(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-12
(45)【発行日】2023-12-20
(54)【発明の名称】導波管変換器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/08 20060101AFI20231213BHJP
H01P 1/02 20060101ALI20231213BHJP
H01P 1/165 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H01P5/08 D
H01P1/02 Z
H01P1/165
(21)【出願番号】P 2019227999
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】小田 康明
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0245257(US,A1)
【文献】特開2012-199659(JP,A)
【文献】国際公開第2005/099026(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/08
H01P 1/02
H01P 1/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向が異なる導波管及び誘電体基板の内部の基板内導波管と、前記誘電体基板に関して前記導波管の反対側に配置される前記導波管の短絡部と、を備え、前記導波管と前記基板内導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、
前記導波管の電界面は、前記基板内導波管の磁界面と垂直であり、
前記導波管の磁界面は、前記基板内導波管の電界面と平行であり、
前記結合窓は、前記誘電体基板の両面の導体層に形成され、
前記基板内導波管かつ前記結合窓近傍の電界方向は、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の基本モードの電界方向と平行方向から、前記基板内導波管の基本モードの電界方向と平行方向へとねじれ
、
前記導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、
前記導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の短絡部の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器。
【請求項2】
管軸方向が異なる導波管及び誘電体基板の内部の基板内導波管と、前記誘電体基板に関して前記導波管の反対側に配置される前記導波管の短絡部と、を備え、前記導波管と前記基板内導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、
前記導波管の電界面は、前記基板内導波管の磁界面と垂直であり、
前記導波管の磁界面は、前記基板内導波管の電界面と平行であり、
前記結合窓は、前記誘電体基板の両面の導体層に形成され、
前記導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、
前記導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の短絡部の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器。
【請求項3】
管軸方向が異なる第1導波管及び第2導波管と、前記第2導波管に関して前記第1導波管の反対側に配置される前記第1導波管の短絡部と、を備え、前記第1導波管と前記第2導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、
前記第1導波管の電界面は、前記第2導波管の磁界面と垂直であり、
前記第1導波管の磁界面は、前記第2導波管の電界面と平行であり、
前記結合窓は、前記第2導波管の両面の磁界面に形成され、
前記第2導波管かつ前記結合窓近傍の電界方向は、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の基本モードの電界方向と平行方向から、前記第2導波管の基本モードの電界方向と平行方向へとねじれ
、
前記第1導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、
前記第1導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の短絡部の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器。
【請求項4】
管軸方向が異なる第1導波管及び第2導波管と、前記第2導波管に関して前記第1導波管の反対側に配置される前記第1導波管の短絡部と、を備え、前記第1導波管と前記第2導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、
前記第1導波管の電界面は、前記第2導波管の磁界面と垂直であり、
前記第1導波管の磁界面は、前記第2導波管の電界面と平行であり、
前記結合窓は、前記第2導波管の両面の磁界面に形成され、
前記第1導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、
