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特許7401783航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造
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  • 特許-航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/02 20060101AFI20231213BHJP
   E05D 5/14 20060101ALI20231213BHJP
   B64D 11/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E05D3/02
E05D5/14
B64D11/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020556701
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2019039768
(87)【国際公開番号】W WO2020095605
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018207892
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】中尾 和司
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224734(JP,A)
【文献】実開平7-29256(JP,U)
【文献】特開2008-75347(JP,A)
【文献】特開平11-303515(JP,A)
【文献】特開2006-274590(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139080(JP,U)
【文献】特開2007-23726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00 - 11/00
B64D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用化粧室ユニットの化粧室を形成する躯体の出入口を構成する箇所に取着された上下に細長の躯体側ヒンジ部材と、前記出入口を開閉する扉体に取着された上下に細長の扉体側ヒンジ部材とを有する長蝶番を備え、
前記躯体側ヒンジ部材は、前記躯体の出入口を構成する箇所に取着された躯体側取り付け板部と、前記躯体側取り付け板部の上下に間隔をおいた箇所からそれぞれ突設された複数の躯体側ヒンジ部とを有し、
前記扉体側ヒンジ部材は、前記扉体に取着された扉体側取り付け板部と、前記扉体側取り付け板部の上下に間隔をおいた箇所からそれぞれ突設され前記複数の躯体側ヒンジ部と交互に上下方向に並べられる複数の扉体側ヒンジ部とを有し、
前記複数の躯体側ヒンジ部と前記複数の扉体側ヒンジ部とが交互に上下に並べられることで、上下方向において互いに対向する前記躯体側ヒンジ部の端面と前記扉体側ヒンジ部の端面との一対の端面が複数設けられ、
前記複数の躯体側ヒンジ部の支軸挿通孔と前記複数の扉体側ヒンジ部の支軸挿通孔に支軸が挿通され、前記扉体が前記躯体に揺動可能に結合された航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造であって、
前記複数の一対の端面のうち、少なくとも上下方向に隣り合う2つの前記一対の端面の間に、耐摩耗性および摺動性に優れる材料からなり前記支軸が挿通される支軸挿通孔を有する筒状の軸受部材が、その軸心方向の両面を前記一対の端面にそれぞれ接触した状態で配置され、
前記上下方向に隣り合う前記2つの一対の端面を除いた残りの複数の一対の端面の間に、それぞれ上下方向の隙間が確保され、
前記2つの一対の端面の間に前記軸受部材を介在させ前記支軸により前記複数の躯体側ヒンジ部と前記複数の扉体側ヒンジ部とが揺動可能に結合された状態で、上下方向に交互に並べられた前記複数の躯体側ヒンジ部と前記複数の扉体側ヒンジ部との結合箇所を前記化粧室の内側から隠す弾性を有するゴム板が、前記躯体側取り付け板部または前記扉体側取り付け板部に取着されて配置されている、
ことを特徴とする航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造。
【請求項2】
