(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】液晶ドライバIC
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231213BHJP
G09G 3/04 20060101ALI20231213BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20231213BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231213BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/04 N
G09G3/04 S
G09G3/04 F
G09G3/34 J
G02F1/133 545
G01R31/28 V
(21)【出願番号】P 2019182025
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰伸
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066292(WO,A1)
【文献】特開2014-019300(JP,A)
【文献】特開平11-087774(JP,A)
【文献】特開平10-232642(JP,A)
【文献】特開2019-128536(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109791750(CN,A)
【文献】米国特許第05515390(US,A)
【文献】特開2008-152024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/04
G09G 3/34
G02F 1/133
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジック回路と、
前記ロジック回路の出力に応じたレベルの駆動制御信号を
液晶部に出力する出力部と、
前記駆動制御信号のレベルが前記ロジック回路の出力に応じたレベルになっていない場合にエラー出力を行うエラー判定部と、アドレス判定部と、を含む回路ブロックをk(kは2以上の自然数)個備え、
k個の前記エラー判定部の前記エラー出力に関する論理和であるエラー信号を生成するエラー信号生成部を備え
る液晶ドライバICであって、
前記アドレス判定部は、
前記液晶ドライバICの内部且つ前記回路ブロックの外部に配置されるアドレス発生器から供給される供給アドレスとk個の前記回路ブロックそれぞれで固有の固有アドレスとが一致するか否かを判定し、
前記エラー判定部は、同一の前記回路ブロック内の前記アドレス判定部によって前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しないと判定されれば、前記エラー出力をマスクする、液晶ドライバIC。
【請求項2】
前記ロジック回路の出力に応じたレベルが3値以上存在し、
前記エラー判定部におけるレベルの検出機能で検出可能なレベルが特定の2値に限られる、請求項1に記載の液晶ドライバIC。
【請求項3】
前記エラー信号生成部は、2入力のORゲートを(k-1)個備え、
(k-1)個の前記ORゲートが所定の直線方向に沿って並んで配置され、
(k-1)個の前記ORゲートそれぞれにおいて前記ORゲートの第1入力端子及び第2入力端子が前記所定の直線方向の一方側に配置され前記ORゲートの出力端子が前記所定の直線方向の他方側に配置され、
kは3以上であって、(k-1)個の前記ORゲートのうち最も前記所定の直線方向の他方側に配置される前記ORゲートを除く(k-2)個の前記ORゲートの出力端子はそれぞれ、
前記所定の直線方向の他方側に隣接する前記ORゲートの
第1入力端子に接続される、請求項1又は請求項2に記載の液晶ドライバIC。
【請求項4】
前記駆動制御信号のレベルが前記ロジック回路の出力に応じたレベルになっていない場合において前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致する前記回路ブロックの前記ロジック回路の出力は、
前記駆動制御信号のレベルが前記ロジック回路の出力に応じたレベルになっていない場合において前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しない前記回路ブロックの前記ロジック回路の出力と異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶ドライバIC。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶ドライバICと、
前記液晶部と、
前記液晶部に光を照射する光源と、
を備え、
前記液晶部が複数の液晶素子を備え、
前記液晶ドライバICが前記液晶素子を駆動する、液晶装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液晶ドライバICを備え、
