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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】自動車両のヘッドライトの換気装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/43 20180101AFI20231213BHJP
   F21S 45/50 20180101ALI20231213BHJP
   F21S 45/20 20180101ALI20231213BHJP
   F21S 45/33 20180101ALI20231213BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20231213BHJP
   F21V 29/61 20150101ALI20231213BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20231213BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20231213BHJP
   F21V 31/03 20060101ALI20231213BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20231213BHJP
【FI】
F21S45/43
F21S45/50
F21S45/20
F21S45/33
F21V29/503
F21V29/61
F21V29/67 200
F21V31/00 100
F21V31/03 100
F21V31/03 400
F21W102:00
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019106883
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020017521
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】1855040
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ティボー、マン
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0073701(US,A1)
【文献】特開2016-081892(JP,A)
【文献】特表2002-510136(JP,A)
【文献】特開2017-091876(JP,A)
【文献】実開平03-040704(JP,U)
【文献】実開平04-015108(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のヘッドライトの換気装置(201;301;401)であって、
- 空気取入口(203;303;403)および空気放出口(214;314;414)と、
- 当該換気装置の前記空気取入口(203;303;403)と前記空気放出口(214;314;414)との間に配置された通気室(210;310;410)であって、前記空気取入口から前記空気放出口への空気の流れを作り出すように適合されたファン(202;302;402)を包含する通気室(210;310;410)と、
- 外部粒子に対する密封システムと、
を含み、
前記空気取入口(203;303;403)は、当該換気装置の上側の方を向いた空気ガイド(204;304;404)を含んでいる、換気装置。
【請求項2】
前記外部粒子に対する密封システムは、
- 前記空気放出口と前記空気取入口との間の流体連通を許容する開放位置と、
- 少なくとも前記空気放出口と前記空気取入口との間での前記外部粒子の通過を防止するための閉鎖位置と、
をとるように設計された少なくとも1つの閉塞手段(206;306)を含んでいる、請求項1記載の換気装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの閉塞手段(206;306)の制御装置を含んだ、請求項2記載の換気装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの閉塞手段(206;306)が、前記空気放出口および/または前記空気取入口に配置されている、請求項2または請求項3記載の換気装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの閉塞手段(206;306)は、軸線周りの回転運動、または並進運動によって、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で可動となっている、請求項2から請求項4のうちのいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項6】
