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特許7401894段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/00 20170101AFI20231213BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231213BHJP
   B41F 33/00 20060101ALI20231213BHJP
   B41F 19/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B31B50/00
G05B19/418 Z
B41F33/00 200
B41F19/08 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019182232
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2021054028
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000139931
【氏名又は名称】株式会社ISOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】児玉 純一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳道
(72)【発明者】
【氏名】安田 純也
(72)【発明者】
【氏名】北川 誠孟
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/064398(WO,A1)
【文献】特開2007-042058(JP,A)
【文献】特開平07-296060(JP,A)
【文献】特開平05-225204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00
G05B 19/418
B41F 33/00
B41F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製函機による段ボール箱の生産のオーダチェンジ時に必要な作業内容に応じた目標準備時間を算出して作業者に報知する段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置であって、
段ボール箱の予め定められた各オーダの生産順と、それらの段ボール箱の各オーダ情報とを記憶する記憶部と、
上記各オーダの生産順に従って、所定のオーダチェンジ時の前に生産されるオーダの前オーダ情報および後に生産される後オーダ情報の両方に基づいて、それらの前オーダと後オーダとの間のオーダチェンジ時に後オーダの生産のために必要な準備作業をオーダチェンジパターンとして予め特定するオーダチェンジパターン特定部と、
上記特定されたオーダチェンジパターンに基づいて、上記全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間を予め算出する目標準備時間算出部と、
所定のオーダチェンジ時および/または所定のオーダチェンジの開始前に上記算出された目標準備時間を作業者に報知するための報知指令部と、を有し、
上記準備作業は、作業者により行われる試し加工された段ボール箱の検品を含み、
上記オーダチェンジパターン特定部は、オーダチェンジ後の後オーダ情報に基づいて、その後オーダで印刷に使用する色の数を、段ボール箱の印刷部を検品する色の数として特定し、
上記目標準備時間算出部は、上記特定された色の数に基づいて、上記検品する色の数が多いほど上記目標準備時間を長く算出する、ことを特徴とする段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項2】
製函機による段ボール箱の生産のオーダチェンジ時に必要な作業内容に応じた目標準備時間を算出して作業者に報知する段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置であって、
段ボール箱の予め定められた各オーダの生産順と、それらの段ボール箱の各オーダ情報とを記憶する記憶部と、
上記各オーダの生産順に従って、所定のオーダチェンジ時の前に生産されるオーダの前オーダ情報および後に生産される後オーダ情報の両方に基づいて、それらの前オーダと後オーダとの間のオーダチェンジ時に後オーダの生産のために必要な準備作業をオーダチェンジパターンとして予め特定するオーダチェンジパターン特定部と、
上記特定されたオーダチェンジパターンに基づいて、上記全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間を予め算出する目標準備時間算出部と、
所定のオーダチェンジ時および/または所定のオーダチェンジの開始前に上記算出された目標準備時間を作業者に報知するための報知指令部と、を有し、
上記記憶部は、さらに、過去に生産したオーダ情報を記憶しており、
上記オーダチェンジパターン特定部は、さらに、上記記憶部の過去に生産したオーダ情報を参照して、所定のオーダチェンジ後に生産される後オーダのオーダ情報が、過去に生産したオーダ情報に含まれるか否かを特定し、
上記目標準備時間算出部は、上記オーダチェンジ後の後オーダ情報が、過去に生産したオーダ情報に含まれない新規オーダである場合、新規オーダでない場合よりも上記目標準備時間を長く算出する、ことを特徴とする段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項3】
上記記憶部が記憶する各オーダ情報は、各印刷ユニットを印刷に使用するか否かの情報を含み、
上記オーダチェンジパターン特定部は、オーダチェンジ前後の前オーダ情報および後オーダ情報の両方に基づいて、印刷ユニット毎にオーダチェンジ時に印版交換が必要か否かを特定し、かつ、印刷ユニット全体でオーダチェンジ時に必要な作業者が行う印版交換の回数を特定し、
上記目標準備時間算出部は、上記特定された印版交換の回数に基づいて、印版交換の回数が多いほど上記目標準備時間を長く算出する、請求項1または請求項2に記載の段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項4】
製函機は、オーダチェンジ時に、所定の可動部材の位置決めを自動で実行し、
上記目標準備時間は、
オーダチェンジ時に印版交換を行わないと仮定した場合の、前オーダの生産が終了してから製函機の上記所定の可動部材の位置決めが完了するまでの第1の設定時間と、
オーダチェンジ時に印版交換を行うと仮定した場合の、前オーダの生産が終了してから、後オーダ用の印版交換が完了するまでの時間と、上記第1の設定時間との差である第2の設定時間と、
上記所定の可動部材の位置決めおよび上記印版交換の両方が完了してから、段ボールシートのセット完了後に製函機が起動するまでの第3の設定時間と、
上記製函機が起動してから段ボール箱の試し加工が開始されるまでの第4の設定時間と、
オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行わないと仮定した場合の、段ボール箱の試し加工を開始してから、試し加工された段ボール箱を検品し、後オーダの段ボール箱の連続給紙による生産を開始するまでの第5の設定時間と、
オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行うと仮定した場合の、段ボール箱の試し加工を開始してから、試し加工された段ボール箱を検品し、後オーダの生産を開始するまでの時間と、上記第5の設定時間との差である第6の設定時間との合計時間である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項5】
上記目標準備時間は、製函機の印刷装置のインキを交換する色替時間の設定時間を含み、
上記目標準備時間算出部は、上記第1乃至第3の設定時間の合計時間より上記色替時間の設定時間が長い場合、上記第1乃至第3の設定時間に代えて上記色替時間の設定時間を設定する、請求項4に記載のボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項6】
上記オーダチェンジパターンは、前オーダ情報および後オーダ情報によって規定される、製函機の印刷装置の印版交換のパターンと、前オーダ情報および後オーダ情報によって規定される、製函機のダイカッタの打ち抜きダイの木型交換のパターンとを含み、
上記オーダチェンジパターン特定部は、これらの印版交換のパターンと木型交換のパターンとを含むオーダチェンジパターンを特定し、
上記記憶部は、この特定されたオーダチェンジパターンと、上記目標準備時間算出部が算出した目標準備時間とを関連付けたデータとして記憶し、
上記報知指令部は、このオーダチェンジパターンに関連付けて記憶された目標準備時間を作業者に報知する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項7】
上記準備作業は、製函機が自動で実行する所定の可動部材の位置決めと、作業者により行われる印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品とを含み、
上記記憶部は、製函機が自動で実行する準備作業の実測値に基づいて予め設定された、所定の可動部材の位置決めの設定時間と、各作業に熟練した作業者による準備作業の実測値に基づいて予め設定された、作業者により実行される印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品の設定時間とのデータを記憶し、
上記オーダチェンジパターンに関連付けて記憶された目標準備時間は、上記記憶された上記製函機が自動で実行する所定の可動部材の位置決めの設定時間と、作業者により実行される印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品の設定時間とを含むデータに基づいて設定される、請求項に記載の段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【請求項8】
上記段ボールシート製函機は、段ボールシートを1枚ずつ供給する給紙装置、段ボールシートに印刷を施す印刷装置、段ボールシートに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ、段ボールシートに所定形状の打ち抜き部分を形成するダイカッタ、継ぎ代に接着剤を供給し、段ボールシートを罫線に沿って折り曲げ、箱状に接合するフォルダグルア、および、箱状に接合された段ボールシートを計数し、結束枚数分のシート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタを含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置に係わり、特に、製函機による段ボール箱の生産のオーダチェンジ時に必要な作業内容に応じた目標準備時間を算出して作業者に報知する段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールシートに印刷、溝切り、打ち抜きを施すと共に複数の罫線を施し、これらの各罫線の位置で折り曲げて接合することにより段ボール箱を生産する製函機が知られている。ここで、近年、産業界全体における他品種少量生産の製品に対応すべく、段ボール箱にも他品種少量生産が求められている。このような状況下、製函機により段ボール箱を生産する工場では、客先から受けたオーダを次々に切り替えながら、多いときには一日に100以上の多数のオーダに係る段ボール箱を生産している。
【0003】
ここで、例えば、特許文献1には、産業機械による作業の進捗状況を作業者が知ることができるように、産業機械の作業に要した時間を計数し、産業機械の所定の作業に要した時間が、許容される最大作業時間に到達するまでの時間の情報を報知する作業時間の報知装置が開示されている。具体的には、特許文献1の発明では、最大印刷準備時間が設定され、印刷準備全体に要した時間が最大印刷準備時間を超えた場合に、印刷準備超過情報を報知するようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、作業者の作業時間のばらつきを考慮して、各印刷品に必要な作業に合った総作業時間(工数)を設定する工数設計支援装置が開示されている。具体的には、特許文献2の発明では、印刷品目毎に必要な作業を、段取り作業として定めた紐付けパターンデータと、その段取り作業を構成する作業要素について作業者毎の作業時間を定めた作業要素データとに基づいて、各印刷品目を印刷するための、作業者毎の版替や色替などの段取り作業の総作業時間を算出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-120273号公報
【文献】特開2015-069323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述したように、製函機により段ボール箱を生産する工場では、客先から受けたオーダを次々に切り替えながら多数のオーダに係る段ボール箱を生産する。従って、各オーダに係る段ボール箱を生産する際には、段ボールシートを連続給紙して生産を開始する前に、そのオーダに係る段ボール箱の仕様に合わせる準備作業を伴うオーダチェンジが、1日に何度も行われる。
【0007】
このような状況下、この何度も行われるオーダチェンジにおいて、次のオーダに係る仕様の段ボール箱を生産するための製函機の準備に要する時間(準備時間)を短縮できれば、一日の全体の生産時間を短縮することができ、生産効率を向上させることができる。
ここで、製函機における、オーダチェンジに要する多くの作業は自動化されている。しかしながら、印版交換、打ち抜きダイ(木型)交換、試し加工、検品や調整などの作業は、作業者の人手が必要であり、これらの作業は、作業者の熟練度や、部品(印版、木型、検品や調整に必要な工具等)の配置によって、作業時間(準備時間)にばらつきが生じる。また、各回のオーダチェンジによって、作業者が行う作業内容は変化する。
【0008】
ここで、特許文献1における最大印刷準備時間は、一定値に設定され、各回のオーダチェンジに対して共通の目標準備時間が設定されるので、作業が少ないオーダチェンジの場合、作業が非効率的であっても目標準備時間を達成できてしまい、作業の段取りや部品の配置の見直しに繋がらない。反対に、作業が多いオーダチェンジの場合、段取りを工夫して効率的に作業しても目標準備時間を達成できず、作業者のモチベーションが低下してしまう。
【0009】
また、特許文献2においては、印刷品目と段取り作業とが一対一の関係で定められており、前のオーダに係る印刷品目を考慮していないので、たとえば、前のオーダに係る印刷品目と同一の版や色を用いる場合、その段取り作業には、次の印刷品目で変更する必要の無い版や色までも変更するものと仮定した段取り作業が含まれることとなる。また、特許文献2においては、作業者毎に、段取り作業時間が設定されるので、その作業者の作業が非効率的であっても目標準備時間を達成できてしまい、ベテランの作業者の作業効率に近づけるよう、段取り作業を見直すことに繋がらない。
【0010】
そこで、本発明は、オーダチェンジの作業内容に応じた目標準備時間を設定すると共に作業者に報知して、オーダチェンジ時の準備時間における作業の段取りや作業に必要な物品の配置を見直すなど作業の効率化を図ることができる段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明は、製函機による段ボール箱の生産のオーダチェンジ時に必要な作業内容に応じた目標準備時間を算出して作業者に報知する段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置であって、段ボール箱の予め定められた各オーダの生産順と、それらの段ボール箱の各オーダ情報とを記憶する記憶部と、各オーダの生産順に従って、所定のオーダチェンジ時の前に生産されるオーダの前オーダ情報および後に生産される後オーダ情報の両方に基づいて、それらの前オーダと後オーダとの間のオーダチェンジ時に後オーダの生産のために必要な準備作業をオーダチェンジパターンとして予め特定するオーダチェンジパターン特定部と、特定されたオーダチェンジパターンに基づいて、全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間を予め算出する目標準備時間算出部と、所定のオーダチェンジ時および/または所定のオーダチェンジの開始前に算出された目標準備時間を作業者に報知するための報知指令部と、を有し、準備作業は、作業者により行われる試し加工された段ボール箱の検品を含み、オーダチェンジパターン特定部は、オーダチェンジ後の後オーダ情報に基づいて、その後オーダで印刷に使用する色の数を、段ボール箱の印刷部を検品する色の数として特定し、目標準備時間算出部は、特定された色の数に基づいて、検品する色の数が多いほど目標準備時間を長く算出する、ことを特徴としている。
【0012】
このように構成された本発明によれば、オーダチェンジ前後の前オーダ情報および後オーダ情報の両方に基づいて、オーダチェンジ毎に異なる準備作業内容に応じた目標準備時間を作業者に報知するので、作業者に、目標準備時間内に作業を完了させようというモチベーションを維持させつつ、目標準備時間に対して実際にかかった準備作業時間を把握させることができる。それにより、作業者に、準備作業の段取りや準備作業に必要な所定の交換部品や工具などの物品の配置の見直しなどを行う必要性を認識させ、作業者が見直しなどを実行することにより、オーダチェンジ時の準備作業の効率化を図ることができる。
