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特許7401880親綱用仮設支柱取付台座およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】親綱用仮設支柱取付台座およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20231213BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
E04G21/32 D
A62B35/00 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023161468
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2021145276の分割
【原出願日】2021-09-07
(65)【公開番号】P2023175856
(43)【公開日】2023-12-12
【審査請求日】2023-09-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(73)【特許権者】
【識別番号】000204620
【氏名又は名称】大嘉産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】星野 克之
(72)【発明者】
【氏名】大野 俊
(72)【発明者】
【氏名】笠井 一宏
(72)【発明者】
【氏名】長浦 善朝
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139984(JP,A)
【文献】特開2020-182615(JP,A)
【文献】意匠登録第1418514(JP,S)
【文献】特開2006-141571(JP,A)
【文献】特公平06-100023(JP,B2)
【文献】特開平08-270207(JP,A)
【文献】特開2021-008771(JP,A)
【文献】特開2020-084699(JP,A)
【文献】特開2018-053595(JP,A)
【文献】特許第5677662(JP,B1)
【文献】米国特許第3920221(US,A)
【文献】特開平11-166305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G21/32
A62B35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所作業者の安全を確保するための親綱が接続される親綱用仮設支柱とこの親綱用仮設支柱が取付けられる取付部材との取付域を拡張するために前記親綱用仮設支柱の押しボルトと前記取付部材との間に介在させて使用される親綱用仮設支柱取付台座であって、
底板と、
前記底板の一の面の側に互いに離間して立設された一対の側板と、
前記一対の側板を連結する連結部材と、
記一対の側板の少なくとも一方の前記底板に平行な方向における一端から前記底板の他の面の側に突出するとともに、前記一対の側板の少なくとも一方の他端に向けて延在して、前記他の面の側において前記一対の側板の少なくとも一方との間に空隙を形成するフック部と、
を少なくとも備え、
前記連結部材の少なくとも一部は、把持部を形成する親綱用仮設支柱取付台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の建設現場で作業する高所作業者の安全を確保するための親綱が接続される支柱を、建造物の構造部材等として用いられるH形鋼等の取付部材へ取付ける際に使用される取付台座である。
【背景技術】
【0002】
高層ビルや陸橋などの高所作業を伴う建設現場においては、高所作業者の安全を確保するための親綱が、建造物の構造部材として用いられるH形鋼等の取付部材の上端部(以下、「フランジ」と称する。)に取付けられた支柱(以下、「親綱用仮設支柱」と称する。)を介して、所望の高さに所定の張力を伴って張り巡らされる。ここで、上記フランジの幅寸法が小さい場合には、十分な取付面積を確保できないことから所望の強度および剛性を伴うかたちで親綱用仮設支柱を取付部材に取付けることができないといった事態が起こり得る。そこで、このような事態を回避するために、互いの取付面積を拡張するための台座(以下、「親綱用仮設支柱取付台座」と称する。)が使用される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の親綱用仮設支柱取付台座に関する先行技術では、その図2で示されるように、H形鋼のフランジ(31)上面と親綱用仮設支柱(親綱支柱40)の取付具(41a、41b)との間に、フランジ(31)の幅寸法より大きな幅寸法をもつ親綱用仮設支柱取付台座(親綱支柱用治具10、20)を介在させ、これにより、互いの取付面積を拡張している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-139984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
親綱用仮設支柱は、接続される親綱に所定の張力が生じるよう、比較的短い間隔で取付部材へ着脱自在に取付けられるのが一般的である。このため、大型建造物の建設現場では、多数の親綱用仮設支柱取付台座が必要になる。これら多数の親綱用仮設支柱取付台座は、外部から建設現場に運び込まれたのち広大な建設現場内の適所へ配られ、さらに人の手によって各所に配置し取付けられる。このような一連の作業において、親綱用仮設支柱取付台座の取扱いを良好なものにすることは、例え僅かであっても、作業全体の効率化に大きく寄与することになる。このため、親綱用仮設支柱取付台座の取扱いを良好なものにすることは、作業現場から常に求められている事項の1つである。また、所望の強度および剛性を伴いながら親綱用仮設支柱を取付部材へ取付けるためには、親綱用仮設支柱取付台座自体にも所定の強度および剛性が求められる。
【0006】
本発明は、上記の要請に鑑み創作された発明であって、その目的は、持ち運びを容易にすることで取扱いが良好な親綱用仮設支柱取付台座を提供することにある。また、望ましくは、上記親綱用仮設支柱取付台座の製造に関し、生産性に優れた製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明に係る親綱用仮設支柱取付台座は、高所作業者(M)の安全を確保するための親綱(R)が接続される親綱用仮設支柱(200)とこの親綱用仮設支柱が取付けられる取付部材(100)との取付域を拡張するために前記親綱用仮設支柱の押しボルト(210)と前記取付部材との間に介在させて使用される親綱用仮設支柱取付台座(1)であって、底板(10)と、前記底板の一の面(底板上面10a)の側に互いに離間して立設された一対の側板(20A、20B)と、前記一対の側板を連結する連結部材(30)と、前記底板の一端または前記一対の側板の少なくとも一方の前記底板に平行な方向における一端から前記底板の他の面(底板下面10b)の側に突出するとともに、前記底板の他端または前記一対の側板の少なくとも一方の他端に向けて延在して、前記他の面の側において前記底板または前記一対の側板の少なくとも一方との間に空隙(W)を形成するフック部(23A、23B)と、を少なくとも備え、前記連結部材の少なくとも一部は、把持部(S)を形成することを特徴とする。
【0008】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、把持部を通じて親綱用仮設支柱取付台座を保持することができるため、持ち運びが容易で取扱いの良好な親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。また、上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、一対の側板が連結部材によって連結されることから全体の剛性が高められ、また、曲げおよびねじれに対する強度も向上するため、強度および剛性に優れた親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。
【0009】
また、前記親綱用仮設支柱取付台座において、前記連結部材が、前記底板から離間して設けられた棒状の部材として構成してもよい。
【0010】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、棒状の部材からなる連結部材の略全ての領域が把持部を形成することになる。このため、作業者が様々な体勢にあっても容易に把持することのできる親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。
【0011】
