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特許7401993検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
G01N21/27 F
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019149620
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2020034552
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】18190123.2
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】パトリック バアー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ベッチャート
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-191232(JP,A)
【文献】特開2000-46734(JP,A)
【文献】特開2017-111145(JP,A)
【文献】特開平9-236544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0205681(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0213371(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146513(US,A1)
【文献】米国特許第5888455(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
H01L 21/64-H01L 21/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室用機器(14)内の検出ユニット(12)の検出器(10)によって測定された信号光強度を補正する方法(42)であって、前記検査室用機器(14)は、検出ユニット(12)と制御装置(16)とを備え、前記検出ユニット(12)は、光源(20)と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器(23)を保持するように構成された試料ホルダ(24)を備える試料面(22)と、基準光センサ(26)と、検出器(10)とを備え、前記光源(20)は、前記試料面(22)に向けて光(28)を発するように構成され、
前記基準光センサ(26)は、前記試料ホルダに向けられた照射光を遮らないように、試料面(22)上または試料面(22)の隣に取り付けされるか、或いは試料面(22)または試料ホルダ(24)に備えられ、前記基準光センサ(26)および試料ホルダ(24)が、光源(20)から試料面(22)に向かって発される実質的に同じ光(28)に曝されるように構成され、ここで、基準光センサ(26)は、試料面(22)に向かって照射された光(28)の初期光強度と、前記試料面(22)に向けて発された光(28)の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成され、
前記検出器(10)は、前記試料面(22)から発せられた光(30)の信号光強度を測定するように構成され、
前記方法は以下のステップ(44、46、48、50、52、54)を含み、各ステップは、
a)前記制御装置(16)が、前記光源(20)の基本光強度を受信するステップ、
b)前記制御装置(16)が、前記検出ユニット(12)内の前記光源(20)を作動させるステップ、
c)前記基準光センサ(26)が、前記試料面(22)に向けて発せられた光(28)の初期光強度を測定し、前記制御装置(16)に対して前記測定された初期光強度を送信するステップ、
d)前記制御装置(16)が、前記測定された初期光強度及び前記光源(20)の前記基本光強度に基づいて前記基準光センサ(26)の感度を計算するステップ、
e)前記基準光センサ(26)の感度を計算したのちに、前記検出器(10)が、前記試料面(22)から発せられた光(30)の少なくとも1つの信号光強度を測定し、前記少なくとも1つの測定された信号光強度を前記制御装置(16)に送信するとともに、前記基準光センサ(26)が、前記試料面(22)に向けて発せられた光(28)の少なくとも1つの基準光強度を測定し、前記少なくとも1つの測定された基準光強度を制御装置(16)に送信するステップ、及び
f)前記制御装置(16)が、前記少なくとも1つの基準光強度及び前記基準光センサ(26)の前記計算された感度により、前記少なくとも1つの測定された信号光強度を補正するステップ
であり、
ここで、前記光源(20)の基本光強度は、光源試験システム(32)の較正された光センサ(34)によって測定され、ここで、前記光源試験システム(32)は、前記検査室用機器(14)から分離されており、前記方法のステップ(a)(44)において、制御装置(16)は、前記光源(20)が初めて検出ユニット(12)に取り付けられるときに、光源(20)の前記基本光強度を受信する、方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)(44)において、前記制御装置(16)は、前記光源(20)の前記基本光強度が前記光源試験システム(32)によってメモリ(21)に格納された後、前記光源試験システム(32)から前記制御装置(16)に対して前記基本光強度を送信することによって、又は前記光源(20)上に取り付けたメモリ(21)から前記光源(20)の前記基本光強度を読み出すことによって、前記光源試験システム(32)から前記基本光強度を受信する、請求項に記載の方法(42)。
【請求項3】
前記基準光センサ(26)の前記感度は、前記光源(20)の前記基本光強度によって除算された、前記測定された初期光強度である、請求項に記載の方法(42)。
【請求項4】
前記基本光強度は、基本光強度最小許容値に関連づけられる、請求項2又は3に記載の方法(42)。
【請求項5】
前記制御装置(16)は、ステップ(a)(44)において前記基本光強度最小許容値をさらに受信し、前記制御装置(16)は、前記少なくとも1つの測定された基準光強度及び前記基準光センサ(26)の前記感度に基づいて少なくとも1つの比較値を計算し、前記制御装置(16)は、前記基本光強度最小許容値を前記少なくとも1つの比較値と比較し、前記制御装置(16)は、ユーザインタフェース(19)をさらに備え、前記少なくとも1つの比較値が前記基本光強度最小許容値よりも小さい場合、警告メッセージ、エラーメッセージ、又は前記光源を交換する必要があることを示すユーザ通知が、前記ユーザインタフェース(19)上に表示される、請求項に記載の方法(42)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの比較値は、前記基準光センサ(26)の前記感度によって除算された、前記少なくとも1つの測定された基準光強度である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記基本光強度最小許容値は、前記光源上に取り付けられた前記メモリ(21)に格納され、前記制御装置(16)は、前記光源(20)上に取り付けられた前記メモリ(21)から前記基本光強度最小許容値を読み出すことによって、前記基本光強度最小許容値を受信する、請求項からの何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記検出ユニット(12)は、前記光源(20)と前記基準センサ(26)との間に配置された少なくとも1つの励起フィルタ(11)を備え、前記光源試験システム(32)は、前記光源試験システム(32)の前記光源(20)と前記較正された光センサ(34)との間に配置された少なくとも1つの均等励起フィルタ(41)を備え、各励起フィルタ(11)に対して前記方法のステップ(a)~(f)が行われる、請求項からの何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光源(20)は、プリント回路基板上に取り付けられた少なくとも1つの発光ダイオードを備え、前記メモリ(21)は、前記プリント回路基板上に取り付けられた電気的消去可能PROMである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記基準光センサ(26)は、1つ以上のフォトダイオードを備える、請求項1からの何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記検査室用機器(14)は、核酸増幅反応を行うように構成され、前記試験試料を含む少なくとも1つの試料容器(23)は、前記試料面(22)の前記試料ホルダ(24)内に挿入され、前記核酸増幅反応中に前記試料面から発せられた前記信号光強度は、前記検出器(10)によって測定され、前記試験試料内の対象の分析物の有無及び濃度を判定するために用いられる、請求項1から1の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
検出ユニット(12)と制御装置(16)とを備える検査室用機器(14)であって、前記検出ユニット(12)は、光源(20)と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器(23)を保持するように構成された試料ホルダ(24)を備える試料面(22)と、基準光センサ(26)と、検出器(10)とを備え、前記光源(20)は、前記試料面(22)に向けて光(28)を発するように構成され、
