(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】成分抽出式飲料製造装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/46 20060101AFI20231213BHJP
A47J 31/057 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A47J31/46 100
A47J31/057
(21)【出願番号】P 2020087370
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】米原 詩織
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-161552(JP,A)
【文献】特開2000-070142(JP,A)
【文献】特開2017-221280(JP,A)
【文献】特開2014-142094(JP,A)
【文献】特開平04-224717(JP,A)
【文献】特開2008-264223(JP,A)
【文献】実開平05-051215(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/46
A47J 31/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貯留容器と、
抽出成分含有物質を保持する保持部と、
前記流体貯留容器から前記保持部に流体を供給する流体供給路と、を備え、
前記流体を投入するための流体投入口をさらに備え、
前記流体投入口は、前記流体供給路を通じて前記流体貯留容器に連通可能であり、
前記流体供給路の途中から分岐し、前記流体投入口に連通する蒸気排出路をさらに備える
、
成分抽出式飲料製造装置。
【請求項2】
流体貯留容器と、
抽出成分含有物質を保持する保持部と、
前記流体貯留容器から前記保持部に流体を供給する流体供給路と、を備え、
前記流体を投入するための流体投入口をさらに備え、
前記流体投入口は、前記流体供給路を通じて前記流体貯留容器に連通可能であり、
前記保持部から前記流体投入口に連通する蒸気排出路をさらに備える
、
成分抽出式飲料製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーメーカー、ティーメーカー、ドリンクメーカー等の成分抽出式飲料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「水タンクと、当該水タンクから供給される水を加熱する加熱部と、前記加熱部で生成された熱湯を案内路を介して抽出器に導き、コーヒーを抽出するコーヒーメーカーであって、前記水タンクから前記加熱部への水の移流のみを許容する逆止弁を備え、前記加熱部の出口に、前記加熱部内の圧力又は温度が所定以上で前記加熱部から前記案内路への前記熱湯の吐出を許容し、所定未満で吐出を禁止する開閉弁を備え、前記開閉弁から吐出される熱湯の全てを前記案内路を介して前記抽出器に導いてコーヒーを抽出するコーヒーメーカー」が提案されている(例えば、特開2008-035960号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コーヒーメーカーなどの中には、流体貯留容器(水タンク等)が後側に配設されているものがある。このような成分抽出式飲料製造装置には、流体貯留容器の意匠に配慮することなく正面側の意匠を凝らすことができるという利点がある。しかし、流体貯留容器が着脱可能であるか否かに関わらず、使用者の中にはカップ等の他の容器を用いて流体貯留容器に流体を注ぎ入れる注液方法を好む者もおり、そのような者からすると、このような成分抽出式飲料製造装置において流体貯留容器に注液する際に成分抽出式飲料製造装置の後側にまで手を延ばさなければならないのは煩わしく感じるであろう。
【0005】
本発明の課題は、流体貯留容器の意匠に配慮することなく正面側の意匠を凝らすことができると共に、カップ等の他の容器を用いて流体貯留容器に流体を注ぎ入れる注液方法を好む使用者にとって流体貯留容器への注液作業を煩わしく感じさせるおそれを低減することができる成分抽出式飲料製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る成分抽出式飲料製造装置は、
流体貯留容器と、
抽出成分含有物質を保持する保持部と、
前記流体貯留容器から前記保持部に流体を供給する流体供給路と、を備え、
