(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】熱源機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/16 20110101AFI20231213BHJP
F24F 1/12 20110101ALI20231213BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20231213BHJP
F24F 13/30 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F24F1/16
F24F1/12
F24F13/20 202
F24F13/30
(21)【出願番号】P 2019221282
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】松本 憲二郎
(72)【発明者】
【氏名】小澤 光輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 允嗣
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/161038(WO,A1)
【文献】特開2013-076517(JP,A)
【文献】特開2014-092312(JP,A)
【文献】特開2011-112323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176028(US,A1)
【文献】特許第6595125(JP,B2)
【文献】特開2013-007557(JP,A)
【文献】実開昭55-073786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/16
F24F 1/12
F24F 13/20
F24F 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱交換器と複数の部品とが筐体に配置されている熱源機であって、
複数の前記熱交換器は
、平面視において湾曲した角部を挟んで相対的に長い長辺と相対的に短い短辺とを有するL字状に形成された前記熱交換器を少なくとも3つ備えており、
2つのL字状の前記熱交換器は、平面視において、それぞれの長辺が前記筐体の背面に沿った状態で、それぞれの角部が前記筐体の中央側で互いに対向し、それぞれの短辺が前記筐体の背面から内部に向かって互いに平行になっている状態で配置されており、
1つのL字状の前記熱交換器は、平面視において、長辺が前記筐体の側面に沿った状態で、かつ、長辺の端部が前記筐体の隅で他のL字状の前記熱交換器の長辺の端部と対向する状態で配置されており、
前記筐体の側面の内少なくとも2面に、前記熱交換器によって閉鎖されていない開口部を形成した熱源機。
【請求項2】
複数の前記部品のうちメンテナンスの対象となる部品を、
平面視における前記筐体の中央よりも前記開口部が形成されている側に配置した請求項1記載の熱源機。
【請求項3】
通常時に前記開口部を閉鎖するパネルを備え、
複数の前記部品のうち騒音源となる部品を、
平面視における前記筐体の中央よりも前記パネルによって閉鎖される前記開口部が形成されている側に配置した請求項1または2記載の熱源機。
【請求項4】
複数の前記部品のうち騒音源となる部品を覆う保護カバーを備える請求項3記載の熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置は、冷凍機(コンデンシングユニット)や室外機等とも称される熱源機と、ショーケースや空調機等の室内機との間を配管で接続して冷媒を循環させている。この熱源機は、例えば特許文献1に示されているように、筐体の内部に各種の部品が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱源機の内部には各種の部品が配置されており、その中には、例えば駆動部を備えた圧縮機のように定期的なメンテナンスが必要とされる部品が存在している。
【0005】
しかしながら、筐体内で利用可能なスペースは限られていることから、製造時やメンテナンス時における利便性を確保することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造時やメンテナンス時における利便性を高めることができる熱源機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の熱源機は、複数の熱交換器と複数の部品とが筐体に配置されているものであって、複数の熱交換器のうち少なくとも1つの熱交換器は、筐体の側面を塞がない大きさに形成されており、筐体の側面の内少なくとも2面に、熱交換器によって閉鎖されていない開口部が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態における熱交換器の外観を模式的に示す図
