(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】圧縮機、および冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20231213BHJP
F04C 29/06 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F04B39/00 101J
F04C29/06 D
(21)【出願番号】P 2022051868
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 達也
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-203386(JP,A)
【文献】実開昭62-188587(JP,U)
【文献】特開2021-127687(JP,A)
【文献】特開2010-144526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油が貯留される貯留部(16)を底部に有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に収容される電動機(20)と、
前記電動機(20)と前記貯留部(16)との間に配置されるとともに、吸入したガス冷媒を圧縮して前記ケーシング(10)内に吐出する圧縮機構(40)と、
前記圧縮機構(40)に形成される共鳴型のマフラ(50)とを備え、
前記ケーシング(10)内には、前記貯留部(16)の上に、前記圧縮機構(40)から吐出された前記ガス冷媒が流れる冷媒空間(S)が形成され、
前記マフラ(50)は、
内部に共鳴室(R)が形成される空洞部(51)と、
前記共鳴室(R)に連通するとともに前記冷媒空間(S)に開口する第1開口(53)とを有し、
前記第1開口(53)は、前記圧縮機構(40)の下面または外周面に形成され
、
前記圧縮機構(40)は、
吸入した前記ガス冷媒を圧縮する圧縮室(C)と、
前記圧縮室(C)で圧縮した冷媒を吐出する吐出ポートと、
前記吐出ポートから前記冷媒空間(S)までの間に形成される吐出流路とを有し、
前記マフラ(50)は、前記吐出流路に連通する開口を有しない
圧縮機。
【請求項2】
前記マフラ(50)は、前記共鳴室(R)に連通する第1連通路(52)を更に有し、
前記第1開口(53)は、前記第1連通路(52)の端部に形成される
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮機構(40)は、互いに重なるように配置される複数の部材を有し、
前記複数の部材は、第1部材(E1)を含み、
前記第1部材(E1)は、前記複数の部材が重なる方向の端面に形成される凹部(61,62)を有し、
前記凹部(61,62)の内部空間が、前記空洞部(51)の一部を構成する
請求項1または2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記圧縮機構(40)は、互いに重なるように配置される複数の部材を有し、
前記複数の部材は、第2部材(E2)を含み、
前記第2部材(E2)は、前記複数の部材が重なる方向に貫通する貫通孔(63)を有し、
前記貫通孔(63)の内部空間が、前記空洞部(51)の一部を構成する
請求項1~3のいずれか1つに記載の圧縮機。
【請求項5】
前記圧縮機構(40)は、
シリンダ(41)と、
該シリンダ(41)の軸方向一端の開口面を覆う第1閉塞部材(45)と、
該シリンダ(41)の軸方向他端の開口面を覆う第2閉塞部材(46)とを含み、
前記空洞部(51)は、前記シリンダ(41)、前記第1閉塞部材(45)、および前記第2閉塞部材(46)の少なくとも1つに形成される
請求項1~4のいずれか1つに記載の圧縮機。
【請求項6】
油が貯留される貯留部(16)を底部に有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に収容される電動機(20)と、
前記電動機(20)と前記貯留部(16)との間に配置されるとともに、吸入したガス冷媒を圧縮して前記ケーシング(10)内に吐出する圧縮機構(40)と、
前記圧縮機構(40)に形成される共鳴型のマフラ(50)とを備え、
前記ケーシング(10)内には、前記貯留部(16)の上に、前記圧縮機構(40)から吐出された前記ガス冷媒が流れる冷媒空間(S)が形成され、
前記マフラ(50)は、
内部に共鳴室(R)が形成される空洞部(51)と、
前記共鳴室(R)に連通するとともに前記冷媒空間(S)に開口する第1開口(53)とを有し、
前記第1開口(53)は、前記圧縮機構(40)の下面または外周面に形成され、
前記マフラ(50)は、前記空洞部(51)に連通するとともに前記油が出入りする第2開口(55)を更に有し、
前記第2開口(55)は、前記第1開口(53)よりも下に形成される
圧縮機。
【請求項7】
前記第1開口(53)は、出荷時における前記貯留部(16)の油面位置である初期充填位置(A1)より下に形成され、前記貯留部(16)の油面が低下したときに前記冷媒空間(S)と連通する
請求項6に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記マフラ(50)は、前記空洞部(51)に連通する第2連通路(54)を更に有し、
前記第2開口(55)は、前記第2連通路(54)の端部に形成される
請求項6に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記圧縮機構(40)は、互いに重なるように配置される複数の部材を有し、
前記複数の部材は、最下部に配置される第3部材(E3)を含み、
前記空洞部(51)は、前記第3部材(E3)に形成され、
前記第2開口(55)は、前記第3部材(E3)の下面に形成される
請求項6に記載の圧縮機。
【請求項10】
油が貯留される貯留部(16)を底部に有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に収容される電動機(20)と、
前記電動機(20)と前記貯留部(16)との間に配置されるとともに、吸入したガス冷媒を圧縮して前記ケーシング(10)内に吐出する圧縮機構(40)と、
前記圧縮機構(40)に形成される共鳴型のマフラ(50)とを備え、
前記ケーシング(10)内には、前記貯留部(16)の上に、前記圧縮機構(40)から吐出された前記ガス冷媒が流れる冷媒空間(S)が形成され、
前記マフラ(50)は、
内部に共鳴室(R)が形成される空洞部(51)と、
前記共鳴室(R)に連通するとともに前記冷媒空間(S)に開口する第1開口(53)とを有し、
前記第1開口(53)は、前記圧縮機構(40)の下面または外周面に形成され、
前記マフラ(50)は、第1マフラ(50a)と第2マフラ(50b)とを含み、
前記第1マフラ(50a)の前記第1開口(53)は、前記第2マフラ(50b)の前記第1開口(53)よりも低い位置に形成され、
前記第1マフラ(50a)の共鳴周波数は、前記第2マフラ(50b)の共鳴周波数よりも低い
圧縮機。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の圧縮機(100)を備える冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機、および冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘルムホルツマフラを有する圧縮機が開示されている。特許文献1の圧縮機は、ケーシング内を上下方向に延びる駆動軸と、該駆動軸の上部に取り付けられるモータと、該駆動軸の下部に取り付けられる圧縮機構とを有する。
