(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】折り畳みコンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 6/18 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
B65D6/18 C
(21)【出願番号】P 2019172300
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-039500(JP,A)
【文献】特開2003-201737(JP,A)
【文献】特開平10-138287(JP,A)
【文献】特開2003-160138(JP,A)
【文献】特開2016-199296(JP,A)
【文献】特開2004-268919(JP,A)
【文献】特開2015-120523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底板と、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第1の側板と、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第2の側板とを、備え、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能な折り畳みコンテナであって、
前記底板は、前記組み立て状態における前記第2の側板の下方に位置する部分の端部に、前記底板の外側面に形成された上下方向に延びる複数の縦リブのうちの少なくとも二本の前記縦リブを含む第2側板支持端部を有し、
前記第2側板支持端部は、前記第2側板支持端部に含まれる前記縦リブを連結する横リブを有し、前記横リブは、前記組み立て状態において前記第1の側板の方へいく程下方に位置するように傾斜して
おり、
前記第2側板支持端部の下面は、前記折り畳みコンテナが床に載置された時に床との間に空間が形成されるように、前記空間に隣接して前記底板に設けられて床に載置される脚部の下面よりも上方に位置し、
前記横リブの延びる向きは、前記脚部の方を向いている
折り畳みコンテナ。
【請求項2】
矩形状の底板と、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第1の側板と、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第2の側板とを、備え、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能な折り畳みコンテナであって、
前記底板は、前記組み立て状態における前記第2の側板の下方に位置する部分の端部に、前記底板の外側面に形成された上下方向に延びる複数の縦リブのうちの少なくとも二本の前記縦リブを含む第2側板支持端部を有し、
前記第2側板支持端部は、前記第2側板支持端部に含まれる前記縦リブを連結する横リブを有し、前記横リブは、前記組み立て状態において前記第1の側板の方へいく程下方に位置するように傾斜しており、
前記第2側板支持端部を構成する一の前記縦リブが前記底板の角部に形成されており、
前記第2側板支持端部の下面は、前記折り畳みコンテナが床に載置された時に床との間に空間が形成されるように、前記空間に隣接して前記底板に設けられて床に載置される脚部の下面よりも上方に位置し、
前記横リブの延びる向きは、前記脚部の方を向いており、
前記底板は、前記組み立て状態における前記第2の側板の下方に位置する部分の中間部であって両方の前記第2側板支持端部の間に、複数の前記縦リブを含む第2側板支持中間部を有し、
前記第2側板支持中間部は、前記第2側板支持端部に含まれる前記横リブに連続し、かつ、前記第2側板支持中間部に含まれる前記縦リブを連結する中間部横リブを有す
る
折り畳みコンテナ。
【請求項3】
矩形状の底板と、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第1の側板と、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられた一対の第2の側板とを、備え、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能な折り畳みコンテナであって、
前記底板は、
前記組み立て状態における前記第2の側板の下方に位置する部分の端部に、前記底板の外側面に形成された上下方向に延びる複数の縦リブのうちの少なくとも二本の前記縦リブを含む第2側板支持端部と、
前記第1の側板に対応する一対の辺の端部からそれぞれ上方に向けて所定の突出高さで突出有して前記第1の側板が連結される第1の立ち上がり部と、を有し、
前記第1の立ち上がり部の前記第2側板支持端部側の端部と、前記第2側板支持端部の前記第1の立ち上がり部の端部のなす隅部に、前記第1の立ち上がり部の上面と前記第2側板支持端部の側面とを連結する三角形状の連結リブが形成されており、
前記第2側板支持端部は、前記第2側板支持端部に含まれる前記縦リブを連結する横リブを有し、前記横リブは、前記組み立て状態において前記第1の側板の方へいく程下方に位置するように傾斜しており、
前記横リブの下端部は、前記縦リブを介して前記連結リブに連続している
折り畳みコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳みコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、底板と第1の側板と第2の側板とを備え、折り畳み状態と組み立て状態とを選択的に構成可能な折り畳みコンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
第1の側板は、底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられ、第2の側板は、底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。底板上に一対の第1の側板を倒した上に一対の第2の側板を倒すことで、折り畳み状態とすることができる。また、一対の第2の側板を起立させた後に一対の第1の側板を起立させて、一対の第1の側板と一対の第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態とすることができる。
【0004】
側壁及び底板の外側の面には、主に補強のため、リブが形成されている。リブは、横方向に間隔をあけて形成される複数の縦リブを有している。
【0005】