前記光源が消灯している期間に、前記エラー判定部は、同一の前記回路ブロック内の前記アドレス判定部によって前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しないと判定されれば、前記エラー出力をマスクする、請求項5に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記光源が点灯している期間であれば、前記エラー判定部は、たとえ同一の前記回路ブロック内の前記アドレス判定部によって前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しないと判定されても、前記エラー出力をマスクしない、請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の液晶装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子を駆動する液晶ドライバIC(Integrated Circuit)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で提案されている表示ドライバICは、液晶素子を駆動する液晶ドライバICとして用いることができ、駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているか否かを判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/066292号(段落0043乃至段落0047及び段落0050乃至段落0053)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示されている表示ドライバICでは、いずれかの駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生している場合に、ショート故障が発生していることは判定できても、どの駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているかを特定することはできなかった。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、いずれかの駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生している場合に、どの駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているかを特定できる液晶ドライバICを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている液晶ドライバICは、ロジック回路と、前記ロジック回路の出力に応じたレベルの駆動制御信号を液晶部に出力する出力部と、前記駆動制御信号のレベルが前記ロジック回路の出力に応じたレベルになっていない場合にエラー出力を行うエラー判定部と、アドレス判定部と、を含む回路ブロックをk(kは2以上の自然数)個備え、k個の前記エラー判定部の前記エラー出力に関する論理和であるエラー信号を生成するエラー信号生成部を備える液晶ドライバICであって、前記アドレス判定部は、前記液晶ドライバICの内部且つ前記回路ブロックの外部に配置されるアドレス発生器から供給される供給アドレスとk個の前記回路ブロックそれぞれで固有の固有アドレスとが一致するか否かを判定し、前記エラー判定部は、同一の前記回路ブロック内の前記アドレス判定部によって前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しないと判定されれば、前記エラー出力をマスクする構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成の液晶ドライバICにおいて、前記ロジック回路の出力に応じたレベルが3値以上存在し、前記エラー判定部におけるレベルの検出機能で検出可能なレベルが特定の2値に限られる構成(第2の構成)にしてもよい。
【0008】
上記第1または第2の構成の液晶ドライバICにおいて、前記エラー信号生成部は、2入力のORゲートを(k-1)個備え、(k-1)個の前記ORゲートが所定の直線方向に沿って並んで配置され、(k-1)個の前記ORゲートそれぞれにおいて前記ORゲートの第1入力端子及び第2入力端子が前記所定の直線方向の一方側に配置され前記ORゲートの出力端子が前記所定の直線方向の他方側に配置され、kは3以上であって、(k-1)個の前記ORゲートのうち最も前記所定の直線方向の他方側に配置される前記ORゲートを除く(k-2)個の前記ORゲートの出力端子はそれぞれ、前記所定の直線方向の他方側に隣接する前記ORゲートの第1入力端子に接続される構成(第3の構成)にしてもよい。
【0009】
