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特許7401914ペット用排泄物採取容器並びに、これを用いたペットの排泄物の記録方法及びペットの健康状態の診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ペット用排泄物採取容器並びに、これを用いたペットの排泄物の記録方法及びペットの健康状態の診断方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20231213BHJP
   A01K 29/00 20060101ALI20231213BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A01K23/00 B
A01K29/00 Z
G01N33/48 G
G01N33/48 S
G01N33/48 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020220085
(22)【出願日】2020-12-27
(65)【公開番号】P2021110745
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2020011218
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520033339
【氏名又は名称】株式会社森正工業設計
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】堀江 祐子
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-004664(JP,A)
【文献】特許第3204400(JP,B2)
【文献】特開2000-266745(JP,A)
【文献】特開2009-288127(JP,A)
【文献】特表平10-505240(JP,A)
【文献】特開平05-256746(JP,A)
【文献】特開平10-229767(JP,A)
【文献】特開2018-189452(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195223(JP,U)
【文献】特開2003-325071(JP,A)
【文献】特開2009-005670(JP,A)
【文献】実開平01-148860(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
A01K 23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの排泄物を受けるための排泄物受け部と、前記排泄物受け部の周縁に形成され略水平に延びる排泄物受け部周縁部と、前記排泄物受け部周縁部の周縁から立ち上がる排泄物受け部周縁部周壁と、前記排泄物受け部周縁部に接続され、前記排泄物受け部周縁周壁の上端面に略水平に延びるフランジ形状の持ち手部と、を一体に延設されて構成されることを特徴とするペット用排泄物採取容器。
【請求項2】
角の丸い曲線を有して形成され略水平に延びる排泄物受け部周縁部と、前記排泄物受け部周縁部の内側に非吸水性部材を張った排泄物受け部と、前記排泄物受け部周縁部に接続され、前記排泄物受け部周縁部に略水平に延び、持ち手部谷折り線が備えられ、斜め上方向に持ち上げられるフランジ形状の持ち手部と、を一体に延設されて構成されることを特徴とするペット用排泄物採取容器。
【請求項3】
前記排泄物受け部の底壁は平坦であって、当該平坦な底壁によって自立可能である請求項1記載のペット用排泄物採取容器。
【請求項4】
前記排泄物受け部周縁部及び前記排泄物受け部の少なくともいずれかに、目盛り、段差、及び目印の少なくともいずれかをつけたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のペット用排泄物採取容器。
【請求項5】
前記排泄物受け部周縁部及び前記排泄物受け部及び持ち手部の少なくともいずれかに、尿検査用の発色試薬部、発色試薬の色を判断するための指標となる色見本部、色補正用の色見本部標本色部分の少なくともいずれかを設けたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のペット用排泄物採取容器。
【請求項6】
