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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】熱交換器及び室内機
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20231213BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F28F1/32 Y
F25B39/02 J
F28F1/32 U
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022058679
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023149884
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】奥野 文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健
(72)【発明者】
【氏名】豊山 起洋剛
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-115679(JP,U)
【文献】特開昭51-143948(JP,A)
【文献】国際公開第2012/102053(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F28D 1/053
F25B 39/00-39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィン(31a)と前記フィンを貫通し且つ熱媒体を流すための第1伝熱管(211)及び前記第1伝熱管の鉛直方向下方に隣り合う第2伝熱管(212)とを備える熱交換器(30)であって、
前記フィンは、
前記第1伝熱管に密着する第1フィンカラー(111)、及び前記第2伝熱管に密着する第2フィンカラー(112)と、
前記第1伝熱管の貫通方向に切り起された切起部(120)と、
前記フィンのフィン表面に設けられ、周囲の前記フィン表面よりも結露水を導き易い導水部(410)と、
を備え、
前記導水部は、前記第1フィンカラーから離れて配置されて前記第2フィンカラーに向かう方向に沿って延びており、前記第1フィンカラーと前記切起部の間の結露水が溜まる第1領域(AR1)に配置された第1始点(SP1)を有し、前記切起部から離れる方向に前記第1始点より延びる第1部分(411)を有し、
前記切起部は、前記第1フィンカラーと前記第2フィンカラーの間に配置されている第1切起部(121)であり、
前記第1領域は、前記第1フィンカラーと、前記第1切起部と、第1線分(LS1)と、第2線分(LS2)とに囲まれている領域であり、
前記第1切起部は、前記第2フィンカラーに最も近い前記第1フィンカラーの第1点(Po1)と前記第1フィンカラーに最も近い前記第2フィンカラーの第2点(Po2)とを通る第1直線に沿って延びていて前記第1直線に近い第1切断線(CL1)と前記第1直線から遠い第2切断線(CL2)とを有し、
前記第1線分は、前記第1点と前記第1切断線の中点(MP1)とを結ぶ線分であり、
前記第2線分は、前記第2切断線の上端点(UP1)と第3点(Po3)とを結ぶ線分であり、
前記第3点は、前記第1直線から最も遠く且つ前記第1切起部に近い位置にある前記第1フィンカラーの中の点である、熱交換器(31)。
【請求項2】
前記フィンは、前記第1フィンカラーの中で前記第1直線から最も遠く且つ前記第1切起部から遠い位置にある第4点(Po4)と前記第3点とを通る第2直線と交差するように配置された第2切起部(122)を備え、
前記導水部は、前記第1フィンカラーと、前記第2切起部と、第3線分(LS3)と、第4線分(LS4)とに囲まれている第2領域(AR2)に第2始点(SP2)を有し、前記第2切起部から離れる方向に前記第2始点より延びる第2部分(412)を有し、
前記第2切起部は、前記第1直線に沿って延びていて前記第1直線に近い第3切断線(CL3)を有し、
前記第3線分は、前記第1点と前記第3切断線の下端点(LP1)とを結ぶ線分であり、
前記第4線分は、前記第3切断線の中で前記第4点に最も近い第5点(Po5)と前記第4点とを結ぶ線分である、
請求項に記載の熱交換器(31)。
【請求項3】
前記導水部は、前記フィンを凸状に変形させた構造を有する、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(31)。
【請求項4】
前記凸状に変形させた部分がリブである、
請求項3に記載の熱交換器(31)。
【請求項5】
前記導水部は、前記第1直線に対して傾斜して延びている直線形状、または、接線が前記第1直線に対して傾斜するように延びている曲線形状を有する、
請求項3または請求項4に記載の熱交換器(31)。
【請求項6】
前記導水部は、前記第1フィンカラーに近づくにつれて互いに間隔が広がる2本または二又に分かれた形状を有する、
請求項3から5のいずれか一項に記載の熱交換器(31)。
【請求項7】
前記導水部は、気流を前記切起部の範囲外から前記切起部の範囲内に向ける形状を有する、
請求項3から6のいずれか一項に記載の熱交換器(31)。
【請求項8】
前記導水部は、破線形状の部分(415,416)を有する、
請求項3から6のいずれか一項に記載の熱交換器(31)。
【請求項9】