前記流体を投入するための流体投入口をさらに備え、
前記流体投入口は、前記流体供給路を通じて前記流体貯留容器に連通可能であり、
前記流体供給路の途中から分岐し、前記流体投入口に連通する蒸気排出路をさらに備える。
【0007】
上記構成によれば、流体貯留容器と流体投入口を独立して配設させることができる。このため、正面側から流体貯留容器が視認されない箇所または視認されにくい箇所に流体貯留容器を配設すると共に、使用者がカップ等の他の容器を用いて流体を注ぎ入れやすい箇所に流体投入口を配設すれば、流体貯留容器の意匠に配慮することなく正面側の意匠を凝らすことができると共に、カップ等の他の容器を用いて流体貯留容器に流体を注ぎ入れる注液方法を好む使用者にとって流体貯留容器への注液作業を煩わしく感じさせるおそれを低減することができる。また、上記構成によれば、保持部に供給された流体のうち蒸気を、蒸気排出路を通じて流体投入口から排出することができる。このため、この成分抽出式飲料製造装置では、保持部の内圧が高くなりすぎることを抑制することができる。また、上記構成によれば、蒸気排出時に凝縮によって流体投入口に生じた液体を流体貯留容器に供給することができる。このため、この成分抽出式飲料製造装置では、液体の消費量を低減することができる。
【0008】
流体貯留容器と、
抽出成分含有物質を保持する保持部と、
前記流体貯留容器から前記保持部に流体を供給する流体供給路と、を備え、
前記流体を投入するための流体投入口をさらに備え、
前記流体投入口は、前記流体供給路を通じて前記流体貯留容器に連通可能であり、
前記保持部から前記流体投入口に連通する蒸気排出路をさらに備える。
【0009】
上記構成によれば、流体貯留容器と流体投入口を独立して配設させることができる。このため、正面側から流体貯留容器が視認されない箇所または視認されにくい箇所に流体貯留容器を配設すると共に、使用者がカップ等の他の容器を用いて流体を注ぎ入れやすい箇所に流体投入口を配設すれば、流体貯留容器の意匠に配慮することなく正面側の意匠を凝らすことができると共に、カップ等の他の容器を用いて流体貯留容器に流体を注ぎ入れる注液方法を好む使用者にとって流体貯留容器への注液作業を煩わしく感じさせるおそれを低減することができる。また、上記構成によれば、保持部に供給された流体のうち蒸気を、蒸気排出路を通じて流体投入口から排出することができる。このため、この成分抽出式飲料製造装置では、保持部の内圧が高くなりすぎることを抑制することができる。また、上記構成によれば、蒸気排出時に凝縮によって流体投入口に生じた液体を流体貯留容器に供給することができる。このため、この成分抽出式飲料製造装置では、液体の消費量を低減することができる。また、上記構成によれば、流体供給路と蒸気排出路とを同時に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーの外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーを構成する上側筐体部およびシリンダの縦断面図である。
【
図4】変形例(F)に係るコーヒーメーカーの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーの構成>
本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカー100は、
図1および
図2に示されるように、主に、本体200、水タンク300およびシリンダ400から構成されている。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0012】
1.本体
本体200は、
図1および
図2に示されるように、主に、筐体210、載置台220、開閉弁230、流量計240、ポンプ250、ヒータ260、電磁弁270、安全弁280、操作パネル290、制御基板(図示せず)、電源コード(図示せず)および電源プラグ(図示せず)から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0013】
(1)筐体
筐体210は、樹脂や金属などの成形体であって、
図2に示されるように、主に、上側筐体部211、中間筐体部212および下側筐体部213から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0014】
上側筐体部211は、
図2および
図3に示されるように、略直方体形状を呈しており、筐体210の上側部分を構成している。
