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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/20 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
F16B7/20 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021110923
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2023007830
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591133446
【氏名又は名称】株式会社イマオコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 憲彦
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-123822(JP,U)
【文献】特開2005-093132(JP,A)
【文献】特開2019-022914(JP,A)
【文献】実公昭44-026357(JP,Y1)
【文献】実公昭42-022986(JP,Y1)
【文献】特開昭61-052406(JP,A)
【文献】実開昭63-129658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00 - 7/22
F16B 21/00 - 21/20
F16L 37/00 - 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの連結対象物を互いに着脱可能に連結するための、連結装置であって、
一方の連結対象物に取り付けられる第1連結具と、他方の連結対象物に取り付けられる第2連結具とを備え、
前記第1連結具は、前記一方の連結対象物に固定される固定部と、連結軸部とを備え、
前記連結軸部は、その周壁に案内溝を有し、
前記案内溝は、前記連結軸部の先端に開口してその連結軸部の軸心方向に延びる縦溝と、その縦溝に続き前記連結軸部の軸心方向と交差する方向に延びる主溝とを備え、
前記第2連結具は、連結具本体と、ロック部材と、弾性部材と、解除操作部とを備え、
前記連結具本体は、前記他方の連結対象物に固定される固定部と、前記連結軸部の軸心方向と同一方向に延びてその連結軸部が前記連結具本体に対して相対的に回動可能に挿入される連結孔とを備え、また、
前記連結具本体に、前記案内溝に係合してその案内溝に案内される被案内部が設けられ、
前記ロック部材は、前記連結孔に、その連結孔の軸心方向にスライド可能、かつ、前記連結孔の周方向に回動不能に収容されて、前記弾性部材により、前記連結孔の入り口側に弾性付勢されており、また、
前記ロック部材の、前記連結孔の入り口側を向く先端面には、前記被案内部とは前記連結孔の周方向にずれた位置に、前記縦溝に係合可能な係止突起が突出形成されており、
前記連結孔に前記連結軸部が挿入されて前記被案内部が前記縦溝に入り、前記連結軸部の前記連結具本体に対する相対的な回動により、前記被案内部が前記縦溝から前記主溝に進みその主溝の所要の位置にあるとき、前記係止突起が前記縦溝に対向し、
前記ロック部材が前記弾性部材に付勢されて前記縦溝に係合した前記係止突起は、前記解除操作部の操作により、前記ロック部材が前記連結孔の軸心方向にスライドすることで、前記縦溝から抜け出る、連結装置。
【請求項2】
前記主溝は、前記縦溝に続き前記連結軸部の軸心方向に対して傾斜する方向に延びる傾斜溝と、その傾斜溝に続き前記連結軸部の軸心方向と直交する方向に延びる横溝とを備え、
その横溝に前記被案内部があるときに、前記係止突起が、前記縦溝に対向する、請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記連結軸部は、その先端からあけられた孔を有して、前記案内溝は、その孔に通ずるように設けられ、また、
前記案内溝は、二つ設けられ、それら二つの案内溝が前記連結軸部の周方向に半周ずれて位置し、
前記被案内部は、前記二つの案内溝に係合するよう前記連結孔を横切るように設けられた被案内ピンからなる、請求項1または2に記載の連結装置。
【請求項4】
前記連結具本体は、内側が前記連結孔となる筒部を備え、
