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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】シートへのセンサーの配置構造
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20231213BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20231213BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
B60N2/90
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022124475
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2018071263の分割
【原出願日】2018-04-03
(65)【公開番号】P2022140736
(43)【公開日】2022-09-27
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】川田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】末満 康一
(72)【発明者】
【氏名】田中 智久
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104334401(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた取り付け部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造において、
前記センサーは、前記取り付け部材の上面に配置されており、かつ、前記取り付け部材の上面よりも上方に突出するように配置されており、
前記取り付け部材の上面には、前記センサーに隣接して、前記センサーの上端以上の高さを有する突出部が設けられ
前記取り付け部材は、
当該取り付け部材における左右方向の中央の部分に、前後方向に延在するように配置された線状部材と、
前記センサーが配置される凹部と、を備え、
前記突出部は、前記取り付け部材の上面のうち前記線状部材と重なる位置に配置され、
前記凹部は、前記線状部材の左右に跨るように左右対称の位置に設けられ、
前記センサーは、前記凹部のうち前記線状部材の左右の部分をさらに下方に窪ませるようにして形成された取付部に配置されていることを特徴とするシートへのセンサーの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートへのセンサーの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員が車両用のシートに着座しているか否かを検知する圧力センサー等のセンサーがシートに配置される場合がある(特許文献1参照)。
このようなセンサーは、例えば、乗員がシートに着座しているにもかかわらずシートベルトを装着していない場合に警告を発するシートベルトリマインダー等の技術において、乗員がシートに着座していることを検知するために用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-100941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、このようなセンサーをシートに配置する場合、例えば特許文献1に記載されているように、シートのシートクッションの、クッションパッドと表皮との間に配置される場合があった。
しかしながら、このようにセンサーをクッションパッドと表皮との間、すなわち表皮のすぐ下側に配置すると、シートに着座した乗員の臀部や大腿部にシートの表皮を介して何かが当たっているのが感じ取られてしまい着座フィーリングが悪くなる場合があり得る。
【0005】
また、シートの表皮のすぐ下にセンサーを配置する場合、吊り込み溝の位置等によってセンサーの配置に制約を受けやすいという問題もある。
また、その一方で、シートにセンサーを配置する際、センサーには、乗員がシートに着座したことを的確に検出できることが求められることは言うまでもない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗員がシートに着座したことを的確に検出できるとともに、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能なシートへのセンサーの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
クッションパッドと、前記クッションパッドの下側に設けられた取り付け部材と、を備えるシートへのセンサーの配置構造において、
前記センサーは、前記取り付け部材の上面に配置されており、かつ、前記取り付け部材の上面よりも上方に突出するように配置されており、
