(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】基地局装置、中継装置、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0457 20230101AFI20231213BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20231213BHJP
H04W 4/00 20180101ALI20231213BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231213BHJP
【FI】
H04W72/0457 110
H04W16/26
H04W4/00 111
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2021541387
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2019032468
(87)【国際公開番号】W WO2021033268
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】武智 竜一
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525314(JP,A)
【文献】特表2017-529762(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079821(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170164(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/163036(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0253924(US,A1)
【文献】特表2013-502152(JP,A)
【文献】OPPO,Discussion on UE-based data duplication enhancement,3GPP TSG-RAN WG2 #107 R2-1910024,3GPP,2019年08月16日,https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_107/Docs/R2-1910024.zip,Figure 1
【文献】LG Electronics Inc., LG Uplus,PDCP duplication on split bearer,3GPP TSG-RAN WG2 #107 R2-1909815,3GPP,2019年08月15日,https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_107/Docs/R2-1909815.zip,Figure 1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、基地局装置と、前記端末装置と前記基地局装置との通信を中継する中継装置とを有する通信システムにおける基地局装置であって、
前記端末装置が、前記基地局装置との間の無線通信方式である第1無線通信方式と、前記中継装置との間の無線通信方式である第2無線通信方式の両方を用いて無線通信を実施する場合、前記第1無線通信方式における収束レイヤにおいて前記無線通信を収束しデータ通信制御を行うことができる制御部と、
前記第2無線通信方式で送受信されるデータについて、前記中継装置が前記第1無線通信方式または前記第2無線通信方式のいずれの無線通信方式で前記基地局装置に中継する場合であっても、前記データが属する前記第1無線通信方式のベアラを識別して送受信できる送受信部と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記中継装置が前記第2無線通信方式で前記基地局装置にデータを中継する場合、
前記送受信部は、前記第2無線通信方式で受信したデータを前記第1無線通信方式で受信するデータに変換し、前記変換したデータが属する前記第1無線通信方式のベアラを識別する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記中継装置が前記第1無線通信方式で前記基地局装置にデータを中継する場合、
前記制御部は、前記第1無線通信方式で受信した2つのデータの前記第1無線通信方式における収束レイヤの処理を、前記2つのデータのそれぞれベアラ間で共通化する
請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
前記中継装置が前記第1無線通信方式で前記基地局装置にデータを中継する場合、
前記制御部は、前記第1無線通信方式で受信した2つのデータの前記第1無線通信方式における収束レイヤの処理をそれぞれ実施し、前記実施したそれぞれの処理結果に応じて前記2つのデータのそれぞれのベアラを、1つのベアラとして前記データ通信制御を行う
請求項1記載の基地局装置。
【請求項5】
端末装置と、基地局装置と、前記端末装置と前記基地局装置との通信を中継する中継装置とを有する通信システムであって、
前記端末装置は、
第1無線通信方式を用いて前記基地局装置と通信を行う第1通信部と、
第2無線通信方式を用いて前記中継装置と通信を行う第2通信部とを有し、
前記中継装置は、
前記基地局装置と通信に前記第1無線通信方式を用いる場合、前記端末装置から受信したデータを前記第1無線通信方式のデータに変換し、前記基地局装置から受信したデータを前記第2無線通信方式に変換する変換部と、
前記基地局装置と前記端末装置との通信を中継する中継部とを有し、
前記基地局装置は、
前記端末装置が、前記第1無線通信方式と前記第2無線通信方式の両方を用いて無線通信を実施する場合、前記第1無線通信方式における収束レイヤにおいて前記無線通信を収束しデータ通信制御を行うことができる制御部と、
