(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】車載電気部品内回路ユニット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20231213BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20231213BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20231213BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20231213BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231213BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20231213BHJP
H01R 13/74 20060101ALI20231213BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231213BHJP
H05K 5/04 20060101ALI20231213BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H02G3/08 080
H02G3/22
B60R16/02 610B
H01R13/52 301H
H01R13/52 B
H01R13/74 J
H05K7/20 B
H05K5/04
H05K7/00 M
(21)【出願番号】P 2020075486
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-50681(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157331(WO,A1)
【文献】特開2013-93372(JP,A)
【文献】実開平6-72281(JP,U)
【文献】特開2020-27890(JP,A)
【文献】特開2019-62651(JP,A)
【文献】特開2016-201520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H02G 3/08
H02G 3/22
B60R 16/02
H01R 13/52
H01R 13/74
H05K 7/20
H05K 5/04
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部材を保持する絶縁性の保持体と、
被覆電線と、前記被覆電線の一端部に設けられて前記回路部材に接続される回路側接続部と、前記被覆電線の他端部に設けられたコネクタと、前記被覆電線が貫通する筒状のグロメットと、を備えたワイヤハーネスと、
車載電気部品の筐体に設けられた筐体貫通孔を覆う板壁部と、
前記板壁部の前記筐体へ取り付けられる面である第1面に設けられ、前記筐体貫通孔の周縁に接触する環状のシール部材を含み、
前記板壁部を板厚方向に貫通して設けられたグロメット装着孔に前記ワイヤハーネスが貫通し、前記ワイヤハーネスの前記グロメットが前記グロメット装着孔に密着して前記グロメット装着孔が封止されている、
車載電気部品内回路ユニット。
【請求項2】
前記板壁部が金属製である、請求項1に記載の車載電気部品内回路ユニット。
【請求項3】
前記板壁部の前記第1面は、前記回路側接続部に対向する側の面である、請求項1または請求項2に記載の車載電気部品内回路ユニット。
【請求項4】
前記保持体が載置されて固定されるベース板部をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載電気部品内回路ユニット。
【請求項5】
前記ベース板部には、前記ベース板部から下方に突出する支持脚部が設けられている、請求項4に記載の車載電気部品内回路ユニット。
【請求項6】
前記ベース板部が、前記保持体よりも熱伝導性の高い材料によって構成されている、請求項4または請求項5に記載の車載電気部品内回路ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載電気部品の筐体内に収納された車載電気部品内回路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジャンクションボックス等の回路ユニットを、車両に搭載される車載電気部品である電池パックの筐体内に、バッテリモジュールや電池制御システムなどと共に収納した構造が示されている。ここでは、電池パックの筐体内に収納された回路ユニットの外部機器との接続を可能にするために、筐体の周壁に外部の相手コネクタが接続されるコネクタを設け、コネクタと回路ユニットとの間を、被覆電線やバスバーにより導通接続する構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、筐体に設けられたコネクタと回路ユニットとの接続作業を、電池パックへの回路ユニットの組み付け時に行う必要がある。そのため、電池パック側での作業工数が増大するという問題を内在していた。さらに、筐体に設けられたコネクタと回路ユニットとの間に、接続作業用のスペースが必要となり、そのスペース分、電池パックの大型化を招いていた。
【0005】
