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特許7401888情報提供方法、プログラム、端末装置、及び情報提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】情報提供方法、プログラム、端末装置、及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20231213BHJP
   G16H 40/20 20180101ALI20231213BHJP
【FI】
G16H10/60
G16H40/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019152114
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021033569
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】510192802
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立国際医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新内 毅
(72)【発明者】
【氏名】川村 浩二
(72)【発明者】
【氏名】美代 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅通
(72)【発明者】
【氏名】石割 大範
(72)【発明者】
【氏名】濱 裕美子
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067033(JP,A)
【文献】特開2010-079463(JP,A)
【文献】特表2017-526033(JP,A)
【文献】特表2007-518479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する情報提供方法であって、
前記共有情報を提供する端末装置が、
前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受信処理と、
前記受信処理で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報を無線通信で取得する取得処理と、
前記受信処理で、前記人物に対応する第2の領域で出力される第2の信号を受信したときに、前記無線通信で前記管理サーバと通信できない場合、前記取得処理で取得した前記共有情報を用いて、前記共有情報を提供する表示画面を表示する処理と、
を実行する、情報提供方法。
【請求項2】
施設内の医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する情報提供方法であって、
前記共有情報を提供する端末装置が、
前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受信処理と、
前記受信処理で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報を無線通信で取得する取得処理と、
を実行し、
前記管理サーバは、前記施設内で医療又は介護の対象となる複数の人物に関する前記共有情報を管理し、
前記取得処理は、
前記受信処理で前記第1の信号を受信できなくなった後に、前記受信処理で受信した第3の信号に基づいて前記端末装置の移動方向を特定し、
前記管理サーバが管理する前記共有情報のうち、前記端末装置の移動方向に対応する共有情報を選択的に取得する、
報提供方法。
【請求項3】
前記取得処理は、前記第1の信号の受信信号強度が予め定められた閾値を下回ったときに、前記第1の信号を受信できなくなったと判断する、請求項1又は2に記載の情報提供方法。
【請求項4】
前記第1の領域は、前記施設のスタッフが待機するスタッフステーションの少なくとも一部を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報提供方法。
【請求項5】
前記共有情報は、前記人物に関する情報のうち、公式な記録には記録されない非公式な情報を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報提供方法。
【請求項6】
前記共有情報は、予め定められたアイコンで表される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報提供方法。
【請求項7】
前記取得処理は、前記受信処理で前記第1の信号を受信できなくなったときに、前記管理サーバから前記共有情報を取得する処理、又は前記管理サーバから前記共有情報を取得する時間間隔を短くする処理を実行する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報提供方法。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の情報提供方法を端末装置に実行させるプログラム。
【請求項9】
施設内で医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する端末装置であって、
前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受信部と、
前記受信部で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報を無線通信で取得する取得部と、
前記受信部で、前記人物に対応する第2の領域で出力される第2の信号を受信したときに、前記無線通信で前記管理サーバと通信できない場合、前記取得部が取得した前記共有情報を用いて、前記共有情報を提供する表示画面を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する、端末装置。
【請求項10】
施設内で医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する端末装置であって、
前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受信部と、
前記受信部で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報を無線通信で取得する取得部と、
を有し、
前記管理サーバは、前記施設内で医療又は介護の対象となる複数の人物に関する前記共有情報を管理し、
前記取得部は、
前記受信部で前記第1の信号を受信できなくなった後に、前記受信部で受信した第3の信号に基づいて前記端末装置の移動方向を特定し、
前記管理サーバが管理する前記共有情報のうち、前記端末装置の移動方向に対応する共有情報を選択的に取得する、
端末装置
【請求項11】
施設内で医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を管理する管理サーバと、前記管理サーバと無線通信で通信可能な端末装置とを含む情報提供システムであって、
前記端末装置は、
前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受信部と、
前記受信部で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報を無線通信で取得する取得部と、
前記受信部で、前記人物に対応する第2の領域で出力される第2の信号を受信したときに、前記無線通信で前記管理サーバと通信できない場合、前記取得部が取得した前記共有情報を用いて、前記共有情報を提供する表示画面を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する、情報提供システム。
【請求項12】
施設内で医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を管理する管理サーバと、前記管理サーバと無線通信で通信可能な端末装置とを含む情報提供システムであって、
前記端末装置は、
前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受信部と、
前記受信部で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報を無線通信で取得する取得部と、
を有し、
前記管理サーバは、前記施設内で医療又は介護の対象となる複数の人物に関する前記共有情報を管理し、
前記取得部は、
前記受信部で前記第1の信号を受信できなくなった後に、前記受信部で受信した第3の信号に基づいて前記端末装置の移動方向を特定し、
前記管理サーバが管理する前記共有情報のうち、前記端末装置の移動方向に対応する共有情報を選択的に取得する、
