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特許7401928アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法
<図1>
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図1
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図2
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図3
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図4a
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図4b
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図4c
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図5a
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図5b
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図5c
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図6a
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図6b
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図6c
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図7
  • 特許-アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】アルミニウム化合物及びこれを使用したアルミニウム含有膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/06 20060101AFI20231213BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20231213BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C07F5/06 E CSP
C23C16/18
H01L21/318 B
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021504758
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2019009494
(87)【国際公開番号】W WO2020027552
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0088333
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514183215
【氏名又は名称】ユーピー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ウォン ソク
(72)【発明者】
【氏名】マ,ドン ファン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ソンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ‐ヨン
(72)【発明者】
【氏名】コ,ウォンヨン
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-507124(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103588(WO,A1)
【文献】特開2009-079297(JP,A)
【文献】特表2008-532932(JP,A)
【文献】特開2000-086673(JP,A)
【文献】Dalton Transactions,2018年,Vol.47(32),p.10897-10905
【文献】Journal of the Chemical Society, Dalton Transactions,1999年,Vol.1,p.67-72
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/
C23C 16/18
H01L 21/318
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される、アルミニウム含有化合物:
【化1】
前記化学式1において、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【請求項2】
下記化学式2で表される、請求項1に記載のアルミニウム含有化合物:
【化2】
前記化学式2において、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
は、炭素数4又は5の線状又は分枝状のアルキル基である。
【請求項3】
下記化学式3で表される、請求項1に記載のアルミニウム含有化合物:
【化3】
前記化学式3において、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基である。
【請求項4】
及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であり、
は、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基である、請求項2に記載のアルミニウム含有化合物。
【請求項5】
、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であり、
、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基である、請求項3に記載のアルミニウム含有化合物。
【請求項6】
前記アルミニウム含有化合物が、HAl[NBu(CHNMe]、HAl[NBu(CHNMe]、HAl[NsecBu(CHNMe]、HAl[NneoPe(CHNMe]、HAl[NBu(CHNEtMe]、又はHAl[NBu(CHNEt]である、請求項2に記載のアルミニウム含有化合物。
【請求項7】
前記アルミニウム含有化合物が、[(MeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(MeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtN)Al(NPr(CHNMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEt)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEt)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)]、又は[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]である、請求項3に記載のアルミニウム含有化合物。
【請求項8】
AlHを下記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンと反応させることを含む、下記化学式2で表される、請求項2に記載のアルミニウム含有化合物の製造方法:
【化4】
前記化学式2及び4において、
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
は、炭素数4又は5の線状又は分枝状のアルキル基である。
【請求項9】
AlXを下記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンのアルカリ金属塩及びジアルキルアミンのアルカリ金属塩と順次に反応させることを含む、下記化学式3で表される、請求項3に記載のアルミニウム含有化合物の製造方法:
【化5】
前記ジアルキルアミンは、NHR及びNHRで表され、
前記化学式3及び4と前記ジアルキルアミンにおいて、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基であり、
前記NHR及びNHRは、互いに同一あるいは異なるものであり、
前記AlXにおいて、Xは、ハロゲン元素である。
【請求項10】
下記化学式1で表される、アルミニウム含有前駆体化合物を含む、膜形成前駆体組成物:
【化6】
前記化学式1において、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【請求項11】
窒化アルミニウム膜を形成するためのものである、請求項10に記載の膜形成前駆体組成物。
【請求項12】
前記アルミニウム含有前駆体化合物が、HAl[NBu(CHNMe]、HAl[NBu(CHNMe]、HAl[NsecBu(CHNMe]、HAl[NneoPe(CHNMe]、HAl[NBu(CHNEtMe]、及びHAl[NBu(CHNEt]より選択される1つ以上である、請求項10に記載の膜形成前駆体組成物。
【請求項13】
前記アルミニウム含有前駆体化合物が、[(MeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(MeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtN)Al(NPr(CHNMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEt)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEt)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)]、及び[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]より選択される1つ以上である、請求項10に記載の膜形成前駆体組成物。
【請求項14】
前記アルミニウム含有前駆体化合物が、常温で液状である、請求項10に記載の膜形成前駆体組成物。