上記第1~第3いずれかの構成の液晶ドライバICにおいて、前記駆動制御信号のレベルが前記ロジック回路の出力に応じたレベルになっていない場合において前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致する前記回路ブロックの前記ロジック回路の出力は、前記駆動制御信号のレベルが前記ロジック回路の出力に応じたレベルになっていない場合において前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しない前記回路ブロックの前記ロジック回路の出力と異なる構成(第4の構成)にしてもよい。
【0010】
本明細書中に開示されている液晶装置は、上記第1~第4いずれかの構成の液晶ドライバICと、前記液晶部と、前記液晶部に光を照射する光源と、を備え、前記液晶部が複数の液晶素子を備え、前記液晶ドライバICが前記液晶素子を駆動する構成(第5の構成)である。
【0011】
上記第5の構成の液晶装置において、上記第4の構成の液晶ドライバICを備え、前記光源が消灯している期間に、前記エラー判定部は、同一の前記回路ブロック内の前記アドレス判定部によって前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しないと判定されれば、前記エラー出力をマスクする構成(第6の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第6の構成の液晶装置において、前記光源が点灯している期間であれば、前記エラー判定部は、たとえ同一の前記回路ブロック内の前記アドレス判定部によって前記供給アドレスと前記固有アドレスとが一致しないと判定されても、前記エラー出力をマスクしない構成(第7の構成)にしてもよい。
【0013】
本明細書中に開示されている車両は、上記第5~第7いずれかの構成の液晶装置を備える構成(第8の構成)である。
【発明の効果】
【0014】
本明細書中に開示されている液晶ドライバICによれば、いずれかの駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生している場合に、どの駆動制御信号の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているかを特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】液晶ドライバICの一構成例を示すブロック図
【
図3B】COMラインが1本である場合のCOMラインのパターン例を示す図
【
図9】アドレス発生器及び各回路ブロックのロジック回路を示す図
【
図12】第2判定回路のスキャンモード動作における走査信号及びデータ信号の一例を示す図
【
図13】全体エラー信号出力回路の一構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全体構成>
図1は、一実施例に係る液晶表示装置の概略上面図である。
図1に示す液晶表示装置は、ホスト機器であるMPU(Micro Processing Unit)100と、MPU100から表示データを受け取る液晶ドライバIC200と、液晶ドライバIC200から駆動制御信号(後述する走査信号COM0~COM3及びデータ信号SEG0~SEG9)を受け取る液晶表示パネル300と、バックライト(不図示)と、を有する。
【0017】
液晶表示パネル300は、ガラス基板上に形成される液晶部400を有する。液晶部400は、複数の液晶素子を有する。バックライト(不図示)は液晶部400に光を照射する。液晶ドライバIC200は、液晶表示パネル300のガラス基板上にCOG実装され、液晶部400の液晶素子に駆動制御信号を出力する。
【0018】
図2は、液晶ドライバIC200の一構成例を示すブロック図である。
【0019】
液晶ドライバIC200は、電源電圧端子T1に印加される電源電圧VDDとグランド電位端子T2に印加されるグランド電圧VSSとの差である内部電源電圧によって駆動する。パワーオンリセット回路1は、電源電圧端子T1に印加される電源電圧VDDが低下すると、液晶ドライバIC200全体の動作をリセットする。
【0020】
シリアルインターフェース2は、MPU100との間で例えばI2C等のシリアルバス通信を行う。シリアルインターフェース2は、ロジック回路であって、MPU100から送られてくるデータをレジスタに保持しながら、コマンドデータデコーダ3に出力する。
【0021】
コマンドデータデコーダ3は、コマンドレジスタ4に書き込まれているレジスタ値を参照して、シリアルインターフェース2から出力されるシリアルデータに含まれるコマンドをデコードする。
【0022】
シリアルインターフェース2から出力されるシリアルデータに含まれる表示データは、コマンドデータデコーダ3から表示データRAM(Random Access Memory)5に出力される。
【0023】
発振器6は、外部から供給される外部発振信号OSC又は発振器6自身の発振により生成される内部発振信号をCOMMONカウンタ7に出力する。
【0024】
COMMONカウンタ7は、発振器6から出力される外部発振信号OSC又は内部発振信号に基づいて走査期間を制御する。
【0025】