情報提供システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供方法、プログラム、端末装置、及び情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療施設において、医療の対象となる患者に関する電子カルテ等の医療情報を、施設内の無線LAN(Local Area Network)通信の通信範囲内で参照すること等が行われている。
【0003】
また、医療現場において、無線通信のインタフェースを備える携帯端末が、無線通信で接続したアクセスポイントの識別子をサーバに送信し、サーバが、携帯端末から通知される識別子に基づいて、医療情報を携帯端末に提供するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-79463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示されるような従来の技術では、医療施設のスタッフが利用する端末装置が、医療現場で、施設内の無線LAN通信等の無線通信が行えることが前提となっている。しかし、医療施設内の無線LAN通信等は、例えば、医療施設内の構造物の影響や、無線通信設備の故障等により、無線通信が行えないエリアが存在し、このようなエリアでも医療行為が行われる場合がある。しかし、医療現場で患者に関する共有情報を取得できないと、インシデントにつながる恐れがある。
【0006】
なお、このような課題は、医療を行う医療施設に限られず、例えば、介護を行う介護施設等においても共通に存在する。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、施設内の医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する情報提供システムにおいて、端末装置が管理サーバと無線通信を行えない場合でも、適切な共有情報を提供できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報提供方法は、施設内の医療
又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する情報提供方法であって、前記共有
情報を提供する端末装置が、前記施設内で出力される領域ごとに異なる信号を受信する受
信処理と、前記受信処理で、前記施設内の予め定められた第1の領域で出力される第1の
信号を受信できなくなったときに、前記共有情報を管理する管理サーバから前記共有情報
を無線通信で取得する取得処理と、前記受信処理で、前記人物に対応する第2の領域で出力される第2の信号を受信したときに、前記無線通信で前記管理サーバと通信できない場合、前記取得処理で取得した前記共有情報を用いて、前記共有情報を提供する表示画面を表示する処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、施設内の医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する情報提供システムにおいて、端末装置が管理サーバと無線通信を行えない場合でも、適切な共有情報を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る情報提供システムのシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る管理サーバの機能構成の例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る共有情報の一例のイメージを示す図である。
図5】第1の実施形態に係る端末装置の機能構成の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る共有情報の表示画面の例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る端末装置の起動時の処理の例を示すフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係るナースステーション内の処理の例を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係るナースステーション外の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】第1の実施形態に係るナースステーション外の処理の別の一例を示すフローチャートである。
図11】第1の実施形態に係る一覧表示画面の表示処理の例を示すフローチャートである。
図12】第1の実施形態に係る病室一覧の表示画面の例を示す図である。
図13】第2の実施形態に係る情報提供システムのシステム構成の例を示す図である。
図14】第2の実施形態に係る共有情報の一例のイメージを示す図である。
図15】第2の実施形態に係る共有情報の取得処理の例を示すフローチャートである。
図16】一実施形態に係る端末装置が送信する情報のフォーマットの一例を示す図である。
図17】一実施形態に係る端末装置のログ情報の例を示す図である。
図18】一実施形態に係る端末装置が受信する情報のフォーマットの一例を示す図である。
図19】一実施形態に係る端末装置がビーコン信号から取得する情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る情報提供システムのシステム構成の例を示す図である。情報提供システム1は、例えば、端末装置100、管理サーバ110、複数の無線アクセスポイント(以下、無線APと呼ぶ)120a、120b、・・・、及び複数の発信装置130a、130b、130c、・・・等を含む。なお、以下の説明の中で、複数の無線AP120a、120b、・・・のうち、任意の無線APを示す場合、「無線AP120」を用いる。また、複数の発信装置130a、130b、130c、・・・のうち、任意の発信装置を示す場合、「発信装置130」を用いる。
【0013】
情報提供システム1は、例えば、施設10内の医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を、端末装置100を利用する施設10のスタッフ104に提供するシステムである。ここでは、一例として、施設10が病院等の医療施設であるものとして以下の説明を行う。
【0014】
端末装置100は、施設10のスタッフ(例えば、看護師、医師等)104が利用する、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の情報端末である。端末装置100は、無線AP120a、120b、・・・等が形成する無線通信エリア121内において、例えば、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信で、管理サーバ110と通信することができる。また、端末装置100は、施設10内で、複数の発信装置130a、130b、130c、・・・が出力する、領域ごとに異なる信号(以下、ビーコン信号と呼ぶ)を受信することができる。
【0015】
管理サーバ110は、コンピュータの構成を有する情報処理装置、又は複数の情報処理装置を含むシステムであり、例えば、施設10に入院している患者に関する共有情報111を管理している。例えば、管理サーバ110は、端末装置100から送信される患者に関する様々な情報を共有情報111に登録するとともに、端末装置100からの要求に応じて、共有情報111の一部、又は全部を端末装置100に提供する。
【0016】
無線AP120は、例えば、無線LANのアクセスポイントであり、施設10内で無線LAN通信が可能な無線通信エリア121を形成している。
【0017】
発信装置130は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、BLEと呼ぶ)等の近距離無線通信により、施設10内で領域ごとに異なるビーコン信号を出力する。例えば、ビーコン信号には、発信装置130ごとに異なる識別情報(以下、ビーコンIDと呼ぶ)が含まれている。
【0018】
例えば、発信装置130aは、スタッフ104が待機するナースステーション(スタッフステーションの一例)101内の領域(第1の領域)131a内に、ナースステーション101に対応するビーコン信号(第1の信号)を出力している。なお、以下の説明の中で、ナースステーション101内で出力されているビーコン信号を「第1の信号」と呼ぶ場合がある。
【0019】
また、発信装置130bは、病室A102a、及び病室A102aの周辺の領域131b内に、病室A102aに対応するビーコン信号(第2の信号の一例)を出力している。さらに、発信装置130cは、病室B102b、及び病室B102bの周辺の領域131c内に、病室B102bに対応するビーコン信号(第2の信号の別の一例)を出力している。なお、以下の説明の中で、病室等の患者に対応する領域で出力されているビーコン信号を「第2の信号」と呼ぶ場合がある。