図2および
図3に示されるように、上側筐体部211の上壁部の前部には、投入口211Aが形成されている。ここで、
図1に示されるように、投入口211Aは、配管P1を通じて配管P2に管接続されており、配管P2は開閉弁230を介して水タンク300に通じている。また、
図1に示されるように、投入口211Aは、水タンク300の推奨水位線よりも上側に位置している。このため、ポンプ250停止時において投入口211Aに水が投入されると、その水は、水タンク300へ流入することになる。また、
図1および
図3に示されるように、投入口211Aは配管P8を介して電磁弁270に繋がっていると共に、配管P9を介して安全弁280に繋がっている。なお、配管P9には、サーミスタS3が配設されている。このサーミスタS3は、配管P9に流れる蒸気の温度を測定するためのものである。
【0015】
また、
図2に示されるように、上側筐体部211の上壁部の中央部には、操作パネル290が配設されている。また、
図3に示されるように、上側筐体部211の下壁部の中央部には凹部211Bが形成されており、この凹部211Bに保持部401の側壁部401Aの上端部が嵌め込まれている。なお、
図3に示されるように、この凹部211Bには第1貫通口211Cが形成されており、この第1貫通口211Cには配管P6が挿通されている。
【0016】
中間筐体部212は、
図2に示されるように、略直方体形状を呈しており、上側筐体部211の後端部位から下側筐体部213の前端部位まで上下方向に沿って延びている。そして、
図2に示されるように、中間筐体部212の前壁部の左部には、水量表示パネル212Aが配設されている。水量表示パネル212Aは、例えば、樹脂やガラスなどで形成された透明の窓部材であって、水量目盛りが表示されている。
図1に示されるように、この水量表示パネル212Aの後側には、投入口211Aと連通する配管P1が通っている。なお、
図1に示されるように、水量表示パネル212Aは、その水位表示が水タンク300の水位と一致するように、水タンク300と同じ高さ位置に配設されている。
【0017】
下側筐体部213は、
図2に示されるように、略直方体形状を呈しており、筐体210の下側部分を構成している。そして、下側筐体部213には、開閉弁230、流量計240、ポンプ250、ヒータ260などが収容されている。また、
図2に示されるように、下側筐体部213の上側には、水タンク300が着脱自在に配設される。より詳細には、水タンク300の装着部分には配管P2と連通する第2貫通口(図示せず)が形成されており、この第2貫通口に水タンク300の栓機構(図示せず)が嵌め込まれると、その栓機構が開状態となり、水タンク300の内部空間が配管P2に連通する。
【0018】
(2)載置台
載置台220は、
図2に示されるように、下側筐体部213の前壁部の下部から前方に向かって延びている。この載置台220には、使用時すなわちコーヒー飲料製造時にコーヒーサーバー(例えば、ガラス製の単壁容器やステンレス製の真空二重容器など)やマグカップなどが載置される。
【0019】
(3)開閉弁
開閉弁230は、配管P2を配管P3に連通させる開状態と、配管P3から配管P2を遮断する閉状態を切り換える弁であって、
図1に示されるように配管P2と配管P3の間に配設されている。この開閉弁230は、水タンク300の栓機構が下側筐体部213の第2貫通口に嵌め込まれた際に開状態となり、水タンク300の栓機構が下側筐体部213の第2貫通口から抜き出された際に閉状態となる。
【0020】
(4)流量計
流量計240は、水タンク300から配管P2、配管P3および配管P4を通ってポンプ250に流入する水の流量を計測するための計測器であって、上述の通り、下側筐体部213に収容されている。そして、
図1に示されるように、流量計240の流入口には配管P3が接続され、流量計240の流出口には配管P4が接続されている。
【0021】
(5)ポンプ
ポンプ250は、水タンク300に貯留される水をヒータ260を介してシリンダ400に供給する役目を担うものであって、上述の通り、下側筐体部213に収容されている。そして、
図1に示されるように、ポンプ250の流入口には配管P4が接続され、ポンプ250の流出口には配管P5が接続されている。
【0022】
(6)ヒータ
ヒータ260は、ポンプ250から配管P5を通って供給される水を加熱して熱湯を生成する役目を担うものであって、上述の通り、下側筐体部213に収容されている。そして、