前記基準光センサ(26)は、前記試料ホルダに向けられた照射光を遮らないように、試料面(22)上または試料面(22)の隣に取り付けされるか、或いは試料面(22)または試料ホルダ(24)に備えられ、前記基準光センサ(26)および試料ホルダ(24)が、光源(20)から試料面(22)に向かって発される実質的に同じ光(28)に曝されるように構成され、ここで、基準光センサ(26)は、試料面(22)に向かって発された光(28)の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成され、前記検出器(10)は、前記試料面(22)から発せられた光(30)の信号光強度を測定するように構成され、前記制御装置(16)は、請求項1から1の何れか一項に記載の方法の前記ステップを実行するように構成される、検査室用機器(14)。
【請求項13】
請求項1に記載の検査室用機器に、請求項1から1の何れか一項に記載の方法の前記ステップを実行させる命令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項1の前記コンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ読み取り可能媒体(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロ診断の試験試料分析の分野に属する。この分野において、本発明は、検査室用機器(laboratory instrument)内の検出ユニット(detection unit)の検出器(detector)によって測定された信号光強度(signal light intensities)を補正するための方法、検査室用機器、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ読み取り可能媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
診断検査室(diagnostic laboratory)の環境において、試験試料に対して同じ臨床試験(laboratory tests)を実行するために、同じタイプの複数の検査室用機器が設置される場合がある。検査室用機器は診断検査室の同じ設備内に設置されてもよく、診断検査室の異なる設備に分散されてもよく、又は、異なる診断検査室に分散されてもよい。信頼でき且つ一貫性のある診断のためには、同じタイプの異なる検査室用機器によってもたらされた試験結果は、再現可能であり且つ互いに同等でなければならない。例えば医師が2つの等しい臨床試験をオーダーした場合、その医師は、現在の作業量によっては2つの臨床試験が2つの異なる検査室用機器上で実行されるかもしれないものの、両方の試験結果は互いに同等であることを期待する。
【0003】
典型的には、検査室用機器は、試験試料の分析物の有無を検出するための手段、及び/又は、分析物の濃度若しくは分析物に関連するパラメータを判定するための手段を含む。光度法、蛍光測定、濁度測定、比濁分析、蛍光測定、蛍光偏光測定、炎光光度法、原子吸光光度法、フローサイトメトリー、コールタ法、及び画像処理などの多くの周知の検出方法において、検査室用機器の検出ユニットは、分析物関連信号(analyte-related signals)の光強度を検出し測定する。その後、測定された信号光強度は、処理されて試験試料内の重要な分析物の有無及び/又は濃度を示す試験結果になる。しかしながら、試験結果は検査室用機器間で異なる場合があり、そのため、同じタイプの異なる検査室用機器でもたらされた試験結果の比較可能性の悪さ及びそれに続く誤解に結びつく場合がある。検査室用機器の間のこの試験結果のばらつきの理由は、光源などの検出ユニットの構成要素が製造公差及び/又は動作中の不均等な劣化を受ける、ということかもしれない。従って、検査室用機器の光源の輝度又は強度を、例えば基準チャネルを使用してモニタリングする場合がある。また、測定された基準チャネルの基準信号は、米国特許第9956559号明細書に開示されるように測定された信号光強度を正規化するために使用することができる。しかしながら、このような基準チャネルは、また、大きな製造公差を受ける場合があり、較正なしでは、それらの基準信号を用いて、測定された信号光強度を補正し、それに基づいて絶対試験又は定量試験の結果を計算することができない。検査室用機器の光源をモニタリングするための別の方法は、その時々に較正された光センサを検査室内に挿入することによる通常の光強度測定に基づいてもよい。しかしながら、このような方法は、大変な時間とコストがかかる。さらに、光源を連続的に監視することは可能ではない。
【0004】
従って、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を、単純で、信頼性があり、費用効率の高い方法で補正する必要がある。本発明は、特に、自動化されたインビトロ診断の試験試料分析の必要性により適切に応えるために、同じタイプの異なる検査室用機器間の試験結果のばらつきを低減するための従来手法を改善することを目的とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9956559号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正するための方法、検査室用機器、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ読み取り可能媒体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法に関する。検査室用機器は、検出ユニットと制御装置とを備える。検出ユニットは、光源と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された試料ホルダを備える試料面と、基準光センサと、検出器とを備える。光源は、試料面に向けて光を発するように構成される。基準光センサは、試料ホルダに近接して配置されており、試料面に向けて発せられた光の初期光強度と試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成される。検出器は、試料面から発せられた光の信号光強度を測定するように構成される。本方法は、以下の各ステップを備える。
a)制御装置が、光源の基本光強度を受信するステップ、
b)制御装置が、検出ユニット内の光源を作動させるステップ、
c)基準光センサが、試料面に向けて発せられた光の初期光強度を測定し、測定された初期光強度を制御装置に送信するステップ、
d)制御装置が、測定された初期光強度と光源の基本光強度とに基づき基準光センサの感度を計算するステップ、
e)検出器が、試料面から発せられた光の少なくとも1つの信号光強度を測定し、少なくとも1つの測定された信号光強度を制御装置に送信するとともに、基準光センサが、試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度を測定し、少なくとも1つの測定された基準光強度を制御装置に送信するステップ、及び、
f)制御装置が、少なくとも1つの基準光強度と基準光センサの計算された感度とにより、少なくとも1つの測定された信号光強度を補正するステップ。
【0008】
本発明は、また、検出ユニットと制御装置とを備える検査室用機器に関する。検出ユニットは、光源と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された試料ホルダを備える試料面と、基準光センサと、検出器とを備える。光源は、試料面に向けて光を発するように構成される。基準光センサは、試料ホルダに近接して配置されており、試料面に向けて発せられた光の初期光強度と試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成される。検出器は、試料面から発せられた光の信号光強度を測定するように構成される。制御装置は、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップを実行するように構成される。
【0009】
本発明は、さらに、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップを、本明細書に記載されるような検査室用機器に実行させる命令を備えるコンピュータプログラム製品に関する。
【0010】
本発明は、また、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップを、本明細書に記載されるような検査室用機器に実行させる命令を備えるコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ読み取り可能媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、検査室用機器の実施形態を示す。
図2図2は、検査室用機器の別の実施形態を表す。
図3図3は、光源試験システムの実施形態を示す。
図4図4は、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法の実施形態のフローチャートを表す。
図5A図5は、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップ(a)の異なる実施形態を示す。
