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特許7401858エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20231213BHJP
   G01D 5/244 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G01D5/245 W
G01D5/244 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022085833
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2019564710の分割
【原出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2022105702
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2018004239
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098165
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 昭宏
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-011542(JP,U)
【文献】国際公開第2017/126338(WO,A1)
【文献】実開昭55-076533(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する回転軸の回転位置情報を検出する位置検出部と、
前記回転軸に連動して回転し、前記回転方向に沿って2種類の極性が交互に設けられる磁石と、
前記磁石との相対的な移動に伴う磁界の変化によって磁気特性が変化する感磁性部、第1端が前記回転軸に平行である軸方向において前記磁石の近傍に位置し、第2端が前記感磁性部の第1端に接続される第1磁性体、及び第1端が前記軸方向において前記磁石の近傍に位置し、第2端が前記感磁性部の第2端に接続される第2磁性体を有し、前記感磁性部の磁気特性に基づいて電気信号を発生する電気信号発生部とを備え、
前記第1磁性体の前記第1端が近接する前記磁石の極性と、前記第2磁性体の前記第1端が近接する前記磁石の極性と、はそれぞれ異な
前記磁石は、前記移動方向に沿って平板状で、
前記感磁性部は、長さ方向が前記平板状の磁石の一面に平行になるように、前記磁石の側面に配置される
エンコーダ装置。
【請求項2】
前記感磁性部が、前記移動方向に沿った前記磁石の側面に対して前記移動方向に直交する方向に間隔を置き、かつ前記磁石の少なくとも一部の磁力線の接線方向に前記感磁性部の長さ方向が直交するように配置される請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記第1及び第2磁性体は、前記磁石の磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導く請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記磁石の磁力線のうち、前記感磁性部の長さ方向の略中心を通過する磁力線の接線方向に対して略直交するように、前記感磁性部の長さ方向が配置される請求項2に記載のエンコーダ装置
【請求項5】
前記磁石は、前記移動方向に直交する厚さ方向にも互いに異なる極性を有する請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2磁性体は、前記移動方向において同じ位置にある前記磁石の互いに異なる極性の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導く請求項5に記載のエ
ンコーダ装置。
【請求項7】
前記第1及び第2磁性体は、前記移動方向において異なる位置にある前記磁石の互いに異なる極性の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導く請求項5に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記感磁性部は、前記磁石の移動に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプを生じる、請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
前記電気信号発生部は、前記回転軸の移動によってパルス状の電力を発生する、請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
前記電気信号発生部で発生する電気信号に応じて、前記位置検出部で消費される電力の
少なくとも一部を供給するバッテリーを備える請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項11】
前記電気信号発生部で発生する電気信号に応じて、前記バッテリーから前記位置検出部への電力の供給の有無を切り替える切替部を備える、請求項10に記載のエンコーダ装置。
【請求項12】
前記バッテリーは、一次電池又は二次電池を含む、請求項10に記載のエンコーダ装置。
【請求項13】
前記位置検出部は、前記回転軸の移動によって互いの相対位置が変化する位置検出用磁石及び磁気検出部を含み、該位置検出用磁石が形成する磁界に基づいて前記回転位置情報を検出し、
前記磁気検出部は、該位置検出用磁石が形成する磁界を前記バッテリーから供給される電力を用いて検出する、請求項10に記載のエンコーダ装置。
【請求項14】
前記位置検出用磁石は、前記電気信号発生部が電気信号を発生するための磁界の変化を起こす前記磁石が兼用する請求項13に記載のエンコーダ装置。
【請求項15】
前記位置検出部は、
前記回転軸と連動して移動するスケールと、
前記スケールに光を照射する照射部と、
前記スケールからの光を検出する光検出部と、を含む、請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項16】
前記磁石は輪帯状であり、
前記感磁性部は、前記磁石の外側面の外側、又は内側面の内側に配置される請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項17】
前記位置検出部は、前記回転軸の1回転以内の角度位置情報を検出する角度検出部と、
前記回転位置情報として前記回転軸の多回転情報を検出する多回転情報検出部と、を備える請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
前記回転軸に動力を供給する動力供給部と、を備える駆動装置。
【請求項19】
移動物体と、
前記移動物体を移動させる請求項18に記載の駆動装置と、を備えるステージ装置。
【請求項20】
請求項18に記載の駆動装置と、
前記駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検物の回転角又は回転速度等の位置情報を検出するエンコーダ装置は、ロボット装置などの各種装置に搭載されている。従来のエンコーダ装置として、ウィーガントワイヤのような磁性線材を使用して、回転する磁石の磁界の変化を電気信号に変換し、その電気信号を用いて回転速度を求める装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述のような磁性線材を使用したエンコーダ装置は、磁石の不要な磁界に起因するノイズを少なくして安定した電気信号を発生させて、検出結果の信頼性の向上を図ることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-136558号公報
【発明の概要】
【0005】
第1の態様によれば、回転する回転軸の回転位置情報を検出する位置検出部と、その回転軸に連動して回転し、その回転方向に沿って2種類の極性が交互に設けられる磁石と、その磁石との相対的な移動に伴う磁界の変化によって磁気特性が変化する感磁性部、第1端がその回転軸に平行である軸方向においてその磁石の近傍に位置し、第2端がその感磁性部の第1端に接続される第1磁性体、及び第1端がその軸方向においてその磁石の近傍に位置し、第2端がその感磁性部の第2端に接続される第2磁性体を有し、その感磁性部の磁気特性に基づいて電気信号を発生する電気信号発生部とを備え、その第1磁性体のその第1端が近接するその磁石の極性と、その第2磁性体のその第1端が近接するその磁石の極性と、はそれぞれ異なその磁石は、その移動方向に沿って平板状で、その感磁性部は、長さ方向がその平板状の磁石の一面に平行になるように、その磁石の側面に配置されるエンコーダ装置が提供される。
【0006】
第2の態様によれば、第1の態様のエンコーダ装置と、その回転軸に動力を供給する動力供給部と、を備える駆動装置が提供される。
第3の態様によれば、移動物体と、その移動物体を移動させる第2の態様の駆動装置と、を備えるステージ装置が提供される。
第4の態様によれば、第2の態様の駆動装置と、その駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
図2】(A)は図1中の磁石、電気信号発生ユニット、及び磁気センサを示す斜視図、(B)は図2(A)の磁石等を示す平面図、(C)は図2(A)の磁気センサを示す回路図である。
図3】(A)は図2(A)の磁石及び電気信号発生ユニットを示す平面図、(B)及び(C)はそれぞれ図3(A)の断面図、(D)は変形例を示す平面図、(E)は図3(D)の側面図である。
図4図1のエンコーダ装置の電力供給系及び多回転情報検出部の構成を示す図である。
図5図1のエンコーダ装置の順回転時の動作を示す図である。
図6】(A)は第2の実施形態に係る磁石及び電気信号発生ユニットを示す平面図、(B)は図6(A)の側面図、(C)は図6(A)の磁石の一部を示す拡大図、(D)は変形例を示す平面図、(E)は図6(D)の側面図である。
図7】(A)は第3の実施形態に係る磁石及び電気信号発生ユニットを示す平面図、(B)は図7(A)の断面図、(C)は変形例を示す平面図である。
図8】(A)は第4の実施形態に係る磁石及び電気信号発生ユニットを示す平面図、(B)及び(C)はそれぞれ図8(A)の断面図、(D)は変形例を示す平面図、(E)は図8(D)の側面図である。
図9】(A)は第5の実施形態に係る磁石、電気信号発生ユニット、及び磁気センサを示す平面図、(B)は図9(A)の断面図である。
図10】(A)は第6の実施形態に係る電気信号発生ユニット、磁気センサ、及び光学センサを示す平面図、(B)は図10(A)の断面図である。
図11】駆動装置の一例を示す図である。
図12】ステージ装置の一例を示す図である。
図13】ロボット装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
第1の実施形態につき図1から図5を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す。図1において、エンコーダ装置ECは、モータM(動力供給部)の回転軸SF(移動部)の回転位置情報を検出する。回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転(例、回転位置、回転速度など)を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。
【0009】
エンコーダ装置ECは、位置検出系(位置検出ユニット)1及び電力供給系(電力供給ユニット)2を備える。位置検出系1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。エンコーダ装置ECは、いわゆる多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転の数を示す多回転情報、及び1回転未満の角度位置(回転角)を示す角度位置情報を含む回転位置情報を検出する。エンコーダ装置ECは、回転軸SFの多回転情報を検出する多回転情報検出部3、及び回転軸SFの角度位置を検出する角度検出部4を備える。
【0010】
位置検出系1の少なくとも一部(例えば角度検出部4)は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例えば駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の電源(例、主電源)が投入されている状態(例、通常状態)で、この装置から電力の供給を受けて動作する。また、位置検出系1の少なくとも一部(例えば多回転情報検出部3)は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置の電源(例、主電源)が投入されていない状態(例、非常時状態、バックアップ状態)で、電力供給系2から電力の供給を受けて動作する。例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置からの電力の供給が断たれた状態において電力供給系2は、位置検出系1の少なくとも一部(例えば多回転情報検出部3)に対して断続的(間欠的)に電力を供給し、位置検出系1は、電力供給系2から電力が供給された際に回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例えば多回転情報)を検出する。