【
図3】筐体とファンセクションとを分離した状態で模式的に示す図
【
図6】ファンセクションの取り付け態様を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、熱源機1は、外形が概ね縦長の直方体状に形成されている筐体2と、その筐体2の上部に取り付けられているファンセクション3とを備えている。この筐体2は、四隅に筐体2を支える構造物である支柱4が設けられており、それらの支柱4間に、
図2に示すように平面視において概ねL字状に形成されている3つの熱交換器5と、平面視において直線状に形成されている1つの熱交換器5とが配置されている。
【0010】
以下、熱源機1の側面のうち、
図2における図示上方側を熱源機1の背面と称し、図示左方側を左側面と称し、図示右方側を右側面と称し、図示下方側を正面と称する。また、熱源機1の左側面に沿って配置されているL字状の熱交換器5を便宜的に熱交換器5Aとも称し、左側面側から背面に沿って配置されているL字状の熱交換器5を便宜的に熱交換器5Bとも称し、右側面側から背面に沿って配置されているL字状の熱交換器5を便宜的に熱交換器5Cとも称し、右側面に沿って配置されている直線状の熱交換器5を熱交換器5Dとも称して説明する。ただし、各熱交換器5A~熱交換器5Dに共通する説明をする場合には、A~Dを付さずに単に熱交換器5と称する。
【0011】
各熱交換器5は、詳細な図示は省略するが、冷媒が流れるチューブの表面に比較的薄い金属製のフィンが多数設けられたいわゆるフィンチューブ型のものが採用されている。このとき、各熱交換器5では、周知のように空気が通過することによって冷媒との間で熱交換が行われる。換言すると、各熱交換器5は、筐体2の外縁を形成するものではあるものの、空気の通路を確保するために、筐体2の外部と内部とが連通した状態となっている。そして、これらの、各熱交換器5は、効率的な熱交換を行うために、つまりは、空気との接触を良好に行うために、筐体2の外縁に沿って配置されている。
【0012】
なお、本実施形態では熱源機1を冷房空調に用いることを想定しており、熱交換器5A~熱交換器5Cは冷媒を凝縮する凝縮器として機能し、熱交換器5Dは、凝縮された冷媒を冷却する過冷却器として機能することになる。ただし、熱源機1は、機器の冷却やショーケースにおける物品の冷却用など他の用途にも適用することができる。
【0013】
熱交換器5A~熱交換器5Cは、概ねL字状に形成しされている同一形状の2つの単位ユニットを上下2段に重ね、互いを冷媒の流れにおいて直列に接続することにより形成されている。つまり、熱交換器5A~熱交換器5Cは、同一形状に形成されている。以下、平面視において、L字状に形成されている熱交換器5の部位のうち、湾曲した角部を挟んで相対的に長い側の部位を便宜的に長辺と称し、相対的に短い側の部位を便宜的に短辺と称する。
【0014】
そして、熱交換器5Aは、平面視において、L字の長辺の先端が熱源機1の左奥の隅に位置し、L字の角部が熱源機1の左前の隅に位置し、L字の短辺部分が正面の左側部分に沿った状態で配置されている。つまり、熱交換器5Aは、L字の長辺が熱源機1の左側面のほぼ全域に沿った状態で配置されている。このため、熱源機1の左側面および正面の左側の一部は、熱交換器5Aによって閉鎖された状態となっている。
【0015】
また、熱交換器5Bは、平面視において、L字の長辺が熱源機1の左奥の隅に位置し、L字の湾曲している角部が熱源機1の背面ほぼ中央に位置し、そこからL字の短辺部分が熱源機1の内部に向かう状態で配置されている。つまり、熱交換器5Bは、L字の長辺が熱源機1の背面の左側半分に沿った状態で、かつ、L字の長辺の端部が熱交換器5AのL字の長辺の端部の近傍に位置する状態で配置されている。このため、熱源機1の背面の概ね左半分は、熱交換器5Bによって閉鎖された状態となっている。
【0016】
また、熱交換器5Cは、平面視において、L字の長辺が熱源機1の右奥の隅に位置し、L字の湾曲している角部が熱源機1の背面ほぼ中央に位置し、そこからL字の短辺部分が熱源機1の内部に向かう状態で配置されている。つまり、熱交換器5Cは、L字の長辺が熱源機1の背面の右側半分に沿った状態で、かつ、L字の短辺部分が熱交換器5BのL字の短辺部分と平行となる状態で配置されている。このため、熱源機1の背面の概ね右半分は、熱交換器5Cによって閉鎖された状態となっている。
