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<図1>
  • 特許-作業管理システム 図1
  • 特許-作業管理システム 図2
  • 特許-作業管理システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20231213BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231213BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G06Q10/06
G08B25/04 K
G08B21/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019151754
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021033552
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】熊野 由希美
(72)【発明者】
【氏名】滝井 康生
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525677(JP,A)
【文献】特開2010-218126(JP,A)
【文献】特開2017-194781(JP,A)
【文献】特表2019-517039(JP,A)
【文献】特開2019-021229(JP,A)
【文献】特開2000-351339(JP,A)
【文献】特開2019-036071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08B 25/04
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員の頭部に着用される着用物に対して取り付けられると共に、作業員の頭部方向に応じた信号を出力する方向センサと、前記着用物に対して取り付けられると共に、加速度に応じた信号を出力する加速度センサと、前記方向センサからの信号に応じた作業員の頭部方向に基づいて、作業員の作業内容が適切かを判断すると共に、前記方向センサからの信号に基づいて作業員が一定時間以上横になっているか、あるいは、前記加速度センサからの信号に基づいて作業員が一定時間以上停止状態になっていることが検出された場合、作業員が体調不良であると判断する判断手段と、前記判断手段による判断結果に基づいて警報を行う第1警報手段と、外部と通信を行う第1通信部と、を有した作業管理装置と、
作業員によって乗車される作業車両に搭載されると共に、前記第1通信部と通信を行う第2通信部と、警報を行う第2警報手段と、を有した車載器と、を備え、
前記作業管理装置は、
前記第1通信部と、前記車載器の前記第2通信部との通信確立によって作業員を作業車両の乗務員として認証する認証手段をさらに有し、
前記判断手段による判断結果及び前記認証手段による認証結果の情報を前記車載器に送信すると共に、且つ、前記判断手段による判断結果のうち作業員が体調不良であると判断された場合の判断結果については前記第1警報手段による警報と同時に送信する
ことを特徴とする作業管理システム
【請求項2】
前記着用物に対して取り付けられると共に、周囲温度に応じた信号を出力する温度センサをさらに備え、
前記判断手段は、前記温度センサからの信号に基づいて、作業員の体温が一定温度以上になっていることが検出された場合に、作業員に休憩が必要であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業管理システム
【請求項3】
前記判断手段は、前記認証手段による認証後に、前記方向センサからの信号に基づいて、乗務員による指差称呼に相当する頭部の動きが検出されなかった場合に、乗務員の指差称呼の作業が適切でないと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記判断手段は、前記方向センサからの信号と、前記車載器から送信される作業車両の運転情報とに基づいて、乗務員が所定時間以上正しい方向を視認していないことが検出された場合に、乗務員がわき見運転しており運転作業が適切でないと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者が着用するヘルメットにマイクを取り付け、音声信号を無線通信する技術が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-89061号公報