前記外部粒子に対する密封システムは、前記通気室と前記空気放出口との間に、屈曲部を有した流路を含んでいる、請求項1記載の換気装置。
【請求項7】
前記流路は、当該換気装置がヘッドライトへ組み込まれたときに前記空気放出口へ液体を排出するための傾斜を有する、請求項6記載の換気装置。
【請求項8】
前記空気放出口(414)はグリル(415)を含んでいる、請求項6または請求項7記載の換気装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のうちのいずれか一項に記載の換気装置(201;301;401)を含むことを特徴とする、車両のヘッドライト(213;313;413)。
【請求項10】
ヘッドライト空気取入口(104)を更に含み、前記ヘッドライト空気取入口(104)が空気フィルタを含んでいる、請求項に記載の車両のヘッドライト。
【請求項11】
前記換気装置(201;301;401)が当該ヘッドライトの上方部分および/または後方部分に配置されている、請求項9または請求項10に記載のヘッドライト。
【請求項12】
当該ヘッドライトの下方部分および/または前方部分に配置された空気取入口(104)を含むことを特徴とする、請求項9から請求項11のうちのいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項13】
前記換気装置が当該ヘッドライトへ取外し可能に固定されている、請求項9から請求項12のうちのいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項14】
少なくとも1つの電子部品と、当該電子部品を冷却するための少なくとも1つの冷却システムとを包含した少なくとも1つの光学モジュールを更に含み、前記冷却システムが伝導によって冷却するためのシステムのみを包含している、請求項9から請求項13のうちのいずれか一項に記載のヘッドライト。
【請求項15】
請求項2から請求項5のうちのいずれか一項に記載のヘッドライトの換気装置を制御する方法において、
- 前記ファンを作動させる段階と、
その次に、少なくとも1つの前記閉塞手段を開放する段階と、
を含んだことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライト用の換気装置、特に自動車両のヘッドライト用の換気装置に関する。本発明はまた、換気装置を含んだヘッドライトや、この種のヘッドライトを含んだ自動車両にも関する。本発明は最後に、この種の換気装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドライトや、ヘッドライト(特に、自動車両のヘッドライト)内の照明モジュールの効率を向上させるため、選択的に作動可能なセグメント化されたビームを形成するのに、光空間変調器型の部品類が用いられ得る。光源のマトリックスが、光空間変調器型の部品類の一例である。しかしながら、これらのマトリックスは、自らの数のせいで相当に熱くなり、温度上昇が自らの性能を急速に低下させてしまう。
【0003】
光空間変調器型の部品類の別の例として知られるのが、LCDスクリーン型の部品類や、マイクロミラーのマトリックス(デジタル・マイクロミラー・デバイスやDMDとしても知られる)である。
【0004】
従って、MEMS(微小電気機械システム)、マイクロミラーのマトリックス、LCDスクリーン、またはレーザーなどの光空間変調器型のヘッドライト部品類へ纏めることが有益であろう。
【0005】
しかしながら、この種の部品類の限界作動温度は比較的低く(約85℃)、従って、それらを通常のヘッドライトの温度条件下で使用するのは不可能である。実際、ヘッドライトは、エンジン付近に定置された発熱性の素子類を包含する密閉型の組立体の形態をとっており、ヘッドライト内部の温度が高い値に達する可能性があり、部品類の限界作動温度を速やかに超過してしまう。
【0006】
