(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】交差点発進判定装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231213BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231213BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20231213BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20231213BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W50/14
B60W40/04
B60W30/08
(21)【出願番号】P 2019066211
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 哉
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021735(JP,A)
【文献】特開2010-026618(JP,A)
【文献】特開2009-180705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0205825(US,A1)
【文献】米国特許第08718906(US,B2)
【文献】米国特許第09459623(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方向が一時停止する交差点における自車両の発進可否を判定する交差点発進判定装置であって、
前記自車両に配置されて前記自車両の前方の走行環境を検出する自律センサと、
前記自律センサを用いて前記自車両の前記走行環境を認識する走行環境認識手段と、
地図情報と全球測位衛星システムから前記自車両の位置を演算するロケータユニットと、
前記走行環境および前記自車両の前記位置が入力され、前記走行環境から他車両を認識する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記交差点で前記自車両が一時停止した後であって、前記走行環境認識手段によりカウントされた前記交差点で既に一時停止している前記他車両の数を減算して0(ゼロ)となった後において、前記交差点内に前記他車両が存在しないと判断した場合、及び前記交差点内に存在する前記他車両が対向車両であって、
前記走行環境に基づいて、前記交差点内の交差点領域内の前記対向車両の進行方向の車両通行領域であって、前記自車両側となる前記対向車両の進行方向の約半分の領域の対向車両進行領域を認識し、前記対向車両が
前記対向車両進行領域に進入して前記交差点を直進すると判断した場合に、前記自車両を発進許可することを特徴とする交差点発進判定装置。
【請求項2】
前記自律センサは、前記走行環境を撮像する撮像手段であることを特徴とする請求項1に記載の交差点発進判定装置。
【請求項3】
前記自律センサは、前記走行環境を検出するレーダーセンサであることを特徴とする請求項1に記載の交差点発進判定装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記走行環境に基づいて、前記交差点領域内の前記自車両の進行方向の車両通行領域である自車両進行領域を認識し、前記交差点内に前記他車両が存在しないと判断した場合、及び前記交差点内に存在する前記他車両が前記対向車両であって、前記対向車両が前記交差点を直進すると判断した場合に、さらに前記走行環境に基づいて前記自車両進行領域内に前記他車両が存在しないと判断すると、前記発進許可することを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の交差点発進判定装置。
【請求項5】
前記発進許可は、前記制御手段により自動運転支援のブレーキ制御部および加減速制御部が制御されることを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の交差点発進判定装置。
【請求項6】
前記発進許可は、前記制御手段により告知手段が駆動され運転者へ認識させることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の交差点発進判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点、特に「4-Way STOP」交差点における車両の発進優先度を判定する交差点発進判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に左右一対のステレオカメラを搭載し、このステレオカメラにより自車両前方の走行環境を撮像することで、先行車や各種障害物を認識すると共に、自車両と対象物との距離を計測する車両用ステレオカメラ装置が知られている。
【0003】