液晶電圧生成部8は、外部から供給される液晶駆動用の定電圧VLCDを分圧して、4値の電圧V1~V4を生成する。電圧V1>電圧V2>電圧V3>電圧V4であって、電圧V1は定電圧VLCDと同一値であり、電圧V4はグランド電圧VSSと同一値である。
【0026】
液晶バイアス選択部群9Gは、14個の液晶バイアス選択部を有する。各液晶バイアス選択部は、電圧V1~V4から選択した電圧をCOMMONドライバ又はSEGMENTドライバに供給する。
【0027】
COMMONドライバ群10Gは、4個のCOMMONドライバを有する。m(mは4以下の自然数)番目のCOMMONドライバは、m番目の液晶バイアス選択部の出力を用いて走査信号COM(m-1)を生成して液晶部400に出力する。SEGMENTドライバ群11Gは、10個のSEGMENTドライバを有する。n(nは10以下の自然数)番目のCOMMONドライバは、表示データ用RAM5から出力される表示データに基づいて、(n+4)番目の液晶バイアス選択部の出力を用いてデータ信号SEG(n-1)を生成して液晶部400に出力する。なお、本実施形態における走査信号の個数(=4個)及び本実施形態におけるデータ信号の個数(=10個)はあくまで一例であって、走査信号の個数及びデータ信号の個数は本実施形態に限定されるものではない。
【0028】
第1~第4判定回路21~24及び全体エラー信号出力回路25の詳細については後述する。
【0029】
図3Aは、COMラインのパターン例を示す図である。走査信号COM0~COM3がそれぞれ供給される4本のCOMラインが液晶部400において
図3Aに示すように配置されている。本実施形態とは異なり、COMラインを1本にする場合には、COMラインを液晶部400において例えば
図3Bに示すように配置すればよい。
【0030】
図4は、SEGラインのパターン例を示す図である。データ信号SEG0~SEG9がそれぞれ供給される10本のSEGラインが液晶部400において
図4に示すように配置されている。
【0031】
図3に示すCOMラインのパターン例及び
図4に示すSEGラインのパターン例によってセグメント表示が可能となり、例えば
図5に示すような表示が可能となる。
【0032】
<第1判定回路>
第1判定回路21は、複数のデータフリップフロップを有する構成であって、デジタル回路内のレジスタのレジスタ値に異常が発生しているか否かを判定する。なお、
図2に示す構成例においては、シリアルインターフェース2、コマンドデータデコーダ3、コマンドレジスタ4、表示データRAM5、及びCOMMONカウンタ7によってデジタル回路が構成されている。外来電気ノイズによってデジタル回路内のレジスタのレジスタ値に異常が発生する。したがって、外来電気ノイズの影響を受けやすい位置にデータフリップフロップを配置する。そして、第1判定回路21は、データフリップフロップに書き込んだ値(期待値)とデータフリップフロップから読み込んだ値とが不一致である場合に、デジタル回路内のレジスタのレジスタ値に異常が発生している蓋然性が高いので、デジタル回路内のレジスタのレジスタ値に異常が発生したと判定する。
【0033】
第1判定回路21は、データフリップフロップに書き込むデータの生成、及び、データフリップフロップに書き込んだ値(期待値)とデータフリップフロップから読み込んだ値との比較を行う。
【0034】
ここで、データフリップフロップに書き込まれる値は、書き込まれる前にデータフリップフロップに書き込まれていた値の反転値であることが望ましい。例えば、第1判定回路21が5個のデータフリップフロップそれぞれに書き込まれるデータを順番に生成する場合、最初に第1判定回路21によって生成されるデータが「10101」であれば、その後の比較の後に第1判定回路21によって生成されるデータを「01010」にすればよい。データフリップフロップに書き込まれる値が固定されていると、例えば破損したデータフリップフロップの出力がたまたまデータフリップフロップに書き込まれる値と一致し続けるというような不具合が生じ得るからである。
【0035】
図6は、データフリップフロップの配置例を示す図である。液晶ドライバIC200は平面視において矩形状であって、データフリップフロップFF1~FF4は液晶ドライバIC200の四隅に配置される。液晶ドライバIC200の四隅が外来電気ノイズの影響を最も受けやすい位置であると考えられるからである。
【0036】
また、電源電圧VDDの変動も外来電気ノイズとなり得る。電源電圧端子T1の接続される電源電圧配線パターンP1は、液晶ドライバIC200の外縁に沿ったガードリング部と、
図6中の上下方向に延びる線幅の太い第1直線部と、
図6中の左右方向に延びる線幅が第1直線部より細い第2直線部と、を有している。データフリップフロップFF5は、電源電圧配線パターンP1内で電源電圧端子T1に対して最もインピーダンスが大きくなる箇所PT1の近傍に配置される。最もインピーダンスが大きくなる箇所PT1は、電源電圧VDDの変動が最も大きくなり、電源電圧VDDの変動が最も外来電気ノイズになり易い場所であると考えられるからである。