前記排泄物受け部周縁部と前記排泄物受け部は切り離すことが可能なことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のペット用排泄物採取容器。
【請求項7】
ペットの排泄物を受けるための排泄物受け部と、前記排泄物受け部の周縁に形成される排泄物受け部周縁部と、前記排泄物受け部周縁部に接続され、前記排泄物受け部周縁部の周壁上端面に略水平に延びるフランジ形状の持ち手部と、を一体に延設されて構成されることを特徴とするペット用排泄物採取容器に、ペットの排泄物を採取して収容し、前記ペット用排泄物採取容器及び前記ペットの排泄物の画像を作成する、ペットの排泄物の記録方法。
【請求項8】
ペットの排泄物を受けるための排泄物受け部と、前記排泄物受け部の周縁に形成され略水平に延びる排泄物受け部周縁部と、前記排泄物受け部周縁部の周縁から立ち上がる排泄物受け部周縁部周壁と、前記排泄物受け部周縁部に接続され、前記排泄物受け部周縁周壁の上端面に略水平に延びるフランジ形状の持ち手部と、を一体に延設されて構成されることを特徴とするペット用排泄物採取容器に、ペットの排泄物を採取して収容し、前記ペット用排泄物採取容器及び前記ペットの排泄物の画像を作成し、前記作成した前記ペットの排泄物の画像に対して画像解析を行う、ペットの健康状態の診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペット用排泄物採取容器並びに、これを用いたペットの排泄物の記録方法及びペットの健康状態の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
猫や犬などペットの排泄物である尿、糞便、嘔吐物のうち、尿を採取する方法としては、排泄中のペットの尿を柄のついたスポンジで吸収して採取する方法や、採尿シートといわれる吸水素材の上で該ペットに排泄させることで尿を吸収し、清潔な袋の中で絞り出して採取する方法、猫の場合はシステムトイレといわれるトイレ本体下部に、引き出し式のトレーの尿受け部があるトイレを使用して尿を採取する方法が既に提案されて実用に供されている。
【0003】
ところで、ペットの健康管理の一環として、飼い主が該ペットの排泄物を採取し、動物病院などで該ペットの健康状態を検査することが行われている。尿検査はペットの腎臓病、肝臓病、下部尿路疾患、糖尿病等の早期発見に有効であり、糞便検査についても寄生虫や原虫、細菌やウイルス、潜血の早期発見等に有効である。
【0004】
また、ペットの健康管理と病気の早期発見を目的として、飼い主が自宅で定期的にペットの排泄物採取を行い、尿については尿色及び、尿臭、尿結晶や尿結石の有無の観察、尿量の計測と発色試験紙などを使用した尿検査結果の記録、糞便については、便色及び便臭、異物混入の有無、形状などを記録することも推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実願2014-5643号広報
【文献】特開2020-80866号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペットの採尿において現在実用に供されている柄のついたスポンジや採尿シートで吸収した尿を清潔な袋に絞り出す方法については、どちらの場合も尿は一度吸収素材を透過することになり、直接採尿した場合に比べると雑菌や不純物の混入のリスクがある。
【0007】
前記システムトイレを使用しての猫の採尿の場合、未使用の猫砂を準備し、トイレの洗浄乾燥といった手間がかかり、この場合も尿は猫砂や猫砂の落下防止のための仕切りを通過することになり、直接採尿に比べると雑菌や不純物の混入のリスクがある。
【0008】
飼い主によるペットの採尿は、該ペットの体格、排泄姿勢や排泄場所にもよるが、例えば屋内で飼育される猫や雌犬など、該ペット用トイレの中で座って排泄するペットの採尿は、該ペットの排泄器官と猫砂や排泄シートの間隔が狭く、またペットの体格差もあるため、容器を使用した採尿は容易ではなく、また採尿後、動物病院などに提出する尿スピッツなど口の細い容器への入れ替えも容易ではない。
【0009】
飼い主が自宅で定期的にペットの採尿を行い、尿色や尿量の観察、発色試験紙で尿の状態を判定することや、その検査結果を記録することは、ペットの健康管理、病気の早期発見に非常に有効であるが、発色試験紙などを使用した尿検査、採取した尿をさらに計量カップなどで計測を行い、その結果を記録することは非常に手間がかかる。また、様々な環境下で尿や発色試薬の色を目視で正確に判断することも容易ではない。
