(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法
(51)【国際特許分類】
B07B 1/42 20060101AFI20231213BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20231213BHJP
B07B 1/00 20060101ALI20231213BHJP
B07B 1/28 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B07B1/42 F
G01M99/00 Z
B07B1/00 Z
B07B1/28 Z
(21)【出願番号】P 2022071654
(22)【出願日】2022-04-25
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】202111561384.0
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520442807
【氏名又は名称】中国鉱業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】段晨龍
(72)【発明者】
【氏名】王維楠
(72)【発明者】
【氏名】江海深
(72)【発明者】
【氏名】趙躍民
(72)【発明者】
【氏名】盧佳旺
(72)【発明者】
【氏名】侯旭
(72)【発明者】
【氏名】喬金鵬
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-507490(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112871703(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111177942(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111208759(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113359512(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第3825949(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-1/62
G01M 13/00-13/045,99/00
G16Y 10/00-40/60
G06F 30/00-30/398
G06Q 10/00-10/30,30/00-30/08,50/00-50/20,50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を収集するステップ1と、
ステップ1で収集したふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ及び粒子群成分パラメータに従って、ふるい分け機の3次元構造モデルを確立するステップ2と、
確立したふるい分け機の3次元構造モデルに基づいて、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを取得するステップ3と、
ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータ及び実際の生産データに従って、前記ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを修正するステップ4と、
修正したふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルに基づいてクラウドデータベースを構築し、端末装置を通じてリアルタイムの作動状態を取得するステップ5と、
取得したリアルタイムの作動状態に基づいて、ふるい分け効果をリアルタイムで評価するステップ6とを含む、ことを特徴とする、デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項2】
前記ステップ3は、確立したふるい分け機の3次元構造モデルをメッシュ化し、分割した複数の小さなユニットを計算して、対応する補間アルゴリズムを選択してまとめ、そして、収集した加速度情報に基づいて、端末装置によって
3次元構造モデルを採用して建立したふるい分け機の作動状態を実際の
ふるい分け機の作動と一致するように制御
することにより、デジタルツインシミュレーションモデルを取得することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項3】
前記ステップ4において、仮想テストデータは、ふるい分け機構造の応力と歪み情報、モータの回転速度と温度変化情報、ふるい分け機の主要部材の加速度情報、及び
物質のプロセスパラメータ情報を含み、
ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータをリアルタイムで収集し、収集した仮想テストデータを、同じ時間に実際の生産で収集したテストデータと比較して、前記デジタルツインシミュレーションモデルを修正し、それにより実際の工業用ふるい分けプロセスを正確に反映する、ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項4】
前記ステップ2において、前記ふるい分け機の3次元構造モデルの確立プロセスは、
収集したふるい分け機の構造パラメータ
を産業用パーソナルコンピュータにアップロードして処理及び分析することと、
