(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】局所空気清浄化装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20231213BHJP
F24F 9/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F9/00 A
F24F9/00 M
(21)【出願番号】P 2020538475
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019032945
(87)【国際公開番号】W WO2020040273
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2018157443
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162940
【氏名又は名称】興研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛人
(72)【発明者】
【氏名】前田 信哉
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098519(JP,A)
【文献】特開昭55-041335(JP,A)
【文献】特開2013-092352(JP,A)
【文献】特開平09-057033(JP,A)
【文献】実開平05-003900(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄化された一様空気流を吹き出す空気流開口面を有するプッシュフードと、
前記プッシュフードの空気流開口面側に設けられ、前記空気流開口面側から前記一様空気流の下流側に向かって延び、下流側端部に開口面を形成するガイドと、を備え、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記ガイド内を通過した後、前記ガイドの前記開口面の下流側において空気衝突面に衝突するように前記プッシュフードを配置するとともに、前記ガイドの前記開口面を前記空気衝突面から離間して対向させることにより、前記ガイドの前記開口面と前記空気衝突面との間に開放した領域を形成し、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記空気衝突面で衝突して前記開放した領域外に流出することにより、前記ガイド内及び前記開放した領域内を他の領域と比較して高い清浄度とする局所空気清浄化装置において、
前記ガイド内において粉じんが発生する位置よりも下流側に配置され、
前記粉じんの発生源の幅に応じた幅を有し、前記空気流開口面から前記一様空気流が吹き出される方向に対し略直交する方向に層流を吹き出す第1層流発生装置を備え、
前記第1層流発生装置は、前記ガイド内で発生する粉じんを、前記略直交する方向に吹き出す層流により、前記ガイド内の周縁に移動させ、
前記プッシュフードは、前記第1層流発生装置により前記ガイド内の周縁に移動された粉じんを、前記空気流開口面から吹き出す一様空気流により、前記ガイド外へ排出する
ことを特徴とする局所空気清浄化装置。
【請求項2】
清浄化された一様空気流を吹き出す空気流開口面を有するプッシュフードと、
前記プッシュフードの空気流開口面側に設けられ、前記空気流開口面側から前記一様空気流の下流側に向かって延び、下流側端部に開口面を形成するガイドと、を備え、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記ガイド内を通過した後、前記ガイドの前記開口面の下流側において空気衝突面に衝突するように前記プッシュフードを配置するとともに、前記ガイドの前記開口面を前記空気衝突面から離間して対向させることにより、前記ガイドの前記開口面と前記空気衝突面との間に開放した領域を形成し、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記空気衝突面で衝突して前記開放した領域外に流出することにより、前記ガイド内及び前記開放した領域内を他の領域と比較して高い清浄度とする局所空気清浄化装置において、
前記ガイド内において粉じんが発生する位置よりも下流側に配置され、
前記粉じんの発生源の幅に応じた幅を有し、前記空気流開口面から前記一様空気流が吹き出される方向に対し略直交する方向に層流を吹き出す第1層流発生装置を備え、
前記ガイドにおいて、前記第1層流発生装置から吹き出される層流が前記ガイドに衝突する位置に穴が形成され、
前記第1層流発生装置は、前記ガイド内で発生した粉じんを、前記略直交する方向に吹き出す層流により、前記穴から前記ガイド外へ排出する
ことを特徴とする局所空気清浄化装置。
【請求項3】
前記ガイド内の周縁において、前記第1層流発生装置から吹き出される層流が前記ガイドに衝突する位置に近接する位置であって、前記第1層流発生装置よりも下流側に配置され、前記開口面に向かって、前記空気流開口面から前記一様空気流が吹き出される方向に対し略平行に層流を吹き出す第2層流発生装置をさらに備え、
前記第2層流発生装置は、前記一様空気流の流速よりも速い流速で、前記略平行に層流を吹き出し、
前記第2層流発生装置は、前記第1層流発生装置により前記ガイド内の周縁に移動された粉じんを、前記略平行に吹き出す層流により、前記ガイド外へ排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の局所空気清浄化装置。
【請求項4】
前記第1層流発生装置が前記略直交する方向に吹き出す層流の流速は、前記プッシュフードが吹き出す前記一様空気流の流速の3~25倍である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の局所空気清浄化装置。
【請求項5】
前記第1層流発生装置は、前記一様空気流中における当該第1層流発生装置の上流側の空気を吸い込む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の局所空気清浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所空気清浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、局所的な作業空間の空気清浄度を向上させる装置としてクリーンベンチがしばしば用いられている。一般的なクリーンベンチは、作業台の手前の面だけが作業用の開口になっており、それ以外の面では清浄度を保つために囲いとなっている。このようなクリーンベンチでは、その囲い内に清浄空気吹き出し口が配置されており、作業者は手前の作業用の開口から手を入れて作業を行っている。
【0003】
しかし、クリーンベンチの作業用の開口が狭いことから、作業者が精密機械の組立作業等を行う場合には、その作業性に問題がある。また、製造ラインのように、製品や製造部品の移動が伴う場合には、ライン全体をクリーンルーム内に入れる等の措置がとられてきたが、これでは設備が大規模になってしまうという問題がある。
【0004】
このため、清浄化された空気の一様流を吹き出すことのできる一対のプッシュフードの空気流開口面を対向させて配置し、それぞれの空気流開口面からの空気流を衝突させることにより、一対のプッシュフード間の領域を他の領域と比較して高い清浄度を有する清浄空気空間とすることができる局所空気清浄化装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、一つのプッシュフードの空気流開口面を、壁などの空気衝突面に対向させて配置し、空気流開口面からの空気流を空気衝突面に衝突させることにより、プッシュフードと空気衝突面との間の領域を他の領域と比較して高い清浄度を有する清浄空気空間とすることができる局所空気清浄化装置も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-275266号公報