【0017】
また、熱交換器5Dは、平面視において、一方の端部が熱源機1の右奥の隅に位置し、他方の端部が右前の隅まで到達しない状態で配置されている。つまり、熱交換器5Dは、熱源機1の右側面に沿った状態で、かつ、右奥側の端部が熱交換器5CのL字の長辺の端部の近傍に位置する状態で配置されている。このため、熱源機1の右側面は、正面側の一部を除いて熱交換器5Dによって閉鎖された状態となっている。
【0018】
また、熱交換器5は、その高さが、
図3に示すように概ね筐体2の高さと等しく形成されている。そのため、熱源機1では、各熱交換器5の上端がファンセクション3のごく近傍に位置することになる。
【0019】
さて、各熱交換器5を配置した状態では、熱源機1の左側面、背
面が全体的に閉鎖されることになる一方、熱源機1の正面には、左側の一部を除く範囲に正面開口部6が形成される。正面開口部6は、
図3にも正面視にて示すように、通常時すなわち通常の運転が行われる時には正面パネル7によって閉鎖されており、点検や修理などのメンテナンス時には、正面パネル7を取り外して熱源機1の内部にアクセスすることになる。
【0020】
また、右側面に配置されている熱交換器5Dは、筐体2の全面まで到達しない大きさに形成されているため、熱源機1の右側面の一部に右側開口部8が形成されている。右側開口部8は、
図1に背面からの斜視にて示すように、通常時には右側パネル9によって閉鎖されており、点検や修理などのメンテナンス時には、正面パネル7や右側パネル9を取り外して熱源機1の内部にアクセスすることになる。
【0021】
各熱交換器5で囲まれた熱源機1の内部には、冷凍サイクルを構成する機器や配管などの各種の機器が設けられている。本実施形態の場合、熱源機1は、
図4に示すように、室内機10とともに冷凍サイクル装置を構成している。なお、
図4では説明の簡略化のために室内機10が1つの構成例を示しているが、熱源機1に複数の室内機10を接続する構成とすることもできる。
【0022】
室内機10は、膨張器10a、室内側熱交換器10b、室内側送風ファン10c、および室内側制御ユニット10dなどを備えている。本実施形態の場合、室内側熱交換器10bは、膨張器10aにより減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。ただし、室内機10の構成は一例であり、これに限定されない。
【0023】
熱源機1は、凝縮器としての熱交換器5A~熱交換器5Cが冷媒の流れにおいて並列に接続されており、入口側において分岐配管11に接続されている。このとき、同一形状に形成されている熱交換器5A~熱交換器5Cには、分岐配管11で分岐した冷媒が概ね均等に流入する。また、熱交換器5A~熱交換器5Cは、冷媒の出口側において、接続配管12を介して受液器13にそれぞれ1対1で接続されている。
【0024】
この受液器13は、冷媒の出口側において合流配管14に接続されている。各受液器13は、概ね円筒状に形成されており、設置状態における上方側に冷媒の入口が設けられ、入口よりも下方側に冷媒の出口が設けられている。
【0025】
これにより、熱交換器5から受液器13に送られてくる冷媒が気液混合状態であったとしても、受液器13に流入した冷媒は、重力によって気液分離され、液体状態の冷媒が合流配管14に流出する。また、受液器13を熱交換器5A~熱交換器5Cに対して1対1で設けることで、各受液器13を小型化することが可能となり、熱源機1の内部への配置の自由度を高めることができる。
【0026】
受液器13から流出した冷媒は、合流配管14で合流した後、過冷却器としての熱交換器5Dを経由し、送り配管15によって室内機10に搬送される。これにより、室内機10に対して、液体状態で冷媒を搬送することが可能となる。そして、室内機10に搬送された冷媒は、室内側熱交換器10bで蒸発し、戻り配管16を通って熱源機1に戻される。
【0027】
熱源機1に戻された冷媒は、熱源機1に設けられているアキュムレータ17、圧縮機18、オイルセパレータ19を経由した後、分岐配管11を通って再び熱交換器5A~熱交換器5Cに流入する。このような構成の冷凍サイクル装置は、制御ユニット20によって制御されている。
【0028】
さて、これらの部品は、
図2に示すように、筐体2の内部の所定の位置に配置されている。
図2に示す配置は一例であるが、アキュムレータ17が熱交換器5D側に位置して配置され、2つの圧縮機18は正面開口部6側に位置して配置されている。これらアキュムレータ17や圧縮機18は定期的なメンテナンスが求められる部品であり、また、圧縮機18は運転時の騒音源となる部品である。また、制御ユニット20は、メンテナンス時に利用する可能性が高い部品である。