前記軸受部材が配置される上下方向に隣り合う2つの前記一対の端面は、前記複数の一対の端面の最上位を含む最上位寄りに位置する一対の端面、あるいは、前記複数の一対の端面のうち最下位を含む最下位寄りに位置する一対の端面である、
ことを特徴とする請求項1記載の航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造。
【請求項3】
前記2つの一対の端面を除いた残りの複数の一対の端面の間の隙間の上下方向の寸法はほぼ同一の寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造。
【請求項4】
前記躯体側取り付け板部が取り付けられる前記躯体の箇所は、前記躯体を構成する壁部の端部をなす壁部端面であり、
前記扉体側取り付け板部が取り付けられる前記扉体の箇所は、前記扉体の端部を構成する扉体端面であり
前記出入口を前記扉体で閉塞した状態で、前記壁部端面と前記扉体端面とは間隔をおいて互いに平行し対向しており、
前記躯体側取り付け板部が前記壁部端面に取り付けられた状態で、前記複数の躯体側ヒンジ部は、前記化粧室の外部に位置する前記壁部端面の外面寄りの箇所に位置し、
前記扉体側取り付け板部は、前記扉体端面に取り付けられる基板部と、前記出入口を前記扉体で閉塞した状態で前記化粧室の外部に位置する前記扉体の外面側の前記基板部の端部から前記壁部端面に向かって起立しその先部に前記複数の扉体側ヒンジ部が設けられた起立板部とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項記載の航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造。
【請求項5】
前記壁部端面を覆う第1のトリムが設けられ、
前記扉体側取り付け板部は前記第1のトリムを介して前記壁部端面に取り付けられ、
前記扉体端面を覆う第2のトリムが設けられ、
前記基板部は前記第2のトリムを介して前記扉体端面に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項記載の航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用化粧室ユニットの出入口を開閉する扉体は、従来、長蝶番が用いられている。
長蝶番は、一対の取り付け板部と、それら取り付け板部の一側に設けられた筒状のヒンジ部と、それらヒンジ部の支軸挿通孔に挿通される支軸とを備えている。
航空機用化粧室ユニットの出入口を開閉する扉体では、長蝶番の長手方向が垂直方向となるようにし、長蝶番の一対の取り付け板部のうちの一方の取り付け板部を化粧室躯体にねじなどで取り付け、他方の取り付け板部を扉体にねじなどで取り付け、それら取り付け板部のヒンジ部を上下に交互に並べ、それらヒンジ部の支軸挿通孔に支軸を挿通し、扉体を化粧室躯体に揺動可能に結合している。
そして、長蝶番を構成する素材として、意匠性や加工性、軽量化の観点からアルミニウム合金を用いることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-224525
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、扉体の自重によりヒンジ部が長期使用により摩耗し、ヒンジ部間に大きな隙間が生じ、扉体にがたつきが生じたり、意匠性が低下するなどの不具合が生じていた。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、扉体のがたつきや意匠性の低下を抑制する上で有利な航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため本発明は、航空機用化粧室ユニットの化粧室を形成する躯体の出入口を構成する箇所に取着された上下に細長の躯体側ヒンジ部材と、前記出入口を開閉する扉体に取着された上下に細長の扉体側ヒンジ部材とを有する長蝶番を備え、前記躯体側ヒンジ部材は、前記躯体の出入口を構成する箇所に取着された躯体側取り付け板部と、前記躯体側取り付け板部の上下に間隔をおいた箇所からそれぞれ突設された複数の躯体側ヒンジ部とを有し、前記扉体側ヒンジ部材は、前記扉体に取着された扉体側取り付け板部と、前記扉体側取り付け板部の上下に間隔をおいた箇所からそれぞれ突設され前記複数の躯体側ヒンジ部と交互に上下方向に並べられる複数の扉体側ヒンジ部とを有し、前記複数の躯体側ヒンジ部と前記複数の扉体側ヒンジ部とが交互に上下に並べられることで、上下方向において