(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】刺繍付きシートおよびそれを用いたランドセル
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
A45F3/04 400N
(21)【出願番号】P 2019069277
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503088828
【氏名又は名称】株式会社加藤忠
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-082881(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0211147(US,A1)
【文献】登録実用新案第3149091(JP,U)
【文献】特開平11-011100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00-15/08
A45F 3/00
A45F 3/02
A45F 3/04
A45F 3/12
D05C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、その基材に直に刺繍糸を縫い付けた直刺繍と、その直刺繍と近接して、または一部が直刺繍と重なるようにして前記基材に貼り付けた刺繍体とからなり、
前記刺繍体が、前記基材より薄く柔軟な素地と、その素地に縫い付けた刺繍とからなり、接着剤層によって刺繍体の刺繍が基材に直接貼り付けられている、刺繍付きシート。
【請求項2】
前記直刺繍が複数個、互いに離れて設けられており、
前記刺繍体が複数個の直刺繍の間に、あるいは一つまたは複数個の直刺繍の上に重ねて貼り付けられている請求項
1記載の刺繍付きシート。
【請求項3】
前記直刺繍と刺繍体の刺繍が同じタイプのステッチまたは同じ系統の色で構成されている請求項1
又は2記載の刺繍付きシート。
【請求項4】
箱状の本体と垂れ蓋とからなり、本体または垂れ蓋が請求項1~
3のいずれかに記載の刺繍付きシートを有するランドセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刺繍付きシートおよびそれを用いたランドセルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、衣料品、カーテン、鞄などの被着体に対し、別個に製造した刺繍体を加熱押圧接着することにより、刺繍を施した製品の生産性を向上させる技術が記載されている。刺繍体は、合成樹脂または合成繊維フィルムなどからなる素地と、その素地に設けた刺繍と、裏面に設けた熱接着層および剥離紙層と、表面側に設けた透明の耐熱シート層などからなる。
【0003】
他方、特許文献2には、本体の側面や垂れ蓋に刺繍を施したランドセル(スクールバッグ)が開示されている。また、特許文献3には、再帰反射性の塗料で形成した装飾部と、プレス機で加熱圧着(加圧)した凹凸模様の装飾部とからなる、二種類の装飾を重ねたり組み合わせたりした装飾を設けたランドセルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-310263号公報
【文献】実用新案登録第3149091号公報
【文献】実用新案登録第3198747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の刺繍体は、効率的に量産することが可能である。しかし被着体に対し貼り付けて固定するので、刺繍を被着体に直に施す直刺繍のように被着体への糸の出入りが見えない。また、被着体から浮いて見える。そのため、被着体に貼り付けた刺繍体はアップリケのように見えがちである。特許文献2のランドセルの刺繍は、垂れ蓋などに直に縫い付けた本来の刺繍(直刺繍)であるので、見栄えがよい。しかし、基材が皮革や合成皮革などの場合、これに刺繍糸を密に設けるべく針穴の間隔を狭くすると、基材は針穴に沿って破断しやすくなる。また、長年の使用で刺繍の表面側の上糸が摺損して裏面側の下糸との絡みが維持できず、下糸が抜けて刺繍自体が損傷することがある。
