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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 19/06 20060101AFI20231213BHJP
   F24F 1/0067 20190101ALI20231213BHJP
   F24F 1/14 20110101ALI20231213BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20231213BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20231213BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F28F19/06 A
F24F1/0067
F24F1/14
F25B39/00 D
F25B39/00 P
F28F1/32 D
F28F1/32 V
F28F21/08 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022153804
(22)【出願日】2022-09-27
(65)【公開番号】P2023152287
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2022060705
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-051731(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239990(WO,A1)
【文献】特開平11-211377(JP,A)
【文献】特開2018-197634(JP,A)
【文献】国際公開第2015/097821(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00- 1/44,
19/00-19/06,
21/00-21/08
F28D 1/00- 1/06
F25B 39/00-39/04
F24F 1/00- 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管(210)と、
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第1フィン(220)と、
を有する第1熱交換器(200)を含む室外機(2)と、
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管(310)と、
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第2フィン(320)と、
を有する第2熱交換器(300)を含む室内機(3)と、
を備え、
前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材(211)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第1フィンよりも電位的に卑である第1犠牲層(212)が設けられ、
前記第1フィンのフィンピッチ(P1)は、前記第2フィンのフィンピッチ(P2)よりも大きく、
複数の前記第1フィンは、前記第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、前記第1伝熱管を通す第1カラー部を有し、
前記第1カラー部は、
前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、
前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、
を有する
空気調和機(1)。
【請求項2】
前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管は、円筒形状を有する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第1フィンの表面には、樹脂を含む第1表面層(220b)が設けられている、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第2フィンの表面には、樹脂を含む第2表面層(320b)が設けられており、
前記第1表面層の厚み(W220b)は、前記第2表面層の厚み(W320b)よりも大きい、
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材(311)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に卑である第2犠牲層(312)が設けられている、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第1フィンのフィンピッチと、前記第2フィンのフィンピッチとの差は、0.1mm以上0.3mm以下である、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記第1フィンのフィンピッチは、前記第2フィンのフィンピッチの1.0倍を超え1.3倍未満である、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑である第2犠牲層が設けられ、
前記第1犠牲層の厚みと、前記第2犠牲層の厚みとは、同じである、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記第1伝熱管の外径と、前記第2伝熱管の外径とは、同じである、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記第1伝熱管の材質と、前記第2伝熱管の材質とは、同じである、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記室外機は、水を受ける第1ドレンパン(22)をさらに含み、
前記室内機は、水を受ける第2ドレンパン(32)をさらに含み、
前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管は、複数であり、
複数の前記第1伝熱管の最下端は、前記第1ドレンパンの水位よりも上方に位置し、
複数の前記第2伝熱管の最下端は、前記第2ドレンパンの水位よりも上方に位置する、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項12】
記第1カラー部は、
フィン本体(221)から前記第1方向に延びる第1立上部(223)と、
前記第1立上部から前記第1伝熱管に向けて延びる平坦部(224)と
さらに有し、
1つの前記平坦部(224)は、隣接する別の前記第1フィンの前記フランジ部(226)に接し、
複数の前記第2フィンは、前記第2伝熱管の延びる第2方向に積層され、前記第2伝熱管を通す第2カラー部(322)を有し、
前記第2カラー部は、
フィン本体から前記第2方向に延びる第1立上部(323)と、