折り畳みコンテナは、複数積み重ねることができる。すなわち、下側の組み立て状態の折り畳みコンテナの側壁上に、上側の組み立て状態の折り畳みコンテナの底板を載置したり、下側の折り畳み状態の折り畳みコンテナの底板上に、上側の折り畳み状態の折り畳みコンテナの底板を載置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような折り畳みコンテナにあっては、積み重ねられると、最下段の折り畳みコンテナの側壁に過大な荷重がかかるが、側壁の下側に空間があるため、底板が撓んで変形しようとする。この時、底板の外側の面に縦リブが形成されているものの、縦リブ間の変形を抑えにくく、底板の剛性及び強度の向上を図りにくい、という問題があった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、底板の剛性及び強度の向上を図りやすい折り畳みコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態の折り畳みコンテナは、矩形状の底板と、一対の第1の側板と、一対の第2の側板とを、備える。前記第1の側板は、前記底板の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。前記第2の側板は、前記底板の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。折り畳みコンテナは、前記底板上に一対の前記第1の側板を倒した上に一対の前記第2の側板を倒した折り畳み状態と、一対の前記第2の側板を起立させた後に一対の前記第1の側板を起立させて、一対の前記第1の側板と一対の前記第2の側板とで平面視矩形状をした側壁が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能である。
【0010】
前記底板は、前記組み立て状態における前記第2の側板の下方に位置する部分の端部に、第2側板支持端部を有する。前記第2側板支持端部は、前記底板の外側面に形成された上下方向に延びる縦リブのうちの少なくとも二本の前記縦リブを含む。前記第2側板支持端部は、前記第2側板支持端部に含まれる前記縦リブを連結する横リブを有する。前記横リブは、前記組み立て状態において前記第1の側板の方へいく程下方に位置するように傾斜している。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る折り畳みコンテナにあっては、底板の剛性及び強度の向上を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る折り畳みコンテナの組み立て状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の折り畳みコンテナの折り畳み状態の斜視図である。
【
図3】
図3Aは、同上の折り畳みコンテナの底板の斜視図である。
図3Bは、
図3Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図4】
図4Aは、同上の折り畳みコンテナの第1の側板の斜視図である。
図4Bは、
図4Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図5】
図5Aは、同上の第1の側板のロック部材の部分の水平断面を斜め上方より見た斜視図である。
図5Bは、同上の第1の側板の凹所の部分を斜め上方より見た斜視図である。
図5Cは、同上の凹所とロック部材の部分の垂直断面図である。
【
図6】
図6Aは、同上の折り畳みコンテナの第2の側板の斜視図である。
図6Bは、
図6Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図7】
図7Aは、同上の底板の第2側板支持端部の部分を斜め上方より見た斜視図である。
図7Bは、同上の第2側板支持端部の拡大正面図である。
【
図8】
図8Aは、同上の第2の側板の外側から見た正面図である。
図8Bは、
図8Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図9】
図9Aは、同上の第1の側板の外側から見た正面図である。
図9Bは、
図9Aの一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図11】
図11Aは、同上の第2の側板の低いリブを外側から見た一部拡大斜視図である。
図11Bは、同上の低いリブの部分の水平断面を一部拡大した図である。
図11Cは、同上の低いリブの部分の左右方向に垂直な断面を一部拡大した図である。
図11Dは、同上の低いリブの部分の前後方向に垂直な断面を一部拡大した図である。
【
図12】
図12Aは、同上の折り畳みコンテナの変形例において低いリブを外側から見た一部拡大斜視図である。
図12Bは、同上の折り畳みコンテナの他の変形例において低いリブを外側から見た一部拡大斜視図である。
【
図13】
図13は、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態における垂直断面図である。
【
図14】
図14Aは、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態において、第2の凸部と第1の対向部との関係を示す水平断面図である。
図14Bは、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態において、第1の凸部と第2の対向部との関係を示す水平断面図である。
図14Cは、同上の折り畳みコンテナの組み立て状態において、第1の対向部と第2の対向部との関係を示す水平断面図である。
【
図15】
図15は、同上の折り畳みコンテナの変形例における一部拡大平面図である。
【
図16】
図16Aは、更なる変形例の第2の側板の低い凸部を外側から見た一部拡大斜視図である。
図16Bは、同上の低い凸部の部分の水平断面を一部拡大した図である。
図16Cは、同上の低い凸部の部分の左右方向に垂直な断面を一部拡大した図である。
図16Dは、同上の低い凸部の部分の前後方向に垂直な断面を一部拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、折り畳みコンテナに関し、さらに詳しくは、底板と第1の側板と第2の側板とを備え、
図1に示す組み立て状態と、
図2に示す折り畳み状態とを選択的に構成可能な折り畳みコンテナに関する。以下、本発明の一実施形態に係る折り畳みコンテナについて、
図1~
図13に基いて説明する。
【0014】
本実施形態に係る折り畳みコンテナ1は、
図1に示すように、底板2と、一対の第1の側板3と、一対の第2の側板4とを、備える。なお、便宜上、
図1におけるように、方向を規定する。すなわち、折り畳みコンテナ1の中心を基準として、底板2の方を下方とするとともにその反対を上方とし、第1の側板3の方を前方とするとともにその反対を後方とし、前方より後方を見たときの左右をそれぞれ左方と右方とする。
【0015】
底板2は、
図3Aに示すように、平面視矩形状(特に長方形状)をしたものである。底板2は、底部21、第1の立ち上がり部22及び第2の立ち上がり部24を有する。底部21は、平面視矩形状(特に長方形状)をしたものである。図示しないが、底部21の下面には、平面視(下面視)格子状をしたリブが下方に向けて形成されている。底部21は、リブに囲まれる部分にそれぞれ上下に貫通する貫通孔を有するメッシュ状に形成されている。
【0016】
底部21の平面視における短辺側の端部にそれぞれ第1の立ち上がり部22が設けられている。第1の立ち上がり部22は、底部21の平面視における一対の短辺の端部からそれぞれ上方に向けて、所定の突出高さで突出している。第1の立ち上がり部22は、底部21と一体に形成される。第1の立ち上がり部22は、前後方向に見て矩形状をしている。