【0020】
上記の構成において、端末装置100は、情報提供システム1に対応するアプリケーションプログラム(以下、アプリと呼ぶ)を実行することにより、端末装置100を利用するスタッフに、患者に関する共有情報を提供する。
【0021】
(処理の概要)
図1において、施設10のスタッフ104が、端末装置100で、情報提供システム1に対応するアプリを実行し、ログイン操作を行うと、端末装置100は、発信装置130aが出力するビーコン信号の受信を開始する。なお、本実施形態では、図1に示すように、ナースステーション101、及びその周辺が、無線通信エリア121内にあるものとする。
【0022】
この状態で、端末装置100を利用するスタッフ104が、例えば、病室A102a、又は病室B102bに向かうため、ナースステーション101の外に移動するものとする(ステップS1)。これにより、端末装置100が、発信装置130aが出力するナースステーション101に対応するビーコン信号(第1の信号)を受信できなくなると、端末装置100は、共有情報111を管理する管理サーバ110から、無線LAN通信等の無線通信で共有情報111を取得する。例えば、端末装置100は、受信した第1の信号の受信信号強度が、予め設定された受信信号強度の閾値を下回ったときに、第1の信号を受信できなくなったと判断し、管理サーバ110から共有情報111を取得する。この処理により、端末装置100が有する共有情報111が、最新の状態に更新される。
【0023】
続いて、端末装置100を利用するスタッフ104が、例えば、病室A102aに移動するものとする(ステップS2)。これにより、端末装置100が、発信装置130bが出力する病室A102aに対応するビーコン信号を受信すると、端末装置100は、病室A102aに入院している1人以上の患者の共有情報を表示する。例えば、端末装置100は、管理サーバ110から、病室A102aに入院している患者の共有情報を取得して、共有情報を表示しても良いし、取得済の共有情報111から、病室A102aに入院している患者の共有情報を取得して、共有情報を表示しても良い。
【0024】
ここで、共有情報とは、施設10のスタッフ104が共有する患者に関する情報であり、例えば、カルテ等の公式な記録には記録されない非公式な情報(気づき情報)が含まれる。例えば、共有情報には、感染症に関する情報(種類、感染経路等)、性格に関する情報(パワハラ、セクハラ、短気等)、身体能力に関する情報(聴力、視力、歩行可否等)、同性によるケアの希望の有無、痴呆の有無等の様々な情報が含まれ得る。
【0025】
好ましくは、端末装置100は、患者の共有情報を、予め定められたアイコンを用いて表示する。これは、上述したような共有情報は、患者が目にすると、場合によっては、患者に不快感を与えてしまう場合があるためである。患者の共有情報を、予め定められたアイコンを用いて表示することにより、例えば、患者が、端末装置100の表示画面を見ても、共有情報が何を意味しているのか判り難くなるので、患者に不快感を与えてしまうことを抑制することができる。
【0026】
次に、端末装置100を利用するスタッフ104が、例えば、病室B102bに移動するものとする(ステップS3)。なお、病室B102bは、何らかの理由(例えば、施設10内の構造物の影響、無線AP120の故障、医療上の理由等)により、無線通信エリア121の範囲外となっており、端末装置100は、管理サーバ110と通信できないものとする。
【0027】
端末装置100は、発信装置130cが出力する病室B102bに対応するビーコン信号を受信したときに、無線通信で管理サーバ110と通信できない場合、取得済の共有情報111から、病室B102bに入院している患者の共有情報を取得し、共有情報を表示する。
【0028】
このように、本実施形態に係る情報提供システム1では、施設10のスタッフ104は、施設10内の無線LAN等の無線通信が行えない場所でも、患者に関する共有情報を参照することができる。従って、本実施形態によれば、施設10内の医療(又は介護)の対象となる患者(人物)に関する共有情報を提供する情報提供システム1において、端末装置100が管理サーバ110と無線通信を行えない場合でも、適切な共有情報を提供できるようになる。
【0029】
なお、図1に示す情報提供システム1のシステム構成は一例である。例えば、図1のナースステーション101で出力されている第1の信号は、ナースステーション101以外の場所(例えば、食堂、休憩室、受付、診察室等)で出力されているものであっても良い。また、第1の信号には、ビーコンIDが異なる複数のビーコン信号が含まれていても良い。
【0030】
また、発信装置130は、BLE通信以外の方法(例えば、BLE通信以外の近距離無線通信、音波等)で、ビーコン信号を出力するものであっても良い。
【0031】
さらに、病室で出力されている第2の信号は、患者に対応する領域であれば、病室以外の場所で出力されているものであっても良い。例えば、第2の信号は、患者が装着するBLEタグ等から出力されているものであっても良い。
【0032】
さらにまた、施設10は、病院等の医療施設に限られず、介護施設等であっても良い。この場合、第2の信号は、例えば、介護の対象となる人物の居室に設けられた発信装置130や、介護の対象となる人物が装着するBLEタグ等から出力すれば良い。
【0033】
<ハードウェア構成>
続いて、端末装置100、及び管理サーバ110のハードウェア構成について説明する。端末装置100は、例えば、図2に示すようなコンピュータ200のハードウェア構成を有している。また、管理サーバ110は、例えば、図2に示すようなハードウェア構成を有するコンピュータ200、又は複数のコンピュータ200によって構成される。
【0034】
図2は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202、ストレージデバイス203、通信装置204、表示装置205、入力装置206、近距離通信装置207、及びシステムバス208等を有している。
【0035】
CPU201は、例えば、ストレージデバイス203、メモリ202等に記憶されたプログラムを実行することにより、様々な処理を実行する演算装置である。メモリ202は、例えば、CPU201のワークエリア等として利用される揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)や、コンピュータ200の起動プログラム等を予め記憶した不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等を含む。ストレージデバイス203は、OS(Operating System)、アプリケーション、及び各種のデータ等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等によって実現される。
【0036】
通信装置204は、コンピュータ200を、ローカルネットワーク103等の通信ネットワークに接続して、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、コンピュータ200が管理サーバ110である場合、通信装置204は、有線/無線LANのネットワークインターフェース等によって実現される。また、コンピュータ200が端末装置100である場合、通信装置204は、無線LANのネットワークインターフェース等によって実現される。
【0037】
表示装置205は、様々な表示画面を表示するディスプレイ等の表示デバイスである。入力装置206は、利用者による入力操作を受け付けるキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力デバイスである。なお、表示装置205、及び入力装置206は、例えば、タッチパネルディスプレイ等の一体化された入出力装置であっても良い。
【0038】
近距離通信装置207は、例えば、Bluetooth(BLEを含む)等の近距離無線通信を行うデバイス、モジュール、又は回路である。例えば、コンピュータ200が端末装置100である場合、近距離通信装置207は、発信装置130と同じ通信方式でビーコン信号を受信するデバイス、モジュール、回路等である。
【0039】
システムバス208は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号を伝達する。
【0040】
[第1の実施形態]
続いて、第1の実施形態に係る管理サーバ110、及び端末装置100の機能構成について説明する。
【0041】
(管理サーバの機能構成)
図3は、第1の実施形態に係る管理サーバの機能構成の例を示す図である。管理サーバ110は、例えば、図2のCPU201で所定のプログラムを実行することにより、通信部301、認証部302、共有情報管理部303、施設情報管理部304、及び記憶部305等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0042】