前記第立上部から前記第2伝熱管に向けて延びる平坦部(324)と、
前記平坦部から前記第2伝熱管に沿って延びる第2立上部(325)と、
前記第2立上部から外方に延びるフランジ部(326)と、
を有し、
1つの前記平坦部(324)は、隣接する別の前記第2フィンの前記フランジ部(326)に接する、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項13】
数の前記第2フィンは、前記第2伝熱管の延びる第2方向に積層され、前記第2伝熱管を通す第2カラー部を有し、
前記第2カラー部は、
前記第2カラー部は、前記第2伝熱管に沿って延びる第2立上部と、
前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、
を有し、
前記第1カラー部及び前記第2カラー部の前記第2立上部と前記フランジ部との連結部分は、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項14】
前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に貴である第2犠牲層が設けられている、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項15】
前記第1フィンの亜鉛含有率は、前記第2フィンの亜鉛含有率よりも多い、
請求項1または2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2001-304783号公報)に開示されているように、室内熱交換器を含む室内機と、室外熱交換器を含む室外機とを接続して構成されている空気調和機が知られている。特許文献1の室内熱交換器及び室外熱交換器は、伝熱管を複数のフィンに貫通させてなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の室内熱交換器及び室外熱交換器の伝熱管をアルミニウムまたはアルミニウム合金製にした場合、銅製に比べて、腐食しやすいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係る空気調和機は、室外機と、室内機と、を備える。室外機は、第1熱交換器を含む。第1熱交換器は、第1伝熱管と、複数の第1フィンと、を有する。第1伝熱管は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。複数の第1フィンは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。室内機は、第2熱交換器を含む。第2熱交換器は、第2伝熱管と、複数の第2フィンと、を有する。第2伝熱管は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。複数の第2フィンは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。第1伝熱管の表面には、第1犠牲層が設けられている。第1犠牲層は、第1伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、第1フィンよりも電位的に卑である。第1フィンのフィンピッチは、第2フィンのフィンピッチよりも大きい。
【0005】
第1観点の空気調和機によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管に、母材よりも電位的に卑である第1犠牲層が設けられているので、母材の腐食を抑制できる。しかし、第1犠牲層は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1フィンよりも電位的に卑であるため、第1フィンにより第1犠牲層が腐食する場合がある。
【0006】
そこで、第1観点の空気調和機では、室外機の第1熱交換器が、室内機の第2熱交換器よりも塩害の影響を受けやすいので、第1熱交換器の第1フィンのフィンピッチを、第2熱交換器の第2フィンのフィンピッチよりも大きくしている。これにより、第1伝熱管の第1犠牲層と接触する第1フィンの表面積を減らすことができる。したがって、第1犠牲層の腐食を抑制することができる。
【0007】
第2観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、第1伝熱管及び第2伝熱管は、円筒形状を有する。
【0008】
円筒形状を有する第1伝熱管及び第2伝熱管に取り付けられる第1フィン及び第2フィンには、加工性が要求される。第2観点の空気調和機では、第1フィンが、第1犠牲層よりも電位的に貴であるため、第1フィンの加工性の低下を抑えることができる。このため、本開示の空気調和機は、円筒形状の第1伝熱管を有する第1熱交換器と、円筒形状の第2伝熱管を有する第2熱交換器と、を含む空気調和機に好適に用いられる。
【0009】
第3観点に係る空気調和機は、第1観点または第2観点に係る空気調和機であって、第1フィンの表面には、樹脂を含む第1表面層が設けられている。
【0010】
第3観点の空気調和機では、樹脂を含む第1表面層と第1伝熱管との電気抵抗によって、第1犠牲層の腐食速度を遅くすることができる。
【0011】
第4観点に係る空気調和機は、第3観点に係る空気調和機であって、第2フィンの表面には、樹脂を含む第2表面層が設けられている。第1表面層の厚みは、第2表面層の厚みよりも大きい。
【0012】
第4観点の空気調和機では、塩害の影響を受けやすい室外機の第1表面層と第1伝熱管との電気抵抗を、室内機の第2表面層と第2伝熱管との電気抵抗よりも大きくすることができる。したがって、第1犠牲層の腐食速度をより遅くすることができる。
【0013】
第5観点に係る空気調和機は、第1観点から第4観点に係るいずれかの空気調和機であって、第2伝熱管の表面には、第2犠牲層が設けられている。第2犠牲層は、第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、第2フィンよりも電位的に卑である。
【0014】
第5観点の空気調和機では、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管に、母材よりも電位的に卑である第2犠牲層が設けられているので、母材の腐食を抑制できる。また、第2犠牲層が第2フィンよりも電位的に卑であるので、第2フィンの加工性の低下を抑えることができる。
【0015】
第6観点に係る空気調和機は、第1観点から第5観点に係るいずれかの空気調和機であって、第1フィンのフィンピッチと、第2フィンのフィンピッチとの差は、0.1mm以上0.3mm以下である。
【0016】
第6観点の空気調和機では、ピッチ差を0.1mm以上0.3mm以下とすることによって、第1犠牲層の腐食をより抑制することができる。
【0017】
第7観点に係る空気調和機は、第1観点から第6観点に係るいずれかの空気調和機であって、第1フィンのフィンピッチは、第2フィンのフィンピッチの1.0倍を超え1.3倍未満である。
【0018】