図3Bに示すように、第1の立ち上がり部22には、第1の側板3が連結される第1の連結部23が形成される。
【0017】
図3Aに示すように、底部21の平面視における長辺側の端部にそれぞれ第2の立ち上がり部24が設けられている。第2の立ち上がり部24は、底部21の平面視における一対の長辺の端部からそれぞれ上方に向けて、第1の立ち上がり部22の突出高さよりも高い突出高さで突出している。第2の立ち上がり部24は、底部21と一体に形成される。第2の立ち上がり部24は、左右方向に見て矩形状をしている。第2の立ち上がり部24は、左右に貫通する貫通孔を多数有するメッシュ状に形成されている。
図3Bに示すように、第2の立ち上がり部24には、第2の側板4が連結される第2の連結部25が形成される。
【0018】
底板2は、組み立て状態における第2の側板4の下方に位置する部分の端部に、第2側板支持端部26を有する。第2側板支持端部26は、底部21の長辺側の端部において、底部21の中央部の上面よりも上方に突出する。本実施形態では、第2の立ち上がり部24の長手方向の両端部がそれぞれ第2側板支持端部26となる。
【0019】
更に、底板2は、第2側板支持中間部27を有する。第2側板支持中間部27は、組み立て状態における第2の側板4の下方に位置する部分の中間部、すなわち、両方の第2側板支持端部26の間に位置する。本実施形態では、第2の立ち上がり部24の両方の第2側板支持端部26の間の部分が第2側板支持中間部27となる。
【0020】
底部21の中央部の上面からの第2側板支持端部26の突出高さは、底部21の中央部の上面からの第2側板支持中間部27の突出高さよりも高い。すなわち、第2側板支持端部26の上面は、第2側板支持中間部27の上面よりも高い。また、本実施形態では、第2の立ち上がり部24の長手方向の中間部が第2側板支持中間部27となっているため、第2側板支持中間部27の上面は、底部21の中央部の上面よりも高いが、第2側板支持中間部27の上面が底部21の中央部の上面と同一平面上にあってもよい。底部21については後で更に説明する。
【0021】
第1の側板3は、
図4A及び
図9Aに示すように、底板2の対向する一対の辺(本実施形態では短辺)にそれぞれ回転可能に取付けられる。第1の側板3は、前後方向に見て矩形状(特に正方形状)をしたものである。第1の側板3の外面には、リブ31が外方に向けて形成されている。ここで、内外について、組み立て状態における第1の側板3及び第2の側板4の厚み方向のうち、折り畳みコンテナ1における内部の側を内側とするとともに外部の側を外側とする。リブ31は、左右方向に離間して上下方向に伸びる複数の縦リブ311と、上下方向に離間して左右方向に伸びる複数の横リブ312とにより構成される。第1の側板3は、前後に貫通する多数の貫通孔を有するメッシュ状に形成されている。第1の側板3には、左右方向の中央部で上下方向の上部に、左右方向に長い長方形状をした把手口32が形成されている。
【0022】
第1の側板3の外面には、リブ31が形成されない平坦部37が形成される。平坦部37として、第1の側板3の上端部の横方向両端部において上下に延びる平坦部371、把手口32の上側及び下側において左右に延びる平坦部372、把手口32の上端部よりも下側の横方向両端部において上下に延びる平坦部373が形成される。
【0023】
第1の側板3には、ロック部材33が設けられる。ロック部材33は、第1の側板3の把手口32の上側の部分に配置される。
図4Bに示すように、第1の側板3の外面の把手口32の上側の部分には、左右方向に長い長方形状をした、内方に凹む凹所34が形成されている。ロック部材33は、左右方向に長い長方形状をしたもので、左右方向の長さは凹所34の左右方向の長さより若干短く、上下方向の長さは凹所34の上下方向の長さの半分ほどである。ロック部材33は、凹所34内に収容され、左右方向には移動せず、上下方向に移動可能となる。ロック部材33の左右の端部にはそれぞれ、左右に突出するロック凸部331が形成されている。ロック凸部331は、第1の側板3の凹所34を囲む堰状部分を貫通して堰状部分の左右にそれぞれ突出しており、これによりロック部材33の凹所34からの抜け止めがなされている。堰状部分のロック凸部331に貫通される部分は、上下方向に長い長孔となっており、ロック凸部331(ロック部材33)は上下方向に移動可能となっている。
【0024】
ロック部材33は、例えばロック部材33の一部に形成される板ばね等の弾性部332により上向きの力が加えられ、外力が加えられていないときには凹所34の上端部に位置している。ロック部材33に下向きの外力が加えられると、ロック部材33は凹所34の下端部に向けて移動する。
【0025】
図5Aに示すように、ロック部材33は、凹所34の内面を向く面に、引っ掛け片333を有する。
図5Bに示すように、凹所34の内面には、上下方向に延びる引っ掛け受け片341を有する。ロック部材33の引っ掛け片333が凹所34の引っ掛け受け片341に引っ掛けられて、ロック部材33の凹所34からの抜け止めがなされた状態で、ロック部材33が凹所34内を上下に移動可能となる。
【0026】
凹所34の内面には、傾斜リブ342が形成されている。
図5Cに示すように、傾斜リブ342の突出端面は、下方へいく程、凹所34の内面からの突出長さが長くなるように傾斜している。傾斜リブ342の突出端面の凹所34の内面に対する傾斜角は、0.5°以上5°以下、より好ましくは1°以上2°以下の角度が適宜採用可能である。傾斜リブ342が形成されることにより、ロック部材33の内面の下面である操作面334が略水平(水平を含む)となり、使用者の指が掛かりやすくなるため、ロック部材33を操作しやすくなる。すなわち、ロック部材33を成形する際の金型の抜き勾配が必要であるため、ロック部材33の成形品においては、ロック部材33の凹所34の表面に対向する面を垂直としたとき、操作面334が指の挿入される側へいくほど下方に位置するように傾斜する。操作面334が指の挿入される側へいくほど下方に位置するように傾斜すると、指を操作面334に引っ掛けてロック部材33を下方に移動させにくい。本実施形態では傾斜リブ342が形成されるため、ロック部材33全体を傾けて、操作面334を略水平にすることができるため、指が掛かりやすくなる。なお、傾斜リブ342が形成されることにより、操作面334が略水平ではなく、指の挿入される側へいくほど上方に位置するように傾斜してもよい。
【0027】
第1の側板3には、
図4Aに示すように、底板2に連結される連結部35が設けられる。連結部35は、第1の側板3の下端面から下方に突設されている。連結部35は、第1の側板3の下端面から下方に突出する基部と、基部から左右方向にそれぞれ突出する軸部とにより構成される。一方、
図3Bに示すように、第1の立ち上がり部22に形成される第1の連結部23は、軸部が挿入される受け部を有する。軸部は、受け部からの抜け止めがなされた状態で、受け部に挿入される。すなわち、連結部35が有する軸部と第1の連結部23が有する受け部とにより構成される軸受構造により、第1の側板3は底板2に回転可能に取付けられる。なお、本実施形態では連結部35が軸部を有すると共に第1の連結部23が受け部を有しているが、連結部35が受け部を有すると共に第1の連結部23が軸部を有してもよい。