図1に示されるように、ヒータ260の流入口には配管P5が接続され、ヒータ260の流出口には配管P6が接続されている。なお、この配管P6は、
図1に示されるようにシリンダ400まで延びていると共に、その手前で配管P7に接続されている。このため、ヒータ260により生成された熱湯は、配管P6を通じてシリンダ400に供給される。なお、
図1に示されるように、このヒータ260には、生成される熱湯の温度を測定するためのサーミスタS1が配設されている。また、
図1に示されるように、配管P6には、熱湯の温度を測定するためのサーミスタS2が配設されている。
【0023】
ところで、水がヒータ260により常圧で100℃以上に加熱される場合、比較的多量の水蒸気が生じる。この水蒸気の一部は、熱湯と共に、配管P6を通るが、途中で上方に延びる配管P7に入って電磁弁270、配管P8および投入口211Aを通って外部へ排出される。なお、投入口211Aの温度が十分に低い場合、投入口211Aの内表面に水蒸気が凝縮するが、その凝縮水は、配管P1を通って水タンク300に送られる。
【0024】
(7)電磁弁
電磁弁270は、配管P7に流入してくる水蒸気の流れを制御してシリンダ400の内圧を制御するものである。
図1に示されるように、電磁弁270の流入口には配管P7が接続されており、流出口には配管P8に接続されている。電磁弁270は、制御基板(図示せず)に通信接続されており、シリンダ400の内圧が第1閾値未満である場合に制御基板によって閉状態とされ、シリンダ400の内圧が第1閾値以上である場合に制御基板によって開状態とされる。そして、電磁弁270が開状態となると、水蒸気が配管P8および投入口211Aを通って外へ放出される。なお、上述の通り、投入口211Aの温度が十分に低い場合、投入口211Aの内表面に水蒸気が凝縮するが、その凝縮水は、配管P1を通って水タンク300に送られる。
【0025】
(8)安全弁
安全弁280は、電磁弁270の故障等の要因によりシリンダ400の内圧が異常上昇した場合に作動する弁である。なお、この安全弁280は、通常、閉状態となっている。
図1に示されるように、安全弁280の流入口には配管P7が接続されており、流出口には配管P9が接続されている。安全弁280は、制御基板に通信接続されており、シリンダ400の内圧が第2閾値(>第1閾値)を超えた場合に制御装置によって開状態とされる。そして、安全弁280が開状態となると、水蒸気が配管P9および投入口211Aを通って外へ放出される。なお、投入口211Aの温度が十分に低い場合、投入口211Aの内表面に水蒸気が凝縮するが、その凝縮水は、配管P1を通って水タンク300に送られる。また、
図1に示されるように、配管P9には、水蒸気の温度を測定するためのサーミスタS3が配設されている。
【0026】
(9)操作パネル290
操作パネル290は、上述の通り、上側筐体部211の上壁部の中央部に配設されている。
図2に示されるように、操作パネル290には、操作ボタン290A(例えば、電源ボタン、抽出温度を設定するためのボタンなどの各種ボタン)が配列されている。
【0027】
(10)制御基板
制御基板は、ポンプ250、ヒータ260、電磁弁270、安全弁280、操作パネル290、サーミスタS1,S2,S3、シリンダ400内部に配設される圧力センサ等に通信接続されており、操作ボタン290Aの入力に基づくポンプ250の発停や、操作ボタン290Aの入力値およびサーミスタS1,S2の値に基づくヒータ260の出力制御、圧力センサ値に基づく電磁弁270の開閉制御、圧力センサ値に基づく安全弁280の作動制御、サーミスタS1,S3の値に基づくポンプ250の異常停止制御等を行ったり、サーミスタS2の検出温度を操作パネル290に表示したりする。
【0028】
(11)電源コードおよび電源プラグ
電源コードは、下側筐体部213の側壁部(または、後壁部)を貫通して外方に向かって延びている。電源プラグは、電源コードの先端に取り付けられている。本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカー100は、電源プラグが外部電源に接続された状態で試用と可能となる。
【0029】
2.水タンク
水タンク300は、水を貯留するためのものであって、
図2に示されるように、下側筐体部213の上側に着脱自在に配設されている。そして、この水タンク300は、主に、容器本体301、蓋体302および栓機構(図示せず)から構成されている。容器本体301は、