通信部301は、例えば、図2の通信装置204を用いて、管理サーバ110をローカルネットワーク103に接続し、端末装置100等との通信を行う。
【0043】
認証部302は、情報提供システム1(又は管理サーバ110)にログインを要求する端末装置100の認証を行い、認証に成功した端末装置100にログインを許可する。なお、認証部302は、管理サーバ110内で端末装置100の認証を行うものであっても良いし、外部の認証サーバ等に端末装置100の認証を要求するものであっても良い。
【0044】
共有情報管理部303は、施設10内の医療(又は介護)の対象となる人物(患者等)に関する共有情報111を、記憶部305に記憶して管理する。例えば、共有情報管理部303は、端末装置100から送信される患者の様々な情報を、共有情報111に記憶する。また、共有情報管理部303は、端末装置100からの要求に応じて、共有情報111の一部、又は全部を端末装置100に提供する。
【0045】
図4は、共有情報111の一例のイメージを示している。図4の例では、共有情報111には、項目として、「ビーコンID」、「部屋番号」、「患者名」、「性別」、及び複数の共有情報401等が含まれる。
【0046】
「ビーコンID」は、発信装置130が出力するビーコン信号を識別する識別情報である。「部屋番号」は、ビーコンIDに対応する病室を識別する識別番号である。なお、各病室(例えば、病室A102a、病室B102b等)の部屋番号と、各病室で出力されるビーコン信号に含まれるビーコンIDとの対応関係は、例えば、後述する施設情報管理部304等から取得することができる。
【0047】
「患者名」は、部屋番号に対応する病室に入院している患者の氏名等の情報である。なお、「患者名」は、患者を識別する識別情報である患者ID、患者番号等であっても良い。「性別」は、患者の性別を示す情報である。
【0048】
複数の共有情報401には、一例として、「感染症」、「アレルギー」、「禁食」、「VIP(Very Important Person)」、「性格留意」、及び「詳細情報」等の複数の項目が含まれる。
【0049】
「感染症」は、患者に感染症があることを、施設10のスタッフ104の間で共有するための情報であり、好ましくは、感染症アイコン401aの表示の有無で、端末装置100に表示される。例えば、患者Aに感染症がある場合、患者Aの「感染症」のチェックボックスがチェックされ、この場合、端末装置100には、患者Aの共有情報として、感染症アイコン401aが表示される。また、患者Bに感染症がない場合、患者Bの「感染症」のチェックボックスはチェックされず、この場合、端末装置100には、患者Bの共有情報として、感染症アイコン401aは表示されない。他の項目についても同様である。
【0050】
「アレルギー」は、患者にアレルギーがあることを、施設10のスタッフ104の間で共有するための情報であり、好ましくは、アレルギーアイコン401bの表示の有無で、端末装置100に表示される。「禁食」は、患者に食事の制限があることを、施設10のスタッフ104の間で共有するための情報であり、好ましくは、禁食アイコン401cの表示の有無で、端末装置100に表示される。「VIP」は、患者が特に重要な人物であることを、施設10のスタッフ104の間で共有するための情報であり、好ましくは、VIPアイコン401dの表示の有無で、端末装置100に表示される。「性格留意」は、患者の性格に留意する必要があることを、施設10のスタッフ104の間で共有するための情報であり、好ましくは、性格留意アイコン401eの表示の有無で、端末装置100に表示される。
【0051】
「詳細情報」には、アイコンだけでは表すことができない、患者に関する詳細な情報(例えば、感染症の種類、感染経路、アレルギーの種類、食事の制限内容、性格等)が、例えば、文字列等によって登録される。
【0052】
なお、図4に示す共有情報111は一例であり、共有情報111には、図4に示す情報以外の様々な情報が含まれていても良い。
【0053】
ここで、図3に戻り、管理サーバ110の機能構成の説明を続ける。
【0054】
施設情報管理部304は、施設10の情報、スタッフ104の情報、及び患者の情報等を含む施設情報311を、例えば、病院のデータベース等から取得して、記憶部305等に記憶して管理する。このうち、施設10情報には、例えば、前述した、各病室の部屋番号と、各病室で出力されるビーコン信号に含まれるビーコンIDとの対応関係等が含まれる。また、患者の情報には、例えば、各病室に入院している患者の患者名、患者番号等の情報が含まれる。
【0055】
記憶部305は、例えば、図2のCPU201で実行されるプログラム、及びストレージデバイス203等によって実現され、共有情報111、施設情報311等の様々情報を記憶する。なお、記憶部305は、管理サーバ110の外部のストレージサーバ等によって実現されるものであっても良い。
【0056】
(端末装置の機能構成)
図5は、第1の実施形態に係る端末装置の機能構成の例を示す図である。端末装置100は、例えば、図2のCPU201で所定のプログラムを実行することにより、通信部501、ビーコンID受信部502、情報取得部503、表示制御部505、操作受付部506、情報送信部507、及び記憶部509等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0057】
通信部301は、例えば、図2の通信装置204を用いて、端末装置100を無線AP120に接続し、管理サーバ110等との通信を行う。
【0058】
ビーコンID受信部(受信部)502は、例えば、図2の近距離通信装置207を用いて、施設10内で、複数の発信装置130a、130b、130c、・・・によって出力されるビーコン信号を受信し、ビーコン信号に含まれるビーコンIDを取得する受信処理を実行する。
【0059】
情報取得部(取得部)503は、ビーコンID受信部502が実行する受信処理で第1の信号が受信できなくなったときに、管理サーバ110から共有情報111の一部、又は全部を取得し、取得した共有情報511を記憶部509に記憶する取得処理を実行する。例えば、情報取得部503は、ビーコンID受信部502が受信した第1の信号の受信信号強度が、端末装置100側で予め設定された受信信号強度の閾値を下回ったときに、第1の信号が受信できなくなったと判断し、管理サーバ110から、図4に示すような共有情報111を取得する。情報取得部503は、例えば、近距離通信装置207、ビーコンID受信部502等から通知されるRSSI(Received Signal Strength Indicator)等によって、第1の信号の受信信号強度(受信電波強度)を取得することができる。
【0060】
なお、情報取得部503は、第1の信号の受信信号強度に代えて(又は加えて)、例えば、第1の信号のパケットエラーレート、ビットエラーレート、SNR(Signal Noise Ratio)等の他の通信品質情報に基づいて、第1の信号が受信できなくなったことを判断しても良い。また、情報取得部503は、例えば、ビーコンID受信部502が、第1の信号に含まれるビーコンIDを取得できなくなったとき等に、第1の信号が受信できなくなったと判断しても良い。
【0061】
また、情報取得部503は、ビーコンID受信部502が実行する受信処理で第1の信号が受信できなくなったときに、管理サーバ110から共有情報111を取得する時間間隔を短くしても良い。例えば、情報取得部503は、ビーコンID受信部502が第1の信号を受信しているときに、第1の時間間隔(例えば、5~20分間隔等)で、管理サーバ110から共有情報111を取得しているものとする。この状態で、情報取得部503は、ビーコンID受信部502が第1の信号を受信できなくなると、管理サーバ110から共有情報111を取得する時間間隔を、第1の時間間隔より短い第2の時間間隔(例えば、1~3分間隔等)に変更しても良い。
【0062】
表示制御部505は、ビーコンID受信部502が実行する受信処理で、患者に対応する第2の信号を受信したときに、第2の信号に対応する共有情報を含む表示画面を、表示装置205等に端末装置100の表示部に表示させる。
【0063】
例えば、管理サーバ110が、図4に示すような共有情報111を管理しており、ビーコンID受信部502がビーコンID「20009991」を含むビーコン信号を受信したものとする。この場合、表示制御部505は、図4において、ビーコンID「20009991」に対応する部屋番号「1991」の患者(患者A、患者B、患者C、・・・)の共有情報401を、端末装置100の表示部に表示させる。
【0064】
