IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサ付きシート 図1
  • 特許-センサ付きシート 図2
  • 特許-センサ付きシート 図3
  • 特許-センサ付きシート 図4
  • 特許-センサ付きシート 図5
  • 特許-センサ付きシート 図6
  • 特許-センサ付きシート 図7
  • 特許-センサ付きシート 図8
  • 特許-センサ付きシート 図9
  • 特許-センサ付きシート 図10
  • 特許-センサ付きシート 図11
  • 特許-センサ付きシート 図12
  • 特許-センサ付きシート 図13
  • 特許-センサ付きシート 図14
  • 特許-センサ付きシート 図15
  • 特許-センサ付きシート 図16
  • 特許-センサ付きシート 図17
  • 特許-センサ付きシート 図18
  • 特許-センサ付きシート 図19
  • 特許-センサ付きシート 図20
  • 特許-センサ付きシート 図21
  • 特許-センサ付きシート 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】センサ付きシート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20231213BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231213BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
B60N2/90
A47C7/74 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020538336
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(86)【国際出願番号】 JP2019031965
(87)【国際公開番号】W WO2020040018
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2018157506
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】杉山 慎二
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-206011(JP,A)
【文献】特開2005-075198(JP,A)
【文献】特開2013-147225(JP,A)
【文献】特開2018-108765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
B60N 2/90
A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体において着座者側のシート表面温度を検出し、該シート表面温度によって変動する表面温度データを取得する表面温度センサと、
前記シート本体の外部の温度を検出し、該外部の温度によって変動する外気温度データを取得する外気温度センサと、
前記表面温度データ及び前記外気温度データを演算する演算部と、該演算部によって演算された情報に基づいて、前記着座者の体調変化を判定する判定部とを有するコントローラと、を備え
前記演算部は、前記表面温度データのシート表面温度と、前記外気温度データの外気温度とから、単位時間あたりの変化度合である温度差の変化度合を演算により算出し、
前記判定部は、前記演算部によって算出された前記温度差の変化度合に基づいて、前記着座者の体調変化を判定することを特徴とするセンサ付きシート。
【請求項2】
記判定部は、前記演算部によって算出された前記温度差の変化度合に基づいて、前記着座者の覚醒状態を判定する覚醒判定部であって、
前記シート本体は、前記着座者を下方から支持する着座部を備え、
前記表面温度センサは、前記着座部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付きシート。
【請求項3】
前記表面温度センサは、前記着座部においてシート前後方向の中央部よりも後方部分に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項4】
前記着座部は、クッション材から形成されるパッドを有し、
前記表面温度センサは、前記パッドの表面側に設けられ、
前記コントローラは、前記パッドの裏面側に設けられ、
前記パッドに形成された貫通孔を通じて前記表面温度センサと前記コントローラとを接続するハーネスを備えていることを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項5】
前記パッドの表面には、前記貫通孔とは異なる位置において前記パッドの厚み方向に凹んだ凹部が形成され、
前記表面温度センサは、前記凹部の内部に配置されていることを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項6】
前記着座部に取り付けられ、前記着座者の呼吸信号を検出する検出部を有する呼吸センサを備え、
前記検出部は、シート前後方向において異なる位置に配置される第1検出部及び第2検出部を有し、
前記表面温度センサは、前記第1検出部と前記第2検出部の間に配置されていることを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項7】
前記呼吸センサは、前記パッドの表面側に設けられ、
前記パッドに形成された前記貫通孔を通じて前記呼吸センサと前記コントローラとを接続する第2ハーネスを備えていることを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項8】
前記呼吸センサは、前記着座者の呼吸信号を検出し、呼吸によって変動する呼吸データを取得し、
前記コントローラは、前記呼吸データの単位時間当たりの変化度合である呼吸の変化度合を演算により算出する第2演算部をさらに有し、
前記覚醒判定部は、前記呼吸の変化度合についての前記着座者に眠気が生じる確率を尤度とし、該尤度に眠気の生じる事前確率を乗じるベイズフィルタを使用して、前記着座者の覚醒状態を判定することを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【請求項9】
前記着座部は、クッション材となるパッドを表皮で被覆して構成され、
前記着座部において前記表皮と前記パッドの間には、前記表皮の裏面側に取り付けられるシートヒータを備え、
該シートヒータは、前記パッドの表面上において前記表面温度センサとは異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載のセンサ付きシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ付きシートに係り、特に、シートに着座している着座者の覚醒状態を判定することが可能なセンサ付きシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業用の椅子において着座者の勉強や仕事を効率的に行うことを目的として、また車両用シートにおいては運転者の体調変化が生じた場合に運転者に素早く報知することを目的として、着座者(運転者)の状態を示す各種パラメータを検出し、体調の変化を判定することが可能なシートが種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の作業用椅子では、着座者の体温を検出する体温検出手段を有し、この体温検出手段によって得られた情報に基づいて体調の変化を判定し、作業用机上にある送風機から吹き出される風の温度や風向、風量を制御することが開示されている。