図2に示されるように、上方が開口した略直方体形状の容器である。蓋体302は、容器本体301の上端部に着脱自在に取り付けられる。栓機構は、容器本体301の底壁部に配設されている。上述の通り、栓機構が下側筐体部213の第2貫通口に嵌め込まれると、水タンク300の内部空間が配管P2に連通される。
【0030】
3.シリンダ
シリンダ400は、
図3に示されるように、主に、保持部401および導液部402から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0031】
保持部401は、コーヒー豆などの原料を保持するための部位であって、
図3に示されるように、主に、側壁部401Aおよび底壁部401Bから形成されている。側壁部401Aは、略円筒形状を呈する部位である。側壁部401Aの上端部は、上述の通り、上側筐体部211の凹部211Bに嵌め込まれる。側壁部401Aの下端部は、
図3に示されるように、導液部402の側壁部402Aの上端部に嵌合される。底壁部401Bは、チタンコーティングが施されたメッシュフィルタ部材であって、
図3に示されるように、保持部401の底壁を構成する。なお、このコーヒー製造時、この底壁部401Bの上にはフィルターが敷かれる。
【0032】
導液部402は、載置台220に載置されるコーヒーサーバーやマグカップなどにコーヒー豆の抽出液を注ぐための部位であって、
図3に示されるように、側壁部402Aおよび漏斗部402Bから構成されている。側壁部402Aは、略円筒形状を呈する部位である。側壁部402Aの上端部は、上述の通り、保持部401の側壁部401Aの下端部に嵌合される。漏斗部402Bは、逆切頭円錐筒形状を有する部位であって、
図3に示されるように、側壁部402Aの高さ方向中央部から内方向に向かうに従って下方に傾斜している。なお、
図3に示されるように、漏斗部402Bの中央部には吐出口402Cが形成されている。
【0033】
<本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーの流体経路>
本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカー100には、
図1に示されるように3本の流体経路A,B,Cが存在する。以下、これらの流体経路A,B,Cについて説明する。
【0034】
流体経路Aは、配管P2、開閉弁230、配管P3、流量計240、配管P4、ポンプ250、配管P5、ヒータ260および配管P6から構成されるメイン経路である。この流体経路Aは、水タンク300からシリンダ400に水を供給する役目を担っている。なお、コーヒー製造時、配管P2から配管P5までの部位には水が流れ、配管P6には熱湯および水蒸気が流れる。
【0035】
流体経路Bは、
図1に示されるように配管P6から分岐する第1サブ経路であって、配管P7、電磁弁270および配管P8から構成されている。この流体経路Bは、シリンダ400の内部圧力を調整する役目を担っている。なお、この流体経路Bは上方向に延びており、電磁弁270が開状態である際、この流体経路Bに配管P6から流れ込む水蒸気が流れる。なお、配管P7は、三方管であって、配管P6から分岐して電磁弁270および安全弁280に並列的に接続されている。
【0036】
流体経路Cは、
図1に示されるように配管P6から分岐する第2サブ経路であって、配管P7、安全弁280および配管P9から構成されている。この流体経路Cは、シリンダ400の内部圧力が異常上昇した際に、配管P6に流れる水蒸気を外に放出する役目を担っている。なお、この流体経路Cは上方向に延びており、安全弁280の作動時、この流体経路Cには配管P6から流れ込む水蒸気が流れる。
【0037】
<本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーの使用方法>
以下、本実施の形態に係るコーヒーメーカー100の使用方法の一例を説明するが、本発明がこの使用方法によって限定されることはない。
【0038】
先ず、使用者は、シリンダ400の保持部401にコーヒー豆などの原料を投入した後に、シリンダ400を下側筐体部213の凹部211Bに嵌め込む。次に、下側筐体部213に水タンク300が装着された状態(つまり、開閉弁230が開いている状態)で、使用者は、カップ等の他の容器を用いて投入口211Aから水を投入する。投入された水は、配管P1および配管P2を通じて水タンク300に供給される。なお、このとき、使用者は水量表示パネル212Aを介して配管P1の水位の高さ(つまり、水タンク300の水位の高さ)を確認することができる。そして、使用者は、電源プラグを外部電源に接続した後、操作パネル290の電源ボタンを押圧して電源をオンにする。すると、電気回路が閉状態となり、ポンプ250が、流体経路Aを通じて、水タンク300に貯留された水をシリンダ400に向けて送液し始める。なお、このとき、ヒータ260では、通過する水が加熱されて熱湯が生成され、この熱湯がシリンダ400に送液される。
