IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図1
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図2
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図3
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図4
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図5
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図6
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図7
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図8
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図9
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図10
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図11
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図12
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図13
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図14
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図15
  • 特許-熱源ユニットおよび冷凍装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】熱源ユニットおよび冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
F25B1/00 304P
F25B1/00 396D
F25B1/00 331E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022148785
(22)【出願日】2022-09-20
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚登
(72)【発明者】
【氏名】竹上 雅章
(72)【発明者】
【氏名】上野 明敏
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 鉄也
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/004256(WO,A1)
【文献】特開2021-55917(JP,A)
【文献】特開2010-101552(JP,A)
【文献】国際公開第2009/011197(WO,A1)
【文献】特開2009-97779(JP,A)
【文献】特開2016-121818(JP,A)
【文献】特開2021-103081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用側ユニット(60,70)に接続され、該利用側ユニット(60,70)との間で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う熱源ユニット(10)であって、
圧縮機(23)と、
熱源側熱交換器(24)と、
上記冷媒の流れを制御するための開度可変の弁であって、開度が変化すると冷凍サイクルの高圧が変化する冷媒制御弁(150)と、
上記冷媒制御弁(150)の開度を段階的に変更する制御器(131)とを備え、
上記制御器(131)が上記冷媒制御弁(150)を制御するときの該冷媒制御弁(150)の開度の一段階の変更量が単位変更量であり、
冷凍サイクルの高圧を示す物理量が高圧指標であり、
冷凍サイクルの高圧が上記冷媒の臨界圧よりも高いことを示す上記高圧指標の値が基準値であり、
上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位変更量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位変更量よりも小さくする
熱源ユニット。
【請求項2】
上記冷媒制御弁(150)は、放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒を減圧する第1膨張弁(26)である
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項3】
上記冷媒制御弁(150)の開度を縮小するときの上記単位変更量が単位縮小量であり、
上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位縮小量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位縮小量よりも小さくする
請求項2に記載の熱源ユニット。
【請求項4】
上記冷媒制御弁(150)の開度を拡大するときの上記単位変更量が単位拡大量であり、
上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位拡大量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位拡大量よりも小さくする
請求項3に記載の熱源ユニット。
【請求項5】
放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒の一部を上記圧縮機(23)へ送るインジェクション管(43)と、
放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒を、上記インジェクション管(43)を流れる冷媒と熱交換させて冷却する過冷却熱交換器(28)とを備え、
上記冷媒制御弁(150)は、上記インジェクション管(43)における上記過冷却熱交換器(28)の上流に配置され、上記インジェクション管(43)を流れる冷媒を減圧する第2膨張弁(46)である
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項6】
放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒を減圧する第1膨張弁(26)と、
上記第1膨張弁(26)を通過した冷媒が流入するレシーバ(25)と、
上記レシーバ(25)のガス冷媒を上記圧縮機(23)へ送るガス抜き管(41)とを備え、
上記冷媒制御弁(150)は、上記ガス抜き管(41)に設けられて冷媒を減圧する第3膨張弁(42)である
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項7】
上記冷媒制御弁(150)の開度を拡大するときの上記単位変更量が単位拡大量であり、
上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位拡大量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位拡大量よりも小さくする
請求項5又は6に記載の熱源ユニット。
【請求項8】
上記冷媒制御弁(150)の開度を縮小するときの上記単位変更量が単位縮小量であり、
上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位縮小量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位縮小量よりも小さくする
請求項7に記載の熱源ユニット。
【請求項9】
上記熱源側熱交換器(24)は、冷媒を室外空気と熱交換させる熱交換器であり、
上記高圧指標は、室外空気の温度である
請求項1~6のいずれか一つに記載の熱源ユニット。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一つに記載の熱源ユニット(10)と、
上記熱源ユニット(10)に配管を介して接続される利用側ユニット(60,70)と
を備える冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱源ユニットおよび冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱源ユニットを備えた冷凍装置が開示されている。この冷凍装置は、熱源ユニットと利用側ユニットの間で冷媒を循環させることによって、冷凍サイクルを行う。この冷凍装置が行う冷凍サイクルでは、高圧が冷媒の臨界圧力よりも高くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-32512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、冷凍装置の熱源ユニットは、運転中に冷凍サイクルの高圧が所定の上限圧力を超えると、冷凍装置の損傷を防ぐための保護動作を行う。保護動作の例としては、圧縮機の回転速度を引き下げる動作や、圧縮機を停止させる動作が挙げられる。
【0005】
熱源ユニットにおいて、上限圧力は、熱源ユニットの設計圧力よりも、ある程度低い値に設定される。熱源ユニットでは、その構成機器の状態(例えば、膨張弁の開度)を変更したことによって、冷凍サイクルの高圧が急激に変化する場合があり、その場合でも冷凍サイクルの高圧を設計圧力未満に抑える必要があるからである。
【0006】
図16は、二酸化炭素を冷媒として用いた冷凍サイクルのモリエル線図(圧力-エンタルピ線図)である。点A,点B1,点C1,点D1で示した冷凍サイクルは、高圧が8MPaであるときの単段圧縮冷凍サイクルである。点A,点B2,点C2,点D2で示した冷凍サイクルは、高圧が10MPaであるときの単段圧縮冷凍サイクルである。
【0007】
図16において、点C1は、冷凍サイクルの高圧が8MPaであり、放熱器の出口における冷媒の温度が40℃であるときの、冷媒の状態を示す。また、同図において、点C2は、冷凍サイクルの高圧が10MPaであり、放熱器の出口における冷媒の温度が40℃であるときの、冷媒の状態を示す。
【0008】
図16に示すように、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い場合は、冷凍サイクルの高圧が高いほど、放熱器(ガスクーラ)の出口における冷媒の比エンタルピが低くなる。従って、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い場合は、冷凍サイクルの高圧が高いほど、冷凍装置が発揮する冷却能力が高くなる。
【0009】
しかし、従来の熱源ユニットは、設計圧力と上限圧力の差が比較的大きく、冷凍サイクルの高圧を上限圧力までしか上昇させられない。そのため、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い運転状態において発揮できる冷却能力が低いという問題があった。
【0010】
本開示の目的は、冷凍装置を構成する熱源ユニットにおいて、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い運転状態において発揮できる冷却能力を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の態様は、利用側ユニット(60,70)に接続され、該利用側ユニット(60,70)との間で冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う熱源ユニット(10)であって、圧縮機(23)と、熱源側熱交換器(24)と、上記冷媒の流れを制御するための開度可変の弁であって、開度が変化すると冷凍サイクルの高圧が変化する冷媒制御弁(150)と、上記冷媒制御弁(150)の開度を段階的に変更する制御器(131)とを備え、上記制御器(131)が上記冷媒制御弁(150)を制御するときの該冷媒制御弁(150)の開度の一段階の変更量が単位変更量であり、冷凍サイクルの高圧を示す物理量が高圧指標であり、冷凍サイクルの高圧が上記冷媒の臨界圧よりも高いことを示す上記高圧指標の値が基準値であり、上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位変更量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位変更量よりも小さくする。
【0012】
第1の態様では、冷媒制御弁(150)の開度が変化すると、冷凍サイクルの高圧が変化する。制御器(131)は、“高圧指標が基準値よりも高いときの単位変更量”を“高圧指標が基準値よりも低いときの単位変更量”よりも小さくする。そのため、“高圧指標が基準値よりも高いときの単位変更量”と“高圧指標が基準値よりも低いときの単位変更量”が等しい場合に比べると、高圧指標が基準値よりも高い状態で冷媒制御弁(150)の開度が一段階変化したときの冷凍サイクルの高圧の変動量が、小さくなる。その結果、冷凍サイクルの高圧の上限値を従来よりも高くすることができ、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い状態で得られる冷却能力が高くなる。
【0013】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記冷媒制御弁(150)は、放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒を減圧する第1膨張弁(26)である。
【0014】
第2の態様の制御器(131)は、第1膨張弁(26)の開度に関する単位変更量を、高圧指標に基づいて変更する。
【0015】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記冷媒制御弁(150)の開度を縮小するときの上記単位変更量が単位縮小量であり、上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位縮小量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位縮小量よりも小さくする。