前記第1フィンカラーと前記切起部との間の距離は、0よりも大きく5mm以下である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の熱交換器(31)。
【請求項10】
前記導水部は、前記第2フィンカラーの上端の第6点(Po6)よりも前記切起部から遠い位置で且つ前記第2フィンカラーから離れた位置に終点(EP1)が配置されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱交換器(31)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の熱交換器(30)と、
前記熱交換器を収納し、前記熱交換器での熱交換のための空気を取り入れる吸込口(33a)と、前記熱交換器での熱交換後の空気を室内に供給する吹出口(33b)とを有するケーシング(33)と、
を備え、
前記熱交換器において、前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管を流れる前記熱媒体と前記フィンを通過する空気との熱交換を行う、室内機(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱管及びフィンを備える熱交換器及び熱交換器を備える室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機には、熱媒体と空気との熱交換を行う熱交換器が用いられる場合がある。このような熱交換器には、複数のフィンと、各フィンを貫通する複数の伝熱管で構成されているものがある。例えば、特許文献1(特開2013-221680号公報)には、フィンチューブ熱交換器が開示されている。
【0003】
空気中には水分が含まれているため、熱交換のときに熱交換器に結露水が生じる場合がある。熱交換のときに生じる結露水は、フィンの表面に付着して、熱交換効率を低下させる。熱交換器では、結露水の排水性を向上させることが課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の熱交換器では、伝熱管の鉛直方向下方に存在するフィンの傾斜部に結露水が溜まり易いことに着目して、鉛直方向に延びた排水のための細長い孔が傾斜部に設けられている。しかしながら、結露水が溜まるのは伝熱管の下方の傾斜部分には限られない。フィンには、熱交換効率を向上させるために、フィンの一部に切れ目を入れて立体的に変形させたスリット及びルーバーと呼ばれる切起部が設けられる場合がある。このようなスリット及びルーバーと伝熱管との間に結露水が溜まることがある。
【0005】
切起部が伝熱管の鉛直方向下方に無い場合、伝熱管と切起部の間に溜まった結露水に対しては、伝熱管の下方からさらに鉛直方向下方に向かって真っすぐ延びている細長い孔では効果的な排水ができない。切起部の周辺に溜まった結露水は、熱交換器を流れる空気の通風抵抗の原因になる。
【0006】
熱交換器のフィンに切起部が形成されている場合には、切起部と伝熱管との間に結露水が溜まり、通風抵抗が高くなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の熱交換器は、フィンとフィンを貫通し且つ熱媒体を流すための第1伝熱管及び第1伝熱管の鉛直方向下方に隣り合う第2伝熱管とを備える熱交換器である。フィンは、第1伝熱管に密着する第1フィンカラー、及び第2伝熱管に密着する第2フィンカラーと、第1伝熱管の貫通方向に切り起された切起部と、フィン表面に設けられ、周囲のフィン表面よりも結露水を導き易い導水部と、を備えている。導水部は、第1フィンカラーから離れて配置されて第2フィンカラーに向かう方向に沿って延びており、第1フィンカラーと切起部の間の結露水が溜まる第1領域に配置された第1始点を有し、切起部から離れる方向に第1始点より延びる第1部分を有する。
【0008】
第1観点の熱交換器では、切起部を結露水が塞がないように、第1領域に溜まった結露水を切起部から離しながら導水部で導けるので、フィンに沿って流れる気流に対する通風抵抗が結露水によって増加するのを抑制できる。
【0009】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、切起部は、第1フィンカラーと第2フィンカラーの間に配置されている第1切起部である。第1領域は、第1フィンカラーと、第1切起部と、第1線分と、第2線分とに囲まれている領域である。第1切起部は、第2フィンカラーに最も近い第1フィンカラーの第1点と第1フィンカラーに最も近い第2フィンカラーの第2点とを通る第1直線に沿って延びていて第1直線に近い第1切断線と第1直線から遠い第2切断線とを有する。第1線分は、第1点と第1切断線の中点とを結ぶ線分である。第2線分は、第2切断線の上端点と第3点とを結ぶ線分である。第3点は、第1直線から最も遠く且つ第1切起部に近い位置にある第1フィンカラーの中の点である。
【0010】
第2観点の熱交換器では、第1切起部を結露水が塞がないように、第1領域に溜まった結露水を第1切起部から離しながら第1領域の第1始点から延びる導水部の第1部分で導けるので、フィンに沿って流れる気流に対する通風抵抗が結露水によって増加するのを抑制できる。
【0011】
第3観点の熱交換器は、第2観点の熱交換器であって、フィンは、第1フィンカラーの中で第1直線から最も遠く且つ第1切起部から遠い位置にある第4点と第3点とを通る第2直線と交差するように配置された第2切起部を備える。導水部は、第1フィンカラーと、第2切起部と、第3線分と、第4線分とに囲まれている第2領域に第2始点を有し、第2切起部から離れる方向に第2始点より延びる第2部分を有する。第2切起部は、第1直線に沿って延びていて第1直線に近い第3切断線を有する。第3線分は、第1点と第3切断線の下端点とを結ぶ線分である。第4線分は、第3切断線の中で第4点に最も近い第5点と第4点とを結ぶ線分である。