上記構成により、机上で作業する着座者にとって快適な作業空間を提供することができる。
【0004】
特許文献2に記載の車両用シート装置では、着座した運転者の下肢温度を測定する温度測定手段と、温度測定手段で測定された温度の変化率に基づいて運転者の下肢の血流阻害状況を判定する判定手段と、血流阻害を緩和するように着座者の姿勢を変化させるシート駆動手段と、を備えていることが開示されている。
上記構成により、運転者の血流阻害の状況に応じた快適な姿勢を提供し、着座疲労を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-272705号公報
【文献】特開2005-160495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2のようなシートでは、着座者の体温を検出する検出手段を備えてはいるものの、着座者の体温を含む各種パラメータを複数検出する手段を備えてはいなかった。
そのため、複数のパラメータを検出し、これら複数のパラメータを利用して着座者の体調変化を判定することが可能なシートが望まれていた。
また、各種パラメータを検出する検出センサの検出精度を向上させたセンサ付きシートが望まれていた。
また、検出センサや検出センサと接続されるコントローラをコンパクトに配置したセンサ付きシートが望まれていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、着座者の状態を含む各種パラメータを複数検出し、これらパラメータを利用して着座者の体調変化を判定することが可能なセンサ付きシートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、各種パラメータを検出する検出センサの検出精度を向上させたセンサ付きシートを提供することにある。
また、発明の他の目的は、検出センサや、検出センサと接続されるコントローラをコンパクトに配置したセンサ付きシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明のセンサ付きシートによれば、シート本体において着座者側のシート表面温度を検出し、該シート表面温度によって変動する表面温度データを取得する表面温度センサと、前記シート本体の外部の温度を検出し、該外部の温度によって変動する外気温度データを取得する外気温度センサと、前記表面温度データ及び前記外気温度データを演算する演算部と、該演算部によって演算された情報に基づいて、前記着座者の体調変化を判定する判定部とを有するコントローラと、を備え、前記演算部は、前記表面温度データのシート表面温度と、前記外気温度データの外気温度とから、単位時間あたりの変化度合である温度差の変化度合を演算により算出し、前記判定部は、前記演算部によって算出された前記温度差の変化度合に基づいて、前記着座者の体調変化を判定すること、により解決される。
上記構成により、着座者の状態を含む各種パラメータを複数検出し、これらパラメータを利用して着座者の体調変化を判定することが可能なセンサ付きシートを実現することができる。
具体的には、着座者の体温に関係する着座者側のシート表面温度と、外気温度とを検出し、これらパラメータを演算することで得られた情報に基づいて、着座者の体調変化を判定することが可能なセンサ付きシートとなる。
なお、着座者の体調変化を着座者に対し報知する手段については、シート本体に備えられていても良いし、シート本体以外に備えられていても良い。
【0009】
このとき、記判定部は、前記演算部によって算出された前記温度差の変化度合に基づいて、前記着座者の覚醒状態を判定する覚醒判定部であって、前記シート本体は、前記着座者を下方から支持する着座部を備え、前記表面温度センサは、前記着座部に取り付けられていると良い。
上記構成により、着座者の体調変化として覚醒状態を判定することが可能なセンサ付きシートを実現することができる。
また上記構成により、シートの背もたれ部や頭部にセンサが取り付けられている場合と比較して、着座者がセンサから離れることが少なくなるため、センサの検出精度を向上させることができる。
【0011】
このとき、前記表面温度センサは、前記着座部においてシート前後方向の中央部よりも後方部分に取り付けられていると良い。
上記構成により、着座者の体温に関係する着座者側のシート表面温度を精度良く検出することができる。理由として、着座者の坐骨結節部に対応する位置となる着座部の後方部分が、着座者によって荷重が大きく加わる部分となるためである。
【0012】
このとき、前記着座部は、クッション材から形成されるパッドを有し、前記表面温度センサは、前記パッドの表面側に設けられ、前記コントローラは、前記パッドの裏面側に設けられ、前記パッドに形成された貫通孔を通じて前記表面温度センサと前記コントローラとを接続するハーネスを備えていると良い。
上記構成により、表面温度センサや、コントローラをコンパクトに配置することができる。
【0013】
このとき、前記パッドの表面には、前記貫通孔とは異なる位置において前記パッドの厚み方向に凹んだ凹部が形成され、前記表面温度センサは、前記凹部の内部に配置されていると良い。
上記構成により、表面温度センサをコンパクトに配置することができる。
【0014】
このとき、前記着座部に取り付けられ、前記着座者の呼吸信号を検出する検出部を有する呼吸センサを備え、前記検出部は、シート前後方向において異なる位置に配置される第1検出部及び第2検出部を有し、前記表面温度センサは、前記第1検出部と前記第2検出部の間に配置されていると良い。
上記構成により、表面温度センサ及び呼吸センサをコンパクトに配置することができる。
また、着座者の坐骨結節部に対応する位置に圧力センサが配置されることで、圧力センサの検出精度を向上できる。
【0015】
このとき、前記呼吸センサは、前記パッドの表面側に設けられ、前記パッドに形成された前記貫通孔を通じて前記呼吸センサと前記コントローラとを接続する第2ハーネスを備えていると良い。
上記構成により、ハーネス(第1ハーネス)を通すための貫通孔を利用しているため、コンパクトな配置を実現することができる。
【0016】
このとき、前記呼吸センサは、前記着座者の呼吸信号を検出し、呼吸によって変動する呼吸データを取得し、前記コントローラは、前記呼吸データの単位時間当たりの変化度合である呼吸の変化度合を演算により算出する第2演算部をさらに有し、前記覚醒判定部は、前記呼吸の変化度合についての前記着座者に眠気が生じる確率を尤度とし、該尤度に眠気の生じる事前確率を乗じるベイズフィルタを使用して、前記着座者の覚醒状態を判定すると良い。
