または更新された設計情報をディスプレイ34aに表示させる表示部を有していてもよい。
【0067】
図6は、アンテナ設計方法の手順の一例を示すフローチャートである。
設計条件指定受付部41が、設計条件の指定を受け付けると(ステップS10)、初期設計情報設定部42は、指定された設計条件に基づいて、パッチアンテナの初期設計情報を設定する(ステップS11)。これにより、パッチアンテナの初期設計情報が設計情報記憶部43に記憶される。
【0068】
そして、電磁界シミュレーション実行部44が、設計条件や設計情報に基づいて、電磁界シミュレーションを実行する(ステップS12)。電磁界シミュレーション結果は、シミュレーション結果記憶部45に記憶される。
【0069】
調査部46は、電磁界シミュレーション結果に基づいて、|S11|が最小となる周波数fを調査(検出)する(ステップS13)。そして、調査部46は、f≒fであり(周波数fと動作周波数fの差が所定の閾値よりも小さい)、かつ周波数fにおける|S11|が規定値より小さいか否かを判定する(ステップS14)。規定値は、たとえば、-10dB、-15dBなど、目標とする性能に応じて適宜設定される。
【0070】
≒fであり、かつ周波数fにおける|S11|が規定値より小さいと判定された場合、現在の設計情報が更新されずに、パッチアンテナの設計が終了される。
≒fであり、かつ周波数fにおける|S11|が規定値より小さいという条件を満たさないと判定した場合、調査部46は、f≒fであるか否かを判定する(ステップS15)。
【0071】
調査部46は、f≒fではないと判定した場合、f>fであるか否かを判定する(ステップS16)。
>fであると判定された場合、パッチサイズ計算部47は、パッチを現在の設計情報で表されているものよりも拡大する(l,lを長くする)(ステップS17)。
【0072】
>fではないと判定された場合、パッチサイズ計算部47は、パッチを現在の設計情報で表されているものよりも縮小する(l,lを短くする)(ステップS18)。
【0073】
さらに、ステップS17,S18の処理では、得られた新たなパッチサイズを用いて、更新部49によって現在の設計情報が更新される。なお、ステップS17,S18の処理では、パッチサイズ計算部47は、たとえば、現在の設計情報で表されているl,lをf/f倍して、新たなパッチ15bの辺長を計算してもよい。
【0074】
ステップS15の処理において、f≒fであると判定した場合、調査部46は、スミスチャート上の入力インピーダンスの軌跡(円)を推定する(ステップS19)。
そして、調査部46は、その円が大きすぎ(スミスチャートの中心点を含む)か否かを判定する(ステップS20)。
【0075】
図7は、スミスチャートにおける入力インピーダンスの軌跡の例を示す図である。
図7では、スミスチャート50上に、動作周波数fにおける入力インピーダンスの点P0がプロットされている。しかし、点P0をプロットしただけでは、入力インピーダンスの軌跡が、軌跡51a,51bのいずれであるのかがわからない。
【0076】
軌跡51aは、スミスチャート50の中心点を含むので、入力インピーダンスがこのような軌跡51aを示す場合には、前述のように円を小さくするように給電位置をパッチの中心に近づける調整を行うことになる。これに対し、軌跡51bは、スミスチャート50の中心点を含まないので、入力インピーダンスがこのような軌跡51bを示す場合には、前述のように円を大きくするように給電位置をパッチの中心から遠ざける調整を行うことになる。このように、入力インピーダンスの軌跡が軌跡51a,51bの何れかであるかによって、調整方法が変わる。
【0077】
そこで、調査部46は、たとえば、以下のように軌跡(円)を推定し、円が大きすぎるか否かを判定する。
図8は、スミスチャートにおける入力インピーダンスの軌跡の推定例を示す図である。
【0078】
調査部46は、点P0を原点とし、スミスチャート50の中心点を通るy軸(中心点のy座標の値は正)と、点P0を通りy軸に垂直なx軸によるx-y座標系を設定する。そして、調査部46は、座標変換によりスミスチャート50上の各点を、x-y座標で表したときに、動作周波数fとは異なる周波数における入力インピーダンスの点のy座標の値が正か負かによって、軌跡がスミスチャート50の中心点を含むか否か判定する。
【0079】