【0012】
第3観点の熱交換器では、第2切起部を結露水が塞がないように、第2領域に溜まった結露水を第2切起部から離しながら第2領域の第2始点から延びる導水部の第2部分で導けるので、フィンに沿って流れる気流に対する通風抵抗が結露水によって増加するのを抑制できる。
【0013】
第4観点の熱交換器は、第2観点又は第3観点の熱交換器であって、導水部は、フィンを凸状に変形させた構造を有する。
【0014】
第4観点の熱交換器では、例えばプレス加工で、フィンカラーを形成する工程で導水部も形成でき、安価に導水部を形成することができる。
【0015】
第5観点の熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、凸状に変形させた部分がリブである。
【0016】
第5観点の熱交換器では、導水部がリブであって連続した構造であることから、フィンの表面でも裏面でも、リブの周囲のフィン表面よりも結露水を導き易くなる。
【0017】
第6観点の熱交換器は、第4観点又は第5観点の熱交換器であって、導水部は、第1直線に対して傾斜して延びている直線形状、または、接線が第1直線に対して傾斜するように延びている曲線形状を有する。
【0018】
第6観点の熱交換器では、第1直線に対して傾斜する直線形状または接線が傾斜するように延びる曲線形状とすることで、第1直線と略平行に延びる場合に比べて凸状の導水部で生じる通風抵抗を低減できる。
【0019】
第7観点の熱交換器は、第4観点から第6観点のいずれかの熱交換器であって、導水部は、第1フィンカラーに近づくにつれて互いに間隔が広がる2本または二又に分かれた形状を有する。
【0020】
第7観点の熱交換器では、2本または二又に分かれた形状の一つの導水部で2箇所から結露水を集めるので速く多くの結露水を排水することができる。
【0021】
第8観点の熱交換器は、第4観点から第7観点のいずれかの熱交換器であって、導水部が、気流を切起部の範囲外から切起部の範囲内に向ける形状を有する。
【0022】
第8観点の熱交換器では、気流を切起部の範囲外から切起部の範囲内に向ける形状によって向けられた気流により、切起部による熱伝達性能を向上させることができる。
【0023】
第9観点の熱交換器は、第4観点から第7観点のいずれかの熱交換器であって、導水部は、破線形状の部分を有する。
【0024】
第9観点の熱交換器では、破線形状の導水部が途切れる部分を有しているので、ファインがこの途切れる部分で通風抵抗を低減することができる。
【0025】
第10観点の熱交換器は、第1観点から第9観点のいずれかの熱交換器であって、第1フィンカラーと切起部との間の距離は、0よりも大きく5mm以下である。
【0026】
第11観点の熱交換器は、第1観点から第10観点のいずれかの熱交換器であって、導水部は、第2フィンカラーの上端の第6点よりも切起部から遠い位置で且つ第2フィンカラーから離れた位置に終点が配置されている。
【0027】
第11観点の熱交換器では、導水部によって第2フィンカラーに導かれた結露水が再び切起部の方に戻るのを抑制することができる。
【0028】
第12観点の室内機は、第1観点から第11観点のいずれかの熱交換器と、熱交換器を収納し、熱交換器での熱交換のための空気を取り入れる吸込口と、熱交換器での熱交換後の空気を室内に供給する吹出口とを有するケーシングと、を備える。熱交換器において、第1伝熱管及び第2伝熱管を流れる熱媒体とフィンを通過する空気との熱交換を行う。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】室内機を含む空気調和機の冷媒回路の一例を示す回路図である。
図2図1の空気調和機の外観の一例を示す図である。
図3】室内機の断面の概要を示す断面図である。
図4】上部第1熱交換部の一部を拡大した模式的な拡大図である。
図5】下部第1熱交換部の一部を拡大した模式的な拡大図である。
図6】熱交換器の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図7】ルーバーの形状を示す部分拡大断面図である。
図8】フィンの他の形状を説明するための平面図である。
図9】フィンの他の形状を説明するための平面図である。
図10】フィンの他の形状を説明するための平面図である。
図11】上部第1熱交換部の一部を拡大した模式的な拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1に示されている室内機30と室外機20は、空気調和機10を構成する。空気調和機10では、室内機30と室外機20とが冷媒配管12,13で接続されて冷媒回路11が形成されている。冷媒回路11には、圧縮機21と四方弁22と室外熱交換ユニット23と膨張弁24とアキュムレータ25と室内機30の熱交換器31が接続されている。室外機20は、圧縮機21と四方弁22と室外熱交換ユニット23と膨張弁24とアキュムレータ25と室外ファン28を有している。室内機30は、熱交換器31と室内ファン32を有している。空気調和機10は、冷媒回路11で実施される蒸気圧縮式冷凍サイクルにより、冷房運転及び暖房運転を選択的に行うことができる。
【0031】
四方弁22は、冷房運転モードでは、実線で示された接続状態に切り換わり、圧縮機21と室外熱交換ユニット23を接続するとともに熱交換器31とアキュムレータ25を接続する。四方弁22は、暖房運転モードでは、破線で示された接続状態に切り換わり、圧縮機21と熱交換器31を接続するとともに室外熱交換ユニット23とアキュムレータ25を接続する。