さらに、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記連結部材が、単独でまたは前記底板とともに開口(31、32)を形成するように構成してもよい。
【0012】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、開口の形状および大きさを任意に設定することができるため、様々な使用状況に各々適合した好適な形態の把持部を備える親綱用仮設支柱取付台座を適宜提供することができる。
【0013】
また、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記連結部材が、前記底板に略垂直な方向に設けられた板状部(30-6a)と、前記板状部から前記底板の前記一の面に略平行な方向に突出して前記把持部を形成する突出部(30-6b)とを有するように構成してもよい。
【0014】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、突出部によって把持部が形成されることになるため、連結部材に開口を設けることが必須でなくなる。このため、把持部を備えることで持ち運びが容易であり、かつ高強度および高剛性の連結部材を通じて一対の側板が互いに結合されることで、強度および剛性に優れた親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。
【0015】
さらに、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記底板と前記一対の側板のそれぞれとが、機械的に接合するように構成してもよい。
【0016】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、底板と一対の側板とを使用する材料を含めて個別に設計することができる。これにより、様々な使用状況・環境に各々適合した形態の親綱用仮設支柱取付台座を適宜提供することができる。例えば、側板に直接荷重が印加される使用状況が想定される場合には、底板と比較して側板の強度を相対的に高めた形態とすることができる。
【0017】
また、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記底板と前記一対の側板とが、一つの部材が折り曲げられてなるように構成してもよい。
【0018】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、前記底板と前記一対の側板とが一つの部材から形成されることになるため、製造工程数が抑えられる。これにより、生産性に優れ、かつ製造コストが抑えられた親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。
【0019】
さらに、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記連結部材の両端部(30a、30b)が前記一対の側板のそれぞれに機械的に接合するように構成してもよい。
【0020】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、一対の側板と連結部材とを使用する材料を含めて個別に設計することができる。これにより、様々な使用状況・環境に各々適合した形態の親綱用仮設支柱取付台座を適宜提供することができる。例えば、通常の使用状況が想定される場合には、親綱用仮設支柱取付台座の全体剛性を高めるために、連結部材の強度および剛性を特に高めた形態とし、また、側板に直接荷重が印加される使用状況が想定される場合には、側板の強度を特に高めた形態とすることができる。
【0021】
また、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記連結部材を、前記底板および/または前記一対の側板の一方または双方と一体(板材P-2、P-3、P-4)に構成してもよい。
【0022】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、底板、一対の側板および連結部材の4つの部材のうち、少なくとも2つの部材が一体化して親綱用仮設支柱取付台座を構成することができる。これにより、溶接等を通じて互いの部材を機械的接合する工程およびそのための設備を削減することができ、結果として、生産効率の向上および生産設備の簡易化による生産コストの削減が可能になる。
【0023】
さらに、前記綱用仮設支柱取付台座において、前記フック部が、前記一対の側板の少なくとも一方と一体となって形成され、前記フック部における前記他の面に略平行な長手方向に延在する領域(W)を、前記長手方向に垂直な断面における断面係数が、前記底板の前記長手方向に垂直な断面における断面係数より大きくなるように形成してもよい。
【0024】
上記の特徴を備える親綱用仮設支柱取付台座によれば、取付部材と係合するフック部の曲げに対する強度および剛性を高める(曲げに対する耐性を高める)ことができる。これにより、親綱用仮設支柱を通じて作業者の体重が親綱用仮設支柱取付台座に印加し、フック部を形成する部分に曲げモーメントが生じた場合であっても、十分な耐性をもつ親綱用仮設支柱取付台座、具体的には、特許文献1に記載の底板の端部がU字状に曲げられた先行技術に係る親綱用仮設支柱取付台座よりも高い強度および剛性をもつ親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。
【0025】
また、上記の課題を解決するための本発明に係る親綱用仮設支柱取付台座の製造方法は、取付部材(100)の上面に当接する底板(10)と、前記底板の一の面の側に互いに離間して立設された一対の側板(20A、20B)と、前記一対の側板を連結する連結部材(30)とから少なくとも構成される親綱用仮設支柱取付台座(1)の製造方法であって、起立する前記一対の側板のそれぞれに前記連結部材を機械的に接合することで側板アセンブリ(25)を形成する工程と、前記側板アセンブリを構成する前記一対の側板のそれぞれを前記底板に機械的に結合する工程とを含むことを特徴とする。
【0026】
上記親綱用仮設支柱取付台座の製造方法によれば、底板に一対の側板を機械的に接合する際に、例えば、一対の側板の双方が底板に対して略垂直となるように、治具等を用いてこれら部材を位置決めする装置および工程が不要となる。これにより、簡易な設備を用いて生産性に優れた親綱用仮設支柱取付台座の製造方法を提供することができる。
【0027】
なお、上記の説明において、課題を解決するための手段の構成要素と後述する実施形態の構成要素とを対応付けるために、当該手段の構成要素の後に対応する実施形態の構成要素および符号の少なくとも一方を括弧を付して記している。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、持ち運びを容易にすることで取扱いが良好な親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。また、生産性に優れた親綱用仮設支柱取付台座およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座を用いて取付部材に親綱用仮設支柱を取付けた状態を示す概念図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座を用いて取付部材に取付けられた親綱用仮設支柱の使用態様を示す概念図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座を用いて取付部材に親綱用仮設支柱を取付けた状態を示す概念図の部分拡大図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の斜視図である。
図5図5(a)は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の側面図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の正面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の製造工順を示す図であって、(a)は互いが接合される前の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(b)は互いに接合された後の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(c)は互いが接合される前の底板と一対の側板および連結部材とを示す斜視図、(d)は製作された親綱用仮設支柱取付台座を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の他の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の斜視図である。