図5B図5は、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップ(a)の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法に関する。検査室用機器は、検出ユニットと制御装置とを備える。検出ユニットは、光源と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された試料ホルダを備える試料面と、基準光センサと、検出器とを備える。光源は、試料面に向けて光を発するように構成される。基準光センサは、試料ホルダに近接して配置されており、試料面に向けて発せられた光の初期光強度と試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成される。検出器は、試料面から発せられた光の信号光強度を測定するように構成される。本方法は、以下の各ステップを備える。
a)制御装置が、光源の基本光強度を受信するステップ、
b)制御装置が、検出ユニット内の光源を作動させるステップ、
c)基準光センサが、試料面に向けて発せられた光の初期光強度を測定し、測定された初期光強度を制御装置に送信するステップ、
d)制御装置が、測定された初期光強度と光源の基本光強度とに基づき基準光センサの感度を計算するステップ、
e)検出器が、試料面から発せられた光の少なくとも1つの信号光強度を測定し、少なくとも1つの測定された信号光強度を制御装置に送信するとともに、基準光センサが、試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度を測定し、少なくとも1つの測定された基準光強度を制御装置に送信するステップ、及び、
f)制御装置が、少なくとも1つの基準光強度と基準光センサの計算された感度とにより、少なくとも1つの測定された信号光強度を補正するステップ。
【0013】
本明細書で用いられる場合、用語「検査室用機器(laboratory instrument)」は、試験試料上で臨床試験を行うように構成された、分析装置又は装置に関する。検査室用機器は、例えば、測定可能な信号光を生成するために試験試料又は試験試料の一部を用いるように設計されることができ、それに基づいて、対象の分析物が試験試料中に存在するか否かを判断するとともに必要に応じてどのような濃度であるのかを判断することが可能である。検査室用機器は、検出ユニットを備える。限定的ではない例として、検出ユニットは、光度計、蛍光光度計、濁度計、比濁計、照度計、蛍光偏光計、炎光分析計、原子吸光光度計、フローサイトメータ、又は試験試料の分析物関連信号光を検出及び/又は測定するための画像処理システムであってもよい。
【0014】
検出ユニットは、光源を備える。検出ユニットは、光源が試料面に向けて光を発することができるように、光源を取り付けるための光源ホルダをさらに備えてもよい。そのため、光源は、試験試料が照射されるように、試料面に向けて光を発するように構成される。試料面に向けて発せられた光は、試験試料の分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質と相互に作用し、その結果として以下にさらに記載されるような検出器によって強度を測定することができる測定可能な信号光をもたらし得る。限定的ではない例として、発せられた光と、分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質との間の相互作用は、反射、散乱、蛍光を含む吸収、ルミネセンス、屈折、光学活性、及び光電効果に基づくことができる。限定的ではない例として、光源は、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)、ハロゲンランプ、キセノンランプ、又はレーザであってもよい。
【0015】
特定の実施形態において、光源は、プリント回路基板上に搭載された少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を備える。
【0016】
光源については、その基本光強度を決定することができる。本明細書で用いられる場合、用語「基本光強度(basic light intensity)」は、新たに製造された光源から公称電流で出射され、較正された光センサによって測定された、絶対光強度又は出射光のパワーに関する。光源は、光源の一般的な製造精度の範囲内の基本光強度を備えてもよい。限定的ではない例として、基本光強度は、光出力(ワット)又は放射照度(ワット/平方メートル)として測定され表現されてもよい。さらに、基本光強度は、光源から発せられる光強度の任意の単位によって表わされてもよい。例えば、測定された光出力(ワット)又は放射照度(ワット/平方メートル)は、アナログ・デジタル変換器を用いて「カウント」又は他の任意の数値で変換され表現されてもよく、ここで、カウント又は数値は、使用される較正された光センサに応じたパワー又はエネルギーのいずれかを表わしてもよい。
【0017】
検出ユニットは、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された試料ホルダを備える試料面をさらに備える。本明細書で用いられる場合、用語「試料ホルダ(sample holder)」は、試験試料及び/又は試験試薬を含む少なくとも1つの試料容器を受け入れ、保持し、及び/又は解放するように構成された任意の装置に関する。試料ホルダは、1つ以上の試験試料の照射、ならびに1つ以上の試験試料から発せられた結果として生じる信号光の検出を容易にすることができる方式で、1つ以上の試料容器を受け入れて収容するように構成された少なくとも1つの挿入領域又は凹部を備えてもよい。
【0018】
一実施形態において、試料ホルダは、円筒形、閉じた底部、及び直立位置に1つの試料容器を挿入するための挿入領域を有する頂部を有する。このような試料ホルダの限定的ではない例は、単一の試料容器ホルダである。
【0019】
試料ホルダの一実施形態において、試料ホルダは、孔、スリット、又は透明領域を備える底部有し、その結果、光源から試料面に向けて発せられた光の一部は、分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質によって吸収され、光の非吸収部分は、孔、スリット、又は透明部分を通過することができ、その後、検出器によって検出される。
【0020】
試料ホルダの別の実施形態において、試料ホルダは、孔、スリット、又は透明領域を備える側壁を有し、その結果、光源から試料面に向けて発せられた光の一部は、分析物又は分析物関連物質によって吸収され、光の非吸収部分は、孔、スリット、又は透明部分を通過することができ、その後、検出器によって検出される。
【0021】
別の実施形態において、試料ホルダは、立方形、閉じた底部、及び直立位置に1つ又は複数の試料容器を挿入するための1つ又は複数の挿入領域を有する頂部を有する。このような立方体の試験試料ホルダの限定的ではない例は、1つ又は複数の試料容器又はマルチウェルプレートを受け入れ、保持し、及び/又は解放するように構成された試験試料ブロックである。
【0022】
本明細書で用いられる場合、用語「試料容器(sample vessel)」は、試験試料(例えば、血液、尿、血清、血しょう、又は液化生検標本など)、試験試薬(例えば、免疫化学試験、臨床化学試験、凝固試験、血液学的試験、分子生物学的試験などのための試薬)又はその組み合わせなどの内容物を受け入れ、保存、搬送、及び/又は解放するように構成された容器又はレセプタクルに関する。試料容器の内容物、検出方法、及び製造業者に応じて、材料、ならびに直径、辺長、高さ、及び幾可学的形状などの試料容器の寸法が変動する。
【0023】
一実施形態において、試料容器は、円筒状、円錐形、又は、立方形を有する容器であってもよい。試料容器は、閉じた底部と開いた頂部とを有してもよい。円筒状容器の閉じた底部は、円形であってもよく、開いた頂部は、例えばキャップを用いることによって閉口可能であってもよい。試料容器の側壁は、例えば、透明プラスティック、ガラスなどの透明材料から作成されてもよい。単一の円筒状又は円錐形の試料容器の限定的ではない例は、当該技術分野において周知の一次試料容器又は測定キュベットである。代替的に、2つ以上の試料容器が、複数の試料容器アセンブリとして配置されてもよい。このような複数試料容器アセンブリの限定的ではない例は、当該技術分野において周知のマルチウェルプレートである。
【0024】
本明細書で用いられる場合、用語「試験試料(test sample)」は、患者の被検物(例えば、血清、血しょう、全血、尿、便、唾液、脳脊髄液、骨髄など)の有無及び必要に応じて対象の分析物又はパラメータの濃度を、臨床試験を用いて判定することができる、患者の被検物に関する。試験試料は、ある時間に個々の患者から採取されるので、対応する対象の分析物又はパラメータは、各試験試料にとって固有である。
【0025】
検出ユニットは、基準光センサをさらに備える。基準光センサは、検出ユニットの試料ホルダに近接して又は隣接して配置される。基準光センサが試料ホルダに近接しているので、基準センサ及び試料ホルダは、光源から試料面に向けて発せられた実質的に同じ光に晒される。試料ホルダに向けて発せられた光により基準センサが遮られていないように、光センサは、試料面上又はその試料面の隣に取り付けられてもよい。代替的に、基準光センサは、試料面又は試料ホルダに備えられてもよい。例えば、試料面又は試料ホルダは、基準光センサを取り付けることができる凹部を備えてもよい。限定的ではない例として、基準光センサは、フォトダイオード、フォトレジスタ、又はフォトトランジスターであってもよい。
【0026】
特定の実施形態において、基準光センサは、1つ以上のフォトダイオードを備える。また、基準光センサは試料面に向けて発せられた光の初期光強度と、試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成される。
【0027】