上記の産業用パーソナルコンピュータで処理及び分析した材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を追加することと、
可視化プラットフォームを実行することにより、ふるい分け機の3次元構造モデルを取得することとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項5】
前記ステップ6において、前記リアルタイム評価は、ふるい分け効率、処理能力、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合に対する評価を含み、
リアルタイム評価と同時に、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムでテスト及び収集し、デジタル端末でふるい分け機の振動パラメータを調整する、ことを特徴とする請求項2に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項6】
前記方法は、ふるい分け効果をリアルタイムで評価するとき、ふるい分け機を監視して過負荷の場合に事前に警告することと、異常が発生すると、警告及び報告し、実際の生産におけるふるい分け機を直ちに停止してメンテナンスを行うこととを更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項7】
前記ステップ1において、前記ふるい分け機の構造パラメータは、ふるい分け機自体の構造サイズ、応力歪み、加速度、モータ回転速度、及び温度変化パラメータを含み、
前記材料パラメータは、密度、弾性率、ポアソン比、硬度、引張強度、及び降伏強度を含み、
前記粒子群成分パラメータは、粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項8】
前記ステップ1において、前記ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータは、ふるい面への
物質粒子の衝撃を指し、前記機器作動時の周辺環境情報は、機器周辺の温度及び湿度情報を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項9】
前記ステップ1において、前記ふるい分け機の構造パラメータの収集プロセスは、
ふるい分け機のふるい分けフレーム及び励振ビームに、それぞれ応力歪みセンサ及び第1の加速度センサを配置して、ふるい分け機の応力歪み及び加速度を収集することと、
励振モータに温度センサ及び回転速度センサを配置して、励振モータの回転速度及び温度変化状況を監視することと、
ふるい分け用
物質の移動方向に沿って、ふるい面上に複数組の第2の加速度センサを順に配置して、ふるい分けプロセスにおけるふるい面の加速度情報を収集することとを含む、ことを特徴とする請求項6に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【請求項10】
前記ステップ1において、前記粒子群成分パラメータの収集プロセスは、
ふるい分け機の供給端と排出端の周辺にそれぞれ視覚センサ及びX線を配置することと、
ふるい分け機の供給端において、その対応する視覚センサにより、供給される
物質の粒度組成及び粒子サイズを収集し、その対応するX線により、供給される
物質の灰分及び水分含有量を収集することと、
ふるい分け機の排出端において、その対応する視覚センサにより、排出される
物質の粒度組成及び粒子形状を収集し、その対応するX線により、排出される
物質の灰分及び水分含有量を収集することとを含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふるい分けの技術分野に関し、特にデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ふるい分けとは、異なる粒子サイズの分散混合物質をふるい穴に通すことで、それらを粒度に応じて異なる粒子サイズ範囲の物質に分ける分離技術である。工業用ふるい分けとは、工業生産プロセスの重要な一環として、工場又は鉱山での採掘及び加工工程における連続生産物質の大規模なふるい分け作業を指す。
【0003】
従来のふるい分け効果評価では、主に単一のふるい分け作業にかけられる物質に対して静的にサンプリングしてふるい分け効果を評価する。工業用ふるい分けの場合、連続生産プロセスでは、従来のふるい分け効果評価システムは、ランダムにサンプリングして評価することしかできず、リアルタイムでオンラインで正確に測定することができない。また、ふるい分け機の作動条件の変化が非常に複雑であるため、従来のふるい分け効果評価システムは適時性が低く、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムで反映することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の分析を考慮して、本発明は、従来技術では工業用ふるい分け効果をリアルタイムで評価することができないという問題を解決するために、デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の目的は、主に以下の技術的解決策によって達成される。
【0006】
本発明は、デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法を提供し、該評価方法は、ふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を収集するステップ1と、