図8図8は、本発明の他の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の製造工順を示す図であって、(a)は互いが接合される前の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(b)は互いに接合された後の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(c)は互いが接合される前の底板と一対の側板および連結部材とを示す斜視図、(d)は製作された親綱用仮設支柱取付台座を示す斜視図である。
図9図9は、本発明の他の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の斜視図である。
図10図10は、本発明の他の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の製造工順を示す図であって、(a)は互いが接合される前の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(b)は互いに接合された後の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(c)は互いが接合される前の底板と一対の側板および連結部材とを示す斜視図、(d)は製作された親綱用仮設支柱取付台座を示す斜視図である。
図11図11は、本発明の他の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の斜視図である。
図12図12は、本発明の他の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の製造工順を示す図であって、(a)は互いが接合される前の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(b)は互いに接合された後の一対の側板と連結部材とを示す斜視図、(c)は互いが接合される前の底板と一対の側板および連結部材とを示す斜視図、(d)は製作された親綱用仮設支柱取付台座を示す斜視図である。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の変形例を示した斜視図である。
図14図14は、本発明の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座の変形例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好ましい実施の形態である第1の実施の形態ないし第4の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1ないし親綱用仮設支柱取付台座1-4を、図1ないし図12に基づいて説明する。なお、各実施の形態における取付部材100は、建造物の構造部材としてのH形鋼を想定しているが、実際の使用においては、H形鋼に限定されるわけではなく、これ以外の鋼材、例えば、I形鋼および溝形鋼であってもよく、また、足場として用いられる各種部材であってよい。また、各実施の形態において共通する構成要素については、同一の符号を付するとともに繰り返しの説明を割愛する。さらに、説明文中の前後方向(奥行方向)、上下方向(高さ方向)および左右方向(幅方向)は、それぞれ各図中のX軸方向(+Xが前方で‐Xが後方)、Y軸方向(+Yが右側方で‐Yが左側方)およびZ軸方向(+Zが上方で‐Zが下方)として定義されるものとする。これにより、例えば図1において、親綱用仮設支柱取付台座1が載置される取付部材100の面が上方の面として定義され、取付部材100が伸長する方向が左右方向(幅方向)として定義され、取付部材100に親綱用仮設支柱200が取り付く側が後方として定義される。なお、各図は概念図であって、実際の親綱用仮設支柱取付台座を必ずしも示すものではない。
【0031】
≪第1の実施の形態≫
本発明の第1の実施形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1を、使用態様を含めて図1ないし図6に基づいて説明する。
【0032】
〔親綱用仮設支柱取付台座1の使用態様〕
はじめに、親綱用仮設支柱取付台座1の使用態様を、親綱用仮設支柱200の使用態様を交えながら、図1ないし図3に基づいて説明する。親綱用仮設支柱取付台座1は、図1および図3に示すように、建造物の構造部材であるH形鋼等の取付部材100へ親綱用仮設支柱200を取付ける際、取付部材100と親綱用仮設支柱200との間、より具体的には、取付部材100の上部を形成するフランジ110の上面(フランジ上面110a)と親綱用仮設支柱200が備える押しボルト210との間に介在させて使用される。ここで、親綱用仮設支柱200は、図3に示すように、押しボルト210と協働してクランプ機構を構成する下顎部220を備えており、これら押しボルト210と下顎部220とによって、親綱用仮設支柱取付台座1(より具体的には、親綱用仮設支柱取付台座1が備える底板10)と取付部材100(より具体的には、取付部材100の上部を形成するフランジ110)とがクランプされるように構成されている。
【0033】
親綱用仮設支柱200は、図2に示すように、取付部材100へ所定の間隔を隔て複数本設置される。親綱Rは、親綱連結部230を通じてそれぞれの親綱用仮設支柱200に接続され、これにより、所望の高さに所定の張力をともなって高所作業者Mの外側に張り巡らされる。親綱Rには、例えば、高所作業者Mが装着する墜落制止用器具(安全帯)と連結するランヤード、ロープ、ワイヤまたはチェーン等の紐状部材が摺動可能に接続される。
【0034】
ここで、取付部材100のフランジ110の幅寸法が小さい場合には、押しボルト210の下部211の一部がフランジ110の後端部110bよりも後方(-X方向)へオフセットすることになり、結果として、押しボルト210がフランジ110に片当たりすることになる。親綱用仮設支柱取付台座1は、背景技術のところでも述べたように、このような片当たり状態を是正するために使用される部材であって、フランジ110と押しボルト210との間に介挿されることで、図3に示すように、押しボルト210の下部211全体と当接する面(後述する底板上面10a)を提供する。
【0035】
〔親綱用仮設支柱取付台座1の構成〕
つづいて、親綱用仮設支柱取付台座1の構成を、図4および図5に基づいて説明する。親綱用仮設支柱取付台座1は、図4に示すように、底板10と、一対の側板20A、20Bと、連結部材30とから主に構成されている。また、本実施の形態は、好ましい形態として、補強部15およびスペーサ40をさらに備える。
【0036】
[底板10]
底板10は、例えば、平面視略矩形状、より具体的には、略正方形を呈した部材であって、熱間圧延された薄板状の炭素鋼板等からなる。底板10の一の面である上面(以下、「底板上面10a」と称する。)は、押しボルト210の下部211との当接面を形成し、底板10の他の面である下面(以下、「底板下面10b」と称する。)は、取付部材100のフランジ110、より具体的には、フランジ上面110aとの当接面を形成する。ここで、底板10の前後方向の寸法は、取付部材100の前後方向の寸法(フランジ110の幅寸法に相当)よりも大きくなるように設定される。
【0037】
底板上面10aは、全体が平坦面として形成されており、親綱用仮設支柱200を設置するときは、この平坦面を介して押しボルト210の下部211の全体と当接する。なお、底板上面10aの形態は、平坦面に限定されるわけではない。例えば、押しボルト210の下部211と当接する部分のみを平坦面として形成し、その他の部分を曲げ剛性を高めるのに好適な形状、例えば、リブとして機能する凹凸を伴う形状としてもよいし、押しボルト210の下部211と相補的な形状の凹部を伴う形態としてもよい。
【0038】
また、本実施の形態では、底板10の後方に、底板10の曲げ剛性を高めるための補強部15を備える。この補強部15は、平面視略矩形状の底板10の後縁端を形成する一辺から全幅にわたって上方へと突出するように、底板10と一体的に成形された薄板状の部材を上記一辺に沿って略垂直に上方へ折り曲げることで形成される。この補強部15の左右両端部15a、15bは、後述する一対の側板20A、20Bの後端部22Ab、22Bbと、例えば溶接によって機械的に接合する(図6(c)を併せて参照)。なお、補強部15の形態は、底板10の曲げ剛性を高めるのに好適な形態であれば特定のものに限定されない。例えば、底板10の幅方向に延在する上記一辺の一部から上方に突設された補強部15を形成してもよい。また、底板10と別体の部材からなり、溶接等によって底板10と機械的に接合してもよい。
【0039】
[一対の側板20A、20B]