【文献】特開2013-068396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の清浄空気空間において作業者が作業を行ったり、清浄空気空間に配置される製造ラインを作動させると、粉じんが発生してしまうことがある。従来の局所空気清浄化装置は、発生した粉じんを、空気流開口面から吹き出される空気流により下流側(例えば、空気流開口面と対向した空気衝突面側)に移動し、暫くすると清浄空気空間から排出することができた。しかし、粉じん発生と同時に下流側で作業する場合には作業空間から素早く排出したいという要望もある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、清浄空気空間内において作業により発生した粉じんを作業空間外へ移動することにより、実際に作業中の作業空間において清浄度を高く維持することが可能な局所空気清浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る局所空気清浄化装置は、
清浄化された一様空気流を吹き出す空気流開口面を有するプッシュフードと、
前記プッシュフードの空気流開口面側に設けられ、前記空気流開口面側から前記一様空気流の下流側に向かって延び、下流側端部に開口面を形成するガイドと、を備え、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記ガイド内を通過した後、前記ガイドの前記開口面の下流側において空気衝突面に衝突するように前記プッシュフードを配置するとともに、前記ガイドの前記開口面を前記空気衝突面から離間して対向させることにより、前記ガイドの前記開口面と前記空気衝突面との間に開放した領域を形成し、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記空気衝突面で衝突して前記開放した領域外に流出することにより、前記ガイド内及び前記開放した領域内を他の領域と比較して高い清浄度とする局所空気清浄化装置において、
前記ガイド内において粉じんが発生する位置よりも下流側に配置され、前記空気流開口面から前記一様空気流が吹き出される方向に対し略直交する方向に層流を吹き出す第1層流発生装置を備え、
前記第1層流発生装置は、前記ガイド内で発生する粉じんを、前記略直交する方向に吹き出す層流により、前記ガイド内の周縁に移動させ、
前記プッシュフードは、前記第1層流発生装置により前記ガイド内の周縁に移動された粉じんを、前記空気流開口面から吹き出す一様空気流により、前記ガイド外へ排出する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の観点に係る局所空気清浄化装置は、
清浄化された一様空気流を吹き出す空気流開口面を有するプッシュフードと、
前記プッシュフードの空気流開口面側に設けられ、前記空気流開口面側から前記一様空気流の下流側に向かって延び、下流側端部に開口面を形成するガイドと、を備え、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記ガイド内を通過した後、前記ガイドの前記開口面の下流側において空気衝突面に衝突するように前記プッシュフードを配置するとともに、前記ガイドの前記開口面を前記空気衝突面から離間して対向させることにより、前記ガイドの前記開口面と前記空気衝突面との間に開放した領域を形成し、
前記空気流開口面から吹き出される清浄化された一様空気流が、前記空気衝突面で衝突して前記開放した領域外に流出することにより、前記ガイド内及び前記開放した領域内を他の領域と比較して高い清浄度とする局所空気清浄化装置において、
前記ガイド内において粉じんが発生する位置よりも下流側に配置され、前記空気流開口面から前記一様空気流が吹き出される方向に対し略直交する方向に層流を吹き出す第1層流発生装置を備え、
前記ガイドにおいて、前記第1層流発生装置から吹き出される層流が前記ガイドに衝突する位置に穴が形成され、
前記第1層流発生装置は、前記ガイド内で発生した粉じんを、前記略直交する方向に吹き出す層流により、前記穴から前記ガイド外へ排出する
ことを特徴とする。
【0011】
第1の観点に係る局所空気清浄化装置において、
前記ガイド内の周縁において、前記第1層流発生装置から吹き出される層流が前記ガイドに衝突する位置に近接する位置であって、前記第1層流発生装置よりも下流側に配置され、前記開口面に向かって、前記空気流開口面から前記一様空気流が吹き出される方向に対し略平行に層流を吹き出す第2層流発生装置をさらに備え、
前記第2層流発生装置は、前記一様空気流の流速よりも速い流速で、前記略平行に層流を吹き出し、
前記第2層流発生装置は、前記第1層流発生装置により前記ガイド内の周縁に移動された粉じんを、前記略平行に吹き出す層流により、前記ガイド外へ排出する
ことを特徴とする。
【0012】
また、第1及び第2の観点に係る局所空気清浄化装置において、
前記第1層流発生装置が前記略直交する方向に吹き出す層流の流速は、前記プッシュフードが吹き出す前記一様空気流の流速の3~25倍である
ことを特徴とする。
【0013】
また、第1及び第2の観点に係る局所空気清浄化装置において、
前記第1層流発生装置は、前記一様空気流中における当該第1層流発生装置の上流側の空気を吸い込む
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、清浄空気空間内において作業により発生した粉じんを作業空間外へ移動することにより、実際に作業中の作業空間において清浄度を高く維持することが可能な局所空気清浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係る局所空気清浄化装置の一例を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る局所空気清浄化装置の一例を示す図である。
【
図4】実施形態2に係る局所空気清浄化装置の一例を示す図である。
【
図5】実施形態3に係る局所空気清浄化装置の一例を示す図である。
【
図6】実施形態4に係る局所空気清浄化装置の一例を示す図である。
【
図7】実施例1乃至3に係る局所空気清浄化装置の平面図である。
【
図8】実施例1に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図9】実施例2に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図10】実施例3に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図11A】実施例4に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図11B】実施例4に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図11C】実施例4に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図12A】実施例5に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図12B】実施例5に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図12C】実施例5に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図13】実施例6に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図14A】実施例7に係る局所空気清浄化装置の平面図である。
【
図14B】実施例7に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【
図15A】実施例7に係る局所空気清浄化装置の平面図である。
【
図15B】実施例7に係る局所空気清浄化装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の局所空気清浄化装置について、
図1乃至15を参照して説明する。
【0017】
(実施形態1)
本実施形態に係る局所空気清浄化装置1は、
図1に示すように、壁、衝立などの空気衝突面Wに対向するように配置されたプッシュフード2と、プッシュフード2に設けられたガイド3と、ガイド3内に配置された第1層流発生装置41と、を備える。
