(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/46 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
B60R22/46 142
B60R22/46 166
(21)【出願番号】P 2022507471
(86)(22)【出願日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2020071076
(87)【国際公開番号】W WO2021023538
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102019211852.6
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】グレッサー、アント-クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シェーンヒェン、アーント
(72)【発明者】
【氏名】エーラス、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション、レナート
(72)【発明者】
【氏名】ダールキスト、ベンクト
(72)【発明者】
【氏名】チルステア、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】レナートソン、レヴィ
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162043(JP,A)
【文献】特開2019-127261(JP,A)
【文献】特開2010-069899(JP,A)
【文献】特表2004-537449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00-22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトリール(14)と、
巻き付けられたベルトを形成するように、その上に巻き付けられ得る安全ベルト(12)と、
駆動装置を含む火工式ベルトテンショナ(24)であって、前記駆動装置は、チューブ(32)内でガイドされ、駆動運動を行うように駆動され得る、火工式ベルトテンショナ(24)と、
前記ベルトリール(14)の回転軸と同軸に、及び前記ベルトリール(14)と直列に配置された少なくとも第1の更なるサブアセンブリと
を備えるベルトリトラクタ(1)であって、
前記チューブ(32)は、直線状の線形セクション(33)を有し、前記線形セクション(33)は、前記ベルトリール(14)の前記回転軸及び前記サブアセンブリの長手方向軸に対して平行に延び、前記ベルトリール(14)と前記更なるサブアセンブリとの側面上に配置されており、前記線形セクション(33)は、前記線形セクション(33)が前記ベルトリール(14)の前記回転軸の方向の前記ベルトリール(14)の長さにわたって、及び前記長手方向軸の方向の前記更なるサブアセンブリの長さにわたって延びるように長さの寸法を有する
ことを特徴とするベルトリトラクタ(1)。
【請求項2】
ベルトリール(14)と、
巻き付けられたベルトを形成するように、その上に巻き付けられ得る安全ベルト(12)と、
駆動装置を含む火工式ベルトテンショナ(24)であって、前記駆動装置は、チューブ(32)内でガイドされ、駆動運動を行うように駆動され得る、火工式ベルトテンショナ(24)と、
電気モータ(35)の駆動運動を前記ベルトリール(14)上に伝達するトランスミッション(37)を含む電気モータ(36)と
を備えるベルトリトラクタ(1)であって、
前記チューブ(32)は、直線状の線形セクション(33)を有し、前記線形セクション(33)は、前記ベルトリール(14)から離れるように前記ベルトリール(14)の回転軸に対して平行に延び、
前記線形セクション(33)は、前記線形セクション(33)が前記トランスミッション(27)の長さ及び前記電気モータ(35)の長さにわたって延びるように長さの寸法を有する
ことを特徴とするベルトリトラクタ(1)。
【請求項3】
前記ベルトリトラクタ(1)は、少なくとも1つのウェブ(15、16、17、18、19、20)を備え、前記少なくとも1つのウェブ(15、16、17、18、19、20)は、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して垂直に配置されており、前記
ベルトリトラクタ(1)を装着するように及び/又は前記ベルトリトラクタ(1)の更なる構成要素を受容するように機能する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項4】