そこで、車載電気部品側での作業工数の低減と、車載電気部品の小型化を図ることが可能な、新規な構造の車載電気部品内回路ユニットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載電気部品内回路ユニットは、回路部材を保持する絶縁性の保持体と、被覆電線と、前記被覆電線の一端部に設けられて前記回路部材に接続される回路側接続部と、前記被覆電線の他端部に設けられたコネクタと、前記被覆電線が貫通する筒状のグロメットと、を備えたワイヤハーネスと、車載電気部品の筐体に設けられた筐体貫通孔を覆う板壁部と、前記板壁部の前記筐体へ取り付けられる面である第1面に設けられ、前記筐体貫通孔の周縁に接触する環状のシール部材を含み、前記板壁部を板厚方向に貫通して設けられたグロメット装着孔に前記ワイヤハーネスが貫通し、前記ワイヤハーネスの前記グロメットが前記グロメット装着孔に密着して前記グロメット装着孔が封止されている、車載電気部品内回路ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車載電気部品側での作業工数の低減と、車載電気部品の小型化を図ることが可能な、新規な構造の車載電気部品内回路ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る車載電気部品内回路ユニットが車載電気部品の筐体内に収納された状態を示す全体斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す車載電気部品内回路ユニットの分解斜視拡大図である。
【
図5】
図5は、電源から負荷に至る経路における車載電気部品内回路ユニットの電気的構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の車載電気部品内回路ユニットは、
(1)回路部材を保持する絶縁性の保持体と、被覆電線と、前記被覆電線の一端部に設けられて前記回路部材に接続される回路側接続部と、前記被覆電線の他端部に設けられたコネクタと、前記被覆電線が貫通する筒状のグロメットと、を備えたワイヤハーネスと、車載電気部品の筐体に設けられた筐体貫通孔を覆う板壁部と、前記板壁部の前記筐体へ取り付けられる面である第1面に設けられ、前記筐体貫通孔の周縁に接触する環状のシール部材を含み、前記板壁部を板厚方向に貫通して設けられたグロメット装着孔に前記ワイヤハーネスが貫通し、前記ワイヤハーネスの前記グロメットが前記グロメット装着孔に密着して前記グロメット装着孔が封止されている、車載電気部品内回路ユニットである。
【0010】
本開示の車載電気部品内回路ユニットによれば、従来構造において、車載電気部品の筐体に設けられていたコネクタが、保持体の保持された回路部材に接続されたワイヤハーネスの他端部に設けられている。さらに、車載電気部品の筐体に設けられた筐体貫通孔を覆う板壁部が、回路部材に接続されたワイヤハーネスに対して、グロメットを介して装着されている。その結果、従来構造で車載電気部品の筐体に設けられていたコネクタを車載電気部品内回路ユニットの構成部材として、予め回路部材にコネクタを接続させておくことができる。それゆえ、従来構造で必要とされていた、筐体に設けられたコネクタと回路ユニットとの接続作業が不要となり、車載電気部品側での作業工数の低減が図られる。その結果、筐体と回路ユニットとの間に、接続作業用のスペースを確保する必要がなくなり、車載電気部品の小型化も図ることができる。
【0011】
さらに、車載電気部品に設けられた筐体貫通孔は、ワイヤハーネスに装着された板壁部で覆うことにより塞ぐことができる。板壁部が筐体へ取り付けられる面である第1面に設けられ、筐体貫通孔の周縁に接触する環状のシール部材を含んでおり、板壁部に設けられたグロメット装着孔はグロメットが密着することで封止されている。それゆえ、筐体貫通孔の防水性も維持することができる。ここで、板壁部は、車載電気部品の筐体とは別体に設けられた車載電気部品内回路ユニット側の部品であることから、筐体の材料による制限を受けることがなく、板壁部の材料の選択自由度が向上されている。それゆえ、例えば、グロメットとグロメット装着孔の密着状態を有利に実現できる材料を任意に選択することも可能となる。特に、筐体全体に比べて板壁部のボリュームが小さいことから、コストの増大を抑えつつより優れた板壁部の材料を選択することができる。
【0012】
加えて、環状のシール部材は、筐体貫通孔の周縁と板壁部との対向面間で挟持される所謂面シールを構成する。そのため、板壁部の筐体へ取り付けられる方向に直交する2方向における組付け公差も、シール部材の撓み変形により、吸収することができる。なお、板壁部は、筐体貫通孔に対して、筐体の内側から重ね合されてもよいし、筐体の外側から重ね合されてもよい。
【0013】
また、従来構造では、場合によっては、車載電気部品の筐体に、コネクタと回路ユニットとの接続作業用に開閉自在の開口部を設ける必要が生じる場合もあったが、本開示の構造によれば、車載電気部品内回路ユニットが、回路部材に接続されたコネクタを予め備えているため、そのような構造も不要とすることができる。
【0014】
(2)前記板壁部が金属製である、ことが好ましい。板壁部自体の変形が抑制され、グロメットとグロメット装着孔の密着性を一層有利に保持することができ、防水性を有利に確保できるからである。
【0015】
(3)前記板壁部の前記第1面は、前記回路側接続部に対向する側の面である、ことが好ましい。第1面が回路側接続部に対向する側の面であるため、筐体への板壁部の装着を筐体の外側からすることができる。それゆえ、広い作業スペースが確保できて、作業性の向上を図ることができる。なお、筐体の外側から板壁部を重ね合せて組み付ける場合には、板壁部を筐体に対して組み付けた後に、板壁部のグロメット装着孔に対してワイヤハーネスを貫通させてグロメットをグロメット装着孔に密着させればよい。