前記筒部は、その周壁を貫通するとともに前記連結孔の軸心方向に長手となる長孔を有し、
前記解除操作部は、前記筒部の外周に嵌まる操作リングからなって、その操作リングは、前記長孔を通る接続ピンを介して前記ロック部材に接続されており、また、
前記長孔を通る前記接続ピンによって、前記ロック部材は、前記連結孔の周方向に回動不能となっている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二つの連結対象物を互いに着脱可能に連結するための連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフト同士を連結するための連結装置があった(例えば、非特許文献1参照)。図9に示すように、この連結装置23は、一方のシャフト21に取り付けられるシャフトジョイント24と、他方のシャフト22に取り付けられるシャフトジョイントケース25とで構成されていた。シャフトジョイント24は、筒26と、その筒26の底壁26aを貫通して下方に突出する軸部材27と、軸部材27の下端部分に設けられた横方向を向くピン28と、軸部材27を筒26内に引き込むように付勢するスプリング29とで構成された。一方、シャフトジョイントケース25は、筒状のケース30を備えていた。このケース30は、天壁30aを有し、天壁30aには、横長の孔30bがあけられていた。そこで、軸部材27の先端部分をピン28とともに、天壁30aの孔30bに挿入し、その後に、シャフトジョイント24を時計回りに回すことで、ピン28が天壁30aの下面に係合した。こうして、シャフトジョイント24と、シャフトジョイントケース25とが連結され、ひいては、シャフト21、22同士を連結することができた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社イマオコーポレーション、標準機械部品/標準冶具2020、2019年12月、p.140-143
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の連結装置23は、シャフトジョイント24とシャフトジョイントケース25との連結を、スプリング29の弾性力によって維持するものであって、低荷重の外力を想定した装置となっていた。
【0005】
この発明は、上記した従来の連結装置に対し、高荷重の外力に対しても連結を維持することができる、連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る連結装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る連結装置は、二つの連結対象物を互いに着脱可能に連結するための、連結装置である。この連結装置は、一方の連結対象物に取り付けられる第1連結具と、他方の連結対象物に取り付けられる第2連結具とを備える。ここで、前記第1連結具は、前記一方の連結対象物に固定される固定部と、連結軸部とを備える。前記連結軸部は、その周壁に案内溝を有する。この案内溝は、前記連結軸部の先端に開口してその連結軸部の軸心方向に延びる縦溝と、その縦溝に続き前記連結軸部の軸心方向と交差する方向に延びる主溝とを備える。一方、前記第2連結具は、連結具本体と、ロック部材と、弾性部材と、解除操作部とを備える。前記連結具本体は、前記他方の連結対象物に固定される固定部と、前記連結軸部の軸心方向と同一方向に延びてその連結軸部が前記連結具本体に対して相対的に回動可能に挿入される連結孔とを備える。そして、前記連結具本体に、前記案内溝に係合してその案内溝に案内される被案内部が設けられる。前記ロック部材は、前記連結孔に、その連結孔の軸心方向にスライド可能、かつ、前記連結孔の周方向に回動不能に収容されて、前記弾性部材により、前記連結孔の入り口側に弾性付勢されている。また、前記ロック部材の、前記連結孔の入り口側を向く先端面には、前記被案内部とは前記連結孔の周方向にずれた位置に、前記縦溝に係合可能な係止突起が突出形成されている。そこで、前記連結孔に前記連結軸部が挿入されて前記被案内部が前記縦溝に入り、前記連結軸部の前記連結具本体に対する相対的な回動により、前記被案内部が前記縦溝から前記主溝に進みその主溝の所要の位置にあるとき、前記係止突起が前記縦溝に対向する。そして、前記ロック部材が前記弾性部材に付勢されて前記縦溝に係合した前記係止突起は、前記解除操作部の操作により、前記ロック部材が前記連結孔の軸心方向にスライドすることで、前記縦溝から抜け出る。
