(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、回路基板、及び、回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20231213BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20231213BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20231213BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20231213BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H05K3/28 C
H05K3/28 F
C08K3/00
C08K3/36
C08L63/00 C
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2017217508
(22)【出願日】2017-11-10
【審査請求日】2020-10-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】八月朔日 猛
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】山田 正文
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-3260(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117237(WO,A1)
【文献】特開2016-102221(JP,A)
【文献】特開2017-194644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K3/28
C08L101/00
C08K3/00
C08K3/36
C08L63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルダーレジストに用いる熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、
無機充填材と、を含み、
前記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が50%となるところの粒径をD
50とし、前記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が99%となるところの粒径をD
99としたとき、D
99/D
50が2.5以下であ
り、
前記無機充填材としてはシリカのみを含む、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が90%となるところの粒径をD
90、個数基準粒度分布の累積頻度が90%となるところの粒径をD
90Nとしたとき、D
90N/D
90が0.70以上である、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が100%となるところの粒径をD
100としたとき、前記D
100が5.0μm以下である、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
表面に電子素子が配された基板と、
前記基板の表面上に形成されたソルダーレジストと、を備える回路基板であって、
前記ソルダーレジストが、請求項1から
4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されている、回路基板。
【請求項6】
請求項
5に記載の回路基板であって、
前記ソルダーレジストの厚みが、3μm以上50μm以下である、回路基板。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載の回路基板の製造方法であって、
前記基板を準備する工程と、
前記基板の前記電子素子が配された面に前記熱硬化性樹脂組成物で構成されている樹脂膜を積層する工程と、
前記樹脂膜を熱硬化することでソルダーレジストを形成する工程と、を含み、
前記電子素子上に形成されたソルダーレジストの厚みをdとしたとき、前記ソルダーレジスト中における、前記無機充填材中の粒径がd×0.5μm以上の粒子の含有量が、無機充填材に対して、0.1ppm以下であり、
前記dが3μm以上25μm以下である、回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、回路基板、及び、回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板を保護するソルダーレジストを形成するための熱硬化性樹脂組成物として様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂と、カルボキシル基含有光重合性樹脂と、光重合開始剤と、無機フィラーとを含有し、無機フィラーが特定の形状、平均比重、含有量であることにより、回路基板との密着性が高く、回路基板の反りを低減できるソルダーレジスト用樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載のソルダーレジスト用樹脂組成物を用いてソルダーレジストを形成した回路基板の電気的信頼性について検討した。その結果、特許文献1のソルダーレジスト用樹脂組成物を用いた場合、回路基板の電気的信頼性が低下することがあると判明した。
【0005】
本発明者らは、特許文献1に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いてソルダーレジストを形成したとき、該ソルダーレジストを備える回路基板の電気的信頼性が低下する原因について検討した。その結果、ソルダーレジストから粗大な無機充填材が脱落し、ソルダーレジストにピンホールを形成することが判明した。このようなピンホールが形成される場合、ピンホールを介して導通部が形成されてしまい、回路基板の電気的信頼性が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されたソルダーレジストにピンホールが形成されず、該ソルダーレジストの絶縁信頼性に優れ、さらに、該ソルダーレジストを備える回路基板の電気的信頼性に優れる熱硬化性樹脂を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、無機充填材の脱落を抑制するため、熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の粒径プロファイルについて検討した。その結果、無機充填材が特定の粒径プロファイルを備えることで、無機充填材の脱落を抑制できることが判明した。これにより、熱硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとして用いた回路基板の電気的信頼性を向上できる。
以上より、本発明者らが、熱硬化性樹脂組成物に特定の粒径プロファイルを備える無機充填材を含むことで、当該熱硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとして用いた回路基板の電気的信頼性を向上できることを見出し、本発明は完成した。
【0008】
本発明によれば、
