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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20231213BHJP
   A47J 37/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A47J37/06 306
A47J37/08 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020024030
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021126433
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592193535
【氏名又は名称】タニコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】河邑 貴広
(72)【発明者】
【氏名】市川 惠
(72)【発明者】
【氏名】西 教安
(72)【発明者】
【氏名】酒本 和正
(72)【発明者】
【氏名】安井 信男
(72)【発明者】
【氏名】菅野 信一
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-027224(JP,A)
【文献】登録実用新案第3040310(JP,U)
【文献】特開2004-136023(JP,A)
【文献】特開2008-142129(JP,A)
【文献】特開昭54-132288(JP,A)
【文献】特開平06-205728(JP,A)
【文献】登録実用新案第3022470(JP,U)
【文献】特開平10-335424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
A47J 37/08
B66F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
お好み焼きやホットケーキを含む半流動体状の具材を両面加熱調理するグリルであって、
下側プラテンと、
前記下側プラテンを加熱する下側加熱手段と、
前記下側プラテンと対向する上側プラテンと、
前記上側プラテンを加熱する上側加熱手段と、
背面中央側から立設され、前記上側プラテンを支持する1本の支柱と、
前記上側プラテンおよび上側加熱手段を水平状態で垂直方向に移動させる移動手段と、
前記上側加熱手段の前面側に連設される取手と、
前記上側プラテンおよび上側加熱手段に可撓性連結部材を介して連結され、前記上側プラテンおよび上側加熱手段の移動に伴い前記支柱に沿って移動するカウンタウェイトと、
を備え、
前記移動手段は上側プラテン下面と下側プラテン上面とが接する位置から最大離間距離まで離間可能であり、
前記最大離間距離は350mm以上700mm以下である
ことを特徴とするグリル。
【請求項2】
前記可撓性連結部材が切断したときに、前記上側プラテンおよび上側加熱手段の落下を防止する落下防止手段
を備えることを特徴とする請求項1記載のグリル。
【請求項3】
前記落下防止手段は、
前記可撓性連結部材端部に連結される係止部材と、
前記係止部材を付勢する付勢部材と、
を有し、
前記可撓性連結部材の張力により付勢部材に対抗し、前記係止部材を移動に支障のない位置に維持し、
前記可撓性連結部材が切断したときに、係止部材が付勢され、移動に用いる支柱に係止される
ことを特徴とする請求項2記載のグリル。
【請求項4】
請求項1記載のグリルを用いた、お好み焼きやホットケーキを含む半流動体状の具材の調理方法であって、
前記取手を掴み前記上側プラテンおよび上側加熱手段を上方向に移動させ、作業空間を形成し、被加熱物を前記下側プラテンに配置し、
前記取手を掴み前記上側プラテンおよび上側加熱手段を下方向に移動させるとともに、被加熱物の厚さを調整しながら両面加熱し、
前記取手を掴み前記上側プラテンおよび上側加熱手段を再度上方向に移動させ、作業空間を形成し、被加熱物をひっくり返し、
前記取手を掴み前記上側プラテンおよび上側加熱手段を再度下方向に移動させるとともに、被加熱物の厚さを再度調整しながら両面加熱し、
前記取手を掴み前記上側プラテンおよび上側加熱手段を再度上方向に移動させ、作業空間を形成し、被加熱物を取り出す