また、このように構成された本発明によれば、オーダチェンジ後の後オーダで印刷に使用する色の数に基づいて目標準備時間を算出する。ここで、例えば、オーダで使用する色の数が多い場合、作業者が試し加工品の検品に要する時間が長くなり、それに応じて、オーダチェンジ時に必要な作業を全て完了させるのに要する時間も長くなる。従って、本発明によれば、色の数が多いほど目標準備時間を長く算出するので、報知する目標準備時間が適切なものとなる。
また、上記の目的を達成するために本発明は、製函機による段ボール箱の生産のオーダチェンジ時に必要な作業内容に応じた目標準備時間を算出して作業者に報知する段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置であって、段ボール箱の予め定められた各オーダの生産順と、それらの段ボール箱の各オーダ情報とを記憶する記憶部と、各オーダの生産順に従って、所定のオーダチェンジ時の前に生産されるオーダの前オーダ情報および後に生産される後オーダ情報の両方に基づいて、それらの前オーダと後オーダとの間のオーダチェンジ時に後オーダの生産のために必要な準備作業をオーダチェンジパターンとして予め特定するオーダチェンジパターン特定部と、特定されたオーダチェンジパターンに基づいて、全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間を予め算出する目標準備時間算出部と、所定のオーダチェンジ時および/または所定のオーダチェンジの開始前に算出された目標準備時間を作業者に報知するための報知指令部と、を有し、記憶部は、さらに、過去に生産したオーダ情報を記憶しており、オーダチェンジパターン特定部は、さらに、記憶部の過去に生産したオーダ情報を参照して、所定のオーダチェンジ後に生産される後オーダのオーダ情報が、過去に生産したオーダ情報に含まれるか否かを特定し、目標準備時間算出部は、オーダチェンジ後の後オーダ情報が、過去に生産したオーダ情報に含まれない新規オーダである場合、新規オーダでない場合よりも目標準備時間を長く算出する、ことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、オーダチェンジ前後の前オーダ情報および後オーダ情報の両方に基づいて、オーダチェンジ毎に異なる準備作業内容に応じた目標準備時間を作業者に報知するので、作業者に、目標準備時間内に作業を完了させようというモチベーションを維持させつつ、目標準備時間に対して実際にかかった準備作業時間を把握させることができる。それにより、作業者に、準備作業の段取りや準備作業に必要な所定の交換部品や工具などの物品の配置の見直しなどを行う必要性を認識させ、作業者が見直しなどを実行することにより、オーダチェンジ時の準備作業の効率化を図ることができる。
また、このように構成された本発明によれば、オーダチェンジ後の後オーダが新規オーダか否かに応じて目標準備時間を算出するので、より一層、目標準備時間が実際のオーダチェンジの作業内容に即したものとなる。ここで、新規のオーダでは、新規ではないオーダよりも、新規である分、検品などにより時間をかける必要が想定される。従って、本発明によれば、新規オーダである場合、新規オーダでない場合よりも目標準備時間を長く算出するので、より効果的かつより適切に、目標準備時間を算出することができる
【0013】
本発明において、好ましくは、記憶部が記憶する各オーダ情報は、各印刷ユニットを印刷に使用するか否かの情報を含み、オーダチェンジパターン特定部は、オーダチェンジ前後の前オーダ情報および後オーダ情報の両方に基づいて、印刷ユニット毎にオーダチェンジ時に印版交換が必要か否かを特定し、かつ、印刷ユニット全体でオーダチェンジ時に必要な作業者が行う印版交換の回数を特定し、目標準備時間算出部は、特定された印版交換の回数に基づいて、印版交換の回数が多いほど目標準備時間を長く算出する。
このように構成された本発明によれば、オーダチェンジ時の印版交換の回数に基づいて目標準備時間を算出するので、目標準備時間が実際のオーダチェンジの作業内容に即したものとなる。ここで、例えば、印版交換の回数が多い場合、作業者が、印版交換を全て完了するのに要する時間が長くなり、それに応じて、オーダチェンジの時に必要な作業を全て完了させるのに要する準備時間も長くなる。従って、本発明によれば、印版交換の回数が多いほど目標準備時間を長く算出するので、作業者に、適切な目標準備時間を報知することができ、これにより、報知された目標準備時間内に準備作業を完了させようというモチベーションを維持させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、製函機は、オーダチェンジ時に、所定の可動部材の位置決めを自動で実行し、目標準備時間は、オーダチェンジ時に印版交換を行わないと仮定した場合の、前オーダの生産が終了してから製函機の所定の可動部材の位置決めが完了するまでの第1の設定時間(ロット終了・機械セット時間(無地から無地))と、オーダチェンジ時に印版交換を行うと仮定した場合の、前オーダの生産が終了してから、後オーダ用の印版交換が完了するまでの時間と、第1の設定時間との差である第2の設定時間(機械セット加算時間(印版交換))と、所定の可動部材の位置決めおよび印版交換の両方が完了してから、段ボールシートのセット完了後に製函機が起動するまでの第3の設定時間(シートセット加算時間)と、製函機が起動してから段ボール箱の試し加工が開始されるまでの第4の設定時間(給紙準備時間)と、オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行わないと仮定した場合の、段ボール箱の試し加工を開始してから、試し加工された段ボール箱を検品し、後オーダの段ボール箱の連続給紙による生産を開始するまでの第5の設定時間(試し加工・検品時間(無地))と、オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行うと仮定した場合の、段ボール箱の試し加工を開始してから、試し加工された段ボール箱を検品し、後オーダの生産を開始するまでの時間と、第5の設定時間との差である第6の設定時間(検品加算時間(印刷))との合計時間である。
このように構成された本発明によれば、オーダチェンジ毎に異なる、印版交換や試し加工された段ボール箱の検品の作業内容に応じて目標準備時間を算出するので、より効果的に、目標準備時間を実際の作業内容に即した時間として算出することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、目標準備時間は、製函機の印刷装置のインキを交換する色替時間の設定時間を含み、目標準備時間算出部は、第1乃至第3の設定時間の合計時間より色替時間の設定時間が長い場合、第1乃至第3の設定時間に代えて色替時間の設定時間を設定する。
このように構成された本発明によれば、より効果的かつより適切に、目標準備時間を算出することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、オーダチェンジパターンは、前オーダ情報および後オーダ情報によって規定される、製函機の印刷装置の印版交換のパターンと、前オーダ情報および後オーダ情報によって規定される、製函機のダイカッタの打ち抜きダイの木型交換のパターンとを含み、オーダチェンジパターン特定部は、これらの印版交換のパターンと木型交換のパターンとを含むオーダチェンジパターンを特定し、記憶部は、この特定されたオーダチェンジパターンと、目標準備時間算出部が算出した目標準備時間とを関連付けたデータとして記憶し、報知指令部は、このオーダチェンジパターンに関連付けて記憶された目標準備時間を作業者に報知する。
このように構成された本発明によれば、作業者に、より効果的かつより適切な目標準備時間を報知することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、準備作業は、製函機が自動で実行する所定の可動部材の位置決めと、作業者により行われる印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品とを含み、記憶部は、製函機が自動で実行する準備作業の実測値に基づいて予め設定された、所定の可動部材の位置決めの設定時間と、各作業に熟練した作業者による準備作業の実測値に基づいて予め設定された、作業者により実行される印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品の設定時間とのデータを記憶し、オーダチェンジパターンに関連付けて記憶された目標準備時間は、記憶された製函機が自動で実行する所定の可動部材の位置決めの設定時間と、作業者により実行される印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品の設定時間とを含むデータに基づいて設定される。
このように構成された本発明によれば、より適切に、目標準備時間を算出することができる。より詳細には、目標準備時間が、製函機が自動で実行する準備作業の実測値および各作業に熟練した作業者による準備作業の実測値に基づいて設定されるので、全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間をより適切な時間に設定することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、段ボールシート製函機は、段ボールシートを1枚ずつ供給する給紙装置、段ボールシートに印刷を施す印刷装置、段ボールシートに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ、段ボールシートに所定形状の打ち抜き部分を形成するダイカッタ、継ぎ代に接着剤を供給し、段ボールシートを罫線に沿って折り曲げ、箱状に接合するフォルダグルア、および、箱状に接合された段ボールシートを計数し、結束枚数分のシート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置によれば、オーダチェンジの作業内容に応じた目標準備時間を設定すると共に作業者に報知して、オーダチェンジ時の準備時間における作業の段取りや作業に必要な物品の配置を見直すなど作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置が適用される製函機の全体構成を示す概略側面図である。
図2】本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置およびそのシステムで用いられるオーダ1サイクルにおける段ボール箱の生産の流れおよび生産時間の概念を説明するための製函機の基本動作を示すタイムチャートである。
図3図2に示すタイムチャートの生産時間のうちの準備時間において、目標準備時間を算出するための準備時間の概念を説明するためのタイムチャートである。
図4】本実施形態による、印刷シリンダが昇降する印刷装置を備える製函機の目標準備時間報知装置における目標準備時間を算出するためのオーダチェンジパターン別目標準備時間データを示す図表である。
図5】本実施形態による印刷シリンダが昇降しない印刷装置を備える製函機の目標準備時間報知装置における目標準備時間を算出するためのオーダチェンジパターン別目標準備時間データを示す図表である。
図6】本実施形態によるオーダチェンジパターン別目標準備時間データを定める基準となる作業別設定時間データを示す図表である。
図7】本実施形態による第1~第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。
図8A】本実施形態による第1~第2の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。
図8B】本実施形態による第1~第2の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。
図9】本実施形態による第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。
図10】本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムの概略構成を示すブロック図である。
図11】本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムで用いられるオーダの基本情報の一例を示す図表である。
図12A】本実施形態による目標準備時間報知装置における各所要時間の集計方法の一例を示す図表である。
図12B】本実施形態による目標準備時間報知装置における各所要時間の集計方法の一例を示す図表である。
図13】本実施形態による目標準備時間報知装置におけるオーダチェンジパターンを特定するための情報の一例を示す図表である。
図14】本実施形態による目標準備時間報知装置におけるオーダチェンジパターン毎の実績情報の一例を示す図表である。
図15】本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムにおける作業別時間毎の分析情報の一例を示す図表である。
図16】本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムにおける作業別時間毎の比較情報の一例を示す図表である。
図17A】本実施形態の目標準備時間報知装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
図17B図17Aと共に示す、本実施形態の目標準備時間報知装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
図18】本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第1の制御内容を示すフローチャートである。
図19】本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第2の制御内容を示すフローチャートである。
図20A】本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第3の制御内容を示すフローチャートである。
図20B図20Aと共に示す、本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第3の制御内容を示すフローチャートである。
図21】本発明の実施形態の変形例によるオーダチェンジパターン別目標準備時間データを定める基準となる作業別設定時間データを示す図表である。
図22】本発明の実施形態の変形例による第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置およびそのシステムが適用される段ボールシート製函機の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置およびそのシステムが適用される段ボールシート製函機の全体構成を示す概略側面図である。
図1に示すように、符号1は、段ボールシート製函機を示し、この段ボールシート製函機1は、段ボールシートSを1枚ずつ供給するシート給紙装置2と、段ボールシートSに印刷を施す印刷装置3と、段ボールシートSに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ4と、段ボールシートSに所定形状の打ち抜き部分を形成するダイカッタ5と、継ぎ代に接着剤を供給し、段ボールシートSを罫線に沿って折り曲げ、箱状に接合するフォルダグルア6と、箱状に接合された段ボールシートSを計数し、所定シート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタ8と、を備える。符号7は、1枚の段ボールシートを複数枚の小型の段ボールシートに切断するオーダの場合にシート分離動作を行うシート分離装置を示し、このシート分離装置7は、一般的には搭載されない特殊な装置である。符号9は、バッチを束ねる結束機を示し、この結束機9は、製函機1に付帯して設けられる設備である。
【0024】
まず、製函機1のシート給紙装置2を説明する。
給紙装置2は、サクションボックス20を有し、このサクションボックス20の上面を形成するテーブル21上には、フロントゲート22およびバックガイド23が設けられている。これらのフロントゲート22およびバックガイド23の間には、コルゲータ(図示せず)により製造された複数の段ボールシートSが積載される。フロントゲート22は、テーブル21とフロントゲート22との間隙から1枚ずつ段ボールシートSが送り出されるように配置される。バックガイド23は、送り出し方向(シート搬送方向)FDに平行な方向に移動可能に構成され、これにより、フロントゲート22とバックガイド23との間に、シート搬送方向長さが異なる段ボールシートSを積載できるようになっている。また、サクションボックス20の下部には、サクションボックス20内の空気を吸引する吸引装置24が取り付けられている。
【0025】
さらに、シート給紙装置2は、送り出し方向FD及びこれに直交する方向に沿ってそれぞれ並列に配置される複数の給紙ローラ25と、これらの給紙ローラ25の間で延び、給紙ローラ25に対して昇降可能な板状部材であるグレイト26とを有する。給紙ローラ25の外周面には、シートSとの間で摩擦力を生じさせてシートSのグリップ力を高めるためのウレタン部材が設けられる。
給紙ローラ25による連続給紙は、グレイト26を給紙ローラ25よりも下降させ、積載された段ボールシートSのうち最も下側にあるシートSを給紙ローラ25に接触させることで行われる。このとき、給紙ローラ25の回転が最も下側のシートSに伝達されて、シートSが一枚ずつ、前方のフィードロール27に向けて送り出される。一方、グレイト26を給紙ローラ25よりも上昇させると、給紙ローラ25が段ボールシートSと非接触状態となって、給紙ローラ25の回転がシートSに伝達されなくなり、給紙が停止される。
【0026】
フィードロール27に到達したシートSは、フィードロール27の回転により印刷装置3へ送り出される。フィードロール27の外周面には、シートSとの間で摩擦力を生じさせてシートSのグリップ力を高めるためのゴム部材が設けられる。上下一対のフィードロール27は、シートSの厚さに応じて、それらの上下方向の隙間が調整できるよう構成されている。