【0011】
多回転情報検出部3は、例えば、磁気によって多回転情報を検出する。多回転情報検出部3は、例えば、磁石11、磁気検出部12、検出部13、及び記憶部14を備える。磁石11は、回転軸SFに固定された円板15に設けられる。円板15は回転軸SFとともに回転するため、磁石11は回転軸SFと連動して回転する。磁石11は回転軸SFの外側に固定され、磁石11及び磁気検出部12は、回転軸SFの回転によって互いの相対位置が変化する。磁石11が形成する磁気検出部12上の磁界の強さ及び向きは、回転軸SFの回転によって変化する。磁気検出部12は、磁石11が形成する磁界を検出し、検出部13は、磁石が形成する磁界を磁気検出部12が検出した結果に基づいて、回転軸SFの位置情報を検出する。記憶部14は、検出部13が検出した位置情報を記憶する。
【0012】
角度検出部4は、光学式または磁気式のエンコーダであり、スケールの一回転内の位置情報(角度位置情報)を検出する。例えば光学式エンコーダであるとき、例えばスケールのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの1回転以内の角度位置を検出する。スケールのパターンニング情報とは、例えばスケール上の明暗のスリットである。角度検出部4は、多回転情報検出部3の検出対象と同じ回転軸SFの角度位置情報を検出する。角度検出部4は、発光素子21、スケールS、受光センサ22、及び検出部23を備える。
【0013】
スケールSは、回転軸SFに固定された円板5に設けられている。スケールSは、インクリメンタルスケール及びアブソリュートスケールを含む。スケールSは、円板15に設けられてもよいし、円板15と一体化された部材であってもよい。例えば、スケールSは、円板15において磁石11と反対側の面に設けられていてもよい。スケールSは、磁石11の内側と外側の少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0014】
発光素子21(照射部、発光部)は、スケールSに光を照射する。受光センサ22(光検出部)は、発光素子21から照射されスケールSを経由した光を検出する。図1において、角度検出部4は透過型であり、受光センサ22は、スケールSを透過した光を検出する。なお、角度検出部4は反射型であってもよい。そして、受光センサ22は、検出結果を示す信号を検出部23へ供給する。検出部23は、受光センサ22の検出結果を使って、回転軸SFの角度位置を検出する。例えば、検出部23は、アブソリュートスケールからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置を検出する。また、検出部23は、インクリメンタルスケールからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置を検出する。
【0015】
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、信号処理部25を備える。信号処理部25は、位置検出系1による検出結果を演算して処理する。信号処理部25は、合成部26及び外部通信部27を備える。合成部26は、検出部23が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部26は、多回転情報検出部3の記憶部14から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部26は、検出部23からの角度位置情報、及び多回転情報検出部3からの多回転情報を合成し、回転位置情報を算出する。例えば、検出部23の検出結果がθ(rad)であり、多回転情報検出部3の検出結果がn回転である場合に、合成部26は、回転位置情報として(2π×n+θ)(rad)を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
【0016】
合成部26は、回転位置情報を外部通信部27に供給する。外部通信部27は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MCCと通信可能に接続されている。外部通信部27は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部MCの通信部MCCに供給する。モータ制御部MCは、角度検出部4の外部通信部27からの回転位置情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
【0017】
電力供給系2は、第1及び第2の電気信号発生ユニット31A,31B、バッテリー(電池)32、及び切替部33を備える。電気信号発生ユニット31A,31Bは、それぞれ回転軸SFの回転によって電気信号を発生する。この電気信号は、例えば、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。電気信号発生ユニット31A,31Bは、それぞれ例えば、回転軸SFの回転に基づいて変化する磁界によって、電気信号として電力を発生する。例えば、電気信号発生ユニット31A,31Bは、多回転情報検出部3が回転軸SFの多回転位置の検出に用いる磁石11が形成する磁界の変化によって、電力を発生する。電気信号発生ユニット31A,31Bは、それぞれ回転軸SFの回転によって、磁石11との相対的な角度位置が変化するように配置される。電気信号発生ユニット31A,31Bは、例えば、電気信号発生ユニット31A,31Bと磁石11との相対位置がそれぞれ所定の位置になった際に、パルス状の電気信号を発生する。
【0018】
バッテリー32は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号に基づいて、位置検出系1で消費される電力の少なくとも一部を供給する。バッテリー32は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池36及び充電可能な二次電池37(図4参照)を含む。バッテリー32の二次電池は、例えば電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号(例えば電流)によって充電可能である。バッテリー32は、保持部35に保持される。保持部35は、例えば、位置検出系1の少なくとも一部が設けられる回路基板などである。保持部35は、例えば、検出部13、切替部33、及び記憶部14を保持する。保持部35には、例えば、バッテリー32を収容可能な複数の電池ケース、及びバッテリー32と接続される電極、配線などが設けられる。
【0019】
切替部33は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号に基づいて、バッテリー32から位置検出系1への電力の供給の有無を切り替える。例えば、切替部33は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー32から位置検出系1への電力の供給を開始させる。例えば、切替部33は、電気信号発生ユニット31A,31Bで闇値以上の電力が発生することでバッテリー32から位置検出系1への電力の供給を開始させる。また、切替部33は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー32から位置検出系1への電力の供給を停止させる。例えば、切替部33は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電力が閾値未満になることでバッテリー32から位置検出系1への電力の供給を停止させる。例えば、電気信号発生ユニット31A,31Bにパルス状の電気信号が発生する場合、切替部33は、この電気信号のレベル(電力)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー32から位置検出系1への電力の供給を開始させ、この電気信号のレベル(電力)がローレベルヘ変化してから所定の時間経過後に、バッテリー32から位置検出系1への電力の供給を停止させる。また、エンコーダ装置ECは、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生した電気信号(パルス信号)を、バッテリー32から位置検出系1への電力の供給におけるスイッチング信号(トリガー信号)として用いる構成である。
【0020】
図2(A)は、図1中の磁石11、電気信号発生ユニット31A,31B、及び磁気検出部12である2つの磁気センサ51,52を示す斜視図、図2(B)は図2(A)の磁石11等を回転軸SFに平行な方向から見た平面図、図2(C)は磁気センサ51の回路図である。なお、図2(A)等において、図1の回転軸SFを直線で表している。
図2(A)、(B)において、磁石11は、回転によって、回転軸SFの中心を通る直線(対称軸)に平行な方向である軸方向(又はアキシャル方向ともいう。)における磁界の向き及び強さが変化するように構成されている。磁石11は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。一例として、磁石11は、回転軸SFを囲むように順に配置されたそれぞれ開き角が90°の扇型のN極16A、S極16B、N極16C、及びS極16Dよりなる第1の円環状磁石と、N極16A~S極16Dと同じ形状でN極16A~S極16Dの一面にそれぞれ貼り合わせて配置されたS極17A、N極17B、S極17C、及びN極17Dよりなる第2の円環状磁石とから構成されている。磁石11は、回転軸SFの回りの円周方向(又は周方向、回転方向ともいう。)に沿って4対の極性を持つように着磁されて磁力が発生する永久磁石である。磁石11の主たる面である表面(図1のモータMと反対側の面)及び裏面(モータMと同じ側の面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。言い替えると、磁石11において、表面側のN極16A~S極16Dと、裏面側のS極17A~N極17Dとは角度(例、互いのN極とS極との位置)が90°(位相で180°)ずれており、N極16A~S極16DのN極とS極との境界と、S極17A~N極17DのS極とN極との境界とは、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。なお、上記の第1の円環状磁石と第2の円環状磁石とは、移動方向(例、周方向、回転方向)又は軸方向に連続して一体化され複数の極性を有する1つの磁石であり、それら磁石の内側に空間を有する中空状の磁石であってもよい。
【0021】
ここでは説明の便宜上、回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。なお、回転軸SFの後端側(図1のモータM側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転と定義してもよい。
【0022】
ここで、磁石11に固定した座標系において、周方向におけるS極16DとN極16Aとの境界の角度位置を位置11aで表し、位置11aから順次90°回転した角度位置(N極とS極との境界)をそれぞれ位置11b,11c,11dで表す。
位置11aから反時計回りに90°の第1区間において、磁石11の表面側にN極が配置され、磁石11の裏面側にS極が配置されている。この第1区間において、磁石11の磁界の軸方向の向きは、概ね磁石11の表面側から裏面側へ向かう軸方向AD1(図3(C)参照)に平行である。第1区間において、磁界の強さは、位置11aと位置11bとの中間において最大となり、位置11a,11bの近傍で最小となる。
【0023】
位置11bから反時計回りに90°の第2区間(磁石11の表面側にS極が、磁石11の裏面側にN極が配置されている区間)において、磁石11の磁界の軸方向の向きは、概ね磁石11の裏面側から表面側へ向かう向き(例、軸方向AD1(図3(C)の向きに対して逆向き)である。第2区間において、磁界の強さは、位置11bと位置11cとの中間において最大となり、位置11b,11cの近傍で最小となる。同様に、位置11cから反時計回りに90°の第3区間、及び位置11dから反時計回りに90°の第4区間において、磁石11の磁界の軸方向の向きは、それぞれ概ね磁石11の表面側から裏面側へ向かう向き、及び裏面側から表面側へ向かう向きである。
【0024】
このように、磁石11が形成する磁界の軸方向の向きは、位置11a~11dにおいて順次反転する。磁石11は、磁石11の外部に固定された座標系に対し、磁石11の回転に伴って軸方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。電気信号発生ユニット31A,31Bは、磁石11の主たる面の法線方向と交差する方向における磁石11の外側面に配置されている。