前記第2無線通信方式で送受信されるデータについて、前記中継装置が前記第1無線通信方式または前記第2無線通信方式のいずれの無線通信方式で前記基地局装置に中継する場合であっても、前記データが属する前記第1無線通信方式のベアラを識別して送受信できる送受信部と、
を有することを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、中継装置、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of Things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められており、2017年の末に標準規格書の初版が出されている(非特許文献12~40)。
【0004】
上記で述べたように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。
【0005】
4G(第4世代移動体通信)の標準技術では、LTE-WLAN aggregationやLTE/WLAN Radio Level Integration with IPsec Tunnelが規定されている(非特許文献5)。LTE-WLAN aggregationやLTE/WLAN Radio Level Integration with IPsec Tunnelは、LTEの通信網とWLANの通信網を用いて通信を可能にする技術である。例えば、LTE-WLAN aggregationでは、Split LWA Bearer に設定されている信号に対して基地局のPDCPレイヤ(Split LWA Bearerに対応するPDCPレイヤ)の処理後、RLCレイヤ(例えば、LTEの通信網)とLWAAPレイヤ(例えば、WLANの通信網)の何れかの処理を行う。RLCレイヤの処理をした場合は、MACレイヤの処理をし、LWAAPレイヤの処理をした場合は、WLANレイヤの処理を行う。
【0006】
5Gに関する技術については、以下の先行技術文献に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.133 V16.0.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.214 V15.3.0(2018-09)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.3.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.5.1(2019-04)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 37.324 V15.1.0(2018-09)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.5.1(2019-04)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.3.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.3.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.5.0(2019-03)
【文献】3GPP TR 23.501 V16.1.0(2019-06)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.889 V16.0.0 (2018-12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、5Gにおいては、4GにおけるLTE-WLAN aggregationやLTE/WLAN Radio Level Integration with IPsec Tunnelに類する明確な規定がない。
【0009】
端末装置は、5Gにおいて、IoTサービスを実現するため、例えば、DC Duplicationを行い、複製した同じデータを複数回送信する場合がある。この場合、端末装置は、例えば、データの到達確率を高めるため、異なる経路を使用してデータを送信する。このような場合を想定すると、5Gにおいて、複数経路を使用した通信規格を規定する必要がある。複数経路は、例えば、端末装置から基地局装置(gNB)を直接無線で接続する経路と、端末装置と基地局装置との間に中継装置(通信装置)を介した経路である。
【0010】
そこで、5Gにおいて、端末装置と基地局装置との通信を中継する基地局装置、中継装置、及び通信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
端末装置と、基地局装置と、前記端末装置と前記基地局装置との通信を中継する中継装置とを有する通信システムにおける基地局装置であって、前記端末装置が、前記基地局装置との間の無線通信方式である第1無線通信方式と、前記中継装置との間の無線通信方式である第2無線通信方式の両方を用いて無線通信を実施する場合、前記第1無線通信方式における収束レイヤにおいて前記無線通信を収束しデータ通信制御を行うことができる制御部と、前記第2無線通信方式で送受信されるデータについて、前記中継装置が前記第1無線通信方式または前記第2無線通信方式のいずれの無線通信方式で前記基地局装置に中継する場合であっても、前記データが属する前記第1無線通信方式のベアラを識別して送受信できる送受信部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
一開示は、5Gにおいて、端末装置と基地局装置との通信を中継することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態における、無線通信システム1の例を示す図である。
【
図2】