図1は、局所空気清浄化装置1を側面から見た図である。本実施形態及び以下に示す実施形態では、ガイド3内にはテーブル5が配置され、このテーブル5の上に粉じんを発生する粉じん発生源としての装置6が設置されている場合を例に、局所空気清浄化装置1を説明する。
【0018】
図1は、装置6が粉じんを発生し、第1層流発生装置41が動作していない状態を示している。
図1の矢印(例えば、矢印28)は、プッシュフード2から吹き出される一様空気流の流れを示すものである。また、矢印の色は、ガイド3内の汚染の程度を示す。矢印の色が濃いほど、その場所には粉じんが多く存在することを示す。
図1において、粉じんを発生している装置6と同程度の高さでは、粉じんが一様空気流に乗ってガイド内を移動しており、ガイド内の清浄空気空間が最も汚染されている。
【0019】
ここでいう一様空気流および一様流は、林太郎著「工場換気」(空気調和・衛生工学会 1982年発行)に記載の一様流と同義であり、一様に連続し、大きな渦部の生じない微風速の流れをいう。ただし、本発明は、空気の流速および速度分布を厳密に規定した空気吹き出し装置を提供しようとするものではない。一様空気流は、例えば、障害物がない状態での速度分布のバラツキが、その平均値に対して±50%以内、さらには±30%以内であるものが好ましい。
【0020】
プッシュフード2は、清浄化された一様空気流を吹き出す機構を有するものであればよく、従来からプッシュプル型換気装置に用いられているプッシュフードを基本的構造とし清浄用フィルタを内設した構造を採用することができる。
【0021】
本実施形態のプッシュフード2は、連結具により、9個(縦3個×横3個)のプッシュフード2aがその空気流開口面が同一方向であって、プッシュフード2aの短辺どうし、長辺どうしがそれぞれ隣り合うように配列して連結されている。
図2にプッシュフード2aの構造を示す。なお、連結された他のプッシュフード2aの構造も基本的に同一である。
【0022】
図2に示すように、プッシュフード2aのハウジング21は、略直方体状に形成され、その一面に空気流吸込面22が形成されている。空気流吸込面22は、例えば、ハウジング21の一面全体に複数の孔が形成された面からなる。空気流吸込面22では、この孔からプッシュフード2aの外部の周辺空気である外気や室内空気を取り入れる。また、ハウジング21の空気流吸込面22と対向する他面には、空気吹出面(空気流開口面)23が形成されている。空気流開口面23は、例えば、ハウジング21の一面全体に複数の孔が形成された面からなる。空気流開口面23では、この孔からプッシュフード2a内で形成された清浄空気の一様空気流がプッシュフード2aの外部に吹き出される。プッシュフード2aの空気流開口面23の大きさは、特に限定されるものではないが、例えば、1050mm×850mmである。
【0023】
プッシュフード2は、その空気流開口面23が壁などの空気衝突面Wに対向するように配置される。ここで、空気流開口面23が空気衝突面Wに対向するとは、プッシュフード2の空気流開口面23と空気衝突面Wとが正対した状態に限定されるものではなく、例えば、プッシュフード2の空気流開口面23と空気衝突面Wとが若干傾いた状態のものも含まれる。プッシュフード2の空気流開口面23と空気衝突面Wとの傾きは、空気流開口面23と空気衝突面Wとが成す角度が30°程度の範囲内であることが好ましい。
【0024】
ハウジング21内には、送風機構24と、高性能フィルタ25と、整流機構26とが配置されている。
【0025】
送風機構24は、ハウジング21内の空気流吸込面22側に配置されている。送風機構24は、空気吹き出し用のファン等から構成されている。送風機構24は、プッシュフード2aの周辺空気である外気や室内空気を空気流吸込面22から取り入れるとともに、空気流開口面23から空気流を吹き出す。また、送風機構24は、ファンの吹き出し力を制御することにより、空気流開口面23から吹き出される空気流の流速を可変できるように形成されている。
【0026】
高性能フィルタ25は、送風機構24と整流機構26との間に配置されている。高性能フィルタ25は、取り入れた周辺空気をろ過するためのHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)やULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)等の清浄化レベルに応じた高性能フィルタから構成されている。高性能フィルタ25は、送風機構24によって取り入れた周辺空気を所望の洗浄化レベルの清浄空気に清浄化する。高性能フィルタ25により所望の洗浄化レベルに清浄された清浄空気は、送風機構24により整流機構26に送られる。
【0027】
整流機構26は、高性能フィルタ25と空気流開口面23との間に配置されている。整流機構26は、図示しない空気抵抗体を備えており、パンチングプレートや網部材などから形成されている。整流機構26は、高性能フィルタ25から送風され、空気流開口面23全体に対して通気量に偏りのある送風空気を、空気流開口面23全体に対して通気量に偏りのない均一化された空気流(一様空気流)に補正(整流)する。この整流された一様空気流が、送風機構24により、空気流開口面23全体からプッシュフード2の外部に吹き出される。
【0028】
また、プッシュフード2aは、
図2に示すように、ハウジング21内の空気流吸込面22と送風機構24との間に、プレフィルタ27が配置されていることが好ましい。プレフィルタ27としては、例えば、中性能フィルタが挙げられる。空気流吸込面22と送風機構24との間にプレフィルタ27を配置することにより、空気流吸込面22を介してハウジング21内部に吸い込まれた周辺空気に含まれる比較的大きな粉じんを取り除くことができ、目詰まり等が生じやすい高性能フィルタ25の性能を長期間維持することができる。
【0029】
このように構成されたプッシュフード2aでは、送風機構24によって取り入れた周辺空気がプレフィルタ27及び高性能フィルタ25によって所望の洗浄化レベルの清浄空気に清浄化される。そして、清浄化された清浄空気は整流機構26によって一様空気流に整流される。このように清浄化された一様空気流は空気流開口面23全体からプッシュフード2aの空気流開口面23にほぼ垂直方向に外部へ向かって吹き出される。
【0030】
なお、空気流開口面23から吹き出される一様空気流の流速は、0.2~0.7m/sが好ましい。この範囲の流速で吹き出すことにより、一様空気流がガイド3内を押し出されるように移動し、ガイド3内で一様空気流の状態を維持しやすいためである。
【0031】
ガイド3は、その一端が、プッシュフード2の空気流開口面23側に設けられている。また、ガイド3は、空気流開口面23に設けられ、そこから、空気流開口面23から吹き出される一様空気流の下流側に向かって延び、空気流開口面23の外周輪郭部を覆うように形成されている。例えば、空気流開口面23の形状が四角形の場合、その断面形状がコの字状となるように延伸形成されている。このコの字状の開放された側と床面とにより、一様空気流の吹き出し方向に向かって外周輪郭部を含み、そこから吹き出される一様空気流の流れと並行に気流の周囲をトンネル状に囲う状態となる。ガイド3は、その他端(開口面31)との間に開放した領域を有するように形成されている。なお、空気流開口面23の形状が四角形の場合、断面形状はコの字ではなく、ロの字状となるように延伸形成されてもよい。
【0032】
ガイド3は、その開口面31から吹き出される空気流が、空気流開口面23からの清浄化された一様空気流の状態を維持可能なものであれば、任意の材料により形成することが可能である。また、ガイド3は、空気流開口面23からの清浄化された一様空気流の状態を維持可能であれば、一様空気流の周囲全体を完全に覆っていなくてもよく、例えば、その一部に穴が開いていたり、スリットが形成されていてもよい。
【0033】