第7観点の空気調和機では、第2フィンのフィンピッチに対する第1フィンのフィンピッチの比(第1フィンのフィンピッチ/第2フィンのフィンピッチ)を、1.0を超え1.3未満とすることによって、第1犠牲層の腐食をより抑制することができる。
【0019】
第8観点に係る空気調和機は、第1観点から第7観点に係るいずれかの空気調和機であって、第2伝熱管の表面には、第2犠牲層が設けられている。第2犠牲層は、第2伝熱管の母材よりも電位的に卑である。第1犠牲層の厚みと、第2犠牲層の厚みとは、同じである。
【0020】
第8観点の空気調和機では、第1伝熱管の第1犠牲層と第2伝熱管の第2犠牲層とを共通化できるので、第1熱交換器及び第2熱交換器の生産効率を向上することができる。
【0021】
第9観点に係る空気調和機は、第1観点から第8観点に係るいずれかの空気調和機であって、第1伝熱管の外径と、第2伝熱管の外径とは、同じである。
【0022】
第9観点の空気調和機では、第1伝熱管の外径と第2伝熱管の外径とを共通化できるので、第1熱交換器及び第2熱交換器の生産効率を向上することができる。
【0023】
第10観点に係る空気調和機は、第1観点から第9観点に係るいずれかの空気調和機であって、第1伝熱管の材質と、第2伝熱管の材質とは、同じである。
【0024】
第10観点の空気調和機では、第1伝熱管の材質と第2伝熱管の材質とを共通化できるので、第1熱交換器及び第2熱交換器の生産効率を向上することができる。
【0025】
第11観点に係る空気調和機は、第1観点から第10観点に係るいずれかの空気調和機であって、室外機は、水を受ける第1ドレンパンをさらに含む。室内機は、水を受ける第2ドレンパンをさらに含む。第1伝熱管及び第2伝熱管は、複数である。複数の第1伝熱管の最下端は、第1ドレンパンの水位よりも上方に位置する。複数の第2伝熱管の最下端は、第2ドレンパンの水位よりも上方に位置する。
【0026】
第11観点の空気調和機では、第1ドレンパンの水が第1伝熱管に付着することを抑制できるとともに、第2ドレンパンの水が第2伝熱管に付着することを抑制できる。このため、第1ドレンパンの水による第1伝熱管の腐食を抑制することができるとともに、第2ドレンパンの水による第2伝熱管の腐食を抑制することができる。
【0027】
第12観点に係る空気調和機は、第1観点から第11観点に係るいずれかの空気調和機であって、複数の第1フィンは、第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、第1伝熱管を通す第1カラー部を有する。第1カラー部は、第1立上部と、平坦部と、第2立上部と、フランジ部と、を有する。第1立上部は、フィン本体から第1方向に延びる。平坦部は、第1立上部から第1伝熱管に向けて延びる。第2立上部は、平坦部から第1伝熱管に沿って延びる。フランジ部は、第2立上部から外方に延びる。1つの平坦部は、隣接する別の第1フィンのフランジ部に接する。複数の第2フィンは、第2伝熱管の延びる第2方向に積層され、第2伝熱管を通す第2カラー部を有する。第2カラー部は、第1立上部と、平坦部と、第2立上部と、フランジ部と、を有する。第1立上部は、フィン本体から第2方向に延びる。平坦部は、第1立上部から第2伝熱管に向けて延びる。第2立上部は、平坦部から第2伝熱管に沿って延びる。フランジ部は、第2立上部から外方に延びる。1つの平坦部は、隣接する別の第2フィンのフランジ部に接する。
【0028】
第12観点の空気調和機では、積層される第1フィンの第1カラー部及び第2フィンの第2カラー部に隙間が生じるので、腐食の課題が大きい。このため、本開示の空気調和機は、このような構造の第1フィンを有する第1熱交換器及び第2フィンを有する第2熱交換器を含む空気調和機に好適に用いられる。
【0029】
第13観点に係る空気調和機は、第1観点から第12観点に係るいずれかの空気調和機であって、複数の第1フィンは、第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、第1伝熱管を通す第1カラー部を有する。第1カラー部は、第2立上部と、フランジ部と、を有する。第2立上部は、第1伝熱管に沿って延びる。フランジ部は、第2立上部から外方に延びる。複数の第2フィンは、第2伝熱管の延びる第2方向に積層され、第2伝熱管を通す第2カラー部を有する。第2カラー部は、第2立上部と、フランジ部と、を有する。第2立上部は、第2伝熱管に沿って延びる。フランジ部は、第2立上部から外方に延びる。第1カラー部及び第2カラー部の第2立上部とフランジ部との連結部分は、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する。
【0030】
第13観点の空気調和機では、積層される第1フィン及び第2フィンのカラー部(ここでは、第2立上部とフランジ部との連結部分)に隙間が生じるので、腐食の課題が大きい。このため、本開示の空気調和機は、このような構造の第1フィンを有する第1熱交換器及び第2フィンを有する第2熱交換器を含む空気調和機に好適に用いられる。
【0031】
第14観点に係る空気調和機は、第1観点から第4観点に係るいずれかの空気調和機であって、第2伝熱管の表面には、第2犠牲層が設けられている。第2犠牲層は、第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、第2フィンよりも電位的に貴である。
【0032】
第14観点の空気調和機では、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管に、母材よりも電位的に卑である第2犠牲層が設けられているので、母材の腐食を抑制できる。また、第2犠牲層が第2フィンよりも電位的に貴であるので、フィンピッチが小さくても、第2フィンによる第2犠牲層の腐食を抑制することができる。
【0033】
第15観点の空気調和機は、第1観点から第14観点に係るいずれかの空気調和機であって、第1フィンの亜鉛含有率は、前記第2フィンの亜鉛含有率よりも多い。
【0034】
第15観点の空気調和機では、塩害の影響を受けやすい室外機の第1フィンの亜鉛含有率が、室内機の第2フィンの亜鉛含有率よりも多いので、第1フィンの電位を下げることができる。このため、第1フィンと第1犠牲層との電位差を小さくすることができる。したがって、第1犠牲層の腐食をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示の一実施形態に係る空気調和機の外観図である。
図2】室外機の模式図である。
図3】室内機の模式図である。
図4】第1熱交換器の斜視図である。
図5】第1及び第2伝熱管の断面図である。
図6】第1熱交換器及び第2熱交換器の断面図である。
図7】第1及び第2フィンの平面図である。
図8】第2熱交換器の斜視図である。
図9】変形例の第1伝熱管及び第2伝熱管の断面図である。
図10】実施形態の第1フィンの断面図である。
図11】実施形態の第2フィンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の一実施形態に係る空気調和機について、図面を参照しながら説明する。なお、なお、以下の説明において、「上」、「下」等の方向を示す表現を適宜用いているが、これらは、通常使用される状態での各方向を表すものであって、限定されるものではない。