【0032】
図2には、空気調和機10の外観の一例が示されている。図2に示されている空気調和機10では、室内機30が室内の壁面等に取り付けられ、室外機20が室外に据え付けられている。図2に示されている室内機30は、壁掛け型である。室外機20と室内機30を連絡しているのは、配管部材14である。配管部材14の中には、冷媒配管12,13が通っている。また、冷媒配管12,13以外に、例えば室外機20と室内機30に接続されている電線及び信号線(図示せず)が配管部材14の中を通っている。
【0033】
(1-1)冷房運転における冷媒の循環
冷房運転では、圧縮機21で圧縮されたガス冷媒が、四方弁22を通って室外熱交換ユニット23に送られる。冷媒は、室外熱交換ユニット23で室外の空気に放熱し、膨張弁24で膨張して減圧され、冷媒配管13を通って室内機30の熱交換器31に送られる。膨張弁24から室内機30の熱交換器31に送られてきた低温低圧の冷媒は、熱交換器31で熱交換を行って、室内の空気から熱を奪う。室内機30の熱交換器31で熱交換を終えたガス冷媒または気液二相状態の冷媒は、冷媒配管12、四方弁22及びアキュムレータ25を通って圧縮機21に吸入される。室内機30の熱交換器31で熱を奪われた調和空気が室内機30から例えば室内に吹出されることにより、室内の冷房が行われる。
【0034】
(1-2)暖房運転における冷媒の循環
暖房運転では、圧縮機21で圧縮されたガス冷媒が、四方弁22、冷媒配管12を通って室内機30の熱交換器31に送られる。室内機30の熱交換器31では、圧縮機21から送られてきた冷媒が空気と熱交換を行って室内の空気に熱を与える。熱交換器31で熱交換を終えた冷媒は、冷媒配管13を通って膨張弁24に送られる。膨張弁24で膨張して減圧された低温低圧の冷媒は、室外熱交換ユニット23に送られ、室外熱交換ユニット23で室外の空気と熱交換を行って空気から熱を得る。室外熱交換ユニット23で熱交換を終えたガス冷媒または気液二相状態の冷媒は、四方弁22及びアキュムレータ25を通って圧縮機21に吸入される。室内機30の熱交換器31で熱を与えられた調和空気が室内機30から例えば室内に吹出されることにより、室内の暖房が行われる。
【0035】
(1-3)空気の流れ
室外機20が室外ファン28を備え、室内機30が室内ファン32を備えている。室外ファン28は、冷房運転モード及び暖房運転モードにおいて、室外熱交換ユニット23での空気と冷媒との熱交換を促進するために、空気を室外熱交換ユニット23に供給する。また、室内ファン32は、冷房運転モード及び暖房運転モードにおいて、熱交換器31での空気と冷媒との熱交換を促進するために、室内の空気を熱交換器31に供給する。
【0036】
(2)詳細構成
(2-1)室内機
図3には、室内機30の長手方向に対して垂直な面で切断した場合の室内機30の断面構造の一例が示されている。図3に示されている室内機30において、壁WLの側が後側、その反対側が前側、壁WLに沿う方向が鉛直方向であり、鉛直方向の上方(上側)と下方(下側)があって、図3では矢印で方向が示されている。図3に示されているように、室内機30は、熱交換器31と、室内ファン32と、ケーシング33と、エアフィルタ34と、ドレンパン36と、フラップ37とを備えている。また、室内機30は、例えば、室内の気温を検知する温度センサ(図示せず)、室内の湿度を検知する湿度センサ(図示せず)及びその他のセンサを備えている。温度センサなどの各種センサ及び室内ファン32は、制御装置(図示せず)に接続されている。熱交換器31の下には、ドレンパン36が配置されている。熱交換器31で発生した結露は、ドレンパン36で受け止められる。
【0037】
(2-1-1)ケーシング
ケーシング33には、吸込口33aと吹出口33bが形成されている。室内機30は、上方に位置する吸込口33aからケーシング33の中に室内空気を吸い込んで、下方に位置する吹出口33bから調和空気を吹き出す。図3の状態はフラップ37が吹出口33bを塞いでいる状態である。調和空気が吹出口33bから吹き出すときは、フラップ37が回転して吹出口33bが開く。ケーシング33の面のうち、壁WLに接する面が背面33Rであり、背面33Rとは反対側に位置する面が前面33Fである。ケーシング33の中には、吸込口33aから吹出口33bに向う室内空気の流路において、吸込口33aに近い位置(気流の上流)から、エアフィルタ34、熱交換器31、室内ファン32、フラップ37が順に配置されている。
【0038】
(2-1-2)エアフィルタ
熱交換器31に供給される室内空気は、実質的に全てエアフィルタ34を通過する。エアフィルタ34の網目よりも大きな塵埃は、エアフィルタ34で除去される。
【0039】
(2-1-3)熱交換器
エアフィルタ34の下流に位置する熱交換器31は、正面から見て、図2に示されているケーシング33と同様に、左右方向(水平方向)に長く延びている。言い換えると、熱交換器31は、正面視において、垂直方向の長さよりも水平方向の長さが長い。熱交換器31は、前面33Fに近い第1熱交換部31Fと背面33Rに近い第2熱交換部31Rを含んでいる。第1熱交換部31Fは、上部第1熱交換部31FUと下部第1熱交換部31FLとを含んでいる。上部第1熱交換部31FUと下部第1熱交換部31FLは、室内ファン32を囲むように配置するために、異なる方向に傾けて取り付けられている。上部第1熱交換部31FUは、下に行くに従ってケーシング33の前面33Fに近づくように傾いている。逆に、下部第1熱交換部31FLは、下に行くに従ってケーシング33の前面33Fから遠ざかるように傾いている。熱交換器31は、図3に示されているように、複数の伝熱管31bを有している。熱交換器31は伝熱管31bの延びる方向に見て(側面視において)、室内ファン32の上方を覆うように、下に向って開いた形状を呈する。ここでは、このような形状をΛ形状またはC字形状と呼ぶ。