【請求項15】
アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含む、請求項10に記載の膜形成前駆体組成物。
【請求項16】
下記化学式1で表されるアルミニウム含有前駆体化合物を含む膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム含有膜を形成することを含む、アルミニウム含有膜の形成方法:
【化7】
前記化学式1において、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、
及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【請求項17】
前記アルミニウム含有膜が、窒化アルミニウム膜を含む、請求項16に記載のアルミニウム含有膜の形成方法。
【請求項18】
前記アルミニウム含有膜は、熱原子層蒸着法(Thermal Atomic Layer Deposition)により蒸着される、請求項16に記載のアルミニウム含有膜の形成方法。
【請求項19】
前記アルミニウム含有前駆体化合物が、HAl[NBu(CHNMe]、HAl[NBu(CHNMe]、HAl[NsecBu(CHNMe]、HAl[NneoPe(CHNMe]、HAl[NBu(CHNEtMe]、及びHAl[NBu(CHNEt]より選択される1つ以上である、請求項16に記載のアルミニウム含有膜の形成方法。
【請求項20】
前記アルミニウム含有前駆体化合物が、[(MeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(MeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtN)Al(NPr(CHNMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEt)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEt)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)]、及び[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]より選択される1つ以上である、請求項16に記載のアルミニウム含有膜の形成方法。
【請求項21】
前記アルミニウム含有前駆体化合物が、常温で液状である、請求項16に記載のアルミニウム含有膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規なアルミニウム含有化合物、上記アルミニウム含有化合物の製造方法、上記アルミニウム含有前駆体化合物を含む膜形成前駆体組成物、及び上記膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム含有膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum、以下、「TMA」とも言う)を始め、アルミニウム元素を含む様々な化合物が化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)及び原子層蒸着(atomic layer deposition、ALD)用の前駆体として知られている。
【0003】
プラズマを利用した原子層蒸着法において、プラズマは、前駆体の反応性を向上させて前駆体の選択幅を広くし、薄膜の性質を良くし、薄膜が形成される時間を短縮し、ALD工程の生産性を向上させることができるとう長所がある。しかし、プラズマを使用して薄膜を蒸着する際、プラズマ中のイオンにより基材及び/又は薄膜が損傷する恐れがあり、薄膜の特性を劣化させてしまう可能性がある。また、プラズマは深くて狭い溝に侵透できないため、プラズマ原子層蒸着法(Plasma-enhanced ALD、PEALD)では狭くて深い溝に均一な厚さのアルミニウム含有膜、特に、窒化アルミニウム(以下、「AlN」とも言う)膜を形成することができない。従って、表面に深い凹凸(溝)のある基材又は多孔性基材上に均一なアルミニウム含有膜を形成するためには、プラズマを使用しない熱原子層蒸着法(Thermal ALD)に適した前駆体が求められる。
【0004】
TMAとアンモニア(NH)とを交互に供給して窒化アルミニウム膜を形成する方法が知られている。しかし、既存の方法に従ってTMAとNHとが交互に供給される際、TMAの供給時間とNHの供給時間を増やしていけばALD気体供給週期の間に膜成長が飽和(saturated)されずに増加し続け、膜成長が層毎に(layer-by-layer)起こらない。また、基材(substrate)の温度が上昇するにつれて気体供給週期当たりの膜成長も急激に増加する。よって、気体供給週期において原料気体供給時間、基材温度の変化によらず膜成長が一定であるというALDの長所がTMAとNHとを交互に供給するALDでは表れない[文献 D.Riihela et al.,『Low temperature deposition of AIN films by an alternate supply of trimethyl aluminum and ammonia』,Chemical Vapor Deposition,Volume 2,277(1996)を参照]。従って、半導体素子生産工程においてTMAとNHはAlN膜成長を精密に制御するのに好適ではない。TMAに代えてAlClとNHを使用した熱ALD法により500℃以上の高温で窒化アルミニウム膜を形成することは可能ではある。ところが、AlClは高温で昇華する固体であるので、半導体素子製造装置で使用するには不便であり、膜が低温で形成される必要がある場合は使用することができない。
【0005】
Kyle J.Blakeney及びCharles H.Winterは、アルミニウム金属膜の蒸着時に使用することができるアルミニウムハイドライド錯化合物(complex)であり、常温で固体のHAl[NBu(CHNMe]を開示している[文献Kyle J.Blakeney and Charles H.Winter,『Atomic Layer Deposition of Aluminum Metal Films Using a Thermally Stable Aluminum Hydride Reducing Agent』,Chem Mater.,30,1844-1848,(2018)を参照]。しかし、これは、HAl[NBu(CHNMe]がAl金属膜の蒸着に使用され得ると開示しているだけであり、窒化アルミニウム膜の蒸着については全く開示していない。また、HAl(NBu(CHNMeは常温で固体であるため、現在一般に半導体素子生産施設で使用されている液体移送装置(liquid delivery system)に使用されるのに好適ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、新規なアルミニウム含有化合物、上記アルミニウム含有化合物の製造方法、上記アルミニウム含有前駆体化合物を含む膜形成前駆体組成物、及び上記膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム含有膜を形成する方法を提供することを目的としている。
【0007】
しかし、本願が解決しようとする課題は、上記したような課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の側面は、下記化学式1で表されるアルミニウム含有化合物を提供する:
【化1】

前記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは1つ以上の炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【0009】
本願の第2の側面は、AlHを下記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンと反応させることを含む、下記化学式2で表される本願の第1の側面に係るアルミニウム含有化合物の製造方法を提供する:
【化2】
前記化学式2及び4において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、Rは、炭素数4又は5の線状又は分枝状のアルキル基である。
【0010】
本願の第3の側面は、AlXを下記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンのアルカリ金属塩及びジアルキルアミンのアルカリ金属塩と順次に反応させることを含む、下記化学式3で表される本願の第1の側面に係るアルミニウム含有化合物の製造方法を提供する:
【化3】
前記ジアルキルアミンは、NHR及びNHRで表され、
前記化学式3及び4と前記ジアルキルアミンにおいて、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基であり、前記NHR及びNHRは、互いに同一あるいは異なるものであり、
前記AlXにおいて、Xは、ハロゲン元素である。
【0011】
本願の第4の側面は、下記化学式1で表されるアルミニウム含有前駆体化合物を含む、膜形成前駆体組成物を提供する:
【化4】
前記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは1つ以上の炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【0012】
本願の第5の側面は、下記化学式1で表されるアルミニウム含有前駆体化合物を含む膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム含有膜を形成することを含む、アルミニウム含有膜の形成方法を提供する:
【化5】
前記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは1つ以上の炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【発明の効果】
【0013】
本願の具現例に係る上記化学式1のアルミニウム含有化合物は、アルミニウムに(3-ジアルキルアミノ)プロピルアルキルアミンであるリガンド(bidentate ligand)が結合した化合物であり、従来に知られていない新規な化合物である。
【0014】