前記第1導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の短絡部の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管軸方向が異なる導波管同士の間を結合窓を介して変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
管軸方向が異なる導波管同士の間を結合窓を介して変換する技術が、以下の従来技術の第1から第3の導波管変換器として、特許文献1等に開示されている。
【0003】
従来技術の第1の導波管変換器1の全体構成を
図1に示す。第1導波管11の電界面は、第2導波管12の磁界面と垂直である。第1導波管11の磁界面は、第2導波管12の電界面と平行である。結合窓13は、第2導波管12の磁界面に形成される。結合窓13の幅サイズは、第2導波管12の磁界面の幅サイズと同程度である。
【0004】
第1導波管11の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E1)は、結合窓13で第2導波管12の高次モード(TE20モード)の電磁波に変換されるが、第2導波管12のカットオフのため第2導波管12を伝搬することができない。第2導波管12の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E2)は、結合窓13で第1導波管11の高次モード(TMモード)の電磁波に変換されるが、第1導波管11のカットオフのため第1導波管11を伝搬することができない。つまり、従来技術の第1の導波管変換器1は、第1導波管11と第2導波管12との間を変換することができない。
【0005】
従来技術の第2の導波管変換器2の全体構成を
図2に示す。第1導波管21の電界面は、第2導波管22の磁界面と垂直である。第1導波管21の磁界面は、第2導波管22の電界面と平行である。第1導波管21の電界面は、閉塞部として機能する第3導波管23の電界面と平行である。第1導波管21の磁界面は、閉塞部として機能する第3導波管23の磁界面と垂直である。結合窓24は、第2導波管22の磁界面に形成される。結合窓24の幅サイズは、第2導波管22の磁界面の幅サイズと同程度である。
【0006】
第1導波管21の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E1)は、まずEベント導波管変換器と同様に、第3導波管23の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、第3導波管23を伝搬・反射することができ、次にHベント導波管変換器と同様に、第2導波管22の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、第2導波管22を伝搬することができる。第2導波管22の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E2)は、まずHベント導波管変換器と同様に、第3導波管23の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、第3導波管23を伝搬・反射することができ、次にEベント導波管変換器と同様に、第1導波管21の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、第1導波管21を伝搬することができる。つまり、従来技術の第2の導波管変換器2は、第1導波管21と第2導波管22との間を変換することができる。
【0007】
従来技術の第3の導波管変換器3の全体構成を
図3に示す。第1導波管31の電界面は、第2導波管32の磁界面と垂直である。第1導波管31の磁界面は、第2導波管32の電界面と平行である。結合窓33は、第2導波管32の磁界面に形成される。結合窓33の形状は、導波管スロットアンテナの1スロットと同形状である。
【0008】
第1導波管31の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E1)は、導波管スロットアンテナと同様に、第2導波管32の基本モード(TE10モード)の電磁波及び第2導波管32の高次モード(TE20モード)の電磁波に変換され、前者のみ第2導波管32を伝搬することができる。第2導波管32の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E2)は、導波管スロットアンテナと同様に、第1導波管31の基本モード(TE10モード)の電磁波及び第1導波管31の高次モード(TMモード)の電磁波に変換され、前者のみ第1導波管31を伝搬することができる。つまり、従来技術の第3の導波管変換器3は、第1導波管31と第2導波管32との間を変換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来技術の第2の導波管変換器2は、スペースを大きく必要とする閉塞部として機能する第3導波管23を備えるため、省スペース化、低損失化、設計容易化及び製造誤差低減を図ることができない。そして、従来技術の第3の導波管変換器3は、電磁波の周波数に大きく依存するスロットアンテナとして機能する結合窓33を備えるため、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができない。
【0011】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、管軸方向が異なる導波管同士の間を結合窓を介して変換する導波管変換器において、一方の導波管の電界面(磁界面)が他方の導波管の磁界面(電界面)と垂直(平行)であるときでも、省スペース化、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、電磁波の偏波面を90°回転させるねじれ導波管の機能を、管軸方向が異なる導波管同士の間の結合窓の形状に反映させることとした。