【0037】
(1)全体構成
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る空気調和機1は、室外機2と、室内機3と、連絡配管4と、を備えている。室外機2は、室外に設置されている。室内機3は、室内に設置されている。ここでの室内機3は、室内の壁面等に取り付けられている。連絡配管4は、室外機2と室内機3とを接続している。このような空気調和機1は、室内の冷房運転や暖房運転等を行うことができる。
【0038】
図2に示すように、室外機2は、第1熱交換器200、第1ファン21、第1ドレンパン22などを含む。第1ファン21は、室外機2内に室外空気を吸入して、第1熱交換器200に室外空気を供給した後に、室外機2外に排出する。第1熱交換器200は、室外空気と冷媒との熱交換を行う。第1熱交換器200は、冷房運転時には冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。第1ドレンパン22は、水を受ける。
【0039】
図3に示すように、室内機3は、第2熱交換器300、第2ファン31、第2ドレンパン32などを含む。第2ファン31は、室内機3内に室内空気を吸入して、第2熱交換器300に室内空気を供給した後に、室内機3外に排出する。第2熱交換器300は、冷媒と室内空気との熱交換を行う。第2熱交換器300は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能する熱交換器である。第2ドレンパン32は、水を受ける。
【0040】
(2)詳細構成
(2-1)第1熱交換器
図4に示すように、第1熱交換器200は、複数の第1伝熱管210と、複数の第1フィン220と、を有している。第1伝熱管210及び第1フィン220は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。本実施形態の第1熱交換器200は、クロスフィンチューブ式熱交換器である。
【0041】
(2-1-1)第1伝熱管
第1伝熱管210は、内部に冷媒を流す。第1伝熱管210は、円筒形状を有している。ここでは、第1伝熱管210は、丸管である。第1伝熱管210には、第1熱交換器200で室外空気と熱交換される冷媒が通過する貫通孔が形成されている。第1伝熱管210の貫通孔は、第1方向に沿って貫通する。ここでは、第1方向は、長手方向である。
【0042】
図5に示すように、第1伝熱管210は、第1母材211と、第1犠牲層212と、を有している。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の表面に設けられている。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の表面全体に設けられてもよく、図5に示すように、第1伝熱管210の表面の一部に設けられてもよい。換言すると、第1犠牲層212は、露出する外表面の全体に形成されてもよく、図5に示すように、露出する外表面の一部に形成されてもよい。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の外表面から冷媒の流れる内表面に向かう厚み方向の一部に形成されており、肉厚全体には形成されていない。換言すると、第1伝熱管210において、冷媒の流れる内表面の少なくとも一部には第1犠牲層212は形成されていない。本実施形態では、第1伝熱管210の内表面の全体に、第1犠牲層212は形成されていない。
【0043】
第1犠牲層212は、第1伝熱管210の第1母材211よりも電位的に卑であり、かつ、第1フィン220よりも電位的に卑である。第1犠牲層212の電位と第1母材211の電位との電位差は、例えば226mVである。第1犠牲層212の電位と第1フィン220の電位との電位差は、例えば180mVである。第1犠牲層212は、電位を下げるために、亜鉛(Zn)などの金属を含有する。本実施形態の第1犠牲層212は、亜鉛が溶射された亜鉛拡散層である。外表面側の第1犠牲層212は、第1伝熱管210において、内表面側の第1母材211の腐食の進行を防止する。
【0044】
図4に示すように、複数の第1伝熱管210は、上下方向に並ぶ。複数の第1伝熱管210の最下端は、第1ドレンパン22(図2参照)の水位よりも上方に位置する。ここでは、複数の第1伝熱管210の最下端は、第1ドレンパン22が最大量の水を受けたときの最高水位よりも上方に位置する。
【0045】
(2-1-2)第1フィン
第1フィン220は、第1伝熱管210と室外空気との伝熱面積を増大させて、冷媒と室外空気との熱交換を促進する。第1フィン220は、第1伝熱管210と接触している。
【0046】
第1フィン220は、第1伝熱管210の第1母材211よりも電位的に卑であり、かつ、第1犠牲層212よりも電位的に貴である。換言すると、電位が高い順は、第1母材211、第1フィン220及び第1犠牲層212である。第1フィン220の電位と第1母材211の電位との電位差は、例えば46mVである。本実施形態の第1フィン220は、亜鉛を含有する。
【0047】
第1フィン220の亜鉛含有率は、好ましくは0.5質量%以上である。なお、本明細書に記載の「亜鉛含有率」は、例えば発光分光分析法などによって測定される値である。
【0048】
図10に示すように、第1フィン220は、第1本体部220aと、第1表面層220bと、を有する。第1表面層220bは、第1本体部220aの表面に設けられている。ここでは、第1表面層220bは、第1本体部220aの延在方向に延びる両表面に設けられている。
【0049】
第1表面層220bの厚みW220bは、第1本体部220aの厚みW220aよりも小さい。なお、第1フィン220における各厚みは、外表面から内部に向かう第1方向の距離の最大値である。
【0050】
第1表面層220bは、樹脂を含む。樹脂は、電気抵抗を有する。第1表面層220bの電気伝導率は、第1本体部220aの電気伝導率よりも小さい。第1表面層220bは、第1本体部220aの表面に表面処理を行うことによって形成された層である。第1表面層220bは、第1フィン220に親水性、耐食性などを付与する。なお、第1表面層220bは、1層であってもよく、複数層であってもよい。
【0051】
第1表面層220bの電気抵抗値は、1×10Ω以上1×1010Ω以下であることが好ましく、1×10Ω以上1×10Ω以下であることがより好ましい。
【0052】
複数の第1フィン220は、第1伝熱管210の延びる第1方向(図4参照)に積層されている。ここでは、複数の第1フィン220は、第1伝熱管210に交差(図4では直交)するように上下方向に延びている。本実施形態では、複数の第1フィン220は、平行、かつ、等間隔に配置されている。換言すると、複数の第1フィン220は、所定のフィンピッチP1で第1方向に並んでいる。
【0053】