一対の側板20A、20Bは、互いが略同一形状を呈しており、例えば、底板10と同じく熱間圧延された薄板状の炭素鋼板からいずれも形成されている。一対の側板20A、20Bは、連結部材30と接合する連結部21A、21Bと、これら連結部21A、21Bの後方に延在し、底板10と接合することで親綱用仮設支柱取付台座1の曲げ剛性を高める側壁部22A、22Bと、上記接合側端部と反対側に位置し連結部21A、21Bから底板下面10bに向けて延在するフック部23A、23Bとから主に構成されている。
【0040】
連結部21A、21Bは、連結部材30との接合部24A、24Bを含み、連結部材30との接合領域を確保できる形態(形状および大きさ)、例えば、上端部が側壁部22A、22Bのそれらよりも半円状に上方へ突出した形態(形状および大きさ)を呈している。また、本実施の形態においては、接合部24A、24Bが、連結部材30の両端部30a、30bが挿入される貫通孔24Aa、24Baとして構成されている(図6(a)を併せて参照)。貫通孔24Aa、24Baは、自身に挿入される連結部材30と底板上面10aとの間に所定の大きさの空隙、例えば、人の指を挿入できる程度の大きさの空隙が形成されるように、後述する側壁部22A、22Bの下端部22Aa、22Ba(より具体的には、下端部22Aa、22Baまたは下端部22Aa、22Baの延長線)から所定の距離だけ離間した位置に開口する。また、貫通孔24Aa、24Baは、連結部材30の両端部30a、30bと相補的な形状を呈している。これにより、貫通孔24Aa、24Baは、一対の側板20A、20Bと連結部材30とを溶接等によって機械的に接合する際、一対の側板20A、20Bを自立可能な状態に保持し、かつこれら2つの部材の互いの位置関係を確定する位置決め機能を果たす。なお、接合部24A、24Bを、貫通孔24Aa、24Ba以外の形態として構成してもよい。例えば、接合部24A、24Bを、連結部材30の両端部30a、30bと相補的な形状の凹状部として構成し、または、連結部材30が管材の場合には、開口端として形成される両端部30a、30bに挿入される凸状部として構成してもよい。
【0041】
側壁部22A、22Bは、側面視において前後方向へ伸長する側面視略長方形の部位として形成されており、その下端部22Aa、22Baは、底板10の左右両端部10c、10dと溶接等により機械的に接合し、その後端部22Ab、22Bbは、底板10の補強部15の左右両端部15a、15bと溶接等により機械的に接合する(図6(c)を併せて参照)。底板10に接合された側壁部22A、22Bは、リブとして機能することで、上述したように、親綱用仮設支柱取付台座1の曲げ剛性を高める。
【0042】
フック部23A、23Bは、 連結部21A、21Bの下方に位置し、前方領域23Aa、23Baと下方領域23Ab、23Bbとから構成されている。前方領域23Aa、23Baは、連結部21A、21Bから底板下面10bの側に突出する領域として形成され、下方領域23Ab、23Bbは、この前方領域23Aa、23Baから後端部22Ab、22Bbに向かう方向、すなわち、一対の側板20A、20Bの長手方向へ延在する領域として形成されている。これら前方領域23Aa、23Baと下方領域23Ab、23Bbとは、側壁部22A、22Bの下端部22Aa、22Ba、および/または、連結部21A、21Bの下端部とともに、底板10の下方空間と連通する空隙Wの外縁を形成する(この空隙Wは、特許請求の範囲に記載の「長手方向に延在する領域」に相当する。)。
【0043】
空隙Wは、図5(a)に示すように、取付部材100のフランジ110の前方に位置する前端部110cが挿入される空隙であり、これにより、フック部23A、23Bは、取付部材100に対して親綱用仮設支柱取付台座1を位置決めする機能、特に、前後方向の位置決め機能を果たす。
【0044】
また、フック部23A、23Bは、例えば、高所作業者Mの体重等の荷重が直接的にまたは親綱R通じて間接的に親綱用仮設支柱200へ印加されたときに、親綱用仮設支柱200が親綱用仮設支柱取付台座1とともに取付部材100から外れることを防止する機能を果たす。すなわち、高所作業者Mが親綱用仮設支柱200に寄りかかる等することで過大な荷重が親綱用仮設支柱200を通じて親綱用仮設支柱取付台座1に印加される事態が生じると、親綱用仮設支柱取付台座1は、図5で示される側面視内において、親綱用仮設支柱200によってクランプされている部分(図5中の後端部110b近傍)を中心に左周りに回転することになる。このとき、下方領域23Ab、23Bbの上部がフランジ110の下面110dに当接することで、親綱用仮設支柱200が親綱用仮設支柱取付台座1とともに取付部材100から外れることを防止する。
【0045】
ここで、上記事態が生じた際にフック部23A、23Bに生じる曲げモーメントへの耐性を高めるためには、下方領域23Ab、23Bbの高さHをできるだけ大きな値とすることが好ましい。具体的には、下方領域23Ab、23Bbを前方領域23Aa、23Baに支持された片持ち梁に近似できるとした場合、フック部23A、23Bの長手方向、すなわち、底板10(より具体的には、フランジ上面110aと当接する底板下面10b)と平行に前後方向へ伸長する方向に対して垂直な断面における下方領域23Ab、23Bbの断面係数を大きくすることが好ましい。例えば、特許文献1に記載の先行技術では、底板の先端部分のU字状に折れ曲がった部分がフック部として機能することから、上記下方領域23Ab、23Bbの断面係数の少なくとも1つを底板10の上記断面における断面係数よりも大きくすることで、先行技術に係る親綱用仮設支柱取付台座よりも上記曲げモーメントに対する耐性を高めることができる。具体的には、底板10および一対の側板20A、20Bの下方領域23Ab、23Bbにおける断面形状が略長方形であって、底板10の厚みがT10、底板10の幅がW10、一対の側板20A、20Bの厚みがT20A、T20B(一対の側板20A、20Bの形状が同一である本実施の形態では、T20A=T20B)であるとし、かつ上記過大な荷重の反力を一対の側板20A、20Bの下方領域23Ab、23Bbが等しく受けるとした場合、T20A×H2 =T20B×H2 > W×T102/2の関係が成り立つように高さHを設定するとよい。なお、上記過大な荷重の反力を、例えば、下方領域23Abまたは下方領域23Bbのみが受けると想定され得る場合には、少なくとも、T20A×H2 > W×T102およびT20B×H2 > W×T102 のいずれか1つの関係が成り立つように、下方領域23Ab、23Bbの少なくとも1つの高さHを設定するとよい。また、上記近似の形態において下方領域23Ab、23Bbの後端部αに荷重が印加するとした場合、最大曲げモーメントは、前方領域23Aa、23Baとの境界部分に生じる。このため、少なくとも当該境界部分の高さHを、上記方法で設定することがより好ましい。
【0046】
[連結部材30]
連結部材30は、一対の側板20A、20Bを連結する部材であって、例えば、炭素鋼からなる中実の丸棒部材または管状部材から形成されている。連結部材30は、上述したように、その両端部30a、30bが一対の側板20A、20Bの連結部21A、21Bに各々開口する貫通孔24Aa、24Baにそれぞれ挿入され、当該部分で溶接等により機械的に接合される。ここで、貫通孔24Aa、24Baは、上述したように、自身に挿入される連結部材30と底板上面10aとの間に、例えば人の指が挿入できる程度の大きさの空間が形成される位置に開口している。このため、連結部材30の少なくとも一部は、作業者によって把持される把持部Sを形成する。なお、把持部Sをなすのに好適な部分、例えば、連結部材30の中央部表面を、面取り加工等を施すことで底板上面10aと対向する平坦面として形成してもよい。また、連結部材30の表面全体または把持部Sをなすのに好適な部分に滑り止め用の溝等を設けてもよい。
【0047】
このように、連結部材30は、単独で自立することが困難な薄板状の側板20Aおよび側板20Bとともに、自立可能な側板アセンブリ25を形成する(図6(b)を併せて参照)。これにより、一対の側板20A、20Bは、それぞれが略垂直に起立しかつ互いの位置関係が確定された状態で連結することになる。また、連結部材30は、側板アセンブリ25を介して底板10と接合することで、親綱用仮設支柱取付台座1の曲げ剛性を高める機能を有する。
【0048】
[スペーサ40]
スペーサ40は、底板下面10bの補強部15が形成されている端部に接合される部材であって、例えば、炭素鋼からなる角柱部材から形成されており、長さは、例えば、底板下面10bの幅と略同じであり、高さ(厚み)は、例えば、取付部材100のフランジ110の厚みと同等である。スペーサ40は、上述したように、任意に設けられる部材であるが、以下に述べる機能を果たすことから、親綱用仮設支柱取付台座1にとって有用な部材である。