【0016】
熱源側熱交換器(24)が放熱器として機能する場合、第1膨張弁(26)の開度が縮小すると、冷凍サイクルの高圧が上昇する。そこで、第3の態様の制御器(131)は、冷媒制御弁(150)である第1膨張弁(26)の単位縮小量を、高圧指標に基づいて変更する。
【0017】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記冷媒制御弁(150)の開度を拡大するときの上記単位変更量が単位拡大量であり、上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位拡大量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位拡大量よりも小さくする。
【0018】
第4の態様の制御器(131)は、冷媒制御弁(150)である第1膨張弁(26)の単位縮小量と単位拡大量の両方を、高圧指標に基づいて変更する。
【0019】
本開示の第5の態様は、上記第1の態様において、放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒の一部を上記圧縮機(23)へ送るインジェクション管(43)と、放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒を、上記インジェクション管(43)を流れる冷媒と熱交換させて冷却する過冷却熱交換器(28)とを備え、上記冷媒制御弁(150)は、上記インジェクション管(43)における上記過冷却熱交換器(28)の上流に配置され、上記インジェクション管(43)を流れる冷媒を減圧する第2膨張弁(46)である。
【0020】
第5の態様の制御器(131)は、第2膨張弁(46)の開度に関する単位変更量を、高圧指標に基づいて変更する。
【0021】
本開示の第6の態様は、上記第1の態様において、放熱器として機能する上記熱源側熱交換器(24)から流出した冷媒を減圧する第1膨張弁(26)と、上記第1膨張弁(26)を通過した冷媒が流入するレシーバ(25)と、上記レシーバ(25)のガス冷媒を上記圧縮機(23)へ送るガス抜き管(41)とを備え、上記冷媒制御弁(150)は、上記ガス抜き管(41)に設けられて冷媒を減圧する第3膨張弁(42)である。
【0022】
第6の態様の制御器(131)は、第3膨張弁(42)の開度に関する単位変更量を、高圧指標に基づいて変更する。
【0023】
本開示の第7の態様は、上記第5又は第6の態様において、上記冷媒制御弁(150)の開度を拡大するときの上記単位変更量が単位拡大量であり、上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位拡大量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位拡大量よりも小さくする。
【0024】
インジェクション管(43)に設けられた第2膨張弁(46)の開度が拡大すると、インジェクション管(43)から圧縮機(23)へ流入する冷媒の流量が増加し、冷凍サイクルの高圧が上昇する。また、ガス抜き管(41)に設けられた第3膨張弁(42)の開度が拡大すると、ガス抜き管(41)から圧縮機(23)へ流入する冷媒の流量が増加し、冷凍サイクルの高圧が上昇する。そこで、第7の態様の制御器(131)は、冷媒制御弁(150)である第2膨張弁(46)又は第3膨張弁(42)の単位拡大量を、高圧指標に基づいて変更する。
【0025】
本開示の第8の態様は、上記第7の態様において、上記冷媒制御弁(150)の開度を縮小するときの上記単位変更量が単位縮小量であり、上記制御器(131)は、上記高圧指標が上記基準値よりも高いときの上記単位縮小量を、上記高圧指標が上記基準値よりも低いときの上記単位縮小量よりも小さくする。
【0026】
第8の態様の制御器(131)は、冷媒制御弁(150)である第2膨張弁(46)又は第3膨張弁(42)の単位縮小量と単位拡大量の両方を、高圧指標に基づいて変更する。
【0027】
本開示の第9の態様は、上記第1~第8のいずれか一つの態様において、上記熱源側熱交換器(24)は、冷媒を室外空気と熱交換させる熱交換器であり、上記高圧指標は、室外空気の温度である。
【0028】
第9の態様の制御器(131)は、室外空気の温度が基準値よりも高いときの単位変更量を、室外空気の温度が基準値よりも低いときの単位変更量よりも小さくする。
【0029】
本開示の第10の態様は、冷凍装置(1)であって、上記第1~第8のいずれか一つの態様の熱源ユニット(10)と、上記熱源ユニット(10)に配管を介して接続される利用側ユニット(60,70)とを備える。
【0030】
第10の態様では、熱源ユニット(10)と利用側ユニット(60,70)とが冷凍装置(1)を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、実施形態1の冷凍装置の配管系統図である。
図2図2は、制御システムと、その周辺機器の接続関係を表したブロック図である。
図3図3は、流路切換機構の構成図である。
図4図4は、冷凍装置の配管系統図であり、冷設運転の冷媒の流れを示している。
図5図5は、冷凍装置の配管系統図であり、冷房運転(デフロスト運転)の冷媒の流れを示している。
図6図6は、冷凍装置の配管系統図であり、冷房冷設運転(デフロスト運転)の冷媒の流れを示している。
図7図7は、冷凍装置の配管系統図であり、暖房運転の冷媒の流れを示している。
図8図8は、冷凍装置の配管系統図であり、第1暖房冷設運転の冷媒の流れを示している。
図9図9は、冷凍装置の配管系統図であり、第2暖房冷設運転の冷媒の流れを示している。
図10図10は、冷凍装置の配管系統図であり、第3暖房冷設運転の冷媒の流れを示している。
図11図11は、実施形態1の室外コントローラによる第1室外膨張弁の制御を示すフロー図である。
図12図12は、実施形態2の室外コントローラによるインジェクション弁の制御を示すフロー図である。
図13図13は、実施形態3の室外コントローラによるガス抜き弁の制御を示すフロー図である。
図14図14は、実施形態4の冷凍装置の配管系統図である。
図15図15は、実施形態5の冷凍装置の配管系統図である。
図16図16は、冷凍サイクルを示すモリエル線図(圧力-エンタルピ線図)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。
【0033】
本実施形態の冷凍装置(1)は、冷却対象の冷却と、室内の空調とを同時に行う。ここでいう冷却対象は、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケースなどの設備内の空気を含む。以下では、このような設備を冷設と称する。
【0034】
(1)全体構成
図1に示すように、冷凍装置(1)は、室外に設置される熱源ユニット(10)と、室内を空調する空調ユニット(60)と、庫内の空気を冷却する冷設ユニット(70)とを備える。図1では、1つの空調ユニット(60)を図示している。冷凍装置(1)は、並列に接続される2つ以上の空調ユニット(60)を有してもよい。図1では、1つの冷設ユニット(70)を図示している。冷凍装置(1)は、並列に接続される2つ以上の冷設ユニット(70)を有してもよい。
【0035】
冷凍装置(1)は、熱源ユニット(10)、空調ユニット(60)、および冷設ユニット(70)を接続する4本の連絡配管(2,3,4,5)を備える。冷凍装置(1)では、熱源ユニット(10)、空調ユニット(60)、および冷設ユニット(70)がこれらの連絡配管(2,3,4,5)で接続されることで、冷媒回路(6)が構成される。
【0036】
冷媒回路(6)は、充填された冷媒を含む。冷媒回路(6)は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。本実施形態の冷媒は二酸化炭素である。冷媒回路(6)は、冷媒が臨界圧力以上となる冷凍サイクルを行う。冷媒は二酸化炭素以外の自然冷媒であってもよい。
【0037】
(1-1)連絡配管
4本の連絡配管(2,3,4,5)は、第1液連絡配管(2)、第1ガス連絡配管(3)、第2液連絡配管(4)、および第2ガス連絡配管(5)で構成される。第1液連絡配管(2)および第1ガス連絡配管(3)は、空調ユニット(60)に対応する。第2液連絡配管(4)および第2ガス連絡配管(5)は、冷設ユニット(70)に対応する。
【0038】
(2)熱源ユニット
熱源ユニット(10)は、熱源回路(11)と室外ファン(12)とを有する。熱源回路(11)は、圧縮部(20)、室外熱交換器(24)、およびレシーバ(25)を有する。熱源回路(11)は、第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)を有する。熱源回路(11)は、さらに過冷却熱交換器(28)および中間冷却器(29)を有する。
【0039】
熱源回路(11)は、4つの閉鎖弁(13,14,15,16)を有する。4つの閉鎖弁は、第1ガス閉鎖弁(13)、第1液閉鎖弁(14)、第2ガス閉鎖弁(15)、および第2液閉鎖弁(16)で構成される。
【0040】
第1ガス閉鎖弁(13)には、第1ガス連絡配管(3)が接続される。第1液閉鎖弁(14)には、第1液連絡配管(2)が接続される。第2ガス閉鎖弁(15)には、第2ガス連絡配管(5)が接続される。第2液閉鎖弁(16)には、第2液連絡配管(4)が接続される。
【0041】
熱源ユニット(10)は、流路切換機構(30)を有する。図1などの冷媒回路の配管系統図では、流路切換機構(30)の詳細の図示を省略している。流路切換機構(30)は、冷媒回路(6)の冷媒の流路を切り換える。流路切換機構(30)の詳細は後述する。
【0042】
(2-1)圧縮部
圧縮部(20)は、冷媒を圧縮する。圧縮部(20)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)を有する。圧縮部(20)は、冷媒を単段で圧縮する運転と、冷媒を二段で圧縮する運転とを行う。
【0043】
第1圧縮機(21)は、冷設ユニット(70)に対応する冷設圧縮機である。第1圧縮機(21)は、第1圧縮要素の一例である。第2圧縮機(22)は、空調ユニット(60)に対応する空調圧縮機である。第2圧縮機(22)は、第2圧縮要素の一例である。第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)は、低段側の圧縮機である。第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)は、並列に接続される。
【0044】
第3圧縮機(23)は、高段側の圧縮機である。第3圧縮機(23)は、第1圧縮機(21)と直列に接続される。第3圧縮機(23)は、第2圧縮機(22)と直列に接続される。
【0045】
第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、モータによって圧縮機構が駆動される回転式圧縮機である。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、可変容量式である。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、インバータ装置によってモータの回転数が調節される。言い換えると、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)は、それらの運転容量が調節可能に構成される。
【0046】
第1圧縮機(21)には、第1吸入管(21a)および第1吐出管(21b)が接続される。第2圧縮機(22)には、第2吸入管(22a)および第2吐出管(22b)が接続される。第3圧縮機(23)には、第3吸入管(23a)および第3吐出管(23b)が接続される。
【0047】
(2-2)中間流路
熱源回路(11)は、中間流路(18)を含む。中間流路(18)は、第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)の吐出部と、第3圧縮機(23)の吸入部とを繋ぐ。中間流路(18)は、第1吐出管(21b)、第2吐出管(22b)、および第3吸入管(23a)を含む。
【0048】
(2-3)室外熱交換器および室外ファン
室外熱交換器(24)は、熱源側熱交換器の一例である。室外熱交換器(24)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室外ファン(12)は、室外熱交換器(24)の近傍に配置される。室外ファン(12)は、室外空気を搬送する。室外熱交換器は、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(12)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0049】
(2-4)液側流路
熱源回路(11)は、液側流路(40)を含む。液側流路(40)は、室外熱交換器(24)の液側端と、2つの液閉鎖弁(14,16)との間に設けられる。液側流路(40)は、第1から第5までの管(40a,40b,40c,40d,40e)を含む。
【0050】
第1管(40a)の一端は、室外熱交換器(24)の液側端に接続する。第1管(40a)の他端は、レシーバ(25)の頂部に接続する。第2管(40b)の一端は、レシーバ(25)の底部に接続する。第2管(40b)の他端は、第2液閉鎖弁(16)に接続する。第3管(40c)の一端は、第2管(40b)の中途部に接続する。第3管(40c)の他端は、第1液閉鎖弁(14)に接続する。第4管(40d)の一端は、第1管(40a)における第1室外膨張弁(26)とレシーバ(25)の間に接続する。第4管(40d)の他端は、第3管(40c)の中途部に接続する。第5管(40e)の一端は、第1管(40a)における室外熱交換器(24)と第1室外膨張弁(26)の間に接続する。第5管(40e)の他端は、第2管(40b)におけるレシーバ(25)と第3管(40c)の接続部との間に接続する。
【0051】