前記ベルトリトラクタ(1)は、プロファイルレール(7)によって形成されたフレームを備え、前記ウェブ(15、16、17、18、19、20)は、前記フレーム上に固定されており、
前記チューブ(32)は、前記ウェブ(15、16、17、18、19、20)と前記フレームとの間で固定されている
ことを特徴とする、請求項3に記載のベルトリトラクタ。
【請求項5】
少なくとも1つのウェブ(15、16、17、18、19、20)は、2つ以上のハウジングシェル(2、3)によって形成されている
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項6】
前記火工式ベルトテンショナ(24)は、駆動ホイール(35)を含み、前記駆動ホイール(35)は、回転運動を行うように、前記駆動装置によって駆動され得、
前記駆動ホイール(35)は、前記2つのハウジングシェル(2、3)間で形成されたレセプタクル(26)内で配置されている
ことを特徴とする、請求項5に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項7】
前記2つのハウジングシェル(2、3)は各々、部分レセプタクル(22、23、27、28)を含み、前記部分レセプタクル(22、23、27、28)は、
レセプタクル(26)を構成し、前記レセプタクル(26)内で、前記駆動装置は、少なくともセクション内でガイドされ、及び/又は前記レセプタクル(26)内で、前記チューブ(32)は、セクション内で保持されている
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項8】
前記チューブ(32)は、前記レセプタクル(26)内に移行する湾曲セクション(34)内で湾曲しており、
前記レセプタクル(26)は、移行セクション(31)内の前記湾曲セクション(34)の湾曲に対して接線方向に形成されている
ことを特徴とする、請求項7に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項9】
前記駆動装置は、複数の緩く当接する質量体によって形成されており、
収集容器(29)が設けられており、前記
火工式ベルトテンショナ(24)の作動後に前記質量体は、収集容器(29)内で受容される
ことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項10】
前記ベルトリトラクタ(1)は、少なくとも1つのウェブ(15、16、17、18、19、20)を備え、
前記収集容器(29)は、前記ウェブ(15、16、17、18、19、20)上に配置されている
ことを特徴とする、請求項
9に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項11】
前記チューブ(32)は、自由端(13)を有し、前記自由端(13)は、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して平行に向けられており、
ガス発生器(11)は、前記自由端(13)において保持されている
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項12】
前記チューブ(32)は、自由端(13)を有し、前記自由端(13)は、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して、30~90度の角度で、好ましくは垂直に向けられており、
ガス発生器(11)は、前記自由端(13)において保持されている
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項13】
前記ベルトリトラクタ(1)は、2つの角度付けされた締結ラグ(40、41)を備え、前記2つの角度付けされた締結ラグ(40、41)は、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して半径方向に突出し、
前記チューブ(32)の前記自由端(13)は、前記締結ラグ(40、41)間で半径方向外向きに延びる
ことを特徴とする、請求項12に記載のベルトリトラクタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有するベルトリトラクタ、及び請求項2のプリアンブルの特徴を有するベルトリトラクタに関する。
【0002】