【0016】
(4)前記保持体が載置されて固定されるベース板部をさらに含む、ことが好ましい。ベース板部に保持体が載置されることから、保持体に保持された回路部材を安定して支持でき、回路ユニット全体の耐久性の向上を図ることができるからである。
【0017】
(5)上記(4)において、前記ベース板部には、前記ベース板部から下方に突出する支持脚部が設けられている、ことが好ましい。ベース板部に支持脚部が設けられていることから、車載電気部品内に収容されたその他の部品の上に回路ユニットを載置することが可能となる。また、支持脚部の突出長さを変更することで、筐体貫通孔に対する板壁部の高さ位置調整が容易となり、様々な高さ位置に設けられた筐体貫通孔への適用が可能な汎用性の高い車載電気部品内回路ユニットを提供することができる。
【0018】
(6)上記(4)または上記(5)において、前記ベース板部が、前記保持体よりも熱伝導性の高い材料によって構成されている、ことが好ましい。ベース板部が保持体よりも熱伝導性の高い材料により構成されていることからベース板部を介して、保持体に伝熱されたリレーやヒューズ等の発熱部品を含む回路部材の放熱を行うことができる。
【0019】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の車載電気部品内回路ユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、
図1から
図5を参照しつつ説明する。車載電気部品内回路ユニット10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、バッテリー等の電源12からモータ等の負荷14への電力の供給、制御を行う(
図5参照)。なお、車載電気部品内回路ユニット10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、Z方向を上方、Y方向を幅方向、X方向を長さ方向前方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0021】
<車載電気部品内回路ユニット10の概略的回路構成>
車載電気部品内回路ユニット10は、
図5に示すように、正極側に設けられた車載電気部品内回路ユニット10aと負極側に設けられた車載電気部品内回路ユニット10bを備えている。車載電気部品内回路ユニット10aの入力側には、電源12の正極側が接続されており、車載電気部品内回路ユニット10bの入力側には、電源12の負極側が接続されている。車載電気部品内回路ユニット10aの出力側には、負荷14の正極側が接続されており、車載電気部品内回路ユニット10bの出力側には、負荷14の負極側が接続されている。車載電気部品内回路ユニット10aと車載電気部品内回路ユニット10bの入力側と出力側の間にはそれぞれ、電源12を負荷14に接続するリレー16が接続されている。
【0022】
加えて、電源12と負荷14の正極側を接続するリレー16には、プリチャージ抵抗18およびプリチャージリレー20がリレー16をバイパスするように直列に接続されたプリチャージ回路22が接続されている。なお、本開示の実施形態1では、
図5に示すように、プリチャージ抵抗18は、プリチャージリレー20の入力側に接続されている。なお、電源12と負荷14の負極側を接続するリレー16にも同様にプリチャージ回路22が接続されるが、理解を容易とするため、本開示の実施形態1では、電源12と負荷14の負極側を接続するリレー16に接続されるプリチャージ回路22の図示を省略する。また、リレー16とプリチャージリレー20はいずれも、励磁コイルの通電状態で接点部を移動させて接点部をON/OFFに切り換えるリレーであり、後述する車載電気部品146内に設けられた配電部品154内の制御回路によりON/OFF制御がなされている。以上述べてきたように、車載電気部品内回路ユニット10aと車載電気部品内回路ユニット10bは略同一構造とされている。
【0023】
<車載電気部品内回路ユニット10>
車載電気部品内回路ユニット10は、例えば
図3に示すように、車両搭載時において下方に位置するロアケース24と上方に位置するアッパケース26を備えており、ロアケース24とアッパケース26によって絶縁性の保持体28が構成されている。また、車載電気部品内回路ユニット10は、保持体28が載置されて固定されるベース板部30を含んでいる。ベース板部30は、矩形平板形状を有しており、例えばダイキャストやプレス打ち抜き加工により形成されている。さらに、車載電気部品内回路ユニット10は、後述する車載電気部品146の筐体152に設けられた筐体貫通孔180を覆う板壁部32を含んでいる。板壁部32は、矩形平板形状を有しており、例えばダイキャストやプレス打ち抜き加工により形成されている。以上のように、ベース板部30と板壁部32はアルミニウムやアルミニウム合金等の金属を用いて形成されている。加えて、車載電気部品内回路ユニット10は
、車載電気部品内回路ユニット10aおよび車載電気部品内回路ユニット10
bの出力側を負荷14に接続するためのワイヤハーネス34を含んでいる。
【0024】
<保持体28>
保持体28を構成するロアケース24とアッパケース26が組み付けられた状態において、保持体28の内部にはリレー16とプリチャージ回路22を接続する図示しないバスバーやプリチャージ回路22内を接続する図示しないバスバー等が収納されている。また、
図2および
図3に示すように、ロアケース24とアッパケース26が組み付けられた保持体28に対して、2つのリレー16と、それぞれのリレー16の接続部36a,36bに接続されたバスバー38,40が保持されている。