【0007】
この連結装置によると、第1連結具は、一方の連結対象物に取り付けられる。そして、第2連結具は、他方の連結対象物に取り付けられる。そこで、第1連結具の連結軸部を、第2連結具の連結具本体に設けられた連結孔に挿入し、連結具本体に設けられた被案内部を、連結軸部の縦溝に入れる。その後、連結軸部と連結具本体とを相対的に回動すると、被案内部が連結軸部の縦溝から、連結軸部の軸心方向と交差する主溝に進む。そして、ロック部材の係止突起が縦溝に対向し、ロック部材が弾性部材に付勢されて、係止突起は、縦溝に係合する。こうして、ロック部材の係止突起が連結軸部の縦溝に係合することで、連結軸部と連結具本体との相対的な回動が阻止され、被案内部は、主溝から抜け出ることはなく、第1連結具と第2連結具、ひいては、二つの連結対象物は、確実に連結される。そして、第1連結具と第2連結具とを互いに分離する場合には、解除操作部を操作することで、ロック部材が連結孔の軸心方向にスライドして、ロック部材の係止突起が連結軸部の縦溝から抜け出る。その後、連結軸部と連結具本体とを相対的に、前記と逆方向に回動することで、被案内部が連結軸部の主溝から縦溝に進む。そこで、第1連結具と第2連結具とを互いに引っ張って、連結軸部を被案内部から引き離すことで、第1連結具と第2連結具、ひいては、二つの連結対象物は、互いに分離する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る連結装置は、請求項1に記載の連結装置において、前記主溝は、前記縦溝に続き前記連結軸部の軸心方向に対して傾斜する方向に延びる傾斜溝と、その傾斜溝に続き前記連結軸部の軸心方向と直交する方向に延びる横溝とを備え、その横溝に前記被案内部があるときに、前記係止突起が、前記縦溝に対向する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る連結装置は、請求項1または2に記載の連結装置において、前記連結軸部は、その先端からあけられた孔を有して、前記案内溝は、その孔に通ずるように設けられる。ここで、前記案内溝は、二つ設けられ、それら二つの案内溝が前記連結軸部の周方向に半周ずれて位置する。そして、前記被案内部は、前記二つの案内溝に係合するよう前記連結孔を横切るように設けられた被案内ピンからなる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る連結装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の連結装置において、前記連結具本体は、内側が前記連結孔となる筒部を備える。この筒部は、その周壁を貫通するとともに前記連結孔の軸心方向に長手となる長孔を有する。前記解除操作部は、前記筒部の外周に嵌まる操作リングからなって、その操作リングは、前記長孔を通る接続ピンを介して前記ロック部材に接続されている。また、前記長孔を通る前記接続ピンによって、前記ロック部材は、前記連結孔の周方向に回動不能となっている。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る連結装置によれば、ロック部材によって、連結軸部と連結具本体との相対的な回動を阻止して、主溝への被案内部の掛かりを維持することで、第1連結具と第2連結具、ひいては、二つの連結対象物の連結を、高荷重の外力に対しても維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施の形態の、連結装置の分解斜視図である。
図2】第1連結具を示し、(a)は、斜視図、(b)は、案内溝の展開図である。
図3】第2連結具の連結具本体を示し、(a)は、正面図、(b)は、A-A線による断面図である。
図4】ロック部材の斜視図である。
図5-1】連結装置の連結前の待機状態の、斜視図である。
図5-2】同じく、連結具本体と操作リングを除いた斜視図である。
図5-3】同じく、縦断面図である。
図5-4】同じく、図5-3におけるB-B線による断面図である。
図6-1】連結軸部が連結孔に挿入され、縦溝に被案内ピンが入ったときの、斜視図である。
図6-2】同じく、連結具本体と操作リングを除いた斜視図である。
図6-3】同じく、縦断面図である。
図6-4】同じく、図6-3におけるC-C線による断面図である。