【0028】
第2の側板4は、
図2に示すように、底板2の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。
図6Aに示すように、第2の側板4は、左右方向に見て矩形状(特に長方形状)をしたものである。第2の側板4の外面には、
図1に示すように、リブ41が外方に向けて形成されている。リブ41は、前後方向に離間して上下方向に伸びる複数の縦リブ411と、上下方向に離間して前後方向に伸びる複数の横リブ412とにより構成される。第2の側板4は、前後に貫通する多数の貫通孔を有するメッシュ状に形成されている。
図6Aに示すように、第2の側板4には、前後方向の中央部で上下方向の上部に、前後方向に長い長方形状をした把手口42が形成されている。
【0029】
第2の側板4には、底板2に連結される連結部43が設けられる。連結部43は、第2の側板4の下端面から下方に突設されている。連結部43は、第2の側板4の下端面から下方に突出する基部と、基部から前後方向にそれぞれ突出する軸部とにより構成される。一方、
図3Bに示すように、第2の立ち上がり部24に形成される第2の連結部25は、軸部が挿入される受け部を有する。受け部は、上下方向において軸部よりも長く形成されている。軸部は、受け部からの抜け止めがなされた状態で、受け部に挿入され、受け部内を上下に移動可能に構成されている。すなわち、連結部43が有する軸部と第2の連結部25が有する受け部とにより構成される軸受構造により、第2の側板4は底板2に回転可能に取付けられる。なお、本実施形態では連結部43が軸部を有すると共に第2の連結部25が受け部を有しているが、連結部43が受け部を有すると共に第2の連結部25が軸部を有してもよい。
【0030】
図6Bに示すように、第2の側板4には、底板2に対して起立した第1の側板3が外方に倒れないようにする倒れ防止部44を有する。倒れ防止部44は、第2の側板4の前後方向の両端部における上部に、内面側に突出する、上下方向に長い長方形状をした受け片により形成される。倒れ防止部44は、前後方向における内方側に引っ掛け片からなるロック部45を有している。底板2に対して先に起立した第2の側板4のロック部45には、後で底板2に対して起立される第1の側板3のロック凸部331が引っ掛けられる。
図6Bに示すロック部45には、
図4Bに示す後から起立される第1の側板3のロック凸部331が後方より接触する。
図6Bに示すように、ロック部45の下端部は前方へ行くほど下方に位置するように傾斜しており、
図4Bに示すように、ロック凸部331の上端部は前方へ行くほど下方に位置するように傾斜している。これにより、後から起立される第1の側板3のロック凸部331がロック部45に後方より接触すると、ロック凸部331が下方に移動してロック部45の下側を越え、ロック凸部331がロック部45の前方に移動すると、ロック凸部331は上方に移動して、ロック部45の前方でかつ倒れ防止部44の後方に位置してロック状態となる。これにより、底板2に対して起立した第1の側板3が外方及び内方に倒れないようになされる。
【0031】
また、ロック状態を解除するには、使用者がロック部材33を下方に移動させればよい。これにより、ロック凸部331がロック部45の下側に位置するため、第1の側板3を内方に倒すとロック凸部331がロック部45の下側を通って内方に移動し、ロック状態が解除される。
【0032】
折り畳みコンテナ1は、
図2に示すように、底板2上に一対の第1の側板3を倒した上に一対の第2の側板4を倒して、折り畳み状態とすることができる。第2の側板4が連結される第2の立ち上がり部24の突出高さが、第1の側板3が連結される第1の立ち上がり部22の突出高さよりも高いため、このような折り畳み状態が可能となっている。
【0033】
また、底板2上に倒される一対の第1の側板3は、互いに接触することはない。これに対して、底板2上に倒された一対の第1の側板3上に倒される一対の第2の側板4は、上下に重なるが、いずれの第2の側板4が上側に位置してもよい。
【0034】
また、折り畳みコンテナ1は、
図1に示すように、一対の第2の側板4を起立させた後に一対の第1の側板3を起立させて、一対の第1の側板3と一対の第2の側板4とで平面視矩形状をした側壁5が形成される組み立て状態とすることができる。折り畳みコンテナ1は、組み立て状態と折り畳み状態とを選択的に構成可能である。
【0035】
また、組み立て状態の折り畳みコンテナ1は、複数積み重ねることができる。すなわち、下側の組み立て状態の折り畳みコンテナ1の側壁5上に、上側の組み立て状態の折り畳みコンテナ1の底板2を載置することができる。同じ要領で三段以上の組み立て状態の折り畳みコンテナ1を積み重ねることも可能である。
【0036】
図7Aに示すように、底板2の外側面には、上下方向に延びる複数の縦リブ201が形成されている。本実施形態では、第2の立ち上がり部24の外側面に縦リブ201が形成されており、第1の立ち上がり部22の外側面には縦リブ201は形成されていない。なお、第1の立ち上がり部22の外側面に縦リブ201が形成されてもよい。
【0037】
図7Bに示すように、縦リブ201は、第2側板支持端部26の外側面に横方向に間隔をあけて二本形成されており、
図7Aに示すように、第2側板支持中間部27の外側面に横方向に間隔をあけて複数本形成されている。第2側板支持端部26に形成される縦リブ201のうち、内側(第1の側板3の方であり、
図7Bにおける左方)のものを内縦リブ2011とし、外側(
図7Bにおける右方)のものを外縦リブ2012とする。なお、第2側板支持端部26の外側面に三本以上の縦リブ201が形成されてもよい。
【0038】
このような縦リブ201が第2の立ち上がり部24の外側面に形成されることにより、底板2(特に第2の立ち上がり部24)の剛性及び強度が向上する。すなわち、組み立て状態の折り畳みコンテナ1が複数積み重ねられると、最下段の折り畳みコンテナ1の第2の立ち上がり部24には過大な荷重がかかる。第2の立ち上がり部24に縦リブ201が形成されない場合、第2の立ち上がり部24に過大な荷重がかかると、第2側板支持端部26の下側には空間が形成されているため底板2が撓んで変形しやすく、変形が一定以上となると破壊されるおそれがある。第2の立ち上がり部24に縦リブ201が形成されることにより、組み立て状態の折り畳みコンテナ1が複数積み重ねられても、第2の立ち上がり部24が変形しにくく、破壊されにくい。
【0039】
第2側板支持端部26は、第2側板支持端部26に含まれる縦リブ201を連結する横リブ28を有する。本実施形態では、横リブ28は、縦リブ201の中間部に、上下に間隔をあけて二本形成されている。二本の横リブ28のうち、上側のものを上横リブ281とし、下側のものを下横リブ282とする。上横リブ281と下横リブ282とは、上下に離れて平行である。横リブ28は、中間部横リブ271よりも厚みが厚く形成されてもよい。本実施形態では横リブ28は二本設けられているが、横リブ28は三本以上設けられてもよい。