図2は、通信システム11の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、中継装置300の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、基地局装置200の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、端末装置100の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、DC Duplicationにおけるデータ送信(パターン1)の例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6の通信システムのプロトコルスタックの例を示す図である。
【
図8】
図8は、DC Duplicationにおけるデータ送信(パターン2)の例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8の通信システムのプロトコルスタックの例を示す図である。
【
図10】
図10は、DC Duplicationにおけるデータ送信(パターン3)の例を示す図である。
【
図12】
図12は、端末装置100にNACKを送信するシーケンス1の例を示す図である。
【
図13】
図13は、端末装置100にACKを送信するシーケンス2の例を示す図である。
【
図14】
図14は、無線リソースの割り当てを伴うシーケンス3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。
【0015】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、第1の実施の形態における、無線通信システム1の例を示す図である。無線通信システム1は、端末装置10、基地局装置20、及び中継装置30を有する。
【0017】
端末装置10は、例えば、基地局装置20又は基地局装置20を介して他の通信装置にデータを送信するとき、送信するデータを複製し、複数の経路を使って複製したデータを送信する場合がある。複数の経路は、例えば、基地局装置20と直接無線を介して接続する経路や、無線接続した中継装置30が基地局装置20にデータを中継伝送する経路などを含む。
【0018】
端末装置10と基地局装置20は、第1無線通信方式で無線通信を行う(通信C1)。そして、端末装置10と基地局装置20は、第1無線通信方式で第1データD1を送受信する。
【0019】
また、端末装置10と中継装置30は、第2無線通信方式で無線通信を行う(通信C2)。そして、端末装置10と中継装置30は、第2無線通信方式で第2データD2を送受信する。なお、第2無線通信方式は、無線又は有線に限定されず、インタフェースであってもよい。
【0020】
中継装置30と基地局装置20は、第1無線通信方式又は第2無線通信方式で無線通信を行う(通信C3)。そして、中継装置30と基地局装置20は、第1無線通信方式又は第2無線通信方式で第2データD2を送受信する。
【0021】
端末装置10は、基地局装置20と無線通信を行うとき、基地局装置20と直接無線接続を行う通信C1と、中継装置30を介して通信を行う通信C2及び通信C3の、両方を使用する場合がある。この場合、端末装置10が送信する第1データD1と第2データD2は、例えば、複製された同一のデータであってもよい。
【0022】
中継装置30は、通信C2及び通信C3を使用し、端末装置10と基地局装置20との間の無線通信を中継する。
【0023】
基地局装置20は、制御部21と送受信部22を有する。送受信部22は、端末装置10が通信C1と、通信C2及び通信C3の両方を使用してデータの送信(無線通信)を実施する場合、通信C1を経由して第1データD1と、通信C3を経由して第2データD2を受信する。第1データD1は、第1無線通信方式で送信されるデータであり、第1無線通信方式に対応する(準拠する)データである。一方、第2データD2は、第1無線通信方式か第2無線通信方式のいずれかで送信されるデータであり、第1無線通信方式か第2無線通信方式のいずれかに対応する(準拠する)データである。送受信部22は、第2データD2がいずれの無線通信方式で送信されても、それぞれのデータの第1無線通信方式におけるベアラを識別することができる(S1)。
【0024】
基地局装置20は、第2データD2が第2無線通信方式で送信されたデータである場合、例えば、端末装置10や中継装置30などの通信相手の装置の識別子と、それぞれのベアラを対応づけて管理していることなどで、第1データD1と第2データD2とをそれぞれ異なるベアラとして識別できる。
【0025】
一方、基地局装置20は、例えば、第2データD2が第1通信方式で送信されたデータである場合、第1データD1と第2データD2とが、同じ端末装置10から同じ無線通信方式で送信されたデータであるため、処理S1を行うことで、それぞれを異なるベアラとして識別する。
【0026】
制御部21は、第2データD2がいずれの無線通信方式で送信されても、それぞれのデータを第1無線通信方式において無線通信を収束するレイヤ(収束レイヤ)で、無線通信を収束することができる(S2)。
【0027】
基地局装置20は、例えば、第2データD2が第2無線通信方式で送信されたデータである場合、処理S2を行うことで、第2データD2を第1通信方式の収束レイヤで収束させる。基地局装置20は、第1の通信装置である端末装置10と通信と、第2の通信装置である中継装置30との通信とを、同一の通信装置との通信とみなして通信を行う。基地局装置20は、実際は異なる通信経路(通信C1及び通信C3)で、異なる通信装置(端末装置10及び中継装置30)と複数(この場合は2つ)の通信を行っているが、この複数の通信を1つの端末装置(例えば端末装置10)と行っている1つの通信とみなす。すなわち、基地局装置200は、中継装置30を端末装置10との通信における中継局とみなし、中継装置30との通信を端末装置10との通信として認識することができる。
【0028】
第1の実施の形態において、例えば、基地局装置20が5Gに対応する基地局装置である場合、基地局装置20は、5Gにおける端末装置10のデータの別経路での同時送信に対応することが可能となる。
【0029】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態について説明する。