【0040】
図3には、第1熱交換部31Fのフィン31aを断面円形状の複数の伝熱管31bが貫通している状態及び、第2熱交換部31Rのフィン31aを断面円形状の複数の伝熱管31bが貫通している状態が示されている。第1熱交換部31F及び第2熱交換部31Rのフィン31aは、いずれも伝熱管31bが延びている方に、複数枚重ねて配置されている。これら複数の伝熱管31bと複数のフィン31aは熱的に接続されている。それにより、複数のフィン31aの間を流れる空気と複数の伝熱管31bの中を流れる冷媒の間で、フィン31aと伝熱管31bを介して熱が移動する。
【0041】
複数の伝熱管31bには、複数のU字管(図示せず)が接続されている。例えば、2本の伝熱管31bの一端には、1つのU字管が接続されている。熱交換の際には、複数のフィン31aの間を空気が通過すると同時に、複数の伝熱管31bの中を冷媒が流れる。複数の伝熱管31bの中を流れる冷媒は、熱媒体の一種である。例えば、ある伝熱管31bを流れた冷媒は、U字管で折り返されて、他の伝熱管31bに流れる。また、他の伝熱管31bの他端は、他のU字管を介してさらに他の伝熱管31bに接続されている。他の伝熱管31bを流れた冷媒が他のU字管を介してさらに他の伝熱管31bに流れる。このように、冷媒は、複数のU字管で何度も折り返されて複数の伝熱管31bを流れ、各フィン31aを複数回通り抜けるように流れる。
【0042】
(2-1-4)室内ファン
Λ形の熱交換器31に囲まれるように、熱交換器31の下流に室内ファン32が配置されている。図3に示された室内ファン32は、伝熱管31bの延びる方向に沿って配置されているクロスフローファンである。室内ファン32は、伝熱管31bに対して直交する向きの気流を発生させる。室内ファン32は、回転速度を変更できるモータ(図示せず)を備えており、クロスフローファンの回転速度を変更することで風量を変更できる。
【0043】
(2-1-5)フラップ
吹出口33bには、フラップ37が配置されている。フラップ37には、例えば、図3に図示された水平フラップと、垂直フラップ(図示せず)が含まれる。水平フラップは、吹出口33bから吹出される空気の風向を上下に変更する。垂直フラップは、吹出口33bから吹出される空気の風向を左右に変更する。
【0044】
(3)熱交換器のフィン
図4には、上部第1熱交換部31FUのフィン31aの一部が拡大して示されている。図5には、下部第1熱交換部31FLのフィン31aの一部が拡大して示されている。上部第1熱交換部31FUのフィン31aの構造を説明し易くするために、上部第1熱交換部31FUのフィン31aを、第1フィン310と呼び、下部第1熱交換部31FLのフィン31aを、第2フィン320と呼ぶ。また、第1フィン310及び第2フィン320をそれぞれ貫通する複数の伝熱管31bの中の1つの伝熱管31bを第1伝熱管211と呼び、その下の伝熱管31bを第2伝熱管212と呼んで説明する。図6には、フィン31a(第1フィン310または第2フィン320)と第1伝熱管211と第2伝熱管212の断面の一部が拡大して示されている。第2伝熱管212は、第1伝熱管211の鉛直方向下方に隣り合って配置されている。
【0045】
第1フィン310及び第2フィン320は、それぞれ、第1フィンカラー111と、第2フィンカラー112と、切起部120と、導水部410とを備えている。第1フィンカラー111は、第1伝熱管211に密着する。第2フィンカラー112は、第2伝熱管212に密着する。第2フィンカラー112は、第1フィンカラー111よりも鉛直方向下方に隣り合って配置されている。第1フィンカラー111と第2フィンカラー112は、フィン31aのフィン表面31sから立ち上がっている部分である。ここで、第2フィンカラー112が第1フィンカラー111の鉛直方向下方に配置されているというときは、第2フィンカラー112が第1フィンカラー111よりも鉛直方向において下にあればよい。鉛直方向下方に配置されているとは、真下に配置されている場合に限る意味ではない。例えば、第2フィンカラー112が、鉛直方向に見て、第1フィンカラー111の斜め下にあってもよい。第2伝熱管212が第1伝熱管211の鉛直方向下方に配置されているというときも、第2フィンカラー112が第1フィンカラー111の鉛直方向下方に配置されているという場合と同様である。
【0046】
切起部120は、第1伝熱管211の貫通方向DR1に切り起されている。図4図6に示されている切起部120は、全体が貫通方向DR1の同じ向きにフィン表面31sから突出しているブリッジ型の切起しである。ここで、切起部120が延びる方向を長手方向DR2いうとする。そうすると、切起しの形成された箇所には、貫通方向DR1及び長手方向DR2に対して直交する方向DR3に見て、開口部130が形成されている(図6参照)。この開口部130により、切起部120は、フィン表面31sに沿う気流を通過させる。前述の方向DR3は、概ね気流が通過する方向に一致する。第1フィンカラー111と切起部120との間の距離は、0よりも大きく5mm以下である。
【0047】