【0040】
横リブ28は、組み立て状態において第1の側板3の方へいく程下方に位置するように傾斜している。言い換えると、横リブ28は、外縦リブ2012から内縦リブ2011にかけて下り傾斜している。
【0041】
横リブ28が第2側板支持端部26に形成されることにより、第2の立ち上がり部24(特に第2側板支持端部26)の剛性及び強度がより一層向上する。すなわち、第2側板支持端部26に横リブ28が形成されない場合と比較して、第2側板支持端部26が撓んだりして変形しにくく、破壊されにくい。
【0042】
更に、横リブ28は、外縦リブ2012から内縦リブ2011にかけて下り傾斜していることにより、横リブ28が水平となる場合と比較して、第2側板支持端部26にかかる荷重を、より底板2の内側へ伝えることができ、底板2の撓みを抑えやすくすることができる。
【0043】
また、下横リブ282の下端は、第1の立ち上がり部22の上面に連続している。これにより、下横リブ282にかかる荷重を、第1の立ち上がり部22によりよく伝えることができる。
【0044】
第2側板支持中間部27は、中間部横リブ271を有する。中間部横リブ271は、第2側板支持中間部27に含まれる縦リブ201を連結する。中間部横リブ271は、縦リブ201の上端部同士、中間部同士及び下端部同士を連結している。中間部横リブ271が第2側板支持中間部27に形成されることにより、第2側板支持中間部27の剛性及び強度がより一層向上する。
【0045】
中間部横リブ271は、更に、第2側板支持端部26に含まれる横リブ28に縦リブ201を介して連続する。これにより、縦リブ201が破損しにくくなる。すなわち、横リブ28及び中間部横リブ271が連結される縦リブ201において、横リブ28が連結される部分と、中間部横リブ271が連結する部分とが異なる場合、横リブ28が連結される部分と中間部横リブ271が連結する部分との間に曲げモーメント等がかかって破損しやすくなる。これに対して、中間部横リブ271が縦リブ201を介して横リブ28に連続する場合、縦リブ201に曲げモーメント等がかかりにくく、縦リブ201が破損しにくい。
【0046】
中間部横リブ271は、上面が一段低くなっている第2側板支持中間部27の上壁リブ270と縦リブ201を介して連続している。更に、中間部横リブ271は、縦リブ201を介して上横リブ281と連続している。
【0047】
第2側板支持端部26は、上端部に上方に膨らむ膨出部261を有する。膨出部261は、第2側板支持端部26の上面の内側(
図7Bにおける左方)の端部近傍に形成され、第2側板支持端部26の上面の外側の部分よりも上方に突出している。このような膨出部261が形成されていることにより、組み立て状態の折り畳みコンテナ1が積み重ねられた際、下側の折り畳みコンテナ1の第2側板支持端部26にかかる荷重を膨出部261で受けて、より底板2の内側へ伝えることができ、底板2の撓みを抑えやすくすることができる。
【0048】
また、第1の立ち上がり部22の第2側板支持端部26側の端部と、第2側板支持端部26の第1の立ち上がり部22の端部のなす隅部に、第1の立ち上がり部22の上面と第2側板支持端部26の側面とを連結する三角形状の連結リブ29が形成されている。この連結リブ29によっても、組み立て状態の折り畳みコンテナ1が積み重ねられた際、下側の折り畳みコンテナ1の第2側板支持端部26にかかる荷重を連結リブ29を介してより底板2(第1の立ち上がり部22)の内側へ伝えることができ、底板2の撓みを抑えやすくすることができる。
【0049】
横リブ28(上横リブ281)の下端部は、縦リブ201(内縦リブ2011)を介して連結リブ29の上端部に連続している。これにより、横リブ28にかかる荷重を、連結リブ29によく伝えることができる。なお、横リブ28の下端部は、縦リブ201を介して連結リブ29の上端部に連続しなくてもよい。
【0050】
図8B及び
図9Bに示すように、側壁5の外側の面には、環状となり内部の空間60を囲むリブ壁6が形成される。リブ壁6は、一対の縦リブと、一対の横リブとにより環状に構成される。側壁5が第2の側板4の場合には、
図8Bに示すように、隣接する一対の縦リブ411と、隣接する一対の横リブ412とにより、環状に連続するリブ壁6が構成される。また、側壁5が第1の側板3の場合には、
図9Bに示すように、隣接する一対の縦リブ311と、隣接する一対の横リブ312とにより、環状に連続するリブ壁6が構成される。
【0051】
図8B及び
図9Bに示すように、空間内の側壁5の外側の面から、リブ壁6の側壁5の外側の面からの突出高さよりも低い突出高さで突出する低いリブ7が形成される。低いリブ7は、
図11A及び
図11Cに示すように、空間60内において、下側の横リブ(横リブ412又は横リブ312)の横方向における中央部と、側壁5の外側の面と、一体に接続されている。
【0052】
図11Dに示すように、低いリブ7の上下方向の長さは、空間60の上下方向の長さの半分である。低いリブ7は、突出高さが低いリブ7の下側へいく程高くなるように、傾斜している。すなわち、低いリブ7の突出高さは、下端において横リブと接続されている部分が最も高く形成されている。低いリブ7の上端は、空間60の上下方向の長さの略半分の位置にあり、突出高さは0となる。低いリブ7の下端における突出高さは、リブ壁6の側壁5の外側の面からの突出高さの半分である。
【0053】
図11Bに示すように、低いリブ7の横方向における側面71の側壁5の外側の面に連続する端部は、傾斜面70となる。傾斜面70は、本実施形態では、側壁5の外側の面への連続方向に低いリブ7用の曲率半径で湾曲する湾曲面である。また、
図11Aに示すように、リブ壁6の側面の側壁5の外側の面に連続する端部は、側壁5の外側の面への連続方向にリブ壁6用の曲率半径で湾曲する湾曲面となる。低いリブ7用の曲率半径は、リブ壁6用の曲率半径よりも大きい。
【0054】
上述した折り畳みコンテナ1は、組み立て状態で洗浄水をかけて洗浄する。洗浄水をかけるにあたっては、折り畳みコンテナ1を天地逆向きとし、底板2の下面(ただしこの時は上向き)及び側壁5の外面に洗浄水をかける。洗浄水は、底板2の下面及び側壁5の外面にかかるのみならず、メッシュの貫通孔を通して、底板2の上面(ただしこの時は下向き)及び側壁5の内面にも達する。この時、
図10Bに示すように、側壁5の内面に凹部46が形成されている。なお、隣接する凹部46の間にはリブ47が形成されている。この凹部46の下側の内側面が傾斜面48となり、傾斜面48の下端に形成された開口49から排水される。これにより、洗浄時の排水性能が向上する。リブ47の中で、傾斜面48の下端となる部分471は、リブ31及びリブ41と同様の厚みを有し、傾斜面48の上端となる部分472は、リブ31及びリブ41よりも厚みが厚い。なお、このような凹部46、リブ47又は傾斜面48はそれぞれ任意の構成であり、設けられなくてもよい。
【0055】