ステップ1で収集したふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ及び粒子群成分パラメータに従って、ふるい分け機の3次元構造モデルを確立するステップ2と、
確立したふるい分け機の3次元構造モデルに基づいて、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを取得するステップ3と、
ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータ及び実際の生産データに従って、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを修正するステップ4と、
修正後のふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルに基づいてクラウドデータベースを構築し、端末装置を通じて機器のリアルタイムの作動状態を取得するステップ5と、
取得した機器のリアルタイムの作動状態に基づいて、ふるい分け効果をリアルタイムで評価するステップ6とを含む。
【0007】
更に、上記ステップ3は、確立したふるい分け機の3次元構造モデルをメッシュ化し、分割した複数の小さなユニットを計算して、対応する補間アルゴリズムを選択してまとめ、そして、収集した加速度情報に基づいて、端末装置によってふるい分け機の作動状態を実際の作動と一致するように制御し、更にふるい分け機全体の構造特性を取得し、ふるい分け機の主要部材を監視して過負荷の場合に事前に警告し、最終的にデジタルツインシミュレーションモデルを取得することを含む。
【0008】
更に、ステップ4において、仮想テストデータは、ふるい分け機構造の応力と歪み情報、モータの回転速度と温度変化情報、ふるい分け機の主要部材の加速度情報、及び物質のプロセスパラメータ情報を含み、
作業状態でのふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータをリアルタイムで収集し、収集した仮想テストデータを、同じ時間に実際の生産で収集したテストデータと比較して、デジタルツインシミュレーションモデルを修正し、それにより実際の工業用ふるい分けプロセスを正確に反映する。
【0009】
更に、ステップ2において、ふるい分け機の3次元構造モデルの確立プロセスは、
収集したふるい分け機の構造パラメータを産業用パーソナルコンピュータにアップロードして処理及び分析することと、
上記の産業用パーソナルコンピュータで処理及び分析した材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を追加することと、
可視化プラットフォームを実行することにより、ふるい分け機の3次元構造モデルを取得することとを含む。
【0010】
更に、ステップ6において、リアルタイム評価は、ふるい分け効率、処理能力、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合に対する評価を含み、
リアルタイム評価と同時に、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムでテスト及び収集し、デジタル端末を通じてふるい分け機の振動パラメータを調整する。
【0011】
更に、方法は、ふるい分け効果をリアルタイムで評価するとき、ふるい分け機を監視して過負荷の場合に事前に警告することと、異常が発生すると、警告及び報告し、実際の生産におけるふるい分け機を直ちに停止してメンテナンスを行うこととを含む。
【0012】
更に、ステップ1において、ふるい分け機の構造パラメータは、ふるい分け機自体の構造サイズ、応力歪み、加速度、モータ回転速度、及び温度変化パラメータを含み、
材料パラメータは、密度、弾性率、ポアソン比、硬度、引張強度、及び降伏強度を含み、
粒子群成分パラメータは、粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量を含む。
【0013】
更に、ステップ1において、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータは、ふるい面への物質粒子の衝撃を指し、機器作動時の周辺環境情報は、機器周辺の温度及び湿度情報を含む。
【0014】
更に、ステップ1において、ふるい分け機の構造パラメータの収集プロセスは、
ふるい分け機のふるい分けフレーム及び励振ビームに、それぞれ応力歪みセンサ及び第1の加速度センサを配置して、ふるい分け機の応力歪み及び加速度を収集することと、
励振モータに温度センサ及び回転速度センサを配置して、励振モータの回転速度及び温度変化状況を監視することと、
ふるい分け用物質の移動方向に沿って、ふるい面上に複数組の第2の加速度センサを順に配置して、ふるい分けプロセスにおけるふるい面の加速度情報を収集することとを含む。
【0015】
更に、ステップ1において、粒子群成分パラメータの収集プロセスは、ふるい分け機の供給端と排出端の周辺にそれぞれ視覚センサ及びX線を配置することと、ふるい分け機の供給端において、その対応する視覚センサにより、供給される物質の粒度組成及び粒子サイズを収集し、その対応するX線により、供給される物質の灰分及び水分含有量を収集することと、ふるい分け機の排出端において、その対応する視覚センサにより、排出される物質の粒度組成及び粒子形状を収集し、その対応するX線により、排出される物質の灰分及び水分含有量を収集することとを含む。
【0016】