【0030】
<無線通信システムの構成例>
図2は、通信システム11の構成例を示す図である。通信システム11は、端末装置(通信装置)100、基地局装置200、中継装置(通信装置)、及びIP(Internet Protocol)ネットワーク400を有する。通信システム11は、例えば、5Gに準拠した無線通信を行う無線通信システムである。基地局装置200は、例えば、gNodeB(gNB)である。また、端末装置100は、基地局装置200と、あるいは基地局装置200を介して他の通信装置と通信を行う装置であって、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの移動体通信端末である。また、端末装置100は、例えば、工場に設置された作業用機械や、無人走行自動車などであってもよい。さらに、端末装置100は、IoTサービスに準拠した無線通信を行うことができる(例えば、URLLCに対応する)通信装置である。
【0031】
端末装置100は、例えば、IPネットワーク400上の他の通信装置にデータを送信する。端末装置100は、例えば、DC Duplication(複製送信、同時送信)を実行し、他の通信装置にデータを送信する場合がある。
【0032】
DC Duplicationは、例えば、URLLCデータの送信契機が発生したとき、データを複製し、複数経路を使用してデータを送信するデータ送信方式である。端末装置100は、DC Duplicationにおいて、データを複数経路で送信することで、データが宛先まで到達する確率を向上させ、高信頼を実現する。また、基地局装置200は、複数経路で受信したデータのうち、最先に受信したデータを宛先に転送することで、データをより短時間で宛先に送信することができ、低遅延を実現する。
【0033】
端末装置100は、DC Duplicationにおいて、例えば、送信するデータを複製する。そして、端末装置100は、複製したデータの一方を、基地局装置200と直接接続した無線通信を介して、基地局装置200に送信する(経路R1)。さらに、端末装置100は、複製したもう一方のデータを、中継装置300を介して(経路R2-1)、基地局装置200に送信する(経路R2-2)。基地局装置200は、経路R1又は経路R2-2のいずれか一方からデータを受信すると、データをIPネットワーク400に送出し、データを宛先の通信装置に送信する。
【0034】
また、端末装置100と中継装置300との通信は、インタフェースであってもよい。例えば、中継装置300は、外付けの端末装置やドングルタイプの端末装置であってもよい。この場合、端末装置100と中継装置300は、例えば、ノートPCなどのコンピュータと、接続される通信端末であってもよい。
【0035】
<中継装置の構成例>
図3は、中継装置300の構成例を示す図である。中継装置300は、端末装置100と基地局装置200との通信を中継する通信装置である。中継装置300は、例えば、Wi-Fiなどの近距離無線通信に対応する中継装置(WLAN(Wireless LAN)Termination:WT)である。
【0036】
中継装置300は、CPU(Central Processing Unit)310、ストレージ320、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリ330、RF(Radio Frequency)回路350-1,2を有する。
【0037】
ストレージ320は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ320は、中継伝送プログラム321を記憶する。
【0038】
メモリ330は、ストレージ320に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ330は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0039】
RF回路350-1,2は、端末装置100及び基地局装置200と無線接続する装置である。
【0040】
RF回路350-1は、例えば、Wi-Fiに対応する無線装置であって、端末装置100と無線接続する。RF回路350-1は、対応する無線プロトコルに応じたアンテナ351-1を有する。
【0041】
RF回路350-2は、例えば、NRに対応する無線装置であって、基地局装置200と無線接続する。RF回路350-2は、対応する無線プロトコルに応じたアンテナ351-2を有する。なおRF回路350-2は、基地局装置200と無線接続するプロトコルに対応する無線装置であればよく、NR以外に対応する無線装置であってもよい。
【0042】
CPU310は、ストレージ320に記憶されているプログラムを、メモリ330にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0043】
CPU310は、中継伝送プログラム321を実行することで、端末間通信部及び基地局間通信部を構築し、中継伝送制御処理を行う。中継伝送制御処理は、端末装置100と基地局装置200との間の通信を中継伝送し、制御する処理である。
【0044】
CPU310は、中継伝送プログラム321が有する通信制御モジュール3211を実行することで、端末間通信部、基地局間通信部中継部、及び変換部を構築し、通信制御処理を行う。通信制御処理は、端末装置100から受信したデータを、基地局装置200に送信したり、基地局装置200から受信したデータを、端末装置100に送信したりする中継伝送を制御する処理である。
【0045】
CPU310は、中継伝送プログラム321が有する端末側通信モジュール3212を実行することで、端末間通信部、基地局間通信部中継部、及び変換部を構築し、端末側通信処理を行う。端末側通信処理は、端末装置100との無線接続やデータ送受信を実行する処理である。
【0046】
CPU310は、中継伝送プログラム321が有する基地局側通信モジュール3213を実行することで、端末間通信部、基地局間通信部中継部、及び変換部を構築し、基地局側通信処理を行う。基地局側通信処理は、基地局装置200との無線接続やデータ送受信を実行する処理である。