折り畳みコンテナ1に洗浄水をかけて洗浄した後、折り畳み状態とし、上下方向に伸びる回転軸周りに回転させて、遠心力によって表面に残っている洗浄水を飛散させて除去する。低いリブ7が形成されない場合には、折り畳みコンテナ1の表面の空間60に残っている洗浄水は、脱水の際に遠心力により側壁5の外側の面を伝ってリブ壁6の方へ移動する。この時、リブ壁6の側壁5の外側の面への連続部分は湾曲面であるが、その曲率半径であるリブ壁6用の曲率半径は、低いリブ7用の曲率半径よりも小さい。このため、遠心力により加速されて側壁5の外側の面に沿ってリブ壁6の方へ移動する洗浄水は、移動方向をスムーズに側壁5の外側の面から離れる方に変えにくく、空間60の外へ飛散されにくい。
【0056】
これに対して、本実施形態では、
図8B及び
図9Bに示すように、低いリブ7が形成されているため、側壁5の外側の面に沿ってリブ壁6の方へ移動する洗浄水は、リブ壁6用の曲率半径よりも大きい低いリブ7用の曲率半径の傾斜面70に沿って、移動方向をスムーズに側壁5の外側の面から離れる方に変えやすい。これにより、折り畳みコンテナ1の表面の空間60に残っている洗浄水は、脱水の際に遠心力により側壁5の外側の面を伝ってリブ壁6の方へ移動し、傾斜面70に沿って移動方向を側壁5の外側の面から離れる方に変えて、空間60の外へ飛散されやすい。
【0057】
折り畳みコンテナ1は、
図13に示すように、組み立て状態において、第1の側板3と第2の側板4との間に、設計上、所定のクリアランス50が形成されるように、各部材、すなわち底板2、第1の側板3及び第2の側板4が形成されている。具体的には、組み立て状態において、第1の側板3の第2の側板4に近接して対向する部分である第1の対向部30(
図4B参照)と、第2の側板4の第1の側板3に近接して対向する部分である第2の対向部40(
図6B参照)との間にそれぞれ
図14Cに示すクリアランス50が形成されるものである。クリアランス50は、0.3~3mm(好ましくは0.5~2mm)等の適宜範囲内の数値となるように設定されるが、特にこれらの数値に限定されない。
【0058】
このようなクリアランス50が形成されない場合、折り畳みコンテナ1を折り畳み状態から組み立てて組み立て状態とする際に、第1の側板3と第2の側板4とが衝突しやすく、組み立て作業がしにくい。上記のようなクリアランス50が形成されることにより、クリアランス50がない場合と比べて、第1の側板3と第2の側板4とが衝突しにくく、組み立て作業がしやすい。
【0059】
しかしながら、組み立て状態において上記のようなクリアランス50が形成される場合、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しやすくなるため、折り畳みコンテナ1は、変形しやすくなり、ひねりが発生しやすくなる。
【0060】
そこで、本実施形態では、クリアランス50を確保して組み立て作業のしやすさを確保しつつ、クリアランス50によるひねりの発生を抑制すべく、クリアランス50を小さくさせる(又は無くす)第1の凸部51及び第2の凸部52を折り畳みコンテナ1に形成する。
【0061】
第1の凸部51は、
図4Bに示すように、第1の対向部30の一部に形成され、所定の突出高さを有するものである。本実施形態では、第1の凸部51は、第1の側板3の上端部近傍に位置する第1の対向部30に形成される。
【0062】
第2の凸部52は、
図6Bに示すように、第2の対向部40の一部に形成され、所定の突出高さを有するものである。本実施形態では、第2の凸部52は、第2の側板4の上端部近傍(特に上端部)に位置する第2の対向部40に形成される。
【0063】
第1の凸部51と第2の凸部52とは、上下方向にずれた位置に形成されている。本実施形態では、
図13に示すように、第2の凸部52が第1の凸部51の上側に位置している。第1の凸部51と第2の凸部52との間には、隙間11が形成されている。この隙間11が形成されることにより、組み立て作業がしやすくなる。
【0064】
第1の凸部51の突出高さは、第1の側板3の上端部近傍に位置する第1の対向部30と、第2の側板4の上端部近傍に位置する第2の対向部40との間のクリアランス50(例えば0.5mm)と同じに設定される。このため、第1の凸部51の突出端面である平面が、第2の対向部40である平面と、面接触する。なお、第1の凸部51の突出高さは、クリアランス50より短くてもよいし、クリアランス50より長くてもよい。第1の凸部51は、外側の端部に、外側へいくほど突出高さが低くなる第1の傾斜部511を有している(
図4B、
図14B参照)。第1の傾斜部511の表面は、平面からなる傾斜面となっている。
【0065】
第2の凸部52の突出高さは、クリアランス50と同じに設定される。このため、第2の凸部52の突出端面である平面が、第1の対向部30である平面と、面接触する。なお、第2の凸部52の突出高さは、クリアランス50より短くてもよいし、クリアランス50より長くてもよい。第2の凸部52は、内側の端部に、内側へいくほど突出高さが低くなる第2の傾斜部521を有している(
図6B、
図14A参照)。第2の傾斜部521の表面は、平面からなる傾斜面となっている。
【0066】
また、
図4Bに示すように、本実施形態では、第1の側板3の第1の対向部30の一部にリブ36が形成されている。リブ36は、第2の対向部40に向けて突出する横片と、横片の先端から上方に突出する縦片とを有する前後方向に見てL字状をしたものである。
【0067】
また、
図6Bに示すように、第2の側板4の第2の対向部40のリブ36に対応する部分に、溝部441が形成されている。溝部441は、前後方向に見て、L字状をしたリブ36が挿入される、下方及び前後方向に開放するものである。
【0068】
折り畳みコンテナ1の組み立て状態において、
図13に示すように、リブ36が溝部441に挿入される。リブ36と溝部441の内面とは、接触している。これにより、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなり、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくくなる。
【0069】
本実施形態の折り畳みコンテナ1には、第1の凸部51及び第2の凸部52が形成されているため、組み立て状態において折り畳みコンテナ1には、第1の凸部51及び第2の凸部52が形成された部分にはクリアランス50が形成されない。このため、この折り畳みコンテナ1にあっては、組み立て状態において、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなるため、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくい。
【0070】
特に、本実施形態においては、第1の凸部51は第1の側板3の上端部(近傍)に形成され、第2の凸部52は第2の側板4の上端部(近傍)に形成されている。第1の側板3及び第2の側板4は、下端部が底板2に回転可能に連結されているため、下端部を中心として上端部が回転して移動するものであり、第1の側板3及び第2の側板4は、上端部が移動しやすい。第1の凸部51が第1の側板3の上端部に形成され、第2の凸部52が第2の側板4の上端部に形成されることにより、折り畳みコンテナ1のひねりの発生を効果的に抑制することができる。
【0071】