また、この種の部品類は、密封された環境、特に外部粒子に対して密封された環境を必要とする。実際に、外部粒子の存在によって、ヘッドライト内の電子部品類の性能が大幅に低下してしまう可能性がある。従って、ヘッドライトは外部環境から保護されねばならないのである。
【0007】
これらの制約に取り組むべく、敏感な部品類を直接的に冷却するために、それらの部品類の近傍に定置されるファンと結合された熱交換器を含むヘッドライトが存在している。
【0008】
しかしながら、そのようなヘッドライトの第1の欠点は、追加される製造段階の数や、製造中に狭い範囲内へ多数の余分な部品類が付加されることである。
【0009】
第2の欠点は、この種のシステムは、ファンが故障してしまった場合に修理が困難であるということである。従って、ヘッドライト全体、または光空間変調器型の部品類を包含したハウジングを交換するのが好ましいのであるが、それには追加的なコストが必然的に伴ってしまうこととなる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の全般的な目的は、既存のヘッドライトの解決策を改善して、発熱性の部品類の限界作動温度を超過するリスクを伴うことなく、それらの部品類の使用を可能とする解決策を提供することである。
【0011】
より精確には、本発明の第1の目的は、ヘッドライトが密封されることを保証すると同時に、ヘッドライト内の光空間変調器型の部品類の温度を限界作動温度より低く保つようにして、それらの部品類の使用を可能とする折衷案を見いだすことである。
【0012】
本発明の第2の目的は、より低いコストで実施するよう簡素なヘッドライトの解決策を提供することである。
【0013】
第1の態様によれば、本発明は、車両のヘッドライトの換気装置であって、空気取入口および空気放出口と、当該換気装置の前記空気取入口と前記空気放出口との間に配置された通気室であって、空気取入口から空気放出口への空気の流れを作り出すように適合されたファンを包含する通気室と、外部粒子に対する密封システムとを含んだ換気装置に関するものである。
【0014】
一実施形態において、外部粒子に対する密封システムは、開放位置と閉鎖位置とをとるように設計された少なくとも1つの閉塞手段を含んでいる。開放位置は、空気放出口と空気取入口との間の流体連通(流体の流通可能な連絡)を許容し、閉鎖位置は、少なくとも空気放出口と空気取入口との間における外部粒子の通過の防止を可能とするものである。
【0015】
一実施形態において、当該換気装置は、少なくとも1つの閉塞手段の制御装置を含んでいる。
【0016】
一実施形態においては、少なくとも1つの閉塞手段が、空気放出口および/または空気取入口に配置されている。
【0017】
一実施形態において、少なくとも1つの閉塞手段は、軸線周りの回転運動、または並進運動によって、開放位置と閉鎖位置との間で可動となっている。
【0018】
一実施形態において、外部粒子に対する密封システムは、通気室と空気放出口との間に、屈曲部を有した流路を含んでいる。
【0019】
一実施形態において、前記流路は、当該換気装置がヘッドライトへ組み込まれたときに空気放出口へ液体を排出するための傾斜を有する。
【0020】
一実施形態において、空気放出口はグリルを含んでいる。
【0021】
一実施形態において、空気取入口は、当該換気装置の上側の方を向いた空気ガイドを含んでいる。
【0022】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による換気装置を含んだ、車両のヘッドライトに関するものである。
【0023】
一実施形態において、当該ヘッドライトは、随意に空気フィルタを含んだヘッドライト空気取入口を更に含んでいる。
【0024】
一実施形態においては、換気装置が当該ヘッドライトの上方部分および/または後方部分に配置されている。
【0025】
一実施形態においては、ヘッドライト空気取入口が当該ヘッドライトの下方部分および/または前方部分に配置されている。
【0026】
一実施形態においては、換気装置が当該ヘッドライトへ取外し可能に固定されている。
【0027】
一実施形態において、当該ヘッドライトは、少なくとも1つの電子部品と、当該電子部品を冷却するための少なくとも1つのシステムとを包含した少なくとも1つの光学モジュールを更に含み、前記冷却システムが伝導によって冷却するためのシステムのみを包含している。少なくとも1つの電子部品は、光空間変調器であってよい。
【0028】