(2-5)室外膨張弁
第1室外膨張弁(26)は、第1管(40a)に設けられる。第1室外膨張弁(26)は、第1管(40a)において、室外熱交換器(24)の液側端と、第4管(40d)の接続部との間に設けられる。第1室外膨張弁(26)は、第1膨張弁の一例である。第2室外膨張弁(27)は、第5管(40e)に設けられる。
【0052】
第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)は、その開度が調節可能な膨張弁である。第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)は、弁体と、弁体を駆動するステッピングモータとを備えた電子膨張弁である。ステッピングモータは、入力されたパルスの数に応じた角度だけ回転する。従って、第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)の開度は、それぞれのステッピングモータに入力されたパルスの数に応じた分だけ変化する。
【0053】
(2-6)レシーバ
レシーバ(25)は、冷媒を貯留する密閉容器である。レシーバ(25)では、流入した気液二相状態の冷媒がガス冷媒と液冷媒に分離する。レシーバ(25)の内部には、ガス層と液層とが形成される。ガス層は、レシーバ(25)の頂部側に形成される。液層はレシーバ(25)の底部側に形成される。
【0054】
(2-7)ガス抜き管
熱源回路(11)は、ガス抜き管(41)を有する。ガス抜き管(41)の一端は、レシーバ(25)の頂部に接続する。ガス抜き管(41)の他端は、中間流路(18)に接続する。ガス抜き管(41)は、レシーバ(25)内のガス冷媒を、中間流路(18)を通じて第3圧縮機(23)に送る。
【0055】
ガス抜き管(41)には、ガス抜き弁(42)が設けられる。ガス抜き弁(42)は、第3膨張弁の一例である。第1室外膨張弁(26)と同様に、ガス抜き弁(42)は、ステッピングモータを備えた電子膨張弁である。ガス抜き弁(42)の開度は、ガス抜き弁(42)のステッピングモータに入力されたパルスの数に応じた分だけ変化する。
【0056】
(2-8)過冷却熱交換器
過冷却熱交換器(28)は、高圧側流路である第1流路(28a)と、低圧側流路である第2流路(28b)とを有する。過冷却熱交換器(28)は、第1流路(28a)の冷媒と、第2流路(28b)の冷媒とを熱交換する。言い換えると、過冷却熱交換器(28)は、第2流路(28b)を流れる冷媒により、第1流路(28a)を流れる冷媒を冷却する。
【0057】
第2流路(28b)は、インジェクション流路(43)の途中に設けられる。インジェクション流路(43)は、上流流路(44)と下流流路(45)とを含む。インジェクション流路(43)は、インジェクション管の一例である。
【0058】
上流流路(44)の一端は、第3管(40c)における第4管(40d)の接続部によりも上流側に接続する。上流流路(44)の他端は、第2流路(28b)の流入端に接続する。上流流路(44)には、インジェクション弁(46)が設けられる。
【0059】
インジェクション弁(46)は、第2膨張弁の一例である。第1室外膨張弁(26)と同様に、インジェクション弁(46)は、ステッピングモータを備えた電子膨張弁である。インジェクション弁(46)の開度は、インジェクション弁(46)のステッピングモータに入力されたパルスの数に応じた分だけ変化する。
【0060】
下流流路(45)の一端は、第2流路(28b)の流出端に接続する。下流流路(45)の他端は、中間流路(18)に接続する。
【0061】
(2-9)中間冷却器
中間冷却器(29)は、中間流路(18)に設けられる。中間冷却器(29)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。中間冷却器(29)の近傍には、冷却ファン(29a)が配置される。中間冷却器(29)は、その内部を流れる冷媒と、冷却ファン(29a)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0062】
(2-10)油分離回路
熱源回路(11)は、油分離回路を含む。油分離回路は、油分離器(50)と、第1油戻し管(51)と、第2油戻し管(52)とを有する。
【0063】
油分離器(50)は、第3吐出管(23b)に接続される。油分離器(50)は、圧縮部(20)から吐出された冷媒中から油を分離する。第1油戻し管(51)および第2油戻し管(52)の流入端は、油分離器(50)に連通する。第1油戻し管(51)の流出端は、中間流路(18)に接続する。第1油戻し管(51)には、第1油量調節弁(53)が設けられる。
【0064】
第2油戻し管(52)の流出側は、第1分岐管(52a)と第2分岐管(52b)とに分離する。第1分岐管(52a)は、第1圧縮機(21)の油貯留部に接続する。第2分岐管(52b)は、第2圧縮機(22)の油貯留部に接続する。第1分岐管(52a)には、第2油量調節弁(54)が設けられる。第2分岐管(52b)には、第3油量調節弁(55)が設けられる。
【0065】
(2-11)バイパス管
熱源回路(11)は、第1バイパス管(56)、第2バイパス管(57)、および第3バイパス管(58)を有する。第1バイパス管(56)は、第1圧縮機(21)に対応する。第2バイパス管(57)は、第2圧縮機(22)に対応する。第3バイパス管(58)は、第3圧縮機(23)に対応する。
【0066】
具体的には、第1バイパス管(56)は、第1吸入管(21a)と第1吐出管(21b)とを直に繋ぐ。第2バイパス管(57)は、第2吸入管(22a)と第2吐出管(22b)とを直に繋ぐ。第3バイパス管(58)は、第3吸入管(23a)と第3吐出管(23b)とを直に繋ぐ。
【0067】
(2-12)逆止弁
熱源回路(11)は、複数の逆止弁を有する。複数の逆止弁は、第1から第12までの逆止弁(CV1~CV12)を含む。これらの逆止弁(CV1~CV12)は、図1の矢印方向の冷媒の流れを許容し、その逆方向の冷媒の流れを禁止する。
【0068】
第1逆止弁(CV1)および第2逆止弁(CV2)は、詳細は後述する流路切換機構(30)に設けられる。
【0069】
第3逆止弁(CV3)は、第3吐出管(23b)に設けられる。第4逆止弁(CV4)は、第1管(40a)に設けられる。第5逆止弁(CV5)は、第3管(40c)に設けられる。第6逆止弁(CV6)は、第4管(40d)に設けられる。第7逆止弁(CV7)は、第5管(40e)に設けられる。第8逆止弁(CV8)は、第1バイパス管(56)に設けられる。第9逆止弁(CV9)は、第2バイパス管(57)に設けられる。第10逆止弁(CV10)は、第3バイパス管(58)に設けられる。第11逆止弁(CV11)は、第1吐出管(21b)に設けられる。第12逆止弁(CV12)は、第2吐出管(22b)に設けられる。
【0070】
(3)空調ユニット
空調ユニット(60)は、室内に設置される第1利用側ユニットである。空調ユニット(60)は、室内回路(61)と室内ファン(62)とを有する。室内回路(61)の液側端には、第1液連絡配管(2)が接続される。室内回路(61)のガス側端には、第1ガス連絡配管(3)が接続される。
【0071】
室内回路(61)は、液側端からガス側端に向かって順に、室内膨張弁(63)および室内熱交換器(64)を有する。室内膨張弁(63)は、その開度が調節可能な膨張弁である。室内膨張弁(63)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0072】
室内熱交換器(64)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室内熱交換器(64)は、第1利用側熱交換器の一例である。室内ファン(62)は、室内熱交換器(64)の近傍に配置される。室内ファン(62)は、室内空気を搬送する。室内熱交換器(64)は、その内部を流れる冷媒と、室内ファン(62)が搬送する室内空気とを熱交換させる。
【0073】
(4)冷設ユニット
冷設ユニット(70)は、庫内を冷却する第2利用側ユニットである。冷設ユニット(70)は、冷設回路(71)と冷設ファン(72)とを有する。冷設回路(71)の液側端には、第2液連絡配管(4)が接続される。冷設回路(71)のガス側端には、第2ガス連絡配管(5)が接続される。
【0074】
冷設回路(71)は、液側端からガス側端に向かって順に、冷設膨張弁(73)および冷設熱交換器(74)を有する。冷設膨張弁(73)は、その開度が調節可能な膨張弁である。冷設膨張弁(73)は、パルス信号に基づき開度を調節する電子膨張弁である。
【0075】
冷設熱交換器(74)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。冷設熱交換器(74)は、第2利用側熱交換器の一例である。冷設ファン(72)は、冷設熱交換器(74)の近傍に配置される。冷設ファン(72)は、庫内空気を搬送する。冷設熱交換器(74)は、その内部を流れる冷媒と、冷設ファン(72)が搬送する庫内空気とを熱交換させる。
【0076】
冷設熱交換器(74)における冷媒の蒸発温度は、室内熱交換器(64)における冷媒の蒸発温度よりも低い。
【0077】
(5)流路切換機構
流路切換機構(30)は、熱源回路(11)に設けられる。図1および図3に示すように、流路切換機構(30)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、第4ポート(P4)、切換第1流路(31)、切換第2流路(32)、切換第3流路(33)、および切換第4流路(34)を有する。切換第1流路(31)には、第1開閉機構(81)が設けられ、切換第2流路(32)には、第2開閉機構(82)が設けられ、切換第3流路(33)には、第3開閉機構(83)が設けられ、切換第4流路(34)には、第4開閉機構(84)が設けられる。
【0078】
(5-1)ポート
第1ポート(P1)は、第1圧縮機(21)の吐出部、および第2圧縮機(22)の吐出部と繋がる。第1圧縮機(21)の吐出部は、第1吐出ライン(L1)を介して第1ポート(P1)と繋がる。第1吐出ライン(L1)は、一端が第1圧縮機(21)の吐出部と接続し、他端が第1ポート(P1)と接続する流路である。言い換えると、第1吐出ライン(L1)は、第1圧縮機(21)の吐出部から第1ポート(P1)までに亘る流路である。
【0079】
第2圧縮機(22)の吐出部は、第2吐出ライン(L2)を介して第1ポート(P1)と繋がる。第2吐出ライン(L2)は、一端が第2圧縮機(22)の吐出部と接続し、他端が第1ポート(P1)と接続する流路である。言い換えると、第2吐出ライン(L2)は、第2圧縮機(22)の吐出部から第1ポート(P1)までに亘る流路である。
【0080】
第2ポート(P2)は、第2圧縮機(22)の吸入部と繋がる。第2ポート(P2)は、第1圧縮機(21)の吸入部と繋がらない。第2ポート(P2)は、吸入ライン(L3)を介して第2圧縮機(22)の吸入部と繋がる。吸入ライン(L3)は、一端が第2圧縮機(22)の吸入部と接続し、他端が第2ポート(P2)と接続する流路である。言い換えると、吸入ライン(L3)は、第2圧縮機(22)の吸入部から第2ポート(P2)までに亘る流路である。
【0081】
第3ポート(P3)は、室内熱交換器(64)のガス端部と繋がる。第3ポート(P3)は、第1ガスライン(L4)を介して室内熱交換器(64)のガス端部と繋がる。第1ガスライン(L4)は、一端が室内熱交換器(64)に接続し、他端が第3ポート(P3)と接続する流路である。言い換えると、第1ガスライン(L4)は、室内熱交換器(64)のガス端部から第3ポート(P3)に亘る流路である。
【0082】
第4ポート(P4)は、室外熱交換器(24)のガス端部と繋がる。第4ポート(P4)は、第2ガスライン(L5)を介して室外熱交換器(24)のガス端部と繋がる。第2ガスライン(L5)は、一端が室外熱交換器(24)のガス端部に接続し、他端が第4ポート(P4)に接続する。第2ガスライン(L5)は、室外熱交換器(24)のガス端部から第4ポート(P4)までに亘る流路である。
【0083】
第1吐出ライン(L1)、第2吐出ライン(L2)、吸入ライン(L3)、第1ガスライン(L4)、および第2ガスライン(L5)は、配管や、配管に接続される要素機器も含む流路を意味する。
【0084】
(5-2)流路
図1において模式的に示すように、切換第1流路(31)、切換第2流路(32)、切換第3流路(33)、および切換第4流路(34)は、ブリッジ状に接続される。切換第1流路(31)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通する。切換第2流路(32)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通する。切換第3流路(33)は、第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通する。切換第4流路(34)は、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通する。切換第1流路(31)および切換第2流路(32)は、高圧圧力が作用する高圧側流路である。言い換えると、切換第1流路(31)および切換第2流路(32)は、圧縮部(20)の吐出圧力が作用する吐出側流路である。切換第3流路(33)および切換第4流路(34)は、低圧圧力が作用する低圧側流路である。切換第3流路(33)および切換第4流路(34)は、圧縮部(20)の吸入圧力が作用する吸入側流路である。
【0085】
図3に示すように、切換第1流路(31)は、互いに並列な2つ以上の第1分流路(31a)を有する。本例の切換第1流路(31)は、7つの第1分流路(31a)を有する。本例の切換第2流路(32)は、互いに並列な2つ以上の第2分流路(32a)を有する。切換第2流路(32)は、7つの第2分流路(32a)を有する。切換第3流路(33)は、互いに並列な第3分流路(33a)を有する。本例の切換第3流路(33)は、4つの第3分流路(33a)を有する。切換第4流路(34)は、1つの流路によって構成される。
【0086】
(5-3)開閉機構