【0006】
特許文献3のランドセルは、2つの物で凹凸模様で立体感を出しているが、刺繍のような装飾性は無い。
【0007】
本発明は刺繍体を利用しながら直刺繍と同様の見栄えを発揮し、かつ、長期の使用でも刺繍の損傷を防止でき、さらに基材の強度の低下を抑制することができる刺繍付きシート、それを用いたランドセルおよび鞄を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の刺繍付きシート10は、基材11と、その基材11に直に刺繍糸12a、12bを縫い付けた直刺繍12と、その直刺繍12と近接して、または一部が直刺繍12と重なるようにして前記基材11に貼り付けた刺繍体13とからなり、前記刺繍体13が、前記基材11より薄く柔軟な素地14と、その素地14に縫い付けた刺繍15とからなり、接着剤層16によって基材11に貼り付けられていることを特徴としている。
【0009】
このような刺繍付きシート10においては、前記直刺繍12が複数個、互いに離れて設けられており、前記刺繍体13が複数個の直刺繍の間に、あるいは一つまたは複数個の直刺繍12の上に貼り付けられているものが好ましい。前記直刺繍12と刺繍体13の刺繍15は、同じタイプのステッチまたは同じ系統の色で構成されていることが好ましい。
【0010】
本発明のランドセル20は、箱状の本体21と垂れ蓋22とからなり、本体21または垂れ蓋22が前記刺繍付きシート10を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
直刺繍は、基材の表面側では上糸だけが現れるので薄く、基材との段差がほとんど無い。また上糸は基材へ1本ずつ出入りするので、基材と一体感がある。そのため、直刺繍が施された基材は豪華で美しい。他方、刺繍体は、素地と上糸と下糸とが重なっているので、刺繍体の表面と基材の表面との間に輪郭線ないし段差が生じる。また、直刺繍のような基材との一体感は演出されない。しかし本発明の刺繍付きシートでは、刺繍体は直刺繍に近接して、あるいは一部が重なって貼り付けられているので、刺繍体の周辺と基材の表面とを区画する輪郭線や段差が直刺繍によって緩和される。さらに直刺繍と混在して全体が直刺繍のように見える。したがって本発明の刺繍付きシ-トは全体が直刺繍でできているかのような豪華で美しい印象が醸し出される。さらに刺繍体は接着層を用いて貼り付けているので、長期間使用しても損傷が防止され、しかも全体を直刺繍とする場合より針穴が少なくなるので、基材の強度が低下しない。さらに別工程で製造する刺繍体を利用しているので、効率的に製造することができる。
【0012】
このような刺繍付きシートにおいて、前記直刺繍が、複数個、互いに離れて設けられていて、前記刺繍体が複数個の直刺繍の間に、あるいは一つまたは複数個の直刺繍の上に貼り付けられている場合は、複数個の直刺繍とそれらの上に貼り付けられている刺繍体の全体が一体の装飾として看取される。そして基材、薄い直刺繍およびいくらか厚い刺繍体とにより立体感が演出されるため、全体として豪華になる。前記直刺繍と刺繍体の刺繍が同じタイプのステッチまたは同じ系統の色で構成されている場合は、直刺繍と刺繍体の刺繍との一体感が一層高くなる。
【0013】
本発明のランドセルは、箱状の本体または垂れ蓋が前述の刺繍付きシートを有するので、装飾効果が高く、高級感を演出することができ、しかも生産効率が高い。さらに刺繍体が厚いので、基材を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aは本発明の刺繍付きシートの一実施形態の刺繍体を貼り付ける前の斜視図、
図1Bは張り付け後の斜視図である。
【
図2】
図2Aは刺繍体を貼り付ける前の刺繍付きシートの概略断面図、