【0003】
特許文献1のヘルムホルツマフラは、圧縮機構とモータのロータとの間に開口する開口部を備えた共鳴室を有する。この共鳴室の内壁面の少なくとも一部が駆動軸の外周面によって形成されている。開口部が駆動軸の近傍に形成されることにより、ケーシング内の駆動軸の近傍で発生する高い周波数の共鳴を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧縮機のケーシングの底部には、油を貯留するための貯留部が形成される。このような圧縮機では、貯留部の油面に近い部分で共鳴が生じやすい。そのため、この共鳴に起因する騒音が発生するという問題があった。
【0006】
また、このような共鳴では、貯留部の油面の位置が低下すると共鳴周波数も低下する。そのため、貯留部の油面の位置が低下すると、圧縮機の通常運転時には発生しない低い周波数の騒音が発生するという問題があった。
【0007】
本開示の目的は、ケーシング内の共鳴に起因する圧縮機の騒音を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、油が貯留される貯留部(16)を底部に有するケーシング(10)と、前記ケーシング(10)内に収容される電動機(20)と、前記電動機(20)と前記貯留部(16)との間に配置されるとともに、吸入したガス冷媒を圧縮して前記ケーシング(10)内に吐出する圧縮機構(40)と、前記圧縮機構(40)に形成される共鳴型のマフラ(50)とを備え、前記ケーシング(10)内には、前記貯留部(16)の上に、前記圧縮機構(40)から吐出された前記ガス冷媒が流れる冷媒空間(S)が形成され、前記マフラ(50)は、内部に共鳴室(R)が形成される空洞部(51)と、前記共鳴室(R)に連通するとともに前記冷媒空間(S)に開口する第1開口(53)とを有し、前記第1開口(53)は、前記圧縮機構(40)の下面または外周面に形成される圧縮機である。
【0009】
第1の態様では、共鳴型のマフラ(50)の第1開口(53)が、油面に近い圧縮機構の下面または外周面に形成されるので、ケーシング(10)内の共鳴に起因する圧縮機(100)の騒音を低減できる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記マフラ(50)は、前記共鳴室(R)に連通する第1連通路(52)を更に有し、前記第1開口(53)は、前記第1連通路(52)の端部に形成される。
【0011】
第2の態様では、第1開口(53)が第1連通路(52)の端部に形成されるので、第1開口(53)の位置を第1連通路(52)によって調整できる。
【0012】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記圧縮機構(40)は、互いに重なるように配置される複数の部材を有し、前記複数の部材は、第1部材(E1)を含み、前記第1部材(E1)は、前記複数の部材が重なる方向の端面に形成される凹部(61,62)を有し、前記凹部(61,62)の内部空間が、前記空洞部(51)の一部を構成する。
【0013】
第3の態様では、空洞部(51)の一部が凹部(61,62)の内部空間によって構成されるので、簡単な加工で第1部材(E1)に空洞部(51)を形成できる。
【0014】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記圧縮機構(40)は、互いに重なるように配置される複数の部材を有し、前記複数の部材は、第2部材(E2)を含み、前記第2部材(E2)は、前記複数の部材が重なる方向に貫通する貫通孔(63)を有し、前記貫通孔(63)の内部空間が、前記空洞部(51)の一部を構成する。
【0015】
第4の態様では、空洞部(51)の一部が貫通孔(63)の内部空間によって構成されるので、簡単な加工で第2部材(E2)に空洞部(51)を形成できる。
【0016】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記圧縮機構(40)は、シリンダ(41)と、該シリンダ(41)の軸方向一端の開口面を覆う第1閉塞部材(45)と、該シリンダ(41)の軸方向他端の開口面を覆う第2閉塞部材(46)とを含み、前記空洞部(51)は、前記シリンダ(41)、前記第1閉塞部材(45)、および前記第2閉塞部材(46)の少なくとも1つに形成される。
【0017】
第5の態様では、空洞部(51)が、圧縮機構(40)を構成するシリンダ(41)、第1閉塞部材(45)、および第2閉塞部材(46)の少なくとも1つに形成されるので、新たな部材を追加することなく空洞部(51)を形成できる。
【0018】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記マフラ(50)は、前記空洞部(51)に連通するとともに前記油が出入りする第2開口(55)を更に有し、前記第2開口(55)は、前記第1開口(53)よりも下に形成される。
【0019】
第6の態様では、油が出入りする第2開口(55)が第1開口(53)よりも下に形成されるので、貯留部(16)の油面が上昇すると、第2開口(55)を介して空洞部(51)に油が流入する。空洞部(51)に油が流入すると、共鳴室(R)の底面が油面で構成されるとともに、共鳴室(R)の容積が減少し、マフラ(50)の共鳴周波数が高くなる。一方、貯留部(16)の油面が下降すると、空洞部(51)内の油が第2開口(55)を介して流出し、共鳴室(R)の容積が増大する。共鳴室(R)の容積の増加により、マフラ(50)の共鳴周波数が低くなる。このように、第2開口(55)を介して空洞部(51)に油が出入りすることにより、マフラ(50)の共鳴周波数が変化するので、1つのマフラ(50)で幅広い共鳴周波数の騒音を抑制できる。
【0020】
第7の態様は、第6の態様において、前記第1開口(53)は、出荷時における前記貯留部(16)の油面位置である初期充填位置(A1)より下に形成され、前記貯留部(16)の油面が低下したときに前記冷媒空間(S)と連通する。
【0021】
第7の態様では、第1開口(53)は、出荷時における油面位置である初期充填位置(A1)より下に形成されるので、油面が初期充填位置(A1)にあるとき、第1開口(53)を介してマフラ(50)の空洞部(51)には油が流入している。そして、圧縮機の運転に伴って貯留部(16)の油面位置が低下して、第1開口(53)が冷媒空間(S)に連通することにより、マフラ(50)の空洞部(51)と冷媒空間(S)とが連通し、マフラ(50)の消音機能が発揮される。これにより、貯留部(16)の油面低下に伴って発生する低い周波数の騒音を低減できる。
【0022】
第8の態様は、第6の態様において、前記マフラ(50)は、前記空洞部(51)に連通する第2連通路(54)を更に有し、前記第2開口(55)は、前記第2連通路(54)の端部に形成される。
【0023】
第8の態様では、第2開口(55)が第2連通路(54)の端部に形成されるので、第2開口(55)の位置を第2連通路(54)によって調整できる。これにより、油が流入出する高さを調整できるので、共鳴室(R)の容積を調整することができる。
【0024】
第9の態様は、第6の態様において、前記圧縮機構(40)は、互いに重なるように配置される複数の部材を有し、前記複数の部材は、最下部に配置される第3部材(E3)を含み、前記空洞部(51)は、前記第3部材(E3)に形成され、前記第2開口(55)は、前記第3部材(E3)の下面に形成される。
【0025】