ベルトリトラクタは、基本的構成要素として、耐荷重フレームと、ベルトリールとを有し、ベルトリールは、フレーム内で回転可能に装着されており、安全ベルトが、ベルトリール上に巻き付けられ得る。フレームは、ベルトリールを装着するように機能するのみでなく、座席構造体又は車両構造体への締結のためにも機能し、このために、フレームは、U字形状フレームに屈曲した対応する厚さの鋼板から作製されている。
【0003】
安全ベルト装置を有する車両座席は、例えば、コンバーチブル内の前座席としての使用において既知であり、少なくとも、安全ベルト装置のベルトリトラクタは、車両座席の背もたれ内で締結されている。この場合、耐荷重Bピラーの欠如に起因して、及び後座席へのアクセスに関する理由から、又は後部車両構造体からの距離に関する理由から、ベルトリトラクタは、好ましくは、車両座席の背もたれ内に組み込まれており、したがって、これはまた、拘束の場合に作用する引張力を吸収するように設計されなければならない。ベルトリトラクタ自体は、標準的なベルトリトラクタの全ての基本的構成要素を備え、ベルトリトラクタ自体は、特に背もたれ内への設置のために設けられた様々な追加的サブアセンブリのみ、例えば自己整合慣性センサ又はセンサ遮断装置などのみを装備する。
【0004】
車両座席の基本的設計において、車両座席は、いくつかの耐荷重構造部品から成る座席構造体を有し、耐荷重構造部品は、車両座席を車両構造体に締結するように機能する。座席構造体は、座り心地を改善するためにばね及び緩衝材を装備し、座席構造体はまた、関連する電気モータを含む様々な座席調節機構などの更なる構成要素、並びに加熱装置、センサ、ディスプレイ、及びヘッドレストなどの更なる構成要素の締結のために使用される。
【0005】
自律運転システムを有する現代の車両では、車両の乗員が、例えば、他の乗員とのより有意義なコミュニケーション、長時間のより集中的な休息期間、又は更には仕事のために、自律運転によって得られる自由を使用することができ、これに応じて車両座席を向けることができるように、様々な向き及び位置における車両座席のより大きい調節性の要求が高まっている。結果として、安全ベルト装置、及び、特にベルトリトラクタは、以前のように車両構造体に締結されるのではなく、むしろ、例えばコンバーチブルの前座席の場合に既にあるように車両座席に締結される必要がある。
【0006】
しかしながら、1つの問題は、ベルトリトラクタの更なる構成要素を有するベルトリトラクタが、ベルトリトラクタの外形寸法に起因して比較的大きい必要スペースを有し、このため、車両座席内への設置が問題となり得ることである。これは特に、吸収される引張力のために、安全ベルトが、例えば46mmの所定の幅を考慮すると、ある最小厚さを有さなければならず、乗員の拘束のために、例えば2500mmのある最小長さを有さなければならならず、このため、安全ベルトが完全に巻き付けられたときに、ベルトリール上に巻き付けられた安全ベルトは、巻き付けられる安全ベルト体積に起因して、対応する大きい外径を有するためである。この大きい巻き付けられたベルトは、ベルトリトラクタの対応する大きいフレームによって、及び不可逆的ベルトテンショナの駆動装置、可逆的ベルトテンショナの電気モータ、力制限装置、又はセンサ装置などの更なる構成要素によって、外側に向かって更に拡大され、それにより、設置必要スペースをより一層増大させる。
【0007】
この背景に対して、本発明は、不可逆的ベルトテンショナを有するベルトリトラクタであって、車両座席の制限された設置スペースにも配置され得るベルトリトラクタを提供する目的に基づく。
【0008】
目的を達成するために、請求項1に記載の特徴を有するベルトリトラクタ、及び請求項2に記載の特徴を有するベルトリトラクタが提案されている。本発明の更なる好ましい展開は、従属請求項、図、及び関連する説明から得られる。
【0009】
本発明の基本的概念によれば、チューブは、直線状の線形セクションを含み、線形セクションは、ベルトリールの回転軸及び更なるサブアセンブリの長手方向軸に対して平行に延び、線形セクションの長さは、線形セクションがベルトリールの回転軸の方向のベルトリールの長さにわたって、長手方向軸の方向の更なるサブアセンブリの長さにわたって延び、ベルトリールと更なるサブアセンブリとの側面上に配置されているように寸法を有することが、請求項1により提案されている。
【0010】
更に、本発明の基本的概念によれば、チューブは、直線状の線形セクションを有し、線形セクションは、ベルトリールから離れるようにベルトリールの回転軸に対して平行に延び、線形セクションの長さは、線形セクションがトランスミッションの長さ及び電気モータの長さにわたって延びるように寸法を有することが、請求項2により提案されている。
【0011】
