(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】無人飛行体
(51)【国際特許分類】
G10K 11/178 20060101AFI20231213BHJP
B64C 1/40 20060101ALI20231213BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20231213BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G10K11/178 100
B64C1/40
B64C27/08
B64C39/02
(21)【出願番号】P 2018057309
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-10-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小西 一暢
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ステファン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】水野 耕
【合議体】
【審判長】畑中 高行
【審判官】木方 庸輔
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106782491(CN,A)
【文献】特開2010-132280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - 1/70,
B64C 1/00 - 99/00,
B64D 1/00 - 47/08,
B64F 1/00 - 5/60,
B64G 1/00 - 99/00,
G10K 11/178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体であって、
前記無人飛行体を飛行させる力を発生させる1つ以上の発生器であって、それぞれ気流を発生させる1つ以上の発生器と、
1つ以上の第1構造物と、
1つ以上のマイクロフォンと、
1つ以上のスピーカと、
前記1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成するプロセッサとを備え、
前記1つ以上の発生器の各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の第1構造物の各々は、前記1つ以上の発生器の各々の騒音源をそれぞれ覆い、かつ前記1つ以上の発生器の各々が出す気流の方向及び前記気流の方向と反対方向にそれぞれ貫通され、
前記1つ以上の第1構造物の各々は、前記1つ以上の発生器の各々の前記騒音源を覆う位置から前記反対方向にそれぞれ伸長せずに、前記1つ以上の発生器の各々の前記騒音源を覆う位置から前記気流の方向にそれぞれ伸長しており、
前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上の第1構造物の各々によってそれぞれ覆われる1つ以上の内部領域の各々において、前記1つ以上の発生器の各々よりも前記気流の方向にそれぞれ位置し、
前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の発生器の各々及び前記1つ以上のマイクロフォンの各々よりも前記気流の方向にそれぞれ位置し、前記第2信号に従ってそれぞれ音を出力し、
前記1つ以上の第1構造物の各々の前記気流の方向の長さは、前記騒音源から発生する騒音の基本周波数に応じた長さであり、
前記1つ以上の発生器
の各々は
、前記騒音源として1つ以上の回転翼を備え、
前記基本周波数は、前記無人飛行体が高度を維持する場合における前記1つ以上の回転翼の回転数、及び、
前記1つ以上の回転翼の各々が回転の中心から回転の外縁までの長さを有すると規定される場合における前記1つ以上の回転翼の数によって規定される
無人飛行体。
【請求項2】
前記1つ以上の第1構造物の各々の前記気流の方向に垂直な断面は、前記反対方向の端に近いほど、より大きい
請求項1に記載の無人飛行体。
【請求項3】
前記1つ以上のスピーカは、前記気流の方向に向かって、それぞれ前記音を出力する
請求項1又は2に記載の無人飛行体。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記それぞれの第1信号によって示されるそれぞれの音の逆位相音を示す信号を用いて前記第2信号を生成する
請求項1~3のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【請求項5】
前記1つ以上の発生器は、前記無人飛行体の飛行時において前記無人飛行体の下側の方向へ気流をそれぞれ出す
請求項1~4のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【請求項6】
前記1つ以上の発生器は、2つ以上の発生器であり、
前記1つ以上の第1構造物は、2つ以上の第1構造物であり、
前記1つ以上のマイクロフォンは、2つ以上のマイクロフォンであり、
前記1つ以上のスピーカは、2つ以上のスピーカであり、
請求項1~5のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【請求項7】
前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の内部領域の各々にそれぞれ配置される
請求項1~6のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【請求項8】
前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の回転翼の回転軸の延長線上にそれぞれ配置される
請求項1~7のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体に関して、特許文献1には、横風が機体に及ぼす影響が低減される無人航空機が提案されている。具体的には、特許文献1に記載の無人航空機は、機軸に沿って延びる胴体と、胴体に取り付けられ、機軸に平行な方向に風を送るプロペラと、プロペラの風下側に配置された操舵翼と、ダクトとを具備する。ダクトは、機軸に直交する方向から見たときにプロペラ及び操舵翼がダクトからはみ出さないようにプロペラ及び操舵翼を囲む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の無人航空機では、ダクトによって重量が増加する。そのため、飛行時に消費されるエネルギーが大きい。また、飛行時にプロペラの回転等によって騒音が発生すると想定される。
【0005】
そこで、本開示は、重量の増加を抑制しつつ、騒音を軽減させることができる無人飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る無人飛行体は、前記無人飛行体を飛行させる力を発生させる1つ以上の発生器であって、それぞれ気流を発生させる1つ以上の発生器と、1つ以上の第1構造物と、1つ以上のマイクロフォンと、1つ以上のスピーカと、前記1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成するプロセッサとを備え、前記1つ以上の発生器の各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の第1構造物の各々は、前記1つ以上の発生器の各々の騒音源をそれぞれ覆い、かつ前記1つ以上の発生器の各々が出す気流の方向及び前記気流の方向と反対方向にそれぞれ貫通され、前記1つ以上の第1構造物の各々は、前記1つ以上の発生器の各々の前記騒音源を覆う位置から前記反対方向にそれぞれ伸長せずに、前記1つ以上の発生器の各々の前記騒音源を覆う位置から前記気流の方向にそれぞれ伸長しており、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上の第1構造物の各々によってそれぞれ覆われる1つ以上の内部領域の各々において、前記1つ以上の発生器の各々よりも前記気流の方向にそれぞれ位置し、前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の発生器の各々及び前記1つ以上のマイクロフォンの各々よりも前記気流の方向にそれぞれ位置し、前記第2信号に従ってそれぞれ音を出力し、前記1つ以上の第1構造物の各々の前記気流の方向の長さは、前記騒音源から発生する騒音の基本周波数に応じた長さであり、前記1つ以上の発生器の各々は、前記騒音源として1つ以上の回転翼を備え、前記基本周波数は、前記無人飛行体が高度を維持する場合における前記1つ以上の回転翼の回転数、及び、前記1つ以上の回転翼の各々が回転の中心から回転の外縁までの長さを有すると規定される場合における前記1つ以上の回転翼の数によって規定される。