【文献】国際特許公開第2017/168465号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運輸・倉庫業界においては作業員による作業が適切に行われているかを確認することが好ましい。そこで、特許文献1,2に記載のように、作業員のヘルメットにマイクを取り付け音声信号に基づいて作業が適切に行われているかを確認する方法が考えられる。しかし、この方法では作業員が言葉を発しない限り作業が適切に行われているかを確認することができない。よって、音声によらず作業が適切に行われているかを判断することが望まれる。
【0005】
なお、この問題は、運輸・倉庫業界に限られるものではなく、工場や土木関係等の作業員についても共通する問題である。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、音声によらず作業が適切に行われているかを判断することができる作業管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業管理システムは、作業員の頭部に着用される着用物に対して取り付けられると共に、作業員の頭部方向に応じた信号を出力する方向センサと、前記着用物に対して取り付けられると共に、加速度に応じた信号を出力する加速度センサと、前記方向センサからの信号に応じた作業員の頭部方向に基づいて、作業員の作業内容が適切かを判断すると共に、前記方向センサからの信号に基づいて作業員が一定時間以上横になっているか、あるいは、前記加速度センサからの信号に基づいて作業員が一定時間以上停止状態になっていることが検出された場合、作業員が体調不良であると判断する判断手段と、前記判断手段による判断結果に基づいて警報を行う第1警報手段と、外部と通信を行う第1通信部と、を有した作業管理装置と、作業員によって乗車される作業車両に搭載されると共に、前記第1通信部と通信を行う第2通信部と、警報を行う第2警報手段と、を有した車載器と、を備え、前記作業管理装置は、前記第1通信部と、前記車載器の前記第2通信部との通信確立によって作業員を作業車両の乗務員として認証する認証手段をさらに有し、前記判断手段による判断結果及び前記認証手段による認証結果の情報を前記車載器に送信すると共に、且つ、前記判断手段による判断結果のうち作業員が体調不良であると判断された場合の判断結果については前記第1警報手段による警報と同時に送信する。
【0008】
この作業管理システムによれば、頭部に着用される着用物に頭部方向に応じた信号を出力する方向センサを有するため、作業員の頭部方向について検出することができ、作業員が作業を行うにあたり確認を行ったか等を判断することができる。従って、音声によらず作業が適切に行われているかを判断することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音声によらず作業が適切に行われているかを判断することができる作業管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る作業管理システムを示す概念図である。
図2図1に示したセンサボックス及び車載器の詳細を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る作業管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る作業管理システムを示す概念図である。図1に示す作業管理システム1は、音声によらず、センサボックス(作業管理装置)10内に搭載されるセンサからの信号に基づいて作業員による作業が適切に行われているか等を判断するものであって、上記したセンサボックス10に加えて、車載器20と、サーバ30と、事務所等のパーソナルコンピューター40(以下PC40と称する)とを備えている。
【0013】
図2は、図1に示したセンサボックス10及び車載器20の詳細を示すブロック図である。図2に示すセンサボックス10は、作業員の頭部に着用される着用物に対して取り付けられるものである。本実施形態において着用物はヘルメットである。なお、以下の説明において着用物はヘルメットであるものとして説明するが、これに限られるものではない。
【0014】
このようなセンサボックス10は、方向センサ11と、加速度センサ12と、温度センサ13と、制御部14と、警報部15と、通信部(第1通信部)16とを備えている。方向センサ11は、作業員の頭部方向に応じた信号を出力するものであって、例えば角速度を検出するジャイロセンサによって構成されている。加速度センサ12は、作業員の頭部に発生した加速度を検出するものである。温度センサ13は、作業員の頭部付近の温度(周囲温度)を検出するものである。
【0015】
なお、作業員の頭部方向が変化した場合には頭部の変化速度に応じた加速度が発生する。このため、加速度センサ12を方向センサ11として使用してもよい。また、ジャイロセンサ等と加速度センサ12との双方を方向センサ11として使用してもよい。