第3の態様によれば、本発明は、換気装置が可動式閉塞手段を含んでいるところの本発明の第2の態様によるヘッドライトの換気装置を制御する方法に関するものである。当該方法は、ファンを作動させる段階の次に、少なくとも1つの閉塞手段を開放する段階を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態による換気装置を包含したヘッドライトを含む車両前部の線図。
図2A】密封システムがフラップを含んでいる、本発明の一実施形態による換気装置を示す図。
図2B】フラップが閉鎖位置にある図2Aに示した換気装置を示す図。
図2C】フラップが開放位置にある図2Aに示した換気装置を示す図。
図2D】通気室の取入口にフラップが配置されている、図2Aの第1実施形態の換気装置の変形例を示す図。
図3A】密封システムが少なくとも1つのスラットを含んでおり、当該スラットが閉鎖位置にある、本発明の第2実施形態による換気装置を示す図。
図3B】スラットが開放位置にある、図3Aに示した換気装置を示す図。
図4】密封システムが通気室の放出口から伸びる通路である、第3実施形態による換気装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の各用語は、本明細書の残部において定義され、以下のようにして理解され得るものである。
【0031】
自動車両に対して前方から後方へと向いた方向を、縦方向として定義するが、形容詞の前方と後方は車両の通常の動きに対して定義される。縦方向と直角をなして自動車両の右方から左方へと向いた方向を、横方向として定義する。縦と横の2方向が水平面を画定する。垂直方向は、水平面と直角をなして、上方を向いている。これらの同様の方向が、あたかもヘッドライトが車両内に定置されているかのように考えられた状態で、ヘッドライトの説明について用いられる。
【0032】
形容詞「上方」および「下方」も、上記で定義された垂直方向に対して用いられる。
【0033】
表現「外部粒子」は、ヘッドライトの外部環境内に存在し、ヘッドライト内に在る部品類との接触を通じて、それらの部品類の性能を低下させがちな成分を表す。外部粒子は、非限定的に、塵、水、油の飛沫、洗浄製品の飛沫、および木の葉を包含し得る。
【0034】
本発明のコンセプトは、ヘッドライトのレベルに配置された換気装置の使用に基づくものであるが、それはヘッドライト内部の空気の平均温度を、従ってヘッドライト内部に定置された部品類の温度を低下させるために、ヘッドライト内に存在する熱気を冷気と入れ換えるように換気することを可能とするものである。この原理が、図1に線図的に示されている。図1は、本発明の一実施形態による換気装置102を装備して自動車両101に搭載されたヘッドライト103を示している。この種の換気装置102は、ヘッドライト103に対して、取外し可能なやり方で固定されるのが有利である。それは、故障の場合に、その装置の交換を可能とするためである。
【0035】
ヘッドライト103は、少なくとも1つの光学モジュール105を含んでいる。この光学モジュールは、温度に敏感な1つないし複数の部品類を包含している。それらの部品類は例えば、少なくとも光空間変調器型の部品類、半導体部品類、MEMS、マイクロミラーのマトリックス、液晶スクリーン、またはレーザーを含むものである。
【0036】
この光学モジュールは、1つないし複数の電子部品に専用の冷却システムを含んでいることが有利である。但し、光学モジュールは、本発明の一実施形態による換気装置(これが、そのモジュールの平均温度を制限する)を含んだヘッドライトへ組み込まれるので、この専用の冷却システムは、単純な、伝導や自然対流によってのみ冷却されるものであってよい。光学モジュールはそれゆえ、ファンを含んではいないのである。従って、そのモジュールは、同様の電子部品類を含んだ通常の光学モジュールに比べて簡素化されている。当然、本発明は、これら旧来の、1つないし複数のファンを伴った自身の冷却システムを含む光学モジュールとは、依然として共存可能である。
【0037】
「自然対流」とは、強制されない対流、即ち光学モジュールに局所的に接触したり近接したりする空気の流れを強いるのを可能とするファンや他の如何なる同様の手段をも用いることなく作り出される対流のことを言う。
【0038】
ヘッドライト103は、車両101の車体107と面一に、或いは車体107から突出して配置される外側レンズ106をも含んでいる。
【0039】