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る無人飛行体は、重量の増加を抑制しつつ、騒音を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における無人飛行体の構成を示す外観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における構造物が取り除かれた無人飛行体の構成を示す概念図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における無人飛行体の構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における無人飛行体の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1変形例における無人飛行体の構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2変形例における無人飛行体の構成を示す外観図である。
【
図7】
図7は、第2変形例における無人飛行体の構成を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2変形例における無人飛行体の別の構成を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第3変形例における音圧分布の第1パターンを示す分布図である。
【
図10】
図10は、第3変形例における音圧分布の第2パターンを示す分布図である。
【
図11】
図11は、第3変形例における音圧分布の第3パターンを示す分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
近年、ドローン、無人航空機又はUAV(Unmanned Aerial Vehicle)とも表現される無人飛行体が、様々な分野に利用され始めている。例えば、無人飛行体は、撮影、荷物の配送、行方不明者等の捜索、及び、薬剤の散布等に有効であると想定される。
【0011】
一方で、無人飛行体が飛行時に発生する騒音は大きい。例えば、無人飛行体に搭載されたプロペラが回転することにより、騒音が発生する。具体的には、プロペラが回転することにより、プロペラを構成する1つのブレードから翼端渦が発生する。この翼端渦がプロペラを構成する他のブレードに当たることにより、騒音が発生する。
【0012】
そのため、大きい騒音を発生する無人飛行体の利用が制限される可能性がある。例えば、病院及び図書館等のような静かな環境、及び、夜間などの静かな時間帯では、無人飛行体の利用が制限される可能性がある。さらに、騒音のため、人の近くを飛行と恐怖感が生まれ、安全に飛行することが難しい。
【0013】
また、無人飛行体が重い場合、円滑な飛行が妨げられるし、飛行時に消費されるエネルギーも増加する。無人飛行体は、飛行中に飛行のためのエネルギーを外部から取得することが困難である。したがって、無人飛行体が重い場合、長時間の飛行が妨げられる。
【0014】
そこで、本開示の一態様に係る無人飛行体は、前記無人飛行体を飛行させる力を発生させる1つ以上の発生器であって、それぞれ気流を発生させる1つ以上の発生器と、1つ以上の第1構造物と、1つ以上のマイクロフォンと、1つ以上のスピーカと、前記1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成するプロセッサとを備え、前記1つ以上の発生器の各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の第1構造物の各々は、前記1つ以上の発生器の各々の騒音源をそれぞれ覆い、かつ前記1つ以上の発生器の各々が出す気流の方向及び前記気流の方向と反対方向にそれぞれ貫通され、前記1つ以上の第1構造物の各々の前記反対方向の端は、前記1つ以上の発生器の各々の前記騒音源の前記反対方向の端にそれぞれ対応し、前記1つ以上の第1構造物の各々の前記気流の方向の端は、前記1つ以上の発生器の各々の前記騒音源の前記気流の方向の端が覆われる位置よりも前記気流の方向にそれぞれ伸長され、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上の第1構造物の各々によってそれぞれ覆われる1つ以上の内部領域の各々において、前記1つ以上の発生器の各々よりも前記気流の方向にそれぞれ位置し、前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の発生器の各々よりも前記気流の方向にそれぞれ位置し、前記第2信号に従ってそれぞれ音を出力する。
【0015】
これにより、無人飛行体は、発生器で発生すると想定される騒音を気流の方向にまとめることができる。そして、無人飛行体は、気流の方向にまとめられた騒音をマイクロフォンによって収音し、収音された騒音に従って、スピーカから騒音を打ち消す音を出力することができる。したがって、無人飛行体は、騒音等のノイズを能動的に逆位相音で抑制するアクティブノイズキャンセリング等を適用することができ、発生器で発生すると想定される騒音を軽減させることができる。
【0016】
さらに、無人飛行体は、気流の上流側を第1構造物で覆わないため、無人飛行体の重量の増加を抑制し、騒音の影響が大きいと想定される下流側の騒音を効率的に軽減させることができる。
【0017】
例えば、前記1つ以上の第1構造物の各々の前記気流の方向に垂直な断面は、前記反対方向の端に近いほど、より大きくてもよい。
【0018】
これにより、無人飛行体は、重量の増加を適切に抑制しつつ、騒音が気流の上流側から気流の下流側に回り込むことを抑制することができる。したがって、無人飛行体は、気流の下流側の騒音を効率的に軽減させることができる。
【0019】
また、例えば、前記1つ以上の第1構造物の各々の前記反対方向の端にそれぞれ接続されて前記1つ以上の第1構造物の各々を延長する1つ以上の第2構造物をさらに備え、前記1つ以上の第2構造物の各々の前記気流の方向に垂直な断面は、前記1つ以上の第2構造物の各々の前記反対方向の端に近いほど、より大きくてもよい。
【0020】
これにより、無人飛行体は、騒音が気流の上流側から気流の下流側に回り込むことを適切に抑制することができる。したがって、無人飛行体は、気流の下流側の騒音を効率的に軽減させることができる。
【0021】
また、例えば、前記1つ以上のスピーカは、前記気流の方向に向かって、それぞれ前記音を出力してもよい。
【0022】
これにより、無人飛行体は、スピーカから気流の方向に出力される音によって、気流の方向にまとめられた騒音を効率的に軽減させることができる。
【0023】
また、例えば、前記プロセッサは、前記それぞれの第1信号によって示されるそれぞれの音の逆位相音を示す信号を用いて前記第2信号を生成してもよい。
【0024】
これにより、無人飛行体は、逆位相音によって、気流の方向にまとめられた騒音を効率的に軽減させることができる。
【0025】
また、例えば、前記1つ以上の発生器は、前記無人飛行体の飛行時において前記無人飛行体の下側の方向へ気流をそれぞれ出してもよい。
【0026】
これにより、無人飛行体は、無人飛行体の飛行時において、下側に向かう騒音を軽減させることができる。
【0027】
また、例えば、前記1つ以上の発生器は、2つ以上の発生器であり、前記1つ以上の第1構造物は、2つ以上の第1構造物であり、前記1つ以上のマイクロフォンは、2つ以上のマイクロフォンであり、前記1つ以上のスピーカは、2つ以上のスピーカであってもよい。
【0028】
これにより、無人飛行体は、複数の発生器に従って、無人飛行体が飛行するための力を発生させることができる。また、無人飛行体は、複数の発生器のそれぞれで発生すると想定される騒音を軽減させることができる。