【0025】
<ロアケース24>
ロアケース24は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成型してなる。ロアケース24は、例えば
図3に示すように、全体として扁平な矩形箱体形状を有している。
図3に示すように、ロアケース24は上方に向かって開口しており、ロアケース24の4隅は、4分円状に切り欠かれている。
【0026】
<アッパケース26>
アッパケース26は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成型してなる。アッパケース26は、例えば
図3に示すように、全体として扁平な矩形箱体形状を有している。アッパケース26は下方に向かって開口しており、アッパケース26の4隅には、ボルト挿通孔42が形成されている。
図3に示すように、アッパケース26の天面44の長さ方向の両端部には、それぞれ2つの円筒形状を有するバスバー固定用筒部46が、上方に向かって突出して形成されている。それぞれ2つのバスバー固定用筒部46は、幅方向に離隔して配置されている。各バスバー固定用筒部46の上面には、上方に向かって開口するボルト孔48が設けられている。また、アッパケース26の天面44の長さ方向の中央部には、6つの円筒形状を有するリレー固定用筒部50が、上方に向かって突出して形成されている。これらのリレー固定用筒部50の上面には、上方に向かって開口するボルト孔52が設けられている。さらに、アッパケース26の天面44の後方側には、プリチャージ抵抗18を収納するプリチャージ抵抗装着部54およびプリチャージリレー20を収納するプリチャージリレー装着部56が上方に向かって開口して設けられている。
【0027】
<リレー16>
リレー16は、機械式のリレーであって、後述する車載電気部品146の配電部品154内に設けられた制御回路によりON/OFF制御がなされている。リレー16は、
図3に示すように、ブロック状のリレー本体58と、一対の円環状の接続部36a,36bと、複数(本実施形態では3個)の脚部60とを備えている。脚部60は、外方に向かって平板状に突出して形成されている。脚部60は、上下方向に貫通するボルト挿通孔62を有している。
【0028】
<バスバー38,40>
一対のバスバー38,40は、それぞれが導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。各バスバー38,40は、例えば
図3に示すように、クランク形状を有している。各バスバー38,40の一方側の端部は、リレー16の接続部36a,36bに接続されている。バスバー38の他方側の端部39には、後述するワイヤハーネス34を構成する被覆電線102の一端部に設けられた回路側接続部104に接続され、バスバー40の他方側の端部41は、車載電気部品内回路ユニット10の入力側を構成し、電源12の正極側と負極側がそれぞれ接続される。より詳細には、バスバー40の他方側の端部41は、後述するように車載電気部品146の筐体152に設けられたワイヤハーネス挿通孔168を通して車載電気部品146の筐体152内に挿入され、電源12に接続されたワイヤハーネス172に接続されている(
図2参照)。なお、ワイヤハーネス172は、ワイヤハーネス挿通孔168に対して例えばグロメット170を介して装着されており、防水性が確保されている。また、ワイヤハーネス172は、後述する配電部品154にも接続されている。
【0029】
<ベース板部30>
図2および
図3に示すように、車載電気部品内回路ユニット10は、矩形平板状のベース板部30を有している。ベース板部30の上面64の4隅には、円筒形状を有するケース固定用筒部66が、上方に突出して形成されている。ケース固定用筒部66の突出端面には、上方に向かって開口するボルト孔68が設けられている。また、ベース板部30の上面64の幅方向に対向する周縁部には、それぞれ長さ方向に離隔して2つのボルト挿通孔70が板厚方向に貫通して形成されている。さらに、ベース板部30には、支持脚部72が設けられている。
【0030】
<支持脚部72>
図2に示すように、支持脚部72は、下方に向かって開口し幅方向(Y方向)に延びる樋形状を通しており、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成型してなる。支持脚部72は、矩形平板状の天壁74と、天壁74の長さ方向(X方向)両端部から下方に向かって突出する一対の側壁76,76を有している。天壁74の4隅には、ボルト挿通孔78が貫設されている。一対の側壁76,76には、突出端部から、対向する側壁76から離隔する方向に向かって長さ方向に延出する支持脚部フランジ部80が形成されている。支持脚部フランジ部80にはそれぞれ、幅方向(Y方向)に離隔する3か所にボルト挿通孔82が貫設されている。
【0031】
<板壁部32>
図2および
図3に示すように、車載電気部品内回路ユニット10は、矩形平板状の板壁部32を有している。板壁部32は、後述する車載電気部品146の筐体152へ重ね合わされて取り付けられる面であり
図2で後方に位置する第1面84と、第1面84の反対側の面であり
図2で前方に位置する第2面86を有している。
【0032】
図3に示すように、板壁部32の第1面84の4隅には、ボルト挿通孔88が貫設されている。また、板壁部32の中央部は、板厚方向(前後方向)に貫通する矩形断面形状の板壁貫通孔90が形成されている。板壁貫通孔90の周縁部には、全周に亘って前方に向かって突出する筒状の筒状部92が設けられている。さらに、筒状部92の突出端部には、内方に向かって延びるフランジ部94が形成されており、フランジ部94の中央部には、板厚方向(前後方向)に貫通する円形断面形状のグロメット装着孔96が形成されている。