本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は、熱安定性が高く、原子層蒸着法(ALD)又は化学気相蒸着法(CVD)用の前駆体として使用可能であり、アルミニウム含有膜の形成に使用することができる。特に、上記アルミニウム含有化合物は、表面に凹凸(溝)のある基材又は多孔性基材上にも数オングストローム(Å)~数nm又は数十nm範囲の厚さのアルミニウム含有膜を均一に形成することができ、例えば、上記アルミニウム含有化合物は、縦横比が約1以上で、幅が約1μm以下の微細な凹凸(溝)が表面にある基材において、上記微細な凹凸(溝)の下部表面、上記微細な凹凸(溝)の上部表面、及び上記微細な凹凸(溝)の側面などを含む上記基材の全体表面上に数オングストローム(Å)~数nm又は数十nm範囲の厚さのアルミニウム含有膜を均一に形成することができるという優れた効果を有する。
【0015】
本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は、常温で液状であり、ALD又はCVD前駆体として使用するのに有利である。半導体素子生産施設において、液体移送装置(liquid delivery system)を使用してALD又はCVD前駆体が自動に供給されることが次第に普遍化している。ALD又はCVD前駆体が常温で固体である場合は、液体移送装置で使用できないか、非常に不便である。
【0016】
本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は、ALD又はCVD前駆体として使用され、アルミニウム含有膜、特に、窒化アルミニウム膜を形成することができる。特に、本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は、ALD前駆体として使用され、アルミニウム含有膜、特に窒化アルミニウム膜を形成することができる。
【0017】
本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は、プラズマを使用しない熱原子層蒸着法(Thermal ALD)の前駆体として使用することができ、蒸着時に膜成長を比較的均一に維持することができるので、良質の均一な膜を形成することができる。不安定であるか緻密でない窒化アルミニウム膜が空気に露出されれば、膜の内部まで酸素が侵透するが、本願の具現例によって形成される窒化アルミニウム膜は良質であるので、空気に露出されても上記窒化アルミニウム膜の酸化は膜の表面のみに限定され、上記窒化アルミニウム膜の表面の下は酸化されない。一方、PEALDによって膜が蒸着される場合は、プラズマ中のイオンにより基材及び/又は薄膜が損傷する恐れがあり、薄膜の特性を劣化させてしまう可能性がある。また、プラズマは深くて狭い溝に侵透できないため、PEALDでは狭くて深い溝に均一な厚さのアルミニウム含有膜、特に、窒化アルミニウム膜を形成することができない。従って、表面に凹凸(溝)のある基材又は多孔性基材の上に均一なアルミニウム含有膜を形成するためには、プラズマを使用しない熱原子層蒸着法(Thermal ALD)に適した前駆体が求められるという点で、本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は有用性がある。
【0018】
本願の具現例に係るアルミニウム含有膜を形成する方法は、商業的な半導体素子の製造に適用することができる。
【0019】
本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物は、例えば、向上した熱安定性、高い揮発性などの好ましい特性を有するALD又はCVD前駆体として使用することができ、アルミニウム含有膜又は薄膜の形成に有用に使用することによって、進歩した半導体デバイスを製造することができる。
【0020】
本願の具現例に係る上記アルミニウム含有化合物を前駆体として利用し、プラズマを使用しない熱原子層蒸着法(thermal ALD)により窒化アルミニウム膜を形成する際、狭くて深い溝のある半導体素子の生産において精密に窒化アルミニウム膜の厚さを制御することができる。一方、従来のTMAとNHを使用して窒化アルミニウム膜を形成する場合は、TMAの供給時間が増加するにつれて膜成長が増加し続け、基材温度の変化時に膜成長速度が大きく変化するので、ALD工程が行われるのに適した工程温度の範囲が観察されない。また、1つの気体供給週期で膜成長が飽和(saturation)されず、膜成長が層毎に(layer-by-layer)起こらないので、均一な膜が蒸着されることが難しい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願の具現例によって製造されたアルミニウム化合物の熱安定性を評価するための装置である。
図2】本願の実施例1によって製造された液体アルミニウム化合物を利用して本願の実施例5に係る薄膜を形成する際、基材温度300℃及び325℃における、ALD気体供給週期においてアルミニウム化合物の供給時間の増加に応じたALD膜成長をそれぞれ示すものである。
図3】本願の実施例5によってシリコン(Si)基材上に形成された窒化アルミニウム膜のオージェ(Auger)電子分光分析結果である。
図4a】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に325℃においてALD週期を50回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図4b】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に325℃においてALD週期を50回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図4c】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に325℃においてALD週期を50回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図5a】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に325℃においてALD週期を30回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図5b】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に325℃においてALD週期を30回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図5c】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に325℃においてALD週期を30回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図6a】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に300℃においてALD週期を30回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図6b】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に300℃においてALD週期を30回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図6c】本願の実施例5によって狭い溝を含む基材上に300℃においてALD週期を30回繰り返すことで形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したイメージである。
図7】本願の実施例2によって製造された液体アルミニウム化合物を利用し、本願の実施例6によって形成した窒化アルミニウム膜の週期当たりのALD膜成長を基材温度に応じて示すものである。
図8】本願の実施例8によって形成された酸化アルミニウム膜の基材温度に応じた週期当たりのALD膜成長を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本願の具現例及び実施例を詳しく説明する。ところが、本願は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する具現例及び実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0023】
本願の明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0024】
本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0025】
本願の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0026】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値で、又はその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために、適確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0027】
本願の明細書全体において使用される程度の用語「~するステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味するものではない。
【0028】
本願の明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ(たち)」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであり、上記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0029】
本願の明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A又はB、あるいはA及びB」を意味する。
【0030】