図2Bは刺繍体を取り付けた後の概略断面図である。
【
図3】
図3Aは本発明に関わる直刺繍の一実施形態を示す平面図、
図3Bはその直刺繍に刺繍体を貼り付けた状態を示す平面図である。
【
図4】本発明のランドセルの一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aに示す刺繍付きシート10は、基材11と、その基材11に直に縫い付けられた複数の直刺繍12と、それらの直刺繍12と近接して、また、それらの直刺繍に一部が重なって貼り付けられる刺繍体13とからなる。
図1Aは貼り付け前の状態を示している。基材10は、天然皮革、人工皮革または合成皮革製などの張り性を有するシートが好ましい。鞄やランドセルに用いる場合は、たとえばクラリーノ(株式会社クラレ製の人工皮革の登録商標)などの人工皮革が色の種類が豊富で、針穴の周囲の耐裂け性や糸の張りに対する所定の強度および張り性を有し、蓋体に用いる場合は可撓性を備え、軽量で雨にも強いことから好ましい。
【0016】
基材11に直に縫い付けられている直刺繍12は、複数個所に、互いに離れて設けられている。それらの直刺繍12は、環状に配列して中央にスペースS(
図2A参照)を設けると、直刺繍12をあまり隠すことなく中央のスペースSに刺繍体13を貼り付けることができる(
図1B参照)。それぞれの直刺繍12は基材11に形成される図形など(
図1Aでは葉や茎)であり、
図2Aのように基材11の表面側の上糸12aと裏面側の下糸12bとが絡み合うようにして形成され、基材11に固定されている。このような直刺繍12は、直線や曲線を形成することが可能な刺繍用ミシンなどで形成することができる。
【0017】
上糸12aおよび下糸12bを構成する刺繍糸は、木綿糸などの植物繊維、羊毛や蚕(生糸)などの動物繊維などの天然繊維のほか、化学繊維、合成繊維などの人工繊維を用いることができるが、所定の引っ張り強度や耐候性、耐久性、耐褪色性などが求められる。刺繍糸は単色でもよく、複数の色の刺繍糸を組み合わせて図柄を描くこともできる。同色で濃さを変えていくことにより、グラデーションを表現することもできる。刺繍糸を重ねて縫い付けることにより、立体的に形成することもできる。
【0018】
直刺繍12は、通常は刺繍用ミシンによって形成し、上糸12aと下糸12bが所定の張力で張りをもつように縫い付ける。ただし手縫いで形成することもでき、その場合は1本の糸を上下に往復させて作成する。刺繍糸は、基材11の表裏面では所定長さの直線(線分)の形状を呈し、それらの線分が多数集まって視覚的効果をもたらす。たとえば隣接する刺繍糸同士の隙間を少なくすることで基材11の表面の一部を特定の色で塗りつぶすこともでき、短い線分を繋ぐことで曲線を表現したり、隙間をあけて縫い付けたりすることにより、基材11の色を利用して線画のように形成することもできる。ランドセルの垂れ蓋のように刺繍付きシート10が繰り返し屈曲される場合は、基材11に縫い付けられた直刺繍12は基材11の変形に追従する必要があり、張力に対する耐久性を備えているだけでなく、一旦撓んでも、元の状態に戻ることができる復元力も備えているものが好ましい。
【0019】
前記刺繍体13は、特許文献1に記載されている刺繍体と実質的に同じものを使用することができ、
図2Aに示すように、柔軟な素地14と、その素地14に設けられた刺繍15と、裏面側(後述する刺繍15の下糸15b側)に設けられた熱接着剤層16とからなる。後述するように、熱接着剤層16はなくてもよい。刺繍15は、素地14の上側の上糸15aと下側の下糸15bとからなる。素地14は、ヒートカットが可能で、しかも熱接着の温度では溶融しない熱可塑性樹脂製の織布あるいは熱可塑性の合成繊維からなる織布、合成樹脂製フィルムが好ましい。ヒートカット性を有する場合は、大きい素地14に多数形成した刺繍体13を、輪郭に沿って容易に個別に切り離す(カッティング)ことができる。ただし型抜きなど、他の切断方法を採用する場合はヒートカット性がなくてもよい。カッティングする場合は、上面に耐熱性のフィルムを貼り付けて、切り離し後にバラバラにならないようにするのが好ましい。