【0037】
また、グランド電圧VSSの変動も電源電圧VDDの変動と同様に外来電気ノイズとなり得る。したがって、グランド電位端子T2に接続されるグランド電位配線パターンの内でグランド電位端子T2に対して最もインピーダンスが大きくなる箇所の近傍にデータフリップフロップを配置してもよい。
【0038】
なお、本実施形態と異なり、データフリップフロップは単数であってもよい。
【0039】
<第2判定回路>
図7は、第2判定回路22の一構成例を示す図である。液晶ドライバIC200は、走査信号COM3~COM0をそれぞれ生成する回路ブロックCB_COM3~CB_COM0及びデータ信号SEG0~SEG9をそれぞれ生成する回路ブロックCB_SEG0~CB_SEG9を備える。なお、
図7において、回路ブロックCB_COM0及びCB_SEG0~CB_SEG8は図示を省略している。
【0040】
各回路ブロックは基本的に同一の構成である。ただし、回路ブロックCB_COM3~CB_COM0はロジック回路33の出力に応じたレベルの走査信号を出力するCOMMONドライバ10を備えるのに対し、回路ブロックCB_SEG0~CB_SEG9はロジック回路33の出力に応じたレベルのデータ信号を出力するSEGMENTドライバを備える。SEGMENTドライバはCOMMONドライバ10と同様の構成である。各回路ブロックは、液晶バイアス選択部9と、COMMONドライバ10又はSEGMENTドライバと、レベルシフタ32と、ロジック回路33と、を備える。
【0041】
図7に示す構成例の第2判定回路22は、各回路ブロックのTTL(Transistor Transistor Logic)バッファ31、レベルシフタ32、ロジック回路33、及びレベルシフタ34と、各回路ブロックのロジック回路33から判定結果を受け取るORゲート35とによって構成される。なお、
図7に示す構成例では電源電圧VDDと定電圧VLCDとが互いに異なる値の電圧であることを前提にレベルシフタ32及び34が設けられているが、電源電圧VDDと定電圧VLCDとが同一値の電圧である場合にはレベルシフタ32及び34を設けない構成にしてもよい。
【0042】
ロジック回路33は、走査信号又はデータ信号を特定の2値(例えば電圧V1又は電圧V4)に制御しているときにだけ、TTLバッファ31をイネーブル状態にするイネーブル信号を出力する。ロジック回路33から出力されるイネーブル信号は、レベルシフタ34によってレベルシフトされた後、TTLバッファ31に供給される。TTLバッファ31の入力端は、走査信号又はデータ信号が出力される信号線に接続されている。TTLバッファ31から出力される信号は、レベルシフタ32によってレベルシフトされた後、ロジック回路33に供給される。
【0043】
ロジック回路33は、走査信号又はデータ信号を電圧V1に制御しているときにレベルシフタ32から電圧V1に対応する電圧が戻れば、走査信号又はデータ信号の出力に関連する回路(COMMONドライバ10又はSEGMENTドライバ)或いは信号ラインにショート故障が発生しておらず、走査信号又はデータ信号のレベルがロジック回路33の出力に応じたレベルになっていると判定する。同様に、ロジック回路33は、走査信号又はデータ信号を電圧V4に制御しているときにレベルシフタ32から電圧V4に対応する電圧が戻れば、走査信号又はデータ信号の出力に関連する回路(COMMONドライバ10又はSEGMENTドライバ)或いは信号ラインにショート故障が発生しておらず、走査信号又はデータ信号のレベルがロジック回路33の出力に応じたレベルになっていると判定する。ロジック回路33は、上記の判定結果として、異常が発生していると判定した場合にハイレベルの信号を出力し(エラー出力を行い)、異常が発生していないと判定した場合にローレベルの信号を出力する。
【0044】
ORゲート35は、各回路ブロックのロジック回路33から出力される判定結果の論理和を出力信号S2として全体エラー信号出力回路25(
図2参照)に出力する。
【0045】
図7に示す構成例の第2判定回路22は、4値の電圧V1~V4のうち特定の2値(例えば電圧V1又は電圧V4)のみを利用して判定を行っているため、4値の電圧V1~V4それぞれに対応するA/Dコンバータを設けることが不要な構成となり、小型化及び低コスト化を図ることができる。なお、液晶電圧生成部8(
図2参照)が生成する電圧は、4値の電圧V1~V4に限定されることはなく、2値以上の電圧であればよい。
【0046】
第2判定回路22内の配線の全長を短くする観点から、
図7に示す構成例よりも
図8に示す構成例の方が望ましい。
図8に示す構成例の第2判定回路22は、ORゲート35の代わりに13個のORゲート35_1~35_13を備える点で
図7に示す構成例の第2判定回路22と異なる。なお、
図7に示す構成例の第2判定回路22と比較して、
図8に示す構成例の第2判定回路22は、並走する配線を削減できるので、レイアウトを小さくできるという利点も有する。また、