ことを特徴とする調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被加熱物を両面加熱調理するグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
業務用のグリルには、被加熱物を平行に対向した加熱面の間に挟んで調理する両面加熱調理可能なものがある。両面加熱することにより調理時間を短縮でき、また均質な調理が可能となる。例えば、市場規模の大きいハンバーガー店のパテ用グリルは、両面加熱できるものが主流である。
【0003】
両面加熱グリルはクラムシェルグリルと呼ばれることもあり、貝のように、下側プラテンに対し上側プラテンが回動可能に軸支されている。上側プラテンと下側プラテンとが被加熱物を挟んで対向する閉状態と、下側プラテンに対し上側プラテンが回動し、被加熱物の配置・取り出し可能とする開状態とに、切替可能である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-309236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クラムシェルグリルは、数十年間、基本形状が変化しておらず、改良を望む声が出てきた。
【0006】
たとえば、クラムシェルグリルはハンバーガーのパテ用として開発したものであるが、お好み焼きやホットケーキ等にも適用できる。しかしながら、ハンバーガーのパテとお好み焼きやホットケーキ等では、調理方法が若干異なり、各調理方法に対応した改良が必要となる。
【0007】
本発明は、従来型クラムシェルグリルの不具合を解消する両面加熱調理可能なグリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、被加熱物を両面加熱調理するグリルについてなされたものである。グリルは、水平に設置された下側プラテンと、前記下側プラテンを加熱する下側加熱手段と、前記下側プラテンと平行に対向する上側プラテンと、前記上側プラテンを加熱する上側加熱手段と、前記上側プラテンおよび上側加熱手段を水平状態のまま垂直方向に移動させる移動手段とを備えている。前記移動手段は上側プラテン下面と下側プラテン上面とを300mm以上700mm以下に離間可能である。
【0009】
従来型クラムシェルグリルは回動動作により上側プラテンと下側プラテンとを開状態にするのに対し、本願グリルは上下移動動作により上側プラテンと下側プラテンとを開状態にする。この動作の違いにより、従来型クラムシェルグリルの不具合を解消できる。
【0010】
上記発明において好ましくは、前記上側プラテンおよび上側加熱手段に可撓性連結部材を介して連結され、前記上側プラテンおよび上側加熱手段の移動に伴い移動するカウンタウェイトとを備える。
【0011】
これにより、上下移動動作が容易になる。
【0012】
上記発明において好ましくは、前記可撓性連結部材が切断したときに、前記上側プラテンおよび上側加熱手段の落下を防止する落下防止手段を備える。
【0013】
これにより、上下移動動作に伴う不具合を解消できる。
【0014】
上記発明において、好ましくは、前記落下防止手段は、前記可撓性連結部材端部に連結される係止部材と、前記係止部材を付勢する付勢部材と、を有する。前記可撓性連結部材の張力により付勢部材に対抗し、前記係止部材を移動に支障のない位置に維持し、前記可撓性連結部材が切断したときに、係止部材が付勢され、移動に用いる支柱に係止される。
【0015】
これにより、前記上側プラテンおよび上側加熱手段の落下を防止できる。
【0016】
上記発明において、好ましくは、お好み焼きやホットケーキを含む半流動体状の具材を加熱調理する。
【0017】
本願グリルは、お好み焼きやホットケーキを含む半流動体状の具材を加熱調理するのに、好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のグリルによれば、従来型クラムシェルグリルの不具合を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】グリル本体主要部の正面構成図である。
図2】グリル本体全体構成の正面図および側面図である。
図3】グリルの背面図である。
図4】上下移動機構の動作について説明する図である。
図5】本願効果を説明する図である。
図6】本願効果を説明する図である。
図7】本願効果を説明する図である。
図8】落下防止機構の正面構成図である。
図9】落下防止機構の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