【0013】
具体的には、本開示は、管軸方向が異なる導波管及び誘電体基板の内部の基板内導波管と、前記誘電体基板に関して前記導波管の反対側に配置される前記導波管の短絡部と、を備え、前記導波管と前記基板内導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、前記導波管の電界面は、前記基板内導波管の磁界面と垂直であり、前記導波管の磁界面は、前記基板内導波管の電界面と平行であり、前記結合窓は、前記誘電体基板の両面の導体層に形成され、前記基板内導波管かつ前記結合窓近傍の電界方向は、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の基本モードの電界方向と平行方向から、前記基板内導波管の基本モードの電界方向と平行方向へとねじれることを特徴とする導波管変換器である。
【0014】
また、本開示は、管軸方向が異なる第1導波管及び第2導波管と、前記第2導波管に関して前記第1導波管の反対側に配置される前記第1導波管の短絡部と、を備え、前記第1導波管と前記第2導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、前記第1導波管の電界面は、前記第2導波管の磁界面と垂直であり、前記第1導波管の磁界面は、前記第2導波管の電界面と平行であり、前記結合窓は、前記第2導波管の両面の磁界面に形成され、前記第2導波管かつ前記結合窓近傍の電界方向は、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の基本モードの電界方向と平行方向から、前記第2導波管の基本モードの電界方向と平行方向へとねじれることを特徴とする導波管変換器である。
【0015】
この構成によれば、本開示の導波管変換器は、電磁波の周波数にあまり依存しないねじれ導波管として機能する結合窓を備えるため、一方の導波管の電界面(磁界面)が他方の導波管の磁界面(電界面)と垂直(平行)であるときでも、省スペース化、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができるようにすることができる。
【0016】
そして、本開示の導波管変換器は、誘電体基板の内部の基板内導波管に適用されるときには、(1)導波管同士の間のマイクロストリップ線路等を備えないため、省スペース化、低損失化、設計容易化及び製造誤差低減を図ることができ、(2)ねじれ導波管として機能する結合窓を備えるため、基板内導波管の引き回し自由度を高めることができる。
【0017】
前記効果を実現するために、導波管の入出力側へ切れ込みを入れるはさみの刃の形状を、管軸方向が異なる導波管同士の間の結合窓の形状に採用することとした。
【0018】
具体的には、本開示は、前記導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、前記導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の短絡部の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器である。
【0019】
また、本開示は、管軸方向が異なる導波管及び誘電体基板の内部の基板内導波管と、前記誘電体基板に関して前記導波管の反対側に配置される前記導波管の短絡部と、を備え、前記導波管と前記基板内導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、前記導波管の電界面は、前記基板内導波管の磁界面と垂直であり、前記導波管の磁界面は、前記基板内導波管の電界面と平行であり、前記結合窓は、前記誘電体基板の両面の導体層に形成され、前記導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、前記導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記導波管の短絡部の側の前記誘電体基板の導体層に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記基板内導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器である。
【0020】
また、本開示は、前記第1導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、前記第1導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の短絡部の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器である。
【0021】
また、本開示は、管軸方向が異なる第1導波管及び第2導波管と、前記第2導波管に関して前記第1導波管の反対側に配置される前記第1導波管の短絡部と、を備え、前記第1導波管と前記第2導波管との間を結合窓を介して変換する導波管変換器であって、前記第1導波管の電界面は、前記第2導波管の磁界面と垂直であり、前記第1導波管の磁界面は、前記第2導波管の電界面と平行であり、前記結合窓は、前記第2導波管の両面の磁界面に形成され、前記第1導波管の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなり、前記第1導波管の短絡部の電界面の幅方向と平行方向の、前記第1導波管の短絡部の側の前記第2導波管の磁界面に形成される前記結合窓の幅サイズは、前記第2導波管の閉塞部側から入出力部側へと向けて、前記第1導波管の短絡部の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、前記第1導波管の短絡部の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなることを特徴とする導波管変換器である。
