(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20231213BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20231213BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F25D25/00 N
F25D11/02 J
F25D17/08 307
(21)【出願番号】P 2019232296
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
(72)【発明者】
【氏名】土田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】大島 正夫
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100825(JP,A)
【文献】特開2019-086203(JP,A)
【文献】特開2015-135221(JP,A)
【文献】特開2009-133504(JP,A)
【文献】特開平07-239179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成された断熱箱体と、
前記貯蔵室に送風される冷気を冷却する冷却器が収納される冷却室と、
前記冷却室から前記貯蔵室に送風される前記冷気が流通する送風路と、
前記貯蔵室の内部に引出可能に配置された第1収納容器と、
前記送風路から前記第1収納容器に向けて前記冷気が吹き出される吹出口と、
前記第1収納容器を開口して形成された開口部と、を具備し、
前記第1収納容器が前記貯蔵室に収納された状態に於いて、前記吹出口と前記開口部とが離間
し、
前記開口部の開口部下端は、前記開口部の後面よりも、前記吹出口から離れた位置に配置されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記吹出口には、前記開口部に向かって伸びる複数のリブが形成されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記開口部の幅方向に於ける長さは、前記吹出口の幅方向に於ける長さよりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵室の内部であって、前記第1収納容器の下方に、
野菜室として用いられる第2収納容器が引出可能に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1収納容器には容器開口部が形成され、
前記容器開口部に嵌め込まれた取付部材の風洞により、前記開口部が形成され、
前記開口部の開口上面および開口下面は、前記取付部材の後面に対して傾斜することで、前記第1収納容器が前記貯蔵室に収納された状態に於いて、前記開口上面および前記開口下面は、前記吹出口から吹き出される前記冷気の流れに対して略平行となることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記開口部の開口部上端は、前記吹出口の吹出口上端よりも低い位置に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、貯蔵室に収納された容器に対して冷気を送風する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されたような、冷蔵室の内部に収納容器が配置された冷蔵庫が知られている。ここでは、冷蔵室の最下部にチルド容器が収納されている。送風機が送風した冷気は、冷蔵室の後方側に形成された送風路を経由して冷蔵室に供給される一方、送風路に送風された冷気の一部は、冷蔵室を経由せずに、チルド容器に直接的に送風される。このようにすることで、チルド容器の容器内温度は、冷蔵室の庫内温度よりも低くされ、例えば0℃程度とされる。このようにすることで、チルド容器に収納された肉等の食品を、鮮度を保持したまま保存することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された冷蔵庫では、チルド容器の内部に送風路から直接的に冷気を送風していたため、チルド容器の容器内温度が下がり過ぎ、チルド容器に収納された食品が不必要に凍結してしまう恐れがあった。これに対処するべく、チルド容器に至る送風路にダンパ等を介装し、チルド容器に送風される冷気の量を調整することで、チルド容器の容器内温度を調整することが考えられる。