【0047】
<基地局装置200の構成例>
図4は、基地局装置200の構成例を示す図である。基地局装置200は、例えば、中継装置300及び端末装置100と無線通信を行う、通信装置である。基地局装置200は、CPU210、ストレージ220、DRAMなどのメモリ230、NIC(Network Interface Card)240、RF回路250-1,2を有する。
【0048】
ストレージ220は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ220は、通信制御プログラム221及びデータ送受信プログラム222を記憶する。
【0049】
メモリ230は、ストレージ220に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ230は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0050】
RF回路250-1,2は、端末装置100及び中継装置300と無線接続する装置である。
【0051】
RF回路250-1は、例えば、NRに対応する無線装置であって、端末装置100と無線接続する。RF回路250-1は、対応する無線プロトコルに応じたアンテナ251-1を有する。
【0052】
RF回路250-2は、例えば、Wi-Fiに対応する無線装置であって、中継装置300と無線接続する。RF回路250-2は、対応する無線プロトコルに応じたアンテナ251-2を有する。なおRF回路250-2は、中継装置300と無線接続するプロトコルに対応する無線装置であればよく、Wi-Fi以外に対応する無線装置であってもよい。RF回路250-2は、例えば、中継装置300との無線接続のプロトコルがNRに対応したものであれば、NRに対応する。
【0053】
CPU210は、ストレージ220に記憶されているプログラムを、メモリ230にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0054】
CPU210は、通信制御プログラム221を実行することで、送受信部及び制御部を構築し、通信制御処理を行う。通信制御処理は、端末装置100と直接接続する通信と、中継装置300を介して中継される通信との制御を行う処理である。
【0055】
CPU210は、通信制御プログラム221が有するDuplication制御モジュール2211を実行することで、制御部及び送受信部を構築し、Duplication制御処理を行う。Duplication制御処理は、複数の経路で受信した同一データに対する制御や、送信元装置に対するACK/NACKの送信を制御する処理である。
【0056】
CPU210は、データ送受信プログラム222を実行することで、送受信部を構築し、データ送受信処理を行う。データ送受信処理は、端末装置100及び中継装置300との間の通信において、データの送受信を行う処理である。
【0057】
<端末装置100の構成例>
図5は、端末装置100の構成例を示す図である。端末装置100は、中継装置300及び基地局装置200と無線通信を行う通信装置である。
【0058】
端末装置100は、CPU110、ストレージ120、DRAMなどのメモリ130、RF回路150-1,2を有する。
【0059】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ120は、通信プログラム121を記憶する。
【0060】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0061】
RF回路150-1,2は、中継装置300及び基地局装置200と無線接続する装置である。
【0062】
RF回路150-1は、例えば、Wi-Fiに対応する無線装置であって、中継装置300と無線接続する。RF回路150-1は、対応する無線プロトコルに応じたアンテナ151-1を有する。
【0063】
RF回路150-2は、例えば、NRに対応する無線装置であって、基地局装置200と無線接続する。RF回路150-2は、対応する無線プロトコルに応じたアンテナ151-2を有する。
【0064】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0065】
CPU110は、通信プログラム121を実行することで、第1通信部及び第2通信部を構築し、通信処理を行う。通信処理は、中継装置300及び基地局装置200との通信を制御する処理である。
【0066】
CPU110は、通信プログラム121が有するDuplicationモジュール1211を実行することで、第1通信部及び第2通信部を構築し、Duplication処理を行う。Duplication処理は、DC Duplicationを実行する処理であり、データを複製したり、中継装置300及び基地局装置200に複製したデータを送信したりする処理である。
【0067】
<DC Duplicationにおけるデータ送信>
以下に、DC Duplicationにおけるデータ送信処理の例を示す。なお、データ送信処理の例は、パターン1からパターン3の3通りであり、それぞれについて以下に説明する。
【0068】
<1データ送信処理>
<1.1 パターン1>
図6は、DC Duplicationにおけるデータ送信(パターン1)の例を示す図である。端末装置100は、例えば、URLLCデータの送信契機が発生すると、DC Duplicationによるデータ送信を行う。端末装置100は、DC Duplicationにおいて、2つの経路(経路R11及び経路R12-1)を使用して、データを送信する。
【0069】
端末装置100は、経路R11において、基地局装置200とNRに対応した無線通信を行う。経路R11におけるNRは、例えば、ミリ波(mmWAVE)を使用した無線通信や、ビーム方向を切り替えて送信するBeam Sweeping機能などを有する。端末装置100は、経路R11を使用し、データを基地局装置200に送信する。