このとき、表示制御部505は、端末装置100が管理サーバ110と無線通信できる場合、ビーコンID「20009991」に対応する部屋番号「1991」の患者の最新の共有情報401を、管理サーバ110から選択的に取得しても良い。
【0065】
一方、表示制御部505は、端末装置100が管理サーバ110と無線通信できない場合、記憶部509に記憶された共有情報511から、ビーコンID「20009991」に対応する部屋番号「1991」の患者の共有情報401を取得する。
【0066】
図6は、第1の実施形態に係る共有情報の表示画面の例を示す図である。
【0067】
図6(A)は、端末装置100のビーコンID受信部502が第2の信号を受信したときに、表示制御部505が、端末装置100の表示部に表示させる一覧表示画面610の例を示している。図6(A)の例では、一覧表示画面610には、更新日時の表示欄611、及び患者の共有情報の表示欄613等が表示されている。
【0068】
更新日時の表示欄611には、例えば、端末装置100の記憶部509に記憶された共有情報511が最後に更新された日時の情報等が表示される。また、端末装置100の通信部501が、管理サーバ110と無線通信で通信可能である場合、「更新」ボタン612が活性化され、「更新」ボタン612を選択することにより、共有情報511を最新の状態に更新することができる。
【0069】
患者の共有情報の表示欄613には、各患者の共有情報が表示される。好ましくは、各患者の共有情報は、図6(A)に示されるように、予め定められたアイコン614で表示される。これにより、端末装置100を利用するスタッフ104は、例えば、患者Aに感染症があり、性格に留意する必要があることを、直ちに認識することができる。
【0070】
また、端末装置100を利用するスタッフ104は、例えば、患者Aについて、他のスタッフ104と共有したい情報がある場合、「編集」ボタン615を選択することにより、共有情報を登録するためのアイコンの一覧を、選択可能に表示させることができる。このアイコンの一覧から、アイコンが選択された場合、選択されたアイコンが、患者の共有情報の表示欄613に追加されるとともに、例えば、図4に示すような共有情報111にも反映される。
【0071】
さらに、スタッフ104は、例えば、患者Aについて、より詳細な情報が必要な場合、「詳細」ボタン616を選択することにより、例えば、図6(B)に示すような、詳細表示画面620を表示させることができる。図6(B)の例では、詳細表示画面620には、例えば、図4に示すような共有情報111の「詳細情報」に記憶されている患者の詳細情報を表示するための詳細情報の表示欄621が表示されている。この患者の詳細情報は、例えば、スタッフ104が編集して、「登録」ボタン622を選択することにより、新たな情報を登録、又は削除することができる。
【0072】
なお、図6に示す一覧表示画面610、及び詳細表示画面620は、表示制御部505が、端末装置100の表示部に表示させる表示画面の一例である。例えば、スタッフ104は、一覧表示画面610において、患者の共有情報の表示欄613に表示されているアイコン614を選択することにより、アイコン614に対応する共有情報の詳細画面等を表示させるものであっても良い。
【0073】
ここで、図5に戻り、端末装置100の機能構成の説明を続ける。
【0074】
操作受付部506は、例えば、図2の入力装置206等を用いて、端末装置100を利用するスタッフ104等による入力操作を受け付ける。例えば、操作受付部506は、前述した、一覧表示画面610、詳細表示画面620等に対する入力操作を受け付ける。
【0075】
情報送信部507は、端末装置100で所定のイベントが発生したときに、発生したイベントに対応するログ情報を管理サーバ110に送信する。例えば、情報送信部507は、操作受付部506が、共有情報の変更を受け付けたとき、更新された共有情報を、通信部501を介して、管理サーバ110に送信する。
【0076】
好ましくは、情報送信部507は、通信部501が管理サーバ110と通信できない場合、更新された共有情報を記憶部509に記憶しておき、管理サーバ110と通信できるようになったときに、更新された共有情報を管理サーバ110に送信する。
【0077】
記憶部509は、例えば、図2のCPU201で実行されるプログラム、及びストレージデバイス203、メモリ202等によって実現され、例えば、情報取得部503が取得した共有情報511や、更新された共有情報等の様々な情報を記憶する。
【0078】
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る情報提供システム1が実行する情報提供方法の処理の流れについて説明する。
【0079】
(起動時の処理)
図7は、第1の実施形態に係る端末装置の起動時の処理の例を示すフローチャートである。この処理は、端末装置100を利用するスタッフ104が、情報提供システム1に対応するアプリを起動したとき等に、端末装置100が実行する処理の例を示している。
【0080】
ステップS701において、端末装置100のビーコンID受信部502は、例えば、図2の近距離通信装置207を用いて、発信装置130が出力するビーコン信号を受信し、ビーコン信号に含まれるビーコンIDを取得する受信処理を実行する。
【0081】
ステップS702において、ビーコンID受信部502は、施設10内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信したか否かを判断する。例えば、ビーコンID受信部502は、受信したビーコン信号に含まれるビーコンIDが、ナースステーション101に設置された発信装置130aのビーコンIDである場合、第1の信号を受信したと判断する。
【0082】
第1の信号を受信した場合、端末装置100は、ステップS703において、例えば、図8に示すような、ナースステーション内の処理を実行する。一方、第1の信号を受信していない場合、端末装置100は、ステップS704において、例えば、図9又は図10に示すような、ナースステーション外の処理を実行する。
【0083】
(ナースステーション内の処理)
図8は、第1の実施形態に係るナースステーション内の処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図7のステップS703において、端末装置100が実行する処理の例を示している。端末装置100は、例えば、ナースステーション101内において、図8に示す処理を繰り返し実行する。
【0084】
ステップS801において、端末装置100のビーコンID受信部502は、例えば、図2の近距離通信装置207を用いて、発信装置130が出力するビーコン信号を受信し、ビーコン信号に含まれるビーコンIDを取得する受信処理を実行する。
【0085】
ステップS802において、ビーコンID受信部502は、施設10内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信したか否かを判断する。例えば、ビーコンID受信部502は、受信したビーコン信号に含まれるビーコンIDが、ナースステーション101に設置された発信装置130aのビーコンIDである場合、第1の信号を受信したと判断する。
【0086】
第1の信号を受信した場合、端末装置100は、処理をステップS803に移行させる。一方、第1の信号を受信していない場合、端末装置100は、処理をステップS805に移行させる。
【0087】
ステップS803に移行すると、端末装置100の情報取得部503は、記憶部509に記憶した共有情報511を前回更新したときから、予め定められた第1の時間(例えば、5分~20分程度)を経過したか否かを判断する。ここで、第1の時間は、ナースステーション101内において、端末装置100が共有情報511を更新する更新時間であり、例えば、ローカルネットワーク103のトラフィックの増加を抑制するために、十分に長い時間が設定されているものとする。
【0088】
第1の時間を経過している場合、情報取得部503は、ステップS804において、管理サーバ110から、管理サーバ110が管理する共有情報111を取得して、記憶部509に記憶する。一方、第1の時間を経過していない場合、情報取得部503は、図8の処理を終了する。
【0089】
なお、第1の実施形態では、端末装置100が記憶部509に記憶する共有情報は、管理サーバ110が管理する共有情報111と同じ内容であっても良い。ただし、端末装置100が記憶部509に記憶した共有情報は、例えば、図6に示すような表示画面で更新される場合があるので、管理サーバ110が管理する共有情報111と区別するため、端末装置100が記憶部509に記憶した共有情報を、「共有情報511」と呼ぶ。
【0090】
一方、ステップS802からステップS805に移行すると、端末装置100の情報取得部503は、管理サーバ110から、管理サーバ110が管理する共有情報111を取得して、記憶部509に記憶する。
【0091】