【0020】
刺繍体13は最終的には基材11に貼り付けられるため、素地14には基材11ほどの強度、耐裂け性や糸の張りに対する強度は不要である。また、熱接着する場合に素地14が溶融して基材11と一体化するものであってもよい。ただし製造途中では、刺繍体13単独で取り扱われるため、所定の強度が求められる。他方、素地14は、基材11が繰り返し湾曲したり屈曲したりする場合にそれに追従して変形する必要があり、基材以上の柔軟性や伸縮性が必要である。そのため、綿や麻などの植物繊維、ウールなどの動物繊維、合成繊維からなる糸を織ったメッシュ生地、織物地、織布などが好ましい。
【0021】
素地14に設けられる刺繍15は、前述の基材11に直に縫いつけられる直刺繍12と同じように、上糸15aと下糸15bとが使用され、上糸15a、下糸15bには所定の引っ張り強度、耐摩耗性、耐候性が必要である。熱接着剤層16は、加熱により溶融して素地14と基材11の隙間に流れ込み、冷却後に両者を一体に接合する接着剤であり、ホットメルト系接着剤などが好適である。このような熱接着剤層の材料としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンなどを採用しうる。
【0022】
上記の刺繍付きシート10を製造するには、基材11と刺繍糸(上糸12a、下糸12b)とを準備し、基材11に直に刺繍糸(上糸12a、下糸12b)を縫い付けて直刺繍12を形成する(
図1A、
図3A参照)。これとは別個に、素地14に刺繍糸(上糸15a、下糸15b)を縫い付けて刺繍15を設け、刺繍15の下面に熱接着剤層16を設けることにより、刺繍体13を製造する。ついで刺繍体13を、直刺繍12を施した基材11の上に載置し、刺繍体13の上面から熱プレスし、熱接着剤層16を溶融して刺繍体13を基材11に接着する。それにより直刺繍12と刺繍体13が一体となって結合刺繍Uとなり、刺繍付きシート10が得られる(
図1B、
図3B参照)。なお、熱接着剤層6は、基材11に熱接着した後は、刺繍15と基材11に浸透し、実質的に膜として残らない。
【0023】
得られた刺繍付きシート10は、複数個所の直刺繍12が刺繍体13の周囲を取り囲み、あるいは外側に近接、また、一部が刺繍体の下に重なっているので、この直刺繍12と刺繍体13とからなる結合刺繍Uは一体的に見える。そのため刺繍体13の刺繍15も直刺繍のように見える。また、直刺繍12では、基材11の表面には上糸12aがあるだけなので薄い。他方、刺繍体13は素地14と上糸15aと下糸15bとが重なっているので厚い。そのため、直刺繍12と刺繍体13による上記の結合刺繍Uは凹凸および奥行きがあり、立体的で豪華な外観を呈している。さらに刺繍体13は貼り付けるので、基材11に設ける針穴の数は少なくてよい。そのため、強度が高く、雨が針穴に入って内部に染みこむとことも少なくなる。
【0024】
なお、熱接着剤層16は、あらかじめ塗布し、乾燥させて形成しておくこともでき、貼り付ける直前に液状の接着剤を塗布することもできる。乾燥させて形成する場合は、必要に応じて剥離紙を貼り付けておくようにしてもよい。所定の耐久性や接着強度を満たす限り、熱接着剤層16に代えて、加圧により接着する接着剤や粘着糊などを採用することもできる。接着時に接着剤を塗布する場合は、刺繍体13に熱接着剤層16を設ける必要はない。接着剤は基材11側に塗布してもよい。
【0025】
また、
図1Aで示すように、複数個所に設けられた直刺繍12同士は、刺繍糸を途切れさせずに連続させてもよい。この場合、複数の直刺繍12の間には渡りの上糸12aが存在するが(
図3A参照)、それらの上糸12aは
図1B、
図3Bに示すように、刺繍体13を貼り付けることにより隠すことができる。ただし基材11の裏面では渡りの下糸12b(図示外)や、直刺繍12の裏面側の下糸12bが外出しているので、必要に応じて裏面の全体に裏地を重ねて隠すのが好ましい。