【0010】
以上、本発明は、上記問題に鑑み、ペットの排泄物を汚染させることなく採取し、排泄物の観察や計量、検査や他容器への入れ替えなどが簡単にできるペット用排泄物採取容器、並びに、前記ペット用排泄物採取容器を用いたペットの排泄物の記録方法及びペットの健康状態の診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の一観点に係るペット用排泄物採取容器は、ペットの排泄物を受けるための排泄物受け部と、排泄物受け部の周縁に形成される排泄物受け部周縁部と、排泄物受け部周縁部に接続される持ち手部と、を有して構成されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の他の一観点に係るペット用排泄物採取容器は、角の丸い曲線を有して形成される排泄物受け部周縁部と、排泄物受け部周縁部の内側に非吸水性部材を張った排泄物受け部と、排泄物受け部周縁部に接続される持ち手部と、を有して構成されることを特徴とするものである。
【0013】
また、上記観点においては、排泄物受け部の底壁は平坦であって、当該平坦な底壁によって自立可能であることが好ましい。
【0014】
また、上記観点においては、排泄物受け部周縁部及び前記排泄物受け部の少なくともいずれかに、目盛り、段差、及び目印の少なくともいずれかをつけていることが好ましい。
【0015】
また、上記観点においては、排泄物受け部周縁部及び前記排泄物受け部及び持ち手部の少なくともいずれかに、尿検査用の発色試薬部、発色試薬の色を判断するための指標となる色見本部、色補正用の色見本部標本色部分の少なくともいずれかを設けていることが好ましい。
【0016】
また、上記観点においては、排泄物受け部周縁部と前記排泄物受け部は切り離すことが可能であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一観点に係るペットの排泄物の記録方法は、ペットの排泄物を受けるための排泄物受け部と、排泄物受け部の周縁に形成される排泄物受け部周縁部と、排泄物受け部周縁部に接続される持ち手部と、を有して構成されること特徴とするペット用排泄物採取容器に、ペットの排泄物を採取して収容し、ペット用排泄物採取容器及びペットの排泄物の画像を作成するものである。
【0018】
また、本発明の他の一観点に係るペットの健康状態の診断方法は、ペットの排泄物を受けるための排泄物受け部と、排泄物受け部の周縁に形成される排泄物受け部周縁部と、排泄物受け部周縁部に接続される持ち手部と、を有して構成されることを特徴とするペット用排泄物採取容器に、ペットの排泄物を採取して収容し、ペット用排泄物採取容器及び前記ペットの排泄物の画像を作成し、作成した前記ペットの排泄物の画像に対して画像解析を行うものである。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によって、ペットの排泄物を汚染させることなく採取し、排泄物の観察や計量、検査や他容器への入れ替えなどが簡単にできるペット用排泄物採取容器、並びに、これを用いたペットの排泄物の記録方法及びペットの健康状態の診断方法を提供することができる。より具体的には、本発明によって、ペットの排泄物である尿や糞便、嘔吐物を汚染させずに簡単に採取でき、ペットの排泄物の観察、計量、検査及び記録と診断ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明に係るペット用排泄物採取容器本体A11の斜視図である。
図2図2は本発明に係るペット用排泄物採取容器本体B12の斜視図である。
図3図3(a)及び(b)は本発明に係るペット用排泄物採取容器本体C13の斜視図である。
図4図4は本発明に係るペット用排泄物採取容器本体A11の平面図と正面図である。
図5図5は本発明に係るペット用排泄物採取容器本体B12の平面図と正面図である。
図6図6(a)及び(b)は本発明に係るペット用排泄物採取容器本体A11と、ペット用排泄物採取容器本体C13の切り離し例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明のペット用排泄物採取容器1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。先ず、本発明に係るペット用排泄物採取容器1の構成を図1図3に基づいて説明する。