~グリル基本構成~
図1は、グリル本体主要部の一例の正面構成図である。図2は、グリル本体全体構成の一例の正面図および側面図である。本実施形態のグリルは被加熱物を両面加熱調理可能である。
【0021】
グリル本体は、下側プラテン1と、下側加熱部2と、下側操作部3と、上側プラテン4と、上側加熱部5と、上側操作部6とを備えている。
【0022】
一般に、プラテンとは、平らな金属板をいう。例えば、クロムと鋼の合金であるステンレス鋼で形成されている。ステンレス鋼は腐食しづらいので、平滑面を維持し易い。また、熱伝導性が良いアルミニウム合金や硬質のクロムモリブデン鋼などを使用しても良く、組成が異なる複数の金属板を重ねて使用しても良い。
【0023】
上側プラテン4と下側プラテン1とは水平に配置され、被加熱物を挟んで対向する。
【0024】
下側加熱部2は下側プラテン1の下部から下側プラテン1を加熱する。下側加熱部2は例えばガスバーナーである。外部よりガスが供給される。
【0025】
上側加熱部5は上側プラテン4の上部から上側プラテン4を加熱する。上側加熱部5は例えば電気ヒータがプラテンと一体となっている。外部より電力が供給される。
【0026】
下側加熱部2を電気ヒータとしてもよい。上側加熱部5をガスバーナーとしてもよい。
【0027】
下側操作部3(図示省略)は、グリル本体前面に設けられ、下側加熱部2への操作指示を入力する。上側操作部6(図示省略)は、グリル本体前面に設けられ、上側加熱部5への操作指示を入力する。
【0028】
グリル本体は脚に支持されている。脚に高さ調整装置やストッパー付きキャスターを設けても良い。これにより、調理面(例えば下側プラテン上面)が調理者(例えば身長160~180cm)の腰の位置に相当することが好ましい。
【0029】
~上下移動機構~
本実施形態のグリルは、特徴的構成として上下移動機構10を備える。
【0030】
上下移動機構10は下側プラテン1に対し上側プラテン4および上側加熱部5を上側プラテン下面が水平状態で垂直方向に移動させる。上側プラテン下面と下側プラテン上面とを300mm以上700mm以下に離間可能である。好ましくは、350mm以上に離間可能である。好ましくは、500mm以下に離間可能である。
【0031】
離間距離が短すぎると、充分な作業空間(詳細後述)を確保できない。離間距離が長すぎると、支柱に過大なモーメントが作用する。支柱を過剰に太くすることは実用的でない。
【0032】
図3は、グリルの一例の背面図である。グリル本体の背面側には背面筺体11が設けられている。背面筺体11中央には支柱12が設けられている。
【0033】
上側プラテン4は背面方向に延長されプラテン延長部13に連結している。プラテン延長部13が支柱12に沿って垂直方向に移動するに伴い、上側プラテン4は垂直方向に移動する。プラテン延長部13の両端はガイド(付番省略)に沿って垂直方向に移動する。
【0034】
プラテン延長部13は可撓性連結部材14の一端に連結されている。可撓性連結部材14の他端はカウンタウェイト15に連結されている。
【0035】
可撓性連結部材14はワイヤ、ロープ、チェーン、ベルト等が好適である。
【0036】
背面筺体11上部には、滑車16が設けられている。滑車16には可撓性連結部材14が掛けられている。
【0037】
カウンタウェイト15重量は、上側プラテン4および上側加熱部5の重量と同等または±40%程度とする。好ましくは±20%程度とする。更に好ましくは+20%程度とする。仮に、カウンタウェイト15重量と上側プラテン4および上側加熱部5の重量の和が同じ場合、滑車16を支点として力の釣り合いが発生する。
【0038】
原理的には、釣り合い状態において、上側プラテン4および上側加熱部5を持ち上げるに必要な力はゼロである。実際には、可撓性連結部材14と滑車16との間に摩擦力が発生する。従って、摩擦力に対抗する力程度は必要になる。また、当該摩擦力を考慮して、カウンタウェイト15重量を調整してもよい。
【0039】
上側プラテン4および上側加熱部5を持ち上げると、可撓性連結部材14を介してカウンタウェイト15が下がる。上側プラテン4および上側加熱部5を引き下げると、可撓性連結部材14を介してカウンタウェイト15が上がる。垂直方向移動の途中に外力作用を解除すると、可撓性連結部材14と滑車16との間の摩擦力により、上側プラテン4、上側加熱部5およびカウンタウェイト15は、当該位置で停止し、停止状態を維持する。
【0040】