第9の態様では、第2開口(55)が第3部材(E3)の下面に形成される。圧縮機構(40)に空洞部(51)を形成することで第2開口(55)が形成される。これにより、簡単に第2開口(55)が形成できる。
【0026】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記マフラ(50)は、第1マフラ(50a)と第2マフラ(50b)とを含み、前記第1マフラ(50a)の前記第1開口(53)は、前記第2マフラ(50b)の前記第1開口(53)よりも低い位置に形成され、前記第1マフラ(50a)の共鳴周波数は、前記第2マフラ(50b)の共鳴周波数よりも低い。
【0027】
圧縮機(100)では、貯留部(16)の油面の高さが低いときには、ケーシング(10)内で生じる共鳴周波数は低い。一方、貯留部(16)の油面の高さが高いときには、ケーシング(10)内で生じる共鳴周波数は高い。これに対し、第10の態様では、第1マフラ(50a)の第1開口(53)は第2マフラ(50b)の第1開口(53)よりも低い位置に形成されるとともに、第1マフラ(50a)の共鳴周波数は第2マフラ(50b)の共鳴周波数よりも低いので、貯留部(16)の油面の高さが低いときには、第1マフラ(50a)によってケーシング(10)内の騒音を低減できる。一方、貯留部(16)の油面の高さが高いときには、第2マフラ(50b)によってケーシング(10)内の騒音を低減できる。
【0028】
第11の態様は、第1~第10のいずれか1つの圧縮機(100)を備える冷凍装置である。
【0029】
第11の態様では、共鳴型のマフラ(50)を備える圧縮機(100)を冷凍装置(1)に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る圧縮機を備える冷凍装置の概略の配管系統図である。
【
図2】
図2は、圧縮機の概略の構成を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、マフラ周辺を拡大した断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の変形例2に係る
図3に相当する図である。
【
図6】
図6は、実施形態2の変形例1に係る
図3に相当する図である。
【
図8】
図8は、実施形態3の変形例2に係る
図3に相当する図である。
【
図9】
図9は、実施形態4に係る油面が低い場合の圧縮機構周辺を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0032】
《実施形態1》
実施形態1の圧縮機(100)について説明する。
【0033】
(1)冷凍装置の概要
本実施形態の圧縮機(100)は、冷凍装置(1)に設けられる。
図1に示すように、冷凍装置(1)は、冷媒が充填された冷媒回路(1a)を有する。冷媒回路(1a)は、圧縮機(100)、放熱器(3)、減圧機構(4)、および蒸発器(5)を有する。減圧機構(4)は、膨張弁である。冷媒回路(1a)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0034】
冷凍サイクルでは、圧縮機(100)によって圧縮された冷媒が、放熱器(3)において空気に放熱する。放熱した冷媒は、減圧機構(4)によって減圧され、蒸発器(5)において蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(100)に吸入される。
【0035】
冷凍装置(1)は、空気調和装置である。空気調和装置は、冷房専用機、暖房専用機、あるいは冷房と暖房とを切り換える空気調和装置であってもよい。この場合、空気調和装置は、冷媒の循環方向を切り換える切換機構(例えば四方切換弁)を有する。冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する。
【0036】
(2)圧縮機
図2に示すように、本実施形態の圧縮機(100)は、全密閉型の圧縮機である。圧縮機(100)は、1シリンダ型のロータリ圧縮機である。圧縮機(100)は、低圧のガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮する。圧縮機(100)は、圧縮した後の高圧のガス冷媒を吐出する。
【0037】
圧縮機(100)は、ケーシング(10)と、電動機(20)と、駆動軸(30)と、圧縮機構(40)とを備える。ケーシング(10)は、電動機(20)、駆動軸(30)、および圧縮機構(40)を収容する。
【0038】
(2-1)ケーシング
ケーシング(10)は、起立した状態の円筒状の密閉容器である。ケーシング(10)は、胴部(11)と、上部鏡板(12)と、下部鏡板(13)とを備える。胴部(11)は、円筒状に形成される。上部鏡板(12)は、胴部(11)の上端を閉塞する。下部鏡板(13)は、胴部(11)の下端を閉塞する。
【0039】
胴部(11)の下部には、吸入管(14)が取り付けられる。吸入管(14)は、ケーシング(10)の胴部(11)を貫通して、圧縮機構(40)に接続する。上部鏡板(12)には、吐出管(15)が取り付けられる。吐出管(15)は、ケーシング(10)の頂部を貫通してケーシング(10)内に開口する。
【0040】
ケーシング(10)の底部には、圧縮機構(40)等の各摺動部を潤滑するための油を貯留する貯留部(16)が形成されている。
【0041】
ケーシング(10)の内部には、圧縮機構(40)から吐出されたガス冷媒が流れる冷媒空間(S)が形成される。冷媒空間(S)は、ケーシング(10)内における貯留部(16)の上に形成される。言い換えると、冷媒空間(S)に面する底面は、貯留部(16)の油面で構成される。
【0042】
(2-2)電動機
電動機(20)は、ケーシング(10)内の上部に配置される。電動機(20)は、固定子(21)と回転子(22)と有する。固定子(21)は、ケーシングの胴部(11)に固定される。回転子(22)には、駆動軸(30)が挿し通される。
【0043】
(2-3)駆動軸
駆動軸(30)は、ケーシング(10)の胴部(11)の上部からケーシング(10)の底部に亘ってケーシング(10)の軸方向(上下方向)に延びる。駆動軸(30)は、電動機(20)によって回転駆動される。駆動軸(30)は、主軸部(31)と、副軸部(32)と、偏心部(33)とを有する。駆動軸(30)では、主軸部(31)と、偏心部(33)と、副軸部(32)とが、上から下へ向かって順に配置される。駆動軸(30)において、主軸部(31)と、偏心部(33)と、副軸部(32)とは、互いに一体に形成される。
【0044】
主軸部(31)と副軸部(32)は、それぞれが円柱状に形成される。主軸部(31)と副軸部(32)は、互いに同軸に配置される。主軸部(31)の上部には、電動機(20)の回転子(22)が取り付けられる。主軸部(31)の下部は、後述するフロントヘッド(45)に挿し通される。副軸部(32)は、後述するリアヘッド(46)に挿し通される。駆動軸(30)は、主軸部(31)がフロントヘッド(45)に回転可能に支持され、副軸部(32)がリアヘッド(46)に回転可能に支持される。
【0045】
偏心部(33)は、円柱状に形成される。偏心部(33)は、主軸部(31)および副軸部(32)よりも大径に形成される。偏心部(33)の中心軸は、主軸部(31)と副軸部(32)の回転中心軸と平行である。偏心部(33)の中心軸は、主軸部(31)および副軸部(32)に対して偏心している。偏心部(33)は、ピストン(44)に挿し通される。偏心部(33)は、ピストン(44)を支持する。
【0046】