しかしながら、チルド容器の為の専用ダンパを設けると、冷蔵庫の部品点数および製造コストが上昇する課題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、貯蔵室に内蔵される収納容器の容器内温度を、所定の温度帯域に冷却することができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室が形成された断熱箱体と、前記貯蔵室に送風される冷気を冷却する冷却器が収納される冷却室と、前記冷却室から前記貯蔵室に送風される前記冷気が流通する送風路と、前記貯蔵室の内部に引出可能に配置された第1収納容器と、前記送風路から前記第1収納容器に向けて前記冷気が吹き出される吹出口と、前記第1収納容器を開口して形成された開口部と、を具備し、前記第1収納容器が前記貯蔵室に収納された状態に於いて、前記吹出口と前記開口部とが離間し、前記開口部の開口部下端は、前記開口部の後面よりも、前記吹出口から離れた位置に配置されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の冷蔵庫では、前記吹出口には、前記開口部に向かって伸びる複数のリブが形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の冷蔵庫では、前記開口部の幅方向に於ける長さは、前記吹出口の幅方向に於ける長さよりも大きいことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の冷蔵庫では、前記貯蔵室の内部であって、前記第1収納容器の下方に、野菜室として用いられる第2収納容器が引出可能に配置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第1収納容器には容器開口部が形成され、前記容器開口部に嵌め込まれた取付部材の風洞により、前記開口部が形成され、前記開口部の開口上面および開口下面は、前記取付部材の後面に対して傾斜することで、前記第1収納容器が前記貯蔵室に収納された状態に於いて、前記開口上面および前記開口下面は、前記吹出口から吹き出される前記冷気の流れに対して略平行となることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記開口部の開口部上端は、前記吹出口の吹出口上端よりも低い位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室が形成された断熱箱体と、前記貯蔵室に送風される冷気を冷却する冷却器が収納される冷却室と、前記冷却室から前記貯蔵室に送風される前記冷気が流通する送風路と、前記貯蔵室の内部に引出可能に配置された第1収納容器と、前記送風路から前記第1収納容器に向けて前記冷気が吹き出される吹出口と、前記第1収納容器を開口して形成された開口部と、を具備し、前記第1収納容器が前記貯蔵室に収納された状態に於いて、前記吹出口と前記開口部とが離間し、前記開口部の開口部下端は、前記開口部の後面よりも、前記吹出口から離れた位置に配置されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、貯蔵室に内蔵される収納容器の容器内温度を、所定の温度帯域に冷却することができる。具体的には、冷気が吹き出される吹出口と、第1収納容器の開口部とを離間させている。このようにすることで、第1収納容器に冷気が過度に送風されることを抑制し、第1収納容器の内部温度が下がりすぎ、第1収納容器に収納された被冷却物が不必要に凍結してしまうことを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記吹出口には、前記開口部に向かって伸びる複数のリブが形成されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、吹出口に形成されたリブが、第1収納容器の開口部に向けて冷気を案内するので、開口部を経由して、より多くの冷気を第1収納容器に送風し、第1収納容器の内部を効果的に冷却することができる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、前記開口部の幅方向に於ける長さは、前記吹出口の幅方向に於ける長さよりも大きいことを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、第1収納容器に形成される開口部の幅を相対的に広くすることで、吹出口から吹き出された冷気の大部分を、第1収納容器に導入することができる。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記貯蔵室の内部であって、前記第1収納容器の下方に、野菜室として用いられる第2収納容器が引出可能に配置されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、吹出口から吹き出された冷気の一部が、第2収納容器の周囲を取り囲み、これにより第2収納容器が冷却される。また、第2収納容器が半密閉状態であることで、第2収納容器に貯蔵された野菜などの被貯蔵物の乾燥を防いで、良好に冷蔵することができる。