【0026】
前記直刺繍12と刺繍体13の刺繍15の隣接する部分のステッチを同一にすると、刺繍体13は直刺繍12との一体性が高まるので好ましい。たとえば
図3Aに示すように、直刺繍12の葉18を、上糸12aを密に並べて所定の面を埋めるサテンステッチとする場合は、
図3Bに示すように、その葉18と隣接する刺繍体13の花19もサテンステッチにすると、両方の刺繍が一体的ないし連続的に形成されているように見える。また、直刺繍12の葉18aの輪郭線をバックステッチにする場合は、刺繍体13の刺繍15の花19aの輪郭線もバックステッチにする。
【0027】
さらに直刺繍12の糸の番手(太さ)と刺繍体13の刺繍15の糸の番手を合わせておくのが好ましい。直刺繍12の糸の色(色目、色番)と刺繍体13の刺繍15の色(色目、色番)を同一または同系統にしてもよい。それらの場合は直刺繍12と刺繍体13との一体性が一層増大し、全体があたかも直刺繍で構成されているように看取される。特に
図3A、
図3Bに示すように直刺繍の蕾19bを紫色とする場合、その蕾と近接する刺繍体13の花19aの色を紫色、または紫色の濃淡色とすることにより、刺繍体13は直刺繍12と連続的に形成されているかのように看取される。
【0028】
前記のとおり、本発明の刺繍付きシートは、直刺繍と刺繍体による結合刺繍Uによりまるで直刺繍が施されているかのような外観を呈している。また、刺繍体は長年の使用で刺繍の表面側の上糸が摺損しても、裏面側の下糸は不外出であり、また、基材11に接着しているので、上糸と下糸との絡みが維持可能になっている。したがって、刺繍体は下糸が抜けて刺繍が損なわれるのを防止する。また、直刺繍よりも厚みがあり、突出しているので、周辺の直刺繍の表面に物が接触するのを防止可能にしているので、直刺繍を保護する。
【0029】
図4は本発明の刺繍付きシート10を備えたランドセル20を示している。ランドセル20は、箱状の本体21と、垂れ蓋22とを備えており、垂れ蓋22の表皮22aに前記刺繍付きシート10を使用している。すなわち、この実施形態では基材である表皮22aに直刺繍12と刺繍体13とを設けている。垂れ蓋22は表皮22aの裏面側に裏地22bを設けることにより、裏面側の下糸12bを裏地22bによって隠すことができる。符号23は背負いベルトである。
【0030】
刺繍体13は複数の直刺繍12の中央に配置され、装飾のメインとなる。そのため女児向けにハートや星、花などの装飾、男児用には乗り物やロボットなど、さらに両者に対し、その時のはやりのデザインのもの、たとえば漫画やアニメのキャラクターをモチーフにした装飾が好ましく用いられる。流行のデザインの場合、短期間で陳腐化することがあるが、刺繍付きシート10を用いたランドセル20では、直刺繍12は変更せず、刺繍体13だけを流行のものに対応させればよい。そうすることにより在庫管理が容易になる。さらに使用する児童のデザイン変更の要望にも応えることができる。なお、刺繍体13は表皮22aの表面に貼るので、デザインの決定を最後にすることができる。また、交換することも可能である。
【0031】
なお、ランドセル20の垂れ蓋22に直刺繍12と刺繍体13を設けるほか、本体21の側襠24などに直刺繍12と刺繍体13を設けてもよい。
【0032】
さらにランドセル22以外の天然または人工の皮革製や布製の鞄類(バッグ、袋物を含む)の本体や蓋体に直刺繍と刺繍体を設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 刺繍付きシート
11 基材
12 直刺繍
12a 上糸
12b 下糸
13 刺繍体
14 素地
15 (素地に縫い付けた)刺繍
15a 上糸
15b 下糸
16 熱接着剤層
18 葉
19 花
18a 葉
19a 花
19b 蕾
20 ランドセル
21 本体
22 垂れ蓋
22a 表皮
22b 裏地
23 背負いベルト
24 襠部