副軸部(32)の下端には、遠心ポンプ(34)が設けられている。遠心ポンプ(34)は、貯留部(16)に浸漬されている。駆動軸(30)には、給油通路(図示省略)が形成される。駆動軸(30)が回転すると、貯留部(16)の油が給油通路を通って、駆動軸(30)の軸受や圧縮機構(40)の摺動部へ供給される。
【0047】
(2-4)圧縮機構
圧縮機構(40)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式圧縮機構である。圧縮機構(40)は、駆動軸(30)を介して電動機(20)によって駆動される。圧縮機構(40)は、ケーシング(10)内において、電動機(20)と貯留部(16)との間に配置される。言い換えると、圧縮機構(40)は、電動機(20)の下方に配置される。
【0048】
圧縮機構(40)は、フロントヘッド(45)と、リアヘッド(46)と、シリンダ(41)と、ピストン(44)とを1つずつ有する。圧縮機構(40)は、上から下に向かって順に、フロントヘッド(45)と、シリンダ(41)と、リアヘッド(46)とが互いに重なり合った状態で配置される。言い換えると、圧縮機構(40)では、複数の部材が互いに重なるように配置される。フロントヘッド(45)、シリンダ(41)、およびリアヘッド(46)は、図外の複数本のボルトによって互いに締結される。圧縮機構(40)は、シリンダ(41)がマウンティングプレート(図示省略)を介して胴部(11)の内周面に固定されることで、ケーシング(10)に固定される。
【0049】
(2-4-1)シリンダ、ピストン
シリンダ(41)は、肉厚円板状に形成される。シリンダ(41)は、ケーシング(10)の胴部(11)と同心に配置される。シリンダ(41)の中央部には、シリンダボア(42)が形成される。シリンダボア(42)には、ピストン(44)が配置される。ピストン(44)は、肉厚円筒状に形成される。ピストン(44)には、駆動軸(30)の偏心部(33)が挿し通される。
【0050】
圧縮機構(40)では、シリンダボア(42)の壁面とピストン(44)の外周面との間に圧縮室(C)が形成される。圧縮機構(40)には、圧縮室(C)を高圧室と低圧室とに仕切るブレードが設けられる。
【0051】
シリンダ(41)には、吸入ポート(43)が形成される。吸入ポート(43)は、シリンダボア(42)の壁面からシリンダの径方向外側へ向かって延びる。吸入ポート(43)は、断面が円形状の孔である。吸入ポート(43)は、圧縮室(C)における低圧室に連通する。吸入ポート(43)は、シリンダ(41)の外側面に開口する。吸入ポート(43)には、吸入管(14)が挿入される。
【0052】
(2-4-2)フロントヘッド、リアヘッド
フロントヘッド(45)は、シリンダ(41)の上端(軸方向一端)の開口面を覆う部材である。フロントヘッド(45)は、第1鏡板部(45a)と第1ボス部(45b)とを有する。第1鏡板部(45a)は、円板状に形成される。第1鏡板部(45a)は、電動機(20)と軸方向に対向して配置される。第1ボス部(45b)は、円筒状に形成される。第1ボス部(45b)は、第1鏡板部(45a)から駆動軸(30)の外周面に沿って上方(電動機(20)側)に延びる。フロントヘッド(45)の中央部には、円形状の孔が形成されている。このフロントヘッド(45)の孔には、滑り軸受を介して、駆動軸(30)の主軸部(31)が配置される。
【0053】
リアヘッド(46)は、シリンダ(41)の下端(軸方向他端)の開口面を覆う部材である。リアヘッド(46)は、第2鏡板部(46a)と第2ボス部(46b)とを有する。第2鏡板部(46a)は、円板状に形成される。第2鏡板部(46a)は、第1鏡板部(45a)と軸方向に対向して配置される。第2ボス部(46b)は、円筒状に形成される。第2ボス部(46b)は、第2鏡板部(46a)から駆動軸(30)の外周面に沿って下方に延びる。リアヘッド(46)の中央部には、円形状の孔が形成されている。このリアヘッド(46)の孔には、滑り軸受を介して、駆動軸(30)の副軸部(32)が配置される。
【0054】
本実施形態では、フロントヘッド(45)が本開示の第1閉塞部材に対応し、リアヘッド(46)が本開示の第2閉塞部材に対応する。
【0055】
フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)には、図外の吐出通路が形成される。吐出通路は、シリンダ(41)の圧縮室(C)で圧縮された冷媒を圧縮機構(40)の上方空間へ吐出するための通路である。吐出通路は、圧縮室(C)における高圧室と連通する。フロントヘッド(45)の上部には、カバー部材(47)が設けられている。カバー部材(47)は、第1鏡板部(45a)の上面と、第1ボス部(45b)の下部の外周面を覆うように設けられる。カバー部材(47)の内部には、吐出通路を介して吐出された冷媒の脈動を低減するためのマフラ空間が形成されている。
【0056】
(3)マフラ
図2および
図3に示すように、圧縮機構(40)には、共鳴型のマフラ(50)が形成される。共鳴型のマフラ(50)は、ケーシング(10)内で生じる共鳴による騒音を低減させるために設けられる。本実施形態の共鳴型のマフラ(50)は、ヘルムホルツ型のマフラ(50)である。本実施形態のマフラ(50)は、空洞部(51)と、第1連通路(52)と、第1開口(53)とを有する。
【0057】
空洞部(51)は、縦長の円柱状に形成される空間である。空洞部(51)は、圧縮機構(40)を構成する複数の部材が重なる方向(上下方向)に延びる。空洞部(51)は、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)、シリンダ(41)、およびリアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)に亘って形成される。
【0058】
具体的には、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)の下端面には、上方に窪む第1凹部(61)が形成されている。リアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)の上端面には、下方に窪む第2凹部(62)が形成されている。シリンダ(41)には、上下方向(軸方向)に貫通する貫通孔(63)が形成されている。フロントヘッド(45)の第1凹部(61)、シリンダ(41)の貫通孔(63)、およびリアヘッド(46)の第2凹部(62)は、同径に形成されるとともに、同軸に配置されている。
【0059】
フロントヘッド(45)の第1凹部(61)、シリンダ(41)の貫通孔(63)、およびリアヘッド(46)の第2凹部(62)の各内部空間によって、空洞部(51)が構成されている。言い換えると、フロントヘッド(45)の第1凹部(61)、シリンダ(41)の貫通孔(63)、およびリアヘッド(46)の第2凹部(62)の各内部空間は、空洞部(51)の一部を構成する。本実施形態では、フロントヘッド(45)およびリアヘッド(46)が本開示の第1部材(E1)に対応し、シリンダ(41)が本開示の第2部材(E2)に対応する。
【0060】
空洞部(51)には、共鳴室(R)が形成される。本実施形態では、空洞部(51)の全体が共鳴室(R)を構成する。
【0061】