ソルダーレジストに用いる熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、
無機充填材と、を含み、
前記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が50%となるところの粒径をD50とし、前記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が99%となるところの粒径をD99としたとき、D99/D50が2.5以下である、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
表面に電子素子が配された基板と、
前記基板の表面上に形成されたソルダーレジストと、を備える回路基板であって、
前記ソルダーレジストが、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されている、回路基板が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
前記基板を準備する工程と、
前記基板の前記電子素子が配された面に前記熱硬化性樹脂組成物で構成されている樹脂膜を積層する工程と、
前記樹脂膜を熱硬化することでソルダーレジストを形成する工程と、を含み、
前記電子素子上に形成されたソルダーレジストの厚みをdとしたとき、前記ソルダーレジスト中における、前記無機充填材中の粒径がd×0.5μm以上の粒子の含有量が、無機充填材に対して、0.1ppm以下であり、
前記dが3μm以上25μm以下である、回路基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されたソルダーレジストにピンホールが形成されず、絶縁信頼性に優れ、さらに、該ソルダーレジストを備える回路基板の電気的信頼性に優れる熱硬化性樹脂が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る回路基板の一例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る半導体パッケージの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
本実施形態によれば、ソルダーレジストに用いる熱硬化性樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂と、無機充填材と、を含み、上記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が50%となるところの粒径をD50とし、上記無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が99%となるところの粒径をD99としたとき、D99/D50が2.5以下である、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【0015】
本発明者は、従来の熱硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとして用いた回路基板の電気的信頼性が低下する原因について検討した。その結果、ソルダーレジストから、粗大な無機充填材が脱落し、ソルダーレジストにピンホールが形成されることが判明した。このようなピンホールが形成される場合、ピンホールを介して導通部が形成されてしまい、ソルダーレジストの絶縁信頼性が低下し、回路基板の電気的信頼性が低下してしまう。
そこで、本発明らは、ピンホールの形成を抑制するために、単純に無機充填材の粒子径を小さくすることを検討した。その結果、単純に無機充填材の粒子径を小さくするのみでは、ソルダーレジストのラミネート性、機械的強度、吸湿耐性といった物性の観点で不都合があることを知見した。
そこで、本発明者らは、ソルダーレジストの物性を損なわないことを前提に、ピンホールの形成を抑制するため、無機充填材の粒径プロファイルについて検討した。その結果、無機充填材のD99/D50を後述する特定の数値範囲内とすると、回路基板の電気的信頼性に優れることが判明した。詳細なメカニズムは定かではないが、無機充填材のD99/D50を後述する特定の数値範囲内とすることで、無機充填材のD50をソルダーレジストの物性を損なわない範囲とし、かつ、粗大な無機充填材を排除できると推測される。
以上より、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物をソルダーレジストとして用いて回路基板を作製する場合、当該回路基板の電気的信頼性に優れると推測される。
【0016】
まず、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の各原料成分について説明する。
【0017】
(熱硬化性樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、上記具体例のうち、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
上述したエポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、上記具体例のうち、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、及び、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂からなる群より選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0019】
(無機充填材)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含む。
無機充填材としては、具体的には、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩などを挙げることができる。無機充填材としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機充填材としては、上記具体例のうち、シリカを用いることが好ましい。
【0020】
無機充填材のD99/D50の上限値としては、2.5以下であり、例えば、2.4以下であることが好ましく、2.3以下であることがより好ましく、2.2以下であることがさらに好ましい。これにより、無機充填材中の粗大な粒子を低減し、かつ、無機充填材の粒径が過剰に小さくならない。したがって、熱硬化性樹脂組成物の物性を低下させることなく、ピンホールが形成されることを抑制でき、電気的信頼性を向上できる。
なお、無機充填材のD99/D50の下限値としては、例えば、1.3以上でもよく、1.5以上でもよい。
なお、本実施形態において、D50とは、無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が50%となるところの粒径を示す。同様に、D90、D99、D100は、それぞれ、無機充填材の体積基準粒度分布の累積頻度が90%、99%、100%となるところの粒径を示す。
また、本実施形態において、D50、D90、D99、D100は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製のSALD-2200)を用いて測定することができる。
【0021】