本願の明細書全体において、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、1~12個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~8個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基、及びこれらの全ての可能な異性質体を含む。例えば、上記アルキル又はアルキル基は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n-プロピル基(Pr)、iso-プロピル基(Pr)、n-ブチル基(Bu)、iso-ブチル基(Bu)、tert-ブチル基(tert-Bu、Bu)、sec-ブチル基(sec-Bu、secBu)、n-ペンチル基(Pe)、iso-ペンチル基(isoPe)、sec-ペンチル基(secPe)、tert-ペンチル基(Pe)、neo-ペンチル基(neoPe)、3-ペンチル基、n-ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、4,4-ジメチルペンチル基、オクチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びこれらの異性質体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
以下では、本願の具現例を詳しく説明するが、本願がこれに限定されるものではない。
【0032】
本願の第1の側面は、下記化学式1で表されるアルミニウム含有化合物を提供する:
【化6】
当該化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは1つ以上の炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【0033】
本願の一具現例において、上記化学式1において、Rがアルキルアミノ基である場合、-NRで表されても良く、Rがアルキルアミノ基である場合、-NRで表されても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基であっても良く、互いに同一あるいは異なっていても良いが、これに限定されるものではない。
【0034】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0035】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0036】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良く、Rは、tert-ブチル基であっても良い。
【0037】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0038】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有化合物は、下記化学式2で表されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない:
【化7】
当該化学式2において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、Rは、炭素数4又は5の線状又は分枝状のアルキル基である。
【0039】
本願の一具現例において、上記化学式2において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良いが、これに限定されるものではなく、Rは、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0040】
本願の一具現例において、上記化学式2において、R及び/又はRよりもRの方がよりバルキー(bulky)であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0041】
本願の一具現例において、上記化学式2において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0042】
本願の一具現例において、上記化学式2において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良く、Rは、tert-ブチル基であっても良い。
【0043】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有化合物は、下記化学式3で表されるものを含んでいても良いが、これに限定されるものではない:
【化8】
当該化学式3において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基である。
【0044】
本願の一具現例において、上記化学式3において、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0045】
本願の一具現例において、上記化学式3において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0046】
本願の一具現例において、上記化学式3において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良く、Rは、tert-ブチル基であっても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0047】
本願の一具現例において、上記化学式2又は3で表されるアルミニウム化合物は、下記化合物を含んでいても良いが、これに限定されるものではない:
ジヒドリド(3-ジメチルアミノプロピル(tert-ブチル)アミド)アルミニウム[HAl(NBu(CHNMe)];
ジヒドリド(3-ジメチルアミノプロピル(イソブチル)アミド)アルミニウム[HAl(NBu(CHNMe)];
ジヒドリド(3-ジメチルアミノプロピル(sec-ブチル)アミド)アルミニウム[HAl(NsecBu(CHNMe)];
ジヒドリド(3-ジメチルアミノプロピル(ネオペンチル)アミド)アルミニウム[HAl(NneoPe(CHNMe)];
ジヒドリド(3-エチルメチルアミノプロピル(tert-ブチル)アミド)アルミニウム[HAl(NBu(CHNEtMe)];
ジヒドリド(3-ジエチルアミノプロピル(tert-ブチル)アミド)アルミニウム[HAl(NBu(CHNEt)];
ビス(ジメチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(MeN)Al(NEt(CHNMe)];
ビス(ジメチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルイソプロピルアミド)アルミニウム[(MeN)Al(NPr(CHNMe)];
ビス(エチルメチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)];
ビス(エチルメチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)];
ビス(エチルメチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルイソプロピルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)];
ビス(ジエチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(EtN)Al(NMe(CHNMe)];
ビス(ジエチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(EtN)Al(NEt(CHNMe)];
ビス(ジエチルアミド)(3-ジメチルアミノプロピルイソプロピルアミド)アルミニウム[(EtN)Al(NPr(CHNMe)];
ビス(ジメチルアミド)(3-エチルメチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)];
ビス(ジメチルアミド)(3-エチルメチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)];
ビス(エチルメチルアミド)(3-エチルメチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)];
ビス(エチルメチルアミド)(3-エチルメチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)];
ビス(ジエチルアミド)(3-エチルメチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)];
ビス(ジエチルアミド)(3-エチルメチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)];
ビス(ジメチルアミド)(3-ジエチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(MeN)Al(NMe(CHNEt)];
ビス(ジメチルアミド)(3-ジエチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(MeN)Al(NEt(CHNEt)];
ビス(エチルメチルアミド)(3-ジエチルアミノプロピルメチルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)];及び
ビス(エチルメチルアミド)(3-ジエチルアミノプロピルエチルアミド)アルミニウム[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]。
【0048】
本願の一具現例において、上記化学式2で表されるアルミニウム含有化合物が、HAl(NBu(CHNMe)、HAl(NBu(CHNMe)、HAl(NsecBu(CHNMe)、HAl(NneoPe(CHNMe)、HAl(NBu(CHNEtMe)、及びHAl(NBu(CHNEt)より選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0049】
本願の一具現例において、上記化学式2で表されるアルミニウム含有化合物は、ジヒドリド(3-ジメチルアミノプロピル(tert-ブチル)アミド)アルミニウム[HAl(NBu(CHNMe)]であっても良い。
【0050】