図7-1】第1連結具の回動により、被案内ピンが横溝に進み、係止突起が縦溝に係合したときの、斜視図である。
図7-2】同じく、連結具本体と操作リングを除いた斜視図である。
図7-3】同じく、縦断面図である。
図7-4】同じく、図7-3におけるD-D線による断面図である。
図8-1】操作リングが上げられ、係止突起が縦溝から抜け出たときの、斜視図である。
図8-2】同じく、連結具本体と操作リングを除いた斜視図である。
図8-3】同じく、縦断面図である。
図8-4】同じく、図8-3におけるE-E線による断面図である。
図9】従来の連結装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図8-4は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、一方の連結対象物を示し、2は、他方の連結対象物を示す。3は、二つの連結対象物1、2を互いに着脱可能に連結するための、連結装置を示す。
【0015】
連結装置3は、一方の連結対象物1に取り付けられる第1連結具4と、他方の連結対象物2に取り付けられる第2連結具5とを備える。第1連結具4は、一方の連結対象物1に固定される固定部6と、連結軸部7とを備える。連結軸部7は、その周壁に案内溝8を有し、その案内溝8は、連結軸部7の先端に開口してその連結軸部7の軸心方向7aに延びる縦溝8aと、その縦溝8aに続き連結軸部7の軸心方向7aと交差する方向に延びる主溝8bとを備える。
【0016】
第2連結具5は、連結具本体9と、ロック部材10と、弾性部材11と、解除操作部12とを備える。連結具本体9は、他方の連結対象物2に固定される固定部13と、連結軸部7の軸心方向7aと同一方向に延びてその連結軸部7が連結具本体9に対して相対的に回動可能(詳しくは、連結軸部7の軸心回りに回動可能)に挿入される連結孔14とを備える。そして、連結具本体9に、連結軸部7の案内溝8に係合してその案内溝8に案内される被案内部15が設けられる。
【0017】
ロック部材10は、連結具本体9の連結孔14に、その連結孔14の軸心方向14aにスライド可能、かつ、連結孔14の周方向に回動不能に収容されて、前記弾性部材11により、連結孔14の入り口側に弾性付勢されている。ロック部材10の、前記連結孔14の入り口側を向く先端面10xには、前記被案内部15とは連結孔14の周方向にずれた位置に、連結軸部7の縦溝8aに係合可能な係止突起10aが突出形成されており、連結孔14に連結軸部7が挿入されて被案内部15が縦溝8aに入り、連結軸部7の連結具本体9に対する相対的な回動により、被案内部15が縦溝8aから主溝8bに進みその主溝8bの所要の位置(図示実施の形態においては、主溝8bの終端位置)にあるとき、ロック部材10の係止突起10aが縦溝8aに対向する。ここで、ロック部材10は、前記弾性部材11によって付勢されていることから、係止突起10aが縦溝8aに対向すると、ロック部材10が連結孔14の軸心方向14aに(詳しくは、連結孔14の入り口側に)スライドすることで、その係止突起10aは、縦溝8aに入り、その縦溝8aに係合する(図7-1~図7-4参照)。
【0018】
そして、ロック部材10が弾性部材11に付勢されて縦溝8aに係合した係止突起10aは、前記解除操作部12の操作により、ロック部材10が連結孔14の軸心方向14aに(詳しくは、連結孔14の奥側に)スライドすることで、縦溝8aから抜け出る(図8-1~図8-4参照)。
【0019】
詳細には、連結軸部7の主溝8bは、縦溝8aに続き連結軸部7の軸心方向7aに対して傾斜する方向に延びる傾斜溝8cと、その傾斜溝8cに続き連結軸部7の軸心方向7aと直交する方向に延びる横溝8dとを備える。すなわち、案内溝8は、縦溝8aと傾斜溝8cと横溝8dとを備えている。そして、この横溝8d(図示実施の形態においては、横溝8dの終端位置)に前記被案内部15があるときに、ロック部材10の係止突起10aが、縦溝8aに対向するようになっている。
【0020】
具体的には、連結対象物1、2は、シャフト101、201からなり、そのシャフト101、201と同心の取付孔1a、2aがあけられ、さらに、取付孔1a、2aを横切るようにして、小径の横孔1b、2bがあけられている。
【0021】