無機充填材の個数基準粒度分布の累積頻度が90%となるところの粒径をD90Nとしたとき、D90N/D90の下限値としては、例えば、0.70以上であることが好ましく、0.72以上であることがより好ましく、0.74以上であることが更に好ましい。これにより、無機充填材中の粗大粒子を低減し、粗大な粒子が混入することを抑制できる。
また、D90N/D90の上限値としては、例えば、1.0以下としてもよく、0.95以下としてもよく、0.90以下としてもよい。
なお、本実施形態において、D90Nは、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製のSALD-2200)を用いて測定した粒度分布と、無機充填材の密度とから算出することができる。
【0022】
本発明者らは、粗大な無機充填材を選択的に取り除き、無機充填材のD99/D50を上述した特定の数値範囲内とする方法を検討した。本発明者らの検討の結果、ふるい分け、湿式ろ過といった従来の分級方法では粗大な無機充填材を完全に排除できなかった。
また、無機充填材の市販品としては、粗大な無機充填材をカットしたものが販売されている。しかしながら、本発明者らがこれらの市販品中の粗大な粒子について検討した結果、これらの市販品では粗大な粒子を完全に排除できておらず、粗大な粒子が一部混入することを知見した。例えば、シリカであるアドマテックス社製のSC-4050は、粒径5μm以上のシリカを排除したシリカスラリーとして販売されている。しかしながら、本発明者らが、該シリカスラリー中のシリカ粒子の粒径分布について、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD-2200)を用いて粒径分布を評価した結果、粒径5μm以上の粗大なシリカ粒子が100ppmオーダーで混入し、さらに、粒径10μm以上の粗大なシリカ粒子の混入もあることが確認された。
そこで、本発明者らは、粗大な無機充填材を選択的に取り除き、無機充填材のD99/D50を上述した特定の数値範囲内とする方法を検討した。その結果、無機充填材を二段階のドライ分級することが有効であることを知見した。二段階のドライ分級としては、具体的には、シリカの粒子に一次エアーを吹き込むことで遠心分離して、粗大な粒子の大部分を取り除き、さらに、一次エアーと比べて風量の小さな二次エアーを吹き込むことで遠心分離して、一次エアーで除去できなかった粗大な粒子を完全に取り除く。これにより、無機充填材中のピンホールの原因となる粗大な粒子の含有量を、1ppm未満とできることを知見した。
なお、一次エアーの風量としては、例えば、2.5m3/min以上6.0m3/minといった数値範囲とすることが好ましい。また、二次エアーの風量としては、例えば、0.1m3/min以上2.0m3/min以下とすることが好ましい。
【0023】
無機充填材のD50の上限値としては、例えば、1.50μm以下であることが好ましく、1.40μm以下であることがより好ましく、1.30μm以下であることが更に好ましく、1.25μm以下であることが一層好ましい。これにより、均一に無機充填材を分散させ、ソルダーレジストの物性を均一にできる。また、脱落することにより、ピンホールを形成する粗大な粒子を排除できる。
また、無機充填材のD50の下限値としては、例えば、0.1μm以上であってもよく、0.2μm以上であってもよい。
【0024】
無機充填材のD90の上限値としては、例えば、2.50μm以下であることが好ましく、2.30μm以下であることがより好ましく、2.10μmであることが更に好ましく、2.00μm以下であることが一層好ましく、1.90μm以下であることが殊更好ましい。脱落することにより、ピンホールを形成する粗大な粒子の混入を抑制できる。
また、無機充填材のD50の下限値としては、例えば、0.3μm以上でもよく、0.5μm以上でもよい。
【0025】
無機充填材のD100の上限値としては、例えば、5.0μm以下が好ましく、4.0μm以下がより好ましく、3.0μm以下がさらに好ましい。これにより、脱落することにより、ピンホールを形成する粗大な粒子をさらに精度よく排除できる。
また、無機充填材のD100の下限値としては、例えば、1.0μm以上でもよく、2.0μm以上でもよい。
【0026】
(その他の成分)
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、溶媒、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、カップリング剤、レベリング剤、感光剤、消泡剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤などを含有してもよい。
以下、代表成分について記載する。
【0027】
(溶媒)
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、原料成分を溶媒に溶解、分散させることで、ワニス状として用いることができる。
溶媒としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドンなどが挙げられる。溶媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
(硬化剤)
上述した硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化反応するものを用いることができる。硬化剤としては、具体的には、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、活性エステル樹脂などを用いることができる。
【0029】
上記フェノール樹脂としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を限定するものではない。フェノール樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂などの多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂などの変性フェノール樹脂;フェニレン骨格および/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂などのアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール化合物などが挙げられる。フェノール樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、フェノール樹脂としては、室温25℃で液状である液状フェノール樹脂を含むことが好ましい。
【0030】