それにより、チューブは、特に省スペースで配置され得、それにより、ベルトリトラクタは、不可逆的ベルトテンショナ自体を有して、又は電気モータ及びトランスミッションを含む可逆的ベルトテンショナを有して、特にコンパクトであるように設計され得る。更に、特に長い線形セクションに起因して、駆動装置は、特に効果的に加速され得、駆動装置が偏向する前の初期段階における可能な限り低い損失を伴って加速され得る。長い線形セクションの結果として、後者は、テンショニングプロセスの開始前により多くの質量要素を受容し、それにより、より高いテンショニング能力を可能にする。これは、ベルトリトラクタの特にコンパクトな設計によって規定される小さい巻き付けられたベルトに起因して、コイルが、必要な量のベルトウェビングを引っ込めるためにより多くの回転を実施しなければならないため、必要である。
【0012】
ベルトリトラクタは、少なくとも1つのウェブを備え、少なくとも1つのウェブは、ベルトリールの回転軸に対して垂直に配置されており、ベルトリトラクタを装着するように及び/又はベルトリトラクタの更なる構成要素を受容するように機能することが更に提案されている。ウェブの結果として、ベルトリトラクタは、結果として装着が損なわれることなく、より大きい長さを有するように設計され得る。更に、代替的又は追加的に、ウェブはまた、更なる構成要素を受容又は保持するように機能してもよい。
【0013】
ベルトリトラクタは、フレームを有し、ウェブは、フレーム上に固定されており、チューブは、ウェブとフレームとの間で固定されていることが更に提案されている。フレームと一緒に、ウェブは、ベルトリトラクタのアセンブリから生じるチューブの固定を形成する。
【0014】
ウェブは、2つ以上のハウジングシェルによって形成されていることが更に提案されている。ウェブの提案された設計に起因して、ウェブはより厚い設計を有してもよく、この場合にのみ、両方のハウジングシェルはウェブを構成する。
【0015】
例えば、火工式ベルトテンショナは、駆動ホイールを含んでもよく、駆動ホイールは、回転運動を行うように、駆動装置によって駆動され得、駆動ホイールは、2つのハウジングシェル間で形成されたレセプタクル内で配置されてもよい。したがって、ハウジングシェルは一緒に、駆動ホイールのためのレセプタクルを形成し、このため、駆動ホイール、及び駆動装置をガイドするために駆動ホイールの周囲に設けられた自由スペースは、例えば、駆動運動中に外側に向かって覆われている。このようにして、アセンブリはまた、最初に、駆動ホイールをハウジングシェルのレセプタクルの一部分内に挿入することと、次いで、駆動ホイールを完成させ固定するために他方のハウジングシェルを取り付けることとによって、簡略化され得る。
【0016】
更に、2つのハウジングシェルは各々、部分レセプタクルを有してもよく、部分レセプタクルは、1つのレセプタクルを構成し、当該1つのレセプタクル内で、駆動装置は、少なくともセクション内でガイドされ、及び/又は当該1つのレセプタクル内で、チューブはセクション内で保持されている。したがって、組み立てられた位置において、ハウジングシェルは、駆動ホイール内への係合運動の前及び当該係合運動中に、チューブのためのホルダ及び/又は駆動装置のためのガイドを等しく形成する。ハウジングシェルが一緒にまた、駆動ホイールのためのレセプタクルを形成する場合、提案された解決策は、特に有利であり、これは、駆動装置が、したがって、固定空間割り当て(fixed spatial assignment)において、駆動ホイール上にガイドされるためである。
【0017】
チューブは、レセプタクル内に移行する湾曲セクション内で湾曲しており、レセプタクルは、移行セクション内の湾曲セクションの湾曲に対して接線方向に形成されていることが更に提案されている。チューブは、移行セクション内の湾曲セクションで保持されている、又は湾曲セクション上に配置されており、これにより、湾曲セクションは、移行セクションに直接隣接する。チューブ及びレセプタクルは、湾曲セクションから移行セクション内に実質的に移行する。移行セクションは、湾曲セクションに対して接線方向に形成されるため、移行セクションは、駆動装置をガイドするための湾曲が急激に変化することなく、チューブの湾曲セクションの延長を実質的に形成する。
【0018】
駆動装置は、複数の緩く当接する質量体によって形成されており、収集容器が設けられており、ベルトテンショナの作動後に質量体は、収集容器内で受容されることが更に提案されている。収集容器は、駆動ホイールを通過した後に質量体を格納するように機能し、それにより、その後実施されるベルトリトラクタの機能が、自由にかつ制御不能に移動する質量体によって妨げられるのを防止する。
【0019】