換気装置102は、ヘッドライト103の壁上に、或いは壁体を貫通して配置されている。従って換気装置は、ヘッドライト103の内側と外側との間の流体連通をもたらすことができる。換気装置102は、ヘッドライト103の内側からヘッドライトの外側への空気の抜去を可能とするように適合されている。一実施形態において、ヘッドライトは、ヘッドライト空気取入口104を含んでいる。従って、ヘッドライト内部の熱気が冷気によって入れ換えられ、ヘッドライト内部の空気の全体的な温度が低下するのである。
【0040】
換気装置102は、ヘッドライト103の上方部分に配置されるのが好ましい。実際、熱気は冷気よりも低密度であり、ヘッドライト103内部の空気は、ヘッドライト103の上方部分においては下方部分よりも高温なのである。従って、ヘッドライト103の上方部分に換気装置102を配置することによって、最も高温の空気をヘッドライト103の外側へ抜去することが可能となって有利であり、かくしてヘッドライト内部の空気の温度を低下させるのに好都合である。
【0041】
一実施形態において、換気装置102は、ヘッドライト103の上方部分に取入口の配置された空気ガイドを含んでいる。そうして換気装置102を、ヘッドライト103の下方部分や、下方部分と上方部分との間に位置した中間部分に配置することができるであろう。空気ガイドは、ヘッドライト103の上方部分に位置した熱気を換気装置へ送り込むことを可能としているのである。
【0042】
一実施形態において、ヘッドライト103の空気取入口104は、ヘッドライトの下方部分に配置される。ヘッドライトの空気取入口104は、ヘッドライトの下方表面108上に配置されてよい。ヘッドライトの空気取入口104は、換気装置102を貫いて通る水平面の下に位置していることが好ましい。
【0043】
一実施形態において、ヘッドライトの空気取入口104は、ヘッドライト103の前方部分、即ちヘッドライト103の外側レンズ106に最も近い部分に配置される。ヘッドライトの空気取入口104のこの種の配置は、より冷たい空気がヘッドライト103の内部へ進入することを可能とする有利性がある。それは特に、一般的にヘッドライト103の後方に位置する車両101のエンジンからより遠く離れるように、ヘッドライトの空気取入口104を移動させることによるものである。
【0044】
一実施形態において、ヘッドライトの空気取入口104は、ヘッドライト103の前方部分および/または下方部分に取入口の配置された空気ガイドを含んでいる。
【0045】
ヘッドライトの空気取入口104は空気フィルタを含んでいてもよい。空気フィルタは、ヘッドライトの空気取入口104を通じて外部粒子がヘッドライト103の内部へ入り込むことを防止しつつ、ヘッドライト103の外側から内側へ空気を流すことを可能とする有利性がある。
【0046】
これ以降、第1実施形態による換気装置201の例を、図2A図2B、および図2Cを参照して説明する。
【0047】
換気装置201は、空気取入口203および空気放出口214(より特定的は、図2Cに示す)を含んでいる。換気装置201は、通気室210をも含んでいる。当該通気室210は、換気装置201の前記空気取入口203と前記空気放出口214との間に配置されているのが有利である。通気室210はファン202を包含している。ファンとは、空気取入口203と空気放出口214との間に空気の流れを発生させるための任意の手段のことを言う。
【0048】
ファン202は、遠心ファンや、軸流ファンや、任意の他の型式のファンであってよい。一実施形態において、ファン202は、空気放出口の所で略5メートル毎秒の速度の空気の流れを発生させるように設計される。一実施形態において、ファン202は、空気放出口の所で100L/分以上500L/分以下の空気の流れを発生させるように設計される。
【0049】
図2Bに示すように、換気装置201は、図1の線図に類似したやり方でヘッドライト213の後上方部分に配置されている。空気取入口203は、ヘッドライト213の内側に定置されるよう適合されている。空気放出口214は、ヘッドライト213の外側にあるよう適合されている。従ってファン202は、換気装置の空気取入口203を通じてヘッドライト213の内側の内部熱気を吸い込んで、その熱気をヘッドライト213および換気装置の空気放出口214の外側へ排出することを可能とする。
【0050】
換気装置201は、少なくとも外部粒子に対して密封するシステムをも含んでいる。一実施形態において、密封システムは気密性でもある。外部粒子に対する密封システムは、ファンが停止されたときや、ファンが作動されていないときに、ヘッドライト213の外側の空気内に存在する外部粒子がヘッドライト213の内部へ入り込むのを防止することを可能とする。