第1開閉機構(81)は、複数の第1開閉弁(V1)を有する。切換第1流路(31)には、2つ以上の第1開閉弁(V1)が並列に設けられる。本例の切換第1流路(31)には、7つの第1開閉弁(V1)が設けられる。各第1分流路(31a)のそれぞれには、第1開閉弁(V1)が1つずつ設けられる。複数の第1開閉弁(V1)は、第1切換用膨張弁(91)と第1電磁開閉弁(92)とを含む。第1切換用膨張弁(91)の数は1つであり、第1電磁開閉弁(92)の数は6つである。第1切換用膨張弁(91)は、開度が可変な電子膨張弁である。
【0087】
第2開閉機構(82)は、複数の第2開閉弁(V2)を有する。切換第2流路(32)には、2つ以上の第2開閉弁(V2)が並列に設けられる。本例の切換第2流路(32)には、7つの第2開閉弁(V2)が設けられる。各第2分流路(32a)のそれぞれには、第2開閉弁(V2)が1つずつ設けられる。複数の第2開閉弁(V2)は、第2切換用膨張弁(93)と第2電磁開閉弁(94)とを含む。第2切換用膨張弁(93)の数は1つであり、第2電磁開閉弁(94)の数は6つである。第2切換用膨張弁(93)は、開度が可変な電子膨張弁である。
【0088】
第3開閉機構(83)は、複数の第3開閉弁(V3)を有する。切換第2流路(32)には、2つ以上の第3開閉弁(V3)が並列に設けられる。本例の切換第3流路(33)には、4つの第3開閉弁(V3)が設けられる。各第3分流路(33a)のそれぞれには、第3開閉弁(V3)が1つずつ設けられる。これらの第3開閉弁(V3)は、電磁開閉弁である。
【0089】
第4開閉機構(84)は、1つの第4開閉弁(V4)を有する。切換第4流路(34)には、第4開閉弁(V4)が設けられる。第4開閉弁(V4)は、電磁開閉弁である。
【0090】
第1開閉弁(V1)、第2開閉弁(V2)、第3開閉弁(V3)、および第4開閉弁(V4)は、図2に示すように単に開閉弁(V)と述べる場合がある。
【0091】
(5-4)逆止弁
流路切換機構(30)は、逆止弁(CV1,CV2)を有する。具体的には、切換第4流路(34)には、第1逆止弁(CV1)が設けられる。切換第1流路(31)には、第2逆止弁(CV2)が設けられる。
【0092】
第1逆止弁(CV1)は、切換第4流路(34)において、第2ポート(P2)から第4ポート(P4)へ向かう冷媒の流れを制限する。厳密には、第1逆止弁(CV1)は、切換第4流路(34)において、第4ポート(P4)から第2ポート(P2)へ向かう冷媒の流れを許容し、第2ポート(P2)から第4ポート(P4)へ向かう冷媒の流れを禁止する。第1逆止弁(CV1)は、切換第4流路(34)において、開閉弁(V)よりも第2ポート(P2)寄りに設けられる。
【0093】
第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)において、第3ポート(P3)から第1ポート(P1)へ向かう冷媒の流れを制限する。厳密には、第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)において、第1ポート(P1)から第3ポート(P3)へ向かう冷媒の流れを許容し、第3ポート(P3)から第1ポート(P1)へ向かう冷媒の流れを禁止する。第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)における主流路(31b)に設けられる。主流路(31b)は、複数の第1分流路(31a)の端部が接続された流路である。第2逆止弁(CV2)は、切換第1流路(31)において、開閉弁(V)よりも第3ポート(P3)寄りに設けられる。
【0094】
(6)センサ
図1に示すように、冷凍装置(1)は、複数のセンサを有する。複数のセンサは、冷媒の圧力を検出する冷媒圧力センサと、冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、空気の温度を検出する空気温度センサとを含む。
【0095】
冷媒圧力センサは、高圧圧力センサ(101)、中間圧力センサ(102)、第1吸入圧力センサ(103)、第2吸入圧力センサ(104)、および液側圧力センサ(105)を含む。高圧圧力センサ(101)は、第3吐出管(23b)に設けられる。高圧圧力センサ(101)は、圧縮部(20)の吐出側の冷媒の圧力、言い換えると冷媒回路(6)の高圧圧力を検出する。中間圧力センサ(102)は、第3吸入管(23a)に設けられる。中間圧力センサ(102)は、低段側の圧縮機と高段側の圧縮機の間の冷媒の圧力、言い換えると冷媒回路(6)の中間圧力を検出する。第1吸入圧力センサ(103)は、第1吸入管(21a)に設けられる。第1吸入圧力センサ(103)は、第1圧縮機(21)の吸入側の冷媒の圧力を検出する。第2吸入圧力センサ(104)は、第2吸入管(22a)に設けられる。第2吸入圧力センサ(104)は、第2圧縮機(22)の吸入側の冷媒の圧力を検出する。
【0096】
液側圧力センサ(105)は、液側流路(40)に設けられる。具体的には、液側圧力センサ(105)は、第2管(40b)に設けられる。液側圧力センサ(105)は、レシーバ(25)の内圧に相当する圧力を検出する。液側圧力センサ(105)は、第1流路(28a)内の冷媒の圧力に相当する圧力を検出する。
【0097】
冷媒温度センサは、第1吐出温度センサ(111)、第1吸入温度センサ(112)、第2吐出温度センサ(113)、第2吸入温度センサ(114)、第3吐出温度センサ(115)、第3吸入温度センサ(116)、液側温度センサ(117)、およびインジェクション側温度センサ(118)、熱源側温度センサ(119)を含む。第1吐出温度センサ(111)は、第1吐出管(21b)に設けられ、第1圧縮機(21)から吐出される冷媒の温度を検出する。第1吸入温度センサ(112)は、第1吸入管(21a)に設けられ、第1圧縮機(21)に吸入される冷媒の温度を検出する。第2吐出温度センサ(113)は、第2吐出管(22b)に設けられ、第2圧縮機(22)から吐出される冷媒の温度を検出する。第2吸入温度センサ(114)は、第2吸入管(22a)に設けられ、第2圧縮機(22)に吸入される冷媒の温度を検出する。第3吐出温度センサ(115)は、第3吐出管(23b)に設けられ、第3圧縮機(23)から吐出される冷媒の温度を検出する。第3吸入温度センサ(116)は、第3吸入管(23a)に設けられ、第3圧縮機(23)に吸入される冷媒の温度を検出する。
【0098】
液側温度センサ(117)は、液側流路(40)に設けられる。具体的には、液側温度センサ(117)は、液側流路(40)における過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)の流出側に設けられる。より具体的には、液側温度センサ(117)は、液側流路(40)における、第1流路(28a)の流出端と、インジェクション流路(43)の流入端との間に設けられる。液側温度センサ(117)は、第1流路(28a)を流出した冷媒の温度を検出する。
【0099】
インジェクション側温度センサ(118)は、インジェクション流路(43)の下流流路(45)に設けられる。言い換えると、インジェクション側温度センサ(118)は、過冷却熱交換器(28)の第2流路(28b)の流出側に設けられる。インジェクション側温度センサ(118)は、第2流路(28b)を流出した冷媒の温度を検出する。
【0100】
熱源側温度センサ(119)は、室外熱交換器(24)の伝熱管に設けられる。熱源側温度センサ(119)は、室外熱交換器(24)における液側端部に設けられる。熱源側温度センサ(119)は、室外熱交換器(24)の液側端部の冷媒の温度を検出する。
【0101】
空気温度センサは、外気温度センサ(121)を含む。外気温度センサ(121)は、室外空気の温度を検出する。
【0102】
(7)制御システム
図2に示すように、冷凍装置(1)は、冷媒回路(6)を制御する制御システム(130)を備える。制御システム(130)は、室外コントローラ(131)と、室内コントローラ(132)と、冷設コントローラ(133)とを有する。室外コントローラ(131)と、室内コントローラ(132)と、冷設コントローラ(133)のそれぞれは、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。
【0103】
図1に示すように、室外コントローラ(131)は、熱源ユニット(10)に設けられる。室内コントローラ(132)は、空調ユニット(60)に設けられる。冷設コントローラ(133)は、冷設ユニット(70)に設けられる。室外コントローラ(131)は、室内コントローラ(132)および冷設コントローラ(133)と通信可能である。
【0104】
制御システム(130)は、制御指令や、各センサの検出信号が入力される。制御システム(130)は、冷凍装置(1)の各機器を制御する。具体的には、制御システム(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)のON/OFFを制御する。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)の回転速度を調節することによって、圧縮部(20)の運転容量を調節する。制御システム(130)は、各ファン(12,62,72)のON/OFFを制御する。制御システム(130)は、各膨張弁(26,27,63)の開度を調節する。制御システム(130)は各弁(42,43)の開閉状態を切り換える。制御システム(130)は、各開閉弁(V)の開閉状態を切り換えたり、各開閉弁(V)の開度を調節したりする。
【0105】
(8)運転動作
冷凍装置(1)の運転動作について説明する。冷凍装置(1)の運転は、冷設運転、冷房運転、冷房冷設運転、暖房運転、暖房冷設運転、デフロスト運転を含む。暖房冷設運転は、第1暖房冷設運転、第2暖房冷設運転、第3暖房冷設運転を含む。
【0106】
冷設運転では、冷設ユニット(70)が庫内の空気を冷却し、空調ユニット(60)は停止する。冷房運転では、冷設ユニット(70)が停止し、空調ユニット(60)が室内を冷房する。冷房冷設運転では、冷設ユニット(70)が庫内の空気を冷却し、空調ユニット(60)が室内を冷房する。暖房運転では、冷設ユニット(70)が停止し、空調ユニット(60)が室内を暖房する。暖房冷設運転では、冷設ユニット(70)が庫内の空気を冷却し、空調ユニット(60)が室内を暖房する。デフロスト運転では、室外熱交換器(24)に付着した霜が融かされる。
【0107】
第1暖房冷設運転は、室外熱交換器(24)および冷設熱交換器(74)で冷媒が奪った熱を暖房に利用する運転である。第2暖房冷設運転は、室外熱交換器(24)を機能させず、冷設熱交換器(74)で冷媒が奪った熱を暖房に利用する運転である。第3暖房冷設運転は、室外熱交換器(24)から冷媒の熱を放出する運転である。
【0108】
各運転の概要について図4図10を参照しながら説明する。なお、図中において、冷媒が流れを破線矢印で示すとともに冷媒の流れる流路を太くしている。図中において、放熱器として機能する熱交換器にハッチングを付し、蒸発器として機能する熱交換器にドットを付している。
【0109】
(8-1)冷設運転
図4に示す冷設運転では、制御システム(130)が第1開閉弁(V1)、第3開閉弁(V3)、および第4開閉弁(V4)を閉じ、第2開閉弁(V2)を開ける。制御システム(130)は、第2圧縮機(22)を停止し、第1圧縮機(21)および第3圧縮機(23)を運転する。制御システム(130)は、第1室外膨張弁(26)およびインジェクション弁(46)の開度を調節し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。制御システム(130)は、室内膨張弁(63)を閉じ、冷設膨張弁(73)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)および冷設ファン(72)を運転し、室内ファン(62)を停止する。
【0110】
冷設運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、室内熱交換器(64)の機能が実質的に停止し、冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0111】
具体的には、第1圧縮機(21)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって臨界圧力以上まで圧縮された冷媒は、室外熱交換器(24)で放熱した後、第1室外膨張弁(26)を通過する。第1室外膨張弁(26)は、冷媒を臨界圧力より低い圧力まで減圧する。
【0112】
亜臨界状態となった冷媒は、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0113】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0114】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、冷設ユニット(70)に送られる。冷設ユニット(70)に送られた冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0115】
(8-2)冷房運転
図5に示す冷房運転では、制御システム(130)が第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を閉じ、第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を開ける。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)を停止し、第2圧縮機(22)および第3圧縮機(23)を運転する。制御システム(130)は、第1室外膨張弁(26)、インジェクション弁(46)、およびガス抜き弁(42)の開度を調節し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。制御システム(130)は、冷設膨張弁(73)を閉じ、室内膨張弁(63)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)および室内ファン(62)を運転し、冷設ファン(72)を停止する。
【0116】