【0022】
図1はペット用排泄物採取容器1の排泄物受け部9に段差による目盛りを設けることで排泄物の量を計測するペット用排泄物採取容器本体A11の斜視図、図2はペット用排泄物採取容器1の排泄物受け部9に目盛りを付けることで排泄物の量を計測するペット用排泄物採取容器本体B12の斜視図、図3はペット用排泄物採取容器1の排泄物受け部周縁部3に非吸水素材6を袋状に張ることで排泄物受け部9とし、袋状の排泄物受け部9に目盛り線5を付けることで排泄物の量を計測する、ペット用排泄物採取容器本体C13の斜視図である。
【0023】
図1に示すペット用排泄物採取容器本体A11は、上面が開口する平面視で略長円状の排泄物受け部9と排泄物受け部周縁部周壁上端面32からX方向に略水平に延びるフランジ形状の持ち手部2が一体に延設されている。排泄物受け部9は図1に示すように、底面を形成する平坦な下底壁41と、該下底壁41の周縁から立ち上がって当該排泄物受け部下層部分92の側面を形成する底壁周壁43の上端から略水平方向に形成される平坦な上底壁42と該上底壁42周縁から立ち上がって、当該排泄物受け部上層部91の側面を形成する底壁周壁44を有し、さらに該底壁周壁44の上端から略水平方向に排泄物受け部周縁部3が形成され、該同排泄物受け部周縁部3の周縁から立ち上がる排泄物受け部周縁部周壁31を有し、該排泄物受け部周縁部周壁上端面32が形成される。排泄物受け部9は、下底壁41と底壁周壁43に囲まれた排泄物受け部9下層部分92と、上底壁42と底壁周壁44に囲まれた排泄物受け部9上層部分91で構成される。また、排泄物受け部周縁部3には尿検査のための発色試薬部7、持ち手部2にペットの尿に反応した発色試薬の色を判別するための指標となる色見本部8と色補正用の色見本部標本色部分81が備えられている例を示す。
【0024】
図2に示すペット用排泄物採取容器本体B12は、上面が開口する平面視で略長円状の排泄物受け部9と排泄物受け部周縁部周壁上端面32から、X方向に略水平に延びるフランジ形状の持ち手部2が一体に延設されてい る。排泄物受け部9は図2に示すように、底面を形成する平坦な底壁4と、該底壁4の周縁から立ち上がって当該排泄物受け部9の側面を形成する底壁周壁45の上端から略水平方向に排泄物受け部周縁部3が形成され、該同排泄物受け部周縁部3の周縁から立ち上がる排泄物受け部周縁部周壁31を有し、該排泄物受け部周縁部周壁上端面32が形成される。排泄物受け部周縁部3には尿検査のための発色試薬部7、持ち手部2にペットの尿に反応した発色試薬の色を判別するための指標となる色見本部8と色補正用の色見本部標本色部分81が備えられている例を示す。
【0025】
図1、2共に、排泄物受け部周縁部周壁上端面32よりY方向に形成される部分においては角にRをつけ、抜き勾配を設定し、積み重ねることが可能なものとする例を示す。
【0026】
図3(a)に示すペット用排泄物採取容器本体C13は、上面が開口する平面視で略半長円状の排泄物受け部9と該排泄物受け部9の排泄物受け部周縁部3からX方向に略水平に延びる持ち手部2が一体に延設されている。持ち手部2は持ち手部谷折り線21が備えられ、持ち手部2は斜め上方向に持ち上がるものとする。ペット用排泄物採取容器本体C13上面中央には、尿検査のための発色試薬部7、持ち手部2にペットの尿に反応した発色試薬の色を判別するための指標となる色見本部8と色補正用の色見本部標本色部分81が備えられている例を示す。排泄物受け部9は、排泄物受け部周縁部3に張られた略袋状の非吸水性部材6で形成されており、該非吸水性部材6に目盛り線5が備えられている例を示している。
【0027】
図3(b)に示すペット用排泄物採取容器本体C13は、排泄物受け部9である非吸水性部材6が折りたたまれた状態で排泄物受け部周縁部3と排泄物受け部周縁部周壁31に収納されている場合の斜視図である。排泄物を採取する際は、折りたたまれた略袋状の非吸水性部材6をY方向に押し広げることで尿受け部9とする例を示す。
【0028】
次に本発明に係るペット用排泄物採取容器1の構成を該ペットが猫である場合について図4図6に基づいて説明する。
【0029】