従来技術と比較して、本発明は、少なくとも以下の有益な効果のうちの1つを達成することができる。
【0017】
(1)本発明が提供するデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法は、物質の大規模な工業用ふるい分けプロセスにおけるふるい分け効果をリアルタイムで動的に評価すると同時に、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムで検出することができ、鉱山採掘加工、砂石骨材の製造、産業固形廃棄物処理などの工業生産プロセスにおけるふるい分け効果の評価に適する。
【0018】
(2)既存の評価システムと比較して、本発明が提供するデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法は、デジタルツインシミュレーションモデルを確立することにより工業用ふるい分けプロセスをシミュレートし、工業用ふるい分け効果のリアルタイム動的評価を実現すると同時に、リアルタイムで取得したふるい分けプロセスにおけるふるい分け機の作業状態パラメータに応じて、ふるい分け機の構造の信頼性のリアルタイム検出を実現するという利点を有し、本発明は、従来技術では工業用ふるい分け効果をリアルタイムで動的に評価することができないという問題を効果的に解決することができる。
【0019】
(3)本発明が提供するデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法は、リアルタイム性、高精度及び高い一致度などの特徴を有する。リアルタイム性について、本発明のシステムはリアルタイム評価を実現することができ、それに対して、従来のふるい分け評価では、工業生産のある時点で作動している機器を代表してサンプリングし、そのサンプルに従ってふるい分け効果を評価するため、ある程度の遅れがあり、且つリアルタイムでサンプリングすることができない。高精度について、本発明は、ふるい面上の物質の特定の断面又は特定の部分をすべて分析してふるい分け効果を評価することができ、従来のランダムサンプリングよりも精度が高い。高い一致度について、本発明により得られるふるい分け効果の結果はふるい分け機の現在の作業状態と一致しており、一致度が高く、ふるい分け効果の評価結果に応じて作動中の機器にフィードバック調整を行うことが容易になる。上記の2点に基づき、従来のふるい分け評価では、本発明のように評価結果と作業状態との一致度が高くない。
【0020】
本発明では、上記の各技術的解決策を互いに組み合わせて、より多くの好ましい組み合わせ解決策を達成することもできる。本発明の他の特徴及び利点は、以下の明細書において説明され、また、いくつかの利点は、明細書から明らかになるか、又は本発明の実施によって理解することができる。本発明の目的及び他の利点は、明細書の実施形態及び添付の図面で特に指摘された内容によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面は、特定の実施形態を例示することのみを目的としており、本発明を限定するものと見なされるべきではない。図面全体を通して、同様の参照番号は、同様の部材を表す。
【
図1】
図1は、本発明のデジタルツインに基づく
物質ふるい分け効果の動的評価方法のプロセスフロー図である。
【
図2】
図2は、本発明のデジタルツインに基づく
物質ふるい分け効果の動的評価システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を具体的に説明する。添付の図面は、本発明の一部を構成し、本発明の実施形態とともに、本発明の原理を説明するために使用されるが、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。
【0023】
デジタルツインとは、物理モデル、センサ更新、作動履歴などのデータを利用してシミュレーションプロセスを構築し、仮想空間でマッピングすることで、対応する物理機器のライフサイクルプロセス全体を反映することを指す。従来のふるい分け効果評価では、主に単一のふるい分け作業にかけられる物質に対して静的にサンプリングしてふるい分け効果を評価する。工業用ふるい分けの場合、連続生産プロセスでは、従来のふるい分け効果評価システムは、ランダムにサンプリングして評価することしかできず、リアルタイムでオンラインで正確に測定することができない。また、ふるい分け機の作動条件の変化が非常に複雑であるため、従来のふるい分け効果評価システムは適時性が低く、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムで反映することができない。したがって、デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法を開発することは非常に重要である。
【0024】
本発明は、デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法を提供し、
図1に示すプロセスフローのように、該方法は、
ふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を収集するステップ1と、
ふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ及び粒子群成分パラメータを用いて3次元構造モデルを確立するステップ2と、
確立したふるい分け機の3次元構造モデルに基づいて、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを取得するステップ3と、
ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータ及び実際の生産データに従って、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを修正するステップ4と、
修正後のふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルに基づいてクラウドデータベースを構築し、端末装置を通じて機器のリアルタイムの作動状態を取得するステップ5と、
取得した機器のリアルタイムの作動状態に基づいて、ふるい分け効果をリアルタイムで評価するステップ6とを含む。
【0025】
従来技術と比較して、本発明が提供するデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法は、材料の大規模な工業用ふるい分けプロセスにおけるふるい分け効果をリアルタイムで動的に評価すると 同時に、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムで検出することができ、鉱山採掘加工、砂石骨材の製造、産業固形廃棄物処理などの工業生産プロセスにおけるふるい分け効果の評価に適する。
【0026】
具体的には、上記ステップ1において、ふるい分け機の構造パラメータは、ふるい分け機自体の構造サイズ、応力歪み、加速度、モータ回転速度、及び温度変化パラメータを含む。材料パラメータは、各種構造の独自の特性であり、それは密度、弾性率、ポアソン比、硬度、引張強度、及び降伏強度を含む。粒子群成分パラメータは、粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量を含む。
【0027】
上記ステップ1において、材料パラメータは、テストによって取得されるのではなく、標準照会によって取得できることに留意されたい。
【0028】
上記ステップ1において、ふるい分け機の構造パラメータの収集プロセスは、ふるい分け機のふるい分けフレーム及び励振ビームに、それぞれ応力歪みセンサ及び第1の加速度センサを配置して、ふるい分け機の応力歪み及び加速度を収集することと、励振モータに温度センサ及び回転速度センサを配置して、励振モータの回転速度及び温度変化状況を監視することと、ふるい分け用物質の移動方向に沿って、ふるい面上に複数組の第2の加速度センサを順に配置して、ふるい分けプロセスにおけるふるい面の加速度情報を収集することとを含む。
【0029】
上記ステップ1において、粒子群成分パラメータの収集プロセスは、ふるい分け機の供給端と排出端の周辺にそれぞれ視覚センサ及びX線を配置することと、ふるい分け機の供給端において、その対応する視覚センサにより、供給される物質の粒度組成及び粒子形状を収集し、その対応するX線により、供給される物質の灰分及び水分含有量を収集することと、ふるい分け機の排出端において、その対応する視覚センサにより、排出される物質の粒度組成及び粒子サイズを収集し、その対応するX線により、排出される物質の灰分及び水分含有量を収集することとを含む。
【0030】
なお、上記ステップ1において、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータは、ふるい面への物質粒子の衝撃を指し、機器作動時の周辺環境情報は、機器周辺の温度及び湿度情報を含む。
【0031】
上記ステップ2において、デジタルツインシミュレーションモデルの具体的な確立プロセスは、ステップ1で収集したふるい分け機の構造パラメータに従ってふるい分け機の3次元構造モデルを確立することであり、収集した信号はデジタル信号であり、加速度や振動周波数などの一連のパラメータを含む対応する物理情報を取得するために処理及び分析する必要があるため、確立プロセスは、収集したふるい分け機の構造パラメータを同じ産業用パーソナルコンピュータにアップロードして処理及び分析し、これらのパラメータをツインモデルから出力してユーザにフィードバックすることと、上記の産業用パーソナルコンピュータで処理及び分析した材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を追加することと、可視化プラットフォームを実行することとを含む。
【0032】
また、確立したふるい分け機の3次元構造モデルをメッシュ化し、分割した複数の小さなユニットを計算して、対応する補間アルゴリズムを選択してまとめ、そして、収集した加速度情報に基づいて、端末装置によってふるい分け機の作動状態を実際の作動と一致するように制御し、更にふるい分け機全体の構造特性(応力歪み、加速度、回転速度及び温度変化などのふるい分け機のリアルタイムの構造パラメータを指す)を取得し、ふるい分け機の主要部材(ふるい面、側板及び励振ビームを含む)を監視して過負荷の場合に事前に警告することを容易にし、これによりデジタルツインシミュレーションモデルを得る。
【0033】
なお、上記ステップ3は、確立したふるい分け機の3次元構造モデルをメッシュ化し、分割した複数の小さなユニットを計算して、対応する補間アルゴリズムを選択してまとめ、そして、収集した加速度情報に基づいて、端末装置によってふるい分け機の作動状態を実際の作動と一致するように制御し、更にふるい分け機全体の構造特性を取得し、ふるい分け機の主要部材を監視して過負荷の場合に事前に警告し、最終的にデジタルツインシミュレーションモデルを取得することを含む。そのうち、具体的な制御プロセスでは、デジタルツインシミュレーションモデルをふるい分け機の実際の作動パラメータと一致させるには、収集及び分析により得た物理情報を、シミュレーション方法によってふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルに表示する必要がある。