第1連結具4は、前記連結軸部7の軸心方向7aに延びる円柱状の軸部材であって、基端側の前記固定部6と、先端側の連結軸部7とが、軸心を同一にして一体に形成されている。図示実施の形態においては、連結軸部7よりも固定部6が小径に形成され、その固定部6には、横孔6aがあけられている。そこで、固定部6を、一方の連結対象物1の取付孔1aに挿入し、固着具としてのスプリングピン16を、一方の連結対象物1にあけられた横孔1bと固定部6の横孔6aとに打ち込むことで、第1連結具4は、一方の連結対象物1に取付け固定される。
【0022】
連結軸部7は、その先端からあけられた孔7bを有して、案内溝8は、その孔7bに通ずるように設けられる。また、案内溝8は、二つ設けられ、それら二つの案内溝8、8が連結軸部7の周方向に半周ずれて位置する。そして、前記被案内部15は、二つの案内溝8、8に係合するよう連結孔14を横切るように設けられた被案内ピン15aからなる。
【0023】
第2連結具5においては、連結具本体9は、内側が前記連結孔14となる筒部9aを備える。そして、連結具本体9は、基端側の固定部13と、先端側の筒部9aとが、軸心を同一にして一体に形成されている。詳細には、筒部9aは、円筒状に形成され、連結孔14は、筒部9aと同心の断面円形形状をしている。この筒部9aは、その周壁を貫通するとともに連結孔14の軸心方向14aに長手となる一対の対向位置する長孔9b、9bを有する。さらに、筒部9aは、その周壁を貫通する一対の対向位置する孔9c、9cを有する。これら孔9c、9cは、長孔9b、9bよりも、連結孔14の入り口側に設けられ、これら孔9c、9cに、前記被案内ピン15a(被案内部15)が打ち込まれることで、被案内ピン15aは、連結具本体9に固定される。そして、固定部13は、筒部9aよりも小径となる円柱状に形成され、その固定部13には、横孔13aがあけられている。そこで、固定部13を、他方の連結対象物2の取付孔2aに挿入し、固着具としてのスプリングピン17を、他方の連結対象物2にあけられた横孔2bと固定部13の横孔13aとに打ち込むことで、連結具本体9、ひいては第2連結具5は、他方の連結対象物2に取付け固定される。
【0024】
ロック部材10は、柱状(詳しくは、円柱状)に形成されている。詳細には、ロック部材10は、一方側が大径となり、他方側が小径となって、その境界部分に、段部10bを有し、大径側に、横孔10cを有する。このロック部材10は、連結具本体9の連結孔14内で、被案内ピン15a(被案内部15)よりも奥側に配置され、また、小径側が、連結孔14の奥側となるように配置される。そして、ロック部材10は、大径側の先端面10x(つまり、連結孔14の入り口側の先端面)に、前述の係止突起10aが突出形成される。詳細には、係止突起10aは、連結軸部7の縦溝8a(案内溝8)に対応して、二つ設けられる。もっとも、二つある縦溝8aに対し、係止突起10aを一つ設け、その係止突起10aが、いずれかの縦溝8aに係合するようにしても構わない。
【0025】
弾性部材11は、コイルバネ(詳しくは、圧縮コイルバネ)からなる。この弾性部材11は、連結具本体9の連結孔14内で、その連結孔14の底面と、ロック部材10の段部10bとの間に配置される。
【0026】
解除操作部12は、連結具本体9の筒部9aの外周に嵌まる操作リング12aからなって、その操作リング12aは、筒部9aに設けられた前記長孔9bを通る接続ピン18を介してロック部材10に接続されている。詳細には、操作リング12aには、横孔12bがあけられている。そこで、接続ピン18は、操作リング12aの横孔12bと筒部9aの長孔9bとロック部材10の横孔10cとを連通し、止めねじ19により、ロック部材10に固定される。そして、この長孔9bを通る接続ピン18によって、ロック部材10は、連結孔14の軸心方向14aへのスライドが妨げられることなく、連結孔14の周方向に回動不能となっている。
【0027】