図4はペット用排泄物採取容器本体A11の平面図及び、正面図を示す。排泄物受け部9のうち、下層部分92は排泄物受け部9上層部分91の中心よりX方向よりに配置されており、排泄物受け部9、下層部分92と排泄物受け部9上層部分91で構成される排泄物受け部9は、排泄物受け部周縁部3中心よりX方向、持ち手部2よりに配置されている例を示す。これは前記ペット用排泄物採取容器本体A11を該猫の背後からお尻の下に滑り込ませた場合に、排泄器官より後方に向けて排泄される猫の尿をより受けとめ易くするためである。また、ペット用排泄物採取容器本体A11を、排泄物受け部周縁部3の内周縁と底壁周壁44で切り離し(図6(a)参照)本体のサイズ調整を行った場合に、上底壁42のより広いフランジ状の部分を持ち手部とすることも可能となる。
【0030】
図5はペット用排泄物採取容器本体B12の平面図及び、正面図を示す。排泄物受け部9は、排泄物受け部周縁部3中心よりX方向、持ち手部2よりに配置されている例を示す。これは前記ペット用排泄物採取容器本体B12を該猫の背後からお尻の下に滑り込ませた場合に、排泄器官より後方に向けて排泄される猫の尿をより受けとめやすくするためである。また、ペット用排泄物採取容器本体B12を、排泄物受け部周縁部3の内周縁と底壁周壁45で切り離して本体のサイズ調整を行った場合に、排泄物受け部周縁部3のより広いフランジ状の部分を持ち手部とすることも可能となる。
【0031】
以上、該ペットが猫の場合の形状例を説明したが、該ペットの背後から前記ペット用排泄物採取容器本体A11又は前記ペット用排泄物採取容器本体B12をお尻の下に滑り込ませて採尿する場合において、該ペットが排泄器官より前方に向けて排泄する場合は、排泄物受け部9を、排泄物受け部周縁部3中心より逆X方向に配置することで該ペットの尿をより受けとめ易くすることが可能であり、本体のサイズ調整を行った場合に、上底壁42または排泄物受け部周縁部3のより広いフランジ状の部分を持ち手部とすることも可能となる。
【0032】
図6(a)は、ペット用排泄物採取容器本体A11を、排泄物受け部周縁部3と底壁周壁44の略上端部分で切り離した例である。図6(b)はペット用排泄物採取容器本体C13の排泄物受け部周縁部3と持ち手部2の略外周を切り離した例である。該ペットが幼体や小型でペット用排泄物採取容器が大きすぎる場合は、カットすることで大きさを調節できるものとする。カットガイドはあってもよいがなくてもよい。
【0033】
次に本発明に係るペット用排泄物採取容器1を構成する材質について説明する。ペット用排泄物採取容器1の材質は全体に防水加工や抗菌加工を施すことができ、軽量で取り扱い易く成形性に優れているものが好ましい。使い捨てを想定する場合においては、成型可能かつ環境にやさしいパルプモールド、バガスなどの紙材、バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックが挙げられるが、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の凡用の合成樹脂やアルミニウムやステンレス材なども好適である。本体の色は排泄物の色が判別しやすい白色や透明であることが好ましい。
【0034】
ペット用排泄物採取容器本体C13を構成する非吸水性部材6は、非吸水性の可撓性のシート状部材である。全体が排泄物を透過しない非吸水性の薄いフィルムによって構成されており、材質としてはポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の凡用の合成樹脂や防水紙材などが好適である。いずれの場合も防水加工や抗菌加工を施すと共に、色は排泄物の色が判別しやすい白色や透明であることが好ましい。
【0035】
衛生面を考慮して使い捨てを想定しているが、洗浄、殺菌消毒が可能な素材で形成することで繰返し使用することも可能である。またペット用排泄物採取容器1においては、全て一体成型ではなく、持ち手部2と排泄物受け部周縁部3を一体成型したものを枠として繰返し使用し、前記枠とは別に形成した排泄物受け部9または袋状に形成した非吸水性部材6をはめ込み、排泄物受け部のみを使い捨て部材としてもよい。
【0036】
本発明に係るペット用排泄物採取容器1は該ペットの種類や、体格、排泄姿勢、排泄量によって適宜本体や持ち手部2のサイズを設定することとするが、例えば該ペットが猫である場合、長さ150mm~200mm、幅70mm~100mm、高さ20mm~30mmが想定される。
【0037】