本実施形態において、電気信号発生ユニット31A,31Bは、それぞれ、回転軸SFに直交する磁石11の径方向(例、ラジアル方向)又は該径方向に平行な方向に離れて、磁石11と非接触に設けられている。第1の電気信号発生ユニット31Aは、第1感磁性部41A、第1発電部42A、第1組の第1磁性体45A、及び第1組の第2磁性体46Aを備える。なお、第1磁性体45A及び第2磁性体46Aのうちの一方は省略可能である。第1感磁性部41A、第1発電部42A、第1磁性体45A、及び第2磁性体46Aは、磁石11の外部に固定されており、磁石11の回転に伴って磁石11上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、第1電気信号発生ユニット31Aから反時計回りに45°の位置に、磁石11の位置11bが配置されており、この状態から磁石11が順方向(反時計回り)に1回転すると、電気信号発生ユニット31Aの近傍を位置11a,11d,11c,11bがこの順に通過する。
【0025】
第1感磁性部41Aは、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤである。第1感磁性部41Aには、磁石11の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガント効果)が生じる。第1感磁性部41Aは、射影像が長方形で円柱状の部材であり、その軸方向が磁石11の周方向に設定されている。以下では、第1感磁性部41Aの軸方向、すなわち第1感磁性部41Aの円形(又は多角形状等でもよい)の断面に垂直な方向を第1感磁性部41Aの長さ方向ともいう。また、例えば、感磁性部(例、第1感磁性部41A)の断面に垂直な方向(軸方向、長さ方向、長手方向)における感磁性部の長さは感磁性部の断面に平行な方向(短手方向)における感磁性部の長さより長く構成されている。第1感磁性部41Aは、その軸方向(長さ方向)に交流磁界が印加され、その交流磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。このように、本実施形態における感磁性部(例、第1感磁性部41Aなど)の長さ方向(軸方向)は、磁化が向き易い方向である磁化容易方向ともいう。
【0026】
第1、第2磁性体45A,46Aは例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性材料から形成されている。第1、第2磁性体45A,46Aはヨークともいうことができる。第1磁性体45Aは、磁石11の表面と第1感磁性部41Aの一端との間に設けられ、第2磁性体46Aは、磁石11の裏面と第1感磁性部41Aの他端との間に設けられている。第1、第2磁性体45A,46Aの先端部は、磁石11の表面及び裏面において、周方向の同じ角度位置に配置されている。第1、第2磁性体45A,46Aの先端部における磁石11の極性は互いに常に逆であり、第1磁性体45Aの先端部がN極16A(又はS極16B)の近傍にあるときは、第2磁性体46Aの先端部はS極17A(又はN極17B)の近傍にある。このため、第1、第2磁性体45A,46Aは、磁石11の周方向において同じ位置にある磁石11の互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16A及びS極17A)からの磁力線を第1感磁性部41Aの長さ方向に導いている。そして、磁石11、第1磁性体45A、第1感磁性部41A、及び第2磁性体46Aによって、第1感磁性部41Aの長さ方向に向かう磁力線を含む磁気回路MC1(図3(A)参照)が形成される。なお、図1の円板15の周縁部には段差(不図示)が設けられ、円板15の周縁部と磁石11の裏面との間には、第2磁性体46Aを差し込むことができるスペースが確保されている。
【0027】
第1発電部42Aは、第1感磁性部41Aに巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。第1発電部42Aには、第1感磁性部41Aにおける磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。図2(B)に示した磁石11の位置11a~11dが電気信号発生ユニット31A(磁性体45A,46Aの先端部)の近傍を通過する際に、第1発電部42Aにパルス状の電流(電気信号、電力)が発生する。
【0028】
第1発電部42Aに発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石11の表面側を向く磁界から裏面側を向く磁界への反転時に発生する電流の向きは、磁石11の裏面側を向く磁界から表面側を向く磁界への反転時に発生する電流の向きの反対になる。第1発電部42Aに発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
【0029】
図2(A)に示すように、第1感磁性部41A、第1発電部42A、及び第1、第2磁性体45A,46Aの第1感磁性部41A側の部分は、ケース43Aに収納されている。ケース43Aには端子42Aa,42Abが設けられている。第1発電部42Aの高密度コイルは、その一端及び他端がそれぞれ端子42Aa,42Abと電気的に接続されている。第1発電部42Aで発生した電力は、端子42Aa,42Abを介して、第1電気信号発生ユニット31Aの外部へ取り出し可能である。
【0030】
第2電気信号発生ユニット31Bは、第1電気信号発生ユニット31Aが配置される角度位置から0゜より大きく180°よりも小さい角度をなす角度位置に配置される。電気信号発生ユニット31A,31Bの間の角度は、例えば22.5°以上67.5°以下の範囲から選択され、図2(B)では約45°である。第2電気信号発生ユニット31Bは、第1電気信号発生ユニット31Aと同様の構成である。第2電気信号発生ユニット31Bは、第2感磁性部41B、第2発電部42B、第2組の第1磁性体45B、及び第2組の第2磁性体46Bを備える。第2感磁性部41B、第2発電部42B、及び第2組の第1、第2磁性体45B,46Bは、それぞれ第1感磁性部41A、第1発電部42A、及び第1組の第1、第2磁性体45A,46Aと同様であり、その説明を省略する。第2感磁性部41B、第2発電部42B、及び第1、第2磁性体45B,46Bの第2感磁性部41B側の部分は、ケース43Bに収納されている。ケース43Bには端子42Ba,42Bbが設けられている。第2発電部42Bで発生した電力は、端子42Ba,42Bbを介して、第2電気信号発生ユニット31Bの外部へ取り出し可能である。なお、感磁性部(例、第1感磁性部41A、第2感磁性部41B)の少なくとも一部は、磁石11の径方向又はその平行方向における磁石11の外側に離間して配置される。例えば、該感磁性部は、回転軸SFに直交する磁石11の面(すなわち、磁石の複数の極性が配列された面)をそれぞれ一面、他面とした場合、磁石11の一面又は他面に直交し、磁石の移動方向に沿った磁石11の側面(又は回転軸SFの軸方向に平行な側面)に対して外側に離間して配置されている。
【0031】
磁気検出部12は、磁気センサ51,52を含む。磁気センサ51は、回転軸SFの回転方向において、第2感磁性部41B(第2電気信号発生ユニット31B)に対して0°より大きく180°未満の角度位置で配置される。磁気センサ52は、回転軸SFの回転方向において、磁気センサ51に対して22.5°より大きく67.5°未満の角度位置(図2(B)では約45°)で配置される。
【0032】
図2(C)に示すように、磁気センサ51は、磁気抵抗素子56と、磁気抵抗素子56に一定の強さの磁界を与えるバイアス磁石(図示せず)と、磁気抵抗素子56からの波形を整形する波形整形回路(図示せず)とを備える。磁気抵抗素子56は、エレメント56a,56b,56c、及び56dを直列に結線したフルブリッジ形状である。エレメント56a,56cの間の信号線は、電源端子51pに接続され、エレメント56b,56dの間の信号線は、接地端子51gに接続されている。エレメント56a,56bの間の信号線は、第1出力端子51aに接続され、エレメント56c,56dの間の信号線は、第2出力端子51bに接続されている。磁気センサ52は、磁気センサ51と同様の構成であり、その説明を省略する。
【0033】
次に、本実施形態の第1電気信号発生ユニット31Aの動作につき説明する。以下では、図2(B)の第1電気信号発生ユニット31Aの第1感磁性部41A及び第1発電部42Aを一体的に感磁性部材47として説明する。感磁性部材47の長さ方向は第1感磁性部41Aの長さ方向と同じであり、感磁性部材47の長さ方向の中心は第1感磁性部41Aの長さ方向の中心と同じである。なお、第2電気信号発生ユニット31Bの動作は第1電気信号発生ユニット31Aと同様であるため、その説明を省略する。
【0034】
図3(A)は図2(A)の磁石11及び電気信号発生ユニット31Aを示す平面図、図3(B)及び(C)は図3(A)の磁石11を断面で表した図である。図3(A)、(B)において、磁石11は回転軸SFの回りの回転方向(以下、θ方向ともいう)に沿って平板状で、θ方向に互いに異なる複数の極性(N極16A~S極16D)を有し、θ方向に直交する厚さ方向(本実施形態では回転軸SFの軸方向AD1(アキシャル方向)でもある)にも互いに異なる2つの極性(N極16A及びS極17A等)を有する。このため、軸方向AD1を磁石11の互いに異なる極性の部分(N極16A及びS極17A等)の配向方向(着磁方向)ということもできる。磁石11は、θ方向への回転によって、軸方向又は配向方向AD1における磁界の向き及び強さが変化する。
【0035】
また、感磁性部材47(又は感磁性部)は、その長さ方向が平板状の磁石11の表面(一面、又は裏面)に平行になるように、磁石11の外側面の近傍に配置されている。図3(A)において、感磁性部材47の長さ方向を方向LD1とすると、長さ方向LD1は磁石11の表面に平行である。本実施形態では、感磁性部材47の長さ方向LD1は、θ方向(周方向)に略平行であるとともに、磁石11の着磁方向(例、磁極の向きが固定された特定の方向)である軸方向(アキシャル方向)AD1に略直交している。さらに、図3(C)に示すように、磁石11の磁力線のうち、感磁性部材47の長さ方向の略中心(例、感磁性部材47又は感磁性部(41A、41B)の長さ方向の長さの半分の位置)を通過する磁力線MF1の接線方向(ここでは軸方向AD1に平行な方向)に対して略直交するように、感磁性部材47の長さ方向が配置されている。なお、感磁性部材47の長さ方向LD1は、θ方向に直交する厚さ方向に略直交するように配置されている。また、第1、第2磁性体45A及び46Aは、θ方向において同じ角度位置にある磁石11の互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16A及びS極17A)からの磁力線を感磁性部材47の一端47a及び他端47bを介して感磁性部材47の長さ方向LD1に導いている。
【0036】
磁石11の側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Aにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11の回転による交流磁界の反転によって生じる感磁性部材47の長さ方向の大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガント効果)による感磁性部材47の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11の近傍に配置して、電気信号発生ユニット31Aを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11の回転による軸方向の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Aを用いて効率的に安定した高出力のパルスを発生することができる。
【0037】
図4は、本実施形態に係る電力供給系2及び多回転情報検出部3の回路構成を示す。図4において、電力供給系2は、第1電気信号発生ユニット31A、整流スタック61、第2電気信号発生ユニット31B、整流スタック62、及びバッテリー32を備える。また、電力供給系2は、図1に示した切替部33として、レギュレータ63を備える。
整流スタック61は、第1電気信号発生ユニット31Aから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック61の第1入力端子61aは、第1電気信号発生ユニット31Aの端子42Aaと接続されている。整流スタック61の第2入力端子61bは、第1電気信号発生ユニット31Aの端子42Abと接続されている。整流スタック61の接地端子61gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。多回転情報検出部3の動作時に、接地線GLの電位は、回路の基準電位になる。整流スタック61の出力端子61cは、レギュレータ63の制御端子63aに接続されている。