【0029】
また、例えば、前記1つ以上の発生器は、それぞれ前記騒音源として1つ以上の回転翼を備えてもよい。
【0030】
これにより、無人飛行体は、回転翼に従って、無人飛行体が飛行するための力を発生させることができる。また、無人飛行体は、回転翼によって発生する騒音を軽減することができる。
【0031】
また、例えば、前記1つ以上の第1構造物の各々の前記気流の方向の長さは、前記無人飛行体が高度を維持する場合における前記1つ以上の回転翼の回転数に応じた長さであってもよい。
【0032】
これにより、無人飛行体は、回転翼によって発生する騒音を適切に軽減することができる。
【0033】
また、例えば、前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の内部領域の各々にそれぞれ配置されてもよい。
【0034】
これにより、無人飛行体は、内部領域におけるスピーカから出力される音によって、内部領域から漏れ出て広がる騒音を効率的に軽減させることができる。
【0035】
また、例えば、前記1つ以上の発生器は、それぞれ1つ以上の回転翼を備え、前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上の回転翼の回転軸の延長線上にそれぞれ配置されてもよい。
【0036】
これにより、無人飛行体は、回転軸の延長線上のスピーカから出力される音によって、回転軸の延長線上を中心に広がる騒音を効率的に軽減させることができる。
【0037】
さらに、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0038】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0039】
また、以下の説明に用いられる各図は、模式図であり、必ずしも厳密に構成要素の配置及び大きさ等を図示していない。
【0040】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における無人飛行体の構成を示す外観図である。
図1において、無人飛行体100は、発生器111~114、構造物(ダクト)121~124、マイク(マイクロフォン)131~134、及び、筐体140を備えている。なお、無人飛行体100は撮像装置を備えてもよい。
【0041】
発生器111~114は、無人飛行体100を飛行させる力を発生させる。例えば、発生器111~114のそれぞれは、動力源、動力源から伝達される動力を利用して飛行力を発生させるアクチュエータ及びその他の構造物等で構成される機械であって、例えば、モータ、1つ以上の回転翼及び当該1つ以上の回転翼を覆うダクト又はガードを備える。具体的には、発生器111~114のそれぞれが、個別に力を発生させる。無人飛行体100を飛行させる力は、発生器111~114で個別に発生する複数の力を含む。また、無人飛行体100を飛行させる力は、発生器111~114で個別に発生する複数の力が発生器111~114の全体で合成された力とも表現される。発生器111~114で個別に発生する力は、例えば無人飛行体100を垂直方向に移動すなわち上昇させる揚力又は無人飛行体100を水平方向に移動すなわち前後左右に移動させる推力と表現されてもよい。
【0042】
また、発生器111~114のそれぞれは、個別に発生する力の方向とは、反対方向に気流を発生させる。個別に発生する力の方向は、発生器111~114の間で異なっていてもよく、これにより、気流の方向は、発生器111~114の間で異なっていてもよい。また、発生器111~114で個別に発生する力は、無人飛行体100を飛行させる力の成分とも表現され得る。すなわち、発生器111~114のそれぞれは、無人飛行体100を飛行させる力の成分を気流の方向とは反対方向に発生させる。
【0043】
ここで、気流の方向は、気流の中心的な1つの方向であって、上流側から下流側へ向かう方向(発生器が出す気流の方向)である。例えば、発生器111~114のそれぞれは、無人飛行体100の飛行時において、無人飛行体100の上側の方向へ力を発生させ、無人飛行体100の下側の方向へ気流を発生させる。上側の方向は、必ずしも真上の方向でなくてもよい。また、下側の方向は、必ずしも真下の方向でなくてもよい。
【0044】
より具体的には、無人飛行体100は、発生器111~114のそれぞれが1つ以上の回転翼で構成される場合、各回転翼が回転することにより、上側に揚力を発生させ、下側に気流を発生させる。具体的には、回転翼で発生する気流の方向及び力の方向は、回転翼の軸に沿う互いに反対の方向である。無人飛行体100は、上側に発生する揚力によって、上側に揚がる。また、無人飛行体100は、発生器111~114のうちの少なくとも1つの回転翼を他の発生器の回転翼と異なる回転数で回転させることにより、前後左右のいずれかに推力を発生させる。そして、各回転翼において、騒音が発生する。
【0045】
なお、発生器111~114のそれぞれは、力発生器、気流発生器又は推進器とも表現され得る。
【0046】
構造物121~124のそれぞれは、貫通孔を有する構造物であって、ダクトとも表現され得る。構造物121~124のそれぞれには、他の構成要素が部分的に含む構造物と同じ素材が用いられてもよいし、異なる素材が用いられてもよい。例えば、構造物121~124のそれぞれには、純物質が用いられてもよいし、混合物が用いられてもよい。
【0047】
より具体的には、金属が用いられてもよいし、樹脂が用いられてもよいし、木材が用いられてもよいし、その他の素材が用いられてもよい。また、遮音材が用いられてもよいし、吸音材が用いられてもよいし、それらの組み合わせが用いられてもよい。
【0048】
また、例えば、
図1のように、構造物121~124のそれぞれは、筒状の形状を有していてもよい。具体的には、構造物121~124のそれぞれは、円形の断面形状を有する円筒であってもよいし、四角形の断面形状を有する角筒であってもよい。また、断面形状は、三角形であってもよいし、六角形であってもよいし、その他の形状であってもよい。また、構造物121~124のそれぞれにおいて、内壁と外壁との厚みは一定でなくてもよい。
【0049】
また、
図1において構造物121~124は同じ形状を有しているが、構造物121~124は互いに異なる形状を有していてもよい。また、
図1において構造物121~124は互いに離れているが、構造物121~124は、一体化されていてもよい。
【0050】
また、構造物121~124は、それぞれ、発生器111~114に対応している。つまり、構造物121~124のそれぞれに対して、発生器111~114の少なくとも1つが定められる。例えば、構造物121~124は、発生器111~114に一対一に対応していてもよい。ここでは、構造物121が発生器111に対応し、構造物122が発生器112に対応し、構造物123が発生器113に対応し、構造物124が発生器114に対応している。
【0051】
そして、構造物121は、発生器111の騒音源を覆い、かつ発生器111が出す気流の方向及び当該気流の方向と反対方向に貫通されている。騒音源は、例えば1つ以上の回転翼である。なお、騒音源のみを意味して発生器と称する場合もある。構造物121の貫通部分を貫通孔とも称する。言い換えると、構造物121の貫通孔には、発生器111が物理的に収容される。そして、構造物121は、貫通孔によって、発生器111で発生する気流、及び、発生器111を覆う。具体的には、構造物121は、発生器111で発生する気流の方向に垂直な複数の方向から気流の進路の周囲を覆い、構造物121の上端部分によって、気流の方向に垂直な複数の方向から発生器111の周囲を覆う。
【0052】
ここで、構造物121の上記反対方向の端は、発生器111の騒音源の上記反対方向の端に対応する。具体的には、構造物121の上端部分は、構造物121における気流の上流側の端部分である。例えば、構造物121の上端部分は、構造物121における気流の上流側の端を含み、気流の方向に垂直な複数の方向から発生器111の周囲を覆うための幅を気流の方向に対して有する。構造物121における気流の上流側の端は、構造物121の上端、又は、構造物121の上端部分の上端とも表現される。
【0053】