本明細書で用いられる場合、用語「初期光強度(initial light intensity)」は、試料面に向けて光源から発せられ、較正されていない基準光センサによって測定された光の相対照度に関する。検査室用機器の検出ユニット内で初めて光源が作動させられるときに、初期光強度が基準光センサによって測定されてもよい。そのため、初期光強度は、新たに製造された光源から発せられた光の強度に関し、検査室用機器が稼働される前に一度測定されてもよく、その後、基準光強度及び信号光強度が試験試料の解析のために測定される。光源の測定された初期光強度及び基本光強度は、基準光センサの感度を判定又は計算し、それによって基準光センサを較正するために用いられる。限定的ではない例として、基準光センサが1つ以上のフォトダイオードである場合、初期光強度は「光電流(A)」で測定されて表現されてもよい。さらに、初期光強度は、光源から発せられた光強度の任意の単位によって表わされてもよい。例えば、測定された光電流(A)は、アナログ・デジタル変換器を用いて「カウント」又は他の任意の数値で変換され表現されてもよく、ここで、カウント又は数値は、使用される基準光センサに応じたパワー又はエネルギーのいずれかを表わしてもよい。
【0028】
本明細書で用いられる場合、用語「基準光強度(reference light intensity)」は、光源から試料面に向けて発せられ、初期光強度の測定及びその感度の計算に後に基準光センサによって測定された光の光強度に関する。検出器が試料面から発せられた光の信号光強度を測定するとき、基準光強度が測定されてもよい。そのため、測定された各信号光強度については、対応する基準光強度が測定されてもよい。光源が初期光強度の測定後にも依然として作動させられるとき、又は光源の動作を停止した後に光源が再開されるとき、基準光強度が測定されてもよい。基準光強度が測定される時には基準光センサの感度が分かっているので、基準光強度は、測定された信号光強度を補正するためにここで用いることができ、それに基づいて、絶対試験結果又は定量試験結果が計算されてもよい。そのため、基準光強度及び対応する基準光センサの計算された感度は、検出器によって測定された対応する信号光強度を補正するために用いられる。限定的ではない例として、基準光センサが1つ以上のフォトダイオードである場合、基準光強度は「光電流(A)」で測定されて表現されてもよい。さらに、初期光強度は、光源から発せられた光強度の任意の単位によって表わされてもよい。例えば、測定された光電流(A)は、アナログ・デジタル変換器を用いて「カウント」又は他の任意の数値で変換され表現されてもよく、ここで、カウント又は数値は、使用される基準光センサに応じたパワー又はエネルギーのいずれかを表わしてもよい。
【0029】
検出ユニットは、検出器をさらに備える。検出器は、試料面から発せられた光の信号光強度を測定するように構成される。検出ユニットは、試料面から発せられた光を検出することができ、信号光強度を測定することができるように、検出器を取り付けるための検出器ホルダをさらに備えてもよい。検出器は、測定された信号光強度が、同程度の定量試験結果を計算するために用いられることができるように、較正されてもよい。検出器は、測定された信号光強度の高い再現性のために厳しい製造公差で動作させることができ、例えば、ある信号光強度の測定された信号光強度は、+/-5%よりも小さな範囲内で変動し得る。
【0030】
特定の実施形態において、検出器は、単一のフォトダイオード、電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)、又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complimentary metal-oxide semiconductor)センサを備える。
【0031】
本明細書で用いられる場合、用語(「信号光強度(signal light intensity)」)は、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された試料ホルダを備える試料面から発せられた光の光強度に関する。信号光強度は、較正された検出器によって測定されてもよい。試料面が照射された試験試料を保持する場合、測定された信号光強度は、試験試料の分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質に関連づけられてもよい。試料面から発せられた光又は試料面から発せられた光の少なくとも一部は、試験試料の分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質から発せられてもよい。その後、測定された信号光強度は、試験試料内の重要な分析物の有無及び/又は濃度を示す試験結果に加工される。試験結果は、複数の測定された信号光強度によって判定又は計算されてもよい。例えば、試験結果は、光源が作動された場合に測定された第1の信号光強度と光源が作動させられなかった場合に測定された第2の信号光強度とに基づいてもよい。また、第2の信号光強度は、試験結果を計算するために第1の信号光強度から除去されてもよい。照射される試験試料を試料面が保持しない場合、測定された信号光強度は、試料面のバックグラウンド信号に関連づけられてもよい。試料面のバックグラウンド信号に関連づけられた、測定された信号光強度は、分析物、分析物関連パラメータ、又は試験結果を計算するための試験試料の分析物関連パラメータに関連づけられた、測定された信号光強度又は信号光強度から除去されてもよい。限定的ではない例として、信号光強度は、検出器が1つ以上のフォトダイオード、フォトASIC、又は光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)である場合には「光電流(A)」で測定され表現されてもよく、検出器が相補型金属酸化膜半導体(CMOS)である場合には「電位」(V)で測定され表現されてもよく、又は検出器が電荷結合素子(CCD)である場合には「電荷(C)」若しくは「光電流(A)」で測定され表現されてもよい。さらに、信号光強度は、試料面から発せられる光強度の任意の単位によって表わされてもよい。例えば、測定された光電流(A)又は「電位」(V)は、アナログ・デジタル変換器を用いて「カウント」又は他の任意の数値で変換され表現されてもよく、ここで、カウント又は数値は、使用される検出器に応じたパワー又はエネルギーのいずれかを表してもよい。
【0032】
一実施形態において、光源は、試料面上に配置され、頂部から試料面の試料ホルダに向けて光を発するように構成される。基準光センサは、試料ホルダの近くに隣接して配置される。そして、検出器は、試料面の上方に配置され、試料ホルダから発せられた光の信号光強度を頂部から測定するように構成される。検出ユニットが撮像システムに関する場合、このような設定は有用になり得る。
【0033】
別の実施形態において、試料面は、光源と検出器との間に配置される。光源は、試料面の試料ホルダに向けて光を発するように構成され、検出器は、試料面の試料ホルダから発せられた光の信号光強度を測定するように構成される。そして、基準光センサは、試料ホルダの近くに隣接して配置される。このような設定において、試料ホルダの底部又は側壁は、孔、スリット、又は透明領域を備えてもよく、その結果、光源から試料面に向けて発せられた光の一部は、分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質によって吸収され、光の非吸収部分は、孔、スリット、又は透明部分を通過することができ、その後、検出器によって検出される。検出ユニットが光度計に関する場合、このような設定は有用になり得る。
【0034】
別の実施形態において、検出ユニットは、光源から発せられた光の励起波長を選択するための1つ以上の励起フィルタを備えてもよい。例えば、このような励起フィルタは、蛍光イメージング又は分光応用の分野において周知である。励起フィルタは、ショートパスフィルタ又は帯域通過フィルタであってもよい。これらのフィルタのバリエーションは、ノッチフィルタ又はディープブロッキングフィルタの形式で存在する。励起フィルタの他の形式は、モノクロメータの使用、狭窄スリットに結合されたウェッジプリズム、及びホログラフィック回折格子の使用などを含む。励起フィルタは、試料面に向けて光源から発せられた光のビーム内の光源と試料面との間に配置されてもよい。検出ユニットは、試料面から発せられた光の発光波長を選択するための発光フィルタをさらに備えてもよい。
【0035】
さらなる実施形態において、検出ユニットは、試料面に向けて光源から発せられた光及び/又は試料面から検出器に向けて試料面から発せられた光を集束及び/又は分散させるための1つ以上の光学用レンズを備えてもよい。
【0036】
検査室用機器は、例えば、試験試料又は試料容器を仕分するための仕分装置、試料容器上でキャップ又はクロージャを取り外すためのキャップ取外装置、試料容器上でキャップ又はクロージャを取り付けるためのキャップ取付装置、試料容器上でキャップ又はクロージャを取り外す/取り付けるためのキャップ取外/取付装置、試験試料及び/又は試験試薬をピペットで取るためのピペット装置、試験試料及び/又は試験試薬を等分するための等分装置、試験試料及び/又は試験試薬を遠心分離するための遠心分離装置、試験試料及び/又は試験試薬を加熱するための加熱装置、試験試料及び/又は試験試薬を冷却するための冷却装置、試験試料及び/又は試験試薬を混合するための混合装置、試験試料の分析物を分離するための分離装置、試験試料及び/又は試験試薬を保存するための保存装置、試験試料及び/又は試験試薬をアーカイブに保管するためのアーカイブ保管装置、試料容器タイプを判定するための試料容器タイプ判定装置、試験試料品質を判定するための試験試料品質判定装置、試料容器を識別するための試料容器識別装置のグループから少なくとも1つの装置をさらに備えてもよい。検査室用機器のこのような装置は、当該技術分野において周知である。
【0037】