図8に示す構成例の第2判定回路22では、回路ブロックCB_COM2及びORゲート35_1のレイアウトを、回路ブロックCB_COM1及びORゲート35_2のレイアウト、回路ブロックCB_COM0及びORゲート35_3のレイアウト、及び回路ブロックCB_SEGa及びORゲート35_(a+4)の各レイアウト(ただし、上記aは0以上9以下の整数)に転用できるので、レイアウトの設計が容易になる。
【0047】
ORゲート35_1は、回路ブロックCB_COM3のロジック回路33から出力される判定結果と、回路ブロックCB_COM2のロジック回路33から出力される判定結果との論理和を出力する。ORゲート35_2は、回路ブロックCB_COM1のロジック回路33から出力される判定結果と、ORゲート35_1の出力との論理和を出力する。ORゲート35_2と同様に、ORゲート35_3~35_12は、対応する回路ブロックのロジック回路33から出力される判定結果と、隣接するORゲートの出力との論理和を出力する。ORゲート35_13は、回路ブロックCB_SEG9のロジック回路33から出力される判定結果と、ORゲート35_12の出力との論理和を出力信号S2として全体エラー信号出力回路25(
図2参照)に出力する。
【0048】
ここで、例えば、各回路ブロックのロジック回路33から出力される判定結果それぞれをシリアルインターフェース2に送る構成にすれば、シリアルインターフェース2は、どの駆動制御信号(走査信号またはデータ信号)の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているかを把握することができる。しかしながら、そのような構成にした場合、余分な配線が必要となる。特に、
図8に示す構成例を採用する場合、第2判定回路22内の配線の全長を短くできるメリットよりも各回路ブロックのロジック回路33とシリアルインターフェース2とを繋ぐ配線の引き回しが繁雑になるデメリットの方が大きくなる。
【0049】
そこで、本実施形態では、各回路ブロックのロジック回路33内にアドレス判定回路を設けることで、いずれかの駆動制御信号(走査信号またはデータ信号)の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生している場合に、どの駆動制御信号(走査信号またはデータ信号)の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているかを特定できるようにしている。なお、本実施形態ではロジック回路33内にアドレス判定回路を設けているが、アドレス判定回路はロジック回路33の外部に設けてもよい。
【0050】
図9に示すように、シリアルインターフェース2内のアドレス発生器2Aは、各回路ブロックのロジック回路33にアドレスを供給する。例えば、アドレス発生器2Aは、発振器6によって生成される内部発振信号に基づいて、各回路ブロックのロジック回路33に供給するアドレス(以下、「供給アドレス」ともいう)の値を順次切り替える。
【0051】
図10は、ロジック回路33の一構成例を示す図である。ロジック回路33は、XORゲート33Aと、アドレス判定部33Bと、ANDゲート33Cと、を備える。
【0052】
XORゲート33Aは、ロジック回路33が走査信号又はデータ信号を電圧VAに制御しているときに、電圧VAとレベルシフタ32から戻ってくる電圧VBとの排他的論理和を生成してANDゲート33Cの第1入力端子に出力する。つまり、XORゲート33Aは、電圧VAと電圧VBが不一致であり異常が発生していると判定した場合にハイレベルの信号を出力し(エラー出力を行い)、電圧VAと電圧VBが一致しており異常が発生していないと判定した場合にローレベルの信号を出力する。
【0053】
アドレス判定部33Bは、供給アドレスA1と各回路ブロックで固有の固有アドレスA2とが一致するか否かを判定し、一致する場合にはハイレベルの信号をANDゲート33Cの第2入力端子に出力し、一致しない場合にはローレベルの信号をANDゲート33Cの第2入力端子に出力する。固有アドレスA2は例えばロジック回路33内の記憶部(不図示)に記憶させる。ロジック回路33内の記憶部(不図示)は揮発性でも不揮発性でもよい。ロジック回路33内の記憶部(不図示)が揮発性である場合、電源投入毎に例えばシリアルインターフェース2が固有アドレスA2をロジック回路33に付与すればよい。
【0054】
ANDゲート33Cは、XORゲート33Aの出力とアドレス判定部33Bの出力との論理積を出力する。ANDゲート33Cの出力は、例えば第2判定部が
図7に示す構成例であればORゲート35に供給され、例えば第2判定部が
図8に示す構成例であればORゲート35_1~35_13のいずれかに供給される。これにより、供給アドレスA1と固有アドレスA2とが不一致である場合には、エラー出力がマスクされる。
【0055】