【0022】
この構成によれば、本開示の導波管変換器は、電磁波の周波数にあまり依存しないねじれ導波管として機能する、はさみの刃の形状の結合窓を備えることができる。
【0023】
そして、本開示の導波管変換器は、誘電体基板の内部の基板内導波管に適用されるときには、短絡部への入出力のために誘電体基板の両面の導体層に結合窓を備えればよい。
【発明の効果】
【0024】
このように、本開示は、管軸方向が異なる導波管同士の間を結合窓を介して変換する導波管変換器において、一方の導波管の電界面(磁界面)が他方の導波管の磁界面(電界面)と垂直(平行)であるときでも、省スペース化、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来技術の第1の導波管変換器の全体構成を示す図である。
【
図2】従来技術の第2の導波管変換器の全体構成を示す図である。
【
図3】従来技術の第3の導波管変換器の全体構成を示す図である。
【
図4】本開示の第1の導波管変換器の全体構成を示す図である。
【
図5】本開示の第1の導波管変換器の部分構成を示す図である。
【
図6】本開示の第1の導波管変換器の変換特性を示す図である。
【
図7】本開示の第1の導波管変換器の設計方法を示す図である。
【
図8】本開示の第1の導波管変換器の設計結果を示す図である。
【
図9】比較例の導波管変換器の部分構成を示す図である。
【
図10】本開示の第2の導波管変換器の全体構成を示す図である。
【
図11】本開示の第2の導波管変換器の部分構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0027】
(本開示の第1の導波管変換器)
本開示の第1の導波管変換器4の全体構成を
図4に示す。
図4は、導波管変換器4の斜視図を示す。本開示の第1の導波管変換器4の部分構成を
図5に示す。
図5は、基板内導波管42の分解斜視図を上段に示し、基板内導波管42の透視平面図を下段に示す。
図5では、導波管41及び短絡部43と基板内導波管42との接続位置を破線で示す。
図5の下段では、結合窓44及び結合窓45の周縁は、導波管41及び短絡部43の開口の周縁の内側にある。そして、図面上はずれているが、実際には重なり合っている。
【0028】
導波管変換器4は、管軸方向が異なる導波管41及び誘電体基板46の内部の基板内導波管42と、誘電体基板46に関して導波管41の反対側に配置される導波管41の短絡部43と、を備え、導波管41と基板内導波管42との間を結合窓44、45を介して変換する。基板内導波管42の磁界面は、誘電体基板46の両面の導体層47、48(例えば、銅箔等。)により形成される。基板内導波管42の電界面は、誘電体基板46の内部の導通部49(例えば、ポスト壁等。)により形成される。短絡部43は、結合窓44、45の位置及び基板内導波管42の内部での電界強度を高くするために形成される。
【0029】
導波管41の電界面は、基板内導波管42の磁界面と垂直である。導波管41の磁界面は、基板内導波管42の電界面と平行である。結合窓44、45は、誘電体基板46の両面の導体層47、48に形成される。結合窓44、45は、誘電体基板46の一面の導体層に形成されるのみでは、短絡部43への入出力をできなくするが、誘電体基板46の両面の導体層に形成されることにより、短絡部43への入出力をできるようにする。
【0030】
ここで、電磁波の偏波面を90°回転させるねじれ導波管の機能を、管軸方向が異なる導波管41と基板内導波管42との間の結合窓44、45の形状に反映させる。
【0031】
具体的には、基板内導波管42かつ結合窓44、45近傍の電界方向は、基板内導波管42の閉塞部側(
図4及び
図5の左側。)から入出力部側(
図4及び
図5の右側。)へと向けて、導波管41の基本モード(TE10モード)の電界方向E
1と平行方向から、基板内導波管42の基本モード(TE10モード)の電界方向E
2と平行方向へとねじれる。
【0032】
そして、基板内導波管42の入出力部側へ切れ込みを入れるはさみの刃の形状を、管軸方向が異なる導波管41と基板内導波管42との間の結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状を重ね合わせて、はさみの刃の形状を実現する。
【0033】
具体的には、導波管41の電界面の幅方向と平行方向の、導波管41の側の誘電体基板46の導体層48に形成される結合窓45の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。
【0034】
その一方で、導波管41の短絡部43の電界面の幅方向と平行方向の、導波管41の短絡部43の側の誘電体基板46の導体層47に形成される結合窓44の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の短絡部43の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の短絡部43の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の短絡部43の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。