たとえば、調査部46は、動作周波数fよりも低い周波数(たとえば、動作周波数fにおける|S11|よりも1dB高い|S11|を示す周波数)における入力インピーダンスの点P1のy座標の値が正か負かを判定する。点P1のy座標の値が正である場合、調査部46は、入力インピーダンスの軌跡が中心点を含む軌跡51aであると推定し、円が大きすぎると判定する。点P1のy座標の値が負である場合、調査部46は、入力インピーダンスの軌跡が中心点を含まない軌跡51bであると推定し、円が小さすぎると判定する。
【0080】
図6の説明に戻る。
ステップS20の処理において、円が大きすぎると判定された場合、給電位置計算部48は、給電位置を内側に移動させる(パッチの中心に近づける)(ステップS21)。
【0081】
円が大きすぎると判定されない場合(円が小さすぎる場合)、給電位置計算部48は、給電位置を外側に移動させる(パッチの中心から遠ざける)(ステップS22)。
さらに、ステップS21,S22の処理では、得られた新たな給電位置を用いて、更新部49によって現在の設計情報が更新される。
【0082】
ステップS21またはステップS22の処理で得られる給電位置は、たとえば、以下のように決定される。
パッチの中心からの給電点の距離で表される給電位置の初期値に対して、ステップS21またはステップS22の処理が行われる場合、給電位置計算部48は、初期値を10%変化させる。つまり、給電位置計算部48は、ステップS21の処理を行う場合、初期値×0.9を新たな給電位置として算出し、ステップS22の処理を行う場合、初期値×1.1を新たな給電位置として算出する。2回目以降の給電位置の調整では、たとえば、給電位置計算部48は、前回の給電位置の変更によって、入力インピーダンスの軌跡である円の大きさがどの程度変化したかに応じて、現在の給電位置に乗じる値を変更する。たとえば、円の大きさの変化が大きすぎる場合は、給電位置を変化させる度合いを小さくする。
【0083】
ステップS21,22の処理後、電磁界シミュレーション実行部44は、電磁界シミュレーションの回数(図6では「Sim回数」と表記されている)が、規定回数より少ないか否かを判定する(ステップS23)。
【0084】
規定回数は、たとえば、10回、20回など、適宜設定される。電磁界シミュレーション回数が規定回数より少ないと判定された場合、ステップS12からの処理が繰り返され、電磁界シミュレーション回数が規定回数に達した場合には、パッチアンテナの設計が終了される。
【0085】
なお、上記の処理順序は特に限定されるものではなく、適宜処理順序を入れ替えてもよい。
図9は、パッチサイズ及び給電位置の調整例を示す図である。
【0086】
電磁界シミュレーションに用いた設計条件は、以下の通りである。動作周波数fは2.45GHz、パッチと地導体板は厚さ0の完全導体、地導体板のサイズは60×60mm、誘電体基板のサイズは60×60×3.2mm、誘電体基板の比誘電率は3.0、誘電体基板の基板損失は0.0である。
【0087】
1番目のモデルのパッチ辺長(lとl)は上記の設計条件に基づいて、前述の式(1)~式(3)を用いて計算された値である。また、1番目のモデルの給電位置(パッチの中心からの距離)は、パッチ辺長の1/4となっている。
【0088】
1番目のモデルに対する電磁界シミュレーションの結果、S11が最小となる周波数fは2.35GHzであり、そのS11は、-16.083dBであった。また、動作周波数fである2.45GHzにおけるS11は、-4.694dBであった。
【0089】
上記の場合、f<fであるため、図6におけるステップS18のパッチを縮小する処理が行われる。図9の例では、パッチ辺長の初期値である34.2mmにf/fを乗じた値、32.9mmが、2番目のモデルのパッチ辺長として得られている。
【0090】
さらに、スミスチャート上の入力インピーダンスの軌跡である円が大きすぎると判定されるため、図6におけるステップS21の給電位置を内側に移動する処理が行われる。図9の例では、給電位置の初期値である8.55mmを短くした値、8.23mmが、2番目のモデルの給電位置として得られている。
【0091】
2番目のモデルに対する電磁界シミュレーションの結果、S11が最小となる周波数fは2.45GHzとなり、動作周波数fと一致した。f=fにおけるS11は、-17.238dBであった。
【0092】
上記の場合、f=fであるため、S11が規定値より小さい場合(たとえば、規定値が-15dBの場合)には、ステップS14の判定処理によって、パッチアンテナの設計が終了される。しかし、ここでは、S11<規定値ではないものとする。その場合、上記の例では、f=fであるため、パッチ辺長の調整は行われないが、円が大きすぎると判定されるため、給電位置を内側に移動する処理が行われる。図9の例では、2番目のモデルの給電位置の8.23mmを短くした値、3.29mmが、3番目のモデルの給電位置として得られている。