上記構成により、着座者の呼吸と体温を検出し、これらパラメータを組み合わせて着座者の覚醒状態を判定することが可能なセンサ付きシートを実現することができる。
【0017】
このとき、前記着座部は、クッション材となるパッドを表皮で被覆して構成され、前記着座部において前記表皮と前記パッドの間には、前記表皮の裏面側に取り付けられるシートヒータを備え、該シートヒータは、前記パッドの表面上において前記表面温度センサとは異なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、シートヒータが表皮の裏面に対し縫製等で予め取り付けられることで、例えばシートヒータがクッションパッド表面に載置され取り付けられる従来と比較して、シートヒータの組み付け作業性が効率化し、組み付け部品数も減らすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着座者の体温に関係する着座者側のシート表面温度と、外気温度とを検出し、これらパラメータを利用することで得られた情報に基づいて、着座者の体調変化を判定することが可能なセンサ付きシートを実現できる。
また上記発明によれば、着座者の体調変化として覚醒状態を判定することが可能なセンサ付きシートを実現できる。
また上記発明によれば、各種センサの検出精度を向上させることができる。
また上記発明によれば、各種センサやコントローラ、ハーネスをコンパクトに配置することができる。
また上記発明によれば、着座者の呼吸と体温を検出し、これらパラメータを組み合わせて着座者の覚醒状態を判定可能なセンサ付きシートを実現できる。
また、上記発明によれば、従来と比較してシートヒータの組み付け作業性が効率化し、組み付け部品数も減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るセンサ付きシートの外観斜視図である。
図2図1のII-II断面図であり、各センサ及びコントローラを示す図である。
図3】表面温度センサ、呼吸センサ及び伝送路を示す図である。
図4】コントローラユニットの分解斜視図である。
図5】コントローラのソフト構成を示す図である。
図6】シート表面温度、外気温度の経時的変化を示す温度波形データの図である。
図7】覚醒状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】呼吸データを含めた覚醒状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態のセンサ付きシートのパッドの上面図である。
図10】第3実施形態のセンサ付きシートのクッションパッドの上面図である。
図11】第3実施形態のクッションパッドのXI-XI断面図である。
図12】第4実施形態のクッションパッドのXI-XI断面図である。
図13】以下、第5実施形態のセンサ付きシートの縦断面図である。
図14】着座フレーム、ブロア装置及びダクトの位置関係を示す上面図である。
図15】覚醒判定装置、ブロア装置及びダクトの位置関係を示す上面図である。
図16】以下、第6実施形態のセンサ付きシートであって、覚醒判定装置、ブロア装置及びダクトの位置関係を示す上面図である。
図17図16の変形例である。
図18】後方電極部を示す拡大図である。
図19】前方電極部を示す拡大図である。
図20】以下、第7実施形態のセンサ付きシートの着座部の縦断面図である。
図21】面状弾性体の分解斜視図である。
図22】呼吸センサ、コントローラ及び面状弾性体の位置関係を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るセンサ付きシートについて、図1図22を参照しながら説明する。
本実施形態は、着座者側のシート表面温度を検出し、表面温度データを取得する表面温度センサと、シート本体の外部温度を検出し、外気温度データを取得する外気温度センサと、表面温度データ及び外気温度データから温度差の変化度合を演算する演算部、及び温度差の変化度合に基づいて着座者の覚醒状態を判定する覚醒判定部を有するコントローラと、を備えていることを特徴とするセンサ付きシートの発明に関するものである。
なお、センサ付きシートの背もたれ部に対し着座者が着座する側がシート前方側となる。
【0021】
本実施形態のセンサ付きシートSは、作業用椅子であって、図1に示すように、着座部1と、背もたれ部2とを有するシート本体と、シート本体を下方から支持する脚部3と、シート本体の内部に取り付けられ、着座者側のシート表面温度、シート本体の外部温度、及び着座者の呼吸を検出し、これらパラメータを演算することで着座者の覚醒状態を判定する覚醒判定装置Dと、から主に構成されている。
覚醒判定装置Dは、着座部1の内部において後方部分に取り付けられる表面温度センサ10及び呼吸センサ20と、着座部1の外部において下方部分に取り付けられる外気温度センサ30と、着座部1の内部において前方部分に取り付けられ、各センサ10,20,30とハーネス40を通じて接続され、各センサで得られたデータを演算することで、着座者の覚醒状態を判定するコントローラ50と、から主に構成されている。
ここで「シート表面温度」とは、着座者の体温に基づいて変動するシート表面の温度であって、着座者の体表面温度を示すものである。
【0022】
着座部1は、着座者の臀部を下方から支持するクッションパンであって、図1図2に示すように、骨格となる着座フレーム1a上面にクッション材となるパッド1bを載置して表皮1cで覆われて構成されている。
着座フレーム1a及びパッド1bには、各センサ10,20とコントローラ50を接続するハーネス40を通すための貫通孔1d,1eが形成されており、これら貫通孔1d,1eは、上下方向において互いに連通するように配置されている。
背もたれ部2は、着座者の背中を後方から支持するバックパンであって、骨格となる不図示の背もたれフレーム前面に不図示のパッドを載置して不図示の表皮で覆われて構成されている。
脚部3は、着座部1及び背もたれ部2を支持する樹脂部材であって、図1に示すように、着座部1の底面に取り付けられ、上下方向に延びる脚支柱部3aと、脚支柱部3aの下端部分に取り付けられ、複数本に分岐する脚分岐部3bと、から構成されている。
【0023】
表面温度センサ10は、図2図3に示すように、シート表面温度を測定するためのサーミスタであって、具体的には、着座部1のシート表面温度を検出し、シート表面温度によって変動する表面温度データを取得するものである。
表面温度センサ10は、着座部1の後方部分においてパッド1bと表皮1cの間に配置されており、パッド1bの表面上に接着剤や両面テープ等で取り付けられている。
【0024】
表面温度センサ10は、図3に示すように、センサの基材となるシート基材11と、シート基材11上に設けられ、シート表面温度を検出する検出部12と、検出部12で得られた表面温度データをハーネス40に向けて伝送するための伝送路13と、伝送路13とハーネス40とを接続するための接続路14と、から主に構成されている。
接続路14は、伝送路13との接続部分よりもハーネス40との接続部分のほうが幅狭となるようにテーパー形状を有している。
【0025】