【0029】
アキュムレータ17は、直線状の熱交換器5Dと熱交換器5Cの長辺とで2方向のみが囲われた位置であって、右側開口部8の近傍に配置されている。また、圧縮機18は、各熱交換器5から離れた位置であって、運転時には正面パネル7によって閉鎖されている正面開口部6側に配置されている。また、圧縮機18は、設置後には保護カバー21によって覆われる位置に配置されている。また、各受液器13は、熱交換器5のL字の短辺の先端側に一方が固定されて伸びているステー22に取り付けられている。
【0030】
この筐体2の上部には、
図3に示すように、ベース板3aとファン本体3bとにより構成されたファンセクション3が載置されている。ファン本体3bは、熱源機1の上方に向かって空気を吹き出すように配置されている。そのため、ファン本体3bが駆動されると、熱交換器5を経由して筐体2の内部に空気が吸い込まれ、その空気が、ファンセクション3を経由して熱源機1の上方に吐き出される。また、ベース板3aは、ファン本体3bの保持、空気を吹き出す吹き出し口の形成、および筐体2への固定のための部材である。
【0031】
このファンセクション3は、熱源機1の小型化のために、高さ方向の寸法が比較的短くなっており、ファン本体3bがベース板3aよりも下方に突出した状態に設けられている。ただし、ベース板3aから下方に突出している部分は、ファンセクション3を筐体2に取り付けた際、
図2において熱交換器5が配置されていない中央付近のスペースに位置するものである。そのため、ファンセクション3が正常な位置に配置されていれば、下方に突出している部分が熱交換器5や他の部品と接触することはない。
【0032】
また、ファンセクション3の下部には、筐体2に取り付けるための複数のビス3cが、ベース板3aの下方に突出する状態で設けられている。このビス3cは、ファンセクション3を筐体2のフレーム部分に取り付けるためのものであるため、ファンセクション3が正常な位置に配置されていれば、熱交換器5や他の部品と接触することはない。
【0033】
また、詳細は後述するが、筐体2には、
図3に示すように右奥および左奥の支柱4を上方に延伸させることで筐体2の上端よりも上方に突出している2つのガイド支柱23が設けられている。つまり、筐体2には、平面視における四隅のうち2箇所にガイド支柱23が設けられている。このとき、各ガイド支柱23は、平面視における4辺のうち同一辺上に位置する2箇所、本実施形態では、同一辺の両端となる2箇所に設けられている。このガイド支柱23は、平面視においてL字状のいわゆるLアングル形状に形成されており、ファンセクション3の位置決めと、取り付け時の案内とを行う。
【0034】
これら筐体2およびファンセクション3は、
図5に示すように別工程でそれぞれが製造された後、組み立て工程において組み立てられる。このように別工程とすることにより、省スペース化のために回転体であるファン本体3bと他の部品とが互いの近傍に配置される熱源機1を、その品質を確保しつつ製造することができる。
【0035】
次に、上記した構成の作用および効果について説明する。
前述のように、筐体2とファンセクション3とを別工程で製造して組み立てることで、省スペース化を図ることができるようになるものの、熱源機1には、上記したように概ね筐体2と等しい高さの熱交換器5がその外縁に配置されている。また、ファンセクション3には、上記したように筐体2に取り付けるためのビス3cなどが設けられているとともに、ベース板3aから下方に突出するファン本体3bのような部品も設けられている。
【0036】
この場合、ファンセクション3を取り付ける際に位置がずれてしまうと、熱交換器5を傷つけてしまうことになる。さらに、熱源機1によっては人の身長を超える高さのものがあり、また、ファンセクション3自体が筐体2の上面全体を覆う程度の大きさに形成されていることから、ファンセクション3を取り付ける際には熱交換器5と接触しないように慎重に取り付ける必要があり、位置決めおよび取り付け作業に複数人が必要になるなど、多大な労力を必要としている。
そこで、本実施形態では、効率的にファンセクション3を取り付けることができるようにしている。
【0037】
具体的には、
図6に示すように、筐体2には、平面視における四隅のうち、左奥および右奥の2箇所に、筐体2の支柱4を延伸させ、筐体2の上端よりも上方に突出している2つのガイド支柱23を設けている。この場合、ガイド支柱23は、筐体2の上方に突出しているものの、それらのガイド支柱23間には梁などの構造物がなく、製造時には、平面視における四方から筐体2内部へのアクセスすること、例えば吊り荷の部品の搬入や取り付けを行うことができる。換言すると、ガイド支柱23を設けることによって作業効率が低下することが抑制されている。