また、シート給紙装置2には、フロントゲート22より下流側で、フィードロール27より上流側に配置された生産枚数計数センサ28が設けられている。この生産枚数計数センサ28は、シート給紙装置2から1枚ずつ送り出されたシートSを検出する光電センサであり、生産枚数(実際に給紙して箱に加工したシート枚数)を計数する。後述するカウンタエジェクタ8に設けられた光電センサ(図示せず)の検出信号を用いて生産枚数を計数してもよい。
【0027】
次に、印刷装置3を説明する。
印刷装置3は、段ボールシートを搬送する搬送装置と、搬送される段ボールシートに印刷を施す複数の印刷ユニットを備える。段ボールシートSに印刷を施す複数の印刷ユニット30、32は、印刷シリンダ34、36を備え、それらの外周面には印版38が取り付けられる。これらの印刷シリンダ34、36の近傍には、それぞれ、インキ缶31から供給されるインキを印版38に転移させるアニロックスロール33と、アニロックスロール33の表面から余分なインキを取り除くためのドクターロール35が設けられている。
印刷シリンダ34、36の下方にはプレスロール37が配置される。プレスロール37は上下動可能であり、シートSの厚さに応じて、印刷シリンダ34、36との間の隙間が調整できるよう構成されている。
【0028】
この印刷装置3では、印刷シリンダ34、36が段ボールシートSの搬送速度に合わせて(基本的に同期して)1回転すると、それらの印版38により、段ボールシートSの所定の位置に所定の色/デザインが印刷されることになる。印刷されたシートSはクリーザスロッタ4に供給される。
【0029】
ここで、印刷装置3における印版38の交換作業と印刷シリンダの2つの形式(タイプ)について説明する。
印版38は、オーダチェンジの際、作業者によって、オーダの仕様に応じた印版と交換可能である。
作業者は、前オーダの生産中(後述する印刷シリンダ34、36が上下方向に昇降可能なタイプ)またはオーダチェンジ中に、各印刷ユニット30、32の印刷シリンダ34、36に装着されている前オーダ用の印版38を取り外した後、後オーダ用の印版38を装着する印版交換を行う。印版38は、各オーダの各インキ色に合せたものが使用される。
【0030】
ここで、印刷装置3には、印刷シリンダ34、36が上下方向に昇降可能なタイプ(図1)と、印刷シリンダ34、36が固定位置にあり、製函機1に対して上下方向に昇降しないタイプとが存在し、製函機1の仕様に応じて、どちらかのタイプが設定される。
【0031】
印刷シリンダが昇降するタイプの場合、印刷シリンダ34、36と、アニロックスロール33などのインキ供給機構とを支持するフレーム(図示せず)とが、昇降可能な昇降ユニットとして構成される。
この昇降可能なタイプの印刷装置3では、段ボール箱を生産するオーダ中においても、印刷に使用しない印刷シリンダ34、36を上昇位置に固定させて、作業者が、次のオーダの印版38に交換可能になっている。
【0032】
複数の印刷ユニットのうち、生産中に印刷に使用する印刷ユニット(30、32)は、昇降ユニットを下降させて、印刷シリンダ(34、36)をプレスロール(37)に接近させる。この状態で、印刷シリンダが回転し、印刷シリンダに装着された印版(38)とプレスロール(37)との間で段ボールシートを挟んで搬送しながら印刷を行う。一方、生産中に印刷に使用しない印刷ユニット(30、32)は、昇降ユニットを上昇させて、印刷シリンダ(34、36)をプレスロール(37)から離隔させる。このタイプの印刷装置は、サクション装置等を用いて段ボールシートを搬送するので、印刷シリンダをプレスロールから離隔させることができる。
【0033】
印刷シリンダが昇降しないタイプの場合、オーダの生産中は必ず、全ての印刷シリンダ(34、36)を段ボールシートの搬送に使用する。
そして、複数の印刷ユニット(30、32)のうち、段ボール箱の生産中、印刷に使用するユニットは、印刷シリンダに印版(38)を装着し、印刷シリンダが回転して、印版(38)とプレスロール(37)の間で段ボールシートを挟んで搬送しながら印刷する。
一方、生産中に印刷に使用しないユニットは、印刷シリンダに送り版(図示しない搬送専用の版)を装着し、その印刷シリンダを回転させて、送り版とプレスロールの間で段ボールシートを挟んで搬送する。このような送り版にはインキが供給されず、段ボールシートに接触しても印刷が施されないので、複数のオーダで送り版を使い回しすることができる。
この印刷シリンダが昇降しないタイプの印刷装置3では、段ボール箱のオーダの生産中(連続給紙中)には、印刷は交換できない。作業者は、オーダチェンジ中に、印刷ユニットのフレームをスライドさせてフレームとフレームの間に入って印版交換を行い、交換後にフレームの外に出てフレームを閉じる。
【0034】
次に、印刷装置3におけるインキ交換(色替)について説明する。
製函機1において、オーダに係る段ボール箱を生産するとき、複数の印刷ユニット(30、32)を、そのオーダの印刷に必要な色の数(インキの数)に応じて、選択的に使用して印刷する。上述した印刷シリンダが昇降できるタイプでも、昇降できないタイプでも、インキ交換を段ボール箱の生産中に行うことができる。
【0035】
各印刷ユニットには、インキ缶31を2つセットできるようになっており、作業者は、前オーダの生産中に、後オーダで使用するインキ缶31を予めセットすることができる。これにより、印刷ユニット30、32を前オーダで印刷に使用しない場合は、前オーダの生産中に自動的にインキ交換が行われる。一方、前オーダで印刷に使用する場合は、オーダチェンジ中に自動的にインキ交換が行われる。
【0036】
次に、クリーザスロッタ4を説明する。
クリーザスロッタ4は、クリーザユニット40と、スロッタユニット42とを備える。クリーザユニット40は、シートSの所定の位置に罫線加工を施すために、シートSの搬送方向に対して横方向に移動して位置決めされる、上下一対の罫線ローラを備える。 また、スロッタユニット42は、上部スロッタと、下部スロッタとを備える。上部スロッタには、シートSの所定の位置に溝切り加工を施すために、シートSの搬送方向に対して横方向に移動して位置決めされるスロッタ刃43が取り付けられる。下部スロッタには、スロッタ刃43と嵌合可能な溝が形成される。
クリーザスロッタ4は、これらのクリーザユニット40およびスロッタユニット42により、段ボールシートSに罫線および溝切り加工を施し、継ぎ代を形成し、これらの加工が施された段ボールシートSをダイカッタ5に供給する。
【0037】
次に、ダイカッタ5を説明する。
ダイカッタ5は、ダイシリンダ50と、アンビルシリンダ52とを備える。段ボールシートSを打ち抜くための打ち抜きダイを備える合板ベニヤなどの木型54が、ダイシリンダ50の外周面に取り付けられる。打ち抜きダイ(54)は、連続して搬送される段ボールシートSの所望の位置に打ち抜き加工を施す。打ち抜きダイ(54)は、オーダ変更の際に、作業者により、オーダに応じた打ち抜きパターンの打ち抜きダイと交換可能である。
【0038】
ここで、打ち抜き加工があるオーダの場合は、ダイシリンダ50に、段ボールシートSを打ち抜くための木型54を装着する。木型には、シートS全体の形状を打ち抜く大型の木型(大型木型)と、手掛用の穴を加工するものなど小型の木型(小型木型)があり、各オーダに合せた木型が使用される。
一方、打ち抜き加工がないオーダの場合は、ダイシリンダに送り木型(搬送専用の木型)を装着する。そして、ダイシリンダ50が回転すると、送り木型とアンビルシリンダ52の間でシートSを挟んで搬送するようになっている。送り木型は、打ち抜き刃を備えず、段ボールシートに接触しても加工が施されないので、複数のオーダで送り木型を使い回しすることができる。
作業者は、オーダチェンジ中に木型交換が必要な場合、ダイシリンダ50に装着されている前オーダ用の木型を取り外した後、後オーダ用の木型を装着する木型交換を行う。このオーダチェンジ中の作業では、作業者は、ダイカッタのフレームをスライドさせて、フレームとフレームの間に入って木型交換を行い、交換後にフレームの外に出てフレームを閉じる。
【0039】
次に、フォルダグルア6を説明する。
フォルダグルア6は、段ボールシートSの搬送方向に沿ってガイドレール60を備える。ガイドレール60の上方には、シート搬送方向に平行な方向に並べられた2本の環状の搬送ベルト62が設けられる。これらの搬送ベルト62の表面素材は、シートSとの間で摩擦力を生じさせてシートSのグリップ力を高めるためにゴム製となっている。フォルダグルア6には、さらに、ガイドレール60および搬送ベルト62に沿って、接着剤供給装置64、折り畳みバー66、および、折り畳みベルト68が設けられる。
フォルダグルア6は、罫線および継ぎ代が形成された段ボールシートSを、ガイドレール60および搬送ベルト62により支持して搬送する。フォルダグルア6は、シートSの搬送中に、接着剤供給装置64により継ぎ代に接着剤を塗布し、折り畳みバー66によりシートSを折り畳む。さらに、フォルダグルア6は、折り曲げられたシートSを、折り畳みベルト68により折り畳み、継ぎ代を接着することで、折り畳まれた状態の箱状の段ボールシートSを製作する。
【0040】
次に、カウンタエジェクタ8を説明する。
カウンタエジェクタ8は、シート分離装置7から順次供給される箱状の段ボールシートSを計数し、所定シート枚数(結束枚数)のバッチBTを形成する。形成されたバッチBTは、下部コンベア80により、製函機1の下流側に接続された結束機9に向けて送り出され、結束機9は、この搬送されたバッチBTを、輸送のために束ねる。カウンタエジェクタ8は、搬送される段ボールシートSの枚数を計数するために光電センサ(図示せず)を備える。
【0041】
次に、図2により、本発明の実施形態による段ボールシート製函機によるオーダ1サイクルの段ボール箱の生産の流れおよび生産時間の概念を説明する。図2は、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置およびそのシステムで用いられるオーダ1サイクルにおける段ボール箱の生産の流れおよび生産時間の概念を説明するための製函機の基本動作を示すタイムチャートである。
まず、図2に示すように、本実施形態では、製函機1により、オーダ毎に異なる仕様および予定枚数(客先からの注文量)の段ボール箱を生産する際、前のオーダに係る生産が終了した時点を現在のオーダに係る生産の開始の時点と同一と捉える。同様に、現在のオーダに係る生産終了時点は次のオーダに係る生産開始時点である。
【0042】
ここで、本実施形態において、「生産時間」とは、段ボール箱の生産に関連する時間全体を指しており、図2で示すオーダ1サイクルの時間は、そのオーダの生産時間に相当する。この生産時間は、段ボールシートSを連続給紙して段ボール箱に加工している段階の「運転時間」と、連続給紙が停止しており、かつ、オーダチェンジ作業(位置決め、印版等の交換、試し加工、検品や調整)が行われている段階の「準備時間」と、連続給紙が停止しており、かつ、オーダチェンジ作業が行われていない段階の「停止時間」との3つに大別される。
【0043】
図2に示すように、本実施形態では、まず、準備段階に入った時点が、あるオーダの生産開始時点となる。この準備段階では、本実施形態では、第1に、給紙装置2による段ボールシートSの給紙を停止させた後、製函機1の可動部材(機械部品)の位置決め、例えば、フィードロール隙間の調整やスリッタなどの加工具の位置決めを機械に自動で行わせ、第2に、作業者による印版交換や木型交換などの作業を行い、第3に、試し加工を行う。
【0044】
まず、第1の準備段階(第1のオーダチェンジ作業)は、基本的に、ロット終了スイッチを予めオンにしておくことで行われ、これにより、オーダの生産終了からオーダチェンジ時の各ユニットの位置決めまでの一連の動作が機械で自動で行われる。オーダの連続給紙中にロット終了スイッチをオンにしておくと、給紙テーブル上に段ボールシートがなくなった時点で生産終了となり、自動で連続給紙が停止し、自動で主モータがオフになって機械が減速し、自動で可動部材の位置決めが開始される。
ここで、後述するように、給紙停止から位置決め開始までの一連の動作(後述する「ロット終了動作」)は、作業者が、給紙停止スイッチ、主モータスイッチ、オーダチェンジスイッチなどを手動で操作することによっても行うことができるが、効率的に作業を進めるために、ロット終了スイッチを利用して機械に自動で行わせることが多い。
インキ交換は、給紙停止後に開始し、機械の減速や位置決めと並行して自動で行われる。
【0045】
次に、第2の準備段階(第2のオーダチェンジ作業)は、第1の準備段階のロット終了動作後、または、第1の準備段階と並行して行われる段階であり、この段階では、作業者が、オーダチェンジの直前と直後のオーダの仕様に応じて必要な作業を行う。作業者が行う作業は、主に印版交換、木型交換、シートセットである。
たとえば、作業者が行う準備作業は、印刷装置3の複数の印刷ユニット30、32の各印刷シリンダ34、36にすでに装着されている印版を取り外した後に、現在のオーダの印刷模様に合った印版を装着する作業、印版交換と同様に、ダイカッタ5のダイシリンダ50に現在のオーダの打ち抜き形状に合った打ち抜きダイの木型54を装着する作業などである。また、次の第3の準備段階のために、シートSを給紙装置2にセットする。
このような印版交換、木型交換、シートセットの作業は、複数人で作業を分担して同時並行で行うことができるが、通常は、印版や木型の交換作業が全て完了した後に、シートセットを完了させることが多い。
各印刷ユニット30、32に供給するインキを現在のオーダの印刷色に合ったインキに交換する作業(色替)は、基本的には、製函機1により自動的に行われる。
【0046】
次に、第3の準備段階(第3のオーダチェンジ作業/試し加工段階)は、第1および第2の準備段階の完了後に行われる段階であり、この段階では、作業者が、主モータスイッチを手動でオンにして製函機1を起動し、各スイッチやタッチパネル式ディスプレイで、作業者が運転速度(シート搬送速度)を設定する。そして、給紙テーブル21上に積んだシートSを一枚だけ給紙する一枚給紙スイッチなどを操作して、シートを試し加工し、出来上がった段ボール箱を検品する。
検品の結果、不具合があれば、機械の調整を行い、再び試し加工と検品を行う。そして、良品が安定して得られる運転速度に調整する。
検品が終わると、全ての準備段階が完了し、作業者は、給紙開始スイッチなどを操作して、段ボールシートを連続給紙して段ボール箱を生産する運転段階に入る。
【0047】
次に、運転段階は、この準備段階が完了すると行われる段階である。この運転段階では、作業者が、給紙テーブル21上に積載されたシートSを一枚ずつ連続給紙する給紙開始スイッチを操作し、調整された運転速度での連続給紙による生産を開始する。
その後、オーダの注文量に基づいて設定した生産枚数分の段ボール箱の生産が終わると、連続給紙を停止する給紙停止スイッチを操作して、シートの給紙を止めて製函機1を停止させる。または、予め作業者が操作パネルを用いて給紙停止枚数を入力しておき、設定した給紙停止枚数分のシートSの給紙が終了すると、自動で連続給紙が停止するようにする。
【0048】
この生産枚数分の段ボール箱の生産が終わって連続給紙が停止した時点が、上述した準備段階の開始時点であり、上述したように、次のオーダ(後オーダ)に係る段ボール箱を生産するための製函機1の準備作業が開始される。このとき、作業者が主モータスイッチをオフにし、さらに、オーダチェンジスイッチを押すと、次のオーダに係る製函機の可動部材の位置決めが開始される。または、上述したように、現在のオーダに係る連続給紙中にロット終了スイッチを予めオンにしておくと、給紙テーブル21上にシートがなくなった時点で、自動で連続給紙が停止し、自動で主モータがオフになり、自動で可動部材の位置決めが開始される。
【0049】
次に、図3により、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置における、目標準備時間を算出するための準備時間の概念を説明する。図3は、図2に示すタイムチャートの生産時間のうちの準備時間において、目標準備時間を算出するための準備時間の概念を説明するためのタイムチャートである。
本実施形態では、図3に示すように、目標準備時間を算出するための準備時間の概念として、上述した第1~第3の準備段階を、「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」、「機械セット加算時間(印版交換/木型交換)」、「シートセット加算時間」、「給紙準備時間」、「試し加工・検品時間(無地)」、「検品加算時間(印刷/打抜)」の概念に細分化し、さらに、場合によっては「色替時間」の概念も考慮する。
【0050】
まず、図3に示すように、準備時間の開始直後に設定する「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」について説明する。
この「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」は、上述した第1の準備段階における目標準備時間の一つであり、達成すべき目標値である第1の目標準備時間である。この第1の目標準備時間は、オーダチェンジ時に印版交換や木型交換を行わないと仮定した場合の、前オーダの生産の給紙が停止した時点から、製函機1の所定の自動位置決めが完了する時点までの時間である。前オーダの生産の給紙が停止した時点は、オーダチェンジ時(準備時間開始時)のロット終了動作が開始した時点と一致するものとする。
なお、印版交換とは、印刷装置3の印版38の交換であり、以下では、「印版交換」と称する。ここで、1つの印刷シリンダに対して、作業者が、前オーダ用の印版38を取り外し、後オーダ用の印版38を装着する作業を、印版交換回数の1回と考える。
また、木型交換とは、ダイカッタ5の打ち抜きダイを備える木型54の木型交換であり、以下では、「木型交換」と称する。