【0038】
整流スタック62は、第2電気信号発生ユニット31Bから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック62の第1入力端子62aは、第2電気信号発生ユニット31Bの端子42Baと接続されている。整流スタック62の第2入力端子62bは、第2電気信号発生ユニット31Bの端子42Bbと接続されている。整流スタック62の接地端子62gは、接地線GLに接続されている。整流スタック62の出力端子62cは、レギュレータ63の制御端子63aに接続されている。
【0039】
レギュレータ63は、バッテリー32から位置検出系1へ供給される電力を調整する。レギュレータ63は、バッテリー32と位置検出系1との間の電力の供給経路に設けられるスイッチ64を含んでもよい。レギュレータ63は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号をもとにスイッチ64の動作を制御する。
レギュレータ63の入力端子63bは、バッテリー32に接続されている。レギュレータ63の出力端子63cは、電源線PLに接続されている。レギュレータ63の接地端子63gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ63の制御端子63aはイネーブル端子であり、レギュレータ63は、制御端子63aに閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子63cの電位を所定電圧に維持する。レギュレータ63の出力電圧(上記の所定電圧)は、計数器67がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部14の不揮発性メモリ68の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。なお、所定電圧は、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値のことだけでなく、段階的に変化する電圧であってもよい。
【0040】
スイッチ64は、第1端子64aが入力端子63bと接続され、第2端子64bが出力端子63cと接続される。レギュレータ63は、電気信号発生ユニット31A,31Bから制御端子63aに供給される電気信号を制御信号(イネーブル信号)に用いて、スイッチ64の第1端子64aと第2端子64bとの間の導通状態と絶縁状態とを切り替える。例えば、スイッチ64は、MOS、TFTなどのスイッチング素子を含み、第1端子64aと第2端子64bとはソース電極とドレイン電極であり、ゲート電極が制御端子63aと接続される。スイッチ64は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号(電力)によってゲート電極が充電され、ゲート電極の電位が閾値以上になると、ソース電極とドレイン電極との間が導通可能な状態(オン状態)になる。なお、スイッチ64はレギュレータ63の外部に設けられてもよく、例えばリレー等の外付けであってもよい。
【0041】
多回転情報検出部3は、磁気検出部12として、磁気センサ51,52、及びアナログコンパレータ65,66を含む。磁気検出部12は、磁石11が形成する磁界を、バッテリー32から供給される電力を用いて検出する。また、多回転情報検出部3は、図1に示した検出部13として計数器67を含み、記憶部14として不揮発性メモリ68を含む。
磁気センサ51の電源端子51pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ51の接地端子51gは、接地線GLに接続されている。磁気センサ51の出力端子51cは、アナログコンパレータ65の入力端子65aに接続されている。本実施形態において、磁気センサ51の出力端子51cは、図2(C)に示した第2出力端子51bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。アナログコンパレータ65は、磁気センサ51から出力される電圧を所定電圧と比較する比較器である。アナログコンパレータ65の電源端子65pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ65の接地端子65 gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ65の出力端子65bは、計数器67の第1入力端子67aに接続されている。アナログコンパレータ65は、磁気センサ51の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベルの信号を出力する。
【0042】
磁気センサ52及びアナログコンパレータ66は、磁気センサ51及びアナログコンパレータ65と同様の構成である。磁気センサ52の電源端子52pは、電源線PLに接続されている。磁気センサ52の接地端子52gは、接地線GLに接続されている。磁気センサ52の出力端子52cは、アナログコンパレータ66の入力端子66aに接続されている。アナログコンパレータ66の電源端子66pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ66の接地端子66gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ66の出力端子58bは、計数器67の第2入力端子67bに接続されている。アナログコンパレータ66は、磁気センサ52の出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子66bからLレベルの信号を出力する。
【0043】
計数器67は、回転軸SFの多回転情報を、バッテリー32から供給される電力を用いて計数する。計数器67は、例えばCMOS論理回路などを含む。計数器67は、電源端子67p及び接地端子67gを介して供給される電力を用いて動作する。計数器67の電源端子67pは、電源線PLに接続されている。計数器67の接地端子67gは、接地線GLに接続されている。計数器67は、第1入力端子67aを介して供給される電圧、及び第2入力端子67bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。
【0044】
不揮発性メモリ68は、検出部13が検出した回転位置情報の少なくとも一部(例えば多回転情報)を、バッテリー32から供給される電力を用いて記憶する(書き込み動作を行う)。不揮発性メモリ68は、検出部13が検出した回転位置情報として、計数器67による計数の結果(多回転情報)を記憶する。不揮発性メモリ68の電源端子68pは、電源線PLに接続されている。記憶部14の接地端子68gは、接地線GLに接続されている。図1の記憶部14は、不揮発性メモリ68を含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持可能である。
【0045】
本実施形態において、整流スタック61,62とレギュレータ63との間には、コンデンサ69が設けられている。コンデンサ69の第1電極69aは、整流スタック61,62とレギュレータ63の制御端子63aとを接続する信号線に接続されている。コンデンサ69の第2電極69bは、接地線GLに接続されている。コンデンサ69は、いわゆる平滑コンデンサであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。コンデンサ69の定数は、例えば、検出部13により回転位置情報を検出して記憶部14に回転位置情報を書き込むまでの期間に、バッテリー32から検出部13及び記憶部14への電力供給が維持されるように設定される。
【0046】
また、バッテリー32は例えばボタン型電池等の一次電池36及び充電可能な二次電池37を備える。二次電池37は、モータ制御部MCの電源部MCEと電気的に接続されている。モー夕制御部MCの電源部MCEが電力を供給可能な期間(例えば主電源のオン状態)の少なくとも一部において、電源部MCEから二次電池37へ電力が供給され、この電力によって二次電池37が充電される。モータ制御部MCの電源部MCEが電力を供給不能な期間(例えば主電源のオフ状態)において、電源部MCEから二次電池37への電力の供給は絶たれる。
【0047】
また、二次電池37は、電気信号発生ユニット31A,31Bからの電気信号の伝達経路にも電気的に接続されてもよい。この場合、二次電池37は、電気信号発生ユニット31A,31Bからの電気信号の電力により充電可能である。例えば、二次電池37は、整流スタック61とレギュレータ63との間の回路と電気的に接続される。二次電池37は、電源部MCEからの電力の供給が絶たれた状態において、回転軸SFの回転により電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号の電力によって、充電することが可能となる。なお、二次電池37は、モータMに駆動されて回転軸SFが回転することにより電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号の電力によって、充電されてもよい。
【0048】
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、外部からの電力の供給が絶たれた状態において、一次電池36と二次電池37とのいずれから位置検出系1へ電力を供給するかを選択する。電力供給系2は、電源切替器(電源選択部、選択部)38を備え、電源切替器38は、位置検出系1に対して一次電池36と二次電池37とのいずれから電力を供給するかを切り替える(選択する)。電源切替器38の第1入力端子は、一次電池36の正極と電気的に接続され、電源切替器38の第2入力端子は、二次電池37と電気的に接続される。電源切替器38の出力端子は、レギュレータ63の入力端子63bと電気的に接続される。
【0049】
電源切替器38は、例えば、二次電池37の残量に基づいて、位置検出系1に対して電力を供給する電池を、一次電池36または二次電池37に選択する。例えば、二次電池37の残量が閾値以上である場合、電源切替器38は、二次電池37から電力を供給させ、一次電池36から電力を供給させない。この閾値は、位置検出系1で消費される電力に基づいて設定され、例えば位置検出系1へ対して供給すべき電力以上に設定される。例えば、電源切替器38は、位置検出系1で消費される電力を二次電池37からの電力でまかなうことが可能な場合、二次電池37から電力を供給させ、一次電池36から電力を供給させない。また、二次電池37の残量が閾値未満である場合、電源切替器38は、二次電池3 7から電力を供給させず、一次電池36から電力を供給させる。電源切替器38は、例えば、二次電池37の充電を制御する充電器を兼ねていてもよく、充電の制御に使われる二次電池37の残量の情報を用いて、二次電池37の残量が閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0050】
このように二次電池37を併用することで、一次電池36の消耗を遅らせることができる。したがって、エンコーダ装置ECは、バッテリー32のメンテナンス(例、交換)がない、あるいはメンテナンスの頻度が低い。
なお、バッテリー32は、一次電池36と二次電池37の少なくとも一方を備えればよい。また、上述の実施形態においては、一次電池36または二次電池37から択一的に電力を供給するが、一次電池36及び二次電池37から並行して電力を供給してもよい。例えば、位置検出系1の各処理部(例えば磁気センサ51、計数器67、不揮発性メモリ68)の消費電力に応じて、一次電池36が電力を供給する処理部と、二次電池37が電力を供給する処理部とが定められてもよい。なお、二次電池37は、電源部EC2から供給される電力と、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号の電力との少なくとも一方を用いて、充電されればよい。
【0051】
次に、電力供給系2及び多回転情報検出部3の動作について説明する。図5は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部3の動作を示すタイミングチャートである。回転軸SFが反時計回りに回転(逆回転)するときの多回転情報検出部3の動作を示すタイミングチャートは、図4のチャートを時間に沿って反転したものとなるため、その説明を省略する。
【0052】
図5の「磁界」において、実線は第1電気信号発生ユニット31Aの位置での磁界を示し、破線は第2電気信号発生ユニット31Bの位置での磁界を示す。「第1電気信号発生ユニット」、「第2電気信号発生ユニット」は、それぞれ、第1電気信号発生ユニット31Aの出力、第2電気信号発生ユニット31Bの出力を示し、一方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(-)とした。「イネーブル信号」は、電気信号発生ユニット31A,31Bで発生する電気信号によりレギュレータ63の制御端子63aに印加される電位を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。「レギュレータ」は、レギュレータ63の出力を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。