このような車両用ステレオカメラ装置では、認識した画像により運転者アシスト、自動運転などの車両制御を行う種々の提案がされている。例えば、特許文献1には、車両などの移動体の移動状態に基づいて移動体の進路を予測する進路予測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アメリカ合衆国などの国では、「4-WAY STOP」という交通ルールが指定された信号機のない交差点がある。この「4-WAY STOP」交差点の交通ルールは、全方向が一時停止し、交差点に先に着いた車両に動く権利が与えられる。そして、優先権のある車両が動き終わるまで、他の車両は止まって待っていなければない。
【0006】
このように特別な交通ルールに基づいた車両制御は、特許文献1に開示されるような従来の進路予測装置では行えない。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、「4-WAY STOP」の交通ルールが指定された交差点における自車両の発進可否を判定する交差点発進判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の交差点発進判定装置は、全方向が一時停止する交差点における自車両の発進可否を判定する交差点発進判定装置であって、前記自車両に配置されて前記自車両の前方の走行環境を検出する自律センサと、前記自律センサを用いて前記自車両の前記走行環境を認識する走行環境認識手段と、地図情報と全球測位衛星システムから前記自車両の位置を演算するロケータユニットと、前記走行環境および前記自車両の前記位置が入力され、前記走行環境から他車両を認識する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記交差点で前記自車両が一時停止した後であって、前記走行環境認識手段によりカウントされた前記交差点で既に一時停止している前記他車両の数を減算して0(ゼロ)となった後において、前記交差点内に前記他車両が存在しないと判断した場合、及び前記交差点内に存在する前記他車両が対向車両であって、前記走行環境に基づいて、前記交差点内の交差点領域内の前記対向車両の進行方向の車両通行領域であって、前記自車両側となる前記対向車両の進行方向の約半分の領域の対向車両進行領域を認識し、前記対向車両が前記対向車両進行領域に進入して前記交差点を直進すると判断した場合に、前記自車両を発進許可する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、「4-WAY STOP」の交通ルールが指定された交差点における自車両の発進可否を判定する交差点発進判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車両用ステレオカメラ装置を備える自動運転支援システムの構成を示す機能ブロック図
【
図3】「4-Way STOP」交差点を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。ここでは交差点発進判定装置を含む自動運転支援システムは、
図1に示す自車両M(
図2参照)に搭載されている。この自動運転支援システム1は、自車位置を検出するロケータユニット11、自車両M前方の走行環境を認識するステレオカメラ装置21とレーダー装置27から構成された自律検出手段である自律センサユニット22を有している。
【0012】
このロケータユニット11および自律センサユニット22は、一方が不調を来した場合には、他方のユニットで自動運転支援を一時的に継続させる冗長系が構築されている。また、自動運転支援システム1は、ロケータユニット11と自律センサユニット22とで現在走行中の道路形状が同一か否かを常時監視し、同一の場合に自動運転支援を継続させる。
【0013】
ロケータユニット11は、道路地図上の自車両Mの位置(自車位置)を推定すると共に、この自車位置の前方の道路地図データを取得する。一方、自律センサユニット22のステレオカメラ装置21は、自車両Mの走行車線の左右を区画する区画線の中央の道路曲率を求めると共に、この左右区画線の中央を基準とする自車両Mの車幅方向の横位置偏差を検出する。
【0014】
更に、このステレオカメラ装置21は、自車両Mの前方の先行車、直前を横切ろうとする歩行者や二輪車(自転車、自動二輪車)などの移動体を含む立体物、信号現示(点灯色)、道路標識などを認識する。
【0015】
ロケータユニット11は、地図ロケータ演算部12と記憶手段としての高精度道路地図データベース16とを有している。この地図ロケータ演算部12、後述する前方走行環境認識部24および自動運転制御ユニット25は、CPU,RAM,ROM、不揮発性記憶部などを備える周知のマイクロコンピュータおよび、その周辺機器で構成されており、ROMにはCPUで実行するプログラムやデータテーブルなどの固定データなどが予め記憶されている。
【0016】
この地図ロケータ演算部12の入力側に、GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)受信機13、及び自律走行センサ14が接続されている。
【0017】
GNSS受信機13は、複数の測位衛星から発信される測位信号を受信する。また、自律走行センサ14は、トンネル内走行などGNSS衛生からの受信感度が低く測位信号を有効に受信することのできない環境において、自律走行を可能にするもので、車速センサ、ヨーレートセンサ、及び前後加速度センサなどで構成されている。