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第1収納容器には容器開口部が形成され、前記容器開口部に嵌め込まれた取付部材の風洞により、前記開口部が形成され、前記開口部の開口上面および開口下面は、前記取付部材の後面に対して傾斜することで、前記第1収納容器が前記貯蔵室に収納された状態に於いて、前記開口上面および前記開口下面は、前記吹出口から吹き出される前記冷気の流れに対して略平行となることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、開口部の開口上面および開口下面が、冷気の流れに対して略平行となることで、開口上面および開口下面に沿って冷気を良好に第1収納容器の内部に向かって流動させることが出来る。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、前記開口部の開口部上端は、前記吹出口の吹出口上端よりも低い位置に配置されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、急速冷却時に於いて吹出口から吹き出される冷気の流量が増大しても、吹き出された冷気の一部は取付部材の後面に沿って上方に流れる。よって、吹出口から第1収納容器の内部に進入する冷気を制限できることから、第1収納容器の内部が過度に冷却されることを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の、断熱扉を開けた状態の外観を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を示す側方断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の、冷蔵室の内部構成を示す切開斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は開口部の近傍を分解して示す切開斜視図であり、(B)は吹出口および開口部の近傍を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、通常冷却時に於いて吹出口および開口部の近傍の流れを示す側方断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、急速冷却時に於いて吹出口および開口部の冷気の流れを示す側方断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、吹出口および開口部を示す上方断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は第1収納容器を示す切開斜視図であり、(B)は第2収納容器を示す切開斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、冷蔵室の内部における帰還口の位置を示す切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。本実施形態の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右である。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、前方左側から見た斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室とを有している。貯蔵室として、上方側から、冷蔵室12および冷凍室13を有している。冷蔵室12の前方開口は、回転式の断熱扉18および断熱扉19で閉鎖されている。冷凍室13の前面開口は、断熱扉20および断熱扉21で閉鎖されている。断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21は、回転式の扉であり、左右方向外側端部を回転中心として回転することができる。
【0023】
図2は、断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21が開放状態となっている冷蔵庫10を示す正面図である。
【0024】
冷蔵室12の下部には、第1収納容器25および第2収納容器26が配置されている。第1収納容器25および第2収納容器26は、合成樹脂から成る略箱状の容器であり、前後方向に引出自在に設置されている。第1収納容器25は、その内部が0℃程度に冷却されるチルド容器である。第2収納容器26は、その内部が1℃ないし2℃程度に冷却される野菜等を低温で保存するための容器である。第2収納容器26は、通常の野菜室と比較して比較的低温に設定されており、このようにすることで、第2収納容器26に収納される野菜の糖度を向上し、野菜の栄養価を高めることができる。ここで、第1収納容器25および第2収納容器26以外の部分の冷蔵室12の庫内温度は、例えば、3℃ないし5℃の冷蔵温度帯域である。また、第2収納容器26の左方側には、製氷機に供給される水を貯留する給水タンク24が配設されている。更に、断熱扉18および断熱扉19の内部側面には、飲料や調味料等を保管するための収納ポケット17が配置されている。