上記ベンゾオキサジン樹脂としては、具体的には、o-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、m-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、p-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-メチルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-シクロヘキシルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-m-トルイジン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-3,5-ジメチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アミン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールS-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルスルホン-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾフェノン型ベンゾオキサジン樹脂、ビフェニル型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールAF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-メチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-ジアミノジフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、トリフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、およびフェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。
また、ベンゾオキサジン樹脂の市販品としては、例えば、BF-BXZ、BS-BXZ、BA-BXZ(以上、小西化学工業(株)製)などを用いることができる。
【0031】
上記シアネート樹脂としては、シアネートエステル樹脂を用いることができる。
シアネートエステル樹脂としては、具体的には、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4'-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアネートフェニル)エーテルなどの2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂などから誘導される多官能シアネート樹脂;上記例示したシアネートエステル樹脂の一部がトリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。
ここで、シアネートエステル樹脂の市販品としては、例えば、ロンザジャパン社製のPT30、BA230、DT-4000、DT-7000などを用いることができる。
【0032】
上記活性エステル樹脂としては、具体的には、フェノールエステル化合物、チオフェノールエステル化合物、N-ヒドロキシアミンエステル化合物、複素環ヒドロキシ基がエステル化された化合物等の反応活性の高いエステル基を有し、エポキシ樹脂の硬化作用を有するものを用いることができる。
活性エステル樹脂としては、上記具体例のうち、例えば、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られるものを用いることが好ましい。ここで、ヒドロキシ化合物としては、具体的には、フェノール化合物、ナフトール化合物などが挙げられる。
上記カルボン酸化合物としては、具体的には、具体的には、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
また、上記フェノール化合物としては、具体的には、ヒドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックなどが挙げられる。
また、上記ナフトール化合物としては、具体的には、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。
【0033】
(硬化促進剤)
上述した硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と、硬化剤との反応を促進させるものを用いることができる。硬化促進剤としては、具体的には、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)などの有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート(TPP-K)、テトラフェニルホスホニウム・テトラキス(4-メチルフェニル)ボレート(TPP-MK)、テトラフェニルホスホニウムのビス(ナフタレン-2,3-ジオキシ)フェニルシリケート付加物のような四級ホスホニウム系化合物、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-エチルイミダゾール、2-フェニル-4-エチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノールなどのフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸、およびオニウム塩化合物などが挙げられる。
【0034】
(着色剤)
上述した着色剤としては、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、顔料、および色素を含むことができる。
顔料としては、具体的には、カオリン、合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリン青等の無機顔料、フタロシアニン等の多環顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
染料としては、具体的には、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、インジゴイド、オキサジン、キナクリドン、ベンツイミダゾロン、ビオランスロン、フタロシアニン、アゾメチン等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、開口部の視認性を向上させる観点から、緑色の染料、顔料、色素を用いることが好ましい。
【0035】
(カップリング剤)
上述したカップリング剤としては、具体的には、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤などのシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤などが挙げられる。カップリング剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
(熱硬化性樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述した原料成分を、例えば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
【0037】
(樹脂膜)
本実施形態の樹脂膜について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。
電子回路の分野では、電子回路の薄膜化の要求に伴い、樹脂膜からなるソルダーレジストの薄膜化が求められている。本実施形態に係る樹脂膜は、薄膜化した際にも無機充填材が脱落せず、ピンホールを形成しないことから、ソルダーレジストの用途に好適に用いられる。
【0038】
本実施形態の樹脂膜は、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶媒を除去することにより得ることができる。このような樹脂膜においては、樹脂膜中の溶媒の含有量の上限値が、樹脂膜全体を100質量部としたとき、例えば、5質量部以下とすることができる。また、樹脂膜中の溶媒の含有量の下限値は、樹脂膜全体を100質量部としたとき、例えば、0.1質量部以上とすることができる。