また、「無地から無地」における「無地」とは、印刷無しかつ打ち抜き無しの基本オーダを想定した概念である。
また、製函機1の所定の自動位置決めは、次に生産が行われる後オーダの基本情報に基づいて自動で実行される、たとえば、バックガイド23の位置決め、フィードロール27間の上下方向の隙間調整、プレスロール37と印刷シリンダ34、36の間の3上下方向の隙間調整、スロッタユニット42のスロッタ刃43の横方向(シートSの搬送方向と直交する方向)の位置決めなどが含まれる。
【0051】
ここで、ロット終了動作は、ロット終了スイッチを使用して自動で行う方法と、基本的に一日のうちで最初のオーダの生産を開始するときなどに使用されるオーダチェンジスイッチを使用して手動で行う方法があるが、ここではロット終了スイッチを使用して効率的に行うことを想定している。
この第1の目標準備時間は、実際に製函機1を所定のオーダで作動させた実測値に基づいて予め設定される。より具体的には、製函機1が自動で給紙停止(準備時間の開始時点)してから、自動で主モータオフし、平均的な運転速度(製函機1の機械速度)から減速し、製函機1の上述した所定の自動位置決めが完了するまでの実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。
ここで、本実施形態では、給紙停止から位置決め開始までの一連の動作を「ロット終了動作」と定義し、その後の上述した自動位置調整を「自動機械セット」と定義する。図3には、それらの「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」を示す。
【0052】
次に、図3に示すように、第1の目標準備時間の後の時間として設定する「機械セット加算時間(印版交換/木型交換)」について説明する。
この「機械セット加算時間(印版交換/木型交換)」は、上述した第2の準備段階における目標準備時間の一つであり、達成すべき目標値である第2の目標準備時間である。具体的には、この第2の目標準備時間は、オーダチェンジ時に印版交換や木型交換を行う場合の、準備時間の開始時点(第1の目標準備時間の開始時点)から、作業者による印版交換や木型交換が完了するまでの時間と、上述した「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」との差の時間である。
本実施形態では、作業者による印版交換や木型交換は、製函機の可動部材(上述したフィードロール27など)の自動位置決め動作と並行して行うことを想定している。また、第1の目標準備時間である「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」が経過した時点では、まだ、作業者による交換作業が完了していないこと想定している。本実施形態では、このような差を加算する概念として、「機械セット加算時間(印版交換/木型交換)」としている。
【0053】
この第2の目標準備時間は、各作業に熟練した作業者(ベテラン作業者)が作業したときの実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。
本実施形態においては、後述する、製函機の印刷装置が「印刷シリンダが昇降するタイプ」である場合であって、オーダチェンジ時に印版交換を行う場合を想定し、この場合、交換作業完了後に昇降ユニットを下降させる必要があるので、昇降ユニット下降時間を含めた時間を考慮した機械セット加算(印版交換)時間が設定される。
一方、後述する、製函機の印刷装置が「印刷シリンダが昇降しないタイプ」である場合には、第2の目標準備時間に昇降ユニット下降時間を含めない。
ここで、本実施形態では、第2の準備段階における作業者の印版や木型の交換作業を「作業者機械セット」と定義する。また、上述した第1の準備段階における「自動機械セット」とこの第2の準備段階における「作業者機械セット」の両方を含む概念を「機械セット」と定義する。図3には、それらの「自動機械セット」および「作業者機械セット」を「機械セット」として示している。
【0054】
次に、図3に示すように、第2の目標準備時間の後の時間として設定する「シートセット加算時間」について説明する。
この「シートセット加算時間」は、上述した第2の準備段階における目標準備時間の一つであり、達成すべき目標値である第3の目標準備時間である。具体的には、この第3の目標準備時間は、「機械セット(自動位置決めおよび作業者の交換作業)が全て完了してから、作業者によるシートセットが完了して主モータをオンするまでの時間である。
本実施形態では、作業者によるシートセットは、「機械セット」と並行して行い、「機械セット」が全て完了した時点では、まだシートセットが完了していないことを想定している。本実施形態では、このような時間差を加算する概念として、「シートセット加算時間」としている。
【0055】
この第3の目標準備時間は、各作業に熟練した作業者が作業したときの実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。一方、第3の目標準備時間は、自動でシートセットするオートフィーダ装置を備える製函機の場合は、オートフィーダ装置の実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。
なお、本実施形態においては、オーダチェンジ時に木型交換を行う場合、および/または、後述する「印刷シリンダが昇降しないタイプ」においてオーダチェンジ時に印版交換を行う場合を想定したとき、木型や印版の交換作業の完了後にフレームを閉じる必要があるので、フレーム閉時間を考慮したシートセット時間が設定される。一方、後述する「印刷シリンダが昇降するタイプ」においては、第3の目標準備時間にフレーム閉時間を含めない。
【0056】
次に、図3に示すように、第1~第3の目標準備時間と並行するように設定する「色替時間」について説明する。
この「色替時間」は、準備時間の開始時点(第1の目標準備時間の開始時点)からインキ交換が完了するまでの時間である。インキ交換は、予めインキ缶をセットしておき、生産が終了して給紙停止すると、自動的に複数の印刷ユニットで同時に開始し、同時に終了することを想定している。
「色替時間」の設定値は、インキ交換を行う印刷ユニットの数に関わらず一つの値であり、機械のインキ交換の実測値に基づいて、予め設定される。なお、本実施形態では、この「色替時間」は、第1~第3の準備段階における目標準備時間に含めない概念としているが、予め設定された色替時間が、上述した第1~第3の目標準備時間の合計より長い場合には、上述した第1~第3の目標準備時間に代えて、この予め設定された色替時間が設定される。
【0057】
次に、図3に示すように、第3の目標準備時間の後の時間として設定する「給紙準備時間」について説明する。
この「給紙準備時間」は、上述した第3の準備段階における目標準備時間の一つであり、達成すべき目標値である第4の目標準備時間である。具体的には、この第4の目標準備時間は、「機械セット」が全て完了して、作業者により主モータスイッチがオンされてから、一枚給紙を行うまでの時間である。
本実施形態では、主モータをオンした後、すぐに機械を増速させて一枚給紙を行うことを想定している。
「給紙準備時間」の設定値は、機械が平均的な運転速度まで増速する時間の実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。
ここで、本実施形態では、主モータがオンされてから一枚給紙が行われるまでの動作を「給紙準備」と定義する。
【0058】
次に、図3に示すように、第4の目標準備時間の後の時間として設定する「試し加工・検品時間(無地)」について説明する。
この「試し加工・検品時間(無地)」は、上述した第3の準備段階における目標準備時間の一つであり、達成すべき目標値である第5の目標準備時間である。具体的には、この第5の目標準備時間は、オーダチェンジ直後に、オーダで印刷や打ち抜き加工を行わないと仮定した場合(上述した「無地」の場合)の、一枚給紙してから、検品が完了して次のオーダの生産を開始(連続給紙)するまでの時間である。
本実施形態では、一回の検品で合格し、機械の調整や2回目の試し加工を行わない場合を想定している。
「試し加工・検品時間(無地)」の設定値は、各作業に熟練した作業者が、印刷や打ち抜きのない、無地の段ボール箱の品質(箱の寸法や接合精度など)を検品する実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。
本実施形態では、一枚給紙が行われてから連続給紙が開始するまでの動作を「試し加工・検品」と定義する。
【0059】
次に、図3に示すように、第5の目標準備時間の後の時間として設定する「検品加算時間(印刷/打抜)」について説明する。
この「検品加算時間(印刷/打抜)」は、上述した第3の準備段階における目標準備時間の一つであり、達成すべき目標値である第6の目標準備時間である。具体的には、この第6の目標準備時間は、オーダチェンジ後の後オーダで印刷や打ち抜き加工を行う場合において、一枚給紙してから、検品が完了して次のオーダの生産を開始するまでの時間と、上述した「試し加工・検品時間(無地)」との差の時間である。
本実施形態では、検品は、各色の印刷や打ち抜きの品質を一つずつ順番に検査することを想定している。本実施形態では、「無地」の場合に対し、このような検品に要する時間の差を加算する概念として、「検品加算時間(印刷/打抜)」としている。
「検品加算時間(印刷/打抜)」の設定値は、各作業に熟練した作業者が作業したときの実測値に基づいて、後述するオーダチェンジパターンに応じたデータとして予め設定される。
ここで、上述したように、本実施形態では、一枚給紙が行われてから連続給紙が開始するまでの動作を「試し加工・検品」と定義する。
【0060】
次に、図4乃至図6により、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置における、上述した第1~第6の目標準備時間および色替時間に基づき目標準備時間を算出するためのオーダチェンジパターン別目標準備時間データおよび作業別設定時間データについて説明する。図4は、本実施形態による、印刷シリンダが昇降する印刷装置を備える製函機の目標準備時間報知装置における目標準備時間を算出するためのオーダチェンジパターン別目標準備時間データを示す図表であり、図5は、本実施形態による印刷シリンダが昇降しない印刷装置を備える製函機の目標準備時間報知装置における目標準備時間を算出するためのオーダチェンジパターン別目標準備時間データを示す図表であり、図6は、本実施形態によるオーダチェンジパターン別目標準備時間データを定める基準となる作業別設定時間データを示す図表である。
【0061】
本実施形態では、図4および図5に示すように、オーダチェンジパターンとして、前オーダと後オーダのそれぞれの基本情報(後述する図11参照)に基づいて設定される、印刷パターンと木型パターンの組み合わせに応じて、上述した第1~第6の目標準備時間を合計した目標準備時間が予め設定される。また、目標準備時間を予め設定する際、場合によっては、色替時間も考慮される。
ここで、図4および図5に示すように、印刷パターン「□■色替」の定義として、「□」の数値は、オーダチェンジ中に印版交換する回数を示し、「■」の数値は、オーダチェンジの後オーダで使用する色の数を示し、「色替」は、少なくとも1つの印刷ユニットでオーダチェンジ中にインキ交換を行うことを示し、また、木型パターン「□■」の定義として、「□」は、オーダチェンジの前オーダで使用される木型を示し、「■」は、オーダチェンジの後オーダで使用される木型を示し、それらの木型は、「送」が、送り木型を示し、「大」が、大型木型を示し、「小」が、小型木型を示す。
【0062】
たとえば、図4において、印刷パターンが、オーダチェンジ中に印版交換する回数が1回であり、かつ、オーダチェンジの後オーダで使用する色の数が2色であり、さらに、少なくとも1つの印刷シリンダにおいてオーダチェンジ中にインキ交換をする「12色替」パターンであり、かつ、木型パターンが、大型木型から送り木型に交換される「大送」パターンである場合の目標準備時間(上述した第1~第6の目標準備時間の合計値)は、370秒である。このような値は、後述するように図6に示す作業別設定時間データを基に設定される。
また、図5においても、各目標準備時間の数値を省略しているが、図4と同様に、後述する図6に示す作業別設定時間データを基準として設定される。
【0063】
本実施形態においては、基本的に、印版交換の「印版」という用語は、印刷に使用するための「印版」と、印刷をせず段ボールシートSを送るための「送り版」とを含む用語として定義する。
【0064】
ここで、印刷シリンダが昇降する印刷装置を備える製函機(図4に示すデータが用いられる製函機)では、印刷をしない印刷シリンダがシートSに接触しないように、印刷シリンダを上方位置で待機させるので、送り版を使用しない。すなわち、図4に示す印刷パターンの「印版」は、印刷に使用する印版のみを示す。
【0065】
たとえば、図4のデータの一例として、「12色替」パターンでは、オーダチェンジ中(準備時間中)に印版を1回交換し、後オーダで2つの印刷ユニット(印刷シリンダ)で2色を印刷し、さらに、少なくとも1つの印刷シリンダにおいて、オーダチェンジ中にインキ交換をすることを示している。
【0066】
この場合、後オーダで2色を印刷するのに対し、オーダチェンジ中に印版を1回しか交換しないのは、後オーダの2色分のうち、1色の印版を前オーダの段ボール箱の生産中に交換していることを意味する。より具体的には、印刷シリンダが昇降可能な製函機において、前オーダの生産中に印刷に使用しない印刷シリンダを上昇位置に待機させ、作業者が、その前オーダの生産中にその使用しない印刷シリンダにおいて、後オーダの2色分のうち1色の印版を交換することを前提としているのである。
このように、図4において、たとえば「01」、「23」などのパターンは、前オーダの生産中に印版交換しているパターンを示すので、印刷シリンダが昇降する印刷装置を備える製函機にのみ用いられるパターンである。
【0067】
このように、本発明の実施形態における「目標準備時間」は、たとえば、オーダチェンジ中(準備時間中)に交換する印版などの部品であっても、前オーダの生産中に交換可能であれば交換する、というように、全ての作業を効率よく行うことを前提とした、目標準備時間として設定される。
また、上述した第1~第6の目標準備時間のように、それらの目標準備時間は、各作業に熟練しており、印版の用意や治具の用意を適切に行え、かつ、印版や木型の交換作業も効率良く行える各作業に熟練した作業者の作業の実測値に基づいており、この点でも、本発明の実施形態の図4における「目標準備時間」は、全ての作業を効率よく行うことを前提とした、第1~第3の準備時間の目標準備時間として設定される。
【0068】
他方、印刷シリンダが昇降しない印刷装置を備える製函機(図5に示すデータが用いられる製函機)では、作業者が、オーダチェンジ中に、後オーダで印刷をしない印刷シリンダに送り版を取り付けることを前提としている。すなわち、図5に示す印刷パターンの「印版」には、送り版も含まれる。
【0069】
たとえば、図5のデータの一例を説明すると、「21色替」パターンでは、オーダチェンジ中(準備時間中)に印版を2回交換し、後オーダで1つの印刷ユニット(印刷シリンダ)で1色を印刷することを示している。また、少なくとも1つの印刷シリンダにおいて、オーダチェンジ中にインキ交換をすることを示している。
この場合、後オーダで1色を印刷するのに対し、オーダチェンジ中に印版を2回交換しているのは、その2回のうち、1回は、送り版へ交換していることを意味している。
このように、図5において、たとえば「10」、「32」などのパターンは、印刷シリンダが昇降しない印刷装置を備える製函機にのみ用いられるパターンである。
【0070】
また、この図5における目標準備時間も、上述した図4と同様に、印版や木型の交換作業に熟練した作業者による各作業の実測値に基づいており、この点でも、本発明の実施形態の図5における「目標準備時間」は、全ての作業を最も効率よく行うことを前提とした、第1~第3の準備時間の目標準備時間として設定される。
【0071】
次に、図6に示す作業別設定時間表を説明する。
図6に示す作業別設定時間データは、図4または図5に示すオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間を定めるために用いる基準データである。
この図6に示すデータは、上述した第1の目標準備時間「ロット終了・機械セット時間(無地~無地)」、第2の目標準備時間「機械セット加算時間(印版交換/木型交換)」、第3の目標準備時間「シートセット加算時間」、第4の目標準備時間「給紙準備時間」、第5の目標準備時間「試し加工・検品時間(無地)」、第6の目標準備時間「検品加算時間(印刷/打抜)」および「色替時間」をそれぞれ定めている。
図6に示すデータは、効率的にオーダチェンジ作業を進めた場合を想定して設定された基準データ/初期設定データであり、本実施形態では、上述したような、作業も効率良く行える3人の各作業に熟練した作業者が第1~第3の準備段階の各作業を実行したときの実測値を基に設定されている。
なお、図4乃至図6に示すようなデータは、後述する上位管理装置/目標準備時間報知装置122の記憶部152に記憶される。
【0072】
ここで、たとえば図4のオーダチェンジパターンが「12」「大送」の組み合わせの場合の、図6を用いた目標準備時間(図4または図5)の算出例を説明する。
このオーダチェンジパターンの場合、図6に示すデータに基づいて、「ロット終了・機械セット(無地→無地)時間」である75秒に、オーダチェンジ中に印版を1回交換するとともに、大型木型から送り木型へ交換するので、「機械セット加算(1色印版交換)時間」である30秒と、「機械セット加算(大型←→送り)時間」である150秒とのうち、時間が長い方の150秒が加算される。さらに、木型交換後にダイカッタのフレームを閉じるので、「シートセット加算(フレーム閉考慮)時間」である40秒、「給紙準備時間」である20秒、および、「試し加工・検品(無地)時間」である30秒が加算される。さらに、後オーダで2色を印刷するので「検品加算(2色)時間」である20秒が加算される。