【0053】
図5の「第1磁気センサ上の磁界」、「第2磁気センサ上の磁界」は、磁気センサ51及び52上に形成される磁界である。磁石11が形成する磁界を長破線で示し、バイアス磁石が形成する磁界を短破線で示し、これらの合成磁界を実線で示した。「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」は、それぞれ、磁気センサ51及び52を常時駆動したときの出力を示し、第1出力端子からの出力を破線で表し、第2出力端子からの出力を実線で表した。「第1アナログコンパレータ」、「第2アナログコンパレータ」は、それぞれ、アナログコンパレータ65及び66からの出力を示す。磁気センサ及びアナログコンパレータが常時駆動された場合の出力を「常時駆動」に示し、磁気センサ及びアナログコンパレータが間欠駆動された場合の出力を「間欠駆動」に示した。
【0054】
回転軸SFが反時計回りに回転する場合、第1電気信号発生ユニット31Aは、角度位置45°及び225°において、順方向に流れる電流パルス(「第1電気信号発生ユニット」の+)を出力する。また、第1電気信号発生ユニット31Aは、角度位置135°及び315°において、逆方向に流れる電流パルス(「第1電気信号発生ユニット」の-)を出力する。第2電気信号発生ユニット31Bは、角度位置90°及び270°において、逆方向に流れる電流パルス(「第2電気信号発生ユニット」の-)を出力する。また、第2電気信号発生ユニット31Bは、角度位置180°及び0°(360°)において、順方向に流れる電流パルス(「第2電気信号発生ユニット」の-)を出力する。そのため、イネーブル信号は、角度位置45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°、及び0°のそれぞれにおいて、ハイレベルに切り替わる。また、レギュレータ63は、イネーブル信号がハイレベルに維持された状態に対応して、角度位置45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°、及び0°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
【0055】
本実施形態において、磁気センサ51の出力と磁気センサ52の出力は、90°の位相差を有しており、検出部13は、この位相差を利用して回転位置情報を検出する。磁気センサ51の出力は、角度位置22.5°から角度位置112.5°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は角度位置45°、90°において電力を出力する。磁気センサ51及びアナログコンパレータ65は、角度位置45°,90°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ65から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°,90°のそれぞれにおいてHレベルになる。
【0056】
また、磁気センサ52の出力は、角度位置157.5から247.5°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は、角度位置180°,225°において電力を出力する。磁気センサ52及びアナログコンパレータ66は、角度位置180°,225°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ66から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置180°,225°のそれぞれにおいてHレベルになる。
【0057】
ここで、計数器67に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数器67に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H、L)のように表す。図5では、角度位置180°において信号レベルの組が(L、H)であり、角度位置225°において信号レベルの組が(H、H)、角度位置270°において信号レベルの組が(H、L)である。
【0058】
計数器67は、検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部14に信号レベルの組を記憶させる。計数器67は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部14から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転軸SFの回転方向を判定する。
例えば、前回の信号レベルの組が(H、H)であって、今回の信号レベルが(H、L)である場合には、前回の検出において角度位置225°であり、今回の検出において角度位置270°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。計数器67は、今回のレベルの組が(H、L)であって、かつ前回のレベルの組が(H、H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部14に供給する。記憶部14は、計数器67からのアップ信号を検出した場合に、記憶している多回転情報を1増加した値に更新する。このように、本実施形態に係る多回転情報検出部3は、回転軸SFの回転方向を判定しながら、多回転情報を検出できる。
【0059】
このように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、モータM(動力供給部)の回転軸SF(移動部)の回転位置情報を検出する位置検出系1(位置検出部)と、回転軸SFと連動して回転するとともに、回転軸SFの回転方向(移動方向又はθ方向)に沿って複数の極性を持つ磁石11と、磁石11との相対的な移動に伴う磁界の変化によって磁気特性が変化する感磁性部材47(感磁性部41A)を有し、感磁性部材47の磁気特性に基づいて電気信号を発生する電気信号発生ユニット31A(電気信号発生部)とを備え、感磁性部材47がその回転方向に直交する方向における磁石11の側面と間隔を置き、かつ磁石11の少なくとも一部の磁力線MF2の接線方向に感磁性部材47の長さ方向が直交するように配置されるものである。
【0060】
本実施形態によれば、磁石11の側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Aにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11の回転による交流磁界の反転による感磁性部材47の長さ方向の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11の近傍に配置して、電気信号発生ユニット31Aを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11の回転による軸方向の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Aを用いて効率的に高い信頼性(安定した出力)で高出力のパルス(電気信号)を発生することができる。また、エンコーダ装置ECがバッテリー32を備える場合に、電気信号発生ユニット31Aで効率的に発生される電気信号を用いることによって、バッテリー32のメンテナンス(例えば交換)をなくすか、あるいはバッテリー32のメンテナンスの頻度を低くできる。
【0061】
なお、電気信号発生ユニット31Aにおけるパルス生成に不要な磁場成分の影響を抑制するためには、感磁性部材47の周囲を磁性体で覆うことも考えられる。しかしながら、そのように感磁性部材47の周囲を磁性体で覆うと、電気信号発生ユニットが大型化して、高コストになるとともに、駆動装置への組み込みが困難になる。さらに、電気信号発生ユニット31Aの共振点が下がり、振動衝撃に弱くなる恐れがある。
【0062】
また、エンコーダ装置ECは、電気信号発生ユニット31Aに電気信号が発生してから短時間のうちに、バッテリー32から多回転情報検出部3に電力が供給され、多回転情報検出部3がダイナミック駆動(間欠駆動)する。多回転情報の検出及び書き込みの終了後は、多回転情報検出部3への電源供給は絶たれるが、計数値は、記憶部14に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、磁石11上の所定位置が電気信号発生ユニット31Aの近傍を通過するたびに繰り返される。また、記憶部14に記憶されている多回転情報は、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。このようなエンコーダ装置ECは、電気信号発生ユニット31Aで発生する電気信号に応じて、位置検出系1で消費される電力の少なくとも一部をバッテリー32が供給するので、バッテリー32を長寿命にすることができる。このため、バッテリー32のメンテナンス(例えば交換)をなくしたり、メンテナンスの頻度を減らしたりすることができる。例えば、バッテリー32の寿命がエンコーダ装置ECの他の部分の寿命よりも長い場合、バッテリー32の交換を不要にすることもできる。
【0063】
ところで、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、磁石11の回転が極めて低速であっても、電気信号発生ユニット31Aからパルス電流(電気信号)の出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(磁石11)の回転が極めて低速な場合にも、電気信号発生ユニット31Aの出力を電気信号として利用できる。なお、感磁性ワイヤ(第1感磁性部41A)としては、アモルファス磁歪線なども使用可能である。この場合、例えば、エンコーダ装置ECは、上記した電気信号発生ユニット(例、31A、31B)から発生した電気信号(電流)を上記した整流スタック(例、整流器)を用いて全波整流し、整流された電力を多回転情報検出部3などに供給するように構成してもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、図3(A)に示すように、電気信号発生ユニット31Aの第1、第2磁性体45A,46Aの先端部が、磁石11の表面(N極16A~S極16D)及び裏面(S極17A~N極17D)の同じ角度位置で互いに異なる極性の部分の近傍に配置されているため、電気信号発生ユニット31Aをさらに小型化できる。なお、図3(D)及び(E)に示す変形例の電気信号発生ユニット31Cのように、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Cの先端部を磁石11の表面のある極性の部分(例えばN極16A又はS極16B等)の近傍に配置し、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Cの先端部を磁石11の表面の異なる極性の部分(例えばS極16D又はN極16A等)の近傍に配置してもよい。この場合、第1、第2磁性体45C,46Cは、回転方向において異なる位置にある磁石11の互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16A及びS極16D)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向に導いている。電気信号発生ユニット31Cにおいても、磁石11から第1磁性体45C、感磁性部材47、及び第2磁性体46Cを通るように磁気回路MC2が形成されるため、磁石11の側面の不要な磁界に影響されることなく、磁石11の回転による交流磁界の反転によって、感磁性部材47が効率的に安定したパルスを出力できる。
【0065】
また、上述の実施形態では2つの電気信号発生ユニット31A,31Bが設けられているが、エンコーダ装置ECは1つの電気信号発生ユニット31Aを備えるのみでもよい。さらに、エンコーダ装置ECは、3つ以上の電気信号発生ユニットを備えてもよい。また、以下で説明する他の実施形態及びその変形例においては、1つの電気信号発生ユニットについて説明するが、複数の電気信号発生ユニットを備えていてもよい。
【0066】