ステップS806において、端末装置100は、例えば、図9又は図10に示すような、ナースステーション外の処理を実行する。
【0092】
(ナースステーション外の処理1)
図9は、第1の実施形態に係るナースステーション外の処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図7のステップS704、又は図8のステップS806において、端末装置100が実行する処理の一例を示している。端末装置100は、例えば、ナースステーション101外において、図9に示す処理を繰り返し実行する。
【0093】
ステップS901において、端末装置100のビーコンID受信部502は、例えば、図2の近距離通信装置207を用いて、発信装置130が出力するビーコン信号を受信し、ビーコン信号に含まれるビーコンIDを取得する受信処理を実行する。
【0094】
ステップS902において、ビーコンID受信部502は、施設10内の予め定められた第1の領域で出力される第1の信号を受信したか否かを判断する。例えば、ビーコンID受信部502は、受信したビーコン信号に含まれるビーコンIDが、ナースステーション101に設置された発信装置130aのビーコンIDである場合、第1の信号を受信したと判断する。
【0095】
第1の信号を受信した場合、端末装置100は、処理をステップS903に移行させる。一方、第1の信号を受信していない場合、端末装置100は、処理をステップS904に移行させる。
【0096】
ステップS903に移行すると、端末装置100は、例えば、図8に示すような、ナースステーション内の処理を実行する。
【0097】
一方、ステップS904に移行すると、端末装置100のビーコンID受信部502は、例えば、患者に対応する第2の領域で出力される第2の信号を受信したか否かを判断する。例えば、ビーコンID受信部502は、受信したビーコン信号に含まれるビーコンIDが、病室A102a、又は病室B102bに設置された発信装置130のビーコンIDである場合、第2の信号を受信したと判断する。
【0098】
第2の信号を受信していない場合、端末装置100は、図9の処理を終了する。一方、第2の信号を受信している場合、端末装置100は、処理をステップS905に移行させる。
【0099】
ステップS905に移行すると、端末装置100の情報取得部503は、端末装置100の現在の位置が、無線通信エリア121内であるか否かを判断する。例えば、情報取得部503は、通信部501に、管理サーバ110との無線通信が可能であるか否かを問合せし、無線通信が可能である場合、無線通信エリア121内であると判断する。
【0100】
端末装置100の現在の位置が無線通信エリア121内である場合、端末装置100は、処理をステップS906に移行させる。一方、端末装置100の現在の位置が無線通信エリア121内でない場合、端末装置100は、処理をステップS907に移行させる。
【0101】
ステップS906に移行すると、端末装置100の表示制御部505は、受信した第2の信号に対応する病室の共有情報を、例えば、図6(A)に示すような一覧表示画面610に表示させる。
【0102】
一例として、管理サーバ110が、図4に示すような共有情報111を管理しており、ビーコンID受信部502が受信した第2の信号に、ビーコンID「20009991」が含まれていたものとする。この場合、表示制御部505は、情報取得部503を利用して、管理サーバ110が管理する共有情報111から、部屋番号「1991」の共有情報を取得して、取得した共有情報を用いて、図6(A)に示すような一覧表示画面610を端末装置100の表示部に表示させる。
【0103】
別の一例として、端末装置100の表示制御部505は、記憶部509に記憶した共有情報511から、受信した第2の信号に対応する病室の共有情報を取得して、取得した共有情報を用いて、図6(A)に示すような一覧表示画面610を端末装置100の表示部に表示させても良い。
【0104】
一方、ステップS907に移行すると、端末装置100の表示制御部505は、例えば、図8のステップS805で取得済の共有情報511を用いて、受信した第2の信号に対応する病室の共有情報を、例えば、図6(A)に示すような一覧表示画面610に表示させる。
【0105】
上記の処理により、端末装置100は、例えば、図1のナースステーションから、病室A102a、病室B102bへ向かう前に、記憶部509に記憶した共有情報511を更新することができる。従って、端末装置100は、例えば、図1の病室B102bのように、無線通信エリア121外であっても、例えば、図6(A)に示すような一覧表示画面610を表示することができる。
【0106】
(ナースステーション外の処理2)
図10は、第1の実施形態に係るナースステーション外の処理の別の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図7のステップS704、又は図8のステップS806において、端末装置100が実行する処理の別の一例を示している。端末装置100は、例えば、ナースステーション101外において、図10に示す処理を繰り返し実行する。
【0107】
なお、図10のステップS901~S903、及びステップS904~S906の処理は、図9に示す処理と同様なので、ここでは、図9に示す処理との相違点を中心に説明する。
【0108】
ステップS1001において、端末装置100の情報取得部503は、記憶部509に記憶した共有情報511を前回更新したときから、予め定められた第2の時間(例えば、30秒~3分間程度)を経過したか否かを判断する。ここで、第2の時間は、ナースステーション101外において、端末装置100が共有情報511を更新する更新時間であり、前述した第1の時間よりも、短い時間が予め設定されているものとする。
【0109】
第2の時間を経過している場合、情報取得部503は、処理をステップS1002に移行させる。一方、第2の時間を経過していない場合、情報取得部503は、処理をステップS904に移行させる。
【0110】
ステップS1002に移行すると、情報取得部503は、管理サーバ110から共有情報111を取得して、記憶部509に記憶する。
【0111】
上記の処理により、端末装置100の表示制御部505は、ステップS907において、ステップS1002で取得した共有情報511を用いて、例えば、図6(A)に示すような一覧表示画面610を表示することができるようになる。従って、例えば、スタッフ104が、ナースステーション101を出てから時間が経ってしまった場合でも、より適切な共有情報511を用いて、一覧表示画面610を表示することができるようになる。
【0112】
(一覧表示画面の表示処理)
図11は、第1の実施形態に係る一覧表示画面の表示処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図9(又は図10)のステップS906、S907等で、端末装置100の表示制御部505が、図6(A)に示すような一覧表示画面610を表示する際に実行する処理の例を示している。
【0113】
ステップS1101において、端末装置100の表示制御部505は、ビーコンID受信部502が、複数の第2の信号を受信したか否かを判断する。複数の第2の信号を受信した場合、表示制御部505は、処理をステップS1102に移行させる。
【0114】
一方、複数の第2の信号を受信していない場合(1つの第2の信号を受信した場合)、ステップS1105において、表示制御部505は、受信した第2の信号に対応する病室(例えば病室A)の一覧表示画面610を、端末装置100の表示部に表示させる。
【0115】
ステップS1102に移行すると、表示制御部505は、例えば、図12に示すような、受信した複数の第2の信号に対応する病室の一覧1200を、端末装置100の表示部に表示させる。
【0116】
病室の一覧1200には、受信した複数の第2の信号に対応する病室の情報1201が、選択可能に表示される。図12の例では、病室の一覧1200には、病室B、及び病室Aに対応する病室の情報1201が表示されている。
【0117】
ステップS1103において、表示制御部505は、受信した第2の信号のうち、受信レベルが最も高い第2の信号に対応する病室の情報1201に、受信レベルが最も高いことを示すマーキングをする。図12の例では、病室Bに対応する病室の情報1201に、受信レベルが最も高いことを示すマーキング1202が表示されている。
【0118】
ステップS1104において、表示制御部505は、病室の一覧1200から、スタッフ104等によって選択された病室(例えば、病室A)の一覧表示画面610を、端末装置100の表示部に表示させる。
【0119】
上記の処理により、端末装置100は、複数の第2の信号を受信したときでも、適切な病室に対応する一覧表示画面610を表示することができる。
【0120】