【0034】
上記ステップ3において、デジタルツインシミュレーションモデルの具体的な修正プロセスは以下のとおりである。特定の作業状態で、ステップ2で確立したデジタルツインシミュレーションモデルを用いて時間tiでの仮想テストデータを収集し、該仮想テストデータは、ふるい分け機構造の応力と歪み情報、モータの回転速度と温度変化情報、ふるい分け機の主要部材(ふるい面、側板及び励振ビームを含む)の加速度情報、及び粒子群成分パラメータ情報(粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量を含む)を含み、そして、再現性について、時間tiでデジタルツインシミュレーションモデルを用いて収集した仮想テストデータを、時間tiに対応する実際の生産で収集したテストデータと複数回比較して、その信頼性を判断し、信頼性が要件を満たしていない場合、ステップ2で入力したふるい分け機の構造パラメータを修正することでふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの修正を実現し、デジタルツインシミュレーションモデルが実際の工業用ふるい分けプロセスを正確に反映するまで、このプロセスを繰り返してデジタルツインシミュレーションモデルを継続的に修正する。
【0035】
なお、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを修正する際は、入力パラメータのソースファイルで直接修正を行い、修正は、時間tiで実際に測定したデータに基づいており、修正プロセスでは複数の測定が必要であり、iは時系列番号であり、また、構造パラメータ(ふるい分け機自体の構造サイズ、応力歪み、加速度、モータ回転速度及び温度変化)は、対応する測定機器でテストすることによって取得される。
【0036】
上記ステップ4において、仮想テストデータは、ふるい分け機構造の応力と歪み情報、モータの回転速度と温度変化情報、ふるい分け機の主要部材の加速度情報、及び物質のプロセスパラメータ情報を含み、作業状態でのふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータをリアルタイムで収集し、収集した仮想テストデータを、同じ時間に実際の生産で収集したテストデータと比較して、前記デジタルツインシミュレーションモデルを修正し、それにより実際の工業用ふるい分けプロセスを正確に反映する。
【0037】
上記ステップ5において、修正後のふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルに基づいてクラウドデータベースを構築し、そしてクラウドプラットフォームを構築し、ユーザは、コンピュータや携帯電話などの端末装置を通じて機器のリアルタイムの作動状態を取得することができ、またふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを用いてふるい分け効果をリアルタイムで評価し、リアルタイム評価は、ふるい分け効率、処理能力、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合に対する評価を含む。同時に、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムでテスト及び収集し、デジタル端末を通じてふるい分け機の振動パラメータを調整することができる。
【0038】
上記ステップ6において、ふるい分け効果は、ふるい分け効率、処理能力、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合の指標を含む。ふるい分け効果をリアルタイムで評価する際は、ふるい分け機を監視して過負荷の場合に事前に警告し、異常が発生すると、警告及び報告し、実際の生産におけるふるい分け機を直ちに停止してメンテナンスを行う。
【0039】
ふるい分け効率を評価するとき、具体的な指標の評価式は以下のとおりである。
【0040】
オーバーサイズの割合U
c、アンダーサイズの割合U
fを以下のように計算する。
【数1】
【数2】
ここで、U
cはオーバーサイズの割合(%)を表し、U
fはアンダーサイズの割合(%)を表し、O
fは篩下製品における細粒
物質の比率(%)を表し、O
cは、篩上製品における粗粒
物質の比率(%)を表す。
【0041】
ふるい分け効率
を以下のように計算する。
【数3】
【数4】
【数5】
【0042】
誤入物総含有量M
tを以下のように計算する。
【数6】
【数7】
【数8】
【0043】
処理能力Qを以下のように計算する。
【数9】
Qは処理能力(t/h)を表し、qは単位面積あたりの処理能力(t/(h・m
2))を表し、Sはふるい分け面積(m
2)を表す。
【0044】
上記の指標計算式でふるい分け効率、処理能力、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合の各指標のデータを取得し、機器のふるい分け性能を評価することは、主にふるい分けされたされた製品の粒度と収率(処理能力)が工業生産要件を満たしているか否かに基づいていることを強調すべきである。生産要件から大きく逸脱している場合(統一基準がなく、状況によって異なる)、工業生産要件を満たすように機器パラメータ及び物質パラメータを調整し、また調整後のパラメータに従ってデジタルツインシミュレーションモデルを修正することができる。