【0070】
経路R11のデータ通信において、基地局装置200及び端末装置100は、互いにNRに準拠したレイヤ(階層)をサポートし、データを送受信する。基地局装置200及び端末装置100が経路R11でサポートするレイヤは、例えば、レイヤ1であるPHY(PHYsical)レイヤ、レイヤ2であるMAC(Medium Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤなどを含む。
【0071】
一方、端末装置100は、経路R12-1において、中継装置300とWi-Fi(WLAN)に対応した無線通信を行う。端末装置100と中継装置300は、経路R12-1において、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)で標準化された規格に準じて通信を行う。また、端末装置100は、例えば、LWAAP(LTE-WLAN. Aggregation Adaptation Protocol)又はLWAAPに類するNRに対応するトンネリングプロトコルを用いて、PDCPデータをWi-Fi上で送信可能なデータに変換する。また、中継装置300は、LWAAPを用いて、例えば、受信したデータをNRで送信可能なデータに変換する。
【0072】
なお、端末装置100と中継装置300との間の通信については、例えば、LTEに準じた通信、WCDMA(登録商標)に準じた通信、ブルートゥース(登録商標)に対応した通信など、WLAN以外の通信であってもよい。
【0073】
中継装置300は、経路R12-1でデータを受信すると、経路R12-2を用いて基地局装置200にデータを送信する。これにより、中継装置300は、端末装置100が送信したデータを基地局装置200に中継する。
【0074】
中継装置300は、例えば、NRにおけるPDCPデータをLWAAPでWi-Fiで送信可能なデータに変換し、経路R12-2を用いて基地局装置200にデータを送信する。なお、中継装置300は、経路12-1においてWi-Fi方式でデータを受信したとき、受信したデータをPDCPデータに変換せずに、経路R12-2でWi-Fi方式で基地局装置200にデータを転送してもよい。この場合、中継装置300は、LWAAPに対応しなくてもよい。
【0075】
基地局装置200は、経路R11と経路R12-2を介して、それぞれデータを受信する。基地局装置200は、例えば、先に受信したデータを、IPネットワーク400に送出し、宛先にデータを送信する。基地局装置200は、例えば、送信しないほうのデータを破棄する。
【0076】
宛先は、例えば、端末装置100が工場内に設置された作業用装置である場合、工場内の作業用装置の稼働状況を管理及び分析し、作業用装置を制御する工場管理制御システム(Auto-Factory Controller)500である。
【0077】
図7は、
図6の通信システムのプロトコルスタックの例を示す図である。以降の図面において、UEは端末装置100、WTは中継装置300、gNBは基地局装置200を示す。
【0078】
基地局装置200と端末装置100は、NRにおけるPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤをサポートする。また、基地局装置200と端末装置100は、WLANに対応するため、LWAAP(レイヤ、機能)、802.11x(IEEE規格、xは規格番号)、PHYレイヤ(WLANのレイヤ1に相当する物理レイヤ)をサポートする。さらに、基地局装置200及び端末装置100は、それぞれDuplicationレイヤ(Duplication機能)を有し、DC Duplicationにおける複製したデータの送信や、複製されたデータの受信をサポートする。
【0079】
中継装置300は、端末装置100と基地局装置200のWLANにおける通信を中継するため、LWAAP、802.11x、PHYレイヤに対応する。中継装置300は、例えば、Xwインタフェースで基地局装置200と接続する。
【0080】
基地局装置200は、端末装置100からNRで受信したPDCPデータと、中継装置300からWLANで受信したデータをLWAAPで処理したデータとを、Duplicationレイヤで処理することで、PDCPレイヤでデータパケットを収束させる。
【0081】
これにより、中継装置300は、5Gにおいて、端末装置と基地局装置との通信を中継することができる。
【0082】
<1.2 パターン2>
図8は、DC Duplicationにおけるデータ送信(パターン2)の例を示す図である。端末装置100は、例えば、URLLCデータの送信契機が発生すると、DC Duplicationによるデータ送信を行う。端末装置100は、DC Duplicationにおいて、2つの経路(経路R21及び経路R22-1)を使用して、データを送信する。
【0083】
端末装置100は、経路R21において、基地局装置200とNRに対応した無線通信を行う。経路R21を介したデータ通信において、基地局装置200及び端末装置100は、互いにNRにおけるレイヤをサポートし、データを送受信する。基地局装置200及び端末装置100が経路R11でサポートするレイヤは、例えば、PHYレイヤ、MACレイヤ、RLCレイヤ、及びPDCPレイヤを含む。
【0084】
一方、端末装置100は、経路R22-1において、中継装置300とWi-Fiに対応した無線接続を行う。中継装置300は、LWAAPを用いて、例えば、受信したデータをNRで送信可能なデータに変換する。
【0085】
中継装置300は、経路R22-1を介してデータを受信すると、経路R22-2を用いて基地局装置200にデータを送信する。これにより、中継装置300は、端末装置100が送信したデータを基地局装置200に中継する。
【0086】
中継装置300は、例えば、PDCPデータを、NRに対応する経路R22-2を用いて基地局装置200に送信する。なお、経路R22-2におけるNRは、経路R21におけるNRと同じの周波数帯域であってもよいし、異なる周波数帯域であってもよい。中継装置300は、例えば、テザリングを行い、端末装置100と基地局装置200との中継局として動作している。