なお、本実施形態において、溶媒を除去する工程として、例えば、温度100℃以上150℃で1分間以上5分間以下の条件で熱処理してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む樹脂膜の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶媒を除去することが可能となる。
【0039】
樹脂膜は、熱処理によって硬化させ、硬化膜とすることができる。熱処理の温度条件の下限値としては、例えば、190℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、210℃以上がさらに好ましい。また、熱処理の温度条件の上限値としては、例えば、260℃以下とすることができ、240℃以下でもよく、220℃以下でもよい。
【0040】
(回路基板)
本実施形態に係る回路基板について説明する。
図1は、実施形態における回路基板20の構造の例を示す模式図である。
本実施形態の回路基板は、表面に電子素子(導体回路パターン24)が配された基板22と、基板の表面上である最外層に形成されたソルダーレジスト10と、を備えることができる。当該ソルダーレジストは、本実施形態のソルダーレジスト用樹脂組成物からなる樹脂膜の硬化物で構成されている。
【0041】
図2に示す半導体パッケージ102は、回路基板20、半導体素子60、および封止樹脂層40を備える。半導体素子60は回路基板20上に配設されている。封止樹脂層40は、回路基板20の少なくともひとつの面および半導体素子60を覆っている。回路基板20は、基板22、導体回路パターン24、およびソルダーレジスト10を備える。導体回路パターン24は基板22の少なくともひとつの最外面に設けられている。ソルダーレジスト10は、回路基板20の最外層であり、導体回路パターン24の周囲に設けられている。
【0042】
本実施形態に係る半導体パッケージ102では、上述した回路基板20の一方の面(以下では「上面」と呼ぶ)のソルダーレジスト10の上に、少なくとも1つの半導体素子60が配設されている。半導体パッケージ102において、回路基板20はたとえばインターポーザであり、半導体素子60はたとえば半導体ウエハから切り出されたLSIチップである。また、回路基板20の上面には半導体素子60に加えて、たとえば抵抗や容量として機能する電子部品などがさらに配設されていてもよい。半導体素子60はダイアタッチ材62を介してソルダーレジスト10の上に固定されている。
【0043】
半導体素子60にはその表面に電気的な接続パッド(不図示)が設けられており、接続パッドはたとえば半導体素子60の内部に作り込まれた回路に接続されている。回路基板20に設けられた導体回路パターン24は、例えば、ランド244及びライン242とを含む。
ランド244は、ソルダーレジスト10の開口部28に設けられている。そして、ランド244と、半導体素子60の接続パッドとは、ボンディングワイヤ50によって接続されている。なお、本実施形態に係る半導体パッケージ102では、ランド244の上にめっき膜246がさらに設けられており、ランド244はめっき膜246を介してボンディングワイヤ50に接続されているが、これに限定されない。また、ボンディングワイヤ50で接続される代わりにリード線や半田により接続されていても良い。
また、ライン242は主に、ランド244同士を互いに電気的に接続する線状の部分である。
【0044】
封止樹脂層40は、回路基板20の上面の表面に露出したソルダーレジスト10と、基板22と、めっき膜246(めっき膜246を設けない場合はランド244)と、半導体素子60のうちダイアタッチ材62で回路基板20と接合された面以外の面と、ボンディングワイヤ50とを覆っている。なお、封止樹脂層40は回路基板20の半導体素子60が設けられた面の全面を覆っていても良いし、当該面の一部を露出させて覆っていても良い。
【0045】
半導体パッケージ102の回路基板20には、上面とは反対側の面(以下では「下面」と呼ぶ)にさらに複数の開口部28と、開口部28の内部のランド244が設けられている。そして、それぞれのランド244はめっき膜246に覆われ、さらにめっき膜246を覆う半田ボール30が設けられている。
ここでは、本実施形態に係る半導体パッケージ102としてフリップチップ接続のパッケージの例について説明したが、これに限定されず、ワイヤボンディングやTAB(Tape Automated Bonding)接続されるパッケージでもよい。
【0046】
本実施形態において、電子装置の封止樹脂層40と、実装面と反対側に配置された下層のソルダーレジスト10(本実施形態のソルダーレジスト)とを、同じ色とすることが可能である。例えば、それぞれ、同一または同程度の黒色とすることができる。上面および下面の最外層を、同じ黒色とすることにより、電子装置全体の美観性を高めることができる。なお、電子装置の下層のソルダーレジスト10の下面上には、外部接続電極(例えば、半田ボール30)を覆う黒色シールを貼り付けてもよい。
【0047】
また、封止樹脂層40の上面またはソルダーレジスト10の下面には、例えば、YAGレーザー等のレーザーによりマークが捺印される。このマークは、例えば、直線または曲線からなる文字、数字、または記号の少なくとも1種類以上により構成される。また、上記マークは、例えば、半導体パッケージの製品名、製品番号、ロット番号、またはメーカー名等を示すものである。また、上記マークは、例えば、YVO4レーザー、炭酸レーザー等により捺印されてもよい。
【0048】
本実施形態の電子装置としては、特に限定されないが、例えば、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、LF-BGA(Lead Flame BGA)等が挙げられる。
【0049】
また、上記半導体素子としては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本実施形態におけるソルダーレジストの厚みの下限値としては、例えば、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。これにより、ソルダーレジストから粗大な無機充填材が脱落することを抑制できる。
また、近年の電子装置の高密度化に伴い、電子回路を薄膜化する要求はますます高まっている。電子回路を薄膜化する観点から、本実施形態におけるソルダーレジストの厚みの上限値としては、例えば、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが一層好ましく、15μm以下であることが殊更好ましい。本実施形態に係るソルダーレジストは、厚みが上記上限値以下であっても無機充填材が脱落しない観点から、電子回路の薄膜化と、電気的信頼性とを両立できる観点で都合がよい。
【0051】
本実施形態における電子素子上に形成されたソルダーレジストの厚みをdとしたとき、ソルダーレジスト中における、無機充填材中の粒径がd×0.5μm以上の粒子の含有量の上限値は、無機充填材に対して、例えば、0.1ppm以下であることが好ましく、0.05ppm以下であることがより好ましい。ソルダーレジストが薄くなるほど、無機充填材の脱落する頻度は大きくなる。ここで、回路基板でソルダーレジストが最も薄くなるのは、電気素子の上に形成されるソルダーレジストである。これにより、無機充填材中の粒径がd×0.5μm以上の粒子の含有量が上記上限値以下であることによって、ソルダーレジストから無機充填材が脱落する頻度を低減できる。