【0018】
すなわち、地図ロケータ演算部12は、車速センサで検出した車速、ヨーレートセンサで検出したヨーレート(ヨー角速度)、及び前後加速度センサで検出した前後加速度などに基づき移動距離と方位からローカライゼーションを行う。
【0019】
この地図ロケータ演算部12は、自車位置を推定する機能として自車位置推定演算部12a、推定した自車位置を道路地図上にマップマッチングして自車両Mの現在地を特定し、その周辺の環境情報を含む道路地図情報を取得する地図情報取得部12b、自車両Mの目標とする進行路(目標進行路)を設定する目標進行路設定演算部12cを備えている。
【0020】
また、高精度道路地図データベース16はHDDなどの大容量記憶媒体であり、高精度な周知の道路地図情報(ローカルダイナミックマップ)が記憶されている。この高精度道路地図情報は、基板とする最下層の静的情報階層上に、自動走行をサポートするために必要な付加的地図情報が重畳された階層構造をなしている。
【0021】
上述した地図情報取得部12bは、この高精度道路地図データベース16に格納されている道路地図情報から現在地及び前方の道路地図情報を取得する。この道路地図情報には周辺環境情報が含まれている。この周辺環境情報としては、道路の種別(一般道路、高速道路など)、道路形状、左右区画線、道路標識、停止線、交差点、信号機などの静的な位置情報のみならず、渋滞情報や事故或いは工事による通行規制などの動的な位置情報も含まれている。
【0022】
そして、例えば運転者が自動運転に際してセットした目的地に基づき、上述した自車位置推定演算部12aで推定した自車位置(現在地)から目的地までのルート地図情報を、この道路地図情報から取得し、取得したルート地図情報(ルート地図上の車線データ及びその周辺情報)を自車位置推定演算部12aへ送信する。
【0023】
自車位置推定演算部12aは、GNSS受信機13で受信した測位信号に基づき自車両Mの位置座標を取得し、この位置座標をルート地図情報上にマップマッチングして、道路地図上の自車位置(現在地)を推定すると共に走行車線を特定し、ルート地図情報に記憶されている走行車線の道路形状を取得し、逐次記憶させる。
【0024】
更に、自車位置推定演算部12aは、トンネル内走行などのようにGNSS受信機13の感度低下により測位衛星からの有効な測位信号を受信することができない環境では、自律航法に切換え、自律走行センサ14によりローカライゼーションを行う。
【0025】
目標進行路設定演算部12cは、先ず、地図情報取得部12bでマップマッチングした現在位置を基準に自車両Mを区画線に沿って自動走行させるための目標進行路を設定する。また、運転者が目的地を入力している場合は、現在地と目的地とを結ぶ走行ルートに沿って目標進行路が設定される。
【0026】
この目標進行路は、自車両Mの前方、数百メートル~数キロ先まで設定され、走行時において逐次更新される。この目標進行路設定演算部12cで設定した目標進行路は自動運転制御ユニット25で読込まれる。
【0027】
一方、ステレオカメラ装置21は、自立センサであって自車両Mの前方を撮像する撮像手段である第1~第2カメラ22a,22b、画像処理ユニット(IPU)23および走行環境認識手段としての前方走行環境認識部24を備えている。
【0028】
第1~第2カメラ22a,22bは、
図2に示すように、自車両Mの車室内前部のフロントガラスに近接する上部であって横方向同列の位置に第1~第2カメラ22a,22bが固定されている。
【0029】
これら第1~第2カメラ22a,22bで撮像した複数の画像がIPU23で所定に画像処理されて、前方走行環境認識部24へ出力される。
【0030】
前方走行環境認識部24は、ステレオ画像に基づき、自車両Mが走行する進行路(自車進行路)の道路形状、自車両Mの前方を走行する先行車の有無、自車両Mの直前を横切ろうとする歩行者や二輪車(自転車、自動二輪車)などの移動体を含む立体物、信号現示(点灯色)、道路標識などを認識する。
【0031】
そして、カメラの焦点距離、カメラ間の基線長、同一対象物の視差から、三角測量の原理を用いて当該対象物までの距離を算出する。なお、ステレオ画像に基づく対象物の認識、及び当該対象物までの距離の求め方は既に知られている技術であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0032】
また、レーダー装置27は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、ライダー(LIDER:Light Detection and Ranging)などのセンシングデバイスの種々のレーダーによる検出手段としての自律センサとなる第1~第2センサ22c,22dおよび、これら第1~第2センサ22c,22dからの信号に基いて自車両M周辺の移動体などの周辺環境情報を認識する周辺走行環境認識部26を備えている。
【0033】
なお、第1~第2センサ22c,22dは、バンパーの正面側の両サイドに配設され、自車両Mの前方および所定の角度範囲の左右方向の周辺環境情報を検出するように配設されている。
【0034】