冷房運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、室内熱交換器(64)が蒸発器として機能し、冷設熱交換器(74)の機能が実質的に停止する冷凍サイクルが行われる。
【0117】
具体的には、第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって臨界圧力以上まで圧縮された冷媒は、室外熱交換器(24)で放熱した後、第1室外膨張弁(26)を通過する。第1室外膨張弁(26)は、冷媒を臨界圧力より低い圧力まで減圧する。
【0118】
亜臨界状態となった冷媒は、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0119】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0120】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内膨張弁(63)によって減圧された後、室内熱交換器(64)で蒸発する。この結果、室内の空気が冷却される。室内熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0121】
(8-3)冷房冷設運転
図6に示す冷房冷設運転では、制御システム(130)が第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を閉じ、第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を開ける。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)を運転する。制御システム(130)は、第1室外膨張弁(26)、インジェクション弁(46)、およびガス抜き弁(42)の開度を調節し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。制御システム(130)は、冷設膨張弁(73)および室内膨張弁(63)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0122】
冷設冷設運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、室内熱交換器(64)および冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0123】
具体的には、第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって臨界圧力以上まで圧縮された冷媒は、室外熱交換器(24)で放熱した後、第1室外膨張弁(26)を通過する。第1室外膨張弁(26)は、冷媒を臨界圧力より低い圧力まで減圧する。
【0124】
亜臨界状態となった冷媒は、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0125】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0126】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、空調ユニット(60)および冷設ユニット(70)に送られる。空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内膨張弁(63)によって減圧された後、室内熱交換器(64)で蒸発する。この結果、室内の空気が冷却される。室内熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0127】
冷設ユニット(70)に送られた冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0128】
(8-4)暖房運転
図7に示す暖房運転では、制御システム(130)が第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を閉じ、第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を開ける。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)を停止し、第2圧縮機(22)および第3圧縮機(23)を運転する。制御システム(130)は、第2室外膨張弁(27)、インジェクション弁(46)、およびガス抜き弁(42)の開度を調節し、第1室外膨張弁(26)を閉じる。制御システム(130)は、冷設膨張弁(73)を閉じ、室内膨張弁(63)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)および室内ファン(62)を運転し、冷設ファン(72)を停止する。
【0129】
暖房運転では、室内熱交換器(64)が放熱器として機能し、室外熱交換器(24)が蒸発器として機能し、冷設熱交換器(74)の機能が実質的に停止する冷凍サイクルが行われる。
【0130】
具体的には、第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。
【0131】
空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0132】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0133】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、第2室外膨張弁(27)によって減圧された後、室外熱交換器(24)で蒸発する。室外熱交換器(24)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0134】
(8-5)第1暖房冷設運転
図8に示す第1暖房冷設運転は、空調ユニット(60)の暖房負荷が高いときに実行される。第1暖房冷設運転では、制御システム(130)が第2開閉弁(V2)および第3開閉弁(V3)を閉じ、第1開閉弁(V1)および第4開閉弁(V4)を開ける。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、および第3圧縮機(23)を運転する。制御システム(130)は、第2室外膨張弁(27)、インジェクション弁(46)、およびガス抜き弁(42)の開度を調節し、第1室外膨張弁(26)を閉じる。制御システム(130)は、室内膨張弁(63)および冷設膨張弁(73)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0135】
第1暖房冷設運転では、室内熱交換器(64)が放熱器として機能し、室外熱交換器(24)および冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0136】
具体的には、第1圧縮機(21)および第2圧縮機(22)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。
【0137】
空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0138】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0139】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒の一部は、第2室外膨張弁(27)によって減圧された後、室外熱交換器(24)で蒸発する。室外熱交換器(24)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0140】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒の残部は、冷設ユニット(70)に送られる。冷設ユニット(70)に送られた冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0141】
(8-6)第2暖房冷設運転
図9に示す第2暖房冷設運転は、空調ユニット(60)の暖房負荷が過剰に高くも低くもないときに実行される。第2暖房冷設運転では、制御システム(130)が第2開閉弁(V2)、第3開閉弁(V3)、および第4開閉弁(V4)を閉じ、第1開閉弁(V1)を開ける。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)および第3圧縮機(23)を運転し、第2圧縮機(22)を停止する。制御システム(130)は、インジェクション弁(46)およびガス抜き弁(42)の開度を調節し、第1室外膨張弁(26)および第2室外膨張弁(27)を閉じる。制御システム(130)は、室内膨張弁(63)および冷設膨張弁(73)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)を停止し、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0142】
第2暖房冷設運転では、室内熱交換器(64)が放熱器として機能し、室外熱交換器(24)が実質的に停止し、冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0143】
具体的には、第1圧縮機(21)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒は、空調ユニット(60)に送られる。
【0144】
空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0145】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0146】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0147】
(8-7)第3暖房冷設運転
図10に示す第3暖房冷設運転は、空調ユニット(60)の暖房負荷が低いときに実行される。第2暖房冷設運転では、制御システム(130)が第3開閉弁(V3)および第4開閉弁(V4)を閉じ、第1開閉弁(V1)および第2開閉弁(V2)を開ける。制御システム(130)は、第1圧縮機(21)および第3圧縮機(23)を運転し、第2圧縮機(22)を停止する。制御システム(130)は、第1室外膨張弁(26)、インジェクション弁(46)、およびガス抜き弁(42)の開度を調節し、第2室外膨張弁(27)を閉じる。制御システム(130)は、室内膨張弁(63)および冷設膨張弁(73)の開度を調節する。制御システム(130)は、室外ファン(12)、室内ファン(62)、および冷設ファン(72)を運転する。
【0148】
第3暖房冷設運転では、室内熱交換器(64)および室外熱交換器(24)が放熱器として機能し、冷設熱交換器(74)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。
【0149】
具体的には、第1圧縮機(21)によって圧縮された冷媒は、中間冷却器(29)で冷却された後、第3圧縮機(23)に吸入される。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒の一部は、空調ユニット(60)に送られる。空調ユニット(60)に送られた冷媒は、室内熱交換器(64)で放熱する。この結果、室内の空気が加熱される。室内熱交換器(64)で放熱した冷媒は、レシーバ(25)に流入する。第3圧縮機(23)によって圧縮された冷媒の残部は、室外熱交換器(24)で放熱した後、レシーバ(25)に流入する。レシーバ(25)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。
【0150】
レシーバ(25)で分離された液冷媒は、過冷却熱交換器(28)において、インジェクション流路(43)を流れる冷媒によって冷却される。インジェクション流路(43)の冷媒は、中間流路(18)に送られる。
【0151】
過冷却熱交換器(28)によって冷却された冷媒は、冷設膨張弁(73)によって減圧された後、冷設熱交換器(74)で蒸発する。この結果、庫内の空気が冷却される。冷設熱交換器(74)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(21)に吸入され、再び圧縮される。
【0152】
(8-8)デフロスト運転
デフロスト運転は、冬季などにおいて、室外熱交換器(24)に付着した霜を融かすために実行される。制御システム(130)は、例えば暖房冷設運転中において、室外熱交換器(24)が着霜したことを示す条件が成立すると、デフロスト運転を実行する。デフロスト運転の基本的な動作は、図5に示す冷房運転や、図6に示す冷房冷設運転と同じである。室外熱交換器(24)では、高圧の冷媒が外部に放熱することで、室外熱交換器(24)の表面の霜が融ける。
【0153】
(9)室外コントローラの制御動作
本実施形態の冷凍装置(1)において、制御システム(130)の室外コントローラ(131)は、保護動作と、第1室外膨張弁(26)の制御とを行う。
【0154】
(9-1)保護動作
室外コントローラ(131)が行う保護動作について説明する。この説明に示した圧力の値は、単なる一例である。
【0155】
室外コントローラ(131)は、冷凍装置(1)の運転中に、高圧圧力センサ(101)の計測値を監視する。高圧圧力センサ(101)の計測値PHは、冷凍サイクルの高圧である。
【0156】
高圧圧力センサ(101)の計測値PHが所定の上限圧力(例えば、11MPa)を上回ると、室外コントローラ(131)は、圧縮部(20)の運転容量を強制的に引き下げる動作を、保護動作として行う。上限圧力は、熱源ユニットの設計圧力(例えば、12MPa)よりも低い。
【0157】
具体的に、室外コントローラ(131)は、圧縮部(20)を構成する第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)のうち、高圧圧力センサ(101)の計測値PHが上限圧力を上回ったと判断した時点で運転中の圧縮機の回転速度を、所定値だけ引き下げる。その結果、圧縮部(20)の運転容量が減少する。圧縮部(20)の運転容量が減少すると、圧縮部(20)から吐出される冷媒の流量が減少し、冷凍サイクルの高圧が低下する。