また、製函機がオートフィーダを備え、それを使用する場合には、オートフィーダの仕様に応じて、「シートセット加算」および「シートセット加算(フレーム閉考慮)時間」の値が、自動的に、所定値に変更される。
また、後述するように、第1~第2の準備段階において、インキ交換時間に関して予め設定される「色替時間」が、予め設定される第1~第3の目標準備時間の合計より長くなる場合は、第1~第3の目標準備時間に代えて、図6に示す「色替時間」を第1~第2の準備段階での目標準備時間に設定する。なお、「色替時間」は、インキ塗布機構の仕様によって変更される。
【0073】
なお、この図6に示すデータは、実際の第1~第3の準備段階における作業者の人数が、基本となる3人に対して増減した場合に、作業者の所定のパネルへの入力により自動的に所定値分だけ増減するように変更される。本実施形態では、図6に示すデータを、後述する製函機の上位管理装置122の記憶部152に記憶された所定値を用いて補正して、そのような補正値に基づいて、図4または図5に示すような目標準備時間を補正するようにしている。
なお、図4図6に示すような各データを作業人数に応じてそれぞれ設定し、それらを、後述する上位管理装置122の記憶部152に記憶するようにしてもよい。
【0074】
また、「機械セット加算時間」、「シートセット加算時間」、「試し加工・検品時間(無地)」、および、「検品加算時間(印刷/打抜)」の各設定値は、作業者の所定のパネルへの入力により変更できる。
これにより、たとえば、新人作業者の場合は、「機械セット加算時間」、「シートセット加算時間」を長めに設定するなど、作業者の熟練度に応じて変更できる。すなわち、新人作業者の場合、その準備段階における実際の作業時間が、各作業に熟練した作業者の作業時間を目標にした目標値とかけ離れ過ぎるので、本実施形態では、適切な目標値に設定できるのである。
また、工場のスペースの制約により、作業に必要な物の用意に時間を要する場合は長めに設定するなど、作業環境に応じて設定時間を変更することもできる。
これらにより、本実施形態では、作業者の熟練度や工場の実情に合ったより適切な達成すべき目標準備時間の報知ができるようになる。
また、たとえば、段ボール箱に厳しい品質水準が求められる場合は、「試し加工・検品時間(無地)」や「検品加算時間(印刷/打抜)」の目標準備時間を長めに設定すれば、作業者による、より慎重な試し加工やより時間をかけた検品作業などを可能とする、実情に合った適切な達成すべき目標準備時間の報知ができるようになる。
【0075】
次に、図7図8A図8B図9により、図6の作業別設定時間表を用いた、図4または図5に示すオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の設定方法をより詳細に説明する。図7は、本実施形態による第1~第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図であり、図8Aおよび図8Bは、本実施形態による第1~第2の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図であり、図9は、本実施形態による第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。
【0076】
まず、図7に示す例のように、印版交換を行わない場合(図7(a))に対して、印版交換を行う場合(図7(b))は、印版交換の準備時間および色の検品の準備時間が必要となる分、第2の目標準備時間および第6の目標準備時間が長く設定される。具体的には、図6の「機械セット加算(1色交換)時間」の設定時間(30秒/図6参照)、および、「検品加算(1色)時間」の設定時間(10秒/図6参照)がそれぞれ加算される。
このように決定される設定時間を基準として、図4または図5のオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の値が適宜設定される。
【0077】
次に、図8A(a)に、オーダチェンジ中に印版交換あるいは木型交換のどちらかを行う場合の例を示す。たとえば、図8A(a)に示すように、印版交換のみを行う場合には、オーダチェンジ中に印版交換する回数に応じた「機械セット加算(1色印版交換)時間」の設定時間(30秒/図6参照)を第2の目標準備時間の基準とし、図4または図5のオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の値が適宜設定される。この場合、「機械セット加算(木型)時間」に関する設定時間は考慮しない。木型交換のみを行う場合には、木型交換の組み合わせに応じた設定時間(図6参照)を、機械セット加算時間(第2の目標準備時間)の設定時間とする。
【0078】
次に、図8A(b)に、オーダチェンジ中に印版交換および木型交換の両方を行う場合の例を示す。この場合、図8A(a)のパターンにならって、「機械セット加算(印版交換)時間」と、「機械セット加算(木型交換)時間」をそれぞれ求めた後、両者を比較して、長い方を「機械セット加算時間(第2の目標準備時間)」の設定時間とする。
すなわち、印版交換および木型交換の両方を行う場合において、印版交換の準備作業時間と、木型交換の準備作業時間とを比較するのは、複数人で準備作業を並行に行い(印版交換と木型交換を並行に行い)、より効率的な作業を行った場合の目標準備時間を設定する本実施形態の基本概念に基づくものである。
ここで、図8A(b)のように、1色の印版交換の準備時間より、送り木型を取り外してから大型木型を取り付ける木型交換の準備時間が長くなることは、上述したような熟練作業者の作業の実測値から得られる。この場合、「機械セット加算(1色印版交換)時間」の設定時間(30秒/図6参照)ではなく、「機械セット加算(大型←→送り)時間」の設定時間(150秒/図6参照)が、第2の目標準備時間の基準として設定される。一方、図示しないが、印版交換の準備時間の方が長くなる場合(たとえば3色など複数の印版交換を行う場合)は、印版交換の設定時間(図6)が第2の目標準備時間の基準として設定される。
【0079】
次に、図8B(a)に、インキ交換を行う場合の例を示す。この場合は、「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」、「機械セット加算(印版交換/木型交換)時間」、および、「シートセット加算時間」との合計時間と、「色替時間」とを比較して、長い方の時間を第1および第2の準備段階の時間として設定する。
たとえば、インキ交換の準備時間が、第1~第2の準備段階の他の準備時間(上述した「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」など)の合計より長くなる場合には、インキ交換に関する図6の「色替時間」の設定時間を基準とし、図4または図5のオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の値が適宜設定される。すなわち、第1~第2の準備段階の目標準備時間の基準が、「色替時間」の設定時間となる。この場合、図4または図5のように設定される目標準備時間は、第1~第3の目標準備時間が「色替時間」に置き換えられた数値を含むものとなる。一方、インキ交換の準備時間が短い場合は、図6の「色替時間」の設定時間は考慮されない。
このように比較を行うのは、ロット終了動作が開始(給紙停止)すると、製函機の運転速度の減速や機械セットと並行して、インキ交換が行われることを想定しているためである。
【0080】
次に、図8B(b)に、オーダチェンジ中に木型交換を行う場合、および/または、印刷シリンダが昇降しない製函機においてオーダチェンジ中に印版交換を行う場合の例を示す。この場合は、木型や印版の交換が完了した後に、ダイカッタにおける木型交換のためにスライド可能なフレームを閉じ、および/または、印刷ユニットにおける印版交換のためにスライド可能なフレームを閉じる必要があるので、フレーム閉時間を考慮したシートセット時間を、第3の目標準備時間としての設定時間とする。
【0081】
次に、図9に、後オーダで印刷および/または打ち抜き加工を行う場合の例を示す。
まず、図9(a)に示すように、後オーダで、打ち抜き加工はせず、1色の印刷のみを行う場合、後オーダで使用する色数に応じた検品加算時間の設定時間(この場合、「検品加算(1色)時間の設定時間である10秒/図6参照)を、第6の目標準備時間の基準とし、図4または図5のオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の値が適宜設定される。
ここで、段ボール箱の印刷部の検品は、1色ずつ検査するので、後オーダで使用する色数(印刷のために使用する印刷シリンダの数)が増えるほど、検品時間が長く設定される(図6参照)。
一方、図示しないが、後オーダで、印刷はせず、打ち抜き加工のみを行う場合は、後オーダで使用する木型の種類に応じた検品加算時間の設定時間(図6)が第6の目標準備時間の基準となる。
【0082】
次に、図9(b)に示すように、後オーダで印刷と打ち抜きの両方を行う場合は、段ボール箱の印刷部の検品時間と、段ボール箱の打ち抜き部分の検品時間とを合計した時間を「検品加算時間(色刷、打抜)」の設定時間(この場合、「検品加算(2色)時間」の設定時間である20秒と、「検品加算(大型打抜)時間」の設定時間である20秒との合計時間である40秒)とすると共に、その設定時間を第6の目標準備時間の基準とし、図4または図5のオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の値が適宜設定される。これは、段ボール箱の印刷部の検品と、打ち抜き部の検品とは同時並行で行わず、一つずつ順番に行うことを想定しているためである。
【0083】
次に、図10乃至図16により、本実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置およびそのシステムの概略構成および扱われる情報について説明する。図10は、本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムの概略構成を示すブロック図であり、図11は、本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムで用いられるオーダの基本情報の一例を示す図表であり、図12Aおよび図12Bは、本実施形態による目標準備時間報知装置における各所要時間の集計方法の一例を示す図表であり、図13は、本実施形態による目標準備時間報知装置におけるオーダチェンジパターンを特定するための情報の一例を示す図表であり、図14は、本実施形態による目標準備時間報知装置におけるオーダチェンジパターン毎の実績情報の一例を示す図表であり、図15は、本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムにおける作業別時間毎の分析情報の一例を示す図表であり、図16は、本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムにおける作業別時間毎の比較情報の一例を示す図表である。
【0084】
まず、図10に示すように、符号100は、本実施形態による製函機1の目標準備時間報知装置およびそのシステムを示し、この製函機1の目標準備時間報知装置およびそのシステム100は、製函機1のユーザ側(製函機で段ボール箱を生産する生産者側)に設けられ、製函機1の各機械を制御し且つ製函機1の生産管理を行う生産管理装置110と、メーカ側(製函機の製造者側)に設けられ、外部との通信を行うと共に所定のデータを蓄積したデータベース(記憶装置)を備えるサーバ装置112と、このサーバ装置112に接続される分析装置114と、を備える。なお、サーバ装置112による外部との通信は、インターネットやクラウドサービス、または、社内LANなどにより行われる。
【0085】
生産管理装置110は、製函機1に接続され、図11に示すようなオーダ毎の基本情報に従って製函機1の各機械を制御するための下位管理装置120と、製函機1における生産を全般的に管理するための上位管理装置122とを有する。この上位管理装置122は、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置122に相当する。以下では、上位管理装置122を目標準備時間報知装置122と称して説明する。本実施形態では、下位管理装置120は製函機1に組み込まれ、目標準備時間報知装置122は、製函機1と別体に設けられる。
【0086】
ここで、本実施形態において、図11に一例を示すように、基本情報とは、製函機1で各オーダに係る段ボール箱を生産するためのオーダ情報であり、この基本情報(オーダ情報)には、品名や段ボール箱の仕様などのほか、使用する印刷ユニット、使用するインキ、使用する木型などに関する情報が含まれる。
【0087】
次に、図10および図11により、本実施形態による生産管理装置110の下位管理装置120を説明する。
本実施形態による下位管理装置120は、目標準備時間報知装置(上位管理装置)122から受け取ったオーダ毎の基本情報に従って、製函機1の各ユニット2~6、8の動作を制御する装置である。そのため、図10に示すように、下位管理装置120には、製函機1の各ユニット2~6、8を制御する制御装置124と、各スイッチやタッチパネル式ディスプレイを含む操作パネル126と、生産枚数計数センサ28およびシート有無検出センサ29とが接続される。
【0088】
次に、下位管理装置120は、目標準備時間報知装置122との間でデータ(情報)を送受信する入出力部130と、生産枚数計数センサ28の検出信号に基づいてリアルタイムで生産枚数を計数する生産枚数計数部132と、各ユニット2~6、8の動作、例えば、シートSの搬送や加工に必要な動作や、オーダチェンジ時の位置決め動作などをオーダ毎に制御するよう制御装置124に信号を送る各ユニット制御部134とを有する。生産枚数計数部132による計数結果は、リアルタイムで目標準備時間報知装置122に送られる。
下位管理装置120は、さらに、記憶部136を有し、この記憶部136は、目標準備時間報知装置122から受け取ったオーダ毎の基本情報(図11)および後述するオーダ順(図13)を一時的に記憶すると共に、生産枚数計数部132による計数結果を一時的に記憶する。また、記憶部136には、オーダチェンジ信号を目標準備時間報知装置122との間で送受信するタイミングに関するデータを記憶している。
【0089】
下位管理装置120は、現在のオーダの生産が終了すると、目標準備時間報知装置122にオーダチェンジ信号を送る。目標準備時間報知装置122がこのオーダチェンジ信号を受信すると、後述するように、目標準備時間報知装置122は、下位管理装置120に次のオーダの基本情報(図11参照)を送る。このオーダチェンジ信号は、ロット終了スイッチがオンの場合に給紙テーブル21上にシートSが無くなった時、または、手動でオーダチェンジスイッチを押した時に送られる。
【0090】
次に、図10乃至図14により、本実施形態による生産管理装置110の目標準備時間報知装置/上位管理装置122を説明する。
本実施形態による目標準備時間報知装置122は、作業者が視認可能な目標準備時間を、オーダチェンジ開始と同時に、下位管理装置の操作パネル126および/または目標準備時間報知装置122に表示させるための装置であり、かつ、多数のオーダに係る段ボール箱の生産を、予め決められた順序で、製函機1に実行させるための装置である。
なお、製函機1の操作パネル126および/または目標準備時間報知装置122の操作パネル154には、前オーダおよび/またはオーダチェンジの後オーダに係るオーダ情報(図11)なども表示される。
【0091】
図10に示すように、目標準備時間報知装置122は、下位管理装置120およびサーバ装置112との間でデータ(情報)を送受信する入出力部140と、下位管理装置120からオーダチェンジ信号と生産枚数の計数結果をリアルタイムで取得する信号取得部142と、この信号取得部142が取得した信号に基づいて製函機の運転/停止/準備の各状態を特定する状態特定部144と、この状態特定部144が特定した運転/停止/準備の各状態が継続した時間をリアルタイムで集計する所要時間集計部146と、を有する。
【0092】
より詳細には、信号取得部142は、下位管理装置120から、オーダチェンジ信号、生産枚数の計数結果、主モータオン信号、各機械セット完了信号を取得する。
ここで、オーダチェンジ信号は、ロット終了スイッチがオンの場合に、給紙テーブルの上に段ボールシートがなくなった時、または手動でオーダチェンジスイッチを押したときに送られる。
また、生産枚数計数部132において、生産枚数計数センサ28の検出信号に基づいて計数された生産枚数の計数結果を取得する。
なお、主モータオン信号は、作業者が主モータスイッチを手動でオンにしたときに送られ、機械セット完了信号は、第1および第2の準備段階における、各機械セットの完了を示す信号である。
【0093】
ここで、位置決め完了時に、自動で位置決め完了信号が出力され、作業者が印版交換後に印版交換完了スイッチを押した時に、印版交換完了信号が出力され、作業者が木型交換後に木型交換完了スイッチを押した時に、木型交換完了信号が出力される。
位置決め完了信号は、給紙装置2、印刷装置3、クリーザスロッタ4、フォルダグルア6、カウンタエジェクタ8の位置決めが全て完了した時に出される。
製函機1が、印刷シリンダが昇降する印刷装置を備えるタイプでは、昇降ユニットの下降動作も位置決め項目に含まれるので、作業者が印版交換完了スイッチを押して、昇降ユニットが下降した後に、印刷装置の位置決めが完了する。
一方、製函機1が、印刷シリンダが昇降しない印刷装置を備えるタイプやダイカッタでは、印版や木型の交換作業の進捗と関係なく、印刷装置3やダイカッタ5の位置決めが完了する。