前記取り付け部材の上面には、前記センサーに隣接して、前記センサーの上端以上の高さを有する突出部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記突出部は、前記センサーに近づくにつれて前記高さが高くなる傾斜面を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記突出部は、前記センサーを取り囲むように設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記センサーは、前記取り付け部材に設けられた凹部に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記クッションパッドの下面には、前記センサー及び前記突出部の形状に対応した逃げ部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記クッションパッドの下面のうち前記センサーと対向する位置には、前記クッションパッドと前記センサーとの接触状態を調整するための接触調整部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記接触調整部は、前記クッションパッドの下面の前記位置から前記センサーに向かう方向に突出する凸部であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記取り付け部材には、線状部材が設けられており、
前記突出部は、前記線状部材と重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造において、
前記取り付け部材には、左右方向に並設された、前後方向に延在する複数の線状部材が設けられており、
前記センサーは、前記線状部材の間に配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のシートへのセンサーの配置構造を備えた車両用シートであって、
前記クッションパッド及び前記取り付け部材が配置されたシートフレームと、前記クッションパッド上に配置された表皮とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、10に記載の発明によれば、センサーとクッションパッドとが確実に当接する状態を形成することが可能となり、クッションパッドが下側に撓むとクッションパッドの下面がセンサーを確実に押圧するため、シートに乗員が着座した際に、センサーで乗員がシートに着座したことを的確に検出することが可能となる。
また、センサーがクッションパッドの下面側に配置されており、シートに着座した乗員の臀部や大腿部にシートの表皮を介してセンサーが当たることがない。そのため、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能となる。
【0018】
請求項2~5に記載の発明によれば、乗員がシートに着座した際の乗員の着座フィーリングをさらに向上させることが可能となる。
【0019】
請求項6、7に記載の発明によれば、センサーの検出感度を向上させることが可能となる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、線状部材の取り付け部材への固定性(外れにくさ)を向上させることが可能となる。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、センサーを取り付け部材に配置しやすくなるとともに突出部を形成しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】シートを表す斜視図である。
図2】シートクッションのクッションパッドの構造を表す斜視図である。
図3】シートフレームやパンフレームに配置されたセンサー等を表す斜視図である。
図4】センサーの構成例を表す斜視図である。
図5】パンフレームに設けられた突出部や凹部、取付部等を拡大して表す斜視図である。
図6】取付部にセンサーが取り付けられた状態を拡大して表す斜視図である。
図7図6のX-X線に沿う部分断面図である。
図8】突出部や取付部等の別の構成例を表す図である。
図9】センサーがクッションパッドの下面側に配置された状態を表す部分断面図である。
図10】突出部を設けない場合にパンフレームの下面とフロアとが干渉する状態を説明する図である。
図11】突出部を設ける本実施形態の場合にパンフレームの下面とフロアとが干渉しない状態を説明する図である。
図12】(A)突出部がセンサーを全周にわたって取り囲むように構成した例、(B)複数の突出部がセンサーの周囲を取り囲むように構成した例を表す斜視図である。
図13】(A)、(B)クッションパッドの下面に形成された逃げ部等を表す部分断面図である。
図14】(A)、(B)接触調整部25の構成例を表す部分断面図である。
図15】センサーをワイヤーの間に配置した配置例を表す図である。
図16】センサーをワイヤーの上側に配置した配置例等を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0024】
[シートの構成]
図1に示すシート10は、自動車等の車両に設けられる車両用シートであり、車両の乗員が着座するものである。なお、以下では、シート10が主に助手席のシートである場合について説明するが、シート10はこの場合に限定されず、2列シートの後部座席や、3列シートの2列目や3列目のシートなど、助手席のシート以外のシートであってもよい。