その結果、供給アドレスA1と固有アドレスA2とが一致する回路ブロックのみの判定結果が出力信号S2に反映される。したがって、供給アドレスA1の値を順次切り替えながら出力信号S2を確認するだけで、いずれかの駆動制御信号(走査信号またはデータ信号)の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生している場合に、どの駆動制御信号(走査信号またはデータ信号)の出力に関連する回路或いは信号ラインにショート故障が発生しているかを特定できる。供給アドレスA1の値それぞれにおける出力信号S2のレベル、すなわち各回路ブロックの判定結果は、例えばシリアルインターフェース2内のレジスタ(不図示)に記憶させてもよく、また例えばシリアルインターフェース2内のレジスタ(不図示)を介さずに直接的にMPU100に送られてもよい。
【0056】
なお、エラー出力のマスクが不要な場合には、供給アドレスA1と固有アドレスA2とが一致しているか否かにかかわらず、アドレス判定部33Bがハイレベルの信号をANDゲート33Cの第2入力端子に供給するようにすればよい。
【0057】
次に、第2判定回路22の動作タイミングについて
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は動作シーケンスの一例を示す図である。
図12は第2判定回路22のスキャンモード動作における走査信号及びデータ信号の一例を示す図である。
【0058】
図11に示す動作シーケンスの一例では、
図1に示す液晶表示装置に電源が投入されると、まずタイミングt1において電源電圧VDDが立ち上がる。その後、タイミングt2においてMPU100からシリアルインターフェース2にスキャンモード設定に関する情報が送られる。スキャンモード設定に関する情報の送信が完了するタイミングt3において、定電圧VLCDが立ち上がるとともに、COMMONドライバ群10G及びSEGMENTドライバ群11Gがスキャンモード設定に基づきスキャンモード動作を開始する。
【0059】
スキャンモード動作では、
図12に示すように、走査信号COM3~COM0及びデータ信号SEG0~SEG9が順次1つだけハイレベルの電圧(例えば電圧V1)に制御され残りがローレベルの電圧(例えば電圧V4)に制御されるハイレベル電圧スキャン動作が第1期間P1において実行され、次に走査信号COM3~COM0及びデータ信号SEG0~SEG9が順次1つだけローレベルの電圧(例えば電圧V4)に制御され残りがハイレベルの電圧(例えば電圧V1)に制御されるローレベル電圧スキャン動作が第2期間P2において実行される。
【0060】
上記のスキャンモード動作により、第2判定回路22は、各回路ブロックにおける異常判定を他の回路ブロックの影響を受けることなく行うことができる。なお、上記のスキャンモード動作では液晶部400での表示がコンテンツの表示になっていないので、上記のスキャンモード動作が実行されている期間(タイミングt3からタイミングt4までの期間)は、液晶表示装置のバックライトを消灯させておくことが望ましい。
【0061】
スキャンモード動作が終了するタイミングt4の後、MPU100はシリアルインターフェース2のレジスタに記憶されている第2判定回路22の判定結果を読み出す。
【0062】
判定結果を読み出しが終了した後、MPU100からシリアルインターフェース2にノーマルモード設定に関する情報が送られ、COMMONドライバ群10G及びSEGMENTドライバ群11Gがノーマルモード設定に基づきノーマルモード動作(コンテンツ表示動作)を開始する。
【0063】
<第3判定回路>
MPU100は、シリアルバス通信によってシリアルインターフェース2に送信するデータにチェックサムを含めている。第3判定回路23は、チェックサムを用いて、MPU100からシリアルバス通信によってシリアルインターフェース2に送信されるデータに異常が発生しているか否かを判定する。
【0064】
<第4判定回路>
第4判定回路24は、パルス信号CHKOを出力する。パルス信号CHKOは、例えばハイレベルが電源電圧VDDの値と一致しローレベルがグランド電圧VSSの値と一致するパルス信号としてもよく、また例えばハイレベルが定電圧VLCDの値と一致しローレベルがグランド電圧VSSの値と一致するパルス信号としてもよい。パルス信号CHKOが出力される端子は、液晶表示パネル300のガラス基板に形成されている透明電極ラインの一端に接続されている。第4判定回路24は、透明電極ラインの他端に接続されている端子に入力されるパルス信号CHKIを用いて、液晶表示パネル300のガラス基板に破損が発生しているか否かを判定する。パルス信号CHKIのパルスに抜けが発生している場合、第4判定回路24は、液晶表示パネル300のガラス基板に破損が発生していると判定する。
【0065】
<全体エラー信号出力回路>
図13は、全体エラー信号出力回路25の一構成例を示す図である。全体エラー信号出力回路25は、OR回路36を有する。なお、
図13に示す構成例では、シリアルインターフェース2の一部も全体エラー信号出力回路25の一部として機能する。
【0066】