【0039】
本実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、蒸らし工程および抽出工程を経てコーヒーが作られる。以下、これらの工程について詳述する。
【0040】
(1)蒸らし工程
蒸らし工程は、原料に熱湯およびその熱湯から生じる水蒸気を浸透させて原料を膨潤させて原料に含まれるガスを放出し、後述する抽出工程で熱湯を供給した際に原料と熱湯とのなじみを良くすることを目的として行われる。すなわち、この蒸らし工程では、流体経路Aを通じてシリンダ400に少量の熱湯が送液されて、原料が蒸らされる。
【0041】
(2)抽出工程
抽出工程は、原料の成分を抽出して抽出液を生成するための工程である。抽出工程では、まず、流体経路Aを通じてシリンダ400に連続的に定量の熱湯が供給される。シリンダ400に一定量の熱湯が供給されると、ポンプ250が停止される。なお、ここで、上述した蒸らし工程により、原料と熱湯とのなじみが良くなっているため、原料の成分を効果的に抽出して抽出液を生成することができる。そして、その抽出液は、載置台220にあらかじめ載置しておいたコーヒーサーバーやマグカップなどに落下していく。
【0042】
なお、上述の通り、抽出工程中、シリンダ400の内部圧力は、電磁弁270によって一定範囲内に調整される。また、シリンダ400の内部圧力が異常上昇した場合、安全弁280が作動する。
【0043】
<本発明の実施の形態に係るコーヒーメーカーの特徴>
(1)
本実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、水タンク300が筐体210の背面側に装着されると共に、上側筐体部211の上壁部の前部に投入口211Aが形成されており、投入口211Aは配管P1および配管P2を通じて水タンク300と連通しており、さらに、投入口211Aが水タンク300の推奨水位線よりも上側に位置している。このため、このコーヒーメーカー100では、使用者は、アクセスしやすい位置にある投入口211Aから水タンク300に水を供給することができる。したがって、このコーヒーメーカー100では、水タンク300の意匠に配慮することなく正面側の意匠を凝らすことができると共に、カップ等の他の容器を用いて水タンク300に水を注ぎ入れる注液方法を好む使用者にとって水タンク300への注液作業を煩わしく感じさせるおそれを低減することができる。
【0044】
(2)
本実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、水タンク300は下側筐体部213に着脱自在である。このため、このコーヒーメーカー100では、水タンク300を下側筐体部213から取り外すことができない場合に比べて、水タンク300の手入れを楽に行うことができる。また、このコーヒーメーカー100では、開閉弁230が、水タンク300の栓機構が下側筐体部213の第2貫通口に嵌め込まれた際に開状態となり、水タンク300の栓機構が下側筐体部213の第2貫通口から抜き出された際に閉状態となる。このため、このコーヒーメーカー100では、水タンク300に水が残っている状態で、水タンク300が下側筐体部213から取り外された際に、流体経路Aや配管P1中に残存する水が配管P2を通じて下側筐体部213の第2貫通口から溢れ出すことを防止することができる。
【0045】
(3)
本実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、中間筐体部212の前壁部の左部に、樹脂やガラスなどで形成された透明部材の水量表示パネル212Aが配設されていると共に、水量表示パネル212Aの後側に配管P1が配置されている。また、水量表示パネル212Aは、その水位表示が水タンク300の水位と一致するように、水タンク300と同じ高さ位置に配設されている。このため、このコーヒーメーカー100では、正面側から水量表示パネル212Aを介して水タンク300の水位を確認することができる。
【0046】
(4)