また、折り畳みコンテナ1に第1の凸部51及び第2の凸部52が形成されているため、折り畳みコンテナ1を組み立てる際に、第1の凸部51と第2の対向部40とが衝突しやすく、第2の凸部52と第1の対向部30とが衝突しやすい。そこで、本実施形態では、第1の凸部51が第1の傾斜部511を有し、第2の凸部52は第2の傾斜部521を有しているため、第1の傾斜部511及び第2の傾斜部521がない場合と比べて、第1の凸部51と第2の対向部40とが衝突しにくく、第2の凸部52と第1の対向部30とが衝突しにくい。これにより、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。また、第2の対向部40は第1の傾斜部511にガイドされ、第1の対向部30は第2の傾斜部521にガイドされるため、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。
【0072】
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0073】
底板2(底部21)は、平面視正方形状をしたものであってもよい。また、底板2(底部21)は、平面視形状は必ずしも矩形状でなくてもよい。
【0074】
底部21の下面にリブが形成されなくてもよい。底部21は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、底部21は、上下に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。
【0075】
第1の立ち上がり部22の形状は特に限定されない。第1の立ち上がり部22は、メッシュ状に形成されてもよい。すなわち、第1の立ち上がり部22は、上下に貫通する貫通孔を有してもよい。また、第1の立ち上がり部22は任意の構成であって設けられなくてもよく、第1の立ち上がり部22が設けられない場合には、底部21に第1の連結部23が形成される。
【0076】
第2の立ち上がり部24の形状は特に限定されない。第2の立ち上がり部24は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、第2の立ち上がり部24は、左右に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。また、第2の立ち上がり部24は任意の構成であって設けられなくてもよく、第2の立ち上がり部24が設けられない場合には、底部21に第2の連結部25が形成される。
【0077】
第1の側板3は、前後方向に見て長方形状をしたものであってもよいし、必ずしも矩形状をしたものでなくてもよい。第1の側板3には、リブ31が形成されなくてもよい。第1の側板3は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、第1の側板3は、前後に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。第1の側板3に形成される把手口32の形状、大きさ、第1の側板3における位置は、限定されない。また、第1の側板3に把手口32が形成されなくてもよい。
【0078】
第2の側板4は、左右方向に見て正方形状をしたものであってもよいし、必ずしも矩形状をしたものでなくてもよい。第2の側板4には、リブ41が形成されなくてもよい。第2の側板4は、メッシュ状に形成されなくてもよい。すなわち、第2の側板4は、左右に貫通する貫通孔を有しなくてもよい。第2の側板4に形成される把手口42の形状、大きさ、第2の側板4における位置は、限定されない。また、第2の側板4に把手口42が形成されなくてもよい。
【0079】
第1の凸部51が第2の凸部52の上側に位置してもよい。第1の凸部51と第2の凸部52とは、上下にずれた位置に形成されなくてもよい。すなわち、第1の凸部51と第2の凸部52とは、上下方向において同じ位置に形成されてもよい。この場合、第1の凸部51の突出高さ及び第2の凸部52の突出高さは、それぞれ所定のクリアランス50の半分以下とするのが好ましい。
【0080】
また、第1の凸部51と第2の凸部52とは、上下方向において同じ位置で、かつ、平面視において異なる位置に形成されてもよい。例えば、互いに対向する第1の対向部30と第2の対向部40のうち、第1の対向部30の側壁5の厚み方向の外側(又は内側)の部分に第1の凸部51が形成され、第2の対向部40の内側(又は外側)の部分に第2の凸部52が形成されてもよい。この場合、第1の凸部51の突出高さ及び第2の凸部52の突出高さは、それぞれ所定のクリアランス50と同じにするのが好ましい。
【0081】
第1の凸部51と第2の凸部52との間に、隙間11が形成されなくてもよい。これにより、組み立て作業はしにくくなるものの、組み立て状態において折り畳みコンテナ1にひねりが発生しにくくなる。
【0082】
第1の凸部51は、第1の側板3の上端部(近傍)に形成されなくてもよい。すなわち、第1の凸部51は、第1の側板3の上端部よりも下方(上下方向における中間部)に形成されてもよい。同様に、第2の凸部52は、第2の側板4の上端部(近傍)に形成されなくてもよい。すなわち、第2の凸部52は、第2の側板4の上端部よりも下方(上下方向における中間部)に形成されてもよい。
【0083】
また、第1の凸部51は、第1の側板3の上端部及び上端部よりも下方の部分のそれぞれに形成されてもよい。同様に、第2の凸部52は、第2の側板4の上端部及び上端部よりも下方の部分のそれぞれに形成されてもよい。第1の凸部51と第2の凸部52とが形成される上下方向における位置及び個数は、限定されない。
【0084】
上記実施形態では、第1の凸部51の突出端が平面であり、第2の対向部40も平面であり、これらが組み立て状態において面接触していた。これに対し、第1の凸部51の突出端が突起であり、この突起と第2の対向部40とが点接触するものでもよい。あるいは、第1の凸部51の突出端が突条であり、この突条と第2の対向部40とが線接触するものでもよい。同様に、第2の凸部52の突出端が突起であり、この突起と第1の対向部30とが点接触するものでもよい。あるいは、第2の凸部52の突出端が突条であり、この突条と第1の対向部30とが線接触するものでもよい。
【0085】
第1の傾斜部511の表面である傾斜面は、上記実施形態では平面であるが、曲面(湾曲面)であってもよい。また、第1の傾斜部511は任意の構成であって設けられなくてもよい。
【0086】
第2の傾斜部521の表面である傾斜面は、上記実施形態では平面であるが、曲面(湾曲面)であってもよい。また、第2の傾斜部521は任意の構成であって設けられなくてもよい。
【0087】
また、第1の傾斜部511のみ設けられて第2の傾斜部521が設けられなくてもよく、第2の傾斜部521のみ設けられて第1の傾斜部511が設けられなくてもよく、第1の傾斜部511及び第2の傾斜部521の両方が設けられなくてもよい。
【0088】
空間60内における低いリブ7が形成される横方向の位置は、特に限定されない。低いリブ7の上下方向の長さは、特に限定されない。低いリブ7は、部位によって突出高さが異なってもよいし、一様な突出高さであってもよい。低いリブ7の下端における突出高さは、リブ壁6の側壁5の外側の面からの突出高さの3分の1以下としてもよい。低いリブ7の突出高さは、リブ壁6の側壁5の外側の面からの突出高さより低ければ特に限定されない。