【0094】
また、状態特定部144は、信号取得部142が取得した、オーダチェンジ信号および生産枚数の計数結果に基づいて「運転時間」、「停止時間」、「準備時間(第1~第3の準備段階)」のうち、製函機1がどの状態かを特定し、所要時間集計部146が、その各状態の所要時間を集計する。
また、状態特定部144は、信号取得部142が取得した各機械セット完了信号に基づいて、完了した機械セット(位置決め、印版交換、木型交換)を特定する。
また、状態特定部144は、信号取得部142が取得した、主モータオン信号や生産枚数の計数結果に基づいて、給紙準備動作、試し加工・検品動作の状態を特定する。
【0095】
ここで、状態特定部144および所要時間集計部146による運転時間の算出は、詳細な説明は省略するが、図12Aおよび図12Bに示すような条件で実行される。
たとえば、図12Aにおいて、状態特定部144は、オーダチェンジ信号を受信した時点を準備時間の開始とする。そして、この準備時間の終了は、上述した運転時間の開始の時点と同一の時点である。なお、作業者が給紙停止スイッチを操作した時点を運転時間の終了時点、かつ、準備時間の開始時点としても良い。
また、準備時間の集計開始時点は、機械のロット終了動作が開始した時点(給紙停止した時点)と同じ時点である、と捉えることができる。
なお、給紙開始スイッチON信号、主モータスイッチON信号、一枚給紙スイッチON信号、印版交換完了スイッチON信号、木型交換完了スイッチON信号は、作業者がスイッチを操作した時に送られる。
【0096】
また、所要時間集計部146は、状態特定部144が特定した、「準備状態/第1~3の準備段階全体」が継続した時間を集計する。
また、所要時間集計部146は、このような準備時間の集計と並行して、準備状態が開始してから、各機械セットが完了するまでの時間である、「位置決め完了時間」、「印版交換完了時間」、および、「木型交換完了時間」を集計する。
また、所要時間集計部146は、準備時間の集計と並行して、給紙準備動作が継続した時間である「給紙準備時間」と、試し加工・検品動作が継続した時間である「試し加工・検品時間」とを集計する。
【0097】
次に、図10に示すように、目標準備時間報知装置122は、オーダチェンジパターン特定部156と、目標準備時間算出部157と、報知指令部158と、を有する。
ここで、後述する記憶部(データベース)152には、図13に示すようなオーダチェンジパターンを特定するための情報が記憶されている。
オーダチェンジパターン特定部156は、この記憶されているオーダチェンジパターンを特定するための情報に基づいて、所定のオーダチェンジ(たとえば、図13の生産順の「2」と「3」との間に行われるオーダチェンジ/準備段階)の前オーダ(図13の生産順「2」のオーダ)と後オーダ(図13の生産順「3」のオーダ)の、それぞれの、使用する印刷ユニットとインキ、使用する木型の情報に基づいて、オーダチェンジ時に必要となる作業を特定し、作業内容を表すオーダチェンジパターンを特定する。このオーダチェンジパターンの具体的な特定方法は後述する(図18図19図20A図20B参照)。このオーダチェンジパターンの特定には、図4および図5に示される印刷パターンの特定、および、木型パターンの特定が含まれる。
【0098】
次に、目標準備時間算出部157は、オーダチェンジパターン特定部156が特定したオーダチェンジパターンに基づいて、第1~第3の準備段階(図3)における作業を効率良く達成すべき目標準備時間を算出する。
ここで、記憶部152には、製函機1のタイプ毎(上述した印刷シリンダの昇降可能の有無など)に応じて、図4または図5のような「オーダチェンジパターン別目標準備時間表」のデータが記憶されている。
目標準備時間算出部157は、オーダチェンジパターン特定部156で特定されたオーダチェンジパターンに基づき、記憶部152に記憶された図4または図5のようなデータを参照して、目標準備時間を算出する。たとえば、図4を参照し、オーダチェンジパターン特定部156で特定された印刷パターンが「11」であり、かつ、木型パターンが「大送」である場合には、目標準備時間が325秒に設定される。
【0099】
次に、報知指令部158は、状態特定部144が、製函機1を準備状態と特定している間、操作パネル154(および/または下位管理装置120の操作パネル126)のディスプレイに、目標準備時間算出部157が算出した目標準備時間を表示する(図示は省略する)。
このディスプレイでの目標準備時間の表示は、準備段階の開始時点(図3参照)に開始され、その後、実際の準備段階(準備時間)の各作業が進むにつれて、算出された目標準備時間から時間が減算された、目標準備時間までの残り時間として表示され(カウントダウン表示/残り時間表示)、その後、実際の準備時間が目標準備時間に到達して残り時間が0となった後は、目標準備時間を超過した時間をマイナス表示として表示する(オーバー表示/超過時間表示)。
なお、変形例として、オーダチェンジが開始する前に、目標準備時間を表示するようにしても良い。例えば、オーダチェンジの前のオーダ生産中に、オーダ生産終了後に行われるオーダチェンジの目標準備時間を表示することにより、作業者は前もって目標準備時間を把握することができる。
【0100】
次に、図10に示すように、目標準備時間報知装置122は、実績情報生成部/情報送信指令部148と、生産管理部150と、記憶部(データベース)152と、を有する。
まず、実績情報生成部/情報送信指令部148は、所要時間集計部146が集計した各実績時間と、オーダチェンジパターン特定部156が特定したオーダチェンジパターンに基づき、図14に示すような実績情報を生成すると共に、その生成した実績情報を記憶部に記憶させる。
図14に示すように、実績情報は、実行された各回のオーダチェンジの実績情報であり、オーダチェンジパターンと、実際の作業者の作業による準備時間の実績合計値、および、その内訳の各実績時間(準備時間、位置決め完了時間、印版交換完了時間、木型交換完了時間、給紙準備時間、試し加工・検品時間)を含む。
記憶された実績情報は、所定のタイミングで、入出力部140を介してサーバ装置112に送られる。
【0101】
次に、生産管理部150は、下位管理装置120からオーダチェンジ信号を受け取ったとき、記憶部152に記憶された、図13に示すようなオーダチェンジパターンを特定するための情報を含む生産管理計画から次のオーダの基本情報(図11参照)を読み出し、読み出した次のオーダの基本情報を下位管理装置120に送る。
【0102】
次に、記憶部152には、各オーダの基本情報(図11)を含む生産管理計画データが記憶される。また、記憶部152は、図4または図5に示すような「オーダチェンジパターン別目標準備時間表」と、図6に示すような「作業別設定時間表」と、実績情報生成部148が生成した実績情報などを記憶する。
【0103】
また、目標準備時間報知装置122は、キーボードとタッチパネル形式のディスプレイを備えた操作パネル154を備える。
上述したように、報知指令部158からの指令によって、操作パネル154のディスプレイに目標準備時間が表示される。
また、作業者は、操作パネル154のキーボードやタッチパネルなどを操作することにより図6に示すような「作業別設定時間表」の設定時間の変更ができる。さらに、作業者は、準備段階で作業する人数を入力することにより、上述したように、「作業別設定時間表」の設定時間の変更ができる。さらに、作業者は、操作パネル154により、オーダの順番変更や、オーダの追加や削除、各オーダの生産基本情報の変更などのオーダの生産管理を行うことができる。
【0104】
次に、本実施形態による目標準備時間報知装置およびそのシステムの分析装置114を説明する。
本実施形態による分析装置114は、サーバ装置112を介して種々の情報(図4図6に示すような作業別時間表などのデータ、図11に示すような基本情報、図13に示すようなオーダチェンジパターンを特定するための情報、図14に示すような実績情報)を入出力するための入出力部160と、この入出力部160を介して種々の情報を取得する情報取得部162と、実際の作業者による準備時間に関する実績情報を分析する分析情報生成部172と、実績情報を目標準備時間と比較して所定の比較情報を生成する比較情報生成部174と、情報送信指令部176と、実績情報や分析情報などを記憶する記憶部(データベース)178と、を有する。
【0105】
まず、分析装置114では、情報取得部162が、図14に示すような実績情報を取得し、分析情報生成部172は、その実績情報に基づいて、図15に示すような分析情報を生成する。この分析情報は、主に、実績情報に含まれるオーダチェンジパターン毎の実績時間を「作業別設定時間表」(図6)に対応する実績時間に換算したデータである。
より詳細には、図15は、「作業別設定時間表」(図6)の各作業別に細分化した「目標準備時間(作業別)」を示すと共に、その目標数値データと比較するための実績データとして、「作業別設定時間表」(図6)の各作業に対応する「実績時間(オーダチェンジパターン別)」を示す。ここで、本実施形態においては、「目標準備時間(作業別)」は、図6の各作業の設定時間に基づき、上述したように、たとえば作業人数に応じてそれらの設定時間を適宜調整し、最終的に決定された目標準備時間(図4または図5)を、作業別に細分化した作業別目標準備時間を意味する。
【0106】
なお、各実績時間から「作業別設定時間表」に対応する実績時間を求める換算は、以下の(1)~(11)に列記する計算式などにより行われる。ここで、各計算式において、左辺は「作業別設定時間表」に対応する実績時間を、右辺は図14に示すような所要時間集計部146の集計結果などに基づく各実績時間を示している。
【0107】
(1)ロット終了・機械セット時間(無地→無地)時間=オーダチェンジ時に印版交換や木型交換を行わない場合の位置決め完了時間
(2)機械セット加算時間(印版交換)=印刷シリンダが昇降するタイプにおいてオーダチェンジ時に印版交換を行う場合の位置決め完了時間-(過去の分析情報の平均値の)ロット終了・機械セット時間(無地から無地)時間
(なお、機械セット加算時間(印版交換)には、昇降ユニットの下降時間が含まれる。)
(3)機械セット加算時間(印版交換)=印刷シリンダが昇降しないタイプにおいてオーダチェンジ時に印版交換を行う場合の印版交換完了時間-(過去の分析情報の平均値の)ロット終了・機械セット時間(無地から無地)時間
(4)機械セット加算時間(木型交換)=オーダチェンジ時に木型交換を行う場合の
木型交換完了時間-(過去の分析情報の平均値の)ロット終了・機械セット時間(無地から無地)
(5)色替時間は集計しない。
(6)シートセット加算時間=準備時間-位置決め完了時間、印版交換完了時間、木型交換完了時間のうち最も長い時間-給紙準備時間-試し加工・検品時間
(7)給紙準備時間=給紙準備時間
(8)試し加工・検品時間(無地)=オーダチェンジ時に印版交換や木型交換を行わない場合の試し加工・検品時間
(9)検品加算時間(色)=オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行う場合の試し加工・検品時間-(過去の分析情報の平均値の)試し加工・検品時間(無地)
(10)検品加算時間(打抜)=オーダチェンジ後の後オーダで打ち抜き加工のみを行う場合の試し加工・検品時間-(過去の分析情報の平均値の)試し加工・検品(無地)
(11)検品加算時間(打抜)=オーダチェンジ直後のオーダで印刷と打ち抜き加工を両方行う場合の試し加工・検品時間-(過去の分析情報の平均値の)試し加工・検品時間(無地)-(過去の分析情報の平均値の)検品加算時間(色)
【0108】
分析装置114では、さらに、比較情報生成部174が、図16に示すような比較情報を生成する。図16は、図15と同様の「目標準備時間(作業別)」を示すと共に、その目標数値データと比較するための実績データの例として所定の月毎の実績時間の平均値を示す。比較情報生成部174は、一か月分の分析情報に基づき、分析した各実績時間の平均を算出する。そして、比較情報生成部174は、月毎の実績平均時間と、「作業別設定時間表」における各目標準備時間とを比較できる比較情報(図16)を生成する。製函機のユーザ(作業者)は、サーバ装置112を介して送られた比較情報を見ることにより、オーダチェンジ時のどの作業が、設定時間と比べて時間がかかっているのかを把握でき、改善すべき作業を把握しやすくなる。
【0109】
次に、図17Aおよび図17Bにより、本発明の実施形態による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置(上位管理装置)で実行される制御内容について説明する。
図17Aおよび図17Bは、本実施形態の目標準備時間報知装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。Sは、各処理のステップを示す。
まず、S1(図17A)において、工場での生産の一日の始まりに製函機の電源がオンにされると、信号取得部142が、オーダチェンジ信号または1オーダサイクル中における生産枚数の計数結果を取得する。次に、S2において、オーダチェンジ信号を取得したか否かを判定し、取得していれば、S3に進み、生産管理部150が、次のオーダの基本情報を下位管理装置120に送る。
次に、S4において、オーダチェンジ信号を受け取った(S1)ことに基づき、状態特定部144が、製函機1が準備状態(準備時間)の開始時点であると特定し、次に、S5において、所要時間集計部146が、準備時間の集計を開始し、記憶部152に記憶させる。
【0110】
次に、S6において、オーダチェンジパターン特定部156が、現在、準備状態であるオーダチェンジの前オーダと後オーダのそれぞれの基本情報(オーダ情報)に基づき、オーダチェンジパターンを特定する。このS6におけるオーダチェンジパターンを特定するための特定フローについては、図18図19図20A図20Bを用いて後述する。
【0111】
次に、S7において、目標準備時間算出部157が、記憶部152に記憶されている「オーダチェンジパターン別目標準備時間表」(図4または図5)を参照し、S6で特定されたオーダチェンジパターン(印刷パターンおよび木型パターン)に基づいて目標準備時間を算出する。
【0112】
次に、S8において、報知指令部158が、S7で目標準備時間算出部157が算出した目標準備時間を操作パネル154のディスプレイに表示する。その表示内容は、上述した報知指令部158の機能である、カウントダウン表示およびオーバー表示である。
【0113】
次に、S9において、所要時間集計部146が、各機械セット(位置決め、印版交換、木型交換)が完了するまでの時間の集計を開始し、次に、S10において、信号取得部142が、各機械セット完了信号(位置決め完了信号、印版交換完了信号、木型交換完了信号)を取得する。次に、S11において、状態特定部144が、信号取得部142が取得した機械セット完了信号に基づいて、完了した機械セットを特定し、次に、S12において、所要時間集計部146が、完了した機械セットの時間の集計を終了し、集計された時間が記憶部152に記憶される。
なお、オーダチェンジ中に複数の印版交換を行う場合は、S10、S11において、最後の印版交換完了信号を取得した時に、印版交換が完了したと判断する。
【0114】
次に、S13に進み、機械セットやシートセットが完了し、作業者が主モータスイッチをオン操作したか否か、すなわち、第1~第2の準備段階が終了したか否かを判定する。この判定は、信号取得部142が、主モータオン信号を取得したか否かで判定される。S13において、第1~第2の準備段階が終了したと判定されるまで、S10~S12の処理が繰り返される。
【0115】
S13で、第1~第2の準備段階が終了したと判定されると、S14(図17B)に進む。S14では、主モータオン信号を受け取ったことに基づき、状態特定部144が、給紙準備時間が開始したと特定し、所要時間集計部146が、給紙準備時間の集計を開始する。
そして、作業者が一枚給紙スイッチなどを操作して試し加工が行われると、S15において、信号取得部142が生産枚数計数結果を取得し、次に、S16において、状態特定部144が、生産枚数計数結果を受け取ったことに基づいて給紙準備時間が終了したと特定し、所要時間集計部146は給紙準備時間の集計を終了し、集計された給紙準備時間が記憶部152に記憶される。
【0116】
次に、S17に進み、生産枚数計数センサ28(図1)により、シート給紙装置2から1枚ずつ送り出されるシートSが、4秒間に2枚以上計数されたか否かを判定する。
シートSが4秒間に2枚以上計数されない場合は、S18に進み、状態特定部144が、試し加工・検品時間が開始したと特定し、所要時間集計部146が、試し加工・検品時間の集計を開始する。そして、作業者が再び一枚給紙スイッチを操作するか、あるいは給紙開始スイッチを操作すると、S19において、信号取得部142が生産枚数計数結果を取得する。次に、S20において、シートSが4秒間に2枚以上計数されるまで、S19の処理を繰り返し、シートSが4秒間に2枚以上計数されると(S20でYES)、状態特定部144は、準備状態が終了したと特定する。
【0117】
次に、S21に進み、所要時間集計部146が、試し加工・検品の時間集計を終了し、集計された時間が記憶部152に記憶され、次に、S22において、第1~第3の準備段階が終了したものとして、所要時間集計部146が、準備時間の集計を終了する。このとき、記憶部152には、第1~第3の準備段階の各準備時間が記憶されている。
【0118】
次に、S23に進み、第1~第3の準備段階の終了に伴い、報知指令部158は、S8で開始された作業者への報知(カウントダウン表示、オーバー表示)を停止し、次に、S24において、シートSが4秒間に2枚以上計数されたことに基づき、状態特定部144が、製函機1の運転が運転時間の状態であると特定し、S1(図17A)に戻る。
【0119】