【0051】
実際、換気装置201が作動しているときには、換気装置201の空気取入口203から空気放出口214への空気の貫流が発生する。この空気の貫流によって、外部粒子がヘッドライトの内部へと換気装置を通過してしまうのが防止されるのである。しかしながら、ファン202が停止され場合には空気の流れが発生しないので、ヘッドライト内に存在する部品類の保護のために換気装置を閉鎖することが重要となる。それは、換気装置を通じてヘッドライトへ塵が進入しないようにするためである。
【0052】
一実施形態において、換気装置は空気フィルタを含んでおらず、それにより空気の流れに対して高すぎる抵抗が生じるのを防止している。
【0053】
密封システムの第1の例が、図2Aに示されている。この第1実施形態において、密封システムは閉塞手段206を含んでいる。閉塞手段206は、通気室210、空気取入口203、または空気放出口214に位置していてよい。閉塞手段206は、換気装置の断面全体を覆うフラップであってよい。
【0054】
閉塞手段206は2つの位置:換気装置の空気取入口と空気放出口との間の流体連通を許容する開放位置(図2C)と、少なくとも空気放出口と空気取入口との間における外部粒子の通過を防止するための閉鎖位置(図2B)と、をとることができるか、或いは、それら2つの位置同士の間を動けるように設計されている。
【0055】
一実施形態において、閉塞手段206は2つの極限位置:閉鎖位置と開放位置との間で可動となっている。
【0056】
閉鎖位置において閉塞手段206は、少なくとも外部粒子が換気装置の断面を通過してしまうのを防止するように、その断面を覆い得る。当該断面は、換気装置の通気室210、取入口、または放出口に位置していてよい。
【0057】
閉塞手段206は、気密性材料から、或いは空気に対しては透過性であって外部粒子に対しては密封された材料から作られたフラップであってよい。
【0058】
閉塞手段206は、閉鎖位置(図2B)と開放位置(図2C)との間を、並進運動によって、或いは1つないし複数のスラットのシステムによって可動となっていてよい。
【0059】
換気装置201は、空気ガイド204をも含んでいてよい。空気ガイド204は、換気装置の空気取入口203と通気室210との間の流体連通を可能とする。従って空気ガイド204によって、自らの上方側の方を向く空気取入口203を含んだ換気装置201をもたらすことが可能となる。この空気ガイド204はそれゆえ、ヘッドライトの頂部の方への空気取入口203の配置を可能とする有利性がある。このようにして、空気ガイド204は、できる限り最も高い位置においてヘッドライトから空気を吸い込むことを、かくして、ヘッドライト213の下方部分に存在する、より低温の空気212よりも寧ろ、最も高温の空気211を吸い込むことを可能とする。空気ガイド204は、通路、ないしは縦管を含んでいる。当該実施形態において、空気ガイド204は、空気に対する曲がりくねった経路を形成することを可能とする。その曲がりくねった経路は、ヘッドライトの外側から内側への如何なる外部粒子の通過の可能性をも制限することにも寄与し、従って密封機能にも寄与するものである。
【0060】
換気装置201は、換気装置201とヘッドライト213との間、および/または換気装置201の壁と閉塞手段206との間の密封を保証するためのシール208も含んでいてよい。
【0061】
図2Dは、閉塞手段206が通気室210の取入口に配置された、第1実施形態の変形例を示している。2つの変形の実施形態同士は、同等に組み合わされ得るものである。
【0062】
この第1実施形態において、ヘッドライトは更に、図2Aおよび図2Dに示す換気装置201の制御装置209を含んでいる。この制御装置は、少なくとも1つの閉塞手段206の開閉を制御するように適合された作動器を含んでいてよい。作動器209は、閉塞手段206の動きを可能とするモータや従動アームを含み得る。制御装置は更に、プロセッサ207および/またはプリント回路を含んでいてよい。プロセッサは、作動器209を介して閉塞手段を制御するために、通信手段によって作動器に接続されていてよい。
【0063】
制御装置は、車両101のエンジンが始動されたときに換気装置の作動を開始させ、エンジンが停止されたときに換気装置の作動を停止させるように構成されている。