【0033】
加えて、
図3および
図4に示すように、板壁部32の第1面84には、板壁部32の周縁部に沿って矩形断面形状で全周に亘って延びるシール部材収納溝部98が形成されている。シール部材収納溝部98には、環状のゴム製のシール部材100が収納されている。
【0034】
<ワイヤハーネス34>
図3に示すように、ワイヤハーネス34は、2本の被覆電線102と、各被覆電線102の一端部(
図3中、後端部)に設けられて回路部材を構成するバスバー38に接続される回路側接続部104と、を備えている。また、ワイヤハーネス34は、被覆電線102の他端部(
図3中、前端部)に設けられたコネクタ106と、被覆電線102が貫通する筒状のグロメット108と、を備えている。
【0035】
<被覆電線102,回路側接続部104>
図3および
図4に示すように、被覆電線102は、芯線110と芯線110を覆う絶縁被覆112を有している。より詳細には、被覆電線102は、導体である銅やアルミニウムその他の複数の金属素線によって構成された芯線110が、エチレン系樹脂やスチレン系樹脂等の電気絶縁性を有する絶縁被覆112で覆われた構造である。
図3に示すように、被覆電線102の一端部では、絶縁被覆112が皮剥ぎされて芯線110が露出されており、露出された芯線110に対して圧着端子114の芯線圧着部116が圧着されて接続されている。これにより、各被覆電線102の一端部には、圧着端子114のタブ状の接続部によって構成された回路側接続部104が設けられている。また、
図4に示すように、被覆電線102の他端部では、絶縁被覆112が皮剥ぎされて芯線110が露出されており、露出された芯線110に対して溶接等の公知の技術を用いて金属製の板状の部材が接続されることにより、外部側接続部118が構成されている。
【0036】
<コネクタ106>
図3および
図4に示すように、コネクタ106は、合成樹脂製のコネクタハウジング120を有している。コネクタハウジング120は、前方に向かって開口する矩形箱体形状を有している。また、コネクタハウジング120は、コネクタハウジング120の底壁122の周縁部から後方に向かって円筒状に突出する筒状部124が設けられている。さらに、コネクタハウジング120の底壁122には、縦長のスリット状の外部側接続部挿通孔126が板厚方向に貫通して形成されている(
図4参照)。そして、コネクタハウジング120の外部側接続部挿通孔126に外部側接続部118が圧入されることにより、被覆電線102の他端部にコネクタ106が設けられる。
【0037】
<グロメット108>
図3および
図4に示すように、被覆電線102が貫通するグロメット108は、長さ方向(X方向)の両端部に円筒形状の電線挿通部128を備えており、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、SI(シリコンゴム)等のゴム材料によって一体的に形成されている。両端部に設けられた一対の電線挿通部128,128の間には、蛇腹部130と大径筒部132が設けられている。蛇腹部130は、蛇腹形状の中空筒体構造を有している。より詳細には、蛇腹部130は、環状に延びる山部134と谷部136が長さ方向に交互に連接されており(
図4参照)、長さ方向に伸縮可能かつ長さ方向に直交する方向(Y方向およびZ方向)に屈曲可能となっている。
【0038】
大径筒部132の外周面には、全周に亘って矩形断面形状で延びる環状溝部138が形成されており、板壁部32に形成されたグロメット装着孔96の内縁部に嵌め入れられることにより、グロメット108が板壁部32に対して固定されるようになっている。大径筒部132は、蛇腹部130に対して拡径筒部140を介して連結している。拡径筒部140は、蛇腹部130から大径筒部132に向かって拡径するように形成されている。また、大径筒部132は、グロメット108の後端部に設けられた電線挿通部128に対して縮径筒部142を介して連結している。縮径筒部142は、大径筒部132から電線挿通部128に向かって縮径するように形成されている。そして、前方側から順に、電線挿通部128、蛇腹部130、拡径筒部140、大径筒部132、縮径筒部142、電線挿通部128を連結することにより、グロメット108の内面に被覆電線102が挿通する被覆電線挿通孔144が前後方向に開口するように形成されている。
【0039】
<車載電気部品146>
図1および
図2に示す車載電気部品146は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されている。車載電気部品146は、例えば
図2に示すように、車両搭載時において下方に位置するロアカバー148と上方に位置するアッパカバー150を備えており、ロアカバー148とアッパカバー150によって絶縁性の筐体152が構成されている。また、車載電気部品146は、筐体152内に制御回路等を有する配電部品154を収納している。
【0040】
<ロアカバー148>