【0038】
そして、組み立て時には、ファンセクション3を2箇所のガイド支柱23とそれぞれ当接させることにより、筐体2の前後方向および左右方向に対するファンセクション3の位置決めを行うことが可能になる。そして、ガイド支柱23は、当然のことながらファンセクション3を正しい位置に固定するために設けられているため、ファンセクション3がガイド支柱23に当接していれば、ファンセクション3が正しい位置、つまりは、下降させた場合であってもビス3cやファン本体3bが熱交換器5を含む他の部品と衝突しない正規の位置に位置決めされたことになる。
【0039】
そのため、ガイド支柱23に当接させた状態でファンセクション3を下降させれば、ファンセク本は、ガイド支柱23によって案内されて、正規の位置まで下降することになる。つまり、ガイド支柱23によって、ファンセクション3を正規の位置に案内することができる。
【0040】
このように、筐体2と、ベース板3aとファン本体3bとにより構成され、筐体2の上面を覆う態様で筐体2の上部に取り付けられるファンセクション3とを備える熱源機1において、筐体2の上端から上方に突出し、ファンセクション3と当接することによって当該ファンセクション3を位置決めするガイド支柱23を設けることにより、効率的にファンセクション3を取り付けることができる。
【0041】
このとき、ガイド支柱23は、平面視における4辺のうち同一辺上の2箇所に設けられている。換言すると、ガイド支柱23は、例えば正面側と背面側の2辺のような対向する辺には設けられていない。ただし、各辺から外側や内側にオフセットしてガイド支柱23を設けた状態、および、2箇所のガイド支柱23を繋いだ仮想的な線が熱源機1の1辺に沿って平行となっている状態も、同一辺上に含まれるものとする。なお、見方によっては左奥が左辺上、右奥が右辺上になるものの、本実施形態では、平面視におけるいずれかの1辺上にガイド支柱23が位置していれば、その辺を同一辺と称している。
【0042】
これにより、ファンセクション3をガイド支柱23に当接させ、その状態で下降させるという作業により、ファンセクション3を位置決めすることが可能となり、ファンセクション3を取り付ける際の作業効率を向上させることができる。すなわち、効率的にファンセクション3を取り付けることができる。
【0043】
また、ガイド支柱23は、平面視における四隅のうち2箇所に設けられている。例えば本実施形態であれば、ガイド支柱23は、背面側の同一辺の両端となる左奥と右奥の2箇所の隅に設けられている。これにより、ガイド支柱23間の間隔が広くなり、ファンセクション3が当接した際、平面視においてファンセクション3が筐体2に対して傾いてしまうことを抑制することができる。
【0044】
また、ファンセクション3を浮かした状態で例えばガイド支柱23に対向する側からスライドさせることによってファンセクション3をガイド支柱23に当接させることが可能となり、ファンセクション3の位置決めを容易に行うことができる。
【0045】
また、ガイド支柱23は、筐体2の平面視における四隅に設けられている支柱4を、当該筐体2の上端よりも上方まで延伸させたものである。これにより、個別の部品を設けることなく、ガイド支柱23を設けることができる。また、ガイド支柱23そのものを正確な位置に設けることができる。ただし、支柱4の上端に別部材としてガイド支柱23を設ける構成とすることも勿論可能である。また、ガイド支柱23は、支柱4から横方向に延伸した構成のものとすることもできる。
【0046】
また、本実施形態のようにガイド支柱23を平面視においてL字状のいわゆるLアングル形状に形成されている。そのため、例えば本実施形態であれば正面側からファンセクション3をスライドさせてガイド支柱23に当接させた際、ガイド支柱23はLアングル状に形成されていることから、当接したファンセクション3が左右方向にずれることが防止される。つまり、ガイド支柱23によって、前後方向と左右方向におけるファンセクション3の位置決めを同時に行うことができる。
【0047】
また、上記したように効率的かつ容易にファンセクション3を取り付けることができるようになることから、また、ファンセクション3を例えばスライドさせてガイド支柱23に当接させることで位置決めを行うことができることなどから、一人の作業者によっても作業を行うことが可能となり、作業効率を大きく改善することができる。
【0048】