【0087】
基地局装置200は、経路R11と経路R12-2を介して、それぞれデータを受信する。基地局装置200は、例えば、先に受信したデータを、IPネットワーク400に送出し、宛先にデータを送信する。基地局装置200は、例えば、送信しないほうのデータを破棄する。
【0088】
なお、基地局装置200は、NRにおいて、同じ端末装置100から同一のデータ(例えば、シーケンス番号が同じ)を受信する。言い換えると、基地局装置200は、NRの2つのベアラ(Bearer1、Bearer2)から同一のユーザから同一のデータを受信する。基地局装置200は、この二重の受信を解決するため、複数のベアラ間でPDCPレイヤの処理を共有する。
【0089】
図9は、
図8の通信システムのプロトコルスタックの例を示す図である。基地局装置200と端末装置100は、NRにおけるPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤをサポートする。また、端末装置100は、WLANに対応するため、LWAAP、802.11x、WLANのPHYレイヤをサポートする。さらに、基地局装置200及び端末装置100は、それぞれDuplicationレイヤ(Duplication機能)を有し、DC Duplicationにおける複製したデータの送信や、複製されたデータの受信をサポートする。
【0090】
中継装置300は、端末装置100のWLANにおける通信を中継するため、LWAAP、802.11x、WLANのPHYレイヤに対応する。また、中継装置300は、基地局装置200とNRで通信を中継するため、NRにおけるPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤをサポートする。中継装置300は、例えば、Uuインタフェースで基地局装置200と接続する。
【0091】
基地局装置200は、端末装置100からNRで受信したPDCPデータと、中継装置300からWLANで受信したデータをLWAAPで処理したデータとを、Duplicationレイヤで処理することで、PDCPレイヤでデータパケットを収束させる。
【0092】
なお、基地局装置200及び端末装置100は、中継装置300とのデータ送受信用のPDCPレイヤ(
図9の点線部)と、端末装置100又は基地局装置200とのデータ送受信用のPDCPレイヤを共通化してもよい。また、基地局装置200は、中継装置300とのデータ送受信用のRLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤ(NR)と、端末装置100との通信におけるRLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤ(NR)を共通化してもよい。
【0093】
<1.3 パターン3>
図10は、DC Duplicationにおけるデータ送信(パターン3)の例を示す図である。端末装置100及び中継装置300の経路R31、経路R32-1、及び経路R32-2における処理は、
図8に示す経路R21、経路R22-1、経路R3-2における処理と同様です。
【0094】
基地局装置200は、NRにおいて、同じ端末装置100から同じデータを受信する。言い換えると、基地局装置200は、NRの2つのベアラから同一のユーザから同一のデータを受信する。基地局装置200は、この二重の受信を解決するため、ベアラ間で2つのデータを制御する制御層(制御機能:control)を有する。
【0095】
図11は、
図10の通信システムのプロトコルスタックの例を示す図である。基地局装置200と端末装置100は、NRにおけるPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤをサポートする。また、端末装置100は、WLANに対応するため、LWAAP、802.11x、WLANのPHYレイヤをサポートする。また、基地局装置200及び端末装置100は、それぞれ制御レイヤ(制御機能:control)を有し、DC Duplicationにおける同一データの複数ベアラでの送受信を解決する。
【0096】
中継装置300は、端末装置100のWLANにおける通信を中継するため、LWAAP、802.11x、WLANのPHYレイヤに対応する。また、中継装置300は、基地局装置200とNRで通信を中継するため、NRにおけるPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤをサポートする。中継装置300は、例えば、Uuインタフェースで基地局装置200と接続する。
【0097】
基地局装置200は、端末装置100からNRで受信したPDCPデータと、中継装置300からWLANで受信したデータをLWAAPで処理したデータとを、制御レイヤで処理することで、PDCPレイヤでデータパケットを収束させる。
【0098】
なお、基地局装置200は、中継装置300とのデータ送受信用のPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤ(NR)と、端末装置100との通信におけるPDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤ(NR)を共通化してもよい。
【0099】
<2.データ送信シーケンス>
以下にデータ送信シーケンスについて説明する。データ送信シーケンスは、肯定応答(ACK:acknowledgement)及び否定応答(NACK:negative-acknowledgement)の返信の有無、及びスケジューリングリクエストを行う場合など、3シーケンスについて説明する。以下のシーケンスにおいて、WLANにおける無線区間とNRにおける無線区間を同様に記載し、WLAN及びNRにおける肯定応答相当するメッセージをACK、否定応答に相当するメッセージをNACKと、同様に表現する。
【0100】
<2.1 シーケンス1>