呼吸センサ20は、図2図3に示すように、着座者の呼吸信号を検出する生体センサであって、具体的には、着座者の着座圧を検出する面状の圧力センサである。
ここで「着座圧」とは、着座者がセンサ付きシートSに着座したときに着座者の生理的活動(呼吸)に応じて周期的に変化する値であり、呼吸センサ20で検出される値である。
呼吸センサ20は、表面温度センサ10と同様に、着座部1の後方部分においてパッド1bと表皮1cの間に配置されており、パッド1bの表面上に接着剤や両面テープ等で取り付けられている。
【0026】
呼吸センサ20は、図3に示すように、略H字形状のシート基材21と、シート基材21上に設けられ、シート表面温度を検出する4つの検出部22と、各検出部22で得られた表面温度データをハーネス40に向けて伝送するための伝送路23と、伝送路23とハーネス40とを接続する接続路24と、から主に構成されている。
なお、本実施形態では、表面温度センサ10と呼吸センサ20が一体的な構成となっており、これらセンサ10,20と接続されるハーネス40も1つに集約された状態になっている。そのため、コンパクトな配置、組み付け作業の簡略化を果たすことができる。
【0027】
検出部22は、シート前方側に配置される左右の第1検出部22aと、左右の第1検出部22aよりも後方側に配置される左右の第2検出部22bと、を有している。
左右の第1検出部22a、左右の第2検出部22bは、それぞれ左右側方に設けられ、着座部1の中央部分を間に挟む位置に配置されている。
そのため、これら検出部22a,22bが、着座者の左右の臀部(坐骨結節部)に接触し易い位置に配置されることになり、着座者の呼吸信号をより安定的に検出できる。
【0028】
第1検出部22a及び第2検出部22bのシート前後方向の間には、表面温度センサ10(検出部12)が配置されている。検出部12においても、着座者の臀部(坐骨結節部)に接触し易い位置に配置されている。そのため、着座者の体表面温度を測定し易くなっている。
【0029】
外気温度センサ30は、図2に示すように、シート本体の外部の温度を測定するためのサーミスタであって、具体的には、シート本体の外部温度を検出し、外部温度によって変動する外気温度データを取得するものである。
外気温度センサ30は、着座部1の前方部分においてコントローラ50から下方にやや張り出すように配置されている。
外気温度センサ30は、センサの基材となる不図示のシート基材と、シート基材上に設けられ、外気温度を検出する不図示の検出部とから構成されており、検出部で得られた外気温度データをハーネス40を通じてコントローラ50へ伝送することができる。
【0030】
ハーネス40は、図1図2に示すように、各センサ10,20,30とコントローラ50とを電気的に接続するために、複数の電線(伝送路)が束ねられて形成されるワイヤーハーネスである。
ハーネス40は、表面温度センサ10及び呼吸センサ20の伝送路を束ねて形成され、これらセンサとコントローラ50を接続するハーネス40Aと、外気温度センサ30とコントローラを接続するハーネス40Bと、を有している。
詳しく言うと、ハーネス40Aは、コントローラ50から着座フレーム1aに設けられた不図示の隙間を通過してシート後方へ延びて、貫通孔1d,1eを通過してシート上方へ延びてセンサ10,20と接続されている。
ハーネス40Bは、コントローラ50からシート下方へ延びて外気温度センサ30と接続されている。
【0031】
コントローラ50は、図1図2に示すように、ECU(Electronic Control Unit)に相当し、電気制御を総合的に実行する中枢機能である。
コントローラ50は、表面温度センサ10で得られた表面温度データと、外気温度センサ30で得られた外気温度データを取得して、着座者の覚醒状態を判定し、覚醒状態ではないと判定した場合には、駆動モーター51aを駆動させるための駆動信号を駆動ユニット51に向けて送信する構成となっている。
なお、コントローラ50は、表面温度データ及び外気温度データに加えて、呼吸センサ20で得られた呼吸データを取得して、総合的に着座者の覚醒状態を判定することも可能である。
【0032】
コントローラ50は、図4に示すように、駆動ユニット51及びバッテリー52とともに保護カバー60内部に格納されており、保護カバー60は、着座部1の前方部分において着座フレーム1aの底面に取り付けられている。
駆動ユニット51は、コントローラ50から駆動信号を受信して駆動を開始する駆動モーター51aを有し、駆動モーター51aの駆動によって着座者に対して物理的刺激を付与するものである。駆動ユニット51は、取り付け部材51bで取り付けられている。
バッテリー52は、コントローラ50、駆動ユニット51その他の構成部品に電力を供給するための板状の充電池であって、取り付け部材52aによって取り付けられている。
なお、保護カバー60は、その前壁部において開口部分が形成された筐体からなり、ハーネス40を延ばし易い形状となっている。
【0033】
<コントローラ50のソフト構成>
コントローラ50は、図5に示すように、不図示のRAMによって構成される記録部50aと、電圧波形データを生成する波形生成部50bと、覚醒判定のためのデータ演算を行う第1演算部50c、第2演算部50dと、覚醒判定を行う覚醒判定部50eと、駆動ユニット51を駆動させる駆動実行部50fと、を備えている。
コントローラ50のこれらソフト構成は、不図示のROMに記憶されたプログラムがコントローラ50の不図示のCPUによって実行されることによって機能する。
【0034】
記録部50aは、演算制御中の信号及び入出力される信号を含む各種パラメータを一時記憶するものであって、具体的には、デジタル信号に変換された温度信号や呼吸信号その他の信号を記録するものである。
波形生成部50bは、表面温度センサ10、外気温度センサ30から得られた表面温度データ、外気温度データを縦軸、時間を横軸とする図6に示す温度波形データを生成する機能を有する。
また、波形生成部50bは、呼吸センサ20から得られた呼吸データを縦軸、時間を横軸とする不図示の呼吸波形データを生成する機能を有する。
【0035】
第1演算部50cは、波形生成部50bで生成された図6に示す温度波形データに基づいて、シート表面温度と外気温度から、単位時間あたりの変化度合である温度差ΔTの変化度合を演算により算出する。
第2演算部50dは、波形生成部50bで生成された不図示の呼吸波形データに基づいて、呼吸データの単位時間当たりの変化度合である呼吸の変化度合を演算により算出する。
【0036】
覚醒判定部50eは、第1演算部50cで算出された温度差ΔTの変化度合に基づいて、着座者の覚醒状態を判定する。
具体的には、覚醒判定部50eは、温度差ΔTが8.0度以上であって12.0度以下の値になったとき、より好ましくは9.0度以上であって11.0度以下の値になったとき、一層好ましくは9.5度以上であって10.5度以下の値になったときに、着座者が覚醒状態ではないと判定する(着座者の覚醒度が低下した状態と判定する)。
また、覚醒判定部50eは、呼吸の変化度合についての着座者に眠気が生じる確率を尤度とし、尤度に眠気の生じる事前確率を乗じるベイズフィルタを使用して、着座者の覚醒状態を判定することもできる。