また、気流の進路は、発生器111が発生させる気流の方向に沿う進路である。気流の方向に垂直な複数の方向は、例えば、気流の方向に垂直な全ての方向である。つまり、構造物121は、気流の進路を筒状に覆う。そして、構造物121の上端部分が、気流の方向に垂直な複数の方向から、1つ以上の回転翼を含む発生器111全体を覆う。例えば、1つ以上の回転翼の上記反対方向の端が、構造物121の上記反対方向の端に隠れるように対応する。これにより、発生器111の側面全体が、構造物121の上端部分で覆われる。なお、発生器111が備える構成のうち無人飛行体の飛行時に騒音を発生させない構成は、構造物121に覆われていなくてもよい。例えば、発生器111に備えられる回転翼を固定するためのシャフトなどの構成は、構造物121の上記反対方向の端よりも上記反対方向に伸長していてもよい。
【0054】
また、構造物121の上記気流の方向の端は、発生器111の騒音源の上記気流の方向の端が覆われる位置よりも上記気流の方向に伸長されている。具体的には、構造物121の貫通孔は、発生器111を収容するための大きさを有する。また、構造物121の貫通孔の上記気流の方向の長さは、上記上端部分よりも長い。貫通孔は、例えば貫通孔の幅の1/3から2倍までの長さを有していてもよい。この範囲は例であって、貫通孔の長さはこの範囲に制限されなくてもよい。また、貫通孔の長さは、気流の方向に対する貫通孔の長さであり、貫通孔の幅は、気流の方向に対して垂直な方向に対する貫通孔の幅である。
【0055】
同様に、構造物122は、発生器112で発生する気流の方向に垂直な複数の方向から気流の進路の周囲を覆い、構造物122の上端部分によって、気流の方向に垂直な複数の方向から発生器112の周囲を覆う。同様に、構造物123は、発生器113で発生する気流の進路、及び、発生器113を覆い、構造物124は、発生器114で発生する気流の進路、及び、発生器114を覆う。
【0056】
マイク131~134のそれぞれは、音を取得し、取得された音を信号に変換し、信号を出力する装置である。つまり、マイク131~134のそれぞれは、音を収音し、収音された音を示す信号を出力する。
【0057】
また、マイク131~134は、それぞれ、発生器111~114に対応している。つまり、マイク131~134のそれぞれに対して、発生器111~114の少なくとも1つが定められる。例えば、マイク131~134は、発生器111~114に一対一に対応していてもよい。ここでは、マイク131が発生器111に対応し、マイク132が発生器112に対応し、マイク133が発生器113に対応し、マイク134が発生器114に対応している。
【0058】
そして、マイク131は、発生器111に対応して配置され、マイク132は、発生器112に対応して配置され、マイク133は、発生器113に対応して配置され、マイク134は、発生器114に対応して配置される。
【0059】
具体的には、マイク131は、発生器111に対応する構造物121によって覆われる内部領域において、発生器111よりも気流の下流側に配置される。構造物121によって覆われる内部領域は、構造物121の貫通孔とも表現され得る。ここでは、マイク131が、内部領域の中央部分に配置されているが、構造物121の内側の表面に配置されてもよい。
【0060】
同様に、マイク132は、発生器112に対応する構造物122によって覆われる内部領域において、発生器112よりも気流の下流側に配置される。マイク133及び134も同様に配置される。
【0061】
筐体140は、プロセッサ及びメモリ等を物理的に収容するための構造物である。例えば、発生器111~114、構造物121~124、マイク131~134及び筐体140は、1つ以上の支持構造物を介して連結され、相対的な配置が維持されるように1つ以上の支持構造物によって物理的に支持される。
【0062】
図2は、
図1に示された構造物121~124が取り除かれた無人飛行体100の構成を示す概念図である。無人飛行体100は、さらに、スピーカ161~164を備えている。そして、スピーカ161~164が、1つ以上の支持構造物を介して筐体140等に連結され、1つ以上の支持構造物によって物理的に支持される。例えば、スピーカ161~164は、発生器111~114の回転翼の回転軸の延長線上にそれぞれ配置される。例えば、スピーカ161~164は、発生器111~114の回転翼のシャフトなどの回転支持軸の途中又は端に配置されてもよいし、回転支持軸の延長線上よりも下方向に回転支持軸とは別の支持構造物によって設置されてもよい。
【0063】
スピーカ161~164のそれぞれは、信号を取得し、取得された信号を音に変換し、音を出力する装置である。つまり、スピーカ161~164のそれぞれは、取得された信号によって示される音を出力する。
【0064】
また、スピーカ161~164は、それぞれ、発生器111~114に対応している。つまり、スピーカ161~164のそれぞれに対して、発生器111~114の少なくとも1つが定められる。例えば、スピーカ161~164は、発生器111~114に一対一に対応している。ここでは、スピーカ161が発生器111に対応し、スピーカ162が発生器112に対応し、スピーカ163が発生器113に対応し、スピーカ164が発生器114に対応している。
【0065】
そして、スピーカ161は、発生器111に対応して配置され、スピーカ162は、発生器112に対応して配置され、スピーカ163は、発生器113に対応して配置され、スピーカ164は、発生器114に対応して配置される。
【0066】
具体的には、スピーカ161は、発生器111に対応する構造物121によって覆われる内部領域において、発生器111よりも気流の下流側に配置される。具体的には、スピーカ161は、発生器111に対応するマイク131よりも発生器111で発生する気流の下流側に配置される。同様に、スピーカ162は、発生器112に対応するマイク132よりも発生器112で発生する気流の下流側に配置される。スピーカ163及び164も、同様に、発生器113及び発生器114に対応して配置される。なお、スピーカ161は、発生器111よりも気流の下流側であれば、発生器111に対応するマイク131よりも発生器111で発生する気流の上流側に配置されてもよい。この場合、マイク131はノイズマイクではなくエラーマイクとして用いられる。
【0067】
また、例えば、スピーカ161は、発生器111で発生する気流の方向に向かって音を出力する。具体的には、スピーカ161は、基本的に、指向性を有し、音を出力する場合に音の強度が大きい方向を音の出力方向として有している。スピーカ161は、この出力方向が気流の方向に一致するように配置される。同様に、スピーカ162は、発生器112で発生する気流の方向に向かって音を出力する。同様に、スピーカ163及び164のそれぞれも、気流の方向に向かって音を出力する。
【0068】
また、スピーカ161~164は、気流の方向に垂直な複数の方向から構造物121~124に覆われていてもよいし、覆われていなくてもよい。例えば、スピーカ161は、構造物121によって覆われる内部領域に位置していてもよいし、その他の領域に位置していてもよい。また、スピーカ161は、構造物121の内側の表面に配置されてもよい。
【0069】
図3は、
図1に示された無人飛行体100の構成を示す断面図である。具体的には、
図3は、
図1に示された無人飛行体100の発生器111及び114に対する鉛直面の断面を概念的に示す。発生器112及び113に対する断面は、発生器111及び114に対する断面と基本的に同じであるため、発生器112及び113に対する断面の図示を省略する。
図3のように、プロセッサ170が筐体140に収容されている。すなわち、無人飛行体100は、さらに、プロセッサ170を備えている。
【0070】
プロセッサ170は、情報処理を行う電気回路である。具体的には、プロセッサ170は、マイク131~134のそれぞれから出力された第1信号に従って、第2信号を生成する。
【0071】
例えば、プロセッサ170は、有線又は無線の通信によって、マイク131~134のそれぞれから出力される第1信号を取得する。有線の通信のための通信線が、筐体140等を支持するための1つ以上の支持構造物に含まれていてもよい。
【0072】
また、プロセッサ170は、マイク131~134のそれぞれから取得された第1信号に従って、第1信号によって示される音の逆位相音を示す第2信号を生成する。例えば、元の音の逆位相音は、元の音の位相に対して逆の位相を有する音であり、元の音の波形が反転された波形を有する音である。