【0025】
図1に示すように、シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション11と、下端部がシートクッション11に支持されて背もたれとなるシートバック14と、シートバック14に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備える。なお、この他、ネックレストやアームレスト、フットレスト、オットマン等の補助支持部を備えていてもよい。
【0026】
図2に示すように、シートクッション11は、骨格となるシートフレーム17(後述する図3参照)と、シートフレーム17上に設けられたクッションパッド12と、クッションパッド12上に配置されシートフレーム17及びクッションパッド12を被覆してシートの表面を構成する表皮13(図2では図示省略。図1参照)と、から主に構成されている。
【0027】
本実施形態では、シートクッション11には、クッションパッド12と表皮13との間に空気(温風や冷風)の通気路30が設けられているが、本発明では、通気路30等は必ずしも設けられていなくてもよい。
本実施形態では、図2に示すように、クッションパッド12に通気路30の一部をなす通気路用凹部30Aが設けられている。また、カバー部材12Aの、当該通気路用凹部30Aに対応する位置に、通気路30の残りの部分をなす凹部(図示省略)が設けられており、カバー部材12Aのクッションパッド12の所定の部分に嵌め込むことで通気路30が形成されるようになっている。
【0028】
また、カバー部材12Aには複数のパンチング孔が形成されており、これらのパンチング孔が通気路30の送風口30Cとされている。そして、カバー部材12Aを含むクッションパッド12が、少なくとも送風口30Cに対応する部分は通気性とされている表皮13で被覆されるようになっている。表皮13はこのようにしてクッションパッド12上に配置されている。
そして、ブロワー(図示省略)から送り込まれた空気が貫通孔30Bを通って通気路30内に送られ、通気路30内を流通した空気が通気路30の送風口30Cから乗員に向けて吹き出されるようになっている。
【0029】
シートクッション11のクッションパッド12の下側には、図3に示すように、シートフレーム(クッションフレーム等ともいう。)17が設けられている。
シートフレーム17は、左右一対のサイドフレーム17Aと、各サイドフレーム17Aの前端部や後端部をそれぞれ連結する連結部材17B(なお、前端部側の連結部材17Bはパンフレーム18の下側に配置されている。)と、各サイドフレーム17A及び各連結部材17Bの間に架設されているパンフレーム18と、から主に構成されている。
【0030】
本実施形態では、このように、シートフレーム17には、取り付け部材として板状のパンフレーム18が配置されており、取り付け部材18等の上にクッションパッド17が配置されるようになっている。
そして、パンフレーム18の上面18Aには、センサー1が配置されている。なお、パンフレーム18は、鉄製でも樹脂製でもよく、材質に特に限定はない。
【0031】
また、本実施形態では、図3に示すように、パンフレーム18には、左右方向の中央の部分に線状部材としての鉄製等のワイヤー19が前後方向に延在するように配置されている。
そして、パンフレーム18は、ワイヤー19により補強されるようになっており、本実施形態では、ワイヤー19はパンフレーム18に埋め込まれて一体的に形成されている。
【0032】
なお、ワイヤー19は、パンフレーム18の左右方向の中央以外の位置に設けられていてもよく、複数本設けられていてもよい。その際、各ワイヤー19は、例えば、中央のワイヤー19と同様に前後方向に延在するように設けられ、左右方向に並設されるように設けられる。
また、ワイヤー19は、必ずしも直線状(図3等参照)である必要はなく、クランク形状(例えば後述する図15図16参照)や湾曲形状等であってもよい。
【0033】
[センサーの構成例]
次に、センサー1の構成例について説明する。図4は、センサー1の構成例を示す斜視図である。
図4に示すように、センサー1は、例えば圧力センサーとして構成され、カバー2やケース3内に接触子やコイルばね等(図示省略)が内蔵されたプッシュスイッチで構成されている。そして、センサー1のカバー2がケース3に対して上下方向に移動可能とされており、センサー1は、後述するようにクッションパッド12によりカバー2が押下されると圧力を検知し、乗員がシート10に着座していることを検知するようになっている。
【0034】
また、センサー1には、センサー1と外部装置(図示省略。電源装置やセンサー1からの信号の処理装置等)とを電気的に接続するハーネス等(図示省略)が接続されるコネクター部4が設けられている。
また、本実施形態では、センサー1は、後述するように取付部22に取り付けられてシート10内に配置されるようになっている。そして、センサー1には、取付部22に設けられた後述する係合用の孔23(後述する図5(A)、(B)参照)と係合可能な係合用の構造として、下側のケース3の側面から外側に突出した凸部(爪部)5が設けられている。
【0035】