第1連通路(52)は、共鳴室(R)に連通する。本実施形態では、第1連通路(52)は、空洞部(51)に連通する。第1連通路(52)の断面は、円形状に形成される。第1連通路(52)の断面積は、空洞部(51)の断面積よりも小さい。第1連通路(52)は、空洞部(51)から圧縮機構(40)の外周面に向かって径方向外方に延びている。具体的には、第1連通路(52)は、リアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)における第2凹部(62)の内周面から第2鏡板部(46a)の外周面に向かって径方向外方に延びる溝で構成される。この溝は、第2鏡板部(46a)の上端面に形成される。第1連通路(52)は、第2鏡板部(46a)の上端面に形成された溝と、シリンダ(41)の下端面とによって形成される。第1連通路(52)は、空洞部(51)の下側の位置に連通している。
【0062】
第1開口(53)は、第1連通路(52)における空洞部(51)と反対側の端部に形成される。第1開口(53)は、リアヘッド(46)の外周面に形成されている。言い換えると、第1開口(53)は、圧縮機構(40)の外周面に形成される。第1開口(53)は、ケーシング(10)内に開口する。具体的には、第1開口(53)は、冷媒空間(S)に開口する。第1開口(53)は、ケーシング(10)内におけるシリンダ(41)よりも下に開口する。第1開口(53)は、径方向外方を向いている。
【0063】
第1連通路(52)は、空洞部(51)と冷媒空間(S)とを連通させる。言い換えると、第1連通路(52)は、空洞部(51)とケーシング(10)の圧縮機構(40)よりも下の空間と8を連通させている。なお、空洞部(51)は、圧縮機構(40)に形成された吐出通路とは連通していない。
【0064】
本実施形態のマフラ(50)は、その共鳴周波数(固有振動数)が貯留部(16)の油面付近で生じる共鳴の周波数と同等となるように、共鳴室(R)の容積、第1連通路(52)の通路断面積(駆動軸(30)に平行な断面の面積)、および第1連通路(52)の長さ(駆動軸(30)に垂直な方向の長さ)が設定される。
【0065】
(4)圧縮機の運転動作
次に、圧縮機(100)の運転動作について説明する。
【0066】
電動機(20)に電力が供給されると、固定子(21)の内部に形成される回転磁界によって回転子(22)が回転する。回転子(22)が回転すると、駆動軸(30)が回転する。駆動軸(30)が回転すると、該駆動軸(30)に連結された圧縮機構(40)のピストン(44)が圧縮室(C)内で揺動する。これにより、圧縮室(C)の低圧室と高圧室との容積が周期的に変化し、圧縮室(C)において冷媒の吸入動作、圧縮動作、および吐出動作が連続的に行われる。
【0067】
吸入管(14)から圧縮室(C)の低圧室へ吸入された冷媒は、圧縮室(C)の高圧室で圧縮された後、吐出通路からカバー部材(47)内のマフラ空間に吐出される。マフラ空間に吐出された冷媒は、カバー部材(47)に形成された貫通孔からケーシング(10)内の圧縮機構(40)と電動機(20)との間の空間に吐出される。カバー部材(47)から吐出された冷媒は、電動機(20)の固定子(21)と回転子(22)との間の空間(いわゆるエアギャップ)を通過して、電動機(20)の上部空間に達し、吐出管(15)を経由してケーシング(10)の外部へ吐出される。
【0068】
ここで、本実施形態のような全密閉型の圧縮機(100)では、ケーシング(10)内の軸方向両端部付近で圧力の変動が大きく、共鳴による騒音が生じやすい。ケーシング(10)の底部に形成された貯留部(16)の油面は、圧縮機構(40)の摺動部等を潤滑するために、通常、圧縮機構(40)の一部または全部が浸かる高さに位置している。したがって、ケーシング(10)内における油面に近い場所である圧縮機構(40)の周辺で共鳴による騒音が生じやすい。これに対し、本実施形態では、圧縮機構(40)に形成されるヘルムホルツ型のマフラ(50)の第1開口(53)が、圧縮機構(40)の外周面に形成されている。これにより、油面付近で生じる共鳴による騒音を効率よく低減できる。
【0069】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態のマフラ(50)の第1開口(53)は、圧縮機構(40)の外周面に形成される。これにより、ケーシング(10)内における油面に近い場所で生じる共鳴に起因する振動を低減できる。その結果、この振動による騒音を低減できる。
【0070】
(5-2)
本実施形態のフロントヘッド(45)は第1凹部(61)を有し、リアヘッド(46)は第2凹部(62)を有する。第1凹部(61)および第2凹部(62)の内部空間が、空洞部(51)の一部を構成する。空洞部(51)の一部が第1凹部(61)および第2凹部(62)の内部空間によって構成されるので、簡単な加工によってフロントヘッド(45)およびリアヘッド(46)に空洞部(51)を形成できる。
【0071】
(5-3)
本実施形態のシリンダ(41)は、上下方向に貫通する貫通孔(63)を有する。この貫通孔(63)の内部空間が空洞部(51)の一部を構成する。空洞部(51)の一部が貫通孔(63)によって構成されるので、簡単な加工によってシリンダに空洞部(51)を形成できる。
【0072】
(5-4)
本実施形態の空洞部(51)は、シリンダ(41)、フロントヘッド(45)、およびリアヘッド(46)に亘って形成される。これにより、圧縮機構(40)に新たな部材を追加することなく、空洞部(51)を形成できる。
【0073】
(6)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0074】
(6-1)変形例1
本実施形態の圧縮機(100)では、マフラ(50)の第1連通路(52)を構成する溝は、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)の下端面、シリンダ(41)の上端面、またはリアヘッド(46)の下端面に形成されてもよい。
【0075】
(6-2)変形例2
本実施形態の圧縮機(100)では、マフラ(50)の第1連通路(52)は、空洞部(51)の下端部に連通してもよい。具体的には、例えば
図4に示すように、空洞部(51)がフロントヘッド(45)の第1凹部(61)およびシリンダ(41)の貫通孔(63)の内部空間で形成される場合、第1連通路(52)は、シリンダ(41)の下端面に形成される溝で構成されてもよい。
【0076】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の圧縮機(100)は、実施形態1の圧縮機(100)において、第1連通路(52)および第1開口(53)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の第1連通路(52)および第1開口(53)について、実施形態1の第1連通路(52)および第1開口(53)と異なる点を説明する。
【0077】
(1)第1連通路および第1開口
図5に示すように、本実施形態の第1連通路(52)は、空洞部(51)から圧縮機構(40)の下面に向かって下方に延びる。具体的には、第1連通路(52)は、リアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)における第2凹部(62)の底面から第2鏡板部(46a)の下端面に向かって下方に延びる孔で構成される。この孔は、第2鏡板部(46a)の下端面に開口する。第1連通路(52)は、空洞部(51)の下面に連通している。
【0078】
第1開口(53)は、第1連通路(52)における空洞部(51)と反対側の端部に形成される。第1開口(53)は、リアヘッド(46)の下面に形成されている。言い換えると、第1開口(53)は、圧縮機構(40)の下面に形成される。第1開口(53)は、貯留部(16)の油面と対向する。
【0079】