【0073】
また、プロセッサ170は、スピーカ161~164のそれぞれへ第2信号を出力する。例えば、プロセッサ170は、有線又は無線の通信によって、スピーカ161~164のそれぞれへ第2信号を送信することにより、第2信号を出力する。
【0074】
ここで、プロセッサ170は、マイク131から取得された第1信号に従って、第1信号によって示される音の逆位相音を示す第2信号を生成し、第2信号をスピーカ161へ出力する。同様に、プロセッサ170は、マイク132から取得された第1信号に従って、第1信号によって示される音の逆位相音を示す第2信号を生成し、第2信号をスピーカ162へ出力する。
【0075】
同様に、プロセッサ170は、マイク133から取得された第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ163へ出力し、マイク134から取得された第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ164へ出力する。
【0076】
スピーカ161~164の各々は、第2信号の各々によって示される音をそれぞれ出力する。
【0077】
例えば、スピーカ161は、マイク131から出力された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力する。同様に、スピーカ162は、マイク132から出力された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力する。同様に、スピーカ163は、マイク133から出力された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力し、スピーカ164は、マイク134から出力された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力する。
【0078】
これにより、マイク131に入力された音の逆位相音がスピーカ161から出力される。同様に、マイク132に入力された音の逆位相音がスピーカ162から出力される。同様に、マイク133に入力された音の逆位相音がスピーカ163から出力され、マイク134に入力された音の逆位相音がスピーカ164から出力される。したがって、発生器111~114で発生する騒音が軽減される。
【0079】
具体的には、発生器111で発生する騒音が、マイク131で収音される。そして、騒音の逆位相音が、スピーカ161から出力される。これにより、無人飛行体100は、スピーカ161から出力される逆位相音によって、発生器111で発生する騒音を打ち消すことができる。
【0080】
上記のように騒音等のノイズを能動的に逆位相音で抑制する技術は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)とも呼ばれる。そして、第1信号は、参照信号と表現される場合があり、第2信号は、制御信号と表現される場合がある。
【0081】
また、発生器111で発生する騒音は、気流の下流側において構造物121によって気流の方向へまとめられる。また、マイク131は、構造物121によって覆われる内部領域において、発生器111よりも気流の下流側に位置する。したがって、マイク131は、気流の方向へまとめられた騒音を適切に収音することができる。
【0082】
そして、スピーカ161は、気流の方向に向かって、気流の方向へまとめられた騒音の逆位相音を出力することにより、騒音を適切に打ち消すことができる。すなわち、スピーカ161は、騒音と、騒音の逆位相音とが同じ方向に向かうように、騒音の逆位相音を出力するため、騒音を適切に打ち消すことができる。
【0083】
また、基本的に、発生器111は、無人飛行体100を飛行させるため、無人飛行体100の上側の方向に力を発生させ、無人飛行体100の下側の方向に気流を発生させる。そして、無人飛行体100の飛行時では、無人飛行体100の上側よりも下側に対して騒音の影響が大きいと想定される。すなわち、無人飛行体100の上流側よりも下流側に対して騒音の影響が大きいと想定される。スピーカ161は、気流の下流側の騒音を打ち消すことで、影響が大きいと想定される騒音を打ち消すことができる。
【0084】
さらに、構造物121の上端部分が、発生器111を覆う。すなわち、発生器111よりも気流の上流側を覆わない。したがって、重量の増加が抑制される。
【0085】
ここでは、発生器111で発生する騒音について説明したが、発生器112~114のそれぞれで発生する騒音についても同様である。
【0086】
なお、無人飛行体100は通信装置を備え、プロセッサ170は、無人飛行体100の外部に位置する外部装置と通信装置を介して無線で通信を行ってもよい。そして、プロセッサ170は、無人飛行体100に対する操作信号を通信装置を介して受信してもよい。そして、プロセッサ170は、操作信号に従って、発生器112~114等を動作させ、無人飛行体100を飛行させてもよい。
【0087】
また、プロセッサ170は、筐体140とは異なる構成要素に収容されていてもよい。例えば、構造物121~124、マイク131~134及びスピーカ161~164のいずれかに収容されていてもよい。そして、無人飛行体100は、筐体140を備えていなくてもよい。
【0088】
また、スピーカ161~164の各々が、第1信号の各々からそれぞれ生成される第2信号の各々に従って音をそれぞれ出力する例を説明したが、プロセッサ170は、マイク131~134の各々からそれぞれ取得される第1信号の少なくとも2つを用いて1つの第2信号を生成してもよく、スピーカ161~164の各々は、当該1つの第2信号に従ってそれぞれ音を出力してもよい。
【0089】
図4は、
図1に示された無人飛行体100の動作を示すフローチャートである。無人飛行体100の複数の構成要素によって、
図4に示された動作が行われる。
【0090】
まず、無人飛行体100のマイク131~134のそれぞれは、騒音を収音し、騒音を示す第1信号を出力する(S101)。プロセッサ170は、マイク131~134のそれぞれから出力された第1信号を取得する。例えば、マイク131~134のそれぞれは、第1信号をプロセッサ170へ送信することにより、第1信号を出力する。そして、プロセッサ170は、マイク131~134のそれぞれから第1信号を受信することにより、第1信号を取得する。
【0091】
次に、無人飛行体100のプロセッサ170は、マイク131~134のそれぞれから出力される第1信号に従って、第1信号によって示される騒音の逆位相音を示す第2信号を生成し、第2信号を出力する(S102)。そして、スピーカ161~164は、プロセッサ170から第2信号を取得する。
【0092】
例えば、プロセッサ170は、スピーカ161~164のそれぞれへ第2信号を送信することにより、第2信号を出力する。そして、スピーカ161~164のそれぞれは、プロセッサ170から第2信号を受信することにより、第2信号を取得する。
【0093】
具体的には、プロセッサ170は、マイク131の第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ161へ送信する。また、プロセッサ170は、マイク132の第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ162へ送信する。また、プロセッサ170は、マイク133の第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ163へ送信する。また、プロセッサ170は、マイク134の第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ164へ送信する。
【0094】
そして、スピーカ161は、マイク131の第1信号に従って生成された第2信号をプロセッサ170から受信する。また、スピーカ162は、マイク132の第1信号に従って生成された第2信号をプロセッサ170から受信する。また、スピーカ163は、マイク133の第1信号に従って生成された第2信号をプロセッサ170から受信する。スピーカ164は、マイク134の第1信号に従って生成された第2信号をプロセッサ170から受信する。
【0095】