【0025】
冷凍室13には、複数の収納容器32が収納されている。ここでは、行列状に6個の収納容器32が配置されている。個々の収納容器32は、前後方向に沿って引出自在とされている。冷凍室13の庫内温度は、例えば、-20℃ないし-18℃の冷凍温度帯域である。
【0026】
図3および
図4を参照して、冷蔵庫10の断面構成を説明する。
図3は、冷蔵庫10の側方断面図であり、
図4は冷蔵室12の断面構成を示す切開斜視図である。
図3では、冷蔵庫10の内部に於ける冷気の流れを点線の矢印で示しており、冷凍室13に内蔵される収納容器32を図示していない。
【0027】
断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱111と、外箱111と離間した内側に配置された合成樹脂板から成る内箱112と、外箱111と内箱112との間に充填された断熱材113とから構成されている。
【0028】
断熱箱体11の内部の貯蔵室は、上記したように、上方から冷蔵室12および冷凍室13に区画されている。また、冷蔵室12と冷凍室13とは断熱壁27で区画されている。
【0029】
冷蔵室12の内部は、複数の収納棚15により上下方向に区画されている。また、冷蔵室12の最下部に配置された第2収納容器26の上方には収納棚152が配置されている。また、収納棚152の上方には第1収納容器25が配置されており、第1収納容器25の上方開口は収納棚151で覆われている。
【0030】
冷凍室13の奥側には、冷却室115が形成されており、冷凍室13と冷却室115とは仕切壁28で区画されている。冷却室115の内部には、冷却器である蒸発器116が配設されている。また、冷蔵庫10の下端側後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機22が配置されている。蒸発器116および圧縮機22は、ここでは図示しない凝縮器および膨張手段と共に、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成している。蒸気圧縮冷凍サイクルを運転することで蒸発器116により冷却室115の内部の冷気を冷却し、この冷気を各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室の庫内温度が所定の冷却温度帯域とされる。
【0031】
冷却室115の内部に於いて、蒸発器116の上方側には送風機35が配置されている。送風機35は、軸流送風機または遠心送風機であり、蒸発器116が冷却した蒸発器116の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。
【0032】
蒸発器116の内部であって、蒸発器116の下方には、除霜ヒータ117が配置される。蒸気圧縮冷凍サイクルの運転に伴い、蒸発器116の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、図示しない制御手段は、圧縮機22を停止して冷却室115を閉鎖し、除霜ヒータ117を通電して加熱することで、霜を溶融除去する除霜運転を行う。また、ここでは図示しないが、送風機35の近傍には、風路を適宜閉鎖するための遮蔽装置が配設されている。
【0033】
冷却室115から上方に向かって送風路118が形成されている。送風路118の下方には、風路ダンパー31が取り付けてあり、図示しない冷蔵室12の温度センサーで庫内温度を検知して、風路ダンパー31の開閉を行うことで、冷蔵室12の温度を所定の温度になるようにしている。送風路118には、冷気を冷蔵室12に吹き出すための開口である吹出口23が形成されている。吹出口23からは前方に向かって冷気が吹き出される。ここでは図示しないが、送風路118には、幅方向に向かって冷気を吹き出す吹出口も形成される。
【0034】
第1収納容器25の奥側の送風路118には吹出口33が形成されており、吹出口33の直近の第1収納容器25には開口部34が形成されている。後述するように、吹出口33および開口部34を形成することで、送風路118から冷気を直接的に第1収納容器25に送り込み、第1収納容器25の内部をチルド温度帯域に冷却することができる。
【0035】
吹出口33から吹き出された冷気の一部は、開口部34を介して第1収納容器25に導入されず、第1収納容器25と収納棚152との間を前方に進行した後に、下方に流動する。また、開口部34から第1収納容器25の内部に吹き出された冷気は、第1収納容器25の内部を冷却した後に、第1収納容器25の前端に形成された開口から前方に向かって吹き出され、その後に下方に向かって流動する。