次に、以上の構成からなる連結装置3の作用効果について説明する。この連結装置3によると、第1連結具4は、一方の連結対象物1に取り付けられ、第2連結具5は、他方の連結対象物2に取り付けられる(図5-1~図5-4参照)。そこで、第1連結具4の連結軸部7を、第2連結具5の連結具本体9に設けられた連結孔14に挿入し、連結具本体9に設けられた被案内部15(図示実施の形態においては、被案内ピン15a)を、連結軸部7の縦溝8aに入れる(図6-1~図6-4参照)。その後、連結軸部7と連結具本体9とを相対的に回動(図示実施の形態においては、連結軸部7、つまりは第1連結具4を一方の連結対象物1とともに、第1連結具4の側から見て時計回りに回動)すると、被案内部15が連結軸部7の縦溝8aから、連結軸部7の軸心方向7aと交差する主溝8b(図示実施の形態においては、傾斜溝8cを通って横溝8d)に進む。そして、ロック部材10の係止突起10aが縦溝8aに対向し、ロック部材10が弾性部材11に付勢されてその付勢方向にスライドすることで、係止突起10aは、縦溝8aに自動的に係合する(図7-1~図7-4参照)。こうして、ロック部材10の係止突起10aが連結軸部7の縦溝8aに係合することで、連結軸部7と連結具本体9との相対的な回動が阻止され、被案内部15は、主溝8bから抜け出ることはなく、第1連結具4と第2連結具5、ひいては、二つの連結対象物1、2は、確実に連結される。すなわち、ロック部材10によって、連結軸部7と連結具本体9との相対的な回動を阻止して、主溝8bへの被案内部15の掛かりを維持することで、第1連結具4と第2連結具5、ひいては、二つの連結対象物1、2の連結を、高荷重の外力に対しても維持することができる。
【0028】
そして、第1連結具4と第2連結具5とを互いに分離する場合には、解除操作部12(図示実施の形態においては、操作リング12a)を操作(図示実施の形態においては、上方に操作)することで、ロック部材10が連結孔14の軸心方向14a(詳しくは、連結孔14の奥側)にスライドして、ロック部材10の係止突起10aが連結軸部7の縦溝8aから抜け出る(図8-1~図8-4参照)。その後、連結軸部7と連結具本体9とを相対的に、前記と逆方向に回動(図示実施の形態においては、連結軸部7、つまりは第1連結具4を一方の連結対象物1とともに、第1連結具4の側から見て反時計回りに回動)することで、被案内部15が連結軸部7の主溝8bから(図示実施の形態においては、横溝8dから傾斜溝8cを通って)縦溝8aに進む。そこで、第1連結具4と第2連結具5とを互いに引っ張って、連結軸部7を被案内部15から引き離すことで、第1連結具4と第2連結具5、ひいては、二つの連結対象物1、2は、互いに分離する。
【0029】
また、第1連結具4と第2連結具5とを連結するにあたって、案内溝8を、連結軸部7の周方向に半周ずれて二つ設け、被案内ピン15a(被案内部15)を、二つの案内溝8、8に係合するように設けることで、第1連結具4と第2連結具5とを、バランスよく連結することができる。
【0030】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、二つの連結対象物1、2は、シャフト101、201に限るものではなく、ロボットアームと、そのロボットアームに取り付けられるツールとか、ベースと、そのベースに固定される冶具など、どのようなものでもよく、各種機械器具、冶具、工具、取付具その他広範囲に渡って本発明を実施することが可能である。
【0031】
また、被案内部15は、連結孔14を横切る被案内ピン15aからなって、二つの案内溝8、8に係合するが、この被案内部15は、二つの案内溝8、8に対し、個別に係合するように、連結孔14側に突出する二つの突起からなってもよい。また、案内溝8は、二つでなくてもよく、一つであっても、三つ以上であってもよい。同様に、案内溝8の縦溝8aに係合可能な係止突起10aも、二つに限らず、一つであっても、三つ以上であってもよく、また、縦溝8aの数より少なくても構わない。
【0032】
また、案内溝8は、縦溝8aと主溝8bとを備え、その主溝8bは、傾斜溝8cと横溝8dとを備えるが、その主溝8bは、傾斜溝8cのみからなっていても、横溝8dのみからなっていてもよく、また、主溝8bの終端部分に、連結軸部7の先端側に向かって窪む凹部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 一方の連結対象物
2 他方の連結対象物
3 連結装置
4 第1連結具
5 第2連結具
6 固定部
7 連結軸部
7a 軸心方向
7b 孔
8 案内溝
8a 縦溝
8b 主溝
8c 傾斜溝
8d 横溝
9 連結具本体
9a 筒部
9b 長孔
10 ロック部材
10a 係止突起
11 弾性部材
12 解除操作部
12a 操作リング
13 固定部
14 連結孔
14a 軸心方向
15 被案内部
15a 被案内ピン
18 接続ピン
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図9