次に、無人飛行体100のスピーカ161~164のそれぞれは、第2信号に従って、騒音の逆位相音を出力する(S103)。すなわち、スピーカ161~164のそれぞれは、第2信号によって示される逆位相音を出力する。例えば、スピーカ161~164のそれぞれは、プロセッサ170から受信された第2信号に従って、第2信号によって示される逆位相音を出力する。
【0096】
これにより、無人飛行体100は、発生器111~114で発生する騒音を軽減させることができる。
【0097】
なお、
図1等において、4つの発生器111~114のそれぞれとして、1つの回転面及び1つの回転軸を有する1つの回転翼が示されている。しかしながら、1つの発生器が、複数の回転翼で構成されていてもよい。複数の回転翼は、互いに異なる複数の回転面を有していてもよいし、互いに異なる複数の回転軸を有していてもよい。なお、上記では、回転面の直径を回転翼の全長として1つの回転翼が備えられると説明したが、回転面の半径を回転翼の全長として2つの回転翼が備えられると解釈されてもよい。
【0098】
ここで、回転翼は、1つ以上の翼を有し、回転することによって、回転軸に沿う方向に力を発生させ、力の発生方向とは反対方向に流出する気流を発生させる。回転翼は、ブレード、ローター又はプロペラとも呼ばれる。また、1つ以上の回転翼は、回転翼セットとも表現され得る。
【0099】
また、発生器111~114のそれぞれは、1つ以上の回転翼でなくてもよい。発生器111~114のそれぞれは、ジェットエンジン又はロケットエンジン等であってもよい。
【0100】
また、無人飛行体100は、上述した例において4つの発生器111~114を備えているが、3つ以下の発生器を備えていてもよいし、5つ以上の発生器を備えていてもよい。同様に、無人飛行体100は、上述した例において4つの構造物121~124を備えているが、3つ以下の構造物を備えていてもよいし、5つ以上の構造物を備えていてもよい。
【0101】
同様に、無人飛行体100は、上述した例において4つのマイク131~134を備えているが、3つ以下のマイクを備えていてもよいし、5つ以上のマイクを備えていてもよい。同様に、無人飛行体100は、上述した例において4つのスピーカ161~164を備えているが、3つ以下のスピーカを備えていてもよいし、5つ以上のスピーカを備えていてもよい。
【0102】
また、プロセッサ170は、複数のサブプロセッサで構成されていてもよい。つまり、プロセッサ170として、複数のプロセッサが用いられてもよい。また、プロセッサ170は、マルチプロセッサであってもよい。
【0103】
また、無人飛行体100は、無線の通信のためのアンテナを備えていてもよいし、無線通信回路を備えていてもよい。プロセッサ170が、無線の通信のための無線通信回路の役割を果たしてもよい。また、無人飛行体100は、各構成要素を動作させるための電源などのエネルギー源を備えていてもよく、外部の電源と接続されていてもよい。
【0104】
また、スピーカ161~164のそれぞれについて、音の出力方向は、必ずしも、気流の方向に一致していなくてもよい。すなわち、スピーカ161~164のそれぞれは、気流の方向とは異なる方向に向かって、音を出力してもよい。これにより、音の出力方向において騒音が抑制され得る。また、出力された音が拡散することによって、気流の方向においても、騒音が抑制され得る。また、例えば、無指向性とも呼ばれる全指向性のスピーカ161が、構造物121における気流の下流側に配置されてもよい。
【0105】
また、無人飛行体100は、上述した例において4つの発生器111~114に一対一に対応する4つの構造物121~124を備えているが、複数の発生器に対応する1つの構造物を備えていてもよい。また、無人飛行体100は、複数の発生器に対応する1つの構造物、1つのマイク及び1つのスピーカを備えていてもよい。また、無人飛行体100は、各発生器又は各構造物に対応する複数のマイク及び複数のスピーカを備えていてもよい。例えば、複数のマイク及び複数のスピーカが気流を囲むように配置されてもよい。
【0106】
また、無人飛行体100は、騒音に従って、騒音の逆位相音を出力することにかぎらず、騒音に従って、騒音を目立たなくする音を出力してもよい。例えば、無人飛行体100は、騒音と同程度の音量で音楽等の音を出力してもよい。
【0107】
また、無人飛行体100は、対称性を有していなくてもよい。以下に示される複数の変形例のそれぞれにおいて示される無人飛行体も、対称性を有していなくてもよい。
【0108】
以下、上記の実施の形態の複数の変形例を示す。各変形例において、上記の実施の形態と実質的に同一の構成に対する説明を省略する場合がある。
【0109】
(第1変形例)
上記の実施の形態における無人飛行体100は、4つの発生器111~114、4つの構造物121~124、4つのマイク131~134、及び、4つのスピーカ161~164を備えている。これに対して、本変形例における無人飛行体は、1つの発生器、1つの構造物、1つのマイク、及び、1つのスピーカを備えている。
【0110】
図5は、本変形例における無人飛行体の構成を示す断面図である。
図5に示された無人飛行体200は、発生器210、構造物220、マイク230、筐体240、スピーカ260、及び、プロセッサ270を備えている。
【0111】
本変形例における無人飛行体200の複数の構成要素のそれぞれは、上記の実施の形態における無人飛行体100の複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素に対応する。無人飛行体200の複数の構成要素のそれぞれは、無人飛行体100において対応する少なくとも1つの構成要素と基本的に同じ特徴を有する。
【0112】
具体的には、発生器210は、発生器111~114に対応し、構造物220は、構造物121~124に対応し、マイク230は、マイク131~134に対応し、スピーカ260は、スピーカ161~164に対応する。また、筐体240及びプロセッサ270は、それぞれ、筐体140及びプロセッサ170に対応する。
【0113】
上記の実施の形態における無人飛行体100は、4つの発生器111~114を備えているが、本変形例における無人飛行体200は、1つの発生器210を備えている。そして、本変形例において、構造物220が発生器210の気流を覆う。構造物220で覆われる内部領域に発生器210、マイク230、筐体240、スピーカ260及びプロセッサ270が含まれる。そして、プロセッサ270は、マイク230で収音された音の逆位相音をスピーカ260から出力させる。
【0114】
これにより、本変形例における無人飛行体200は、発生器210で発生すると想定される騒音を適切に軽減させることができる。すなわち、騒音を適切に軽減させることができる無人飛行体200は、1つの発生器210、1つの構造物220、1つのマイク230、1つの筐体240、1つのスピーカ260、及び、1つのプロセッサ270で構成され得る。
【0115】
なお、上記の実施の形態における無人飛行体100の発生器111~114のそれぞれは、無人飛行体100を飛行させる力の成分を発生させる。本変形例における無人飛行体200の発生器210も、無人飛行体200を飛行させる力の成分を発生させるが、この成分は、無人飛行体200を飛行させる力自体とみなされ得る。
【0116】
(第2変形例)
本変形例における無人飛行体を構成する構造物(ダクト)の形状が、上記の実施の形態における無人飛行体100を構成する構造物(ダクト)121~124のそれぞれの形状とは異なる。
【0117】
図6は、本変形例における無人飛行体の構成を示す外観図である。本変形例における無人飛行体300は、上記の実施の形態における無人飛行体100と同様に、発生器111~114、マイク131~134、筐体140、スピーカ161~164、及び、プロセッサ170を備えている。そして、無人飛行体300は、無人飛行体100の構造物121~124にそれぞれ対応する構造物321~324を備えている。
【0118】
無人飛行体300の構造物321~324は、無人飛行体100の構造物121~124と基本的に同じであるが、形状が異なる。
【0119】
図7は、
図6に示された無人飛行体300の構成を示す断面図である。具体的には、
図7は、
図6に示された無人飛行体300の発生器111及び114に対する鉛直面の断面を概念的に示す。発生器112及び113に対する断面は、発生器111及び114に対する断面と基本的に同じであるため、発生器112及び113に対する断面の図示を省略する。