検査室用機器は、制御装置をさらに備える。本明細書で用いられる用語「制御装置(control device)」は、試験試料処理ステップ及び試験試料解析ステップが検査室用機器によって行われるように検査室用機器を制御するように構成されたプロセッサを備える任意の物理的又は仮想的処理装置を包含する。制御装置は、ある試験試料によりどのステップを実行する必要があるかに関する情報をデータ管理装置から受信することができる。制御装置のプロセッサは、例えば、検査室用機器の動作を実行するための命令を備えたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行するように構成されたプログラム可能なロジック制御装置として具体化されてもよい。1つの動作は、初期光強度、信号光強度、及び対応する基準光強度を測定するように検査室用機器の検出ユニットを制御することである。別の動作は、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法を行うことである。
【0038】
本方法の一実施形態において、光源の基本光強度は、光源試験システムの較正された光センサによって測定され、光源試験システムは、検査室用機器から分離されている。そして、本方法のステップ(a)において、制御装置は、光源が初めて検出ユニット内に取り付けられる時に、光源の基本光強度を受け入れる。
【0039】
本明細書で用いられる場合、用語「光源試験システム(light source test-system)」は、光源が光源試験システムから空間的に分離された検査室用機器の検出ユニット内に取り付けられる前に、新たに製造された光源の基本光強度を測定するためのシステムに関する。光源試験システムは、光出力(ワット)又は放射照度(ワット/平方メートル)として表現され得る新規の光源の絶対基本光強度を判定するための較正された光センサを備える。このような較正された光センサは、当該技術分野において周知である。限定的ではない例として、較正された光センサは、光源試験システムのオペレータによって定期的に較正される単数若しくは複数のフォトダイオードであってもよい。光源試験システムは、試験ユニットと、さらなる制御装置とをさらに備えてもよい。試験ユニットは、試験される光源を取り付けることためのさらなる光源ホルダと、較正された光センサを備える測定面とを備えてもよい。光源を試験ユニットに取り付けた後、光源は、較正された光センサを備える測定面に向けて光を発するように構成される。較正された光センサは、製造後の初回に光源を作動させた後に測定面に向けて発せられた光の基本光強度を測定する。その後、測定された基本光強度は、光源試験システムのさらなる制御装置に送信され、さらなる制御装置のメモリ内に格納されてもよい。
【0040】
光源が検査室用機器の検出ユニット内に初めて取り付けられる時に、検査室用機器の制御装置が光源試験システムから基本光強度を受け入れることができる複数の異なる方法がある。
【0041】
本方法の一実施形態では、ステップ(a)において、制御装置は、光源試験システムから制御装置に対して基本光強度を送信することによって、又は光源の基本光強度が光源試験システムによって光源上に取り付けられたメモリに格納された後に前記メモリから光源の基本光強度を読み出すことによって、光源試験システムから基本光強度を受信する。
【0042】
一実施形態において、検査室用機器の制御装置と光源試験システムのさらなる制御装置とは、互いに通信的に接続されてもよい。例えば、基本光強度は、光源試験システムから検査室用機器に対してインターネット系データ伝送チャンネルを介して送信されてもよい。光源試験システムは、対応する基本光強度を世界中に提供するために複数の検査室用機器に対して接続されてもよい。さらに、送信された基本光強度は、検査室用機器内に取り付けられたある光源に対して正しい基本光強度を割り当てることができるように、特定のシリアル番号又は光源の他の固有の識別手段に関連づけられてもよい。
【0043】
別の実施形態において、光源試験システムは、さらなる制御装置に対して接続され、光源上に取り付けられたメモリに基本光強度を格納するように構成された、プログラミング装置又は書き込み装置をさらに備えてもよい。そして、検査室用機器は、制御装置に対して接続され、光源上に取り付けられたメモリに格納された基本光強度を読み出すように構成された読み出し装置をさらに備えてもよい。光源が検査室用機器の検出ユニット内に初めて取り付けられるとき、制御装置に対して接続された読み出し装置は、光源上に取り付けられたメモリから光源の基本光強度を読み出している。
【0044】
より具体的な実施形態において、光源は、プリント回路基板上に取り付けられた少なくとも1つの発光ダイオードを備え、メモリは、プリント回路基板上に取り付けられた電気的消去可能PROM(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)である。基本光強度は、光源試験システムのさらなる制御装置に対して接続されたEEPROM書き込み装置又はプログラミング装置を用いてEEPROMに格納され、検査室用機器の制御装置に対して接続されたEEPROM読み出し装置によって読み出される。
【0045】
別の特定の実施形態において、メモリは、光源上に取り付けられた無線ICタグ(RFIDタグ)であってもよい。基本光強度は、光源試験システムのさらなる制御装置に対して接続されたRFID書き込み装置を用いてRFIDタグに格納され、検査室用機器の制御装置に対して接続されたRFID読み出し装置によって読み出される。
【0046】
一実施形態において、光源試験システムのさらなる制御装置は、測定された基本光強度を表示するように構成されたユーザインタフェースをさらに備えてもよい。表示された基本光強度は、サービス技術者によって検査室用機器の制御装置のユーザインタフェースにて手作業で、記録/印刷し、その後、入力することができる。代替的に、基本光強度は、さらなる制御装置及び制御装置と互換性のあるモバイルメモリ装置に格納することができる。そして、モバイルメモリ装置は、光源試験システムから検査室用機器に対して搬送することができる。
【0047】
一実施形態において、本方法のステップ(a)のタイミングは、ステップ(b)及び(c)を備えるステップシーケンスのタイミングとは無関係であってもよい。ステップ(a)は、ステップ(b)及び(c)を備えるステップシーケンスの前、後、又は同時に実行されてもよい。そのため、制御装置は、光源が初めて検出ユニット内で作動される又は電源をオンにされて、最初の光感度が基準光センサによって測定されるときの前、後、又は同時に、光源試験システムから基本光強度を受信してもよい。例えば、光源は、検査室用機器の検出ユニットの光源ホルダ内に取り付けられてもよい。その後、基本光強度は、光源上に取り付けられたメモリから読み出される。続いて、光源は、検査室用機器の検出ユニット内で初めて作動されるか又は電源をオンにされ、基準光センサは、初期光強度を測定する。別の例において、光源は、検査室用機器の検出ユニットの光源ホルダ内に取り付けられてもよい。その後、光源は、検査室用機器の検出ユニット内で初めて作動されるか又は電源をオンにされ、基準光センサは、初期光強度を測定する。そして、同時に、基本光強度は、光源試験システムのさらなる制御装置から検査室用機器の制御装置に対してインターネット系データ伝送チャンネルを介して送信される。基準光センサの感度を計算することができるように、制御装置は、ステップ(d)の前に、基本光強度及び測定された初期光強度を受信する必要がある。
【0048】
一実施形態において、基準光センサの感度は、次式のように、光源の基本光強度によって除算された、測定された初期光強度である。
【数1】
【0049】
そのため、測定された相対光強度(初期光強度)を測定された絶対的光感度(基本光強度)に関連づけることによって、基準光センサの感度が判定され、その感度を考慮した基準光センサによる基準光強度の事後測定は、測定された信号光強度を補正するために用いることができ、それに基づいて、絶対的又は定量的な同程度の試験結果を計算することができる。基準光センサの感度が計算又は判定されると直ちに、それは制御装置のメモリに格納されてもよく、光源は、動作を停止されてもよい。
【0050】
基準センサの感度を判定した後に、試験試料を含む試料容器は、試料面の試料ホルダ内に挿入されてもよく、光源は、再び作動されてもよい。検出ユニットの検出器によって測定された試料面から発せられた光の信号光強度と、基準光センサによって測定された対応する基準光強度とは、同時に取得されて、制御装置に対して送信されてもよい。測定された基準光強度と基準光センサの計算された感度とに基づき、測定された信号光強度を補正することができる。一実施形態において、補正する信号光強度は、次式のように、対応する測定された基準光強度によって除算し、基準光センサの計算された感度を乗算した、測定された信号光強度である。
【数2】
ここで
【数3】
【0051】
ここで補正された信号光強度は、同じタイプの他の検査室用機器の補正された信号光強度から導き出された定量試験結果と同程度の定量試験結果を計算するために用いることができる。
【0052】
一実施形態において、補正された信号光強度が、人間が読み取り可能であるか又は測定された信号光強度とより同程度になるように、次式のように、補正された信号光強度に換算係数をさらに乗算してもよい。
【数4】
【0053】
較正された光センサ、基準光センサ、及び検出器が、異なる単位及び/又は測定スケールで、基本光強度、初期光強度、基準光強度、及び信号光強度を測る場合、これは有利になり得る。
【0054】
例:
・光源試験システムの較正された光センサのスケール:1~500mW
・測定された基本光強度:450mW
・検査室用機器の基準光センサの測定スケール:1~65535カウント