なお、呼吸の変化度合に基づいて覚醒状態を判定する具体的な方法については、公知の判定方法(例えば、特許第6114802号に記載の判定方法)が利用可能であって、具体的な説明については省略している。
【0037】
駆動実行部50fは、着座者の覚醒度の低下の判定に応じて駆動ユニット51を駆動させて着座者に振動刺激を付与するものである。
【0038】
<覚醒状態判定処理>
次に、覚醒判定装置Dによって実行される覚醒状態判定処理について、図7に基づいて説明する。
本実施形態に係る覚醒状態判定処理は、表面温度データのシート表面温度と、外気温度データの外気温度とから、単位時間あたりの変化度合である温度差ΔTの変化度合を演算により算出し、算出された温度差ΔTの変化度合に基づいて、着座者の覚醒状態を判定するものである。
【0039】
図7に示す「覚醒状態判定処理フロー」では、まず、表面温度センサ10が、不図示のスタートスイッチの押し下げをキーとして、着座者側のシート表面温度によって変動する表面温度データを取得する(ステップS1)。そして、外気温度センサ30が、シート本体の外部温度によって変動する外気温度データを取得する(ステップS2)。
詳しく言うと、表面温度センサ10、外気温度センサ30が、表面温度データ取得工程、外気温度取得工程としてそれぞれ表面温度データ、外気温度データを取得し、コントローラ50が、各センサ10,30から送信された表面温度データ、外気温度データを記録部50aに電位差データとして記録する(ステップS1、S2)。
【0040】
次に、波形生成部50bが、取得された表面温度データ、外気温度データに基づき、表面温度、外気温度の所定時間における推移である図6に示す温度波形データを生成する(ステップS3)。
【0041】
次に、第1演算部50cが、演算工程において、生成された図6に示す温度波形データから、単位時間あたりの変化度合である温度差ΔTの変化度合を演算により算出する。具体的には、30秒を1区間として区間ごとに温度差ΔTの平均値を算出する。
そして、覚醒判定部50eは、算出された1区間の温度差ΔTが9.5度以上であって10.5度以下の値になっているか否か判定する(ステップS4)。
【0042】
覚醒判定部50eによって温度差ΔTが9.5度以上であって10.5度以下の値になっていると判定したときには(ステップS4:Yes)、着座者が覚醒状態ではない可能性が高いため、駆動実行部50fが駆動ユニット51を駆動させて着座者に振動刺激を付与する(ステップS5)。
一方で、温度差ΔTが9.5度以上であって10.5度以下の値になっていないと判定したときには(ステップS4:No)、再び表面温度データを取得する工程(ステップS1)に戻る。
【0043】
次に、駆動実行部50fは、駆動ユニット51の駆動を所定時間継続させ、着座者に振動刺激を所定時間付与した後(ステップS6)、駆動ユニット51を停止する(ステップS7)。
上記の覚醒状態判定処理であれば、着座者が覚醒状態であるか否か比較的精度良く判定することができ、覚醒状態ではないと判定したときには(低覚醒状態であると判定したときには)、駆動ユニット51を適時駆動させることができ、着座者の覚醒状態を効率良く維持することができる。
【0044】
<その他の覚醒状態判定処理>
覚醒判定装置Dでは、その他の覚醒状態判定処理として図8に示すように、表面温度データ及び外気温度データに加えて、呼吸センサ20で得られた呼吸データを取得して、総合的に着座者の覚醒状態を判定することも可能である。
具体的には、温度差ΔTの変化度合に基づいて、かつ、呼吸の変化度合についての着座者に眠気が生じる確率を尤度とし、尤度に眠気の生じる事前確率を乗じるベイズフィルタを使用して、着座者の覚醒状態を判定することが可能である。
なお、図8に示す「覚醒状態判定処理フロー」については、ステップS8を除いて既に公知の判定処理フロー(例えば、特許第6114802号に記載の判定処理フロー)であること、また、ステップS8の処理については上記で既に説明していることから、具体的な説明については省略する。
上記の覚醒状態判定処理であれば、着座者が覚醒状態であるか否かより一層精度良く判定することができ、着座者の覚醒状態を効率良く維持することができる。
【0045】
<センサ付きシートの第2実施形態>
次に、第2実施形態となるセンサ付きシートS2について、図9に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、センサ付きシートS2と重複する内容は説明を省略する。
センサ付きシートS2では、センサ付きシートSと比較して、シートヒータ70を備えた構成が異なっている。
【0046】
センサ付きシートS2は、図9に示すように、着座部101においてパッド101bと表皮101cの間に配置されるシートヒータ70をさらに備えている。
シートヒータ70は、着座部101を暖める面状発熱体であって、シート基材71と、シート基材71に固定され、所定の波形状パターンで延びているヒータ線72と、シート基材71上においてヒータ線72の延出端部と接続されるコネクタ73と、から構成されている。
コネクタ73は、パッド101bに設けられた貫通孔101fを通過して不図示の電気系統と接続されている。
【0047】
シートヒータ70は、図9に示すように、パッド101bの表面上において各センサ10,20及びコントローラ50とは異なる位置に配置されている。
また、シートヒータ70の左右の側方部分が、表皮101cの裏面に対して縫製で取り付けられている。
上記構成により、例えばシートヒータ70がパッド101b表面上に取り付けられる場合と比較して、シートヒータ70の組み付け作業性が効率化し、組み付け部品数も減らすことができる。また、シートヒータ70と、各センサ10,20及びコントローラ50とが相互干渉することを避けることができる。
【0048】
<センサ付きシートの第3実施形態>
次に、第3実施形態となるセンサ付きシートS3について、図10図11に基づいて説明する。
センサ付きシートS3では、センサ付きシートSと比較して、乗り物用シートである点が異なっている。
センサ付きシートS3は、着座部201を備えており、着座部201は、骨格となる着座フレーム201a上面にパッド201bを載置して不図示の表皮で覆われて構成されている。
【0049】
着座フレーム201a及びパッド201bには、各センサ10,20とコントローラ50を接続するハーネス40を通すための貫通孔201d,201eが形成されており、これら貫通孔は、上下方向において連通するように配置されている。
また、パッド201b表面上においてシート前後方向の略中央部分には、不図示の表皮の端部を吊り込むための凹部として吊り込み凹部201fと、各センサ10,20を囲むように設けられた略U字形状のつり込み凹部201gと、が形成されている。
吊り込み凹部201fは、シート前後方向において表面温度センサ10及び呼吸センサ20と、ハーネス40との間の位置に形成されており、各センサ10,20よりもシート前方に形成されている。
【0050】
<センサ付きシートの第4実施形態>
次に、第4実施形態となるセンサ付きシートS4について、図12に基づいて説明する。