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき図6(A)から(E)を参照して説明する。なお、図6(A)から(D)において図3(A)から(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6(A)は本実施形態に係るエンコーダ装置の磁石11A及び電気信号発生ユニット31Dを示す平面図、図6(B)は図6(A)の側面図、図6(C)は図6(A)の一部の拡大図である。図6(A)、(B)において、磁石11Aは、回転によって回転軸SFに対する半径方向(又は径方向、ラジアル方向、若しくは放射方向)AD2における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石11Aは、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石11Aの主面(表面及び裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。
【0067】
磁石11Aは、N極16E及びS極16Fが回転軸SFの回転方向又は周方向(θ方向)に交互に配置された外周側の円環状磁石と、S極17E及びN極17Fがθ方向に交互に配置された内周側の円環状磁石とを備える。外周側の円環状磁石と内周側の円環状磁石とは、位相が180°ずれている。磁石11Aにおいて、内周側におけるS極17EとN極17Fとの境界は、外周側におけるN極16EとS極16Fとの境界と、θ方向の角度位置がほぼ一致している。このように磁石11Aは、θ方向に沿って平板状で、θ方向に沿って複数の極性(N極16E、S極16F等)を持つ。また、磁石11Aにおいて回転方向(移動方向)に直交する方向、すなわち本実施形態では回転軸SFに対する半径方向(ラジアル方向)AD2を磁石11Aの幅方向とみなす。このとき、磁石11Aは、表面又は裏面においてθ方向に直交する幅方向(半径方向AD2)にも互いに異なる極性(N極16E、S極17E等)を有する。磁石11Aはθ方向に複数対(例えば12対)の極性を持つように着磁された永久磁石である。本実施形態の磁石11Aの着磁方向(配向方向)は半径方向(ラジアル方向)AD2である。
【0068】
本実施形態において、電気信号発生ユニット31Dの感磁性部材47は、磁石11Aの外側面の近傍において、長さ方向LD2が平板状の磁石11Aの表面に直交するように、配置されている。また、電気信号発生ユニット31Dにおける感磁性部材47の長さ方向LD2は、回転軸SFに直交する磁石11Aの径方向(例、ラジアル方向)又は該径方向に平行な方向に離れて、上記半径方向AD2に直交するように配置されている。このとき、長さ方向LD2は、回転軸SFの軸方向に平行である。言い替えると、本実施形態において、感磁性部材47の長さ方向LD2は磁石11Aの着磁方向である半径方向(ラジアル方向)AD2に略直交しているとともに、θ方向(周方向)にも略直交している。また、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Dの先端部は、磁石11Aの外周側の一方の極性の部分(例えばN極16E)の外側面の近傍に配置され、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Dの先端部は、磁石11Aの外周側の他方の極性(該一方の極性とは異なる極性)の部分(例えばS極16F)の外側面の近傍に配置されている。言い替えると、第1、第2磁性体45D,46Dは、θ方向において異なる位置にある磁石11Aの互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16E及びS極16F)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向LD2に導いている。この他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0069】
本実施形態においても、磁石11Aから第1磁性体45D、感磁性部材47、及び第2磁性体46Dを通るように磁気回路MC3が形成される。また、図6(C)に示すように、磁石11Aの側面に発生する磁力線のうち、感磁性部材47の長さ方向の略中心を通過する磁力線MF2の接線方向(ここではθ方向)に対して略直交するように、感磁性部材47の長さ方向が配置されている。
【0070】
磁石11Aの側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Dにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11Aの回転に伴う交流磁界の反転による感磁性部材47の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11Aの近傍に配置して、電気信号発生ユニット31Dを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11Aの回転による半径方向AD2の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Dを用いて効率的に安定した高出力のパルス(電気信号)を発生することができる。また、エンコーダ装置がバッテリー32を備える場合に、電気信号発生ユニット31Dで効率的に発生される電気信号を用いることによって、バッテリー32のメンテナンス(例えば交換)をなくすか、あるいはバッテリー32のメンテナンスの頻度を低くできる。
【0071】
なお、本実施形態において、図6(D)及び(E)に示す変形例の電気信号発生ユニット31Eのように、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Eの先端部を磁石11Aの外周側の一方の極性の部分(例えばN極16E又はS極16F等)の近傍に配置し、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Eの先端部を磁石11Aの内周側の異なる極性の部分(例えばS極17E又はN極17F等)の近傍に配置してもよい。この場合、第1、第2磁性体45E,46Eは、磁石11Aの幅方向(半径方向AD2)において異なる位置にある磁石11Aの互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16E及びS極17E)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向に導いている。電気信号発生ユニット31Eにおいても、磁石11Aから第1磁性体45E、感磁性部材47、及び第2磁性体46Eを通るように磁気回路MC4が形成され、磁石11Aの側面の不要な磁界に影響されることなく、磁石11Aの回転による交流磁界の反転によって、感磁性部材47が効率的に安定したパルスを出力できる。
【0072】
[第3の実施形態]
第3の実施形態につき図7(A)から(C)を参照して説明する。なお、図7(A)から(C)において図6(A)から(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図7(A)は本実施形態に係るエンコーダ装置の磁石11A及び電気信号発生ユニット31Fを示す平面図、図7(B)は図7(A)の磁石11Aを断面とした側面図である。図7(A)、(B)において、磁石11Aは、回転によって回転軸SFに対する半径方向AD2における磁界の向きおよび強さが変化するように構成されている。
【0073】
本実施形態において、電気信号発生ユニット31Fの感磁性部材47は、内側に空間Kを有する磁石11Aの内側面の近傍において、長さ方向LD2が平板状の磁石11Aの表面に直交するように、空間Kに配置されている。また、電気信号発生ユニット31Fにおける感磁性部材47の長さ方向LD2は、回転軸SFに直交する磁石11Aの径方向(例、ラジアル方向)又は該径方向に平行な方向に離れて、上記半径方向AD2に直交するように配置されている。本実施形態において、感磁性部材47の長さ方向LD2は磁石11Aの着磁方向である半径方向(ラジアル方向)AD2に略直交しているとともに、回転軸SFの軸方向(アキシャル方向)に略平行である。また、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Fの先端部は、磁石11Aの内周側の一方の極性の部分(例えばN極17F)の内側面の近傍に配置され、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Fの先端部は、磁石11Aの内周側の他方の極性の部分(例えばS極17E)の内側面の近傍に配置されている。言い替えると、第1、第2磁性体45F,46Fは、θ方向において異なる位置にある磁石11Aの互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極17F及びS極17E)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向LD2に導いている。この他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0074】
本実施形態においても、磁石11Aから第1磁性体45F、感磁性部材47、及び第2磁性体46Fを通るように磁気回路MC5が形成される。また、磁石11Aの内側面に発生する磁力線のうち、感磁性部材47の長さ方向LD2の略中心を通過する磁力線の接線方向(ここではθ方向)に対して略直交するように、感磁性部材47の長さ方向が配置されている。
磁石11Aの内側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Fにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11Aの回転に伴う交流磁界の反転による感磁性部材47の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11Aの内側面に配置して、電気信号発生ユニット31Fを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11Aの回転による半径方向AD2の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Fを用いて効率的に安定した高出力のパルス(電気信号)を発生することができる。この他の効果は上述の実施形態と同様である。
【0075】
なお、本実施形態において、図7(C)に示す変形例の電気信号発生ユニットのように、感磁性部材47を、磁石11Aの外側面において、その外側面に感磁性部材47の長さ方向がほぼ垂直になるように配置してもよい。この場合、感磁性部材47の一端側の磁性体45F1の先端部は、磁石11Aの外周側の一方の極性の部分(例えばN極16E又はS極16F等)の近傍に配置され、感磁性部材47の他端は、磁石11Aの外周側の異なる極性の部分(例えばS極16F又はN極16E等)の近傍に配置される。この場合、磁性体45F1の一端は感磁性部材47の一端側の近傍に配置され、磁性体45F1の他端は磁石11Aの外周側の一方の極性の部分の近傍に配置される。言い替えると、この変形例では、他方の磁性体(第1磁性体又は第2磁性体)が省略されている。この変形例において、感磁性部材47の長さ方向は磁石11Aの着磁方向である半径方向(ラジアル方向)に略平行であるとともに、θ方向(周方向)に略直交している。
【0076】
この変形例では、磁石11Aから磁性体45F1及び感磁性部材47を通るように磁気回路MC51が形成され、磁石11Aの側面の不要な磁界に影響されることなく、磁石11Aの回転による交流磁界の反転によって、感磁性部材47が効率的に安定的なパルスを出力できる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態につき図8(A)から(E)を参照して説明する。なお、図8(A)から(E)において図3(A)から(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0077】
図8(A)は本実施形態に係るエンコーダ装置の磁石11及び電気信号発生ユニット31Gを示す平面図、図8(B)及び(C)は図8(A)の磁石11を断面で表した側面図である。図8(A)、(B)において、磁石11は、回転によって回転軸SFに平行な軸方向(アキシャル方向)AD1における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石11は、θ方向に複数の極性(例えばN極16A及びS極16B)を持ち、θ方向に直交する厚さ方向(半径方向AD2)にも互いに異なる2つの極性の部分(例えばN極16A及びS極17A)を持つ。磁石11の着磁方向は軸方向(アキシャル方向)AD1である。
【0078】