【0036】
第2収納容器26は、後述するように、蓋部38を有する半密閉型の収納容器である。即ち、第2収納容器26には、積極的に冷気の導入または排出を行うための開口が形成されていない。また、上記したように、吹出口33から吹き出された冷気の一部は、冷蔵室12の内部を下方に向かって流動し、第2収納容器26を外側から包み込む。これにより、第2収納容器26の容器内温度は、冷蔵室12の代表的な庫内温度よりも低い冷蔵温度帯域に維持される。
【0037】
図示しない帰還口30は冷蔵室12の下端後方側に形成された開口であり、冷蔵室12を冷却した冷気は、帰還口30を介して冷却室115に帰還する。帰還口30は、
図10に示す。
【0038】
仕切壁28には、開口することで送風口41が冷凍室内の容器ごとに1ないし2個形成され、仕切壁28の下部を開口することで帰還口42が形成されている。送風機35で送風された冷気の一部は、送風口41を介して冷凍室13に送風される。冷凍室13に配置された各容器の内部を冷却した冷気は、帰還口42から冷却室115に帰還する。これにより、冷凍室13は所定の冷凍温度帯域に冷却される。ここでは、仕切壁28の前方に形成された送風室を介して、冷気は冷凍室13に送風される。
【0039】
図5を参照して、吹出口33および開口部34の構成を詳述する。
図5(A)は第1収納容器25に取り付けられる取付部材37を示す分解斜視図であり、
図5(B)は吹出口33および開口部34を示す拡大断面図である。
【0040】
図5(A)を参照して、第1収納容器25の後面部251を略矩形状に開口することで、容器開口部252が形成されている。容器開口部252には、取付部材37が取り付けられている。取付部材37は、容器開口部252に前方側から組み込まれる前方取付部材371と、容器開口部252に後方側から組み込まれる後方取付部材372とから構成される。容器開口部252を介して、前方取付部材371と後方取付部材372とを嵌め合わせることで、取付部材37が構成される。
【0041】
前方取付部材371は、容器開口部252を前方から覆う板状の部材であり、複数のスリット375が形成されている。スリット375は、第1収納容器25の内部に導入される冷気が通過する。
【0042】
後方取付部材372は、容器開口部252を後方から覆う板状の部材であり、空洞状の開口部34が形成されている。開口部34には、冷気を良好に流通させるための開口上面373および開口下面374が形成されている。また、取付部材37を前方から見た場合、開口部34とスリット375とは重畳している。
【0043】
図5(B)を参照して、取付部材37を構成する後方取付部材372の後面376は、上方に向かって後方に傾斜している。また、開口上面373と後面376との角度θ1は、鈍角とされている。後方取付部材372は金型を使用して成形されるので、開口上面373と後面376との角度θ1は、所定の抜き勾配となる。本実施形態では、角度θ1を、抜き勾配を超えて大きな鈍角としている。また、開口下面374と後面376との角度θ2も、角度θ1と同様の、鈍角とされている。
【0044】
このようにすることで、第1収納容器25が冷蔵室12に収納した組付け状態において、取付部材37の開口上面373および開口下面374を、水平または略水平とすることができる。よって、開口上面373および開口下面374を、吹出口33から吹き出される冷気の流れに対して略平行にすることができる。よって、開口部34の内部を、冷気が良好に通過することができ、第1収納容器25に効果的に冷気を送風することができる。
【0045】
また、開口部34の開口高さL10は、例えば、16.5mmである。また、吹出口33の開口高さL12は、例えば、22.0mmである。即ち、冷気が吹き出される吹出口33の開口高さL12は、冷気を受け入れる開口部34の開口高さL10よりも、若干大きく設定されている。更に、開口部34の後方上端は、吹出口33の前方上端よりも下方に配置さる。また、開口部34の後方下端は、吹出口33の前方下端よりも上方に配置される。
【0046】
吹出口33には、リブ36が形成される。リブ36は板状の部材であり、前後方向に沿って伸びる。リブ36は、吹出口33の前方端部に配置され、上下方向に沿って複数個が略等間隔に配置されている。このようなリブ36を、吹出口33の出口近傍に配置することで、リブ36に沿って冷気が前方に向かって良好に送風され、吹出口33から吹き出る冷気の大部分を、開口部34を介して第1収納容器25の内部に送風することができる。
【0047】
本実施形態では、送風路118から冷気が吹き出される吹出口33と、第1収納容器25の冷気の入り口である開口部34とを、直接的に接続するのでなく、離間させている。具体的には、リブ36の前端と取付部材37の後端との距離L11は、例えば、10mm程度である。このように、吹出口33と開口部34とを離間させることで、吹出口33から吹き出される冷気の大部分を開口部34を介して第1収納容器25に導入され、更に、冷気の一部を下方に向かって流動させ、