本願の一具現例において、上記化学式3で表されるアルミニウム含有化合物は、[(MeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(MeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtN)Al(NPr(CHNMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEt)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEt)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)]、及び[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]より選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0051】
本願の一具現例において、上記化学式3で表されるアルミニウム含有化合物は、(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)又は(EtN)Al(NMe(CHNMe)であっても良い。
【0052】
本願の第2の側面は、AlHと下記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンとを反応させることを含む、下記化学式2で表される本願の第1の側面に係るアルミニウム含有化合物の製造方法を提供する:
【化9】
当該化学式2及び4において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、Rは、炭素数4又は5の線状又は分枝状のアルキル基である。
【0053】
本願の第1の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面について説明した内容は、本願の第2の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用しても良い。
【0054】
本願の一具現例において、上記化学式2及び4において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良く、R及びR10は、それぞれ独立に、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0055】
本願の一具現例において、上記化学式2及び4において、R及び/又はRよりもRの方がよりバルキー(bulky)であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0056】
本願の一具現例において、上記化学式2及び4において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、それぞれ独立に、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0057】
本願の一具現例において、上記化学式2で表されるアルミニウム含有化合物の製造方法は、下記を含んでいても良い:不活性気体雰囲気下において有機溶媒(非制限的な例:エーテル、ジエチルエーテルなど)にLiAlHを溶解した後、有機溶媒に溶解されたAlX溶液を滴加及び撹拌することにより、AlHが含まれる反応混合物を得ても良い。ここで、上記Xは、ハロゲン元素であり、Cl、Br、及びIより選択される1つ以上であっても良い。上記製造されるAlHは、有機溶媒(非制限的な例:エーテル、ジエチルエーテルなど)により配位された錯化合物(complex)の形態に存在しても良いが、これに限定されるものではない。上記反応混合物に上記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンを徐々に滴加して撹拌した後、濾過及び減圧蒸留することで、上記化学式2で表されるアルミニウム含有化合物を得ても良い。
【0058】
本願の第3の側面は、AlXを下記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンのアルカリ金属塩及びジアルキルアミンのアルカリ金属塩と順次に反応させることを含む、下記化学式3で表される本願の第1の側面に係るアルミニウム含有化合物の製造方法を提供する:
【化10】
当該ジアルキルアミンは、NHR及びNHRで表され、
当該化学式3及び4と当該ジアルキルアミンにおいて、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基であり、当該NHR及びNHRは、互いに同一あるいは異なるものであり、
当該AlXにおいて、Xは、ハロゲン元素である。
【0059】
本願の第1の側面及び第2の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面及び第2の側面について説明した内容は、本願の第3の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用しても良い。
【0060】
本願の一具現例において、上記化学式3及び化学式4において、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0061】
本願の一具現例において、上記化学式3及び化学式4において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0062】
本願の一具現例において、上記化学式3及び上記ジアルキルアミンにおいて、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0063】
本願の一具現例において、上記ジアルキルアミンは、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミンを含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0064】
本願の一具現例において、上記Xは、ハロゲン元素であって、Cl、Br、又はIであり、例えば、上記AlXは、AlCl、AlBr、又はAlIであっても良い。
【0065】
本願の一具現例において、上記化学式3で表されるアルミニウム含有化合物の製造方法は、下記を含んでいても良い:
【0066】
(1)上記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンのアルカリ金属塩の製造
不活性気体雰囲気下において有機溶媒(非制限的な例:n-ヘキサンなど)にアルカリ金属塩(非制限的な例:n-BuLiなど)を溶解した後、これに上記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンを徐々に滴加して撹拌することにより、上記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンのアルカリ金属塩を製造しても良い。
【0067】
(2)ジアルキルアミンのアルカリ金属塩の製造
有機溶媒(非制限的な例:n-ヘキサン溶媒など)にアルカリ金属塩(非制限的な例:n-BuLiなど)を溶解した後、これにジアルキルアミンを徐々に滴加して撹拌することにより、上記ジアルキルアミンのアルカリ金属塩を製造しても良い。
【0068】
(3)上記化学式3で表されるアルミニウム含有化合物の製造
有機溶媒(非制限的な例:エーテル、ジエチルエーテルなど)にAlXを溶解して撹拌しながら、これに(1)の上記化学式4のジアルキルアミノプロピルアルキルアミンのアルカリ金属塩を徐々に滴加して撹拌することにより、反応混合物を製造しても良い。ここで、上記Xは、ハロゲン元素であり、Cl、Br、及びIより選択されるものであっても良い。上記反応混合物に上記(2)のジアルキルアミンのアルカリ金属塩を徐々に滴加して撹拌した後、濾過及び減圧蒸留することで、上記化学式3で表されるアルミニウム含有化合物を得ても良い。
【0069】
本願の第4の側面は、下記化学式1で表されるアルミニウム含有前駆体化合物を含む、膜形成前駆体組成物を提供する:
【化11】
当該化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは1つ以上の炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【0070】
本願の第1の側面乃至第3の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面乃至第3の側面について説明した内容は、本願の第4の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用しても良い。
【0071】
本願の一具現例において、上記化学式1において、Rがアルキルアミノ基である場合、-NRで表されても良く、Rがアルキルアミノ基である場合、-NRで表されても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基であっても良く、互いに同一あるいは異なっていても良いが、これに限定されるものではない。
【0072】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0073】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0074】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良く、Rは、tert-ブチル基であっても良い。
【0075】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0076】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム金属膜、酸化アルミニウム膜、又は窒化アルミニウム膜を形成しても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物を利用して窒化アルミニウム膜を形成しても良い。
【0077】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物が、HAl(NBu(CHNMe)、HAl(NBu(CHNMe)、HAl(NsecBu(CHNMe)、HAl(NneoPe(CHNMe)、HAl(NBu(CHNEtMe)、及びHAl(NBu(CHNEt)より選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。上記アルミニウム含有前駆体化合物がHAl(NBu(CHNMe)であっても良い。