次に、ペット用排泄物採取容器本体A11と、ペット用排泄物採取容器本体B12を用いた、該ペット用トイレの中で座って排泄するペットの排泄物のうち、尿の採取、計量、検査方法について説明する。尚以下については特に断りがない場合、該ペットは猫である。
【0038】
例えば屋内で飼育されている猫は通常、水平な床面上に設置された猫砂といわれる砂状の排泄物処理剤がトイレ容器内に充填された猫用トイレの中に入り、排泄前に前脚で猫砂を掘り排泄用の浅いくぼみを作り、そのくぼみの上に座って排泄を行う。本発明の上記ペット用排泄物採取容器本体A11とペット用排泄物採取容器本体B12は、該猫が自ら掘ったくぼみの上に腰を落とした排泄姿勢を取ってから、該猫のお尻の下と猫砂に掘られたくぼみの間に、該猫の背後から前記ペット用排泄物採取容器本体A11または前記ペット用排泄物採取容器本体B12を滑り込ませることで採尿を行う。該猫によって排泄された尿は、前記排泄物受け部周縁部3を通過し、排泄物受け部9に落下して溜まる。
【0039】
排泄物受け部9に落下し溜まった尿は、ペット用排泄物採取容器本体A11又は、ペット用排泄物採取容器B12を任意の水平な場所に置き自立させるか、持ち手部2で該容器を水平に保持した状態で尿を計量する。ペット用排泄物採取容器本体A11は、排泄物受け部9の下底壁41と底壁周壁43に囲まれた排泄物受け部9下層部分92と、上底壁42と底壁周壁44に囲まれた排泄物受け部9上層部分91に溜まる尿量を規定しておくことで、計量する人が視力に問題があり細かい目盛り線を見ることが困難な場合や、容器の成型時に側面に目盛り線を設けることが難しい場合であっても、おおよその尿量を目測することができる。ペット用排泄物採取容器本体B12の場合は、任意の水平な場所に置き自立させるか持ち手部2で容器を水平に保持し、目盛線5によって尿を計量する。
【0040】
平坦な底部で自立する上記ペット用排泄物採取容器本体A11とペット用排泄物採取容器B12は任意の水平な場所に置くことで両手を使い、吸引機能付きの密閉容器への移し替えや、吸引器具などを用いての他密閉容器への移し替えも容易である。また吸引器具などで本体に備え付けた発色試薬部7部分に採取した尿をかけることで発色させ、指標となる色見本部8と比べることで排泄直後の尿での尿検査も同時に行うことが可能となる。
【0041】
発色試薬部7を排泄物受け部周縁部3に配置するのは、尿をかけた後に乾燥させ、目視観察や記録をしやすくするためである。色見本部8は発色試薬部7の周囲に配置してもよいが、別紙に印刷するなどして用意してもよい。また、発色試薬部7、色見本部8をそなえずに、発色試験紙を用いて尿検査を行い、発色後の試験紙を本体の持ち手部2など任意の場所に配置して記録することで本体色を色補正用の標本色とする記録が可能である。
【0042】
次に本発明のペット用排泄物採取容器本体C13を用いたペットの排泄物のうち尿の採取、計量、検査方法について説明する。屋内飼育の猫や座って排泄する雌犬などの採尿には、該ペットが腰を落とした排泄姿勢を取ってから、該ペットの背後からお尻の下に前記ペット用排泄物採取容器本体C13を滑り込ませることで採尿を行う。該ペットが雄犬など、立ったまま排泄する場合は排泄器官から排泄される尿の落下を目視しながら、持ち手部2を持ってすばやく排泄物受け部周縁部3を落下してくる尿の下に配置することで、該ペットの尿を尿受け部9に溜めることができる。
【0043】
ペット用排泄物採取容器本体C13の排泄物受け部周縁部3から排泄物受け部9に落下し溜まった尿は、持ち手部2を持ち、該容器本体を水平に保持するか、水平を保てる任意の場所に置くことで、目盛線5による尿の計量、吸引機能付きの密閉容器への移し替えや、吸引器具などを用いての他密閉容器への移し替えも容易にできる。また、該容器本体に設けられている発色試薬部7に直接尿を付着させるか、採取後の尿を吸引器具などで発色試薬部7部分に採取した尿をかけることで発色させ、指標となる色見本部8と比べることでペットが排泄した直後に尿検査を行うことができる。
【0044】
なお、前記吸引機能付きの密閉容器や、吸引器具などを用いての他密閉容器に移し替えられたペットの尿は、例えば動物病院に持ち込まれる。動物病院では、持ち込まれた尿のpH値や比重の測定、尿検査紙による評価、尿の色や濁り具合等の目視観察等によって所要の尿検査が行われる。この尿検査はペットの腎臓病、肝臓病、下部尿路疾患、糖尿病等の疾患の早期発見に有効である。ペットの尿は尿検査結果の信頼性を上げるため、排泄直後の尿を採取後すぐ密閉し、劣化防止のため病院に提出するまで冷却することが求められる。本発明のペット用排泄物採取容器1は排泄中のペットの尿を直接採尿であることから、すぐに密閉容器に入れ替え冷却することが可能である。