複数の第1フィン220は、フィン本体221と、第1カラー部222と、を含む。フィン本体221は、平板状の部材である。第1カラー部222は、第1伝熱管210を通す。詳細には、第1カラー部222は、第1伝熱管210を通すための貫通穴を有している。
【0054】
図6及び図7に示すように、第1カラー部222は、第1立上部223と、平坦部224と、第2立上部225と、フランジ部226と、を有している。第1立上部223、平坦部224、第2立上部225、及びフランジ部226は、1つの部材で構成されている。ここでは、第1立上部223、平坦部224、第2立上部225、及びフランジ部226は、ネスティング加工されてなる。
【0055】
第1立上部223は、フィン本体221から第1方向に延びる。ここでは、第1立上部223は、フィン本体221と直交する。第1立上部223とフィン本体221との連結部分は、湾曲(R)形状を有している。
【0056】
平坦部224は、第1立上部223から第1伝熱管210に向けて延びる。ここでは、平坦部224は、第1立上部223と直交する。平坦部224と第1立上部223との連結部分は、湾曲形状を有している。
【0057】
第2立上部225は、平坦部224から第1伝熱管210に沿って延びる。第2立上部225は、第1伝熱管210に接する。ここでは、第2立上部225は、平坦部224と直交する。第2立上部225と平坦部224との連結部分は、湾曲形状を有している。
【0058】
フランジ部226は、第2立上部225から外方に延びる。ここでは、フランジ部226は、第2立上部225と直交する。フランジ部226と第2立上部225との連結部分は、湾曲形状を有している。この連結部分の曲率半径は、0.2mm以上である。
【0059】
1つの平坦部224は、隣接する別の第1フィン220のフランジ部226に接している。平坦部224とフランジ部226とは、同じ方向に延びる。
【0060】
(2-2)第2熱交換器
図8に示すように、第2熱交換器300は、複数の第2伝熱管310と、複数の第2フィン320と、を有している。第2伝熱管310及び第2フィン320は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。本実施形態の第2熱交換器300は、クロスフィンチューブ式熱交換器である。
【0061】
(2-2-1)第2伝熱管
第2伝熱管310は、内部に冷媒を流す。第2伝熱管310は、円筒形状を有している。ここでは、第2伝熱管310は、丸管である。第2伝熱管310には、第2熱交換器300で室内空気と熱交換される冷媒が通過する貫通孔が形成されている。第2伝熱管310の貫通孔は、第2方向に沿って貫通する。ここでは、第2方向は、長手方向である。
【0062】
図5に示すように、第2伝熱管310は、第2母材311と、第2犠牲層312と、を有している。第2犠牲層312は、第2伝熱管310の表面に設けられている。第2犠牲層312は、第2伝熱管310の表面全体に設けられてもよく、図5に示すように、第2伝熱管310の表面の一部に設けられてもよい。換言すると、第2犠牲層312は、露出する外表面の全体に形成されてもよく、図5に示すように、露出する外表面の一部に形成されてもよい。第2犠牲層312は、第2伝熱管310の外表面から冷媒の流れる内表面に向かう厚み方向の一部に形成されており、肉厚全体には形成されていない。換言すると、第2伝熱管310において、冷媒の流れる内表面の少なくとも一部には第2犠牲層312は形成されていない。本実施形態では、第2伝熱管310の内表面の全体に、第2犠牲層312は形成されていない。
【0063】
第2犠牲層312は、第2伝熱管310の第2母材311よりも電位的に卑であり、かつ、第2フィン320よりも電位的に卑である。第2犠牲層312は、電位を下げるために、亜鉛などの金属を含有する。本実施形態の第2犠牲層312は、亜鉛が溶射された亜鉛拡散層である。外表面側の第2犠牲層312は、第2伝熱管310において、内表面側の第2母材311の腐食の進行を防止する。
【0064】
図8に示すように、複数の第2伝熱管310は、上下方向に並ぶ。複数の第2伝熱管310の最下端は、第2ドレンパン32(図3参照)の水位よりも上方に位置する。ここでは、複数の第2伝熱管310の最下端は、第2ドレンパン32が最大量の水を受けたときの最高水位よりも上方に位置する。
【0065】
(2-2-2)第2フィン
第2フィン320は、第2伝熱管310と室内空気との伝熱面積を増大させて、冷媒と室内空気との熱交換を促進する。第2フィン320は、第2伝熱管310と接触している。
【0066】
第2フィン320は、第2伝熱管310の第2母材311よりも電位的に卑であり、かつ、第2犠牲層312よりも電位的に貴である。換言すると、電位が高い順は、第2母材311、第2フィン320及び第2犠牲層312である。本実施形態の第2フィン320は、亜鉛を含有する。
【0067】
図11に示すように、第2フィン320は、第2本体部320aと、第2表面層320bと、を有する。第2表面層320bは、第2本体部320aの表面に設けられている。ここでは、第2表面層320bは、第2本体部320aの延在方向に延びる両表面に設けられている。
【0068】
第2表面層320bの厚みW320bは、第2本体部320aの厚みW320aよりも小さい。なお、第2フィン320における各厚みは、外表面から内部に向かう第2方向の距離の最大値である。
【0069】
第2表面層320bは、樹脂を含む。樹脂は、電気抵抗を有する。第2表面層320bの電気伝導率は、第2本体部320aの電気伝導率よりも小さい。第2表面層320bは、第2本体部320aの表面に表面処理を行うことによって形成された層である。第2表面層320bは、第2フィン320に親水性、耐食性などを付与する。なお、第2表面層320bは、1層であってもよく、複数層であってもよい。
【0070】
複数の第2フィン320は、第2伝熱管310の延びる第2方向(図8参照)に積層されている。ここでは、複数の第2フィン320は、第2伝熱管310に交差(図8では直交)するように上下方向に延びている。本実施形態では、複数の第2フィン320は、平行、かつ、等間隔に配置されている。換言すると、複数の第2フィン320は、所定のフィンピッチP2で第2方向に並んでいる。
【0071】
なお、図6では、便宜上、第2方向及び第1方向を同じ方向に示しているが、第2方向は、第1方向と異なっていてもよい。
【0072】
複数の第2フィン320は、フィン本体321と、第2カラー部322と、を含む。フィン本体321は、平板状の部材である。第2カラー部322は、第2伝熱管310を通す。詳細には、第2カラー部322は、第2伝熱管310を通すための貫通穴を有している。
【0073】
図6及び図7に示すように、第2カラー部322は、第1立上部323と、平坦部324と、第2立上部325と、フランジ部326と、を有している。第1立上部323、平坦部324、第2立上部325、及びフランジ部326は、1つの部材で構成されている。ここでは、第1立上部323、平坦部324、第2立上部325、及びフランジ部326は、ネスティング加工されてなる。
【0074】