互いに対向する前記躯体側ヒンジ部の端面と前記扉体側ヒンジ部の端面との一対の端面が複数設けられ、前記複数の躯体側ヒンジ部の支軸挿通孔と前記複数の扉体側ヒンジ部の支軸挿通孔に支軸が挿通され、前記扉体が前記躯体に揺動可能に結合された航空機用化粧室ユニットの化粧室の扉体の結合構造であって、前記複数の一対の端面のうち、少なくとも上下方向に隣り合う2つの前記一対の端面の間に、耐摩耗性および摺動性に優れる材料からなり前記支軸が挿通される支軸挿通孔を有する筒状の軸受部材が、その軸心方向の両面を前記一対の端面にそれぞれ接触した状態で配置され、前記上下方向に隣り合う前記2つの一対の端面を除いた残りの複数の一対の端面の間に、それぞれ上下方向の隙間が確保されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、扉体の荷重は、2つの一対の端面にそれぞれ配置された2つの軸受部材のうち扉体側ヒンジ部の下に配置された軸受部材を介して、この軸受部材の下の躯体側ヒンジ部で受ける。
また、軸受部材は一対の端面にそれぞれ接触しており、扉体の倒れが阻止されている。
また、軸受部材が配置された以外の一対の端面の間には隙間が確保され、躯体側ヒンジ部端面と扉体側ヒンジ部端面との干渉が防止されている。
したがって、従来のように、扉体の自重によりヒンジ部が長期使用により摩耗してヒンジ部間に大きな隙間が生じたり、扉体にがたつきが生じたり、意匠性が低下するなどの不具合を解消する上で有利となり、扉体の円滑な揺動を長期にわたって確保する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】航空機用化粧室ユニットの正面図である。
図2】扉体を外した航空機用化粧室ユニットの斜視図である。
図3】長蝶番の分解斜視図である。
図4】(A)は出入口を閉塞した状態の第1扉体と第2扉体の結合構造の平面図、(B)は出入口を開放した状態の第1扉体と第2扉体の結合構造の平面図である。
図5】出入口を閉塞した状態で化粧室の外部から見た第1扉体と第2扉体の結合構造の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1図2に示すように、航空機用化粧室ユニット10の躯体12は、床板1202と、床板1202から起立し互いに平行して対向する一対の側面壁1204と、床板1202から起立し互いに対向する正面壁1206および背面壁1208と、天井1210とを備えている。
躯体12の内部には便器や洗面台が設けられ、躯体12の内部は化粧室14となっている。
正面壁1206に、化粧室14の出入口16が設けられている。
出入口16は、正面壁1206に形成された開口部18と、開口部18を縁取る正面壁1206の端部をなす壁部端面1212に揺動可能に結合された扉体20とで構成され、扉体20の外面20Aには把手2002が設けられ、下部には換気口2004が設けられている。
【0009】
図1図4に示すように、扉体20は、壁部端面1212に長蝶番22と2つの軸受部材24を介して揺動可能に取り付けられている。
図3に示すように、長蝶番22は躯体側ヒンジ部材26と、扉体側ヒンジ部材28と、支軸30とを含んで構成され、本実施の形態では、躯体側ヒンジ部材26と扉体側ヒンジ部材28はアルミ合金製であり、支軸30は鋼製である。
【0010】
躯体側ヒンジ部材26は、躯体側取り付け板部32と、複数の躯体側ヒンジ部34とを備えている。
躯体側取り付け板部32は、図4(A)、(B)に示すように、正面壁1206の端部をなす壁部端面1212に不図示のねじにより取り付けられる箇所であり、幅よりも長さが大きい細長状を呈し、壁部端面1212の長手方向の全長にわたって延在している。
本実施の形態では、壁部端面1212に装飾用の第1のトリム36が設けられ、装飾用の第1のトリム36は壁部端面1212の長手方向の全長にわたって延在し、壁部端面1212とその幅方向の両側の正面壁1206の内面の端部と外面1206Aの端部とを覆い、航空機用化粧室ユニット10の外観性が高められている。
躯体側取り付け板部32はこのトリム36の上からねじにより壁部端面1212に取り付けられている。
【0011】
図3に示すように、躯体側ヒンジ部34は、躯体側取り付け板部32の幅方向の一端から躯体側取り付け板部32の長手方向にほぼ等間隔をおいて複数突設され、図4に示すように、躯体側取り付け板部32が壁部端面1212に取り付けられた状態で、複数の躯体側ヒンジ部34は、化粧室14の外部に位置する外面1206A寄りの壁部端面1212の箇所に位置している。