センサ付きシートS4では、図11のセンサ付きシートS3と比較して、表面温度センサ10が吊り込み凹部201hと対向する位置に形成されており、吊り込み凹部201fの内部に収納されている。
上記構成により、表面温度センサ10をコンパクトに配置した乗り物用シートとなる。
【0051】
<センサ付きシートの第5実施形態> 「空調用ブロア付き」
次に、第5実施形態となるセンサ付きシートS5について、図13図15に基づいて説明する。
センサ付きシートS5では、図11のセンサ付きシートS3と比較して、ブロア装置80及びダクト90を備えた乗り物用シートであることが主に異なっている。
【0052】
センサ付きシートS5は、骨格となるシートフレームに、ウレタンフォーム等からなるパッドと、布地や皮革等からなる表皮とを被せることで構成されている。パッドはシートフレームを覆っており、表皮はパッドを覆っている。
【0053】
上記パッドは、図13に示すように、着座部301のパッドを構成するクッションパッド301bと、背もたれ部302のパッドを構成するバックパッド302bを含む。
クッションパッド301bは、内部に形成された通気路A1と、上側の面から通気路A1に連通する複数の通気穴H1とを有している。
また、バックパッド302bは、内部に形成された通気路A2と、前側の面から通気路A2に連通する複数の通気穴H2とを有している。各通気路A1,A2は、通気穴H1,H2を介して着座者に向けて開口している。
通気路A1,A2は、ダクト90によってブロア装置80と接続されている。ブロア装置80は、シロッコファンであり、着座部301の下側に配置されている。
センサ付きシートS5は、ブロア装置80から送風された空気を、ダクト90と通気路A1,A2を通して通気穴H1,H2からシートに座った乗員に向けて吹き出すように構成されている。
ダクト90は、複数の部品を接続してなる。具体的には、ダクト90は、第1ダクト91と、第2ダクト92と、第3ダクト93と、第4ダクト94と、を有している。
【0054】
第1ダクト91は、シート前後方向に延びているロア管部91aと、ロア管部91aの後端から後に凸となるように湾曲しながら上方に延びている湾曲管部91bと、を有している。ロア管部91aの前端部がブロア装置80に接続されている。
第2ダクト92は、第1ダクト91の湾曲管部91bに接続されており、上下方向に延びるように設けられている。第2ダクト92は、可撓性を有するとともに伸縮自在な第1蛇腹部92aを有している。
第3ダクト93は、第2ダクト92の上端に接続されている。第3ダクト93は、バック接続管部93aを有している。バック接続管部93aは、バックパッド302bに形成された通気路A2に接続されている。
第4ダクト94は、第1ダクト91の前部に接続されており、上下方向に延びるように設けられている。第4ダクト94は、可撓性を有するとともに伸縮自在な第2蛇腹部94aと、第2蛇腹部94a上に設けられたクッション接続管部94bとを有している。クッション接続管部94bは、クッションパッド301bに形成された通気路A1に接続されている。
【0055】
ダクト90は、着座部301と、背もたれ部302とに跨がって配置されている。
詳しく述べると、ダクト90では、第1ダクト91及び第4ダクト94が着座部301に配置されており、第3ダクト93が背もたれ部302に配置されており、第2ダクト92が着座部301及び背もたれ部302を跨ぐように配置されている。
【0056】
図13図15に示すように、コントローラ50は、ブロア装置80を制御する機能を有しており、ブロア装置80とともに着座部301の下に設けられている。
ダクト90は、シート幅方向における着座部301の中央部分よりも左側(シート幅方向の一方側)に配置されている。
コントローラ50は、シート幅方向においてブロア装置80と異なる位置に配置されており、ブロア装置80よりもシート幅方向の内側に配置されている。詳しく述べると、コントローラ50の一部が、シート幅方向においてブロア装置80と重なる位置に配置されている。
また、コントローラ50は、シート前後方向において、ブロア装置80の一部と同じ位置に配置されている。詳しく述べると、シート前後方向において、コントローラ50の後端を含む部分が、ブロア装置80の前端を含む部分と同じ位置に配置されている。
【0057】
上記構成において、図15に示すように、第1ダクト91は、上面視で、表面温度センサ10及び呼吸センサ20を避けて配置されている。
ブロア装置80の中心位置は、表面温度センサ10の外側端部よりもシート内側に配置されており、またブロア装置80の少なくとも一部は、表面温度センサ10とシート前後方向で重なる位置に配置されている。
【0058】
また上記構成において、図15に示すように、第1ダクト91は、ブロア装置80からシート後方に向かって延びており、呼吸センサ20の検出部22のうち、最も前方に配置された第1検出部22aと上下方向において重なる位置よりも前方位置に配置されており、かつ、シート幅方向の外側に向かって屈曲するように配置されている。
また、第1ダクト91は、ハーネス40のうち、図13に示す貫通孔301eを通っている部分を極力避けて配置されている(完全に避けて配置されていても良い)。
これら構成によって、第1ダクト91と、表面温度センサ10及び呼吸センサ20等との干渉を極力避けることができる。
【0059】
また上記構成において、図15に示すように、空気が流れる通気穴H1と、貫通孔301eとが、シート前後方向において異なる位置(離れた位置)に配置されている。
そうすると、通気穴H1と、表面温度センサ10とがより離れた位置に配置されるため、例えば冷たい空気が表面温度センサ10によって誤って検出されてしまうことを抑制することができる。
【0060】
<センサ付きシートの第6実施形態> 「センサ面積の増加」
次に、第6実施形態となるセンサ付きシートS6について、図16図19に基づいて説明する。
センサ付きシートS6では、図1のセンサ付きシートSと比較して、着座者の心電位に応じた電位信号を検出するシート状の心拍センサ100と、ブロア装置80及びダクト90と、を備えた作業用椅子であることが主に異なっている。
【0061】
心拍センサ100は、着座者の心臓の拍動に伴って生じる活動電位信号であり、意識レベルを示す信号である心電信号を検出するものである。
心拍センサ100は、着座部401のシート幅方向に一対ずつ、前後に設けられた後方電極部100A及び前方電極部100Bと、から構成されている。
【0062】
後方電極部100Aは、図16図18に示すように、着座者の身体電位を検出する機能を有し、台形の形状でシート状に形成されている。
後方電極部100Aは、導電シート100aを主として構成されており、導電シート100aの裏面に貼り付けられた両面テープによって、着座部401のクッションパッド401b上に貼り付けられている。
導線100bを含む導電シート100aの一部は、シート幅方向内側に延在しており、その端部が端子100cによってケーブル100dと連結されている。
そして、ケーブル100dは、コントローラ50と接続されている。
【0063】
上記構成において、図16に示すように、左右の後方電極部100Aは、呼吸センサ20をシート幅方向に挟みこむように配置されている。言い換えると、後方電極部100Aは、接触安定性の高い着座者の臀部に対向する位置に呼吸センサ20とともに配置されている。