【0120】
構造物321~324の各々の気流の方向に垂直な断面は、気流の方向と反対方向の端に近いほど、より大きい。すなわち、例えば、
図7に示された構造物321の上端部分の形状が、
図3に示された構造物121の上端部分の形状と異なっている。具体的には、構造物321の上端部分における気流の上流側が気流の外側へ向かって広がっている。すなわち、構造物321の上端部分によって覆われる領域における気流の方向に垂直な断面は、構造物321の上端部分の上端に近いほど、より大きい。ここで、構造物321の上端部分の上端は、構造物321の上端部分における気流の上流側の端である。
【0121】
また、構造物321の上端部分によって覆われる領域は、構造物321によって覆われる内部領域の一部である。また、構造物321の上端部分によって覆われる領域は、構造物321の上端部分の全体によって覆われる領域に限らず、構造物321の上端部分の一部によって覆われる領域であってもよい。構造物321の上端部分の一部によって覆われる領域は、上端部分のうち、発生器111の中心を通り気流の方向に垂直な平面よりも気流の上流側に位置する部分によって覆われる領域であってもよい。
【0122】
このような上端部分の形状によって、発生器111で上流側に発生する騒音が上流側に放射される。そして、上流側に発生する騒音が下流側に回り込むことが抑制される。
【0123】
同様に、構造物322~324のそれぞれの上端部分の気流の上流側が気流の外側へ向かって広がっている。これにより、発生器112~114のそれぞれで上流側に発生する騒音が下流側に回り込むことが抑制される。
【0124】
なお、第1変形例における構造物220の上端部分の気流の上流側が、第2変形例における構造物321~324の各上端部分のように、気流の外側へ向かって広がっていてもよい。
【0125】
また、上記では構造物の上端部分が構造物の外側へ向かって広がっている例を説明したが、構造物全体が構造物の外側へ向かって広がっていてもよい。例えば、構造物全体が気流の方向に向かってテーパー構造であってもよい。
【0126】
また、構造物に別の構造物が接続させられてもよい。具体的には、無人飛行体300は、構造物321~324の各々の上記反対方向の端にそれぞれ接続されて構造物321~324の各々を延長する1つ以上の第2構造物をさらに備えてよい。そして、当該1つ以上の第2構造物の各々の気流の方向に垂直な断面は、当該1つ以上の第2構造物の各々の上記反対方向の端に近いほど、より大きい。この場合、発生器から出る騒音が構造物の外側に漏れることをより確実に抑制することができる。
【0127】
また、上記の第2構造物は、上記の実施の形態1における無人飛行体100の構造物121~124のそれぞれに接続されてもよい。この場合の例を
図8に示す。
図8に示された無人飛行体400は、構造物121に接続された第2構造物421、及び、構造物124に接続された第2構造物424を備える、同様に、無人飛行体400は、構造物122及び123の各々に接続された第2構造物を備える。
【0128】
このような第2構造物が、第1変形例における構造物220に接続されてもよいし、第2変形例における構造物321~324の各々に接続されてもよい。
【0129】
(第3変形例)
本変形例における無人飛行体を構成する構造物(ダクト)の長さは、発生器が備える回転翼の所定の回転数に応じて決定される。具体的には、1つ以上の構造物の各々の気流の方向の長さは、無人飛行体が高度を維持する場合における1つ以上の回転翼の回転数に応じた長さである。
【0130】
例えば、回転翼が発生させる騒音の基本周波数は、翼の数と回転翼の回転数から求められる。具体的には、基本周波数f(Hz)、回転翼の回転数r(rpm)、及び、翼の数nにおいて、f=r/60*n、という式が成り立つ。ここで、騒音の音圧が相対的に強い方向は基本周波数fに応じて変化する。例えば、基本周波数fが高くなると音圧が相対的に強い方向が回転翼の回転面に近づき、基本周波数fが低くなると音圧が相対的に強い方向が回転翼の回転面から遠ざかる。
【0131】
図9、
図10及び
図11では、異なる3パターンの基本周波数fにおける騒音の音圧分布をそれぞれ示す。
図9、
図10、
図11の順に基本周波数fが高くなる。基本周波数fが高くなるにつれて、音圧分布の広がりが収束している、言い換えると、破線で示されている音圧の相対的に強い方向が回転翼の回転面に近づいている。それに応じて、構造物の気流の方向の長さは短くなっている。詳細には、構造物の側面は、破線で示されている音圧の相対的に強い方向と交差するように形成されている。
【0132】
そこで、構造物の側面の長さは、無人飛行体において想定される周波数を基本周波数fとして用いて算出される音圧の相対的に強い方向をカバーする長さに定められる。例えば、想定される周波数としては、飛行高度を維持する際の周波数、又は飛行中の最頻周波数などがある。また、飛行高度を維持する際の最も小さい回転数又は飛行中において最も頻度が高い回転数、及び、翼の数に従って、周波数が想定されてもよい。
【0133】
これにより、無人飛行体において、構造物の長さが、騒音抑制に適した長さに定められ得る。したがって、無人飛行体は、構造物の重量が過剰となること又は騒音抑制が不足することを防止することができる。
【0134】
なお、
図9、
図10及び
図11では、構造物の長さ及び幅の比を示すモデルが示されており、構造物の実際のサイズを示してはいない。例えば、構造物のサイズは、
図9、
図10及び
図11に示されたサイズの1/50~1/10程度であってもよい。また、ここで説明された構造物の長さ及び幅は、構造物の貫通孔の長さ及び幅であってもよい。また、本変形例は、上記の実施の形態における無人飛行体100に適用されてもよいし、第1変形例における無人飛行体200に適用されてもよいし、第2変形例における無人飛行体300に適用されてもよい。
【0135】
以上、複数の変形例を含む上記の実施の形態等に基づいて無人飛行体の態様を説明したが、無人飛行体の態様は、上記の実施の形態等に限定されない。上記の実施の形態等に対して当業者が思いつく変形が施されてもよいし、上記の実施の形態等における複数の構成要素が任意に組み合わされてもよい。
【0136】
例えば、上記の実施の形態等において特定の構成要素によって実行される処理を特定の構成要素の代わりに別の構成要素が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0137】
また、説明に用いられた第1及び第2等の序数は、適宜、付け替えられてもよい。また、構成要素などに対して、序数が新たに与えられてもよいし、取り除かれてもよい。
【0138】
上記において各構造物には、純物質が用いられてもよいし、混合物が用いられてもよい。例えば、金属が用いられてもよいし、樹脂が用いられてもよいし、木材が用いられてもよいし、その他の素材が用いられてもよい。また、各構成要素の位置は、その構成要素の中心の位置であってもよいし、その構成要素の主要な位置であってもよい。
【0139】
また、上流側は、気流の方向とは反対の方向の側に対応し、下流側は、気流の方向の側に対応している。例えば、気流の方向が下方向である場合、上流側は上側であり、下流側は下側である。
【0140】
また、上記の実施の形態では、スピーカが構造物の内部に配置される例を説明したが、スピーカは構造物の外側に配置されてもよい。例えば、スピーカは、構造物の側面又は発生器が気流を出す方向の端に配置されてもよい。また、スピーカは、構造物の内部の別の位置に配置されてもよい。例えば、スピーカは、構造物の内側の側面に配置されてもよい。
【0141】
以下、本開示の一態様における無人飛行体の基本的な構成及び代表的な変形例等を示す。これらは、互いに組み合わされてもよいし、上記の実施の形態等の一部と組み合わされてもよい。
【0142】
(1)本開示の一態様における無人飛行体(100、200、300、400)は、1つ以上の発生器(111~114、210)と、1つ以上の第1構造物(121~124、220、321~324)と、1つ以上のマイクロフォン(131~134、230)と、1つ以上のスピーカ(161~164、260)と、プロセッサ(170、270)とを備える。
【0143】