図3に示すように、各躯体側ヒンジ部34の躯体側取り付け板部32の長手方向に沿った長さの両端は、この長さ方向と直交する平坦な躯体側ヒンジ部端面38で形成されている。
躯体側取り付け板部32の長さ方向に沿った躯体側ヒンジ部34の長さはほぼ均一の長さで形成されている。
【0012】
また、躯体側取り付け板部32の長手方向において隣り合う躯体側ヒンジ部34の間は、すなわち、互いに対向する躯体側ヒンジ部端面38の間は、扉体側ヒンジ部挿入用凹部40となっている。
躯体側ヒンジ部34は筒状を呈し、各躯体側ヒンジ部34には、同軸上に支軸挿通孔3402が貫通形成されている。
躯体側ヒンジ部34は、躯体側取り付け板部32が躯体12の壁部端面1212にその長手方向を上下方向に向けて取り付けられた状態で、図4に示すように、化粧室14の外側に向いた位置となる。
図3に示すように、最も上位に位置する躯体側ヒンジ部34-1の上方は、その他の扉体側ヒンジ部挿入用凹部40に比べて長さの短い最上位扉体側ヒンジ部挿入用凹部40Aとして形成されている。
【0013】
また、図4(A)、(B)に示すように、躯体側取り付け板部32が躯体12の壁部端面1212に取り付けられる面と反対の面に、光漏れ防止用のゴム板42が金具44を介して取り付けられている。
ゴム板42は、躯体側取り付け板部32よりも大きい幅を有し、躯体側取り付け板部32とほぼ同一の長さを有する細長の長方形状を呈し、躯体側取り付け板部32の長手方向の全長にわたって延在している。
ゴム板42は、幅方向の一側を除いた大半の部分が金具44により躯体側取り付け板部32に取り付けられ、ゴム板42の幅方向の一側が、躯体側ヒンジ部34と扉体側ヒンジ部48との結合箇所を覆い、ゴム板42の幅方向の一側の先部は、後述する扉体側取り付け板部46の起立板部52に弾接している。
したがって、ゴム板42により長蝶番22の長手方向の全長にわたって躯体側ヒンジ部34と扉体側ヒンジ部48との結合箇所における化粧室14からの光漏れが防止される。
【0014】
図3に示すように、扉体側ヒンジ部材28は、扉体側取り付け板部46と、扉体側ヒンジ部48とを備えている。
図4(A)に示すように、扉体側取り付け板部46が取り付けられる扉体20の箇所は、扉体20の端部を構成する扉体端面2010であり、出入口16を扉体20で閉塞した状態で、壁部端面1212と扉体端面2010とは間隔をおいて互いに平行し対向している。
扉体側取り付け板部46は、図4(A)、(B)に示すように、扉体20の扉体端面2010に不図示のねじにより取り付けられ、幅よりも長さが大きい細長状を呈している。
扉体側取り付け板部46は、本実施の形態では、扉体端面2010に取り付けられる基板部51と、出入口16を扉体20で閉塞した状態で化粧室14の外部に位置する扉体20の外面20A側の基板部51の端部から壁部端面1212に向かってほぼ直角に起立しその先部に複数の扉体側ヒンジ部48が設けられた起立板部52とを含んで構成されている。
【0015】
本実施の形態ではこのような起立板部52を設けることで、光漏れを防止する防ゴム板42の収容スペースを確保している。
基板部51と起立板部52は共に幅よりも長さが大きい細長状を呈し、扉体端面2010の長さ方向の全長にわたって延在している。
本実施の形態では、扉体20の扉体端面2010に装飾用の第2のトリム50が設けられ、装飾用の第2のトリム50は扉体端面2010の長手方向の全長にわたって延在し、扉体端面2010とその幅方向の両側の扉体20の内面の端部と外面20Aの端部とを覆い、航空機用化粧室ユニット10の外観性が高められている。
扉体側取り付け板部46は、すなわち、基板部51は第2のトリム50の上からねじにより扉体20の扉体端面2010に取り付けられている。
【0016】
図3に示すように、扉体側ヒンジ部48は、扉体側取り付け板部46の幅方向の一側から扉体側取り付け板部46の長手方向にほぼ等間隔をおいて複数突設され、詳細には、起立板部52の幅方向の一側から起立板部52の長手方向にほぼ等間隔をおいて複数突設され、各扉体側ヒンジ部48の扉体側取り付け板部46の長手方向に沿った長さの両端は、この長さ方向と直交する平坦な扉体側ヒンジ部端面54で形成されている。
また、扉体側取り付け板部46の長手方向において隣り合う扉体側ヒンジ部48の間は、すなわち、互いに対向する扉体側ヒンジ部端面54の間は、躯体側ヒンジ部挿入用凹部56となっている。
扉体側ヒンジ部48は筒状を呈し、各扉体側ヒンジ部48には、同軸上に支軸挿通孔4802が貫通形成されている。