(2)特徴
本実施形態のマフラ(50)の第1開口(53)は、圧縮機構(40)の下面に形成される。これにより、ケーシング(10)内における油面に近い場所で生じる共鳴に起因する振動を低減できる。その結果、この振動による騒音を低減できる。
【0080】
(3)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0081】
(3-1)変形例1
図6に示すように、本実施形態の圧縮機(100)では、共鳴型のマフラ(50)は、サイドブランチ型のマフラでもよい。具体的には、本実施形態のマフラ(50)は、空洞部(51)および第1開口(53)で構成されてもよい。言い換えると、本変形例のマフラ(50)は、上記実施形態に対して、第1連通路(52)を有さない。第1開口(53)は、圧縮機構(40)の下面に開口する。第1開口(53)は、下を向いている。第1開口(53)は、貯留部(16)の油面と対向する。
【0082】
なお、本変形例のように圧縮機構(40)を構成する部材のうち、最下部の部材以外の部材に、下を向く第1開口(53)が形成される場合には、第1開口(53)は、該第1開口(53)が形成される部材と、該第1開口(53)が形成される部材よりも下に配置される部材とが重ならない部分に形成される。
【0083】
(3-2)変形例2
本実施形態の圧縮機(100)では、マフラ(50)の第1連通路(52)を構成する孔は、圧縮機構(40)を構成する複数の部材に亘って形成されてもよい。例えば、空洞部(51)がフロントヘッド(45)およびシリンダ(41)に亘って形成されている場合、第1連通路(52)はシリンダ(41)およびリアヘッド(46)に亘って形成されてもよい。このとき、第1開口(53)は、リアヘッド(46)の下端面に形成される。
【0084】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の圧縮機(100)は、実施形態1の圧縮機(100)において、マフラ(50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態のマフラ(50)について、実施形態1のマフラ(50)と異なる点を説明する。
【0085】
(1)マフラ
図7に示すように、本実施形態のマフラ(50)は、空洞部(51)と、第1連通路(52)と、第1開口(53)と、第2連通路(54)と、第2開口(55)とを有する。言い換えると、本実施形態のマフラ(50)は、実施形態1のマフラ(50)と異なり、第2連通路(54)および第2開口(55)を更に有する。なお、本実施形態の空洞部(51)は、実施形態1と同様に、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)、シリンダ(41)、およびリアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)に亘って形成される。具体的には、フロントヘッド(45)の第1凹部(61)、シリンダ(41)の貫通孔(63)、およびリアヘッド(46)の第2凹部(62)の各内部空間によって、空洞部(51)が構成されている。
【0086】
第1連通路(52)は、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)における第1凹部(61)の内周面から第1鏡板部(45a)の外周面に向かって径方向外方に延びる溝で構成される。この溝は、第1鏡板部(45a)の下端面に形成される。第1連通路(52)は、第1鏡板部(45a)の下端面に形成された溝と、シリンダ(41)の上端面とによって形成される。第1連通路(52)は、空洞部(51)の上側に連通している。
【0087】
第1開口(53)は、フロントヘッド(45)の外周面に形成される。言い換えると、第1開口(53)は、圧縮機構(40)の外周面に形成される。第1開口(53)は、ケーシング(10)内に開口する。具体的には、第1開口(53)は、冷媒空間(S)に開口する。第1開口(53)は、ケーシング(10)内におけるシリンダ(41)よりも上に開口する。第1開口(53)は、径方向外方を向いている。
【0088】
第1連通路(52)は、空洞部(51)と冷媒空間(S)とを連通させる。言い換えると、第1連通路(52)は、空洞部(51)とケーシング(10)における圧縮機構(40)と電動機(20)との間の空間とを連通させている。
【0089】
第2連通路(54)は、空洞部(51)に連通する。第2連通路(54)は、貯留部(16)の油が出入りする通路である。第2連通路(54)の断面は円形状に形成される。第2連通路(54)の断面積は、空洞部(51)の断面積よりも小さい。第2連通路(54)は、空洞部(51)から圧縮機構(40)の外周面に向かって径方向外方に延びる。具体的には、第2連通路(54)は、リアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)における第2凹部(62)の内周面から第2鏡板部(46a)の外周面に向かって径方向外方に延びる溝で形成される。この溝は、第2鏡板部(46a)の上端面に形成される、第2連通路(54)は、第2鏡板部(46a)の上端面に形成された溝と、シリンダ(41)の下端面とによって形成される。第2連通路(54)は、空洞部(51)の下側に連通している。
【0090】
第2開口(55)は、第2連通路(54)における空洞部(51)と反対側の端部に形成される。第2開口(55)は、リアヘッド(46)の外周面に形成されている。言い換えると、第2開口(55)は、圧縮機構(40)の外周面に形成される。第2開口(55)は、径方向外方を向いている。
【0091】
第2連通路(54)は、空洞部(51)とケーシング(10)の圧縮機構(40)よりも下の空間とを連通させている。第2開口(55)は、第1開口(53)よりも下に形成される。
【0092】
ここで、ケーシング(10)の貯留部(16)に貯留された油は、圧縮機(100)の運転状況によって、その油面の高さが変化する。
図7に示すように、貯留部(16)の油面Aが第2開口(55)よりも上に位置する場合、第2開口(55)から貯留部(16)の油が空洞部(51)に流入する。空洞部(51)に流入した油は、貯留部(16)の油と同じ高さまで流入する。このとき、空洞部(51)内に形成された共鳴室(R)の底面が油面で構成される。このように本実施形態のヘルムホルツ型のマフラ(50)は、第1連通路(52)と、底面が油面で構成された共鳴室(R)とによって消音機能を発揮する。
【0093】
貯留部(16)の油面Aが上昇すると、第2開口(55)を介して更に空洞部(51)に油が流入し、マフラ(50)の共鳴室(R)の容積が減少する。共鳴室(R)の容積が減少すると、マフラ(50)の共鳴周波数が高くなる。一方、貯留部(16)の油面が下降すると、第2開口(55)を介して空洞部(51)から油が流出し、共鳴室(R)の容積が増加する。共鳴室(R)の容積が増加すると、マフラ(50)の共鳴周波数が低くなる。このように、マフラ(50)が第2開口(55)を有することにより、貯留部(16)の油面の変動に応じて、マフラ(50)の共鳴周波数が変化する。なお、貯留部(16)の油面の高さが、第2開口(55)よりも低い位置にある場合には、マフラ(50)は、その消音機能を発揮しない。
【0094】
ところで、全密閉型の圧縮機(100)では、貯留部(16)の油面の高さの変化に伴って、ケーシング(10)内で発生する共鳴周波数が変化する。具体的には、例えば油面が圧縮機構(40)よりも下に位置するような油面の高さが低い場合には、ケーシング(10)内では、低い周波数(830Hz程度)の共鳴が生じる。一方、例えば油面が圧縮機構(40)のシリンダ(41)の略中央部に位置するような油面の高さが高い場合には、ケーシング(10)内では、高い周波数(1.3kHz~1.4kHz程度)の共鳴が生じる。