この場合、収集容器は、好ましくは、ウェブ上に配置されてもよく、このため、ウェブは、収集容器を保持するために追加的に使用される。この場合、収集容器はまた、ウェブ上のキャビティの形態で一体的に形成されてもよく、又はハウジングシェルのうちの一方上に一体的に形成されてもよい。ウェブが駆動ホイールのためのレセプタクル及び駆動装置のためのガイドを同時に形成する場合、提案された展開は、特に有利であり、これは、質量体が、それにより、駆動ホイールを通過した後に、固定空間割り当てにおいて、収集容器内へ排出されるためである。したがって、ハウジングシェル又はウェブは、通路を介してチューブからの供給から開始して駆動ホイールを通って収集容器内への排出までの質量体のための完全なガイド経路を形成する。
【0020】
チューブは、自由端を有し、自由端は、ベルトリールの回転軸に対して平行に向けられており、ガス発生器は、自由端において保持されていることが更に提案されており、又はチューブは、自由端を有し、自由端は、ベルトリールの回転軸に対して垂直に向けられており、ガス発生器は、自由端において保持されていることが提案されている。
【0021】
提案された解決策によって、ガス発生器は、ベルトリールの回転軸に対して平行に向けられて装着され得、又はベルトリールの回転軸に対して垂直に向けられて装着され得る。結果として、鋭いエッジは、座席構造体内又は座席構造体上に生成されず、ベルトテンショナの配置は、車両乗員からの十分な距離を可能にし、このため、車両座席の十分に厚い緩衝がベルトテンショナと乗員との間で可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明について、添付の図を参照して、好ましい実施形態を使用して以下で説明する。図は以下を示す。
【
図1】個々の部品での本発明によるベルトリトラクタの側面図及び断面図である。
【
図2】組み立てられた状態の
図1のベルトリトラクタの2つの異なる斜視図である。
【
図3】駆動ホイールのためのレセプタクルを有する2つのハウジング部品から構成されたウェブの異なる図である。
【
図4】更なる実施形態に係る、本発明によるベルトリトラクタの図である。
【
図5】組み立てられた状態の更なる実施形態に係る、チューブを有する本発明によるベルトリトラクタの図である。
【
図6】ベルトリトラクタの個々の部品を有する、分解状態の
図5のベルトリトラクタの図である。
【0023】
図1は、個々の部品での組み立てられた状態の本発明によるベルトリトラクタ1を示す。ベルトリトラクタ1は、基本的構成要素として、プロファイルレール7を備え、プロファイルレール7は、U字形状の断面を有し、基部面10と、互いに対して平行に延び基部面10から上向きに突出する2つの対向する壁形状の側面8及び9とを有する。プロファイルレール7は、図中の基部面10内及び上部側面8内で開口部28を有し、左図に示す安全ベルト12は、開口部28を通って外側に向かってガイドされる。キャビティ21は、側面8、9とプロファイルレール7の基部面10との間で形成されており、ベルトリトラクタ1のサブアセンブリは、キャビティ21内で配置されており、キャビティ21は、挿入部分6によって閉じられている。ベルトリトラクタのサブアセンブリは、ベルトリール14と、力制限装置25と、不可逆的ベルトテンショナ24と、いくつかのウェブ15、16、17、18、19、及び20と、本発明をよりよく示すために図示されていない更なるセンサ、制御ユニット、及び電気ラインなどの様々な追加的部品とを含む。更に、可逆的ベルトテンショナ又はベルトフィーダが追加的に設けられ得る。ウェブ15、16、17、18、19、及び20は、側面8、9間、基部面10で支持されており、キャビティ21が閉じられているときに、ウェブ15、16、17、18、19、及び20は、挿入部分6上で支持されており、ベルトリトラクタ1のための装着及びホルダ、又は特にベルトリール14及び更なる回転部品のための装着及びホルダを形成する。
【0024】
その上に安全ベルト12が最大限に巻き付けられているベルトリール14の外形寸法、力制限装置25の外形寸法、及び火工式ベルトテンショナ24の外形寸法は、ベルトリール14の回転軸に対して垂直な断面積において選択され、これにより、これらの外形寸法は、安全ベルト12が最大限に巻き付けられたときのベルトリール14上に巻き付けられたベルトの外形寸法以下である。更に、これらの外形寸法は、プロファイルレール7の長手方向の延長に対して垂直なキャビティ21の寸法以下であり、このため、サブアセンブリを有するベルトリトラクタ1は、プロファイルレール7のキャビティ21内で配置され得る。
【0025】