【0064】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ開放形態および閉鎖形態にある、第2実施形態による換気装置301を示している。
【0065】
この実施形態において、換気装置301は、少なくとも1つの回動可能な閉塞手段306を含んでいる。特に、閉塞手段306は、横方向を向いた枢軸309周りに回動可能となっていてよい。この閉塞手段306は、図3Aに示す閉鎖位置にあるときに、通気室310の取入口と放出口とを同時に閉鎖するように設計されている。図3Bに示す開放位置にあるときには、その閉塞手段306は、通気室310の取入口と放出口とを同時に開放する。或いは、この閉塞手段は、換気装置301の空気取入口303と放出口314とを開閉することができるであろう。
【0066】
閉塞手段306は、閉鎖位置にあるときに通気室310の取入口の断面と通気室310の放出口の断面とを覆うことができるように、枢軸309の両側において十分な長さのものである。
【0067】
通気室310は、枢軸309とヘッドライトの壁313との間に配置されたシール308を含んでいてよい。換気装置301は同様に、通気室とヘッドライトの壁との間にシール308を含んでいてよい。
【0068】
閉塞手段306は、外部粒子に対して密封された、気体に対しては透過性な表面305を含んでいてもよい。
【0069】
換気装置301は更に、換気装置の空気取入口303が上方ないしはヘッドライト313の上面の方を向くように設計された空気ガイド304を含んでいる。従って換気装置301は、ヘッドライトの下方部分に位置した、より低温の気体312よりも寧ろ、最も高温の気体311を吸い込むことができる。
【0070】
図4によって示される第3実施形態において、換気装置401は同様に、空気取入口403と、次に、少なくとも1つのファン402を備え付けた通気室410へと通じる空気ガイド404とを含んでいる。この実施形態において、密封システムは、少なくとも1つの屈曲部を有した放出通路405を含んでいる。この少なくとも1つの屈曲部を有した放出通路405は、ファン402を包含した通気室410と、換気装置404の空気放出口414との間に配置されている。或いは、放出通路405は複数の屈曲部を含んでいてもよい。当該放出通路405が150°以上200°以下の屈曲部を含んでいること、即ち、その通路が、換気装置401によって抜去される空気を、この種の急な屈曲部を含んだ経路に沿って案内することが好ましい。この種の(略180°くらいの)湾曲は、空気通路405によって空気放出口414がヘッドライト413の後壁の方へ向くようにすることを可能とする。従って空気放出口414は、車両のエンジンの方を向いてはいないのである。この向きによって、ファンのスイッチが切られたときに外部粒子が換気装置を通じてヘッドライト内部へ入り込むことが不可能となるか、或いは極めて困難となる。従って、放出通路405が密封機能をもたらすのである。或いは密封システムは、少なくとも1つの屈曲部を有した如何なる他の通路(これは、必ずしも換気装置の放出口のレベルには位置しない)によっても実施することができるであろう。
【0071】
一実施形態において、放出通路405は更に、空気放出口414付近にフィルタないしグリル415を含んでいる。このグリルによって外部粒子を減速させたり停止させたりすることが可能となる。外部粒子は、放出通路405を通る経路に沿って進むよりも寧ろ、このグリル上に堆積する傾向があるであろう。
【0072】
グリル415は、放出通路405の断面を覆っている。グリルは、矢印414のレベルにおいて放出通路405の断面全体を覆うことが好ましい。グリルは、一連のスラットまたはフィラメントを含んでいることが好ましい。隣り合うスラット同士の間、または隣り合うフィラメント同士の間の間隔は、0.5mm以上3mm以下である。
【0073】
放出通路405は、更に外部粒子に対する換気装置401の密封をもたらすに足る長さに亘って伸びていることが好ましい。放出通路405は、少なくとも25mmを超える、および/または200mm未満の長さに亘って伸びていてよい。
【0074】
放出通路405の断面の直径または幅は、15mm以上50mm以下であってよい。放出通路405の断面の寸法は、ファン402が作動しているときには空気の流れの通過を許容しつつ換気装置401を密封するのに寄与するものである。
【0075】
この解決策の利点は、可動式の閉塞手段(例えばスラット)などの機械的な装置の使用を不要とすることである。この解決策は、空気フィルタを不要ともし得る有利性がある。