一方、S2において、オーダチェンジ信号の取得(S1)はしないが、生産枚数の計数結果を取得した場合(S2でNO)、S25に進み、S17と同様に、シートSが4秒間に2枚以上計数されたか否かを判定する。S25において、シートSが4秒間に2枚以上が計数されていないと判定された場合には、S26に進み、状態特定部144が、製函機1の運転が停止時間の状態であると特定し、次に、S27において、目標準備時間報知装置/上位管理装置122の電源スイッチが切られるなど一日の生産が終了したか否かを判定する。
【0120】
S27において、電源スイッチがオフとされた場合など一日の生産が終了したとみなすことができる場合には、S28に進み、情報送信指令部148が、生産が終了した所定数のオーダチェンジの実績情報を記憶部152から読み出し、サーバ装置112に送る。
一方、S27において、一日の生産が終了したとみなされない場合には、S1に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0121】
一方、製函機が連続給紙中の運転状態である場合には、S1において、オーダチェンジ信号を受け取らないので、図17AのS1、S2、S25、および、図17BのS24の処理が繰り返される。
また、現在のオーダの最終枚目が給紙され、連続給紙が停止されると、次のオーダを実行するために、下位管理装置120から新たなオーダチェンジ信号が送られるので、S1~S24が再度実行される。
【0122】
次に、図18図19図20A図20Bにより、オーダチェンジパターン特定部156により、図17AのS6で実行されるオーダチェンジパターンを特定するための処理内容について説明する。図18は、本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第1の制御内容を示すフローチャートであり、図19は、本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第2の制御内容を示すフローチャートであり、図20Aおよび図20Bは、本実施形態の目標準備時間報知装置のオーダチェンジパターン特定部で実行される第3の制御内容を示すフローチャートである。Sは、各処理のステップを示す。
【0123】
まず、図18により、製函機が印版シリンダが昇降する印刷装置を備えるタイプにおける、印刷パターンの特定方法(第1の制御内容)を説明する。
まず、オーダチェンジパターン特定部156は、S1において、印刷ユニット識別番号X=1として、1色目印刷ユニットの作業の特定を開始する。
次に、S2において、1色目印刷ユニットを、後オーダで印刷に使用するか否か判定する。後オーダで使用しない場合(S2でNO)、S3に進む。この場合、印版の交換作業が不要なので、オーダチェンジパターンの印刷パターン(以下では、「印刷パターン」と称する)を「00」と特定する(印刷パターンの「■□」の各数値の定義は、図4を参照)。なお、印刷シリンダが昇降するタイプの場合であって、印刷に使用しないユニットが存在する場合、最も効率が良いのは、オーダチェンジ中は前オーダの印版を装着したままにし、後オーダの生産中に印刷シリンダを上昇位置に固定して印版交換するという、オーダチェンジ中に印版の交換作業が不要な状態であり、本実施形態では、これを前提とする。
【0124】
一方、1色目印刷ユニットを後オーダで使用する場合(S2でYES)、S4に進み、前オーダが1色目印刷ユニットを使用するオーダであったか否かを判定する。前オーダが1色目印刷ユニットを使用しないオーダの場合(S4でNO)、S5に進む。この場合、前オーダ生産中に印版交換できるので、印刷パターンを「01」と特定する。すなわち、印刷に使用されないシリンダは上昇位置に固定されているので、生産中であっても、作業者は、印版を交換できる。これにより、より効率が良い作業を行う場合の目標準備時間を設定できる。
【0125】
一方、1色目印刷ユニットを前オーダで使用する場合(S4でYES)、S6に進み、1色目印刷ユニットにおいて、前オーダと後オーダとで使用するインキ種類が同じか否かを判定する。すなわち、1色目印刷ユニットを前後オーダで同じインキを連続使用するか否かを判定する。
前後オーダでインキの種類が異なる場合(S6でNO)、S7に進み、オーダチェンジ中に印版交換およびインキ交換を行うので、印刷パターンを「11色替」と特定する。
一方、前後オーダでインキの種類が同じ場合(S6でYES)は、S8に進み、この場合、オーダチェンジ中に印版交換のみ行うので、印刷パターンを「11」と特定する。
【0126】
以上のS2~S8の処理において印刷パターンが特定されるので、S9では、それまでに特定した、(Xが複数の)印刷ユニットの印刷パターンを合算する。たとえば、製函機が4色目印刷ユニットまでを備える場合(Xが最大で4となる)、X=1~4においてそれぞれ特定された印刷パターンが、たとえば、「00」(1色目)、「11色替」(2色目)、「01」(3色目)、「11」(4色目)の場合、その合算として、印刷パターンが「23色替」となる。
【0127】
次に、S10に進み、印刷ユニット識別番号Xが、製函機の印刷ユニット数と同じか否かを判定する。すなわち、S10では、製函機1の印刷ユニット数の全てに対して考慮した印刷パターンを特定するために、このような判定を行う。
S10において、印刷ユニット識別番号Xが製函機の印刷ユニット数より少ない場合は、S11に進み、識別番号を、前の識別番号に1を足した番号にする。たとえば、製函機が4色目印刷ユニットまでを備える場合、上述の説明では、1色目印刷ユニットまでしか印刷パターンを特定していないので、この場合、S11、および、S2以降の処理により、2色目印刷ユニットの印刷パターンの特定を進める。なお、製函機が備える印刷ユニットの数(一般的に2~4)は、予め記憶部に記憶されている。
その後、S10において、印刷ユニット識別番号Xが製函機の印刷ユニット数と同じと判定されるまで、2色目以降の印刷ユニットについて、それぞれ、S2~S8により印刷パターンを特定すると共に、S9における印刷パターンの合算を繰り返す。
S10において、印刷ユニット識別番号Xが製函機の印刷ユニット数と同じと判定された場合、S9において合算した印刷パターンを、最終的なオーダチェンジパターンの印刷パターンとして特定する。
【0128】
なお、印刷ユニット数が2の場合の例をいくつか説明すると、1色目の印刷パターンが「01」、2色目の印刷パターンが「11」の場合、合算した印刷パターンは「12」(オーダチェンジ中に印版交換1回、後オーダで2色印刷)となる。また、1色目の印刷パターンが「01」、2色目の印刷パターンが「11色替」の場合、合算した印刷パターンは「12色替」(オーダチェンジ中に印版交換1回、後オーダで2色印刷、オーダチェンジ中にインキ交換あり)となる。
【0129】
次に、図19により、製函機が印版シリンダが昇降しない印刷装置を備えるタイプにおける、印刷パターンの特定方法(第2の制御内容)を説明する。
なお、印版シリンダのタイプにより、オーダチェンジパターン特定部156は、上述した第1の制御内容またはこの第2の制御内容のいずれかを実行する。
【0130】
まず、オーダチェンジパターン特定部156は、S1において、印刷ユニット識別番号X=1として、1色目印刷ユニットの作業の特定を開始する。
次に、S2において、1色目印刷ユニットを、後オーダで印刷に使用するか否か判定する。後オーダで使用しない場合(S2でNO)、S3に進み、前オーダが1色目印刷ユニットを使用するオーダであったか否かを判定する。
前オーダが1色目印刷ユニットを使用するオーダであった場合(S3でYES)、S4に進み、この場合、1色目印刷ユニットにおいて、オーダチェンジ中に、1色目の印版から送り版に交換する必要があるので、印刷パターンを「10」と特定する(印刷パターンの「■□」の各数値の定義は図5を参照)。すなわち、上述したように、本実施形態では、送り版は印版に含まれる概念としているので、オーダチェンジ中の印版交換回数は1となる。
一方、前オーダが1色目印刷ユニットを使用しないオーダであった場合(S3でNOであり、送り版を使用している場合)、S5に進み、前後オーダで送り版を連続使用でき、交換作業が不要となるため、印刷パターンを「00」と特定する。
【0131】
次に、S2において、1色目印刷ユニットを後オーダで使用すると判定された場合(S2でYES)、S6に進み、前オーダが1色目印刷ユニットを使用するオーダであったか否かを判定する。前オーダで使用しないと判定された場合(S6でNO)、S7に進み、オーダチェンジ中に送り版から印版に交換する必要があるので、印刷パターンを「11」と特定する。
【0132】
S6において、前オーダが1色目印刷ユニットを使用するオーダであると判定された場合(S6でYES)、S8に進み、1色目印刷ユニットを前後オーダで同じインキを連続使用するか否かを判定する。
前後オーダでインキの種類が異なる場合(S8でNO)、S9に進み、オーダチェンジ中に印版から印版に交換し、かつ、インキ交換を行う必要があるので、印刷パターンを「11色替」と特定する。
一方、前後オーダでインキの種類が同じ場合(S8でYES)、S10に進み、この場合、オーダチェンジ中に印版から印版への交換を行い、インキ交換は行わないので、印刷パターンを「11」と特定する。
【0133】
以上のS2~S10の処理において印刷パターンが特定されるので、S11では、それまでに特定した、(Xが複数の)印刷ユニットの印刷パターンを合算する。
次に、S12に進み、印刷ユニット識別番号Xが、製函機の印刷ユニット数と同じか否かを判定し、S12において、印刷ユニット識別番号Xが製函機の印刷ユニット数より少ない場合は、S13に進み、識別番号を、前の識別番号に1を足した番号にする。
たとえば、製函機が4色目印刷ユニットまでを備える場合、上述の説明では、1色目印刷ユニットまでしか印刷パターンを特定していないので、この場合、S13に進む。その後、S12において、印刷ユニット識別番号Xが製函機の印刷ユニット数と同じと判定されるまで、2色目以降の印刷ユニットについて、それぞれ、S2~S10により印刷パターンを特定すると共に、S11における印刷パターンの合算を繰り返す。
S13において、印刷ユニット識別番号Xが製函機の印刷ユニット数と同じと判定された場合、S11において合算した印刷パターンを、最終的なオーダチェンジパターンの印刷パターンとして特定する。
【0134】
次に、図20Aおよび図20Bにより、ダイカッタの木型交換における、木型パターンの特定方法(第3の制御内容)を説明する。
なお、この第3の制御内容は、製函機1がダイカッタ5を備えていない場合は、実行されない。
【0135】
まず、オーダチェンジパターン特定部156は、S1(図20A)において、前後オーダの少なくともどちらかで、ダイカッタを打ち抜き加工(以後、「加工」とする)に使用するか否かを判定する。
前後オーダともにダイカッタを加工に使用しない場合(S1でNO)、S2に進み、前後オーダで送り木型を連続使用でき、交換作業が不要となるので、オーダチェンジパターンの木型パターン(以下では、「木型パターン」と称する)を「送送」と特定する(木型パターンの「■□」の「送」、「大」、「小」のそれぞれの定義は、図4および図5を参照)。木型の場合、木型パターンが、S2、S5、S6、S9、S10、S13、S14、S16、または、S17において、1度特定されると、それぞれ、処理を終了する。
【0136】
一方、ダイカッタを前後オーダのどちらかで加工に使用する場合(S1でYES)、S3に進み、ダイカッタを後オーダで加工に使用するか否かを判定する。後オーダで加工に使用しない場合(S3でNO)、S4に進み、この場合、ダイカッタを前オーダでのみ加工に使用することになるので、前オーダが大型木型を使用するオーダか否かを判定する。
前オーダで大型木型を使用する場合(S4でYES)、S5に進み、木型パターンを「大送」と特定する。
一方、前オーダで大型木型を使用しない場合(S4でNO)、S6に進み、この場合、前オーダが小型木型を使用するオーダということになるので、木型パターンを「小送」と特定する。
【0137】
S3において、ダイカッタを後オーダで加工に使用すると判定された場合(S3でYES)、S7(図20B)に進み、ダイカッタを前オーダでも加工に使用するか否かを判定する。
前オーダで加工に使用しない場合(S7でNO)、S8に進み、この場合、ダイカッタを後オーダでのみ加工に使用することになるので、後オーダで大型木型を使用するか否かを判定する。
後オーダで大型木型を使用する場合(S8でYES)、S9に進み、木型パターンを「送大」と特定する。
一方、後オーダで大型木型を使用しない場合(S8でNO)、S10に進み、この場合、後オーダで小型木型を使用することになるので、オーダチェンジパターンを「送小」と特定する。
【0138】
S7において、ダイカッタを前オーダでも加工に使用すると判定された場合(S7でYES)、S11に進み、この場合、ダイカッタを前後オーダで加工に使用することになるので、後オーダで大型木型を使用するか否かを判定する。
後オーダで大型木型を使用しない場合(S11でNO)、後オーダで小型木型を使用することになるので、S12に進み、前オーダで大型木型を使用するか否かを判定する。前オーダで大型木型を使用する場合(S12でYES)、S13に進み、木型パターンを「大小」と特定する。
一方、前オーダで大型木型を使用しない場合(S12)、S14に進み、木型パターンを「小小」と特定する。
【0139】
S11において、後オーダで大型木型を使用すると判定された場合(S11でYES)、S15に進み、前オーダで大型木型を使用するか否かを判定する。
前オーダで大型木型を使用する場合(S15でYES)、S16に進み、木型パターンを「大大」と特定する。
一方、前オーダで大型木型を使用しない場合(S15でNO)、S17に進み、この場合、前オーダで小型木型を使用することになるので、オーダチェンジパターンを「小大」と特定する。
【0140】
次に、主に図21および図22により、上述した本発明の実施形態の段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置の変形例を説明する。図21は、図6と同様に示す、本発明の実施形態の変形例によるオーダチェンジパターン別目標準備時間データを定める基準となる作業別設定時間データを示す図表であり、図22は、図9と同様に示す、本発明の実施形態の変形例による第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明するための概念図である。以下では、基本的に、上述した実施形態と異なる事項について説明する。
【0141】
本実施形態の変形例においては、上述したように、オーダチェンジパターン特定部156(図10)は、オーダチェンジパターンを特定する。
さらに、本変形例では、オーダチェンジパターン特定部156は、オーダチェンジ後の後オーダについて、その後オーダの基本情報に含まれる品名コード(図11参照)を、記憶部152(図10)に記憶されているオーダ情報(図6に示すような基本情報)の品名コードと照合し、その後オーダが、過去に生産したことのある「リピートオーダ」か、または、過去に生産したことのない「新規オーダ」のいずれであるかを特定する。なお、品名コードとは、段ボール箱の仕様を示すコードであり、同じ段ボール箱の仕様には同じ品名コードを使用する。
本変形例においては、上述した記憶部152は、過去に生産したオーダの基本情報(オーダ情報)、および、それらのオーダにおいて、段ボール箱の検品に合格し、良品の段ボール箱を生産したときの製函機の各可動部材の最終調整位置を記憶している。
【0142】
次に、図21により、作業別時間表の変形例を説明する。
次に、図21に示す本変形例による作業別設定時間表のデータは、上述した実施形態の図6に対し、オーダチェンジ後の後オーダが、過去に生産したことがあるリピートオーダか、または、過去に生産したことがない新規オーダなのかを区別して、基準となる各設定時間を設定するデータである。
図21に示すように、本変形例では、図6に対し、作業項目として、「試し加工・検品時間(無地・新規オーダ)」、および、「検品加算時間(色刷/打抜・新規オーダ)」が追加されている。
そして、本変形例でも、上述した実施形態と同様に、図21における各設定時間を基準として、図4または図5のオーダチェンジパターン別目標準備時間表の各目標準備時間の値が適宜設定される。
【0143】
まず、作業項目である「試し加工・検品時間(無地)」の設定時間について説明する。なお、この「試し加工・検品時間(無地)」自体の項目は図6にも存在する。
本変形例において、この「試し加工・検品時間(無地)」の設定時間は、オーダチェンジ後の後オーダがリピートオーダの場合に、1回の検品で合格し、機械の調整や2回目の試し加工を行わないことを想定した設定時間である。これは、リピートオーダの場合、製函機の各可動部材が、過去のオーダ(前オーダより以前のオーダ)において、良品を生産したときと同じ調整位置に自動位置決めされる(同じ位置が再現される)ので、各可動部材を調整することなく良品を生産できると考えられるためである。
【0144】
ここで、本変形例では、その過去のオーダに関連付けて、良品を生産したときの各可動部材の調整後の位置情報を記憶部152に記憶するようにしている。より具体的には、その過去のオーダにおいて、作業者による検品作業において、段ボール箱が検品に合格するまで、製函機の各可動部材の位置の微調整と試し加工が行われることを想定している。そして、微調整の結果、検品に合格して、段ボール箱の生産運転が実行されたときの各可動部材の調整後の位置情報が記憶部152に記憶されるのである。
【0145】
そして、上述した準備段階の「ロット終了・機械セット時間(無地から無地)」における製函機の各可動部材の自動位置決めは、リピートオーダの場合、記憶部152に記憶された各可動部材の最終位置情報を参照し、良品を生産したときと同じ状態を再現するよう行われる。
一方、新規オーダの場合は、記憶部152に記憶された各オーダの基本設定値/初期設定値に基づいて、各可動部材の自動位置決めが行われる。