【0035】
導波管41の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E1)は、ねじれ導波管と同様に、基板内導波管42の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、基板内導波管42を伝搬することができる。基板内導波管42の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E2)は、ねじれ導波管と同様に、導波管41の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、導波管41を伝搬することができる。つまり、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換することができる。
【0036】
このように、導波管変換器4は、電磁波の周波数にあまり依存しないねじれ導波管として機能する結合窓44、45を備えるため、導波管41の電界面(磁界面)が基板内導波管42の磁界面(電界面)と垂直(平行)であるときでも、省スペース化、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができるようにすることができる。
【0037】
さらに、導波管変換器4は、誘電体基板46の内部の基板内導波管42に適用されるときには、(1)導波管41と基板内導波管42との間のマイクロストリップ線路等を備えないため、省スペース化、低損失化、設計容易化及び製造誤差低減を図ることができ、(2)ねじれ導波管として機能する結合窓44、45を備えるため、基板内導波管42の引き回し自由度を高めることができる。
【0038】
そして、導波管変換器4は、電磁波の周波数にあまり依存しないねじれ導波管として機能する、はさみの刃の形状の結合窓44、45を備えることができる。
【0039】
さらに、導波管変換器4は、誘電体基板46の内部の基板内導波管42に適用されるときには、短絡部43への入出力のために誘電体基板46の両面の導体層47、48に結合窓44、45を備えればよい。
【0040】
本開示の第1の導波管変換器4の変換特性を
図6に示す。
図6では、使用周波数で規格化した周波数を用いている。
図6の上段に示したように、反射係数S11が-20dB以下の帯域幅は、使用周波数の5.2%程度である。
図6の下段に示したように、使用周波数の5.2%程度の帯域幅での通過係数S21は、-0.7dB程度である。
【0041】
本開示の第1の導波管変換器4の設計方法を
図7に示す。
図7では、結合窓44及び結合窓45の周縁と、導波管41及び短絡部43の開口の周縁と、は重なり合っている。導波管41の電界面の幅方向と平行方向の結合窓44、45の幅サイズのうち、基板内導波管42の閉塞部側の幅サイズは、Wgn=0.40λ(λは使用波長。)であり、基板内導波管42の入出力部側の幅サイズは、Wである。導波管41の磁界面の幅方向と平行方向の結合窓44、45の長さサイズのうち、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側までの長さサイズは、Wgw=0.81λ(λは使用波長。)であり、結合窓44、45の幅サイズが変化する領域の長さサイズは、L=0.66λ(λは使用波長。)である。以下では、Wを可変として、挿入損失を計算した。
【0042】
本開示の第1の導波管変換器4の設計結果を
図8に示す。
図8では、使用周波数で規格化した周波数を用いている。ここで、挿入損失が規格化周波数0.97から規格化周波数1.04までの帯域幅で-1dB以下となることが望ましいとする。すると、導波管41の電界面の幅方向と平行方向の結合窓44、45の幅サイズのうち、基板内導波管42の入出力部側の幅サイズWは、0.29λ≦W≦0.35λ(λは使用波長。)であることが望ましい。つまり、結合窓44又は結合窓45のいずれかのうちの長方形から欠けた部分の面積WL/2に対する、結合窓44と結合窓45の重ね合わせのうちの長方形から欠けた部分の面積WL(1-Wgn/2W)
2の比率2(1-Wgn/2W)
2は、0.174≦2(1-Wgn/2W)
2≦0.363であることが望ましい。
【0043】
(比較例の導波管変換器)
比較例の導波管変換器4の部分構成を
図9に示す。
図9では、導波管41及び短絡部43と基板内導波管42との接続位置を破線で示す。そして、結合窓44及び結合窓45の周縁は、導波管41及び短絡部43の開口の周縁の内側にある。さらに、図面上はずれているが、実際には重なり合っている。
図9の左上欄は、比較例の第1の結合窓44、45を示す。
図9の右上欄は、比較例の第2の結合窓44、45を示す。
図9の左中欄は、比較例の第3の結合窓44、45を示す。
図9の右中欄は、比較例の第4の結合窓44、45を示す。
図9の左下欄は、比較例の第5の結合窓44、45を示す。
図9の右下欄は、比較例の第6の結合窓44、45を示す。
【0044】
図9の左上欄の比較例の第1の結合窓44、45では、基板内導波管42の入出力部側へ切れ込みを入れるはさみの刃の形状を結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状のそれぞれにおいて、はさみの刃の形状を実現する。
【0045】
つまり、結合窓44、45の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方及び他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。すると、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換不能である。