【0078】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物は、[(MeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(MeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtN)Al(NPr(CHNMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEt)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEt)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)]、及び[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]より選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物は、(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)又は(EtN)Al(NMe(CHNMe)であっても良い。
【0079】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物は、常温で液状であっても良い。
【0080】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物を利用することで均一に形成されたアルミニウム含有膜を得ても良く、具体的に、微細な溝が存在する基材上においても均一に形成されたアルミニウム含有膜を得ることができる。本願の一具現例に係る膜形成前駆体組成物を利用して均一に形成されたアルミニウム含有膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、溝の最も深い所と溝の上部に均一な厚さの膜が形成されていることが確認された。例えば、基材の表面に、縦横比が約1以上で、幅が約1μm以下の微細な凹凸(溝)があっても均一な厚さの膜を形成することができる。例えば、上記縦横比は、約1以上、約2以上、約3以上、約5以上、約10以上、約20以上、約30以上、約50以上、約70以上、又は約100以上であっても良く、上記幅は、約1μm以下、約500nm以下、約100nm以下、又は約50nm以下であっても良いが、これに限定されるものではない。例えば、本願の一具現例に係る膜形成前駆体組成物を利用して縦横比約10:1の狭い溝にALD法により均一な厚さの膜を形成しても良く、これは、上記膜形成前駆体組成物に含まれる上記アルミニウム含有前駆体化合物の熱安定性が高いということを意味し得る。
【0081】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0082】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜の形成又は蒸着は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源の存在又は不在下において行われても良い。
【0083】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物は、酸素、オゾン、水分、及びHより選択される1つ以上の酸素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0084】
本願の第5の側面は、下記化学式1で表されるアルミニウム含有前駆体化合物を含む上記本願の第4の側面に係る膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム含有膜を形成することを含む、アルミニウム含有膜の形成方法を提供する:
【化12】
当該化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~5の線状又は分枝状のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素、あるいは1つ以上の炭素数1~6の線状又は分枝状のアルキル基を含むアルキルアミノ基である。
【0085】
本願の第1の側面乃至第4の側面と重複する部分については詳細な説明を省略しているが、本願の第1の側面乃至第4の側面について説明した内容は、本願の第5の側面においてその説明が省略されているとしても同様に適用しても良い。
【0086】
本願の一具現例において、上記化学式1において、Rがアルキルアミノ基である場合、-NRで表されても良く、Rがアルキルアミノ基である場合、-NRで表されても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3の線状又は分枝状のアルキル基であっても良く、R、R、R及びRは、互いに同一あるいは異なっていても良いが、これに限定されるものではない。
【0087】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、neo-ペンチル基、又は3-ペンチル基であっても良く、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0088】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であっても良く、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0089】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良く、Rは、tert-ブチル基であっても良い。
【0090】
本願の一具現例において、上記化学式1において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0091】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物が、HAl(NBu(CHNMe)、HAl(NBu(CHNMe)、HAl(NsecBu(CHNMe)、HAl(NneoPe(CHNMe)、HAl(NBu(CHNEtMe)、及びHAl(NBu(CHNEt)より選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。上記アルミニウム含有前駆体化合物がHAl(NBu(CHNMe)であっても良い。
【0092】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物は、[(MeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(MeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtMeN)Al(NPr(CHNMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNMe)]、[(EtN)Al(NPr(CHNMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtMeN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NMe(CHNEtMe)]、[(EtN)Al(NEt(CHNEtMe)]、[(MeN)Al(NMe(CHNEt)]、[(MeN)Al(NEt(CHNEt)]、[(EtMeN)Al(NMe(CHNEt)]、及び[(EtMeN)Al(NEt(CHNEt)]より選択される1つ以上であっても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物は、(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)又は(EtN)Al(NMe(CHNMe)であっても良い。
【0093】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物を利用してアルミニウム金属膜、酸化アルミニウム膜、又は窒化アルミニウム膜を形成しても良いが、これに限定されるものではない。本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物を利用して窒化アルミニウム膜を形成しても良い。
【0094】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜は、化学気相蒸着法(CVD)又は原子層蒸着法(ALD)により形成又は蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。上記アルミニウム含有膜は、原子層蒸着法(ALD)により形成又は蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。上記アルミニウム含有膜は、プラズマを利用することなく形成又は蒸着されても良い。
【0095】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜は、通常、CVD又はALDのために設計された蒸着チャンバで形成又は蒸着されても良いが、これに限定されるものではない。特に、本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜は、熱原子層蒸着法(Thermal Atomic Layer Deposiotion)のために通常設計された蒸着チャンバで形成又は蒸着されても良い。
【0096】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物は、常温で液状であっても良い。
【0097】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0098】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜の形成又は蒸着は、アンモニア、窒素、ヒドラジン、及びジメチルヒドラジンより選択される1つ以上の窒素源の存在又は不在下において行われても良い。
【0099】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物は、酸素、オゾン、水分、及びHより選択される1つ以上の酸素源をさらに含んでいても良いが、これに限定されるものではない。