ここで、参照する記憶部152のデータが異なっていても、最終調整位置と基本設定値への自動調整においては、ほぼ同一の時間で各可動部材の自動位置決めが行われる。従って、本変形例においては、図21に示す「ロット終了・機械セット(無地→無地)時間」の設定時間(75秒)は、リピートオーダと新規オーダとで共通する値としている。
【0146】
次に、作業項目である「試し加工・検品時間(無地・新規オーダ)」の設定時間について説明する。
本変形例では、図21に示すように、上述した実施形態に対し、「試し加工・検品時間(無地・新規オーダ)」の設定時間が追加されている。本変形例では、オーダチェンジの後オーダが新規オーダの場合に、1回目の検品後、機械の微調整や2回目の試し加工を行うことを想定しているためである。
【0147】
たとえば、新規オーダの場合、製函機の可動部材は初期位値に位置決めされるが、初期位置の状態で一枚給紙すると検品で不合格となることが多く、作業者は、1回目の検品で見つかった不具合を修正するために、機械の調整や2回目の試し加工を行うと考えられる。具体的には、段ボール箱の不具合として、スロッタ溝の位置ズレ、折り曲げ位置ズレなどが生じる。
その不具合を無くすための機械の微調整として、スロッタ溝の位置ズレに対してはフィードロールの隙間調整やスロッタナイフの位置調整などを行い、折り曲げ位置ズレに対してはフォルダグルアの折り畳みバーの位置調整などを行う。
このように、本変形例での「試し加工・検品時間(無地・新規オーダ)」の設定時間(第5の目標準備時間)は、その機械の微調整や2回目の試し加工の分、上述した実施形態の「試し加工・検品時間(無地)」より準備時間が長くなることを想定しているのである。
【0148】
次に、作業項目である「検品加算時間(色刷・新規オーダ)」の設定時間、および、「検品加算時間(打抜・新規オーダ)」の設定時間について説明する。
本変形例では、図21に示すように、上述した実施形態に対し、色数に応じた「検品加算時間(色刷・新規オーダ)」、および、木型の種類に応じた「検品加算時間(打抜・新規オーダ)」の設定時間が追加されている。
【0149】
ここで、上述した実施形態と同様の「検品加算(印刷/打抜)時間」は、本変形例では、オーダチェンジ後の後オーダがリピートオーダであり、かつ、印刷や打ち抜き加工を行うと仮定した場合の、一枚給紙してから、検品が完了して後オーダの生産を開始するまでの時間と、「試し加工・検品(無地)時間」との差の時間である。これは、上述したように、リピートオーダでは、最適な各可動部材の最適な位置決めが行われており、1回の検品で合格し、機械の調整や2回目の試し加工を行わないことを想定している。
【0150】
次に、「検品加算(印刷/打抜・新規オーダ)時間」は、オーダチェンジ後の後オーダが新規オーダであり、かつ、印刷や打ち抜き加工を行うと仮定した場合の、一枚給紙してから、検品が完了して後オーダの生産を開始するまでの時間と、「試し加工・検品(無地・新規オーダ)時間」との差の時間である。これは、1回の検品後、機械の微調整や2回目の試し加工を行う事を想定している。具体的には、不具合として、スロッタ溝の位置ズレ、折り曲げ位置ズレに加えて、印刷位置ズレ、打ち抜き位置ズレなどが生じる。
その不具合を無くすための機械の微調整としては、スロッタ溝の位置ズレや折り曲げ位置ズレに対しては上述した通りである。さらに、機械の微調整としては、印刷位置ズレに対しては印刷シリンダの位置調整を行い、打ち抜き位置ズレに対してはダイシリンダの位置調整を行う。
【0151】
次に、設定時間に関するさらなる変形例を説明する。
ここで、印刷や打ち抜き加工がある場合、無地の場合と比べて機械の調整箇所が増える。すなわち、たとえば、フィードロールやスロッタなどの調整に加えて、印刷シリンダやダイシリンダの調整が必要になる。従って、その分、機械の調整に要する時間は長くなると考えられる。しかしながら、本変形例では、無地の場合と印刷や打ち抜き加工がある場合とでは、印刷シリンダやダイシリンダの調整時間は微小であると捉え、機械の調整に要する時間を同じとみなしている。このような本変形例の場合、「検品加算時間(印刷/打抜・新規オーダ)」は、「検品加算時間(印刷/打抜)」と実質的に同じと捉えて、省略することで、図21に示す作業別設定時間表はシンプルになる。
【0152】
次に、図22により、本発明の実施形態の変形例による第3の準備段階における目標準備時間の設定方法を説明する。
まず、図22(a)に示すように、後オーダがリピートオーダである場合、第3の準備段階の時間は、「給紙準備期間」と、「試し加工・検品時間(無地)」と、「検品加算時間(印刷/打抜)」の各設定時間(図21参照)を加算した合計時間として算出する。
ここで、「試し加工・検品時間(無地)」、「検品加算時間(印刷/打抜)」のそれぞれの設定時間(図21参照)は、オーダチェンジの後オーダが新規オーダかリピートオーダかに応じて、異なるように設定されている。
従って、図22(b)に示すように、後オーダが新規オーダである場合は、図22(a)の例に対して、「試し加工・検品時間(無地)」の設定時間(30秒/図21参照)を用いず、「試し加工・検品時間(無地・新規オーダ)」の設定時間(60秒/図21参照)を用いると共に、「検品加算時間(1色)」の設定時間(10秒/図21参照)を用いず、「検品加算時間(1色・新規オーダ)」の設定時間(15秒/図21参照)を用いる。
【0153】
なお、さらなる変形例として、上述したように、後オーダが新規オーダであり、無地の場合と印刷や打ち抜き加工がある場合とで、機械の調整に要する時間を同じとみなした場合は、「試し加工・検品(無地・新規オーダ)時間」(図21参照)を用いるとともに、「検品加算時間(印刷/打抜・新規オーダ)」ではなく「検品加算時間(印刷/打抜)」(図21参照)を用いればよい。この場合、図22(b)における「検品・調整(1色)」の第6の目標準備時間は、「検品(1色)」の第6の目標準備時間となり、短い時間となる。
【0154】
また、上述した本発明の実施形態および変形例では、第2の準備段階における第2の目標準備時間の設定において、印版交換および木型交換のみを考慮し、クリーザスロッタ4における継刃の着脱作業を考慮していないが、さらなる変形例として、これを考慮してもよい。
ここで、継刃は、上部スロッタのスロッタ刃43に連結して使用する刃物である。作業者は、オーダに応じたシートSの溝切り加工寸法に対して、スロッタ刃43の刃物長さが不足する場合に、刃物長さを延長するために、スロッタ刃43に継刃を取り付ける作業を行う。反対に、オーダに応じたシートSの溝切り加工寸法に対して、スロッタ刃43の刃物長さが長すぎる場合には、作業者は、スロッタ刃43に連結されている継刃を取り外す作業を行う。
この変形例において、オーダチェンジパターン特定部156は、後オーダの基本情報に含まれるシートSの溝切り加工寸法の情報と、上部スロッタに取り付けられたスロッタ刃43の刃物長さの情報とを比較することにより、オーダチェンジ中に継刃の着脱作業が必要か否かを特定する。さらに、この変形例において、図6に示す作業別設定時間データには、第2の目標準備時間の「機械セット加算(印版交換/木型交換)時間」に加えて、「機械セット加算(継刃着脱)時間」が追加され、上述した実施形態と同様に、この追加した「機械セット加算(継刃着脱)時間」も適宜参照し、図4または図5に示すオーダチェンジパターン別目標準備時間表の値を設定する。なお、スロッタ刃の刃物長さの情報を取得する方法については説明を省略する。スロッタ刃の刃物長さの情報を取得する方法は、たとえば、特開2018-103535号公報に記載されている。
【0155】
次に、本発明の実施形態およびその変形例による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置の主な作用効果を説明する。
まず、本実施形態およびその変形例による段ボールシート製函機の目標準備時間報知装置122では、段ボール箱の予め定められた各オーダの生産順(図13)と、それらの段ボール箱の各オーダ情報(図11)とを記憶する記憶部152と、各オーダの生産順に従って、所定のオーダチェンジ時の前に生産されるオーダの前オーダ情報および後に生産される後オーダ情報の両方に基づいて、それらの前オーダと後オーダとの間のオーダチェンジ時に後オーダの生産のために必要な準備作業をオーダチェンジパターンとして予め特定するオーダチェンジパターン特定部156と、特定されたオーダチェンジパターンに基づいて、全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間(図4図6)を予め算出する目標準備時間算出部157と、所定のオーダチェンジ時および/または所定のオーダチェンジの開始前に算出された目標準備時間を作業者に報知するための報知指令部158と、を有する。
従って、オーダチェンジ前後の前オーダ情報および後オーダ情報の両方に基づいて、オーダチェンジ毎に異なる準備作業内容に応じた目標準備時間を作業者に報知するので、作業者に、目標準備時間内に作業を完了させようというモチベーションを維持させつつ、目標準備時間に対して実際にかかった準備作業時間を把握させることができる。それにより、作業者に、準備作業の段取りや準備作業に必要な所定の交換部品や工具などの物品の配置の見直しなどを行う必要性を認識させ、作業者が見直しなどを実行することにより、オーダチェンジ時の準備作業の効率化を図ることができる。
【0156】
また、本実施形態およびその変形例では、記憶部152が記憶する各オーダ情報(図11)は、各印刷ユニットを印刷に使用するか否かの情報を含み、オーダチェンジパターン特定部156は、オーダチェンジ前後の前オーダ情報および後オーダ情報の両方に基づいて、印刷ユニット(30、32)毎にオーダチェンジ時に印版(38)の交換が必要か否かを特定し、かつ、印刷ユニット全体でオーダチェンジ時に必要な作業者が行う印版交換の回数を特定し、目標準備時間算出部157は、特定された印版交換の回数に基づいて、印版交換の回数が多いほど目標準備時間を長く算出する。
従って、オーダチェンジ時の印版交換の回数に基づいて目標準備時間を算出するので、目標準備時間が実際のオーダチェンジの作業内容に即したものとなる。ここで、例えば、印版交換の回数が多い場合、作業者が、印版交換を全て完了するのに要する時間が長くなり、それに応じて、オーダチェンジの時に必要な作業を全て完了させるのに要する準備時間も長くなる。従って、本発明によれば、印版交換の回数が多いほど目標準備時間を長く算出するので、作業者に、適切な目標準備時間を報知することができ、これにより、報知された目標準備時間内に準備作業を完了させようというモチベーションを維持させることができる。
【0157】
また、本実施形態およびその変形例では、オーダチェンジパターン特定部156は、オーダチェンジ後の後オーダ情報に基づいて、その後オーダで印刷に使用する色の数を特定し、目標準備時間算出部157は、特定された色の数に基づいて、色の数が多いほど目標準備時間を長く算出する。ここで、例えば、オーダで使用する色の数が多い場合、作業者が試し加工品の検品に要する時間が長くなり、それに応じて、オーダチェンジ時に必要な作業を全て完了させるのに要する時間も長くなる。従って、色の数が多いほど目標準備時間を長くに算出するので、報知する目標準備時間が適切なものとなる。
【0158】
また、本実施形態およびその変形例では、製函機1は、オーダチェンジ時に、所定の可動部材の位置決めを自動で実行し、目標準備時間(図4図6)は、オーダチェンジ時に印版交換を行わないと仮定した場合の、前オーダの生産が終了してから製函機の所定の可動部材の位置決めが完了するまでの第1の設定時間(ロット終了・機械セット時間(無地から無地))と、オーダチェンジ時に印版交換を行うと仮定した場合の、前オーダの生産が終了してから、後オーダ用の印版交換が完了するまでの時間と、第1の設定時間との差である第2の設定時間(機械セット加算時間(印版交換))と、所定の可動部材の位置決めおよび印版交換の両方が完了してから、段ボールシートのセット完了後に製函機が起動するまでの第3の設定時間(シートセット加算時間)と、製函機が起動してから段ボール箱の試し加工が開始されるまでの第4の設定時間(給紙準備時間)と、オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行わないと仮定した場合の、段ボール箱の試し加工を開始してから、試し加工された段ボール箱を検品し、後オーダの段ボール箱の連続給紙による生産を開始するまでの第5の設定時間(試し加工・検品時間(無地))と、オーダチェンジ後の後オーダで印刷を行うと仮定した場合の、段ボール箱の試し加工を開始してから、試し加工された段ボール箱を検品し、後オーダの生産を開始するまでの時間と、第5の設定時間との差である第6の設定時間(検品加算時間(印刷))との合計時間である。
このように、本実施形態およびその変形例では、オーダチェンジ毎に異なる、印版交換や試し加工された段ボール箱の検品の作業内容に応じて目標準備時間を算出するので、より効果的に、目標準備時間を実際の作業内容に即した時間として算出することができる。
【0159】
また、本実施形態およびその変形例では、目標準備時間は、製函機の印刷装置のインキを交換する色替時間の設定時間を含み、目標準備時間算出部157は、第1~第3の設定時間の合計時間より色替時間の設定時間が長い場合、第1~第3の設定時間に代えて色替時間の設定時間を設定するので、より効果的かつより適切に、目標準備時間を算出することができる。
【0160】
また、本実施形態の変形例では、記憶部152は、さらに、過去に生産したオーダ情報(図11)を記憶しており、オーダチェンジパターン特定部156は、さらに、記憶部の過去に生産したオーダ情報を参照して、所定のオーダチェンジ後に生産される後オーダのオーダ情報が、過去に生産したオーダ情報に含まれるか否かを特定し、目標準備時間算出部157は、オーダチェンジ後の後オーダ情報が、過去に生産したオーダ情報に含まれない新規オーダである場合、新規オーダではない場合(リピートオーダである場合)よりも目標準備時間を長く算出する。
このように、本変形例では、オーダチェンジの後オーダが新規オーダか否かに応じて目標準備時間を算出するので、より一層、目標準備時間が実際のオーダチェンジの作業内容に即したものとなる。たとえば、オーダチェンジ直後のオーダが新規オーダの場合、試し加工品の検品後に機械の調整が必要になることが一般的であり、過去に生産したことのあるリピートオーダの場合に比べて、試し加工してからオーダの生産が開始するまでの時間が長くなる。ここで、新規のオーダでは、新規ではないオーダ(リピートオーダ)よりも、新規である分、検品などにより時間をかける必要が想定される。従って、本変形例によれば、新規オーダである場合、リピートオーダである場合よりも目標準備時間を長く算出するので、より効果的かつより適切に、目標準備時間を算出することができる。そして、本変形では、機械の調整に要する時間を考慮した時間に設定することにより、新規オーダの場合でも目標準備時間を達成することが可能となり、作業者の目標準備時間内に準備作業を完了させようというモチベーションを維持することができる。
【0161】
また、本実施形態およびその変形例では、オーダチェンジパターンは、前オーダ情報および後オーダ情報によって規定される印版交換のパターン(図4図5)と、前オーダ情報および後オーダ情報によって規定される打ち抜きダイの木型交換のパターン(図4図5)とを含み、オーダチェンジパターン特定部156は、これらの印版交換のパターンと木型交換のパターンとを含むオーダチェンジパターンを特定し(図4図6)、記憶部152は、この特定されたオーダチェンジパターンと、目標準備時間算出部が算出した目標準備時間とを関連付けたデータ(図4図5)として記憶し、報知指令部は158、このオーダチェンジパターンに関連付けて記憶された目標準備時間を作業者に報知する。従って、作業者に、より効果的かつより適切な目標準備時間を報知することができる。
【0162】
また、本実施形態およびその変形例では、準備作業は、製函機が自動で実行する所定の可動部材の位置決めと、作業者により行われる印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品とを含み、記憶部152は、製函機1が自動で実行する準備作業の実測値に基づいて予め設定された、所定の可動部材の位置決めの設定時間と、各作業に熟練した作業者による準備作業の実測値に基づいて予め設定された、作業者により実行される印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品の設定時間とのデータを記憶し、オーダチェンジパターンに関連付けて記憶された目標準備時間(図4図5)は、記憶された製函機が自動で実行する所定の可動部材の位置決めの設定時間と、作業者により実行される印版交換、木型交換および試し加工された段ボール箱の検品の設定時間とを含むデータに基づいて設定される。
従って、より適切に、目標準備時間を算出することができる。より詳細には、目標準備時間が、製函機が自動で実行する準備作業の実測値および各作業に熟練した作業者による準備作業の実測値に基づいて設定されるので、全ての準備作業を完了させるべき所定の時間である目標準備時間(図4図6)をより適切な時間に設定することができる。
【符号の説明】
【0163】
S 段ボールシート
FD シート送り出し方向/シート搬送方向
1 段ボールシート製函機
2 給紙装置
3 印刷装置
4 クリーザスロッタ
5 ダイカッタ
6 フォルダグルア
7 シート分離装置
8 カウンタエジェクタ
9 結束機
27 フィードロール
28 生産枚数計数センサ
31 インキ缶
33 アニロックスロール
34、36 印刷シリンダ
37 プレスロール
38 印版
54 打ち抜きダイ(木型)
100 製函機の目標準備時間報知装置を含むシステム
110 製函機の生産管理装置
120 下位管理装置
122 上位管理装置/目標準備時間報知装置
156 オーダチェンジパターン特定部
157 目標準備時間算出部
158 報知指令部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22