【0093】
3番目のモデルに対する電磁界シミュレーションの結果、S11が最小となる周波数fは2.4GHzであり、そのS11は、-4.621dBであった。また、動作周波数fである2.45GHzにおけるS11は-2.542dBであった。
【0094】
2.4GHz≒2.45GHzであるとすると、パッチ辺長の調整は行われないが、円が小さすぎると判定されるため、給電位置を内側に移動する処理が行われる。図9の例では、3番目のモデルの給電位置の3.29mmを長くした値、7.48mmが、4番目のモデルの給電位置として得られている。
【0095】
4番目のモデルに対する電磁界シミュレーションの結果、S11が最小となる周波数fは2.44GHzであり、そのS11は、-24.725dBであった。また、動作周波数fである2.45GHzにおけるS11は-20.042dBであった。
【0096】
上記の場合、2.44≒2.45であり、S11が規定値より小さい場合(たとえば、規定値が-20dBの場合)には、ステップS14の判定処理によって、パッチアンテナの設計が終了される。しかし、ここでは、2.44≒2.45ではないものとする。
【0097】
この場合、f<fであるため、図6におけるステップS18のパッチを縮小する処理が行われる。図9の例では、4番目のモデルのパッチ辺長である32.9mmにf/fを乗じた値、32.8mmが、5番目のモデルのパッチ辺長として得られている。
【0098】
さらに、スミスチャート上の入力インピーダンスの軌跡である円が大きすぎると判定されるため、給電位置を内側に移動する処理が行われる。図9の例では、4番目のモデルの給電位置である7.48mmを短くした値、7.45mmが、5番目のモデルの給電位置として得られている。
【0099】
5番目のモデルに対する電磁界シミュレーションの結果、S11が最小となる周波数fは2.445GHzであり、そのS11は、-24.663dBであった。また、動作周波数fである2.45GHzにおけるS11は-24.132dBであった。
【0100】
図9には、5番目のモデルのパッチアンテナのパッチ辺長や、給電位置、反射係数の周波数特性が示されている。
上記のように、第2の実施の形態のアンテナ設計方法によれば、反射係数が最小の周波数fと動作周波数fとの比較結果に基づきパッチ辺長が計算され、スミスチャートの入力インピーダンスの軌跡に基づき給電位置が計算される。これにより、インピーダンス整合が容易になり、設計時間を短縮できるという第1の実施の形態のアンテナ設計方法と同様の効果が得られる。
【0101】
さらに、上記のようにステップS12からステップS23の処理を繰り返すことで、動作周波数において、より良好なインピーダンス整合を得ることができ、より性能のよいパッチアンテナを設計可能となる。
【0102】
なお、前述のように、上記の処理内容は、情報処理装置30にプログラムを実行させることで実現できる。
プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(たとえば、記録媒体36a)に記録しておくことができる。記録媒体として、たとえば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどを使用できる。磁気ディスクには、FD及びHDDが含まれる。光ディスクには、CD、CD-R(Recordable)/RW(Rewritable)、DVD及びDVD-R/RWが含まれる。プログラムは、可搬型の記録媒体に記録されて配布されることがある。その場合、可搬型の記録媒体から他の記録媒体(たとえば、HDD33)にプログラムをコピーして実行してもよい。
【0103】
以上、実施の形態に基づき、本発明のアンテナ設計プログラム、アンテナ設計方法及び情報処理装置の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0104】
10 情報処理装置
11 記憶部
11a 設計情報
11b 電磁界シミュレーション結果
12 処理部
15 パッチアンテナ
15a 誘電体基板
15b パッチ
15c 地導体板
15d 給電点
15da 中心導体
15db 外導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9