【0016】
制御部14は、センサボックス10の全体を制御するものである。制御部14は、判断部(判断手段)14aを備えている。判断部14aは、方向センサ11からの信号に応じた作業員の頭部方向に基づいて、作業員の作業内容が適切かを判断するものである。ここで、作業者が行う作業には指差呼称等の頭部の動きを伴う確認作業がある。判断部14aは、このような確認作業等に応じた作業員の頭部方向の変化に基づいて作業員の作業内容が適切かを判断することとなる。
【0017】
警報部15は、判断部14aにより作業員の作業内容が適切でないと判断された場合に、その旨を警報するものである。通信部16は、車載器20(外部の一例)と通信を行うものであり、通信アンテナや制御基板等を含んで構成されている。
【0018】
また、車載器20は、通信部(第2通信部)21と、制御部22と、情報取得部23と、警報部24とを備えている。通信部21は、センサボックス10と通信を行うものであり、通信アンテナや制御基板等を含んで構成されている。また、通信部21は、広域通信やインターネット網を介してサーバ30とも通信する。
【0019】
制御部22は、車載器20の全体を制御するものである。情報取得部23は、例えば作業車両側からのハンドル操作の情報や、GPS受信機からの位置情報や向き情報等を取得するものである。なお、情報取得部23は、センサボックス10内のセンサ11~13と同じものが設けられていてもよい。
【0020】
警報部24は、判断部14aにより作業員の作業内容が適切でないと判断された場合に、その旨を警報するものである。なお、本実施形態においてはセンサボックス10のみならず車載器20についても警報部24を備えているが、これに限らず、センサボックス10のみが備えていてもよいし、車載器20のみが備えていてもよい。
【0021】
ここで、本実施形態においてセンサボックス10と車載器20とは例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)による通信を行うようになっている。センサボックス10は、車載器20との通信を経て、作業員(作業車両に乗車する乗務員)による作業が適切かを判断すると共に、作業車両の乗務員であるかの認証についても行うようになっている。
【0022】
制御部14は、認証部(認証手段)14bを備えている。認証部14bは、センサボックス10の通信部16と、車載器20の通信部21との通信が確立した段階で作業員を作業車両の乗務員として認証するものである。ここで、通信確立時には、パスキー等のBLE番号が要求されてもよいし、適切な乗務員のヘルメットに搭載されるセンサボックス10と車載器20とについてはBLE番号が自動的に送受されて認証されるようになっていてもよい。
【0023】
なお、本実施形態においては認証部14bがセンサボックス10側に設けられているが、これに限らず、車載器20側に設けられていてもよい。さらには、両者を中継する機器を備える場合には、その中継機器に認証部14bが内蔵されていてもよい。
【0024】
さらに、判断部14aは、認証部14bによる認証後(例えば認証後の規定時間以内や認証後から作業車両の発進まで)に、方向センサ11からの信号に基づいて、乗務員の乗車時に行われる指差呼称の作業が適切であるかを判断する。ここで、認証後において乗務員は、作業車両を発進させるにあたり、指差呼称の作業を行う。判断部14aは、このような指差呼称の作業に応じた頭部の方向変化があったか否かを方向センサ11からの信号に基づいて判断する。
【0025】
さらに、判断部14aは、方向センサ11からの信号と、車載器20から送信される作業車両の運転情報とに基づいて、乗務員が所定時間以上正しい方向を視認していないことが検出された場合に、乗務員がわき見運転しており運転作業が適切でないと判断する。ここで、センサボックス10は、車載器20を通じて作業車両の進行方向の情報を取得する。例えば作業車両が直進していれば乗務員は前方を視認しているべきであり、右左折しているときには巻き込み方向を視認したり右左折方向を視認したりすべきである。このため、判断部14aは、方向センサ11からの信号と、車載器20から送信される作業車両の運転情報とに基づいて、乗務員がわき見運転しており運転作業が適切でないか否かを判断することとなる。なお、作業車両の運転情報は、情報取得部23によって取得されるハンドル操作の情報やGPS受信機による向きの情報が利用される。また、車載器20が方向センサ11を備える場合にはその情報が利用されてもよい。
【0026】