本実施形態において、電気信号発生ユニット31Gの感磁性部材47は、磁石11の外側面の近傍において、感磁性部材47の長さ方向LD3が平板状の磁石11の表面に平行であるとともに、長さ方向LD3が磁石11の外側面に垂直になるように配置されている。また、電気信号発生ユニット31Gにおける感磁性部材47の長さ方向LD3は、回転軸SFに直交する磁石11の径方向(例、ラジアル方向)又は該径方向に平行な方向に離れて、上記軸方向AD1に直交するように配置されている。本実施形態において、感磁性部材47の長さ方向LD3は磁石11の着磁方向である軸方向AD1に略直交しているとともに、回転軸SFの半径方向に略平行であり、θ方向(周方向)に略直交している。また、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Gの先端部は、磁石11の表面側の一方の極性の部分(例えばN極16A)の近傍に配置され、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Gの先端部は、磁石11の裏面側の他方の極性の部分(例えばS極17A)の近傍に配置されている。言い替えると、第1、第2磁性体45G,46Gは、θ方向において同じ角度位置にある磁石11の互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16A及びS極17A)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向LD3に導いている。この他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0079】
本実施形態においても、磁石11から第1磁性体45G、感磁性部材47、及び第2磁性体46Gを通るように磁気回路MC6が形成される。また、図8(C)に示すように、磁石11の側面に発生する磁力線のうち、感磁性部材47の長さ方向LD3の略中心を通過する磁力線MF3の接線方向MD3(ここでは軸方向AD1に平行)に対して略直交するように、感磁性部材47の長さ方向LD3が配置されている。
【0080】
磁石11の側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Gにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11の回転に伴う交流磁界の反転による感磁性部材47の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11の近傍に配置して、電気信号発生ユニット31Gを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11の回転による軸方向AD1の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Gを用いて効率的に安定した高出力のパルス(電気信号)を発生することができる。この他の効果は第1の実施形態と同様である。
【0081】
なお、本実施形態において、図8(D)及び(E)に示す変形例の電気信号発生ユニット31Hのように、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Hの先端部を磁石11の表面側の一方の極性の部分(例えばN極16A又はS極16B等)の近傍に配置し、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Hの先端部を磁石11の表面側の異なる極性の部分(例えばS極16D又はN極16A等)の近傍に配置してもよい。この場合、第1、第2磁性体45H,46Hは、磁石11のθ方向において異なる位置にある磁石11の互いに異なる極性の2つの部分(例えばN極16A及びS極16D)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向に導いている。電気信号発生ユニット31Hにおいても、磁石11から第1磁性体45H、感磁性部材47、及び第2磁性体46Hを通るように磁気回路MC7が形成され、磁石11の側面の不要な磁界に影響されることなく、磁石11の回転による交流磁界の反転によって、感磁性部材47が効率的に安定したパルスを出力できる。
【0082】
[第5の実施形態]
第5の実施形態につき図9(A)及び(B)を参照して説明する。なお、図9(A)及び(B)において図3(A)から(C)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9(A)は本実施形態に係るエンコーダ装置の磁石11B、磁気センサ51,52(磁気検出部12)、及び電気信号発生ユニット31Aを示す平面図、図9(B)及は図9(A)の磁石11Bを断面で表した側面図である。図9(A)、(B)において、磁石11Bは、開き角が180°の扇型のN極16G及びS極16Hが回転軸SFの回転方向(θ方向)に配置された外周側の円環状磁石と、開き角が180°の扇型のS極16J及びN極16Iがθ方向に配置された内周側の円環状磁石とを備える。また、外周側のN極16G及びS極16Hの裏面に、同じ形状で極性が異なるS極17G及びN極17Hが貼着され、内周側のN極16I及びS極16Jの裏面に、同じ形状で極性が異なるS極17I及びN極17Jが貼着されている。このように磁石11Bの外周側の円環状磁石と内周側の円環状磁石とは位相が180°ずれている。また、磁石11Bは厚さ方向(軸方向AD1)にも互いに異なる2つの極性を有する。磁石11Bにおいて、内周側におけるS極16JとN極16Iとの境界は、外周側におけるN極16GとS極16Hとの境界と、θ方向の角度位置がほぼ一致している。
【0083】
本実施形態において、電気信号発生ユニット31Aの感磁性部材47は、磁石11Bの外側面の近傍において、感磁性部材47の長さ方向が平板状の磁石11Bの表面に平行であるとともに、長さ方向が回転軸SFの回転方向(θ方向)に平行になるように配置されている。また、感磁性部材47の一端側の第1磁性体45Aの先端部は、磁石11Bの表面側の一方の極性の部分(例えばS極16H)の近傍に配置され、感磁性部材47の他端側の第2磁性体46Aの先端部は、磁石11Bの裏面側の他方の極性の部分(例えばN極17H)の近傍に配置されている。言い替えると、第1、第2磁性体45A,46Aは、θ方向において同じ角度位置にある磁石11Bの互いに異なる極性の2つの部分(例えばS極16H及びN極17H)からの磁力線を感磁性部材47の長さ方向に導いている。
【0084】
また、磁石11Bの表面の近傍において、内周側の円環状磁石と外周側の円環状磁石との境界部を跨ぐように、磁気センサ51及び52が配置されている。磁気センサ51及び52の角度は、例えばほぼ90°である。この他の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態において、磁石11Bの電気信号発生ユニット31Aに対する着磁方向は軸方向(アキシャル方向)AD1であり、磁気センサ51,52に対する着磁方向は半径方向(ラジアル方向)である。また、感磁性部材47の長さ方向は磁石11Bの着磁方向である軸方向AD1に略直交しているとともに、θ方向(周方向)に略平行である。本実施形態においても、磁石11Bから第1磁性体45A、感磁性部材47、及び第2磁性体46Aを通るように磁気回路MC1が形成される。また、磁石11Bの側面に発生する磁力線のうち、感磁性部材47の長さ方向の略中心を通過する磁力線の接線方向(ここでは軸方向AD1に平行)に対して略直交するように、感磁性部材47の長さ方向が配置されている。
【0085】
磁石11Bの側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Aにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11Bの回転に伴う交流磁界の反転による感磁性部材47の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11Bの近傍に配置して、電気信号発生ユニット31Aを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11Bの回転による軸方向AD1の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Aを用いて効率的に安定した高出力のパルス(電気信号)を発生することができる。
さらに、磁気センサ51及び52は、それぞれ磁石11Bの内周側の円環状磁石と外周側の円環状磁石との間に発生する磁力線MF4を含む磁界の変化を検出することができる。本実施形態におけるエンコーダ装置は、磁気センサ51及び52の検出結果を用いて回転軸SFの角度及び多回転情報を求めることができる。この他の効果は第1の実施形態と同様である。
【0086】
[第6の実施形態]
第6の実施形態につき図10(A)及び(B)を参照して説明する。なお、図10(A)及び(B)において図9(A)及び(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0087】
図10(A)は本実施形態に係るエンコーダ装置の光学式センサ用の回転ディスク11D、磁気センサ51,52、光学式センサ21A、及び電気信号発生ユニット31Aを示す平面図、図10(B)及は図10(A)の磁石11Bを断面で表した側面図である。図10(A)、(B)において、磁石11Bの表面に円環状の回転ディスク11D(実際には回転軸SFが通る開口(不図示)が設けられている)が固定されている。回転ディスク11D及び磁石11Bは、回転軸SFと連動してθ方向に回転する。回転ディスク11Dの表面には、同心円状にインクリメンタルスケール11Da及びアブソリュートスケール11Dbが形成されている。また、電気信号発生ユニット31Aの第1磁性体45Aの先端部と磁石11Bの表面との間には回転ディスク11Dが配置されている。電気信号発生ユニット31Aの磁気回路MC1は回転ディスク11Dを通るように形成される。
【0088】
また、光学式センサ21Aは、照明光を発生する発光素子21Aaと、発光素子21Aaから発生してインクリメンタルスケール11Da及びアブソリュートスケール11Dbで反射された照明光を受光する受光センサ21Ab及び21Acとを備える。本実施形態におけるエンコーダ装置は、受光センサ21Ab及び21Acの検出信号を図1の検出部23と同様の検出部(不図示)で処理することによって、回転軸SFが所定の基準角度から所定角度回転する毎に積算される回転角度及び回転軸SFの1回転内での絶対角度位置を求めることができる。また、その相対角度位置が360°を超えるたびに1つの計数を行うことによって、回転軸SFの多回転情報も求めることができる。
【0089】
同様に、本実施形態におけるエンコーダ装置は、磁気センサ51及び52の検出結果を用いて回転軸SFの回転角度及び多回転情報を求めることができる。また、磁石11Bの側面に発生する磁力線を含む電気信号発生ユニット31Aにおけるパルス生成に不要な磁場成分は、感磁性部材47の長さ方向に直交しており、その不要な磁場成分は、磁石11Bの回転に伴う交流磁界の反転による感磁性部材47の一端から他端に向かう磁壁の発生には悪影響を与えない。このため、感磁性部材47を磁石11Bの近傍に配置して、電気信号発生ユニット31Aを小型化しても、その不要な磁場成分に影響されることなく、磁石11Bの回転による軸方向AD1の交流磁界の反転によって、電気信号発生ユニット31Aを用いて効率的に安定した高出力のパルス(電気信号)を発生することができる。この他の効果は第1の実施形態と同様である。
【0090】
なお、上述の実施形態及び変形例のように、複数の電気信号発生ユニットが設けられる場合に、電気信号発生ユニット31Aから出力される電力は、多回転情報を検出するための検出信号として利用されてもよいし、検出系などへの供給に利用されてもよい。
なお、上述の第1実施形態において、磁石11は、周方向に4極と厚さ方向に2極とを有する8極の磁石であるが、このような構成に限定されず適宜変更できる。例えば、磁石11は、周方向の極数が2極又は4極以上であってもよい。
【0091】
なお、上述の実施形態において、位置検出系1は、位置情報として回転軸SF(移動部)の回転位置情報を検出するが、位置情報として所定方向の位置、速度、加速度の少なくとも一つを検出してもよい。エンコーダ装置ECは、ロータリーエンコーダを含んでもよいし、リニアエンコーダを含んでもよい。また、エンコーダ装置ECは、発電部及び検出部が回転軸SFに設けられ、磁石11が移動体(例、回転軸SF)の外部に設けられることで、磁石と検出部との相対位置が移動部の移動に伴って変化するものでもよい。また、位置検出系1は回転軸SFの多回転情報を検出しなくてもよく位置検出系1の外部の処理部により多回転情報を検出してもよい。
【0092】
上述の実施形態において、電気信号発生ユニット31A,31Bは、磁石11と所定の位置関係となった際に電力(電気信号)を発生する。位置検出系1は電気信号発生ユニット31A,31Bに発生する電力(信号)の変化を検出信号に用いて、移動部(例、回転軸SF)の位置情報(例、多回転情報又は角度位置情報を含む回転位置情報)を検出(計数)してもよい。例えば、電気信号発生ユニット31A,31Bをセンサ(位置センサ)として用いてもよく、位置検出系1は、電気信号発生ユニット31A,31B及び1つ以上のセンサ(例、磁気センサ、受光センサ)により、移動部の位置情報を検出してもよい。また、電気信号発生ユニットの数が2つ以上である場合、位置検出系1は、2つ以上の電気信号発生ユニットをセンサとして用いて位置情報を検出してもよい。例えば、位置検出系1は、2つ以上の電気信号発生ユニットをセンサとして用い、磁気センサを用いないで移動部の位置情報を検出してもよいし、受光センサを用いないで移動部の位置情報を検出してもよい。また、上記の磁気センサと同様に、位置検出系1は、2つ以上の電気信号発生ユニットをセンサとして用いて、2つ以上の電気信号に基づいて回転軸SFの回転方向を判別してもよい。