【0158】
(9-2)第1室外膨張弁の制御
室外コントローラ(131)は、冷房運転、冷設運転、及び冷房冷設運転において、第1室外膨張弁(26)を制御する。
【0159】
冷房運転、冷設運転、及び冷房冷設運転では、室外熱交換器(24)が放熱器として機能する。室外熱交換器(24)が放熱器として機能する状態において、第1室外膨張弁(26)の開度を変更すると、室外熱交換器(24)における冷媒の圧力が変化する。室外熱交換器(24)における冷媒の圧力は、冷凍サイクルの高圧である。従って、第1室外膨張弁(26)は、開度が変化すると冷凍サイクルの高圧が変化する冷媒制御弁(150)である。
【0160】
室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、段階的に増減させる。室外コントローラ(131)が第1室外膨張弁(26)を制御するときの第1室外膨張弁(26)の開度の一段階の変更量が、単位変更量ΔEV1である。第1室外膨張弁(26)の開度を拡大するときの単位変更量ΔEV1が単位拡大量であり、第1室外膨張弁(26)の開度を縮小するときの単位変更量ΔEV1が単位縮小量である。本実施形態の室外コントローラ(131)において、第1室外膨張弁(26)の開度に関する単位拡大量と単位縮小量は同じ値である。
【0161】
室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、レシーバ(25)内の冷媒圧力(以下では、レシーバ圧力Prという)に基づいて調節する。また、室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度に関する単位変更量ΔEV1を、室外空気の温度(外気温To)に基づいて変更する。
【0162】
外気温Toは、外気温度センサ(121)の計測値である。ここで、室外熱交換器(24)が放熱器として機能する運転において、圧縮部(20)の運転容量が同じであれば、外気温Toが高くなるにつれて冷凍装置(1)の冷却能力が低下する。冷凍装置(1)は、冷却能力の低下を抑えるために、圧縮部(20)の運転容量を増加させることによって冷凍サイクルの高圧を上昇させる。このように、外気温Toが高くなるほど、冷凍サイクルの高圧が高くなる。従って、外気温Toは、冷凍サイクルの高圧を示す物理量(つまり、高圧指標)である。
【0163】
室外コントローラ(131)が第1室外膨張弁(26)を制御する動作について、図11のフロー図を参照しながら説明する。室外コントローラ(131)は、図11に示す動作を、所定の時間(例えば、10秒)毎に繰り返し行う。なお、この説明に示す具体的な数値等の数値は、単なる一例である。
【0164】
ステップST11の処理において、室外コントローラ(131)は、外気温度センサ(121)の計測値を、外気温Toとして取得する。室外コントローラ(131)は、取得した外気温Toを、所定の基準値(本実施形態では、38℃)と比較する。具体的に、室外コントローラ(131)は、外気温Toが38℃以上であるという条件の成否を判断する。
【0165】
外気温Toに関する基準値(本実施形態では、38℃)は、冷媒回路(6)に充填された冷媒(本実施形態では、二酸化炭素)の臨界点の温度(臨界温度)よりも高い値に設定される。
【0166】
外気温Toが38℃未満の場合、室外コントローラ(131)は、ステップST12の処理を行い、HT=1とする。外気温Toが38℃以上の場合、室外コントローラ(131)は、ステップST13の処理を行い、HT=αとする。HTは、単位変更量ΔEV1を定める際に用いられる係数である。αは、0よりも大きく、1よりも小さい数値である。本実施形態では、α=0.5である。
【0167】
ステップST12又はステップST13の処理が終了すると、室外コントローラ(131)は、ステップST14の処理を行う。この処理において、室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の単位変更量ΔEV1を設定する。
【0168】
具体的に、室外コントローラ(131)は、単位変更量ΔEV1を、ΔVO×HTに設定する(ΔEV1=ΔVO×HT)。ΔVOは、電子膨張弁の開度に関する基準変更量である。本実施形態のΔVOは、100パルスである。従って、本実施形態の室外コントローラ(131)は、外気温To<38℃の場合は単位変更量ΔEV1を100パルスに設定し、外気温To≧38℃の場合は単位変更量ΔEV1を50パルスに設定する。
【0169】
次のステップST15の処理において、室外コントローラ(131)は、液側圧力センサ(105)の計測値を、レシーバ圧力Prとして取得する。室外コントローラ(131)は、取得したレシーバ圧力Prを、目標範囲の下限値Pr_t1と比較する。室外コントローラ(131)は、レシーバ圧力Prが下限値Pr_t1を下回る(Pr<Pr_t1)という条件が成立する場合はステップST16の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST17の処理を行う。
【0170】
ステップST16の処理において、室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、ステップST14の処理において設定した単位変更量ΔEV1だけ拡大する。室外熱交換器(24)が放熱器として機能する状態で第1室外膨張弁(26)の開度が拡大すると、レシーバ(25)に流入する冷媒の圧力が上昇し、レシーバ圧力Prが上昇する。また、この状態で第1室外膨張弁(26)の開度が拡大すると、放熱器として機能する室外熱交換器(24)における冷媒の圧力が低下し、冷凍サイクルの高圧が低下する。
【0171】
ステップST17の処理において、室外コントローラ(131)は、取得したレシーバ圧力Prを、目標範囲の上限値Pr_t2と比較する。目標範囲の上限値Pr_t2は、冷媒の臨界圧力よりも低い値である。室外コントローラ(131)は、レシーバ圧力Prが上限値Pr_t2を上回る(Pr>Pr_t2)という条件が成立する場合はステップST18の処理を行う。
【0172】
ステップST18の処理において、室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、ステップST14の処理において設定した単位変更量ΔEV1だけ縮小する。室外熱交換器(24)が放熱器として機能する状態で第1室外膨張弁(26)の開度が縮小すると、レシーバ(25)に流入する冷媒の圧力が低下し、レシーバ圧力Prが低下する。また、この状態で第1室外膨張弁(26)の開度が縮小すると、放熱器として機能する室外熱交換器(24)における冷媒の圧力が上昇し、冷凍サイクルの高圧が上昇する。
【0173】
ステップST17の処理における条件が成立しない場合、レシーバ圧力Prは、目標範囲に入っている。そのため、この条件が成立しない場合、室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を変更せず、第1室外膨張弁(26)の制御動作を終了する。
【0174】
(10)実施形態1の特徴
本実施形態の室外コントローラ(131)は、“高圧指標である外気温Toが基準値よりも高いときの単位変更量ΔEV1”を“高圧指標が基準値よりも低いときの単位変更量ΔEV1”よりも小さくする。そのため、本実施形態によれば、冷凍サイクルの高圧の上限値(上限圧力)を従来よりも高くすることができ、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い状態で得られる冷凍装置(1)の冷却能力を増大させることができる。
【0175】
以下では、この点について説明する。なお、以下に示す具体的な数値は、単なる一例である。
【0176】
冷凍装置(1)の熱源ユニット(10)において、冷凍サイクルの高圧が熱源ユニット(10)の設計圧力(例えば、12MPa)を上回ることは、絶対に避ける必要がある。冷凍サイクルの高圧が熱源ユニット(10)の設計圧力を上回ると、熱源ユニット(10)が損傷するからである。そこで、熱源ユニット(10)は、運転中に冷凍サイクルの高圧が所定の上限圧力を超えると、熱源ユニット(10)の損傷を防ぐための保護動作を行う。
【0177】
熱源ユニット(10)が保護動作を行うと、冷凍装置(1)が発揮する冷却能力が低下する。そのため、冷凍装置(1)の冷却能力を確保する観点からは、設計圧力と上限圧力の差をなるべく小さくするのが望ましい。しかし、設計圧力と上限圧力の差を小さくしすぎると、冷凍サイクルの高圧が上限圧力を僅かに下回る状態で第1室外膨張弁(26)の開度を一段階変更した場合に、それに起因して冷凍サイクルの高圧が上昇し、冷凍サイクルの高圧が設計圧力を上回るおそれがある。そのため、従来は、上限圧力を、設計圧力(例えば、12MPa)よりもある程度低い値(例えば、10MPa)に設定する必要があった。
【0178】
この問題の解決策としては、第1室外膨張弁(26)の開度の単位変更量を、一律に比較的小さい値(例えば、50パルス)に設定することが考えられる。しかし、第1室外膨張弁(26)の開度の単位変更量を小さい値に設定すると、冷凍装置(1)の運転状態の変化に第1室外膨張弁(26)の開度の変化が追従できなくなり、第1室外膨張弁(26)の開度を適切に制御できなくなるおそれがある。
【0179】
そこで、本実施形態の室外コントローラ(131)は、“高圧指標が基準値よりも高いときの単位変更量ΔEV1”を“高圧指標が基準値よりも低いときの単位変更量ΔEV1”よりも小さくする。
【0180】
高圧指標である外気温Toが基準値よりも高い状態では、冷凍サイクルの高圧が上限圧力に近い値になっていると推測できる。そこで、この状態において、室外コントローラ(131)は、“高圧指標である外気温Toが基準値よりも高いときの単位変更量ΔEV1”を“外気温Toが基準値よりも低いときの単位変更量ΔEV1”よりも小さくする。その結果、“外気温Toが基準値よりも高いときの単位変更量”と“外気温Toが基準値よりも低いときの単位変更量”とが等しい場合に比べると、外気温Toが基準値よりも高い状態において第1室外膨張弁(26)の開度が一段階変化したときの冷凍サイクルの高圧の変動量が、小さくなる。
【0181】
このように、本実施形態によれば、高圧指標である外気温Toが基準値よりも高い状態で第1室外膨張弁(26)の開度が一段階変化したときの冷凍サイクルの高圧の変動量を、小さくすることができる。そのため、熱源ユニット(10)が保護動作を開始する基準となる上限圧力を、従来に比べて熱源ユニット(10)の設計圧力に近い値(例えば、11MPa)に設定することができる。従って、本実施形態によれば、外気温Toが基準値よりも高いときの冷凍サイクルの高圧を、従来よりも高い値に設定することができ、冷凍装置(1)の冷却能力を増大させることができる。
【0182】
また、本実施形態の室外コントローラ(131)によれば、高圧指標である外気温Toが基準値よりも低いときの単位変更量ΔEV1を、従来と同じ値に設定することができる。従って、本実施形態によれば、外気温Toが基準値よりも低い状態では、従来と同様に、冷凍装置(1)の運転状態の変化に第1室外膨張弁(26)の開度の変化を追従させることができ、第1室外膨張弁(26)の開度を適切に制御できる。
【0183】
(11)実施形態1の変形例
本実施形態の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度に関する単位拡大量と単位縮小量のうちの単位縮小量だけを、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成されていてもよい。
【0184】
室外熱交換器(24)が放熱器として機能する状態において、第1室外膨張弁(26)の開度を縮小すると、冷凍サイクルの高圧が上昇する。そこで、本変形例の室外コントローラ(131)は、“高圧指標である外気温Toが基準値よりも高いときの第1室外膨張弁(26)の単位縮小量”を“高圧指標が基準値よりも低いときの第1室外膨張弁(26)の単位縮小量”よりも小さくする。一方、本変形例の室外コントローラ(131)は、高圧指標である外気温Toに拘わらず、第1室外膨張弁(26)の単位拡大量を一定に保持する。
【0185】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の熱源ユニット(10)は、実施形態1の熱源ユニット(10)において、室外コントローラ(131)の構成を変更したものである。
【0186】
本実施形態の室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度に関する単位変更量ΔEV2を、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成される。
【0187】
インジェクション弁(46)の開度を変更すると、インジェクション流路(43)を通って第3圧縮機(23)へ送られる冷媒の流量が変化し、その結果、第3圧縮機(23)から吐出される冷媒の圧力(吐出圧力)が変化する。第3圧縮機(23)の吐出圧力は、実質的に冷凍サイクルの高圧である。従って、インジェクション弁(46)は、開度が変化すると冷凍サイクルの高圧が変化する冷媒制御弁(150)である。
【0188】
本実施形態の室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、段階的に増減させる。室外コントローラ(131)がインジェクション弁(46)を制御するときのインジェクション弁(46)の開度の一段階の変更量が、単位変更量ΔEV2である。インジェクション弁(46)の開度を拡大するときの単位変更量ΔEV2が単位拡大量であり、インジェクション弁(46)の開度を縮小するときの単位変更量ΔEV2が単位縮小量である。本実施形態の室外コントローラ(131)において、インジェクション弁(46)の開度に関する単位拡大量と単位縮小量は同じ値である。
【0189】
(1)室外コントローラによるインジェクション弁の制御