・測定された初期光強度:19500カウント
・測定された基準光強度:19000カウント
・検査室用機器の検出器の測定スケール:1~300mW
・測定された信号光強度:200mW
・スケールファクタ:500mW
【0055】
上記の基本光強度、初期光強度、基準光強度、信号光強度、及びスケールファクタに基づいて、補正された信号光強度を以下の通りに計算することができる。
【数5】
補正された信号光強度は、測定された信号光強度と容易に比較することができる。さらに、測定された信号光強度と補正された光強度との間の差を、光源をモニタリングするために、経時的にプロットしてもよい。このような情報は、保守活動を開始するために用いられてもよい。例えば、測定された信号光強度と補正された光強度との間の差が、既定の閾値を越える場合、光源の交換又はメンテナンスを作動させてもよい。
【0056】
一実施形態において、基本光強度は、基本光強度最小許容値に関連づけられる。本明細書で用いられる場合、用語「基本光強度最小許容値(basic light intensity minimum acceptance value)」は、光源の動作をモニタリングするための既定の閾値に関する。この閾値がアンダーカットされない限り、光源は、信頼性のある試験結果を計算することができる信号光強度を生成するために充分な光を試料面に向けて発する。基本光強度最小許容値は、光源試験システムにおいて新たに製造された光源の基本光強度を測定した後に定義されてもよい。新たに製造された各光源に対して、その対応する基本光強度最小許容値が判定されてもよい。そのため、基本光強度最小許容値は、測定された基本光強度に依存され得る。
【0057】
さらなる実施形態において、制御装置は、本方法のステップ(a)において基本光強度最小許容値を受信し、少なくとも1つの測定された基準光強度及び基準光センサの感度に基づいて少なくとも1つの比較値を計算する。その後、制御装置は、基本光強度最小許容値を少なくとも1つの比較値と比較する。制御装置は、ユーザインタフェースをさらに備える。少なくとも1つの比較値が基本光強度最小許容値よりも小さい場合、警告メッセージ、エラーメッセージ、又は光源を交換する必要があることを示すユーザ通知がユーザインタフェース上に表示される。警告メッセージは、現在取り付けられている光源では信頼性のある試験結果を計算することができない、ということを示す試験結果フラグのような通知又は表示を備えてもよい。エラーメッセージは、現在取り付けられている光源では信頼性のある信号光強度を測定することができないので、従って、さらなる信号光強度測定を阻止するために、光源が自動的に動作を停止された、ということを示す通知を備えてもよい。ユーザ通知は、光源を交換する必要があるということを示してもよく、光源識別情報(例えばシリアル番号)、動作時間、実行された臨床試験の数、基本光強度、基本光強度最小許容値、初期光強度、対応する基準センサの感度、最後に測定された1つ又は複数の基準光強度、及び光源を交換するための指示などの付加的情報を備えてもよい。
【0058】
一実施形態において、基本光強度最小許容値及び基本光強度は、光源試験システムから検査室用機器の制御装置に、一緒に又は互いに独立して、転送されてもよい。例えば、制御装置は、光源試験システムから制御装置に対して基本光強度最小許容値を送信することによって、又は光源の基本光強度最小許容値が光源試験システムによって光源上に取り付けられたメモリに格納された後に前記メモリから光源の基本光強度最小許容値を読み出すことによって、光源試験システムから基本光強度最小許容値を受信しても良い。
【0059】
一実施形態において、基本光強度最小許容値は、光源試験システムから検査室用機器に対してインターネット系データ伝送チャンネルを介して送信されてもよい。光源試験システムは、対応する基本光強度最小許容値を世界中に提供するために複数の検査室用機器に対して接続されてもよい。加えて、送信された基本光強度最小許容値は、検査室用機器に取り付けられたある光源に対して正しい基本光強度最小許容値を割り当てることができるように、特定のシリアル番号又は光源の他の固有の識別手段に関連づけられてもよい。
【0060】
別の実施形態において、基本光強度最小許容値は、光源上に取り付けられたメモリに格納され、制御装置は、光源上に取り付けられたメモリから基本光強度最小許容値を読み出すことによって、基本光強度最小許容値を受信する。光源試験システムは、さらなる制御装置に対して接続され、光源上に取り付けられたメモリに基本光強度最小許容値を格納するように構成された、プログラミング装置又は書き込み装置をさらに備えてもよい。検査室用機器は、さらなる制御装置に対して接続され、光源上に取り付けられたメモリに格納された基本光強度最小許容値を読み出すように構成された読み出し装置をさらに備えてもよい。光源が検査室用機器の検出ユニット内に初めて取り付けられるとき、制御装置に対して接続された読み出し装置は、光源上に取り付けられたメモリから光源の基本光強度最小許容値を読み出してもよい。
【0061】
より具体的な実施形態において、光源は、プリント回路基板上に取り付けられた少なくとも1つの発光ダイオードを備え、メモリは、プリント回路基板上に取り付けられた電気的消去可能PROM(EEPROM)である。基本光強度最小許容値は、光源試験システムのさらなる制御装置に対して接続されたEEPROM書き込み装置又はプログラミング装置を用いてEEPROMに格納され、検査室用機器の制御装置に対して接続されたEEPROM読み出し装置によって読み出されてもよい。
【0062】
別の特定の実施形態において、メモリは、光源上に取り付けられた無線ICタグ(RFIDタグ)である。基本光強度最小許容値は、光源試験システムのさらなる制御装置に対して接続されたRFID書き込み装置を用いてRFIDタグに格納され、検査室用機器の制御装置に対して接続されたRFID読み出し装置によって読み出される。
【0063】
代替の実施形態において、基本光強度最小許容値は、検査室用機器の制御装置のユーザインタフェースにてサービス技術者によって手作業で入力されてもよい。代替的に、基本光強度最小許容値は、さらなる制御装置及び制御装置と互換性のあるモバイルメモリ装置に格納することができる。そして、モバイルメモリ装置は、光源試験システムから検査室用機器に対して搬送することができる。
【0064】
さらなる実施形態において、さらなるメモリが光源上に取り付けられ、基本光強度最小許容値は、光源上に取り付けられたさらなるメモリに格納され、制御装置は、光源上に取り付けられたさらなるメモリから基本光強度最小許容値を読み出すことによって、基本光強度最小許容値を受信する。
【0065】
本明細書で用いられる場合、用語「比較値」は、光源の動作をモニタリングするための光源の計算された実際の強度に関する。この比較値が基本光強度最小許容を上回らない限り、光源は、信頼性のある試験結果を計算することができる信号光強度を生成するために充分な光を試料面に向けて発する。
【0066】
一実施形態において、少なくとも1つの比較値は、次式のように、基準光センサの感度によって除算された少なくとも1つの測定された基準光強度である。
【数6】
ここで、
【数7】
【0067】
光源の動作をモニタリングするために、制御装置は、定期的に(例えば、既定の期間後の既定の数の基準光強度測定後、又は既定の数の実行された臨床試験後に)比較値を計算し、基本光強度最小許容値を計算された比較値と比較する。基本光強度最小許容値よりも小さい比較値は、信頼性のある試験結果を計算することができる信号光強度を生成するために充分な光を光源が試料面に向けて発しないことを示す。光源はメンテナンス又は交換される必要があり、そして、警告メッセージ、エラーメッセージ、又は光源を交換する必要があることを示すユーザ通知が検査室用機器の制御装置のユーザインタフェース上に表示される。
【0068】
例:
・測定された基本光強度:450mW
・基本光強度最小許容値:400mW
・測定された初期光強度:19500カウント
・測定された基準光強度:16000カウント
上記の基本光強度、初期光強度、及び基準光強度に基づいて、比較値を以下の通り計算することができる。
【数8】
計算された比較値(369.2mW)が基本光強度最小許容値(450mW)よりも小さいなら、光源をメンテナンスするか交換する必要がある。このようにして、光源の動作も、また、上記のように測定された信号光強度を伴わないでモニタリングされてもよい。
【0069】
一実施形態において、検出ユニットは、光源と光基準センサとの間に配置された少なくとも1つの励起フィルタを備え、光源試験システムは、光源試験システムの光源と較正された光センサとの間に配置された少なくとも1つの均等励起フィルタ(equal excitation filter)を備える。そして、各励起フィルタに対して、本方法のステップ(a)~(f)が行われる。
【0070】
検査室用機器の検出ユニットの用途に応じて、検出ユニットは、試料面に向けて光源から発せられた光の励起波長を選択するための1つ以上の励起フィルタを備えてもよい。基本光強度、初期光強度、基準光強度、及び信号光強度は、使用される励起フィルタに依存するので、信頼性のある試験結果を生成するために、各励起フィルタに対して、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法を実行する必要がある。従って、光源試験システムは、均等励起フィルタを備え、検査室用機器の検出ユニット内の用いられるような励起フィルタ毎に同じ公称電流を用いて、各均等励起フィルタ毎に基本光強度を測定し、ここで、光源試験システムの均等励起フィルタは、検査室用機器の検出ユニット内にも存在する同じタイプの励起フィルタに対応する。
【0071】