【0049】
すなわち、スペーサ40は、図3に示すように、取付部材100の上面を形成するフランジ110の後端部110bよりも後方(-X方向)へオフセットすることになる親綱用仮設支柱取付台座1の底板10の下方にあって、底板10と親綱用仮設支柱200の下顎部220との間に介在するように構成されている。これにより、スペーサ40は、親綱用仮設支柱取付台座1が取付部材100とともに押しボルト210と下顎部220とによってクランプされる際、幅寸法の小さな取付部材100を補うように底板10と下顎部220とに挟着して押しボルト210の軸力の一部を受ける部位として機能する。これにより、曲げモーメントの発生原因となる入力(片当たりに起因した偏入力)を親綱用仮設支柱取付台座1が受ける事態を回避することができる。また、スペーサ40は、一対の側板20A、20Bの一部を構成するフック部23A、23Bと協働して、フランジ110の上面に載置される親綱用仮設支柱取付台座1の位置決め機能を果たす。
【0050】
〔親綱用仮設支柱取付台座1の製作工順〕
つづいて、上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1の製作工順を図6に基づいて説明する。はじめに、略垂直に起立する一対の側板20A、20Bと左右へ伸長する連結部材30とを、図6(a)、(b)に示すように、例えば溶接により機械的に接合する。このとき、連結部材30の両端部30a、30bを、上述したように、一対の側板20A、20Bの連結部21A、21Bに開口する貫通孔24Aa、24Baに挿入して互いを仮止めする。ここで、貫通孔24Aa、24Baは、上述したように、連結部材30の両端部30a、30bと相補的な形状を呈しているため、単独で自立することが困難な薄板状の側板20Aおよび側板20Bは、当該仮止めにより自立可能な程度に安定した状態で略垂直に起立することになる。この仮止めした状態で、連結部材30の両端部30a、30bと貫通孔24Aa、24Baの周縁部とを溶接する。これにより、図6(b)に示すような、略垂直に起立した一対の側板20A、20Bとこれらを連結する連結部材30とからなる側板アセンブリ25が製作される。
【0051】
つぎに、製作した側板アセンブリ25を、図6(c)に示すように、溶接等により底板10へ機械的に接合する。具体的には、側板アセンブリ25を構成する一対の側板20A、20Bの下端部22Aa、22Baと、これと対向する底板10の左右両端部10c、10dとを当接させて溶接する。ここで、本実施の形態では、一対の側板20A、20Bの互いに対向する内向き面22Ac、22Bcが、底板10の全幅に略等しい距離だけ離間するように側板アセンブリ25が製作されている。このため、底板10と一対の側板20A、20Bとは、左右両端部10c、10dにおける左右端縁10ca、10daと下端部22Aa、22Baにおける内向き面22Ac、22Bcとを当接させた状態で互いが溶接される。
【0052】
また、補強部15が底板10の全幅にわたって形成された本実施の形態においては、補強部15の左右両端部15a、15bと一対の側板20A、20Bの後端部22Ab、22Bbとが接することになる。これら端部は、溶接により互いが機械的に接合される。さらに、スペーサ40を備える本実施の形態では、底板下面10bにスペーサ40が溶接または接着材等を用いて機械的に接合されることになる。当該接合は、側板アセンブリ25との接合前に行ってもよいし、側板アセンブリ25との接合後に行ってもよい。
【0053】
以上の工順を経て、底板10と、底板上面10aに互いに離間して立設された一対の側板20A、20Bと、一対の側板20A、20Bを連結する連結部材30とから主に構成され、かつ連結部材30によって把持部Sが形成され、さらに、好まし形態として補強部15およびスペーサ40を備える親綱用仮設支柱取付台座1が製作される(図6(d)参照)。
【0054】
なお、底板10と側板アセンブリ25との機械的接合の形態に関し、本実施の形態では、底板10が一対の側板20A、20Bによって左右から挟み込まれるようにして機械的に接合されることになるが、この形態に限定されない。例えば、一対の側板20A、20Bにおける内向き面22Ac、22Bcの間隔を底板10の全幅よりも小さくなるように側板アセンブリ25を製作し、一対の側板20A、20Bの下端部22Aa、22Baの下面と底板上面10aとを当接させた状態で互いが溶接されるように構成してもよい。上記間隔は、押しボルト210との干渉に配慮した上で任意に設定してよい。例えば、図1で示されるように、親綱用仮設支柱200が2つの押しボルト210を使用してクランプ機構を構成する場合、これら2つの押しボルト210の間に一対の側板20A、20Bが配設されるように上記間隔を設定してもよい。
【0055】
〔親綱用仮設支柱取付台座1の効果〕
上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1によれば、連結部材30の少なくとも一部が把持部Sを形成することになる。このため、持ち運びが容易で取扱いが良好な親綱用仮設支柱取付台座1を提供することができる。
【0056】
また、上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1によれば、一対の側板20A、20Bがリブとして機能することで、親綱用仮設支柱取付台座1の曲げ剛性が高められ、さらに、これら一対の側板20A、20Bが連結部材30によって連結されることで、上記曲げ剛性がより好適に高められるといった効果がもたらされる。ここで、連結部材30が側壁部22A、22Bの前方、すなわち、一対の側板20A、20Bの前方に配設された親綱用仮設支柱取付台座1においては、曲げ荷重に対し、前方が当該連結部材30によって補強され、左右側方が一対の側板20A、20Bによって補強されることになる。さらに、後方に補強部15を備えることで、4方(前後左右)が曲げに対して補強されることになる。これにより、全体の曲げ剛性が優れた親綱用仮設支柱取付台座1を提供できるといった好ましい効果がもたらされる。さらに、上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1によれば、底板10と一対の側板20A、20Bと連結部材30とが別体であることから、用いる材料や形状等に関する設計の自由度が高まり、それぞれの部材を使用状況・環境に各々適合した最良の形態とすることができる。
【0057】
さらに、上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1によれば、その製造工程において、側板アセンブリ25を予め製作することで、底板10と一対の側板20A、20Bとを機械的に接合する際、一対の側板20A、20Bを所望の姿勢で保持するための治具等を用いなくとも互いを高い精度で接合することができるようになる。これにより、生産設備が簡易化でき、かつ生産効率が高められるといった望ましい効果がもたらされる。
【0058】
加えて、スペーサ40を備える本実施の形態によれば、スペーサ40が果たす上記機能によって、親綱用仮設支柱取付台座1に曲げモーメントが生じる事態が好適に抑えられる。この結果、衝撃荷重等に対する高い耐性をもつ親綱用仮設支柱取付台座1を提供することができる。また、スペーサ40がもつ位置決め機能により、親綱用仮設支柱取付台座1を取付部材100に対して正確な位置へ容易に取る付けることが可能になる。
【0059】
さらに、フック部の23A、23Bの下方領域23Ab、23Bbの少なくとも1つの高さHを上述した方法にしたがって設定することにより、先行技術に比べて曲げモーメントに対する耐性に優れた親綱用仮設支柱取付台座1を提供することができる。
【0060】
≪第2の実施の形態≫
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1-2を、図7および図8に基づいて説明する。親綱用仮設支柱取付台座1-2は、図7に示すように、底板10-2と、一対の側板20A-2、20B-2と、連結部材30とから主に構成され、好ましい形態として、補強部15-2およびスペーサ40を備える。ここで、親綱用仮設支柱取付台座1-2の外観形状は、第1の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1のそれと略同一である。すなわち、親綱用仮設支柱取付台座1と異なる符号で示した底板10-2および一対の側板20A-2、20B-2は、その基本形状が底板10および一対の側板20A、20Bと同一であり、ただ、図8(a)に示すように、互いが一体となった1枚の板材P-2から構成されている点でこれら部材と異なる。この相違点が、第1の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1と異なる点であり、かつ親綱用仮設支柱取付台座1-2の特徴である。以下、板材P-2の形態、および板材P-2から親綱用仮設支柱取付台座1-2を製作する工順について説明する。