以上、第1の実施形態によれば、施設19内の医療(又は介護)の対象となる患者(人物)に関する共有情報を提供する情報提供システム1において、端末装置100が管理サーバ110と無線通信を行えない場合でも、適切な共有情報を提供できるようになる。
【0121】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、端末装置100が、第1の信号を受信できなくなった後に受信したビーコン信号(第3の信号)に基づいて、端末装置100の移動方向を特定し、移動方向に対応する共有情報を、管理サーバ110から選択的に取得する場合の例について説明する。
【0122】
<システム構成>
図13は、第2の実施形態に係る情報提供システム1のシステム構成の例を示す図である。第2の実施形態に係る情報提供システム1のシステム構成は、基本的に、図1に示す一実施形態に係る情報提供システム1のシステム構成と同様なので、ここでは、図1に示すシステム構成との相違点について説明する。
【0123】
ここでは、説明用の一例として、図13に示すように、ナースステーション101の左側(例えば、東側)に複数の病室を有する病棟A1301が配置されており、ナースステーション101の右側(例えば、西側)に複数の病室を有する病棟B1302が配置されているものとする。
【0124】
また、図13に示すように、ナースステーション101の病棟A1301側には、発信装置130-1が設けられており、領域131-1内にビーコン信号(以下、ビーコンAと呼ぶ)を出力しているものとする。同様に、ナースステーション101の病棟B1302側には、発信装置130-2が設けられており、領域131-2内にビーコン信号(以下、ビーコンBと呼ぶ)を出力しているものとする。
【0125】
これにより、第2の実施形態に係る情報提供システム1では、例えば、端末装置100を所持するスタッフ104が、ナースステーション101を出て、病棟A1301へ向かうと端末装置100がビーコンAを受信するように構成されている。同様に、端末装置100を所持するスタッフ104が、ナースステーション101を出て、病棟B1302へ向かうと端末装置100がビーコンAを受信するように構成されている。
【0126】
<機能構成>
(管理サーバの機能構成)
第2の実施形態に係る管理サーバ110の機能構成は、図3に示した第1の実施形態に係る管理サーバ110の機能構成と同様である。
【0127】
ただし、第2の実施形態に係る管理サーバ110の共有情報管理部303は、例えば、図14に示すような形式で共有情報111を管理しているものとする。
【0128】
図14は、第2の実施形態に係る共有情報111の一例のイメージを示している。図14の例では、共有情報111には、項目として、「エリア名」、「ビーコンID(病棟)」、「ビーコンID(病室)」、「部屋番号」、「患者名」、「性別」、及び複数の共有情報401等が含まれる。
【0129】
「エリア名」は、施設10を複数のエリアに分割し、分割された複数のエリアを識別する情報(例えば、名前、識別情報等)である。ここで、複数のエリアは、例えば、図13の病棟A1301、病棟B1302に対応している。
【0130】
「ビーコンID(病棟)」は、複数のエリアを識別するために設けられた発信装置130(例えば、図13の発信装置130-1、1302)が出力するビーコン信号(例えば、ビーコンA、ビーコンB)を識別する識別情報である。
【0131】
「ビーコンID(病室)」は、複数の病室を識別するために設けられた発信装置130(例えば、図1の発信装置130b、130c等)が出力するビーコン信号を識別する識別情報である。「部屋番号」は、病室を識別する識別番号である。「患者名」は、患者の氏名等の情報であり、患者を識別する情報の一例である。「性別」は、患者の性別を示す情報である。
【0132】
複数の共有情報401には、例えば、図4に示す第1の実施形態に係る共有情報111と同様に、「感染症」、「アレルギー」、「禁食」、「VIP(Very Important Person)」、「性格留意」、及び「詳細情報」等の複数の項目が含まれているものとする。
【0133】
(端末装置の機能構成)
第2の実施形態に係る端末装置100の機能構成は、図5に示した第1の実施形態に係る端末装置100の機能構成と同様である。
【0134】
ただし、第2の実施形態に係る情報取得部503は、通信部501が、第1の信号を受信できなくなった後に受信した第3の信号に基づいて、端末装置100の移動方向を特定し、移動方向に対応する共有情報を、管理サーバ110から選択的に取得する機能を有している。
【0135】
<処理の流れ>
図15は、第2の実施形態に係る共有情報の取得処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図8のステップS805、又は図10のステップS1002等において、端末装置100の情報取得部503が実行する共有情報の取得処理の一例を示している。
【0136】
ステップS1501において、端末装置100の情報取得部503は、ビーコンID受信部502が第1の信号を受信している状態から、第1の信号を受信できなくなった場合(第1の信号をロストした場合)、ステップS1502以降の処理を実行する。
【0137】
ステップS1502において、情報取得部503は、ビーコンID受信部502が、第1の信号をロストしてから、所定の時間内(例えば、数秒以内等)にビーコンAを受信したか否かを判断する。
【0138】
第1の信号をロストしてから所定の時間内にビーコンAを受信した場合、情報取得部503は、処理をステップS1503に移行させる。一方、第1の信号をロストしてから所定の時間内にビーコンAを受信していない場合、情報取得部503は、処理をステップS1504に移行させる。
【0139】
ステップS1503に移行すると、情報取得部503は、端末装置100が、病棟A1301の方向に移動していると判断し、管理サーバ110が管理している共有情報111のうち、病棟Aの共有情報を選択的に取得する。
【0140】
例えば、情報取得部503は、ビーコンAから取得したビーコンIDを含む共有情報の取得要求を管理サーバ110に送信する。これに応じて、管理サーバ110の共有情報管理部303は、例えば、図14に示すような共有情報111のうち、共有情報の取得要求に含まれる「ビーコンID(病棟)」に対応する共有情報1401を、端末装置100に送信する。これにより、情報取得部503は、管理サーバ110が管理する共有情報111のうち、病棟Aの共有情報1401を選択的に取得することができる。
【0141】
一方、ステップS1502からステップS1504に移行すると、情報取得部503は、ビーコンID受信部502が、第1の信号をロストしてから、所定の時間内にビーコンBを受信したか否かを判断する。
【0142】
第1の信号をロストしてから所定の時間内にビーコンBを受信した場合、情報取得部503は、処理をステップS1505に移行させる。一方、第1の信号をロストしてから所定の時間内にビーコンBを受信していない場合、情報取得部503は、処理をステップS1506に移行させる。
【0143】
ステップS1505に移行すると、情報取得部503は、端末装置100が、病棟B1302の方向に移動していると判断し、管理サーバ110が管理している共有情報111のうち、病棟Bの共有情報を選択的に取得する。
【0144】
例えば、情報取得部503は、ビーコンBから取得したビーコンIDを含む共有情報の取得要求を管理サーバ110に送信する。これに応じて、管理サーバ110の共有情報管理部303は、例えば、図14に示すような共有情報111のうち、共有情報の取得要求に含まれる「ビーコンID(病棟)」に対応する共有情報1402を、端末装置100に送信する。これにより、情報取得部503は、管理サーバ110が管理する共有情報111のうち、病棟Bの共有情報1402を選択的に取得することができる。
【0145】
一方、ステップS1504からステップS1506に移行すると、情報取得部503は、端末装置100の移動方向を特定することができないと判断し、管理サーバ110が管理している病棟Aの共有情報1401、及び病棟Bの共有情報1402を取得する。
【0146】
例えば、情報取得部503は、ビーコンIDを含まない共有情報の取得要求を管理サーバ110に送信する。これに応じて、管理サーバ110の共有情報管理部303は、例えば、図14に示すような共有情報111に含まれる共有情報を、端末装置100に送信する。これにより、情報取得部503は、管理サーバ110が管理している病棟Aの共有情報1401、及び病棟Bの共有情報1402を取得することができる。
【0147】
上記の処理により、端末装置100の情報取得部503は、第1の信号を受信できなくなった後に受信したビーコン信号(第3の信号)に基づいて、端末装置100の移動方向を特定し、移動方向に対応する共有情報を、管理サーバ110から選択的に取得することができる。