【0100】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物を含む上記膜形成前駆体組成物を利用し、原子層蒸着法又は熱原子層蒸着法に従ってアルミニウム含有膜を形成する場合、ALD気体供給週期当たりの膜成長が比較的一定に維持されることができる。本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物を含む上記膜形成前駆体組成物を利用し、原子層蒸着法又は熱原子層蒸着法に従ってアルミニウム金属膜、酸化アルミニウム膜、又は窒化アルミニウム膜を形成する場合、ALD気体供給週期当たりの膜成長が比較的一定に維持されることができる。本願の一具現例において、上記アルミニウム含有前駆体化合物を含む上記膜形成前駆体組成物を利用し、原子層蒸着法又は熱原子層蒸着法に従って窒化アルミニウム膜を形成する場合、ALD気体供給週期当たりの膜成長が基材温度の変化によらず比較的一定に維持されることができ、ALD気体供給週期においてアルミニウム含有前駆体化合物の供給時間を増やしても膜成長が増加する問題がない。
【0101】
本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜の形成時の基材の温度が、約200℃~約520℃、約250℃~約500℃、約250℃~約450℃、約250℃~約400℃、又は約300℃~約400℃に維持されても良いが、これに限定されるものではない。また、上記アルミニウム含有膜の形成時の基材の温度が、約300℃~約400℃に維持されても良い。本願の一具現例において、上記アルミニウム含有膜の形成方法によれば、約300℃~約400℃の範囲の基材温度においてALD気体供給週期当たりの膜成長が比較的一定に維持されることができる。
【0102】
本願の一具現例において、上記膜形成前駆体組成物を利用することで均一に形成されたアルミニウム含有膜を得ても良く、具体的に、微細な溝が存在する基材上においても均一に形成されたアルミニウム含有膜を得ることができる。本願の膜形成前駆体組成物を利用して均一に形成されたアルミニウム含有膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、溝の最も深い所と溝の上部に均一な厚さの膜が形成されていることが確認された。例えば、基材の表面に、縦横比が約1以上で、幅が約1μm以下の微細な凹凸(溝)があっても上記基材上に均一な厚さの膜を形成することができる。例えば、上記縦横比は、約1以上、約2以上、約3以上、約5以上、約10以上、約20以上、約30以上、約50以上、約70以上、又は約100以上であっても良く、上記幅は、約1μm以下、約500nm以下、約100nm以下、又は約50nm以下であっても良いが、これに限定されるものではない。例えば、本願の膜形成前駆体組成物を利用して縦横比約10:1の狭い溝にALD法により均一な厚さの膜を形成しても良く、これは、上記膜形成前駆体組成物に含まれる上記アルミニウム含有前駆体化合物の熱安定性が高いということを意味し得る。
【0103】
以下、本願について実施例を利用しながらより具体的に説明するが、下記実施例は本願の理解を助けるために例示するものに過ぎず、本願の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0104】
[実施例]
<実施例1>HAl(NBu(CHNMe)液体化合物の製造
アルゴン気体雰囲気下において、1LのシュレンクフラスコにLiAlH10.5g(0.263mol)を投入した後、ジエチルエーテル[(CO]200mLを入れて0℃に冷却した。上記フラスコに、ジエチルエーテル[(CO]100mLに溶けているAlCl11.6g(0.0809mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を室温まで徐々に温度を上げ、1時間撹拌することで、AlH(EtO)を製造した。その後、上記フラスコを再び-30℃まで冷却し、MeN(CHNHBu50g(0.316mol)を徐々に滴加して、混合物を常温で14時間撹拌した。上記反応が完了した後、ガラスフリット(frit)を利用して濾過し、得られた濾過液を0.25torrの減圧下で溶媒を除去し、残った液体を蒸留することで、[化5]の常温で液体である透明な化合物46g(収率94%)が得られた。
【化13】
沸点(b.p.)80℃(0.3torr);
元素分析(elemental analysis)
計算値-C23Al:C58.03、H12.45、N15.04;
実測値C57.97、H12.48、N15.01;
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ3.016(t、2H、(CHN(CHCH )NC(CH)、2.044(t、2H、(CHN(C CHCH)NC(CH)、1.914(s、6H、(C N(CHCHCH)NC(CH)、1.335(s、9H、(CHN(CHCHCH)NC(C )、1.242(m、2H、(CHN(CHCHCH)NC(CH)。
【0105】
<実施例2>(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)液体化合物の製造
アルゴン気体雰囲気下において、500mLのシュレンクフラスコにn-BuLi(81.02g、0.291mol)とn-ヘキサン300mLを入れて-15℃まで冷却し、MeN(CHNHMe(33.8g、0.291mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を室温まで徐々に温度を上げ、4時間撹拌することで、[MeN(CHNMe]Li溶液を合成した。
【0106】
1Lのシュレンクフラスコにn-BuLi(121.53g、0.4363mol)とn-ヘキサン500mLを入れて-15℃まで冷却し、EtMeNH(25.79g、0.4363mol)を徐々に滴加した後、徐々に室温に温度を上げ、4時間撹拌することで、[EtMeN]Li溶液を合成した。
【0107】
2LのシュレンクフラスコにAlClを入れて-15℃まで冷却し、ジエチルエーテル[(CO]500mLを入れて徐々に室温に温度を上げた後、2時間撹拌した。上記溶液を再び-15℃まで冷却し、[MeN(CHNMe]Li溶液を撹拌しながら徐々に滴加した。滴加が終了した後、徐々に室温に温度を上げ、約14時間撹拌した。その後、上記溶液を-15℃まで冷却し、撹拌しながら[EtMeN]Li溶液を徐々に滴加した後、徐々に室温に温度を上げ、約14時間撹拌した。
【0108】
上記反応が完了した後、ガラスフリット(frit)を利用して濾過し、得られた濾過液を0.3torrの減圧下で溶媒を除去し、残った液体を蒸留することで、[化6]の常温で液体である黄色の化合物38g(収率60%)が得られた。
【化14】
沸点(b.p.)90℃(0.25torr);
元素分析
計算値-C1231Al:C55.78、H12.09、N21.68;
実測値C55.68、H12.02、N21.75;
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ3.166(m、2H、N-C CH)、3.045(m、2H、N-C CH)、2.962(t、2H、(CHN-CHCH -NCH)、2.877(s、3H、(CHN-CHCHCH-NC )、2.807(s、6H、N-C )、2.044(t、2H、(CHN-C CHCH-NCH)、1.845(s、6H、(C N-CHCHCH-NCH)、1.405(m、2H、N-(CHN-CH CH-NCH)、1.269(t、6H、N-CH )。
【0109】
<実施例3>(EtN)Al(NMe(CHNMe)液体化合物の製造
アルゴン気体雰囲気下において、500mLのシュレンクフラスコにn-BuLi(81.02g、0.291mol)とn-ヘキサン300mLを入れて-15℃まで冷却し、MeN(CHNHMe(33.8g、0.291mol)を徐々に滴加した後、反応溶液を室温まで徐々に温度を上げ、4時間撹拌することで、[MeN(CHNMe]Li溶液を合成した。
【0110】
1Lのシュレンクフラスコにn-BuLi(121.53g、0.436mol)とn-ヘキサン500mLを入れて-15℃まで冷却し、EtNH(25.79g、0.436mol)を徐々に滴加した後、徐々に室温に温度を上げ、4時間撹拌することで、[EtN]Li溶液を合成した。
【0111】
2LのシュレンクフラスコにAlClを入れて-15℃まで冷却し、ジエチルエーテル[(CO]500mLを入れて徐々に室温に温度を上げた後、2時間撹拌した。上記溶液を再び-15℃まで冷却し、[MeN(CHNMe]Li溶液を撹拌しながら徐々に滴加した。滴加が終了した後、徐々に室温に温度を上げ、約14時間撹拌した。その後、上記溶液を-15℃まで冷却し、撹拌しながら[EtN]Li溶液を徐々に滴加した後、徐々に室温に温度を上げ、約14時間撹拌した。
【0112】
上記反応が完了した後、ガラスフリット(frit)を利用して濾過し、得られた濾過液を0.3torrの減圧下で溶媒を除去し、残った液体を蒸留することで、[化7]の常温で液体である黄色の化合物33.69g(収率53.8%)が得られた。
【化15】
沸点(b.p.)95℃(0.25torr);
元素分析
計算値-C1435Al:C60.12、H12.89、N19.48;
実測値C60.07、H12.82、N19.56;
H-NMR(400MHz、C、25℃):δ3.127(m、8H、N-C CH)、2.950(t、2H、(CHN-CHCH -NCH)、2.888(s、3H、(CHN-CHCHCH-NC )、2.100(t、2H、(CHN-C CHCH-NCH)、1.890(s、6H、(C N-CHCHCH-NCH)、1.405(m、2H、N-(CHN-CH CH-NCH)、1.234(t、12H、N-CH )。
【0113】
<実施例4>HAl(NBu(CHNMe)液体化合物の熱安定性評価