また、ソルダーレジスト中における、無機充填材中の粒径がd×0.5μm以上の粒子の含有量の下限値は、例えば、0ppm以上とできる。
なお、電子素子上に形成されたソルダーレジストの厚みdの上限値は、例えば、25μm以下とすることが好ましく、20μm以下とすることがより好ましく、15μm以下とすることがより好ましく、10μm以下とすることが一層好ましい。これにより、電子回路を薄膜化しつつ、無機充填材の脱落を抑制できる観点で都合がよい。
また、電子素子上に形成されたソルダーレジストの厚みdの下限値は、例えば、3μm以上であり、5μm以上としてもよい。
【0052】
(回路基板の製造方法)
次に、回路基板20の製造方法について説明する。
本実施形態に係る回路基板20の製造方法は、例えば、基板22を準備する工程と、樹脂膜を積層する工程と、開口部28を形成する工程と、およびデスミア処理する工程とをこの順に含む。
基板22を準備する工程では、少なくともひとつの最外面に電子素子である導体回路パターン24が配された基板22を準備する。樹脂膜を積層する工程では、基板22および導体回路パターン24上に最外層の樹脂膜を積層する。開口部28を形成する工程では、樹脂膜の所定の領域に導体回路パターン24の一部を露出させる。デスミア処理する工程では、樹脂膜の表面をデスミア処理する。開口部28を形成する工程は、樹脂膜のうち、開口部28とする領域にレーザー光を照射する工程を含む。
【0053】
まず、表裏の少なくとも一方の最外面に導体回路パターン24が配された基板22を準備する(基板を準備する工程)。次いで、基板22の導体回路パターン24上に樹脂膜を積層する(積層する工程)。本工程では、基板22の導体回路パターン24が配された面上に、樹脂膜が基板22と対向するよう樹脂シートを貼付する。樹脂シートの貼付は、たとえば樹脂シートの樹脂膜を導体回路パターン24上に積層した後、これを真空加熱加圧成形することにより行うことができる。本実施形態において、樹脂シートとしては、金属箔付き樹脂膜でもよいし、樹脂フィルム付き樹脂膜でもよい。次いで、キャリア基材を、樹脂膜から剥離する。これにより、基板22に、導体回路パターン24を覆うように、樹脂膜が形成されることとなる。
【0054】
次いで導体回路パターン24上の樹脂膜の所定の位置に開口部28を設ける(開口部を形成する工程)。開口部28は主に導体回路パターン24のランド244を露出させるように形成する。開口部28の形成方法としては特に限定されず、露光現像法やレーザー加工法、などの方法を用いることができる。
【0055】
開口部28の形成に露光現像法を用いる場合、ソルダーレジスト用樹脂組成物は感光剤を含む必要がある。露光現像法ではまず、樹脂膜のうち開口部28を形成する領域、もしくは開口部28を形成しない領域のいずれか一方に選択的に光を照射する露光を行う。その後、アルカリ性水溶液などの現像液を用いた現像を行うことで開口部28を形成出来る。
【0056】
その後、Bステージ状態の樹脂膜を熱硬化させることにより、ソルダーレジスト10(樹脂膜の硬化物)を形成する。本実施形態において、硬化温度は特に限定されないが、例えば、160℃以上でもよく、180℃以上でもよく、200℃以上でもよい。これによりソルダーレジスト10(ソルダーレジスト)を形成する。ここで、露光にはたとえば、マスクパターンを密着させて紫外線を照射する方法や、レーザー光を所望の領域に直接照射する方法を用いることができる。
【0057】
プロセスの簡易化の観点から、開口部28を形成する工程では、樹脂膜のうち、開口部28とする領域にレーザー光を照射して(レーザー光を照射する工程)、開口を形成する方法が好ましく、中でもレーザー加工法がより好ましい。
【0058】
開口部28を形成した後には、必要に応じて、デスミア処理を行うことができる(デスミア処理する工程)。デスミア処理では、開口部28の形成などで生じたスミアを除去する。
【0059】
本実施形態に係る回路基板20の製造方法では、開口部28の形成、および必要に応じてデスミア処理を行った後、開口部28に露出した導体回路パターン24の上にめっき膜246を形成するめっき処理を行う。ただし、めっき膜246を形成せずに回路基板20としても良い。めっき膜246は、たとえば半田めっき膜や、錫めっき膜や、ニッケルめっき膜の上に金めっき膜を積層した2層構造のめっき膜とすることができる。めっき膜246は開口部28に露出した導体回路パターン24の導電部を覆うように形成される。また、めっき膜246の膜厚は、とくに限定されないが、たとえば2μm以上10μm以下とすることができる。これにより、ランド244部分を、回路基板20を用いた実装工程においてワイヤボンディング50や半田付けに適した接続部とすることができる。
【0060】
めっき処理の方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。たとえば、電解めっき法または無電解めっき法を用いることができる。たとえば無電解めっき法を用いる場合、次の様にめっき膜246を形成することが出来る。ここではニッケルと金の2層構造のめっき膜246を形成する例について説明するが、これに限定されない。まず、ニッケルめっき膜を形成する。無電解ニッケルめっきを行う場合、めっき液に導体回路パターン24やソルダーレジスト10を積層した基板22を浸漬する。このことで、開口部28に露出した導体回路パターン24の導電部の上に、ニッケルめっき膜を形成できる。めっき液は、ニッケル鉛、および還元剤としてたとえば次亜リン酸塩を含んだものを用いることができる。続いて、ニッケルめっき膜の上に無電解金めっきを行う。無電解金めっきの方法は特に限定されないが、たとえば金イオンと下地金属のイオンとの置換により行う置換金めっきで行うことができる。
なお、めっき処理の前に、必要に応じて、露出した導体回路パターン24の導電部を洗浄する工程や、粗化する工程を行っても良い。
【0061】
次いで、本実施形態に係る回路基板20の製造方法では、ソルダーレジスト10を形成した表面を、プラズマ処理してもよい。以上の様にして
図1の様な本実施形態に係る回路基板20が得られる。
【0062】
(電子装置の製造方法)
次に、電子装置の製造方法について、半導体パッケージ102の製造方法を一例に説明する。
本実施形態の電子装置(半導体パッケージ102)の製造方法は、導電回路(導体回路パターン24)が一面に形成された基板(基板22)を準備する工程と、上記樹脂膜を基板上に配置する工程と、樹脂膜に開口部を形成して、導電回路を露出させる工程と、樹脂膜を加熱硬化することによりソルダーレジスト10を形成する工程と、電子素子を、開口部に露出している導電回路と電気的に接続する工程と、電子素子(半導体素子60)を封止する工程と、を含むことができる。
【0063】
すなわち、本実施形態に係る半導体パッケージ102の製造方法は、回路基板20を準備する工程、半導体素子60を配設する工程、および封止する工程をこの順に含む。回路基板20を準備する工程では、表面にソルダーレジスト10(ソルダーレジスト)が露出した回路基板20を準備する。半導体素子60を配設する工程では、ソルダーレジスト10上に半導体素子60を配設する。封止する工程では、露出したソルダーレジスト10および半導体素子60を封止樹脂で覆うよう封止する。回路基板20は、基板22、導体回路パターン24、およびソルダーレジスト10を備える。導体回路パターン24は基板22の少なくともひとつの最外面に設けられている。ソルダーレジスト10は回路基板20の最外層であり、導体回路パターン24上に設けられている。ソルダーレジスト10には、複数の開口部28が設けられている。少なくとも1つの開口部28内には、導体回路パターン24の導電部の一部が位置している。