基本光強度、初期光強度、基準光強度、及び信号光強度は、使用される光学用レンズ(例えば、処理面をもつレンズ)にも依存するので、信頼性のある信号光強度を生成するために、検査室用機器内の各光学用レンズに対して、検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法を実行する必要がある。従って、光源試験システムは、均等光学用レンズを備え、各々の均等光学用レンズの基本光強度を測定し、ここで、光源試験システムの均等光学用レンズは、検査室用機器の検出ユニット内にも存在する同じタイプの光学用レンズに対応する。
【0072】
より具体的な実施形態において、検査室用機器は、核酸増幅反応を行うように構成され、試験試料を含む少なくとも1つの試料容器は、試料面の試料ホルダ内に挿入される。核酸増幅反応中に試料面から発せられた信号光強度は、検出器によって測定され、試験試料内の対象の分析物の有無及び濃度を判定するために用いられる。
【0073】
本明細書で用いられる場合、用語「核酸増幅反応(nucleic acid amplification reaction)」は、ポリメラーゼとの温度依存性反応の反復サイクルを含む、標的DNAセグメント(分析物)の単一のコピー又はいくつかのコピーを検出可能な量のDNAセグメントのコピーに増幅するために、分子生物学で用いられる方法又は反応に関する。各サイクルは、少なくとも変性フェーズ(例えば、95℃で30秒間)、アニーリングフェーズ(例えば、65℃で30秒間)、及び伸長フェーズ(例えば、72℃で2分間)を備えてもよい。試料ホルダは、個別の過程の既定の温度まで試料ホルダを加熱及び/又は冷却するために熱電素子と熱接触してもよい。典型的には、核酸増幅反応は、20~40の反復サイクルから構成され、各サイクルの後に、試料面から発せられた光の信号光強度は、検出ユニットの検出器によって測定されてもよい。測定された信号光強度に基づいて、DNAセグメントの量を計算することができる。代替的に、核酸増幅反応が完了した後、試料面から発せられた光の信号光強度が、検出器によって測定される。測定された信号光強度に基づいて、標的DNAセグメントの有無を判定することができる。このような核酸増幅反応を行うための検査室用機器は、典型的には、サーモサイクラー機器と呼ばれ、当該技術分野において周知である。
【0074】
本発明は、また、検出ユニットと制御装置とを備える検査室用機器に関する。検出ユニットは、光源と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された試料ホルダを備える試料面と、基準光センサと、検出器とを備える。光源は、試料面に向けて光を発するように構成される。基準光センサは、試料ホルダに近接して配置されており、試料面に向けて発せられた光の初期光強度と試料面に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度とを測定するように構成される。検出器は、試料面から発せられた光の信号光強度を測定するように構成される。制御装置は、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップを実行するように構成される。
【0075】
本発明は、さらに、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップを、本明細書に記載されるような検査室用機器に実行させる命令を備えるコンピュータプログラム製品に関する。
【0076】
本発明は、また、本明細書に記載されるような検査室用機器内の検出ユニットの検出器によって測定された信号光強度を補正する方法のステップを、本明細書に記載されるような検査室用機器に実行させる命令を備えるコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ読み取り可能媒体に関する。
[図面の詳細な説明]
【0077】
図1は、検査室用機器(14)の概略図を示す。検査室用機器(14)は、検出ユニット(12)と制御装置(16)とを備える。検出ユニット(12)は、光源(20)と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器(23)を保持するように構成された試料ホルダ(24)を備える試料面(22)と、基準光センサ(26)と、検出器(10)とを備える。図1に示すように、光源(20)は、試料面(22)上方の光源ホルダ(15)内に取り付けられ、頂部から試料面(22)に向けて光(28)を発するように構成されてもよい。基準光センサ(26)は、試料ホルダ(24)の近くに隣接して配置される。例えば、試料面(22)は、基準光センサ(26)を、図1に表すような試料ホルダ(24)に隣接して取り付けることができる凹部を備える。従って、基準センサ(26)及び試料ホルダ(24)は、試料面(22)に向けて光源(20)から発せられた実質的に同じ光(28)に晒される。光源(20)検出ユニット(12)に取り付けて光源(20)を初めて作動させた後に、光基準センサ(26)(light reference sensor (26))は、試料面(22)に向けて発せられた光(28)の初期光強度を測定するように構成される。初期光強度の測定後、基準光センサ(26)は、検出器(10)が検査室用機器(14)の動作中に試料面(22)から発せられた光(30)の信号光強度を測定している時に、試料面(22)に向けて発せられた光(28)の少なくとも1つの基準光強度を測定するように構成される。示された実施形態において、検出器(10)は、試料面(22)の上方に配置されており、頂部から試料面(22)から発せられた光(30)の信号光強度を測定するように構成される。示された検出ユニット(12)は、試料面(22)に向けて光源(20)から発せられた光の(28)のビーム内の光源(20)と試料面(22)との間に配置された励起フィルタ(11)を備える。検出ユニット(12)は、検出器(10)に向けて試料面(22)から発せられた光の(30)のビーム内の試料面(22)と検出器(10)との間に配置された発光フィルタ(13)をさらに備える。検出ユニットは、少なくとも1つの試料容器(23)の最適な照射のために試料面に向けて光源から発せられた光を集束し、方向づけ、及び/又は分散させるための、及び/又は信号光強度の最適な測定のために検出器に向けて試料面から発せられた光を集束し、方向づけ、及び/又は分散させるための、光学用レンズ(図示せず)をさらに備えてもよい。制御装置(16)は、プロセッサ(17)と、図4にさらに記載されるような方法(42)のステップ(44、46、48、50、52、54)を検査室用機器(14)の制御装置(16)に実行させる命令を備えたコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ読み取り可能媒体(18)とを備える。制御装置(16)は、警告メッセージ、エラーメッセージなどのユーザ通知、又は光源(20)をメンテナンス又は交換する必要がある場合に光源を交換する必要があることを示すユーザ通知を表示することができるユーザインタフェース(19)をさらに備えてもよい。図1にさらに示すように、メモリ(21)は、光源(20)上に取り付けられる。光源(20)の基本光強度だけでなく、光源(20)の基本光強度最小許容値も、また、読み出し装置(27)によって読み出すことができるメモリ(21)に格納されてもよく、検査室用機器(14)の制御装置(16)に対して送信されてもよい。
【0078】
図2は、検査室用機器(14)の別の実施形態を表す。示された検査室用機器(14)は、検出ユニット(12)と制御装置(16)とを備える。検出ユニット(12)は、光源(20)と、照射される試験試料を含む少なくとも1つの試料容器(23)を保持するように構成された試料ホルダ(24)を備える試料面(22)と、基準光センサ(26)と、検出器(10)とを備える。示された実施形態において、試料面(22)は、光源(20)検出器(10)との間に配置される。光源(20)は、試料面(22)の試料ホルダ(24)に向けて光(28)を発するように構成された光源ホルダ(15)内に取り付けられる。検出器(10)は、試料面(22)の試料ホルダ(23)(sample holder (23))から発せられた光(30)の信号光強度を測定するように構成される。そして、基準光センサ(26)は、試料ホルダ(24)の近くに隣接して配置される。例えば、試料面(22)は、基準光センサ(26)を試料ホルダ(24)に隣接して取り付けることができる凹部を備える。従って、基準センサ(26)及び試料ホルダ(24)は、試料面(22)に向けて光源(20)から発せられた実質的に同じ光(28)に晒される。試料面(22)に向けて光源(20)から発せられた光の(28)の一部が、試験容器(23)(test vessel (23))内の分析物、分析物関連パラメータ又は、又は試験試料の分析物関連物質によって吸収されるように、底部又は試料ホルダ(24)の側壁は、孔、スリット又は透明領域(図示せず)を備えてもよい。光の(30)の非吸収部分は、孔、スリット、又は試料ホルダ(24)の透明領域を通過することによって検出器(10)に向けて試料面(22)から発せられてもよい。光源(20)検出ユニット(12)に取り付けて光源(20)を初めて作動させた後に、基準光センサ(26)は、試料面(22)に向けて発せられた光(28)の初期光強度を測定するように構成される。初期光強度の測定後、基準光センサ(26)は、検出器(10)が検査室用機器(14)の動作中に試料面(22)から発せられた光(30)の信号光強度を測定しているときに、試料面(22)に向けて発せられた光(28)の少なくとも1つの基準光強度を測定するように構成される。検査室用機器(14)の制御装置(16)は、プロセッサ(17)と、図4にさらに記載されるような方法(42)のステップ(44、46、48、50、52、54)を検査室用機器(10)(laboratory instrument (10))の制御装置(16)に実行させる命令を備えたコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ読み取り可能媒体(18)とを備える。制御装置(16)は、警告メッセージ、エラーメッセージなどのユーザ通知、又は光源を交換する必要があることを示すユーザ通知を表示することができるユーザインタフェース(19)をさらに備えてもよい。図2にさらに示すように、メモリ(21)は、光源(20)上に取り付けられる。光源(20)の基本光強度だけでなく、光源(20)の基本光強度最小許容値も、また、読み出し装置(27)によって読み出すことができるメモリ(21)に格納されてもよく、検査室用機器(14)の制御装置(16)に対して送信されてもよい。