第1判定回路21は、異常が発生していると判定した場合に出力信号S1をハイレベルにし、異常が発生していないと判定した場合に出力信号S1をローレベルにする。第2判定回路22は、異常が発生していると判定した場合に出力信号S2をハイレベルにし、異常が発生していないと判定した場合に出力信号S2をローレベルにする。第3判定回路23は、異常が発生していると判定した場合に出力信号S3をハイレベルにし、異常が発生していないと判定した場合に出力信号S3をローレベルにする。第4判定回路24は、異常が発生していると判定した場合に出力信号S4をハイレベルにし、異常が発生していないと判定した場合に出力信号S4をローレベルにする。
【0067】
OR回路36は、第1~第4判定回路21~24の出力信号S1~S4を入力し、それらの論理和である全体エラー信号ERROUTをMPU100に出力する。全体エラー信号ERROUTは、液晶表示パネル300の画面表示異常をもたらす要因が発生しているか否かを知らせる信号であって、液晶表示パネル300の画面表示異常をもたらす要因が発生していると判定されたときにハイレベルになり、液晶表示パネル300の画面表示異常をもたらす要因が発生していないと判定されたときにローレベルになる。したがって、MPU100は、全体エラー信号ERROUTがハイレベルである場合に異常が発生していることを認識することができる。これにより、MPU100は、異常発生時に例えば表示データの出力停止や異常報知などの対応をとることができる。OR回路36は、上述した通り、第1~第4判定回路21~24の少なくとも一つにおいて異常が発生していると判定された場合に、液晶表示パネル300の画面表示異常をもたらす要因が発生していることをMPU100に知らせるために設けられている。したがって、OR回路36と異なる回路構成であってOR回路36と同様の役割を果たす回路をOR回路36の代わりに設けてもよい。また、第1~第4判定回路21~24の判定機能はそれぞれレジスタ設定によりON/OFFの切り替えが可能であることが望ましい。判定機能がOFFであるときには、例えば、判定回路は、判定を実施せずに、異常が発生していないと判定したことを示す出力信号を出力すればよい。
【0068】
全体エラー信号出力回路25は、第1~第4判定回路21~24の出力信号S1~S4の状態を記憶している。そして、シリアルインターフェース2は、MPU100から第1~第4判定回路21~24の出力信号S1~S4の状態に関する読み出しコマンドが送られてくれば、第1~第4判定回路21~24の出力信号S1~S4の状態をMPU100に送信する。
【0069】
<COG実装の状態判定>
図14は、液晶ドライバIC200の概略透過上面図である。液晶ドライバIC200の下面の隅部にダミー端子T3及びT4が設けられている。ダミー端子T3とダミー端子T4とは液晶ドライバIC200の内部において電気的に接続されている。表示パネル300のガラス基板上にパッドPD1及びPD2が形成されている。パッドPD1に一端が接続されている配線が表示パネル300のガラス基板上に形成されており、COG実装されると当該配線の他端がダミー端子T3と電気的に接続される。パッドPD2に一端が接続されている配線が表示パネル300のガラス基板上に形成されており、COG実装されると当該配線の他端がダミー端子T4と電気的に接続される。パッドPD1とパッドPD2との間の抵抗値を測定することでCOG実装の良否を判定することができる。ダミー端子T3及びT4は
図14に示すように液晶ドライバIC200の下面の四隅それぞれに設けることが望ましい。
【0070】
<用途>
上記した液晶表示装置は、例えば、
図15で示す車両X10の運転者が視認できる位置に配置されるインストルメントパネルの一部として好適に用いることができる。
【0071】
<留意点>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では液晶表示装置はセグメント表示を行っているが、液晶表示装置はマトリスク表示を行うものであってもよい。また、上記実施形態では、複数の液晶素子を備える液晶部と、当該液晶部に光を照射する光源と、当該液晶素子を駆動する液晶ドライバICと、を備える液晶装置として、液晶表示装置を例に挙げて説明したが、液晶装置は表示装置でなくてもよい。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0072】
1 パワーオンリセット回路
2 シリアルインターフェース
3 コマンドデータデコーダ
4 コマンドレジスタ
5 表示データRAM
6 発振器
7 COMMONカウンタ
8 液晶電圧生成部
9、9G 液晶バイアス選択部、液晶バイアス選択部群
10G COMMONドライバ群
11、11G SEGMENTドライバ、SEGMENTドライバ群
21~24 第1~第4判定回路
25 全体エラー信号出力回路
31 TTLバッファ
32、34 レベルシフタ
33 ロジック回路
33A XORゲート
33B アドレス判定部
33C ANDゲート
35、36 OR回路
100 MPU
200 液晶ドライバIC
300 液晶表示パネル
400 液晶部
FF1~FF5 データフリップフロップ
PD1、PD2 パッド
T1 電源電圧端子
T2 グランド電位端子
T3、T4 ダミー端子
X10 車両