【0045】
本発明の工業用ふるい分け効果の動的評価方法は更に以下を含むことを指摘すべきである。
【0046】
ふるい分け機を監視して過負荷の場合に事前に警告する場合、振動ふるいの作業状態パラメータを監視及び警告する必要があることに留意されたい。その具体的なプロセスは以下のとおりである。
【0047】
(i)ある作業状態で、この時間をt0と定義し、まず時間t0でのふるい分け機の応力歪み、加速度、回転速度、温度及びふるい面の加速度情報を収集する。
【0048】
(ii)時間t0に対応する応力歪み、加速度、回転速度、温度及びふるい面の加速度情報を、前に構築したクラウドデータベースのデータ区間と比較して、区間範囲を±5%超えているか否かを判断する。
【0049】
(iii)該区間範囲を±5%超えている場合、振動ふるいの作動に故障がある可能性があり、直ちに実際のふるい分け機の作動プロセスにフィードバックしてから、実際の生産におけるふるい分け機を停止してメンテナンスを行う。
【0050】
上記ステップ5において、物質を監視して過負荷の場合に事前に警告する場合、物質パラメータを監視及び警告する必要があり、その具体的なプロセスは以下のとおりである。
【0051】
(i)供給される石炭の粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量指標、並びに排出端における篩上製品及び篩下製品の粒度組成を収集する。
【0052】
(ii)供給端、篩上排出端及び篩下排出端におけるこの3種類の物質の粒度組成、及び機器自体の処理能力に応じて、篩上製品、篩下製品、及び異なる粒度の物質の収率を得る。
【0053】
(iii)機器のふるい分け効率(総合分離指数)、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合指標を計算する。
【0054】
従来技術と比較して、本発明が提供するデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法は、デジタルツインシミュレーションモデルによって工業用ふるい分けプロセスをシミュレートし、工業用ふるい分け効果のリアルタイム動的評価を実現すると同時に、リアルタイムで収集したふるい分けプロセスにおけるふるい分け機の作業状態パラメータに応じて、ふるい分け機の構造の信頼性のリアルタイム検出を実現するという利点を有し、本発明は、従来技術では工業用ふるい分け効果をリアルタイムで動的に評価することができないという問題を効果的に解決することができる。
【0055】
一方、
図2に示すように、本発明はまた、デジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価システムを提供しており、
図1に示すように、該評価システムは、接続されたデジタルツインシミュレーションユニット及びふるい分け効果リアルタイム評価ユニットを含み、デジタルツインシミュレーションユニットは、実際の工業用ふるい分けプロセスをシミュレートし、取得した仮想テストデータを実際の工業用ふるい分けデータと比較して、実際の工業用ふるい分けプロセスを反映するために使用され、ふるい分け効果リアルタイム評価ユニットは、ふるい分け効率、処理能力、誤入物含有量、オーバーサイズの割合及びアンダーサイズの割合を評価するために使用され、ふるい分け効果リアルタイム評価ユニットは、リアルタイム評価と同時に、ふるい分け機の作動状態をリアルタイムでテスト及び収集し、デジタルツインシミュレーションユニットを通じてふるい分け機の振動パラメータを調整する。
【0056】
本発明の評価システムは、データ収集ユニットを更に含み、該パラメータ収集ユニットは、デジタルツインシミュレーションユニットに接続され、ふるい分け機の構造パラメータ、材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を収集するために使用される。
【0057】
なお、ふるい分け機の構造パラメータは、ふるい分け機自体の構造サイズ、応力歪み、加速度、モータ回転速度、及び温度変化パラメータを含み、材料パラメータは、密度、弾性率、ポアソン比、硬度、引張強度、及び降伏強度を含み、粒子群成分パラメータは、粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量を含む。
【0058】
なお、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータは、ふるい面への物質粒子の衝撃を指し、機器作動時の周辺環境情報は、機器周辺の温度及び湿度情報を含む。
【0059】
なお、デジタルツインシミュレーションユニットはふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを含み、デジタルツインシミュレーションモデルは、ふるい分け機の3次元構造モデルによって確立され、その確立プロセスは以下のとおりである。ふるい分け機の3次元構造モデルをメッシュ化し、分割した複数の小さなユニットを計算して、対応する補間アルゴリズムを選択してまとめ、そして、収集した加速度情報に基づいて、ふるい分け機の作動状態を実際の作動と一致するように制御し、更にふるい分け機全体の構造特性を取得し、ふるい分け機の主要部材を監視して過負荷の場合に事前に警告し、最終的にふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルを取得する。
【0060】
ふるい分け機の3次元構造モデルの確立プロセスは以下のとおりである。
【0061】