ガイド3は、その開口面31が空気衝突面Wに対向するように配置されている。開口面31が空気衝突面Wに対向するように配置されることで、開口面31から吹き出された空気流が空気衝突面Wに衝突する。例えば、開口面31を壁に正対させた場合、一様空気流は、空気衝突面Wに衝突すると、ほぼ垂直に流れの向きを変える挙動を示す。このように流れることにより、空気衝突面Wに衝突した空気流はぶつかった面の外側へと流出する。この結果、気流がぶつかった面から開口面31端部までの領域において清浄空気空間が得られる。
【0034】
開口面31の形状は、空気流開口面23とほぼ同じ形状となるように形成されていることが好ましい。開口面31と空気流開口面23とをほぼ同じ形状とすることにより、開口面31において空気流開口面23から吹き出された一様空気流の状態を維持しやすいためである。
【0035】
このように構成されたガイド3は、
図1に示すように、プッシュフード2の空気流開口面23側から、一様空気流の下流側に向かって設けられ(取り付けられ)、その下流側端部に設けられた開口面31が空気衝突面Wに対向するように配置される。これにより、開口面31と空気衝突面Wとの間に開放された領域が形成される。
【0036】
第1層流発生装置41は、空気流開口面23から一様空気流が吹き出される方向に対し略直交する方向に層流を吹き出す。そして、第1層流発生装置41は、ガイド3内で発生する粉じんを、略直行する方向に吹き出す層流により、ガイド3内の周縁に移動させる。
【0037】
図3に、第1層流発生装置41が層流41aを吹き出す様子を示す。
【0038】
ここで、略直交とは、一様空気流が吹き出される方向(矢印28の方向)と、層流41aを吹き出す方向とが、概ね90°の角度をなすことを指し、例えば、±10°程度の誤差が許容される。
【0039】
また、ガイド3内の周縁とは、一様空気流の流れに垂直方向な面の周縁部側(上下左右端側)である。例えば、ガイド3がコの字状に延伸形成されている場合、ガイド3内の周縁とは、ガイド3の内側の天井、ガイド3の内側の両側面及び床である。また、ガイド3が、ロの字状に延伸形成されている場合、ガイド3内の周縁とは、ガイド3の内側の天井、ガイド3の内側の側面、ガイド3の内側の底部である。
【0040】
第1層流発生装置41は、ガイド3内において粉じんを発生する装置6の下流側に配置されている。第1層流発生装置41は、層流41aを上方に吹き出すことにより、一様空気流により流されてきた粉じんをガイド3内の天井側に移動する。なお、第1層流発生装置41は、粉じんが発生する位置に近接していることが望ましい。
【0041】
第1層流発生装置41は、層流を発生させることができる装置であれば、どのようなものでも採用できる。扇風機のように乱流を発生させるものは、粉じんを拡散してしまうため適さない。
【0042】
第1層流発生装置41として、典型的には、クロスフローファン(又はラインフローファン)が採用される。
図3に示すように、テーブル5の下流側に配置されたクロスフローファンは、一様空気流の下流側の空気41bを吸い込み、層流41aを吹き出す。第1層流発生装置41は、空気41bを吸い込む吸気口に、パンチングプレート及びメッシュフィルタを備える。また、第1層流発生装置41は、層流41aを吹き出す吹き出し口に、ハニカム構造を有する板状部材を備える。吹き出し口に、ハニカム構造を有する板状部材を備えることにより、層流41aの幅方向の風速のばらつきを低減させることができる。
【0043】
第1層流発生装置41は、一様空気流が吹き出されている間、常に層流41aを吹き出す。第1層流発生装置41が略直交する方向に吹き出す層流41aの流速は、プッシュフード2が吹き出す一様空気流の流速の3~25倍が好適であり、5~20倍がより好適であり、さらには、5~15倍がより好適である。
【0044】
上記の範囲に層流41aの流速を設定することにより、粉じんが一様空気流により下流側に流される前に、粉じんをガイド3の周縁に移動させることができる。
【0045】
また、第1層流発生装置41が吹き出す層流41aの厚さは、50mm~200mmが好適である。
【0046】
上記の範囲に層流41aの厚さを設定することにより、粉じんを作業空間外に移動させることができる。上記の範囲より薄い場合、粉じんを移動させることが十分にできず、粉じんが下流側に流されてしまう。また、上記の範囲よりも厚い場合、水平方向に流れる一様空気流に影響を与える。
【0047】
また、第1層流発生装置41が吹き出す層流41aの幅は、粉じん発生源(装置6)の幅に合わせて変動するのが好適であり、さらには、粉じん発生源の幅に少なくとも左右200mmを加えた幅が好適である。
【0048】
上記のように層流41aの幅を設定することにより、粉じんが発生する位置より下流側に粉じんを流さないようにすることができる。なお、層流41aの横を流れる気流で層流41aを覆い、層流41aの背後側(下流側)の気流は一様空気流に誘引されながら、一様空気流に合流する。粉じん発生源の幅が広すぎると、背後側の気流は一様空気流に十分に誘引されない。十分に誘引されないと、例えば、一様空気流が0.3m/sの場合、背後側の気流の中央の流速は0.1m/sとなってしまい、その部分は一様空気流が維持されない。したがって、第1層流発生装置41が吹き出す層流41aの幅は、横及び背後側の気流が一様空気流に合流できる幅に設定する必要がある。
【0049】
プッシュフード2は、第1層流発生装置41によりガイド3内の周縁に移動された粉じんを、空気流開口面23から吹き出す一様空気流により、ガイド3外へ排出する。
【0050】
図3に示すように、ガイド3の天井側に移動された粉じんは、一様空気流に乗って、天井に沿ってガイド3の外へ排出される。ガイド3の天井側が汚染されているが、粉じんを発生する装置6が置かれたテーブル5の高さの汚染の度合いを、少なくすることができる。なお、
図3の開放された領域において、一様空気流の矢印を上方向に記載しているが、これに限らず、開放された領域における一様空気流は、水平方向にも吹き出される。
【0051】
一般的に、ガイドの天井、側面、床面付近のガイド内の周縁では作業を行うことは少なく、これら以外の場所を作業空間として作業が行われる。すなわち、本実施形態によれば、作業に支障のない作業空間外に粉じんを移動することにより、実際に作業中の作業空間内において高い清浄度を維持することができる。
【0052】
また、本実施形態の局所空気清浄化装置1は、粉じんを吸い込むのではなく、第1層流発生装置41より吹き出された層流により粉じんを作業空間外へ移動する。一般的に、吸引により粉じんを移動する場合と比較して、吹き出された層流により粉じんを移動する場合は、少ない流量で遠くまで移動させることができる。よって、本実施形態によれば、少ない流量で粉じんを作業空間外へ移動することができるので、作業中に発生した粉じんを排出するために必要な電力を少なくすることができる。
【0053】
また、第1層流発生装置41を備えない局所空気清浄化装置においては、ガイド内で、粉じん(コンタミナンツ)が発生するような状況においては、一様空気流の流速を0.5m/s程度とすることで、一様空気流の流速を0.2m/sに設定した場合と比較して粉じんを速やかに排除することが確認されている。つまり、第1層流発生装置41が配置されない局所空気清浄化装置においては、粉じんを速やかに排除するためには、一様空気流の流速を速くする必要があった。一方、本発明の局所空気清浄化装置1においては、一様空気流の流速が0.3m/sで速やか排除することができる。
【0054】
第1層流発生装置41を備えない局所空気清浄化装置は、ガイド内から粉じんを速やかに移動させるためには、一様空気流の流速を速く設定しなければならないが、本実施形態の局所空気清浄化装置1は、第1層流発生装置41から吹き出される層流により粉じんを作業空間外へ移動させるので、一様空気流の流速を速く設定する必要がない。よって、本実施形態の局所空気清浄化装置1は、流速を遅く設定することができるので、騒音値及び消費電力を抑制することができるとともに、プレフィルタ27及び高性能フィルタ25の負荷を低減することができる。
【0055】
なお、第1層流発生装置41が吹き出す層流41aの向きは上方に限らず、ガイド内の周縁に移動させることができれば、どの方向であってもよい。
【0056】