【0061】
[板材P-2]
板材P-2は、図8(a)に示すように、中央に位置する底板領域S10-2と、底板領域S10-2の後方に位置する補強領域S15-2と、底板領域S10-2の左右側方に位置する側板領域S20A-2、S20B-2とに区画された薄板状の部材であって、例えば、熱間圧延された薄板状の炭素鋼板から形成されている。
【0062】
底板領域S10-2は、親綱用仮設支柱取付台座1-2が備える底板10-2となる領域であって、後方縁を形成する辺L1と左右側方縁を形成する辺L2、L3と板材P-2の周縁を形成する前方端縁によって平面視略正方形の領域として画成され、辺L1を境界として補強領域S15-2と連接し、辺L2、L3を境界として側板領域S20A-2、S20B-2と連接している。
【0063】
補強領域S15-2は、親綱用仮設支柱取付台座1-2が備える補強部15-2となる領域であって、底板領域S10-2の幅と略同等の幅をもつ平面視略長方形を呈した領域として画成されている。
【0064】
側板領域S20A-2、S20B-2は、親綱用仮設支柱取付台座1-2が備える一対の側板20A-2、20B-2となる領域であって、その形状は、親綱用仮設支柱取付台座1における一対の側板20A、20Bを水平面(X-Y平面)上に展開した形状、より具体的には、一対の側板20A、20Bのそれぞれの上端部が相手から離れるように水平面上に展開した形状を呈している。すなわち、側板領域S20A-2、S20B-2は、平面視略半円状の外周縁をもつ連結部領域S21A-2、S21B-2(連結部21A-2、21B-2となる領域)と、連結部領域S21A-2、S21B-2から後方に向かって延在する平面視略長方形の側壁領域S22A-2、S22B-2(側壁部22A-2、22B-2となる領域)と、連結部領域S21A-2、S21B-2の内側(板材P-2の中心側)にあって板材P-2の中心に向かって延在する領域と後方へ向かって延在する領域とからなる平面視略L字状のフック領域S23A-2、S23B-2(フック部23A-2、23B-2となる領域)とから形成されている。
【0065】
連結部領域S21A-2、S21B-2には、接合部24A-2、24B-2としての貫通孔24Aa-2、24Ba-2が開口し、この貫通孔24Aa-2、24Ba-2と辺L2、L3との垂直距離(貫通孔24Aa-2、24Ba-2の中心から辺L2、L3または辺L2、L3の延長線におろした垂線の長さ)は、第1の実施の形態における貫通孔24Aa、24Baと下端部22Aa、22Baとの垂直距離(貫通孔24Aa、24Baの中心から下端部22Aa、22Baまたは下端部22Aa、22Baの延長線におろした垂線の長さ)と略同一である。
【0066】
また、フック領域S23A-2、S23B-2は、後述する「親綱用仮設支柱取付台座1-2の製作工順」を経て前方領域23Aa、23Baおよび下方領域23Ab、23Bbと同一の形態をもつフック部23A-2、23B-2となるように、その外周縁が形成されている。
【0067】
〔親綱用仮設支柱取付台座1-2の製作工順〕
上記構成の板材P-2は、以下の工順を経て親綱用仮設支柱取付台座1-2となる。まず、補強領域S15-2および側板領域S20A-2、S20B-2が底板領域S10-2に対して上方へ略垂直に起立するように、これら領域を辺L1、L2およびL3に沿って折り曲げる。これにより、板材P-2は、図8(b)に示すように、底板領域S10-2により底板10-2が形成され、補強領域S15-2により補強部15-2が形成され、側板領域S20A-2、S20B-2により一対の側板20A-2、20B-2が形成された立体形状の中間部材Q-2となる。このとき、側板領域S20A-2、S20B-2における連結部領域S21A-2、S21B-2、側壁領域S22A-2、S22B-2およびフック領域S23A-2、S23B-2は、上述したように、連結部21A-2、21B-2、側壁部22A-2、22B-2およびフック部23A-2、23B-2をそれぞれ形成する。
【0068】
なお、本実施の形態においては、補強部15-2の左右端縁15a-2、15b-2と側板20A-2、20B-2の後端縁22Ab-2、22Bb-2とが接するように構成されており、これら端縁は、溶接により互いが機械的に接合される。
【0069】
つぎに、一対の側板20A-2、20B-2に開口する貫通孔24Aa-2、24Ba-2に連結部材30を挿入し、連結部材30の両端部30a、30bと貫通孔24Aa-2、24Ba-2の周縁部とを溶接により機械的に接合する。さらに、スペーサ40を備える本実施の形態では、底板下面10b-2にスペーサ40が溶接または接着材等を用いて機械的に接合される(以上、図8(c)を参照)。
【0070】
以上の工順を経て、底板10-2と、底板上面10a-2に互いに離間して立設された一対の側板20A-2、20B-2と、一対の側板20A-2、20B-2を連結する連結部材30とから主に構成され、かつ連結部材30によって把持部Sが形成され、さらに、好まし形態として補強部15-2とスペーサ40とを備える親綱用仮設支柱取付台座1-2が製作される(図8(d)参照)。
【0071】
〔親綱用仮設支柱取付台座1-2の効果〕
上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1-2によれば、第1の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1がもたらす効果に加え、以下のような付加的効果がもたらされる。すなわち、底板10-2と一対の側板20A-2、20B-2とが一枚の部材P-2からなることで、これら部分を機械的に接合するために必要となる工程および設備が不要となり、結果として、生産効率の向上(生産リードタイムの短縮)および生産設備の簡易化による生産コストの削減が可能になる。
【0072】
≪第3の実施の形態≫
つづいて、本発明の第3の実施形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1-3を、図9および図10に基づいて説明する。親綱用仮設支柱取付台座1-3は、図9に示すように、底板10と、一対の側板20A-3、20B-3と、連結部材30-3とから主に構成され、好ましい形態として、補強部15およびスペーサ40を備える。親綱用仮設支柱取付台座1-3は、図10(a)に示すように、一対の側板20A-3、20B-3と連結部材30-3とが1枚の板材P-3から構成されており、この点が、上記親綱用仮設支柱取付台座1と相違する。以下、板材P-3の形態と、板材P-3から親綱用仮設支柱取付台座1-3を製作する工順について説明する。
【0073】
[板材P-3]
板材P-3は、左右側方に位置する側板領域S20A-3、S20B-3とこれら2つの領域に連接する連結領域S30-3とに区画された薄板状の部材であって、例えば、板材P-2と同様に、熱間圧延された薄板状の炭素鋼板から形成されている。
【0074】
側板領域S20A-3、S20B-3は、親綱用仮設支柱取付台座1-3が備える一対の側板20A-3、20B-3となる領域であって、前後に伸長する平面視略長方形の側壁領域S22A-3、S22B-3(側壁部22A-3、22B-3となる領域)と、側壁領域S22A-3、S22B-3の内側(板材P-3の中心側)にあって板材P-3の中心へ向かって延在する領域とこの領域から後方へ向かって延在する領域とからなる平面視略L字状のフック領域S23A-3、S23B-3(フック部23A-3、23B-3となる領域)とから形成されている。
【0075】
側壁領域S22A-3、S22B-3の幅は、親綱用仮設支柱取付台座1-3において、底板10と連結部材30-3との間隔の大きさを確定することから、人の指の厚みより大きな寸法とすることが好ましい。
【0076】
また、フック領域S23A-3、S23B-3は、後述する「親綱用仮設支柱取付台座1-3の製作工順」を経て前方領域23Aa、23Baおよび下方領域23Ab、23Bbと同一の形態をもつフック部23A-3、23B-3となるように、その外周縁が形成されている。
【0077】
連結領域S30-3は、親綱用仮設支柱取付台座1-3が備える連結部材30-3となる領域であって、左右側縁が辺L4、L5によって画成された幅方向へ伸長する平面視略長方形の領域であり、辺L4を境界として側板領域S20A-3の前方の部分、より具体的には、側壁領域S22A-3の前方の部分と連接し、辺L5を境界として側板領域S20B-3の前方の部分、より具体的には、側壁領域S22B-3の前方の部分と連接する。なお、連結領域S30-3は、上記形態に限定されるわけではなく、例えば、一部分を把持部Sとして好適な形状とするために、当該一部分を幅狭に(前後寸法を小さく)形成し、または幅広に(前後寸法を大きく)形成してもよい。