【0089】
低いリブ7の下端における先端面(
図11Bにおける符号7が指す部分)は、側面71の傾斜面70(但しこちらは入隅状)と同じ低いリブ7用の曲率半径を持つ湾曲面としてもよい。
【0090】
低いリブ7用の曲率半径は、リブ壁6用の曲率半径と同じでもよい。
【0091】
低いリブ7は、下側の横リブと接続されるのが好ましいが、特に下側の横リブと接続されなくてもよい。すなわち、低いリブ7は、下側の横リブと接続されず上側の横リブと接続されてもよいし、下側及び上側の両方の横リブと接続されなくてもよい。一空間60内に低いリブ7が複数形成されてもよい。
【0092】
横リブ(例えば
図8Bにおける下側の横リブ412又は
図9Bにおける下側の横リブ312)は、空間60に面する上面が、低いリブ7に向けて下り傾斜してもよい。また、この場合、低いリブ7の両側に開口49と同様の開口が形成されてもよい。
【0093】
傾斜面70は、湾曲面ではなく、側壁の外側の面と90度未満の角度をなす平面からなるものであってもよい。
【0094】
また、空間60内に残る洗浄水は一例であり、空間60内に残るのは他の液体であってもよく、液体の種類は限定されない。
【0095】
また、
図12Aに示すように、低いリブ7の上下方向の長さが空間60の上下方向の長さと同じであり、低いリブ7は、突出高さが低いリブ7の下側へいく程高くなるように、傾斜してもよい。
【0096】
また、
図12Bに示すように、低いリブ7の上下方向の長さが空間60の上下方向の長さと同じであり、低いリブ7は、上下方向にわたって、突出高さがリブ壁6の側壁5の外側の面からの突出高さの半分で一様となっていてもよい。
【0097】
リブ壁6を構成する縦リブと横リブの接続部分において、縦リブの内面と横リブの内面が、低いリブ7用の曲率半径と同じかこれ以上の曲率半径を有してもよい。
【0098】
また、
図15に示すように、第1の対向部30と第2の対向部40とに段差が形成されていてもよい。第2の側板4に近い側の第1の対向部30と第2の対向部40の互いに対向する部分においては、第1の対向部30に第1の凸部51が形成されている。第2の側板4から遠い側の第1の対向部30と第2の対向部40の互いに対向する部分においては、第2の対向部40に第2の凸部52が形成されている。第1の凸部51と第2の凸部52とは、上下方向において同じ位置に形成されている。この場合も、第1の側板3と第2の側板4とが相対的に移動しにくくなり、折り畳みコンテナ1にはひねりが発生しにくくなる。また、第1の凸部51が第1の傾斜部511を有し、第2の凸部52は第2の傾斜部521を有している。これにより、第1の凸部51と第2の対向部40とが衝突しにくく、第2の凸部52と第1の対向部30とが衝突しにくい。また、第2の対向部40は第1の傾斜部511にガイドされ、第1の対向部30は第2の傾斜部521にガイドされる。これにより、折り畳みコンテナ1の組み立て作業がしやすくなる。
【0099】
また、
図16A~
図16Cに示すように、低いリブ7の代わりに、低い凸部8が形成されてもよい。低い凸部8は、空間60内の側壁5の一部が外側に向けて膨出していて、リブ壁6の側壁5の外側の面からの突出高さよりも低い突出高さで突出する。低い凸部8の側面81の側壁5の外側の面に連続する端部は、側壁5の外側の面への連続方向に低い凸部8用の曲率半径で湾曲する湾曲面か、又は、側壁の外側の面と90度未満の角度をなす平面からなる傾斜面80となる。なお、上記実施形態及び各変形例において、低いリブ7、傾斜面70及び側面71をそれぞれ低い凸部8、傾斜面80及び側面81に置き換えることができる。
【0100】
以上、述べた実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様の折り畳みコンテナ1は、矩形状の底板2と、一対の第1の側板3と、一対の第2の側板4とを、備える。第1の側板3は、底板2の対向する一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。第2の側板4は、底板2の対向する他の一対の辺にそれぞれ回転可能に取付けられる。折り畳みコンテナ1は、底板2上に一対の第1の側板3を倒した上に一対の第2の側板4を倒した折り畳み状態と、一対の第2の側板4を起立させた後に一対の第1の側板3を起立させて、一対の第1の側板3と一対の第2の側板4とで平面視矩形状をした側壁5が形成される組み立て状態と、を選択的に構成可能である。底板2は、組み立て状態における第2の側板4の下方に位置する部分の端部に、第2側板支持端部26を有する。第2側板支持端部26は、底板2の外側面に形成された上下方向に延びる複数の縦リブ201のうちの少なくとも二本の縦リブ201(2011、2012)を含む。第2側板支持端部26は、第2側板支持端部26に含まれる縦リブ201を連結する横リブ28を有する。横リブ28は、組み立て状態において第1の側板3の方へいく程下方に位置するように傾斜している。
【0101】
第1の態様では、横リブ28が第2側板支持端部26に形成されることにより、第2側板支持端部26の剛性及び強度が向上する。更に、横リブ28が第1の側板3の方へいく程下方に位置するように傾斜することにより、横リブ28が水平となる場合と比較して、第2側板支持端部26にかかる荷重を、より底板2の内側へ伝えることができ、底板2の撓みを抑えやすくすることができる。この結果、底板2の剛性及び強度の向上を図ることができる。
【0102】
第2の態様は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、底板2は、第2側板支持中間部27を有する。第2側板支持中間部27は、組み立て状態における第2の側板4の下方に位置する部分の中間部であって両方の第2側板支持端部26の間に位置し、複数の縦リブ201を含む。第2側板支持中間部27は、中間部横リブ271を有する。中間部横リブ271は、第2側板支持端部26に含まれる横リブ28に連続し、かつ、第2側板支持中間部27に含まれる縦リブ201を連結する。
【0103】
第2の態様では、中間部横リブ271により第2側板支持中間部27の剛性及び強度がより一層向上する。更に、中間部横リブ271が横リブ28に連続するため、横リブ28及び中間部横リブ271が連結される縦リブ201が破損しにくくなる。
【0104】
第3の態様は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、第2側板支持端部26は、上端部に上方に膨らむ膨出部261を有する。
【0105】
第3の態様では、組み立て状態の折り畳みコンテナ1が積み重ねられた際、下側の折り畳みコンテナ1の第2側板支持端部26にかかる荷重を膨出部261で受けて、より底部21の内側へ伝えることができ、底部21の撓みを抑えやすくすることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 折り畳みコンテナ
2 底板
201 縦リブ
26 第2側板支持端部
261 膨出部
27 第2側板支持中間部
271 中間部横リブ
28 横リブ
3 第1の側板
4 第2の側板
5 側壁