また、第1層流発生装置41は、粉じんが発生するタイミングに合わせて層流41aを吹き出す構成としてもよい。例えば、第1層流発生装置41は、粉じんの発生を検知する機能を備え、粉じん数が予め定められた第1閾値を超えた場合、第1層流発生装置41は、層流41aを吹き出すようにしてもよい。そして、粉じん数が予め定められた第2閾値を下回った場合、第1層流発生装置41は、層流41aの吹き出しを止めるようにしてもよい。このような構成によれば、常時層流を吹き出す場合と比較して、少ない電力で実際の作業中の清浄度を高く維持することができる。
【0057】
上記実施形態では、ガイド3内に配置されたテーブル5上に粉じんを発生する装置6が設置されている場合を例に本発明を説明したが、例えば、空気流開口面23の下流側の床上に粉じんを発生する装置6が設置されている場合にも本発明を適用することは可能であり、ガイド3内に配置されたテーブル5上に装置6が設置されている場合に限定されるものではない。
【0058】
例えば、床上に粉じんを発生する装置6が設置されている場合、第1層流発生装置41は、装置6よりも下流側であって、装置6の上方に配置され、下方に層流を吹き出し、床方向へ粉じんを移動させてもよい。
【0059】
上記実施形態では、ガイド3内に粉じんを発生する粉じん発生源としての装置6が設置されている場合を例に本発明を説明したが、粉じん発生源を有していない局所空気清浄化装置1に適用することが可能である。
【0060】
また、局所空気清浄化装置は、プッシュフード2と空気衝突面Wとが対向するように配置された局所空気清浄化装置1に限定されるものではなく、例えば、一対のプッシュフード2が対向するように配置され、各プッシュフード2にガイド3がそれぞれ設けられた局所空気清浄化装置1を用いてもよい。
【0061】
(実施形態2)
本実施形態に係る局所空気清浄化装置1は、
図4に示すように、壁、衝立などの空気衝突面Wに対向するように配置されたプッシュフード2と、プッシュフード2に設けられたガイド3と、ガイド3内に配置された第1層流発生装置41と、を備える。
【0062】
本実施形態のプッシュフード2及び第1層流発生装置41は、実施形態1のものと同様の構成を有するので、説明を省略する。以下、ガイド3の、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0063】
ガイド3において、第1層流発生装置41から吹き出される層流41aがガイド3に衝突する位置に穴が形成される。
【0064】
穴の大きさは、層流41aが、穴が形成されていない状態のガイド3に衝突したときの、層流41aの衝突面よりも大きいことが望ましい。
【0065】
上記の大きさの穴を形成することにより、層流41aが移動させた粉じんがガイド3内側に衝突してガイド3内に留まることを防ぎ、効率よくガイド3外へ排出することができる。
【0066】
この穴の形は、円形、矩形等の種々の形を採用することができるが、第1層流発生装置41が吹き出す層流41aの形状に類似していることが望ましい。
【0067】
例えば、
図4に示すように、第1層流発生装置41が、上方に層流41aを吹き出す場合、層流41aが衝突する天井の位置に穴32が形成される。第1層流発生装置41は、ガイド3内で発生する粉じんを、略直行する方向に吹き出す層流41aにより、ガイド3の穴32から排出する。
【0068】
本実施形態によれば、粉じんをガイド内の下流側まで移動させずに、素早く粉じんをガイド外へ排出することができるので、下流側の汚染を防ぐことができる。なお、本実施形態において、第1層流発生装置41が略直交する方向に吹き出す層流41aの流速は、プッシュフード2が吹き出す一様空気流の流速の3~25倍が好適で、あり、5~20倍がより好適であり、さらには、15~20倍がより好適である。
【0069】
(実施形態3)
本実施形態に係る局所空気清浄化装置1は、
図5に示すように、壁、衝立などの空気衝突面Wに対向するように配置されたプッシュフード2と、プッシュフード2に設けられたガイド3と、ガイド3内に配置された第1層流発生装置41と、ガイド3内に配置された第2層流発生装置42と、を備える。
【0070】
本実施形態のプッシュフード2、ガイド3及び第1層流発生装置41は、実施形態1のものと同様の構成を有するので、説明は省略する。以下、第2層流発生装置42について説明する。
【0071】
第2層流発生装置42は、第1層流発生装置41と同様の機能を有する。第2層流発生装置42は、ガイド3内の周縁において、第1層流発生装置41から吹き出される層流41aがガイド3に衝突する位置に近接する位置であって、第1層流発生装置41よりも下流側に配置される。
【0072】
第2層流発生装置42は、開口面31に向かって、空気流開口面23から一様空気流が吹き出される方向に対し略平行に層流42aを吹き出す。
【0073】
ここで、略平行とは、一様空気流が吹き出される方向と、層流42aを吹き出す方向とが、概ね0°の角度をなすことを指し、例えば、±10°程度の誤差が許容される。
【0074】
また、第2層流発生装置42は、一様空気流の流速よりも速い流速で、略平行に層流42aを吹き出す。例えば、第2層流発生装置42が吹き出す層流42aの流速は、一様空気流の30~40倍程度であれば、作業空間に拡散する前に粉じんをガイド3外に排出できる。
【0075】
第2層流発生装置42として、典型的には、クロスフローファンが採用される。
図5に示すように、ガイド3の天井に配置されたクロスフローファンは、その下方の空気42bを吸い込み、層流42aを吹き出す。
【0076】
このようにして、第2層流発生装置42は、第1層流発生装置41によりガイド3内の周縁に移動された粉じんを、略平行に吹き出す層流42aにより、ガイド3外へ排出する。これにより、粉じんがガイド3内に滞留する時間を短くすることができる。
【0077】
本実施形態によれば、ガイドに変形を加えることなく、素早く粉じんをガイド外へ排出することができ、実際に作業中の作業空間内において高い清浄度を維持することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第2層流発生装置から吹き出される速い気流による誘引効果により、効果的にガイド内の周縁に粉じんを移動することができ、さらに、低い位置に落ちないようにすることができる。
【0079】
(実施形態4)
本実施形態に係る局所空気清浄化装置1は、
図6に示すように、壁、衝立などの空気衝突面Wに対向するように配置されたプッシュフード2と、プッシュフード2に設けられたガイド3と、ガイド3内に配置された第1層流発生装置41と、を備える。
【0080】
本実施形態のプッシュフード2及びガイド3は、実施形態1のものと同様の構成を有するので、説明は省略する。以下、第1層流発生装置41について説明する。
【0081】
第1層流発生装置41として、典型的には、クロスフローファン(又はラインフローファン)が採用される。
図6に示すように、テーブル5の下流側に配置されたクロスフローファンは、一様空気流の上流側の空気41cを吸い込み、層流41aを吹き出す。第1層流発生装置41は、空気41cを吸い込む吸気口に、パンチングプレート及びメッシュフィルタを備える。また、第1層流発生装置41は、層流41aを吹き出す吹き出し口に、ハニカム構造を有する板状部材を備える。
【0082】
本実施形態の局所空気清浄化装置1は、実施形態1の局所空気清浄化装置1と同様の効果を奏し、粉じん数の減少率において、実施形態1の局所空気流清浄化装置1よりも良好な結果を得ることができる。
【0083】
なお、本実施形態の第1層流発生装置41を有する構成は、
図6に示す態様に限らない。本実施形態の第1層流発生装置41は、実施形態2及び実施形態3の第1層流発生装置41と置き換えが可能である。
【実施例】
【0084】
以下、本発明の具体的な実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0085】
(実施例1)
図3の局所空気清浄化装置1を用いて、距離及び高さを変えた複数の測定位置で粉じんの個数を計測した。
【0086】
図7に、実施例1における局所空気清浄化装置1の平面図を示す。
【0087】