【0078】
〔親綱用仮設支柱取付台座1-3の製作工順〕
上記構成の板材P-3は、以下の工順を経て親綱用仮設支柱取付台座1-3となる。まず、側板領域S20A-3、S20B-3をフック領域S23A-3、S23B-3が下方に位置するように、辺L4、L5に沿って板材P-3を略垂直に折り曲げる。これにより、板材P-3は、図10(b)に示すように、側板領域S20A-3、S20B-3が略鉛直方向に起立する一対の側板20A-3、20B-3として形成され、連結領域S30-3が一対の側板20A-3、20B-3を互いの上端部を介して連結する連結部材30-3として形成された立体形状の中間部材Q-3となる。このとき、側板領域S20A-3、S20B-3における側壁領域S22A-2、S22B-2およびフック領域S23A-2、S23B-2は、上述したように、側壁部22A-2、22B-2およびフック部23A-2、23B-2をそれぞれ形成する。
【0079】
つぎに、中間部材Q-3と底板10とを溶接を用いて機械的に接合する。具体的には、一対の側板20A-3、20B-3の下端部22Aa-3、22Ba-3と、これと対向する底板10の左右端部、すなわち、底板10の左右両端部10c、10dとを当接させて溶接する(図10(c)を参照)。ここで、本実施の形態では、一対の側板20A-3、20B-3の互いに対向する内向き面22Ac-3、22Bc-3が、底板10の全幅に略等しい距離だけ離間するように中間部材Q-3が製作されている。このため、底板10と一対の側板20A-3、20B-3とは、左右両端部10c、10dにおける左右端縁10ca、10daと下端部22Aa-3、22Ba-3における内向き面22Ac-3、22Bc-3とを当接させた状態で互いが溶接される。
【0080】
また、補強部15が底板10の全幅にわたって形成されている本実施の形態においては、補強部15の左右両端部15a、15bと一対の側板20A-3、20B-3の後端部22Ab-3、22Bb-3とが接することになり、これら端部は、溶接により互いが機械的に接合される。さらに、スペーサ40を備える本実施の形態では、底板10の下面、すなわち、底板下面10bにスペーサ40が溶接または接着材等を用いて機械的に接合される。当該接合は、中間部材Q-3との接合前に行ってもよいし、中間部材Q-3との接合後に行ってもよい。
【0081】
以上の工順を経て、底板10と、底板上面10aに互いに離間して立設された一対の側板20A-3、20B-3と、この一対の側板20A-3、20B-3の上端部前方を連結する連結部材30-3とから主に構成され、かつ連結部材30-3によって把持部Sが形成され、さらに、好まし形態として補強部15とスペーサ40を備える親綱用仮設支柱取付台座1-3が製作される(図10(d)参照)。
【0082】
〔親綱用仮設支柱取付台座1-3の効果〕
上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1-3によれば、第1の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1がもたらす効果に加え、以下のような付加的効果がもたらされる。すなわち、一対の側板20A-2、20B-2と連結部材30-3とが一枚の部材P-3からなることで、これら部分を機械的に接合するため工程および設備が不要となり、結果として、生産効率の向上(生産リードタイムの短縮)および生産設備の簡易化による生産コストの削減が可能になる。
【0083】
≪第4の実施の形態≫
つぎに、本発明の第4の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1-4を、図11および図12に基づいて説明する。親綱用仮設支柱取付台座1-4は、図11に示すように、底板10-4と、一対の側板20A-4、20B-4と、連結部材30-4とから主に構成されており、好ましい形態として、補強部15-4およびスペーサ40を備える。親綱用仮設支柱取付台座1-4は、図12(a)に示すように、底板10-4と、一対の側板20A-4、20B-4と、連結部材30-4とが1枚の板材P-4から構成され、また、把持部Sとして機能する開口31を備えることを特徴とし、これらの点が、上記親綱用仮設支柱取付台座1と相違する。以下、板材P-4の形態と、板材P-4から親綱用仮設支柱取付台座1-4を製作する工順について説明する。
【0084】
[板材P-4]
板材P-4は、中央に位置する底板領域S10-4と、底板領域S10-4の後方に位置する補強領域S15-4と、底板領域S10-2の左右側方に位置する側板領域S20A-4、S20B-4と、底板領域S10-4の前方に位置する連結領域S30-4とに区画された薄板状の部材であって、例えば、板材P-2、P-3と同様に、熱間圧延された薄板状の炭素鋼板から形成されている。
【0085】
底板領域S10-4は、親綱用仮設支柱取付台座1-4が備える底板10-4となる領域であって、後方縁を形成する辺L6と左右側方縁を形成する辺L7、L8と前方縁を形成する辺L9とによって平面視略正方形の領域として画成され、辺L6を境界として補強領域S15-4と連接し、辺L7、L8を境界として側板領域S20A-4、S20B-4と連接し、辺L9を境界として連結領域S30-4と連接している。
【0086】
補強領域S15-4は、親綱用仮設支柱取付台座1-4が備える補強部15-4となる領域であって、底板領域S10-4の幅と略同等の幅をもつ平面視略長方形を呈した領域として画成されている。
【0087】
側板領域S20A-4、S20B-4は、親綱用仮設支柱取付台座1-4が備える一対の側板20A-4、20B-4となる領域であって、その形状は、第2の実施の形態に係る側板領域S20A-2、S20B-2のそれと貫通孔24Aa-2、24Ba-2が開口していないことを除いて略同一である。すなわち、側板領域S20A-4、S20B-4は、平面視略半円状の外周縁をもつ連結部領域S21A-4、S21B-4(連結部21A-4、21B-4となる領域)と、連結部領域S21A-4、S21B-4の後方に向かって延在する平面視略長方形の側壁領域S22A-4、S22B-4(側壁部22A-4、22B-4となる領域)と、連結部領域S21A-4、S21B-4の内側(板材P-4の中心側)にあって板材P-4の中心に向かって延在する領域と後方へ向かって延在する領域とからなる平面視略L字状のフック領域S23A-4、S23B-4(フック部23A-4、23B-4となる領域)とから形成されている。
【0088】
ここで、連結部領域S21A-4、S21B-4における辺9の延長線上にある部分の幅寸法は、連結領域S30-4の奥行寸法よりも大きいことが好ましい。
【0089】
また、フック領域S23A-4、S24B-4は、後述する「親綱用仮設支柱取付台座1-4の製作工順」を経て前方領域23Aa、23Baおよび下方領域23Ab、23Bbと同一の形態をもつフック部23A-4、23B-4となるように、その外周縁が形成されている。
【0090】
連結領域S30-4は、親綱用仮設支柱取付台座1-4が備える連結部材30-4となる領域であって、底板領域S10-4の全幅と略同寸の幅をもつ平面視略長方形を呈した領域として画成され、中央部に開口31を備える。開口31は、例えば、日との指が挿入できる程度の大きさを有し、その上方周縁部は、例えば、把持部Sを形成する。
【0091】
〔親綱用仮設支柱取付台座1-4の製作工順〕
上記構成の板材P-4は、以下の工順を経て親綱用仮設支柱取付台座1-4となる。まず、補強領域S15-4、および側板領域S20A-4、S20B-4、ならびに領域S30-4が底板領域S10-4に対して上方へ略垂直に起立するように、これら領域を辺L6、L7、L8およびL9に沿って折り曲げる。これにより、板材P-4は、図12(b)に示すように、底板領域S10-4により底板10-4が形成され、補強領域S15-4により補強部15-4が形成され、側板領域S20A-4、S20B-4により一対の側板20A-2、20B-2が形成され、連結領域S30-4により連結部材30-4が形成された立体形状の中間部材Q-4となる。このとき、側板領域S20A-4、S20B-4における連結部領域S21A-4、S21B-4、側壁領域S22A-4、S22B-4およびフック領域S23A-4、S23B-4は、上述したように、連結部21A-4、21B-4、側壁部22A-4、22B-4およびフック部23A-4、23B-4をそれぞれ形成することになる。
【0092】
ここで、連結部材30-4の左右両端部30a―4、30b―4は、一対の側板20A-4、20B-4の内向面、より具体的には、連結部21A-4、21B-4の内向面21Ac-4、21Bc-4に当接するように構成されており、互いが、溶接により機械的に接合される。また、本実施の形態においては、補強部15-4の左右端縁15a-4、15b-4と側板20A-4、20B-4の後端縁22Ab-4、22Bb-4とが互いに接するように構成されており、これら端縁は、溶接により互いが機械的に接合される。