【0093】
また、電気信号発生ユニット31A,31Bは、位置検出系1で消費される電力の少なくとも一部を供給してもよい。例えば、電気信号発生ユニット31A,31Bは、位置検出系1のうち消費電力が相対的に小さい処理部に対して、電力を供給してもよい。また、電気供給系2は、位置検出系1の一部に対して電力を供給しなくてもよい。例えば、電力供給系2は、検出部13に間欠的に電力を供給し、記憶部14へ電力を供給しなくてもよい。この場合、電力供給系2の外部に設けられる電源、バッテリーなどから記憶部14に対して、間欠的または連続的に電力が供給されてもよい。発電部は、大バルクハウゼンジャンプ以外の現象により電力が発生するものでもよく、例えば移動部(例えば回転軸SF)及び位置検出系1の一部に対して電力を供給しなくてもよい。例えば、電力供給系2は、検出部13に間欠的に電力を供給し、記憶部14へ電力を供給しなくてもよい。この場合、電力供給系2の外部に設けられる電源、バッテリーなどから記憶部14に対して、間欠的または連続的に電力が供給されてもよい。発電部は、大バルクハウゼンジャンプ以外の現象により電力が発生するものでもよく、例えば移動部(例えば回転軸SF)の移動に伴う磁界の変化に伴う電磁誘導により、電力を発生するものでもよい。検出部の検出結果を記憶する記憶部は、位置検出系1の外部に設けられてもよく、エンコーダ装置ECの外部に設けられてもよい。
【0094】
[駆動装置]
駆動装置の一例について説明する。図11は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
【0095】
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態、変形例、あるいはその組み合わせに係るエンコーダ装置である。
【0096】
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1に示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
【0097】
[ステージ装置]
ステージ装置の一例について説明する。図12は、ステージ装置STGを示す。このステージ装置STGは、図11に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、回転テーブル(移動物体)TBを取り付けた構成である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
【0098】
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が回転テーブルTBに伝達される。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が低い又は無いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
【0099】
[ロボット装置]
ロボット装置の一例について説明する。図13は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図13には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
【0100】
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102及び接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて 軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
【0101】
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば10 0分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図13に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
【0102】
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力により、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
【0103】
ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
また、本明細書には以下の発明の態様も記載されている。
1)移動部の位置情報を検出する位置検出部と、前記移動部の移動方向に沿って複数の極性を持つ磁石と、前記磁石との相対的な移動に伴う磁界の変化によって磁気特性が変化する感磁性部を有し、前記感磁性部の磁気特性に基づいて電気信号を発生する電気信号発生部とを備え、前記感磁性部が、前記移動方向に沿った前記磁石の側面に対して前記移動方向に直交する方向に間隔を置き、かつ前記磁石の少なくとも一部の磁力線の接線方向に前記感磁性部の長さ方向が直交するように配置される、エンコーダ装置。
2)前記電気信号発生部は、前記磁石の磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様1に記載のエンコーダ装置。
3)前記磁石の磁力線のうち、前記感磁性部の長さ方向の略中心を通過する磁力線の接線方向に対して略直交するように、前記感磁性部の長さ方向が配置される態様1又は2に記載のエンコーダ装置
4)前記磁石は、前記移動方向に沿って平板状で、前記移動方向に直交する厚さ方向にも互いに異なる極性を有し、前記感磁性部は、長さ方向が前記平板状の磁石の一面に平行になるように、前記磁石の側面に配置される態様1から3のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
5)前記電気信号発生部は、前記移動方向において同じ位置にある前記磁石の互いに異なる極性の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様4に記載のエンコーダ装置。
6)前記電気信号発生部は、前記移動方向において異なる位置にある前記磁石の互いに異なる極性の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様4に記載のエンコーダ装置。
7)前記磁石は、前記移動方向に沿って平板状で、前記移動方向に直交する幅方向にも互いに異なる極性を有し、前記感磁性部は、長さ方向が前記平板状の磁石の一面に直交するように、前記磁石の側面に配置される態様1から3のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
8)前記電気信号発生部は、前記移動方向において異なる位置にある前記磁石の互いに異なる極性の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様7に記載のエンコーダ装置。
9)前記電気信号発生部は、前記幅方向において異なる位置にある前記磁石の互いに異なる極性の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様7に記載のエンコーダ装置。
【0104】
10)前記磁石は、前記移動方向に沿って平板状で、前記移動方向に直交する幅方向にも互いに異なる極性を有し、前記感磁性部は、長さ方向が前記平板状の磁石の一面に平行であるとともに、前記磁石の前記移動方向に沿った側面に垂直になるように、かつ前記磁石の前記移動方向に沿った側面に対して前記移動方向に直交する方向に間隔を置いて配置される態様1から3のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
11)前記電気信号発生部は、前記移動方向において前記感磁性部が配置される位置と異なる位置にある前記磁石の部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様10に記載のエンコーダ装置。
12)前記磁石は、前記移動方向に沿って平板状で、前記移動方向に直交する厚さ方向にも互いに異なる極性を有し、前記感磁性部は、長さ方向が前記平板状の磁石の一面に平行であるとともに、前記磁石の側面に垂直になるように、前記磁石の側面に配置される態様1から3のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
13)前記電気信号発生部は、前記移動方向において同じ位置にある前記磁石の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様12に記載のエンコーダ装置。
14)前記電気信号発生部は、前記移動方向において互いに異なる位置にある前記磁石の一面及び他面の2つの部分からの磁力線を前記感磁性部の長さ方向に導くための磁性体を有する態様12に記載のエンコーダ装置。
15)前記感磁性部は、前記磁石の移動に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプを生じる、態様1から14のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
16)前記電気信号発生部は、前記移動部の移動によってパルス状の電力を発生する、態様1から15のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
17)前記電気信号発生部で発生する電気信号に応じて、前記位置検出部で消費される電力の少なくとも一部を供給するバッテリーを備える態様1から16のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
18)前記電気信号発生部で発生する電気信号に応じて、前記バッテリーから前記位置検出部への電力の供給の有無を切り替える切替部を備える、態様17に記載のエンコーダ装置。
19)前記バッテリーは、一次電池又は二次電池を含む、態様17又は18に記載のエンコーダ装置。
【0105】
20)前記位置検出部は、前記移動部の移動によって互いの相対位置が変化する位置検出用磁石及び磁気検出部を含み、該位置検出用磁石が形成する磁界に基づいて前記位置情報を検出し、前記磁気検出部は、該位置検出用磁石が形成する磁界を前記バッテリーから供給される電力を用いて検出する、態様17から19のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
21)前記位置検出用磁石は、前記電気信号発生部が電気信号を発生するための磁界の変化を起こす前記磁石が兼用する態様20に記載のエンコーダ装置。
22)前記位置検出部は、前記移動部と連動して移動するスケールと、前記スケールに光を照射する照射部と、前記スケールからの光を検出する光検出部と、を含む、態様1から21のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
23)前記移動部は回転軸を含み、前記磁石は輪帯状であり、前記感磁性部は、前記磁石の外側面の外側、又は内側面の内側に配置される態様1から22のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
24)前記位置検出部は、前記回転軸の1回転以内の角度位置情報を検出する角度検出部と、前記位置情報として前記回転軸の多回転情報を検出する多回転情報検出部と、を備える態様1から23のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
25)態様1から24のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、前記移動部に動力を供給する動力供給部と、を備える駆動装置。
26)移動物体と、前記移動物体を移動させる態様25に記載の駆動装置と、を備えるステージ装置。
27)態様25に記載の駆動装置と、前記駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置。
【符号の説明】
【0106】
1…位置検出系、3…多回転情報検出部、4…角度検出部、11,11A…磁石、12…磁気検出部、13…検出部、14…記憶部、21…発光素子(照射部)、22…受光センサ(光検出部)、31A,31B…電気信号発生ユニット、32…バッテリー、33…切替部、36…一次電池、37…二次電池、41A,41B…感磁性部、42A,42B…発電部、43A,43B…ケース、45A…第1磁性体、46A…第2磁性体、47…感磁性部材、51,52…磁気センサ、63…レギュレータ、64…スイッチ、67…計数器、EC…エンコーダ装置、SF…回転軸、AR1…第1アーム、AR2…第2アーム、MTR…駆動装置、RBT…ロボット装置、STG…ステージ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13