局所空気清浄化装置1のプッシュフード2は、横1050mm、縦850mmのプッシュフード2aをその空気流開口面が同一方向であって、プッシュフード2aの短辺どうし、長辺どうしがそれぞれ隣り合うように配列して連結(縦3個×横3個の9個)したものであり、その開口面31の大きさは、幅3150mm、高さ2570mmである。局所空気清浄化装置1内では、清浄化された一様空気流は流速0.3m/sで流れ、清浄空気空間が形成されている。
【0088】
このように一様空気流が流れている局所空気清浄化装置1において、テーブル5の上に設置された装置6から、5.0×107~6.7×107[個/m3]の大気じんを発生させた。装置6は、ポンプによって大気じんを吹き出すものである。テーブル5の高さは800mmである。
【0089】
また、第1層流発生装置41は、装置6に近接する位置であってその下流側に配置した。
図7の平面において、第1層流発生装置41の中心と、装置6の中心は、x方向に伸びる直線7上にあり、各中心は、ガイド側面からy方向に900mmの位置であった。第1層流発生装置41は、厚さ(
図7のx方向)55.7mm、幅(
図7のy方向)760mmの層流41aを上部から流速2.1m/s又は4.6m/sで吹き出した。
【0090】
図3の局所空気清浄化装置1における粉じん数の測定位置を、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0091】
図7に示すように、直線7上において、一様空気流中における第1層流発生装置41の上流側の端から一様空気流の下流側への距離が、1000mm、2000mm、3000mm、4000mm、5000mmの地点をx方向(以下、「距離方向」という)の測定位置とした。また、直線7からy方向への距離が、0mm、900mm、1800mmの地点を奥行方向の測定位置とした。
【0092】
図8に、局所空気清浄化装置1の側面図を示す。
図7に示した平面の各測定位置において、床からの高さが、400mm、800mm、1500mm、2200mmの地点を高さ方向の測定位置とした。
【0093】
以上より、距離方向5つ、奥行方向3つ及び高さ方向4つの合計60の測定位置において粉じん数[個/m3]を測定した。粉じん数[個/m3]の測定は、PMS社製のLASAIR-IIを用い、各測定位置における粒子径0.1μmの粉じん数[個/m3]を測定した。測定結果は、ISO14644-1の清浄度を表すクラスで示す。清浄度を表すクラスは、粉じんの数及び粒子径に基づいて、「クラス1」~「クラス9」に分けられる。「クラス1」が、測定された粉じん数[個/m3]が最も少ないことを示し、したがって、清浄度が最も高いことを示す。クラスの数字が1つ上がるにしたがって、測定された粉じん数[個/m3]が1桁上がり、したがって、清浄度がより低いことを示す。一般的に、クリーンルームに必要なクラスは、「クラス5」以下と言われている。測定結果を表1に示す。
【0094】
【0095】
表1において、“上向きFAN OFF”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出していない場合を示す。なお、奥行0mmの地点において、流速4.6m/sよりも流速2.1m/sの条件の方が、良好な結果が得られたため、流速4.6m/sについて、奥行900mm、1800mmの位置における測定は行わなかった。
【0096】
表1に示すように、テーブル5の高さ付近の800mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、層流が吹き出されない場合と比較して、粉じんを発生する装置6の下流側において、清浄度が向上することを確認した。すなわち、粉じんを発生する装置6の下流側において、作業空間の汚染を防止できていることを確認した。また、高さ2200mm、1500mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、層流が吹き出されない場合と比較して、粉じんを発生する装置6の下流側において、粉じん数[個/m3]が増加することを確認した。すなわち、粉じんを発生する装置6の下流側において、粉じんが作業空間外のガイド3天井側に移動させられていることを確認した。また、高さ800mm、400mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、いずれの距離においても、クラス5以下の清浄度を確認することができた。なお、流速2.1m/sの条件の方がより良好な結果が得られた。実施例1のように天井がある場合は、吹き上げる層流の流速が速いと、反射が起きて粉じんが拡散されるため、流速2.1m/sの条件の方が良好な結果が得られたと考えられる。
【0097】
(実施例2)
図4に示す局所空気清浄化装置1を用いて、距離及び高さを変えた複数の測定位置で粉じんの個数を計測した。
【0098】
局所空気清浄化装置1のプッシュフード2及び清浄度の測定手法は、実施例1と同様である。また、実施例1と同様に、一様空気流の流速は0.3m/s、第1層流発生装置41が発生する層流41aの流速は、2.1m/s又は4.6m/sであった。装置6から発生する大気じんの個数は、3.3×107~4.0×107[個/m3]であった。
【0099】
図4の局所空気清浄化装置1における粉じん数の測定位置を、
図7及び
図9を用いて説明する。
【0100】
平面の測定位置は、実施例1(
図7)と同様である。
図9に局所空気清浄化装置1の側面図を示す。高さ方向の測定位置も、実施例1(
図8)と同様である。
【0101】
ここで、ガイド3に形成された穴32は、第1層流発生装置41から吹き出される層流41aがガイド3に衝突する位置に設けた。詳細には、距離方向(
図7のx方向)における第1層流発生装置41の上流側の端を垂直方向(
図8のガイド3天井方向)に通る直線がガイド3の天井にあたる位置を穴の起点とした。ガイド3に形成された穴32の形状は矩形であり、縦(
図7のx方向)500mm、横(
図7のy方向)1000mmの大きさとした。
【0102】
以上より、距離方向5つ、奥行方向3つ及び高さ方向4つの合計60の測定位置において粉じん数[個/m3]を測定した。実施例1と同様に、測定結果は、ISO14644-1の清浄度を表すクラスで示す。測定結果を表2に示す。
【0103】
【0104】
表2に示すように、高さ800mm、400mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、層流が吹き出されない場合と比較して、粉じんを発生する装置6の下流側において、清浄度が向上することを確認した。すなわち、粉じんを発生する装置6の下流側において、作業空間の汚染を防止できていることを確認した。また、高さ1500mmにおいても、4.6m/sでは、清浄度が向上していることを確認した。また、高さ2200mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、粉じんを発生する装置6の下流側において、粉じん数[個/m3]が増加することを確認した。すなわち、粉じんを発生する装置6の下流側において、粉じんが作業空間外の天井付近に移動させられていることを確認した。また、高さ800mm、400mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、いずれの距離においても、ISO14644-1のクラス4以下の清浄度を確認することができたが、概ね4.6m/sの条件の方が良好な結果が得られた。また、4.6m/sでは、高さ1500mmにおいてもクラス5以下の清浄度を確認した。実施例2のように天井に穴がある場合は、吹き上げる層流の流速が速い方が良い結果が得られることを確認した。さらに、実施例1の流速2.1m/sの条件と実施例2の4.6m/sの条件とを比較すると、高さ800mmでは、実施例2の4.6m/sの条件の方が、クラス3以下が多く、粉じん数[個/m3]が少ないことを確認した。すなわち、実施例1と比較して、素早く粉じんをガイド3外へ排出することを確認できた。
【0105】
(実施例3)
図5に示す局所空気清浄化装置1を用いて、距離及び高さを変えた複数の測定位置で粉じんの個数を計測した。
【0106】
局所空気清浄化装置1のプッシュフード2及び清浄度の測定手法は、実施例1と同様である。また、実施例1と同様に、一様空気流の流速は0.3m/s、第1層流発生装置41が発生する層流41aの流速は、2.1m/s又は4.6m/sであった。装置6から発生する大気じんの個数は、2.9×107~4.8×107[個/m3]であった。