本実施形態の室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)の出口における冷媒の過冷却度SCと、第3圧縮機(23)へ吸入される冷媒の過熱度(吸入過熱度SH)とに基づいて調節する。また、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度に関する単位変更量ΔEV2を、室外空気の温度(外気温To)に基づいて変更する。
【0190】
本実施形態の室外コントローラ(131)がインジェクション弁(46)を制御する動作について、図12のフロー図を参照しながら説明する。室外コントローラ(131)は、図12に示す動作を、所定の時間(例えば、10秒)毎に繰り返し行う。なお、この説明に示す具体的な数値は、単なる一例である。
【0191】
ステップST21の処理において、室外コントローラ(131)は、外気温度センサ(121)の計測値を、外気温Toとして取得する。室外コントローラ(131)は、取得した外気温Toを、所定の基準値(本実施形態では、38℃)と比較する。具体的に、室外コントローラ(131)は、外気温Toが38℃以上であるという条件の成否を判断する。
【0192】
外気温Toが38℃未満の場合、室外コントローラ(131)は、ステップST22の処理を行い、HT=1とする。外気温Toが38℃以上の場合、室外コントローラ(131)は、ステップST23の処理を行い、HT=αとする。HTは、単位変更量ΔEV2を定める際に用いられる係数である。αは、0よりも大きく、1よりも小さい数値である。本実施形態では、α=0.5である。
【0193】
ステップST22又はステップST23の処理が終了すると、室外コントローラ(131)は、ステップST24の処理を行う。この処理において、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の単位変更量ΔEV2を設定する。
【0194】
具体的に、室外コントローラ(131)は、単位変更量ΔEV2を、ΔVO×HTに設定する(ΔEV2=ΔVO×HT)。ΔVOは、電子膨張弁の開度に関する基準変更量である。本実施形態のΔVOは、100パルスである。従って、本実施形態の室外コントローラ(131)は、外気温To<38℃の場合は単位変更量ΔEV2を100パルスに設定し、外気温To≧38℃の場合は単位変更量ΔEV2を50パルスに設定する。
【0195】
次のステップST25の処理において、室外コントローラ(131)は、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)の出口における冷媒の過冷却度SCを算出する。具体的に、室外コントローラ(131)は、液側圧力センサ(105)の計測値と、液側温度センサ(117)の計測値とを取得する。そして、室外コントローラ(131)は、液側圧力センサ(105)の計測値における冷媒の飽和温度TLsから、液側温度センサ(117)の計測値TLを減じて得た値を、過冷却度SCとする(SC=TLs-TL)。
【0196】
ステップST25の処理において、室外コントローラ(131)は、算出した過冷却度SCを、目標範囲の下限値SC_t1(例えば、2℃)と比較する。室外コントローラ(131)は、過冷却度SCが下限値SC_t1を下回る(SC<SC_t1)という条件が成立する場合はステップST26の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST27の処理を行う。
【0197】
ステップST26の処理において、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、ステップST24の処理において設定した単位変更量ΔEV2だけ拡大する。インジェクション弁(46)の開度が拡大すると、過冷却熱交換器(28)の第2流路(28b)を流れる冷媒の流量が増加し、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)の出口における冷媒の温度が低下するため、過冷却度SCが大きくなる。また、インジェクション弁(46)の開度が拡大すると、インジェクション流路(43)を通って第3圧縮機(23)へ流入する冷媒の流量が増加し、冷凍サイクルの高圧が上昇する。
【0198】
ステップST27の処理において、室外コントローラ(131)は、算出した過冷却度SCを、目標範囲の上限値SC_t2(例えば、4℃)と比較する。室外コントローラ(131)は、過冷却度SCが上限値SC_t2を上回る(SC>SC_t2)という条件が成立する場合はステップST28の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST29の処理を行う。
【0199】
ステップST28の処理において、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、ステップST24の処理において設定した単位変更量ΔEV2だけ縮小する。インジェクション弁(46)の開度が縮小すると、過冷却熱交換器(28)の第2流路(28b)を流れる冷媒の流量が減少し、過冷却熱交換器(28)の第1流路(28a)の出口における冷媒の温度が上昇するため、過冷却度SCが小さくなる。また、インジェクション弁(46)の開度が縮小すると、インジェクション流路(43)を通って第3圧縮機(23)へ流入する冷媒の流量が減少し、冷凍サイクルの高圧が低下する。
【0200】
ステップST29の処理において、室外コントローラ(131)は、第3圧縮機(23)へ吸入される冷媒の過熱度(吸入過熱度SH)を算出する。具体的に、室外コントローラ(131)は、中間圧力センサ(102)の計測値と、第3吸入温度センサ(116)の計測値とを取得する。そして、室外コントローラ(131)は、第3吸入温度センサ(116)の計測値TGから、中間圧力センサ(102)の計測値における冷媒の飽和温度TGsを減じて得た値を、吸入過熱度SHとする(SH=TG-TGs)。
【0201】
ステップST29の処理において、室外コントローラ(131)は、算出した吸入過熱度SHを、目標範囲の下限値SH_t1(例えば、5℃)と比較する。室外コントローラ(131)は、吸入過熱度SHが下限値SH_t1を下回る(SH<SH_t1)という条件が成立する場合はステップST30の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST31の処理を行う。
【0202】
ステップST30の処理において、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、ステップST24の処理において設定した単位変更量ΔEV2だけ縮小する。インジェクション弁(46)の開度が縮小すると、インジェクション流路(43)を通って第3圧縮機(23)へ流入する冷媒の流量が減少し、第3圧縮機(23)が吸入する冷媒の温度が上昇するため、吸入過熱度SHが大きくなる。
【0203】
ステップST31の処理において、室外コントローラ(131)は、算出した吸入過熱度SHを、目標範囲の上限値SH_t2(例えば、10℃)と比較する。室外コントローラ(131)は、吸入過熱度SHが上限値SH_t2を上回る(SH>SH_t2)という条件が成立する場合はステップST32の処理を行う。
【0204】
ステップST32の処理において、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、ステップST24の処理において設定した単位変更量ΔEV2だけ拡大する。インジェクション弁(46)の開度が拡大すると、インジェクション流路(43)を通って第3圧縮機(23)へ流入する冷媒の流量が増加し、第3圧縮機(23)が吸入する冷媒の温度が低下するため、吸入過熱度SHが小さくなる。
【0205】
ステップST31の処理における条件が成立しない場合、過冷却度SCと吸入過熱度SHは、それぞれの目標範囲に入っている。そのため、この条件が成立しない場合、室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を変更せず、インジェクション弁(46)の制御動作を終了する。
【0206】
(2)実施形態2の変形例
実施形態2の変形例について説明する。
【0207】
(2-1)第1変形例
本実施形態の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度に関する単位変更量ΔEV1と、インジェクション弁(46)の開度に関する単位変更量ΔEV2の両方を、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成されていてもよい。本変形例の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、実施形態1の室外コントローラ(131)と同様に調節する。
【0208】
(2-2)第2変形例
本実施形態の室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度に関する単位拡大量と単位縮小量のうちの単位拡大量だけを、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成されていてもよい。
【0209】
インジェクション弁(46)の開度を拡大すると、インジェクション流路(43)を通って第3圧縮機(23)へ送られる冷媒の流量が増加し、その結果、第3圧縮機(23)から吐出される冷媒の圧力(吐出圧力)が上昇する。そこで、本変形例の室外コントローラ(131)は、“高圧指標である外気温Toが基準値よりも高いときのインジェクション弁(46)の単位拡大量”を“高圧指標が基準値よりも低いときのインジェクション弁(46)の単位拡大量”よりも小さくする。一方、本変形例の室外コントローラ(131)は、高圧指標である外気温Toに拘わらず、インジェクション弁(46)の単位縮小量を一定に保持する。
【0210】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の熱源ユニット(10)は、実施形態1の熱源ユニット(10)において、室外コントローラ(131)の構成を変更したものである。
【0211】
本実施形態の室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度に関する単位変更量ΔEV3を、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成される。
【0212】
ガス抜き弁(42)の開度を変更すると、ガス抜き管(41)を通って第3圧縮機(23)へ送られる冷媒の流量が変化する。その結果、第3圧縮機(23)へ吸入される冷媒の状態が変化し、第3圧縮機(23)から吐出される冷媒の圧力(吐出圧力)が変化する。第3圧縮機(23)の吐出圧力は、実質的に冷凍サイクルの高圧である。従って、ガス抜き管(41)は、開度が変化すると冷凍サイクルの高圧が変化する冷媒制御弁(150)である。
【0213】
本実施形態の室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、段階的に増減させる。室外コントローラ(131)がガス抜き弁(42)を制御するときのガス抜き弁(42)の開度の一段階の変更量が、単位変更量ΔEV3である。ガス抜き弁(42)の開度を拡大するときの単位変更量ΔEV3が単位拡大量であり、ガス抜き弁(42)の開度を縮小するときの単位変更量ΔEV3が単位縮小量である。本実施形態の室外コントローラ(131)において、ガス抜き弁(42)の開度に関する単位拡大量と単位縮小量は同じ値である。
【0214】
(1)室外コントローラによるガス抜き弁の制御
本実施形態の室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、レシーバ圧力Prと、第3圧縮機(23)へ吸入される冷媒の過熱度(吸入過熱度SH)と、第3圧縮機(23)へ吸入される冷媒の圧力(中間圧力Pm)とに基づいて調節する。また、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度に関する単位変更量ΔEV3を、室外空気の温度(外気温To)に基づいて変更する。
【0215】
本実施形態の室外コントローラ(131)がガス抜き弁(42)を制御する動作について、図13のフロー図を参照しながら説明する。室外コントローラ(131)は、図13に示す動作を、所定の時間(例えば、10秒)毎に繰り返し行う。なお、この説明に示す具体的な数値は、単なる一例である。
【0216】
ステップST41の処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の単位変更量ΔEV3を、ΔVOに設定する(ΔEV3=ΔVO)。ΔVOは、電子膨張弁の開度に関する基準変更量である。本実施形態のΔVOは、100パルスである。従って、本実施形態の室外コントローラ(131)は、ステップST41の処理において、単位変更量ΔEV3を100パルスに設定する。なお、ステップST41の処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の単位変更量ΔEV3を、ΔVOよりも大きな値に設定してもよい。
【0217】
次のステップST42の処理において、室外コントローラ(131)は、液側圧力センサ(105)の計測値を、レシーバ圧力Prとして取得する。室外コントローラ(131)は、取得したレシーバ圧力Prを、レシーバ圧力の上限値Pr_maxと比較する。室外コントローラ(131)は、レシーバ圧力Prが上限値Pr_max以上である(Pr≧Pr_max)という条件が成立する場合はステップST43の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST44の処理を行う。
【0218】
ステップST43の処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、ステップST41の処理において設定した単位変更量ΔEV3だけ拡大する。ガス抜き弁(42)の開度が拡大すると、レシーバ(25)からガス抜き管(41)へ流出するガス冷媒の流量が増加し、レシーバ圧力Prが低下する。
【0219】
ステップST44の処理において、室外コントローラ(131)は、第3圧縮機(23)へ吸入される冷媒の過熱度(吸入過熱度SH)を算出する。図12のステップST29の処理と同様に、室外コントローラ(131)は、中間圧力センサ(102)の計測値と、第3吸入温度センサ(116)の計測値とを取得し、取得したそれらの計測値を用いて吸入過熱度SHを算出する。