~お好み焼き・ホットケーキ~
クラムシェルグリル(従来型)はハンバーガーのパテ用として開発したものである。市場規模としても被加熱物としてハンバーガーのパテを調理することが多い。もちろん、クラムシェルグリルをお好み焼きやホットケーキ等の調理にも適用できる。
【0041】
ところで、ハンバーガーのパテは、加熱前から所定の形状を維持している。これに対し、お好み焼きやホットケーキ等においては、半流動体(半固形)状の具材をプラテン上に配置し、加熱を経て固形状とする。
【0042】
半流動体状の具材においては、重い具材が下に、軽い具材が上になる傾向がある。その結果、お好み焼きやホットケーキ等において、上下間で焼きムラが発生するおそれがある。
【0043】
焼きムラを抑制するためには、お好み焼きやホットケーキを加熱途中でひっくり返すことが好ましい。すなわち、ハンバーガーのパテの調理工程に比べてお好み焼きやホットケーキの調理工程は一工程増え、グリルの開閉動作が1回増える。
【0044】
なお、本願グリルは、お好み焼きやホットケーキを含む半流動体状の具材を加熱調理するのに、好適であるが、ハンバーガーのパテ等、他の加熱調理に用いてもよい。
【0045】
~動作~
図4は、被加熱物を両面加熱調理するときの上下移動機構10の一例の動作について説明する図である。
【0046】
本実施形態のグリルは、上側プラテン4と下側プラテン1とが被加熱物を挟んで対向する閉状態と、下側プラテン1に対し上側プラテン4が離間し、被加熱物の配置・取り出し可能とする開状態とに、切替可能である。本実施形態のグリルは、閉状態と開状態とを繰り返す。
【0047】
カウンタウェイト15により、わずかな力で上側プラテン4および上側加熱部5を持ち上げ、閉状態から開状態とすることができる。
【0048】
また、カウンタウェイト15により、上側プラテン4および上側加熱部5を引き下げ、開状態から閉状態とするとき、急激な落下を抑制できる。
【0049】
調理前、グリルは、閉状態にある。上側プラテン4下面と下側プラテン1上面とが接するように対向している。
【0050】
上側加熱部5に連設されている取手を掴み、上側プラテン4および上側加熱部5を上方向に移動させ、開状態とする。これにより、上側プラテン下面と下側プラテン上面とが例えば400mm(300~700mm)程度離間し、充分な作業空間が確保される。そして、被加熱物を下側プラテン1上に配置する。
【0051】
上側加熱部5に連設されている取手を掴み、上側プラテン4および上側加熱部5を下方向に移動させ、閉状態とする。ただし、上側プラテン4下面と下側プラテン1上面とも間に微小間隔を確保し、被加熱物が潰れない様に留意する。なお、カウンタウェイト15により、微小間隔の調整は容易である。一定の巾を有する部材を用いて間隔を調整しても良い。
【0052】
所定時間経過後、再び開状態とし、作業空間を確保し、被加熱物をひっくり返したのち、閉じ状態とする。このとき、被加熱物の厚さが変化していることもあるが、カウンタウェイト15により、微小間隔の調整は容易である。
【0053】
更に、所定時間経過後、再び開状態とし、作業空間を確保し、被加熱物を取り出し、下側プラテン1上を清掃し、次の調理に備える。
【0054】
~効果~
クラムシェルグリル(従来型)と本実施形態のグリルを比較することにより、本願効果を説明する。
【0055】
図5は、本願効果の一例を説明する図である。
【0056】
クラムシェルグリル(従来型)において、開状態とするために、下側プラテンに対し上側プラテン(および上側加熱部)を回動させる。このとき、調理者は自重を掛けてグリル側に踏み込むことになる。その結果、上側プラテンの高温部が調理者の顏の前を通過するおそれがある。
【0057】
これに対し、本実施形態では、上下移動において、調理者がグリル側に踏み込むことにない。また、上側プラテン4の高温部が調理者の顏付近に近づくこともないのでやけどの危険がなく、より安全である。
【0058】
なお、お好み焼き・ホットケーキの調理では、グリルの開閉動作が1回増えるため、上記効果は顕著になる。
【0059】
図6は、本願効果の別例を説明する図である。
【0060】
両面加熱において、上下間において加熱ムラが生じることもある。上側の加熱が先行する場合、被加熱物が上側プラテンに付着するおそれがある。
【0061】