【0046】
図9の右上欄の比較例の第2の結合窓44、45では、基板内導波管42の入出力部側へ切れ込みを入れるはさみの片刃の形状を結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状のそれぞれにおいて、はさみの片刃の形状を実現する。
【0047】
つまり、結合窓44、45の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。すると、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換不能である。
【0048】
図9の左中欄の比較例の第3の結合窓44、45では、基板内導波管42の入出力部側へ尖った先を向ける二等辺三角形の形状を結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状のそれぞれにおいて、二等辺三角形の形状を実現する。
【0049】
つまり、結合窓44、45の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方及び他方の磁界面の中間の位置のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。すると、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換不能である。
【0050】
図9の右中欄の比較例の第4の結合窓44、45では、基板内導波管42の閉塞部側へ切れ込みを入れるはさみの刃の形状を結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状を重ね合わせて、はさみの刃の形状を実現する。
【0051】
つまり、結合窓44の幅サイズは、基板内導波管42の入出力部側から閉塞部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。そして、結合窓45の幅サイズは、基板内導波管42の入出力部側から閉塞部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。すると、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換不能である。
【0052】
図9の左下欄の比較例の第5の結合窓44、45では、基板内導波管42の一電界面側へ切れ込みを入れるはさみの刃の形状を結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状を重ね合わせて、はさみの刃の形状を実現する。
【0053】
つまり、結合窓44の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。そして、結合窓45の幅サイズは、基板内導波管42の入出力部側から閉塞部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。すると、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換不能である。
【0054】
図9の右下欄の比較例の第6の結合窓44、45では、基板内導波管42の入出力部側及び閉塞部側へ切れ込みを入れるはさみの片刃の形状を結合窓44、45の形状に採用する。ただし、結合窓44、45の形状のそれぞれにおいて、はさみの片刃の形状を実現する。
【0055】
つまり、結合窓44の幅サイズは、基板内導波管42の閉塞部側から入出力部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。そして、結合窓45の幅サイズは、基板内導波管42の入出力部側から閉塞部側へと向けて、導波管41の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から導波管41の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、導波管41の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。すると、導波管変換器4は、導波管41と基板内導波管42との間を変換不能である。
【0056】
(本開示の第2の導波管変換器)
本開示の第2の導波管変換器5の全体構成を
図10に示す。
図10は、導波管変換器5の斜視図を示す。本開示の第2の導波管変換器5の部分構成を
図11に示す。
図11は、第2導波管52の斜視図を上段に示し、第2導波管52の透視平面図を下段に示す。
図11では、第1導波管51及び短絡部53と第2導波管52との接続位置を破線で示す。
図11の下段では、結合窓54及び結合窓55の周縁は、第1導波管51及び短絡部53の開口の周縁の内側にある。そして、図面上はずれているが、実際には重なり合っている。
【0057】
導波管変換器5は、管軸方向が異なる第1導波管51及び第2導波管52と、第2導波管52に関して第1導波管51の反対側に配置される第1導波管51の短絡部53と、を備え、第1導波管51と第2導波管52との間を結合窓54、55を介して変換する。短絡部53は、結合窓54、55の位置及び第2導波管52の内部での電界強度を高くするために形成される。
【0058】
第1導波管51の電界面は、第2導波管52の磁界面と垂直である。第1導波管51の磁界面は、第2導波管52の電界面と平行である。結合窓54、55は、第2導波管52の両面の磁界面に形成される。結合窓54、55は、第2導波管52の一面の磁界面に形成されるのみでは、短絡部53への入出力をできなくするが、第2導波管52の両面の磁界面に形成されることにより、短絡部53への入出力をできるようにする。