図12は、端末装置100にNACKを送信するシーケンス1の例を示す図である。端末装置100は、DC Duplicationを行う場合、データを複製する。以降、複製したデータを、それぞれURLLC1、URLLC2と表現する。端末装置100は、URLLC1を、基地局装置200に送信する(S11)。
【0101】
基地局装置200は、受信したURLLC1に対してデコード等の処理を行う(S12)。
【0102】
さらに、端末装置100は、URLLC2を、中継装置300に送信する(S13)。
【0103】
中継装置300は、URLLC2をエラーなく受信すると、ACKを端末装置100に送信する(S14)。そして、中継装置300は、中継処理(Relay Processing)を行い(S15)、URLLC2を、基地局装置200に送信する(S16)。
【0104】
基地局装置200は、URLLC2をエラーなく受信すると、ACKを中継装置300に送信する(S17)。そして、基地局装置200は、URLLC2を、IPネットワーク400に送信する(図示しない)。さらに、基地局装置200は、NACKを端末装置100に送信する(S18)。
【0105】
端末装置100は、NACKを受信すると、URLLC1の再送を行う(S19)。そして、基地局装置200は、URLLC1をエラーなく受信すると、ACKを端末装置100に送信する(S20)。
【0106】
なお、基地局装置200は、端末装置100又は中継装置300のどちらか一方からエラーなくデータを受信したタイミングで、もう一方の装置からのデータの受信を待つことなく、IPネットワーク400にデータを送出してもよい。また、基地局装置200は、端末装置100又は中継装置300から受信したデータの両方を、IPネットワーク400にデータを送出してもよい。
【0107】
<2.2 シーケンス2>
図13は、端末装置100にACKを送信するシーケンス2の例を示す図である。処理S31から処理S36は、
図11における処理S21から処理26と同様である。
【0108】
基地局装置200は、URLLC2をエラーなく受信すると、ACKを中継装置300に送信する(S37)。そして、基地局装置200は、URLLC2を、IPネットワーク400に送信する(図示しない)。さらに、基地局装置200は、ACKを端末装置100に送信する(S38)。この場合、シーケンス1と異なり、端末装置100はURLLC1の再送を行わない。
【0109】
なお、基地局装置200がACKを端末装置100に送信するタイミングは、例えば、処理S31においてURLLC1をエラーなく受信したことを認識したタイミングであってもよい。
【0110】
<2.3 シーケンス3>
図14は、無線リソースの割り当てを伴うシーケンス3の例を示す図である。端末装置100は、DC Duplicationを行う場合、データを複製する。
【0111】
端末装置100は、基地局装置200に、無線リソースの割り当てを要求するSR(Scheduling Request)を送信する。そして、端末装置100は、中継装置300にURLLC1を送信する(S52)。
【0112】
中継装置300は、中継装置300は、URLLC2をエラーなく受信すると、ACKを端末装置100に送信する(S53)。
【0113】
基地局装置200は、SRを受信すると(S51)、無線リソースを割り当て、割り当てた無線リソースに関する情報を含むメッセージであるUL_grantを端末装置100に送信する(S54)。
【0114】
端末装置100は、UL_grantを受信すると(S54)、基地局装置200にURLLC2を割り当てられた無線リソースを使用して送信する(S55)。
【0115】
基地局装置200は、URLLC2を受信すると、PUSCHにおける処理を実行する(S56)。
【0116】
中継装置300は、中継処理(Relay Processing)を行い(S57)、URLLC1を、基地局装置200に送信する(S58)。
【0117】
基地局装置200は、URLLC1をエラーなく受信すると、ACKを中継装置300に送信する(S59)。そして、基地局装置200は、URLLC1を、IPネットワーク400に送信する(図示しない)。さらに、基地局装置200は、NACKを端末装置100に送信する(S60)。
【0118】
以降、処理S61及び処理S62は、
図11における処理S19及び処理S20と同様である。
【0119】
[その他の実施の形態]
第1の実施の形態及び第2の実施の形態は、組み合わせてもよい。また、第2の実施の形態におけるデータ送信処理のパターンとシーケンスのパターンとは、それぞれ組み合わせてもよい。また、第1及び第2の実施の形態においては、端末装置100(又は10)から基地局装置200(又は20)への方向(上り方向)のデータ送信について記載した。しかし、第1及び第2の実施の形態は、逆方向(下り方向)のデータ送信についても適用できる。下り方向の場合、例えば、基地局装置200(又は20)は、IPネットワーク400から端末装置100(又は10)に送信されるデータを受信し、複製し、2つの経路で複製したデータを送信する。端末装置100(又は10)は、例えば、最先に受信したデータに対して、処理を行う。
【符号の説明】
【0120】
1 :無線通信システム
10 :端末装置
20 :基地局装置
21 :制御部
22 :送受信部
30 :中継装置
11 :通信システム
100 :端末装置
200 :基地局装置
300 :中継装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :通信プログラム
130 :メモリ
150-1 :RF回路
150-2 :RF回路
151-1 :アンテナ
151-2 :アンテナ
210 :CPU
220 :ストレージ
221 :通信制御プログラム
222 :データ送受信プログラム
230 :メモリ
250-1 :RF回路
250-2 :RF回路
251-1 :アンテナ
251-2 :アンテナ
310 :CPU
320 :ストレージ
321 :中継伝送プログラム
330 :メモリ
350-1 :RF回路
350-2 :RF回路
351-1 :アンテナ
351-2 :アンテナ
400 :IPネットワーク