収集したふるい分け機の構造パラメータを同じ産業用パーソナルコンピュータにアップロードして処理及び分析し、そして上記の産業用パーソナルコンピュータで処理及び分析した材料パラメータ、粒子群成分パラメータ、ふるい分けプロセスにおける負荷パラメータ、及び機器作動時の周辺環境情報を追加し、更に可視化プラットフォームを実行することにより、ふるい分け機の3次元構造モデルを取得する。
【0062】
実際の工業用ふるい分けプロセスを正確に反映するために、本発明において、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルによって得られた仮想テストデータは、ふるい分け機構造の応力と歪み情報、モータの回転速度と温度変化情報、ふるい分け機の主要部材の加速度情報、及び物質のプロセスパラメータ情報を含み、作業状態でのふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルの仮想テストデータをリアルタイムで収集し、収集した仮想テストデータを、同じ時間に実際の生産で収集したテストデータと比較して、実際の工業用ふるい分けプロセスを正確に反映するように修正後のデジタルツインシミュレーションモデルを取得する。
【0063】
ふるい分け機の作動状態をより便利に制御するために、本発明の評価システムは端末装置を更に含み、端末装置を介してふるい分け機の作動状態を表示する。
【0064】
なお、本発明の評価システムは、事前警告ユニットを更に含み、事前警告ユニットはモニター及び音響光学警報器を含み、ふるい分け効果をリアルタイムで評価する場合、モニター及び音響光学警報器を使用してふるい分け機を監視して過負荷の場合に事前に警告し、異常が発生すると、警告及び報告し、実際の生産におけるふるい分け機を停止してメンテナンスを行うように促す。
【0065】
以上より、既存の評価システムと比較して、本発明が提供する工業用ふるい分け効果の動的評価システムは、ふるい分け機のデジタルツインシミュレーションモデルによって工業用ふるい分けプロセスをシミュレートし、工業用ふるい分け効果のリアルタイム動的評価を実現すると同時に、リアルタイムで取得したふるい分けプロセスにおけるふるい分け機の作業状態パラメータに応じて、ふるい分け機の構造の信頼性のリアルタイム検出を実現するという利点を有し、本発明は、従来技術では工業用ふるい分け効果をリアルタイムで動的に評価することができないという問題を効果的に解決することができる。
【実施例1】
【0066】
石炭6mmふるい分け用の振動ふるいを例にとると、モデルシステムにおける振動ふるいが安定して作動している場合、任意の時点で、振動ふるいの作業状態パラメータ及び物質パラメータを収集する。具体的には以下のとおりである。
【0067】
振動ふるいの作業状態パラメータについて、(i)まず時間t0でのふるい分け機の応力歪み、加速度、回転速度、温度及びふるい面の加速度情報を収集する。
【0068】
(ii)時間t0に対応する応力歪み、加速度、回転速度、温度及びふるい面の加速度情報を、前に構築したクラウドデータベースのデータ区間と比較して、区間範囲を±5%超えているか否かを判断する。
【0069】
(iii)該区間範囲を±5%超えている場合、振動ふるいの作動に故障がある可能性があり、直ちに実際のふるい分け機の作動プロセスにフィードバックしてから、実際の生産におけるふるい分け機を停止してメンテナンスを行う。
【0070】
物質パラメータについて、(1)供給される石炭の粒度組成、粒子形状、灰分及び水分含有量指標、並びに排出端における篩上製品及び篩下製品の粒度組成を収集する。(2)供給端、篩上排出端及び篩下排出端におけるこの3種類の物質の粒度組成、及び機器自体の処理能力に応じて、篩上製品、篩下製品、及び異なる粒度の物質の収率を得る。(3)機器のふるい分け効率(総合分離指数)、誤入物含有量、オーバーサイズの割合、及びアンダーサイズの割合などの指標を計算する。
【0071】
以上の結果に基づき、ふるい分け機の作動状態及びふるい分け効果をリアルタイムで評価すると同時に、デジタルツインふるい分けシミュレーションシステムを構築することによって、デジタル端末を通じてフィードバックしてふるい分け機の振動パラメータを調整することも可能である。
【0072】
以上より、本発明が提供するデジタルツインに基づく工業用ふるい分け効果の動的評価方法は、リアルタイム性、高精度及び高い一致度などの特徴を有する。リアルタイム性について、本発明のシステムはリアルタイム評価を実現することができ、それに対して、従来のふるい分け評価では、工業生産のある時点で作動している機器を代表してサンプリングし、そのサンプルに従ってふるい分け効果を評価するため、ある程度の遅れがあり、且つリアルタイムでサンプリングすることができない。高精度について、本発明は、ふるい面上の物質の特定の断面又は特定の部分をすべて分析してふるい分け効果を評価することができ、従来のランダムサンプリングよりも精度が高い。高い一致度について、本発明により得られるふるい分け効果の結果はふるい分け機の現在の作業状態と一致しており、一致度が高く、ふるい分け効果の評価結果に応じて作動中の機器にフィードバック調整を行うことが容易になる。上記の2点に基づき、従来のふるい分け評価では、本発明のように評価結果と作業状態との一致度が高くない。
【0073】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではない。本発明によって開示された技術的範囲内で当業者が容易に想到し得る変更又は置換は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。