このように、着座者の臀部に対向する位置に呼吸センサ20が配置されていることで、安定して着座者の呼吸信号を検出することが可能となり、後方電極部100Aが配置されていることで、身体電位を安定して取得することが可能となる。
【0064】
前方電極部100Bは、アース電極部として機能し、後方電極部100Aの信号に含まれるオフセット信号を除去する際の基準電位となる電位を取得するものである。
前方電極部100Bは、台形の形状でシート状に形成されており、導電シート100aを主として構成されており、後方電極部100Aと同様に貼り付けられている。
導線100bを含む導電シート100aの一部は、シート前方に延在しており、その端部が端子100cによってケーブル100dと連結されている。
【0065】
前方電極部100Bは、後方電極部100Aの前方の直線上に設けられており、着座者の大腿部に対向する位置に設けられている。
つまり、着座者の臀部に対向する位置にある後方電極部100Aと、着座者の大腿部に対向する前方電極部100Bとが前後の直線上に設けられていることで、直線的に伝わる同種波形の心電信号を検出することが可能となる。
このように、同種波形の心電信号を検出することにより、心電信号の大きさをより正確に検出することができ、着座者の身体的状態を判別することが可能となる。
【0066】
上記構成において、コントローラ50は、呼吸センサ20及び心拍センサ100から得られた呼吸データ及び心拍データによって着座者の意識レベルを特定するための演算を行ない、着座者の覚醒状態を判定することができる。
なお、コントローラ50は、呼吸データ及び心拍データに加えて、表面温度センサ10及び外気温度センサ30から得られた表面温度データ及び外気温度データを取得して、総合的に着座者の覚醒状態を判定することも可能である。
【0067】
また上記構成において、図16に示すように、ダクト90(第1ダクト91)の一部は、上面視で脚部403(脚支柱部403a)と重なるように配置されており、かつ、上面視で表面温度センサ10と重なるように配置されている。
そのため、着座部401に設けられた各構成部品をシート幅方向においてコンパクトに配置することができる。
なお、図16の変形例として図17に示すように、ダクト90A(第1ダクト91A)の一部が、上面視で脚部403Aを避けるように屈曲して配置されており、かつ、上面視で表面温度センサ10Aを避けるように屈曲して配置されていても良い。
そのように構成することで、ダクト90Aと脚部403Aの干渉を抑制することができる。また、ダクト90Aと表面温度センサ10Aの干渉を抑制することもできる。
【0068】
また上記構成において、図16に示すように、ブロア装置80の中心部と、表面温度センサ10とが、上面視で脚部403(脚支柱部403a)を避けるように配置されており、また、シート前後方向において脚支柱部3aを間に挟むように配置されている。
そのため、ブロア装置80及び表面温度センサと脚部403の干渉を抑制することができる。
【0069】
また上記構成において、図16に示すように、ダクト90(第1ダクト91)は、上面視で表面温度センサ10と重なる位置に配置されている。
また、ダクト90は、上面視で呼吸センサ20の一部と重なる位置に配置されており、詳しく述べると、呼吸センサ20のうち、最も前方に配置された第1検出部22aと上下方向で重なる位置に配置されている。
また、ダクト90は、上面視で心拍センサ100の一部と重なる位置に配置されており、詳しく述べると、心拍センサ100のうち、左側に配置された後方電極部100A及び前方電極部100Bと上下方向で重なる位置に配置されている。
【0070】
<センサ付きシートの第7実施形態> 「面状弾性体に適用」
次に、第7実施形態となるセンサ付きシートS7について、図20図22に基づいて説明する。
センサ付きシートS7では、図1のセンサ付きシートSと比較して、着座者の乗り心地を向上させるべく、着座部501において面状弾性体550を備えた乗り物用シートであることが主に異なっている。
【0071】
センサ付きシートS7は、図20に示すように、着座部501を備えており、着座部501は、骨格となる着座フレーム501a上面にクッションパッド501bを載置して不図示の表皮で覆われて構成されている。
着座フレーム501aの底面には、コントローラ50が取り付けられており、クッションパッド501bの表面上には、表面温度センサ10及び呼吸センサ20が載置されている。
表面温度センサ10及び呼吸センサ20は、ハーネス40を通じてコントローラ50と接続されている。
ハーネス40は、呼吸センサ20に接続された部分から下方に延びて貫通孔501eを通過し、着座フレーム501aに沿ってシート後方に延びており、さらに着座フレーム501aの後端部分で折り返されてシート前方に延びて、コントローラ50に接続されている。
【0072】
着座フレーム501aは、図21図22に示すように略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置された左右のサイドフレーム510と、各サイドフレーム510の前端部分を連結する前方連結パイプ520と、各サイドフレーム510の後方部分を連結する後方連結パイプ530と、各サイドフレーム510の前方部分の間に架け渡される板状のパンフレーム540と、パンフレーム540及び後方連結パイプ530に架橋された面状の面状弾性体550と、から主に構成されている。
【0073】
面状弾性体550は、布製の面状部材551と、面状部材551のシート前端部及びシート後端部にそれぞれ取り付けられる金属製のワイヤ部材552,553と、面状部材551及びワイヤ部材552,553の底面に嵌合される樹脂製のフレーム部材554と、から主に構成されている。
ワイヤ部材552が、前方連結パイプ520に掛け止めされており、ワイヤ部材553が、後方連結パイプ530に掛け止めされている。
図20に示すように、面状部材551及びフレーム部材554が組み合わされたときに、面状部材551及びフレーム部材554の上下方向の間に所定の内部空間Rが形成されることになる。
内部空間Rは、面状部材551及びフレーム部材554の間においてシート前方からシート後方に向かって広がるように形成されている。
【0074】
上記構成において、図21に示すように、面状部材551、フレーム部材554それぞれの後端部には、ハーネス40の一部を収容させるためのハーネス収容部551a、554aが形成されている。
そのため、一般に面状部材551の上面に厚みがある構成部品(例えば、ハーネス40等)が配置されると、着座者に異物感が伝わってしまうところ、上記構成であれば着座者の違和感を抑制することができる。
また、ハーネス40を位置決めすることもできるため、ハーネス40がシート幅方向において位置ズレすることを抑制することができる。
【0075】
上記構成において、図21に示すように、フレーム部材554の中央部分には、フレーム部材の剛性を高めるべく、略三角形状の補強リブ554bと、略矩形板状の第2補強リブ554cとが形成されている。