【0079】
図3に、光源試験システム(32)の概略図が示される。光源試験システム(32)は、試験ユニット(31)と、さらなる制御装置(35)とを備えてもよい。試験ユニット(31)は、光源(20)を取り付けるためのさらなる光源ホルダ(40)と、較正された光センサ(34)を備える測定面(33)とを備えてもよい。光源(20)を試験ユニット(31)のさらなる光源ホルダ(40)内に取り付けた後に、光源(20)は、較正された光センサ(34)を備える測定面(33)に向けて光(29)を発するように構成され、ここで、較正された光センサ(34)は、測定面(33)に向けて光源(20)から発せられた光(29)の基本光強度を測定する。その後、測定された基本光強度は、光源試験システム(32)のさらなる制御装置(35)に対して送信され、さらなる制御装置(35)のメモリに格納される。図3に示すような、さらなる光源ホルダ(40)及び試験ユニット(31)の測定面(33)の設定は、図1に示すような光源ホルダ(15)及び検査室用機器(14)の検出ユニット(12)の試料面(22)の設定と比較して、実質的に同じである。例えば、さらなる光源ホルダ(40)と試験ユニット(31)の測定面(33)との間の距離、及び光源ホルダ(15)と検出ユニット(12)の試料面(22)との間の距離は、同じである。また、試験ユニット(31)の測定面(33)に向けて発せられた光(29)の入射角度と検出ユニット(12)の試料面(22)に向けて発せられた光(28)の入口角とは、同じである。さらに、試験ユニット(31)は、検査室用機器の検出ユニット内に存在する励起フィルタに対応する均等励起フィルタ(41)を備えてもよい。このように、図1に示すような検出ユニット(12)の励起フィルタ(11)と試験ユニット(31)の均等励起フィルタ(41)とは、同じタイプである。そして、発せられた光(29)が均等励起フィルタ(41)を通過した後、較正された光センサ(34)は、基本光強度を測定する。さらなる制御装置(35)は、さらなるプロセッサ(36)と、測定された光源(20)の基本光強度を測定、受信、格納、送信、又は表示する命令を備えるコンピュータプログラム製品を格納したさらなるコンピュータ読み取り可能な媒体(37)とを備える。制御装置(16)は、測定された基本光強度を表示することができるさらなるユーザインタフェース(39)をさらに備えてもよい。図3に示すように、光源試験システム(32)は、さらなる制御装置(35)に接続され、且つ光源(20)上に取り付けられたメモリ(21)の基本光強度及び/又は基本光強度最小許容値を格納するように構成されたプログラミング装置又は書き込み装置(38)を備えてもよい。
【0080】
図4は、検査室用機器(14)内の検出ユニット(12)の検出器(10)によって測定された信号光強度を補正するための方法(42)の実施形態のフローチャートを表す。図4に示すように、検査室用機器(10)の制御装置(16)は、以下の図5にさらに記載されるような方法のステップ(a)(44)において、光源(20)の基本光強度を受信する。その後、制御装置(16)は、本方法のステップ(b)(46)において、検出ユニット(12)内の光源(20)を作動させる。本方法のステップ(c)(48)において、基準光センサ(26)は、試料面(22)に向けて発せられた光(28)の初期光強度を測定し、制御装置(16)に対して測定された初期光強度を送信する。続いて、制御装置(16)は、ステップ(d)(50)において、測定された光源(20)の初期光強度及び基本光強度に基づいて基準光センサ(26)の感度を計算する。計算された感度は、制御装置(16)に格納されてもよい。基準光センサ(26)の感度を計算又は判定することによって、基準光センサ(26)は、ここで較正される。本方法のステップ(e)(52)において、検出器(10)は、試料面(22)から発せられた光(30)の少なくとも1つの信号光強度を測定し、制御装置(16)に対して少なくとも1つの測定された信号光強度を送信する。同時に、基準光センサ(26)は、試料面(22)に向けて発せられた光の少なくとも1つの基準光強度(28)を測定し、少なくとも1つの測定された基準光強度を制御装置(16)に送信する。その後、制御装置(16)は、本方法のステップ(f)(54)において、少なくとも1つの基準光強度及び基準光センサ(26)の計算された感度により、少なくとも1つの測定された信号光強度を補正する。一旦、基準光センサ(26)の感度がステップ(d)(50)において計算又は判定されると、ステップ(f)(54)からステップ(e)(52)は、さらなる試験試料の分析物、分析物関連パラメータ、又は分析物関連物質に関連づけられた信号光強度を測定及び補正するために、繰り返されてもよい。
【0081】
図5A図5Bは、本方法(42)のステップ(a)(44)の異なる実施形態を示す。本方法(42)のステップ(a)(44)において、検査室用機器(14)の制御装置(16)は、光源(20)の基本光強度を受信する。光源(20)の基本光強度は、検査室用機器(14)から分離された光源試験システム(32)の較正された光センサ(34)によって測定される。例えば、光源試験システム(32)が光源の製造施設(58)に配置される一方で、検査室用機器(14)は、診断検査室(56)内に配置されてもよい。検査室用機器(14)から局所的に分離される光源試験システム(32)から検査室用機器(14)の制御装置(16)が基本光強度を受信することができる異なる方法がある。
【0082】
図5Aは、光源(20)の基本光強度が光源試験システム(32)によって前記メモリ(21)に格納された後、光源(20)上に取り付けられたメモリ(21)から光源(20)の基本光強度を読み出すことによって制御装置(16)が光源試験システム(32)から基本光強度を受信する、本方法(42)のステップ(a)(44)の一実施形態を示す。図5Aに示すように、光源試験システム(32)の試験ユニット(31)は、光源試験システム(32)のさらなる制御装置(35)に対して接続され、且つ光源(20)上に取り付けられたメモリ(21)に基本光強度を格納するように構成されたプログラミング装置又は書き込み装置(38)を備えてもよい。その後、光源(20)及び取り付けられたメモリ(21)は、破線の矢印によって示されるように光源試験システム(32)から検査室用機器(14)に対して搬送され、検査室用機器(14)の検出ユニット(12)内に初めて取り付けられる。検査室用機器(14)の検出ユニット(12)は、制御装置(16)に対して接続され、且つ光源(20)上に取り付けられたメモリ(21)に格納された基本光強度を読み出すように構成された読み出し装置(27)を備えてもよい。
【0083】
図5Bは、光源試験システム(32)から制御装置(16)に対して基本光強度を送信することによって制御装置(16)が光源試験システム(32)から基本光強度を受信する、本方法(42)のステップ(a)(44)の代替の実施形態を示す。特定のシリアル番号を有する光源(20)は、破線の矢印によって示されるように光源試験システム(32)から検査室用機器(14)に対して搬送され、検査室用機器(14)の検出ユニット(12)内に初めて取り付けられる。図5Bに示すように、検査室用機器(14)の制御装置(16)及び光源試験システム(32)のさらなる制御装置(35)は、互いに通信的に接続される。そして、基本光強度は、光源試験システムから検査室用機器に対してインターネット系データ伝送チャンネル(60)を介して送信されてもよい。その後、正しい基本光強度が検査室用機器(14)の検出ユニット(12)内に取り付けられた光源(20)に割り当てられるように、検査室用機器(14)の制御装置(16)は、送信された基本光強度を光源の特定のシリアル番号に関連づけてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 検出器
11 励起フィルタ
12 検出ユニット
13 発光フィルタ
14 検査室用機器
15 光源ホルダ
16 制御装置
17 プロセッサ
18 コンピュータ読み取り可能媒体
19 ユーザインタフェース
20 光源
21 メモリ
22 試料面
23 試料容器
24 試料ホルダ
26 基準光センサ
27 読み出し装置
28 試料面に向けて発せられた光
29 測定面に向けて発せられた光
30 試料面から発せられた光
31 試験ユニット
32 光源試験システム
33 測定面
34 較正された光センサ
35 さらなる制御装置
36 さらなるプロセッサ
37 さらなるコンピュータ読み取り可能媒体
38 書き込み装置
39 さらなるユーザインタフェース
40 さらなる光源ホルダ
41 均等励起フィルタ
42 方法
44 本方法のステップ(a)
46 本方法のステップ(b)
48 本方法のステップ(c)
50 本方法のステップ(d)
52 本方法のステップ(e)
54 本方法のステップ(f)
56 診断検査室
58 光源製造施設
60 データ伝送チャンネル
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B