【0220】
ステップST44の処理において、室外コントローラ(131)は、算出した吸入過熱度SHを、吸入過熱度SHの下限値SH_min(例えば、0℃)と比較する。室外コントローラ(131)は、吸入過熱度SHが下限値SH_min以下である(SH≦SH_ min)という条件が成立する場合はステップST45の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST46の処理を行う。
【0221】
ステップST45の処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、ステップST41の処理において設定した単位変更量ΔEV3だけ縮小する。ガス抜き弁(42)の開度が縮小すると、レシーバ(25)からガス抜き管(41)へ流出するガス冷媒の流量が減少し、第3圧縮機(23)が吸入する冷媒の温度が上昇するため、吸入過熱度SHが上昇する。
【0222】
ステップST46の処理において、室外コントローラ(131)は、外気温度センサ(121)の計測値を、外気温Toとして取得する。室外コントローラ(131)は、取得した外気温Toを、所定の基準値(本実施形態では、38℃)と比較する。具体的に、室外コントローラ(131)は、外気温Toが38℃以上であるという条件の成否を判断する。
【0223】
外気温Toが38℃未満の場合、室外コントローラ(131)は、ステップST47の処理を行い、HT=1とする。外気温Toが38℃以上の場合、室外コントローラ(131)は、ステップST48の処理を行い、HT=αとする。HTは、単位変更量ΔEV3を定める際に用いられる係数である。αは、0よりも大きく、1よりも小さい数値である。本実施形態では、α=0.5である。
【0224】
ステップST47又はステップST48の処理が終了すると、室外コントローラ(131)は、ステップST49の処理を行う。この処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の単位変更量ΔEV3を設定する。
【0225】
具体的に、室外コントローラ(131)は、単位変更量ΔEV3を、ΔVO×HTに設定する(ΔEV3=ΔVO×HT)。ΔVOは、電子膨張弁の開度に関する基準変更量である。本実施形態のΔVOは、100パルスである。従って、本実施形態の室外コントローラ(131)は、外気温To<38℃の場合は単位変更量ΔEV3を100パルスに設定し、外気温To≧38℃の場合は単位変更量ΔEV3を50パルスに設定する。
【0226】
次のステップST50の処理において、室外コントローラ(131)は、中間圧力センサ(102)の計測値を、中間圧力Pmとして取得する。室外コントローラ(131)は、取得した中間圧力Pmを、目標範囲の下限値Pm_t1と比較する。室外コントローラ(131)は、中間圧力Pmが下限値Pm_t1を下回る(Pm<Pm_t1)という条件が成立する場合はステップST51の処理を行い、その条件が成立しない場合はステップST52の処理を行う。
【0227】
ステップST51の処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、ステップST49の処理において設定した単位変更量ΔEV3だけ拡大する。ガス抜き弁(42)の開度が拡大すると、ガス抜き管(41)から第3圧縮機(23)へ送られる冷媒の圧力が上昇し、第3圧縮機(23)が吸入する冷媒の圧力(つまり、中間圧力Pm)が上昇する。また、ガス抜き弁(42)の開度が拡大すると、第3圧縮機(23)が吐出する冷媒の圧力が上昇し、冷凍サイクルの高圧が上昇する。
【0228】
ステップST52の処理において、室外コントローラ(131)は、取得した中間圧力Pmを、目標範囲の上限値Pm_t2と比較する。室外コントローラ(131)は、中間圧力Pmが上限値Pm_t2を上回る(Pm>Pm_t2)という条件が成立する場合はステップST53の処理を行う。
【0229】
ステップST53の処理において、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、ステップST49の処理において設定した単位変更量ΔEV3だけ縮小する。ガス抜き弁(42)の開度が縮小すると、ガス抜き管(41)から第3圧縮機(23)へ送られる冷媒の圧力が低下し、第3圧縮機(23)が吸入する冷媒の圧力(つまり、中間圧力Pm)が低下する。また、ガス抜き弁(42)の開度が縮小すると、第3圧縮機(23)が吐出する冷媒の圧力が低下し、冷凍サイクルの高圧が低下する。
【0230】
ステップST52の処理における条件が成立しない場合、中間圧力Pmは、目標範囲に入っている。そのため、この条件が成立しない場合、室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を変更せず、ガス抜き弁(42)の制御動作を終了する。
【0231】
(2)実施形態3の変形例
実施形態3の変形例について説明する。
【0232】
(2-1)第1変形例
本実施形態の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度に関する単位変更量ΔEV1と、ガス抜き弁(42)の開度に関する単位変更量ΔEV3の両方を、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成されていてもよい。本変形例の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、実施形態1の室外コントローラ(131)と同様に調節する。
【0233】
(2-2)第2変形例
本実施形態の室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度に関する単位拡大量と単位縮小量のうちの単位拡大量だけを、高圧指標である外気温Toに基づいて変更するように構成されていてもよい。
【0234】
ガス抜き弁(42)の開度を拡大すると、ガス抜き管(41)を通って第3圧縮機(23)へ送られる冷媒の流量が増加し、その結果、第3圧縮機(23)から吐出される冷媒の圧力(吐出圧力)が上昇する。そこで、本変形例の室外コントローラ(131)は、“高圧指標である外気温Toが基準値よりも高いときのガス抜き弁(42)の単位拡大量”を“高圧指標が基準値よりも低いときのガス抜き弁(42)の単位拡大量”よりも小さくする。一方、本変形例の室外コントローラ(131)は、高圧指標である外気温Toに拘わらず、ガス抜き弁(42)の単位縮小量を一定に保持する。
【0235】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の冷凍装置(1)は、実施形態1の冷凍装置(1)において、熱源回路(11)の構成を変更し、空調ユニット(60)を省略したものである。本実施形態の冷凍装置(1)は、単段圧縮冷凍サイクルを行う。
【0236】
図14に示すように、本実施形態の圧縮部(20)は、第3圧縮機(23)だけによって構成される。また、本実施形態の熱源回路(11)では、流路切換機構(30)と、中間冷却器(29)と、第2室外膨張弁(27)と、第1ガス閉鎖弁(13)と、第1液閉鎖弁(14)とが省略される。
【0237】
本実施形態の熱源回路(11)において、第3圧縮機(23)の第3吸入管(23a)は、第2ガス閉鎖弁(15)に接続される。第3圧縮機(23)の第3吐出管(23b)は、室外熱交換器(24)に接続される。第1油戻し管(51)は、インジェクション流路(43)の下流流路(45)に接続される。インジェクション流路(43)の下流流路(45)は、第3圧縮機(23)の第3吸入管(23a)に接続される。
【0238】
本実施形態の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、実施形態1の室外コントローラ(131)と同様に調節する。本実施形態の室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、実施形態2の室外コントローラ(131)と同様に調節してもよい。また、本実施形態の室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、実施形態3の室外コントローラ(131)と同様に調節してもよい。
【0239】
《実施形態5》
実施形態5について説明する。本実施形態の冷凍装置(1)は、実施形態1の冷凍装置(1)において、熱源回路(11)の構成を変更し、冷設ユニット(70)を省略したものである。本実施形態の冷凍装置(1)は、単段圧縮冷凍サイクルを行う。
【0240】
図15に示すように、本実施形態の圧縮部(20)は、第3圧縮機(23)だけによって構成される。また、本実施形態の熱源回路(11)では、中間冷却器(29)と、第2ガス閉鎖弁(15)と、第2液閉鎖弁(16)とが省略される。
【0241】
本実施形態の熱源回路(11)において、第3圧縮機(23)の第3吸入管(23a)は、第2ガス閉鎖弁(15)に接続される。第3圧縮機(23)の第3吐出管(23b)は、吸入ライン(L3)に接続される。第1油戻し管(51)は、インジェクション流路(43)の下流流路(45)に接続される。インジェクション流路(43)の下流流路(45)は、第3圧縮機(23)の第3吸入管(23a)に接続される。
【0242】
本実施形態の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)の開度を、実施形態1の室外コントローラ(131)と同様に調節する。本実施形態の室外コントローラ(131)は、インジェクション弁(46)の開度を、実施形態2の室外コントローラ(131)と同様に調節してもよい。また、本実施形態の室外コントローラ(131)は、ガス抜き弁(42)の開度を、実施形態3の室外コントローラ(131)と同様に調節してもよい。
【0243】
《その他の実施形態》
上記の各実施形態の熱源ユニット(10)については、次のような変形例を適用してもよい。
【0244】
(1)第1変形例
上記の各実施形態の室外コントローラ(131)は、高圧指標である外気温Toが基準値以上(To≧基準値)である場合に、冷媒制御弁(150)の単位変更量を定める際に用いられる係数HTを、α(0<α<1)にする。これに対し、各実施形態の室外コントローラ(131)は、高圧指標である外気温Toが基準値よりも高い(To>基準値)場合に、係数HTをαにするように構成されていてもよい。
【0245】
(2)第2変形例
上記の各実施形態の室外コントローラ(131)は、外気温To以外の物理量を高圧指標として用いるように構成されていてもよい。具体的に、各実施形態の室外コントローラ(131)は、高圧圧力センサ(101)の計測値である吐出圧力を、高圧指標として用いるように構成されていてもよい。また、各実施形態の室外コントローラ(131)は、中間圧力センサ(102)の計測値である中間圧力を、高圧指標として用いるように構成されていてもよい。
【0246】
(3)第3変形例
上記の各実施形態の室外コントローラ(131)は、電子膨張弁である冷媒制御弁(150)の開度を、一段階ずつ(言い換えると、単位変更量ずつ)増減させるように構成される。しかし、室外コントローラ(131)は、冷媒制御弁(150)の開度を、常に一段階ずつ変更する必要はない。各実施形態の室外コントローラ(131)は、例えば制御に用いる物理量と目標値の差が大きい場合に、冷媒制御弁(150)の開度を一度に複数段階分だけ変更するように構成されていてもよい。
【0247】
(4)第4変形例
上記の各実施形態の熱源ユニット(10)において、第1室外膨張弁(26)、インジェクション弁(46)、及びガス抜き弁(42)のそれぞれは、開度が変化すると冷凍サイクルの高圧が変化する冷媒制御弁(150)である。
【0248】
そこで、上記の各実施形態の室外コントローラ(131)は、第1室外膨張弁(26)、インジェクション弁(46)、又はガス抜き弁(42)の開度を、冷凍サイクルの高圧(具体的には、高圧圧力センサ(101)の計測値)に基づいて制御するように構成されていてもよい。この場合、室外コントローラ(131)は、冷凍サイクルの高圧が上限圧力未満の範囲でなるべく高くなるように、第1室外膨張弁(26)、インジェクション弁(46)、又はガス抜き弁(42)の開度を調節する。
【0249】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書および特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0250】
以上説明したように、本開示は、熱源ユニットおよび冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0251】
1 冷凍装置
10 熱源ユニット
23 第3圧縮機(圧縮機)
24 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
25 レシーバ
26 第1室外膨張弁(第1膨張弁)
28 過冷却熱交換器
41 ガス抜き管
42 ガス抜き弁(第3膨張弁)
43 インジェクション流路(インジェクション管)
46 インジェクション弁(第2膨張弁)
60 空調ユニット(利用側ユニット)
70 冷設ユニット(利用側ユニット)
131 室外コントローラ(制御器)
150 冷媒制御弁
【要約】
【課題】冷凍装置を構成する熱源ユニットにおいて、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い運転状態において発揮できる冷却能力を高める。
【解決手段】熱源ユニットは、冷媒制御弁と制御器とを備える。冷媒制御弁の開度が変化すると、冷凍サイクルの高圧が変化する。制御器は、冷媒制御弁の開度を、段階的に調節する。冷媒制御弁の開度の一段階の変更量が、単位変更量である。冷凍サイクルの高圧を示す物理量が、高圧指標である。制御器は、高圧指標が基準値よりも高いときの単位変更量を、高圧指標が基準値よりも低いときの単位変更量よりも小さくする
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16