図2に示すように、ロアカバー148は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成型してなる。ロアカバー148は、矩形箱体形状を有し、上方に向かって開口している。ロアカバー148は、開口周縁部から全周に亘って水平方向(幅方向および長さ方向)外方に向かって延出するロアカバーフランジ部156を有している。ロアカバーフランジ部156には、板厚方向に貫通するボルト挿通孔158が、周方向に離隔して複数(本実施形態では、20個)設けられている。ボルト挿通孔158は、ロアカバーフランジ部156の下面から下方に向かって突出する円筒形状のロアカバー固定用筒部160内にも延びて形成されている。また、ロアカバー148の底面162には、6つの支持脚部固定用筒部164が上方に向かって突出して設けられている。さらに、ロアカバー148の幅方向(Y方向)一方側の周壁166には、円形断面形状のワイヤハーネス挿通孔168が板厚方向に貫通して形成されている。ワイヤハーネス挿通孔168には円筒形状のゴム製のグロメット170が嵌め込まれており、グロメット170の中央に設けられた貫通孔を介してワイヤハーネス172が筐体152内に挿通されている。ワイヤハーネス172によって、車載電気部品内回路ユニット10や車載電気部品146の配電部品154に対して電源等が供給されている。また、グロメット170によって、ワイヤハーネス挿通孔168とワイヤハーネス172間の止水が行われている。
【0041】
<アッパカバー150,筐体貫通孔180>
アッパカバー150は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成型してなる。アッパカバー150は、矩形箱体形状を有し、下方に向かって開口している。アッパカバー150は、開口周縁部から全周に亘って水平方向(幅方向および長さ方向)外方に向かって延出するアッパカバーフランジ部174を有している。アッパカバーフランジ部174には、板厚方向に貫通するボルト挿通孔176が、周方向に離隔して複数(本実施形態では、20個)設けられている。また、アッパカバー150の長さ方向前方(X方向)側の周壁178には、横長の矩形断面形状の筐体貫通孔180が板厚方向に貫通して形成されている。筐体貫通孔180の周縁部の4隅の近傍には、ボルト挿通孔182が貫設されている。
【0042】
<車載電気部品内回路ユニット10の組み付け工程>
続いて、車載電気部品内回路ユニット10の組み付け工程の一例について説明する。車載電気部品内回路ユニット10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0043】
まず、保持体28を構成するロアケース24とアッパケース26を準備する。次に、保持体28の内部にリレー16とプリチャージ回路22を接続する図示しないバスバーやプリチャージ回路22内を接続する図示しないバスバー等が収納された状態で、ロアケース24とアッパケース26を組み付けて保持体28を完成する。続いて、保持体28に設けられたプリチャージ抵抗装着部54とプリチャージリレー装着部56に対して、上方からプリチャージ抵抗18とプリチャージリレー20をそれぞれ収納する。また、保持体28に設けられたリレー固定用筒部50上にリレー16の脚部60を配置してボルト締結する。さらに、各バスバー38,40の一方側の端部を、リレー16の接続部36a,36bに対してボルト締結により接続し、保持体28に設けられたバスバー固定用筒部46上に一対のバスバー38,40の他方側の端部39,41を配置する。そして、バスバー38の他方側の端部39を、後述するようにワイヤハーネス34の圧着端子114に設けられた回路側接続部104と共にバスバー固定用筒部46に対してボルト締結して固定する。また、バスバー40の他方側の端部41を、電源12に接続されている図示しないワイヤハーネスに設けられた接続部材と共にバスバー固定用筒部46に対してボルト締結して固定する。以上の結果、プリチャージ回路22を構成するプリチャージ抵抗18およびプリチャージリレー20や、リレー16や、保持体28内に収納されている各種バスバー等によって、回路部材が構成される。そして、これらの回路部材を、絶縁性の保持体28が保持している。
【0044】
次に、ベース板部30を準備する。そして、保持体28の4隅に設けられたボルト挿通孔42を、ベース板部30に設けられたケース固定用筒部66のボルト孔68上に載置しボルト締結して固定する。これにより、ベース板部30上に保持体28が固定される。なお、ベース板部30はアルミニウムやアルミニウム合金を用いて形成されており、保持体28が合成樹脂性とされている。すなわち、ベース板部30は保持体28よりも熱伝導率の高い材料によって構成されている。これにより、ベース板部30を介して、保持体28に伝熱されたリレー16やヒューズ等の発熱部品を含む回路部材の放熱を行うことができる。
【0045】
続いて、保持体28が載置され固定されたベース板部30を、上方から支持脚部72の天壁74上に載置する。ベース板部30に設けられたボルト挿通孔70と、支持脚部72の天壁74に設けられたボルト挿通孔78を位置合わせ後、ボルト締結して固定する。この結果、ベース板部30には、ベース板部30から下方(Z方向の矢印と反対方向)に突出する支持脚部72が設けられる。
【0046】
次に、ワイヤハーネス34を準備する。より詳細には、まず2本の被覆電線102を準備する。そして、各被覆電線102の一端部(
図3中、後端部)において絶縁被覆112を皮剥ぎして芯線110を露出され、露出された芯線110に対して圧着端子114の芯線圧着部116を圧着する。これにより、各被覆電線102の一端部に、圧着端子114のタブ状の接続部によって構成された回路側接続部104が形成される。また、各被覆電線102の他端部(
図4中、前端部)において絶縁被覆112を皮剥ぎして芯線110を露出し、露出された芯線110に対して溶接等の公知の技術を用いて金属製の板状の部材を接続する。これにより、外部側接続部118が形成される。次に、コネクタハウジング120を準備して、コネクタハウジング120の外部側接続部挿通孔126に外部側接続部118を圧入する。これにより、被覆電線102の他端部に、外部側接続部118を有するコネクタ106が形成される。