【0076】
放出通路405はまた、ヘッドライト413および車両に取り付けられたならば、(例えば、水の散布後に、或いは結露を通じて)放出通路内に存在する如何なる水も換気装置401の空気放出口414を通じて重力によって排出されるように傾斜を有するよう設計されていてよい。換気装置が車両上のヘッドライトに取り付けられたとき、空気放出口414は、通気室410の空気放出口よりも低い高さに配置されていることが有利である。
【0077】
補足的なやり方で、全ての実施形態において、通気室は水平面に対して傾斜を有するように設計される。換気装置が車両のヘッドライトに取り付けられたならば、この傾斜によって、ヘッドライト内へと入り込むことなく通気室の壁上を流れる水の放出が可能となる。図2Aから図4に示すように、ヘッドライトの外側に配置された通気室の上方部分は、水を排出するように水平面に対して傾斜を有している。これらの実施形態においては、水が、換気装置内で淀んだり、ヘッドライトの内部へ入り込んだりすることはできないのである。
【0078】
本発明は、説明した各実施形態には限定されない。例えば、これらの実施形態の空気ガイドを取り除くことによって別の諸実施形態が得られてもよく、その選択の余地は残されている。また、如何なる他の閉塞手段も考えられ得る。例えばスラットは、並進や回転の運動以外の運動で、或いは、第1実施形態について説明した以外の方向の並進や、第2実施形態について説明した以外の向きの軸線周りの回転の運動で可動となっていてもよい。
【0079】
また、少なくとも1つの閉塞手段は、少なくとも2つの、即ち複数のスラットを含んでいてもよい。この場合、同期した回転方向の運動を引き起こすように種々のスラットが構成される。各スラットが、閉鎖位置にあるときに換気装置の断面の一部を覆うように配置される。それらのスラットは、全てが閉鎖位置にあるときに一緒になって換気装置の断面全体を覆うようになっている。例えば、一実施形態においては、少なくとも1つの閉塞手段が一対のスラットを含んでいる。
【0080】
また、全ての実施形態において、換気装置は第1実施形態に関して説明したような制御装置を含んでいる。
【0081】
その制御装置は更に、ヘッドライトから空気を抜去する(ヘッドライトの換気をする)ための方法を実施してもよい。その方法には特に、自動車両の始動時に自動的に開始されて自動車両のエンジンの停止時に自動的に停止される、換気装置の作動方法が含まれる。従って、ヘッドライトおよび/または換気装置は、可動式の閉塞手段を含むと共に、換気方法を実施するためのハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を含んでいる。
【0082】
本発明の第1ないし第2実施形態によるような可動スラット式の換気装置に関連した実施形態において、換気装置を作動させる方法は、
- ファンを作動させる段階の次に、
- 少なくとも1つの閉塞器を開放位置に達するまで動かす段階
を含んでいることが有利である。
【0083】
動かす段階は、作動させる段階の実行から、少なくとも1秒後に実行されることが好ましく、好適には少なくとも3秒ないし4秒後、最も好適には3秒から6秒後の間に実行される。このようにして、閉塞手段が開放される前に、ファンの作動によって通気室の加圧が引き起こされるのである。この圧力上昇によって、換気装置が始動されたときに、換気装置を通じてヘッドライトの内部へ塵が進入できないことを保証するのが可能となる。
【0084】
ファンを作動させる段階は、制御信号、例えばエンジンのスイッチが入れられた(出力が上げられた)ときに発生する信号を受け取る段階の後であってよい。
【0085】
同様に、換気装置の作動を停止させるための方法は、
- 閉塞手段を閉鎖位置へと動かす段階と、
- ファンの作動を停止させる段階と、
を含んでいる。
【0086】
作動を停止させる段階は、動かす段階を実行してから、少なくとも1秒後に実行されることが好ましく、好適には少なくとも3秒ないし4秒後、最も好適には3秒から6秒後の間に実行される。このようにして、換気装置が止められたときに、換気装置を通じてヘッドライトの内部へ塵が進入できないことを保証するのが可能となる。
【0087】
移動させる段階は、制御信号、例えばエンジンが止められた(出力が下げられた)ときに発生する信号を受け取る段階の後であってよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4