なお、図4では、センサー1が円形センサーである場合が示されているが、センサー1は矩形状であってもよく、センサー1の形状は特に限定されない。
また、本実施形態では、上記の凸部5が、センサーの中心について対称の各位置に1つずつ(計2個)それぞれ設けられている場合について説明するが、凸部5は、1個でもよく、あるいは3個以上設けられていてもよい。また、凸部5を外側に付勢された状態で出没動作することができるように構成することも可能である。
【0036】
[突出部等の構成]
次に、パンフレーム18に設けられる突出部20や凹部21、取付部22の構成等について説明する。図5は、パンフレーム18に設けられた凹部21や取付部22等を拡大して示す斜視図であり、図6は、取付部22にセンサー1が取り付けられた状態を拡大して示す斜視図である。
図5図6に示すように、パンフレーム18の上面18Aには、上方に突出する突出部20が設けられており、前後の突出部20、20の間の部分に凹部21が設けられている。そして、凹部21は、パンフレーム18の中央に配置されたワイヤー19の左右に跨るように左右対称の位置に設けられている。
【0037】
また、凹部21には、センサー1を取り付け可能な取付部22が2か所に設けられている。本実施形態では、凹部21のワイヤー19の左右の部分をさらに下方に略円形状に窪ませるようにして取付部22がそれぞれ形成されている。そして、本実施形態では、センサー1は、凹部21に設けられた取付部22に取り付けられることで凹部21に配置されるようになっている。
本実施形態では、センサー1は、いずれの取付部22にも取り付けられるようになっている。なお、以下では、上記のように取付部22が凹部21内の2か所に設けられている場合について説明するが、取付部22が1か所だけ設けられていてもよく、3か所以上設けられていてもよい。また、以下では、センサー1が1つだけ配置されている場合について説明するが、複数配置されていてもよい。
【0038】
そして、取付部22の前後の部分には、前述したセンサー1の凸部5と係合可能な係合用の構造として、係合用の孔23がそれぞれ設けられている。なお、係合用の構造として孔23の代わりに有底の凹部や溝等であってもよく、センサー1の係合用の構造と係合し得る構造であれば孔23に限定されない。また、センサー1側の係合用の構造も、取付部22の係合用の構造と係合し得る構造であれば凸部5に限定されない。
また、本実施形態では、リブ24が、ワイヤー19を跨ぐようにして左右方向に延在するように設けられている。
【0039】
そして、本実施形態では、上記のように設けられた取付部22の一方(例えば左側の取付部22)にセンサー1を取り付ける場合、図7に示すように、センサー1に設けられた2つの凸部5と、取付部22の前後の部分に設けられた係合用の孔23の縁の部分とが係合する。
すなわち、取付部22に対してセンサー1を上方から押し込むと、センサー1の凸部5のテーパー状の部分で取付部22の孔23の縁の部分が前後に若干押し広げられた後、センサー1の凸部5が取付部22の孔23に嵌まって孔23の縁の部分と係合するようになっている。
【0040】
また、センサー1を取付部22に取り付けると、図6に示すように、リブ24がセンサー1の側方(この場合は右側)から当接する状態になる。
このように、本実施形態では、取付部22に取り付けられたセンサー1は、凸部5と取付部22の孔23の縁の部分とが係合することで、取付部22に対してセンサー1が上下方向や前後方向に移動することが阻止されるとともに、センサー1の凸部5と取付部22の孔23の縁の部分との係合及び側方からのリブ24の当接により、取付部22に対してセンサー1が左右方向に移動することが阻止される。
本実施形態では、このようにして、センサー1が取付部22内で的確に位置決めされた状態でセンサー1を取付部22に取り付けることができるようになっている。
【0041】
本実施形態では、図6図7に示したように、センサー1がパンフレーム18の上面18Aに配置されているが、その際、センサー1は、パンフレーム18の上面18Aよりも上方に突出するように配置されている。
すなわち、パンフレーム18の上面18Aは必ずしも平坦ではなく凹凸がある場合があるが、センサー1の取付部22の周囲のパンフレーム18の上面18Aにならった基準面(図7中の一点鎖線参照)を考えた場合、センサー1はその平面よりも上方に突出するように配置されている。
【0042】
そして、パンフレーム18の上面18Aには、センサー1に隣接して、前述した上方に突出する突出部20が設けられており、突出部20は、センサー1の上端以上の高さ(パンフレーム18の上面18Aからの高さ)を有するように設けられている。
すなわち、突出部20は、図7に示したようにその上端とセンサー1のカバー2の上面が面一になるように設けられてもよく、また、その高さがセンサー1の上端より高くなるように設けられてもよい(例えば後述する図8参照)。
【0043】
また、本実施形態では、突出部20は、センサー1に近づくにつれて高さが高くなる傾斜面20Aを有するように構成されており、センサー1を取り囲むように設けられている。
なお、図7等では、パンフレーム18の上面18Aよりも低い位置に凹部21や取付部22を設けるように構成する場合を示したが、必ずしもこのように構成する必要はなく、例えば図8に示すように、パンフレーム18に凹部21を設けずに、パンフレーム18の上面18Aと同じ高さ(あるいは上面18Aよりも高い位置)に取付部22を設けることも可能である。