ウェブ15、16、17、18、19、及び20は、壁セクションの形態で設計されており、壁セクションは、プロファイルレール7の長手方向の延長に対して垂直に向けられており、プロファイルレール7の側面8又は9のうちの一方から対応する他方の側面8又は9まで延び、対応する他方の側面8又は9に接続されている。更に、ウェブ15、16、17、18、19、及び20は、プロファイルレール7の基部面10まで延びることができ、したがって、プロファイルレール7の断面積全体を満たすことができる。ウェブ15、16、17、18、19、及び20は各々、1つ以上の開口部又はラグを有し、ベルトリトラクタ1、又はベルトリール14などのベルトリトラクタ1の部品は、1つ以上の開口部又はラグ内で装着及び/若しくは締結されている、並びに/又は1つ以上の開口部又はラグを通過する。更に、例えば、ウェブ15、16、17、18、19、及び20のうちの1つはまた、歯付き又は別のタイプのロック設計を有することができ、歯付き又は別のタイプのロック設計において、ベルトリール14、又はベルトリトラクタの他の部品はロックされ得る。ウェブ15、16、17、18、19、及び20はまた、火工式ベルトテンショナ24のための火工式推進剤などのベルトリトラクタの更なる構成要素、センサ、電子制御ユニット、又はメモリ装置などの電子構成要素を受容するための追加的キャビティを有してもよい。ウェブ15、16、17、18、19、及び20が側面8又は9のうちの一方から対応する他方の側面8又は9まで延びる場合、ウェブ15、16、17、18、19、及び20は、プロファイルレール7を剛性にするために追加的に使用され得、これはまた、乗員の拘束の場合のプロファイルレール7の荷重吸収及び寸法安定性について有利である。ベルトリトラクタ1の構成要素は、同軸に前後に意図的に配置されており、このため、サブアセンブリは、ベルトリトラクタの外形寸法を半径方向に外側に向かって増大させず、ベルトリトラクタ1は、プロファイルレール7の狭い細長いキャビティ21内で配置され得る。
【0026】
組み立てられた位置において、プロファイルレール7は、挿入部分6と一緒に、正方形の断面を有する細長いキャビティ21を有するフレームを形成する。その上に安全ベルト12が巻き付けられているベルトリール14、及び更なるサブアセンブリは、円形の断面を有するため、ほぼ三角形の断面を有する細長い自由スペースは、各場合において、ベルトリール14の巻き付けられたベルトと、サブアセンブリと、プロファイルレール7と、挿入部分6との間の角部内で設けられており、ここでは、火工式不可逆的ベルトテンショナ24のチューブ32の配置のために使用される。チューブ32は、緩く当接する質量体のチェーンなどの駆動装置又は弾性駆動トレインをガイドするように機能し、弾性駆動トレインは、火工式ベルトテンショナ24の作動時に加速され、それにより、駆動ホイール35と駆動接続される。駆動ホイール35は、歯付き又は多角形のプロファイルを介して、ベルトリール14に回転固定式に(in a rotationally secure manner)接続されており、このため、ベルトリール14は、駆動ホイール35を介して駆動運動によって駆動されて、安全ベルト12の巻き付け方向の回転運動を行い、安全ベルト12は、締め付けられる。チューブ32は、線形セクション33と、湾曲セクション34とを有し、チューブ32は、チューブ32がベルトリール14の回転軸及び力制限装置25の長手方向軸に対して平行である線形セクション33を有して配置されているように向けられて配置されている。更に、線形セクション33は、線形セクション33が、左側ウェブ15上に保持された自由端から開始してベルトリール14の側面上及び力制限装置25の側面上に延び、それにより、図中の巻き付けられたベルトと、下部側面8と、挿入部分6との間の三角形スペースを満たすように長さの寸法を有する。湾曲セクション34は、駆動装置が、線形セクション33内の直線運動から駆動ホイール35における円周運動の方向に偏向するように形成されている。
【0027】
図2では、プロファイルレール7を有さないベルトリトラクタ1は、挿入部分6及びサブアセンブリのみを有して示されている。ここで想像されるプロファイルレール7、及び挿入部分6は一緒に、ベルトリトラクタ1のためのフレームを形成し、フレームは、ベルトリトラクタ1のサブアセンブリを外側に向かって覆い、ウェブ15、16、17、18、19、及び20のためのホルダを形成する。更に、線形セクション33を有するチューブ32は、横方向の滑りに対抗してウェブ18、17、及び15の3つの凹部36、37、及び38内で固定されており、次いで、ここで想像されるプロファイルレール7によって形成されたフレームによって外側に向かって覆われている。それにより、チューブ32は、ウェブ18、17、及び15とプロファイルレール7の下部側面8との間で線形セクション33に固定されている。