クラムシェルグリル(従来型)において、開状態とするために、下側プラテンに対し上側プラテン(および上側加熱部)を回動させる。このとき、被加熱物が上側プラテンに付着していると、被加熱物は斜めに滑りながら落下するおそれがある。とくに、お好み焼きやホットケーキなどの半流動体が斜めに落下すると、落下時の端部に全荷重が集中するため、その形状を維持できない。すなわち、商品として提供できず、食材を廃棄することになる。
【0062】
これに対し、本実施形態では、下側プラテン1に対し上側プラテン4を水平状態のまま垂直方向に移動させる。このとき、被加熱物が上側プラテン4に付着していると、被加熱物は垂直方向に落下する。落下時の衝撃は均等に分散するため、その形状は維持される。すなわち、商品として提供でき、食材を廃棄することがない。
【0063】
なお、お好み焼き・ホットケーキの調理では、グリルの開閉動作が1回増えるため、上記効果は顕著になる。
【0064】
図7は、本願効果の更なる別例を説明する図である。
【0065】
お好み焼きやホットケーキなどの半流動体食材を加熱すると、熱により膨張する。具体的には厚さが増す。
【0066】
クラムシェルグリル(従来型)において、開状態とするために、下側プラテンに対し上側プラテン(および上側加熱部)を回動させる。回動動作において厚さ調節は困難であり、別途、厚さ調整機構を付加する必要がある。
【0067】
これに対し、本実施形態では、下側プラテン1に対し上側プラテン4を水平状態のまま垂直方向に移動させる。このとき、カウンタウェイト15により、微小間隔の調整は容易である。
【0068】
~落下防止機構~
本実施形態のグリルは、特徴的構成として上下移動機構10を備える。可撓性連結部材14、カウンタウェイト15、滑車16は上下移動機構10の主要構成である。可撓性連結部材14として、比較的径の大きいワイヤを用いる等により、可撓性連結部材14が破断するリスクはほとんどない。しかし、念のため、可撓性連結部材14が破断するリスクと対策についても検討している。
【0069】
可撓性連結部材14が破断したときは、上側プラテン4および上側加熱部5が落下するリスクもある。そこで、本実施形態のグリルは、追加的構成として落下防止機構20を備える。落下防止機構20は上側プラテン4および上側加熱部5が意図せず落下することを防止する。
【0070】
図8は、落下防止機構20の一例の正面構成図(グリル正面に対し背面側)である。支柱12の左右両側に突起状の係止受部21が複数設けられている。プラテン延長部13には左右の係止部22と左右の付勢部23が設けられている。
【0071】
係止部22は係止受部21の突起と対応する突起部を有する。プラテン延長部13は係止部22を介して可撓性連結部材14の一端に連結されている。係止部22は軸24を中心に回動可能である。
【0072】
付勢部23は例えばコイルバネである。付勢部23は、係止部22が係止受部21に近づく方向の回動を付勢するとともに、係止部22が係止受部21から離れる方向の回動を抑制する。
【0073】
ところで、カウンタウェイト15と上側プラテン4および上側加熱部5との間において、可撓性連結部材14には張力が発生する。
【0074】
当該張力は付勢部23の付勢力に対抗し、係止部22は係止受部21から離れた位置を維持する。すなわち、係止部22は係止受部21に係止されず、プラテン延長部13が支柱12に沿って垂直方向に支障なく移動可能である。その結果、通常時には、上側プラテン4および上側加熱部5は垂直方向に支障なく移動可能(上記動作参照)である。
【0075】
図9は、落下防止機構20の一例の動作について説明する図である。
【0076】
可撓性連結部材14が破断すると、カウンタウェイト15と上側プラテン4および上側加熱部5との間において、可撓性連結部材14に発生していた張力が無くなる。付勢部23の付勢力は当該張力から解放され、付勢部23は、係止部22が係止受部21に近づく方向の回動を付勢する。
【0077】
上側プラテン4および上側加熱部5は落下するが、係止部22の突起が最も近い係止受部21の突起に係止する。これにより、上側プラテン4および上側加熱部5の落下は停止する。
【符号の説明】
【0078】
1 下側プラテン
2 下側加熱部
3 下側操作部
4 上側プラテン
5 上側加熱部
6 上側操作部
10 上下移動機構
11 背面筺体
12 支柱
13 プラテン延長部
14 可撓性連結部材
15 カウンタウェイト
16 滑車
20 落下防止機構
21 係止受部
22 係止部
23 付勢部
24 回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9