【0044】
また、図7等では、突出部20に傾斜面20Aを設ける場合を示したが、例えば図8に示すように突出部20に傾斜面20Aを設けないように構成することも可能である。
さらに、図7等では、突出部20を取り付け部材であるパンフレーム18と一体的に(すなわちパンフレーム18の一部として)形成する場合を示したが、例えば図8に示すように突出部20をパンフレーム18の上面18A上に取り付けるように構成することも可能である。
そして、上記に示したいずれの場合(図8参照)も本発明に含まれる。
【0045】
一方、本実施形態では、図3に示すように、パンフレーム18に開口部18Bが設けられている。この開口部18Bは、例えば、前述したクッションパッド12内に通気路30(図2参照)に送り込む空気が通るダクト31等を通すための貫通孔として形成されている。
そして、本実施形態では、この開口部18Bが、図5図6に示すように取付部22に隣接する位置に設けられている。このように構成すると、図6に示すように取付部22にセンサー1を取り付けた際に、センサー1のコネクター部4が開口部18B内に突き出る状態になる。そのため、コネクター部4に接続されたハーネス等(図示省略)を、開口部18Bを通してパンフレーム18の下側に容易に引き回すことができる。
【0046】
[作用]
本実施形態では、このように、センサー1は、図9に示すように、シートクッション11のクッションパッド12の下側に設けられた取り付け部材であるパンフレーム18の上面18Aに配置されており、パンフレーム18の上面18Aよりも上方に突出するように配置されている。
そして、パンフレーム18の上面18Aに、センサー1に隣接して、センサー1の上端以上の高さを有する突出部20が設けられている。
【0047】
そのため、センサー1の上端とクッションパッド12の下面12Bとが確実に当接する状態を形成することが可能となり、クッションパッド12が下側に撓むとクッションパッド12の下面12Bがセンサー1を確実に押圧する。
そのため、シート10に乗員が着座した際に、下側に撓んだクッションパッド12の下面12Bでセンサー1が押下されるため、センサー1で乗員がシート10に着座したことを的確に検出することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、センサー1がクッションパッド12の下面12B側に配置されているため、シート10に着座した乗員の臀部や大腿部にシート10の表皮13を介してセンサー1が当たることがない。
前述した従来の場合のように、センサーをシートクッション11のクッションパッド12と表皮13との間(すなわち表皮13のすぐ下側)に配置すると、シート10に着座した乗員の臀部や大腿部にシート10の表皮13を介して何かが当たっているのが感じ取られてしまい着座フィーリングが悪くなる場合があったが、本実施形態ではそのような感触が生じることがないため、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能となる。
【0049】
また、車両によっては、シート10のパンフレーム18とその下方の車両のフロア等とが近接している場合がある。
このような場合に、例えば図10に示すようにパンフレーム18に突出部20を設けずに凹部21を設け、そこに設けた取付部22にセンサー1を取り付けると、センサー1に厚みがあるような場合には、凹部21や取付部22の部分が下側に飛び出してしまい、その部分のパンフレーム18の下面18CとフロアFとが干渉してしまう(例えば接触してしまう)場合がある。
【0050】
しかし、図11に示す本実施形態のように、パンフレーム18の上面18Aに突出部20を設ければ、図10に示した場合に比べて取付部22の位置を高くすることができる。すなわち、突出部20を形成することで、センサー1や取付部22等を全体的に持ち上げることができる。
そのため、センサー1に厚みがある場合であっても、取付部22の部分の下側への飛び出し方を小さくすることが可能となり(あるいは例えば図8に示したように構成すれば下側に飛び出さないように構成することが可能となり)、パンフレーム18の下面18CとフロアFとが干渉することを防止することが可能となる。
【0051】
[効果]
以上のように、本実施形態に係るシート10へのセンサー1の配置構造や車両用シート10によれば、センサー1で乗員がシート10に着座したことを的確に検出することが可能となるとともに、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能となる。
また、突出部20を設けたため、センサー1や取付部22等を全体的に持ち上げることが可能となり、センサー1に厚みがある場合であっても、パンフレーム18の下面18CとフロアFとが干渉することを的確に防止することが可能となる。
【0052】
[着座フィーリング等を向上させるための構成等について]
なお、パンフレーム18に突出部20を設ける際、図8に示したように突出部20に角αがあると、乗員が着座した際に、クッションパッド12を介して突出部20の角αが乗員の臀部や大腿部に感じ取られてしまい、乗員が違和感を覚えたり何かがあるように感じられて着座フィーリングが悪くなる可能性がある。