【0093】
つづいて、スペーサ40を備える本実施の形態では、底板下面10b-4にスペーサ40を溶接または接着材等を用いて機械的に接合される(図12(c))。
【0094】
以上の工順を経て、底板10-4と、底板上面10a-4に互いに離間して立設された一対の側板20A-4、20B-2と、一対の側板20A-4、20B-2を連結する連結部材30-4とから主に構成され、かつ連結部材30-4によって把持部Sが形成され、さらに、好まし形態として補強部15およびスペーサ40を備える親綱用仮設支柱取付台座1-4が製作される(図12(d)参照)。
【0095】
〔親綱用仮設支柱取付台座1-4の効果〕
上記構成の親綱用仮設支柱取付台座1-4によれば、第1の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1がもたらす効果に加え、以下のような付加的効果がもたらされる。すなわち、底板10-4と一対の側板20A-4、20B-4と連結部材30-1とが一枚の部材P-4からなることで、これら部分を機械的に接合するため工程および設備が不要となり、結果として、生産効率の向上(生産リードタイムの短縮)および生産設備の簡易化による生産コストの削減が可能になる。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施の形態に関して、第1の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1ないし第4の実施の形態に係る親綱用仮設支柱取付台座1-4ついて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、明細書および図面に直接記載のない構成であっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。さらに、上記の記載および各図に示した実施の形態は、その目的および構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることも可能である。
【0097】
例えば、第4の実施の形態における開口31の形態の変形例として、底板領域と連結領域とに跨るような開口を設け、親綱用仮設支柱取付台座1-4に準じた工順を経ることで、図13に示すように、底板10-5と連結部材30-5とに跨る開口32が形成された親綱用仮設支柱取付台座1-5としてもよい。このような構成の親綱用仮設支柱取付台座1-5によれば、開口面積をより大きくすることができるので、クローブを装着した大きな手(指)での扱いが容易となる。また、腕に通すことのできる程度に大きな開口32とすることもできるので、一度に複数の親綱用仮設支柱取付台座1-5を運ぶことが容易になる。
【0098】
また、第4の実施の形態の連結領域S30-4および連結部材30-4の変形例として、連結部材に開口(31)を設けない例、例えば、図14に示すように、連結部材30-6を板状部30-6aと突出部30-6bとから構成されるように連結領域を画成してもよい。ここで、板状部30-6aは、底板10-4から略垂直に起立する正面視略長方形の部分として形成され、突出部30-6bは、板状部30-6aから後方に向けて底板10-4と略平行に突出する部分として形成される。この突出部30-5bは、指を掛けるのに好適な把持部Sとして機能する。このような連結部材30-6を備える親綱用仮設支柱取付台座1-5によれば、連結部材の強度および剛性を低下させることなく、好適な把持部Sを備えた親綱用仮設支柱取付台座を提供することができる。
【0099】
さらに、親綱用仮設支柱取付台座を構成する各部材および領域の形態(形状および位置関係等)は、それぞれの実施の形態において示された形態(形状および位置関係等)と異なるものとしてよい。例えば、側板の形態に関し、前方に位置する連結部を中央または後方に配置してもよい。
【0100】
また、それぞれの実施の形態において、フック部を底板の前端部に設けてもよいし、一対の側板が備えるフック部を、いずれか一方の側板のみが備えるように構成してもよい。フック部の数が少なく、かつフック部の幅を小さくなることで、取付部材100への取付が容易になり、重量面でも有利となる。フック部の強度については、上述したように、最も強度および剛性が必要となる領域(下方領域23Ab、23Bb)の高さHを所定の値に設定することで、例え1つのフック部のみであっても、所望の強度および剛性(特に、曲げモーメントに対する強度および剛性に対する耐性)を確保することができる。また、フック部がもつ位置決め機能のうち水平面内の位置決め機能については、幅方向へ伸長するスペーサ40を併設することで補うことができる。
【0101】
さらに、一対の側板の間にこれらと同一形状または異なる形状の薄板材を1つまたは複数介在させるようにして親綱用仮設支柱取付台座を構成してもよい。このように構成することで、親綱用仮設支柱取付台座の曲げ剛性を高めることができる。
【0102】
また、それぞれの実施の形態における機械的な接合の形態に関し、溶接は、特定の方式に限定されるわけではなく、隅肉溶接、突合せ溶接およびスポット溶接等、既存の方法を適宜選択することができる。さらに、溶接に代えて、ボルト、リベット、スナップフィット等の既存の機械的接合方法を用いてもよい。ここで、ボルト等による着脱自在な機械的接合方法によれば、消耗した構成部材を部分的に交換することができるため、製品寿命を好適に伸ばすことができる。また、底板、側板および連結部材といった構成部材が、用途に応じて複数の仕様がある場合(例えば、複数の形状がある場合)これら構成部材を任意に組み合わせることができるため、多種の親綱用仮設支柱取付台座を製作することができる。
【0103】
さらに、親綱用仮設支柱取付台座1と取付部材100とが所定の力を伴って密着するような機構または構造を加えてもよい。例えば、親綱用仮設支柱取付台座1の底板10にマグネットが配設された構造としてもよい。この一つの例として、平板状のマグネットが下面に固設されたホルダを、当該ホルダと相補的な形状の切欠き部が設けられた底板10に嵌め込むようにして取付けてもよい。このとき、上記ホルダを、自身に固設されたマグネットの下面と底板10の下面とが面一となる位置に取付けるとよい。これにより、上記ホルダを介してマグネットが配設された底板10の下面(底板下面10b)が、取付部材100の上面(フランジ上面110a)と相補的な形状、すなわち、平坦面として形成され、親綱用仮設支柱取付台座1と取付部材100とが好適な姿勢で密着することになる。なお、上記取付けの態様については、溶接による接合であってもよいし、その他の機械的接合、例えば、ビスを用いた機械的接合であってもよい。また、上記ホルダを用いない他の例として、取付部材100の上面(フランジ上面110a)から離間する凹部を底板10の下面(底板下面10b)に設け、この凹部にマグネットを嵌め込むように構成してもよい。当該凹部は、例えば、平面視においてマグネットの外縁よりも大きな外縁、好ましくはマグネットの外縁と相補的な外縁を有し、また、マグネットの厚み以下の深さ、好ましくはマグネットの厚みと同等の深さを有するように形成される。上記凹部に嵌め込まれたマグネットを、さらにビス等を用いて底板10に固定してもよい。上記凹部は、底板10の下面(底板下面10b)を部分的に窪ませ、もしくは底板10の下面(底板下面10b)に溝または段差を付加すること等によって形成される。
【符号の説明】
【0104】
1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6…親綱用仮設支柱取付台座、10、10-2、10-4、10-5、10-6…底板、10a、10a-2、10a-4…底板上面、10b、10b-2、10b-4…底板下面、15、15-2、15-4…補強部、20A、20B、20A-2、20B-2、20A-3、20B-3、20A―4、20B-4…側板、21A、21B、21A-2、21B-2、21A―4、21B-4…連結部、22A、22B、22A-2、22B-2、22A-3、22B-3、22A―4、22B-4…側壁部、23A、23B、23A-2、23B-2、23A-3、23B-3、23A―4、23B-4…フック部、25…側板アセンブリ、30、30-3、30―4、30―5、30―6…連結部材、30a、30b、30a―4、30b―4…(両)端部、31、32…開口、40…スペーサ、100…取付部材、200…親綱用仮設支柱、210…押しボルト、P-2、P-3、P-4…板材、Q-2、Q-3、Q-4…中間部材、S…把持部、W…空隙、M…高所作業者、R…親綱。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14