【0047】
続いて、グロメット108を準備する。まず、上述したように構成された被覆電線102を、回路側接続部104側からグロメット108の被覆電線挿通孔144内に挿入し、被覆電線102の所定の位置にグロメット108を配置する。以上の結果、ワイヤハーネス34が完成される。そして、このように構成されたワイヤハーネス34に設けられた回路側接続部104を、上述のように構成された保持体28のバスバー38の他方側の端部39に対してボルト締結する。最後に板壁部32を準備する。これにより、板壁部32がグロメット108に組み付けられる前の状態の車載電気部品内回路ユニット10が用意される。
【0048】
次に、板壁部32の組み付け前の車載電気部品内回路ユニット10を、車載電気部品146の筐体152内に収納する。より詳細には、車載電気部品146の筐体152内には、配電部品154が収納されている。この配電部品154を上方から覆うように、車載電気部品内回路ユニット10に設けられた支持脚部72を被せる。そして、支持脚部72の支持脚部フランジ部80に設けられたボルト挿通孔82を、車載電気部品146の筐体152のロアカバー148に設けられた支持脚部固定用筒部164上に載置後、ボルト締結して固定する。
【0049】
続いて、板壁部32の組み付け前の車載電気部品内回路ユニット10が載置された車載電気部品146のロアカバー148を、アッパカバー150によって覆蓋する。その際、板壁部32を用いてアッパカバー150に設けられた筐体貫通孔180を覆蓋しておく。すなわち、板壁部32に設けられたボルト挿通孔88を、アッパカバー150に設けられたボルト挿通孔182に対して外側から重ね合わせてボルト締結する。これにより、車載電気部品146の筐体152を構成するアッパカバー150に設けられた筐体貫通孔180が板壁部32で覆われる。ここで、
図4に示すように、板壁部32の筐体152を構成するアッパカバー150へ取り付けられる面である第1面84(
図4中、後方の面)には、筐体貫通孔180の周縁に接触する環状のシール部材100が設けられている。また、
図3に示すように、板壁部32の第1面84は、回路側接続部104に対向する側の面である。すなわち、回路側接続部104に対向する側の面とは、回路側接続部104に対してX方向に対向する側の面のことである。
【0050】
最後に、板壁部32の組み付け前の車載電気部品内回路ユニット10が載置された車載電気部品146のロアカバー148を、板壁部32により筐体貫通孔180が覆われたアッパカバー150によって覆蓋する。この際、まず、車載電気部品内回路ユニット10のワイヤハーネス34の外部側接続部118側をアッパカバー150の内側から筐体貫通孔180およびグロメット装着孔96を貫通させる。この状態で、アッパカバーフランジ部174をロアカバーフランジ部156に重ね合わせる。続いて、ワイヤハーネス34のグロメット108の環状溝部138に、板壁部32に形成されたグロメット装着孔96の内縁部
を嵌め入れる。そして、アッパカバーフランジ部174のボルト挿通孔176をロアカバーフランジ部156のボルト挿通孔158に重ね合わせてボルト締結する。この結果、車載電気部品内回路ユニット10が、車載電気部品146の筐体152内に収納され保持される。これにより、
図4に示すように、板壁部32を板厚方向(
図4中、X方向)に貫通して設けられたグロメット装着孔96にワイヤハーネス34が貫通する。しかも、ワイヤハーネス34を構成するグロメット108がグロメット装着孔96に密着していることから、グロメット装着孔96がグロメット108によって封止されている。また、環状のシール部材100が、板壁部32と筐体貫通孔180の周縁との間で挟持されている。
【0051】
このような構造とされた本開示の車載電気部品内回路ユニット10によれば、従来、車載電気部品146の筐体152に設けられていたコネクタが、車載電気部品内回路ユニット10を構成するワイヤハーネス34の他端部に設けられている。しかも、車載電気部品146の筐体152に設けられた筐体貫通孔180を覆う板壁部32が、車載電気部品内回路ユニット10を構成するワイヤハーネス34に対して、グロメット108を介して装着されている。それゆえ、従来、車載電気部品146の筐体152に設けられていたコネクタを、車載電気部品内回路ユニット10を構成するコネクタ106とすることができる。したがって、従来必要とされた筐体152に設けられたコネクタと車載電気部品内回路ユニット間の接続作業が不要となり、作業工数の低減が図られる。しかも、筐体152と車載電気部品内回路ユニットとの間に接続作業用のスペースを確保する必要がなくなることから、車載電気部品146の小型化も図ることができる。
【0052】
また、車載電気部品146の筐体152に設けられた筐体貫通孔180は、板壁部32で覆われている。しかも、板壁部32と筐体152の間には、筐体貫通孔180の周縁に接触する環状のシール部材100が設けられていることから、板壁部32と筐体152間の隙間からの浸水が防止されている。さらに、ワイヤハーネス34を構成するグロメット108がグロメット装着孔96に密着してグロメット装着孔96が封止されていることから、ワイヤハーネス34とグロメット装着孔96間の隙間からの浸水も防止されている。なお、板壁部32は、車載電気部品内回路ユニット10側の部品であることから、車載電気部品146の筐体152の材料による制限を受けることがなく、板壁部32の材料の選択自由度の向上が図られている。それゆえ、例えば、本実施形態のように板壁部32を金属製(本実施形態ではアルミニウムまたはアルミニウム合金製)とすることにより、グロメット108と板壁部32のグロメット装着孔96間の密着状態を有利に実現でき、防水性を有利に確保できる。しかも、車載電気部品146全体に比べて板壁部32は小さいことから、コストの増大を抑えつつより優れた板壁部32の材料を選択することも可能である。