本実施の形態では、第1~第2カメラ22a,22bおよび第1~第2センサ22c,22dによって、検出手段としての自律センサ部10が構成され、前方走行環境認識部24および周辺走行環境認識部26によって走行環境認識手段としての走行環境認識部20が構成されている。
【0035】
自動運転制御ユニット25は、入力側に地図ロケータ演算部12の目標進行路設定演算部12c、ステレオカメラ装置21の前方走行環境認識部24およびレーダー装置27の周辺走行環境認識部26が接続されている。
【0036】
また、この自動運転制御ユニット25の出力側に、自車両Mを目標進行路に沿って走行させる操舵制御部31、強制ブレーキにより自車両Mを減速させるブレーキ制御部32、自車両Mの車速を制御する加減速制御部33、及び警報装置34が接続されている。
【0037】
自動運転制御ユニット25は、操舵制御部31、ブレーキ制御部32、加減速制御部33を所定に制御して、GNSS受信機13で受信した自車位置を示す測位信号に基づき、自車両Mを目標進行路設定演算部12cで設定した道路地図上の目標進行路に沿って自動走行させる。その際、前方走行環境認識部24で認識した前方走行環境に基づき、周知の追従車間距離制御(ACC:Adaptive Cruise Control)、及び車線維持制御(ALK:Active Lane Keep)を行い、先行車が検出された場合は先行車に追従し、先行車が検出されない場合は制限速度内で走行させる。更に、自車両Mの直前を横切ろうとする移動体を検出した場合は、ブレーキ制御部32を作動させて自車両Mを停車させる。
【0038】
ところで、高精度道路地図データベース16には、
図3に示すような、地図上における全ての「4-WAY STOP」交差点の位置情報が記憶されている。
【0039】
自車両Mが「4-WAY STOP」交差点に到着し、一時停止した際、高精度道路地図データベース16とIPU23から送信された画像に基づき、自車両Mの進行方向に対する「4-WAY STOP」交差点領域を分割した各種領域が自動運転制御ユニット25に設定される。
【0040】
設定された各種領域は、先ず、「4-WAY STOP」交差点内の交差点領域C、この交差点領域C内の自車両Mの進行方向に対する車両通行領域である自車両進行領域Maおよび交差点領域C内の対向車の進行方向に対する車両通行領域であって、自車両M側、つまり対向車の進行方向側の約半分の領域の対向車両進行領域Oがある。
【0041】
また、「4-WAY STOP」交差点に交差する道路において、交差点内に進入する車両が一時停止する第1~第4停止領域Sa,Sb,Sc,Sdおよび第1~第4停止領域Sa,Sb,Sc,Sdよりも後退側の第1~第4走行領域Ta,Tb,Tc,Tdが設定される。
【0042】
ここで、「4-WAY STOP」という交通ルールが指定された交差点に自車両Mが侵入したときの自動運転制御ユニット25による制御一例について、
図3および
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0043】
先ず、道路地図情報に基づきGNSS受信機13で受信した自車位置から自車両Mが「4-WAY STOP」交差点に進入したか否かを判定する(ステップS1)。なお、自車両Mが「4-WAY STOP」交差点に進入していない場合には、ステップS1の処理を繰り返す。
【0044】
次に、自車両Mが「4-WAY STOP」交差点に進入した場合、ここでは
図3に示す、第1停止領域Saでの自車両Mの車速が0(ゼロ)であるか否かを判定する(ステップS2)。即ち、自車両Mが第1停止領域Sa内で一時停止しているかを判断する。
【0045】
なお、第1停止領域Saでの自車両Mの車速が0(ゼロ)となるまで、ステップS2の処理を繰り返す。即ち、自車両Mが第1停止領域Saにおいて一時停止状態となるまで、ステップS2の処理を繰り返す。
【0046】
第1停止領域Saでの自車両Mの車速が0(ゼロ)となった場合、「4-WAY STOP」交差点に進入する他車両の認識を行う(ステップS3)。ここでは、前方走行環境認識部24にIPU23から送信された画像情報および周辺走行環境認識部26に第1~第2センサ22c,22dから送信された周辺環境情報に基づき他車両を認識する。このとき、交差点内に進入する他車両が第2~第4停止領域Sb,Sc,Sdにおける車速0(ゼロ)で停止している他車両の数0~3が特定される。
【0047】
即ち、自車両Mが一時停止している第1停止領域Sa以外の第2~第4停止領域Sb,Sc,Sdに一時停止している他車両の数をカウントして、自車両Mの発進優先順位が何番目なのかを特定する。なお、第1~第4走行領域Ta,Tb,Tc,Tdに進入している他車両は、交差点に接近して速度0(ゼロ)よりも大きい速度で自走している、または第2~第4停止領域Sb,Sc,Sdに車両が停止しており順番待ちして停止しているもので自車両Mよりも発進優先順位が低いものと判断する。
【0048】
次に、特定された他車両の数が0(ゼロ)となるまで減算カウントを開始し(ステップS4)、自車両Mの発進順序を判定する(ステップS5)。このステップS4~S5は、特定された数が0(ゼロ)となるまで繰り返される。
【0049】
ステップS4では、一時停止していた他車両の車速が0より大きく発進した数を減算カウントする。なお、他車両の数0(ゼロ)は、他車両が第2~第4停止領域Sb,Sc,Sdで1台も停止していない状態である。