図4に示した第2収納容器26を周囲から冷却することができる。
【0048】
また、吹出口33から吹き出される冷気が、開口部34を介して第1収納容器25に流れ込む時、後面部251と内箱112との間に存在する冷蔵室12の内部冷気を巻き込む。吹出口33から吹き出される冷気は例えば-20℃以下である一方、冷蔵室12の内部冷気は例えば4℃である。よって、吹出口33から吹き出された冷気が、内部冷気を巻き込みつつ開口部34から第1収納容器25に導入されることで、第1収納容器25の内部が過度に冷却されることを抑止することができる。
【0049】
また、取付部材37の内部には、フィルタ43が内蔵される。更に、取付部材37の内部空間は第1収納容器25と連通している。フィルタ43を取付部材37に内蔵させることで、フィルタ43により第1収納容器25の内部空間を清浄化することが出来る。
【0050】
図6および
図7を参照して、吹出口33から吹き出される冷気の流れを更に詳述する。
図6は、冷蔵室12の通常冷却を行う際に於ける冷気の流れを示す断面図である。
図7は、冷蔵室12の急速冷却を行う際に於ける冷気の流れを示す断面図である。
図6および
図7では冷気の流れを点線または一点鎖線で示しており、点線等の長さは冷気の流速を表している。
【0051】
図6を参照して、第1収納容器25に形成された開口部34の開口部上端341は、送風路118の吹出口33の吹出口上端331よりも、下方に配置されている。また、開口部34の開口下面374の後端である開口部下端342は、開口上面373の後端である開口部上端341よりも前方に配置されている。換言すると、開口部下端342は開口部上端341よりも、吹出口33から離間して配置されている。係る構成により、後述するように、冷蔵室12を急速冷却する際に、第1収納容器25の内部が過度に冷却されることを抑制することができる。
【0052】
冷蔵室12の通常冷却を行う際に於ける冷気の流れを説明する。ここで、通常冷却とは、冷蔵室12の庫内温度が所定温度未満の場合の冷却動作であり、例えば
図2に示す冷蔵室12の断熱扉18および断熱扉19が閉じられた状態に於ける冷却動作である。先ず、
図3に示した送風機35により送風された冷気は送風路118の内部を上昇し、その冷気の一部は吹出口33を介して冷蔵室12に吹き出される。
【0053】
吹出口33の内部に於いては、上方部分を通過する冷気の流速は、下方部分を通過する冷気の流速よりも速い。吹出口33から冷蔵室12に吹き出された冷気の大部分は、開口部34を介して、第1収納容器25の内部に送風される。これにより、第1収納容器25の内部はチルド温度帯域とされる。また、吹出口33から吹き出された冷気の一部は、第1収納容器25に進入せず、上方または下方に向かって流動する。
【0054】
図7を参照して、冷蔵室12の内部を急速冷却する場合を説明する。急速冷却は、例えば、
図2を参照して、ユーザが冷蔵室12の断熱扉18および断熱扉19を開くことで、冷蔵室12の冷気が外部に流出し、冷蔵室12の庫内温度が所定温度以上に高温になった場合に実行される。
図7では、吹出口33から吹き出される冷気を点線で示しており、収納棚151に当たった後に下方に向かって進行する冷気を一点鎖線で示している。
【0055】
急速冷却を行う際には、
図3に示した送風機35が高速に送風することで、送風路118の内部に於ける冷気の流速が通常時よりも速くなる。送風路118を流通する冷気の一部は、吹出口33から冷蔵室12に吹き出される。ここで、吹出口33を通過する冷気の流速は、通常冷却時によりも高速であり、吹出口33の上方部分を通過する冷気の流速は、吹出口33の下方部分を通過する冷気の流速よりも速い。
【0056】
上記したように吹出口33の吹出口上端331は、開口部34の開口部上端341よりも上方に配置されている。よって、吹出口33の上方部分を通過した高速な冷気は、上方に向かって後方に傾斜する後面376に沿って、上方に向かって流動する。その後、収納棚151に当たった冷気は、一点鎖線で示すように下方に向かって流動する。
【0057】
上記したように、開口部34の開口部下端342は、開口部上端341よりも前方に配置されている。よって、冷気の下方への進行が開口下面374により妨げられることはなく、冷気は冷蔵室12の内部を下方に向かって進行し、
図4に示した第2収納容器26を効果的に冷却した後に、
図3に示す冷却室115に帰還する。
【0058】
上記のことにより、冷蔵室12を急速冷却する際に、吹出口33から冷蔵室12に吹き出される冷気の流量が増大したとしても、吹出口33から吹き出される冷気の一部を、取付部材37の後面376に沿って上方に向かって流動させることで、開口部34を介して第1収納容器25に進入する冷気の量を制限することができる。よって、冷蔵室12の急速冷却に起因して、第1収納容器25の内部が過度に冷却されることを抑止することができる。