最も上位に位置する扉体側ヒンジ部48は、その他の扉体側ヒンジ部48に比べて長さの短い最上位扉体側ヒンジ部48-1として形成されている。
なお、最上位扉体側ヒンジ部48-1を除いた残りの扉体側ヒンジ部48の長さは、外観性を高めるため躯体側ヒンジ部34とほぼ同じ長さの均一の長さで形成されている。
【0017】
本実施の形態では、躯体側ヒンジ部材26の最上位扉体側ヒンジ部挿入用凹部40Aに、扉体側ヒンジ部材28の最上位扉体側ヒンジ部48-1が挿入される。
また、躯体側ヒンジ部材26の複数の躯体側ヒンジ部34が扉体側ヒンジ部材28の躯体側ヒンジ部挿入用凹部56に挿入され、扉体側ヒンジ部材28の複数の扉体側ヒンジ部48が躯体側ヒンジ部材26の扉体側ヒンジ部挿入用凹部40に挿入される。
このように複数の躯体側ヒンジ部34と複数の扉体側ヒンジ部48とが交互に上下に並べられることで、上下方向において互いに対向する躯体側ヒンジ部端面38と扉体側ヒンジ部端面54との一対の端面38、54が上下方向に間隔をおいて複数設けられる。
【0018】
そして、複数の一対の端面38、54のうち、少なくとも上下方向に隣り合う2つの一対の端面38、54の間に、支軸挿通孔2402を有する筒状の軸受部材24が配置される。
軸受部材24は、例えばポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK),ポリテトラフルオロチレン樹脂(PTFE),ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS),ポリアセタール樹脂(POM)などの耐摩耗性および摺動性に優れる材料から形成されている。
図3図5に示すように、本実施の形態では、複数の一対の端面38、54のうち、上から2番目と3番目の一対の端面38、54の間に軸受部材24が配置されている。
そして、複数の躯体側ヒンジ部34の支軸挿通孔3402と、複数の扉体側ヒンジ部48の支軸挿通孔4802と、2つの軸受部材24の支軸挿通孔2402とに支軸30が挿通され、扉体20が躯体12の壁部端面1212に揺動可能に取り付けられている。
なお、扉体20の躯体12への取り付けは、図2図4(A)、(B)に示すように、扉体20の扉体端面2010に扉体側ヒンジ部材28を取り付け、次に、軸受部材24、支軸30を用いて扉体側ヒンジ部材28に躯体側ヒンジ部材26を揺動可能に結合し、最後に躯体側取り付け板部32を躯体12の壁部端面1212に取り付けるようにしてもよく、あるいは、扉体20の扉体端面2010に扉体側ヒンジ部材28を取り付け、次に、躯体側取り付け板部32を躯体12の壁部端面1212に取り付け、最後に、軸受部材24、支軸30を用いて扉体側ヒンジ部材28と躯体側ヒンジ部材26とを揺動可能に結合してもよく、扉体20の躯体12への取り付け方法は種々考えられ、いずれの方法であってもよい。
また、支軸30はその上部に抜落防止用の大径部やストップリングが設けられるなど、支軸30には、従来公知の様々な抜落防止用の構造が設けられている。
【0019】
図3図5に示すように、2つの軸受部材24は、それら軸受部材24の軸心方向の両面2404、2406が一対の端面38、54に接触して配置されている。
すなわち、本実施の形態では、上から2番目の扉体側ヒンジ部48-2が、上から1番目の躯体側ヒンジ部34-1と上から2番目の躯体側ヒンジ部34-2との間の扉体側ヒンジ部挿入用凹部40に挿入される。
したがって、2番目の扉体側ヒンジ部48-2の上側の扉体側ヒンジ部端面54に配置される軸受部材24の下面2406は、扉体側ヒンジ部48-2の上側の扉体側ヒンジ部端面54に接触しており、かつ、この軸受部材24の上面2404は、上から1番目の躯体側ヒンジ部34-1の躯体側ヒンジ部端面38に接触している。
また、上から2番目の扉体側ヒンジ部48-2の下側の扉体側ヒンジ部端面54に配置される軸受部材24の下面2406は、上から2番目の躯体側ヒンジ部34-2の上側の躯体側ヒンジ部端面38に接触しており、かつ、この軸受部材24の上面2404は、上から2番目の扉体側ヒンジ部48-2の下側の扉体側ヒンジ部端面54に接触している。
【0020】
すなわち、軸受部材24で挟まれた扉体側ヒンジ部48-2は、その上下の扉体側ヒンジ部端面54が軸受部材24を介して上下の躯体側ヒンジ部端面38に接触しており、支軸30に対しての倒れが最小限の範囲に抑制され、言い換えると、扉体20の倒れが最小限の範囲に抑制されている。