図1に示す装置を使用し、実施例1によって製造したHAl(NBu(CHNMe)化合物の熱安定性を評価した。50gのHAl(NBu(CHNMe)化合物を入れたソースキャニスタ(Source canister)を60℃の温度に維持しながら、減圧下で上記キャニスタにアルゴン(Ar)搬送ガス(carrier gas)を100sccmの流速で通過させた。ソースキャニスタから出たHAl(NBu(CHNMe)化合物を含む気体を0~4週間、5~8週間、9~12週間ドライアイスで冷却したレシーバキャニスタ(Receiver canister)1、2、及び3にそれぞれ収集して、状態又は色の変化を観察し、NMRスペクトルを測定した。レシーバキャニスタ1、2、及び3に収集された物質は、全て透明な液体であってソースキャニスタに入れる前と同じ状態であり、NMRスペクトルのピーク面積で計算した純度は、下記表1に示すように12週間全く変化がないか、事実上変わらなかった。従って、実施例1によって製造されたHAl(NBu(CHNMe)化合物は、CVD又はALD前駆体としての用途に使用するのに十分なほど熱安定性が高いことが分かる。
【0114】
【表1】
【0115】
<実施例5>HAl(NBu(CHNMe)液体化合物とアンモニア(NH)を使用した窒化アルミニウム(AlN)薄膜の形成
原子層蒸着法(ALD)を利用し、実施例1によって製造したHAl(NBu(CHNMe)化合物を前駆体に、アンモニア(NH)を反応気体に使用し、シリコンウェハ、又は縦横比約10:1の非常に狭い溝があり表面にTiN膜が形成された基板を基材に使用して窒化アルミニウム薄膜を形成した。上記基材は300℃又は325℃の温度に加熱し、ステンレススチール材質の容器に入れたHAl(NBu(CHNMe)は65℃の温度に加熱し、アルゴン(Ar)搬送ガス(carrier gas)を使用してALD反応器に供給した。アンモニアは、200sccmの流速でALD反応器に供給した。
【0116】
基材温度300℃又は325℃において、上記ALD反応器に5、10、15、20、又は25秒間アルゴン搬送ガスと共にHAl(NBu(CHNMe)蒸気(vapor)を供給し、その後に15秒間アルゴン気体を供給し、その後に15秒間アンモニアを供給し、その後に再び15秒間アルゴン気体を供給することでALD気体供給周期を完成し、それを200回繰り返した。上記ALD気体供給周期を繰り返すことにより形成された膜の断面をSEMで観察して窒化アルミニウム膜の厚さを測定した。上記測定された厚さを単に気体供給週期200回で割ることで得られたALD膜成長をアルミニウム前駆体供給時間に従って図2に示した。TMAとNHを使用する場合にTMAの供給時間を増やせば膜成長が増加し続けることとは異なり、HAl(NBu(CHNMe)及びNHを利用した膜成長は、HAl(NBu(CHNMe)の供給時間を増やしても膜成長が増加しないというALDの長所を示す。基材温度325℃において、シリコン基材に20秒間上記前駆体を供給し、その後に15秒間アルゴン気体を供給し、その後に15秒間アンモニアを供給し、その後に再び15秒間アルゴン気体を供給するALD気体供給周期を200回繰り返すことにより窒化アルミニウム薄膜を蒸着し、オージェ(Auger)電子分光分析法を利用して上記窒化アルミニウム薄膜を分析することで深さに応じた膜の原子組成を測定した。その深さプロファイルの原子組成は図3に示した。表面では酸素原子が高い濃度で観察されたが、膜の内部へ行くほど酸素原子の濃度は急激に減少していき、スパッタ時間6分以後には酸素原子が検出されなかった。自然酸化膜(native oxide film)を除去していないシリコン基材の上に上記窒化アルミニウム膜を形成したため、スパッタ時間9分~12分の区間で観察された酸素原子は、使用したシリコン基材の自然酸化膜に起因するものである。図3の結果から、アルミニウムと窒素が約1:1の割合で含まれた薄膜が形成されたことが分かる。不安定であるか緻密でない窒化アルミニウム膜が空気に露出されれば、膜の内部まで酸素が侵透するが、膜の内部には酸素原子が侵透しなかったことから、当該形成された窒化アルミニウム膜が十分に安定且つ緻密であることが分かる。
【0117】
基材温度325℃において、縦横比約10:1の非常に狭い溝があり、表面にTiN膜が形成された基材に、上記ALD気体供給周期を50回繰り返すことにより形成された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、その結果を図4a、図4b、及び図4cに示した。溝の最も深い所と溝の上部に膜厚6.3nm~6.5nmの均一な厚さの膜が形成されていることが確認された。
【0118】
基材温度325℃において、上記ALD気体供給周期を30回繰り返すことにより蒸着された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、その結果を図5a、図5b、及び図5cに示した。溝の最も深い所と溝の上部に膜厚3.1nm~3.2nmの均一な厚さの膜が形成されていることが確認された。
【0119】
基材温度300℃において、上記ALD気体供給周期を30回繰り返すことにより蒸着された窒化アルミニウム薄膜の断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、その結果を図6a、図6b、及び図6cに示した。溝の最も深い所と溝の上部に膜厚3.0nm~3.2nmの均一な厚さの膜が形成されていることが確認された。
【0120】
図5a乃至図5cと図6a乃至図6cを比較すると、基材温度300℃及び325℃においてALD膜成長が均一であることが分かる。
【0121】
<実施例6>(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)液体化合物とアンモニア(NH)を使用した窒化アルミニウム(AlN)薄膜の形成
原子層蒸着法(ALD)を利用し、実施例2によって製造した(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)化合物を前駆体に、アンモニア(NH)を反応気体に使用して窒化アルミニウム薄膜を形成した。シリコン(Si)ウェハを基材に使用し、実施例5と同じALD反応器で窒化アルミニウム薄膜を形成した。上記基材は300℃、325℃、350℃、及び400℃の温度にそれぞれ加熱し、ステンレススチール材質の容器に入れた(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)は95℃の温度に加熱し、アルゴン(Ar)搬送ガスを使用して供給した。アンモニアは、200sccmの流速でALD反応器に供給した。上記反応器に15秒間アルゴン搬送ガスと共に(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)蒸気(vapor)を供給し、その後に15秒間アルゴン気体を供給し、その後に15秒間アンモニアを供給し、その後に再び15秒間アルゴン気体を供給することでALD気体供給周期を完成し、それを200回繰り返した。上記工程により基材温度300℃、325℃、350℃、及び400℃においてそれぞれ窒化アルミニウム膜を形成し、当該形成された膜の断面をSEMで観察した。上記観察の結果、上記測定された膜の厚さは、それぞれ29.1nm、30.1nm、32.1nm、及び34.0nmである。上記測定された厚さを単に気体供給週期200回で割ったALD膜成長を図7に示した。図7を参照すると、TMAとNHを使用する場合とは異なり、(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)とNHを使用する場合に、基材温度が上昇するにつれてALD膜成長が急激に増加するのではなく、比較的一定であることが分かる。
【0122】
<実施例7>HAl(NBu(CHNMe)液体化合物とオゾン(O)を使用した酸化アルミニウム(Al)薄膜の形成
原子層蒸着法(ALD)を利用し、実施例1によって製造したHAl(NBu(CHNMe)化合物を前駆体に、オゾン(O)を反応気体に、シリコン(Si)ウェハを基材に使用して酸化アルミニウム薄膜を形成した。上記基材の温度を250℃~350℃に加熱し、ステンレススチール材質の容器に入れたHAl(NBu(CHNMe)は65℃の温度に加熱し、アルゴン(Ar)搬送ガスを使用して供給した。1000sccmの流速の酸素気体を利用して生成されたオゾンをALD反応器に供給した。上記反応器に15秒間アルゴン搬送ガスと共にHAl(NBu(CHNMe)蒸気(vapor)を供給し、その後に20秒間アルゴン気体を供給してパージし、その後に15秒間オゾンを供給し、その後に再び15秒間アルゴン気体を供給してパージすることで1周期を完成し、それを200回繰り返した。上記工程により形成されたアルミニウム酸化物薄膜の厚さを測定した結果、基材温度約250℃~約350℃の範囲においてALD気体供給週期当たりの膜成長が比較的一定に示されたことが確認された。
【0123】
<実施例8>(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)液体化合物とオゾン(O)を使用した酸化アルミニウム(Al)薄膜の形成
原子層蒸着法(ALD)を利用し、実施例2によって製造した(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)化合物を前駆体に、オゾン(O)を反応気体に、シリコン(Si)ウェハを基材に使用し、実施例7と同じ反応器で酸化アルミニウム薄膜を形成した。上記基材の温度を約250℃~約350℃に加熱し、ステンレススチール材質の容器に入れた(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)は90℃の温度に加熱し、アルゴン(Ar)搬送ガスを使用して供給した。1000sccmの流速の酸素気体を利用して生成されたオゾンをALD反応器に供給した。上記反応器に3秒間アルゴン搬送ガスと共に(EtMeN)Al(NMe(CHNMe)蒸気(vapor)を供給し、その後に5秒間アルゴン気体を供給してパージし、その後に5秒間オゾンを供給し、その後に再び10秒間アルゴン気体を供給してパージすることで1周期を完成し、それを200回繰り返した。上記工程により形成されたアルミニウム酸化物薄膜のALD気体供給週期当たりの膜成長を図8に示した。図8に示すように、基材温度約250℃~約350℃の範囲においてALD気体供給週期当たりの膜成長が一定であることが確認された。
【0124】
上述した本願の説明は例示のためのものであり、本願の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本願の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0125】
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8