【0028】
図3は、拡大図でウェブ19を示す。ウェブ19は、2つのハウジングシェル2及び3によって形成されており、2つのハウジングシェル2及び3は各々、カバープレート4及び5を有し、カバープレート5は
図1にのみ示されている。ハウジングシェル2及び3は各々、半径を有する円形の部分レセプタクル27及び28を有し、部分レセプタクル27及び28は、四分円形状の断面を有し、ハウジングシェル2及び3の組み立てられた形態で、半円形の断面を有する駆動装置のための円周ガイドを有する駆動ホイール35のためのレセプタクル26を構成する。更に、ハウジングシェル2及び3は各々、更なる部分レセプタクル22及び23を有し、更なる部分レセプタクル22及び23は、ハウジングシェル2及び3の組み立てられた形態で、駆動装置のためのガイドチャネルを形成する。入口側において、部分レセプタクル22及び23は各々、湾曲した移行セクション31を含み、移行セクション31は、チューブ32の自由端が移行セクション31内で接線方向に移行する又は移行セクション31内で接線方向に保持されているように形状を有する。移行セクション31は、ハウジングシェル2及び3の平面からチューブ32の方向に延び、湾曲した入口チャネルを一緒に形成し、湾曲した入口チャネルは、当接するチューブ32の湾曲に対応する湾曲を有する。更に、部分レセプタクル22及び23は、部分レセプタクル22及び23が、組み立てられた形態で、駆動ホイール35の外周に向かって接線方向に向けられたガイドチャネルを形成し、駆動ホイール35から離れるように接線方向につながるガイドチャネルを出口側において形成するように形成されている。
【0029】
更に、図の左側のカバープレート4は、キャビティを有し、キャビティは、駆動ホイール35への通過後に駆動装置、例えば、緩い質量体を受容するための収集容器29を形成する。したがって、ウェブ19は、カバープレート4を有する組み立てられたハウジングシェル2及び3によって、駆動ホイール35のためのレセプタクル26を形成し、更に、ウェブ19は、カバープレート4を有する組み立てられたハウジングシェル2及び3によって、チューブ32からの出口から開始して駆動ホイール35への固定空間割り当てにおける収集容器内への排出までの駆動装置の完全なガイド及びレセプタクルを形成する。
【0030】
ハウジングシェル2及び3は、複雑な形状を有する固体ブロック状壁として、部分レセプタクル22、23、27、及び28によって実現されており、例えば、プラスチック射出成形された部品の形態で実現され得、カバープレート4及び5は各々、金属スタンピングされた部品によって形成されている。
【0031】
更に、更なる保持プレート21が、
図1に示す右カバープレート5上に設けられており、当該保持プレート21は同様に、プロファイルレール7及びカバー部分6上に支持されており、とりわけ車両感応センサを保持するように機能する。
【0032】
チューブ32の線形セクション33は、線形セクション33がベルトリール14の長手方向の側面全体にわたってベルトリール14の回転軸に対して平行に延び、力制限装置25の長さ全体にわたって力制限装置25の回転軸又は長手方向軸に対して平行に延びるように長さの寸法を有して配置されている。当該長さは、好ましくは7~15cmであり、駆動装置が駆動ホイール35内で係合する前に、不可逆的ベルトテンショナ25の作動の初期段階における駆動装置の非常に高い線形加速を可能にする。
【0033】
チューブ32の記載された有利な幾何学的形状及び配置に加えて、ウェブ19における駆動装置及び駆動ホイール35のガイド及びレセプタクルは、独立した発明を形成する。特に、ウェブ19における駆動装置及び駆動ホイール35の提案されたガイド及びレセプタクルは、固定空間割り当てに起因して、駆動ホイール35への駆動装置の非常に正確なガイド及び向きを可能にする。更に、ウェブ19が2つのハウジングシェル2及び3から形成されており、部分レセプタクル22、23、27及び28がそれぞれ、例えばプラスチック射出成形された部品として、2つのハウジングシェル2及び3内で設けられており、次いで、部分レセプタクル22、23、27及び28が、組み立ての結果として、駆動ホイール35及び駆動装置のためのレセプタクル26及びガイドを形成することにおいて、ガイドは、特に対費用効果的に実現され得る。組み立てられた位置において、ハウジングシェル2及び3は、駆動ホイール35への通過中に及び駆動ホイール35から収集容器29内への排出において、駆動ホイール35への駆動装置のガイドを形成する。したがって、2つのハウジングシェル2及び3を有するウェブ19は、少なくとも駆動装置の幅に対応する厚さを有する。ウェブ19の必要な大きい幅に起因して、ウェブ19は、プロファイルレール7と挿入部分6との組み合わせによって形成されたフレームの増大した剛性を更に追加的に形成する。この場合、ウェブ19は、収集容器29を含む駆動装置のガイドの全ての部品を含み、サブアセンブリとして事前に組み立てられ得、次いでプロファイルレール7内に挿入され得る。次いで、駆動ホイール35は、ベルトリール14に既に関連付けられた位置において又は個々の部品として、レセプタクル26内に挿入されるのみでよい。