【0095】
本実施形態では、全密閉型の圧縮機(100)の圧縮機構(40)が第2開口(55)を有するマフラ(50)を備える。これにより、貯留部(16)の油面の高さが低い場合には、ケーシング(10)内で発生する低い周波数の共鳴を、油面の変動によって容積が大きくなった共鳴室(R)を有するマフラ(50)によって抑制できる。一方、貯留部(16)の油面の高さが高い場合に、ケーシング(10)内で発生する高い周波数の共鳴を、油面の変動によって容積が小さくなった共鳴室(R)を有するマフラ(50)によって抑制できる。
【0096】
ここで、上述のように、ケーシング(10)の貯留部(16)に貯留された油は、圧縮機(100)の運転状況によって、その油面の高さが変化する。本実施形態の第1開口(53)は、
図7に示す圧縮機(100)の出荷時における貯留部(16)の油面位置である初期充填位置(A1)よりも下に形成される。ここでいう初期充填位置(A1)は、圧縮機(100)の出荷時にケーシング(10)内に最初に充填される油量での油面位置である。貯留部(16)の油面が初期充填位置(A1)にあるとき、第1開口(53)からも空洞部(51)に油が流入し、空洞部(51)は油で満たされる。このとき、マフラ(50)はその消音機能を発揮しない。
【0097】
圧縮機(100)の運転に伴い貯留部(16)の油面位置が低下して、第1開口(53)よりも下に位置すると、第1開口(53)は冷媒空間(S)と連通する。第1開口(53)が冷媒空間(S)と連通することにより、マフラ(50)の空洞部(51)と冷媒空間(S)が連通し、マフラ(50)の消音機能が発揮される。これにより、貯留部(16)の油面低下に伴って発生する低い周波数の騒音を低減できる。
【0098】
(2)特徴
(2-1)
本実施形態のマフラ(50)は、空洞部(51)と連通するとともに油が出入りする第2開口(55)を有する。第2開口(55)は、第1開口(53)よりも下に形成される。
【0099】
貯留部(16)の油面が上昇して、第2開口(55)から空洞部(51)に油が流入すると、共鳴室(R)の底面が油面で構成される。第2開口(55)が第1開口(53)よりも下に形成されるので、第1連通路(52)と共鳴室(R)とによって、ヘルムホルツ型のマフラ(50)による消音機能が発揮される。
【0100】
貯留部(16)の油面が上昇すると、第2開口(55)を介して空洞部(51)に油が流入し、共鳴室(R)の容積が減少する。共鳴室(R)の容積が減少すると、マフラ(50)の共鳴周波数が高くなる。一方、貯留部(16)の油面が下降すると、第2開口(55)を介して空洞部(51)の油が流出し、共鳴室(R)の容積が増加する。共鳴室(R)の容積が増加すると、マフラ(50)の共鳴周波数が低くなる。このように、マフラ(50)が第2開口(55)を有することにより、第2開口(55)介して油が出入りし、マフラ(50)の共鳴周波数が変化する。これにより、1つのマフラ(50)で幅広い共鳴周波数の騒音をできる。
【0101】
(2-2)
本実施形態の第1開口(53)は、出荷時における貯留部(16)の油面位置である初期充填位置(A1)より下に形成され、貯留部(16)の油面が低下したときに冷媒空間(S)と連通する。
【0102】
第1開口(53)は、出荷時における油面位置である初期充填位置(A1)より下に形成されるので、油面が初期充填位置(A1)にあるとき、第1開口(53)を介してマフラ(50)の空洞部(51)には油が流入している。そして、圧縮機の運転に伴って貯留部(16)の油面位置が低下して、第1開口(53)が冷媒空間(S)に連通することにより、マフラ(50)の空洞部(51)と冷媒空間(S)とが連通し、マフラ(50)の消音機能が発揮される。これにより、貯留部(16)の油面低下に伴って発生する低い周波数の騒音を低減できる。
【0103】
(2-3)
本実施形態のマフラ(50)は、空洞部(51)と連通する第2連通路(54)を有する。第2開口(55)は、第2連通路(54)の端部に形成される。
【0104】
第2開口(55)が第2連通路(54)の端部に形成されるので、第2開口の位置を第2連通路(54)の位置によって調整できる。これにより、油が流入出する高さを調整できるので、共鳴室(R)の容積を調整することができる。
【0105】
(3)変形例
(3-1)変形例1
本実施形態の圧縮機(100)では、第2開口(55)が第1開口(53)よりも下に形成されていればよい。したがって、第1連通路(52)および第2連通路(54)を構成する溝は、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)の下端面、シリンダ(41)の上端面、リアヘッド(46)の下端面、およびリアヘッド(46)の第2鏡板部(46a)の上端面のいずれに形成されてもよい。
【0106】
(3-2)変形例2
図8に示すように、本実施形態の圧縮機(100)では、第2開口(55)がリアヘッド(46)の下端面に形成されてもよい。言い換えると、本変形例では、マフラ(50)は第2連通路(54)を有していない。
【0107】
ここで、空洞部(51)は、フロントヘッド(45)、シリンダ(41)、およびリアヘッド(46)に亘って形成される。リアヘッド(46)は、圧縮機構(40)を構成する複数の部材のうち最下部に配置される。本実施形態では、リアヘッド(46)が本開示の第3部材に対応する。
【0108】
本変形例のリアヘッド(46)には、上下方向(軸方向)に貫通する貫通孔(63)が形成されている。フロントヘッド(45)の第1凹部(61)、シリンダ(41)の貫通孔(63)、およびリアヘッド(46)の貫通孔(63)の各内部空間によって、空洞部(51)が構成されている。
【0109】
第2開口(55)は、リアヘッド(46)の下端面に形成される。言い換えると、第2開口(55)は、圧縮機構(40)の下面に形成される。第2開口(55)は、貯留部(16)に向かって開口する。第2開口(55)は、下を向いている。第2開口(55)は、第1開口(53)よりも下に形成される。
【0110】
図8に示すように、貯留部(16)の油面Aが第2開口(55)よりも上に位置する場合、第2開口(55)から貯留部(16)の油が空洞部(51)に流入する。空洞部(51)に流入した油は、貯留部(16)の油と同じ高さまで流入する。このとき、空洞部(51)内に形成された共鳴室(R)の底面が油面で構成される。このように本変形例のヘルムホルツ型のマフラ(50)も、第1連通路(52)と、底面が油面で構成された共鳴室(R)とによって消音機能を発揮する。
【0111】
第2開口(55)が圧縮機構(40)を構成する複数の部材のうち最下部に配置されるリアヘッド(46)の下端面に形成されるので、圧縮機構(40)に空洞部(51)を形成することで第2開口(55)もともに形成される。これにより、簡単に第2開口(55)を形成できる。
【0112】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の圧縮機(100)は、実施形態1の圧縮機(100)において、マフラ(50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態のマフラ(50)について、実施形態1のマフラ(50)と異なる点を説明する。
【0113】