さらに、本実施形態においてセンサボックス10は、作業員の体調不良の判断や健康管理に資するようになっている。すなわち、判断部14aは、方向センサ11からの信号に基づいて作業員が一定時間以上横になっているか、あるいは、加速度センサ12からの信号に基づいて作業員が一定時間以上停止状態になっていることが検出された場合、また、判断部14aは、温度センサ13からの信号に基づいて作業員の体温が一定温度以上になっていることが検出された場合、作業員に休憩が必要であると判断する。また、警報部15は、判断部14aにより作業員が体調不良であると判断された場合や、作業員に休憩が必要であると判断された場合には、その旨を警報する。
【0027】
図1に示すサーバ30は、車載器20と通信するものであって、車載器20のデータを管理するものである。このサーバ30は、判断部14aによる判断結果(特に作業員の体調不良や休憩の要否)や認証部14bによる認証結果の情報についても受信する。
【0028】
PC40は、事務所内に備え付けられるものであって、サーバ30を通じて、例えば判断部14aによる判断結果(特に作業員の体調不良や休憩の要否)や認証部14bによる認証結果の情報を閲覧可能とされている。このため、管理者は、PC40を参照することで作業が適切に行われているかを監視することができる。また、管理者は、作業員の体調不良時の情報や休憩の要否の情報を参照することで、労働災害の防止につなげたり、作業員に休憩を促したりすることができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る作業管理システム1の動作を説明する。図3は、本実施形態に係る作業管理システム1の動作を示すフローチャートである。なお、図3に示す処理は、センサボックス10の制御部14によって実行される処理を示している。また、図3に示す処理においては作業車両のイグニッションスイッチがオンされているものとする。
【0030】
まず、図3に示すように、制御部14の認証部14bは乗務員を認証したかを判断する(S1)。乗務員が認証されていない場合(S1:NO)、例えば乗務員が認証されないまま、作業車両が発進したような場合、警報部15は認証がされていない旨の警報(認証警報)を行う(S2)。
【0031】
その後、制御部14は、車載器20からの信号に基づいて、作業車両のイグニッションスイッチがオフとなったかを判断する(S3)。イグニッションスイッチがオフとなっていない場合(S3:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、イグニッションスイッチがオフとなった場合(S3:YES)、処理はステップS13に移行する。
【0032】
乗務員が認証された場合(S1:YES)、判断部14aは、方向センサ11からの信号に基づいて指差呼称の作業が適切に行われたかを判断する(S4)。指差呼称の作業が適切に行われた場合(S4:YES)、処理はステップS6に移行する。一方、指差呼称の作業が適切に行われていない場合(S4:NO)、警報部15は指差呼称の作業が適切に行われていない旨の警報(指差呼称警報)を行う(S5)。その後、処理はステップS6に移行する。
【0033】
ステップS6において判断部14aは、方向センサ11からの信号及び車載器20からの運転情報に基づいて、運転作業が適切に行われているか(わき見運転していないか)を判断する(S6)。運転作業が適切に行われていない場合(S6:NO)、警報部15は運転作業が適切に行われていない旨の警報(わき見警報)を行う(S7)。その後、処理はステップS6に移行する。
【0034】
運転作業が適切に行われている場合(S6:YES)、判断部14aは、温度センサ13からの信号に基づいて、乗務員の体温が正常であるか、すなわち一定温度以上となっていないかを判断する(S8)。体温が正常でなく一定温度以上となっている場合(S8:NO)、警報部15は体温が一定以上となっている旨の警報(健康警報)を行う(S9)。その後、処理はステップS6に移行する。
【0035】
体温が正常であり一定温度以上となっていない場合(S8:YES)、判断部14aは、加速度センサ12からの信号に基づいて、乗務員が一定時間以上横になっているかを判断する(S10)。乗務員が一定時間以上横になっている場合(S10:YES)、警報部15は乗務員が一定時間以上横になっている旨の警報(緊急警報)を行う(S11)。その後、処理はステップS12に移行する。乗務員が一定時間以上横になっていない場合(S10:NO)、処理はステップS12に移行する。
【0036】
ステップS12において制御部14は、車載器20からの信号に基づいて、作業車両のイグニッションスイッチがオフとなったかを判断する(S12)。イグニッションスイッチがオフとなっていない場合(S12:NO)、処理はステップS6に移行する。一方、イグニッションスイッチがオフとなった場合(S12:YES)、処理はステップS13に移行する。