第1立上部323は、フィン本体321から第2方向に延びる。ここでは、第1立上部323は、フィン本体321と直交する。第1立上部323とフィン本体321との連結部分は、湾曲(R)形状を有している。
【0075】
平坦部324は、第1立上部323から第2伝熱管310に向けて延びる。ここでは、平坦部324は、第1立上部323と直交する。平坦部324と第1立上部323との連結部分は、湾曲形状を有している。
【0076】
第2立上部325は、平坦部324から第2伝熱管310に沿って延びる。第2立上部325は、第2伝熱管310に接する。ここでは、第2立上部325は、平坦部324と直交する。第2立上部325と平坦部324との連結部分は、湾曲形状を有している。
【0077】
フランジ部326は、第2立上部325から外方に延びる。ここでは、フランジ部326は、第2立上部325と直交する。フランジ部326と第2立上部325との連結部分は、湾曲形状を有している。この連結部分の曲率半径は、0.2mm以上である。
【0078】
1つの平坦部324は、隣接する別の第2フィン320のフランジ部326に接している。平坦部324とフランジ部326とは、同じ方向に延びる。
【0079】
(2-3)第1熱交換器と第2熱交換器との関係
(2-3-1)フィンピッチ
図4に示す第1フィン220のフィンピッチP1は、図8に示す第2フィン320のフィンピッチP2よりも大きい。ここで、フィンピッチP1は、隣り合う第1フィン220の距離である。詳細には、フィンピッチP1は、隣り合う第1フィン220が対向する面同志の距離である。同様に、フィンピッチP2は、隣り合う第2フィン320の距離である。詳細には、フィンピッチP2は、隣り合う第2フィン320が対向する面同志の距離である。
【0080】
第1フィン220のフィンピッチP1と、第2フィン320のフィンピッチP2との差は、0.1mm以上0.3mm以下である。換言すると、ピッチ差(フィンピッチP1-フィンピッチP2)は、0.1mm以上0.3mm以下である。
【0081】
第1フィン220のフィンピッチP1は、第2フィン320のフィンピッチP2の1.0倍を超え1.3倍未満である。換言すると、フィンピッチの比(第1フィン220のフィンピッチP1/第2フィン320のフィンピッチP2)は、1.0を超え1.3未満である。
【0082】
例えば、第1フィン220のフィンピッチP1は、1.4mm以上1.5mm以下である。第2フィン320のフィンピッチP2は、1.2mm以上1.4mm以下である。
【0083】
(2-3-2)伝熱管
第1伝熱管210の外径と、第2伝熱管310の外径とは、同じである。ここでは、第1伝熱管210の内径と、第2伝熱管310の内径とは、同じである。
【0084】
また、第1伝熱管210の材質と、第2伝熱管310の材質とは、同じである。詳細には、第1母材211の材質と、第2母材311の材質とは、同じである。第1犠牲層212の材質と、第2犠牲層312の材質とは、同じである。
【0085】
また、第1犠牲層212の厚みと、第2犠牲層312の厚みとは、同じである。第1及び第2犠牲層212、312の厚みは、最大厚みである。また、ここでは、第1母材211の厚みと、第2母材311の厚みとは、同じである。第1及び第2母材211、311の厚みは、最大厚みである。
【0086】
このように、本実施形態では、第1伝熱管210と第2伝熱管とは、同じである。このため、空気調和機1を製造する際に、第1伝熱管210及び第2伝熱管310として、同じ材質及び同じ大きさの円筒形状の伝熱管を作製した後に、第1熱交換器200及び第2熱交換器300の形状に合わせてその伝熱管を加工する。これにより、第1伝熱管210及び第2伝熱管310のコストを低減することができる。
【0087】
(2-3-3)フィン
第1フィン220の材質と、第2フィン320の材質とは、同じであってもよいが、好ましくは、第1フィン220の亜鉛含有率は、第2フィン320の亜鉛含有率よりも多く、例えば、第1フィン220の亜鉛含有率は、第2フィン320の亜鉛含有率よりも、0.2質量%以上多い。
【0088】
また、第1フィン220の第1表面層220bの絶縁性能と、第2フィン320の第2表面層320bの絶縁性能とは、同じである。換言すると、第1フィン220の第1表面層220bの電気伝導率と、第2フィン320の第2表面層320bの電気伝導率とは、同じである。「同じ」とは、互いの電気伝導率の比が10%以内を含む。具体的には、第1表面層220bの電気伝導率と第2表面層320bの電気伝導率とは、完全に同一であってもよく、第2表面層320bの電気伝導率に対する第1表面層220bの電気伝導率の比(第1表面層220bの電気伝導率/第2表面層320b電気伝導率)が、1.1倍以下である場合と、を含む。
【0089】
また、第1フィン220の厚みと、第2フィン320の厚みとは、同じであってもよいが、本実施形態では異なる。ここでは、第1フィン220の厚みは、第2フィンの厚みよりも小さい。
【0090】
また、図10に示す第1フィン220の第1本体部220aの厚みW220aは、図11に示す第2フィン320の第2本体部320aの厚みW320aよりも小さい。
【0091】
また、図10に示す第1フィン220の第1表面層220bの厚みW220bは、図11に示す第2フィン320の第2表面層320bの厚みW320bよりも大きい。第1表面層220bの厚みW220bは、第2表面層320bの厚みW320bの1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。
【0092】
また、第1表面層220bの電気抵抗値は、第2表面層320bの電気抵抗値の1.2倍以上であることが好ましい。
【0093】
(3)特徴
(3-1)
本実施形態に係る空気調和機1は、室外機2と、室内機3と、を備える。室外機2は、第1熱交換器200を含む。第1熱交換器200は、第1伝熱管210と、複数の第1フィン220と、を有する。第1伝熱管210は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。複数の第1フィン220は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。室内機3は、第2熱交換器300を含む。第2熱交換器300は、第2伝熱管310と、複数の第2フィン320と、を有する。第2伝熱管310は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。複数の第2フィン320は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。第1伝熱管210の表面には、第1犠牲層212が設けられている。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の第1母材211よりも電位的に卑であり、かつ、第1フィン220よりも電位的に卑である。第1フィン220のフィンピッチP1は、第2フィン320のフィンピッチP2よりも大きい。
【0094】