導水部410は、フィン31aのフィン表面31sに設けられている。図4図6に示されている導水部410は、リブである。このように、導水部410は、フィン31aを凸状に変形させた構造を有する。リブが形成されないフィン表面31sを流れる結露水の流れは定まらないが、フィン表面31sにリブが形成されていると、リブを伝って多くの結露水が流れる。このリブは、周囲のフィン表面31sよりも結露水を導き易い導水部410である。導水部410のリブの高さh1は、0.05mm以上であって且つフィンピッチの半分以下である。
【0048】
導水部410は、第1フィンカラー111から離れて配置されている。導水部410は、第1フィンカラー111から第2フィンカラー112へ向かう方向に沿って延びている。第1フィンカラー111から第2フィンカラー112へ向かう方向に沿って延びる場合には、導水部410が第1フィンカラー111の第1点Po1と第2フィンカラー112の第2点Po2を通る直線Ln1(図4及び図5参照)に平行な場合だけでなく、直線Ln1に対して±45度の範囲で傾いた方向へ延びていてもよい。また、第1フィンカラー111から第2フィンカラー112へ向かう方向に沿って延びる場合には、導水部410の延長線が第2フィンカラー112を横切らない場合も含まれる。導水部410は、第1フィンカラー111の近傍に、第1フィンカラー111からは離れて配置されている第1始点SP1を有している。導水部410の第1始点SP1は、第1フィンカラー111と切起部120の間の結露水が溜まる第1領域AR1に配置されている。第1始点SP1は、第1フィンカラー111から離れて配置され、第1始点SP1から第1フィンカラー111までの距離は、0.1mm~1mmの範囲内で設定される。第1領域AR1は、図4及び図5に斜線で示されている。導水部410は、切起部120から離れる方向に第1始点SP1より延びる第1部分411を有する。
【0049】
(3-1)第1領域
第1フィンカラー111と第2フィンカラー112の間に配置されている切起部120は、第1切起部121とみなすことができる。第1領域AR1は、第1フィンカラー111と、第1切起部121と、第1線分LS1と、第2線分LS2とに囲まれている領域である。
【0050】
第1切起部121は、第1切断線CL1と第2切断線CL2を有している。第1切断線CL1は、第1直線Ln1に沿って延びていて第1直線Ln1に近い方であり、第2切断線CL2は、第1直線Ln1に沿って延びていて第1直線Ln1に遠い方である。第1直線Ln1は、第1フィンカラー111の第1点Po1と、第2フィンカラー112の第2点Po2とを通る直線である。第1点Po1は、第1フィンカラー111において、第2フィンカラー112に最も近い所にある。第2点Po2は、第2フィンカラー112において、第1フィンカラー111に最も近い所にある。第1点Po1と第2点Po2は、第1フィンカラー111とフィン表面31sの境界部分及び、第2フィンカラー112とフィン表面31sの境界部分にある(図6参照)。
【0051】
第1線分LS1は、第1点Po1と第1切断線CL1の中点MP1とを結ぶ線分である。第2線分LS2は、第2切断線CL2の上端点UP1と第3点Po3とを結ぶ線分である。第3点Po3は、第1直線Ln1から最も遠く且つ第1切起部121に近い位置にある第1フィンカラー111の中の点である。
【0052】
(3-2)第2領域
フィン31aは、第2切起部122を備えている。第2切起部122は、第2直線Ln2と交差するように配置されている。第2直線Ln2は、第3点Po3と第4点Po4とを通る直線である。第4点Po4は、第1フィンカラー111の中で第1直線Ln1から最も遠く且つ第1切起部121から遠い位置にある。
【0053】
導水部410は、第2領域AR2に第2始点SP2を有する。第2領域AR2は、第1フィンカラー111と、第2切起部122と、第3線分LS3と、第4線分LS4とに囲まれている領域である。図4及び図5において、第2領域AR2には斜線が施されている。導水部410は、第2部分412を有する。第2部分412は、第2切起部122から離れる方向に第2始点SP2より延びている。第2始点SP2は、第1フィンカラー111から離れて配置され、第2始点SP2から第1フィンカラー111までの距離は、0.1mm~1mmの範囲内で設定される。
【0054】
第2切起部122は、第1直線Ln1に沿って延びていて前記第1直線に近い第3切断線CL3を有している。第3線分LS3は、第1点Po1と第3切断線CL3の下端点LP1とを結ぶ線分である。第4線分LS4は、第5点Po5と第4点Po4とを結ぶ線分である。第5点Po5は、第3切断線CL3の中で第4点Po4に最も近い点である。
【0055】
(3-3)導水部の形状
図4及び図5に示されている導水部410は、第1直線Ln1に対して傾斜して延びている直線形状を有する。導水部410であるリブが第1直線Ln1に対する傾斜角度は、10度~45度の範囲内で設定される。図4及び図5に示されている導水部410は、直線形状を有するが、曲線形状であってもよい。曲線形状の導水部410は、接線が第1直線に対して傾斜するように延びている。曲線形状の導水部410は、接線が第1直線Ln1に対する傾斜角度は、10度~45度の範囲内で設定される。
【0056】
図4及び図5に示されている導水部410は、第1フィンカラー111に近づくにつれて互いに間隔が広がる二又に分かれたY字形の形状を有する。二又に分かれている部分が、第1部分411と第2部分412である。第1部分411と第2部分412は鉛直上方に行くに従って間隔が広がっている。
【0057】
図5に示されている導水部410は、第2フィンカラー112の上端の第6点Po6よりも切起部120(第1切起部121)から遠い位置で且つ第2フィンカラー112から離れた位置に終点EP1が配置されている。