【0107】
また、第2層流発生装置42は、厚さ(
図7のx方向)55.7mm、幅(
図7のy方向)760mmの層流42aをガイドの開口面31に向かって、流速9.5m/s又は11.5m/sで吹き出した。
【0108】
図5の局所空気清浄化装置1における粉じん数の測定位置を、
図7及び
図10を用いて説明する。
【0109】
平面の測定位置は、実施例1(
図7)と同様である。
図10に局所空気清浄化装置1の側面図を示す。高さ方向の測定位置も、実施例1(
図8)と同様である。
【0110】
ここで、第2層流発生装置42は、第1層流発生装置41から吹き出される層流41aがガイド3に衝突する位置に近接する位置であって、第1層流発生装置41よりも下流側に配置した。
図10に示すように、第2層流発生装置42が配置された距離方向の位置は、第1層流発生装置41の上流側の端から一様空気流の下流側方向への距離が1000mmの地点である。また、
図7の平面において、第2層流発生装置42の中心は直線7上にあり、その中心は、ガイド3の側面から奥行方向に900mmの位置であった。
【0111】
以上より、距離方向5つ、奥行方向3つ及び高さ方向4つの合計60の測定位置において粉じん数[個/m3]を測定した。実施例1と同様に、測定結果は、ISO14644-1の清浄度を表すクラスで示す。第2層流発生装置42が吹き出す層流42aの流速が9.5m/sの場合の測定結果を表3に示し、流速が11.5m/sの場合の測定結果を表4に示す。
【0112】
【0113】
【0114】
なお、第2層流発生装置42から吹き出される層流42aの流速9.5m/s及び11.5m/sの両条件ともに、奥行0mmの地点において、第1層流発生装置41から吹き出される層流41aの流速4.6m/sよりも流速2.1m/sの条件の方が、良好な結果が得られたため、流速4.6m/sについて、奥行900mm、1800mmの測定は行わなかった。
【0115】
表3及び表4に示すように、テーブル5の高さ付近の800mm、400mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、層流が吹き出されない場合と比較して、粉じんを発生する装置6の下流側において、清浄度が向上することを確認した。すなわち、粉じんを発生する装置6の下流側において、作業空間の汚染を防止できていることを確認した。また、高さ2200mm、1500mmでは、流速2.1m/s及び4.6m/sの条件ともに、粉じんを発生する装置6の下流側において、粉じん数[個/m3]が増加することを確認した。すなわち、粉じんを発生する装置6の下流側において、粉じんが作業空間外のガイド3の天井側に移動させられていることを確認した。また、高さ800mm、400mmでは、いずれの距離においても、ISO14644-1のクラス5以下の清浄度を確認することができた。さらに、実施例1と実施例3の11.5m/sの条件とを比較すると、高さ800mmでは、実施例3の11.5m/sの条件の方が、クラス3以下が多く、粉じん数[個/m3]が少ないことを確認した。すなわち、穴を開けるなどの変形をガイド3に加えなくても、素早く粉じんをガイド3外へ排出することを確認できた。
【0116】
(実施例4)
図5の局所空気清浄化装置1において、第2層流発生装置42の位置を変えて、複数の測定位置で粉じんの個数を計測した。
【0117】
局所空気清浄化装置1のプッシュフード2及び清浄度の測定手法は、実施例1と同様である。また、実施例1と同様に、一様空気流の流速は0.3m/s、第1層流発生装置41が発生する層流41aの流速は、2.1m/sであった。装置6から発生する大気じんの個数は、5.0×107~6.7×107[個/m3]であった。
【0118】
また、第2層流発生装置42は、厚さ(
図7のx方向)55.7mm、幅(
図7のy方向)760mmの層流42aをガイドの開口面31に向かって、流速11.5m/sで吹き出した。
【0119】
第2層流発生装置42の位置を、
図11A~
図11Cを用いて説明する。第2層流発生装置42を、第1層流発生装置41を基準として3種類の位置に配置した。1つめは、
図11Aに示すように、第2層流発生装置42を、第1層流発生装置41の上流側の端から1000mm下流側に配置した。詳細には、第1層流発生装置41の上流側の端から1000mm下流側の位置から、第2層流発生装置42の層流42aが吹き出されるよう配置した。2つめは、
図11Bに示すように、第2層流発生装置42を、第1層流発生装置41の真上に配置した。詳細には、距離方向(
図7のx方向)において、第1層流発生装置41の上流側の端と第2層流発生装置42の上流側の端とが同じとなるよう配置した。3つめは、
図11Cに示すように、第1層流発生装置41の上流側の端から1000mm上流側に配置した。詳細には、第1層流発生装置41の上流側の端から1000mm上流側の位置から、第2層流発生装置42の層流42aが吹き出されるよう配置した。
【0120】
図11A~
図11Cにおいて、局所空気清浄化装置1における粉じん数[個/m
3]の測定位置を、距離1000mm、奥行0mm、高さ400mm、800mm、1500mm、2200の地点とした。すなわち、第2層流発生装置42の位置3つ、距離方向1つ、奥行方向1つ及び高さ方向4つの合計12の測定位置において、粉じん数[個/m
3]を測定した。実施例1と同様に、測定結果は、ISO14644-1の清浄度を表すクラスで示す。測定結果を表5に示す。
【0121】
なお、表5において、
図11Aに示す第2層流発生装置42の位置を、天井FAN位置+1000mm、
図11Bに示す第2層流発生装置42の位置を、天井FAN位置0mm、
図11Cに示す第2層流発生装置42の位置を、天井FAN位置-1000mm、と定義する。
【0122】
【0123】
表5に示すように、高さ800mm、400mmでは、第2層流発生装置42が第1層流発生装置41の下流側(
図11A)に配置された場合に、最も高い清浄度を示すことを確認した。これは、真上(
図11B)及び上流側(
図11C)に配置された第2層流発生装置42の層流42aが、第2層流発生装置42よりも下方の粉じんを押し流すためと考えられる。
【0124】
(実施例5)
吸込口の位置が異なる第1層流発生装置41を有する局所空気清浄化装置1において、粉じんの個数を計測した。
【0125】
図12A~
図12Cは、局所空気清浄化装置1の側面図である。
図12A~
図12Cの局所空気清浄化装置1の第1層流発生装置41は、装置6に近接する位置であってその下流側に配置し、第1層流発生装置41の中心と、装置6の中心とは同一直線上に配置した。
図12Aの第1層流発生装置41は、下流側の空気41bを吸い込み、層流41aを吹き出す。
図12Bの第1層流発生装置41は、上流側の空気41cを吸い込み、層流41aを吹き出す。
図12Cの第1層流発生装置41は、床面から空気41dを吸い込み、層流41aを吹き出す。
【0126】
図12A~
図12Cの局所空気清浄化装置1のプッシュフード2及び粉じん数の測定手法は、実施例1と同様である。一様空気流の流速は、0.3m/sであり、装置6から発生する大気じんの個数は、5.0×10
7~6.7×10
7[個/m
3]であった。
【0127】
図12A~
図12Cの局所空気清浄化装置1における粉じんの測定位置は、一様空気流中における第1層流発生装置41の下流側の端から一様空気流の下流側への距離が1000mm、床からの高さが800mmであって、第1層流発生装置41及び装置6の中心を通る直線上の位置を測定位置とした。
【0128】
上記測定位置において、
図12A~
図12Cの第1層流発生装置41の吹出口サイズが、25mm、50mm、100mm、吹出風速が、1m/s~6m/sの場合における粉じん数を測定した。実施例1と同様に、測定結果は、ISO14644-1の清浄度を表すクラスで示す。測定結果を表6に示す。
【0129】
【0130】
表6において、“OFF”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出していない場合を示し、“ON”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出している場合を示す。表6に示すように、下流側吸気(