本実施形態のマフラ(50)は、複数のマフラ(50)を含む。言い換えると、本実施形態の圧縮機構(40)は、複数のマフラ(50)を有する。複数のマフラ(50)は、駆動軸(30)の周りを囲むように周方向に所定の間隔を空けて配置される。本実施形態では、圧縮機構(40)は、2つのマフラ(50)を有する。第1マフラ(50a)と第2マフラ(50b)は、略180°ずれて配置される。なお、ここで示すマフラ(50)の数は単なる一例である。
【0114】
図9および
図10に示すように、第1マフラ(50a)および第2マフラ(50b)は、それぞれ、空洞部(51)と、第1連通路(52)と、第1開口(53)とを有する。第1マフラ(50a)の空洞部(51)、第1連通路(52)および第1開口(53)の構成は、実施形態1のマフラ(50)と同じである。
【0115】
第2マフラ(50b)の空洞部(51)は、フロントヘッド(45)に形成された第1凹部(61)、およびシリンダ(41)に形成された第2凹部(62)のそれぞれの内部空間によって構成される。本実施形態では、フロントヘッド(45)およびシリンダ(41)が、本開示の第1部材に対応する。フロントヘッド(45)の第1凹部(61)とシリンダ(41)の第2凹部(62)とは同径に形成されるとともに同軸に配置される。第2マフラ(50b)の第1連通路(52)は、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)の下端面に形成された溝と、シリンダ(41)の上端面とによって形成される。第2マフラ(50b)の第1開口(53)は、フロントヘッド(45)の外周面に形成される。
【0116】
第1マフラ(50a)の第1開口(53)は、第2マフラ(50b)の第1開口(53)よりも低い位置に形成される。第1マフラ(50a)の空洞部(51)の容積は、第2マフラ(50b)の空洞部(51)の容積よりも大きい。言い換えると、第1マフラ(50a)の共鳴室(R)の容積は、第2マフラ(50b)の共鳴室(R)の容積よりも大きい。従って、第1マフラ(50a)の共鳴周波数は、第2マフラ(50b)の共鳴周波数よりも低くなっている。
【0117】
図9に示すように、貯留部(16)の油面Aが第1マフラ(50a)の第1開口(53)よりも低い位置にある場合(貯留部(16)の油面Aの高さが低い場合)、ケーシング(10)内では、低い周波数の共鳴が発生する。これに対し、第1マフラ(50a)の共鳴周波数は低いので、ケーシング(10)内で発生した低い周波数の共鳴を消音できる。これにより、貯留部(16)の油面の高さが低い場合には、第1マフラ(50a)によってケーシング(10)内の共鳴に起因する騒音を低減できる。
【0118】
一方、
図10に示すように、貯留部(16)の油面Aが第1マフラ(50a)の第1開口(53)よりも高く、かつ第2マフラ(50b)の第1開口(53)よりも低い場合(貯留部(16)の油面Aの高さが高い場合)、ケーシング(10)内では、高い周波数の共鳴が発生する。このとき、第1マフラ(50a)は、第1開口(53)から空洞部(51)に油が流入するため、消音機能を発揮しない。一方、第2マフラ(50b)の第1開口(53)は油面Aよりも上に位置するため、空洞部(51)に油が流入せず、消音機能を発揮する。具体的には、第2マフラ(50b)の共鳴周波数は高いので、ケーシング(10)内で発生した高い周波数の共鳴を消音できる。これにより、貯留部(16)の油面の高さが高い場合には、第2マフラ(50b)によってケーシング(10)内の共鳴に起因する騒音を低減できる。
【0119】
このように、圧縮機構(40)に複数のマフラ(50)を設けることで、貯留部(16)の油面の高さの変化に伴うケーシング(10)内の共鳴周波数の変化に対応したマフラ(50)を形成できる。これにより、油面の高さの変化に伴ってケーシング(10)内で発生する幅広い周波数の騒音を低減できる。なお、第1マフラ(50a)および第2マフラ(50b)は、上記実施形態1~3のいずれの構造で構成されてもよい。
【0120】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0121】
上記各実施形態の圧縮機(100)において、マフラ(50)の空洞部(51)は、圧縮機構(40)を構成する複数の部材に亘って形成されたが、1つの部材のみに形成されてもよい。
【0122】
上記各実施形態の圧縮機(100)において、マフラ(50)の空洞部(51)が圧縮機構(40)を構成する複数の部材に亘って形成される場合、圧縮機構(40)を構成する複数の部材のうち、いずれの部材に亘って形成されてもよい。例えば、空洞部(51)は、シリンダ(41)とリアヘッド(46)とに亘って形成されてもよい。
【0123】
上記各実施形態の圧縮機(100)において、マフラ(50)の空洞部(51)は、圧縮機構(40)を構成するいずれかの部材に形成される凹部(61,62)の内部空間のみで構成されてもよい。具体的には、例えば、
図9に示す第2マフラ(50b)の空洞部(51)のように、フロントヘッド(45)の第1鏡板部(45a)の下端面に上方に窪んで形成された第1凹部(61)と、シリンダ(41)の上端面に下方に窪んで形成された第2凹部(62)とによって空洞部(51)が構成されてもよい。
【0124】
上記各実施形態の圧縮機(100)において、マフラ(50)の空洞部(51)は、圧縮機構(40)を構成するいずれかの部材に形成される貫通孔(63)の内部空間のみで構成されてもよい。具体的には、例えば、
図11に示すように、フロントヘッド(45)を上下方向に貫通する貫通孔(63)によって、空洞部(51)が構成されてもよい。なお、
図11のようにフロントヘッドに空洞部(51)を構成する貫通孔(63)が形成される場合には、貫通孔(63)の上側開口はカバー部材(47)によって閉塞される。
【0125】
上記各実施形態の圧縮機(100)において、圧縮機構(40)は、マフラ(50)の空洞部(51)を構成する空洞形成部材を更に備えてもよい。言い換えると、空洞部(51)は、フロントヘッド(45)、シリンダ(41)、およびリアヘッド(46)以外の部材に形成されてもよい。空洞形成部材は、例えば、板状の部材であり、フロントヘッド(45)の側面の一部を覆うように配置される。空洞形成部材の内部には、空洞部(51)が形成される。空洞形成部材の側面には貫通孔が形成され、この貫通孔が第1開口(53)を構成する。
【0126】
上記各実施形態のマフラ(50)は、1シリンダ型のロータリ圧縮機に適用されたが、2シリンダ型のロータリ圧縮機に適用されてもよい。
【0127】
上記各実施形態のマフラ(50)は、ロータリ圧縮機以外の圧縮機に適用されてもよい。
【0128】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、及びその他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0129】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上説明したように、本開示は、圧縮機、および冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0131】
1 冷凍装置
10 ケーシング
16 貯留部
20 電動機
40 圧縮機構
41 シリンダ
45 フロントヘッド(第1閉塞部材)
46 リアヘッド(第2閉塞部材)
50 マフラ
50a 第1マフラ
50b 第2マフラ
51 空洞部
52 第1連通路
53 第1開口
54 第2連通路
55 第2開口
61,62 凹部
63 貫通孔
100 圧縮機
E1 第1部材
E2 第2部材
E3 第3部材
R 共鳴室
S 冷媒空間
A1 初期充填位置