本実施形態の空気調和機1によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管210に、第1母材211よりも電位的に卑である第1犠牲層212が設けられているので、第1母材211の腐食を抑制できる。しかし、第1犠牲層212は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1フィン220よりも電位的に卑である。このため、第1フィン220と第1犠牲層212とに跨るように水滴が付着したときに電位差が発生して、第1フィン220により第1犠牲層212が消耗される。第1犠牲層212が急速に消耗すると、第1母材211の保護が果たせなくなる。
【0095】
そこで、本実施形態の空気調和機1では、室外に設置された室外機2の第1熱交換器200が、室内に設置された室内機3の第2熱交換器300よりも塩害の影響を受けやすいので、第1熱交換器200の第1フィン220のフィンピッチP1を、第2熱交換器300の第2フィン320のフィンピッチP2よりも大きくしている。このため、第1フィン220の枚数を少なくすることによって、第1伝熱管210の第1犠牲層212と接触している第1フィン220の表面積を減らすことができる。したがって、第1フィン220と第1犠牲層212とに跨るように水滴が付着して電位差が発生しても、第1フィン220による第1犠牲層212の消耗を抑制できる。このようにして、本実施形態では、第1犠牲層212の腐食を抑制することができる。
【0096】
また、塩害の影響を受けにくい室内機3の第2熱交換器300の第2フィン320のフィンピッチP2を小さくすることで、第2フィン320の枚数を多く確保できる。したがって、空気調和機1全体としての能力の低下を抑えることができる。
【0097】
(3-2)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1伝熱管210及び第2伝熱管310は、円筒形状を有する。円筒形状を有する第1伝熱管210に取り付けられる第1フィン220、及び第2伝熱管310に取り付けられる第2フィン320には、加工性が要求される。ここでは、第1フィン220が、第1犠牲層212よりも電位的に貴であるため、第1フィン220の加工性の低下を抑えることができる。このため、円筒形状の第1伝熱管210を有する第1熱交換器200と、円筒形状の第2伝熱管310を有する第2熱交換器300と、を含む空気調和機1に好適に用いることができる。
【0098】
(3-3)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン220の表面には、樹脂を含む第1表面層220bが設けられている。
【0099】
ここでは、樹脂を含む第1表面層220bと第1伝熱管210との電気抵抗によって、第1犠牲層212の腐食速度を遅くすることができる。
【0100】
(3-4)
本実施形態に係る空気調和機1では、第2フィン320の表面には、樹脂を含む第2表面層320bが設けられている。第1表面層220bの厚みW220bは、第2表面層320bの厚みW320bよりも大きい。
【0101】
ここでは、塩害の影響を受けやすい室外機2の第1表面層220bと第1伝熱管210との電気抵抗を、室内機3の第2表面層320bと第2伝熱管310との電気抵抗よりも大きくすることができる。したがって、第1犠牲層212の腐食速度をより遅くすることができる。
【0102】
(3-5)
本実施形態に係る空気調和機1では、第2伝熱管310の表面には、第2犠牲層312が設けられている。第2犠牲層312は、第2伝熱管310の第2母材311よりも電位的に卑であり、かつ、第2フィン320よりも電位的に卑である。
【0103】
ここでは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管310に、第2母材311よりも電位的に卑である第2犠牲層312が設けられているので、第2母材311の腐食を抑制できる。また、第2犠牲層312が第2フィン320よりも電位的に卑であるので、第2フィン320の加工性の低下を抑えることができる。
【0104】
(3-6)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン220のフィンピッチP1と、第2フィン320のフィンピッチP2との差(P1-P2)は、0.1mm以上0.3mm以下である。これにより、第1犠牲層212の腐食をより抑制することができる。
【0105】
(3-7)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン220のフィンピッチP1は、第2フィン320のフィンピッチP2の1.0倍を超え1.3倍未満である。これにより、第1犠牲層212の腐食をより抑制することができる。
【0106】
(3-8)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1犠牲層212の厚みと、第2犠牲層312の厚みとは、同じである。このように、第1伝熱管210の第1犠牲層212と第2伝熱管310の第2犠牲層312とを共通化できるので、第1熱交換器200及び第2熱交換器300の生産効率を向上することができる。
【0107】
(3-9)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1伝熱管210の外径と、第2伝熱管310の外径とは、同じである。このように、第1伝熱管210の外径と第2伝熱管310の外径とを共通化できるので、第1熱交換器200及び第2熱交換器300の生産効率を向上することができる。
【0108】
(3-10)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1伝熱管210の材質と、第2伝熱管310の材質とは、同じである。このように、第1伝熱管210の材質と第2伝熱管310の材質とを共通化できるので、第1熱交換器200及び第2熱交換器300の生産効率を向上することができる。
【0109】
(3-11)
本実施形態に係る空気調和機1では、室外機2は、水を受ける第1ドレンパン22をさらに含む。室内機3は、水を受ける第2ドレンパン32をさらに含む。第1伝熱管210及び第2伝熱管310は、複数である。複数の第1伝熱管210の最下端は、第1ドレンパン22の水位よりも上方に位置する。複数の第2伝熱管310の最下端は、第2ドレンパン32の水位よりも上方に位置する。
【0110】
これにより、第1ドレンパン22の水が第1伝熱管210に付着することを抑制できるとともに、第2ドレンパン32の水が第2伝熱管310に付着することを抑制できる。このため、第1ドレンパン22の水による第1伝熱管210の腐食を抑制することができるとともに、第2ドレンパン32の水による第2伝熱管310の腐食を抑制することができる。
【0111】
(3-12)
本実施形態に係る空気調和機1では、複数の第1フィン220は、第1伝熱管210の延びる第1方向に積層され、第1伝熱管210を通す第1カラー部222を有する。第1カラー部222は、第1立上部223と、平坦部224と、第2立上部225と、フランジ部226と、を有する。第1立上部223は、フィン本体221から第1方向に延びる。平坦部224は、第1立上部223から第1伝熱管210に向けて延びる。第2立上部225は、平坦部224から第1伝熱管210に沿って延びる。フランジ部226は、第2立上部225から外方に延びる。1つの平坦部224は、隣接する別の第1フィン220のフランジ部226に接する。