また、フレーム部材554のうち、補強リブ554b、第2補強リブ554cが形成された部分には、コントローラ50を取り付けるためのコントローラ取り付け部554d,554eが形成されている。
特に、コントローラ取り付け部554eは、シート前後方向において補強リブ554b及び第2補強リブ554cの間に配置されており、これら構成部品がシート前後方向に並んでいる。
そのため、フレーム部材554の底面に取り付けボルト555を用いてコントローラ50を組み付けるにあたって、組み付け剛性を高めることができる。
また、フレーム部材554の中央部分に補強リブ554b、第2補強リブ554cが形成されているため、当該中央部分において異物の侵入を抑制することができる。
【0076】
また上記構成において、図20に示すように、取り付けボルト555は、面状部材551及びフレーム部材554の間に形成された内部空間Rのうち、比較的広がった空間部分に配置されている。
そのため、取り付けボルト555の取り付け作業性を向上させることができる。
【0077】
また上記構成において、図20に示すように、呼吸センサ20が、シート前方側ではなく、シート後方側に配置されており、かつ、コントローラ50が、シート後方側にある面状弾性体550の底面に配置されている。
詳しく述べると、呼吸センサ20及びコントローラ50が、上下方向で重なる位置に配置されている。
そのため、呼吸センサ20及びコントローラ50を接続するハーネス40の全長を短くすることができ、覚醒判定装置のコンパクト化を図ることができる。
【0078】
また上記構成において、図20に示すように、ハーネス40(線状部材40)が、着座者による着座荷重が加わり易いクッションパッド501bの中央部分を避けて、クッションパッド501bの後方部分に配置されている。
そのため、着座者がハーネス40の厚みを感じ難くなり、着座フィーリングの悪化を抑制することができる。
また、ハーネス40が面状弾性体550を避けてシート後方に延びているため、面状弾性体550(面状部材551)にハーネス通し穴を別途形成する必要がなく、着座フィーリングの悪化を抑制できる。
さらに、ハーネス40がシート後方に延びているため、ハーネス40に着座荷重が加わってしまうことも抑制できる。
なお、ハーネス40(線状部材40)は、表面温度センサ10及び呼吸センサ20と、コントローラ50とを接続しているところ、仮にセンサ付きシートS7が図16に示す心拍センサ100を別途備えている場合には、さらに心拍センサ100とも接続していることが好ましい。
【0079】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図1に示すように、センサ付きシートSが、着座者側のシート表面温度(着座者の体表面温度)、シート本体の外部温度、及び着座者の呼吸を検出し、これらパラメータを演算することで着座者の覚醒状態を判定する覚醒判定装置Dを備えているが、特に限定されることなく変更可能である。
具体的には、センサ付きシートSは、着座者の体表面温度、シート本体の外部温度、及び着座者の呼吸を検出し、着座者の覚醒状態以外の体調変化を判定する体調変化判定装置を代わりに備えていても良い。
また、センサ付きシートは、シート表面温度、外部温度に加えて、呼吸以外の生体情報、例えば心電図や血圧、心拍といった生体情報を検出し、着座者の体調変化を判定する体調変化判定装置を備えていても良い。
【0080】
上記実施形態では、図1に示すように、表面温度センサ10、呼吸センサ20及び外気温度センサ30が、着座部1の内部に取り付けられているが、特に限定されることなく、これらセンサ10,20,30が背もたれ部2の内部に取り付けられていても良い。
【0081】
上記実施形態では、図2に示すように、ハーネス40Aが、表面温度センサ10及び呼吸センサ20の伝送路を束ねて形成され、これらセンサ10,20とコントローラ50とを接続しているが、特に限定されることなく、表面温度センサ10用の第1ハーネス40A、呼吸センサ20用の第2ハーネス40Aとそれぞれ分けられていても良い。
その場合であっても、第1ハーネス40A、第2ハーネス40Aは、ともに貫通孔1d,1eを通過して延びていることが望ましく、コンパクトな配置を実現することができる。
【0082】
上記実施形態では、具体例として作業用椅子や、自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、これに限定されることなく、電車、バス等の車両用シートのほか、飛行機、船等の乗物用シートとしても利用することができる。
【0083】
本実施形態では、主として本発明に係る作業用椅子、車両用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、表面温度センサ、外気温度センサ及び呼吸センサの配置や構成について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0084】
S,S2,S3,S4,S5,S6,S7 センサ付きシート
1,101,201,301,401,401A,501 着座部
1a,201a,301a,501a 着座フレーム
1b,101b,201b,301b,401b,501b パッド(クッションパッド)
1c,101c 表皮
1d,1e,101f,201d,201e,301e,401e,501e 貫通孔
201f,201g,201h 吊り込み凹部
2,302 背もたれ部
302b バックパッド
3,403,403A 脚部
3a,403a 脚支柱部
3b 脚分岐部
D 覚醒判定装置(生体情報計測装置)
10,10A 表面温度センサ
11,21 シート基材
12,22 検出部
22a 第1検出部
22b 第2検出部
13,23 伝送路
14,24 接続路
20 呼吸センサ
30 外気温度センサ
40 ハーネス(線状部材)
40A,40B ハーネス
50 コントローラ
50a 記録部
50b 波形生成部
50c 第1演算部
50d 第2演算部
50e 覚醒判定部(判定部)
50f 駆動実行部
51 駆動ユニット
51a 駆動モーター
51b 取り付け部材
52 バッテリー
52a 取り付け部材
60 保護カバー
70 シートヒータ
71 シート基材
72 ヒータ線
73 コネクタ
80,80A ブロア装置
90,90A ダクト
91,91A 第1ダクト
91a ロア管部
91b 湾曲管部
92 第2ダクト
92a 第1蛇腹部
93 第3ダクト
93a バック接続管部
94 第4ダクト
94a 第2蛇腹部
94b クッション接続管部
A1,A2 通気路
H1,H2 通気穴
100 心拍センサ
100A 後方電極部
100B 前方電極部
100a 導電シート
100b 導線
100c 端子
100d ケーブル
510 サイドフレーム
520 前方連結パイプ
530 後方連結パイプ
540 パンフレーム
550 面状弾性体
551 面状部材
551a ハーネス収容部
552,553 ワイヤ部材
554 フレーム部材
554a ハーネス収容部
554b 補強リブ
554c 第2補強リブ
554d,554e コントローラ取り付け部
555 取り付けボルト
R 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22