【0037】
ステップS13においてセンサボックス10は、判断部14aによる判断結果や認証部14bによる認証結果の情報を車載器20にデータ送信する(S13)。その後、図3に示す処理は終了する。なお、ステップS13の処理においては、認証、指差呼称及びわき見に関する情報を送信し、健康警報や緊急警報に関する情報はステップS13の処理を待つことなく、警報と同時に送信することが好ましい。これら2つについては緊急性を要することがあるためである。
【0038】
このようにして、本実施形態に係るセンサボックス10によれば、頭部に着用される着用物に頭部方向に応じた信号を出力する方向センサ11を有するため、作業員の頭部方向について検出することができ、作業員が作業を行うにあたり確認を行ったか等を判断することができる。従って、音声によらず作業が適切に行われているかを判断することができる。
【0039】
また、加速度センサ12からの信号に基づいて、作業員が一定時間以上横になっていることが検出された場合に、作業員が体調不良であると判断するため、作業員が倒れてしまった場合や体調が悪く一時的に横になった場合等において、この状況を判断でき、作業時における労働災害の防止に寄与することができる。
【0040】
また、温度センサ13からの信号に基づいて、作業員の体温が一定時間以上になっていることが検出された場合に、作業員に休憩が必要であると判断するため、例えば熱中症等の予防につなげることができ、作業員の健康管理につなげることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る作業管理システム1によれば、センサボックス10の通信部16と、車載器20の通信部21との通信確立によって作業員を作業車両の乗務員として認証するため、作業が適切に行われたか否かを判断するために必要となる着用物に取り付けられたセンサボックス10を利用して、作業員を乗務員として認証でき、乗務員カード等を不要としつつも不適切な人員による乗車防止につなげることができる。
【0042】
また、乗務員の認証後に、車両の乗務員による指差称呼に相当する頭部の動きが検出されなかった場合に、乗務員の指差称呼の作業が適切でないと判断する。このため、乗車時に行うべき指差称呼を判断して、指差称呼の作業について適切であるかを判断することができる。
【0043】
また、方向センサ11からの信号と、車載器20から送信される作業車両の運転情報とに基づいて、乗務員が所定時間以上正しい方向を視認していないことが検出された場合に、乗務員がわき見運転しており運転作業が適切でないことを判断することができる。
【0044】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0045】
例えば、本実施形態においてはヘルメットを着用物として説明したが、ヘルメットに限らず、溶接用の溶接眼鏡やガスマスク等であってもよい。さらに、着用物は、ヘルメット、溶接用の溶接眼鏡及びガスマスク等の作業時に作業者に使用がされるものであることが好ましいが、単に眼鏡や補聴器などのように個人的に用いられるものであってもよいし、作業時に新たに着用を義務付けたものであってもよい。
【0046】
また、本実施形態において図3に示した処理はセンサボックス10の制御部14が実行するものとして説明したが、これに限らず、一部が車載器20に実行されてもよいし、サーバ30に実行されてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態において判断部14aは、認証後に指差呼称の作業が適切に行われたかを判断すると共に、運転作業が適切に行われているかを判断しているが、これに限らず、頭部方向に基づいて適切か否かを判断できる他の作業に対して判断を行ってもよい。
【0048】
加えて、上記実施形態において判断部14aは、車載器20との通信が確立して乗務員が認証された後に、指差呼称作業が適切に行われているかを判断している。しかし、これに限らず、判断部14aは、車載器20との通信を経ることなく、例えばセンサボックス10に電源のオンオフボタン等があり、センサボックス10の電源がオンされてから規定時間以内に、指差呼称作業が適切に行われたか否かを判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 :作業管理システム
10 :センサボックス(作業管理装置)
11 :方向センサ
12 :加速度センサ
13 :温度センサ
14 :制御部
14a :判断部(判断手段)
14b :認証部(認証手段)
15 :警報部
16 :通信部(第1通信部)
20 :車載器
21 :通信部(第2通信部)
22 :制御部
23 :情報取得部
24 :警報部
30 :サーバ
40 :PC
図1
図2
図3