そして、1つ以上の発生器(111~114、210)は、無人飛行体を飛行させる力を発生させ、それぞれ気流を発生させる。また、プロセッサ(170、270)は、1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成する。
【0144】
そして、各発生器にそれぞれ対応する各第1構造物(121~124、220、321~324)は、各発生器の騒音源をそれぞれ覆い、かつ各発生器が出す気流の方向及び気流の方向と反対方向にそれぞれ貫通される。また、各第1構造物の反対方向の端は、各発生器の騒音源の反対方向の端にそれぞれ対応する。また、各第1構造物の気流の方向の端は、各発生器の騒音源の気流の方向の端が覆われる位置よりも気流の方向にそれぞれ伸長される。
【0145】
また、各マイクロフォン(131~134、230)は、各第1構造物によってそれぞれ覆われる各内部領域において、各発生器よりも気流の方向にそれぞれ位置する。また、各スピーカ(161~164、260)は、各発生器よりも気流の方向にそれぞれ位置し、第2信号に従ってそれぞれ音を出力する。
【0146】
これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、発生器で発生すると想定される騒音を気流の方向にまとめることができる。そして、無人飛行体(100、200、300、400)は、気流の方向にまとめられた騒音をマイクロフォンによって収音することができる。そして、無人飛行体(100、200、300、400)は、収音された騒音に従って、スピーカから音を出力することができる。
【0147】
したがって、無人飛行体(100、200、300、400)は、騒音等のノイズを能動的に逆位相音で抑制するアクティブノイズキャンセリング等を適用することができ、発生器で発生すると想定される騒音を軽減させることができる。
【0148】
さらに、無人飛行体(100、200、300、400)は、気流の上流側を第1構造物で覆わないため、無人飛行体の重量の増加を抑制し、騒音の影響が大きいと想定される下流側の騒音を効率的に軽減させることができる。
【0149】
(2)例えば、無人飛行体(300)において、各第1構造物の気流の方向に垂直な断面は、前記反対方向の端に近いほど、より大きくてもよい。これにより、無人飛行体(300)は、重量の増加を適切に抑制しつつ、騒音が気流の上流側から気流の下流側に回り込むことを抑制することができる。したがって、無人飛行体(300)は、気流の下流側の騒音を効率的に軽減させることができる。
【0150】
(3)例えば、無人飛行体(400)は、各第1構造物(121~124)の反対方向の端にそれぞれ接続されて各第1構造物を延長する1つ以上の第2構造物(421、424)をさらに備えてもよい。そして、各第2構造物(421、424)の気流の方向に垂直な断面は、各第2構造物(421、424)の反対方向の端に近いほど、より大きくてもよい。
【0151】
これにより、無人飛行体(400)は、騒音が気流の上流側から気流の下流側に回り込むことを適切に抑制することができる。したがって、無人飛行体は、気流の下流側の騒音を効率的に軽減させることができる。
【0152】
(4)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、1つ以上のスピーカ(161~164、260)は、気流の方向に向かって、それぞれ音を出力してもよい。これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、スピーカから気流の方向に出力される音によって、気流の方向にまとめられた騒音を効率的に軽減させることができる。
【0153】
(5)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、プロセッサ(170、270)は、それぞれの第1信号によって示されるそれぞれの音の逆位相音を示す信号を用いて第2信号を生成してもよい。これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、逆位相音によって、気流の方向にまとめられた騒音を効率的に軽減させることができる。
【0154】
(6)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、1つ以上の発生器(111~114、210)は、無人飛行体の飛行時において無人飛行体の下側の方向へ気流をそれぞれ出してもよい。これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、無人飛行体の飛行時において、下側に向かう騒音を軽減させることができる。
【0155】
(7)例えば、無人飛行体(100、300、400)において、1つ以上の発生器(111~114)は、2つ以上の発生器であってもよい。また、1つ以上の第1構造物(121~124、321~324)は、2つ以上の第1構造物であってもよい。また、1つ以上のマイクロフォン(131~134)は、2つ以上のマイクロフォンであってもよい。また、1つ以上のスピーカ(161~164)は、2つ以上のスピーカであってもよい。
【0156】
そして、各発生器(111~114)は、無人飛行体を飛行させる力の成分を発生器で発生する気流の方向とは反対方向に発生させてもよい。
【0157】
これにより、無人飛行体(100、300、400)は、複数の発生器に従って、無人飛行体が飛行するための力を発生させることができる。また、無人飛行体(100、300、400)は、各発生器で発生すると想定される騒音を軽減させることができる。
【0158】
(8)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、1つ以上の発生器(111~114、210)は、それぞれ騒音源として1つ以上の回転翼を備えてもよい。これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、回転翼に従って、無人飛行体が飛行するための力を発生させることができる。また、無人飛行体(100、200、300、400)は、回転翼によって発生する騒音を軽減することができる。
【0159】
(9)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、各第1構造物(121~124、321~324)の気流の方向の長さは、無人飛行体が高度を維持する場合における1つ以上の回転翼の回転数に応じた長さであってもよい。
【0160】
これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、回転翼によって発生する騒音を適切に軽減することができる。
【0161】
(10)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、各スピーカ(161~164、260)は、各内部領域にそれぞれ配置されてもよい。これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、内部領域におけるスピーカから出力される音によって、内部領域から漏れ出て広がる騒音を効率的に軽減させることができる。
【0162】
(11)例えば、無人飛行体(100、200、300、400)において、1つ以上の発生器(111~114、210)は、それぞれ1つ以上の回転翼を備えてもよい。そして、各スピーカ(161~164、260)は、1つ以上の回転翼の回転軸の延長線上にそれぞれ配置されてもよい。これにより、無人飛行体(100、200、300、400)は、回転軸の延長線上のスピーカから出力される音によって、回転軸の延長線上を中心に広がる騒音を効率的に軽減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本開示は、無人飛行体の騒音の抑制、及び、無人飛行体の軽量化に利用可能であり、静かな環境を飛行する無人飛行体等に適用可能である。
【符号の説明】
【0164】
100、200、300、400 無人飛行体
111、112、113、114、210 発生器
121、122、123、124、220、321、322、323、324 構造物(ダクト)
131、132、133、134、230 マイク(マイクロフォン)
140、240 筐体
161、162、163、164、260 スピーカ
170、270 プロセッサ
421、424 第2構造物