【0148】
なお、図15に示す処理以外の端末装置100の処理は、図7~11に示した第1の実施形態に係る各処理と同様で良い。
【0149】
<端末装置が送受信する情報について>
ここで、端末装置100が、送受信する具体的な情報の一例について簡単に説明する。
【0150】
(端末装置が送信する情報の例)
図16は、一実施形態に係る端末装置が送信する情報のフォーマットの一例を示す図である。端末装置100の情報送信部507は、端末装置100で所定のイベントが発生したときに、図16に示す複数の項目の一部、又は全部を含むログ情報を、管理サーバ110に通知する。
【0151】
例えば、図6(a)に示すような一覧表示画面610において、スタッフ104等が「編集」ボタン615を選択して、共有情報を編集(追加、削除等)すると、情報送信部507は、共有情報が編集されたことを示すログ情報を、管理サーバ110に送信する。
【0152】
この共有情報が編集されたことを示すログ情報には、図16に示す複数の項目のうち、例えば、「操作日時」、「イベント名」、「ビーコンID」、「病棟ID」、「病室ID」、「患者番号1~4」、「共有情報1~4」、「看護師ID」、「端末固有番号」等の情報が含まれる。このうち、「病室ID」は、例えば、図4に示す共有情報111に含まれる「病室番号」に対応している。また、「患者番号1~4」は、例えば、図4に示す共有情報111に含まれる「患者名」対応している。さらに、「共有情報1~4」は、例えば、図4に示す共有情報111に含まれる複数の共有情報401に対応している。なお、看護師IDは、スタッフID、医師ID等であっても良い。
【0153】
管理サーバ110の共有情報管理部303は、端末装置100から、共有情報が編集されたことを示すログ情報を受信すると、編集された共有情報を、図4に示すような共有情報111に反映させる。これにより、例えば、スタッフ104等が入力した、患者の共有情報が、管理サーバ110が管理する共有情報111に登録される。このとき、管理サーバ110の共有情報管理部303は、例えば、施設情報管理部304が管理している施設情報311を用いて、「患者ID」を「患者名」等に変換して、共有情報111に登録しても良い。
【0154】
また、情報送信部507は、端末装置100が新たなビーコン信号を受信したときに、ビーコン信号を受信したことを示すログ情報を、管理サーバ110に送信しても良い。このビーコン信号を受信したことを示すログ情報には、図16に示す複数の項目のうち、例えば、「操作日時」、「イベント名」、「ビーコンID」、「病棟ID」、「病室ID」、「看護師ID」、「端末固有番号」等の情報が含まれる。これにより、管理サーバ110は、スタッフ104がどこにいるかを管理しても良い。
【0155】
図17は、一実施形態に係る端末装置のログ情報の例を示す図である。図1に例示したシステム構成では、1つの病室を、1つの発信装置130が出力するビーコン信号でカバーしていた。ただし、これに限られず、情報提供システム1は、1つの発信装置130が出力するビーコン信号で、複数の病室をカバーするものであっても良い。
【0156】
図17の例では、ビーコンID「200000C」のビーコン信号で、病室ID「1328」、「1329」、「1330」の3つ病室をカバーしている場合の例を示している。この場合、情報送信部507は、同じビーコンID「200000C」を含み、異なる病室ID「1328」、「1329」、「1330」を含む3つのログ情報を、管理サーバ110に送信する。これにより、管理サーバ110の共有情報管理部303は、1つのビーコン信号で1つの病室をカバーしているときと同様の仕組みで、病室ごとに患者の共有情報を管理することができる。
【0157】
また、情報提供システム1は、複数の発信装置130が出力するビーコン信号で、1つの病室をカバーするものであっても良い。
【0158】
例えば、端末装置100の情報送信部507は、管理サーバ110の施設情報管理部304等から、各病室と、ビーコンIDとの対応関係を示す情報を予め取得しておく。また、情報送信部507は、1つの病室内で複数のビーコンIDを受信したときには、図17に示すように、病室内で最初に受信したビーコンIDを含むログ情報を、管理サーバ110に送信する。これにより、管理サーバ110の共有情報管理部303は、1つのビーコン信号で1つの病室をカバーしているときと同様の仕組みで、病室ごとに患者の共有情報を管理することができる。
【0159】
(端末装置が受信する情報の例)
図18は、一実施形態に係る端末装置が受信する情報のフォーマットの一例を示す図である。端末装置100の情報取得部503は、管理サーバ110から共有情報を取得する際に、例えば、図18に示すようなフォーマットで情報を受信する。
【0160】
情報取得部503が受信する情報には、例えば、情報送信部507が送信するログ情報と同様に、「病棟ID」、「病室ID」、「患者番号1~4」、「共有情報1~4」、「看護師ID」、「端末固有番号」等の情報が含まれている。また、図18の例では、情報取得部503が受信する情報には、「最終更新日時」、「ダウンロード日時」等の情報が含まれている。このうち、「最終更新日時」は、管理サーバ110の共有情報111が最後に更新された日時を示しており、「ダウンロード日時」は、情報取得部503が、情報を受信(ダウンロード)した日時を示している。
【0161】
好適な一例として、「看護師ID」、「端末固有番号」等により、情報取得部503が受信した情報にアクセス可能なスタッフ104、端末装置100等を制限しても良い。
【0162】
(ビーコン信号から取得する情報の例)
図19は、一実施形態に係る端末装置がビーコン信号から取得する情報の一例を示す図である。端末装置100は、ビーコンID受信部502でビーコン信号を受信することにより、例えば、図19に示すように、受信日時、ビーコンID、RSSI、病棟ID、病室ID等の情報を取得することができる。
【0163】
このうち、受信日時は、ビーコン信号を受信したときの日時である。ビーコンIDは、ビーコン信号から取得したビーコンIDである。RSSIは、ビーコン信号の受信電波強度を示す情報である。
【0164】
また、端末装置100の情報取得部503は、例えば、ビーコンIDに対応する病棟、病室の情報を、管理サーバ110の施設情報管理部304等から予め取得しておくことにより、ビーコンIDから、病棟ID、病室ID等の情報を取得することができる。
【0165】
<まとめ>
以上、本発明の各実施形態によれば、施設内の医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を提供する情報提供システム1において、端末装置100が管理サーバ110と無線通信を行えない場合でも、適切な共有情報を提供できるようになる。
【0166】
これにより、施設10のスタッフ104は、施設10内の無線LAN等の電波が届かない場所でも、医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を参照することができるので、インシデントやヒヤリハット等の発生を抑制することができる。
【0167】
また、端末装置100は、施設10のスタッフ104が病室に行く前に、医療又は介護の対象となる人物に関する共有情報を更新するので、より適切な共有情報を提供することができる。
【0168】
さらに、端末装置100は、例えば、施設10のスタッフが待機するスタッフステーション(ナースステーション等)にいるときには、共有情報の更新を行わない、又は更新頻度を下げることにより、無線LAN等の通信トラフィックの増加を抑制することができる。
【0169】
さらにまた、施設10のスタッフ104は、意識的に複雑な操作をしなくても、無線LAN等の通信圏外において、対象病室内の患者の最新の共有情報(気づき情報)を参照できるので、重要な共有情報を見落とすことなく、確実な医療業務(又は介護業務)を行えるようになる。
【0170】
なお、本発明は、医療施設、介護施設等に限られず、例えば、商業施設、イベント施設等に適用することもできる。例えば、第2の実施形態で説明したように、複数の発信装置130を設置し、端末装置100が受信しているビーコンIDに基づいて、端末装置100の移動方向を推測することにより、移動方向に応じた店舗、イベント等の情報を、端末装置100に表示させること等が考えられる。
【符号の説明】
【0171】
1 情報提供システム
10 施設
100 端末装置
101 ナースステーション(スタッフステーションの一例)
110 管理サーバ
131a 領域(第1の領域)
131b 領域(第2の領域の一例)
131c 領域(第2の領域の一例)
111 共有情報
502 ビーコンID受信部(受信部)
503 情報取得部(取得部)
610 一覧表示画面(表示画面)
614 アイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19