しかし、図5図7等に示したように、突出部20に傾斜面20Aを設けるように構成すれば(すなわち角αを設けないように構成すれば)、着座した乗員にクッションパッド12を介して突出部20の角αが感じ取られることがなくなり、乗員が違和感を覚えたり着座フィーリングが悪くなることを的確に防止することが可能となる。
【0053】
また、例えば、突出部20をセンサー1に隣接した位置に1つだけ設けると、突出部20がクッションパッド12を下側から突き上げる状態になり、着座した乗員にクッションパッド12を介して突出部20があること(あるいは何かがあること)が感じ取られてしまい、乗員が違和感を覚えたり着座フィーリングが悪くなる可能性がある。
しかし、図6等に示したように、センサー1を取り囲むように突出部20を設ければ、突出部20によってクッションパッド12が1か所だけ突き上げられるのではなく広い範囲で全体的に押し上げられる状態になる。そのため、着座した乗員に突出部20が感じ取られること(あるいは何かがあることが感じ取られること)がなくなり、乗員が違和感を覚えたり着座フィーリングが悪くなることを的確に防止することが可能となる。
【0054】
なお、図6等では、突出部20が、センサー1の前方や後方を取り囲むように構成されている場合を示したが、例えば図12(A)に示すように、突出部20がセンサー1を全周にわたって取り囲むように構成することも可能である。また、例えば図12(B)に示すように、複数の突出部20がセンサー1の周囲を取り囲むように構成することも可能である。
また、突出部20の形状は、図5図7図12(A)、(B)に示したような傾斜面20Aを有する形状や、図8に示したような断面矩形状の形状(角αがある形状)に限定されず、センサー1に隣接しておりセンサー1の上端以上の高さを有するものであれば、他の種々の形状とすることも可能である。
【0055】
また、図8に示したようにパンフレーム18に凹部21を設けずにセンサー1をパンフレーム18の上面18Aに取り付けるように構成することも可能であるが、この場合、例えばセンサー1に厚みがあると、突出部20の高さも高くせざるを得なくなる。
そして、このようにセンサー1や突出部20がパンフレーム18から上方に高く突き出す状態になると、乗員が着座した際に、クッションパッド12を介してそれらが乗員の臀部や大腿部に感じ取られてしまい、乗員が違和感を覚えたり何かがあるように感じられて着座フィーリングが悪くなる可能性がある。
【0056】
しかし、図6図7等に示した本実施形態のように、パンフレーム18に凹部21を設け、そこにセンサー1を配置するように構成すれば、センサー1や突出部20がパンフレーム18から上方に突出する量(高さ)を凹部21の分だけ低くすることができる。
そのため、仮にセンサー1に厚みがある場合であっても、センサー1や突出部20のパンフレーム18から上方への突出量(高さ)を抑えることが可能となり、乗員が着座した際に、乗員にクッションパッド12を介してセンサー1や突出部20が感じ取られることがなくなり、乗員が違和感を覚えたり着座フィーリングが悪くなることを的確に防止することが可能となる。
【0057】
また、パンフレーム18の上面18Aに図5図7図8に示したような突出部20を設ける場合に、例えば、図13(A)、(B)に示すように、クッションパッド12の下面12Bに、センサー1や突出部20の形状に対応した逃げ部12Cを形成するように構成することも可能である。
このように構成すれば、上記のようにセンサー1や突出部20のパンフレーム18から上方への突出量(高さ)が大きくなり得る場合でも(図13(A)参照)、突出部20に角αがある場合でも(図13(B)参照)、センサー1や突出部20がクッションパッド12に形成した逃げ部12Cに嵌り込む。
【0058】
そのため、乗員が着座して下側に撓んだクッションパッド12をパンフレーム18が支える際にクッションパッド12を押し上げる圧力と、突出部20やその角αがクッションパッド12を押し上げる圧力に差がなくなる。すなわち、突出部20やその角αが逃げ部12Cに嵌り込んでいるため、それらの部分がクッションパッド12をパンフレーム18等よりも強く押し上げるような状態にはならない。
そのため、上記のように逃げ部12Cを形成するように構成すれば、クッションパッド12を介して乗員に突出部20やその角αが感じ取られることがなくなり、乗員が違和感を覚えたり着座フィーリングが悪くなることを的確に防止することが可能となる。
【0059】
[センサーの感度等を向上させるための構成等について]
一方、センサー1で乗員がシート10に着座したことを検出する際の感度を向上させるために、例えば、クッションパッド12の下面12Bのうちセンサー1と対向する位置(図9図13(A)、(B)における12D参照)に、クッションパッド12とセンサー1との接触状態を調整するための接触調整部25を設けるように構成することが可能である。
具体的には、例えば、図14(A)に示すように、クッションパッド12の下面12Bのうちセンサー1と対向する位置12Dからセンサー1に向かう方向に突出する凸部として接触調整部25を設けるように構成することが可能である。