【0064】
まず、上述の回路基板20を準備し(回路基板を準備する工程)、回路基板20の上に、半導体素子60を配設する(半導体素子を配設する工程)。このとき半導体素子60は、たとえばダイアタッチ材62を介して回路基板20上に搭載する。半導体素子60と回路基板20を接続するボンディングワイヤ50は、たとえば回路基板20の上面の開口部28に露出した導体回路パターン24へボンディングする。次いで、回路基板20の上面、半導体素子60、およびボンディングワイヤ50を封止樹脂層40によって封止する(封止する工程)。封止樹脂としてはたとえばエポキシ樹脂組成物を用いることができる。封止樹脂でモールドする方法としては、トランスファー成形法、射出成形法、転写法、塗布法などを用いることができる。封止樹脂層40をたとえば150℃以上200℃以下で加熱することにより硬化させる。
【0065】
また、回路基板20に外部接続端子である半田ボール30が設けられる例においては、たとえば下面側の開口部28に露出した導体回路パターン24上に、半田ボール30を形成する。なお、本実施形態に係る半導体パッケージ102としてフリップチップ接続のパッケージの例について説明したが、半導体パッケージ102はこれに限定されず、ワイヤボンディングやTAB接続されるパッケージでもよい。
【0066】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、各実施例、各比較例で用いた成分の詳細について以下に示す。
【0068】
(熱硬化性樹脂)
・熱硬化性樹脂1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC-3000)
・熱硬化性樹脂2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、830S)
・熱硬化性樹脂3:ナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、HP-5000)
・熱硬化性樹脂4:シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、PT-30)
【0069】
(無機充填材)
無機充填材1として、シリカ(アドマテックス社製、SC-4500SQ)をドライ分級したものを用いた。ドライ分級としては、具体的には、シリカの粒子を遠心分離しながら3.5m3/minで一次エアーを吹き込むことで粒径5μm以上の粒子の大部分を取り除き、さらに、0.38m3/minで二次エアーを吹き込むことによって、一次エアーで除去できなかった粒径5μm以上の粒子を完全に取り除いた。
無機充填材1について、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD-2200)を用いて、粒径を測定した。これにより得られた、体積基準粒度分布の累積頻度が50%となるところの粒径D50と、体積基準粒度分布の累積頻度が90%となるところの粒径D90と、個数基準粒度分布の累積頻度が90%となるところの粒径をD90Nと、体積基準粒度分布の累積頻度が99%となるところの粒径D99と、体積基準粒度分布の累積頻度が100%となるところの粒径D100とを下記表1に示す。また、算出したD99/D50、D90N/D90を下記表1に示す。
【0070】
無機充填材2として、シリカ(アドマテックス社製、SC-2500SQ)をドライ分級し、粒径5μm以上の粒子をカットしたものを用いた。ドライ分級としては、具体的には、シリカの粒子を遠心分離しながら3.5m3/minで一次エアーを吹き込むことで粒径5μm以上の粒子の大部分を取り除き、さらに、0.38m3/minで二次エアーを吹き込むことによって、一次エアーで除去できなかった粒径5μm以上の粒子を完全に取り除いた。
無機充填材2について、無機充填材1と同様の方法で測定したD50、D90、D90N、D99、D100、D99/D50、D90N/D90を下記表1に示す。
【0071】
無機充填材3として、無機充填材1でドライ分級したシリカ(アドマテックス社製、SC-4500SQ)を分級処理せずにそのまま用いた。
無機充填材3について、無機充填材1と同様の方法で測定したD50、D90、D90N、D99、D100、D99/D50、D90N/D90を下記表1に示す。
【0072】
無機充填材4として、無機充填材2でドライ分級したシリカ(アドマテックス社製、SC-2500SQ)を分級処理せずにそのまま用いた。
無機充填材4について、無機充填材1と同様の方法で測定したD50、D90、D90N、D99、D100、D99/D50、D90N/D90を下記表1に示す。
【0073】
無機充填材5として、シリカスラリー(アドマテックス社製、SC-4050)をろ過フィルター(JNCフィルター社製、CP05、公称ろ過精度5μm)で10回ろ過したものを用いた。
無機充填材5について、無機充填材1と同様の方法で測定したD50、D90、D90N、D99、D100、D99/D50、D90N/D90を下記表1に示す。
【0074】
無機充填材6として、シリカ(アドマテックス社製、SC-4500SQ)70質量部部と、メチルイソブチルケトン30質量部とを混合し、ろ過フィルター(JNCフィルター社製、CP05、公称ろ過精度5μm)で10回ろ過したものを用いた。
無機充填材6について、無機充填材1と同様の方法で測定したD50、D90、D90N、D99、D100、D99/D50、D90N/D90を下記表1に示す。
【0075】
【0076】
(その他の成分)
・硬化剤1:活性エステル樹脂(DIC株式会社製、EXB8150-60T)
・硬化促進剤1:イミダゾール(四国化成工業社製、2P4MHZ)
・カップリング剤1:エポキシシラン(信越工業社製、KBM-403)
・レべリング剤1:アクリルポリマー(ビックケミージャパン社製、BYK-361N)
【0077】
(実施例1)
下記表2に記載した配合量の各成分を、溶媒であるメチルエチルケトンに溶解、分散させ、高速撹拌装置を用いて30分間撹拌して、不揮発分70質量%となるように調整することで、実施例1のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0078】
(実施例2、比較例1~4)
各成分の配合量を、下記表2に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2、比較例1~4のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を調整した。
【0079】
(回路基板の電気的信頼性)
各実施例、各比較例のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を用いてソルダーレジスト層を形成し、該ソルダーレジスト層を備える回路基板を作製した。以下に詳細を説明する。