図12A)、上流側吸気(
図12B)、床面吸気(
図12C)の条件のうち、上流側吸気(
図12B)の条件において、層流が吹き出されない場合と比較して、清浄度が最も向上することを確認した。また、吸気の位置が上流側吸気(
図12B)の条件では、吹出口サイズが25mm、50mm、100mmのうち、50mmの場合に、層流が吹き出されない場合と比較して、清浄度が最も向上することを確認した。すなわち、吹出口サイズは、50mmが好適であることを確認した。また、吸気の位置が上流側吸気、吹出口サイズが50mm、吹出風速が4m/sの条件において、最も高い清浄度を確認した。
【0131】
(実施例6)
吸込口が上流側に位置する第1層流発生装置41を備えた局所空気清浄化装置1を用いて、距離及び高さを変えた複数の測定位置で粉じんの個数を計測した。
【0132】
図13は、吸込口が上流側に位置する第1層流発生装置41を備えた局所空気清浄化装置1の側面図である。
【0133】
図13の局所空気清浄化装置1のプッシュフード2及び粉じん数の測定手法は、実施例1と同様である。一様空気流の流速は、0.3m/sであり、装置6から発生する大気じんの個数は、5.0×10
7~6.7×10
7[個/m
3]であった。
【0134】
図13に示すように、第1層流発生装置41の下流側の端から一様空気流の下流側への距離が、1000mm、2000mm、3000mm、床からの高さが、800mm、1200mmであって、第1層流発生装置41及び装置6の中心を通る直線上の位置を測定位置とした。
【0135】
上記測定位置において、
図13の第1層流発生装置41の吹出口サイズが、50mm、吹出風速が、2m/s~4m/sの場合における粉じん数を測定した。実施例1と同様に、測定結果は、ISO14644-1の清浄度を表すクラスで示す。測定結果を表7に示す。
【0136】
【0137】
表7において、“OFF”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出していない場合を示し、“ON”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出している場合を示す。表7に示すように、高さ800mm、1200mmでは、風速が2m/s、3m/sの条件よりも、風速が4m/sの条件の方が、層流が吹き出されない場合と比較して、清浄度が向上することを確認した。すなわち、第1層流発生装置41の吹出風速は、4m/sが好適であることを確認した。
【0138】
(実施例7)
第1層流発生装置41が層流を吹き出した際の局所空気清浄化装置1内の風速を測定した。
【0139】
図14A、
図14B、
図15A、
図15Bの局所空気清浄化装置1のプッシュフード2は、横1050mm、縦850mmのプッシュフード2aをその空気流開口面が同一方向であって、プッシュフード2aの短辺どうし、長辺どうしがそれぞれ隣り合うように配列して連結(縦3個×横5個の15個)したものであり、その開口面31の大きさは、幅5250mm、高さ2570mmである。プッシュフード2からの吹き出される一様空気流は流速0.3m/sで流れ、清浄空気空間が形成されている。
【0140】
図14A,
図14Bは、第1層流発生装置41が上向きに層流41aを吹き出す場合の局所空気清浄化装置1の平面図及び側面図を示し、
図15A,
図15Bは、第1層流発生装置41が横向き(y方向)に層流41aを吹き出す場合の局所空気清浄化装置1の平面図及び側面図を示す。
【0141】
テーブル5は、局所空気清浄化装置1のy方向の中心に位置し、
図14A、
図14B,
図15A,
図15Bの第1層流発生装置41を、テーブル5に近接する位置であってその下流側に配置した。
図14A、
図14Bに示すように、上向きに層流を吹き出す第1層流発生装置41の中心とテーブル5の中心は直線8上に位置する。また、
図15A、
図15Bに示すように、横向きに層流を吹き出す第1層流発生装置41はテーブル5の下流側の端に位置する。
【0142】
上向きに層流を吹き出す第1層流発生装置41の場合、
図14Aに示すように、一様空気流中における第1層流発生装置41の下流側の端から一様空気流の下流側(x方向)への距離が、1000mm、2000mm、3000mmの地点を距離方向の測定位置とした。また、直線8からy方向への距離が、-400mm、0mm、+400mmの地点を奥行方向の測定位置とした。また、
図14Bに示すように、床からの高さが、400mm、800mm、1200mm、1600mmの地点を高さ方向の測定位置とした。
【0143】
横向きに層流を吹き出す第1層流発生装置41の場合、
図15Aに示すように、一様空気流中における第1層流発生装置41の下流側の端から一様空気流の下流側(x方向)への距離が、1000mm、2000mm、3000mmの地点を距離方向の測定位置とした。また、第1層流発生装置41の吹出口からy方向への距離が、0mm、400mm、800mm、1200mmの地点を奥行き方向の測定位置とした。また、
図15Bに示すように、床からの高さが、400mm、800mm、1200mmの地点を高さ方向の測定位置とした。
【0144】
上記測定位置において、風速[m/s]を測定した。上向きに層流を吹き出す第1層流発生装置41の場合の測定結果を表8に示し、横向きに層流を吹き出す第1層流発生装置41の場合の測定結果を表9に示す。
【0145】
【0146】
【0147】
表8において、“上向き気流ON”は、第1層流発生装置41が上向きに層流を吹き出す場合を示し、“上向き気流OFF”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出していない場合を示す。表8に示すように、“上向き気流ON”の条件及び“上向き気流OFF”の条件は、それぞれ、風速分布が±50%以内であることを確認した。また、“上向き気流ON”の条件と“上向き気流OFF”とでは、気流の分布にほぼ違いがないことを確認した。
【0148】
表9において、“横向き気流ON”は、第1層流発生装置41が横向きに層流を吹き出す場合を示し、“横向き気流OFF”は、第1層流発生装置41が層流を吹き出していない場合を示す。表9に示すように、“横向き気流ON”の条件及び“横向き気流OFF”の条件は、それぞれ、風速分布が±50%以内であることを確認した。また、“横向き気流ON”の条件と“横向き気流OFF”とでは、気流の分布にほぼ違いがないことを確認した。
【0149】
表8,9に示すように、第1層流発生装置41の層流の向き及び層流の有無が風速分布に影響を与えないことを確認した。すなわち、第1層流発生装置41が吹き出す層流は、一様空気流の流れに影響を与えないことを確認した。
【0150】
なお、本発明は、本発明の広義の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0151】
本出願は、2018年8月24日に出願された日本国特許出願特願2018-157443号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2018-157443号の明細書、特許請求の範囲、及び図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明によれば、清浄空気空間内において作業により発生した粉じんを作業空間外へ移動することにより、実際に作業中の作業空間において清浄度を高く維持することが可能な局所空気清浄化装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0153】
1 局所空気清浄化装置
2、2a プッシュフード
21 ハウジング
22 空気流吸込面
23 空気吹出面(空気流開口面)
24 送風機構
25 高性能フィルタ
26 整流機構
27 プレフィルタ
28 矢印
3 ガイド
31 開口面
32 穴
41 第1層流発生装置
41a 層流
41b,41c,41d 空気
42 第2層流発生装置
42a 層流
42b 空気
5 テーブル
6 装置
7,8 直線
W 空気衝突面