【0058】
(4)変形例
(4-1)変形例A
上記実施形態では、切起部120がブリッジ型の切起しで形成されている場合について説明した。しかし、切起部120は、図7に示されているようなルーバー型の切起しでもよい。ルーバー型の切起しは、第1切断線CL1をフィン表面31sから突出するように持ち上げ、第2切断線CL2をフィン表面31sから沈み込むように押し下げる。このような構造によって、第1切断線CL1とフィン表面31sとの間に開口部130が形成される。フィン表面31sに沿って切起部120に到達した気流AFは、開口部130を通ってフィン31aの裏側に流れる。
【0059】
(4-2)変形例B
図8には、上記実施形態とは異なる形状の導水部410が示されている。導水部410は、気流AFを切起部120の範囲外から切起部120の範囲内に向ける形状である第2部分412及び第3部分413を有する。第2部分412は、長手方向DR2において、切起部120の中央部よりも第1フィンカラー111に近い側に設けられている。第2部分412は、長手方向DR2において、第1フィンカラー111に近い側から切起部120の中央部に近い側に行くに従って徐々に切起部120に近づく形状を有している。第3部分413は、長手方向DR2において、切起部120の中央部よりも第2フィンカラー112に近い側に設けられている。第3部分413は、長手方向DR2において、第2フィンカラー112に近い側から切起部120の中央部に近い側に行くに従って徐々に切起部120に近づく形状を有している。図8の導水部410は、X字形の形状を有している。ただし、導水部410は、第4部分414を有していなくても、気流AFを切起部120の範囲外から切起部120の範囲内に向ける形状になる。第4部分414は、第2フィンカラー112及び切起部120に近い部分である。なお、図8のフィン31aは、上部第1熱交換部31FUに適用される場合には、図4に示されているように傾けて取り付けられてもよい。また、図8のフィン31aは、下部第1熱交換部31FLに適用される場合には、図5に示されているように傾けて取り付けられてもよい。
【0060】
(4-3)変形例C
図9には、上記実施形態とは異なる形状の導水部410が示されている。図9の導水部410は、図4の導水部410と比べると、第1部分411及び第2部分412以外の箇所に、破線形状の部分415を有している点が異なる。この破線形状の部分415は、短い凸形状が間隔を置いて連なっている部分である。図9の破線形状の部分415は、短いリブが飛び石のように連なっているもの、或いは長いリブの一部をフィン表面31sと面一の形状にしたものと考えることができる。なお、図9の導水部410は、第1フィンカラー111に近づくにつれて互いに間隔が広がる2本に分かれた形状である第1部分411と第2部分412を有するものである。また、図9のフィン31aは、上部第1熱交換部31FUに適用される場合には、図4に示されているように傾けて取り付けられてもよい。また、図9のフィン31aは、下部第1熱交換部31FLに適用される場合には、図5に示されているように傾けて取り付けられてもよい。
【0061】
(4-4)変形例D
図10には、図9の導水部410とは異なる形状の導水部410が示されている。図10の導水部410は、図9の導水部410と比べると、第1部分411に、破線形状の部分416を有している点が異なる。この破線形状の部分416は、短い凸形状が間隔を置いて連なっている部分である。図10の破線形状の部分416は、短いリブが飛び石のように連なっているもの、或いは長いリブの一部をフィン表面31sと面一の形状にしたものと考えることができる。なお、図10のフィン31aは、上部第1熱交換部31FUに適用される場合には、図4に示されているように傾けて取り付けられてもよい。また、図10のフィン31aは、下部第1熱交換部31FLに適用される場合には、図5に示されているように傾けて取り付けられてもよい。
【0062】
(4-5)変形例E
上記実施形態では、導水部410がリブである場合について説明したが、導水部410は、リブ以外の凸部であってもよい。例えば、線状の部材をフィン表面31sに貼り付けてもよい。線状の部材を貼り付ける箇所は、例えば、図4のY字型の導水部410が形成されている箇所である。あるいは、導水部410は、フィン表面31sに親水化処理を施すことで形成してもよい。親水化処理には、例えば、活性化した光触媒をフィン表面31sに形成する方法がある。親水化処理を施す箇所は、例えば、図4のY字型の導水部410が形成されている箇所である。また、リブと親水化処理を組み合わせて導水部410を形成してもよい。
【0063】
(4-6)変形例F
上記実施形態では、例えば図4の導水部410のように、真っ直ぐな直線形状が組み合わさってY字型になっている場合について説明した。しかし、導水部410は、例えば図11に示されている第1部分411及び第2部分412のように曲線形状であってもよい。図11の第1部分411及び第2部分412は、その接線が第1直線Ln1に対して傾斜するように延びている。
【0064】
(4-7)変形例G
上記実施形態では、導水部410のリブがフィン31aのフィン表面31sの側に突出している場合について説明した。しかし、導水部410のリブは、例えば図6に示されている場合とは反対側のフィン31aの裏側に突出するように形成されてもよい。
【0065】
(4-8)変形例H