また、上端から上方に突出するガイド支柱23を備える筐体2を製造する工程と、ファン本体3bを備えるファンセクション3を、筐体2とは別工程で製造する工程と、別工程で製造された筐体2およびファンセクション3を組み立てる工程とを含む熱源機1の製造方法によっても、効率的にファンセクション3を取り付けることができるなど、上記した熱源機1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
ただし、ここで示した熱交換器5の構成は一例であり、例えば直線状の熱交換器5を熱源機1の外線に沿って複数配置したり、平面視においてC字状の熱交換器5とL字状あるいは直線状の熱交換器5とを配置したりするなど、その数や形状が異なるものを採用することができる。その場合であっても、効率的にファンセクション3を取り付けることができるなど、実施形態のものと同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態の熱源機1および熱源機1の製造方法によれば、次のような課題をも解決することができる。
【0050】
前述のように、熱源機1は、熱交換器5を外線に沿って配置することで熱交換性能を向上させている。ところで、熱源機1の内部には各種の部品が配置されており、その中には、例えば圧縮機18のように定期的なメンテナンスが必要とされる部品が存在する。しかし、筐体2内で利用可能なスペースは限られていることから、メンテナンス時や製造時における利便性を確保することが困難であった。
【0051】
そこで、熱源機1は、L字状の熱交換器5A~Cと、直線状の熱交換器5Dとを設け、各熱交換器5を熱源機1の2辺の外縁に沿って配置するとともに、直線状の熱交換器5Dを、熱源機1の1面を完全には塞がない大きさとしている。すなわち、熱源機1は、複数の熱交換器5A~熱交換器5Cのうち少なくとも1つの熱交換器5Cは、筐体2の側面を塞がない大きさに形成されており、筐体2の側面の内少なくとも2面に、熱交換器5によって閉鎖されていない開口部である正面開口部6と右側開口部8が形成されている。これにより、内部へのアクセスを2方向から行うことが可能となり、メンテナンス時や製造時における利便性の確保ならびに利便性の向上を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、熱交換器5A~Cを左側面と背面とに沿って配置し、熱交換器5Dを右側面の後方側に沿って配置することにより、正面開口部6と右側開口部8とが繋がった状態の大きな開口部が形成されている。これにより、内部へのアクセスが可能となる開口部分がさらに大きくなり、メンテナンス時や製造時における利便性をさらに向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、メンテナンスの対象となる部品、例えば修理や交換の可能性がある圧縮機18や、メンテナンス時に利用する可能性が高い制御ユニット20のような部品を、例えば正面開口部6のような開口部が形成されている側に配置している。これにより、メンテナンスが必要とされる部品の修理や交換を効率よく行うことができる。ここで、近傍とは、パネルを外せば作業が行える程度の位置を意味している。
【0054】
また、騒音源となる圧縮機18のようなメンテナンスが必要とされる部品を、正面開口部6の近傍、つまりは、熱交換器5から離れた位置に配置している。これにより、騒音源が、熱源機1の外部と内部とに連通しているために音が漏れやすい熱交換器5から離れた位置となり、運転時の騒音を抑制することができる。
【0055】
このとき、正面開口部6は、通常の運転時には正面パネル7によって封鎖されている。また、本実施形態では、圧縮機18は、保護カバー21によって覆われている。そのため、運転時の騒音をさらに低減することができる。ただし、ここで示したメンテナンスが必要となる部品や騒音源となる部品は一例であり、他の部品を開口部の近傍に配置したり、熱交換器5から離れた位置に配置したりすることができる。
【0056】
実施形態では熱源機1を冷房空調用や要冷機器用のいわゆる冷凍機(コンデンシングユニット)として用いる例を示したが、冷媒の流れを変える三方弁などを設けることにより、冷却(冷房)運転と加熱(暖房)運転とが可能ないわゆる熱源機1に用いることもできる。
【0057】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
図面中、1は熱源機、2は筐体、3はファンセクション、3aはベース板、3bはファン本体、3cはビス、4は支柱、5は熱交換器、6は正面開口部(開口部)、8は右側開口部(開口部)、17はアキュムレータ(部品)、18は圧縮機(部品)、20は制御ユニット(部品)、21は保護カバー、23はガイド支柱を示す。