【0112】
複数の第2フィン320は、第2伝熱管310の延びる第2方向に積層され、第2伝熱管を通す第2カラー部322を有する。第2カラー部322は、第1立上部323と、平坦部324と、第2立上部325と、フランジ部326と、を有する。第1立上部323は、フィン本体321から第2方向に延びる。平坦部324は、第1立上部323から第2伝熱管310に向けて延びる。第2立上部325は、平坦部324から第2伝熱管310に沿って延びる。フランジ部326は、第2立上部325から外方に延びる。1つの平坦部324は、隣接する別の第2フィン320のフランジ部326に接する。
【0113】
第1フィン220及び第2フィン320がこのような構造を有すると、積層される第1フィン220の第1カラー部222及び第2フィン320の第2カラー部322に隙間が生じる。詳細には、例えば、1つの第1フィン220における第1立上部223と平坦部224との連結部分と、別の第1フィン220のフランジ部226との間に隙間が生じる。この隙間に水滴が付着することに起因して、腐食の課題が大きくなる。
【0114】
しかし、本実施形態の空気調和機1は、第1フィン220による第1犠牲層212の腐食を抑制できるので、第1フィン220及び第2フィン320が上記構造を有していても、腐食の課題を解決できる。このため、上記構造の第1フィン220を有する第1熱交換器200と、上記構造の第2フィン320を有する第2熱交換器300と、を含む空気調和機1に好適に用いることができる。
【0115】
(3-13)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1カラー部222の第2立上部225とフランジ部226との連結部分、及び第2カラー部322の第2立上部325とフランジ部326との連結部分は、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する。
【0116】
第1フィン220及び第2フィン320がこのような構造を有すると、積層される第1フィン220及び第2フィン320の第2立上部225、325とフランジ部226、326との連結部分に隙間が生じる。この隙間に水滴が付着することに起因して、腐食の課題が大きくなる。
【0117】
しかし、本実施形態の空気調和機1は、第1フィン220による第1犠牲層212の腐食を抑制できるので、上記構造の第1フィン220を有する第1熱交換器200と、上記構造の第2フィン320を有する第2熱交換器300と、を含む空気調和機1に好適に用いることができる。
【0118】
(3-14)
本実施形態に係る空気調和機1では、第1フィン220の亜鉛含有率は、第2フィン320の亜鉛含有率よりも多いことが好ましい。
【0119】
ここでは、塩害の影響を受けやすい室外機2の第1フィン220の亜鉛含有率が、室内機3の第2フィン320の亜鉛含有率よりも多いので、第1フィン220の電位を下げることができる。このため、第1フィン220と第1犠牲層212との電位差を小さくすることができる。したがって、第1犠牲層212の腐食をより抑制することができる。
【0120】
(4)変形例
(4-1)変形例1
上述した実施形態では、室内機3の第2熱交換器300において、第2母材311、第2フィン320及び第2犠牲層312の順に、電位的に貴であるが、これに限定されない。本変形例では、室内機3の第2熱交換器300において電位が高い順は、第2母材311、第2犠牲層312及び第2フィン320ある。第2母材311、第2犠牲層312及び第2フィン320の電位は、例えば、亜鉛などの電位的に卑な金属の含有率で調整される。
【0121】
このように、本変形例に係る空気調和機では、第2犠牲層312は、第2伝熱管310の第2母材311よりも電位的に卑であり、かつ、第2フィン320よりも電位的に貴である。これにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管310に、第2母材311よりも電位的に卑である第2犠牲層312が設けられているので、第2母材311の腐食を抑制できる。また、第2犠牲層312が第2フィン320よりも電位的に貴であるので、第2フィン320のフィンピッチP2が小さくても、第2フィン320による第2犠牲層312の腐食を抑制することができる。
【0122】
(4-2)変形例2
上述した実施形態では、第1伝熱管210の第1犠牲層212及び第2伝熱管310の第2犠牲層312は、図5に示すように、亜鉛が溶射された拡散層を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例では、図9に示すように、母材及び犠牲層として、クラッド材を用いる。
【0123】
具体的には、第1伝熱管210は、第1母材211となる金属と、第1犠牲層212となる金属とが貼り合わされたクラッド材を用いて、形成されている。第2伝熱管310は、第2母材311となる金属と、第2犠牲層312となる金属とが貼り合わされたクラッド材を用いて、形成されている。
【0124】
(4-3)変形例3
上述した実施形態では、図10及び図11に示すように、第1フィン220及び第2フィン320の両方に表面層が設けられているが、これに限定されない。本変形例では、第1フィン220に第1表面層220bが設けられているが、第2フィン320には、第2表面層320bが設けられていない。なお、本開示の空気調和機において、第1フィン220及び第2フィン320の両方に、表面層が設けられていなくてもよい。
【0125】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0126】
1 :空気調和機
2 :室外機
3 :室内機
22 :第1ドレンパン
32 :第2ドレンパン
200 :第1熱交換器
210 :第1伝熱管
211 :第1母材(母材)
212 :第1犠牲層
220 :第1フィン
220b:第1表面層
221,321 :フィン本体
222 :第1カラー部
223,323 :第1立上部
224,324 :平坦部
225,325 :第2立上部
226,326 :フランジ部
300 :第2熱交換器
310 :第2伝熱管
311 :第2母材(母材)
312 :第2犠牲層
320 :第2フィン
320b:第2表面層
322 :第2カラー部
P1,P2 :フィンピッチ
W220b,W320b :厚み
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【文献】特開2001-304783号公報
図1
図2
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図4
図5
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図11