【0034】
チューブ32の左自由端において、チューブ32は、チューブ32内で保持されたガス発生器11を含み、ベルトリトラクタ1からの引っ張り方向に対抗して、ベルトリトラクタ1の左前ウェブ15上の自由端に固定されており、このため、チューブ32は、ガス発生器11が作動されたときに、ウェブ15の内側上に支持されており、反応力はベルトリトラクタ1のフレーム内に伝達される。
【0035】
図4は、本発明の更なる例示的な実施形態を示す。この場合、ベルトリトラクタ1は、電気モータ36とトランスミッション37とを有する可逆的ベルトテンショナを追加的に有し、可逆的ベルトテンショナはまた、快適理由による又は駐車位置における安全ベルトの巻き付け支援を実現するためのベルトリール14上に加えられる引き込み力の調節などの更なる機能を実現するように設計され得る。電気モータ36及びトランスミッション37は、ベルトリール14と同軸及び直列に配置されており、それにより、ベルトリトラクタ1の非常に薄く細長い構造が、例えば、車両構造体又は車両座席の非常に狭い設置スペース内のベルトリトラクタ1の配置のために達成され得る。不可逆的ベルトテンショナ25のチューブ32は、ここで、線形セクション33がベルトリール14の回転軸に対して平行に及びベルトリール14から離れるように延びるように向けられている。この場合、線形セクション33は、線形セクション33が、プロファイルレール7の角部内の使用可能な自由スペースを使用して、トランスミッション37と電気モータ37との側面上に延びるように長さの寸法を有し、したがって、線形セクション33は、可能な限り長い寸法を有する。したがって、チューブ32内でガイドされた駆動装置は、駆動装置が駆動運動の伝達のために駆動ホイール35内で係合する前に、可能な限り長い経路にわたって線形的に及び直線状のラインで加速される。
【0036】
記載された両方の例示的な実施形態では、共通して、ベルトリール14、力制限装置25、及び駆動ホイール35など、並びに第2の例示的な実施形態では、トランスミッション37及び電気モータ36などのベルトリトラクタ1のサブアセンブリは、ベルトリール14の回転軸と同軸に、及びベルトリール14と直列に配置されており、このため、ベルトリトラクタ1は、可能な限り長く狭いように設計されている。ここで、ベルトリトラクタ1のこの有利な細長い基本的構造は、チューブ32に可能な限り長い線形セクション33を設けるために使用され、次いで、線形セクション33は、ベルトリール14の回転軸に対して平行に、及びベルトリール14と力制限装置25などの更なるサブアセンブリとの側面上に、又はトランスミッション37と電気モータ37との側面上に配置されている。この場合、プロファイルレール7の角部のうちの1つ内の自由設置スペースは、チューブ32の線形セクション33の配置のために有利に使用される。
【0037】
図5及び
図6は、本発明の更なる例示的な実施形態を示す。ベルトリトラクタ1の基本的構造において、ベルトリトラクタ1は、
図4に示すベルトリトラクタ1に対応し、このため、これについては、
図4に関連する説明を参照されたい。
図5及び
図6の実施形態は、ガス発生器11が保持されているチューブ32の自由端13が、ベルトリール14の回転軸に対して、約30~90度の角度で角度付けされている点で、
図4の実施形態とは異なる。更に、ベルトリトラクタ1は、2つの締結ラグ40及び41を備え、締結ラグ40及び41は、ベルトリール14の回転軸に対して垂直に突出し、ベルトリトラクタ1は、締結ラグ40及び41を介して車両座席(図示せず)に締結され得る。ベルトリトラクタ1は、好ましくは、締結ラグ40及び41を介して車両座席の上部側面に締結され、このため、ベルトリトラクタ1外へガイドされた安全ベルトは、乗員に肩の上で供給される。チューブ32の自由端13は、自由端13がベルトリトラクタ1から離れるように締結ラグ40と41との間で半径方向外向きに延びるように角度付けされている。この解決策の利点は、ガス発生器11が作動されたときに、逃げる可能性のあるガス流が車両座席内に向けられ車両座席から横方向に逃げず、乗員がガス流から保護されていることである。