【0059】
ここで、電磁波の偏波面を90°回転させるねじれ導波管の機能を、管軸方向が異なる第1導波管51と第2導波管52との間の結合窓54、55の形状に反映させる。
【0060】
具体的には、第2導波管52かつ結合窓54、55近傍の電界方向は、第2導波管52の閉塞部側(
図10及び
図11の左側。)から入出力部側(
図10及び
図11の右側。)へと向けて、第1導波管51の基本モード(TE10モード)の電界方向E
1と平行方向から、第2導波管52の基本モード(TE10モード)の電界方向E
2と平行方向へとねじれる。
【0061】
そして、第2導波管52の入出力部側へ切れ込みを入れるはさみの刃の形状を、管軸方向が異なる第1導波管51と第2導波管52との間の結合窓54、55の形状に採用する。ただし、結合窓54、55の形状を重ね合わせて、はさみの刃の形状を実現する。
【0062】
具体的には、第1導波管51の電界面の幅方向と平行方向の、第1導波管51の側の第2導波管52の磁界面に形成される結合窓55の幅サイズは、第2導波管52の閉塞部側から入出力部側へと向けて、第1導波管51の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から第1導波管51の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、第1導波管51の一方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。
【0063】
その一方で、第1導波管51の短絡部53の電界面の幅方向と平行方向の、第1導波管51の短絡部53の側の第2導波管52の磁界面に形成される結合窓54の幅サイズは、第2導波管52の閉塞部側から入出力部側へと向けて、第1導波管51の短絡部53の一方の磁界面の位置又は当該位置の近傍から第1導波管51の短絡部53の他方の磁界面の位置又は当該位置の近傍までを含む幅サイズから、第1導波管51の短絡部53の他方の磁界面の位置のみ、当該位置の近傍のみ又は当該位置及び当該位置の近傍のみを含む幅サイズへと狭くなる。
【0064】
第1導波管51の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E1)は、ねじれ導波管と同様に、第2導波管52の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、第2導波管52を伝搬することができる。第2導波管52の基本モード(TE10モード)の電磁波(電界方向E2)は、ねじれ導波管と同様に、第1導波管51の基本モード(TE10モード)の電磁波に変換され、第1導波管51を伝搬することができる。つまり、導波管変換器5は、第1導波管51と第2導波管52との間を変換することができる。
【0065】
このように、導波管変換器5は、電磁波の周波数にあまり依存しないねじれ導波管として機能する結合窓54、55を備えるため、第1導波管51の電界面(磁界面)が第2導波管52の磁界面(電界面)と垂直(平行)であるときでも、省スペース化、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができるようにすることができる。
【0066】
そして、導波管変換器5は、電磁波の周波数にあまり依存しないねじれ導波管として機能する、はさみの刃の形状の結合窓54、55を備えることができる。
【0067】
なお、本開示の第2の導波管変換器5では、第2導波管52の両面の磁界面の間の距離は長く(第2導波管52の規格のため。)、第2導波管52の内部は真空又は空気である。一方、本開示の第1の導波管変換器4では、基板内導波管42の両面の磁界面の間の距離は短く(誘電体基板46の薄さのため。)、基板内導波管42の内部は誘電体である。
【0068】
そこで、本開示の第2の導波管変換器5においても、本開示の第1の導波管変換器4と同様に、第1導波管51と第2導波管52との間を変換するためには、第2導波管52の両面の磁界面の間の距離をできるかぎり短くすることが望ましい。
【0069】
ただし、本開示の第2の導波管変換器5においても、本開示の第1の導波管変換器4と同様に、第2導波管52での変換後の伝送効率を向上させるためには、第2導波管52の両面の磁界面の間の距離をできるかぎり長くすることが望ましい。
【0070】
そして、本開示の第2の導波管変換器5においては、本開示の第1の導波管変換器4と比べて、第2導波管52のサイズ及び内部物質が異なることを考慮して、結合窓54、55のサイズ及び短絡部53の長さを異ならせることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
このように、本開示は、管軸方向が異なる導波管同士の間を結合窓を介して変換する導波管変換器において、一方の導波管の電界面(磁界面)が他方の導波管の磁界面(電界面)と垂直(平行)であるときでも、省スペース化、低損失化、設計容易化、製造誤差低減及び広帯域化を図ることができるようにすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1、2、3、4、5:導波管変換器
11、21、31:第1導波管
12、22、32:第2導波管
23:第3導波管
13、24、33:結合窓
41:導波管
42:基板内導波管
43:短絡部
44、45:結合窓
46:誘電体基板
47、48:導体層
49:導通部
51:第1導波管
52:第2導波管
53:短絡部
54、55:結合窓