【0045】
次に本発明のペット用排泄物採取容器1を用いたペットの排泄物のうち尿の観察や検査、並びに尿の記録及び診断方法について説明する。現在ペットの健康管理と病気の早期発見を目的として、飼い主が自宅で定期的にペットの採尿を行い、尿色及び、尿結晶や尿結石の有無の観察、尿量の計測と発色試験紙などを使用した尿検査結果、尿臭などを記録することが推奨されている。
【0046】
例えば猫の尿を例に挙げると尿の色が濃い黄色である場合は正常であるが、尿量が多く、尿の色が薄い黄色である場合は腎臓病が疑われ、尿の色が赤色である場合は血尿であることが疑われる。白濁していれば細菌の混入が疑われ、尿中にキラキラした結晶が排泄されていれば、尿結晶や尿結石が形成されていることが疑われる。
【0047】
飼い主によるペットの尿及び、発色試験紙での尿検査結果の観察は目視で行われるが、光量、光色など様々な環境下で、尿色や発色試薬の色を正確に判別することは飼い主にとっては容易ではない。そこで本発明のペット用排泄物採取容器1で採尿した尿の画像を該ペット用排泄物採取容器1の本体の色または、色見本部標本色部分81を基準に色補正しながら画像解析を行うことで尿量、尿検査結果及び、尿の色や尿の混濁度、尿結晶や尿結石の有無などの尿の状態の記録が可能となり、定期的に尿の状態を記録することでペットの尿の異常の早期発見が期待できる。
【0048】
また例えば前記作成したペットの採尿後の該容器とペットの尿の画像解析を機械学習させたAIで行うことで、目視による判定よりも正確な診断が可能となれば、例えばペットを連れて動物病院に行く判断基準の目安になることや、前記画像解析結果を用いたオンラインによる診断が可能となれば、通院にかかるペットへのストレス、飼い主の負担を軽減すると共に、ペットの病気の早期発見と健康寿命を延ばすことが期待できる。
【0049】
尚、以上は特に断りがない限り、ペットが猫である場合の該猫の尿を採取するためのペット用排泄物採取容器1とこれを用いた尿の記録方法について説明したが、本発明は、猫以外の任意の動物の尿の採取と尿の記録にも適用可能である。また、採尿だけではなく、糞便や嘔吐物などの排泄物についてもペット用排泄物採取容器1での採取と前記ペット用排泄物採取容器1を用いて排泄物の記録と診断をすることも可能である。
【0050】
ペットの糞便については本発明のペット用排泄物採取容器1を用いることで尿同様にペットの排泄場所、排泄姿勢に合わせて汚染させることなく排泄物が採取可能であるし、餌や毛玉などを吐き戻すことの多い猫が嘔吐する姿勢を取っている時に、すばやく前記ペット用排泄物採取容器1を該ペットの口元に配置すれば床を汚すことなく、嘔吐物を汚染させずに採取することも可能である。採取した糞便や嘔吐物も動物病院に持ち込むことでペットの病気の早期発見と診断にも有効である。
【0051】
また例えば、採取した糞便、嘔吐物についても前記尿の記録と診断方法同様に採取後の排泄物の画像を色補正しながら画像解析することで糞便や嘔吐物の記録が可能である。画像解析を機械学習させたAIで行うことで、目視による判定よりも正確な診断も可能となり、オンラインによる診療や診断、ペットの病気の早期発見と健康寿命を延ばすことが期待できる。
【0052】
その他、本発明は以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変形が可能であり、以上説明した実施の形態における各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0053】
1 ペット用排泄物採取容器
11 ペット用排泄物採取容器本体A
12 ペット用排泄物採取容器本体B
13 ペット用排泄物採取容器本体C
2 持ち手部
21 持ち手部谷折り線
3 排泄物受け部周縁部
31 排泄物受け部周縁部周壁
32 排泄物受け部周縁部周壁上端面
4 底壁
41 下底壁
42 上底壁
43~45 底壁周壁
5 目盛り線
6 非吸水性部材
7 発色試薬部
8 色見本部
81 色見本部標本色部分
9 排泄物受け部
91 上層部分
92 下層部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6