【0059】
図8は、吹出口33および開口部34の近傍を示す上方断面図である。ここでは、開口部34の開口幅L14は、吹出口33の開口幅L13よりも長く設定されている。開口幅L14は例えば32mmであり、開口幅L13は例えば20mmである。また、左右方向に於いて、吹出口33の中心と開口部34の中心とは略一致している。係る構成により、吹出口33と開口部34とが離間している構成に於いて、吹出口33から広がるように吹き出される冷気の大部分を、開口部34を介して第1収納容器25の内部に導入し、第1収納容器25の内部を効果的にチルド温度帯域に冷却することができる。
【0060】
図9を参照して、第1収納容器25および第2収納容器26の構成を説明する。
図9(A)は第1収納容器25を示す切断斜視図であり、
図9(B)は第2収納容器26を示す切断斜視図である。
【0061】
図9(A)を参照して、第1収納容器25は、上部が開口する略箱形状の部材であり、後面部251に、
図8(A)等に示した取付部材37が配設されている。第1収納容器25の上部開口は収納棚151で塞がれている。収納棚151は、ガラス等の透明材料から成る。また、第1収納容器25の前端下面を窪ませて凹状部44が形成されている。使用状況下では、ユーザは凹状部44に手を掛けて第1収納容器25を手前に引き出し、第1収納容器25の内部に肉などの食品を収納することができる。また、第1収納容器25の前面と収納棚151の前端との間には間隙29が形成されている。開口部34から第1収納容器25の内部に吹き込まれた冷気は、第1収納容器25の内部空間を冷却した後に、間隙29から前方に向かって抜ける。
【0062】
図9(A)の点線で囲む部分で、第1収納容器25の後端を拡大して示している。収納棚151の後端部分には、下方に向かって伸びる下方リブ45が形成されている。また、後面部251の上端を後方に向かって延伸させた後方リブ253が形成されている。第1収納容器25を冷蔵室12に収納した際には、後方リブ253の後端が、下方リブ45の前面に当接することで、第1収納容器25の内部における気密性が確保され、第1収納容器25の内部が良好に冷却される。
【0063】
図9(B)を参照して、第2収納容器26は上部が開口する略箱状の部材であり、その上部開口は、蓋部38および回動扉39でカバーされている。回動扉39の上端側は、蓋部38の前端部に回動可能に接続されている。また、第2収納容器26の前端側下部には凹状部46が形成されている。使用状況下では、ユーザが凹状部46に手を掛けて第2収納容器26を手前に引き出すと、回動扉39が上端を支点にして回動する。
【0064】
係る構成により、第2収納容器26の内部は半密閉状態となる。第2収納容器26の内部は、第2収納容器26の外側に存在する冷気との熱交換により冷却される。
【0065】
また、蓋部38を開口することで通気孔40が形成されており、通気孔40と第2収納容器26の内部空間との間には、ここでは図示しない調湿フィルタが配設されている。第2収納容器26の内部の湿度が一定以上となると、調湿フィルタを介して水分が容器外に放出される。これにより、第2収納容器26の内部の湿度を一定以下に保持することができる。
【0066】
図10は、冷蔵室12を構成する内箱112の構成を示す切断斜視図である。この図を参照して、内箱112の下方の後方左側部分を開口することで帰還口30が形成されている。
図3に示す吹出口23および吹出口33から冷蔵室12に吹き出された冷気は、冷蔵室12、第1収納容器25および第2収納容器26を冷却した後に、帰還口30を介して、冷却室115に帰還する。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
111 外箱
112 内箱
113 断熱材
115 冷却室
116 蒸発器
117 除霜ヒータ
118 送風路
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
15 収納棚
151 収納棚
152 収納棚
17 収納ポケット
18 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
22 圧縮機
23 吹出口
24 給水タンク
25 第1収納容器
251 後面部
252 容器開口部
253 後方リブ
26 第2収納容器
27 断熱壁
28 仕切壁
29 間隙
30 帰還口
31 風路ダンパー
32 収納容器
33 吹出口
331 吹出口上端
34 開口部
341 開口部上端
342 開口部下端
35 送風機
36 リブ
37 取付部材
371 前方取付部材
372 後方取付部材
373 開口上面
374 開口下面
375 スリット
376 後面
38 蓋部
39 回動扉
40 通気孔
41 送風口
42 帰還口
43 フィルタ
44 凹状部
45 下方リブ
46 凹状部