また、2つの一対の端面38、54を除いた残りの複数の一対の端面38、54の間に、それぞれ上下方向の隙間Sが確保されている。
この複数の隙間Sは、最小限の範囲で扉体20が傾いた際に、隙間Sを介して対向する扉体側ヒンジ部端面54と躯体側ヒンジ部端面38とが接触しない寸法で形成され、隙間Sは、例えば、0.2~0.3mmで足りる。
なお、この場合、複数の隙間Sを略同一の寸法としておくと、詳細には、隙間Sの上下方向の寸法を同一の寸法としておくと、航空機用化粧室ユニット10の外観性を高める上で有利となる。
【0021】
本実施の形態によれば、扉体20の荷重は、2つの一対の端面38、54にそれぞれ配置された2つの軸受部材24のうち扉体側ヒンジ部48-2の下に配置された軸受部材24を介して躯体側ヒンジ部34-2で受ける。
また、軸受部材24で挟まれた扉体側ヒンジ部48-2は、その上下の扉体側ヒンジ部端面54が軸受部材24を介して上下の躯体側ヒンジ部34-1、躯体側ヒンジ部34-2の躯体側ヒンジ部端面38に接触しており、扉体20の倒れが阻止されている。
また、軸受部材24が配置された以外の一対の端面38、54の間には隙間Sが確保され、躯体側ヒンジ部端面38と扉体側ヒンジ部端面54との干渉が防止されている。
したがって、従来のように、扉体20の自重によりヒンジ部が長期使用により摩耗してヒンジ部間に大きな隙間が生じたり、扉体20にがたつきが生じたり、意匠性が低下するなどの不具合を解消する上で有利となり、扉体20の円滑な揺動を長期にわたって確保する上で有利となる。
【0022】
また、軸受部材24は何個用いてもよいが、軸受部材24は必要最小限の2つで足りるため、コストの上昇を抑制する上でも有利となる。
なお、長期使用により軸受部材24に摩耗が生じた場合には、2つの軸受部材24を交換することで足るためメンテナンス作業を簡単に行なえ、扉体20の円滑な揺動を再度長期にわたって確保できる。
また、軸受部材24が配置された以外の一対の端面38、54の間には隙間Sが確保されるものの、化粧室14の内側から躯体側ヒンジ部34と扉体側ヒンジ部48との結合箇所を覆うゴム板42が設けられているので、躯体側ヒンジ部34と扉体側ヒンジ部48との結合箇所における化粧室14からの光漏れが防止され、航空機用化粧室ユニット10の外観性を高める上で有利となる。
なお、ゴム板42は、扉体側取り付け板部46に取り付けてその一側を躯体側取り付け板部32に弾接させて配置するようにしてもよく、この場合も前記と同様な効果が得られる。
【0023】
また、軸受部材24を配置する箇所は、上下方向に隣り合う2つの一対の端面38、54の間であればよく、上下方向に並べられた複数の一対の端面38、54のうち軸受部材24が配置される2つの一対の端面38、54の上下方向の位置は限定されないが、複数の一対の端面38、54のうち最上位を含む最上位寄りに位置する一対の端面38、54と、この一対の端面38、54の直下に位置する一対の端面38、54の2箇所とすると、あるいは、複数の一対の端面38、54のうち最下位を含む最下位寄りに位置する一対の端面38、54と、この一対の端面38、54の直上に位置する一対の端面38、54の2箇所とすると、航空機用化粧室ユニット10の使用者には軸受部材24が見えにくく、航空機用化粧室ユニット10の外観性を高める上で有利となる。
【0024】
また、本実施の形態では、扉体側ヒンジ部48-2の上下に軸受部材24を配置した場合について説明したが、躯体側ヒンジ部34の上下に軸受部材24を配置しても同様な効果が得られる。
この場合には、扉体20の荷重を、躯体側ヒンジ部34の上に配置される扉体側ヒンジ部材28から軸受部材24を介してこの躯体側ヒンジ部34で受け、躯体側ヒンジ部34の上下に配置された扉体側ヒンジ部48の扉体側ヒンジ部端面54がそれぞれ軸受部材24を介して躯体側ヒンジ部34の躯体側ヒンジ部端面38に接触することで扉体20の倒れが阻止される。
【符号の説明】
【0025】
10 航空機用化粧室ユニット
12 躯体
14 化粧室
16 出入口
20 扉体
22 長蝶番
24 軸受部材
2402 支軸挿通孔
2404 上面
2406 下面
26 躯体側ヒンジ部材
28 扉体側ヒンジ部材
30 支軸
32 躯体側取り付け板部
34 躯体側ヒンジ部
3402 支軸挿通孔
38 躯体側ヒンジ部端面
42 ゴム板
46 扉体側取り付け板部
48 扉体側ヒンジ部
4802 支軸挿通孔
51 基板部
52 起立板部
54 扉体側ヒンジ部端面
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5