【0050】
他車両が数0(ゼロ)となると、交差点領域C内に他車両が存在しないか判定する(ステップS6)。このとき、前方走行環境認識部24にIPU23から送信された画像情報および周辺走行環境認識部26に第1~第2センサ22c,22dから送信された周辺環境情報に基づき、交差点領域C内の他車両を認識する。
【0051】
交差点領域C内に他車両が存在しない場合、自車両進行領域Ma内に他車両が存在しないか判定する(ステップS7)。このときも、画像情報および周辺環境情報に基づき、自車両進行領域Ma内の他車両を認識する。
【0052】
ここでは、例えば、「4-WAY STOP」交差点の交通ルールを無視する他車両があった場合のため、自車両進行領域Maに進入していないか判定する。なお、自車両進行領域Ma内に他車両が存在しないと判断するまで、ステップS7の処理を繰り返す。
【0053】
そして、自車両進行領域Ma内に他車両が存在しない場合、一時停止している自車両Mの発進許可をする(ステップS8)。
【0054】
また、ステップS6において、交差点領域C内に他車両が存在する場合、交差点領域C内の他車両が対向車であるかを判定する(ステップS9)。ここでも、画像情報および周辺環境情報に基づき、交差点領域C内の他車両が対向車であるかを認識する。
【0055】
交差点領域C内の他車両が対向車両である場合、その対向車両が対向車両進行領域O内に存在するかを判定する(ステップS10)。即ち、対向車両が対向車両進行領域O内に進入している場合、その対向車両は直進しているものと判断する。このときも、画像情報および周辺環境情報に基づき、対向車両進行領域O内に対向車両が存在しているかを認識する。
【0056】
そして、対向車両進行領域O内に対向車両が存在している場合、一時停止している自車両Mの発進許可をする(ステップS8)。即ち、自車両Mは、対向車両が対向車両進行領域O内に入れば、自車両進行領域Ma内に進入しても対向車両と衝突、接触などすることがない。
【0057】
なお、ステップS9において、交差点領域C内の他車両が対向車でない場合、ステップS6の処理に戻る。即ち、対向車でない他車両が交差点領域Cに存在しており、交差点を通過(退出)していない状態であると判断する。
【0058】
また、ステップS10において、対向車両が対向車両進行領域O内に存在していない場合、ステップS6の処理に戻る。即ち、対向車が対向車両進行領域O外の交差点領域Cに存在しており、交差点を通過(退出)していない、または直進ではなく右左折進行している状態であると判断する。
【0059】
ここでのステップS8の発進許可は、自動運転制御ユニット25がブレーキ制御部32および加減速制御部33を所定に制御して自動発進走行させてもよいし、音声、視覚的な指示などの告知手段を駆動して発進許可サインにより運転者に認識させてもよい。
【0060】
なお、上記実施例は、2つの第1~第2カメラ22a,22bのステレオ画像により走行環境を認識する構成を例示したが、必ずしもステレオ画像でなくてもよく、単眼カメラの画像から他車両の動きを認識する構成としてもよい。
【0061】
さらに、他車両の状態を検出する制御は、カメラの画像情報のみとしてもよいし、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、ライダー(LIDER:Light Detection and Ranging)などのセンシングデバイスの周辺環境情報を組み合わせた構成としてもよい。
【0062】
なお、ここではアメリカ合衆国などに適用されている右側通行規制の道路を例示しており、左側通行規制の道路の場合にも、勿論適用できるものである。
【0063】
以上に記載したように、本実施の形態では、アメリカ合衆国などで指定された「4-WAY STOP」という交差点の交通ルールにおいて、自車両の発進可否を判定できる交差点発進判定装置としての自動運転支援システム1を構成することができる。
【0064】
なお、交差点発進判定装置による4-WAY STOP」交差点での自車両の発進許可の制御は、自動運転支援のみならず、運転者アシスト機能にも適用できるものである。
【0065】
さらに、交差点内に進入する他車両の動きは、右左折時のウインカーの点滅により判断してもよいし、他車両から送信されたクラウドを利用した車両管理システムにより判断してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…自動運転支援システム
10…自律センサ部
11…ロケータユニット
12…地図ロケータ演算部
12a…自車位置推定演算部
12b…地図情報取得部
12c…目標進行路設定演算部
13…受信機
14…自律走行センサ
16…高精度道路地図データベース
20…走行環境認識部
21…ステレオカメラ装置
22…自律センサユニット
22a,22b…第1~第2カメラ
22c,22d…第1~第2センサ
25…自動運転制御ユニット
26…周辺走行環境認識部
27…レーダー装置
31…操舵制御部
32…ブレーキ制御部
33…加減速制御部
34…警報装置
M…自車両
Ma…自車両進行領域
O…対向車両進行領域
Sa,Sb,Sc,Sd…第1~第4停止領域
Ta,Tb,Tc,Td…第1~第4走行領域