まず、厚さが240μmのコア基材(SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.製、LαZ-4785TH-G)の両面に、厚さが10μmの銅箔を積層してなる両面銅張積層板を準備した。次に、この銅張積層板の銅箔にエッチング処理を行い、銅張積層板の両面にL/S=10/10の導体回路パターンを形成した。ここで、導体回路パターンの厚みは10μm、銅箔の残像銅率は50%であった。なお、残存銅率とは、コア基材の表面の面積に対する、コア基材を被覆する銅箔の面積の百分率を示す。
次に、銅張積層板が一方面に備える導体回路パターンを覆うようにして、各実施例、各比較例のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、温度150℃で10分間熱処理することにより、熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、回路基板の一方面に厚さが13μmのソルダーレジスト層を形成した。また、同様にして、回路基板の他方面に厚さが13μmのソルダーレジスト層を形成し、回路基板を得た。ここで、導体回路パターン上に形成されたソルダーレジストの厚みは8μmであった。
次いで、回路基板を、温度85℃、湿度85%の条件下で168時間加速処理し、次いで、IRリフロー炉を用いてピーク温度260℃で3回処理し、さらに、大気中で、温度-55℃で15分間と、温度125℃で15分間とを1サイクルとするサイクル試験を500サイクル行った。次いで、回路基板の外観を目視により確認し、さらに、導通試験を行い、以下の評価基準で評価した。評価結果を下記表2に示す。
○:目視により観察したところ、回路基板のソルダーレジスト層の表面にクラックが生じておらず、また、導通試験を行ったところ導体回路パターンの断線がないことが確認された。
×:目視により観察したところ、回路基板のソルダーレジスト層の表面にクラックが生じており、導通試験を行ったところ導体回路パターンの断線があることが確認された。
【0080】
(ソルダーレジスト層のピンホール外観)
各実施例、各比較例のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を用いて、ソルダーレジスト層を作製し、外観を観察することで、電気的信頼性の低下の原因となるピンホールが形成されているかを確認した。詳細な方法を以下に説明する。
まず、厚さが240μmのコア基材(SUMITOMO BAKELITE CO., LTD.製、LαZ-4785TH-G)の両面に、厚さが12μmの銅箔を積層してなる両面銅張積層板を準備した。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとも示す。)を準備し、該PETフィルムの上に各実施例、各比較例のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布し、温度120℃で5分間熱処理することによって、PETフィルムの上にBステージ状態の樹脂膜を形成した。
次いで、両面銅張積層板の銅箔を備える面に対して、上記Bステージ状態の樹脂膜が接するようにラミネート処理を行い、温度120℃で1時間加熱することにより、Bステージ状態の樹脂膜を硬化させてソルダーレジスト層を形成した。なお、ピンホール外観の評価においては、ソルダーレジスト層を、実際の硬化条件よりも穏やかな温度条件で樹脂膜を硬化させた半硬化状態とし、デスミア処理によって形成されるピンホールをより観察しやすい加速的な条件で評価を行った。
次いで、ソルダーレジスト層と、PETフィルムとを剥離した。すなわち、両面銅張積層板と、ソルダーレジスト層とがこの順で積層した積層体を作製した。
次いで、積層体を、温度60℃で膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップセキュリガントP500))に5分間浸漬し、次いで、温度80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(コンセントレート・コンパクトCP、アトッテクジャパン社製)に5分間浸漬し、次いで、中和することにより、デスミア処理を行い、外観評価用の試験片を得た。
このようにして得られた外観評価用の試験片の表面を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)によって観察した。ここで、観察面積は、長さ50mm×幅50mmの範囲とした。該観察面積中のピンホールの数を数え、以下の評価基準に従って評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
○:観察面積中のピンホールの数が10個未満であった。
×:観察面積中のピンホールの数が10個以上であった。
【0081】
(絶縁信頼性)
各実施例、各比較例のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を用いて、ソルダーレジスト層を作製し、絶縁信頼性を評価した。詳細な方法を以下に説明する。
まず、極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンEx、厚さ2.0μm)を両面に張り付けた両面銅張積層板(住友ベークライト(株)製、LAZ-4785TH-G、絶縁層部分の厚み0.2mm)準備した。
次に、この銅張積層板の銅箔にエッチング処理を行い、銅張積層板の両面にL/S=10/10μmの導体回路パターンを形成した。導体回路パターンの厚みは10μm、極薄銅箔の残存銅率は50%であった。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとも示す。)を準備し、該PETフィルムの上に各実施例、各比較例のワニス状の熱硬化性樹脂組成物を塗布し、温度120℃で1時間熱処理することによって、PETフィルムの上にBステージ状態の樹脂膜を形成した。なお、樹脂膜の厚みは13μmであった。
次いで、両面銅張積層板の導体回路パターンを備える面に対して、上記Bステージ状態の樹脂膜が接するようにラミネート処理を行い、温度210℃で1時間加熱することにより、Bステージ状態の樹脂膜を完全に硬化させてソルダーレジスト層を形成し、絶縁信頼性試験用の試験片を得た。ここで、導体回路パターン上に形成されたソルダーレジストの厚みは8μmであった。
このようにして得られた絶縁信頼性試験用の試験片について、温度130℃、湿度85%、印加電圧3.3Vの条件で、湿中にて300時間の抵抗値の評価を行った。評価は、以下の評価基準に基づいて行った。評価結果を下記表2に示す。
○:300時間以上、抵抗値が1×106Ωより大きい状態を維持し、絶縁信頼性に優れることが確認された。
×:300時間未満で抵抗値が1×106Ω以下となり、絶縁信頼性に劣ることが確認された。
【0082】
【0083】
上記表2に示す通り、各実施例の熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されたソルダーレジストは、各比較例の熱硬化性樹脂組成物を用いた場合と比べて、ピンホールが形成されず、さらに、絶縁信頼性に優れることが確認された。さらに、該ソルダーレジストを備える回路基板は、各比較例の熱硬化性樹脂組成物を用いたソルダーレジストを備える回路基板と比べて、電気的信頼性に優れることが確認された。
【符号の説明】
【0084】
10 ソルダーレジスト
20 回路基板
22 基板
24 導体回路パターン
28 開口部
30 半田ボール
40 封止樹脂層
50 ボンディングワイヤ
60 半導体素子
62 ダイアタッチ材
102 半導体パッケージ
242 ライン
244 ランド
246 めっき膜