【0053】
また、板壁部32の筐体152を構成するアッパカバー150へ取り付けられる面である第1面84が、ワイヤハーネス34の回路側接続部104に対向する側の面であることから、板壁部32の装着をアッパカバー150の外側から行うことができる。それゆえ、広い作業スペースが確保できて、作業性の向上を図ることができる。
【0054】
加えて、環状のシール部材100は、筐体貫通孔180の周縁と板壁部32との対向面間で挟持される所謂面シールを構成する。それゆえ、板壁部32の筐体152へ取り付けられる方向に直交する2方向における組付け公差も、シール部材100の撓み変形により、吸収できる。
【0055】
また、従来、コネクタ106と回路部材を構成するバスバー38を接続するために、車載電気部品146の筐体152に開閉自在の開口部を設ける必要が生じる場合もあった。しかしながら、本実施形態によれば、車載電気部品内回路ユニット10が、バスバー38に接続されたコネクタ106を予め備えていることから、そのような開口部も不要とすることができる。
【0056】
さらに、保持体28が載置されて固定されるベース板部30を含んでいることから、保持体28に保持された回路部材を安定して支持でき、車載電気部品内回路ユニット10全体の耐久性の向上を図ることができる。
【0057】
加えて、ベース板部30に支持脚部72が設けられていることから、車載電気部品146内に収容された例えば配電部品154上に車載電気部品内回路ユニット10を載置することが可能となる。また、支持脚部72の側壁76の突出寸法を変更することにより、筐体貫通孔180に対する車載電気部品内回路ユニット10の高さ位置調整が容易となる。それゆえ、様々な高さ位置に設けられた筐体貫通孔180へ車載電気部品内回路ユニット10を適用することが可能となっている。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)本実施形態では、板壁部32は、筐体152の外側から筐体貫通孔180の周縁に重ね合されていたが、これに限定されない。例えば、板壁部32は、筐体152の内側から筐体貫通孔180の周縁に重ね合されていてもよい。この場合には、車載電気部品内回路ユニット10を筐体152に搭載する前に板壁部32とグロメット108の組み付けを行うことができる。
【0060】
(2)本実施形態では、車載電気部品146として、筐体152の内部に配電部品154と本開示の車載電気部品内回路ユニット10が収納されたものを例示して説明を行ったが、これに限定されない。車載電気部品146は、例えば配電部品154の代わりにバッテリーが収納された電池パックであってもよい。この場合には、筐体152にワイヤハーネス挿通孔168を設ける必要がない。
【0061】
(3)本実施形態では、支持脚部72は、筐体152の底面162に固定されていたが、これに限定されない。支持脚部72は、筐体152の周壁178等の任意の場所に固定可能である。また、支持脚部72は、ベース板部30とは別体であったが、一体的に形成されていてもよいし、無くてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 車載電気部品内回路ユニット
10a 車載電気部品内回路ユニット
10b 車載電気部品内回路ユニット
12 電源
14 負荷
16 リレー
18 プリチャージ抵抗
20 プリチャージリレー
22 プリチャージ回路
24 ロアケース
26 アッパケース
28 保持体
30 ベース板部
32 板壁部
34 ワイヤハーネス
36a 接続部
36b 接続部
38 バスバー
39 他方側の端部
40 バスバー
41 他方側の端部
42 ボルト挿通孔
44 天面
46 バスバー固定用筒部
48 ボルト孔
50 リレー固定用筒部
52 ボルト孔
54 プリチャージ抵抗装着部
56 プリチャージリレー装着部
58 リレー本体
60 脚部
62 ボルト挿通孔
64 上面
66 ケース固定用筒部
68 ボルト孔
70 ボルト挿通孔
72 支持脚部
74 天壁
76 側壁
78 ボルト挿通孔
80 支持脚部フランジ部
82 ボルト挿通孔
84 第1面
86 第2面
88 ボルト挿通孔
90 板壁貫通孔
92 筒状部
94 フランジ部
96 グロメット装着孔
98 シール部材収納溝部
100 シール部材
102 被覆電線
104 回路側接続部
106 コネクタ
108 グロメット
110 芯線
112 絶縁被覆
114 圧着端子
116 芯線圧着部
118 外部側接続部
120 コネクタハウジング
122 底壁
124 筒状部
126 外部側接続部挿通孔
128 電線挿通部
130 蛇腹部
132 大径筒部
134 山部
136 谷部
138 環状溝部
140 拡径筒部
142 縮径筒部
144 被覆電線挿通孔
146 車載電気部品
148 ロアカバー
150 アッパカバー
152 筐体
154 配電部品
156 ロアカバーフランジ部
158 ボルト挿通孔
160 ロアカバー固定用筒部
162 底面
164 支持脚部固定用筒部
166 周壁
168 ワイヤハーネス挿通孔
170 グロメット
172 ワイヤハーネス
174 アッパカバーフランジ部
176 ボルト挿通孔
178 周壁
180 筐体貫通孔
182 ボルト挿通孔