本実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、シリンダ400の内部圧力を調整するための流体経路Bが形成されている。このため、このコーヒーメーカー100では、シリンダ400の内圧が一定範囲内に収めることができる。また、このコーヒーメーカー100では、水蒸気が投入口211Aから外部に放出される際に凝縮によって投入口211Aに生じた凝縮水を投入口211Aから配管P1および配管P2を通じて水タンク300に供給することができる。このため、このコーヒーメーカー100では、水の消費量を低減することができる。
【0047】
(5)
本実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、シリンダ400の内部圧力が異常上昇した際に、配管P6に流れる水蒸気を外に放出するための流体経路Cが形成されている。このため、このコーヒーメーカー100では、シリンダ400を保護することができる。
【0048】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、水タンク300は下側筐体部213に着脱自在であった。しかし、水タンク300は、下側筐体部213から取り外すことができないように下側筐体部213に固定されてもよい。かかる場合、開閉弁230は、配管P2に配設されなくてもよい。
【0049】
(B)
先の実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、投入口211Aは上側筐体部211の上壁部の前部に形成されていた。しかし、投入口211Aは上側筐体部211の上壁部の前部以外の箇所(例えば、上側筐体部211の側壁部の前部など)に形成されてもよい。
【0050】
(C)
先の実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、投入口211Aから水が投入されていたが、投入口211Aから水以外の液体が投入されてもよい。
【0051】
(D)
先の実施の形態では本発明がコーヒーメーカー100に適用されたが、本発明はティーメーカー、ドリンクメーカー等の他の成分抽出式飲料製造装置に適用されてもよい。
【0052】
(E)
先の実施の形態に係るコーヒーメーカー100では蒸らし工程および抽出工程が実施されていたが、抽出工程の後に押出工程が実施されてもよい。押出工程では、流体経路Aを通じてシリンダ400に供給される水蒸気などによって抽出液(または、原料)に圧力が加えられる。押出工程が実施されることにより、載置台220にあらかじめ載置しておいたコーヒーサーバーやマグカップなどに抽出液を早く落下させることができる。
【0053】
(F)
先の実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、配管P7は配管P6に接続されていた(すなわち、流体経路Bおよび流体経路Cは配管P6から分岐していた。)。しかし、
図4に示されるように、配管P7は、配管P6に接続されずシリンダ400に接続されてもよい。かかる場合、上側筐体部211の凹部211Bに第3貫通口が形成され、この第3貫通口に配管P7が挿通されるとよい。変形例(F)に係るコーヒーメーカー100では、流体経路Aが使用されている場合でも、流体経路Bおよび流体経路Cを使用することができる。
【0054】
(G)
先の実施の形態に係るコーヒーメーカー100では、電磁弁270は、シリンダ400の内圧が第1閾値未満である場合に閉状態とされ、シリンダ400の内圧が第1閾値以上である場合に開状態とされていた。しかし、電磁弁270は、電気回路が閉状態となる際に閉状態とされ、電気回路が開状態となる際に開状態とされてもよい。変形例(G)に係るコーヒーメーカー100では、任意のタイミングでシリンダ400の内圧を調整することができる。また、シリンダ400の内圧が高くなっている状態で停電などによりコーヒーメーカー100の動作が停止しても、配管P8および投入口211Aを通じて水蒸気を外へ安全に放出することができる。
【0055】
なお、上記変形例(A)~(G)は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 コーヒーメーカー(成分抽出式飲料製造装置)
211A 投入口(流体投入口)
212A 水量表示パネル(流体貯留量表示部)
230 開閉弁
300 水タンク(流体貯留容器)
400 シリンダ(保持部)
A 流体経路(流体供給路)
B 流体経路(蒸気排出路)
C 流体経路(蒸気排出路)