【0060】
このように構成すれば、接触調整部25(この場合は凸部25)を設けない場合と比べて、センサー1とクッションパッド12の下面12Bとがより強く接触するように接触状態を調整することが可能となる。そして、乗員が着座してクッションパッド12が下側に撓んだ際にクッションパッド12からセンサー1に加わる圧力が、接触調整部25が設けられている分だけ大きくなるため、乗員が着座した際にセンサー1がクッションパッド12によってより確実に押下されるようになり。そのため、センサー1で乗員がシート10に着座したことを検出する際の感度をより向上させることが可能となる。
【0061】
また、上記のように接触調整部25を凸部として形成する代わりに、例えば図14(B)に示すように、クッションパッド12のセンサー1と対向する位置12Dに別部材25(以下、接触調整用部材25という。)を接着する等してクッションパッド12とセンサー1との間に接触調整用部材25を介在させ、接触調整用部材25の厚さや硬さ等を調整する等してクッションパッド12とセンサー1との接触状態を調整するように構成することも可能である。
なお、図14(A)、(B)では、突出部20やパンフレーム18等の図示が省略されている。また、突出部20は、図5図7図8等に示したように構成されていてもよく、他の形状に形成されていてもよい。
【0062】
さらに、例えばセンサー1がクッションパッド12との摩擦により乗員がシート10に着座したことを検出するタイプである場合には、クッションパッド12のセンサー1と対向する位置12Dや、凸部や接触調整用部材等の接触調整部25の摩擦抵抗を増加させるように構成することで、クッションパッド12とセンサー1との接触状態を調整することが可能となる。
【0063】
[突出部やセンサーの配置について]
ところで、本実施形態では、例えば図5図7に示したように、突出部20が、パンフレーム18に設けられた線状部材としてのワイヤー19と重なる位置に配置されている。すなわち、ワイヤー19がいわば突出部20に埋め込まれるように構成されている。
突出部20はパンフレーム18から上方に突出するように設けられているため、突出部20が形成されていない部分に比べて突出部20が設けられた部分では、パンフレーム18の厚みが増している。そして、このようにパンフレーム18が厚くなっている部分(すなわち突出部20の部分)にワイヤー19が埋め込まれて配置されていることで、ワイヤー19(線状部材)のパンフレーム18(取り付け部材)への固定性(外れにくさ)を向上させることが可能となる。
【0064】
一方、例えばセンサー1をワイヤー19の上側に配置すると、センサー1を安定して取り付けることが難しくなるため、本実施形態では、図6等に示したように、ワイヤー19を避けた位置(すなわちワイヤー19の左右の位置)に取付部22を設けてセンサー1を取り付けるように構成されている。
このように、センサー1をパンフレーム18の上面18Aに配置する際には、ワイヤー19を避けて配置するように構成することが望ましく、例えば、パンフレーム18に複数本のワイヤー19が設けられている場合にはセンサー1をそれらの間に配置することが望ましい。このように構成すれば、センサー1をパンフレーム18に配置しやすくなるとともに突出部20を形成しやすくなる。
【0065】
具体的には、例えば図15に示すように、パンフレーム18に、複数のワイヤー19が左右方向に並設され、前後方向に延在するように埋め込まれて配置されている場合、例えばセンサー1を、ワイヤー19間の間隔が広い位置に配置してもよく(センサー1A参照)、ワイヤー19間の間隔が狭い位置に配置してもよい(センサー1B参照)。
また、センサー1A、1Bのように、センサー1を必ずしもパンフレーム18の中央の位置に配置する必要はなく、例えば、パンフレーム18の右寄りの位置(センサー1C参照)や左寄りの位置(センサー1D参照)に配置してもよい。また、センサー1を複数配置することも可能である(例えばセンサー1C、1D参照)。
【0066】
なお、上記の構成は、パンフレーム18にワイヤー19が4本配置されている場合に限定されず、例えば図16に示すように、パンフレーム18にワイヤー19が3本配置されている場合など他の構成においても同様である。また、上記の構成は、ワイヤー19が図15図16に示したようにクランク形状の場合だけでなく、直線状(図3参照)や湾曲形状等であっても同様である。
また、図16に示すように、センサー1をワイヤー19の上側に配置しても安定して取り付けることができる場合には、センサー1をワイヤー19上に配置して本発明を適用するように構成することも可能である。
【0067】
なお、本発明は上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 センサー
10 シート(シート、車両用シート)
12 クッションパッド
12B 下面
12C 逃げ部
12D センサーと対向する位置
13 表皮
17 シートフレーム
18 パンフレーム(取り付け部材)
18A 上面
19 ワイヤー(線状部材)
20 突出部
20A 傾斜面
21 凹部
25 接触調整部、凸部、接触調整用部材(接触調整部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16