上記実施形態では、図3に示されているように、第1熱交換部31Fと第2熱交換部31Rの両方に導水部410が形成されている場合について説明した。しかし、導水部410は、第1熱交換部31Fと第2熱交換部31Rのいずれか一方のみに形成されてもよい。また、上記実施形態では、水部410が、第1熱交換部31Fに形成される場合に、上部第1熱交換部31FUと下部第1熱交換部31FLの両方に形成される場合について説明した。しかし、導水部410は、上部第1熱交換部31FUと下部第1熱交換部31FLのうちのいずれか一方のみに形成されてもよい。また、導水部410は、上部第1熱交換部31FUの一部、下部第1熱交換部31FLの一部または第2熱交換部31Rの一部に形成されてもよい。
【0066】
(5)特徴
(5-1)
上述の熱交換器31では、導水部410が、第1フィンカラー111から離れて配置されて第2フィンカラー112に向けて延びている。導水部410は、第1フィンカラー111と切起部120の間の結露水が溜まる第1領域AR1に配置された第1始点を有している。導水部410は、切起部120から離れる方向に第1始点SP1より延びる第1部分411を有する。このような導水部410は、切起部120を結露水が塞がないように、第1領域AR1に溜まった結露水を切起部120から離しながら導水部410で導ける。その結果、熱交換器31では、フィン31aに沿って流れる気流に対する通風抵抗が結露水によって増加するのを抑制できる。
【0067】
図4に示されている導水部410は、第1切起部121を結露水が塞がないように、第1領域AR1に溜まった結露水を第1切起部121から離しながら第1部分411で導けるので、フィン31aに沿って流れる気流に対する通風抵抗が結露水によって増加するのを抑制できる。
【0068】
図5に示されている導水部410は、第2切起部122を結露水が塞がないように、第2領域AR2に溜まった結露水を第2切起部122から離しながら第2部分412で導けるので、フィン31aに沿って流れる気流に対する通風抵抗が結露水によって増加するのを抑制できる。
【0069】
(5-2)
導水部410が、フィン31aを凸状に変形させた構造、例えばリブを有する場合には、例えばプレス加工で、第1フィンカラー111及び第2フィンカラー112などを形成する工程で導水部410も形成でき、安価に導水部410を形成することができる。また、導水部410がリブである場合には、フィン31aの表面でも裏面でも、リブの周囲のフィン表面31sよりも結露水を導き易くなる。
【0070】
(5-3)
導水部410は、第1直線Ln1に対して傾斜して延びている直線形状、または、接線が第1直線Ln1に対して傾斜するように延びている曲線形状を有する。第1直線Ln1に対して傾斜する直線形状または接線が傾斜するように延びる曲線形状とすることで、第1直線Ln1と略平行に延びる場合に比べて凸状の導水部410で生じる通風抵抗を低減できる。この点に関しては、実験を重ねることによって確認された効果である。
【0071】
(5-4)
図4図5図8乃至図11を用いて、導水部410が、第1フィンカラー111に近づくにつれて互いに間隔が広がる2本または二又に分かれた形状を有する場合について説明した。説明した2本または二又に分かれた形状は、導水部410の第1部分411と第2部分412である。このような2本または二又に分かれた形状によって2箇所から結露水を集めることができるので、速く多くの結露水を排水することができる。
【0072】
(5-5)
図8に示されている導水部410は、気流を切起部120の範囲外から切起部120の範囲内に向ける形状を有する。このような形状は、図8においては、第2部分412と第3部分413である。このようなフィン31aを持つ熱交換器31は、第2部分412と第3部分413によって切起部120に向けられた気流により、切起部120による熱伝達性能を向上させることができる。
【0073】
(5-6)
図9及び図10に示した導水部410は、破線形状の部分415,416を有する。破線形状の部分415,416には途切れる部分があるので、フィン31aは、通風抵抗を低減することができる。
【0074】
(5-7)
図5に示した導水部410は、第2フィンカラー112の上端の第6点Po6よりも切起部120から遠い位置で且つ第2フィンカラー112から離れた位置に終点EP1が配置されている。このような位置に終点EP1が配置されることで、導水部410によって第2フィンカラー112に導かれた結露水が再び切起部120の方に戻るのを抑制することができる。
【0075】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0076】
30 室内機
31 熱交換器
31a フィン
33 ケーシング
111 第1フィンカラー
112 第2フィンカラー
120 切起部
121 第1切起部
122 第2切起部
211 第1伝熱管
212 第2伝熱管
410 導水部
411 第1部分
412 第2部分
415,416 破線形状の部分
AR1 第1領域
AR2 第2領域
CL1 第1切断線
CL2 第2切断線
CL3 第3切断線
EP1 終点
LP1 下端点
LS1 第1線分
LS2 第2線分
LS3 第3線分
LS4 第4線分
MP1 中点
Po1 第1点
Po2 第2点
Po3 第3点
Po4 第4点
Po5 第5点
Po6 第6点
SP1 第1始点
SP2 第2始点
UP1 上端点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【文献】特開2013-221680号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11